説明

情報提供システム及び情報提供方法

【課題】運転者がどのレーンで車両を走行させるべきかを判断することができ、車両を円滑に走行させることができるようにする。
【解決手段】現在地検出部と、地図データを取得する基本情報取得処理手段と、レーンごとの先行車両を検出するとともに、各先行車両と自車との相対速度を検出する前方監視装置48と、前記地図データに基づいて取得された道路の自車の前方における特徴及び前記相対速度に基づいて、推奨レーンを選択するレーン選択処理手段とを有する。運転者がどのレーンで車両を走行させるべきかを判断することができ、車両を円滑に走行させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システム及び情報提供方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置においては、例えば、GPS(グローバルポジショニングシステム)によって車両の位置、すなわち、現在地を検出するとともに、ジャイロセンサによって検出された車両の旋回角に基づいて、車両の方位を検出することができるようになっている。そこで、データ記録部から地図データを読み出し、ナビゲーション装置の表示部に地図画面を形成し、該地図画面に、周辺の地図を表示するとともに、現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として表示するようにしている。したがって、操作者である運転者は、前記地図画面に表示された自車位置及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【0003】
また、運転者が目的地を入力し、探索条件を設定すると、該探索条件に基づいて、経路探索処理が行われ、前記地図データに従って出発地(又は現在地)から目的地までの経路が探索される。そして、探索された経路、すなわち、探索経路は前記地図画面に自車位置と共に表示され、探索経路の案内、すなわち、経路案内が行われる。したがって、運転者は表示された探索経路に沿って車両を走行させることができる。
【0004】
ところで、車両にレーダ等の前方監視装置が搭載されている場合、該前方監視装置によって、車両の前方における周辺の車両を検出することができる。そこで、前記ナビゲーション装置において、車両が走行しているレーン(車線)である走行レーンを読み込み、地図画面に、走行レーンを表示するとともに、前方監視装置の検出結果に基づいて、走行レーンを先行して走行している車両、及び隣接するレーンを走行している車両を表示するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−50923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の前方監視装置においては、走行レーンを表示するとともに、走行レーンを先行している車両、及び隣接するレーンを走行している車両を表示することはできるが、運転者はどのレーンで車両を走行させるべきかを判断することができず、必ずしも、車両を円滑に走行させることができない。
【0006】
本発明は、前記従来の前方監視装置の問題点を解決して、運転者がどのレーンで車両を走行させるべきかを判断することができ、車両を円滑に走行させることができる情報提供システム及び情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の情報提供システムにおいては、自車の現在地を検出する現在地検出部と、地図データを取得する基本情報取得処理手段と、レーンごとの先行車両を検出するとともに、各先行車両と自車との相対速度を検出する前方監視装置と、前記地図データに基づいて取得された道路の自車の前方における特徴及び前記相対速度に基づいて、推奨レーンを選択するレーン選択処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、道路の自車の前方における特徴及び相対速度に基づいて、推奨レーンが選択されるので、運転者がどのレーンで車両を走行させるべきかを判断することができ、車両を円滑に走行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示すブロック図である。
【0011】
図において、10はパワートレイン制御部としての自動変速機制御部であり、該自動変速機制御部10は、図示されない自動変速機等と接続され、該自動変速機等の協調制御を行う。
【0012】
そして、14は情報端末、例えば、車両に搭載された車載装置としてのナビゲーション装置、63はネットワーク、51は情報提供者としての情報センタであり、前記自動変速機制御部10、ナビゲーション装置14、ネットワーク63、情報センタ51等によってナビゲーションシステムが構成される。
【0013】
