説明

基板処理装置

【課題】低コストで貯留槽内の処理液の温度を調整することが可能な基板処理装置を提供する。
【解決手段】処理液タンクTB内の処理液は、ポンプP2の動作により配管18,19,23を通して簡易式熱交換器S2に導かれる。簡易式熱交換器S2により冷却された処理液は、配管23,25を通して処理液タンクTBに戻される。処理液の温度が予め定められた規定値N1以下になると、処理液タンクTB内の処理液は、ポンプP2の動作により配管18,19,21を通して処理液タンクTBに戻される。配管21は処理液タンクTA内を通過するので、配管21を流れる処理液は、処理液タンクTA内の処理液によって温調される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、光ディスク用ガラス基板等の基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。
【0003】
処理液を用いて基板の処理を行う基板処理装置がある。その基板処理装置には、処理液を貯留するための貯留槽および処理液の温度を調整する温調機構が設けられる(例えば特許文献1)。基板に処理を行う際には、貯留槽に貯留される処理液が温調機構を通して処理部に導かれ、処理部において基板に処理液が供給される。基板の処理に用いられた処理液は、廃棄または回収される。
【0004】
貯留槽に貯留される処理液の量が少なくなると、貯留槽に処理液が補充される。その場合、処理液の特性を確実に維持するために、貯留槽に残留する処理液を全て廃棄した後、新たな処理液が貯留槽に供給される。その際に、基板の処理が一時的に中断するダウンタイムが発生する。それにより、スループットが低下する。
【0005】
このようなダウンタイムの発生を防止するために、貯留槽を2つ設け、処理部への貯留槽の接続を交互に切り替えることが行われる。この場合、一方の貯留槽から処理部へ処理液を供給する期間中に、他方の貯留槽に処理液を補充することにより、スループットの低下を防止することができる。
【特許文献1】特開2002−75946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、処理液の温度を基板の処理に適した値に調整するためには、一定の時間を要する。そのため、例えば処理部に接続されていない側の貯留槽内の処理液を温調機構を通して循環させる。この場合、その貯留槽が処理部に接続された際に確実に適正な温度の処理液を基板に供給することができる。
【0007】
しかしながら、この場合には、一方の貯留槽の温度を維持するための温調機構と、他方の貯留槽の温度を維持するための温調機構とを別個に設ける必要がある。そのため、2つの温調機構を駆動するためのエネルギー(例えば電力)が必要となり、コストが増大する。
【0008】
本発明の目的は、低コストで貯留槽内の処理液の温度を調整することが可能な基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る基板処理装置は、所定の温度調整手段によって所定温度に維持されるとともに第1貯留槽に貯留された処理液を用いて基板に処理を行う基板処理装置であって、第1貯留槽とは別に予備の処理液を貯留する第2貯留槽と、第2貯留槽から処理液を導出するための第2貯留槽用導出経路と、第2貯留槽用導出経路の端部に接続され、第2貯留槽用導出経路からの処理液を第2貯留槽に戻す第2貯留槽用冷却経路と、第2貯留槽用冷却経路の途中部に介装され、第2貯留槽用冷却経路を流れる処理液を冷却するための第2貯留槽用冷却手段と、第2貯留槽用導出経路と第2貯留槽用冷却経路との接続部に接続され、第1貯留槽内を通過するように処理液を導くとともに、第1貯留槽内を通過した処理液を第2貯留槽に戻す第2貯留槽用保温経路と、第2貯留槽用導出経路、第2貯留槽用冷却経路、および第2貯留槽用保温経路の接続部に設けられ、第2貯留槽用導出経路を流れる処理液を第2貯留槽用冷却経路および第2貯留槽用保温経路のいずれか一方に選択的に導く第2貯留槽用切替手段とを備えるものである。
【0010】
その基板処理装置においては、第1貯留槽に貯留された処理液を用いて基板に処理が行われる。第1貯留槽内の処理液は所定の温度調整手段によって基板の処理に適した所定温度に維持される。第2貯留槽には、予備の処理液が貯留される。
【0011】
第2貯留槽内の処理液の温度が所定温度よりも高い場合、第2貯留槽内の処理液は第2貯留槽用導出経路を通して第2貯留槽用冷却経路に導かれる。第2貯留槽用冷却経路において、第2貯留槽用冷却手段により処理液が冷却される。冷却された処理液は第2貯留槽に戻される。これにより、第2貯留槽内の処理液の温度が徐々に低下する。
【0012】
第2貯留槽内の処理液の温度が所定温度まで低下すると、第2貯留槽内の処理液が第2貯留槽用導出経路を通して第2貯留槽用保温経路に導かれる。第2貯留槽用保温経路を流れる処理液は、第1貯留槽内を通過することによって所定温度に保温される。保温された状態の処理液が第2貯留槽に戻される。これにより、第2貯留槽内の処理液の温度が所定温度よりも低くなることが防止される。
【0013】
このように、第2貯留槽内の処理液の冷却および保温を行うことにより、精密な温調機器を用いることなく簡単な構成で第2貯留槽内の処理液の温度を所定温度に調整することができる。したがって、処理液の温度を調整するためのコストを低減することができる。
【0014】
(2)基板処理装置は、第2貯留槽用導出経路または第2貯留槽用冷却経路の途中部に介装され、第2貯留槽用導出経路または第2貯留槽用冷却経路を流れる処理液の温度を計測する温度計測手段と、温度計測手段により計測された処理液の温度に基づいて第2貯留槽用切替手段を制御する制御部とをさらに備え、制御部は、温度計測手段により計測された処理液の温度が所定温度よりも高い場合に、第2貯留槽用導出経路を流れる処理液を第2貯留槽用冷却経路に導くように第2貯留槽用切替手段を制御し、温度計測手段により計測された処理液の温度が所定温度以下の場合に、第2貯留槽用導出経路を流れる処理液を第2貯留槽用保温経路に導くように第2貯留槽用切替手段を制御してもよい。
【0015】
