説明

基板処理装置

【課題】極めて低い濃度に精度良く調整された薬液を、基板に供給することができる基板処理装置を提供すること。
【解決手段】混合部材13には、集合導入管(低濃度薬液流通管)15と、アンモニア導入管16、過水導入管17、塩酸導入管18および高濃度ふっ酸導入管(高濃度薬液流通管)19が接続されている。集合導入管15は大流量の処理液が流通するラインである。集合導入管15は、低濃度ふっ酸配管33を介して、タンク38と循環路36を構成する循環配管39の途中部に接続されている。循環配管39とタンク38とによって循環路36が構成されている。循環配管39の途中部には、温度調節ユニット41が介装されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理するための基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置の製造工程では、半導体ウエハや液晶表示パネル用ガラス基板などの基板に対して、処理液の能力を利用した各種処理(たとえば、基板からパーティクルや金属汚染物、酸化膜などを除去するための洗浄処理)が行われる。
この処理のための枚葉式の基板処理装置は、たとえば、基板をほぼ水平に保持して回転させるスピンチャックと、基板に処理液を供給するためのノズルと、ノズルに対して薬液を供給するための薬液供給管とを備えている。基板処理時には、スピンチャックにより基板が回転されつつ、その基板の表面にノズルから処理液が供給される。基板の表面に供給された処理液は、基板の回転による遠心力を受けて、その供給位置から基板の周縁に向けて流れる。これにより、基板の表面全域に処理液が広がり、その基板の表面に対する処理が達成される。
【0003】
このような基板処理装置において、薬液の濃度を調整(変更)可能なものが提供されている。この装置では、薬液供給管に、所望の濃度に調節された薬液を生成するためのミキシングバルブが接続されている。ミキシングバルブには、薬液供給源から供給される高濃度の薬液(原液)が流通する高濃度薬液流通管と、工場内の各施設において共通して用いられるDIWラインから供給されるDIW(脱イオン化された純水)が流通するDIW流通管とが接続されている。薬液供給管の途中部には、ミキシングバルブに供給される高濃度の薬液の流量を計測するための流量計と、ミキシングバルブに供給される高濃度の薬液の流量を調節するための流量調節バルブとが介装されている。流量計の計測値に基づいて流量調節バルブの開度が調節されることにより、ミキシングバルブに供給される高濃度の薬液とDIWとの流量比が変更され、これにより、ノズルから吐出される薬液の濃度が所望の値に調整される。
【特許文献1】特開2004−281464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ノズルから吐出される薬液に極めて低い濃度(約0.05wt%以下)が要求される場合には、ミキシングバルブに供給される高濃度の薬液の流量を、流量計によって計測可能な計測基準値を下回るような微少量にする必要がある場合がある。この場合、正確な流量の高濃度の薬液をミキシングバルブに供給することができず、ノズルから吐出される薬液の濃度の精度が悪くなるおそれがある。ノズルから吐出される薬液の濃度の精度が悪いと、基板に対する処理が良好に行えない。
【0005】
そこで、この発明の目的は、極めて低い濃度に精度良く調整された薬液を、基板に供給することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、相対的に高い濃度の薬液が流通する高濃度薬液流通管(19)と、前記薬液と同じ成分からなる相対的に低い濃度の薬液を貯留するタンク(38)と、前記タンクから送出される薬液が流通する低濃度薬液流通管(15,71)と、前記高濃度薬液流通管および前記低濃度薬液流通管が接続され、前記高濃度薬液流通管からの薬液と前記低濃度薬液流通管からの薬液とを混合させて、薬液の濃度を所定濃度に調整するための混合部材(13)と、前記混合部材から流出する薬液を基板に供給するための供給管(14)とを含む、基板処理装置(1,70)である。
【0007】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、タンクに貯留された薬液が、低濃度薬液流通管を介して混合部材に供給される。タンク内に薬液と多量の希釈液(たとえば、DIW)とを供給し、その多量の希釈液で薬液を希釈することにより、極めて低い濃度(たとえば、基板の処理に用いられる可能性がある最低濃度)の薬液を、濃度調整の精度良く作成することができる。そして、タンクには、その極めて低い濃度に精度良く調節された薬液を貯留しておくことが可能である。
【0008】
基板に極めて低い濃度の薬液を供給すべき場合には、タンクから混合部材に供給される薬液をそのまま供給管に供給することにより、極めて低い濃度に調節された薬液を基板に供給することができる。また、タンクに貯留されている薬液の濃度より高い濃度の薬液を基板に供給すべき場合には、高濃度薬液流通管からの相対的に高い濃度の薬液と低濃度薬液流通管からの相対的に低い濃度の薬液とが混合部材内で混合されることにより、所望の濃度に調節された薬液が作成される。そして、その所定濃度の薬液が供給管を介し基板に供給される。
【0009】