前記ナビゲーション装置14は、車両の現在地を検出する現在地検出部としてのGPSセンサ15、地図データのほかに各種の情報が記録された情報記録部としてのデータ記録部16、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、車両の方位を検出する方位検出部としての方位センサ18、操作者である運転者が操作することによって所定の入力を行うための第1の入力部としての操作部34、図示されない画面に表示された画像によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第1の出力部としての表示部35、音声によって所定の入力を行うための第2の入力部としての音声入力部36、音声によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第2の出力部としての音声出力部37、及び通信端末として機能する送受信部としての通信部38を備え、前記ナビゲーション処理部17に、GPSセンサ15、データ記録部16、方位センサ18、操作部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。
【0014】
また、前記ナビゲーション処理部17には、前記自動変速機制御部10、車両の前方を監視する前方監視装置48、道路のレーンを区分する表示線、車両の周辺等を撮影する撮像装置としてのカメラ49、運転者によるアクセルペダルの操作をアクセル開度で検出するエンジン負荷検出部としてのアクセルセンサ42、運転者によるブレーキペダルの操作をブレーキ踏込量で検出する制動検出部としてのブレーキセンサ43、車速を検出する車速センサ44等が接続される。なお、アクセルセンサ42、ブレーキセンサ43等は運転者による車両の操作情報を検出するための車両操作情報検出部を構成する。
【0015】
前記GPSセンサ15は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することによって地球上における現在地を検出し、併せて時刻を検出する。本実施の形態においては、現在地検出部としてGPSセンサ15が使用されるようになっているが、該GPSセンサ15に代えて図示されない距離センサ、ステアリングセンサ、高度計等を単独で、又は組み合わせて使用することもできる。また、前記方位センサ18としてジャイロセンサ、地磁気センサ等を使用することができる。
【0016】
前記データ記録部16は、地図データファイルから成る地図データベースを備え、該地図データベースに地図データが記録される。該地図データには、交差点に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、道路リンクに関する道路データ、探索用に加工された探索データ、施設に関する施設データ等が含まれるほか、地物に関する地物データが含まれる。該地物データには、停止線、車両通行帯境界線等の表示線、道路上のマンホール、路上標識、信号機等の位置情報、画像情報等が含まれる。また、前記レーンに関する道路データとして、道路上の各レーンごとに付与されたレーン番号、レーンの位置情報等から成るレーンデータが含まれる。前記データ記録部16には、所定の情報を音声出力部37によって出力するためのデータも記録される。
【0017】
さらに、前記データ記録部16には、統計データファイルから成る統計データベース、走行履歴データファイルから成る走行履歴データベース等が形成され、前記統計データファイルに統計データが、前記走行履歴データファイルに走行履歴データが、いずれも実績データとして記録される。
【0018】
前記統計データは、過去に提供された交通情報の実績、すなわち、履歴を表す履歴情報であり、情報提供者としてのVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の図示されない道路交通情報センタ等によって過去に提供された交通情報、及び国土交通省によって提供された道路交通センサスによる交通量を表すデータ(以下「道路交通センサス情報」という。)、国土交通省によって提供された道路時刻表情報等を単独で、又は組み合わせて使用し、必要に応じて、加工し、統計処理を施すことによって作成される。なお、前記統計データに、渋滞状況を予測する渋滞予測情報等を加えることもできる。その場合、前記統計データを作成するに当たり、履歴情報に、日時、曜日、天候、各種イベント、季節、施設の情報(デパート、スーパーマーケット等の大型の施設の有無)等の詳細な条件が加えられる。
【0019】
前記統計データのデータ項目には、過去に車両が走行した経路、すなわち、各走行経路を構成する各道路リンクについてのリンク番号、走行方向を表す方向フラグ、情報の種類を表す情報種別、所定のタイミングごとの渋滞の度合いを表す渋滞度、前記各道路リンクを走行したときの、所定のタイミングごとの所要時間を表すリンク所要時間、該リンク所要時間の各曜日ごとの平均的なデータ(例えば、曜日平均データ)等から成る。
【0020】
また、走行履歴データは、情報センタ51が複数の車両(自車又は他車)から収集した走行経路における車両の走行の実績、すなわち、走行実績を表す実績情報であり、走行データに基づいてプローブデータとして算出され、蓄積される。
【0021】
