説明

熱処理装置の温度制御方法

【課題】高精度で且つ制御性能が高い温度制御を行うことができる熱処理装置の温度制御方法を提供する。
【解決手段】第1のPID演算要素と第2のPID演算要素とでカスケード制御を行う温度コントローラを有する熱処理装置の温度制御方法において、第1のPID演算要素の第1の操作量の上下限判定範囲を、炉内温度が目標値に一致しているときの該第1の操作量の値を基準に正負両側に略同じ値である範囲とし、かつ第1のPID演算要素で計算された第1の操作量がその上限値を超えたと判定されたときは該第1の操作量が前記上下限判定範囲の上限値になる分だけ前記第1のPID演算要素の積分操作量を増加させ、その下限値を下回ったと判定されたときは該第1の操作量が前記上下限判定範囲の下限値になる分だけ積分操作量を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を熱処理する温度制御方法に関し、特に、基板をバッチ処理する拡散装置やCVD装置などの熱処理装置の温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
縦型拡散装置や縦型CVD装置など、基板として例えば多数のウェハを処理する熱処理装置では、炉内、特に熱処理する半導体ウェハが置かれる領域の温度を均一に精度よく制御する必要がある。対象とする熱処理装置は、例えば図7に示されるように、被処理体となる多数のウェハ1を熱処理するための反応室を区画形成する反応管2と、それぞれ上下方向に配列され且つ反応管2を周囲から熱するヒータ3a、3b、3c及び3dとを有している。ヒータ3a、3b、3c及び3dの近傍には、それぞれヒータ3a、3b、3c及び3dの温度を計測する第1の温度センサ4a、4b、4c及び4dが配置され、反応管2の内部にはヒータ3a、3b、3c及び3dの高さ位置にそれぞれ対応して反応室内の温度を検出する第2の温度センサ5a、5b、5c及び5dが配置されている。
【0003】
第1の温度センサ4a、4b、4c及び4dと第2の温度センサ5a、5b、5c及び5dに温度コントローラ7が接続され、温度コントローラ7に各温度センサにおける目標温度を設定するための温度設定部6が接続されると共に温度コントローラ7からの制御出力に従ってヒータ3a、3b、3c及び3dへ電力を供給する電力制御部8が接続されている。温度コントローラ7は、第1の温度センサ4a、4b、4c及び4dと第2の温度センサ5a、5b、5c及び5dにより計測された温度と温度設定部6における目標温度からヒータ3a、3b、3c及び3dが出力すべき電力を個別に指示するためのものである。
【0004】
熱処理の対象となる多数のウェハ1は、炉口キャップ10に固定されたボート9上に縦列に載せられている。炉口キャップ10は、図示しない昇降エレベータによって上下方向に移動可能であり、上方への移動によりボート9に載せられている多数のウェハ1を炉内すなわち反応室内へ投入しつつ反応管2の下部を閉塞し、下方への移動によりボート9に載せられている多数のウェハ1を反応室から引き出すことができる。反応室は、通常、反応管2内部の空間を指すが、装置によっては、反応管2とヒータ3a、3b、3c及び3dとの間に均熱管が配置されており、第2の温度センサ5a、5b、5c及び5dが反応管2と均熱管の間に位置することもあり、その場合は、均熱管内部を反応室とすることもある。
【0005】
次に、図8及び図9を用いて熱処理装置で行われる成膜処理の一例について説明する。図8は、熱処理装置で行われる成膜処理のうち温度に関する処理の一例を示すフローチャートであり、図9は、炉内の温度変化を概略的に示したものである。図9に記されている符合S1〜S6は、図8の各ステップS1〜S6が行われていることを示している。
【0006】
ステップSlは、炉内の温度を比較的低い温度T0に安定させる処理である。ステップSlではウェハ1はまだ炉内に挿入されていない。ステップS2は、ボート9に保持されたウェハ1を炉内へ挿入する処理である。ウェハ1の温度は、この時点で炉内の温度T0より低いので、ウェハ1を炉内へ挿入した結果、炉内の温度は一時的にT0より低くなるが、温度コントローラ7及び電力制御部8により炉内の温度は若干の時間を経て再び温度T0に安定する。
【0007】
ステップS3は、温度T0からウェハ1に成膜処理を施すための目標温度T1まで、徐々に炉内の温度を上昇させる処理である。ステップS4は、ウェハ1に成膜処理を施すために炉内の温度を目標温度T1で維持して安定させる処理である。ステップS5は、成膜処理終了後に温度T1から再び比較的低い温度T0まで徐々に炉内の温度を下降させる処理である。ステップS6は、成膜処理が施されたウェハ1をボート9と共に炉内から引き出す処理である。成膜処理を施すべき未処理のウェハ1が残っている場合には、ボート9上の処理済ウェハ1が未処理のウェハ1と入れ替えられ、これらステップS1〜S6の一連の処理が繰り返される。
【0008】
