説明

無段変速機制御装置、車両制御装置及びその制御方法

【課題】 クラッチ係合時のタイムロスを減少させ、加速時のレスポンスの悪化を防止する無段変速機制御装置を提供する。
【解決手段】 エンジン1とモータ・ジェネレータ15とを駆動源として備える車両に搭載されたCVT・ECU13であって、エンジン1を停止させた状態で車両が走行しているときに、CVTのプライマリシーブ5の回転数を所定回転数に制御する。従って、エンジンの再始動時にはエンジンの回転数をこのプライマリシーブ5の回転数に合わせることでクラッチを係合させることができる。このため、クラッチ係合時にプライマリシーブの回転数とエンジン回転数との両方を調整する必要がなく、クラッチ係合時のタイムロスを減少させ、加速時のレスポンスの悪化を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン及び電動モータを動力源として備えたハイブリッド車両に搭載され、変速機にCVT(Continuously Variable Transmission)等の無段変速機を使用した車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料の燃焼により作動させられて前後輪の一方を回転駆動するエンジンと、蓄積装置に備えられた電気エネルギーにより動作させられて前後輪の他方を回転駆動するとともに、回生時に電気エネルギーの回収を行なうモータ・ジェネレータとを有する4輪駆動型ハイブリッド車両が知られている。
【0003】
このようなハイブリッド車両では、エンジンの駆動力によって走行するモード(以下、ENGモードという)と、エンジンを停止し、モータ・ジェネレータの駆動力のみで走行するモード(以下、EVモードという)と、エンジンを停止して、モータ・ジェネレータにより電気エネルギーを回収する走行モード(以下、回生モードという)とが可能なものがある。
【0004】
また最近では、エンジンにCVTなどの無段変速機を組み合わせたハイブリッド車両も提案されている(例えば、特許文献1)。このCVTは、入力軸に連結されたプライマリシーブと出力軸に連結されたセカンダリシーブとの間にベルトを掛け回し、各シーブのシリンダに油を給排することで、プライマリシーブ及びセカンダリシーブの各溝幅を相対的に変化させて変速させている。そして、このようなCVTを有するハイブリッド車では、ドライバが操作するアクセル開度と車両の速度とに基づいて、車両が必要とする要求出力が設定され、この要求出力が発揮されるようにCVTの変速比が設定される。
【0005】
上述したような構成のハイブリッド車両において、エンジンを停止し、クラッチを切ったEVモードや回生モードで走行中には、CVTの変速比がハイギア側となるように調整されている。これは、CVTの変速比を切り換えるプライマリシーブのシリンダ内に油圧を供給するよりも、シリンダ内から油圧を抜く方が変速制御を早く行うことができるためである。図1に、エンジン再始動させてクラッチを再係合させるときのエンジン回転数と、プライマリシーブ回転数とを示す。図1に示すようにエンジン回転数とプライマリシーブ回転数とを徐々に上げていき、所定の回転数で一致させるように制御している。
【0006】
【特許文献1】特開平8−210449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、エンジンの再始動時に、エンジン回転数と、プライマリシーブ回転数との両方を変動させながら係合する方法では、これらの回転数を一致させることが難しく、クラッチ係合時にタイムロスが生じてしまう。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、クラッチ係合時のタイムロスを減少させ、加速時のレスポンスの悪化を防止した無段変速制御装置、車両制御装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために本発明の無段変速機制御装置は、エンジンとモータとを駆動源として備える車両に搭載され、前記エンジンと車輪との間に設けられる無段変速機を制御する無段変速機制御装置であって、前記エンジンを停止させた状態で前記車両が走行しているときに、前記無段変速機のプライマリシーブの回転数を所定回転数に制御する変速制御手段を有する構成としている。このように本発明は、エンジンを停止させた状態で車両が走行しているときに、プライマリシーブの回転数が所定回転数となるように制御している。従って、エンジンの再始動時にはエンジンの回転数をこのプライマリシーブの回転数に合わせることでクラッチを係合させることができる。このため、クラッチ係合時にプライマリシーブの回転数とエンジン回転数との両方を調整する必要がなく、クラッチ係合時のタイムロスを減少させ、加速時のレスポンスの悪化を防止することができる。
【0010】
また上記構成の無段変速機制御装置において、前記変速制御手段は、前記プライマリシーブの目標回転数が、前記エンジン再始動時の必要最低回転数以上となるように制御するとよい。従って、クラッチ係合時にエンジンストールを起こしてしまうことがない。
【0011】
また上記構成の無段変速機制御装置において、前記変速制御手段は、前記プライマリシーブの回転数が該プライマリシーブの目標回転数に到達する前に前記エンジンが再始動した場合に、前記エンジンの回転数に前記プライマリシーブの回転数を同期させるように前記目標回転数を再設定するとよい。このようにプライマリシーブの回転数が目標回転数に到達する前にエンジンが再始動してしまった場合に、エンジンの回転数とプライマリシーブの回転数とが同期するように制御することで、クラッチ係合を速やかに行うことができる。
【0012】
