説明

自動車走行制御装置

【課題】 アクセルペダルの誤操作踏込事故を防止できる自動車走行制御装置を提供すること。
【解決手段】 アクセルペダルの急激な踏み込みを阻止する方向の抵抗力を発生する抵抗力発生機構を設け、上記抵抗力に抗してアクセルペダルを踏み込んだときオンする動作スイッチを設け、アクセルペダルアームにアクセルペダルの踏み込みによりオンするアクセルアームスイッチを設け、上記動作スイッチのオン状態において電源バッテリーを上記アクセルアームスイッチに供給可能に構成し、上記アクセルアームスイッチのオン状態において上記電源バッテリーを該アクセルアームスイッチを介して配電部に供給することにより燃料カット装置を作動し得るように構成し、上記アクセルペダルの上記抵抗力に抗しての急速な踏み込みに基づく上記動作スイッチと上記アクセルアームスイッチのオンに基づいて上記燃料カット装置を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセルペダルをブレーキペダルと間違えて強く踏み込んだ場合に、これを確実に検出し、エンジンの燃料カット等を自動的に行って急発進による事故を未然に防止するための自動車走行制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、誤操作によるアクセルペダルの急激な踏み込みを検出するため、アクセルペダルにアクセルペダル踏力センサー及びアクセルペダルストロークセンサーを配置し、上記両センサーからの踏力信号とストローク信号をコントローラに入力し、該コントローラにて上記両信号に基づいてアクセルペダルの誤操作であるか否かを判断し、誤操作であると判断した場合は、ブレーキ装置の開閉及びエンジンの燃料カットを行う暴走防止装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−278092
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の暴走防止装置は、アクセルペダルの踏力とストロークという2つの信号に基づいて、コントローラ8(CPU等の制御装置)にて誤操作か否かをソフトウェアにて判断するものであり、その構成が複雑であり、より簡単で確実な装置が望まれている。
【0005】
また、上記特許文献1の装置は、アクセルペダルの急激な踏み込みに対する抵抗がないため、アクセルペダルの急激な誤踏込操作に対する安全性が高くないという課題がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、構造が比較的簡単であると共に、アクセルペダルの急激な踏み込みに対して抵抗力を作用させて安全性を高めると共に、確実にアクセルペダルの誤操作を検出し、事故を未然に防止することができる自動車走行制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、アクセルペダルの急激な踏み込みを検出することにより自動車の急発進を阻止する自動車走行制御装置であって、アクセルペダルアームに上記アクセルペダルの急激な踏み込みを阻止する方向の抵抗力を発生する抵抗力発生機構を設けると共に、該抵抗力発生機構により発生する抵抗力に抗してアクセルペダルを踏み込んだときオン状態となる動作スイッチを設け、かつ上記アクセルペダルアームにアクセルペダルの踏み込みによりオンするアクセルアームスイッチを設け、上記動作スイッチに電源バッテリーを接続し、上記動作スイッチのオン状態において上記電源バッテリーを上記動作スイッチを介して上記アクセルアームスイッチに供給し得るように構成し、さらに上記アクセルアームスイッチと配電部とを接続すると共に、上記配電部と燃料カット装置又はブレーキ装置とを接続し、上記アクセルアームスイッチのオン状態において上記電源バッテリーを該アクセルアームスイッチを介して上記配電部に供給することにより、該配電部を介して上記燃料カット装置又は上記ブレーキ装置を作動し得るように構成し、上記アクセルペダルの上記抵抗力発生機構の上記抵抗力に抗しての急激な踏み込みに基づく上記動作スイッチ及び上記アクセルアームスイッチのオンに基づいて、上記燃料カット装置又は上記ブレーキ装置を作動させることにより、自動車の急発進を阻止するものであることを特徴とする自動車走行制御装置により構成される。
【0008】
上記抵抗力発生機構は、例えば発電機(5)による起電力発生機構、或いはエアシリンダー(30)によるエア抵抗発生機構等により構成することができる。上記抵抗力とはアクセルペダルを急激に踏み込んだとき、その踏み込み力を阻止する方向に作用する力をいう。上記動作スイッチは例えば二次電磁スイッチ(10、図1)、動作スイッチ(10、図4)により構成することができる。上記配電部は例えば自動車内に設置されている制御配電ケース(13)の配電部(13a)により構成することができる。このように構成すると、比較的簡単な構成により、アクセルペダルの急激な踏み込みに対して抵抗力を作用させて安全性を高めながら、当該抵抗力に抗してアクセルペダルが急激に踏み込まれた場合は、動作スイッチとアクセルアームスイッチの両方のオンによりこれを確実に検出して自動車の急発進を阻止し得る。
【0009】
第2に、上記抵抗力発生機構は、上記アクセルペダルアームの近傍に固設された発電機と、該発電機の回転軸と上記アクセルペダルアームとを接続するワイヤと、上記アクセルペダルの踏み込みによる上記アームの回動により上記ワイヤを介して上記発電機の回転軸を回転させて起電力を発生し得る起電力発生機構により構成し、上記起電力発生機構の上記発電機に上記動作スイッチを接続し、該動作スイッチを上記起電力発生機構により発生した起電力によってオンし得るように構成したものであることを特徴とする上記第1記載の自動車走行制御装置により構成される。
【0010】