ステップS1〜S6の処理は、いずれも、温度設定部6からの目標温度に対し、炉内温度が予め定められた微小温度範囲にあり、且つ予め定められた時間だけその状態が続くといった安定状態を得た後、次のステップへ進むようになっている。あるいは、最近では、一定時間でのウェハ1の成膜処理枚数を大きくすることを目的として、ステップS1、S2、S5、S6等においては安定状態を得ずして次のステップへ移行することも行われている。
【0009】
ここで、温度コントローラ7の構成について説明する。図10に示すように、温度コントローラ7では、CPU712が制御アルゴリズムに従ってプログラム726を実行する。温度コントローラ7の内部では、バス714に通信IF716及びパルス出力回路718が接続されている。CPU712は、通信IF716を介して温度設定部6と通信し、目標温度を受信することができると共に、パルス出力回路718を介して制御信号を電力制御部8へ出力することができるように構成されている。
【0010】
バス714には、温度入力回路722及びパルス入力回路724が接続され、温度入力回路722を介して炉内温度とヒータ温度、パルス入力回路724を介して同期パルスをそれぞれデジタル信号化して受信することができる。さらに、バス714に接続されたメモリに、制御プログラム726、制御パラメータ728、位相変換テーブル730がそれぞれ記憶されている。バス714には、表示・入力装置720を接続することが可能であり、制御パラメータ等を表示・入力することができる。
【0011】
制御パラメータ728の内容は、制御アルゴリズムが後述するカスケード制御である場合には、図11に示されるように、少なくとも第1のPIDパラメータと第2のPIDパラメータが用意されている。図11中の制御パラメータ728に示されるゾーンaは、ヒータ3aと第1の温度センサ4aと第2の温度センサ5aに関連する制御演算についてのパラメータを表し、以下ゾーンb、ゾーンc、ゾーンdも同様である。位相変換テーブル730は、制御演算によって得られたヒータ3a、3b、3c及び3dへの電力供給値(0〜100%)から、電力制御部8へのゲートパルスの遅延位相を求めるための変換テーブルである。
【0012】
このような基板処理装置の温度コントローラ7の内部で行われる制御方法としては、通常、図12に示されるような、いわゆるカスケード制御が用いられている。図12では、温度設定部6と温度コントローラ7と電力制御部8との接続が示され、さらに温度コントローラ7の内部については、制御出力の演算方法についてブロック図で表されている。入力端Sには、温度設定部6からの目標温度が入力される。
【0013】
目標温度及び入力端Sは、実際には第2の温度センサ5a、5b、5c及び5dの個数分だけ存在し、それに対応して温度コントローラ7は、図12の破線内部の構成要素が第2の温度センサ5a、5b、5c及び5dと同数だけ存在するが、図12では、簡単のため一つだけ図示している。同様に、入力端F、入力端H、入力端C及び出力端Pも実際には、第2の温度センサ5a、5b、5c及び5dと同数だけ存在するが、簡単のため一つだけ図示している。入力端Fには、第2の温度センサ5a、5b、5c及び5dからの炉内温度が入力される。入力端Hには、第1の温度センサ4a、4b、4c及び4dからのヒータ温度が入力される。
【0014】
温度コントローラ7の内部では、第1の減算要素700、第1のPID演算要素702、第2の減算要素704、第2のPID演算要素706が直列に並び、いわゆるカスケード制御に従う制御演算が行われている。
【0015】
まず、第1の減算要素700では、入力端Sからの目標温度と入力端Fからの炉内温度との差(偏差)を算出する。
第1のPID演算要素702ではPID演算し、第1の操作量cy1を出力するようになっている。
第1のPID演算要素702はさらに詳しく図に示すと、図14のようになる。なお、図14において、CPは比例操作量出力部、CDは微分操作量出力部、MCEは出力保持要素、CIは積分操作量出力部、MCIは出力保持要素、CYは第1の操作量出力部を示している。図14において、第1の減算要素700からの偏差ceが、比例操作量出力部CP、微分操作量出力部CD、出力保持要素MCE、積分操作量出力部CIの各要素に入力される。比例操作量出力部CPはMPBパラメータと偏差ceを入力して次式1を(1)を実行し比例操作量cypを出力する。
【0016】
cyp=100ce/MPB (1)
【0017】
(1)式において、MPBは第1のPID演算要素用の比例パラメータであり、制御パラメータ728(図10)に記録されている値である。微分操作量出力部CDはMPB、MTDパラメータ、偏差ce、前回の偏差ceoldを入力して次式(2)を実行し微分操作量cydを出力する。
【0018】
cyd=(100/MPB)・(MTD/Ts)・(ce−ceold) (2)
【0019】
(2)式において、MPB、MTDは第1のPID演算要素用のそれぞれ比例、微分時間パラメータであり、制御パラメータ728(図10)に記録されている値である。Tsはサンプリング周期である。
出力保持要素MCEは、前回の偏差ceoldを出力する。サンプリング周期でその出力を更新する。