前記走行履歴データのデータ項目は、各道路リンクを走行したときの、所定のタイミングごとのリンク所要時間、各道路リンクを走行したときの、所定のタイミングごとの渋滞度等から成る。なお、前記統計データに、走行履歴データを加えることができる。また、本実施の形態において、渋滞度は、渋滞の度合いを表す渋滞指標として使用され、渋滞、混雑及び非渋滞の別で表される。
【0022】
前記データ記録部16は、前記各種のデータを記録するために、ハードディスク、CD、DVD、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。前記データ記録部16にメモリカード等を使用することができる。
【0023】
本実施の形態においては、前記データ記録部16に、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等が配設されるようになっているが、情報センタ51において、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等を配設することもできる。
【0024】
また、前記ナビゲーション処理部17は、ナビゲーション装置14の全体の制御を行う制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、経路案内等を行うための各種のプログラムが記録されたROM33、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリを備える。
【0025】
本実施の形態においては、前記ROM33に各種のプログラムを記録し、前記データ記録部16に各種のデータを記録することができるが、プログラム、データ等をディスク等に記録することもできる。この場合、ディスク等から前記プログラム、データ等を読み出してフラッシュメモリに書き込むことができる。したがって、ディスク等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。また、前記自動変速機制御部10の制御用のプログラム、データ等も前記ディスク等に記録することができる。さらに、通信部38を介して前記プログラム、データ等を受信し、ナビゲーション処理部17のフラッシュメモリに書き込むこともできる。
【0026】
前記操作部34は、運転者が操作することによって、走行開始時の現在地を修正したり、出発地及び目的地を入力したり、通過点を入力したり、通信部38を作動させたりするためのものであり、前記操作部34として、表示部35とは独立に配設されたキーボード、マウス等を使用することができる。また、前記操作部34として、前記表示部35に形成された画面に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の画像操作部をタッチ又はクリックすることによって、所定の入力操作を行うことができるようにしたタッチパネルを使用することができる。
【0027】
前記表示部35としてはディスプレイを使用することができる。そして、表示部35に形成された各種の画面に、車両の現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として表示したり、地図、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、交通情報等を表示したり、探索経路における次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向を表示したりすることができるだけでなく、前記画像操作部、操作部34、音声入力部36等の操作案内、操作メニュー、キーの案内を表示したり、FM多重放送の番組等を表示したりすることができる。
【0028】
また、音声入力部36は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声出力部37から、前記探索経路、案内情報、交通情報等が、例えば、音声合成装置によって合成された音声で出力される。
【0029】
前記通信部38は、前記道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するためのビーコンレシーバ、FM放送局を介してFM多重放送として受信するためのFM受信機等を備える。なお、前記交通情報には、渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況情報等が含まれ、一般情報には、ニュース、天気予報等が含まれる。また、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0030】
前記交通情報は、情報の種別を表す情報種別、メッシュを特定するためのメッシュ番号、二つの地点(例えば、交差点)間を連結する道路リンクを特定し、かつ、上り/下りの別を表すリンク番号、該リンク番号に対応させて提供される情報の内容を表すリンク情報を含み、例えば、交通情報が渋滞情報である場合、前記リンク情報は、前記道路リンクの始点から渋滞の先頭までの距離を表す渋滞先頭データ、渋滞度、渋滞区間を前記渋滞の先頭から渋滞の末尾までの距離を表す渋滞長、道路リンクを走行するのに必要な時間を表すリンク所要時間等から成る。