また上記構成の無段変速機制御装置において、前記変速制御手段は、前記プライマリシーブの回転数が前記目標回転数に到達する前に前記エンジンが再始動した場合に、前記プライマリシーブの回転数が、前記目標回転数から所定範囲内にあるか否かを判定し、前記プライマリシーブの回転数が前記目標回転数から前記所定範囲内にある場合に、前記目標回転数の再設定を行わないとよい。プライマリシーブの回転数が目標回転数から所定範囲内にある場合に、目標回転数の再設定を行わないようにすることで、可能なかぎり、エンジン回転数をプライマリシーブ回転数に合わせる制御でクラッチ係合を行うことができる。
【0013】
また上記構成の無段変速機制御装置において、前記変速制御手段は、前記プライマリシーブの目標回転数が前記エンジンの再始動時に必要な必要最低回転数よりも小さいと判断した場合に、前記目標回転数を前記必要最低回転数に設定するとよい。プライマリシーブの目標回転数をエンジンの必要最低回転数に合わせることで、エンジンストールを生じさせることなくクラッチ係合を速やかに行うことができる。
【0014】
また上記構成の無段変速機制御装置において、前記変速制御手段は、前記車両の速度と、前記モータの出力トルクと、アクセルペダルの踏み込み量と、前記エンジン出力と、前記無段変速機の変速制御用の油温との少なくとも1つに応じて前記プライマリシーブの目標回転数を変更するとよい。従って、車両の走行状態に応じたプライマリシーブの回転数に設定することができる。
【0015】
また上記構成の無段変速機制御装置において、前記変速制御手段は、バッテリが低電圧状態にある時に前記プライマリシーブの回転数の制御を行わない。従って、消費電力を削減しバッテリにかかる負担を軽減させることができる。
【0016】
また上記構成の無段変速機制御装置において、前記所定回転数は、前記エンジン始動後に、前記エンジンと前記無段変速機の間に設けられたクラッチを係合させる回転数であるとよい。
【0017】
本発明の車両制御装置は、駆動輪を無段変速機を介して回転駆動するエンジンと、駆動輪を回転駆動するモータ・ジェネレータと、前記エンジンからの駆動力を変速して伝達する前記無段変速機と、前記エンジンと前記無段変速機との間に設けられたクラッチとを有する車両に搭載され、前記エンジンを停止させた状態で前記車両が走行中である場合に、前記無段変速機のプライマリシーブの回転数を所定回転数に制御する変速制御手段と、前記エンジンの再始動時、前記所定回転数に制御されたプライマリシーブ回転数に前記エンジンの回転数を合わせる制御を行うエンジン制御手段と、前記エンジン制御手段によって前記エンジン回転数と前記プライマリシーブ回転数とが合わせられる際に、前記クラッチの係合制御を行うクラッチ制御手段とを有する構成としている。このように本発明は、エンジンを再始動しクラッチ係合させる際に、一定に制御されたプライマリシーブの回転数にエンジン回転数を合わせることでクラッチ係合を速やかに行うことができる。従って、クラッチ係合にプライマリシーブの回転数とエンジン回転数との両方を調整する必要がなく、クラッチ係合時のタイムロスを減少させ、加速時のレスポンスの悪化を防止することができる。
【0018】
上記構成の車両制御装置において、前記エンジン制御手段は、前記エンジンの再始動時からクラッチ係合が完了するまでの間、アクセルの踏み込み量とは無関係に電子制御スロットルを所定開度に設定するとよい。従って、電子制御スロットルによりエンジン回転数を制御し、エンジン回転数をプライマリシーブの目標回転数まで素早く到達させることができる。
【0019】
上記構成の車両制御装置において、前記エンジン制御手段は、前記所定開度を、前記プライマリシーブの目標回転数との偏差によって変更するとよい。従って、エンジン回転数がプライマリシーブの目標回転数から離れている場合には、電子制御スロットルの開度を大きく設定し、素早く目標回転数に到達するように制御することができる。また、エンジン回転数がプライマリシーブの目標回転数に近い場合には、電子制御スロットルの開度を小さく設定して、クラッチの係合を速やかに行うようにすることができる。
【0020】
また上記構成の車両制御装置において、前記所定回転数は、前記エンジン始動後に、前記エンジンと前記無段変速機の間に設けられたクラッチを係合させる回転数であるとよい。
【0021】
本発明の無段変速機の制御方法は、エンジンとモータとを駆動源として備える車両に搭載され、前記エンジンと車輪との間に設けられる無段変速機の制御方法であって、前記エンジンを停止させた状態で前記車両が走行中である場合に、前記無段変速機のプライマリシーブの回転数を所定回転数に制御している。このように本発明は、エンジンを再始動しクラッチ係合させる際に、一定に制御されたプライマリシーブの回転数にエンジン回転数を合わせることでクラッチ係合を速やかに行うことができる。従って、クラッチ係合にプライマリシーブの回転数とエンジン回転数との両方を調整する必要がなく、クラッチ係合時のタイムロスを減少させ、加速時のレスポンスの悪化を防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、クラッチ係合時のタイムロスを減少させ、加速時のレスポンスの悪化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
添付図面を参照しながら本発明の最良の実施例を説明する。
【実施例1】
【0024】
まず、図2を参照しながら本実施例の構成を説明する。図2に、本発明を適用するハイブリッド車両の全体構成を示す。エンジン1はトルクコンバータ2、前後進クラッチ3、無段変速機(以下、CVTという)4、ギア9を介してフロント駆動輪8を駆動し、モータ・ジェネレータ(以下、M・Gとも表記する)15はリア駆動輪16を駆動する。