この場合、第2貯留槽内の処理液の冷却と保温とが自動的に切り替えられる。また、第2貯留槽内の処理液が第2貯留槽用冷却手段によって所定温度まで冷却された場合に第2貯留槽用保温経路に導かれるため、第2貯留槽用保温経路を流れる処理液から第1貯留槽内の処理液へ熱が与えられることが防止される。その結果、第1貯留槽内の処理液の温度が不安定になることが防止される。
【0016】
(3)基板処理装置は、第1貯留槽から処理液を導出するための第1貯留槽用導出経路と、第1貯留槽用導出経路の端部に接続され、第1貯留槽用導出経路からの処理液を第1貯留槽に戻す第1貯留槽用冷却経路と、第1貯留槽用冷却経路の途中部に介装され、第1貯留槽用冷却経路を流れる処理液を冷却するための第1貯留槽用冷却手段と、第1貯留槽用導出経路と第1貯留槽用冷却経路との接続部に接続され、第2貯留槽内を通過するように処理液を導くとともに、第2貯留槽内を通過した処理液を第1貯留槽に戻す第1貯留槽用保温経路と、第1貯留槽用導出経路、第1貯留槽用冷却経路、および第1貯留槽用保温経路の接続部に設けられ、第1貯留槽用導出経路を流れる処理液を第1貯留槽用冷却経路および第1貯留槽用保温経路のいずれか一方に選択的に導く第1貯留槽用切替手段と、第1貯留槽に貯留された処理液が温度調整手段によって所定の温度に維持されるとともに基板に処理に用いられる第1の状態と、第2貯留槽に貯留された処理液が温度調整手段によって所定の温度に維持されるとともに基板に処理に用いられる第2の状態とを切り替える制御部とをさらに備えてもよい。
【0017】
この場合、第1の状態では、第1貯留槽に貯留された処理液が基板の処理に用いられる。第1貯留槽内の処理液は所定の温度調整手段によって基板の処理に適した所定温度に維持される。第2貯留槽内の処理液は、第2貯留槽用冷却経路を通して第2貯留槽用冷却手段により冷却され、第2貯留槽用保温経路を通して保温される。
【0018】
第2の状態では、第2貯留槽に貯留された処理液が基板の処理に用いられる。第2貯留槽内の処理液は所定の温度調整手段によって基板の処理に適した所定温度に維持される。第1貯留槽内の処理液は、第1貯留槽用冷却経路を通して第1貯留槽用冷却手段により冷却され、第1貯留槽用保温経路を通して保温される。
【0019】
これにより、第1の状態で第2貯留槽に処理液を補充することができ、第2の状態で第1貯留槽に処理液を補充することができる。それにより、処理液の補充時におけるダウンタイムの発生を防止することができる。また、補充時に処理液の温度が高くなっても、低コストで補充後の処理液の温度を調整することができる。
【0020】
(4)第2貯留槽用導出経路および第2貯留槽用冷却経路のうち少なくとも第2貯留槽用冷却経路の一部と第1貯留槽用導出経路および第1貯留槽用冷却経路のうち少なくとも第1貯留槽用冷却経路の一部とは共通経路により構成され、第2貯留槽用冷却手段および第1貯留槽用冷却手段は、共通経路の途中部に介装された共通の冷却手段により構成され、基板処理装置は、共通経路の途中部に介装され、共通経路を流れる処理液の温度を計測する温度計測手段をさらに備え、制御部は、第1の状態において、温度計測手段により計測された処理液の温度が所定温度よりも高い場合に、第2貯留槽用導出経路を流れる処理液を第2貯留槽用冷却経路に導くように第2貯留槽用切替手段を制御し、温度計測手段により計測された処理液の温度が所定温度以下の場合に、第2貯留槽用導出経路を流れる処理液を第2貯留槽用保温経路に導くように第2貯留槽用切替手段を制御し、第2の状態において、温度計測手段により計測された処理液の温度が所定温度よりも高い場合に、第1貯留槽用導出経路を流れる処理液を第1貯留槽用冷却経路に導くように第1貯留槽用切替手段を制御し、温度計測手段により計測された処理液の温度が所定温度以下の場合に、第1貯留槽用導出経路を流れる処理液を第1貯留槽用保温経路に導くように第1貯留槽用切替手段を制御してもよい。
【0021】
この場合、第1貯留槽用冷却経路および第2貯留槽用冷却経路に共通の冷却手段が用いられるとともに、共通の温度計測手段によって第1貯留槽および第2貯留槽から導かれる処理液の温度が計測される。それにより、構成が簡略化されるとともに部品点数が削減される。その結果、コストをさらに低減することができる。
【0022】
また、第1の状態において、第2貯留槽内の処理液が所定温度まで冷却された場合に第2貯留槽用保温経路に導かれるため、第2貯留槽用保温経路を流れる処理液から第1貯留槽内の処理液へ熱が与えられることが防止される。したがって、第1貯留槽内の処理液の温度が不安定になることが防止される。
【0023】
同様に、第2の状態において、第1貯留槽内の処理液が所定温度まで冷却された場合に第1貯留槽用保温経路に導かれるため、第1貯留槽用保温経路を流れる処理液から第2貯留槽内の処理液へ熱が与えられることが防止される。したがって、第2貯留槽内の処理液の温度が不安定になることが防止される。
【0024】
(5)基板処理装置は、第1貯留槽に貯留された処理液を基板に導く第1貯留槽用処理経路と、第1貯留槽に貯留された処理液を第1貯留槽用導出経路および第1貯留槽用処理経路の一方に選択的に導く第1貯留槽用処理切替手段と、第2貯留槽に貯留された処理液を基板に導く第2貯留槽用処理経路と、第2貯留槽に貯留された処理液を第2貯留槽用導出経路および第2貯留槽用処理経路の一方に選択的に導く第2貯留槽用処理切替手段とをさらに備え、制御部は、第1貯留槽用処理切替手段および第2貯留槽用処理切替手段を制御することによって第1の状態と第2の状態とを切り替えてもよい。
【0025】
この場合、第1貯留槽内の処理液が第1貯留槽用処理経路に導かれるとともに第2貯留槽内の処理液が第2貯留槽用導出経路に導かれることにより基板処理装置が第1の状態となる。また、第2貯留槽内の処理液が第2貯留槽用処理経路に導かれるとともに第1貯留槽内の処理液が第1貯留槽用導出経路に導かれることにより基板処理装置が第2の状態となる。したがって、第1の状態と第2の状態とを確実に切り替えることができる。
【0026】
(6)基板処理装置は、第1貯留槽における処理液の貯留量が第1の値以下になったことを検出する第1貯留槽用検出手段と、第2貯留槽における処理液の貯留量が第2の値以下になったことを検出する第2貯留槽用検出手段とをさらに備え、制御部は、第1貯留槽用検出手段の検出に応答して第1の状態を第2の状態に切り替え、第2貯留槽用検出手段の検出に応答して第2の状態を第1の状態に切り替えるように、第1貯留槽用処理切替手段および第2貯留槽用処理切替手段を制御してもよい。
