説明

少なくとも1つの電子ビームによって前駆体材料を少なくとも1つの金属材料に分解することを含む、トランジスタゲートを製造する方法

本発明は、電子ビームに露出された後に少なくとも1つの金属材料に分解されることが可能な前駆体材料(150、250、350、450)からトランジスタゲート(160、260、360、460)を製造するマイクロエレクトロニクス法に関する。本発明は、特に、マルチチャネル、FinFET、懸架型チャネルトランジスタ、またはSONもしくはGAAタイプのトランジスタに適合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路の分野に関し、より詳細にはトランジスタの分野に関し、その目的として、少なくとも1つの電子ビームを使用して、前駆体材料を、ゲート材料を形成するように意図された少なくとも1つの金属材料に分解することを含む、トランジスタゲートを製造するための改善されたマイクロエレクトロニクス法を提供することを有する。本発明は、特に、マルチゲート構造、またはいわゆる「部分包囲」もしくは「包囲」もしくはGAA(ゲートオールアラウンド)ゲートの製造に適合している。
【背景技術】
【0002】
トランジスタ構造は、一般に、例えばいわゆる「シリコンオンインシュレータ」(SOI)タイプの基板上で、半導電構造によってそれぞれ互いに接続される例えば第1の半導電区域と第2の半導電区域との形で、ソース領域とドレイン領域とから形成され、半導電構造は、内部を電流が流れるように意図された1つのチャネルまたは複数のチャネルの役割を担うように意図され、ブロックまたはバーまたは場合によっては複数の分離された半導電バーの形態を有することができる。これらの1つまたは複数の半導電バーは、1つのチャネル、または適切な場合は複数のチャネル内を流れる電流の振幅を制御するために使用されるゲートで覆われる。
【0003】
従来のゲート構造を含む従来の金属酸化物半導体(MOS)デバイスでは、ゲート材料は、チャネル上に堆積され、それにより、このチャネルが形成される半導電ブロックの1面のみを覆う。トランジスタの電気的性質、特に遮断状態での漏れの制御を改善するために、例えば50ナノメートル未満の小さなチャネル長さに関して、より複雑なゲート構造が出現している。
【0004】
例えば、「部分包囲(partially‐surrounding)」と呼ばれるゲートタイプが存在する。
【0005】
本願の説明を通じて、「部分包囲」ゲートとは、ゲートが、別個の平面内に位置される少なくとも2つの領域を含むことを意味する。
【0006】
例えば、「半包囲(semi‐surrounding)」ゲートは、ゲート材料がチャネル上に堆積され、また、チャネルの各側面にも形成されるゲートであってよい。
【0007】
例えば、特許文献1が、そのようなゲートタイプを装備されたいわゆる「FinFET」タイプのトランジスタを提示する。このトランジスタは、2つの半導電ブロック、すなわちソースとドレインとを接続する半導電性の平行管状バーの形態でのチャネルを含む。ゲートは、半導電性の平行管状バーの上に、また、そのバーの側部にも形成され、それにより、従来のMOSトランジスタに比べて大きいチャネル上でのゲートの被覆領域、したがってチャネルの導電に関するより大きい制御を得る。部分包囲ゲートを有する別のタイプのトランジスタデバイスは、非特許文献1に提示されている。
【0008】
基板上の複数の平行、平行管状、および並置バーから形成されたマルチチャネル構造を含む部分包囲ゲートを有するデバイスであって、バーが、半導電ソース領域と半導電ドレイン領域とを接続し、リソグラフィによって確立される距離だけ互いから離隔されるデバイスが、非特許文献2に提示されている。
【0009】
また、「包囲(surrounding)」または「ゲートオールアラウンド」(GAA)タイプと呼ばれるトランジスタゲートも存在する。本願の説明を通じて、「包囲ゲート」とは、チャネル半導電ブロックの一部分の全周にゲート材料が形成され、例えばこのブロックの周りに閉じたリングまたはバンドを作成するゲートを表す。例えば、特許文献2が、そのようなゲートタイプを有するトランジスタを提示する。このトランジスタは、平行管状の半導電バーから形成されるマルチチャネル構造が装備され、これらのバーは、各2つのバーの間に開口が存在するように重畳されて作成される。また、平行管状の半導電バーは、それらの長さの一部分にわたって、バーの間に位置された開口を充填するゲート材料によって包囲または囲繞される。
【0010】
前述されたような半導電チャネル構造上での「部分包囲」または「包囲」ゲートの製造は、実施が難しい。この製造プロセスは、ダマシンタイプのマイクロエレクトロニクス法、またはゲート材料を堆積するための段階と、次いでエッチングによってこの材料を局所除去するための段階とを有する方法を活用する。
【0011】
また、特許文献1に記載されるようなFinFETタイプのデバイスなどに関して、チャネルの役割を担うように意図されたバーの側部でこの材料を除去することを含むときにもゲート材料を除去する問題は生じうる。
【0012】
ダマシンタイプの方法は、しばしば複雑であり、及び/または多くの技術的なステップを必要とする。
【0013】
特に、ダマシンタイプの方法は、研磨またはエッチングによってゲート材料を除去するための段階を必要とする。また、一般に、ダマシンタイプの方法は、ソース領域およびドレイン領域と接触するゲート絶縁区域を形成するための段階を含むという欠点も有する。
【0014】
ゲート材料の堆積およびそれに続くエッチングを実現するために使用される方法に関して、一般に、問題を生じるのはこのエッチング段階であり、ゲートを形成したいチャネル構造が非平坦であるときにはなおさらである。等方性エッチング法、特に化学的な方法を用いて臨界または均一なゲート寸法を得ることは難しい。一方、プラズマを使用するものなど既存の異方性エッチング法は、ゲートの形成がチャネル構造の下でのエッチングを必要とするときに、ゲート材料の望ましくない残留物を残すという欠点を有する。エッチングプラズマは、例えばチャネル構造が、垂直に整列された半導電バーまたは懸架されたバーから形成されるとき、および次いでこれらのバーの下からゲート材料を除去する必要があるときに問題を生じる。
【0015】