【0025】
トルクコンバータ2、前後進クラッチ3及びCVT4には、CVT・ECU13により制御される油圧制御装置10から油圧が供給される。油圧制御装置10にはエンジン1により駆動される機械式オイルポンプ11と、エンジン停止時に油圧を供給する電動オイルポンプ12とが接続される。これらのオイルポンプ11、12がトルクコンバータ2、前後進クラッチ3、CVT4の作動用のライン圧PLを生成する。電動オイルポンプ12を備えることにより、エンジン1が停止状態であっても前後進クラッチ3の係合等を行なうことができる。
【0026】
機械式オイルポンプ11はエンジン1の出力軸に連結されており、エンジン1の駆動力によって作動する。機械式オイルポンプ11は、エンジン1の回転数が所定値を超えないと、油圧を安定して供給することができない。
電動オイルポンプ12は、エンジン1が停止していて、機械式オイルポンプ11を作動できないときに作動するように制御される。すなわち、CVT・ECU13からエンジン停止指令信号を受けると、油圧制御装置10は、電動オイルポンプ12を始動し、その後、所定の条件で電動オイルポンプ12を停止する。また、電動オイルポンプ12は、エンジン1が始動し、機械式オイルポンプ11の作動圧が加わり、ライン圧PLが閾値以上になった場合に停止する。
【0027】
油圧制御装置10は、電磁切換弁やリニアソレノイドバルブ等を備えており、それらのソレノイドを制御し、油路を切り替えたり、油圧を制御することで、CVT4の変速比の切り換えや前後進クラッチ3の係合・解放を行なう。
【0028】
トルクコンバータ2はロックアップクラッチを備えると共に、タービン翼車が前後進クラッチ3の入力軸に接続され、油圧制御装置10からの油圧PLUによりロックアップクラッチの係合・解放を行なう。このトルクコンバータ2の出力軸に、前後進の切り換え及び駆動量の伝達を切断し、ニュートラル状態を形成することが可能な前後進クラッチ3が接続され、油圧制御装置10からの油圧PC1により前後進クラッチ3の係合・解放が行なわれる。すなわち、CVT・ECU13がクラッチ係合手段として機能し、前後進クラッチ3の係合・開放が行われる。
【0029】
また、前後進クラッチ3の出力軸に接続されたCVT4は、プライマリシーブ5と、セカンダリシーブ6とに駆動ベルト7が掛け渡された構成を備え、入力軸に入力された回転が同軸一体のプライマリシーブ5から駆動ベルト7を介してセカンダリシーブ6に伝達され、出力軸に出力されるようになっている。そして、油圧制御装置10からの油圧PINをプライマリシーブ5のシリンダに給排することによりシーブの溝幅を変更して所定の変速比を得ることができ、その時点の車速やアクセル開度などの走行状態に基づいて決定される変速比に設定される。また、セカンダリシーブ6のシリンダには油圧制御装置10からのベルトクランプ力の調整用油圧POUTが給排される。
【0030】
モータ・ジェネレータ15は、インバータ20を介してHVバッテリ17に接続され、HVバッテリ17から電気エネルギーが供給されて所定のトルクで回転駆動される状態(EVモード)と、回生制御により発電機として機能することによりHVバッテリ17に電気エネルギーを充電する状態(回生モード)と、モータ軸が自由回転することを許容する無負荷状態(フリー)とに切り換えられる。回生モードでは、モータ・ジェネレータ15を強制的に回転させるトルクが制動トルクとなり、いわゆるエンジンブレーキを効かせることができる。この場合、出力軸とエンジン1との間のトルクの伝達を遮断することにより、エンジン1を連れまわすことがなく、従って、動力の損失を最小限に抑えて効率よくエネルギー回生を行なうことができる。
【0031】
インバータ20は、HVバッテリ17の直流とモータジェネレータの交流の変換を行う電力変換装置であり、DCDCコンバータ21(変圧器)や、その他の各種インバータ22を備えている。インバータ20は、HVバッテリ17からの高電圧直流電流を3相交流電流に変換してモータ・ジェネレータ15に供給するとともに、発電モータ・ジェネレータ23からの3相交流電流を直流電流に変換してHVバッテリ17の充電を行なう。また、HVバッテリ17からの高電圧直流電流は、DCDCコンバータ21(変圧器)により低電圧直流電流に変換されて、補機バッテリ25へ入力される。これにより、補機バッテリ25の充電が行われる。補機バッテリ25は、図示されていない前照灯、ワイパー等の補機に電力を供給する。
【0032】
またエンジン1には、インバータ20を介してHVバッテリ17の充電を行なう発電モータ・ジェネレータ23と、補機バッテリ充電用の発電機(以下、オルタネータと呼ぶ)24とが接続されている。
【0033】
また、このハイブリッド車両の制御装置として、ハイブリッドシステム電子装置(以下、HV・ECUという)19、エンジン1を制御するエンジン電子制御装置(以下、エンジン・ECUという)26、CVT4を制御するCVT電子制御装置(以下、CVT・ECU)13、スキッドを制御するスキッド電子制御装置(以下、スキッド・ECU)14、HV(ハイブリッド)バッテリ17を制御するバッテリ電子制御装置(以下、バッテリ・ECU)18、装置や部品の故障情報を管理するダイアグ電子制御装置(以下、ダイアグ・ECU)27を備えている。HV・ECU19は、ハイブリッド車両全体の制御を行い、ハイブリッド車両を最適な状態で走行できるように制御する。HV・ECU19とその他のECUとは、相互に情報の交換を行いつつ動作している。なお、各ECUには、各種センサからの情報が提供され、各制御に利用されている。
【0034】
