形状測定方法
【課題】被測定物の場所によって面の反射状態が異なる場合にも反射光を受光して面の位置が測定できる方法を提供する。
【解決手段】被測定物の形状を測定する形状測定方法にかかわる。投光器から被測定物に光を照射し、被測定物から反射される反射光を受光器が受光するときの光の輝度を推定した受光推定輝度を演算するステップS1の受光輝度推定工程と、被測定物に光を照射し、光が照射された場所を検出するステップS11の照射場所検出工程と、被測定物に光を照射する場所を移動するステップS3の移動工程と、を有し、ステップS11の照射場所検出工程は、受光器が受光する光の輝度に応じた信号を出力し、前記信号を用いて光が照射された場所を検出するステップS5の光検出工程と、受光推定輝度を用いて、受光器が受光する光の輝度を調整するステップS4の受光調整工程と、を有する。
【解決手段】被測定物の形状を測定する形状測定方法にかかわる。投光器から被測定物に光を照射し、被測定物から反射される反射光を受光器が受光するときの光の輝度を推定した受光推定輝度を演算するステップS1の受光輝度推定工程と、被測定物に光を照射し、光が照射された場所を検出するステップS11の照射場所検出工程と、被測定物に光を照射する場所を移動するステップS3の移動工程と、を有し、ステップS11の照射場所検出工程は、受光器が受光する光の輝度に応じた信号を出力し、前記信号を用いて光が照射された場所を検出するステップS5の光検出工程と、受光推定輝度を用いて、受光器が受光する光の輝度を調整するステップS4の受光調整工程と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状測定方法にかかわり、特に、被測定物に光を照射して測定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
測定装置から光線を被測定物に照射して、被測定物からの反射光を検出することにより測定装置と被測定物との距離を測定する方法がある。この方法を用いて、被測定物と測定装置とを相対的に移動することにより被測定物の3次元形状を測定することが広く行われている。被測定物に照射する光が散乱反射するときと鏡面反射する場合がある。この反射状態に対応して測定する方法が特許文献1に開示されている。それによると、1つの場所に入射角の異なる2つの光線を照射している。そして、2つの受光系を配置している。被測定物の反射が散乱反射するときと鏡面反射するときとで光学系を使いわけることにより、反射光を受光するようにしていた。
【0003】
被測定物の形状を測定するとき、予め被測定物の目標となる形状が解っている場合がある。このとき、目標となる形状は被測定物を設計したときの形状データとして記憶されている。そして、製造工程では形状データに示された形状となるように被測定物が形成される。そして、加工した後、目標となる形状データに対する加工誤差を測定する検査が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−14935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被測定物において測定する面の向きは場所によって異なる場合がある。被測定物の表面粗さも場所によって異なる場合がある。このとき、測定する面の反射状態も被測定物の場所によって異なる。そして、被測定物の場所によって面の反射状態が異なる場合にも反射光を受光して面の位置が測定できる方法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
本適用例にかかる形状測定方法は、被測定物の形状を測定する形状測定方法であって、投光器から前記被測定物に光を照射し、前記被測定物から反射される反射光を受光器が受光するときの光の輝度を推定した受光推定輝度を演算する受光輝度推定工程と、前記被測定物に光を照射し、光が照射された場所の位置を検出する照射場所検出工程と、前記被測定物に光を照射する場所を移動する移動工程と、を有し、前記照射場所検出工程は、前記受光器が受光する光の輝度に応じた信号を出力し、前記信号を用いて光が照射された場所の位置を検出する光検出工程と、前記受光推定輝度を用いて、前記受光器が受光する光の輝度もしくは前記受光器が受光する時間を調整する受光調整工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
この形状測定方法によれば、被測定物に光を照射する場所を移動する。そして、光が照射された場所の位置を検出することにより被測定物の形状を測定している。光検出工程では、受光器が受光して信号を出力する。そして、信号を用いて光が照射された場所の位置を検出している。
【0009】
受光器が受光する光の輝度が低いとき、光のコントラストが低い為、光が照射された場所の位置を検出し難くなる。照射する光の光量が大きすぎるときには、光が照射された場所の周辺においても光の輝度が高くなる為、光が照射された場所の位置を検出し難くなる。
【0010】
受光輝度推定工程では被測定物から反射される反射光の輝度を推定した受光推定輝度を演算する。そして、受光調整工程では受光推定輝度を用いて、受光器が受光する光の輝度を調整する。従って、受光器は反射位置を検出し易い反射光を受光することができる。もしくは、受光調整工程では受光推定輝度を用いて、受光器が受光する時間を調整する。従って、受光器は反射位置を検出し易い信号を出力することができる。
【0011】
[適用例2]
上記適用例にかかる形状測定方法において、前記受光輝度推定工程では、前記被測定物の形状情報と反射特性とを用いて前記受光推定輝度を演算することを特徴とする。
【0012】
この形状測定方法によれば、被測定物の形状情報を用いることにより光が照射される面の向きがわかる。そして、反射特性を用いることにより反射する光の分布を推測することができる。従って、形状情報と反射特性とを用いることにより、反射する光の方向と分布とを推測することができる。
【0013】
[適用例3]
上記適用例にかかる形状測定方法において、前記受光調整工程では、前記投光器が照射する光量を調整することにより、前記受光器が受光する光の輝度を調整することを特徴とする。
【0014】
この形状測定方法によれば、投光器が照射する光量を調整する為、受光器が受光する反射光の輝度を測定し易い輝度にすることができる。
【0015】
[適用例4]
上記適用例にかかる形状測定方法において、前記照射場所検出工程では、前記投光器から帯状に光を照射することを特徴とする。
【0016】
この形状測定方法によれば、光が帯状に照射され、照射された場所の位置を検出することができる。その結果、一度に複数の場所の位置を検出することができる。
【0017】
[適用例5]
上記適用例にかかる形状測定方法において、前記被測定物が光透過性のとき、前記照射場所検出工程では照射する光が表面反射する方向から前記投光器が光を照射し、前記受光器は表面反射する光を受光することを特徴とする。
【0018】
この形状測定方法によれば、投光器は、光が表面反射する方向から光を照射する為、被測定物が光透過性のときにも、光を反射させることができる。そして、受光器は反射した光を用いて被測定物の形状を測定することができる。
【0019】
[適用例6]
上記適用例にかかる形状測定方法において、前記照射場所検出工程において、内部反射する光を用いるときには、表面反射する光が受光しない場所に前記受光器を配置することを特徴とする。
【0020】
この形状測定方法によれば、内部反射する光を用いて光が照射された場所を検出している。内部反射する光は表面反射する光よりも光量が小さい。測定する場所の近くで表面反射する光が受光器を照射することがある。このとき、内部反射する光を受光するように調整した受光器が表面反射する光を受光するとき、受光器は表面反射した光の影響を受ける。そして、光が照射された場所を示す信号を受光器が精度良く出力できない場合がある。表面反射する光が受光しない場所に受光器を配置することにより、受光器は精度良く光が照射された場所を検出することができる。
【0021】
[適用例7]
上記適用例にかかる形状測定方法において、前記受光輝度推定工程では、測定不可能場所を算出し、前記測定不可能場所を明示することを特徴とする。
【0022】
この形状測定方法によれば、測定不可能場所が明示される。そして、測定する前に測定不可能場所を確認できる。測定不可能場所がある場合には、測定したい場所を測定可能にする、投光器及び受光器に対する被測定物の姿勢を検討して確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態にかかわる測定装置の構成を示す概略斜視図。
【図2】照明装置を示す模式断面図。
【図3】測定方法を説明するための模式図。
【図4】測定装置の電気制御ブロック図。
【図5】形状を測定する測定工程を示すフローチャート。
【図6】測定装置を使った形状の測定方法を説明するための模式図。
【図7】測定装置を使った形状の測定方法を説明するための模式図。
【図8】測定装置を使った形状の測定方法を説明するための模式図。
【図9】第2の実施形態にかかわる測定方法を説明するための模式図。
【図10】第3の実施形態にかかわる測定方法を説明するための模式図。
【図11】第4の実施形態にかかわる測定方法を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、具体化した実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
【0025】
(第1の実施形態)
本実施形態において被測定物の形状を測定する特徴的な測定装置と、この測定装置を用いて、被測定物を測定する場合の例について図1〜図8に従って説明する。
【0026】
(測定装置)
まず、被測定物の形状を測定する測定装置について図1〜図4に従って説明する。図1は、測定装置の構成を示す概略斜視図である。図1に示すように、測定装置1は、直方体形状に形成された基台2を備えている。本実施形態では、この基台2の長手方向をY方向とし、水平面にてY方向と直交する方向をX方向とする。鉛直方向をZ方向とする。
【0027】
基台2の上面2aには、Y固定テーブル3が配置され、Y固定テーブル3の上面3aには、Y方向に延在する一対の案内レール4が、Y固定テーブル3のY方向全幅にわたり凸設されている。その案内レール4の上側には、一対の案内レール4に対応する図示しない直動機構を備えたステージとしてのYステージ5が取付けられている。そのYステージ5の直動機構は、例えば、案内レール4に沿ってY方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するY軸モーター6に連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号をY軸モーター6に入力すると、Y軸モーター6が正転または逆転して、Yステージ5が同ステップ数に相当する分だけ、Y方向に移動するようになっている。さらに、Y固定テーブル3の上面3aには、案内レール4と平行に図示しないYテーブル位置検出装置が配置され、Yステージ5の位置が測定できるようになっている。
【0028】
Yステージ5の上面5aには、X方向に延在する一対の案内レール7が、Yステージ5のX方向全幅にわたり凸設されている。その案内レール7の上側には、一対の案内レール7に対応する図示しない直動機構を備えたステージとしてのXステージ8が取付けられている。そのXステージ8の直動機構は、例えば、本実施形態では、Yステージ5が備える直動機構と同様の機構となっている。そして、その直動機構が備える駆動軸には、X軸モーター9が連結されている。所定のステップ数に相対する駆動信号をX軸モーター9に入力すると、X軸モーター9が正転または逆転して、Xステージ8が同ステップ数に相当する分だけ、X方向に移動するようになっている。
【0029】
Xステージ8の上面には、載置面10が形成され、その載置面10には、図示しない吸引式のチャック機構が設けられている。そして、載置面10には被測定物11が載置されている。操作者が被測定物11の位置を所定の位置に配置した後、チャック機構によって被測定物11が載置面10に固定されるようになっている。
【0030】
基台2の上面2aにおいて、図中右側には、略矩形のZ固定テーブル12が立設され、Z固定テーブル12において、Yステージ5側の側面には、図示しない一対の案内レールが、Z方向に配置されている。その案内レールにおいて、Yステージ5側には、一対の案内レールに対応する図示しない直動機構を備えたZステージ13が配置されている。そのZステージ13の直動機構は、例えば、本実施形態では、Yステージ5が備える直動機構と同様の機構となっている。そして、その直動機構が備える駆動軸には、Z軸モーター14が連結されている。
【0031】
Zステージ13のYステージ5側には門形に形成された支持部15が配置されている。支持部15の図中左側には一対の支持板15a,15bが撮像装置16を挟むように配置されている。撮像装置16は内部に固体撮像素子等からなるエリアセンサーを備え、エリアセンサーが撮像する画像を電気信号に変換して出力することが可能になっている。この固体撮像素子は受光する光の輝度と受光する時間とに応じて電荷を蓄積することにより、光の輝度を電圧信号として出力する。
【0032】
撮像装置16の下側には、撮像レンズ17が配置されている。そして、撮像装置16にはエリアセンサーに入射する光の波長や特性を限定する光学フィルターが配置されている。このフィルターは撮像する被測定物11や外光の状態に応じて変更することが可能になっており、予備実験で撮像しフィルターを選定するのが望ましい。
【0033】
支持板15aのX方向と逆の側にはカメラ角度モーター18が配置され、カメラ角度モーター18の回転軸は撮像装置16に固定されている。撮像装置16のX方向の面には軸が突設され、この軸を受ける軸受けが支持板15bに配置されている。そして、撮像装置16がカメラ角度モーター18の回転軸を中心に回転可能に配置されている。所定のステップ数に相当する駆動信号をカメラ角度モーター18に入力すると、カメラ角度モーター18が正転または逆転して、撮像装置16が同ステップ数に相当する分だけ、回転するようになっている。そして、この支持部15及びカメラ角度モーター18等により撮像方向変更部が構成されている。