【0031】
そして、通信部38は、前記情報センタ51から、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ等のデータのほか、交通情報、一般情報等の各種の情報をネットワーク63を介して受信することができる。
【0032】
そのために、前記情報センタ51は、サーバ53、該サーバ53に接続された通信部57及び情報記録部としてのデータベース(DB)58等を備え、前記サーバ53は、制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU54、RAM55、ROM56等を備える。また、前記データベース58に、前記データ記録部16に記録された各種のデータと同様のデータ、例えば、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ等が記録される。さらに、情報センタ51は、前記道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報、及び複数の車両(自車又は他車)から収集した走行履歴データをリアルタイムに提供することができる。
【0033】
そして、前記前方監視装置48は、レーザレーダ、ミリ波レーダ等のレーダ又は超音波センサ等、又はそれらの組合せから成り、走行レーンを先行して走行している車両、及び隣接するレーン、すなわち、隣接レーンを走行している車両を先行車両として監視したり、一時停止箇所、障害物等を監視したりする。また、前方監視装置48は、自車周辺情報として先行車両に対する相対的な車速を表す相対速度、一時停止箇所(非優先道路から優先道路への進入箇所、踏切、赤信号が点滅する交差点等)に対する接近速度、障害物に対する接近速度等を検出したり、車間距離、車間時間等を算出したりする。
【0034】
前記カメラ49は、CCD、C−MOS等から成り、自車周辺情報として車両の周辺、例えば、停止線、車両通行帯境界線等の表示線、車両の前方、側方又は後方の交差点、道路上のマンホール、路上標識、信号機、建造物等の被撮影物を撮影し、撮影された被撮影物の画像データをCPU31に送る。該CPU31は、前記画像データを受信すると、画像データを処理して交差点の状態、周辺の車両の寸法、周辺の車両の位置、周辺の車両数、表示線の位置、道路のレーン、停止線位置、路上標識位置、信号機の色等を判断して車両の周辺を監視する。
【0035】
なお、前記ナビゲーションシステム、ナビゲーション処理部17、CPU31、54、サーバ53等は、各種のプログラム、データ等に基づいてコンピュータとして機能する。また、データ記録部16、RAM32、55、ROM33、56、データベース58、フラッシュメモリ等によって記録媒体が構成される。そして、演算装置として、CPU31、54に代えてMPU等を使用することもできる。
【0036】
次に、前記構成のナビゲーションシステムを情報提供システムとして使用したときの基本動作について説明する。
【0037】
まず、運転者によって操作部34が操作され、ナビゲーション装置14が起動されると、CPU31の図示されないナビ初期化処理手段は、ナビ初期化処理を行い、GPSセンサ15によって検出された自車の現在地、方位センサ18によって検出された自車方位を読み込むとともに、各種のデータを初期化する。次に、前記CPU31の図示されないマッチング処理手段は、マッチング処理を行い、読み込まれた現在地の軌跡、及び現在地の周辺の道路を構成する各道路リンクの形状、配列等に基づいて、現在地がいずれの道路リンク上に位置するかの判定を行うことによって、現在地を特定する。
【0038】
また、前記CPU31の図示されないレーン検出処理手段は、レーン検出処理を行い、カメラ49によって撮影された表示線、道路上のマンホール、路上標識、信号機等の画像データを読み込み、該画像データに対して画像処理を行い、前記地図データにおける前記表示線、道路上のマンホール、路上標識、信号機等の地物データと照合し、車両が走行レーンを検出する。
【0039】
なお、前記レーン検出処理手段は、前記地磁気センサのセンサ出力を読み込み、該センサ出力に基づいて、道路上の所定のレーンにマンホール等の強磁性体から成る被検出物があるかどうかを判断し、判断結果に基づいて走行レーンを検出することもできる。さらに、高精度のGPSセンサ15を使用し、現在地を精度よく検出し、検出結果に基づいて走行レーンを検出することができる。また、必要に応じて、表示線の画像データに対して画像処理を行うのと同時に、地磁気センサのセンサ出力、現在地等を組み合わせて、走行レーンを検出することができる。
【0040】
続いて、CPU31の図示されない基本情報取得処理手段は、基本情報取得処理を行い、前記地図データを、データ記録部16から読み出して取得するか、又は通信部38を介して情報センタ51等から受信して取得する。なお、地図データを情報センタ51等から取得する場合、前記基本情報取得処理手段は、受信した地図データをフラッシュメモリにダウンロードする。
【0041】
