特性シグナチャのマッチングによる光波散乱計測方法
【課題】計測された回折スペクトルと特性領域における複数のシミュレートされた回折スペクトルとの類似性を比較して、格子構造パラメータを決定する方法を提供する。
【解決手段】光波散乱計測方法は、A)格子構造パラメータを入力し、B)前記パラメータを基礎として入射光値に渡り回折形状を計算し、C)前記パラメータのうち1以上を増分的に変更し、D)ステップBを繰り返し、変更された格子構造パラメータを基礎として前記入射光値に渡り追加的な回折形状を計算し、E)増分的に増大する格子構造パラメータ値の変更が回折形状内にしきい値を超える変化を発生させる、計算された回折形状の特性領域を識別し、F)計算された回折形状の特性領域をライブラリに格納し、H)サンプル基板上で光波散乱計測を実行し、入射光値に渡って散乱シグナチャを生成し、G)散乱シグナチャをライブラリ内の計算された回折形状と比較し、H)選択された類似レベルまで散乱シグナチャとマッチする、計算された回折形状を識別する。
【解決手段】光波散乱計測方法は、A)格子構造パラメータを入力し、B)前記パラメータを基礎として入射光値に渡り回折形状を計算し、C)前記パラメータのうち1以上を増分的に変更し、D)ステップBを繰り返し、変更された格子構造パラメータを基礎として前記入射光値に渡り追加的な回折形状を計算し、E)増分的に増大する格子構造パラメータ値の変更が回折形状内にしきい値を超える変化を発生させる、計算された回折形状の特性領域を識別し、F)計算された回折形状の特性領域をライブラリに格納し、H)サンプル基板上で光波散乱計測を実行し、入射光値に渡って散乱シグナチャを生成し、G)散乱シグナチャをライブラリ内の計算された回折形状と比較し、H)選択された類似レベルまで散乱シグナチャとマッチする、計算された回折形状を識別する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2004年12月30日に出願された台湾特許出願第93141298号に対する優先権を主張するものであり、前記出願は本参照により開示に含まれる。
【0002】
本発明の技術分野は、半導体及び類似の微小スケール・デバイスの製造である。より具体的には、本発明は、表面から散乱する光の検出及び解析を基礎として微小スケールの特徴を測定する技術である光波散乱計測に関する。光波散乱計測は、一般に、入射光の波長または角度の関数としての格子構造等の周期的特徴によって散乱または回折される光の強度を収集することを伴う。集められた信号は、その詳細な行動が構造格子の物理的及び光学的パラメータに一意に関連していることから、シグナチャと呼ばれる。
【背景技術】
【0003】
光波散乱計測は、半導体デバイスのフォトリソグラフィ製造、特にデバイスの製造に使用される層のアラインメントの一手段であるオーバーレイ計測に一般的に使用される。このような層のアラインメントの精確な計測及び制御は、高レベルの製造効率を維持する上で重要である。
【0004】
光波散乱計測は、経験的に取得されるシグナチャと、他の手段によって取得されかつ計測されるべき1つ以上の特性の値が知られているシグナチャとの最も近い適合を発見することによって行われる。基準シグナチャとしても知られる前記第2の知られているシグナチャは、一般に、散乱プロセスの厳密なモデルから計算される。これは、時には経験的に決定されてもよい。モデル化されたシグナチャが基準として使用される場合、一旦計算を実行して変化する可能性のある格子のパラメータとしてあり得る全てのシグナチャをライブラリに格納するか、またはシグナチャの計算は計測されたパラメータの検査値に必要とされるときに行われる。
【0005】
基準シグナチャがどのようにして取得されるにせよ、経験的シグナチャと基準シグナチャとの比較が行われる。比較は、これらの2つのシグナチャがどの程度密にマッチするかを示す値によって数値化される。一般に、適合品質はこれら2つのシグナチャ間の根平均二乗差(または誤差)(RMSE)として計算されるが、他の比較方法が使用される場合もある。計測は、経験的シグナチャに対する適合品質の最良値を有する基準信号を発見することによって行われる。計測結果は、基準信号を計算するために使用されるパラメータ・セットになる。経験的に導出される基準シグナチャの場合、基準信号は経験的シグナチャの生成に使用される既知のパラメータの値である。実際のシステムと同じように、計測システムから取得される経験的シグナチャは幾分かノイズを含む。これにより、予測される適合品質に下限が生じる。
【0006】
マイクロ電子デバイス及び形状は、ますます小型化の一途をたどっている。130nmノードのオーバーレイ計測の精度要件は3.5nmであり、90nmノードのそれは3.2nmである。次世代65nmノードの半導体製造プロセスの場合、オーバーレイ計測の精度要件は2.3nmである。光波散乱計測は優れた繰り返し精度及び再現精度を有することから、次世代プロセスにこれを使用できれば効果的であると思われる。しかしながら、従来の明視野計測システムは画像分解能によって制限される。従って、形状の小型化がますます進むにつれて、これらの要素は光波散乱計測の使用にとって重大な技術的課題となる。
【0007】
従来方法は、未知の測定値の回折スペクトルをシミュレートされた回折スペクトルと比較する。Levenberg−Marquardt法による最適化、ランダム探索及び遺伝的アルゴリズム等の方法では、計測された回折スペクトルがオンラインで発生されるシミュレートされた回折スペクトルと比較される。この方法は低速であるが、全く未知の格子の計測に使用可能である。他に主成分回帰(PCR)、偏最小二乗(PLS)、逆最小二乗(ILS)及び人工神経ネットワーク(ANN)等の従来方法では、予め回折ライブラリを構築し、測定された回折スペクトルと最も近く適合するスペクトルを発見するためにライブラリ内の回折スペクトルとが比較される。この方法は処理速度を上げることができるが、最初の方法に比べて大きなコンピュータ記憶容量を必要とする。米国特許第6,785,638号及び米国特許第6,768,967号に記載の方法は、これら双方の方法を統合するものであって、処理速度を上げかつ記憶容量を減らすが、使用されるアルゴリズムは遙かに複雑である。