【0027】
この場合、第1貯留槽内の処理液の残量が少なくなったときに自動的に第1貯留槽に代えて第2貯留槽内の処理液を基板に導くことができ、第2貯留槽内の処理液の残量が少なくなったときに自動的に第2貯留槽に代えて第1貯留槽内の処理液を基板に導くことができる。それにより、処理液の補充時におけるダウンタイムの発生を確実に防止することができるとともに、適切なタイミングで第1貯留槽および第2貯留槽に処理液を補充することができる。
【0028】
(7)基板処理装置は、第1貯留槽用検出手段の検出に応答して第1貯留槽内の処理液を排出する第1貯留槽用排出手段と、第1貯留槽内の処理液の排出後に第1貯留槽に処理液を供給する第1貯留槽用供給手段と、第2貯留量検出手段の検出に応答して第2貯留槽内の処理液を排出する第2貯留槽用排出手段と、第2貯留槽内の処理液の排出後に第2貯留槽に処理液を供給する第2貯留槽用供給手段とをさらに備えてもよい。
【0029】
この場合、第1貯留槽内の処理液の残量が少なくなったときに、自動的に第1貯留槽内に残留する処理液を一旦排出し、その後、新たに第1貯留槽に処理液を供給することができる。同様に、第2貯留槽内の処理液の残量が少なくなったときに、自動的に第2貯留槽内に残留する処理液を一旦排出し、その後、新たに第2貯留槽に処理液を供給することができる。それにより、処理液の特性を劣化させることなく効率良く処理液を第1貯留槽および第2貯留槽に補充することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、精密な温調機器を用いることなく簡単な構成で貯留槽内の処理液の温度を所定温度に調整することができる。したがって、処理液の温度を調整するためのコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態に係る基板処理装置について図面を参照しながら説明する。
【0032】
以下の説明において、基板とは、半導体ウェハ、液晶表示装置用ガラス基板、PDP(プラズマディスプレイパネル)用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等をいう。
【0033】
(1)基板処理装置の構成
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す平面図である。図1に示すように、基板処理装置100は、互いに隣接するインデクサIDおよび処理部PRを有する。インデクサIDにおいては、処理部PRの一端に隣接するように、水平方向の第1の軸Saに沿って延びる基板搬送路190が形成されている。基板搬送路190の側辺に沿って、キャリア載置部1Sが設けられている。キャリア載置部1Sには、複数の基板Wを収納する4つのキャリア1が載置される。
【0034】
基板搬送路190内には、4つのキャリア1と処理部PRとの間で基板Wを搬送するインデクサロボットIRが設けられている。インデクサロボットIRは、基板搬送路190内で第1の軸Saに沿って移動可能に構成されている。
【0035】
インデクサIDの一部には、制御部4が配置されている。制御部4は、CPU(中央演算処理装置)を含むコンピュータ等からなり、基板処理装置100の各構成要素を制御する。
【0036】
処理部PRの中央部には、基板搬送ロボットCRが設けられている。基板搬送ロボットCRを取り囲むように洗浄処理ユニット5a〜5hおよび受け渡し部3が設けられている。洗浄処理ユニット5a〜5dは洗浄処理ユニット5e〜5h上に積層されており、洗浄処理ユニット5a,5b,5e,5fと洗浄処理ユニット5d,5c,5h,5gとは基板搬送ロボットCRを挟んでそれぞれ対向している。
【0037】
処理部PRの四隅には、流体ボックス部2a〜2dが設けられている。流体ボックス部2a〜2dの各々は、洗浄処理ユニット5a〜5hへの処理液の供給および洗浄処理ユニット5a〜5hからの処理液の廃棄等に関する配管、継ぎ手、バルブ、流量計、レギュレータ、ポンプ、温度調整器等の流体関連機器を収納する。また、処理部PRに隣接するように、タンク収容部TRが設けられている。タンク収容部TRには、処理液を貯留する処理液タンクが収容されている。処理液タンクの詳細については後述する。
【0038】
洗浄処理ユニット5a〜5hは、流体ボックス部2a〜2dから供給される処理液を用いて基板Wの処理を行う。本実施の形態では、過酸化水素水、フッ酸、硫酸および純水を混合して生成されるHSM(フッ酸、過酸化水素、および硫酸の混合水溶液)を処理液として用いる。
【0039】
受け渡し部3は、上記第1の軸Saに直交する水平方向の第2の軸Sbに沿って延びるように配置されている。受け渡し部3は、搬送レール3aおよびシャトル搬送機構3bを含む。搬送レール3aは、第2の軸Sbに沿って延びている。シャトル搬送機構3bは、基板Wを保持しつつ搬送レール3a上を往復移動し、インデクサロボットIRと基板搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。
【0040】
このような構成において、インデクサロボットIRは、キャリア1から処理前の基板Wを取り出してシャトル搬送機構3bに渡す。また、処理後の基板Wをシャトル搬送機構3bから受け取ってキャリア1に戻す。
【0041】
シャトル搬送機構3bは、インデクサロボットIRから受け取った処理前の基板Wを基板搬送ロボットCRに渡す。また、処理後の基板Wを基板搬送ロボットCRから受け取ってインデクサロボットIRに渡す。
【0042】
基板搬送ロボットCRは、シャトル搬送機構3bから受け取った基板Wを処理部5a〜5hの1つに搬入する。また、処理後の基板Wを処理部5a〜5hの1つから搬出してシャトル搬送機構3bに渡す。
【0043】
(2)基板処理装置の配管系統
次に、基板処理装置100の配管系統について説明する。図2は、基板処理装置100の配管系統を示す模式図である。
【0044】
図2に示すように、基板処理装置100は、処理液タンクTA,TBを備える。処理液タンクTA,TBは、図1のタンク収容部TRに収容されている。