このように構成すると、アクセルペダルの急激な踏み込みにより発電機(5)の回転軸が回転して所定の起電力が発生するので、当該起電力によって動作スイッチ(二次電磁スイッチ(10))をオン状態とすることができる。かかる構成によると、アクセルペダルの急激な踏み込みに対しては発電機(5)の発電抵抗による抵抗力を作用させることができ、当該抵抗力に抗しての急激な踏み込みが発生したときは上記発電機(5)の起電力により動作スイッチを確実にオンすることができる。
【0011】
第3に、上記発電機と上記動作スイッチとの間に上記発電機と上記動作スイッチとの経路の接続を開閉するための開閉スイッチを設け、かつ上記自動車のスピードメータの速度を検出し、所定速度以下であるときは上記開閉スイッチをオンして上記経路を接続状態とし、上記所定速度以上であるときは上記開閉スイッチをオフして上記経路を開放状態とするスピードメータセンサーを設けたものであることを特徴とする上記第2記載の自動車走行制御装置により構成される。
【0012】
上記所定速度は例えば時速10kmとすることができる。このように構成すると、時速10km以上の走行時においては、開閉スイッチがオフするため上記動作スイッチがオンすることはなく、通常の走行時において誤ってブレーキ装置等が作動することを防止し得る。
【0013】
第4に、上記抵抗力発生機構は、上記アクセルペダルアームの近傍に固設されたエアシリンダーであって、上記アクセルペダルアームと動圧ピストンとを接続し、上記アクセルペダルの急激な踏み込みによるエア抵抗によって受動ピストンが摺動されるエアシリンダーによるエア抵抗力発生機構により構成し、上記エアシリンダーの上記受動ピストンのピストン軸の先端部に上記動作スイッチを設け、上記受動ピストンの摺動によって上記動作スイッチがオンするように構成したものであることを特徴とする上記第1記載の自動車走行制御装置により構成される。
【0014】
このように構成すると、アクセルペダルの急激な踏み込みによりエアシリンダー(30)の受動ピストンが摺動して動作スイッチ(10)をオン状態とすることができる。かかる構成によると、アクセルペダルの急激な踏み込みに対してはエアシリンダー(30)のエア抵抗による抵抗力を作用させることができ、当該抵抗力に抗しての急激な踏み込みが発生したときは上記受動ピストンの摺動により動作スイッチを確実にオンして自動車の急発進を阻止することができる。
【0015】
第5に、上記動作スイッチと上記電源バッテリーの間に上記動作スイッチと上記電源バッテリーとの経路の接続を開閉するための開閉スイッチを設け、かつ上記自動車のスピードメータの速度を検出し、所定速度以下であるときは上記開閉スイッチをオンして上記経路を接続状態とし、上記所定速度以上であるときは上記開閉スイッチをオフして上記経路を開放状態とするスピードメータセンサーを設けたものであることを特徴とする上記第4記載の自動車走行制御装置により構成される。
【0016】
上記所定速度は例えば時速10kmとすることができる。このように構成すると、時速10km以上の走行時においては、開閉スイッチがオフするため電源バッテリーがアクセルアームスイッチに供給されることはなく、通常の走行時において誤ってブレーキ装置等が開閉することを防止し得る。
【0017】
第6に、上記アクセルペダルの踏み込みが解除されてアクセルペダルがその初期位置に復帰した状態において、上記アクセルアームスイッチがオフ状態となるものであることを特徴とする上記第1〜5の何れかに記載の自動車走行制御装置により構成される。
【0018】
アクセルペダルから足を離してアクセルペダルが初期位置に復帰すると、アクセルアームスイッチがオフするので、アクセルペダルの急激な踏み込みという誤動作が解除された場合は、配電部への給電を停止して燃料カット装置又はブレーキ装置の動作を確実に停止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上述のように、比較的簡単な構成により、アクセルペダルの急激な踏み込みに対して抵抗力を作用させて安全性を高めながら、当該抵抗力に抗してアクセルペダルが急激に踏み込まれた場合はこれを確実に検出して自動車の急発進を確実に阻止し得る効果がある。
【0020】
また、スピードメータセンサーにより、例えば時速10km以下の低速走行時又は停止時においてのみ急発進防止機能を動作可能状態とし、時速10km以上の通常の走行時において誤ってブレーキ装置等が作動することを防止することができる。
【0021】
また、アクセルペダルから足を離してアクセルペダルが初期位置に復帰すると、アクセルアームスイッチがオフするので、アクセルペダルの急激な踏み込みという誤動作が解除された場合は、配電部への給電を停止して燃料カット装置又はブレーキ装置の動作を確実に停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る自動車走行制御装置の第1の実施形態の構成図である。
【図2】同上装置の発電機の側面図である。
【図3】同上装置の電気的ブロック図である。
【図4】同上装置の第2の実施形態の構成図である。
【図5】同上装置の第2の実施形態の電気的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に本発明に係る自動車走行制御装置を示す。
【0024】
1はアクセルペダルであり、アクセルペダルアーム2の先端部に固定されている。上記アクセルペダルアーム2は、自動車の車体床面F上に設置された支柱16の上端部16aに支持軸(アクセル軸)3を支点として矢印A,B方向に回動自在に設けられている。このアクセルペダル1の構成は、通常の自動車に用いられるものであり、矢印A方向に踏み込んだとき、周知のリターンスプリング等によって常時矢印B方向の附勢力が作用しており、踏力を解除したとき図1に示す初期位置に復帰し得るようになっている。