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,785,638号
【特許文献2】米国特許第6,768,967号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の方法では、根平均二乗誤差(RMSE)、平均二乗誤差(MSE)及び二乗距離(SD)等の静的な方程式を使用して、測定された回折スペクトルとシミュレートされた回折スペクトルとが完全に比較される。しかしながら、RMSEまたはMSEは回折スペクトル全体を平均することから変化の少ない領域が生じ、全体的な比較性能が下がる。また、SDはRMSEまたはMSEほど変数の変化を平均しないが、ノイズに対して遙かに敏感である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
格子の構造パラメータを決定する方法では、計測された回折スペクトルと特性領域における複数のシミュレートされた回折スペクトルとの類似性を比較する。
【0011】
本方法は、厳密な結合波理論を使用し、予め定義された構造パラメータを基礎として複数のシミュレートされた回折スペクトルを含む回折ライブラリを構築するステップと、これらのシミュレートされた回折スペクトルの根平均二乗誤差が計測マシンの雑音レベルより大きいことを前提として前記複数のシミュレートされた回折スペクトルの特性領域を選択するステップと、格子からの測定された回折スペクトルの回折強度を前記特性領域における複数のシミュレートされた回折スペクトルの回折強度と比較してマッチするスペクトルを発見するステップと、前記マッチするスペクトルを基礎として前記格子の構造パラメータを決定するステップとを含むことが可能である。
【0012】
従来の角度光波散乱計測法では、0度〜47度間の回折スペクトル全体が比較される。これには、大量のコンピュータ・メモリが必要とされ、かつ時間がかかる。これに対して本方法では、測定された回折スペクトルの一部だけを、特性領域におけるこれらのシミュレートされた回折スペクトルの対応部分と比較する。これは、処理効率を上げると共に、コンピュータのメモリ要件を減らす。また、従来方法は回折スペクトル全体を平均することから変化の少ない領域が生じ、全体的な比較性能が下がる。しかしながら本方法では、測定された回折スペクトルの一部だけが特性領域におけるシミュレートされた回折スペクトルの対応部分と比較される。従って、平均する計算は回避され、計測性能は高まる。
【0013】
また本方法は、オーバーレイ誤差、線幅、ピッチ、材料パラメータ及び厚さ等の構造パラメータの決定にも適用されることが可能である。さらに本方法は、ターゲット格子の線幅及び厚さ等の変数を同時に変更することにより複数の可変パラメータを同時に決定することにも適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、オーバーレイ・マーク10の一例を示す。オーバーレイ・マーク10は、ポリシリコン製中間層18上のフォトレジスト製の第1の格子14と、シリコン製最下層12上の二酸化珪素製の第2の格子16とを有する。第1の格子14のピッチは第2の格子16のそれと同じであり、ΔOLはこれらの2格子14及び16間のオーバーレイ誤差を表す。本例における、これらの層の厚さ、屈折率及び吸光係数をまとめて下表に示す。
【0015】
【0016】
オーバーレイ・マーク10のオーバーレイ誤差に対する計測感度は、計測マシンの機械的設計、バックエンド検出器及び信号処理技術だけでなく、回折スペクトルの形状(シグナチャ)及びこれらの回折シグナチャ間の分離度に影響するオーバーレイ・マーク10の構造パラメータにも影響される。例えば、屈折率、吸光係数、厚さ、幾何学的形状及びエッチング処理後の側壁角度等の構造パラメータは全て、オーバーレイ・マーク10のオーバーレイ誤差に対する計測感度に影響する。
【0017】
図2は、角度スキャタロメータ20を示す。ここでは角度スキャタロメータ20を示しているが、分光反射率計及び鏡面の分光エリプソメータを等価的に使用してもよい。角度スキャタロメータ20は単一波長レーザを使用し、複数の入射角で走査する。法線26と光源30からの入射ビーム22との間に包含される角度は、法線26と回折ビームとの間のそれと同じである。検出器32は、ゼロ次の回折ビームのみを検出する。入射ビーム22は、アルゴンイオン・レーザ(488ナノメートル及び514ナノメートル)、HeCdレーザ(442ナノメートル)、HeNeレーザ(612ナノメートル及び633ナノメートル)及びNd:YAG(532ナノメートル)またはその他等の現時点で入手可能なレーザを使用することができる。入射ビーム22と回折ビーム24との間の回折シグナチャは、入射角θを変更することによって取得されることが可能である。
【0018】
図3は、オーバーレイ・マーク10の構造パラメータを決定するためのフローチャートを示す。オーバーレイ・マーク10のオーバーレイ誤差等、構造パラメータの予め決められた値(推測値)を入力した後、厳密な結合波理論(RCWT)アルゴリズムを使用して複数のシミュレートされた回折スペクトルを含む回折ライブラリが構築される。例えば、推定値200nmに基づいて、RCWTアルゴリズムを使用して、150、175、200、225及び250ナノメートルのシミュレートされた5つの回折スペクトルが発生される。