【0034】
基台2の上面2aにおいて、図中左側には、照明用Z固定テーブル21が立設され、照明用Z固定テーブル21のYステージ5側の面にはZ方向に延在する一対の案内レール22が、照明用Z固定テーブル21のZ方向全幅にわたり凸設されている。その案内レール22のYステージ5側には、一対の案内レール22に対応する図示しない直動機構を備えたL字状の照射方向変更部としての照明用Zステージ23が取付けられている。その照明用Zステージ23の直動機構は、例えば、本実施形態では、Yステージ5が備える直動機構と同様の機構となっている。そして、その直動機構が備える駆動軸には、照射方向変更部としての照明用Z軸モーター24が連結されている。
【0035】
照明用Zステージ23のYステージ5側には、矩形の連結部23aが突出して形成されている。連結部23aのYステージ5側には略門形の照明支持部25が配置されている。そして、照明支持部25の中央には照明用Z固定テーブル21側に突出する矩形の連結部25aが形成されている。照明用Zステージ23の連結部23aのZ方向には照射方向変更部としての方位変更モーター26が配置されている。そして、照明用Zステージ23の連結部23aの基台2側には、照明支持部25の連結部25aが配置されている。そして、方位変更モーター26の本体は照明用Zステージ23に固定され、方位変更モーター26の回転軸は連結部25aと固定されている。そして、所定のステップ数に相対する駆動信号を方位変更モーター26に入力すると、方位変更モーター26が正転または逆転して、照明支持部25が同ステップ数に相当する分だけ、Z方向を中心にして回転するようになっている。
【0036】
照明支持部25の両端の間には投光器としての照明装置27が配置されている。照明装置27には光源と光学装置が配置されている。そして、照明装置27のYステージ5側に位置する投光面27aから帯状の光が被測定物11に向けて照射される。
【0037】
そして、照明支持部25の図中左側の1端には俯角変更モーター28が配置され、俯角変更モーター28の本体は照明支持部25に固定されている。そして、俯角変更モーター28の回転軸は照明装置27の側面27bに固定されている。所定のステップ数に相対する駆動信号を俯角変更モーター28に入力すると、俯角変更モーター28が正転または逆転して、照明装置27が同ステップ数に相当する分だけ、X方向を中心にして回転するようになっている。
【0038】
従って、照明装置27が照射する光の進行方向と水平方向とが成す角度は変更可能になっている。この角度の最適条件は、被測定物11の形状によって変わる可能性があるので、被測定物11を照射する光が撮像装置16によって撮像され易い角度に照明装置27の角度を調整する必要がある。従って、実際の被測定物11を用いた予備調整を実施して、最適な照射角度を調整することが望ましい。基台2のX方向には、制御装置29が配置され、この制御装置29が測定装置1を制御する。
【0039】
図2は、照明装置を示す模式断面図である。図2(a)は模式平断面図であり、図2(b)は模式側断面図である。図2に示すように、照明装置27はケース30を備えている。そして、ケース30の内部には支持台31を介してレーザー光源32が配置されている。レーザー光源32は内部に半導体レーザーを備え、半導体レーザーに電圧を印加することにより光としてのレーザー光33を発光する。
【0040】
レーザー光源32が発光するレーザー光33の光軸上には回転ミラー34が配置されている。回転ミラー34はミラー回転部35の回転軸に固定されている。そして、ミラー回転部35はケース30に配置されている。回転ミラー34は三角柱状に形成され、三角形の各辺に相当する場所が鏡になっている。そして、回転ミラー34のXY平面における断面は正三角形に形成されている。その正三角形の重心を通って、Z方向にミラー回転部35の回転軸が配置されている。従って、回転ミラー34はZ方向を軸に回転する。回転ミラー34が回転するとき、回転ミラー34を照射するレーザー光33はXY平面方向に反射される。
【0041】
レーザー光源32及び回転ミラー34のX方向には凹面鏡36が配置されている。そして、回転ミラー34にて反射したレーザー光33は凹面鏡36を照射する。凹面鏡36を照射するレーザー光33がY方向と逆の方向に進行するように凹面鏡36が形成されている。回転ミラー34が回転することにより凹面鏡36にはXY平面上で放射状に広がるレーザー光33が照射される。そして、凹面鏡36で反射したレーザー光33は帯状となって図中右の方向に進行する。
【0042】
凹面鏡36の図中右側にはマスク37及びフィルター38が配置されている。そして、レーザー光33はマスク37を通過した後、フィルター38を通過する。マスク37にはレーザー光33の一部を遮光してスリットの機能を有する図形が形成され、マスク37を通過したレーザー光33はマスク37に形成された図形に対応する光度分布となる。
【0043】
マスク37を通過したレーザー光33はフィルター38を通過する。フィルター38はレーザー光33に対して光の波長の分布を変更したり、光の偏光特性を変更する光学素子である。フィルター38は、撮像装置16が鮮明な画像を撮像し易い光にするために配置する。従って、撮像装置16の特性に合わせて設定するのが望ましい。そして、フィルター38を通過したレーザー光33は照明装置27の外に出射し、X方向に走査しながら被測定物11及び載置面10に向かって進行する。
【0044】
図3は、測定方法を説明するための模式図である。図3(a)に示すように、載置面10に対して斜めの方向から帯状のレーザー光33を照射する。被測定物11においてレーザー光33が照射された場所ではレーザー光33が反射する。このとき、被測定物11には凹凸の形状が形成されているので、この形状に応じた反射パターンが形成される。
【0045】
図3(b)は、図3(a)のA−A’側から見た模式側面図である。図3(b)に示すように、被測定物11に対して図中左上の照明装置27からレーザー光33を照射する。照射されたレーザー光33は被測定物11の表面にて反射する。被測定物11が反射するレーザー光33の一部を撮像装置16が撮像する。照明装置27と撮像装置16とが配置された場所の位置情報は予め既知となっている。さらに、照明装置27から照射されるレーザー光33が進行する角度も予め既知となっている。撮像装置16が撮像する画像を解析することにより、被測定物11が反射するレーザー光33が進行する角度を検出することができる。そして、三角測量法を用いることにより、被測定物11に照射されたレーザー光33が反射する場所の座標を検出することができる。
【0046】
図3(c)は、撮像装置が被測定物を撮像する時の撮影画像の模式図である。図3(c)に示すように、撮影画像39には載置面画像40、被測定物画像41、レーザー光画像42が撮像されている。載置面画像40は、載置面10が撮像された画像である。被測定物画像41は被測定物11が撮像された画像である。そして、レーザー光画像42は、載置面画像40及び被測定物画像41において反射するレーザー光33が撮像された画像である。
【0047】
被測定物11の凹凸形状に応じてレーザー光33が反射するY方向の場所が異なるので、撮影画像39においても被測定物11の凹凸形状に応じてレーザー光画像42のY方向の場所が異なっている。被測定物11において照明装置27に近い場所をレーザー光33が照射するとき、レーザー光画像42は図中左側に位置する。逆に、被測定物11において照明装置27から離れた場所をレーザー光33が照射するとき、レーザー光画像42は図中右側に位置する。そして、レーザー光画像42のY方向の場所からレーザー光33が照射された場所を検出することが可能になっている。つまり、被測定物11が反射するレーザー光33が進行する角度に対応して、レーザー光画像42が検出される場所がかわる。従って、レーザー光画像42の場所を検出することにより、被測定物11においてレーザー光33が反射する場所の座標を検出することが可能になっている。
【0048】
図4は、測定装置の電気制御ブロック図である。図4において、制御装置29はプロセッサーとして各種の演算処理を行うCPU(中央処理装置)45と、各種情報を記憶する記憶部としてのメモリー46とを有する。
【0049】
Xステージ駆動装置47、Xステージ位置検出装置48、Yステージ駆動装置49、Yステージ位置検出装置50は、入出力インターフェース51及びデータバス52を介してCPU45に接続されている。さらに、Zステージ駆動装置53、Zステージ位置検出装置54、カメラ角度モーター駆動装置55も入出力インターフェース51及びデータバス52を介してCPU45に接続されている。さらに、撮像装置16、フォーカス装置56、照明用Zステージ駆動装置57、照明用Zステージ位置検出装置58、も入出力インターフェース51及びデータバス52を介してCPU45に接続されている。さらに、方位モーター駆動装置59、俯角モーター駆動装置60、照明装置27、入力装置61、表示装置62も入出力インターフェース51及びデータバス52を介してCPU45に接続されている。
【0050】
Xステージ駆動装置47は、X軸モーター9を駆動して、Xステージ8の移動を制御する装置であり、Xステージ位置検出装置48は、Xステージ8のX方向の位置を検出する装置である。同様に、Yステージ駆動装置49は、Y軸モーター6を駆動してYステージ5の移動を制御する装置であり、Yステージ位置検出装置50は、Yステージ5のY方向の位置を検出する装置である。Xステージ位置検出装置48及びYステージ位置検出装置50が、Xステージ8のX方向及びYステージ5のY方向の位置を検出した後、Xステージ駆動装置47及びYステージ駆動装置49が、Xステージ8及びYステージ5を移動させることにより、制御装置29は載置面10に搭載された被測定物11を所望の位置に移動して停止することができる。
【0051】
Zステージ駆動装置53は、Z軸モーター14を駆動して、Zステージ13の移動を制御する装置であり、Zステージ位置検出装置54は、Zステージ13のZ方向の位置を検出する装置である。Zステージ位置検出装置54が、Zステージ13のZ方向の位置を検出した後、Zステージ駆動装置53がZステージ13を駆動することにより、Zステージ13を所望の位置に移動して停止することが可能になっている。そして、Zステージ13は支持部15を介して撮像装置16に配置されているので、撮像装置16と被測定物11との距離が所望の距離になる場所にZステージ駆動装置53は撮像装置16を移動させて停止させることができる。
【0052】
カメラ角度モーター駆動装置55はカメラ角度モーター18を駆動する装置である。カメラ角度モーター18の回転軸は撮像装置16に固定されている。そして、カメラ角度モーター駆動装置55はカメラ角度モーター18を駆動することにより、撮像装置16と載置面10との成す角度を変更できる。
【0053】
撮像装置16は撮像した画像をデジタル信号に変換する変換回路を内蔵しており、画像の情報をデジタル信号にして送信する。そして、CPU45から画像を撮像する指示信号を受信すると、画像を撮像した後、その画像のデジタル信号をメモリー46へ送信する。メモリー46は画像のデジタル信号を記憶する。
【0054】
フォーカス装置56は、撮像レンズ17により投影される画像の焦点が撮像装置16のエリアセンサーにあうように、フォーカス調整を行う装置である。CPU45の指示により、フォーカス装置56は画像の焦点が合う場所を変更する。
【0055】
照明用Zステージ駆動装置57は、照明用Z軸モーター24を駆動して照明用Zステージ23の場所を制御する装置であり、照明用Zステージ位置検出装置58は、照明用Zステージ23のZ方向の位置を検出する装置である。照明用Zステージ位置検出装置58が、照明用Zステージ23のZ方向の位置を検出した後、照明用Zステージ駆動装置57が照明用Zステージ23を駆動することにより、照明用Zステージ駆動装置57は照明用Zステージ23を所望の位置に移動させて停止させることができる。そして、照明用Zステージ23は照明支持部25を介して照明装置27に配置されているので、照明装置27と載置面10との距離が所望の距離になる場所に照明用Zステージ駆動装置57が照明装置27を移動させて停止させることができる。
【0056】
方位モーター駆動装置59は方位変更モーター26を駆動して、照明支持部25がレーザー光33を照射する角度を制御する装置である。方位変更モーター26の駆動軸には照明支持部25が配置されているので、方位モーター駆動装置59が方位変更モーター26を駆動することにより、水平面上の所望の角度から光を照射することが可能になっている。そして、例えば、被測定物11の凹凸に合わせて照明用方位変更モーター19を回転させることにより、撮像装置16が撮像可能な方向からレーザー光33を照射するように調整することができる。しかし、調整する頻度が少ない場合には、手動で調整するような機構に変更しても良い。調整する必要がない場合には方位モーター駆動装置59及び方位変更モーター26を省いても良い。
【0057】
俯角モーター駆動装置60は、俯角変更モーター28を駆動して照明装置27の角度を制御する装置である。俯角モーター駆動装置60が俯角変更モーター28を駆動することにより、被測定物11に対して所望の角度からレーザー光33を照射することが可能になっている。そして、照明用Zステージ駆動装置57が照明装置27の高さを制御して、俯角モーター駆動装置60がレーザー光33の角度を制御する。これにより、照明装置27は被測定物11の所望の場所に所望の角度でレーザー光33を照射することが可能になっている。そして、被測定物11にレーザー光33を照射するときの反射状況に応じて、被測定物11に照射する角度や場所をCPU45が変更可能になっている。しかし、被測定物11の反射状況が一定であり、調整する頻度が少ない場合には、手動で調整するような機構に変更しても良い。
【0058】