【0025】
上記アクセルペダルアーム2の上記アクセル軸3の後方には、上記アクセルペダルアーム2に一体的に設けられた延長アーム2aが、上記アーム2の長手方向に沿って延出形成されている。従って、この延長アーム2aは、上記アクセルペダル1を矢印A方向に踏み込むと、上記アクセルペダルアーム2と共に、上記アクセル軸3を支点として矢印A方向に回動し、アクセルペダル1から足を離すと上記アクセルペダル1の初期位置まで矢印B方向に回動復帰する動作を行うものである。
【0026】
4は上記延長アーム2aの後端2a’にその一端を結合されたアクセルワイヤであり、アクセルペダルを踏み込むと、踏み込み量に応じて周知のスロットルバルブ(図示せず)を開いて自動車の加速動作を行わせるものである。
【0027】
5は発電機であり、回転子に一方向クラッチ等を介して連結された回転軸5aを有しており、この回転軸5aを矢印C方向に回転させることにより、内部の回転子が同方向に回転し、発電する機能を有している(図2参照)。尚、上記一方向クラッチの作用により上記回転軸5aは逆方向(矢印D方向)にフリー回転し、矢印D方向には上記回転子は回転せず発電不能である。
【0028】
この発電機5は、上記回転軸5aの回転速度に比例した起電力を発生するものである。上記回転軸5aと上記アクセルペダルアーム2の延長アーム2aの後端2a’とはワイヤ(紐)Wで結合されており、該ワイヤWの回転軸5a側の端部は該回転軸5aに複数巻回されている(図2参照)。上記回転軸5aはリターンスプリング5bにて常時矢印D方向に回転附勢されており、上記アクセル1の矢印A方向の踏み込みにより、上記リターンスプリング5bの附勢力に抗して矢印C方向に回転させられた場合において、上記アクセルペダル1の踏力が解除されると、上記リターンスプリング5bの作用により上記矢印D方向に回転復帰して図1の初期位置に戻るように構成されている。
【0029】
上記発電機5は、その回転子の回転速度に比例した起電力を出力端子p1,p2間に出力するものであるが、上記アクセルペダル1をブレーキペダルと間違えて急激にそのストロークの全部を一気に踏み込んだ場合、即ち、上記回転軸5aが極めて高速でかつ所定の角度以上回転した場合、上記出力端子p1,p2に起電力が発生するように構成されている。そして、この場合は、上記出力端子p1,p2から開閉スイッチ19を介して、次段の電磁スイッチ部18に開閉電流が流れ、これに基づいて二次電磁スイッチ(動作スイッチ)10をオンし得るように構成している。
【0030】
尚、通常の走行加速時におけるアクセルペダル1の遅いみ込み速度(通常の加速時におけるゆっくりとしたアクセルペダル1の踏み込み速度)、或いは少ない踏み込み角度(踏み込み量)では、上記発電機5の上記回転軸5aの回転速度は遅く、又はその回転角度(回転量)も少ないので、上記二次電磁スイッチ10をオンし得るまでの起電力は発生しないように構成することができる。
【0031】
また、上記発電機5は、その回転軸5aを矢印C方向に回転させるには、発電抵抗(発電時の回転抵抗)が制動力として生じるため、この発電抵抗がアクセルペダル1の矢印A方向の踏み込みに対してその踏み込みを阻止する方向の抵抗(制動)として作用し、アクセルペダル1の踏み込み難さを生じさせている。また、上記発電機5の回転軸5aは上記リターンスプリング5bにより矢印D方向に附勢されているので、上記リターンスプリング5bの附勢力は上記アクセルペダル1の矢印A方向の踏み込みに対して抵抗として作用し、上記発電機5の発電抵抗と同様に、アクセルペダル1の踏み込み難さを生じさせている。これにより、アクセルペダル1の急激かつ深い踏み込みに対して抵抗(発電抵抗及びリターンスプリング5bによる抵抗)を生ぜしめ、安全性を高めることができる。また、上記発電機5に抵抗器を接続し、発電により回転子に回転抵抗を生じさせる発電ブレーキにより上記アクセルペダル1に制動力を生じさせても良い。
【0032】
このように、アクセルペダルアーム2の近傍に固設された発電機5と、該発電機5の回転軸5aと上記アクセルペダルアーム2とを接続するワイヤWと、アクセルペダル1の踏み込みによる上記アーム2の回動により上記ワイヤWにより上記発電機5の回転軸5aを回転させて起電力を発生し得る起電力発生機構により抵抗力発生機構を構成している。
【0033】
18は電磁スイッチ部であり(図3参照)、上記発電機5の出力端子p1,p2に開閉スイッチ19を介して接続された一次電磁コイル8と、二次電磁スイッチ(動作スイッチ)10とアクセルアームスイッチ11に接続された二次電磁コイル9と、上記一次電磁コイル8と上記二次電磁コイル9に共通して設けられた鉄心18’と、二次電磁スイッチ(動作スイッチ)10とから構成されている。
【0034】
上記二次電磁スイッチ10は、スプリング10aにより回転中心10bを中心として矢印F方向に回動付勢されている。そして当該スイッチ10は、上記回動中心10bを以って矢印E,F方向に回動可能に設けられており、入力端子10cが電源バッテリー12に接続され、接片10dが上記二次電磁コイル9の入力端子9aに接触し得るように構成されている。
【0035】
従って、上記発電機5の発電に伴って一次電磁コイル8に電流が流れると、鉄心18’が磁化されて二次電磁スイッチ10を吸着し、上記接片10dが上記二次電磁コイル9の入力端子9aに接触し得るように構成されている。また、このとき、電源バッテリー12の電流が上記接片10d、入力端子9aを介して二次電磁コイル9に流れるので、上記発電機5による起電力が消勢して一次電磁コイル8への電流が消勢しても、上記電源バッテリー12から流入する電流に基づいて上記二次電磁コイル9に電流が流れ、上記鉄心18’が引き続いて磁化され、上記接片10dの入力端子9aへの接触が持続されるように構成している。