【0019】
続いて、これらのシミュレートされた回折スペクトルの根平均二乗誤差に基づいて入射角の一部が特性領域として選択される。特に、複数のシミュレートされた回折スペクトルの特性領域は入射角領域であり、これらのシミュレートされた回折スペクトルは計測マシンの雑音レベルより大きい根平均二乗誤差を有する。従って、計測された回折スペクトルの回折強度は、マッチするスペクトルを発見するために特性領域におけるこれらのシミュレートされた回折スペクトルの回折強度と比較される。オーバーレイ・マーク10の構造パラメータは、マッチするスペクトルに基づいて決定される。これらのシミュレートされた回折スペクトルの特性領域が選択された後、特性領域における回折データを使用して回折ライブラリ内の入射角全体におけるこれらの回折データが交換され、必要な記憶容量が減少する。
【0020】
図4(a)及び図4(b)は、回折ライブラリの一例を示している。但し、これらのシミュレートされた5回折スペクトルのオーバーレイ誤差は各々s偏光及びp偏光の場合で150、175、200、225及び250ナノメートルである。回折ライブラリは、厳密な結合波理論を使用し、オーバーレイ誤差、限界寸法、ピッチ、厚さ及び線対空間比等の予め決められた構造パラメータに従って構築してもよい。
【0021】
図4(a)に示すように、s偏光ビームは、所定の入射角領域において全ての入射角の回折強度の線変化より大きい回折強度変化を有し、他の入射角領域はより小さい回折強度変化を有する。同様にp偏光ビームも、図4(b)に示すように同じ性質を有する。回折ライブラリが構築されると、本方法は、前記回折ライブラリにおけるこれらのシミュレートされた回折スペクトルの特性領域を選択する作業へ進む。22度〜27度間の入射角におけるs偏光ビームの複数のシミュレートされた回折スペクトルの分離度は他の入射角におけるより大きく、即ち、これらのシミュレートされた回折スペクトルは22度〜27度間の入射角においてより高い分解能を有する。言い替えれば、この例では、22度〜27度間の入射角領域をこれらのシミュレートされた回折スペクトルの特性領域と見なすことができる。
【0022】
図5(a)は、RMSE及びオーバーレイ誤差の、s偏光ビームの入射角に対する関係を示し、図5(b)は、RMSE及びオーバーレイ誤差のp偏光ビームの入射角に対する関係を示す。本方法では、任意にRMSEを使用してこれらのシミュレートされた回折スペクトルの分離度を数値化し、RMSEが計測マシンの雑音レベルより大きいかどうかの基準に基づいてこれらのシミュレートされた回折スペクトルの特性領域を選択する。RMSEは、次のように定義される。
【0023】
【0024】
但し、x及びyは各々2つのシミュレートされた回折スペクトルの回折強度を表し、Nは各シミュレートされた回折スペクトルのサンプリング計数を表す。図に示すように、s偏光ビーム及びp偏光ビームは、20度〜30度間の入射角ではより大きいRMSEを有する。
【0025】
図6は、計測マシンの雑音レベルより大きいRMSEのサンプリング計数を示す静的図であり、雑音レベルは0.001に設定される。150乃至250ナノメートル間のオーバーレイ誤差の場合、入射角は26度〜29度間であることからs偏光ビームのRMSEは計測マシンの雑音レベルより大きい。従って、第1の格子14と第2の格子16とのオーバーレイ誤差が150乃至250ナノメートルの範囲であれば、s偏光ビームの26乃至29度間の入射角領域を特性領域とみなすことができる。
【0026】
図7(a)及び図7(b)は各々、計測マシンからのs偏光回折スペクトル及びp偏光スペクトルを示す。特性領域を選択した後、本方法は、マッチするシミュレートされた回折スペクトルを見つけるために、計測された回折スペクトルの回折強度と特性領域内のこれらのシミュレートされた回折スペクトルの回折強度との比較に進む。即ち、マッチするスペクトルを発見するために、図7(a)に示す26度〜29度間の入射角におけるs偏光回折スペクトルの回折強度と、図4(a)に示す26度及び29度間の入射角におけるこれらのシミュレートされた5回折スペクトルの回折強度とを比較する。従って、オーバーレイ・マーク10の構造パラメータはマッチするスペクトルに基づいて決定される。
【0027】
図8は、0度〜47度間の入射角におけるs偏光ビーム及びp偏光ビームの平均RMSEを示し、図9は、入射角28度におけるs偏光ビームのRMSEを示す。図8に示すように、約0.000589である最大RMSEは200ナノメートルのオーバーレイ誤差で発生する。即ち、回折スペクトル全体の従来型の比較では最大RMSE約0.000589を得ることができる。これに対して本方法では、入射角28度を入射角特性として選択することが可能であり、200ナノメートルのオーバーレイ誤差におけるその対応するRMSEは約0.001649、即ち、回折スペクトル全体を比較する従来技術の最大RMSEの約2.8倍である。言い替えれば、入射角28度を回折スペクトルの入射角特性として使用して計測された回折スペクトル全体を表すことで、本発明は、ハードウェア計測マシンを変更することなく、計測精度を2.8倍増加することができる。
【0028】
要約すれば、格子形状を効率的かつ精確に決定するための方法は、不一致を拡大するライブラリ生成プロセスにおいて特性シグナチャ・マッチングを使用する。光散乱理論の使用により、一連の散乱シグナチャ対散乱角または波長が、CD、厚さ及び線対空間比等の設計された格子パラメータを基礎として発生される。本方法は、シグナチャの不一致が予め設定された基準を超える特性部分をどこであろうと選択し、迅速かつ精確なマッチングのために特性シグナチャを刷新する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】オーバーレイ・マークを示す図である。