よって、極めて低い濃度(最低濃度)に精度良く調整された薬液を基板に供給することができ、また、それより高い所望の濃度に精度良く調整された薬液を基板に供給することができる。その結果、薬液による良好な処理を基板に施すことができる。
請求項2記載の発明は、上流端および下流端が前記タンク(38)に接続され、前記タンクとともに前記薬液の循環路を構成する循環配管(39)と、前記循環配管の途中部に介装されて、前記循環配管を流通する前記薬液を加熱または冷却して、当該薬液の温度を調節するための温度調節ユニット(41)とをさらに含み、前記低濃度薬液流通管は、前記循環配管の途中部に分岐接続されている、請求項1に記載の基板処理装置である。
【0010】
この構成によれば、タンクおよび循環配管によって構成される循環路を、薬液が循環する。この循環路において、薬液は温度調節ユニットにより加熱または冷却されて、その温度が所望の温度に精度良く調節される。そして、循環配管の途中部に、低濃度薬液流通管が分岐接続されている。したがって、循環配管を流通する温度調整された薬液を、低濃度薬液流通管に供給することができ、低濃度薬液流通管から混合部材および供給管を通して基板に供給することができる。また、所望の温度に調節された薬液に(少量の)高濃度の薬液が混合部材内で混合されることにより、所望の濃度および所望の温度に調節された薬液が作成される。これにより、所望の濃度および温度に調節された薬液を、基板に供給することができる。
【0011】
従来のように、工場内のDIWラインからのDIWを混合部材に供給する構成では、DIWラインを流通するDIWの温度を厳しく管理することができないために、工場内の気温によりDIWラインを流通するDIWの液温が変化し、それに伴って基板に供給される薬液の液温も変化する。薬液の活性度はその液温に依存しているので、薬液の液温の変化に伴って、基板の処理レートが変化するおそれがある。
【0012】
これに対し、所定の温度に調節された薬液が混合部材に供給される構成では、前述のように、所望の濃度および濃度に調節された薬液が基板に供給されるので、基板の処理レートを一定に保つことができる。
請求項3記載の発明は、前記混合部材は、相対的に小さい口径の第1接続口(26)と、相対的に大きい口径の第2接続口(21)とを有し、前記高濃度薬液流通管は、前記第1接続口に接続され、前記低濃度薬液流通管は、前記第2接続口に接続されている、請求項1または2に記載の基板処理装置である。
【0013】
この構成によれば、基板に供給される薬液の濃度は、低濃度薬液流通管から相対的に大流量で混合部材に供給される薬液に高濃度薬液流通管から相対的に少量で混合部材に供給される薬液を混入させることにより、精度良く調整することができる。そのため、小口径の第1接続口に高濃度薬液流通管を接続し、大口径の第2接続口に低濃度薬液流通管を接続することにより、高い濃度の薬液と低い濃度の薬液とを、混合部材内でスムーズに混合させることができる。
【0014】
請求項4に記載のように、前記薬液はふっ酸であってもよい。
この場合、タンクに貯留された低い濃度のふっ酸が、低濃度薬液流通管を介して混合部材に供給される。高濃度薬液流通管からの高濃度のふっ酸と低濃度薬液流通管からの低濃度のふっ酸とが混合部材内で混合されることにより、所定濃度に調節されたふっ酸を作成することができる。
【0015】
ふっ酸の処理力は非常に高いので、ふっ酸を用いて基板の表面に形成された酸化膜や、基板の表面に付着したポリマを除去する場合には、基板にダメージを与えないように、そのふっ酸の濃度が精度良く調整されている必要がある。
前述の構成では、所望の濃度に精度良く調整されたふっ酸を基板に供給することができる。これにより、基板にダメージを与えることなく、ふっ酸を用いた処理を基板の表面に施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置1の構成を模式的に示す図である。
この基板処理装置1は、基板の一例である半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wにおけるデバイス形成領域側の表面に対して、薬液による洗浄処理を施すための枚葉型の装置である。
【0017】
基板処理装置1は、ウエハWをほぼ水平に保持して回転させるためのスピンチャック2と、スピンチャック2に保持されたウエハWの表面の中央部にSC1(ammonia-hydrogen peroxide mixture:アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(hydrochloric acid/hydrogen peroxide mixture:塩酸過酸化水素水混合液)およびふっ酸(HF)を選択的に供給するための薬液ノズル3と、スピンチャック2に保持されたウエハWの表面の中央部にDIW(脱イオン化された水)を供給するためのDIWノズル4と、スピンチャック2の周囲を取り囲み、ウエハWから流下または飛散する薬液やDIWを受け止めるためのカップ5とを備えている。
【0018】
スピンチャック2は、モータ6と、このモータ6の回転駆動力によって鉛直軸線まわりに回転される円盤状のスピンベース7と、スピンベース7の周縁部の複数箇所にほぼ等間隔で設けられ、ウエハWをほぼ水平な姿勢で挟持するための複数個の挟持部材8とを備えている。これにより、スピンチャック2は、複数個の挟持部材8によってウエハWを挟持した状態で、モータ6の回転駆動力によってスピンベース7を回転させることにより、そのウエハWを、ほぼ水平な姿勢を保った状態で、スピンベース7とともに鉛直軸線まわりに回転させることができる。