積分操作量出力部CIはMPB、MTIパラメータ、偏差ce、前回の積分操作量cyioldを入力して次式(3)を実行し積分操作量cyiを出力する。
【0020】
cyi=cyiold+(100/MPB)・(Ts/MTI)・ce (3)
【0021】
(3)式において、MPB、MTIは第1のPID演算要素用のそれぞれ比例、積分時間パラメータであり、制御パラメータ728(図10)に記録されている値である。Tsはサンプリング周期である。
【0022】
出力保持要素MCIは、前回の積分操作量cyioldを出力する。サンプリング周期でその出力を更新する。第1の操作量出力部CYは、比例操作量出力部CP、微分操作量出力部CD、積分操作量出力部CIからその演算結果を入力し、次式(4)を実行して第1の操作量cy1を出力する。
【0023】
cy=cyp+cyi+cyd (4)
【0024】
図12に戻り、後段に続く第1のリミッタ703では、第1の操作量cy1を予め設定されている範囲に制限し、入力端Hからのヒータ温度に対する目標温度に変換している。第1の操作量cy1の制限範囲は後述する第2のリミッタ708と同様に0〜100%とし、ヒータ温度の制御可能温度範囲である0〜1400℃へ変換する。
第2の減算要素704では、目標温度変換部(第1のリミッタ703)からのヒータ温度に対する目標温度と入力端Hからのヒータ温度との差を算出する。
【0025】
第2のPID演算要素706では、前述した第1のPID演算702と同様の計算を行い第2の操作量cy2を出力するようになっている。なお、かかる構成を機能ブロック図により表すと図14に示すようになる。そこで使用されているPIDパラメータは制御パラメータ728(図10)から第2のPID演算用に記録されているパラメータを使用する。
【0026】
後段に続く第2のリミッタ708では、第2の操作量cy2をヒータ3(図7)が出力可能な予め設定されている範囲に制限し、ヒータ3への電力供給値としている。リミッタ708の出力は、ヒータ3の最大出力(ヒータ3a、3b、3c、3dの最大出力はそれぞれ異なる)からの割合とし、0〜100%で制限している。
【0027】
続く後段の位相変換要素710では、電力制御部8からの同期パルスを入力端Cに入力し、位相変換テーブル730(図10)を参照して、ヒータ3へ供給する電力量が0〜100%の電力供給値に対応するように位相を遅延させたゲートパルスを出力し、電力制御部8から供給される電力を制御するようになっている。
【0028】
図13は、電力制御部8の内部にある交流電源と、同期パルス、ゲートパルス、そしてヒータ3(図7)への負荷電力との関係を、タイミングチャートで示したものである。リミッタ708の出力(電力供給値0〜100%)が100%のときは、図13(c)のように、ゲートパルスを同期パルスから遅延させない(実際には交流電源にノイズがあることから、ノイズを考慮してわずかに位相を遅延させる)。その結果、図13(e)の網掛け部分のように、交流電源からの全電力がヒータ3へ供給されることになる。リミッタ708の出力が20%のときは、図13(d)のように、ゲートパルスを20%に対応する位相だけ遅延させる。その結果、図13(f)の網掛け部分のように、交流電源からの全電力の20%がヒータ3へ供給されることになる。
【0029】
以上のような温度コントローラ7の構成により、十分早いサンプリング周期で演算を行い、ヒータ3(図7)へ供給される電力を調節することによって、図8によって例示した温度制御をするようになっている。
【0030】
しかしながら、上記の温度コントローラ7および制御方法では、第1のPID演算要素702の積分操作量cyiによっては第2の操作量cy2がその可動範囲を大きく超えることがあり、炉内温度を速やかに安定させることができなくなるという問題があった。そこで、上記実情に鑑みて、これまで幾つかの工夫がなされており、例えば下記特許文献が知られている。
【0031】
ここで、特許文献1によれば、第二の操作量が予め設定された範囲であるか判定して、前記範囲外であれば、第一の操作量に代えて、前記範囲内であったときに記憶した適切な操作量を第2の制御系に出力することが記載されている。
特許文献2によれば、制御対象の制御量が目標値に一致しているときの制御対象への制御出力信号を基準値として、この基準値から正負両側に略同じ値であるように設定される出力制御部の範囲を超えた場合に、積分操作量を停止させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】特許3269894
【特許文献2】特許4070369
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
しかしながら、入力端Fからの炉内温度が目標温度を超えてオーバーシュートしてしまった場合であっても、そのときに第1のPID演算要素702の積分操作量cyiが大きいと入力端Hからのヒータ温度に対する目標温度が大きな値になってしまい、炉内温度のオーバーシュートがさらに大きくなってしまうということがあった。更に、目標温度に対してアンダーシュートが発生した場合、単に積分操作量を停止するのでは、パワーが小さくなりすぎて、アンダーシュートが益々大きくなってしまう恐れがあった。結果として、目標温度に安定させるのに時間がかかってしまう。