【図2】角度スキャタロメータのシステム・アーキテクチャを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態によるオーバーレイ・マークの構造パラメータを決定するためのフローチャートを示す図である。
【図4(a)】本発明の一実施形態による回折ライブラリを示す図である。
【図4(b)】本発明の一実施形態による回折ライブラリを示す図である。
【図5(a)】RMSE及びオーバーレイ誤差のs偏光ビームの入射角に対する関係を示す図である。
【図5(b)】RMSE及びオーバーレイ誤差のp偏光ビームの入射角に対する関係を示す図である。
【図6】計測マシンの雑音レベルより大きいRMSEのサンプリング計数を示す静的図である。
【図7(a)】計測マシンからのs偏光回折スペクトル及びp偏光スペクトルを示す図である。
【図7(b)】計測マシンからのs偏光回折スペクトル及びp偏光スペクトルを示す図である。
【図8】0度〜47度間の入射角におけるs偏光ビーム及びp偏光ビームの平均RMSEを示す図である。
【図9】入射角28度におけるs偏光ビームのRMSEを示す図である。
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2004年12月30日に出願された台湾特許出願第93141298号に対する優先権を主張するものであり、前記出願は本参照により開示に含まれる。
【0002】
本発明の技術分野は、半導体及び類似の微小スケール・デバイスの製造である。より具体的には、本発明は、表面から散乱する光の検出及び解析を基礎として微小スケールの特徴を測定する技術である光波散乱計測に関する。光波散乱計測は、一般に、入射光の波長または角度の関数としての格子構造等の周期的特徴によって散乱または回折される光の強度を収集することを伴う。集められた信号は、その詳細な行動が構造格子の物理的及び光学的パラメータに一意に関連していることから、シグナチャと呼ばれる。
【背景技術】
【0003】
光波散乱計測は、半導体デバイスのフォトリソグラフィ製造、特にデバイスの製造に使用される層のアラインメントの一手段であるオーバーレイ計測に一般的に使用される。このような層のアラインメントの精確な計測及び制御は、高レベルの製造効率を維持する上で重要である。
【0004】
光波散乱計測は、経験的に取得されるシグナチャと、他の手段によって取得されかつ計測されるべき1つ以上の特性の値が知られているシグナチャとの最も近い適合を発見することによって行われる。基準シグナチャとしても知られる前記第2の知られているシグナチャは、一般に、散乱プロセスの厳密なモデルから計算される。これは、時には経験的に決定されてもよい。モデル化されたシグナチャが基準として使用される場合、一旦計算を実行して変化する可能性のある格子のパラメータとしてあり得る全てのシグナチャをライブラリに格納するか、またはシグナチャの計算は計測されたパラメータの検査値に必要とされるときに行われる。
【0005】
基準シグナチャがどのようにして取得されるにせよ、経験的シグナチャと基準シグナチャとの比較が行われる。比較は、これらの2つのシグナチャがどの程度密にマッチするかを示す値によって数値化される。一般に、適合品質はこれら2つのシグナチャ間の根平均二乗差(または誤差)(RMSE)として計算されるが、他の比較方法が使用される場合もある。計測は、経験的シグナチャに対する適合品質の最良値を有する基準信号を発見することによって行われる。計測結果は、基準信号を計算するために使用されるパラメータ・セットになる。経験的に導出される基準シグナチャの場合、基準信号は経験的シグナチャの生成に使用される既知のパラメータの値である。実際のシステムと同じように、計測システムから取得される経験的シグナチャは幾分かノイズを含む。これにより、予測される適合品質に下限が生じる。
【0006】
マイクロ電子デバイス及び形状は、ますます小型化の一途をたどっている。130nmノードのオーバーレイ計測の精度要件は3.5nmであり、90nmノードのそれは3.2nmである。次世代65nmノードの半導体製造プロセスの場合、オーバーレイ計測の精度要件は2.3nmである。光波散乱計測は優れた繰り返し精度及び再現精度を有することから、次世代プロセスにこれを使用できれば効果的であると思われる。しかしながら、従来の明視野計測システムは画像分解能によって制限される。従って、形状の小型化がますます進むにつれて、これらの要素は光波散乱計測の使用にとって重大な技術的課題となる。
【0007】
従来方法は、未知の測定値の回折スペクトルをシミュレートされた回折スペクトルと比較する。Levenberg−Marquardt法による最適化、ランダム探索及び遺伝的アルゴリズム等の方法では、計測された回折スペクトルがオンラインで発生されるシミュレートされた回折スペクトルと比較される。この方法は低速であるが、全く未知の格子の計測に使用可能である。他に主成分回帰(PCR)、偏最小二乗(PLS)、逆最小二乗(ILS)及び人工神経ネットワーク(ANN)等の従来方法では、予め回折ライブラリを構築し、測定された回折スペクトルと最も近く適合するスペクトルを発見するためにライブラリ内の回折スペクトルとが比較される。この方法は処理速度を上げることができるが、最初の方法に比べて大きなコンピュータ記憶容量を必要とする。米国特許第6,785,638号及び米国特許第6,768,967号に記載の方法は、これら双方の方法を統合するものであって、処理速度を上げかつ記憶容量を減らすが、使用されるアルゴリズムは遙かに複雑である。
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,785,638号