したがって、トランジスタゲートを製造するため、特に「部分包囲」または「包囲」タイプのゲートを形成するための、上述された欠点を含まない新規のマイクロエレクトロニクス法を見出すという問題がある。
【特許文献1】米国特許第6413802号
【特許文献2】米国特許出願第2004/0063286A1号
【特許文献3】米国特許出願第2005/0037603A1号
【非特許文献1】A fully depleted lean−channel transistor (DELTA) −A novel Vertical Ultrathin SOI MOSFET, Hisamoto et al., IEEE Electron device letters, Vol.11, No.1 January 1990
【非特許文献2】Nanoscale CMOS Spacer FinFET for the Terabit Era, Choi et al., IEEE, 2002
【非特許文献3】Metal delocalization and surface decoration in direct write nanolithography by electron beam induced deposition, Vidyut Gopal et al. Applied Physics letters Volume 85, No.1, July 2004, 5th
【非特許文献4】Integrated tungsten nanofiber field emission cathodes selectively grown by nanoscale electron beam induced deposition, X.Yang et al., Applied Physics letters 86, 183106 2005
【非特許文献5】Growth and simulation of high aspect ratio nanopillars by secondary electron induced deposition, Journal of Vacuum Science & Technology B: Microelectronics and Nanometer Structures, November 2005, Vol.23, Issue x, p2825−2832
【非特許文献6】Nanoscale CMOS Spacer FinFET for the Terabit Era, Choi et.sl., IEEE Electron device letters, Vol.23, No.1, January 2002
【非特許文献7】A Novel MBC (Multi−Bridge−Channel) MOSFET: Fabrication technologies and characteristics, Kim et al., IEEE transactions on nanotechnology, Vol.2, No.4, December 2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、その目的として、トランジスタを製造するための最適化されたマイクロエレクトロニクス法、特に有機金属、または少なくとも1つの金属元素を含む天然鉱物の化合物、または蒸気の形態であって少なくとも1つの金属元素を含む化合物であってよい前駆体材料を使用してトランジスタゲートを製造するための改善された方法であり、前記前駆体材料が、少なくとも1つの電子ビームおよび/または少なくとも1つの紫外光ビームを使用して、ゲート材料を形成するように意図された少なくとも1つの金属材料に分解されるのに適した方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、1つまたは複数のトランジスタを有するマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法であって、1つまたは複数のトランジスタチャネルの役割を担うように設計された1つまたは複数のバーを含む半導電構造上に、少なくとも1つのトランジスタゲートを製造することを含み、前記ゲートの製造が、少なくとも1つの電子ビームおよび/または少なくとも1つの紫外光ビームを使用して、前駆体材料を、ゲート材料を形成するように意図された少なくとも1つの金属材料に分解することを含む方法を規定する。
【0018】
そのような方法は、特に、均一または実質的に均一な臨界測定値または寸法を有するゲートを形成するために使用されうる。また、そのような方法は、例えば半導電構造の下からの、または異方性エッチングによって到達するのが難しい前記半導電構造に近い区域からの材料の除去を必要とする、複雑な形状のゲートの製造を容易にするためにも使用されうる。
【0019】
そのような方法は、例えば研磨またはエッチングによってゲート材料を除去するための段階を回避するために使用されうる。
【0020】
電子ビームを使用する方法の実施は、局所ゲートが、1つまたは複数のバーの一部分に形成されることを可能にする。
【0021】
第1の態様によれば、本発明は、1つまたは複数のトランジスタを有するマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法であって、1つまたは複数のトランジスタチャネルの役割を担うように設計された1つまたは複数のバーを含む半導電構造上に少なくとも1つのトランジスタゲートを製造することを含み、前記ゲートの製造が、
a)有機金属前駆体材料に基づく少なくとも1つの層を、前記半導電構造の少なくとも一部分を覆って堆積させる段階と、
b)有機金属前駆体材料に基づく層の1つまたは複数の区域を、少なくとも1つの電子ビームおよび/または少なくとも1つの光ビームに露出させる段階と、
c)1つまたは複数のビームに露出された前記区域の位置で、1つまたは複数の金属区域を前記構造上に形成するように有機金属前駆体材料を還元させる段階と
を含む方法を規定する。
【0022】
使用される前記有機金属材料は、感光性がある材料、及び/または電子のビームまたは放出または投射の影響を受けやすい材料であってよい。1つの特定の実装形態によれば、有機金属材料が、
【0023】
【化1】