そして、前記CPU31の図示されない表示処理手段は、表示処理を行い、前記表示部35に各種の画面を形成する。例えば、表示処理手段の道路地図表示処理手段は、道路地図表示処理を行い、表示部35に地図画面を形成し、該地図画面に周囲の地図を表示するとともに、現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として表示する。
【0042】
したがって、運転者は、前記地図、自車位置、及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【0043】
また、運転者が操作部34を操作して目的地を入力すると、CPU31の図示されない目的地設定処理手段は、目的地設定処理を行い、目的地を設定する。なお、必要に応じて出発地を入力し、設定することもできる。また、あらかじめ所定の地点を登録しておき、登録された地点を目的地として設定することができる。続いて、運転者が操作部34を操作して探索条件を入力すると、CPU31の図示されない探索条件設定処理手段は、探索条件設定処理を行い、探索条件を設定する。
【0044】
このようにして、目的地及び探索条件が設定されると、CPU31の図示されない経路探索処理手段は、経路探索処理を行い、前記現在地、目的地、探索条件等を読み込むとともに、データ記録部16から探索データ等を読み出し、現在地、目的地及び探索データに基づいて、現在地で表される出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。このとき、各道路リンクごとに付与されたリンクコストの合計が最も小さい経路が探索経路とされる。また、道路に複数のレーンが形成されている場合で、かつ、走行レーンが検出されている場合、前記経路探索処理手段は、レーン単位の探索経路を探索する。その場合、前記経路データには走行レーンを表すレーン番号等も含まれる。
【0045】
続いて、前記CPU31の図示されない案内処理手段は、案内処理を行い、経路案内を行う。そのために、前記案内処理手段の経路表示処理手段は、経路表示処理を行い、前記経路データを読み込み、該経路データに従って前記地図画面に探索経路を表示する。レーン単位の探索経路が探索されている場合は、所定の地点、例えば、案内交差点において、レーン単位の経路案内が行われ、交差点拡大図に経路案内がされている走行レーンが表示される。また、必要に応じて、前記案内処理手段の音声出力処理手段は、音声出力処理を行い、音声出力部37から探索経路を音声で出力して経路案内を行う。
【0046】
なお、前記情報センタ51において経路探索処理を行うことができる。その場合、CPU31は現在地、目的地、探索条件等を情報センタ51に送信する。該情報センタ51は、現在地、目的地、探索条件等を受信すると、CPU54の図示されない経路探索処理手段は、CPU31と同様の経路探索処理を行い、データベース58から探索データ等を読み出し、現在地、目的地及び探索データに基づいて、出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。続いて、CPU54の図示されない送信処理手段は、送信処理を行い、前記経路データをナビゲーション装置14に送信する。したがって、ナビゲーション装置14において、前記基本情報取得処理手段が情報センタ51からの経路データを受信すると、前記案内処理手段は、前述されたような経路案内を行う。
【0047】
そして、探索経路上に案内交差点が存在する場合、車両が案内交差点より所定の距離L1(例えば、X〔m〕)だけ手前の経路案内地点に到達すると、前記案内処理手段の交差点拡大図表示処理手段は、交差点拡大図表示処理を行い、地図画面の所定の領域に前述されたような交差点拡大図を形成し、交差点拡大図による経路案内を行い、該交差点拡大図に、案内交差点の周辺の地図、探索経路、案内交差点において目印になる施設等の陸標、レーン単位の経路案内が行われている場合には走行レーン等を表示する。また、必要に応じて、前記音声出力処理手段は、音声出力部37から、例えば、「この先X〔m〕で左方向です。」のような音声を出力し、経路案内を行う。
【0048】
ところで、本実施の形態においては、前方監視装置48によって、走行レーン及び隣接レーンにおける各先行車両について、自車に対する相対速度等を検出することができる。そこで、レーン単位で経路案内が行われているかどうかにかかわらず、前記CPU31の図示されないレーン推奨処理手段は、レーン推奨処理を行い、相対速度等に基づいて各レーンのうちの、最も高い車速で走行することができるレーンである最速レーンを推奨レーンとして選択し、推奨するようにしている。そして、推奨レーンが推奨されると、前記表示処理手段は、地図画面に推奨レーン表示領域を形成し、該推奨レーン表示領域に推奨レーンを表示する。
【0049】
図2は本発明の実施の形態におけるレーン推奨処理手段の動作を示すフローチャート、図3は本発明の実施の形態におけるレーン推奨処理手段の動作を示す第1の説明図、図4は本発明の実施の形態におけるレーン推奨処理手段の動作を示す第2の説明図、図5は本発明の実施の形態におけるレーン推奨処理手段の動作を示す第3の説明図、図6は本発明の実施の形態における地図画面の第1の表示例を示す図、図7は本発明の実施の形態における地図画面の第2の表示例を示す図、図8は本発明の実施の形態における地図画面の第3の表示例を示す図である。