【0034】
この発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、高精度で且つ制御性能が高い温度制御を行うことができる熱処理装置の温度制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0035】
この発明に係る熱処理装置の温度制御方法は、第1のPID演算要素と第2のPID演算要素とでカスケード制御を行う温度コントローラを有する熱処理装置の温度制御方法において、第1のPID演算要素の第1の操作量の上下限判定範囲を、炉内温度が目標値に一致しているときの該第1の操作量の値を基準に正負両側に略同じ値である範囲とし、かつ、第1のPID演算要素で計算された第1の操作量がその上限値を超えたと判定されたときは操作量がちょうどその(前記上下限判定範囲の)上限値になる分だけ積分操作量を増加させ、その下限を下回ったと判定されたときは操作量が前記上下限判定範囲の下限値になる分だけ積分操作量を減少させることを特徴とする熱処理装置の温度制御方法にある。
【0036】
なお、明細書及び図面には、基板などの被処理体を反応容器内に収納し熱処理を行う熱処理装置において、第1の減算要素と第1のPID演算要素と第1のリミッタと第2の減算要素と第2のPID演算要素と第2のリミッタと位相変換要素とで構成される温度コントローラを有し、第1のPID演算要素の第1の操作量の上下限判定範囲を、炉内温度が目標値に一致しているときの該第1の操作量の値を基準に正負両側に略同じ値である範囲とし、かつ、第1のPID演算要素で計算された第1の操作量がその上限を超えたと判定されたときは操作量が前記上下限判定範囲の上限値になる分だけ積分操作量を増加させ、その下限を下回ったと判定されたときは操作量が前記上下限判定範囲の下限値になる分だけ積分操作量を減少させることを特徴とする熱処理装置が開示されている。
【0037】
また、明細書及び図面には、被処理体を反応容器内に収納し熱処理を行う熱処理装置において、第1の減算要素と第1のPID演算要素と第1のリミッタと第2の減算要素と第2のPID演算要素と第2のリミッタと位相変換要素とで構成される温度コントローラを有し、第2のPID演算要素の第2の操作量の上下限判定範囲を、炉内温度が目標値に一致しているときの該第2の操作量の値を基準に正負両側に略同じ値である範囲とし、かつ、第2のPID演算要素で計算された第2の操作量がその上限値を超えたと判定されたときは操作量が前記上下限判定範囲の上限値になる分だけ積分操作量を増加させ、その下限を下回ったと判定されたときは操作量が前記上下限判定範囲の下限値になる分だけ積分操作量を減少させることを特徴とする熱処理装置の温度制御方法と温度制御装置が開示されている。
【0038】
また、上記温度制御方法と温度制御装置を半導体製造装置に適用して、基板としての半導体基板が製造され、またLCD装置に適用してガラス基板が製造される。すなわち、被処理体を反応容器内に収納し熱処理を行う被処理体の製造方法において、第1の減算要素と第1のPID演算要素と第1のリミッタと第2の減算要素と第2のPID演算要素と第2のリミッタと位相変換要素とで構成される温度コントローラを有し、第2のPID演算要素の第2の操作量の上下限判定範囲を、炉内温度が目標値に一致しているときの該第2の操作量の値を基準に正負両側に略同じ値である範囲とし、かつ、第2のPID演算要素で計算された第2の操作量がその上限値を超えたと判定されたときは操作量が前記上下限判定範囲の上限値になる分だけ積分操作量を増加させ、その下限を下回ったと判定されたときは操作量が前記上下限判定範囲の下限値になる分だけ積分操作量を減少させて被処理体を製造する製造方法が開示されている。
【0039】
また、基板などの被処理体を反応容器内に収納し熱処理を行う熱処理装置において、第1の減算要素と第1のPID演算要素と第1のリミッタと第2の減算要素と第2のPID演算要素と第2のリミッタと位相変換要素とで構成される温度コントローラを有し、第1のPID演算要素の第1の操作量の上下限判定範囲を、炉内温度が目標値に一致しているときの該第1の操作量の値を基準に正負両側に略同じ値である範囲とし、かつ、第1のPID演算要素で計算された第1の操作量がその上限値を超えたと判定されたときは操作量が前記上下限判定範囲の上限値になる分だけ積分操作量を増加させ、その下限を下回ったと判定されたときは操作量が前記上下限判定範囲の下限値になる分だけ積分操作量を減少させるとともに、第2のPID演算要素の第2の操作量の上下限判定範囲を、炉内温度が目標値に一致しているときの該第2の操作量の値を基準に正負両側に略同じ値である範囲とし、かつ、第2のPID演算要素で計算された第2の操作量がその上限値を超えたと判定されたときは操作量が前記上下限判定範囲の上限値になる分だけ積分操作量を増加させ、その下限を下回ったと判定されたときは操作量が前記上下限判定範囲の下限値になる分だけ積分操作量を減少させることを特徴とする熱処理装置とその温度制御方法が開示されている。