この角度の最適条件は、被測定物11の形状、材質、表面粗さ等の条件によって変わる可能性があるので、異なる材質や製造工程の被測定物11を検査するとき、被測定物11を照射する光が撮像装置16によって撮像され易い角度に照明装置27の角度を調整する必要がある。従って、実際の被測定物11を用いた予備調整を実施して、最適な照射角度を調整することが望ましい。
【0059】
照明装置27はレーザー光33を照射する装置である。照明装置27は出力調整部を有し、CPU45が出力する指示信号に従って、照明装置27は照射する光の強度を切り換えることが可能になっている。そして、照明装置27は照射する光の強度を検出する手段と検出した光の強度をCPU45に送信する機能を備えている。
【0060】
入力装置61は、被測定物11の形状や反射状態に関する各種データを入力する装置である。入力装置61は、例えば、被測定物11の形状を測定する手順を入力する装置である。表示装置62は、測定条件や作業状況を表示する装置であり、操作者は、表示装置62に表示される情報を基に、入力装置61を用いて入力操作を行う。
【0061】
メモリー46は、RAM、ROM等といった半導体メモリーや、ハードディスク、CD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、測定装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト65を記憶する記憶領域が設定される。さらに、測定装置1が検査する場所を示す検査位置データ66を記憶するための記憶領域も設定される。他にも、照明装置27が照射するレーザー光33の光量の条件である照射条件データ67を記憶するための記憶領域が設定される。さらに、撮像装置16が撮像した画像のデータである撮像データ68を記憶するための記憶領域も設定される。さらに、形状を測定した測定結果のデータである測定データ69や、検査した後に良否判断するときの判定値等のデータである良否判定値データ70等の記憶領域を記憶するための記憶領域が設定される。他にも、CPU45のためのワークエリアやテンポラリーファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域が設定される。
【0062】
CPU45は、メモリー46内に記憶されたプログラムソフト65に従って、被測定物11の形状を検査する制御を行うものである。具体的な機能実現部として、被測定物11から反射するレーザー光33の輝度をシミュレーションする輝度推測演算部71を有する。さらに、ステージの移動を制御するための演算を行うステージ制御部72を有する。他にも、撮像するタイミングや撮像する角度を演算して、撮像装置16を制御する撮像制御部73を有する。他にも、最適な光量のレーザー光33を照射するように、照明装置27を制御する照明制御部74を有する。さらに、照明装置27が照射するレーザー光33の角度を制御する照明角度制御部75を有する。他にも、撮像装置16が撮像した画像からレーザー光33が照射された場所の座標を演算し、被測定物11の形状を演算する形状演算部76を有する。加えて、測定データ69と良否判定値データ70とを比較して被測定物11の良否を判断する不良検出部としての不良検出演算部77等を有する。
【0063】
(測定方法)
次に、上述した測定装置1を使って、被測定物11の形状を測定する測定方法について図5〜図8にて説明する。図5は、形状を測定する測定工程を示すフローチャートである。図6〜図8は、測定装置を使った形状の測定方法を説明するための模式図である。
【0064】
図5において、ステップS1は受光輝度推定工程に相当し、被測定物から反射されたレーザー光を撮像装置が受光するときのレーザー光の輝度を推定する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は、被測定物配置工程に相当し、載置面に被測定物を配置して固定する工程である。次にステップS3及びステップS4に移行する。ステップS3は、移動工程に相当し、Xテーブル及びYテーブルを駆動して、レーザー光を照射する場所を移動する工程である。次にステップS7に移行する。ステップS4は、受光調整工程に相当し、撮像装置が受光する輝度が略同じ輝度となるように照明装置が照射するレーザー光の光量を調整する工程である。次にステップS5に移行する。
【0065】
ステップS5は、光検出工程に相当し、被測定物にレーザー光を照射し、照射された場所の画像を撮像する工程である。そして、レーザー光が照射された場所の座標を検出する。次にステップS6に移行する。ステップS6は、形状演算工程に相当し、検出した被測定物の座標のデータを用いて被測定物の形状を演算する工程である。ステップS4〜ステップS6のステップはステップS11の照射場所検出工程に相当し、レーザー光が照射されている場所の位置を検出する工程である。ステップS3はステップS4、ステップS5、ステップS6と並行して行われる。次にステップS7に移行する。
【0066】
ステップS7は、測定終了確認工程に相当し、測定する予定の場所を総て測定したかを判断する工程である。まだ測定していない場所があるとき、ステップS3及びステップS4に移行する。予定した総ての場所を測定したとき、ステップS8に移行する。ステップS8は、良否判断工程に相当し、測定した形状データと良否判定値データとを比較して、正常か不良かを判断する工程である。次にステップS9に移行する。ステップS9は、被測定物除去工程に相当し、載置面から被測定物を除去する工程である。以上の工程により形状を測定する測定工程を終了する。
【0067】
次に、図6〜図8を用いて、図5に示したステップと対応させて、測定方法を詳細に説明する。図6及び図7(a)はステップS1の受光輝度推定工程に対応する図である。ステップS1では、制御装置29の輝度推測演算部71が被測定物11にレーザー光33を照射するシミュレーションを行う。そして、撮像装置16が受光するレーザー光33の輝度を輝度推測演算部71が推定する。図6(a)に示すように、被測定物11に相当する被測定物モデル80を設定する。被測定物モデル80の形状は被測定物11の形状を設計するときのデータを用いて設定することができる。図6(a)は被測定物モデル80において中心を通るY方向の線にて切断したときの断面形状を示している。
【0068】
被測定物モデル80の下にはステージモデル81を配置し、被測定物モデル80及びステージモデル81が共にY方向に移動する。そして、被測定物モデル80の図中左上に投光器としての照明装置モデル82を配置し、図中右上に撮像装置モデル83を配置する。そして、照明装置モデル82から光線84を照射するとき、撮像装置モデル83が受光する受光推定輝度を輝度推測演算部71が演算する。この演算は被測定物モデル80において光線84を照射可能な総ての面に対して行われる。
【0069】
被測定物モデル80上に第1地点80a〜第5地点80eの5つの地点を設定し、その地点での反射について説明する。図6(b)は第1地点80aに照明装置モデル82から光線84が照射されたときの様子を示している。入射方向85は光線84が照射される方向であり、図中左上から右下に向かっている。検出方向86は撮像装置モデル83が配置されている方向であり、図中右上を向く方向に設定されている。尚、この方向の設定は照射条件に合わせて変えることができる。
【0070】
第1反射分布87aは第1地点80aに光線84が照射されたときの反射光の分布を示している。入射方向85の入射角88と反射角89が同じ角度の方向を表面反射方向90とするとき、表面反射方向90に表面反射が行われる。表面反射は被測定物モデル80の表面における表面粗さが小さくなる程大きな輝度となる。そして、被測定物モデル80の表面が鏡面のとき反射光の輝度は最大になる。
【0071】
また、被測定物モデル80に光線84が照射されるとき、全方向に内部反射(拡散反射とも言われる)が行われる。内部反射は表面反射に比べて小さな輝度分布となることが多い。表面反射は内部反射より輝度が大きいので、反射分布は表面反射方向90の輝度が大きくなることが多い。そして、第1反射分布87aは表面反射と内部反射とによる輝度を加算して算出される。被測定物11にレーザー光33を照射したときの反射分布データを予め測定し、その反射分布データをメモリー46に記憶する。そして、輝度推測演算部71は反射分布データを用いることにより、第1反射分布87aを推定することができる。反射分布は実測データを用いる方法に限らず、被測定物モデル80の材質や表面粗さ等の条件から推定する方法を採用しても良い。
【0072】
次に、輝度推測演算部71は第1反射分布87aにおける検出方向86の輝度推定データである受光推定輝度を演算する。そして、輝度推測演算部71は演算結果をメモリー46に記憶する。
【0073】
図6(c)〜図6(f)はそれぞれ第2地点80b〜第5地点80eに照明装置モデル82から光線84が照射されたときの様子を示している。第2地点80b〜第5地点80eでの反射分布を第2反射分布87b〜第5反射分布87eとする。各反射分布は光線84が照射される面の向きと反射特性により様々な形態となっている。従って、検出方向86における受光推定輝度も場所により様々な輝度となる。輝度推測演算部71は第2反射分布87b〜第5反射分布87eにおける検出方向86の輝度推定データである受光推定輝度を演算する。そして、輝度推測演算部71は演算結果をメモリー46に記憶する。
【0074】
図7(a)は受光推定輝度の分布と照明装置が出力するレーザー光における光量設定の分布のグラフを示している。図中上段には受光推定輝度の分布を示し縦軸が輝度を示し、上側は下側より輝度が高くなっている。横軸には被測定物モデルにおける場所を示し、図中左側がY方向を示している。そして、輝度推定線91は、被測定物モデル80において図6(a)に示す断面形状の上面から反射する光を撮像装置モデル83が受光する光の受光推定輝度の分布を示している。輝度推定線91は輝度推測演算部71が演算した分布である。
【0075】
横軸に示す各地点によって輝度が異なっている。輝度は各地点における面の角度及び反射特性により算出される。第3地点80cでは被測定物モデル80で反射する光線84の進行方向が検出方向86と近い方向であるので、輝度推定線91の輝度が大きくなっている。第1地点80a及び第5地点80eでは被測定物モデル80で反射する光線84の進行方向が検出方向86と離れた方向であるので、輝度推定線91の輝度が小さくなっている。このように、輝度推測演算部71は被測定物モデル80の各場所において撮像装置モデル83が受光する輝度を演算する。
【0076】
次に、輝度推測演算部71は撮像装置モデル83が受光する光の輝度が略同じ輝度とするために、照明装置モデル82が照射する光の光量を演算する。光量分布線92は演算した分布を示す線である。このとき、輝度推測演算部71は輝度推定線91を参照して演算する。輝度推定線91の輝度が小さい場所では、照明装置モデル82が照射する光量を大きくする。例えば、第3地点80cを照射するときの光量を小さくして、第1地点80a及び第5地点80eを照射するときの光量を大きくする。このように、輝度推測演算部71は被測定物モデル80の各場所において照明装置モデル82が照射する光の光量を演算する。そして、輝度推測演算部71は演算結果を照射条件データ67としてメモリー46に記憶する。
【0077】
図7(b)はステップS2の被測定物配置工程に対応する図である。図7(b)に示すように、ステップS2において、載置面10に被測定物11を載置する。載置面10には予め位置合わせ用の印を配置しておき、この印を用いて被測定物11を所定の位置に設定する。次に、Xステージ8に搭載されたチャック機構を作動させることにより、制御装置29は被測定物11を載置面10に固定させる。続いて、制御装置29はYステージ5及びXステージ8を駆動させて、撮像装置16に被測定物11を撮像させる。そして、制御装置29は載置面10における被測定物11の位置を検出する。
【0078】
図7(c)及び図8はステップS3の移動工程〜ステップS6の形状演算工程に対応する図である。図7(c)に示すように、ステップS3において、ステージ制御部72はYステージ5を駆動させることにより、被測定物11をY方向に移動させる。そして、ステージ制御部72はレーザー光33が照射される場所を移動させる。
【0079】
ステップS3にて被測定物11が移動される間に、ステップS4、ステップS5、ステップS6が行われる。まず、ステップS4の受光調整工程において、照明装置27によって照射されるレーザー光33の光量を照明制御部74が調整する。この光量は光量分布線92に相当する照射条件データ67を用いて調整される。照射条件データ67はステップS1にて輝度推測演算部71が演算してメモリー46に記憶したデータである。
【0080】
ステップS5において照明制御部74は調整した光量のレーザー光33を照明装置27に照射させる。このレーザー光33は帯状の光となっている。そして、照明装置27が照射したレーザー光33は被測定物11を照射し、各場所における反射分布にて反射する。次に、被測定物11から反射されたレーザー光33を撮像装置16が受光する。撮像制御部73は撮像装置16に被測定物11に照射されたレーザー光33による反射パターンを撮像させる。そして、撮像制御部73は撮像した画像を撮像データ68としてメモリー46に記憶させる。このとき、ステージ制御部72は撮像したときのYステージ5及びXステージ8の位置データをメモリー46に記憶させる。
【0081】
次に、形状演算部76は撮像データ68とYステージ5及びXステージ8の位置データとを用いて、レーザー光33が照射された場所の座標を演算する。そして、形状演算部76は演算した座標を用いて被測定物11の形状を演算する。
【0082】
図8は、撮像装置16が受光したレーザー光33の輝度分布と形状演算部76が演算した被測定物11の断面形状の例を示している。図中上段において、縦軸は輝度を示し、上側は下側より輝度が高くなっている。横軸には載置面10の場所を示し、図中左側がY方向を示している。そして、受光輝度線93は、被測定物11において反射するレーザー光33を撮像装置16が受光したときのレーザー光33の輝度分布を示している。そして、受光輝度線93が示すように撮像装置16が受光するレーザー光33の輝度は輝度推定線91に比べて変動が小さくなる。
【0083】