【0019】
なお、スピンチャック2としては、このような構成のものに限らず、たとえば、ウエハWの裏面(非デバイス形成面)を真空吸着することにより、ウエハWを水平な姿勢で保持し、さらにその状態で鉛直な軸線まわりに回転することにより、その保持したウエハWを回転させることができる真空吸着式のバキュームチャックが採用されてもよい。
薬液ノズル3は、スピンチャック2の上方で、吐出口をウエハWの回転中心付近に向けて配置されている。この薬液ノズル3には、後述する薬液供給機構10によって、SC1、SC2およびふっ酸が選択的に付与されるようになっている。
【0020】
DIWノズル4は、スピンチャック2の上方で、吐出口をウエハWの回転中心付近に向けて配置されている。このDIWノズル4には、第1DIW供給管12が接続されており、DIW供給源からのDIWが第1DIW供給管12を通して供給されている。
なお、薬液ノズル3は、スピンチャック2に対して固定的に配置されている必要はなく、たとえば、スピンチャック2の上方において水平面内で揺動可能なアームに取り付けられて、このアームの揺動によりウエハWの表面における薬液の着液位置がスキャンされる、いわゆるスキャンノズルの形態が採用されてもよい。また、DIWノズル4についても、スピンチャック2に対して固定的に配置されている必要はなく、いわゆるスキャンノズルの形態が採用されてもよい。
【0021】
薬液供給機構10は、SC1、SC2および所定濃度のふっ酸を生成するための混合部材13と、混合部材13と薬液ノズル3との間に接続された供給管14とを備えている。混合部材13で生成されたSC1、SC2および所定濃度のふっ酸が、供給管14を介して薬液ノズル3に供給される。混合部材13には、集合導入管(低濃度薬液流通管)15と、アンモニア導入管16、過水導入管17、塩酸導入管18および高濃度ふっ酸導入管(高濃度薬液流通管)19が接続されている。
【0022】
混合部材13は直方体形状でマニホールド状のケーシング20を備えており、そのケーシング20の上流端および下流端は、それぞれ上流端壁(図1に示す下端)および下流端壁(図1に示す上端)によって閉塞されている。ケーシング20の上流端壁には、集合導入管15の下流端が接続される集合接続口(第2接続口)21が開口している。ケーシング20の下流端壁には、供給管14の下流端が接続される供給管接続口22が開口している。集合接続口21および供給管接続口22の口径は、互いにほぼ等しく設定されている。なお、混合部材13のケーシング20は、直方体形状のものに限らない。たとえば、ケーシング20は、円筒形状、あるいは四角筒形状のものであってもよい。
【0023】
ケーシング20の周壁には、アンモニア導入管16の下流端が接続されるアンモニア接続口23、過水導入管17の下流端が接続される過水接続口24、塩酸導入管18の下流端が接続される塩酸接続口25、および高濃度ふっ酸導入管19が接続される高濃度ふっ酸接続口(第1接続口)26が開口している。アンモニア接続口23、過水接続口24、塩酸導入管18および高濃度ふっ酸接続口26の口径は、互いにほぼ等しく設定されている。
【0024】
集合導入管15は大流量の処理液が流通するラインであり、その内径が他の導入管16〜19の内径よりも大径に設定されている。集合導入管15の途中部には、混合部材13側から順に、集合導入管15を開閉するための集合バルブ30と、集合導入管15を流通する処理液の流量を調節するためのコントロールバルブ31とが介装されている。この集合導入管15の上流端には、低濃度ふっ酸配管33、第2DIW供給管34およびオゾン水供給管35が接続されている。
【0025】
低濃度ふっ酸配管33には、次に述べる循環路36を循環する極めて低い濃度(ウエハWの処理に用いられる可能性がある最低濃度。たとえば0.05wt%)のふっ酸が供給される。低濃度ふっ酸配管33の途中部には、低濃度ふっ酸配管33を開閉するための第1ふっ酸バルブ37が介装されている。低濃度ふっ酸配管33の上流端には、ふっ酸が流通する循環配管39が接続されている。循環配管39の上流端および下流端は、最低濃度(0.05wt%)のふっ酸を貯留するためのタンク38に接続されている。このタンク38と循環配管39とによって、循環路36が構成されている。
【0026】
タンク38は、比較的大容量のタンク容量に設定されている。タンク38には、ふっ酸供給源(図示しない)からの高い濃度(たとえば49wt%)のふっ酸(ふっ酸原液)がふっ酸供給管(図示しない)を介して供給されるようになっている。また、DIW供給源(図示しない)からのDIWがDIW供給管(図示しない)を介して供給されるようになっている。タンク38内に高い濃度(49wt%)の少量のふっ酸と多量のDIWとを供給し、その多量のDIWでふっ酸を希釈することにより、最低濃度(0.05wt%)のふっ酸が作成される。
【0027】
ふっ酸供給管の途中部には、流量計および流量調節バルブにより構成されたコントロールバルブ(図示しない)が介装されている。このコントロールバルブの流量計は、その計測可能な計測基準値(下限流量値)がたとえば2.0(mL/sec)に設定されている。
ふっ酸供給管を流通する高い濃度(49wt%)のふっ酸の流量は、たとえば20(mL/sec)という比較的大きな流量であるので、このため、ふっ酸供給管を流通するふっ酸の流量が計測基準値(2.0mL/sec)を上回り、下回ることはない。このため、タンク38に供給される高い濃度(49wt%)のふっ酸の流量は正確である。したがって、その最低濃度に精度良く調節されたふっ酸をタンク38に貯留することができる。