【0045】
処理液タンクTAには、過酸化水素水が供給管51を通して供給され、フッ酸が供給管52を通して供給され、硫酸が供給管53を通して供給され、純水が供給管54を通して供給される。処理液タンクTA内で過酸化水素水、フッ酸、硫酸および純水が混合され、処理液としてHSMが生成される。生成された処理液は処理液タンクTAに貯留される。供給管51,52,53,54には、バルブV31,V32,V33,V34がそれぞれ介挿されている。
【0046】
また、処理液タンクTAには、貯留量センサSE1a,SE1bが設けられている。貯留量センサSE1aは、処理液タンクTA内の処理液の貯留量が予め定められた上限値以上であることを検出する。貯留量センサSE1bは、処理液タンクTA内の処理液の貯留量が予め定められた下限値以下であることを検出する。
【0047】
処理液タンクTBには、過酸化水素水が供給管55を通して供給され、フッ酸が供給管56を通して供給され、硫酸が供給管57を通して供給され、純水が供給管58を通して供給される。処理液タンクTB内で過酸化水素水、フッ酸、硫酸および純水が混合され、処理液としてHSMが生成される。生成された処理液は処理液タンクTBに貯留される。供給管55,56,57,58には、バルブV35,V36,V37,V38がそれぞれ介挿されている。
【0048】
また、処理液タンクTBには、貯留量センサSE2a,SE2bが設けられている。貯留量センサSE2aは、処理液タンクTB内の処理液の貯留量が上限値以上であることを検出する。貯留量センサSE2bは、処理液タンクTB内の処理液の貯留量が下限値以下であることを検出する。以下の説明において、過酸化水素水、フッ酸、硫酸および純水を原液と呼ぶ。
【0049】
処理液タンクTA内には、配管11の一端が延びている。処理液タンクTB内には、配管12の一端が延びている。配管11,12の他端は、配管13の一端に接続されている。配管11にはバルブV1が介挿され、配管12にはバルブV2が介挿されている。
【0050】
配管13には、下流に向かって順にポンプP1および熱交換器S1が介挿されている。熱交換器S1は、例えばペルチェ素子を含み、配管13を通る処理液の温度を調整する。熱交換器S1には、配管31,32が接続されている。配管31を通して熱交換器S1に冷却媒体(例えば純水)が供給されることにより、熱交換器S1の温度の上昇が抑制される。使用された冷却媒体は、配管32を通して後述の簡易式熱交換器S2に導かれる。
【0051】
配管13の他端は、配管14,15,16に分岐している。配管14は洗浄処理ユニット5a〜5hに延びている。配管15,16は、処理液タンクTA,TBにそれぞれ延びている。配管14にはバルブV3が介挿され、配管15にはバルブV4が介挿され、配管16にはバルブV5が介挿されている。
【0052】
処理液タンクTAの底部には、配管17の一端が接続されている。処理液タンクTBの底部には、配管18の一端が接続されている。配管17,18の他端は、配管19の一端に接続されている。配管17にはバルブV6が介挿され、配管18にはバルブV7が介挿されている。配管19には、ポンプP2が介挿されている。配管19の他端は、配管21,22,23に分岐している。
【0053】
配管21には、バルブV8が介挿されている。バルブV8の下流における配管21の部分は、処理液タンクTA内を通過して処理液タンクTBに延びている。配管22には、バルブV9が介挿されている。バルブV9の下流における配管22の部分は、処理液タンクTB内を通過して処理液タンクTAに延びている。
【0054】
配管23には、下流に向かって順にバルブV10および簡易式熱交換器S2が介挿されている。簡易式熱交換器S2には、上記の熱交換器S1から延びる配管32および配管33が接続されている。
【0055】
熱交換器S1において使用された冷却媒体は、配管32を通して簡易式熱交換器S2に導かれる。簡易式熱交換器S2は、その冷却媒体を用いて配管23を通る処理液を冷却する。簡易式熱交換器S2において使用された冷却媒体は、配管33を通して排出される。簡易式熱交換器S2の具体例については後述する。
【0056】
簡易式熱交換器S2の下流における配管23の部分には、液温センサSE3が接続されている。液温センサSE3は、簡易式熱交換器S2によって冷却された処理液の温度を計測する。
【0057】
配管23の下流端は、配管24,25に分岐している。配管24は処理液タンクTAに延び、配管25は処理液タンクTBに延びている。配管24にはバルブV11が介挿され、配管25にはバルブV12が介挿されている。
【0058】
処理液タンクTAの底部には排出管41が接続され、処理液タンクTBの底部には排出管42が接続されている。排出管41にはバルブV13が介挿され、排出管42にはバルブV14が介挿されている。排出管41,42を通して、処理液タンクTA,TB内の処理液がそれぞれ排出される。
【0059】
(3)簡易式熱交換器の具体例
次に、簡易式熱交換器S2の具体的な構成について説明する。図3は、簡易式熱交換器S2の具体的な構成の一例を示す断面図である。
【0060】
図3に示す簡易式熱交換器S2は、配管23の一部分を取り囲むように設けられている。簡易式熱交換器S2の内部には、配管23の外周面に沿って冷却媒体流路F1が形成されている。冷却媒体流路F1の一端から外部に貫通するように接続孔F2が形成され、冷却媒体流路F1の他端から外部に貫通するように接続孔F3が形成されている。接続孔F1に配管32が接続され、接続孔F2に配管33が接続される。
【0061】
上記の熱交換器S1(図2)で使用された冷却媒体が、配管32から冷却媒体流路F1に流入する。その冷却媒体によって配管23が冷却される。それにより、配管23内を流れる処理液の温度が低下する。
【0062】
(4)基板処理装置100の制御系
図4は、基板処理装置100の制御系の構成を示すブロック図である。図4に示すように、貯留量センサSE1a,SE1bは、処理液タンクTA(図2)内における処理液の貯留量が上限値であることを示す検出信号および下限値であることを示す検出信号を制御部4に与える。同様に、貯留量センサSE2a,SE2bは、処理液タンクTB内における処理液の貯留量が上限値であることを示す検出信号および下限値であることを示す検出信号を制御部4に与える。