【0036】
従って、上記二次電磁スイッチ10がオンして上記二次電磁コイル9に電流が流れると、上記電源バッテリー12から該二次電磁スイッチ10、二次電磁コイル9を介してアクセルアームスイッチ11に至る回路が構成されるようになっている。
【0037】
上記アクセルアームスイッチ11は、上記アクセルペダルアーム2の上記アクセル軸3の近傍の下面に設けられており、上記アクセルペダルアーム2下面に固定されたスプリング11a、該スプリング11aの端部に設けられた金属板11b、及び上記二次電磁コイル9に接続された端子11c、上記制御配電ケース13に接続された端子11dにより構成されている。このアクセルアームスイッチ11は、アクセルペダル1を踏み込んだときに、上記金属板11bが上記両端子11c,11dに同時に接触してオン状態となり、上記二次電磁コイル9と上記制御配電ケース13とを電気的に接続するように構成されている。尚、このアクセルアームスイッチ11は、上記アクセルペダル1の通常の走行時の浅い踏み込み量では、上記金属板11bが上記両端子11c,11dには接触しないように構成されている。
【0038】
また、上記アクセルペダル1から足を離すと、アクセルペダル1は図1の位置(初期位置)に復帰するが、これにより上記アクセルアームスイッチ11はオフするように構成している。
【0039】
上記制動配電ケース13は(図3参照)、燃料タンク22からエンジン23への燃料の供給を制御する燃料カット装置20及びブレーキ装置17に接続されており、上記制御配電ケース13の緊急停止検出部(配電部)13aに、上記電源バッテリー12からの電流が流入して通電されると、上記燃料カット装置20及びブレーキ装置17に緊急停止信号が送出され、燃料タンク22からのエンジン23への燃料がカットされると共に、ブレーキ装置17がブレーキ24を作動させて、車体が緊急停止され、又は急発進しないように構成されている(図3参照)。
【0040】
上記開閉スイッチ19は上記発電機5と上記電磁スイッチ部18との間に設けられており、電磁スイッチにより構成され、上記発電機5と上記電磁スイッチ部18との間の回路(経路)を開閉するものである。従って、この開閉スイッチ19はオンすると、上記の急発進防止機能が動作可能状態となり、開閉スイッチ19をオフすると、上記の急発進防止機構は非動作状態となる。
【0041】
この開閉スイッチ19は、自動車の運転席に設け、運転者がオンオフできるように構成してもよい。即ち、停止時に自動車から離れるときに開閉スイッチ19をオンしておけば、次回の自動車発信時には、急発進防止機能をオン(動作可能状態)の状態で発進することができる。よって、発信時において、アクセルペダルとブレーキペダルを間違えてアクセルペダルを急激に踏み込んだ場合の急発進事故を防止することができる。
【0042】
また、低速走行時(例えば時速10km以下)のときに、運転者が開閉スイッチ19をオンするように構成しても良い。このようにすると、例えば駐車場で低速で走行しているとき、或いは駐車場での駐車時、又は停車時から発進する時に、上記アクセルペダルの踏み間違いによる急発進事故を防止することができる。
【0043】
上述のように、運転者自ら、開閉スイッチ19を必要なときにオンし、その他の通常走行時(例えば自足10km以上の走行時)は開閉スイッチ19をオフしておくことにより、通常走行時において誤って急発進防止機構が作動してしまうことを防止できる。
【0044】
また、上記開閉スイッチ19のオンオフ動作を、スピードメータセンサー21によりを自動的に行うこともできる(図3参照)。上記スピードメータセンサー21は、スピードメータ21aの指針等に装着されたものであり、例えばスピードメータの指針部等にロータリーエンコーダ、ポテンシオメータ等の回転角度センサーを設け、当該センサーからの角度に比例した速度信号に基づいて、時速10km以上になったことを検出すると、上記開閉スイッチ19にオフ信号を送出して上記開閉スイッチ19をオフするように構成し、上記速度が時速10km以下になったことを検出すると、上記開閉スッチ19にオン信号を送出して上記開閉スイッチ19をオンするように構成することができる。
【0045】
このように構成すると、停止時を含めて例えば自動車の速度が時速10km以下になったとき自動的に開閉スイッチ19がオンして上記緊急停止機能が動作可能状態となるので、アクセルペダルの踏み間違いによる急発進事故を効果的に防止することができる。
【0046】
このように、自動車が停止時又は時速10km以下の低速時には、上記開閉スイッチ19がオンしているので、アクセルペダル1の急激な踏み込みによる緊急停止機能が動作可能状態となり、自動車が時速10km以上になると、上記スピードメータセンサー21からの信号により、上記開閉スイッチ19がオフするので、アクセルペダル1の急激な踏み込みによる緊急停止機構が動作不能状態になるように構成されている。この機能により、通常の走行時に誤って緊急停止機能が作動しないように構成している。
【0047】
本発明は上述のように構成されているので、次の本発明の動作を説明する。
【0048】
ここで、スピードメータセンサー21が動作状態であり、該センサー21が時速10km以下を検出すると開閉スッチ19をオン状態として上述の急発進防止機能を能動状態とし、時速10km以上を検出すると、該センサー21は上記開閉スイッチ19をオフ状態とし、上記急発進防止機能を停止させるものとする。
【0049】
時速10km以上での通常の走行時においては、アクセルペダル1を踏み込んだ場合、上記発電機5のワイヤWを介して回転軸5aが矢印C方向に若干回転するが、このとき、スピードメータセンサー21が自動車のスピードが時速10km以上であることを検出するので、開閉スイッチ19にオフ信号が送出され、該開閉スイッチ19がオフする。