ダイアグ・ECU27は、車両走行中に制御システムのセンサ、アクチュエータ、ハーネス、CVT4の電磁ソレノイド等の異常を診断し、異常が生じた場合には異常箇所を記憶および表示する。具体的には、ECU1への入力信号が異常か、あるいはそれら信号の組み合わせから異常値になると、検査対象装置、部品の故障と診断してバックアップメモリに記憶するとともに異常警告ランプを点灯してドライバに知らせる。また、CVT4の変速比を切り換える電磁ソレノイドDS1、DS2の異常を検出する場合には、各ソレノイドに流れる電流値を抵抗により電圧値に変換して、その電圧値をA/D変換してダイアグ・ECU27に入力する。ダイアグ・ECU27では、A/D変換された電圧値を所定の基準値と比較して異常であるか否かを判定する。
【0035】
図3に、CVT・ECU13と、このCVT・ECU13に接続された各種センサを示す。CVT・ECU13は、マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行なうことにより、CVT4の変速制御や挟圧制御を行なうものである。
【0036】
図3に示すようにCVT・ECU13には、シフトポジションを検出するシフトポジションセンサ31、トルクコンバータ2のタービン回転速度を検出するタービン回転速度センサ32、アクセルペダルの開度を検出するアクセル操作量センサ33、エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度センサ34、出力軸62の回転速度Noutを検出する出力軸回転速度センサ35、入力軸61の回転速度Ninを検出する入力軸回転速度センサ36、CVT4に供給される油の油温を検出する油温センサ37、セカンダリシーブ6の油圧POUT、すなわち実際のベルト挟圧力を検出する圧力センサ38、ライン圧を測定する油圧センサ39、セカンダリシーブ6の油圧POUTを制御し、ベルト挟圧力を制御するための挟圧力制御弁40、プライマリシーブ5の油圧を制御し、CVT4の変速比を制御するための変速制御弁41などが接続されている。また、CVT・ECU13はクラッチ係合手段として機能し、前後進クラッチ3の係合・開放を行う。さらにCVT・ECU13は、ダイアグ・ECU27、エンジン・ECU26、HV・ECU19、バッテリ・ECU18、スキッド・ECU14等と通信を行なう。
【0037】
図4は、CVT4を制御するための油圧制御装置10の構成を示す図である。CVT・ECU13は、油圧制御装置10に備えられたDUTYソレノイドDS1及びDS2にDUTY指令を行なうことでCVT4の変速比を制御する。油圧制御装置10は、エンジン1の駆動時には機械式オイルポンプ11からの油圧供給を受ける。またモータ・ジェネレータ15の駆動時には、電動オイルポンプ12からの油圧供給を受ける。機械式オイルポンプ11又は電動オイルポンプ12からの油圧は、ライン圧バルブ54に供給され、ソレノイドバルブSLSによって調圧されてライン圧(元圧)としてアップシフト用バルブ51、ベルト挟圧バルブ53に供給される。
【0038】
図4において、DUTYソレノイドDS1を駆動すると、アップシフト(増速変速)用油圧バルブ51が駆動されてプライマリシーブ5に作動油が供給される。この作動油がプライマリ油室に充満し、シーブの溝幅が狭められることにより、駆動ベルト7の掛径が変化し、結果としてアップシフト(増速変速)する。
【0039】
一方、DUTYソレノイドDS2を駆動すると、ダウトシフト(減速変速)用油圧バルブ52が駆動されてプライマリシーブ油室内の作動油が排出され、シーブの溝幅が広がることにより、駆動ベルト7の掛径が変化し、結果としてダウンシフト(減速変速)する。また、セカンダリシーブ6のセカンダリシーブ油室には、セカンダリシーブ6が挟む駆動ベルト7をクランプするためのセカンダリシーブ圧POUTが供給されている。この油圧POUTは、ベルト挟圧バルブ53を切り換えるソレノイドバルブSLSの制御によって調圧される。
【0040】
本実施例は、エンジン1を停止させるEVモードや回生モードでの走行指示がHV・ECU19によって出力されると、CVT・ECU13はプライマリシーブ5の回転数を所定回転数となるように制御する。この所定回転数は、エンジン1の再始動時の必要最低回転数以上、すなわち、エンジン始動後に、エンジンとCVT4の間に設けられたクラッチを係合させる回転数に制御される。
【0041】
エンジン1を再始動しクラッチを係合させる際には、一定に制御されたプライマリシーブ5の回転数にエンジン1の回転数を合わせるように制御する。このため、クラッチ係合時にプライマリシーブ5の回転数とエンジン1の回転数との両方を調整する必要がなく、クラッチ係合時のタイムロスを減少させ、加速時のレスポンスの悪化を防止することができる。また、プラマリシーブ5の回転数は、エンジン1の再始動時の必要最低回転数以上となるように制御されているので、クラッチ係合時にエンジンストールを引き起こすことがない。
【0042】
本実施例の動作手順を図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
HV・ECU19からEVモード又は回生モードでの走行指示が出力されると(ステップS1)、CVT・ECU13は、予め設定された目標プライマリシーブ回転数となるようにプライマリシーブ5の回転数を制御する(ステップS2)。この目標プライマリシーブ回転数は、エンジン1の再始動時の必要最低回転数以上、すなわち、エンジン始動後に、エンジンとCVT4の間に設けられたクラッチを係合させる回転数となるように制御されている。CVT・ECU13は、プライマリシーブ5の回転数が、目標プライマリシーブ回転数となるように油圧制御回路10を制御し、変速制御を行う。
【0043】