【0024】
といった化合物または分子に基づいていてよく、ここで、
‐Mは、白金、銅、ロジウム、タングステン、イリジウム、銀、金、タンタル、またはパラジウムといった金属の中から選択されうる金属であり、
‐Aは、酸素、硫黄、アミン基、アミド基、エステル基といった列挙から選択されうる原子または分子であり、
‐Xは、0および1から選択される数であり、
‐Lは、配位子であり、
‐Rは、フッ素化有機基であり、段階c)で形成された金属区域が、金属Mに基づく。
【0025】
第2の態様によれば、本発明は、1つまたは複数のトランジスタを有するマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法であって、1つまたは複数のトランジスタチャネルの役割を担うように設計された1つまたは複数のバーを含む半導電構造上に少なくとも1つのトランジスタゲートを製造することを含み、前記ゲートの製造が、
a)少なくとも1つの金属元素を含み、電子ビームの影響下で少なくとも1つの金属材料に分解されるのに適した天然鉱物の化合物に基づく前駆体材料の少なくとも1つの層を、前記半導電構造の少なくとも一部を覆って堆積させる段階と、
b)前駆体材料の層の1つまたは複数の区域を少なくとも1つの電子ビームに露出させて、前記ビームに露出された前記区域の位置で、前記材料に基づく1つまたは複数の金属区域を半導電構造上に形成させる段階と
を含む方法を規定する。
【0026】
1つの選択肢では、前記化合物がフッ素化化合物であってよい。化合物は、場合によっては、BaF、SrF、MgF、LaF、FeF、CrF、およびAlFといった化合物の1つから選択されうる。
【0027】
前記電子ビームに対する露出後に、本発明の方法は、さらに、
‐前駆体材料の層からの非露出区域の除去
も含むことができる。
【0028】
前記半導電構造が、基板上に堆積され、前記半導電バーの少なくとも2つの間および/または少なくとも1つの半導電バーと基板との間に少なくとも1つのキャビティまたは少なくとも1つの開口または少なくとも1つの空間を含む方法の一実施形態では、前駆体材料の前記堆積が、前記キャビティまたは前記空間または前記開口の少なくとも1つの区域内を前記前駆体材料によって充填するように実現されうる。さらに、前記方法は、前記充填された区域からの前駆体材料の少なくとも部分的な除去も含むことができる。
【0029】
第3の態様によれば、本発明は、1つまたは複数のトランジスタを有するマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法であって、1つまたは複数のトランジスタチャネルの役割を担うように設計された1つまたは複数のバーを含む半導電構造上に少なくとも1つのトランジスタゲートを製造することを含み、前記ゲートの製造が、
a)電子ビームの影響下で少なくとも1つの金属材料に分解されるのに適した前駆体材料の蒸気中で半導電構造を堆積させる段階と、
b)前記半導電構造の1つまたは複数の領域を少なくとも1つの電子ビームに局所露出して、前記露出された半導電構造の前記領域上に、前記金属材料に基づく1つまたは複数の金属区域を形成させる段階と
を含む方法を規定する。
【0030】
前記方法の一実施形態では、前記半導電構造が、基板上に位置する、1つの半導電バーまたは複数の別個の半導電バーを含むことができる。
【0031】
前述の実施形態と組み合わされうる方法の一実施形態では、前記半導電構造が、基板上に位置する少なくとも1つの第1の半導電ブロックと少なくとも1つの第2の半導電ブロックとを含むことができ、1つまたは複数の半導電バーが、第1のブロックと第2のブロックとを接続し、前記半導電バーが、基板の上に懸架され、及び/または基板と接触しない。
【0032】
前述の実施形態と組み合わされうる方法の一実施形態では、前記半導電構造は、基板の主面と非ゼロ角度を成す方向で整列されて、分離された少なくとも2つのバーを含むことができる。
【0033】
前述の実施形態と組み合わされうる方法の一実施形態では、前記半導電構造は、基板の主面と平行な方向で整列されて、分離された2つのバーを含むことができる。
【0034】
したがって、本発明は、特に「部分包囲」ゲートの形成に適用されうる。したがって、1つの選択肢では、形成される前記金属区域の少なくとも1つが、別個の平面内に位置された少なくとも2つの領域を含むことができ、前記領域が、例えば、前記半導電バーの少なくとも1つと非ゼロ角度を成す。
【0035】
したがって、本発明は、特にトランジスタチャネル、または複数の分岐を有するトランジスタチャネル、または複数の異なるトランジスタチャネルの役割を担うように意図された複雑な半導電構造への「包囲」ゲートの形成に適用されうる。ここで、別の選択肢によれば、作成される前記金属区域の少なくとも1つが、前記半導電バーの少なくとも1つの周りに閉じたリングまたはバンドを形成することができる。
【0036】
前記構造の形成後、段階a)の前に、前記方法は、さらに、少なくとも1つの誘電体ゲート層の堆積を含むこともできる。
【0037】
本発明は、単に手引きとして、限定をせずに、添付図面を参照しながら、与えられる実施形態の以下の説明を読めば、より明らかに理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
1つの図から次の図への推移を容易にするために、様々な図において同一、同様、または等価な部分は同じ参照番号を有する。
【0039】
図をより読み取りやすくするために、図中に表される様々な部分は、必ずしも均一の尺度で描かれてはいない。
【0040】
ここで、本発明によるマイクロエレクトロニクス法の一例が、図1A〜1Fを参照して与えられる。
【0041】
この方法は、チャネル構造、または複数の分岐を有するチャネル、またはマルチチャネル構造を形成するように意図された少なくとも1つの半導電構造(105)から実施される。この実施例では、半導電構造(105)は、内部に少なくとも1つのソース領域が作成されるように意図された少なくとも1つの第1の半導電ブロック(110)と、内部に少なくとも1つのドレイン領域が作成されるように意図された少なくとも1つの第2の半導電ブロック(130)とを連結する。第1のブロック(110)と第2のブロック(130)とは、基板(100)上に位置し、基板(100)は、「シリコンオンインシュレータ(SOI)」タイプまたは「SiGeオンインシュレータ(SiGeOI)」タイプなどセミコンダクタオンインシュレータタイプであってよい。例えば、基板は、石英ベース、または例えばシリコンなど半導電材料ベースであってよい第1の機械的な支持層(101)と、第1の層(101)の上に位置する、例えばSiOベースの埋め込み酸化物からなる絶縁層(102)とを含むことができ、絶縁層(102)は、第1のブロック(110)および第2のブロック(130)のための支持層として働く。第1のブロック(110)と第2のブロック(130)とはそれぞれ、1つの半導電層または複数の重畳された半導電層を含み、そのうちの少なくとも1つの半導電層(言及せず)が、絶縁層(102)と接触する。半導電構造(105)は、例えば4つの半導電バー(120a、120b、120c、120d)を有する半導電構造の斜視図を表す図1Aに例示されるように、複数の要素またはロッドまたはワイヤまたは切離された半導電バーの形態であってよい。ブロック(110、130)が、重畳されるトランジスタドレインの複数の領域と、重畳されるトランジスタソースの複数の領域とを形成するようにそれぞれ意図される場合、バー(120a、120b、120c、120d)は、複数のトランジスタチャネルを形成するように意図されてよく、このとき半導電構造が「マルチチャネル」と呼ばれる。バー(120a、120b、120c、120d)は、それらの長さ方向で(ワイヤ(120a、120b、120c、120d)の長さは、図1Aにおける直交座標系
【0042】
【数1】