【0050】
よって、発電機5の回転軸5aがある程度回転しても、電磁スイッチ部18に電流が流れることはなく、二次電磁スイッチ(動作スイッチ)10がオンすることはない。
【0051】
もっとも、このような通常の走行時では、アクセルペダル1の踏込量が小さく、踏み込み速度も遅いので、上記発電機5の回転軸5aの回転速度が遅く、かつ回転角度も少ない。よって、上記発電機5で発生する起電力も小さく、従って、かかる通常走行時において発生する発電機5の起電力では上記電磁スイッチ部18に電流が流れても上記二次電磁スイッチ10がオンしないように構成することもできる。
【0052】
次に、駐車時等の時速10km以下の走行時、又は停車時において、停車の必要性から、ブレーキペダルを踏み込むべきところ、誤ってアクセルペダル1を床面まで一気に踏み込んだ場合について説明する。
【0053】
この場合は、スピードメータセンサー21が時速10km以下であることを検出した時点で、開閉スイッチ19にオン信号を送出する。よって、上記開閉スイッチ19はオン状態を維持している。
【0054】
このとき、運転者が誤ってアクセルペダルとブレーキペダルを間違えて、ブレーキを踏むつもりでアクセルペダル1をそのストローク一杯に一気に床面まで急激に踏み込んだとする。すると、延長アーム2aが矢印A方向に高速で回動するため、発電機5の回転軸5aが矢印C方向に高速で所定量回転する。これにより、上記発電機5の回転子が回転している間、出力端子p1,p2に高い起電力が発生し、該起電力に基づいて、オン状態の開閉スイッチ19を介して上記電磁スイッチ部18の一次電磁コイル8に所定の高い電流値の電流が流れる。すると、電磁コイル8の鉄心18’が磁化されて二次電磁スイッチ10を吸着する。
【0055】
上記二次電磁スイッチ10は、スプリング10aに抗して矢印E方向に回動し、これにより接片10dが上記二次電磁コイル9の入力端子9aに接触する。すると、電源バッテリー12が上記二次電磁コイル9に二次電磁スイッチ10を介して接続されるので、該電源バッテリー12からの電流が上記スイッチ10、入力端子9aを介して二次電磁コイル9に接続され、これにより、上記電源バッテリー12からの電流が上記二次電磁コイル9に流れ、これにより鉄心18’に発生した磁力により上記二次電磁スイッチ10の接片10dの上記入力端子9aへの接続が維持される。
【0056】
ところで、上記アクセルペダル1の急激な踏み込みが終了すると、上記発電機5の回転も停止するので、上記電磁スイッチ部18への電流の流入は短時間で終了する。しかし、上記発電機5からの電流の流入が終了する前に上記電源バッテリー12が上記二次電磁スイッチ10を介して上記二次電磁コイル9に接続されるので、上記発電機5からの電流の流入が終了後も、上記二次電磁スイッチ10の接片10dの上記入力端子9aへの接続は維持される。
【0057】
上述のように、アクセルペダル1を急激に床面まで踏み込むと、上記二次電磁スイッチ10がオンし、電源バッテリー12からの電流が二次電磁コイル9を介してアクセルアームスイッチ11に流れる。
【0058】
上記アクセルペダル1を床面まで踏み込んだ状態では、上記アクセルアームスイッチ11はオンしているので、上記電流は該アクセルアームスイッチ11を介して制御配電ケース13の配電部(緊急停止検出部)13aに流れ、該ケース13内の配電盤を介してエンジン燃料カット装置20及びブレーキ装置17に緊急停止用信号が送出される。
【0059】
すると、エンジン燃料カット装置20は燃料タンク22からエンジン23に供給されている燃料を停止し、これによりエンジン23が緊急停止する。また、上記ブレーキ装置17はブレーキ24を作動させるので、エンジン23が緊急停止すると同時にブレーキ24が緊急作動する。
【0060】
これにより、車体が時速10km以下で走行中であれば、車体は確実に停止し、急発進することはない。また、車体が停止中であれば、停止状態が維持され、急発進することはない。
【0061】
上述のようなエンジン緊急停止及びブレーキの緊急作動した後、運転者は異常事態に気付いて通常アクセルペダル1から足を外すので、アクセルペダル1は初期位置に復帰し、これによりアクセルアームスイッチ11がオフするため、電源バッテリー12から緊急停止検出部13aへの電流も消勢し、これにより燃料カット装置16及びブレーキ装置17の作動が停止する。また、アクセルアームスイッチ11がオフした時点で上記二次電磁スイッチ10がスプリング10aの復帰力で矢印F方向に復帰してオフする。
【0062】
以上のように、停止時又は時速10km以下において、アクセルペダル1の踏み込みによる急発進事故を確実に防止することができる。
【0063】
尚、上記実施形態では、停止時又は時速10km以下において開閉スイッチ19が自動的にオンするように構成したが、上述のように、開閉スイッチ19を運転席に設けて、低速走行時に運転者が手動にて開閉スイッチ19をオンするように構成しても良い。
【0064】
また、上記開閉スイッチ19を設けることなく、発電機5と電磁スイッチ部18とを常時接続した状態として、上述のように、アクセルペダル1を床面まで一杯に踏み込んだ状態において、初めてアクセルアームスイッチ11がオンするように構成することで、アクセルペダル1をブレーキペダルと間違えて床面まで一般に踏み込んだときにのみ、上記緊急停止動作を実行させるように構成することができる。このように構成することで、スピードメータセンサー21及び上記開閉スイッチ19を設けることなく、誤操作時のみ緊急停止動作を行わせることができる。
【0065】