【0028】
循環配管39の途中部には、タンク38側から順に、循環配管39中を流通するふっ酸を加熱して、予め定める所定温度(たとえば、23℃)に温度調節する温度調節ユニット41と、タンク38に貯留されているふっ酸を汲み出すためのポンプ42と、このポンプ42の作用により循環配管39中を流通するふっ酸中に含まれている比較的小さな異物を捕捉して除去するためのフィルタ43と、循環配管39中を流通するふっ酸を、タンク38へと戻すために循環配管39を開閉するための帰還バルブ44とが介装されている。循環配管39のフィルタ43と帰還バルブ44との間に、低濃度ふっ酸配管33の上流端が分岐接続されている。すなわち、集合導入管15は、低濃度ふっ酸配管33を介して、循環配管39の途中部に分岐接続されている。
【0029】
第2DIW供給管34には、DIW供給源からの常温のDIWが供給されている。第2DIW供給管34の途中部には、第2DIW供給管34を開閉するためのDIWバルブ45が介装されている。
オゾン水供給管35には、オゾン水供給源からのオゾン水(O)が供給される。オゾン水供給管35の途中部には、オゾン水供給管35を開閉するためのオゾンバルブ46が介装されている。
【0030】
集合導入管15の途中部には、混合部材13と集合バルブ30との間において、高温(たとえば80℃)に温度調節された温水を供給するための温水供給管47が分岐接続されている。温水供給管47の途中部には、その分岐位置から順に、温水供給管47を開閉するための温水バルブ48と、温水供給管47を流通する温水の流量を調節するためのコントロールバルブ49とが介装されている。
【0031】
一方、アンモニア導入管16には、アンモニア供給源からのアンモニア水(NHOH)が供給される。アンモニア導入管16の途中部には、混合部材13側から順に、アンモニア導入管16を開閉するためのアンモニアバルブ51と、アンモニア導入管16を流通するアンモニア水の流量を調節するためのコントロールバルブ52と、アンモニア導入管16を流通するアンモニア水の流量を計測する流量計53とが介装されている。
【0032】
過水導入管17には、過酸化水素水供給源からの過酸化水素水(H)が供給される。過水導入管17の途中部には、混合部材13側から順に、過水導入管17を開閉するための過水バルブ54と、過水導入管17を流通する過酸化水素水の流量を調節するためのコントロールバルブ55と、過水導入管17を流通する過酸化水素水の流量を計測する流量計56とが介装されている。
【0033】
塩酸導入管18には、塩酸供給源からの塩酸(HCL)が供給される。塩酸導入管18の途中部には、混合部材13側から順に、塩酸導入管18を開閉するための塩酸バルブ57と、塩酸導入管18を流通する塩酸の流量を調節するためのコントロールバルブ58と、塩酸導入管18を流通する塩酸の流量を計測する流量計59とが介装されている。
高濃度ふっ酸導入管19には、ふっ酸供給源からの高い濃度(たとえば49wt%)のふっ酸(ふっ酸原液)が供給される。混合部材13側から順に、高濃度ふっ酸導入管19を開閉するための第2ふっ酸バルブ60と、高濃度ふっ酸導入管19を流通するふっ酸の流量を調節するためのコントロールバルブ61と、高濃度ふっ酸導入管19を流通するふっ酸の流量を計測する流量計62とが介装されている。
【0034】
これら混合部材13、集合バルブ30、第2ふっ酸バルブ60、アンモニアバルブ51、過水バルブ54および塩酸バルブ57によって、ミキシングバルブが構成されている。
各コントロールバルブ31,49,52,55,58,61は、配管15〜19,47を流通する処理液の流量を計測するための流量計31A,49A,52A,55A,58A,61Aと、配管15〜19,47を流通する処理液の流量を調節するための流量調節バルブ31B,49B,52B,55B,58B,61Bとによって構成されている。
【0035】
供給管14の途中部には、攪拌流通管63が介装されている。この攪拌流通管63は、管部材内に、それぞれ液体流通方向を軸にほぼ180度のねじれを加えた長方形板状体からなる複数の撹拌フィンを、液体流通方向に沿う管中心軸まわりの回転角度を90度ずつ交互に異ならせて管軸方向に沿って配置した構成のものであり、たとえば、株式会社ノリタケカンパニーリミテド・アドバンス電気工業株式会社製の商品名「MXシリーズ:インラインミキサー」を用いることができる。なお、この攪拌流通管63は、必ずしも介装されていなくてもよい。
【0036】
装置運転中は、ポンプ42および温度調節ユニット41が常に駆動されており、ふっ酸処理を行わない時(ウエハWの表面へのふっ酸の供給を行わない時)には、帰還バルブ44が開かれるとともに第1ふっ酸バルブ37が閉じられている。これにより、低濃度ふっ酸配管33の分岐接続位置よりも上流側の循環配管39を流通するふっ酸の流通先を、分岐接続位置の下流側の循環配管39とすることができる。これにより、ふっ酸処理を行わないときには、タンク38および循環配管39からなる循環路36をふっ酸が循環し、このふっ酸が低濃度ふっ酸配管33に供給されない。こうしてふっ酸を循環させておくことによって、加熱されて所定の温度(たとえば23℃)に調節されたふっ酸をタンク38に貯留しておくことができる。そして、帰還バルブ44が閉じられるとともに第1ふっ酸バルブ37が開かれることにより、分岐接続位置よりも上流側の循環配管39を流通するふっ酸の流通先を、低濃度ふっ酸配管33とすることができる。