【0043】
のベクトル
【0044】
【数2】

【0045】
に平行な方向で定義される)、第1のブロック(110)に属する第1の面と、第1のブロック(110)の前記第1の面に向かい合わせて位置された第2のブロック(130)に属する第2の面とに接続する。
【0046】
バー(120a、120b、120c、120d)の長さは、例えば50ナノメートル〜1マイクロメートルの間であることがあり、または例えば形成されるように意図されるゲートの臨界寸法に近い、もしくはその臨界寸法よりも小さいことがあり、または例えば40ナノメートル〜300ナノメートルの間であることがある。バー(120a、120b、120c、120d)は、例えば3〜200ナノメートルの間、または有利には3〜20ナノメートルの間の(直交座標系
【0047】
【数3】

【0048】
のベクトル
【0049】
【数4】

【0050】
に平行な方向で特定される)厚さと、例えば3ナノメートル〜1マイクロメートルの間、または有利には3〜20ナノメートルの間の(直交座標系
【0051】
【数5】

【0052】
のベクトル
【0053】
【数6】

【0054】
に平行な方向で特定される)幅とを有することがある。図1Aに例示される実施例では、バー(120a、120b、120c、120d)は懸架され、基板、特に絶縁層(102)と接触しない。したがって、各バー(120a、120b、120c、120d)の間、および基板(100)とバー(120a、120b、120c、120d)との間に空間が存在する。1つの構成選択肢では、少なくとも1つの第1のバー(120a)と、第1のバーとは別個または別々の少なくとも1つの第2のバー(120b)とが、半導電層(101)または絶縁層(102)の主面と例えば90°の非ゼロ角度を成す方向で整列される。絶縁層(102)の主面に実質的に平行な方向で、第3の半導電バー(120c)および第4の半導電バー(120d)が、それぞれ第1のバー(120a)および第2のバー(120b)と整列される。
【0055】
次いで(図1B参照)、ゲート誘電体層(140)の堆積が、半導電構造(105)上で、特にバー(120a、120b、120c、120d)の周り、および半導電ブロック(110、130)上で実現される。例えば、誘電体層(140)は、SiOまたはHfOなどの酸化物層であってよい。
【0056】
次に、少なくとも1つの金属元素を含む前駆体材料(150)に基づくいわゆる「レジスト」層の堆積を実現する。選択される前駆体材料(150)は、電子ビームに露出された後に少なくとも1つの金属材料に分解されるのに適している。
【0057】
1つの選択肢では、前駆体材料(150)は、少なくとも1つの金属元素と1つまたは複数の他の非金属元素とを含む天然鉱物の化合物であってよい。レジスト材料は、少なくとも1つの金属元素を含むフッ素化化合物であってよく、例えばBaF、SrF、MgF、LaF、FeF、CrF、およびAlFといった化合物の1つから選択されうる。
【0058】
別の選択肢によれば、前駆体レジスト材料(150)は、有機金属材料であってよい。この有機金属材料は、
【0059】
【化2】

【0060】
といった形態であってよく、ここで、
‐Mは、白金、銅、ロジウム、タングステン、イリジウム、銀、金、タンタル、パラジウムといった金属から選択されうる金属であり、
−Aは、酸素、硫黄、アミン基、アミド基、エステル基といった列挙から選択されうる原子または分子であり、
‐Xは、0および1から選択される数であり、
‐Lは、配位子であり、
‐Rは、フッ素化有機基である。
【0061】
1つの特定の実装形態によれば、有機金属材料は、例えば(CPtC12に基づいて生成されてよく、図3に(CPtC12の分子が例示される。(CPtC12のこの分子は、C12ClPdから合成されてよく、C12ClPdの分子は、
【0062】
【化3】

【0063】
といった形態を有することができ、あるいはC12BrPtから合成されてよく、C12BrPtの分子は、
【0064】
【化4】

【0065】
といった形態を有することができる。
【0066】
前駆体材料(150)に基づくレジストの層は、例えば「化学蒸着」(CVD)によって、構造(105)上に、場合によってはブロック(110、130)上に堆積されうる(図1C参照)。堆積される前駆体材料(150)の厚さは、半導電ブロック(110、130)の高さよりも大きいことがあり、例えば10〜100ナノメートルの間であることがある。堆積は、前駆体材料(150)が、ブロック(110、130)を覆い、バー(120a、120b、120c、120d)を封入または包囲するようなものであってよい。1つの選択肢では、前駆体材料(150)が有機金属材料である場合、この材料が、「有機金属化学蒸着」(MOCVD)によって堆積されうる。
【0067】
次いで、前駆体材料(150)に基づくレジストの層から、このレジスト層の一部分を少なくとも1つの電子ビーム(155)に露出することによって、少なくとも1つのゲートパターンが構造(105)の一部分上に作成される。電子ビーム(155)は、特に、半導電構造(105)を貫通するように、尚且つこの構造(105)の下またはバー(120a、120b、120c、120d)の下に位置される前駆体材料(150)の部分に到達するように使用されうる。ビーム(155)の作用を使用して、バー120aと120bとの間、および/またはバー120cと120dとの間、および/またはそれぞれバー120bと基板との間、および/またはバー120dと基板との間に位置される前駆体材料(150)に基づくレジスト層のいくつかの部分が達成されうる。また、ビーム(155)に露出されなかった前駆体材料(150)に基づくレジスト層の部分の除去が容易にされ、例えばプラズマを使用する異方性エッチング、または化学的等方性エッチングを実現する従来の除去方法を用いるよりも精密である。ビーム(155)は、場合によっては、複数の電子ビームの組から得られうる。
【0068】
1つの選択肢では、前駆体材料(150)に基づくレジスト層の露出は、ビーム(155)によって前駆体材料(150)上に直接書込みを行うことによって、マスクを用いずに実行されうる(図1D参照)。
【0069】
変形形態(図示せず)によれば、前駆体材料(150)に基づくレジスト層の電子ビームへの露出は、マスクによって行われてよく、マスクは、例えば、前駆体材料(150)の層内に形成したいゲートパターンを再現する開口を含む。
【0070】
ビーム(155)に露出される前駆体材料(150)に基づくレジスト層の部分は、金属区域に変換されるように意図される。ビーム(155)に露出される前駆体材料(150)に基づくレジスト層の部分は、それぞれバー(120a、120b、120c、120d)の周りに閉じた輪郭を形成することができる。
【0071】
レジスト前駆体材料(150)が、金属元素と1つまたは複数の他の非金属元素とを含む鉱物化合物である場合、電子ビーム(155)の作用は、前駆体材料(150)を分解すること、および前記他の非金属元素の蒸発を引き起こすことを可能にする。電子ビーム(155)への露出後、露出された前駆体材料(150)の層の部分が、金属区域を形成する。例えば、レジスト材料(150)が、例えばBaF、SrF、MgF、LaF、FeF、CrF、およびAlFといった材料の1つから選択される、金属元素を含むフッ素化鉱物化合物である場合、電子ビーム(155)の作用は、フッ素の蒸発、および少なくとも1つの金属材料への前記フッ素化化合物の分解を引き起こすことができる。したがって、いくつかの実施例によれば、ビーム(155)に露出される材料(150)に基づくレジスト層の部分は、BaFベースの前駆体材料に関してBaベースの金属区域を形成すること、またはSrFベースの前駆体材料に関してSrベースの金属区域を形成すること、またはMgFベースの前駆体材料に関してMgベースの金属区域を形成すること、またはLaFベースの前駆体材料に関してLaベースの金属区域を形成すること、またはFeFベースの前駆体材料に関してFeベースの金属区域を形成すること、またはCrFベースの前駆体材料に関してCrベースの金属区域を形成すること、またはAlFベースの前駆体材料に関してAlベースの金属区域を形成することが可能である。
【0072】
前駆体材料(150)が有機金属材料である場合、露出段階後に、ビーム(155)に露出された材料層(150)内の場所に金属区域を形成するように有機金属材料の還元も実現される。この還元は、例えば加熱および冷却の複数の連続する段階を含むことができる。還元は、全てが二窒素などの気体を含む不活性雰囲気内で、例えば最初に加熱、次いで冷却の第1の段階を含むことができる。次いで、全てが二酸素を含む雰囲気内で、例えば空気雰囲気内で、最初に加熱、次いで冷却の第2の段階が実現されうる。次いで、還元は、全てが例えば二水素を含む還元ガスを含む雰囲気内で、最初に加熱、次いで冷却の第3の段階を含むことができる。
【0073】
次いで、レジスト層の現像のための段階を実行し、この段階中、ビーム(155)に露出されなかった前駆体材料(150)に基づくこのレジスト層の部分が除去される。
【0074】
有機金属前駆体材料(150)の場合、この除去は、例えばジクロロメタンを使用する洗浄によって、または昇華によって行われうる。還元後、ビーム(155)に露出された有機金属材料の層の部分が、バー(120a、120b、120c、120d)をそれらの長さの一部分にわたって包囲する金属M(ここでMは、上述された有機金属分子中に存在する金属)に基づくゲートブロック(160)を形成する。前駆体材料(150)が、BaF、SrF、MgF、またはLaFのような金属元素を含むフッ素化化合物など、天然鉱物の化合物である場合、この除去は、例えば水中で溶解することによって行われうる。前駆体材料(150)が、FeF、CrF、AlFなどの化合物である別の場合には、除去は、例えば30%高濃度酸素水の1体積当たり96%硫酸の3体積の混合物から形成される例えばいわゆる「Caro 3:1」タイプの、または発煙硝酸の酸化溶液を使用して行われうる。
【0075】
図2は、(図1Eに示される)ゲート(160)の形成後のマイクロエレクトロニクスデバイスを、平面
【0076】
【数7】