【特許文献2】米国特許第6,768,967号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の方法では、根平均二乗誤差(RMSE)、平均二乗誤差(MSE)及び二乗距離(SD)等の静的な方程式を使用して、測定された回折スペクトルとシミュレートされた回折スペクトルとが完全に比較される。しかしながら、RMSEまたはMSEは回折スペクトル全体を平均することから変化の少ない領域が生じ、全体的な比較性能が下がる。また、SDはRMSEまたはMSEほど変数の変化を平均しないが、ノイズに対して遙かに敏感である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
格子の構造パラメータを決定する方法では、計測された回折スペクトルと特性領域における複数のシミュレートされた回折スペクトルとの類似性を比較する。
【0011】
本方法は、厳密な結合波理論を使用し、予め定義された構造パラメータを基礎として複数のシミュレートされた回折スペクトルを含む回折ライブラリを構築するステップと、これらのシミュレートされた回折スペクトルの根平均二乗誤差が計測マシンの雑音レベルより大きいことを前提として前記複数のシミュレートされた回折スペクトルの特性領域を選択するステップと、格子からの測定された回折スペクトルの回折強度を前記特性領域における複数のシミュレートされた回折スペクトルの回折強度と比較してマッチするスペクトルを発見するステップと、前記マッチするスペクトルを基礎として前記格子の構造パラメータを決定するステップとを含むことが可能である。
【0012】
従来の角度光波散乱計測法では、0度〜47度間の回折スペクトル全体が比較される。これには、大量のコンピュータ・メモリが必要とされ、かつ時間がかかる。これに対して本方法では、測定された回折スペクトルの一部だけを、特性領域におけるこれらのシミュレートされた回折スペクトルの対応部分と比較する。これは、処理効率を上げると共に、コンピュータのメモリ要件を減らす。また、従来方法は回折スペクトル全体を平均することから変化の少ない領域が生じ、全体的な比較性能が下がる。しかしながら本方法では、測定された回折スペクトルの一部だけが特性領域におけるシミュレートされた回折スペクトルの対応部分と比較される。従って、平均する計算は回避され、計測性能は高まる。
【0013】
また本方法は、オーバーレイ誤差、線幅、ピッチ、材料パラメータ及び厚さ等の構造パラメータの決定にも適用されることが可能である。さらに本方法は、ターゲット格子の線幅及び厚さ等の変数を同時に変更することにより複数の可変パラメータを同時に決定することにも適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、オーバーレイ・マーク10の一例を示す。オーバーレイ・マーク10は、ポリシリコン製中間層18上のフォトレジスト製の第1の格子14と、シリコン製最下層12上の二酸化珪素製の第2の格子16とを有する。第1の格子14のピッチは第2の格子16のそれと同じであり、ΔOLはこれらの2格子14及び16間のオーバーレイ誤差を表す。本例における、これらの層の厚さ、屈折率及び吸光係数をまとめて下表に示す。
【0015】
【0016】
オーバーレイ・マーク10のオーバーレイ誤差に対する計測感度は、計測マシンの機械的設計、バックエンド検出器及び信号処理技術だけでなく、回折スペクトルの形状(シグナチャ)及びこれらの回折シグナチャ間の分離度に影響するオーバーレイ・マーク10の構造パラメータにも影響される。例えば、屈折率、吸光係数、厚さ、幾何学的形状及びエッチング処理後の側壁角度等の構造パラメータは全て、オーバーレイ・マーク10のオーバーレイ誤差に対する計測感度に影響する。
【0017】
図2は、角度スキャタロメータ20を示す。ここでは角度スキャタロメータ20を示しているが、分光反射率計及び鏡面の分光エリプソメータを等価的に使用してもよい。角度スキャタロメータ20は単一波長レーザを使用し、複数の入射角で走査する。法線26と光源30からの入射ビーム22との間に包含される角度は、法線26と回折ビームとの間のそれと同じである。検出器32は、ゼロ次の回折ビームのみを検出する。入射ビーム22は、アルゴンイオン・レーザ(488ナノメートル及び514ナノメートル)、HeCdレーザ(442ナノメートル)、HeNeレーザ(612ナノメートル及び633ナノメートル)及びNd:YAG(532ナノメートル)またはその他等の現時点で入手可能なレーザを使用することができる。入射ビーム22と回折ビーム24との間の回折シグナチャは、入射角θを変更することによって取得されることが可能である。
【0018】
図3は、オーバーレイ・マーク10の構造パラメータを決定するためのフローチャートを示す。オーバーレイ・マーク10のオーバーレイ誤差等、構造パラメータの予め決められた値(推測値)を入力した後、厳密な結合波理論(RCWT)アルゴリズムを使用して複数のシミュレートされた回折スペクトルを含む回折ライブラリが構築される。例えば、推定値200nmに基づいて、RCWTアルゴリズムを使用して、150、175、200、225及び250ナノメートルのシミュレートされた5つの回折スペクトルが発生される。
【0019】
続いて、これらのシミュレートされた回折スペクトルの根平均二乗誤差に基づいて入射角の一部が特性領域として選択される。特に、複数のシミュレートされた回折スペクトルの特性領域は入射角領域であり、これらのシミュレートされた回折スペクトルは計測マシンの雑音レベルより大きい根平均二乗誤差を有する。従って、計測された回折スペクトルの回折強度は、マッチするスペクトルを発見するために特性領域におけるこれらのシミュレートされた回折スペクトルの回折強度と比較される。オーバーレイ・マーク10の構造パラメータは、マッチするスペクトルに基づいて決定される。これらのシミュレートされた回折スペクトルの特性領域が選択された後、特性領域における回折データを使用して回折ライブラリ内の入射角全体におけるこれらの回折データが交換され、必要な記憶容量が減少する。