【0040】
さらに、明細書及び図面には、被処理体を反応容器内に収納し熱処理を行う熱処理装置において、第1の減算要素と第1のPID演算要素と第1のリミッタと第2の減算要素と第2のPID演算要素と第2のリミッタと位相変換要素とで構成される温度コントローラを有し、第2のPID演算要素の第2の操作量の上下限判定範囲を、炉内温度が目標値に一致しているときの該第2の操作量の値を基準に正負両側に略同じ値である範囲とし、かつ、第2のPID演算要素において第2の操作量がその上下限値範囲を超えたと判定されたときに第1のPID演算要素での積分操作を停止することを特徴とする熱処理装置が開示されている。
【発明の効果】
【0041】
この発明によれば、高精度で且つ制御性能が高い温度制御を行うことができる熱処理装置の温度制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の実施の形態に係る熱処理装置の構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態で用いられた温度コントローラの構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態で用いられた温度コントローラの内部の制御ブロック図である。
【図4】第1の演算要素および第2の演算要素を示すブロック図である。
【図5】図4に示した積分操作量出力部MIの処理を温度制御方法として示すフローチャートである。
【図6】図4に示した積分操作量出力部SIの処理を温度制御方法として示すフローチャートである。
【図7】従来の熱処理装置の構成を示す断面図である。
【図8】熱処理装置で行われる温度制御手順を示すフローチャートである。
【図9】炉内の温度変化を概略的に示すグラフである。
【図10】従来の熱処理装置で用いられた温度コントローラの構成を示すブロック図である。
【図11】制御パラメータの数値例を示す図である。
【図12】従来の熱処理装置で用いられた温度コントローラの内部の制御ブロック図である。
【図13】交流電源と負荷電力の関係を示すタイミング図である。
【図14】従来の温度コントローラの内部の制御ブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に実施の形態に係る熱処理装置の構成を示す。この熱処理装置は、図7に示した従来の熱処理装置において、温度コントローラ7の代わりに温度コントローラ17を用いたものである。すなわち、温度設定部6と電力制御部8の間に温度コントローラ17を接続すると共に、温度コントローラ17に第1の温度センサ4a、4b、4c及び4dと第2の温度センサ5a、5b、5c及び5dが接続されている。
【0044】
温度コントローラ17の構成を図2に示す。温度コントローラ17は、図10に示した温度コントローラ7において、バス714に接続されているメモリに制御プログラム726Aと制御パラメータ728Aを記憶したものであり、他の構成は温度コントローラ7と同様である。
【0045】
図3は、温度コントローラ17の内部で行われる制御方法を示す制御ブロック図である。この制御ブロック図は、図12に示した従来の温度コントローラ7の制御ブロック図において、第1のPID演算要素702、第2のPID演算要素706の代わりに、それぞれ、第1のPID演算要素102、第2のPID演算要素106を配置したものである。
【0046】
図4は、第1のPID演算要素102、第2のPID演算要素106をより詳しいブロック図で示したものである。なお、図4において、MPは比例操作量出力部、MDは微分操作量出力部、MIUSは上限飽和型積分操作量出力部、MILSは下限飽和型積分操作量出力部、MME、MMI、MMC、MSE、MSI、MSCは出力保持要素(メモリ)、MIは積分操作量出力部、MYは第1の操作量出力部、MCMPは判定部、SPは比例操作量出力部、SDは微分操作量出力部、SIUSは上限飽和型積分操作量出力部、SIDSは下限飽和型積分操作量出力部、SIは積分操作量出力部、SYは第2の操作量出力部、SCMPは判定部である。
【0047】
まず、第1の減算要素700からの偏差meが、比例操作量出力部MP、微分操作量出力部MD、出力保持要素MME、積分操作量出力部MIの各要素に入力される。
比例操作量出力部MPはMPBパラメータと偏差meを入力して式(1)と同様な計算を実行し比例操作量mypを出力する。
【0048】
微分操作量出力部MDは、MPB、MTDパラメータ、偏差me、前回の偏差meoldを入力して式(2)と同様な計算を実行し微分操作量mydを出力する。
上限飽和型積分操作量出力部MIUSは、比例操作量myp、微分操作量mydおよび前回の積分操作量myioldを入力し、次式(5)に従って、上限飽和型積分操作量myiusを出力する。
【0049】
dmyius=LIMup−(myp+myd+myiold
myius=myiold+dmyius
(5)
【0050】
但し、LIMupは後述する判定部MCMPの上限判定値である。