【0050】
図3〜5において、c1は案内交差点、r1、r2は該案内交差点c1で交差する探索経路上の道路、h1、h2は前記道路r1、r2のセンタライン、k1〜k3は道路r1の走行車線側のレーン、k4〜k6は道路r1の反対車線側のレーン、m1〜m3は道路r2の走行車線側のレーン、m4〜m6は道路r2の反対車線側のレーン、wi(i=1、2、…、)は車両である。この場合、車両w1は自車であり、車両w2、w3、…は他車である。なお、図3及び4においては、レーン単位で経路案内が行われておらず、図5においては、道路r1を走行し、案内交差点c1において右折し、道路r2を走行する探索経路が探索され、該探索経路に従ってレーン単位で経路案内が行われる。
【0051】
まず、前記レーン推奨処理手段のレーン推奨条件成立判定処理手段は、レーン推奨条件成立判定処理を行い、第1のレーン推奨条件が成立しているかどうかを、マッチング処理が行われているかどうかによって判断する。第1のレーン推奨条件が成立し、マッチング処理が行われている場合、前記レーン推奨条件成立判定処理手段は、現在地を読み込むとともに、レーンk2を走行レーンとして読み込み、第2のレーン推奨条件が成立しているかどうかを、走行レーンが検出されたかどうかによって判断する。
【0052】
そして、第2のレーン推奨条件が成立し、走行レーンが検出されている場合、車両w2〜w4を先行車両として読み込み、前記レーン推奨条件成立判定処理手段は、第3のレーン推奨条件が成立しているかどうかを、先行車両が検出されたかどうかによって判断する。なお、本実施の形態においては、前方監視装置48は、車両w2、w3、…のうちの、レーンk2上において車両w1に最も近接する車両w2、及び隣接レーンであるレーンk1、k3上において車両w1に最も近接する車両w3、w4を先行車両として検出する。前記車両w2〜w4以外の車両w5、w6、…は、車両w2〜w4に陰になるので、前方監視装置48によって検出することができない。
【0053】
そして、第3のレーン推奨条件が成立し、先行車両が検出されている場合、前記レーン推奨処理手段の相対速度取得処理手段は、相対速度取得処理を行い、車速センサ44によって検出された車両w1の車速v1を読み込むとともに、前方監視装置48によって検出された車両w1、w3間の相対速度δv1、及び車両w1、w4間の相対速度δv2を読み込む。
【0054】
なお、車両w3、w4の車速をv2、v3とすると、該車速v2、v3は、
v2=v1+δv1
v3=v1+δv2
になる。
【0055】
ところで、前記前方監視装置48は検出エリアが限られているので、先行車両wiについての必要な情報を確実に得ることができず、運転者はどのレーンで車両を走行させるべきかを判断することができない。
【0056】
そこで、前記レーン推奨処理手段の道路特徴取得処理手段は、道路特徴取得処理を行い、データ記録部16から道路データ及び交差点データを読み込み、道路r1の自車である車両w1の前方における特徴を取得する。本実施の形態において、道路r1の車両w1の前方においてレーンk1は左折専用レーンになるので、道路特徴取得処理手段は、レーンk1が左折専用レーンになる旨を特徴として取得する。なお、前記道路特徴取得処理手段は、所定のレーンが左折専用レーンになる旨のほかに、所定のレーンが右折専用レーンになる旨、交差点の有無、合流地点の有無、レーンの数が少なくなる車線減小地点の有無等のように、車両の流れに影響を与える情報を特徴として取得する。
【0057】
次に、前記レーン推奨処理手段の渋滞情報取得処理手段は、渋滞情報取得処理を行い、道路r1の車両w1の前方における実際の車両wiの流れを表す渋滞情報を読み込む。
【0058】
続いて、前記レーン推奨処理手段の経路案内判定処理手段は、経路案内判定処理を行い、レーン単位で経路案内が行われているかどうかを判断する。
【0059】
ところで、経路案内処理が行われていない場合、及び経路案内処理が行われていても、レーン単位で経路案内が行われていない場合には、次の方法で推奨レーンを推奨する。
【0060】
すなわち、前記レーン推奨処理手段のレーン選択処理手段は、レーン選択処理を行い、道路r1の車両w1の前方における特徴、相対速度δv1、δv2及び渋滞情報を読み込み、道路r1の車両w1の前方における特徴、相対速度δv1、δv2及び渋滞情報に基づいて最速レーンを算出し、最速レーンを推奨レーンとして選択し、推奨する。この場合、相対速度δv1、δv2は、
δv1>δv2>0
であるので、図3に示されるように、車両w3の車速v2は車両w4の車速v3より高く、車両w4の車速v3は車両w1の車速v1より高く、
v2>v3>v1
になる。
【0061】
したがって、相対速度δv1、δv2だけで判断すると、走行レーンk1が最速レーンになるが、前述されたように、レーンk1が左折専用レーンになる旨が道路r1の車両w1の前方における特徴とされ、しかも、レーンk1において車両w7〜w10によって渋滞が発生しているので、図4に示されるように、レーンk1の次に車速が高いレーンk3を最速レーンにする。