【0037】
これにより、DIWバルブ45、温水バルブ48、オゾンバルブ46および帰還バルブ44を閉じて、集合バルブ30および第1ふっ酸バルブ37を開くことにより、循環配管39を循環している最低濃度(0.05wt%)のふっ酸を、低濃度ふっ酸配管33および集合導入管15を通して混合部材13に供給することができる。この状態で、アンモニアバルブ51、過水バルブ54および塩酸バルブ57を閉じて、第2ふっ酸バルブ60を開くことにより、高濃度ふっ酸導入管19からの高い濃度(49wt%)のふっ酸と集合導入管15からの最低濃度(0.05wt%)のふっ酸とが混合部材13内で混合されることにより、所望の濃度に調節されたふっ酸が作成される。
【0038】
混合部材13で所望の濃度に調節されたふっ酸は、供給管14を流通する途中、攪拌流通管63を通過することにより十分に攪拌される。そして、薬液ノズル3からウエハWの表面に向けて吐出される。このとき、薬液ノズル3からは、混ざり合って間もないふっ酸が吐出される。そのため、ふっ酸成分(薬液成分)の劣化がほとんどないふっ酸を、ウエハWの表面に供給することができる。
【0039】
また、DIWバルブ45、温水バルブ48、オゾンバルブ46、帰還バルブ44、過水バルブ、塩酸バルブおよび第2ふっ酸バルブ60を閉じて、集合バルブ30および第1ふっ酸バルブ37が開くことにより、混合部材13に最低濃度(0.05wt%)のふっ酸のみを供給することができる。混合部材13に供給されたふっ酸は、供給管14を通して薬液ノズル3に与えられ、薬液ノズル3からウエハWの表面に向けて吐出される。
【0040】
一方、温水バルブ48、オゾンバルブ46および第1ふっ酸バルブ37を閉じて、DIWバルブ45、集合バルブ30および帰還バルブ44を開くことにより、第2DIW供給管34からの常温のDIWを集合導入管15を通して混合部材13に供給することができる。この状態で、塩酸バルブ57および第2ふっ酸バルブ60を閉じて、アンモニアバルブ51および過水バルブ54を開くことにより、アンモニア導入管16からのアンモニア水と、過水導入管17からの過酸化水素水とを混合部材13に供給することができ、混合部材13に供給されたアンモニア水、過酸化水素水およびDIWが混ざり合って所定の濃度に調整されたSC1が生成される。混合部材13で生成されたSC1は、薬液ノズル3に向けて供給管14を流通する。アンモニア水、過酸化水素水およびDIWは、供給管14を流通する途中、攪拌流通管63を通過することにより十分に攪拌される。そして、薬液ノズル3からウエハWの表面に向けて吐出される。
【0041】
また、DIW供給管14からの常温のDIWが混合部材13に供給されている状態で、アンモニアバルブ51および第2ふっ酸バルブ60を閉じて、塩酸バルブ57および過水バルブ54を開くことにより、塩酸導入管18からの塩酸と、過水導入管17からの過酸化水素水とを混合部材13に供給することができ、混合部材13に供給された塩酸、過酸化水素水およびDIWが混ざり合って所定の濃度に調整されたSC2が生成される。混合部材13で生成されたSC2は、薬液ノズル3に向けて供給管14を流通する。塩酸、過酸化水素水およびDIWは、供給管14を流通する途中、攪拌流通管63を通過することにより十分に攪拌される。そして、薬液ノズル3からウエハWの表面に向けて吐出される。
【0042】
さらに、温水バルブ48を開くことにより、所定温度(80℃)に温度調節された温水を集合導入管15に流入させることができ、集合導入管15を流通する薬液(ふっ酸、SC1またはSC2)と混ざり合って高温の薬液が生成される。薬液と温水との混合によって、薬液の濃度は一時的に低下するが、対応する薬液の導入管15〜18のコントロールバルブ52,55,58,61の開度が調節されることにより、混合部材13で生成される薬液が予め定める濃度に調節される。なお、集合導入管15に薬液が流通している途中(集合バルブ30が開状態)で温水が供給されてもよいし、集合導入管15の薬液の流通を一旦中断させて(集合バルブ30が閉状態)で温水が供給されてもよい。これにより、薬液ノズル3から吐出される薬液(ふっ酸、SC1またはSC2)を一時的に昇温させることができる。
【0043】
さらにまた、温水バルブ48、DIWバルブ、第1ふっ酸バルブ37、アンモニアバルブ51、過水バルブ54、塩酸バルブ57および第2ふっ酸バルブ60を閉じて、集合バルブ30およびオゾンバルブ46を開くことにより、集合導入管15、混合部材13および供給管14を通して、薬液ノズル3からオゾン水を吐出させることができる。集合導入管15の途中部に介装されたコントロールバルブ31によりオゾン水の流量が調節される。これにより、薬液ノズル3から吐出されるオゾン水の流量が正確である。
【0044】
図2は、基板処理装置1の電気的構成を示すブロック図である。
基板処理装置1は、たとえば、マイクロコンピュータで構成される制御装置65を備えている。
制御装置65には、各流量計53,56,59,62が接続されており、各流量計53,56,59,62から出力された計測値が入力されるようになっている。
【0045】
また、制御装置65には、モータ6、ポンプ42、温度調節ユニット41、集合バルブ30、アンモニアバルブ51、過水バルブ54、塩酸バルブ57、第1ふっ酸バルブ37、第2ふっ酸バルブ60、帰還バルブ44、DIWバルブ45、オゾンバルブ46および温水バルブ48が制御対象として接続されている。