下限飽和型積分操作量出力部MILSは、比例操作量myp、微分操作量mydおよび前回の積分操作量myioldを入力し、次式(6)に従って下限飽和型積分操作量myilsを出力する。
【0051】
dmyils=LIMlow−(myp+myd+myiold
myils=myiold+dmyils
(6)
【0052】
但し、LIMlowは後述する判定部MCMPの下限判定値である。
積分操作量出力部MIは、図5に示す手順に沿って積分操作量myiを出力する。図5については後述する。
【0053】
第1の操作量出力部MYは、比例操作量myp、微分操作量myd、積分操作量myiを入力し、式(4)と同様な計算を実行し、第1の操作量myを出力する。
判定部MCMPは、第1の操作量myを入力し、第1のリミッタ703での制限範囲と同じか、または、より小さい範囲で予め設定された範囲内にあるかどうかを判定する。判定内容は、上限値より大きい、下限値より小さい、または、中間値、の3パターンである。
【0054】
判定部MCMPは、予め設定された範囲を、入力端Fからの炉内温度が目標値に一致しているときの第1の操作量myの値(my0)を予め記憶しておき、第1のリミッタ703での制限範囲であり、かつ、その値(my0)を基準値として、この基準値から正負両側に略同じ値である範囲とする。このときの効果は、特許文献2に記載されている。
【0055】
出力保持要素MMEは前回の偏差meoldを、出力保持要素MMIは前回の積分操作量myioldを、出力保持要素MMCは前回の判定部MCMPの判定結果を、それぞれ保持しまたは出力する。サンプリング周期でその保持内容を更新する。
【0056】
次に、第2のPID演算要素106について説明する。
第2の減算要素704からの偏差seが、比例操作量出力部SP、微分操作量出力部SD、出力保持要素MSE、積分操作量出力部SIの各要素に入力される。
【0057】
比例操作量出力部SPは、SPBパラメータと、偏差seを入力して式(1)と同様な計算を実行し比例操作量sypを出力する。SPBパラメータは第2のPID演算要素用のPパラメータとして制御パラメータ728(図11)に記録されている値である。
【0058】
微分操作量出力部SDはSPB、STDパラメータ、偏差se、前回の偏差seoldを入力して式(2)と同様な計算を実行し微分操作量sydを出力する。SPB、STDパラメータは第2のPID演算要素用のP、Dパラメータとして制御パラメータ728(図10)に記録されている値である。
【0059】
上限飽和型積分操作量出力部SIUSは、比例操作量syp、微分操作量sydおよび前回の積分操作量syioldを入力し、式(5)と同様な計算を実行して上限飽和型積分操作量syiusを出力する。このときLIMupは後述する判定部SCMPの上限判定値を用いる。
【0060】
下限飽和型積分操作量出力部SIDSは、比例操作量syp、微分操作量sydおよび前回の積分操作量syioldを入力し、式(6)と同様な計算を実行して下限飽和型積分操作量syilsを出力する。このときLIMlowは後述する判定部SCMPの下限判定値を用いる。
【0061】
積分操作量出力部SIは、図6に示す手順に沿って積分操作量syiを出力する。図6については後述する。
【0062】
第2の操作量出力部SYは、比例操作量syp、微分操作量syd、積分操作量syiを入力し、式(4)と同様な計算を実行し、第2の操作量syを出力する。
判定部SCMPは、第2の操作量syを入力し、第2のリミッタ708での制限範囲と同じか、または、より小さい範囲で予め設定された範囲内にあるかどうかを判定する。判定内容は、上限値より大きい、下限値より小さい、または、中間値の3パターンである。
判定部SCMPは、予め設定された範囲を、入力端Fからの炉内温度が目標値に一致しているときの第2の操作量syの値(sy0)を予め記憶しておき、第2のリミッタ708での制限範囲であり、かつ、その値(sy0)を基準値として、この基準値から正負両側に略同じ値である範囲とする。このときの効果は、特許文献2に記載されている。
【0063】
出力保持要素MSEは前回の偏差seoldを、出力保持要素MSIは前回の積分操作量syioldを、出力保持要素MSCは前回の判定部SCMPの判定結果を、それぞれ保持しまたは出力する。サンプリング周期でその保持内容を更新する。
【0064】
図5は、上述した積分操作量出力部MIで行われる手順を詳細に示したもので、他の構成要素と同様に、十分短いサンプリング周期で行われる。
【0065】
まず、S200では出力保持要素MSCに保持されている前回の判定部SCMPの判定と、偏差meの条件分岐処理である。S200の第1の分岐はS202へ続き、S200の第2の分岐はS204へ続く。
【0066】
S200の第1の分岐の第1の条件は、前回の判定部SCMPの判定結果が上限値より大きく、かつ、偏差meが正値の場合である。そして、S200の第1の分岐の第2の条件は、前回の判定部SCMPの判定結果が下限値より小さく、かつ、偏差meが負値の場合である。
【0067】
S202では、今回の積分演算を行わないで、前回の積分操作量myioldをそのまま今回の積分操作量myiとする。