【0077】
での断面図で例示する。ゲート(160)は、ゲート金属の区域が、バー(120a、120b、120c、120d)をそれらの長さの少なくとも一部分にわたって囲繞もしくは包囲する、またはバー(120a、120b、120c、120d)の周りに閉じたリングまたはバンドを形成するように構成される。ゲートまたはゲート側部の臨界寸法(図2のdcを参照。直交座標系
【0078】
【数8】

【0079】
のベクトル
【0080】
【数9】

【0081】
に平行な方向で測定される)は、ゲートが例えば平面
【0082】
【数10】

【0083】
に平行な平面内で、バー120aおよび120cの上に位置されるにせよ、または平面
【0084】
【数11】

【0085】
に平行な平面内で、最初にバー120aおよび120cと第2にバー120bおよび120dとの間に位置されるにせよ、または平面
【0086】
【数12】

【0087】
に平行な平面内で、最初にバー120bおよび120dと第2に基板(100)との間に位置されるにせよ、バー(120a、120b、120c、120d)のどちらの側でも均一または実質的に均一となる限りでは、本発明によって採用されるゲート(160)の形成の方法が「自己整合」と呼ばれうるゲートを得るために使用される(図2参照)。
【0088】
次いで、ゲート(160)と各ブロック(110、130)との間に例えばSiベースの誘電体材料を堆積することによって、ゲート(160)のための絶縁スペーサ(170)を形成することができる。この堆積に続いて、例えば化学機械研磨(CMP)段階を使用して、ブロック(110)およびゲート(160)の上に位置される部分での誘電体材料の除去が行われうる(図1F参照)。
【0089】
内部にチャネル構造が形成されるように意図された少なくとも1つの半導電ブロックを含む半導電構造上に、有機金属前駆体材料(150)を使用する、または少なくとも1つの金属元素と1つまたは複数の他の非金属元素とを含む天然鉱物の化合物から形成される少なくとも1つのトランジスタゲート構造を形成するための本発明によるマイクロエレクトロニクス法は、上に詳述されたもの、特に図1Aを参照して上述された構造(105)と同様の構造上への作成に限定されない。
【0090】
本発明によるマイクロエレクトロニクス法は、チャネル、または複数の分岐を有するチャネル、または複数のチャネルを作成するように意図された任意のタイプの半導電構造に適用されうる。マイクロエレクトロニクス法は、いわゆる部分包囲ゲートの、すなわち別個の平面に属する少なくとも2つの領域を含むゲートの形成に適用されうる。マイクロエレクトロニクス法は、特に「ゲートオールアラウンド」(GAA)と呼ばれる任意のタイプのゲートに適合し、GAAでは、ゲート材料は、内部を電流が流れるように意図された少なくとも1つの半導電バーを囲繞もしくは包囲する、またはその半導電バーの周りにリングを形成する。GAAゲートの作成は、半導電バーの下に位置されるいくつかの区域からの材料の除去を実現しなければならないことがあり、及び/または半導電バーの周りで均一なゲート側部を得るために、望ましくない区域内のゲート材料の精密な除去のための方法を必要とすることがある。そのような除去の精度は、前述されたように、前駆体材料(150)のいくつかの区域の露出の段階と、この前駆体材料(150)の非露出区域の除去の段階とによって可能にされる。
【0091】
同様に、マイクロエレクトロニクス法は、基板上に位置し、1つまたは複数のブロックまたは半導電バーから形成され、例えば前記半導電バーの間および/または前記半導電バーの少なくとも1つと基板との間に、少なくとも1つのキャビティおよび/または少なくとも1つの開口を含み、及び/または少なくとも1つの空間を形成する半導電構造上へのゲートの形成に特に適合する。
【0092】
上述されたゲート(160)の形成の変形形態によれば、ゲート(160)は、電子ビーム(555)によって補助される堆積を使用して作成されうる。電子ビーム(555)は、例えば非特許文献3、または非特許文献4、または非特許文献5で使用されるタイプであってよい。電子ビーム(555)を加速するためのエネルギーは、数百eV〜数十keVの間であってよい。この変形形態に関して、ゲート誘電体層(140)の堆積後、電子ビーム(555)の下で、前駆体(550)が、少なくとも1つの金属元素を含む蒸気の形態で注入される。したがって、構造(105)が、前駆体蒸気(550)中に配置される(図7A参照)。選択される前駆体(550)は、電子ビームに露出された後に少なくとも1つの金属材料に分解されるのに適している。例えば、堆積したいゲート材料がWである場合、前駆体(550)は、周囲温度で注入される蒸気の形態でのWFであってよい。例えば、堆積したいゲート材料がPtである別の場合には、前駆体(550)は、蒸気の形態になるように加熱された(CHCHPtであってよい。電子ビーム(555)は、上に堆積を実現したい構造(105)の部分に向けられる。前駆体(550)は、構造(105)の表面に吸着され、ビーム(555)によって分解されてよく、それにより前記金属元素に基づく堆積物を構造(105)上に形成する。ビーム(555)への前駆体(550)の露出は、電子ビーム(555)によって、絶縁されたデバイス内の場所に、ゲート金属の役割を担うように意図された金属元素を集中させることを可能にする。前記金属元素に基づく堆積物は、それぞれバー(120a、120b、120c、120d)の周りに閉じた輪郭を形成することができる。ゲート(160)は、ゲート金属の区域が、バー(120a、120b、120c、120d)をそれらの長さの少なくとも一部分にわたって囲繞もしくは包囲するように、あるいはバー(120a、120b、120c、120d)の周りに閉じたリングまたはバンドを形成するように構成される(図7B参照)。
【0093】
本発明によるマイクロエレクトロニクス法の別の実装変形形態によれば、図4Aに例示されるようなマイクロエレクトロニクスデバイスから、上述されたような前駆体材料(150)に基づくレジスト層を使用してトランジスタゲートを形成することができる。このマイクロエレクトロニクスデバイスは、例えばSOIタイプなどの基板(200)の上に位置する、ブリッジ形態での半導電構造(205)を含む。構造(205)は、例えば特許文献3に記載される方法を使用して作成されうる。構造(205)は、懸架された半導電バー(220)を含み、このバー(220)は、基板(200)と接触せず、トランジスタチャネルを形成するように意図される。バー(220)の長さは、例えば50ナノメートル〜1マイクロメートルの間、または40ナノメートル〜300ナノメートルの間であることがある。バー(220)は、例えば3〜200ナノメートルの間、または有利には3〜20ナノメートルの間の(図4Aにおいて直交座標系
【0094】
【数13】