【0063】
液温センサSEは、簡易式熱交換器S2(図2)により冷却された処理液の温度の計測値を計測信号として制御部4に与える。これらの検出信号および計測信号に基づいて、制御部4がバルブV1〜V14,V31〜V38の開閉を制御する。
【0064】
(5)バルブの切り替え
次に、制御部4による各バルブの切り替え動作について説明する。図5は、制御部4によるバルブ制御処理のフローチャートである。図6〜図9は、処理液の流れを模式的に示す図である。
【0065】
本例では、処理液タンクTAに処理液が貯留されており、処理液タンクTBに処理液が貯留されていない状態を初期状態とする。また、図6〜図9において、供給管RLは供給管51〜54(図2)に対応し、供給管RRは供給管55〜58(図2)に対応する。また、バルブVLはバルブV31〜V34(図2)に対応し、バルブVRはバルブV35〜V38(図2)に対応する。また、黒丸はバルブが閉じた状態を示し、白丸はバルブが開いた状態を示す。
【0066】
まず、制御部4は、バルブV1〜V14,VL,VRを図6(a)に示す第1状態に設定する(図5のステップS1)。
【0067】
図6(a)に示すように、第1状態では、バルブV1,V4,VRが開かれ、それ以外のバルブが閉じられる。この場合、処理液タンクTA内の処理液が、ポンプP1の動作により配管11,13を通して熱交換器S1に導かれる。
【0068】
熱交換器S1に導かれた処理液は、基板Wの処理に最適な温度T1に調整される。本実施の形態では、温度T1が、環境温度よりも高い値(例えば25〜30℃)に設定される。熱交換器S1により温調された処理液は、配管15を通して処理液タンクTAに戻される。これにより、処理液タンクTA内の処理液が、温度T1に維持される。以下、処理液タンクTAおよび配管13,14,15により形成される処理液の循環経路を第1の循環経路と呼ぶ。
【0069】
一方、処理液タンクTB内に、供給管RR(配管35〜38)を通して原液(過酸化水素水、フッ酸、硫酸および純水)が供給される。これにより、処理液タンクTB内において処理液(HSM)が生成される。生成時における処理液の温度は、例えば40℃〜50℃である。
【0070】
続いて、制御部4は、貯留量センサSE2a(図2)からの検出信号に基づいて、処理液タンクTB内の処理液の貯留量が上限値以上であるか否かを判定する(図5のステップS2)。
【0071】
処理液タンクTB内の処理液の貯留量が上限値よりも少ない場合、制御部4は、ステップS2の処理を繰り返す。処理液タンクTB内の処理液の貯留量が上限値以上である場合、制御部4は、バルブV1〜V14,VL,VRを図6(b)に示す第2状態に設定する(図5のステップS3)。
【0072】
図6(b)に示すように、第2状態では、バルブV1,V4,V7,V10,V12が開かれ、それ以外のバルブが閉じられる。この場合、処理液タンクTA内の処理液は、上記第1状態と同様に、第1の循環経路を循環する。
【0073】
処理液タンクTB内の処理液は、ポンプP2の動作により配管18,19,23を通して簡易式熱交換器S2に導かれる。簡易式熱交換器S2により温調(冷却)された処理液は、配管23,25を通して処理液タンクTBに戻される。以下、処理液タンクTBおよび配管18,19,23,25により形成される処理液の循環経路を第2の循環経路と呼ぶ。
【0074】
上記のように、簡易式熱交換器S2は配管23を通る処理液の温度を低下させる。そのため、処理液タンクTB内の処理液が第2の循環経路を循環することにより、処理液タンクTB内の処理液の温度が徐々に低下する。
【0075】
続いて、制御部4は、液温センサSE3(図2)からの制御信号に基づいて、簡易式熱交換器S2によって冷却された処理液の温度が予め定められた規定値N1以下であるか否かを判定する(図5のステップS4)。規定値N1は、上記の温度T1(例えば25〜30℃)と同じかまたは温度T1よりもやや高く設定される。
【0076】
処理液の温度が規定値N1より高い場合、制御部4は、ステップS3の処理を繰り返す。処理液の温度が規定値N1以下である場合、制御部4は、バルブV1〜V14,VL,VRを図7(c)に示す第3状態に設定する(図5のステップS5)。
【0077】
図7(c)に示すように、第3状態では、バルブV1,V4,V7,V8が開かれ、それ以外のバルブが閉じられる。この場合、処理液タンクTA内の処理液は、上記第1状態と同様に、第1の循環経路を循環する。
【0078】
処理液タンクTB内の処理液は、ポンプP2の動作により配管18,19,21を通して処理液タンクTBに戻される。配管21は処理液タンクTA内を通過するので、配管21を流れる処理液は、処理液タンクTA内の処理液によって温調される。上記のように、処理液タンクTA内の処理液は、温度T1に維持されている。したがって、配管21を通して循環される処理液タンクTB内の処理液が、ほぼ温度T1に維持される。以下、処理液タンクTBおよび配管18,19,21により形成される処理液の循環経路を第3の循環経路と呼ぶ。
【0079】
続いて、制御部4は、貯留量センサSE1bからの検出信号に基づいて、処理液タンクTA内の処理液の貯留量が下限値以下であるか否かを判定する(図5のステップS6)。
【0080】
処理液タンクTA内の処理液の貯留量が下限値より多い場合、制御部4は、ステップS6の処理を繰り返す。処理液タンクTA内の処理液の貯留量が下限値以下である場合、制御部4は、バルブV1〜V14,VL,VRを図7(d)に示す第4状態に設定する(図5のステップS7)。
【0081】
図7(d)に示すように、第4状態では、バルブV2,V5,V13が開かれ、それ以外のバルブが閉じられる。この場合、処理液タンクTA内に残留する処理液が排出管41を通して排出される。
【0082】
一方、処理液タンクTB内の処理液が、ポンプP1の動作により配管12,13を通して熱交換器S1に導かれる。熱交換器S1に導かれた処理液は、上記の温度T1に調整される。熱交換器S1により温調された処理液は、配管16を通して処理液タンクTBに戻される。これにより、処理液タンクTB内の処理液が、温度T1に維持される。以下、処理液タンクTBおよび配管12,13,16により形成される処理液の循環経路を第4の循環経路と呼ぶ。