【0062】
本実施の形態においては、車両w1に対する車両w3、w4の相対速度δv1、δv2を読み込み、車速v2、v3を比較するようになっているが、他の実施の形態においては、車両w1に対する車両w2〜w4の相対速度δv0、δv1、δv2を読み込み、該相対速度δv0、δv1、δv2及び渋滞情報に基づいて最速レーンを算出することもできる。
【0063】
その場合、車両w2の車速v0
v0=v1+δv0
が基準となる。
【0064】
なお、本実施の形態においては、前記レーン選択処理において、相対速度δv1、δv2、道路r1の車両w1の前方における特徴及び渋滞情報に基づいて最速レーンを算出するようになっているが、各レーンk1〜k3ごとに、相対速度δv1、δv2、道路r1の車両w1の前方における特徴及び渋滞情報に基づいてそれぞれ設定されたコストを加算し、総レーンコストを比較することによって最速レーンを算出することもできる。
【0065】
このようにして、最速レーンが選択され、推奨されると、前記表示処理手段は、図6に示されるように、地図画面の所定の箇所に推奨レーン表示領域AR1を形成し、該推奨レーン表示領域AR1に推奨レーンを表示する。
【0066】
なお、図6において、w1は車両、r1は道路、d1〜d3は交差点である。前記推奨レーン表示領域AR1には、レーンk1〜k3についての交差点d1における進行方向が矢印で表示される。そして、レーンk1〜k3のうちの推奨レーン(図6においてはレーンk3)の矢印は、強調表示がされ、他の矢印と異なる色で表示される。また、推奨レーン以外のレーンについては、矢印を表示しないようにすることができる。
【0067】
この場合、車両w1が交差点d1〜d3を通過するたびに、地図画面に推奨レーン表示領域AR1が形成され、該推奨レーン表示領域AR1に推奨レーンが表示されるようになっているが、他の実施の形態においては、一定の時間が経過するたびに地図画面に推奨レーン表示領域AR1を形成し、推奨レーンを表示することができる。
【0068】
本実施の形態においては、車両w1が交差点d1〜d3を通過するたびに、地図画面に推奨レーン表示領域AR1が形成されるようになっているが、図7に示されるように、複数の各交差点d1〜d3についてそれぞれ推奨レーン表示領域AR2〜AR4を形成し、該各推奨レーン表示領域AR2〜AR4に、交差点d1〜d3の手前を走行する際の推奨レーンを表示することができる。
【0069】
一方、図5に示されるように、経路案内処理が行われていて、しかも、レーン単位で経路案内が行われている場合は、次の方法で推奨レーンを推奨する。
【0070】
すなわち、前記レーン推奨処理手段の進行方向判定処理手段は、進行方向判定処理を行い、現在地から所定の距離、例えば、1〔km〕の範囲内において、案内交差点c1があり、右左折の経路案内が行われているかどうかを判断する。そして、1〔km〕の範囲内において右左折の経路案内が行われている場合、前記レーン選択処理手段は、相対速度δv1、δv2、道路r1の車両w1の前方における特徴、渋滞情報及び経路案内における進行方向を読み込み、相対速度δv1、δv2、道路r1の車両w1の前方における特徴、渋滞情報及び経路案内における進行方向に基づいて最速レーンを算出し、該最速レーンを推奨レーンとして選択し、推奨する。
【0071】
この場合、相対速度δv1、δv2が、仮に、
δv1=δv2=0
であると、車両w1〜w3の各車速v1〜v3が等しく、
v1=v2=v3
になる。このとき、相対速度δv1、δv2だけで判断すると、走行レーンk1〜k3がいずれも最速レーンになるが、レーンk1が左折専用レーンになる旨が道路r1の車両w1の前方における特徴とされ、しかも、レーンk1において車両w7〜w9によって渋滞が発生しているので、レーンk2、k3が最速レーンになる。
【0072】
続いて、前記レーン選択処理手段は、レーンk2、k3を推奨レーンの対象として特定する。この場合、案内交差点c1があり、経路案内における進行方向が右折である。したがって、前記レーン選択処理手段は、図5に示されるように、レーンk3を最速レーンにする。
【0073】
このようにして、最速レーンが選択され、推奨されると、前記表示処理手段は、図8に示されるように、地図画面の所定の箇所に、各交差点d1、d2及び案内交差点c1について、推奨レーン表示領域AR5〜AR7を形成し、該推奨レーン表示領域AR5〜AR7に推奨レーンを表示する。
【0074】
このように、相対速度δv1、δv2、及び前方監視装置48の検出エリア外における、道路r1の車両w1の前方における特徴、渋滞情報、経路案内における進行方向等の情報に基づいて最速レーンが推奨レーンとして推奨されるので、走行レーンを選択するために必要な情報を確実に取得することができ、運転者はどのレーンで車両を走行させるべきかを判断することができる。したがって、車両を円滑に走行させることができる。