図中下段において、縦軸は載置面10からの高さを示し、上側は下側より高い場所を示す。横軸には載置面10の場所を示し、図中左側がY方向を示している。そして、形状線94は照明角度制御部75が演算した計測結果を示している。形状線94は被測定物11の断面の1つを示している。形状演算部76は被測定物11の各場所における座標データを算出するので、各場所における断面形状を算出することができる。
【0084】
ステップS7の測定終了確認工程において、被測定物11において予定した総ての場所を測定したと判断したとき、ステップS8に移行する。そして、ステップS8において、設計した形状と測定した形状とを比較する。そして、設計した形状と測定した形状との差が予め設定した判定値内であるか、判定値より大きいかを演算する。そして、この差が判定値より大きいとき不良と判断する。次に、ステップS9の被測定物除去工程においてXステージ8のチャック機構の作動を停止する。そして、被測定物11を載置面10から除去する。以上の工程により形状を測定する測定工程を終了する。
【0085】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ステップS1の受光輝度推定工程において被測定物モデル80から反射される受光推定輝度を演算する。そして、ステップS4の受光調整工程では受光推定輝度のデータを用いて、照明装置27が照射するレーザー光33の光量を調整する。従って、撮像装置16は反射位置を検出し易い輝度のレーザー光33を受光することができる。
【0086】
(2)本実施形態によれば、被測定物11の形状情報を用いることによりレーザー光33が照射される面の傾きがわかる。そして、反射特性を用いることにより反射するレーザー光33の分布を推測することができる。従って、形状情報と反射特性とを用いることにより、反射するレーザー光33の方向と分布とを推測することができる。
【0087】
(3)本実施形態によれば、照明装置27が照射するレーザー光33の光量を調整する為、撮像装置16が受光する反射光の輝度を調整することができる。また、照明装置27には半導体レーザーが用いられている。半導体レーザーは入力する電力に応じて応答性良く光量を調整することができる為、撮像装置16は精度よく制御された輝度のレーザー光33を受光することができる。
【0088】
(4)本実施形態によれば、レーザー光33が帯状に照射され、照射された場所の座標を測定している。従って、一度に複数の場所の座標を測定することができる。
【0089】
(第2の実施形態)
次に、形状の測定方法の一実施形態について図9の測定方法を説明するための模式図を用いて説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、測定できない場所を表示部が明示する点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0090】
すなわち、本実施形態では、図9に示したように被測定物97にはスリット状の凹部97aが形成されている。そして、載置面10に対して斜めの方向から帯状のレーザー光33を照射する。被測定物97においてレーザー光33が照射された場所ではレーザー光33が反射する。このとき、被測定物97の凹部97aでは撮像装置16の方向に反射しないので、測定装置1は凹部97aの形状を測定することができない。
【0091】
図9(b)は被測定物のB−B’線における断面形状と受光推定輝度とを示すグラフである。図中上段の縦軸には載置面10からの高さを示し、上側が下側より高くなっている。横軸は場所を示し、図中左側がY方向になっている。形状線98は被測定物97の形状を示す線である。そして、形状線98の凹部98aは被測定物97の凹部97aと対応する形状となっている。
【0092】
図中下段の縦軸には輝度を示し、上側が下側より輝度が高くなっている。そして、輝度推定線99は、輝度推測演算部71が演算した受光推定輝度の分布を示している。輝度推定線99において凹部98aに対応する場所では反射光が撮像装置16の方向に進行しない為、輝度が略零となる。この範囲を非測定範囲99aとする。
【0093】
図9(c)に示すように、表示装置62の画面100には被測定物像101が表示されている。被測定物像101は被測定物97の設計情報から形成した像である。そして、被測定物像101には測定不可能場所101aが表示されている。測定不可能場所101aは非測定範囲99aに相当する場所であり、反射光が撮像装置16の方向に進行しない場所となっている。
【0094】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、測定可能場所と測定不可能場所101aとが明示される。従って、測定する前に測定可能場所と測定不可能場所とを確認することができる。そして、照明装置27及び撮像装置16に対する被測定物97の角度を変更する等の方法を検討することができる。
【0095】
(第3の実施形態)
次に、形状の測定方法の一実施形態について図10の測定方法を説明するための模式図を用いて説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、被測定物に対する照明装置27及び撮像装置16の角度を変更して測定する点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0096】
すなわち、本実施形態において被測定物104は、光透過性の材料によって形成されている。そして、被測定物104にレーザー光33を照射するとき、入射角88及び反射角89を大きくする。そして、入射方向85から進行するレーザー光33が表面反射した後、検出方向86に進行するように照明装置27及び撮像装置16を設定する。
【0097】
被測定物104にレーザー光33を照射する面の向きは測定する場所によって異なっている。従って、測定する場所の面の向きに応じて、照明装置27及び撮像装置16の位置を変える。そして、測定する面の向きに応じて入射方向85及び検出方向86を変えることより、撮像装置16が受光する反射光の輝度を確保しながら測定する。
【0098】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、レーザー光33が表面反射する向きに光を照射する為、被測定物が光透過性のときにも、光を反射させることができる。
【0099】
(2)本実施形態によれば、レーザー光33が表面反射した後進行する方向に検出方向86を合わせて測定している。従って、反射光の輝度を確保しながら測定することができる。
【0100】
(第4の実施形態)
次に、形状の測定方法の一実施形態について図11の測定方法を説明するための模式図を用いて説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、被測定物に対する照明装置27及び撮像装置16の角度を変更して測定する点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0101】
すなわち、本実施形態において被測定物11の表面において内部反射と表面反射とによりレーザー光33が反射される。表面反射によるレーザー光33を表面反射光105とする。撮像制御部73は表面反射光105が進行しない場所に撮像装置16を移動させる。従って、撮像装置16は内部反射する光を受光し、表面反射光105を受光しない。
【0102】
ステップS1の受光輝度推定工程では、被測定物11にレーザー光33を照射する面の向きを考慮して照明装置27と撮像装置16との位置を設定する。そして、輝度推測演算部71は、その設定した照明装置27と撮像装置16との位置における反射光の輝度を演算し、照明装置27が照射するレーザー光33の光量を演算する。ステップS4の受光調整工程では、演算された光量のレーザー光33が出力されるように照明装置27を調整する。そして、ステップS5の光検出工程では、照明装置27及び撮像装置16を移動させることにより、撮像装置16が表面反射光105を受光しないようにする。
【0103】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、内部反射するレーザー光33を用いてレーザー光33が照射された場所を検出している。内部反射するレーザー光33は表面反射するレーザー光33よりも輝度が小さい。そして、内部反射するレーザー光33を受光するように調整した撮像装置16が表面反射するレーザー光33を受光するとき、レーザー光33が照射された場所を示す画像信号を撮像装置16が精度良く出力できない場合がある。表面反射するレーザー光33が受光しない場所に撮像装置16を配置することにより、撮像装置16は精度良くレーザー光33が照射された場所を検出することができる。
【0104】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、レーザー光源32が照射するレーザー光33の光量を調整した。撮像装置16が受光するレーザー光33の輝度を調整する方法はこれに限定されない。例えば、照明装置27に光量を調整する光学調整部を配置しても良い。光学調整部は偏光板を2枚平行に配置して、各偏光板の偏光方向を変えることにより透過する光量を調整することができる。この光学調整部は撮像装置16に配置しても良い。
【0105】
他にも、撮像装置16に光学の絞り機構を配置しても良い。そして、受光する輝度に対応して絞りを調整しても良い。他にも、撮像装置16が備える固体撮像素子が受光する時間を調整しても良い。固体撮像素子は所定の時間内に照射された光の輝度を時間積分した量に比例した電気信号を出力する。従って、撮像装置16が受光するレーザー光33の輝度が大きいときには、時間積分する時間を短くすることにより、撮像装置16は被測定物11においてレーザー光33が照射された場所を鮮明に撮像することができる。
【0106】
(変形例2)
前記第1の実施形態では、照明装置27は帯状のレーザー光33を照射したが、線状のレーザー光33を照射しても良い。そして、Xステージ8を走査しながら、被測定物11にレーザー光33を照射しても良い。照明装置27の構造を簡便にすることができるので、測定装置1を生産性良く製造することができる。
【0107】
(変形例3)
前記第1の実施形態では、照明装置27の内部にレーザー光源32を配置してレーザー光33を被測定物11に照射した。照明装置27から照射する光はレーザー光33に限定しなくとも良い。レンズ及び鏡等からなる光学系を用いて平行光を形成して照射しても良い。レーザー光源32に比べて、レーザー光でない発光ダイオード等の光源の方が発光素子の構造が簡便な為、生産性良く光源を製造することができる。
【0108】
(変形例4)
前記第1の実施形態では、撮像装置16は内部に固体撮像素子等からなるエリアセンサーを備えていた。この固体撮像素子は受光する光の輝度を電圧信号として出力した。固体撮像素子はこれに限らず、受光する光の場所に応じて電圧を出力する素子を用いても良い。この場合にも、被測定物11においてレーザー光33が反射した場所を検出することができる。
【0109】
(変形例5)
前記第1の実施形態では、制御装置29がXステージ8及びYステージ5を駆動することにより、被測定物11を移動した。これに限らず、被測定物11が静止した状態にして、照明装置27及び撮像装置16を移動しても良い。この場合にも被測定物11にレーザー光33を照射する場所を移動することができる。
【0110】
(変形例6)
前記第1の実施形態では、ステップS1の受光輝度推定工程にて照明装置27が照射するレーザー光33の光量分布を演算した。照明装置27が照射するレーザー光33の光量分布はステップS4の受光調整工程にて演算しても良い。演算速度が速い場合には、照明制御部74が照射光量を演算しながらレーザー光33を照射しても良い。
【0111】
(変形例7)
前記第3の実施形態では、被測定物104が光透過性の材料からなる場合を示した。被測定物104が鏡面反射する場合にも、照明装置27及び撮像装置16を移動して測定しても良い。入射方向85に対して鏡面反射する方向に検出方向86をあわせることにより、レーザー光33が反射する場所を検出することができる。従って、被測定物104が鏡面反射する場合にも測定することができる。
【符号の説明】
【0112】
1…測定装置、11,97,104…被測定物、27…投光器としての照明装置、33…光としてのレーザー光、82…投光器としての照明装置モデル、101a…測定不可能場所。
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状測定方法にかかわり、特に、被測定物に光を照射して測定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
測定装置から光線を被測定物に照射して、被測定物からの反射光を検出することにより測定装置と被測定物との距離を測定する方法がある。この方法を用いて、被測定物と測定装置とを相対的に移動することにより被測定物の3次元形状を測定することが広く行われている。被測定物に照射する光が散乱反射するときと鏡面反射する場合がある。この反射状態に対応して測定する方法が特許文献1に開示されている。それによると、1つの場所に入射角の異なる2つの光線を照射している。そして、2つの受光系を配置している。被測定物の反射が散乱反射するときと鏡面反射するときとで光学系を使いわけることにより、反射光を受光するようにしていた。
【0003】
被測定物の形状を測定するとき、予め被測定物の目標となる形状が解っている場合がある。このとき、目標となる形状は被測定物を設計したときの形状データとして記憶されている。そして、製造工程では形状データに示された形状となるように被測定物が形成される。そして、加工した後、目標となる形状データに対する加工誤差を測定する検査が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−14935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被測定物において測定する面の向きは場所によって異なる場合がある。被測定物の表面粗さも場所によって異なる場合がある。このとき、測定する面の反射状態も被測定物の場所によって異なる。そして、被測定物の場所によって面の反射状態が異なる場合にも反射光を受光して面の位置が測定できる方法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