また、制御装置65には、各コントロールバルブ31,49,52,55,58,61が制御対象として接続されている。制御装置65は、各コントロールバルブ31,49,52,55,58,61の流量計31A,49A,52A,55A,58A,61Aの計測流量に基づいて、各導入管15〜19を流通する処理液が設定流量になるように、コントロールバルブ31,49,52,55,58,61の各流量調節バルブ31B,49B,52B,55B,58B,61Bを制御する。
【0046】
図3は、基板処理装置1において行われる処理例を説明するための工程図である。図3に示す処理例では、RCA洗浄法を用いた洗浄処理がウエハWに施されている。この処理例では、後述するステップS3のふっ酸処理に用いられるふっ酸は、その濃度が最低濃度(0.05wt%)に調整されている。
ウエハWの処理に際し、搬送ロボット(図示せず)によって、未処理のウエハWが基板処理装置1に搬入され、その表面を上方に向けた状態で、スピンチャック2に保持される。ウエハWがスピンチャック2に保持された後、モータ6が駆動されて、スピンチャック2(スピンベース7)が所定の液処理回転速度で回転される。
【0047】
その後、集合バルブ30、DIWバルブ45、アンモニアバルブ51および過水バルブ54が開かれて、薬液ノズル3からウエハWの表面の中央部に向けてSC1が吐出される(S1:SC1処理)。薬液ノズル3から吐出されたSC1は、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの表面を周縁に向けて流れ、ウエハWの表面全域に行き渡る。SC1の化学的能力により、ウエハWの表面に付着しているパーティクルなどの異物を除去することができる。
【0048】
SC1処理の開始から所定時間が経過すると、集合バルブ30、DIWバルブ45、アンモニアバルブ51および過水バルブ54が閉じられて、SC1の供給が停止される。その後、DIWノズル4からウエハWの表面の中央部に向けて常温(たとえば25℃)のDIWが吐出される(S2:リンス処理)。ウエハWの表面に供給されたDIWは、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの表面を中央部から周縁に向けて流れ、ウエハWの表面に付着しているSC1がDIWによって洗い流される。
【0049】
ステップS2のリンス処理の開始から所定時間が経過すると、DIWノズル4からのウエハWの表面へのDIWの供給が停止される。その後、帰還バルブ44を閉じて、集合バルブ30、第1ふっ酸バルブ37および第2ふっ酸バルブ60を開くことにより、薬液ノズル3から最低濃度(0.05wt%)および所定温度(たとえば23℃)に調節されたふっ酸が吐出される(S3:ふっ酸処理)。薬液ノズル3から吐出されたふっ酸は、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの表面を周縁に向けて流れ、ウエハWの表面全域に行き渡る。ふっ酸の化学的能力により、ウエハWの表面に形成されている酸化膜などの異物を除去することができる。薬液ノズル3からウエハWの表面に吐出されるふっ酸の濃度が、最低濃度(0.05wt%)に精度良く調節されているので、ウエハWにダメージを与えることなく、ウエハWの表面に形成された酸化膜だけを除去することができる。
【0050】
ふっ酸処理の開始から所定時間が経過すると、集合バルブ30、第1ふっ酸バルブ37および第2ふっ酸バルブ60が閉じられて、ふっ酸の供給が停止される。また、帰還バルブ44が開かれて、循環配管39およびタンク38によって構成される循環路36をふっ酸が循環するようになる。その後、DIWノズル4からウエハWの表面の中央部に向けて常温(たとえば25℃)のDIWが吐出される(S4:リンス処理)。ウエハWの表面に供給されたDIWは、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの表面を中央部から周縁に向けて流れ、ウエハWの表面に付着しているふっ酸がDIWによって洗い流される。
【0051】
ステップS4のリンス処理の開始から所定時間が経過すると、DIWノズル4からのウエハWの表面へのDIWの供給が停止される。その後、集合バルブ30、DIWバルブ45、塩酸バルブ57および過水バルブ54が開かれて、アンモニアバルブ51、過水バルブ54およびDIWバルブ45が開かれて、薬液ノズル3からウエハWの表面の中央部に向けてSC2が吐出される(S5:SC2処理)。薬液ノズル3から吐出されたSC2は、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの表面を周縁に向けて流れ、ウエハWの表面全域に行き渡る。SC2の化学的能力により、ウエハWの表面に付着しているウエハWの表面から金属イオンを除去することができる。
【0052】
SC2処理の開始から所定時間が経過すると、アンモニアバルブ51、過水バルブ54およびDIWバルブ45が閉じられて、SC2の供給が停止される。その後、DIWノズル4からウエハWの表面の中央部に向けて常温(たとえば25℃)のDIWが吐出される(S6:リンス処理)。ウエハWの表面に供給されたDIWは、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの表面を中央部から周縁に向けて流れ、ウエハWの表面に付着しているSC2がDIWによって洗い流される。