【0083】
続いて、制御部4は、バルブV1〜V14,VL,VRを図8(a)に示す第5状態に設定する(図5のステップS8)。
【0084】
図8(e)に示すように、第5状態では、バルブV2,V5,VLが開かれ、それ以外のバルブが閉じられる。この場合、処理液タンクTB内の処理液は、上記第4状態と同様に、第4の循環経路を循環する。
【0085】
一方、処理液タンクTA内に、供給管RL(配管31〜34)を通して原液(過酸化水素水、フッ酸、硫酸および純水)が供給される。これにより、処理液タンクTA内において処理液(HSM)が生成される。生成時における処理液の温度は、例えば40℃〜50℃である。
【0086】
続いて、制御部4は、貯留量センサSE1a(図2)からの検出信号に基づいて、処理液タンクTA内の処理液の貯留量が上限値以上であるか否かを判定する(図5のステップS9)。
【0087】
処理液タンクTA内の処理液の貯留量が上限値よりも少ない場合、制御部4は、ステップS9の処理を繰り返す。処理液タンクTA内の処理液の貯留量が上限値以上である場合、制御部4は、バルブV1〜V14,VL,VRを図8(f)に示す第6状態に設定する(図5のステップS10)。
【0088】
図8(f)に示すように、第6状態では、バルブV2,V5,V6,V10,V11が開かれ、それ以外のバルブが閉じられる。この場合、処理液タンクTB内の処理液は、上記第4状態と同様に、第4の循環経路を循環する。
【0089】
処理液タンクTA内の処理液は、ポンプP2の動作により配管17,19,23を通して簡易式熱交換器S2に導かれる。簡易式熱交換器S2により温調された処理液は、配管23,25を通して処理液タンクTBに戻される。これにより、処理液タンクTA内の処理液の温度が徐々に低下する。以下、処理液タンクTAおよび配管17,19,23,24により形成される処理液の循環経路を第5の循環経路と呼ぶ。
【0090】
続いて、制御部4は、液温センサSE3(図2)からの制御信号に基づいて、簡易式熱交換器S2によって冷却された処理液の温度が上記の規定値N1以下であるか否かを判定する(図5のステップS11)。
【0091】
処理液の温度が規定値N1より高い場合、制御部4は、ステップS11の処理を繰り返す。処理液の温度が規定値N1以下である場合、制御部4は、バルブV1〜V14,VL,VRを図9(g)に示す第7状態に設定する(図5のステップS12)。
【0092】
図9(g)に示すように、第7状態では、バルブV2,V5,V6,V9が開かれ、それ以外のバルブが閉じられる。この場合、処理液タンクTB内の処理液は、上記第4状態と同様に、第4の循環経路を循環する。
【0093】
処理液タンクTA内の処理液は、ポンプP2の動作により配管17,19,22を通して処理液タンクTAに戻される。配管22は処理液タンクTB内を通過するので、配管22を流れる処理液は、処理液タンクTB内の処理液によって温調される。上記のように、処理液タンクTB内の処理液は、温度T1に維持されている。したがって、配管22を通して循環される処理液タンクTA内の処理液が、ほぼ温度T1に維持される。以下、処理液タンクTAおよび配管17,19,22により形成される処理液の循環経路を第6の循環経路と呼ぶ。
【0094】
続いて、制御部4は、貯留量センサSE2bからの検出信号に基づいて、処理液タンクTB内の処理液の貯留量が下限値以下であるか否かを判定する(図5のステップS13)。
【0095】
処理液タンクTB内の処理液の貯留量が下限値より多い場合、制御部4は、ステップS13の処理を繰り返す。処理液タンクTB内の処理液の貯留量が下限値以下である場合、制御部4は、バルブV1〜V14,VL,VRを図9(h)に示す第8状態に設定する(図5のステップS14)。
【0096】
図9(h)に示すように、第8状態では、バルブV1,V4,V14が開かれ、それ以外のバルブが閉じられる。この場合、処理液タンクTB内に残留する処理液が排出管42を通して排出される。一方、処理液タンクTA内の処理液が、上記の第1の循環経路を循環する。
【0097】
その後、制御部4は、ステップS1〜S14までの処理を繰り返す。
【0098】
なお、図6(a)に示した第1状態、図6(b)に示した第2状態、図7(c)に示した第3状態および図9(h)に示した第8状態においては、洗浄処理ユニット5a〜5hでの基板Wの処理状況に応じたタイミングで、バルブV3が開かれるとともにバルブV4が閉じられる。
【0099】
この場合、第1の循環経路を循環する処理液が洗浄処理ユニット5a〜5hに導かれ、基板Wに供給される。処理液タンクTAおよび配管11,13,14により形成される洗浄処理ユニット5a〜5hへの処理液の導出経路を第1の導出経路と呼ぶ。処理液タンクTAの稼動時には、第1の循環経路および第1の導出経路が形成される。
【0100】
一方、図7(d)に示した第4状態、図8(e)に示した第5状態、図8(f)に示した第6状態および図9(g)に示した第7状態においては、洗浄処理ユニット5a〜5hでの基板Wの処理状況に応じたタイミングで、バルブV3が開かれるとともにバルブV5が閉じられる。
【0101】
この場合、第2の循環経路を循環する処理液が洗浄処理ユニット5a〜5hに導かれ、基板Wに供給される。処理液タンクTBおよび配管12,13,14により形成される洗浄処理ユニット5a〜5hへの処理液の導出経路を第2の導出経路と呼ぶ。処理液タンクTBの稼動時には、第4の循環経路および第2の導出経路が形成される。
【0102】
(6)本実施の形態の効果
本実施の形態では、処理液タンクTAの稼動時に処理液タンクTBに処理液が補充され、処理液タンクTBの稼動時に処理液タンクTAに処理液が補充される。それにより、処理液タンクTA,TB内の処理液の補充時にダウンタイムが発生することが防止される。これにより、スループットの低下が防止される。
【0103】
また、本実施の形態では、補充直後の温度が上昇した処理液を簡易式熱交換器S2を通して循環させることによって冷却し、その後、熱交換器S1により温度T1に維持された処理液タンクTB,TA内を通して循環させることによって保温する。このように、精密な温調機器を用いることなく簡単な構成で、稼動していない側の処理液タンク内の処理液の温調を行うことにより、処理液の温調のためのコストを低減することができる。