また、上記開閉スイッチ19を設けることなく、発電機5と電磁スイッチ部18とを常時接続した状態として、アクセルペダル1を急速かつ床面まで一杯に踏み込んだときの発電機の起電力とそのときに流れる基準の電流値Irを予め設定しておき、当該基準の電流値Ir又は該基準の電流値Irを超える電流が発生した場合にのみ上記二次電磁スイッチ10がオンし、上記基準の電流値Ir以下の電流値の場合は上記二次電磁スイッチ10がオンしないように構成することもできる。このように構成すると、通常の走行時におけるアクセルペダルの緩やかな踏み込みでは上記発電機5から流出する電流が上記電流値Irを超えないため、通常の走行時において誤って緊急停止機能が開閉することはない。
【0066】
図4に示すのは、本発明の第2の実施形態であり、アクセルペダルをブレーキペダルと間違えて踏み込んだ際の踏み込みに対する抵抗を作用させる装置として、上記実施形態の発電機5に代えてエアシリンダー30を設けたものである。以下の説明において、上記第1の実施形態と同一部分又は対応部分については同一符号を付し、同一部分又は対応部分について一部の説明を省略する。
【0067】
同図において、30はエアシリンダーであり、シリンダー筺体30’に、上記アクセルアーム2の延長アーム2aの端部に連結された動圧ピストン33と、該動圧ピストン33の動きに応じてエアを介して摺動し得る受動ピストン35を具備している。このエアシリンダー30は、上記シリンダー筺体30’の端部の車体取付部40を以って上記アクセルアーム2の近傍の車体F’に固定されている。また、このエアシリンダー30の上記筺体30’には、上記各ピストン33,35が収納されているエアシリンダー部30aと、エアシリンダー部30aの受動ピストン35側に設けられた電磁コイル部30bを具備しており、エアシリンダー部30aと電磁コイル部30bとが一体の1つの筺体30’内に形成されている。
【0068】
また、上記アクセルアーム2の上記延長アーム2aの端部には長孔2bが設けられており、上記動圧ピストン33の動圧ピストン軸32端部に軸方向に直交して設けられた支持ピン32aが上記長孔2bに挿入係合されている。よって、上記アクセルペダル1を矢印A方向に踏み込むと、上記延長アーム2aもアクセル軸3を支点として矢印A方向に回動し、これにより上記支持ピン32aを介して上記動圧ピストン33を矢印G方向に直線的に駆動し得るように構成されている。
【0069】
上記動圧ピストン33のピストン軸32には動圧ピストン軸スプリング31が介挿されており、動圧ピストン33に対する矢印G方向の踏込力が解除された場合は、図4に示す初期位置に動圧ピストン33を復帰させるものである。
【0070】
上記受動ピストン35は、その受動ピストン軸37が上記電磁コイル部30bに延長されており、上記ピストン軸37と上記筺体30’内面との間に受動ピストン軸スプリング36が介挿されており、該受動ピストン35は、エアを介して受動ピストン35に対する矢印G方向の押圧力が解除された場合には、上記スプリング36により図4に示す初期位置に復帰し得るように構成されている。
【0071】
上記エアシリンダー30内部の上記動圧ピストン33と上記受動ピストン35との間には、抵抗体としてのエアが充填されており、上記動圧ピストン33にはエア抜孔34が貫設され、さらにシリンダー筺体30’の上記動圧ピストン33側にはエア抜孔30a’が貫設されている。従って、上記アクセルペダル1を急激にそのストローク一杯に踏み込んだ場合は、上記動圧ピストン33が矢印G方向に摺動し、シリンダー30内のエア抵抗により上記受動ピストン35を矢印G方向に移動させることができるようになっている。
【0072】
一方、上記アクセルペダル1をゆっくりと踏み込む場合は、上記動圧ピストン33は矢印G方向にゆっくりと移動するが、この場合は、エアシリンダー30内のエアは上記エア抜孔34及び30a’からシリンダー筺体30’外に抜けていくため、上記受動ピストン35に圧力は伝達されず、該受動ピストン35は移動しないように構成されている。
【0073】
よって、上記エアシリンダー30は、その受動ピストン35を駆動するには、エア抵抗が生じるため、このエア抵抗がアクセルペダル1の矢印A方向の踏み込みに対して、その踏み込みを阻止する方向の抵抗として作用し、アクセルペダル1の踏み込み難さを生じさせている。これにより、アクセルペダル1の急激かつ深い踏み込みに抵抗を生ぜしめ、安全性を高めることができる。
【0074】
このように、アクセルペダルアーム2の近傍に固設されたエアシリンダー30であって、上記アクセルペダルアーム2と動圧ピストン33とを接続し、上記アクセルペダル1の急激な踏み込みによるエア抵抗によって受動ピストン35が摺動されるエアシリンダー30によるエア抵抗力発生機構により抵抗力発生機構を構成している。
【0075】
上記受動ピストン軸37は、その外周部に円筒状の鉄心38がピストン軸に一体に装着固定されており、該鉄心38の周囲における上記電磁コイル部30b内側にはリング状の電磁コイル39が固設されている。よって、上記受動ピストン軸37の鉄心38は上記電磁コイル39の内側にて矢印G方向及びその逆方向に摺動可能に構成されている。また、上記ピストン軸37は鉄等の磁性体により構成されており、その先端の端子37aも磁化されるように構成している。
【0076】
上記電磁コイル39の一端は、上記アクセルアーム2の延長アーム2a上面に設けられたアクセルアームスイッチ11の固定端子11a’に電気的に接続されており、上記電磁コイル39の他端は動作スイッチ10に接続されている。
【0077】
上記受動ピストン軸37の先端には端子37aが設けられており、該端子37aは開閉スイッチ19を介して電源バッテリー12に接続されている。上記受動ピストン軸37の端子37aの矢印G方向の摺動位置に対応する位置には上記動作スイッチ10の接片10dが設けられており、上記受動ピストン軸37が矢印G方向に摺動すると、上記端子37aと上記接片10dが接触して動作スイッチ10がオンし得るように構成されている(図5参照)。