本適用例にかかる形状測定方法は、被測定物の形状を測定する形状測定方法であって、投光器から前記被測定物に光を照射し、前記被測定物から反射される反射光を受光器が受光するときの光の輝度を推定した受光推定輝度を演算する受光輝度推定工程と、前記被測定物に光を照射し、光が照射された場所の位置を検出する照射場所検出工程と、前記被測定物に光を照射する場所を移動する移動工程と、を有し、前記照射場所検出工程は、前記受光器が受光する光の輝度に応じた信号を出力し、前記信号を用いて光が照射された場所の位置を検出する光検出工程と、前記受光推定輝度を用いて、前記受光器が受光する光の輝度もしくは前記受光器が受光する時間を調整する受光調整工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
この形状測定方法によれば、被測定物に光を照射する場所を移動する。そして、光が照射された場所の位置を検出することにより被測定物の形状を測定している。光検出工程では、受光器が受光して信号を出力する。そして、信号を用いて光が照射された場所の位置を検出している。
【0009】
受光器が受光する光の輝度が低いとき、光のコントラストが低い為、光が照射された場所の位置を検出し難くなる。照射する光の光量が大きすぎるときには、光が照射された場所の周辺においても光の輝度が高くなる為、光が照射された場所の位置を検出し難くなる。
【0010】
受光輝度推定工程では被測定物から反射される反射光の輝度を推定した受光推定輝度を演算する。そして、受光調整工程では受光推定輝度を用いて、受光器が受光する光の輝度を調整する。従って、受光器は反射位置を検出し易い反射光を受光することができる。もしくは、受光調整工程では受光推定輝度を用いて、受光器が受光する時間を調整する。従って、受光器は反射位置を検出し易い信号を出力することができる。
【0011】
[適用例2]
上記適用例にかかる形状測定方法において、前記受光輝度推定工程では、前記被測定物の形状情報と反射特性とを用いて前記受光推定輝度を演算することを特徴とする。
【0012】
この形状測定方法によれば、被測定物の形状情報を用いることにより光が照射される面の向きがわかる。そして、反射特性を用いることにより反射する光の分布を推測することができる。従って、形状情報と反射特性とを用いることにより、反射する光の方向と分布とを推測することができる。
【0013】
[適用例3]
上記適用例にかかる形状測定方法において、前記受光調整工程では、前記投光器が照射する光量を調整することにより、前記受光器が受光する光の輝度を調整することを特徴とする。
【0014】
この形状測定方法によれば、投光器が照射する光量を調整する為、受光器が受光する反射光の輝度を測定し易い輝度にすることができる。
【0015】
[適用例4]
上記適用例にかかる形状測定方法において、前記照射場所検出工程では、前記投光器から帯状に光を照射することを特徴とする。
【0016】
この形状測定方法によれば、光が帯状に照射され、照射された場所の位置を検出することができる。その結果、一度に複数の場所の位置を検出することができる。
【0017】
[適用例5]
上記適用例にかかる形状測定方法において、前記被測定物が光透過性のとき、前記照射場所検出工程では照射する光が表面反射する方向から前記投光器が光を照射し、前記受光器は表面反射する光を受光することを特徴とする。
【0018】
この形状測定方法によれば、投光器は、光が表面反射する方向から光を照射する為、被測定物が光透過性のときにも、光を反射させることができる。そして、受光器は反射した光を用いて被測定物の形状を測定することができる。
【0019】
[適用例6]
上記適用例にかかる形状測定方法において、前記照射場所検出工程において、内部反射する光を用いるときには、表面反射する光が受光しない場所に前記受光器を配置することを特徴とする。
【0020】
この形状測定方法によれば、内部反射する光を用いて光が照射された場所を検出している。内部反射する光は表面反射する光よりも光量が小さい。測定する場所の近くで表面反射する光が受光器を照射することがある。このとき、内部反射する光を受光するように調整した受光器が表面反射する光を受光するとき、受光器は表面反射した光の影響を受ける。そして、光が照射された場所を示す信号を受光器が精度良く出力できない場合がある。表面反射する光が受光しない場所に受光器を配置することにより、受光器は精度良く光が照射された場所を検出することができる。
【0021】
[適用例7]
上記適用例にかかる形状測定方法において、前記受光輝度推定工程では、測定不可能場所を算出し、前記測定不可能場所を明示することを特徴とする。
【0022】
この形状測定方法によれば、測定不可能場所が明示される。そして、測定する前に測定不可能場所を確認できる。測定不可能場所がある場合には、測定したい場所を測定可能にする、投光器及び受光器に対する被測定物の姿勢を検討して確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態にかかわる測定装置の構成を示す概略斜視図。
【図2】照明装置を示す模式断面図。
【図3】測定方法を説明するための模式図。
【図4】測定装置の電気制御ブロック図。
【図5】形状を測定する測定工程を示すフローチャート。
【図6】測定装置を使った形状の測定方法を説明するための模式図。
【図7】測定装置を使った形状の測定方法を説明するための模式図。
【図8】測定装置を使った形状の測定方法を説明するための模式図。
【図9】第2の実施形態にかかわる測定方法を説明するための模式図。
【図10】第3の実施形態にかかわる測定方法を説明するための模式図。
【図11】第4の実施形態にかかわる測定方法を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、具体化した実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
【0025】
(第1の実施形態)
本実施形態において被測定物の形状を測定する特徴的な測定装置と、この測定装置を用いて、被測定物を測定する場合の例について図1〜図8に従って説明する。
【0026】
(測定装置)
まず、被測定物の形状を測定する測定装置について図1〜図4に従って説明する。図1は、測定装置の構成を示す概略斜視図である。図1に示すように、測定装置1は、直方体形状に形成された基台2を備えている。本実施形態では、この基台2の長手方向をY方向とし、水平面にてY方向と直交する方向をX方向とする。鉛直方向をZ方向とする。
【0027】
基台2の上面2aには、Y固定テーブル3が配置され、Y固定テーブル3の上面3aには、Y方向に延在する一対の案内レール4が、Y固定テーブル3のY方向全幅にわたり凸設されている。その案内レール4の上側には、一対の案内レール4に対応する図示しない直動機構を備えたステージとしてのYステージ5が取付けられている。そのYステージ5の直動機構は、例えば、案内レール4に沿ってY方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するY軸モーター6に連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号をY軸モーター6に入力すると、Y軸モーター6が正転または逆転して、Yステージ5が同ステップ数に相当する分だけ、Y方向に移動するようになっている。さらに、Y固定テーブル3の上面3aには、案内レール4と平行に図示しないYテーブル位置検出装置が配置され、Yステージ5の位置が測定できるようになっている。
【0028】
Yステージ5の上面5aには、X方向に延在する一対の案内レール7が、Yステージ5のX方向全幅にわたり凸設されている。その案内レール7の上側には、一対の案内レール7に対応する図示しない直動機構を備えたステージとしてのXステージ8が取付けられている。そのXステージ8の直動機構は、例えば、本実施形態では、Yステージ5が備える直動機構と同様の機構となっている。そして、その直動機構が備える駆動軸には、X軸モーター9が連結されている。所定のステップ数に相対する駆動信号をX軸モーター9に入力すると、X軸モーター9が正転または逆転して、Xステージ8が同ステップ数に相当する分だけ、X方向に移動するようになっている。
【0029】
Xステージ8の上面には、載置面10が形成され、その載置面10には、図示しない吸引式のチャック機構が設けられている。そして、載置面10には被測定物11が載置されている。操作者が被測定物11の位置を所定の位置に配置した後、チャック機構によって被測定物11が載置面10に固定されるようになっている。
【0030】
基台2の上面2aにおいて、図中右側には、略矩形のZ固定テーブル12が立設され、Z固定テーブル12において、Yステージ5側の側面には、図示しない一対の案内レールが、Z方向に配置されている。その案内レールにおいて、Yステージ5側には、一対の案内レールに対応する図示しない直動機構を備えたZステージ13が配置されている。そのZステージ13の直動機構は、例えば、本実施形態では、Yステージ5が備える直動機構と同様の機構となっている。そして、その直動機構が備える駆動軸には、Z軸モーター14が連結されている。
【0031】
Zステージ13のYステージ5側には門形に形成された支持部15が配置されている。支持部15の図中左側には一対の支持板15a,15bが撮像装置16を挟むように配置されている。撮像装置16は内部に固体撮像素子等からなるエリアセンサーを備え、エリアセンサーが撮像する画像を電気信号に変換して出力することが可能になっている。この固体撮像素子は受光する光の輝度と受光する時間とに応じて電荷を蓄積することにより、光の輝度を電圧信号として出力する。
【0032】
撮像装置16の下側には、撮像レンズ17が配置されている。そして、撮像装置16にはエリアセンサーに入射する光の波長や特性を限定する光学フィルターが配置されている。このフィルターは撮像する被測定物11や外光の状態に応じて変更することが可能になっており、予備実験で撮像しフィルターを選定するのが望ましい。
【0033】
支持板15aのX方向と逆の側にはカメラ角度モーター18が配置され、カメラ角度モーター18の回転軸は撮像装置16に固定されている。撮像装置16のX方向の面には軸が突設され、この軸を受ける軸受けが支持板15bに配置されている。そして、撮像装置16がカメラ角度モーター18の回転軸を中心に回転可能に配置されている。所定のステップ数に相当する駆動信号をカメラ角度モーター18に入力すると、カメラ角度モーター18が正転または逆転して、撮像装置16が同ステップ数に相当する分だけ、回転するようになっている。そして、この支持部15及びカメラ角度モーター18等により撮像方向変更部が構成されている。
【0034】
基台2の上面2aにおいて、図中左側には、照明用Z固定テーブル21が立設され、照明用Z固定テーブル21のYステージ5側の面にはZ方向に延在する一対の案内レール22が、照明用Z固定テーブル21のZ方向全幅にわたり凸設されている。その案内レール22のYステージ5側には、一対の案内レール22に対応する図示しない直動機構を備えたL字状の照射方向変更部としての照明用Zステージ23が取付けられている。その照明用Zステージ23の直動機構は、例えば、本実施形態では、Yステージ5が備える直動機構と同様の機構となっている。そして、その直動機構が備える駆動軸には、照射方向変更部としての照明用Z軸モーター24が連結されている。
【0035】
照明用Zステージ23のYステージ5側には、矩形の連結部23aが突出して形成されている。連結部23aのYステージ5側には略門形の照明支持部25が配置されている。そして、照明支持部25の中央には照明用Z固定テーブル21側に突出する矩形の連結部25aが形成されている。照明用Zステージ23の連結部23aのZ方向には照射方向変更部としての方位変更モーター26が配置されている。そして、照明用Zステージ23の連結部23aの基台2側には、照明支持部25の連結部25aが配置されている。そして、方位変更モーター26の本体は照明用Zステージ23に固定され、方位変更モーター26の回転軸は連結部25aと固定されている。そして、所定のステップ数に相対する駆動信号を方位変更モーター26に入力すると、方位変更モーター26が正転または逆転して、照明支持部25が同ステップ数に相当する分だけ、Z方向を中心にして回転するようになっている。
【0036】
照明支持部25の両端の間には投光器としての照明装置27が配置されている。照明装置27には光源と光学装置が配置されている。そして、照明装置27のYステージ5側に位置する投光面27aから帯状の光が被測定物11に向けて照射される。
【0037】
そして、照明支持部25の図中左側の1端には俯角変更モーター28が配置され、俯角変更モーター28の本体は照明支持部25に固定されている。そして、俯角変更モーター28の回転軸は照明装置27の側面27bに固定されている。所定のステップ数に相対する駆動信号を俯角変更モーター28に入力すると、俯角変更モーター28が正転または逆転して、照明装置27が同ステップ数に相当する分だけ、X方向を中心にして回転するようになっている。
【0038】
従って、照明装置27が照射する光の進行方向と水平方向とが成す角度は変更可能になっている。この角度の最適条件は、被測定物11の形状によって変わる可能性があるので、被測定物11を照射する光が撮像装置16によって撮像され易い角度に照明装置27の角度を調整する必要がある。従って、実際の被測定物11を用いた予備調整を実施して、最適な照射角度を調整することが望ましい。基台2のX方向には、制御装置29が配置され、この制御装置29が測定装置1を制御する。
【0039】