その後、HV・ECU19から走行モードの変更指示が出力され、エンジン1が再始動すると(ステップS3/YES)、エンジン・ECU26はエンジン回転数をプライマリシーブの回転数に合わせる制御を行い、クラッチ係合を行う(ステップS4)。本実施例では、プライマリシーブ5の回転数は、図6に示すように一定になるように制御されているので、エンジン回転数をプライマリシーブの回転数に合わせることで、簡単にクラッチ係合を行うことができる。また、EVモード又は回生モードでの走行中に、プライマリシーブ5の回転数を所定の回転数に設定しておくことで、クラッチ係合時には変速制御が行われない。このため、CVT4の変速遅れによってクラッチ係合にタイムロスを生じない。
【実施例2】
【0044】
添付図面を参照しながら本発明の第2実施例を説明する。なお、本実施例の構成は上述した第1実施例と同様であるため説明を省く。
本実施例では、車両の走行状態に応じて、目標プライマリシーブ回転数を変更するようにしている。車両の走行状態を判定する判定基準として、車両の速度、モータ・ジェネレータ15の出力トルク、アクセルペダルの踏み込み量、エンジン1の出力、CVT4の変速制御用の油温などが挙げられる。これらのうちの少なくとも1つに応じてプライマリシーブ5の目標回転数を変更する。図7(A)に車速とプライマリシーブ5の目標回転数との関係を示す。また、図7(B)に、アクセルペダルの踏み込み量と、この踏み込み量に応じたプライマリシーブ5の目標回転数との関係を示す。さらに、図7(C)に油温と、油温に応じたプライマリシーブ回転数との補正項とを示す。このように車両の走行状態に応じてプライマリシーブ5の目標回転数を変更することで、車両の走行状態に応じた最適な回転数でクラッチを係合させることができる。また、油温によってCVT4の変速速度が変化するため、油温に応じてプライマリシーブ5の回転数を変更しておくことで、エンジンの回転数がプライマリシーブ5よりも先に目標プライマリシーブ回転数に到達してしまうといった問題を生じない。
【0045】
図8に示すフローチャートを参照しながら本実施例の動作手順を説明する。なお、ここでは、車両の走行状態を判定する判定基準として車速を用いているが、その他の判定基準であっても制御手順に変更はない。
【0046】
HV・ECU19の制御により車両の走行モードがEVモード又は回生モードに変更されると(ステップS11/YES)、CVT・ECU13は目標プライマリシーブ回転数を車速に応じた値に設定する(ステップS12)。その後、CVT・ECU13は、プライマリシーブ5の回転数が目標プライマリシーブ回転数となるように油圧制御回路10を制御する(ステップS13)。
【0047】
次に、CVT・ECU13は、出力軸回転速度センサ35から車速を取得し、車速が設定値に達したか否かを判定する(ステップS14)。設定値とは、目標プライマリシーブ回転を変更するように設定された車速であり、5Km/hや10Km/hといった所定速度ごとに設定される。例えば、設定値を5Km/h間隔で設定した場合、車速が50Km/hから55Km/hになると、CVT・ECU13は、目標プライマリシーブ回転数を変更する。また、車速が設定値となっていない場合には、HV・ECU19から走行モードの変更を指示する信号が入力されたか否かを判定する(ステップS15)。走行モードの変更指示がなかった場合には(ステップS15/NO)、出力軸回転速度センサ35から車速を取得して車速が設定値に達したか否かを判定する(ステップS14)。また、走行モードの変更指示がHV・ECU19から出された場合には(ステップS15/YES)、その変更指示によりエンジン1を再始動させるのか否かを判定する(ステップS16)。エンジン1を再始動させない場合には(ステップS16/YES)、出力軸回転速度センサ35から車速を取得して車速が設定値に達したか否かを判定する(ステップS14)。また、エンジン1を再始動させる場合には(ステップS16/YES)、エンジン・ECU26によって、エンジン1の回転数を目標プライマリシーブ回転数に合わせるように制御し、クラッチの係合を行う(ステップS17)。
【0048】
本実施例においても、プライマリシーブ5の回転数は車速に応じた一定の値となるように制御されているので、エンジン回転数を簡単にプライマリシーブの回転数に合わせることができる。
【実施例3】
【0049】
添付図面を参照しながら本発明の第3実施例を説明する。なお、本実施例の構成も上述した第1実施例と同様であるため説明を省く。本実施例は、目標プライマリシーブ回転数がエンジン再始動時の最低回転数よりも低いと、クラッチ係合時にエンジンがストールする可能性があるので、図9に示すように目標プライマリシーブ回転数をエンジンの最低回転数よりも高い値に再設定する。
【0050】
本実施例の動作手順を図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。
本実施例は、走行モードがEVモード又は回生モードに変更され(ステップS21)、CVT・ECU13が車速に応じた目標プライマリシーブ回転数を設定すると(ステップS22)、設定した目標プライマリシーブ回転数はエンジン1の必要最低回転数以上であるか否かを判定する(ステップS23)。目標プライマリシーブ回転数がエンジン1の必要最低回転数以上であった場合(ステップS23/YES)、目標プライマリシーブ回転数の再設定は行わず、CVT・ECU13は、プライマリシーブ5の回転数が目標プライマリシーブ回転数となるように油圧制御回路10を制御する(ステップS25)。また、目標プライマリシーブ回転数がエンジン1の必要回転数以下であった場合には(ステップS23/NO)、図9に示すように目標プライマリシーブ回転数をエンジン1の必要回転数以上となるように再設定を行う(ステップS24)。CVT・ECU13は再設定した目標プライマリシーブ回転数となるように油圧制御回路10を制御する(ステップS25)。