【0068】
前回の判定部SCMPの判定結果が上限値より大きく、かつ、偏差meが正値の場合に今回の積分演算を行わない理由は、第2の操作量syがその上限値にあるときに、積分操作量myiすなわちヒータ温度に対する目標値をそれ以上大きくしないためである。それにより、積分操作量myiが不必要に大きくなることを防いでいる。
【0069】
前回の判定部SCMPの判定結果が上限値より小さく、かつ、偏差meが負値の場合に今回の積分演算を行わない理由は、第2の操作量syがその下限値にあるときに、積分操作量myiすなわちヒータ温度に対する目標値をそれ以上小さくしないためである。それにより、積分操作量myiが不必要に小さくなることを防いでいる。
【0070】
S200の第2の分岐は、第1の分岐条件以外の場合であり、その場合S204の処理が続く。S204では、MPB、MTIパラメータ、偏差me、前回の積分操作量myioldを入力して式(3)と同様な計算を実行し積分操作量myiを算出する。但し、MPB、MTIは第1のPID演算要素用のそれぞれ比例、微分時間パラメータであり、制御パラメータ728(図10)に記録されている値である。Tsはサンプリング周期である。次に、S206では計算した今回の積分操作量myiの条件分岐処理である。条件によって、第1の分岐はS208へ、第2の分岐はS210へ、そして、それ以外の第3の分岐は終了処理(End)へ続く。
【0071】
S206の第1の分岐の条件は、S204で計算した今回の積分操作量myiが判定部MCMPの上限値より大きい場合である。S208では、今回の積分演算を行わないで、上限飽和型積分操作量myiusをそのまま今回の積分操作量myiとする(上書き)。この操作をすることにより、積分操作量出力部MI(図4)に続く第1の操作量出力部MY(図4)において計算される第1の操作量myが、ちょうど判定部MCMPの上限値になるようにし、そのために必要な量(式(5)のdmyiusにあたる)だけを積分した値を積分操作量とするようにしている。
【0072】
S206の第2の分岐の条件は、S204で計算した今回の積分操作量myiが判定部MCMPの下限値より小さい場合である。
【0073】
S210では、今回の積分演算を行わないで、下限飽和型積分操作量myilsをそのまま今回の積分操作量myiとする(上書き)。この操作をすることにより、積分操作量出力部MIに続く第1の操作量出力部MYにおいて計算される第1の操作量myが、ちょうど判定部MCMPの下限値になるようにし、そのために必要な量(式(6)のdmyilsにあたる)だけを積分した値を積分操作量とするようにしている。
最後にEnd処理において積分操作量myiの値が最終決定され第1の操作量出力部MYへ出力される。
【0074】
図6は、積分操作量出力部SIで行われる手順を詳細に示したもので、他の構成要素と同様に、十分短いサンプリング周期で行われる。
【0075】
まず、S300では、SPB、STIパラメータ、偏差se、前回の積分操作量syioldを入力して式(3)と同様な計算を実行し積分操作量syiを算出する。但し、SPB、STIは第2のPID演算要素用のそれぞれ比例、微分時間パラメータであり、制御パラメータ728(図10)に記録されている値である。Tsはサンプリング周期である。
【0076】
次に、S302は計算した今回の積分操作量syiの条件分岐処理である。条件によって、第1の分岐はS304へ、第2の分岐はS306へ、そして、それ以外の第3の分岐は終了処理(End)へ続く。
【0077】
S302の第1の分岐の条件は、S300で計算した今回の積分操作量syiが判定部SCMPの上限値より大きい場合である。
【0078】
S304では、今回の積分演算を行わないで、上限飽和型積分操作量syiusをそのまま今回の積分操作量syiとする(上書き)。この操作をすることにより、積分操作量出力部SI(図4)に続く第2の操作量出力部SY(図4)において計算される第2の操作量syが、ちょうど判定部SCMPの上限値になるようにし、そのために必要な量(式(5)のdmyiusにあたる)だけを積分した値を積分操作量とするようにしている。
【0079】
S302の第2の分岐の条件は、S300で計算した今回の積分操作量syiが判定部SCMPの下限値より小さい場合である。
【0080】
S306では、今回の積分演算を行わないで、下限飽和型積分操作量syilsをそのまま今回の積分操作量syiとする(上書き)。この操作をすることにより、積分操作量出力部SIに続く第2の操作量出力部SYにおいて計算される第2の操作量syが、ちょうど判定部SCMPの下限値になるようにし、そのために必要な量(式(6)のdmyilsにあたる)だけを積分した値を積分操作量とするようにしている。
【0081】
最後にEnd処理において積分操作量syiの値が最終決定され、第2の操作量出力部SYへ出力される。
【0082】
以上のように構成することにより、第1のPID演算要素102の第1の操作量myの上下限判定範囲を、入力端Fからの炉内温度が目標値に一致しているときの操作量myを基準に正負両側に略同じ値である範囲とすることにより、第1のPID演算要素102積分操作量myiを適切な値の範囲に限定させることができる。