【0078】
よって、上記開閉スイッチ19がオンの状態において、上記受動ピストン軸37が矢印G方向に摺動して上記動作スイッチ10がオンしたとき、上記電源バッテリー12が上記動作スイッチ10、電磁コイル39を介して上記アクセルアームスイッチ11に接続され、よって該スイッチ11に電流が流れるように構成されている。また、同時に上記電磁コイル39に電流が流れるので、当該電流によって上記鉄心38に磁力が発生し、該磁力によって上記開閉スイッチ10の接片10dを吸着して上記接片10dが上記端子37aに吸着され、これにより当該スイッチ10のオン状態を維持し得るように構成している。よって、上記受動ピストン35が上記スプリング36の復帰力により反矢印G方向に復帰しても、上記動作スイッチ10のオン状態は維持されるように構成されている。
【0079】
上記開閉スイッチ19は電源バッテリー12と上記動作スイッチ10との間に接続されている。上記スイッチ19は、より具体的には上記動作スイッチ10の端子37aに接続されており、スピードメータセンサー21からの開閉信号によってオンオフ制御されるものである。尚、上記開閉スイッチ19の一方端子は端子19’に接続されており、端子19’と上記端子37aはフレキシブルな電気配線Kにより接続されている。これにより、上記エアシリンダー30の受動ピストン軸37が矢印G方向に摺動しても、上記端子19’と上記端子37aとの間の接続は維持し得るように構成されている。尚、上記動作スイッチ10における10aは上記接片10dの戻しスプリング、10bは上記動作スイッチ10の回転中心である。
【0080】
上記アクセルアームスイッチ11は、上記アクセルペダル1を踏み込むことにより回動端子11b’が固定端子11a’に接触してオンするものであり、このスイッチ11のオンにより、上記バッテリー12からの電流が当該スイッチ11に接続された制御配電ケース13に流れるように構成されている。
【0081】
尚、上記開閉スイッチ19は上記第1の実施形態の開閉スイッチと同様の構成であり、運転席のスイッチ又はスピードメータセンサー21によりオンオフされるものである。
【0082】
上記第2の実施形態は上述のように構成されるものであり、次に当該実施形態の動作を説明する。
【0083】
ここで、スピードメータセンサー21は動作状態であり、該センサー21が時速10km以下を検出すると開閉スッチ19をオン状態として上述の急発進防止機能を能動状態とし、時速10km以上を検出すると、該センサー21は上記開閉スイッチ19をオフ状態とし、上記急発進防止機能を停止させるものとする。
【0084】
時速10km以上での通常の走行時においては、アクセルペダル1を踏み込んだ場合、上記動圧ピストン33はゆっくりと上昇(矢印G方向に摺動)するが、踏み込み速度が遅いため、エアシリンダー30内のエアはエア抜孔34,30a’からシリンダー筺体30’外部に抜け、よって受動ピストン35は移動せず、緊急停止動作は行われない。もっとも、スピードメータセンサー21が自動車のスピードが時速10km以上であることを検出するので、開閉スイッチ19にオフ信号が送出され、該開閉スイッチ19がオフしているため、ある程度アクセルペダル1を深く踏み込んでも、動作スイッチ10、アクセルアームスイッチ11にバッテリー電流が流れることはない。
【0085】
次に、駐車時等の時速10km以下の走行時、又は停車時において、停車の必要性から、ブレーキペダルを踏み込むべきところ、誤ってアクセルペダル1を床面まで一気に踏み込んだ場合について説明する。
【0086】
この場合は、スピードメータセンサー21が時速10km以下であることを検出した時点で、開閉スイッチ19にオン信号を送出している。よって、上記開閉スイッチ19はオン状態を維持している。
【0087】
このとき、運転者が誤ってアクセルペダルとブレーキペダルを間違えて、ブレーキを踏むつもりでアクセルペダル1をそのストローク一杯に一気に床面まで踏み込んだとする。すると、延長アーム2aが矢印A方向に高速で回動するため、動圧ピストン33が矢印G方向に高速に摺動する。よって、受動ピストン35はエアの圧力により矢印G方向に摺動し、かかる摺動動作によってピストン軸37の端子37aが動作スイッチ10の接片10dに接触して当該動作スイッチ10がオンする。すると、電源バッテリー12からの電流がオン状態の上記開閉スッチ19及び動作スイッチ10を介して電磁コイル39に流れるため、上記鉄心38は磁化されて上記動作スイッチ10の接片10dを吸着し、かかる吸着状態を維持する。
【0088】
従って、上記電源バッテリー12が上記電磁コイル39に上記開閉スイッチ19、上記動作スイッチ10を介して接続された状態となるので、該電源バッテリー12からの電流が上記スイッチ19,10を介して電磁コイル39に流入し、これにより鉄心38に発生した磁力により上記動作スイッチ10の接片10dが吸着され、該接片10dの上記端子37aへの接続が維持される。
【0089】
ところで、上記アクセルペダル1の急激な踏み込みが終了すると、上記受動ピストン35の矢印G方向の摺動も停止するので、該ピストン35はスプリング36の復帰力により矢印G方向とは反対方向に復帰しようとするが、上記電源バッテリー12からの電流が上記電磁コイル39に流れているので、上記受動ピストン35が復帰しても上記接片10dと上記端子37aとの接触(従って、動作スイッチ10のオン)は維持される。
【0090】
上述のように、アクセルペダル1を急激に床面まで踏み込むと、上記動作スイッチ10がオンし、電源バッテリー12からの電流が電磁コイル39を介してアクセルアームスイッチ11に供給される。
【0091】