【0053】
リンス処理の開始から所定時間が経過すると、DIWノズル4からのウエハWの表面へのDIWの供給が停止される。その後、モータ6が駆動されて、ウエハWの回転速度が所定の高回転速度(たとえば、1500〜2500rpm)に上げられて、ウエハWに付着しているDIWを振り切って乾燥されるスピンドライ処理が行われる(ステップS7)。このスピンドライ処理によって、ウエハWに付着しているDIWが除去される。スピンドライ処理が所定時間にわたって行われると、スピンチャック2の回転が停止される。その後、基板搬送ロボットによって処理済のウエハWが搬出される。
【0054】
図3に示す処理例では、ステップS3のふっ酸処理に最低濃度(0.05wt%)のふっ酸を用いる場合を例に挙げて説明し、この場合には、低濃度ふっ酸配管33からのふっ酸を、そのままウエハWの表面に供給させた。しかしながら、たとえば最低濃度(0.05wt%)のふっ酸の10倍の濃度(0.5wt%)のふっ酸をステップS3のふっ酸処理に用いる場合には、高濃度ふっ酸導入管19からの高い濃度(49wt%)のふっ酸と、低濃度ふっ酸配管33からの最低濃度(0.05wt%)のふっ酸とが混合部材13内で所定の混合比(たとえば1:100)で混合されて、所望の濃度(0.5wt%)に調節されたふっ酸が作成され、このふっ酸が薬液ノズル3からウエハWの表面に向けて吐出される。
【0055】
この場合、ウエハWに供給されるふっ酸の濃度は、集合導入管15から相対的に大流量で混合部材13に供給されるふっ酸に高濃度ふっ酸導入管19から相対的に少量で混合部材13に供給されるふっ酸を混入させることにより、精度良く調整することができる。そのため、小口径の高濃度ふっ酸接続口26に高濃度ふっ酸導入管19を接続し、大口径の集合接続口21に集合導入管15を接続することにより、高い濃度(49wt%)のふっ酸と最低濃度(0.05wt%)のふっ酸とを、混合部材13内でスムーズに混合させることができる。
【0056】
以上により、この実施形態によれば、タンク38に貯留されたふっ酸が、集合導入管15を介して混合部材13に供給される。タンク38内にふっ酸と多量のDIWとを供給し、その多量のDIWでふっ酸を希釈することにより、最低濃度(0.05wt%)のふっ酸を、濃度調整の精度良く作成することができる。そして、タンク38には、その最低濃度(0.05wt%)に精度良く調節されたふっ酸を貯留しておくことが可能である。
【0057】
ウエハWに最低濃度(0.05wt%)のふっ酸を供給すべき場合には、タンク38から混合部材13に供給されるふっ酸をそのまま供給管14に供給することにより、最低濃度(0.05wt%)に調節されたふっ酸をウエハWに供給することができる。また、タンク38に貯留されているふっ酸の濃度より高い濃度のふっ酸をウエハWに供給すべき場合には、高濃度ふっ酸導入管19からの相対的に高い濃度のふっ酸と集合導入管15からの相対的に低い濃度のふっ酸とが混合部材13内で混合されることにより、所望の濃度に調節されたふっ酸が作成される。そして、その所定濃度のふっ酸が供給管14を介しウエハWに供給される。
【0058】
よって、最低濃度(0.05wt%)に精度良く調整されたふっ酸をウエハWに供給することができ、また、それより高い所望の濃度に精度良く調整されたふっ酸をウエハWに供給することができる。その結果、ふっ酸による良好な処理をウエハWに施すことができる。
また、タンク38および循環配管39によって構成される循環路36を、ふっ酸が循環している。この循環路36において、ふっ酸は温度調節ユニット41により加熱または冷却されて、その温度が所望の温度に精度良く調節される。そして、循環配管39の途中部に、低濃度ふっ酸配管33を介して集合導入管15が分岐接続されている。したがって、循環配管39を流通する温度調節されたふっ酸を、集合導入管15に供給することができ、集合導入管15から混合部材13および供給管14を通してウエハWに供給することができる。また、所望の温度に調節されたふっ酸に(少量の)高い濃度のふっ酸が混合部材13内で混合されることにより、所望の濃度および所望の温度に調節されたふっ酸が作成される。これにより、所望の濃度および温度に調節されたふっ酸を、ウエハWに供給することができる。
【0059】
また、所定の温度に調節されたふっ酸が混合部材13に供給される構成では、前述のように所望の濃度および濃度に調節されたふっ酸がウエハWに供給されるので、ウエハWの処理レートを一定に保つことができる。
図4は、本発明の他の実施形態に係る基板処理装置70の構成を図解的に示す断面図である。
【0060】
この図4の実施形態において、前述の実施形態(図1〜図3に示す実施形態)に示された各部に対応する部分には、図1〜図3と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
この図4に示す基板処理装置70が、前述の実施形態の基板処理装置1と相違するのは、ふっ酸がベースラインである集合導入管15を通して混合部材13に導入されるのでなく、ケーシング20の周壁に接続された低濃度ふっ酸導入管(低濃度薬液流通管)71を介して混合部材13に導入される点である。
【0061】
ケーシング20の周壁には、低濃度ふっ酸導入管71を接続するための低濃度ふっ酸接続口72が開口している。低濃度ふっ酸接続口72は、アンモニア接続口23、過水接続口24、塩酸導入管18および高濃度ふっ酸接続口26と同程度の小口径である。