【0104】
さらに、簡易式熱交換器S2は熱交換器S1で使用された冷却媒体を二次的に用いて処理液を冷却するので、外部からエネルギーを供給することなく、補充直後の処理液を冷却することができる。
【0105】
また、本実施の形態では、処理液タンクTA内の稼動時および処理液タンクTBの稼動時に共通の熱交換器S1により温調された処理液が基板Wに供給される。
【0106】
この場合、熱交換器の機差(特性のばらつき)による温度差が生じないため、処理液タンクTAから基板Wに供給される処理液と処理液タンクTBから基板Wに供給される処理液とを正確に一定の温度に調整することができる。それにより、基板Wの処理精度のばらつきを確実に防止することができる。
【0107】
(7)他の実施の形態
上記実施の形態では、過酸化水素水、フッ酸、硫酸および純水からなるHSMを処理液として用いるが、HSMに代えて、王水、SPM(硫酸過水)、SCー1(アンモニア過水)またはSC−2(塩酸過水)等を処理液として用いてもよい。
【0108】
また、上記実施の形態では、処理液タンクTA内の処理液および処理液タンクTB内の処理液を交互に用いて基板Wの処理を行うが、処理液タンクTA,TBの一方の処理液を用いて基板Wの処理を行ってもよい。その場合、一方の処理液タンクには、簡易式熱交換器S2を通して処理液を循環させるための配管および他方の処理液タンクを通して処理液を循環させるための配管を設けなくてもよい。
【0109】
また、上記実施の形態では、処理液タンクTA,TB内の処理液を共通の簡易式熱交換器S2を用いて冷却するが、処理液タンクTA内の処理液を冷却する簡易式熱交換器S2と処理液タンクTB内の処理液を冷却する簡易式熱交換器S2とを別個に設けてもよい。
【0110】
また、上記実施の形態では、生成直後の処理液を冷却するために、熱交換器S1で使用された冷却媒体を二次的に用いて処理液の冷却を行う簡易式熱交換器S2を用いているが、他の冷却手段を用いて生成直後の処理液を冷却してもよい。
【0111】
(8)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0112】
上記実施の形態では、熱交換器S1が温度調整手段の例であり、処理液タンクTAが第1貯留槽の例であり、配管17,19が第1貯留槽用導出経路の例であり、配管23,24が第1貯留槽用冷却経路の例であり、簡易式熱交換器S2が第1貯留槽用冷却手段および第2貯留槽用冷却手段の例であり、配管22が第1貯留槽用保温経路の例であり、バルブV9,V10が第1貯留槽用切替手段の例である。
【0113】
また、処理液タンクTBが第2貯留槽の例であり、配管18,19が第2貯留槽用導出経路の例であり、配管23,25が第2貯留槽用冷却経路の例であり、配管21が第2貯留槽用保温経路の例であり、バルブV8,V10が第2貯留槽用切替手段の例である。
【0114】
また、液温センサSE3が温度計測手段の例であり、配管19,23が共通経路の例であり、配管11,13,14が第1貯留槽用処理経路の例であり、バルブV1,V6が第1貯留槽用処理切替手段の例であり、配管12,13,14が第2貯留槽用処理経路の例であり、バルブV2,V7が第2貯留槽用処理切替手段の例である。
【0115】
また、貯留量センサSE1bが第1貯留槽用検出手段の例であり、排出管41およびバルブV13が第1貯留槽用排出手段の例であり、供給管51〜54およびバルブV31〜V34が第1貯留槽用供給手段の例であり、貯留量センサSE2bが第2貯留槽用検出手段の例であり、排出管42およびバルブV14が第2貯留槽用排出手段の例であり、供給管55〜58およびバルブV35〜V38が第2貯留槽用供給手段の例である。
【0116】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、種々の基板の処理に有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】基板処理装置の構成を示す平面図である。
【図2】基板処理装置の配管系統を示す模式図である。
【図3】簡易式熱交換器の具体的な構成の一例を示す断面図である。
【図4】基板処理装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】制御部によるバルブ制御処理のフローチャートである。
【図6】処理液の流れを模式的に示す図である。
【図7】処理液の流れを模式的に示す図である。
【図8】処理液の流れを模式的に示す図である。
【図9】処理液の流れを模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0119】
4 制御部
5a〜5h 洗浄処理ユニット
11〜19,21〜25 配管
41,42 排出管
51〜58 供給管
100 基板処理装置
S1 熱交換器
S2 簡易式熱交換器
V11〜V14,V31〜V38 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の温度調整手段によって所定温度に維持されるとともに第1貯留槽に貯留された処理液を用いて基板に処理を行う基板処理装置であって、
前記第1貯留槽とは別に予備の処理液を貯留する第2貯留槽と、
前記第2貯留槽から処理液を導出するための第2貯留槽用導出経路と、
前記第2貯留槽用導出経路の端部に接続され、前記第2貯留槽用導出経路からの処理液を前記第2貯留槽に戻す第2貯留槽用冷却経路と、
前記第2貯留槽用冷却経路の途中部に介装され、前記第2貯留槽用冷却経路を流れる処理液を冷却するための第2貯留槽用冷却手段と、
前記第2貯留槽用導出経路と前記第2貯留槽用冷却経路との接続部に接続され、前記第1貯留槽内を通過するように処理液を導くとともに、前記第1貯留槽内を通過した処理液を第2貯留槽に戻す第2貯留槽用保温経路と、
前記第2貯留槽用導出経路、前記第2貯留槽用冷却経路、および前記第2貯留槽用保温経路の接続部に設けられ、前記第2貯留槽用導出経路を流れる処理液を前記第2貯留槽用冷却経路および前記第2貯留槽用保温経路のいずれか一方に選択的に導く第2貯留槽用切替手段とを備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記第2貯留槽用導出経路または前記第2貯留槽用冷却経路の途中部に介装され、前記第2貯留槽用導出経路または前記第2貯留槽用冷却経路を流れる処理液の温度を計測する温度計測手段と、