【0051】
その後、上述した実施例2と同様に、出力軸回転速度センサ35から取得した車速が設定値になったか否かを判定する(ステップS26)。車速が設定値となると、車速に応じた目標プライマリシーブ回転数を設定し、この目標プライマリシーブ回転数がエンジン1の必要最低回転数よりも上回っているか否かを判定する(ステップS23)。上述したように目標プライマリシーブ回転数がエンジン1の必要最低回転数を上回っている場合には(ステップS23/YES)、目標プライマリシーブ回転数の再設定は行わず、CVT・ECU13は、プライマリシーブ5の回転数が目標プライマリシーブ回転数となるように油圧制御回路10を制御する(ステップS25)。また、目標プライマリシーブ回転数がエンジン1の必要最低回転数を下回っている場合には(ステップS23/NO)、目標プライマリシーブ回転数の再設定を行い、CVT・ECU13は、再設定した目標プライマリシーブ回転数となるように油圧制御回路10を制御する。
【0052】
その後、HV・ECU19より走行モードの変更指示が出され(ステップS27)、エンジン1を再始動させる場合には(ステップS28/YES)、エンジン・ECU26によって、エンジン1の回転数を目標プライマリシーブ回転数に合わせるように制御し、クラッチの係合を行う(ステップS29)。
【実施例4】
【0053】
添付図面を参照しながら本発明の第4実施例を説明する。なお、本実施例の構成も上述した第1実施例と同様であるため説明を省く。本実施例は、EVモード又は回生モードから復帰し、エンジン1を再始動させる時の実施例である。
【0054】
本実施例では、エンジン1が再始動すると、エンジン・ECU26はクラッチ係合が完了するまでの間、ドライバのアクセル踏み込み量とは無関係に、電子制御スロットルを所定開度に設定する。従って、電子制御スロットルによりエンジン回転数を制御し、エンジン回転数をプライマリシーブの目標回転数まで素早く到達させることができる。
【0055】
図11に示すフローチャートを参照しながら本実施例の動作手順を説明する。EVモード又は回生モードでの走行状態から、HV・ECU19によって走行モードの変更指示が出力されると、エンジン・ECU26の制御によってエンジン1が停止状態から再始動する(ステップS31)。その後、エンジン・ECU26は、エンジン1の再始動からクラッチ係合が完了するまでの間(ステップS33/YES)、アクセル操作量とは無関係に所定の電子スロットル開度でエンジン1の回転数を制御する(ステップ32)。アクセル操作量とは無関係に電子スロットル開度を設定することで、目標プライマリシーブ回転数までエンジン回転数を素早く高めることができる。従って、クラッチ係合を速やかに行うことができる。クラッチ係合が完了すると、エンジン・ECU26は、この制御を終了させる。
【実施例5】
【0056】
添付図面を参照しながら本発明の第5実施例を説明する。なお、本実施例の構成も上述した第1実施例と同様であるため説明を省く。本実施例も実施例4のようにエンジン再始動後のエンジン回転数の制御に関するものである。本実施例では、目標プライマリシーブ回転数と、エンジン回転数との偏差を求め、電子制御スロットルの開度をこの偏差に応じた値に設定する。例えば、エンジン回転数がプライマリシーブの目標回転数から離れている場合には、電子制御スロットルの開度を大きく設定することで、目標回転数に素早く達するうように制御する。また、エンジン回転数がプライマリシーブの目標回転数に近い場合には、電子制御スロットルの開度を小さく設定して、クラッチ係合が速やかに行われるように制御する。
【0057】
図12に示すフローチャートを参照しながら本実施例の動作手順を説明する。
EVモード又は回生モードでの走行状態から、HV・ECU19によって走行モードの変更指示が出力されると、エンジン・ECU26の制御によってエンジン1が停止状態から再始動する(ステップS41)。CVT・ECU13は、エンジン1が再始動すると、エンジン回転速度センサ34によって測定したエンジン回転数と、目標プライマリシーブ回転数との偏差を求める(ステップS42)。CVT・ECU13は、求めた偏差をエンジン・ECU26に通知する。エンジン・ECU13は、CVT・ECU13から偏差を通知されると、この偏差に応じて電子スロットル開度を設定する(ステップS43)。例えば、目標プライマリシーブ回転数とエンジン回転数との偏差が大きい場合には、電子スロットル開度を大きくしてエンジン回転数を高める。また、目標プライマリシーブ回転数とエンジン回転数との偏差が小さい場合には、電子スロットル開度を徐々に大きくしてエンジン回転数を目標プライマリシーブ回転数に合わせる。クラッチの係合が完了すると(ステップS44/YES)、この処理を終了する。
【実施例6】
【0058】
添付図面を参照しながら本発明の第6実施例を説明する。なお、本実施例の構成も上述した第1実施例と同様であるため説明を省く。本実施例は、走行モードの変更指示がHV・ECU19から出力された段階で、プライマリシーブの回転数が目標プライマリシーブ回転数に到達しているか否かを判定し、到達していなかった場合には、目標プライマリシーブ回転数を再設定する。すなわち、走行モードが回生モード又はEVモードに変更されると、CVT・ECU13は、プライマリシーブ回転数を目標プライマリシーブ回転数に合わせる制御を行うが、回生モード又はEVモードで走行している時間が短く、プライマリシーブ回転数が目標プライマリシーブ回転数に達しなかった場合の制御である。
【0059】