【0095】
のベクトル
【0096】
【数14】

【0097】
に平行な方向で特定される)厚さと、例えば、例えば3ナノメートル〜1マイクロメートルの間、または有利には3〜20ナノメートルの間の(直交座標系
【0098】
【数15】

【0099】
のベクトル
【0100】
【数16】

【0101】
に平行な方向で特定される)幅とを有することができる。構造(205)は、それぞれソース領域およびドレイン領域の役割を担うように意図された半導電ブロック(210、230)によって基板に接続される、または取り付けられる。上に構造(205)が位置している基板の上層と共に、構造(205)は、空間(221)または開口(221)またはキャビティ(221)を形成する。
【0102】
誘電体ゲート層(240)の堆積が、前記構造(205)上で実現される。
【0103】
次いで、前記構造(205)上で、投射する電子の影響を受けやすい前駆体材料(150)(図4Bで破線を使用して例示される)に基づくレジスト層の堆積を行う。前駆体材料(150)の堆積は、キャビティ(221)内を少なくとも部分的に充填するように実現される。
【0104】
次いで、前駆体材料(150)に基づくレジスト層、特に、半導電バー(220)の周りにリングを形成する前記前駆体材料(150)の区域を電子ビーム(255)に露出する。したがって、半導電バー(220)の下でキャビティ(221)内に位置される前駆体材料(150)に基づくレジスト層の領域が、電子ビームに露出されうる。
【0105】
前駆体材料(150)が有機金属材料である場合、電子ビームへの露出後、ビームに露出された前駆体材料(150)の部分に金属区域を形成するように有機金属材料の還元を実現することができる。
【0106】
次いで、レジスト層の非露出区域の除去を実現する。この除去は、例えば洗浄によって、または前駆体材料(150)が有機金属である場合には昇華によって実現されうる。前駆体材料(150)が、金属元素を含む天然鉱物の化合物、すなわちBaF、SrF、MgF、またはLaFなどのフッ素化化合物である場合、この除去は、例えば水中で溶解することによって行われうる。前駆体材料(150)が、FeF、CrF、またはAlFなどの化合物である別の場合には、除去は、例えば30%高濃度酸素水の1体積当たり例えば96%硫酸の3体積の混合物から形成されるいわゆる「Caro 3:1」タイプの、または発煙硝酸の酸化溶液を使用して行われうる。空間またはキャビティ(221)内に位置され、ビーム(255)に露出されなかった半導電バー(220)の下に堆積された前駆体材料(150)に基づくレジスト層の部分が除去される。金属区域は、半導電バー(220)の一部分の周りに閉じた輪郭を作成するいわゆる「包囲」タイプの金属ゲート(260)を形成する(図4C参照)。別の作成選択肢によれば、「包囲」金属ゲート(260)は、蒸気の形態での金属前駆体を使用する、電子ビームによる(図7A〜7Cを参照して前述されたタイプの)堆積によって形成されうる。
【0107】
本発明によるマイクロエレクトロニクス法の別の実装変形形態によれば、図5Aに例示されるようなマイクロエレクトロニクスデバイスから、上述されたような前駆体材料(150)を使用して、いわゆる「部分包囲」トランジスタゲートを形成することができる。このマイクロエレクトロニクスデバイスは、複数の半導電バー(320a、320b、320c)を有する半導電構造(305)を含み、これらのバーは、別個であり、例えばSOIタイプの基板(300)上に並置される。構造(305)は、例えば非特許文献6に記載されるような方法を使用して作成されうる。この半導電構造(305)は、ソース領域の役割を担うように意図された第1の半導電ブロック(310)と、ドレイン領域の役割を担うように意図された第2の半導電ブロック(330)とを連結する。
【0108】
前記構造(305)上で、誘電体ゲート材料(340)の層の堆積を実行する。次いで、この層は、バー(320a、320b、320c)の部分上のみに前記誘電体材料(340)を残すようにエッチングされる。
【0109】
次いで、前駆体材料(150)に基づくレジスト層の構造(305)上への堆積を行う。前駆体材料(150)は、バー(320a、320b、320c)の上部、およびバー(320a、320b、320c)の側部を覆うように構造(305)上に堆積されうる。
【0110】
次いで、前駆体材料(150)に基づくレジスト層の区域が、電子ビームに露出される。
【0111】
前駆体材料(150)が有機金属材料である場合、有機金属材料の還元を行う。金属堆積物(360)が、電子ビームに露出された前駆体材料(150)の層内の場所に形成される。次いで、電子ビームに露出されなかった前駆体材料(150)の層の区域を除去する。得られる金属堆積物(360)は、バー(320a、320b、320c)の上部および側部の一部分を覆うゲートを形成する(図5B参照)。
【0112】
上に説明された方法の実施例の変形形態によれば、ゲート(360)は、感光性がある有機金属前駆体材料を使用して形成されうる。この感光性有機金属材料は、紫外光ビームなどの光ビームの影響の下で少なくとも1つの金属材料に分解されることが可能であるように選択される。感光性有機金属材料は、例えば、図3を参照して前述されたものであってよい。この変形形態では、構造(305)上への感光性有機金属材料の堆積を実現し、次いで、紫外光ビームを使用して、感光性有機金属材料の層のいくつかの区域の露光を実現する。次いで、紫外光ビームに露出された前記区域のレベルで前記構造(305)上に1つまたは複数の金属区域を形成するように、有機金属材料の還元を行う。次いで、露出されなかった感光性有機金属材料の層の区域が除去される。
【0113】
本発明によるマイクロエレクトロニクス法の別の実装変形形態は、図6Aに例示されるようなマイクロエレクトロニクスデバイスからの、前駆体材料(150)を使用するトランジスタゲートの形成を含む。このマイクロエレクトロニクスデバイスは、いわゆる「マルチブリッジ」半導電構造(405)を含む。この構造(405)は、非特許文献7に記載されるような方法を使用して作成されうる。「マルチブリッジ」構造(405)は、基板(400)上に堆積され、ソース領域(410)と第2のドレイン領域(430)とを接続する複数の重畳された半導電バー(420a、420b、420c)から形成される。構造(405)は、それぞれバー420aと420bとの間およびバー420bと420cとの間にキャビティまたは開口(421a、421b)を含む。