【0083】
また、更に/或いは、第2のPID演算要素106の第2の操作量syの上下限判定範囲を、入力端Fからの炉内温度が目標値に一致しているときのsyの値を基準に正負両側に略同じ値である範囲とすることにより、第2のPID演算要素106の積分操作量syiを適切な値の範囲に限定させることができる。
【0084】
また、更に/或いは、第2のPID演算要素106の判定部SCMPにおいて、第2の操作量syがその上下限値範囲を超えたと判定されたときに第1のPID演算要素102での積分操作量出力部MIの積分操作を停止することにより、積分操作量myiの不要な増加・減少を防止することができる。
【0085】
更に/或いは、第1のPID演算要素102で計算された第1の操作量myが、判定部MCMPによりその上限値を超えたと判定されたときは、操作量myがちょうど判定部MCMPの上限値になる分だけ積分操作量myiを増加させ、判定部MCMPによりその下限を下回ったと判定されたときは、操作量myがちょうど判定部MCMPの下限値になる分だけ積分操作量myiを減少させることによって、積分操作量myiを速やかに適正値になるように演算処理することができる。
【0086】
更に/或いは、第2のPID演算要素106で計算された第2の操作量syが、判定部SCMPによりその上限値を超えたと判定されたときは、操作量syがちょうど判定部SCMPの上限値になる分だけ積分操作量syiを増加させ、判定部SCMPによりその下限を下回ったと判定されたときは、操作量syがちょうど判定部SCMPの下限値になる分だけ積分操作量syiを減少させることによって、積分操作量syiを速やかに適正値になるように演算処理することができ、高精度でかつ制御性能が高い温度制御方法と温度制御装置を提供することができる。
【0087】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、高精度にかつ高い温度制御性能を実現することができる。
【0088】
なお、この発明は、半導体製造装置における熱処理装置に限らず、例えばLCD装置等のガラス基板を熱処理する装置にも適用することができる。また、炉内における処理としては、CVD処理、酸化処理、拡散処理、アニール処理等、各種の処理が適用される。また、本実施の形態によれば、これら熱処理装置による被熱処理体の製造方法が開示されている。
【符号の説明】
【0089】
1 ウェハ、2 反応管、3a,3b,3c,3d ヒータ、4a,4b,4c,4d 第1の温度センサ、5a,5b,5c,5d 第2の温度センサ、6 温度設定部、8 電力制御部、9 ボート、10 炉口キャップ、17 温度コントローラ、102 第1のPID演算要素、106 第2のPID演算要素、700 第1の減算要素、703 第1のリミッタ、704 第2の減算要素、708 リミッタ、710 位相変換要素、712 CPU、714 バス、716 通信IF、718 パルス出力回路、720 表示・入力装置、722 温度入力回路、724 パルス入力回路、726 制御プログラム、728 制御パラメータ、730 位相変換テーブル、732 電力供給値変更部。734 電力供給値変更テーブル、MP 比例操作量出力部、MD 微分操作量出力部、MIUS 上限飽和型積分操作量出力部、MILS 下限飽和型積分操作量出力部、MME、MMI、MMC、MSE、MSI、MSC 出力保持要素(メモリ)、MI 積分操作量出力部、MY 第1の操作量出力部、MCMP 判定部、SP 比例操作量出力部、SD 微分操作量出力部、SIUS 上限飽和型積分操作量出力部、SIDS 下限飽和型積分操作量出力部、SI 積分操作量出力部、SY 第2の操作量出力部、SCMP 判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のPID演算要素と第2のPID演算要素とでカスケード制御を行う温度コントローラを有する熱処理装置の温度制御方法において、
第1のPID演算要素の第1の操作量の上下限判定範囲を、炉内温度が目標値に一致しているときの該第1の操作量の値を基準に正負両側に略同じ値である範囲とし、かつ第1のPID演算要素で計算された第1の操作量がその上限値を超えたと判定されたときは該第1の操作量が前記上下限判定範囲の上限値になる分だけ前記第1のPID演算要素の積分操作量を増加させ、その下限値を下回ったと判定されたときは該第1の操作量が前記上下限判定範囲の下限値になる分だけ積分操作量を減少させることを特徴とする熱処理装置の温度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−44536(P2011−44536A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190876(P2009−190876)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】