前記温度計測手段により計測された処理液の温度に基づいて前記第2貯留槽用切替手段を制御する制御部とをさらに備え、
前記制御部は、前記温度計測手段により計測された処理液の温度が前記所定温度よりも高い場合に、前記第2貯留槽用導出経路を流れる処理液を前記第2貯留槽用冷却経路に導くように前記第2貯留槽用切替手段を制御し、前記温度計測手段により計測された処理液の温度が前記所定温度以下の場合に、前記第2貯留槽用導出経路を流れる処理液を前記第2貯留槽用保温経路に導くように前記第2貯留槽用切替手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1貯留槽から処理液を導出するための第1貯留槽用導出経路と、
前記第1貯留槽用導出経路の端部に接続され、前記第1貯留槽用導出経路からの処理液を前記第1貯留槽に戻す第1貯留槽用冷却経路と、
前記第1貯留槽用冷却経路の途中部に介装され、前記第1貯留槽用冷却経路を流れる処理液を冷却するための第1貯留槽用冷却手段と、
前記第1貯留槽用導出経路と前記第1貯留槽用冷却経路との接続部に接続され、前記第2貯留槽内を通過するように処理液を導くとともに、前記第2貯留槽内を通過した処理液を前記第1貯留槽に戻す第1貯留槽用保温経路と、
前記第1貯留槽用導出経路、前記第1貯留槽用冷却経路、および前記第1貯留槽用保温経路の接続部に設けられ、前記第1貯留槽用導出経路を流れる処理液を前記第1貯留槽用冷却経路および前記第1貯留槽用保温経路のいずれか一方に選択的に導く第1貯留槽用切替手段と、
前記第1貯留槽に貯留された処理液が前記温度調整手段によって所定の温度に維持されるとともに基板に処理に用いられる第1の状態と、前記第2貯留槽に貯留された処理液が前記温度調整手段によって所定の温度に維持されるとともに基板に処理に用いられる第2の状態とを切り替える制御部とをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第2貯留槽用導出経路および前記第2貯留槽用冷却経路のうち少なくとも前記第2貯留槽用冷却経路の一部と前記第1貯留槽用導出経路および前記第1貯留槽用冷却経路のうち少なくとも前記第1貯留槽用冷却経路の一部とは共通経路により構成され、
前記第2貯留槽用冷却手段および前記第1貯留槽用冷却手段は、前記共通経路の途中部に介装された共通の冷却手段により構成され、
前記共通経路の途中部に介装され、前記共通経路を流れる処理液の温度を計測する温度計測手段をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1の状態において、前記温度計測手段により計測された処理液の温度が前記所定温度よりも高い場合に、前記第2貯留槽用導出経路を流れる処理液を前記第2貯留槽用冷却経路に導くように前記第2貯留槽用切替手段を制御し、前記温度計測手段により計測された処理液の温度が前記所定温度以下の場合に、前記第2貯留槽用導出経路を流れる処理液を前記第2貯留槽用保温経路に導くように前記第2貯留槽用切替手段を制御し、
前記第2の状態において、前記温度計測手段により計測された処理液の温度が前記所定温度よりも高い場合に、前記第1貯留槽用導出経路を流れる処理液を前記第1貯留槽用冷却経路に導くように前記第1貯留槽用切替手段を制御し、前記温度計測手段により計測された処理液の温度が前記所定温度以下の場合に、前記第1貯留槽用導出経路を流れる処理液を前記第1貯留槽用保温経路に導くように前記第1貯留槽用切替手段を制御することを特徴とする請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1貯留槽に貯留された処理液を基板に導く第1貯留槽用処理経路と、
前記第1貯留槽に貯留された処理液を前記第1貯留槽用導出経路および前記第1貯留槽用処理経路の一方に選択的に導く第1貯留槽用処理切替手段と、
前記第2貯留槽に貯留された処理液を基板に導く第2貯留槽用処理経路と、
前記第2貯留槽に貯留された処理液を前記第2貯留槽用導出経路および前記第2貯留槽用処理経路の一方に選択的に導く第2貯留槽用処理切替手段とをさらに備え、
前記制御部は、前記第1貯留槽用処理切替手段および前記第2貯留槽用処理切替手段を制御することによって前記第1の状態と前記第2の状態とを切り替えることを特徴とする請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
第1貯留槽における処理液の貯留量が第1の値以下になったことを検出する第1貯留槽用検出手段と、
第2貯留槽における処理液の貯留量が第2の値以下になったことを検出する第2貯留槽用検出手段とをさらに備え、
前記制御部は、前記第1貯留槽用検出手段の検出に応答して前記第1の状態を前記第2の状態に切り替え、前記第2貯留槽用検出手段の検出に応答して前記第2の状態を前記第1の状態に切り替えるように、前記第1貯留槽用処理切替手段および前記第2貯留槽用処理切替手段を制御することを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1貯留槽用検出手段の検出に応答して前記第1貯留槽内の処理液を排出する第1貯留槽用排出手段と、
前記第1貯留槽内の処理液の排出後に前記第1貯留槽に処理液を供給する第1貯留槽用供給手段と、
前記第2貯留量検出手段の検出に応答して前記第2貯留槽内の処理液を排出する第2貯留槽用排出手段と、
前記第2貯留槽内の処理液の排出後に前記第2貯留槽に処理液を供給する第2貯留槽用供給手段とをさらに備えたことを特徴する請求項6記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−54826(P2009−54826A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220657(P2007−220657)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】