【0020】
図4(a)及び図4(b)は、回折ライブラリの一例を示している。但し、これらのシミュレートされた5回折スペクトルのオーバーレイ誤差は各々s偏光及びp偏光の場合で150、175、200、225及び250ナノメートルである。回折ライブラリは、厳密な結合波理論を使用し、オーバーレイ誤差、限界寸法、ピッチ、厚さ及び線対空間比等の予め決められた構造パラメータに従って構築してもよい。
【0021】
図4(a)に示すように、s偏光ビームは、所定の入射角領域において全ての入射角の回折強度の線変化より大きい回折強度変化を有し、他の入射角領域はより小さい回折強度変化を有する。同様にp偏光ビームも、図4(b)に示すように同じ性質を有する。回折ライブラリが構築されると、本方法は、前記回折ライブラリにおけるこれらのシミュレートされた回折スペクトルの特性領域を選択する作業へ進む。22度〜27度間の入射角におけるs偏光ビームの複数のシミュレートされた回折スペクトルの分離度は他の入射角におけるより大きく、即ち、これらのシミュレートされた回折スペクトルは22度〜27度間の入射角においてより高い分解能を有する。言い替えれば、この例では、22度〜27度間の入射角領域をこれらのシミュレートされた回折スペクトルの特性領域と見なすことができる。
【0022】
図5(a)は、RMSE及びオーバーレイ誤差の、s偏光ビームの入射角に対する関係を示し、図5(b)は、RMSE及びオーバーレイ誤差のp偏光ビームの入射角に対する関係を示す。本方法では、任意にRMSEを使用してこれらのシミュレートされた回折スペクトルの分離度を数値化し、RMSEが計測マシンの雑音レベルより大きいかどうかの基準に基づいてこれらのシミュレートされた回折スペクトルの特性領域を選択する。RMSEは、次のように定義される。
【0023】
【0024】
但し、x及びyは各々2つのシミュレートされた回折スペクトルの回折強度を表し、Nは各シミュレートされた回折スペクトルのサンプリング計数を表す。図に示すように、s偏光ビーム及びp偏光ビームは、20度〜30度間の入射角ではより大きいRMSEを有する。
【0025】
図6は、計測マシンの雑音レベルより大きいRMSEのサンプリング計数を示す静的図であり、雑音レベルは0.001に設定される。150乃至250ナノメートル間のオーバーレイ誤差の場合、入射角は26度〜29度間であることからs偏光ビームのRMSEは計測マシンの雑音レベルより大きい。従って、第1の格子14と第2の格子16とのオーバーレイ誤差が150乃至250ナノメートルの範囲であれば、s偏光ビームの26乃至29度間の入射角領域を特性領域とみなすことができる。
【0026】
図7(a)及び図7(b)は各々、計測マシンからのs偏光回折スペクトル及びp偏光スペクトルを示す。特性領域を選択した後、本方法は、マッチするシミュレートされた回折スペクトルを見つけるために、計測された回折スペクトルの回折強度と特性領域内のこれらのシミュレートされた回折スペクトルの回折強度との比較に進む。即ち、マッチするスペクトルを発見するために、図7(a)に示す26度〜29度間の入射角におけるs偏光回折スペクトルの回折強度と、図4(a)に示す26度及び29度間の入射角におけるこれらのシミュレートされた5回折スペクトルの回折強度とを比較する。従って、オーバーレイ・マーク10の構造パラメータはマッチするスペクトルに基づいて決定される。
【0027】
図8は、0度〜47度間の入射角におけるs偏光ビーム及びp偏光ビームの平均RMSEを示し、図9は、入射角28度におけるs偏光ビームのRMSEを示す。図8に示すように、約0.000589である最大RMSEは200ナノメートルのオーバーレイ誤差で発生する。即ち、回折スペクトル全体の従来型の比較では最大RMSE約0.000589を得ることができる。これに対して本方法では、入射角28度を入射角特性として選択することが可能であり、200ナノメートルのオーバーレイ誤差におけるその対応するRMSEは約0.001649、即ち、回折スペクトル全体を比較する従来技術の最大RMSEの約2.8倍である。言い替えれば、入射角28度を回折スペクトルの入射角特性として使用して計測された回折スペクトル全体を表すことで、本発明は、ハードウェア計測マシンを変更することなく、計測精度を2.8倍増加することができる。
【0028】
要約すれば、格子形状を効率的かつ精確に決定するための方法は、不一致を拡大するライブラリ生成プロセスにおいて特性シグナチャ・マッチングを使用する。光散乱理論の使用により、一連の散乱シグナチャ対散乱角または波長が、CD、厚さ及び線対空間比等の設計された格子パラメータを基礎として発生される。本方法は、シグナチャの不一致が予め設定された基準を超える特性部分をどこであろうと選択し、迅速かつ精確なマッチングのために特性シグナチャを刷新する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】オーバーレイ・マークを示す図である。
【図2】角度スキャタロメータのシステム・アーキテクチャを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態によるオーバーレイ・マークの構造パラメータを決定するためのフローチャートを示す図である。
【図4(a)】本発明の一実施形態による回折ライブラリを示す図である。
【図4(b)】本発明の一実施形態による回折ライブラリを示す図である。
【図5(a)】RMSE及びオーバーレイ誤差のs偏光ビームの入射角に対する関係を示す図である。
【図5(b)】RMSE及びオーバーレイ誤差のp偏光ビームの入射角に対する関係を示す図である。