図2は、照明装置を示す模式断面図である。図2(a)は模式平断面図であり、図2(b)は模式側断面図である。図2に示すように、照明装置27はケース30を備えている。そして、ケース30の内部には支持台31を介してレーザー光源32が配置されている。レーザー光源32は内部に半導体レーザーを備え、半導体レーザーに電圧を印加することにより光としてのレーザー光33を発光する。
【0040】
レーザー光源32が発光するレーザー光33の光軸上には回転ミラー34が配置されている。回転ミラー34はミラー回転部35の回転軸に固定されている。そして、ミラー回転部35はケース30に配置されている。回転ミラー34は三角柱状に形成され、三角形の各辺に相当する場所が鏡になっている。そして、回転ミラー34のXY平面における断面は正三角形に形成されている。その正三角形の重心を通って、Z方向にミラー回転部35の回転軸が配置されている。従って、回転ミラー34はZ方向を軸に回転する。回転ミラー34が回転するとき、回転ミラー34を照射するレーザー光33はXY平面方向に反射される。
【0041】
レーザー光源32及び回転ミラー34のX方向には凹面鏡36が配置されている。そして、回転ミラー34にて反射したレーザー光33は凹面鏡36を照射する。凹面鏡36を照射するレーザー光33がY方向と逆の方向に進行するように凹面鏡36が形成されている。回転ミラー34が回転することにより凹面鏡36にはXY平面上で放射状に広がるレーザー光33が照射される。そして、凹面鏡36で反射したレーザー光33は帯状となって図中右の方向に進行する。
【0042】
凹面鏡36の図中右側にはマスク37及びフィルター38が配置されている。そして、レーザー光33はマスク37を通過した後、フィルター38を通過する。マスク37にはレーザー光33の一部を遮光してスリットの機能を有する図形が形成され、マスク37を通過したレーザー光33はマスク37に形成された図形に対応する光度分布となる。
【0043】
マスク37を通過したレーザー光33はフィルター38を通過する。フィルター38はレーザー光33に対して光の波長の分布を変更したり、光の偏光特性を変更する光学素子である。フィルター38は、撮像装置16が鮮明な画像を撮像し易い光にするために配置する。従って、撮像装置16の特性に合わせて設定するのが望ましい。そして、フィルター38を通過したレーザー光33は照明装置27の外に出射し、X方向に走査しながら被測定物11及び載置面10に向かって進行する。
【0044】
図3は、測定方法を説明するための模式図である。図3(a)に示すように、載置面10に対して斜めの方向から帯状のレーザー光33を照射する。被測定物11においてレーザー光33が照射された場所ではレーザー光33が反射する。このとき、被測定物11には凹凸の形状が形成されているので、この形状に応じた反射パターンが形成される。
【0045】
図3(b)は、図3(a)のA−A’側から見た模式側面図である。図3(b)に示すように、被測定物11に対して図中左上の照明装置27からレーザー光33を照射する。照射されたレーザー光33は被測定物11の表面にて反射する。被測定物11が反射するレーザー光33の一部を撮像装置16が撮像する。照明装置27と撮像装置16とが配置された場所の位置情報は予め既知となっている。さらに、照明装置27から照射されるレーザー光33が進行する角度も予め既知となっている。撮像装置16が撮像する画像を解析することにより、被測定物11が反射するレーザー光33が進行する角度を検出することができる。そして、三角測量法を用いることにより、被測定物11に照射されたレーザー光33が反射する場所の座標を検出することができる。
【0046】
図3(c)は、撮像装置が被測定物を撮像する時の撮影画像の模式図である。図3(c)に示すように、撮影画像39には載置面画像40、被測定物画像41、レーザー光画像42が撮像されている。載置面画像40は、載置面10が撮像された画像である。被測定物画像41は被測定物11が撮像された画像である。そして、レーザー光画像42は、載置面画像40及び被測定物画像41において反射するレーザー光33が撮像された画像である。
【0047】
被測定物11の凹凸形状に応じてレーザー光33が反射するY方向の場所が異なるので、撮影画像39においても被測定物11の凹凸形状に応じてレーザー光画像42のY方向の場所が異なっている。被測定物11において照明装置27に近い場所をレーザー光33が照射するとき、レーザー光画像42は図中左側に位置する。逆に、被測定物11において照明装置27から離れた場所をレーザー光33が照射するとき、レーザー光画像42は図中右側に位置する。そして、レーザー光画像42のY方向の場所からレーザー光33が照射された場所を検出することが可能になっている。つまり、被測定物11が反射するレーザー光33が進行する角度に対応して、レーザー光画像42が検出される場所がかわる。従って、レーザー光画像42の場所を検出することにより、被測定物11においてレーザー光33が反射する場所の座標を検出することが可能になっている。
【0048】
図4は、測定装置の電気制御ブロック図である。図4において、制御装置29はプロセッサーとして各種の演算処理を行うCPU(中央処理装置)45と、各種情報を記憶する記憶部としてのメモリー46とを有する。
【0049】
Xステージ駆動装置47、Xステージ位置検出装置48、Yステージ駆動装置49、Yステージ位置検出装置50は、入出力インターフェース51及びデータバス52を介してCPU45に接続されている。さらに、Zステージ駆動装置53、Zステージ位置検出装置54、カメラ角度モーター駆動装置55も入出力インターフェース51及びデータバス52を介してCPU45に接続されている。さらに、撮像装置16、フォーカス装置56、照明用Zステージ駆動装置57、照明用Zステージ位置検出装置58、も入出力インターフェース51及びデータバス52を介してCPU45に接続されている。さらに、方位モーター駆動装置59、俯角モーター駆動装置60、照明装置27、入力装置61、表示装置62も入出力インターフェース51及びデータバス52を介してCPU45に接続されている。
【0050】
Xステージ駆動装置47は、X軸モーター9を駆動して、Xステージ8の移動を制御する装置であり、Xステージ位置検出装置48は、Xステージ8のX方向の位置を検出する装置である。同様に、Yステージ駆動装置49は、Y軸モーター6を駆動してYステージ5の移動を制御する装置であり、Yステージ位置検出装置50は、Yステージ5のY方向の位置を検出する装置である。Xステージ位置検出装置48及びYステージ位置検出装置50が、Xステージ8のX方向及びYステージ5のY方向の位置を検出した後、Xステージ駆動装置47及びYステージ駆動装置49が、Xステージ8及びYステージ5を移動させることにより、制御装置29は載置面10に搭載された被測定物11を所望の位置に移動して停止することができる。
【0051】
Zステージ駆動装置53は、Z軸モーター14を駆動して、Zステージ13の移動を制御する装置であり、Zステージ位置検出装置54は、Zステージ13のZ方向の位置を検出する装置である。Zステージ位置検出装置54が、Zステージ13のZ方向の位置を検出した後、Zステージ駆動装置53がZステージ13を駆動することにより、Zステージ13を所望の位置に移動して停止することが可能になっている。そして、Zステージ13は支持部15を介して撮像装置16に配置されているので、撮像装置16と被測定物11との距離が所望の距離になる場所にZステージ駆動装置53は撮像装置16を移動させて停止させることができる。
【0052】
カメラ角度モーター駆動装置55はカメラ角度モーター18を駆動する装置である。カメラ角度モーター18の回転軸は撮像装置16に固定されている。そして、カメラ角度モーター駆動装置55はカメラ角度モーター18を駆動することにより、撮像装置16と載置面10との成す角度を変更できる。
【0053】
撮像装置16は撮像した画像をデジタル信号に変換する変換回路を内蔵しており、画像の情報をデジタル信号にして送信する。そして、CPU45から画像を撮像する指示信号を受信すると、画像を撮像した後、その画像のデジタル信号をメモリー46へ送信する。メモリー46は画像のデジタル信号を記憶する。
【0054】
フォーカス装置56は、撮像レンズ17により投影される画像の焦点が撮像装置16のエリアセンサーにあうように、フォーカス調整を行う装置である。CPU45の指示により、フォーカス装置56は画像の焦点が合う場所を変更する。
【0055】
照明用Zステージ駆動装置57は、照明用Z軸モーター24を駆動して照明用Zステージ23の場所を制御する装置であり、照明用Zステージ位置検出装置58は、照明用Zステージ23のZ方向の位置を検出する装置である。照明用Zステージ位置検出装置58が、照明用Zステージ23のZ方向の位置を検出した後、照明用Zステージ駆動装置57が照明用Zステージ23を駆動することにより、照明用Zステージ駆動装置57は照明用Zステージ23を所望の位置に移動させて停止させることができる。そして、照明用Zステージ23は照明支持部25を介して照明装置27に配置されているので、照明装置27と載置面10との距離が所望の距離になる場所に照明用Zステージ駆動装置57が照明装置27を移動させて停止させることができる。
【0056】
方位モーター駆動装置59は方位変更モーター26を駆動して、照明支持部25がレーザー光33を照射する角度を制御する装置である。方位変更モーター26の駆動軸には照明支持部25が配置されているので、方位モーター駆動装置59が方位変更モーター26を駆動することにより、水平面上の所望の角度から光を照射することが可能になっている。そして、例えば、被測定物11の凹凸に合わせて照明用方位変更モーター19を回転させることにより、撮像装置16が撮像可能な方向からレーザー光33を照射するように調整することができる。しかし、調整する頻度が少ない場合には、手動で調整するような機構に変更しても良い。調整する必要がない場合には方位モーター駆動装置59及び方位変更モーター26を省いても良い。
【0057】
俯角モーター駆動装置60は、俯角変更モーター28を駆動して照明装置27の角度を制御する装置である。俯角モーター駆動装置60が俯角変更モーター28を駆動することにより、被測定物11に対して所望の角度からレーザー光33を照射することが可能になっている。そして、照明用Zステージ駆動装置57が照明装置27の高さを制御して、俯角モーター駆動装置60がレーザー光33の角度を制御する。これにより、照明装置27は被測定物11の所望の場所に所望の角度でレーザー光33を照射することが可能になっている。そして、被測定物11にレーザー光33を照射するときの反射状況に応じて、被測定物11に照射する角度や場所をCPU45が変更可能になっている。しかし、被測定物11の反射状況が一定であり、調整する頻度が少ない場合には、手動で調整するような機構に変更しても良い。
【0058】
この角度の最適条件は、被測定物11の形状、材質、表面粗さ等の条件によって変わる可能性があるので、異なる材質や製造工程の被測定物11を検査するとき、被測定物11を照射する光が撮像装置16によって撮像され易い角度に照明装置27の角度を調整する必要がある。従って、実際の被測定物11を用いた予備調整を実施して、最適な照射角度を調整することが望ましい。
【0059】
照明装置27はレーザー光33を照射する装置である。照明装置27は出力調整部を有し、CPU45が出力する指示信号に従って、照明装置27は照射する光の強度を切り換えることが可能になっている。そして、照明装置27は照射する光の強度を検出する手段と検出した光の強度をCPU45に送信する機能を備えている。
【0060】
入力装置61は、被測定物11の形状や反射状態に関する各種データを入力する装置である。入力装置61は、例えば、被測定物11の形状を測定する手順を入力する装置である。表示装置62は、測定条件や作業状況を表示する装置であり、操作者は、表示装置62に表示される情報を基に、入力装置61を用いて入力操作を行う。
【0061】
メモリー46は、RAM、ROM等といった半導体メモリーや、ハードディスク、CD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、測定装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト65を記憶する記憶領域が設定される。さらに、測定装置1が検査する場所を示す検査位置データ66を記憶するための記憶領域も設定される。他にも、照明装置27が照射するレーザー光33の光量の条件である照射条件データ67を記憶するための記憶領域が設定される。さらに、撮像装置16が撮像した画像のデータである撮像データ68を記憶するための記憶領域も設定される。さらに、形状を測定した測定結果のデータである測定データ69や、検査した後に良否判断するときの判定値等のデータである良否判定値データ70等の記憶領域を記憶するための記憶領域が設定される。他にも、CPU45のためのワークエリアやテンポラリーファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域が設定される。
【0062】
CPU45は、メモリー46内に記憶されたプログラムソフト65に従って、被測定物11の形状を検査する制御を行うものである。具体的な機能実現部として、被測定物11から反射するレーザー光33の輝度をシミュレーションする輝度推測演算部71を有する。さらに、ステージの移動を制御するための演算を行うステージ制御部72を有する。他にも、撮像するタイミングや撮像する角度を演算して、撮像装置16を制御する撮像制御部73を有する。他にも、最適な光量のレーザー光33を照射するように、照明装置27を制御する照明制御部74を有する。さらに、照明装置27が照射するレーザー光33の角度を制御する照明角度制御部75を有する。他にも、撮像装置16が撮像した画像からレーザー光33が照射された場所の座標を演算し、被測定物11の形状を演算する形状演算部76を有する。加えて、測定データ69と良否判定値データ70とを比較して被測定物11の良否を判断する不良検出部としての不良検出演算部77等を有する。
【0063】
(測定方法)