低濃度ふっ酸導入管71の途中部には、混合部材13側から順に、低濃度ふっ酸導入管71を開閉するための第3ふっ酸バルブ73と、低濃度ふっ酸導入管71を流通する低濃度ふっ酸の流量を調節するためのコントロールバルブ74と、低濃度ふっ酸導入管71を流通する低濃度ふっ酸の流量を計測する流量計75とが介装されている。コントロールバルブ74は、低濃度ふっ酸導入管71を流通する低濃度ふっ酸の流量を計測するための流量計74Aと、低濃度ふっ酸導入管71を流通する低濃度ふっ酸の流量を調節するための流量調節バルブ74Bとによって構成されている。低濃度ふっ酸導入管71の上流端が循環配管39の途中部に分岐接続されている。
【0062】
DIWバルブ45、オゾンバルブ46、温水バルブ48、帰還バルブ44、集合バルブ30、アンモニアバルブ51、過水バルブ54および塩酸バルブ57を閉じて、第3ふっ酸バルブ73を開くことにより、循環配管39を循環している最低濃度(0.05wt%)のふっ酸を、低濃度ふっ酸導入管71を通して混合部材13に供給することができる。この場合、高い濃度のふっ酸にほぼ同流量の低濃度のふっ酸を混入して、これら高い濃度のふっ酸と最低濃度(0.05wt%)のふっ酸とが混合部材13内で混合される。
【0063】
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、薬液ノズル3からふっ酸を吐出させる場合に、集合導入管15に、低濃度ふっ酸配管33からの低濃度ふっ酸だけでなく、DIW供給管14のDIWを同時に供給する構成にすることもできる。
【0064】
ウエハWの表面を洗浄するものを例に挙げたが、ウエハWの裏面を洗浄する構成であってもよいし、ウエハWの表面および裏面の双方を洗浄する構成であってもよい。
なお、図3における処理例において、ステップS3のふっ酸処理と、ステップS1のSC1処理とを入れ替えてもよい。
また、ステップS3のふっ酸処理において、ウエハWの表面に形成された酸化膜を除去するだけでなく、ウエハWの表面に付着したポリマが除去されてもよい。
【0065】
さらに、集合導入管15には、機能水や、超音波が付与されたDIWが付与されていてもよい。
前述の2つの実施形態では、タンク38に貯留された低濃度のふっ酸を混合部材13に供給する構成について説明したが、タンク38に貯留された低濃度の薬液がアンモニア水、過酸化水素水または塩酸であってもよい。また、前述した以外の低濃度の薬液をタンク38に貯留しておく構成であってもよい。
【0066】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1の基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図1の基板処理装置において行われる処理例を説明するための工程図である。
【図4】この発明の他の実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1,70 基板処理装置
13 混合部材
14 供給管
15 集合導入管(低濃度薬液流通管)
19 高濃度ふっ酸導入管(高濃度薬液流通管)
21 集合接続口(第2接続口)
26 高濃度ふっ酸接続口(第1接続口)
38 タンク
39 循環配管
41 温度調節ユニット
71 低濃度ふっ酸導入管(低濃度薬液流通管)
W ウエハ(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に高い濃度の薬液が流通する高濃度薬液流通管と、
前記薬液と同じ成分からなる相対的に低い濃度の薬液を貯留するタンクと、
前記タンクから送出される薬液が流通する低濃度薬液流通管と、
前記高濃度薬液流通管および前記低濃度薬液流通管が接続され、前記高濃度薬液流通管からの薬液と前記低濃度薬液流通管からの薬液とを混合させて、薬液の濃度を所定濃度に調整するための混合部材と、
前記混合部材から流出する薬液を基板に供給するための供給管とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
上流端および下流端が前記タンクに接続され、前記タンクとともに前記薬液の循環路を構成する循環配管と、
前記循環配管の途中部に介装されて、前記循環配管を流通する前記薬液を加熱または冷却して、当該薬液の温度を調節するための温度調節ユニットとをさらに含み、
前記低濃度薬液流通管は、前記循環配管の途中部に分岐接続されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記混合部材は、相対的に小さい口径の第1接続口と、相対的に大きい口径の第2接続口とを有し、
前記高濃度薬液流通管は、前記第1接続口に接続され、
前記低濃度薬液流通管は、前記第2接続口に接続されている、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記薬液は、ふっ酸である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−67636(P2010−67636A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229955(P2008−229955)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】