【図6】計測マシンの雑音レベルより大きいRMSEのサンプリング計数を示す静的図である。
【図7(a)】計測マシンからのs偏光回折スペクトル及びp偏光スペクトルを示す図である。
【図7(b)】計測マシンからのs偏光回折スペクトル及びp偏光スペクトルを示す図である。
【図8】0度〜47度間の入射角におけるs偏光ビーム及びp偏光ビームの平均RMSEを示す図である。
【図9】入射角28度におけるs偏光ビームのRMSEを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光波散乱計測方法であって、
A.コンピュータへ格子構造パラメータを入力することと、
B.前記格子構造パラメータを基礎としてある範囲の入射光値に渡り回折形状を計算することと、
C.前記格子構造パラメータのうち1つ以上を増分的に変更することと、
D.ステップBを繰り返し、前記変更された格子構造パラメータを基礎として前記範囲の入射光値に渡り追加的な回折形状を計算することと、
E.前記増分的に増大する格子構造パラメータ値の変更が回折形状内にしきい値を超える変化を発生させる、前記計算された回折形状の特性領域を識別することと、
F.前記計算された回折形状の特性領域をライブラリに格納することと、
H.サンプル基板上で光波散乱計測を実行し、ある範囲の入射光値に渡って散乱シグナチャを生成することと、
G.前記散乱シグナチャを前記ライブラリ内の計算された回折形状と比較することと、
H.選択された類似レベルまで前記散乱シグナチャとマッチする、計算された回折形状を識別すること
を含む方法。
【請求項2】
前記入射光値は入射光の角度である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記入射光値は入射光の偏光タイプである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップHにおいて、前記散乱シグナチャと最も密にマッチする前記計算された回折形状が識別される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記格子構造パラメータは、2つ以上の層上の格子を有する2つ以上の層を有する半導体基板のパラメータである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記格子構造パラメータは、格子の線幅、格子の線対空間比、格子オーバーレイの偏り、並びに、各層の膜厚、各層の光特性、並びに、各層の形状特性のうち、1つ以上を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記計算された回折形状の特性領域のみが前記ライブラリに格納される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
基板上で光波散乱計測を実行するための方法であって、
A.コンピュータへ格子構造パラメータ(線幅及び線対空間比)及び基板パラメータ(膜厚、各層の光特性、形状/パターン情報)を入力することと、
B.前記格子構造パラメータ及び基板パラメータを基礎としてある範囲の入射光値に渡り回折形状を計算することと、
C.異なる層上の格子間の格子オーバーレイの偏りを増分的に増加することと、
D.ステップB及びCを繰り返して、前記変更された格子オーバーレイの偏りを基礎として追加的な回折形状を計算することと、
E.オーバーレイ・パラメータ・ステップの増分変化が前記入射光の角度範囲に渡って計算された回折形状間の大部分の変化を発生させる、前記計算された回折形状の特性領域を識別することと、
F.前記計算された回折形状の特性領域のみをライブラリに格納することと、
H.前記基板上で光波散乱計測を実行し、ある範囲の入射光値に渡って散乱シグナチャを計測することと、
G.前記測定された散乱シグナチャを前記ライブラリ内の計算された回折形状の前記特性領域のみと比較することと、
H.前記計測された散乱シグナチャと最も密にマッチする、計算された回折形状を識別することと、
I.前記オーバーレイの偏りを、前記測定された散乱シグナチャにマッチする計算された回折形状のオーバーレイの偏りを基礎として決定することと
を含む方法。
【請求項9】
入射光源と、
前記入射光源の値を変更する手段と、
光検出器と、
前記入射光源及び光検出器へリンクされるコンピュータと
を備えた光波散乱計測システムであって、
前記コンピュータは、
格子構造パラメータを基礎としてある範囲の入射光値に渡り回折形状を計算する手段と、
前記格子構造パラメータの1つまたは複数を増分的に変更する手段と、
前記変更された格子構造パラメータを基礎として前記範囲の入射光値に渡り追加的な回折形状を再計算する手段と、
格子構造パラメータ値の変更が前記回折形状内にしきい値を超える変化を発生させる、前記計算された回折形状の特性領域を識別する手段と、
前記計算された回折形状の特性領域をルックアップ表に格納するための手段と、
前記散乱シグナチャを前記ライブラリ内の計算された回折形状と比較する手段と、
前記散乱シグナチャと選択された類似レベルまでマッチする、計算された回折形状を識別する手段と
を備える光波散乱計測システム。
【請求項1】
光波散乱計測方法であって、
A.コンピュータへ格子構造パラメータを入力することと、
B.前記格子構造パラメータを基礎としてある範囲の入射光値に渡り回折形状を計算することと、
C.前記格子構造パラメータのうち1つ以上を増分的に変更することと、
D.ステップBを繰り返し、前記変更された格子構造パラメータを基礎として前記範囲の入射光値に渡り追加的な回折形状を計算することと、
E.前記増分的に増大する格子構造パラメータ値の変更が回折形状内にしきい値を超える変化を発生させる、前記計算された回折形状の特性領域を識別することと、