次に、上述した測定装置1を使って、被測定物11の形状を測定する測定方法について図5〜図8にて説明する。図5は、形状を測定する測定工程を示すフローチャートである。図6〜図8は、測定装置を使った形状の測定方法を説明するための模式図である。
【0064】
図5において、ステップS1は受光輝度推定工程に相当し、被測定物から反射されたレーザー光を撮像装置が受光するときのレーザー光の輝度を推定する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は、被測定物配置工程に相当し、載置面に被測定物を配置して固定する工程である。次にステップS3及びステップS4に移行する。ステップS3は、移動工程に相当し、Xテーブル及びYテーブルを駆動して、レーザー光を照射する場所を移動する工程である。次にステップS7に移行する。ステップS4は、受光調整工程に相当し、撮像装置が受光する輝度が略同じ輝度となるように照明装置が照射するレーザー光の光量を調整する工程である。次にステップS5に移行する。
【0065】
ステップS5は、光検出工程に相当し、被測定物にレーザー光を照射し、照射された場所の画像を撮像する工程である。そして、レーザー光が照射された場所の座標を検出する。次にステップS6に移行する。ステップS6は、形状演算工程に相当し、検出した被測定物の座標のデータを用いて被測定物の形状を演算する工程である。ステップS4〜ステップS6のステップはステップS11の照射場所検出工程に相当し、レーザー光が照射されている場所の位置を検出する工程である。ステップS3はステップS4、ステップS5、ステップS6と並行して行われる。次にステップS7に移行する。
【0066】
ステップS7は、測定終了確認工程に相当し、測定する予定の場所を総て測定したかを判断する工程である。まだ測定していない場所があるとき、ステップS3及びステップS4に移行する。予定した総ての場所を測定したとき、ステップS8に移行する。ステップS8は、良否判断工程に相当し、測定した形状データと良否判定値データとを比較して、正常か不良かを判断する工程である。次にステップS9に移行する。ステップS9は、被測定物除去工程に相当し、載置面から被測定物を除去する工程である。以上の工程により形状を測定する測定工程を終了する。
【0067】
次に、図6〜図8を用いて、図5に示したステップと対応させて、測定方法を詳細に説明する。図6及び図7(a)はステップS1の受光輝度推定工程に対応する図である。ステップS1では、制御装置29の輝度推測演算部71が被測定物11にレーザー光33を照射するシミュレーションを行う。そして、撮像装置16が受光するレーザー光33の輝度を輝度推測演算部71が推定する。図6(a)に示すように、被測定物11に相当する被測定物モデル80を設定する。被測定物モデル80の形状は被測定物11の形状を設計するときのデータを用いて設定することができる。図6(a)は被測定物モデル80において中心を通るY方向の線にて切断したときの断面形状を示している。
【0068】
被測定物モデル80の下にはステージモデル81を配置し、被測定物モデル80及びステージモデル81が共にY方向に移動する。そして、被測定物モデル80の図中左上に投光器としての照明装置モデル82を配置し、図中右上に撮像装置モデル83を配置する。そして、照明装置モデル82から光線84を照射するとき、撮像装置モデル83が受光する受光推定輝度を輝度推測演算部71が演算する。この演算は被測定物モデル80において光線84を照射可能な総ての面に対して行われる。
【0069】
被測定物モデル80上に第1地点80a〜第5地点80eの5つの地点を設定し、その地点での反射について説明する。図6(b)は第1地点80aに照明装置モデル82から光線84が照射されたときの様子を示している。入射方向85は光線84が照射される方向であり、図中左上から右下に向かっている。検出方向86は撮像装置モデル83が配置されている方向であり、図中右上を向く方向に設定されている。尚、この方向の設定は照射条件に合わせて変えることができる。
【0070】
第1反射分布87aは第1地点80aに光線84が照射されたときの反射光の分布を示している。入射方向85の入射角88と反射角89が同じ角度の方向を表面反射方向90とするとき、表面反射方向90に表面反射が行われる。表面反射は被測定物モデル80の表面における表面粗さが小さくなる程大きな輝度となる。そして、被測定物モデル80の表面が鏡面のとき反射光の輝度は最大になる。
【0071】
また、被測定物モデル80に光線84が照射されるとき、全方向に内部反射(拡散反射とも言われる)が行われる。内部反射は表面反射に比べて小さな輝度分布となることが多い。表面反射は内部反射より輝度が大きいので、反射分布は表面反射方向90の輝度が大きくなることが多い。そして、第1反射分布87aは表面反射と内部反射とによる輝度を加算して算出される。被測定物11にレーザー光33を照射したときの反射分布データを予め測定し、その反射分布データをメモリー46に記憶する。そして、輝度推測演算部71は反射分布データを用いることにより、第1反射分布87aを推定することができる。反射分布は実測データを用いる方法に限らず、被測定物モデル80の材質や表面粗さ等の条件から推定する方法を採用しても良い。
【0072】
次に、輝度推測演算部71は第1反射分布87aにおける検出方向86の輝度推定データである受光推定輝度を演算する。そして、輝度推測演算部71は演算結果をメモリー46に記憶する。
【0073】
図6(c)〜図6(f)はそれぞれ第2地点80b〜第5地点80eに照明装置モデル82から光線84が照射されたときの様子を示している。第2地点80b〜第5地点80eでの反射分布を第2反射分布87b〜第5反射分布87eとする。各反射分布は光線84が照射される面の向きと反射特性により様々な形態となっている。従って、検出方向86における受光推定輝度も場所により様々な輝度となる。輝度推測演算部71は第2反射分布87b〜第5反射分布87eにおける検出方向86の輝度推定データである受光推定輝度を演算する。そして、輝度推測演算部71は演算結果をメモリー46に記憶する。
【0074】
図7(a)は受光推定輝度の分布と照明装置が出力するレーザー光における光量設定の分布のグラフを示している。図中上段には受光推定輝度の分布を示し縦軸が輝度を示し、上側は下側より輝度が高くなっている。横軸には被測定物モデルにおける場所を示し、図中左側がY方向を示している。そして、輝度推定線91は、被測定物モデル80において図6(a)に示す断面形状の上面から反射する光を撮像装置モデル83が受光する光の受光推定輝度の分布を示している。輝度推定線91は輝度推測演算部71が演算した分布である。
【0075】
横軸に示す各地点によって輝度が異なっている。輝度は各地点における面の角度及び反射特性により算出される。第3地点80cでは被測定物モデル80で反射する光線84の進行方向が検出方向86と近い方向であるので、輝度推定線91の輝度が大きくなっている。第1地点80a及び第5地点80eでは被測定物モデル80で反射する光線84の進行方向が検出方向86と離れた方向であるので、輝度推定線91の輝度が小さくなっている。このように、輝度推測演算部71は被測定物モデル80の各場所において撮像装置モデル83が受光する輝度を演算する。
【0076】
次に、輝度推測演算部71は撮像装置モデル83が受光する光の輝度が略同じ輝度とするために、照明装置モデル82が照射する光の光量を演算する。光量分布線92は演算した分布を示す線である。このとき、輝度推測演算部71は輝度推定線91を参照して演算する。輝度推定線91の輝度が小さい場所では、照明装置モデル82が照射する光量を大きくする。例えば、第3地点80cを照射するときの光量を小さくして、第1地点80a及び第5地点80eを照射するときの光量を大きくする。このように、輝度推測演算部71は被測定物モデル80の各場所において照明装置モデル82が照射する光の光量を演算する。そして、輝度推測演算部71は演算結果を照射条件データ67としてメモリー46に記憶する。
【0077】
図7(b)はステップS2の被測定物配置工程に対応する図である。図7(b)に示すように、ステップS2において、載置面10に被測定物11を載置する。載置面10には予め位置合わせ用の印を配置しておき、この印を用いて被測定物11を所定の位置に設定する。次に、Xステージ8に搭載されたチャック機構を作動させることにより、制御装置29は被測定物11を載置面10に固定させる。続いて、制御装置29はYステージ5及びXステージ8を駆動させて、撮像装置16に被測定物11を撮像させる。そして、制御装置29は載置面10における被測定物11の位置を検出する。
【0078】
図7(c)及び図8はステップS3の移動工程〜ステップS6の形状演算工程に対応する図である。図7(c)に示すように、ステップS3において、ステージ制御部72はYステージ5を駆動させることにより、被測定物11をY方向に移動させる。そして、ステージ制御部72はレーザー光33が照射される場所を移動させる。
【0079】
ステップS3にて被測定物11が移動される間に、ステップS4、ステップS5、ステップS6が行われる。まず、ステップS4の受光調整工程において、照明装置27によって照射されるレーザー光33の光量を照明制御部74が調整する。この光量は光量分布線92に相当する照射条件データ67を用いて調整される。照射条件データ67はステップS1にて輝度推測演算部71が演算してメモリー46に記憶したデータである。
【0080】
ステップS5において照明制御部74は調整した光量のレーザー光33を照明装置27に照射させる。このレーザー光33は帯状の光となっている。そして、照明装置27が照射したレーザー光33は被測定物11を照射し、各場所における反射分布にて反射する。次に、被測定物11から反射されたレーザー光33を撮像装置16が受光する。撮像制御部73は撮像装置16に被測定物11に照射されたレーザー光33による反射パターンを撮像させる。そして、撮像制御部73は撮像した画像を撮像データ68としてメモリー46に記憶させる。このとき、ステージ制御部72は撮像したときのYステージ5及びXステージ8の位置データをメモリー46に記憶させる。
【0081】
次に、形状演算部76は撮像データ68とYステージ5及びXステージ8の位置データとを用いて、レーザー光33が照射された場所の座標を演算する。そして、形状演算部76は演算した座標を用いて被測定物11の形状を演算する。
【0082】
図8は、撮像装置16が受光したレーザー光33の輝度分布と形状演算部76が演算した被測定物11の断面形状の例を示している。図中上段において、縦軸は輝度を示し、上側は下側より輝度が高くなっている。横軸には載置面10の場所を示し、図中左側がY方向を示している。そして、受光輝度線93は、被測定物11において反射するレーザー光33を撮像装置16が受光したときのレーザー光33の輝度分布を示している。そして、受光輝度線93が示すように撮像装置16が受光するレーザー光33の輝度は輝度推定線91に比べて変動が小さくなる。
【0083】
図中下段において、縦軸は載置面10からの高さを示し、上側は下側より高い場所を示す。横軸には載置面10の場所を示し、図中左側がY方向を示している。そして、形状線94は照明角度制御部75が演算した計測結果を示している。形状線94は被測定物11の断面の1つを示している。形状演算部76は被測定物11の各場所における座標データを算出するので、各場所における断面形状を算出することができる。
【0084】
ステップS7の測定終了確認工程において、被測定物11において予定した総ての場所を測定したと判断したとき、ステップS8に移行する。そして、ステップS8において、設計した形状と測定した形状とを比較する。そして、設計した形状と測定した形状との差が予め設定した判定値内であるか、判定値より大きいかを演算する。そして、この差が判定値より大きいとき不良と判断する。次に、ステップS9の被測定物除去工程においてXステージ8のチャック機構の作動を停止する。そして、被測定物11を載置面10から除去する。以上の工程により形状を測定する測定工程を終了する。
【0085】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ステップS1の受光輝度推定工程において被測定物モデル80から反射される受光推定輝度を演算する。そして、ステップS4の受光調整工程では受光推定輝度のデータを用いて、照明装置27が照射するレーザー光33の光量を調整する。従って、撮像装置16は反射位置を検出し易い輝度のレーザー光33を受光することができる。
【0086】
(2)本実施形態によれば、被測定物11の形状情報を用いることによりレーザー光33が照射される面の傾きがわかる。そして、反射特性を用いることにより反射するレーザー光33の分布を推測することができる。従って、形状情報と反射特性とを用いることにより、反射するレーザー光33の方向と分布とを推測することができる。
【0087】
(3)本実施形態によれば、照明装置27が照射するレーザー光33の光量を調整する為、撮像装置16が受光する反射光の輝度を調整することができる。また、照明装置27には半導体レーザーが用いられている。半導体レーザーは入力する電力に応じて応答性良く光量を調整することができる為、撮像装置16は精度よく制御された輝度のレーザー光33を受光することができる。
【0088】
(4)本実施形態によれば、レーザー光33が帯状に照射され、照射された場所の座標を測定している。従って、一度に複数の場所の座標を測定することができる。
【0089】
(第2の実施形態)
次に、形状の測定方法の一実施形態について図9の測定方法を説明するための模式図を用いて説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、測定できない場所を表示部が明示する点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0090】
すなわち、本実施形態では、図9に示したように被測定物97にはスリット状の凹部97aが形成されている。そして、載置面10に対して斜めの方向から帯状のレーザー光33を照射する。被測定物97においてレーザー光33が照射された場所ではレーザー光33が反射する。このとき、被測定物97の凹部97aでは撮像装置16の方向に反射しないので、測定装置1は凹部97aの形状を測定することができない。