【0075】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 マッチング処理が行われているかどうかを判断する。マッチング処理が行われている場合はステップS2に進み、行われていない場合はステップS1に戻る。
ステップS2 自車の現在地を読み込む。
ステップS3 走行レーンを読み込む。
ステップS4 走行レーンが検出されたかどうかを判断する。走行レーンが検出された場合はステップS5に進み、検出されていない場合はステップS3に戻る。
ステップS5 先行車両w2〜w4を読み込む。
ステップS6 先行車両w2〜w4をが検出されたかどうかを判断する。先行車両w2〜w4をが検出された場合はステップS7に、検出されない場合はステップS9に進む。
ステップS7 相対速度δv1、δv2を読み込む。
ステップS8 道路r1の車両w1の前方における特徴を抽出する。
ステップS9 渋滞情報を読み込む。
ステップS10 レーン単位で経路案内が行われているかどうかを判断する。レーン単位で経路案内が行われている場合はステップS11に、行われていない場合はステップS13に進む。
ステップS11 1〔km〕の範囲内において右左折の経路案内が行われているかどうかを判断する。1〔km〕の範囲内において右左折の経路案内が行われている場合はステップS12に、行われていない場合はステップS13に進む。
ステップS12 推奨レーンの対象を特定する。
ステップS13 推奨レーンを推奨し、処理を終了する。
【0076】
前記各実施の形態においては、推奨レーン表示領域AR1〜AR7を形成し、推奨レーン表示領域AR1〜AR7に推奨レーンを表示するようになっているが、前記音声出力処理手段は、音声出力部37から音声を出力し、推奨レーンを運転者に通知することができる。また、前記案内処理手段は、推奨レーン表示領域AR1〜AR7に推奨レーンを表示するほかに音声を出力することができる。
【0077】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるレーン推奨処理手段の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態におけるレーン推奨処理手段の動作を示す第1の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるレーン推奨処理手段の動作を示す第2の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるレーン推奨処理手段の動作を示す第3の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態における地図画面の第1の表示例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における地図画面の第2の表示例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における地図画面の第3の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
10 自動変速機制御部
14 ナビゲーション装置
15 GPSセンサ
31 CPU
48 前方監視装置
51 情報センタ
63 ネットワーク
wi 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の現在地を検出する現在地検出部と、地図データを取得する基本情報取得処理手段と、レーンごとの先行車両を検出するとともに、各先行車両と自車との相対速度を検出する前方監視装置と、前記地図データに基づいて取得された道路の自車の前方における特徴及び前記相対速度に基づいて、推奨レーンを選択するレーン選択処理手段とを有することを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
地図画面に推奨レーン表示領域を形成し、該推奨レーン表示領域に前記推奨レーンを表示する表示処理手段を有する請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
レーン単位で経路を案内する案内処理手段を有するとともに、前記レーン選択処理手段は、道路の自車の前方における特徴、相対速度及び経路案内に基づいて、推奨レーンを選択する請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項4】
自車の現在地を検出し、地図データを取得し、レーンごとの先行車両を検出し、かつ、各先行車両と自車との相対速度を検出し、前記地図データに基づいて取得された道路の自車の前方における特徴及び前記相対速度に基づいて、推奨レーンを選択することを特徴とする情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−277546(P2006−277546A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−98375(P2005−98375)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】