図13に示すフローチャートを参照しながら本実施例の動作手順を説明する。エンジン1を停止させた状態で、回生モード又はEVモードで走行中に(ステップS51)、HV・ECU19から走行モードの変更指示が出力されると(ステップS52)、エンジン・ECU26はエンジン1を再始動させる。エンジン1が再始動すると、CVT・ECU13は、プライマリシーブの回転数を入力軸回転速度センサ36によって測定する。そして、測定したプライマリシーブ回転数が、目標プライマリシーブ回転数に到達しているか否かを判定する(ステップS53)。プライマリシーブ回転数が目標プライマリシーブ回転数に到達していると判定すると(ステップS53/YES)、エンジン・ECU26の制御によってエンジン回転数を目標プライマリシーブ回転数に合わせる制御を行う(ステップS54)。
【0060】
また、プライマリシーブ回転数が目標プライマリシーブ回転数に到達していないと判定すると(ステップS53/NO)、CVT・ECU13は、エンジン回転速度センサ34によってエンジン1の回転数を取得する(ステップS55)。そして、取得したエンジン回転数に同期させるように目標プライマリシーブ回転数を設定する。すなわち、目標プライマリシーブ回転数がエンジン回転数と合う様に目標プライマリシーブ回転数を設定する(ステップS56)。以降、この動作を繰り返し、クラッチの係合が完了すると(ステップS57/YES)、この制御を終了する。
【0061】
なお、本実施例の変形例として、目標プライマリシーブ回転数に範囲を設け、この範囲内にプライマリシーブ回転数が到達している場合には、エンジン・ECU26の制御によってエンジン回転数がプライマリシーブ回転数となるように制御するようにしてもよい。このときの制御手順について図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0062】
プライマリシーブ回転数が目標プライマリシーブ回転数に到達していなった場合に(ステップS63/NO)、プライマリシーブ回転数が目標プライマリシーブ回転数から所定範囲内にあるか否かを判定する(ステップS65)。プライマリシーブ回転数が目標プライマリシーブ回転数から所定範囲内にある場合には(ステップS65/YES)、エンジン・ECU26によって制御によってエンジン回転数がプライマリシーブ回転数となるように制御する(ステップS64)。また、プライマリシーブ回転数が目標プライマリシーブ回転数から所定範囲内にない場合には(ステップS65/NO)、図13に示すフローチャートと同様に、CVT・ECU13は、エンジン1の回転数を取得して、エンジン1の回転数に同期させるように目標プライマリシーブ回転数を設定する(ステップS67)。
【0063】
上述した実施例は本発明の好適な実施例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。例えば、上述した実施例では、エンジン1とCVT4とを別々のECU(エンジン・ECU、CVT・ECU)によって制御していたが、EFI_ECU(Electronic fuel Injection_Electronic Control Unit)を設けてエンジン1とCVT4とを制御するものであってもよい。
【0064】
また、上述した実施例では、前輪と後輪とをそれぞれ別々の駆動源で駆動するPHV車両を例に説明したが、図15に示すようなエンジン1とモータ・ジェネレータ15とが同じ駆動輪を駆動するハイブリット車両にも適用することができる。エンジン1の始動後に、エンジン回転数とプライマリシーブ回転数とを合わせてクラッチ係合制御を行う場合に、一方の回転軸(例えばプライマリシーブ回転数)を一定に保った状態で、他方の回転数のみを一致させるように制御することによって、回転数を一致させる制御が、より容易に短時間で行われるようになる。また、このような制御は、実施例に記載したようなクラッチ係合制御時のみでなく、さまざまなクラッチ係合制御時に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】従来のクラッチ係合方法を説明するための図である。
【図2】ハイブリッド車両の構成を示すブロック図である。
【図3】CVT・ECU13と各種センサ、電子制御装置との接続を示す図である。
【図4】油圧制御回路の構成を示す図である。
【図5】実施例1の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】実施例1のプライマリシーブ回転数とエンジン回転数の推移を示す図である。
【図7】(A)は車速とプライマリシーブの目標回転数との関係を示す図であり、(B)はアクセルペダルの踏み込み量と、この踏み込み量に応じたプライマリシーブの目標回転数との関係を示す図であり、(C)は油温と、油温に応じたプライマリシーブ回転数との補正項とを示す図である。
【図8】実施例2の動作手順を示すフローチャートである。
【図9】実施例3のプライマリシーブ回転数の変化を示す図である。
【図10】実施例3の動作手順を示すフローチャートである。
【図11】実施例4の動作手順を示すフローチャートである。
【図12】実施例5の動作手順を示すフローチャートである。
【図13】実施例6の動作手順を示すフローチャートである。
【図14】実施例6の動作手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明が適用される車両の他の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 エンジン 2 トルクコンバータ
3 前後進クラッチ 4 CVT
5 プライマリシーブ 6 セカンダリシーブ