【0091】
図9(b)は被測定物のB−B’線における断面形状と受光推定輝度とを示すグラフである。図中上段の縦軸には載置面10からの高さを示し、上側が下側より高くなっている。横軸は場所を示し、図中左側がY方向になっている。形状線98は被測定物97の形状を示す線である。そして、形状線98の凹部98aは被測定物97の凹部97aと対応する形状となっている。
【0092】
図中下段の縦軸には輝度を示し、上側が下側より輝度が高くなっている。そして、輝度推定線99は、輝度推測演算部71が演算した受光推定輝度の分布を示している。輝度推定線99において凹部98aに対応する場所では反射光が撮像装置16の方向に進行しない為、輝度が略零となる。この範囲を非測定範囲99aとする。
【0093】
図9(c)に示すように、表示装置62の画面100には被測定物像101が表示されている。被測定物像101は被測定物97の設計情報から形成した像である。そして、被測定物像101には測定不可能場所101aが表示されている。測定不可能場所101aは非測定範囲99aに相当する場所であり、反射光が撮像装置16の方向に進行しない場所となっている。
【0094】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、測定可能場所と測定不可能場所101aとが明示される。従って、測定する前に測定可能場所と測定不可能場所とを確認することができる。そして、照明装置27及び撮像装置16に対する被測定物97の角度を変更する等の方法を検討することができる。
【0095】
(第3の実施形態)
次に、形状の測定方法の一実施形態について図10の測定方法を説明するための模式図を用いて説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、被測定物に対する照明装置27及び撮像装置16の角度を変更して測定する点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0096】
すなわち、本実施形態において被測定物104は、光透過性の材料によって形成されている。そして、被測定物104にレーザー光33を照射するとき、入射角88及び反射角89を大きくする。そして、入射方向85から進行するレーザー光33が表面反射した後、検出方向86に進行するように照明装置27及び撮像装置16を設定する。
【0097】
被測定物104にレーザー光33を照射する面の向きは測定する場所によって異なっている。従って、測定する場所の面の向きに応じて、照明装置27及び撮像装置16の位置を変える。そして、測定する面の向きに応じて入射方向85及び検出方向86を変えることより、撮像装置16が受光する反射光の輝度を確保しながら測定する。
【0098】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、レーザー光33が表面反射する向きに光を照射する為、被測定物が光透過性のときにも、光を反射させることができる。
【0099】
(2)本実施形態によれば、レーザー光33が表面反射した後進行する方向に検出方向86を合わせて測定している。従って、反射光の輝度を確保しながら測定することができる。
【0100】
(第4の実施形態)
次に、形状の測定方法の一実施形態について図11の測定方法を説明するための模式図を用いて説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、被測定物に対する照明装置27及び撮像装置16の角度を変更して測定する点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0101】
すなわち、本実施形態において被測定物11の表面において内部反射と表面反射とによりレーザー光33が反射される。表面反射によるレーザー光33を表面反射光105とする。撮像制御部73は表面反射光105が進行しない場所に撮像装置16を移動させる。従って、撮像装置16は内部反射する光を受光し、表面反射光105を受光しない。
【0102】
ステップS1の受光輝度推定工程では、被測定物11にレーザー光33を照射する面の向きを考慮して照明装置27と撮像装置16との位置を設定する。そして、輝度推測演算部71は、その設定した照明装置27と撮像装置16との位置における反射光の輝度を演算し、照明装置27が照射するレーザー光33の光量を演算する。ステップS4の受光調整工程では、演算された光量のレーザー光33が出力されるように照明装置27を調整する。そして、ステップS5の光検出工程では、照明装置27及び撮像装置16を移動させることにより、撮像装置16が表面反射光105を受光しないようにする。
【0103】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、内部反射するレーザー光33を用いてレーザー光33が照射された場所を検出している。内部反射するレーザー光33は表面反射するレーザー光33よりも輝度が小さい。そして、内部反射するレーザー光33を受光するように調整した撮像装置16が表面反射するレーザー光33を受光するとき、レーザー光33が照射された場所を示す画像信号を撮像装置16が精度良く出力できない場合がある。表面反射するレーザー光33が受光しない場所に撮像装置16を配置することにより、撮像装置16は精度良くレーザー光33が照射された場所を検出することができる。
【0104】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、レーザー光源32が照射するレーザー光33の光量を調整した。撮像装置16が受光するレーザー光33の輝度を調整する方法はこれに限定されない。例えば、照明装置27に光量を調整する光学調整部を配置しても良い。光学調整部は偏光板を2枚平行に配置して、各偏光板の偏光方向を変えることにより透過する光量を調整することができる。この光学調整部は撮像装置16に配置しても良い。
【0105】
他にも、撮像装置16に光学の絞り機構を配置しても良い。そして、受光する輝度に対応して絞りを調整しても良い。他にも、撮像装置16が備える固体撮像素子が受光する時間を調整しても良い。固体撮像素子は所定の時間内に照射された光の輝度を時間積分した量に比例した電気信号を出力する。従って、撮像装置16が受光するレーザー光33の輝度が大きいときには、時間積分する時間を短くすることにより、撮像装置16は被測定物11においてレーザー光33が照射された場所を鮮明に撮像することができる。
【0106】
(変形例2)
前記第1の実施形態では、照明装置27は帯状のレーザー光33を照射したが、線状のレーザー光33を照射しても良い。そして、Xステージ8を走査しながら、被測定物11にレーザー光33を照射しても良い。照明装置27の構造を簡便にすることができるので、測定装置1を生産性良く製造することができる。
【0107】
(変形例3)
前記第1の実施形態では、照明装置27の内部にレーザー光源32を配置してレーザー光33を被測定物11に照射した。照明装置27から照射する光はレーザー光33に限定しなくとも良い。レンズ及び鏡等からなる光学系を用いて平行光を形成して照射しても良い。レーザー光源32に比べて、レーザー光でない発光ダイオード等の光源の方が発光素子の構造が簡便な為、生産性良く光源を製造することができる。
【0108】
(変形例4)
前記第1の実施形態では、撮像装置16は内部に固体撮像素子等からなるエリアセンサーを備えていた。この固体撮像素子は受光する光の輝度を電圧信号として出力した。固体撮像素子はこれに限らず、受光する光の場所に応じて電圧を出力する素子を用いても良い。この場合にも、被測定物11においてレーザー光33が反射した場所を検出することができる。
【0109】
(変形例5)
前記第1の実施形態では、制御装置29がXステージ8及びYステージ5を駆動することにより、被測定物11を移動した。これに限らず、被測定物11が静止した状態にして、照明装置27及び撮像装置16を移動しても良い。この場合にも被測定物11にレーザー光33を照射する場所を移動することができる。
【0110】
(変形例6)
前記第1の実施形態では、ステップS1の受光輝度推定工程にて照明装置27が照射するレーザー光33の光量分布を演算した。照明装置27が照射するレーザー光33の光量分布はステップS4の受光調整工程にて演算しても良い。演算速度が速い場合には、照明制御部74が照射光量を演算しながらレーザー光33を照射しても良い。
【0111】
(変形例7)
前記第3の実施形態では、被測定物104が光透過性の材料からなる場合を示した。被測定物104が鏡面反射する場合にも、照明装置27及び撮像装置16を移動して測定しても良い。入射方向85に対して鏡面反射する方向に検出方向86をあわせることにより、レーザー光33が反射する場所を検出することができる。従って、被測定物104が鏡面反射する場合にも測定することができる。
【符号の説明】
【0112】
1…測定装置、11,97,104…被測定物、27…投光器としての照明装置、33…光としてのレーザー光、82…投光器としての照明装置モデル、101a…測定不可能場所。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の形状を測定する形状測定方法であって、
投光器から前記被測定物に光を照射し、前記被測定物から反射される反射光を受光器が受光するときの光の輝度を推定した受光推定輝度を演算する受光輝度推定工程と、
前記被測定物に光を照射し、光が照射された場所の位置を検出する照射場所検出工程と、
前記被測定物に光を照射する場所を移動する移動工程と、を有し、
前記照射場所検出工程は、前記受光器が受光する光の輝度に応じた信号を出力し、前記信号を用いて光が照射された場所の位置を検出する光検出工程と、
前記受光推定輝度を用いて、前記受光器が受光する光の輝度もしくは前記受光器が受光する時間を調整する受光調整工程と、を有することを特徴とする形状測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の形状測定方法であって、
前記受光輝度推定工程では、前記被測定物の形状情報と反射特性とを用いて前記受光推定輝度を演算することを特徴とする形状測定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の形状測定方法であって、
前記受光調整工程では、前記投光器が照射する光量を調整することにより、前記受光器が受光する光の輝度を調整することを特徴とする形状測定方法。
【請求項4】
請求項3に記載の形状測定方法であって、
前記照射場所検出工程では、前記投光器から帯状に光を照射することを特徴とする形状測定方法。
【請求項5】
請求項4に記載の形状測定方法であって、
前記被測定物が光透過性のとき、前記照射場所検出工程では照射する光が表面反射する方向から前記投光器が光を照射し、前記受光器は表面反射する光を受光することを特徴とする形状測定方法。
【請求項6】
請求項4に記載の形状測定方法であって、
前記照射場所検出工程において、内部反射する光を用いるときには、表面反射する光が受光しない場所に前記受光器を配置することを特徴とする形状測定方法。
【請求項7】
請求項4に記載の形状測定方法であって、
前記受光輝度推定工程では、測定不可能場所を算出し、前記測定不可能場所を明示することを特徴とする形状測定方法。
【請求項1】
被測定物の形状を測定する形状測定方法であって、
投光器から前記被測定物に光を照射し、前記被測定物から反射される反射光を受光器が受光するときの光の輝度を推定した受光推定輝度を演算する受光輝度推定工程と、
前記被測定物に光を照射し、光が照射された場所の位置を検出する照射場所検出工程と、
前記被測定物に光を照射する場所を移動する移動工程と、を有し、
前記照射場所検出工程は、前記受光器が受光する光の輝度に応じた信号を出力し、前記信号を用いて光が照射された場所の位置を検出する光検出工程と、
前記受光推定輝度を用いて、前記受光器が受光する光の輝度もしくは前記受光器が受光する時間を調整する受光調整工程と、を有することを特徴とする形状測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の形状測定方法であって、
前記受光輝度推定工程では、前記被測定物の形状情報と反射特性とを用いて前記受光推定輝度を演算することを特徴とする形状測定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の形状測定方法であって、
前記受光調整工程では、前記投光器が照射する光量を調整することにより、前記受光器が受光する光の輝度を調整することを特徴とする形状測定方法。
【請求項4】
請求項3に記載の形状測定方法であって、
前記照射場所検出工程では、前記投光器から帯状に光を照射することを特徴とする形状測定方法。
【請求項5】
請求項4に記載の形状測定方法であって、
前記被測定物が光透過性のとき、前記照射場所検出工程では照射する光が表面反射する方向から前記投光器が光を照射し、前記受光器は表面反射する光を受光することを特徴とする形状測定方法。
【請求項6】
請求項4に記載の形状測定方法であって、
前記照射場所検出工程において、内部反射する光を用いるときには、表面反射する光が受光しない場所に前記受光器を配置することを特徴とする形状測定方法。
【請求項7】
請求項4に記載の形状測定方法であって、
前記受光輝度推定工程では、測定不可能場所を算出し、前記測定不可能場所を明示することを特徴とする形状測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−256151(P2010−256151A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106041(P2009−106041)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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