【0114】
基板(405)上およびキャビティ(421a、421b)内での半導電バー(420a、420b、420c)の酸化などによって、ゲート誘電体(440)を作成する(図6B参照)。
【0115】
次いで、前記構造(405)上およびキャビティ(421a、421b)内で、前駆体材料(150)に基づくレジスト層の堆積を実現する。選択される前駆体材料(150)は、上述されたようなものであってよく、電子ビームへの露出に続いて少なくとも1つの金属材料に分解されることが可能である。次いで、前駆体材料(150)に基づくレジスト層の区域を、作成したいゲートパターンで、電子ビーム(455)に露出する。したがって、キャビティ(421a、421b)内部に位置されるレジスト材料(150)の区域が、ビーム(455)に露出される(図6C参照)。前駆体材料(150)が有機金属材料である場合、材料(150)によって占有され、ビーム(455)に露出された位置に金属区域(460)を形成するように有機金属材料の還元を行う。次いで、ビーム(455)に露出されなかった場所で、材料(150)の非露出区域を除去する。金属区域(460)は、GAAタイプのゲートを形成し、バー(420a、420b、420c)を包囲する。次いで、絶縁スペーサ(470)が、例えば窒化物の堆積によって、または酸化珪素の形成によって作成されうる(図6D参照)。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1A】本発明によるマイクロエレクトロニクスデバイスを作成するための方法の一段階を例示する斜視図である。
【図1B】本発明によるマイクロエレクトロニクスデバイスを作成するための方法の一段階を例示する斜視図である。
【図1C】本発明によるマイクロエレクトロニクスデバイスを作成するための方法の一段階を例示する斜視図である。
【図1D】本発明によるマイクロエレクトロニクスデバイスを作成するための方法の一段階を例示する斜視図である。
【図1E】本発明によるマイクロエレクトロニクスデバイスを作成するための方法の一段階を例示する斜視図である。
【図1F】本発明によるマイクロエレクトロニクスデバイスを作成するための方法の一段階を例示する斜視図である。
【図2】懸架された半導電バーを含む構造上に本発明の方法を使用して形成されたゲートを例示する断面図である。
【図3】本発明の方法を使用するときの、ゲートを作成するために使用される有機金属材料の分子の一例を例示する図である。
【図4A】本発明の方法を使用する、開口を含む半導電構造上へのゲートの作成を例示する斜視図である。
【図4B】本発明の方法を使用する、開口を含む半導電構造上へのゲートの作成を例示する斜視図である。
【図4C】本発明の方法を使用する、開口を含む半導電構造上へのゲートの作成を例示する斜視図である。
【図5A】本発明の方法を使用する、並置された半導電バーを含む構造上へのゲートの作成を例示する斜視図である。
【図5B】本発明の方法を使用する、並置された半導電バーを含む構造上へのゲートの作成を例示する斜視図である。
【図6A】本発明の方法を使用する、キャビティによって互いに離隔された半導電バーを含む構造上へのゲートの作成を例示する斜視図である。
【図6B】本発明の方法を使用する、キャビティによって互いに離隔された半導電バーを含む構造上へのゲートの作成を例示する斜視図である。
【図6C】本発明の方法を使用する、キャビティによって互いに離隔された半導電バーを含む構造上へのゲートの作成を例示する斜視図である。
【図6D】本発明の方法を使用する、キャビティによって互いに離隔された半導電バーを含む構造上へのゲートの作成を例示する斜視図である。
【図7A】本発明によるマイクロエレクトロニクスデバイスを作成するための方法の変形形態の一段階を例示する斜視図である。
【図7B】本発明によるマイクロエレクトロニクスデバイスを作成するための方法の変形形態の一段階を例示する斜視図である。
【符号の説明】
【0117】
100 基板
101 支持層
102 絶縁層
105 半導電構造
110 第1のブロック
120 半導電バー
130 第2のブロック
140 ゲート誘電体層
150 前駆体材料
155 電子ビーム
160 ゲートブロック
170 絶縁スペーサ
200 基板
205 半導電構造
210 半導電ブロック
220 半導電バー
221 空間、開口、キャビティ
230 半導電ブロック
240 誘電体ゲート層
255 電子ビーム
260 金属ゲート
300 基板
305 半導電構造
310 第1の半導電ブロック
320 半導電バー
330 第2の半導電ブロック
340 誘電体ゲート材料
360 金属堆積物、ゲート
400 基板
405 「マルチブリッジ」構造
410 ソース領域
420 半導電バー
421 キャビティ、開口
430 ドレイン領域
440 ゲート誘電体
455 電子ビーム
460 金属区域
470 絶縁スペーサ
550 前駆体
555 電子ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のトランジスタを有するマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法であって、1つまたは複数のトランジスタチャネルの役割を担うように設計された1つまたは複数のバー(120a、120b、120c、120d、220、320a、320b、320c、420a、420b、420c)を含む半導電構造(105、205、305、405)上に少なくとも1つのトランジスタゲート(160、260、360、460)を製造することを含み、前記ゲートの前記製造が、
a)有機金属前駆体材料(150)に基づく少なくとも1つの層を、前記半導電構造(105、205、305、405)の少なくとも一部分を覆って堆積させる段階と、
b)前記有機金属前駆体材料(150)に基づく層の1つまたは複数の区域を、少なくとも1つの電子ビームおよび/または少なくとも1つの光ビーム(155、255、455)に露出させる段階と、
c)前記1つまたは複数のビームに露出された前記区域の位置で、1つまたは複数の金属区域(160、260、360、460)を前記構造上に形成するように前記有機金属前駆体材料(150)を還元させる段階と
を含む方法。
【請求項2】
前記有機金属前駆体材料(150、250、350、450)が、
【化1】