F.前記計算された回折形状の特性領域をライブラリに格納することと、
H.サンプル基板上で光波散乱計測を実行し、ある範囲の入射光値に渡って散乱シグナチャを生成することと、
G.前記散乱シグナチャを前記ライブラリ内の計算された回折形状と比較することと、
H.選択された類似レベルまで前記散乱シグナチャとマッチする、計算された回折形状を識別すること
を含む方法。
【請求項2】
前記入射光値は入射光の角度である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記入射光値は入射光の偏光タイプである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップHにおいて、前記散乱シグナチャと最も密にマッチする前記計算された回折形状が識別される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記格子構造パラメータは、2つ以上の層上の格子を有する2つ以上の層を有する半導体基板のパラメータである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記格子構造パラメータは、格子の線幅、格子の線対空間比、格子オーバーレイの偏り、並びに、各層の膜厚、各層の光特性、並びに、各層の形状特性のうち、1つ以上を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記計算された回折形状の特性領域のみが前記ライブラリに格納される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
基板上で光波散乱計測を実行するための方法であって、
A.コンピュータへ格子構造パラメータ(線幅及び線対空間比)及び基板パラメータ(膜厚、各層の光特性、形状/パターン情報)を入力することと、
B.前記格子構造パラメータ及び基板パラメータを基礎としてある範囲の入射光値に渡り回折形状を計算することと、
C.異なる層上の格子間の格子オーバーレイの偏りを増分的に増加することと、
D.ステップB及びCを繰り返して、前記変更された格子オーバーレイの偏りを基礎として追加的な回折形状を計算することと、
E.オーバーレイ・パラメータ・ステップの増分変化が前記入射光の角度範囲に渡って計算された回折形状間の大部分の変化を発生させる、前記計算された回折形状の特性領域を識別することと、
F.前記計算された回折形状の特性領域のみをライブラリに格納することと、
H.前記基板上で光波散乱計測を実行し、ある範囲の入射光値に渡って散乱シグナチャを計測することと、
G.前記測定された散乱シグナチャを前記ライブラリ内の計算された回折形状の前記特性領域のみと比較することと、
H.前記計測された散乱シグナチャと最も密にマッチする、計算された回折形状を識別することと、
I.前記オーバーレイの偏りを、前記測定された散乱シグナチャにマッチする計算された回折形状のオーバーレイの偏りを基礎として決定することと
を含む方法。
【請求項9】
入射光源と、
前記入射光源の値を変更する手段と、
光検出器と、
前記入射光源及び光検出器へリンクされるコンピュータと
を備えた光波散乱計測システムであって、
前記コンピュータは、
格子構造パラメータを基礎としてある範囲の入射光値に渡り回折形状を計算する手段と、
前記格子構造パラメータの1つまたは複数を増分的に変更する手段と、
前記変更された格子構造パラメータを基礎として前記範囲の入射光値に渡り追加的な回折形状を再計算する手段と、
格子構造パラメータ値の変更が前記回折形状内にしきい値を超える変化を発生させる、前記計算された回折形状の特性領域を識別する手段と、
前記計算された回折形状の特性領域をルックアップ表に格納するための手段と、
前記散乱シグナチャを前記ライブラリ内の計算された回折形状と比較する手段と、
前記散乱シグナチャと選択された類似レベルまでマッチする、計算された回折形状を識別する手段と
を備える光波散乱計測システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8】
【図9】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8】
【図9】
【図5(a)】
【図5(b)】
【公開番号】特開2006−226994(P2006−226994A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−41(P2006−41)
【出願日】平成18年1月4日(2006.1.4)
【出願人】(505443838)アクセント・オプティカル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ACCENT OPTICAL TECHNOLOGIES, INC.
【出願人】(593132010)インダストリアル・テクノロジー・リサーチ・インスティテュート (32)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41(P2006−41)
【出願日】平成18年1月4日(2006.1.4)
【出願人】(505443838)アクセント・オプティカル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ACCENT OPTICAL TECHNOLOGIES, INC.
【出願人】(593132010)インダストリアル・テクノロジー・リサーチ・インスティテュート (32)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【Fターム(参考)】
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