7 駆動ベルト 8 駆動輪(フロント)
9 ギア 10 油圧制御装置
11 機械式オイルポンプ 12 電動オイルポンプ
13 CVT・ECU 14 スキッド・ECU
15 モータ・ジェネレータ 16 駆動輪(リア)
17 HVバッテリ 18 バッテリECU
19 HV・ECU 20 インバータ
21DCDCコンバータ 23 発電モータ・ジェネレータ
24 オルタネータ 25 補機バッテリ
26 エンジン・ECU 27 ダイアグ・ECU
31 シフトポジションセンサ 32 タービン回転速度センサ
33 アクセル操作量センサ 34 エンジン回転速度センサ
35 出力軸回転速度センサ 36 入力軸回転速度センサ
37 油温センサ 38 圧力センサ
39 油圧センサ 40 挟圧力制御弁
41 変速制御弁 51 アップシフト用バルブ
52 ダウンシフト用バルブ 53 ベルト挟圧バルブ
54 ライン圧バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンとモータとを駆動源として備える車両に搭載され、前記エンジンと車輪との間に設けられる無段変速機を制御する無段変速機制御装置であって、
前記エンジンを停止させた状態で前記車両が走行しているときに、前記無段変速機のプライマリシーブの回転数を所定回転数に制御する変速制御手段を有することを特徴とする無段変速機制御装置。
【請求項2】
前記変速制御手段は、前記プライマリシーブの目標回転数が、前記エンジン再始動時の必要最低回転数以上となるように制御することを特徴とする請求項1記載の無段変速機制御装置。
【請求項3】
前記変速制御手段は、前記プライマリシーブの回転数が該プライマリシーブの目標回転数に到達する前に前記エンジンが再始動した場合に、前記エンジンの回転数に前記プライマリシーブの回転数を同期させるように前記目標回転数を再設定することを特徴とする請求項1又は2記載の無段変速機制御装置。
【請求項4】
前記変速制御手段は、前記プライマリシーブの回転数が前記目標回転数に到達する前に前記エンジンが再始動した場合に、前記プライマリシーブの回転数が、前記目標回転数から所定範囲内にあるか否かを判定し、前記プライマリシーブの回転数が前記目標回転数から前記所定範囲内にある場合に、前記目標回転数の再設定を行わないことを特徴とする請求項3記載の無段変速機制御装置。
【請求項5】
前記変速制御手段は、前記プライマリシーブの目標回転数が前記エンジンの再始動時に必要な必要最低回転数よりも小さいと判断した場合に、前記目標回転数を前記必要最低回転数に設定することを特徴とする請求項2記載の無段変速機制御装置。
【請求項6】
前記変速制御手段は、前記車両の速度と、前記モータの出力トルクと、アクセルペダルの踏み込み量と、前記エンジン出力と、前記無段変速機の変速制御用の油温との少なくとも1つに応じて前記プライマリシーブの目標回転数を変更することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の無段変速機制御装置。
【請求項7】
前記変速制御手段は、バッテリが低電圧状態にある時に前記プライマリシーブの回転数の制御を行わないことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の無段変速機制御装置。
【請求項8】
前記所定回転数は、前記エンジン始動後に、前記エンジンと前記無段変速機の間に設けられたクラッチを係合させる回転数であることを特徴とする請求項1記載の無段変速機制御装置。
【請求項9】
駆動輪を無段変速機を介して回転駆動するエンジンと、駆動輪を回転駆動するモータ・ジェネレータと、前記エンジンからの駆動力を変速して伝達する前記無段変速機と、前記エンジンと前記無段変速機との間に設けられたクラッチとを有する車両に搭載され、
前記エンジンを停止させた状態で前記車両が走行中である場合に、前記無段変速機のプライマリシーブの回転数を所定回転数に制御する変速制御手段と、
前記エンジンの再始動時、前記所定回転数に制御されたプライマリシーブ回転数に前記エンジンの回転数を合わせる制御を行うエンジン制御手段と、
前記エンジン制御手段によって前記エンジン回転数と前記プライマリシーブ回転数とが合わせられる際に、前記クラッチの係合制御を行うクラッチ制御手段と、を有することを特徴とする車両制御装置。
【請求項10】
前記エンジン制御手段は、前記エンジンの再始動時からクラッチ係合が完了するまでの間、アクセルの踏み込み量とは無関係に電子制御スロットルを所定開度に設定することを特徴とする請求項9記載の車両制御装置。
【請求項11】
前記エンジン制御手段は、前記所定開度を、前記プライマリシーブの目標回転数との偏差によって変更することを特徴とする請求項10記載の車両制御装置。
【請求項12】
前記所定回転数は、前記エンジン始動後に、前記エンジンと前記無段変速機の間に設けられたクラッチを係合させる回転数であることを特徴とする請求項9記載の車両制御装置。
【請求項13】
エンジンとモータとを駆動源として備える車両に搭載され、前記エンジンと車輪との間に設けられる無段変速機の制御方法であって、
前記エンジンを停止させた状態で前記車両が走行中である場合に、前記無段変速機のプライマリシーブの回転数を所定回転数に制御することを特徴とする無段変速機の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−22406(P2007−22406A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209273(P2005−209273)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】