といった化合物または分子に基づき、ここで、
Mが、白金、銅、ロジウム、タングステン、イリジウム、銀、金、タンタル、およびパラジウムといった金属の中から選択されうる金属であり、
Aが、酸素、硫黄、アミン基、アミド基、またはエステル基といった列挙から選択されうる原子または分子であり、
Xが、0および1から選択される数であり、
Lが、配位子であり、
Rが、フッ素化有機基であり、段階c)で形成された前記金属区域が、前記金属Mに基づく請求項1に記載のマイクロエレクトロニクス法。
【請求項3】
1つまたは複数のトランジスタを有するマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法であって、1つまたは複数のトランジスタチャネルの役割を担うように設計された1つまたは複数のバー(120a、120b、120c、120d、220、320a、320b、320c、420a、420b、420c)を含む半導電構造(105、205、305、405)上に少なくとも1つのトランジスタゲート(160、260、360、460)を製造することを含み、前記ゲートの前記製造が、
a)少なくとも1つの金属元素を含み、電子ビームの影響下で少なくとも1つの金属材料に分解されるのに適した天然鉱物の化合物に基づく前駆体材料(150)の少なくとも1つの層を、前記半導電構造の少なくとも一部を覆って堆積させる段階と、
b)前駆体材料(150)の前記層の1つまたは複数の区域を少なくとも1つの電子ビーム(155、255、455)に露出させて、前記1つまたは複数のビームに露出された前記区域の位置で、前記材料に基づく1つまたは複数の金属区域(160、260、360、460)を前記半導電構造(105、205、305、405)上に形成させる段階と
を含む方法。
【請求項4】
前記化合物がフッ素化化合物である請求項3に記載のマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法。
【請求項5】
前記化合物が、BaF、SrF、MgF、LaF、FeF、CrF、およびAlFといった化合物の1つから選択される請求項4に記載のマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法。
【請求項6】
前記電子ビームに対する露出後に、さらに、前駆体材料(150)の前記層の非露出区域の除去も含む請求項1から5のいずれか一項に記載のマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法。
【請求項7】
前記構造が、基板上に堆積され、前記半導電バー(420c、420b、420a)の少なくとも2つの間および/または少なくとも1つの半導電バー(220)と前記基板(200)との間に少なくとも1つのキャビティ(221、421a、421b)または少なくとも1つの開口または少なくとも1つの空間を含み、前記堆積が、前記キャビティ(221、421a、421b)または前記空間または前記開口の少なくとも1つの区域内を前記前駆体材料(150)によって充填するように実現される請求項1から6のいずれか一項に記載のマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法。
【請求項8】
さらに、前記充填された区域内での前記前駆体材料(150)の少なくとも部分的な除去も含む請求項7に記載のマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法。
【請求項9】
1つまたは複数のトランジスタを有するマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法であって、1つまたは複数のトランジスタチャネルの役割を担うように設計された1つまたは複数のバー(120a、120b、120c、120d、220、320a、320b、320c、420a、420b、420c)を含む半導電構造(105、205、305、405)上に少なくとも1つのトランジスタゲート(160、260、360、460)を製造することを含み、前記ゲートの前記製造が、
a)電子ビームの影響下で少なくとも1つの金属材料に分解されるのに適した前駆体材料の蒸気中に前記半導電構造(105、205、305、405)を配置させる段階と、
b)前記半導電構造の1つまたは複数の領域を少なくとも1つの電子ビームに局所露出して、前記ビームへの前記露出された半導電構造の前記領域上に、前記金属材料に基づく1つまたは複数の金属区域(160、260、360、460)を形成させる段階と
を含む方法。
【請求項10】
前記構造(305)が、基板(300)上に位置する、1つの半導電バーまたは複数の別個の半導電バー(320a、320b、320c)を含む請求項1から9のいずれか一項に記載のマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法。
【請求項11】
前記構造(105、205)が、基板上に位置する少なくとも1つの第1の半導電ブロック(110)と少なくとも1つの第2の半導電ブロック(130)とを含み、前記半導電バー(120a、120b、120c、120d、220)の1つまたは複数が、前記第1のブロック(110)と前記第2のブロック(130)とを接続し、前記半導電バーが、前記基板(100、200)の上に懸架され、及び/または前記基板と接触しない請求項1から10のいずれか一項に記載のマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法。
【請求項12】
前記半導電構造(105、405)は、前記基板(100、400)の主面と非ゼロ角度を成す方向で整列されて、分離された少なくとも2つのバー(120a、120c、120d、420a、420b、420c)を含む請求項1から11のいずれか一項に記載のマイクロエレクトロニクスデバイスを製造する方法。
【請求項13】
前記半導電構造は、前記基板(120、220)の主面と平行な方向で整列されて、分離された少なくとも2つのバー(120b、120d、220a、220b、220c)を含む請求項1から12のいずれか一項に記載のマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法。
【請求項14】
前記金属区域(160、260、360、460)の少なくとも1つが、別個の平面内に位置された少なくとも2つの領域を含む請求項1から13のいずれか一項に記載のマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法。
【請求項15】
前記金属区域(160、260、360、460)の少なくとも1つが、前記半導電バーの少なくとも1つの周りに閉じたリングまたはバンドを形成する請求項1から14のいずれか一項に記載のマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法。
【請求項16】
前記構造の形成後、段階a)の前に、少なくとも1つのゲート誘電体層(140、240、340、440)を堆積させる段階を含む請求項1から15のいずれか一項に記載のマイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2009−535831(P2009−535831A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508353(P2009−508353)
【出願日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054314
【国際公開番号】WO2007/128780
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】