上記アクセルペダル1を床面まで踏み込んだ状態では、上記アクセルアームスイッチ11の回動端子11b’が固定端子11a’に接触してオンしているので、上記電流は該アクセルアームスイッチ11を介して制御配電ケース13の緊急停止検出部(配電部)13aに流れ、該ケース13内の配電盤を介してエンジン燃料カット装置20及びブレーキ装置17に緊急停止用信号が送出される。
【0092】
すると、エンジン燃料カット装置20は燃料タンク22からエンジン23に供給されている燃料を停止し、これによりエンジン23が緊急停止する。また、上記ブレーキ装置17はブレーキ24を作動させるので、エンジン23が緊急停止すると同時にブレーキ24が緊急作動する。
【0093】
これにより、車体が時速10km以下で走行中であれば、車体は確実に停止し、急発進することはない。また、車体が停止中であれば、停止状態が維持され、急発進することはない。
【0094】
上述のようなエンジン緊急停止及びブレーキの緊急作動した後、運転者は異常事態に気付いて通常アクセルペダル1から足を外すので、アクセルペダル1は初期位置に復帰し、これによりアクセルアームスイッチ11がオフするため、電源バッテリー12から緊急停止検出部13aへの電流も消勢し、これにより燃料カット装置20及びブレーキ装置17の作動が停止する。また、アクセルアームスイッチ11がオフした時点で上記受動ピストン35はスプリングの復帰力で反矢印G方向に復帰して、図4の初期位置に戻るため、動作スイッチ10もオフする。
【0095】
以上のように、上記第2の実施形態においても、停止時又は時速10km以下において、アクセルペダルの誤踏み込みによる急発進事故を確実に防止することができる。
【0096】
尚、上記各実施形態において、燃料カット装置20とブレーキ装置17は、両方設けても良いし、燃料カット装置20又はブレーキ装置17の何れか一方のみでも良い。
【0097】
本発明は上述のように、比較的簡単な構成により、アクセルペダル1の急激な踏み込みに対して抵抗力を作用させて安全性を高めながら、当該抵抗力に抗してアクセルペダル1が急激に踏み込まれた場合は、動作スイッチ(二次電磁スイッチ)10とアクセルアームスイッチ11の両方のオンによりこれを確実に検出して自動車の急発進を阻止し得る。
【0098】
また、アクセルペダル1の急激な踏み込みに対しては発電機5の発電抵抗による抵抗力を作用させることができ、当該抵抗力に抗しての急激な踏み込みが発生したときは上記発電機5の起電力により動作スイッチ10を確実にオンすることで、自動車の急発進を阻止することができる。
【0099】
また、アクセルペダル1の急激な踏み込みに対してはエアシリンダー30の空気抵抗による抵抗力を作用させることができ、当該抵抗力に抗しての急激な踏み込みが発生したときは受動ピストン35の摺動により動作スイッチ10を確実にオンすることで、自動車の急発進を阻止することができる。
【0100】
また、スピードメータセンサー21を設けることにより、例えば時速10km以上の通常の走行時においては誤ってブレーキ装置又は燃料カット装置が作動することを確実に防止し得る。
【0101】
アクセルペダルから足を離してアクセルペダルが初期位置に復帰すると、アクセルアームスイッチ11がオフするので、アクセルペダル1の急激な踏み込みという誤動作が解除された場合は、配電部13aへの給電を確実に停止して燃料カット装置又はブレーキ装置の動作を確実に停止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明に係る自動車走行制御装置は、普通乗用車のみならず、商用車、トラック、さらにはトラクター等の農業用作業者等においても用いることができるものである。
【符号の説明】
【0103】
1 アクセルペダル
2 アクセルペダルアーム
5 発電機
5a 回転軸
10 二次電磁スイッチ(動作スイッチ)
11 アクセルアームスイッチ
12 電源バッテリー
13 制御配電ケース
13a 緊急停止検出部(配電部)
17 ブレーキ装置
19 開閉スイッチ
20 燃料カット装置
21 スピードメータセンサー
30 エアシリンダー
33 動圧ピストン
35 受動ピストン
37a 端子
W ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルペダルの急激な踏み込みを検出することにより自動車の急発進を阻止する自動車走行制御装置であって、
アクセルペダルアームに上記アクセルペダルの急激な踏み込みを阻止する方向の抵抗力を発生する抵抗力発生機構を設けると共に、該抵抗力発生機構により発生する抵抗力に抗してアクセルペダルを踏み込んだときオン状態となる動作スイッチを設け、
かつ上記アクセルペダルアームにアクセルペダルの踏み込みによりオンするアクセルアームスイッチを設け、
上記動作スイッチに電源バッテリーを接続し、上記動作スイッチのオン状態において上記電源バッテリーを上記動作スイッチを介して上記アクセルアームスイッチに供給し得るように構成し、
さらに上記アクセルアームスイッチと配電部とを接続すると共に、上記配電部と燃料カット装置又はブレーキ装置とを接続し、上記アクセルアームスイッチのオン状態において上記電源バッテリーを該アクセルアームスイッチを介して上記配電部に供給することにより、該配電部を介して上記燃料カット装置又は上記ブレーキ装置を作動し得るように構成し、
上記アクセルペダルの上記抵抗力発生機構の上記抵抗力に抗しての急激な踏み込みに基づく上記動作スイッチ及び上記アクセルアームスイッチのオンに基づいて、上記燃料カット装置又は上記ブレーキ装置を作動させることにより、自動車の急発進を阻止するものであることを特徴とする自動車走行制御装置。
【請求項2】
上記抵抗力発生機構は、上記アクセルペダルアームの近傍に固設された発電機と、該発電機の回転軸と上記アクセルペダルアームとを接続するワイヤと、上記アクセルペダルの踏み込みによる上記アームの回動により上記ワイヤを介して上記発電機の回転軸を回転させて起電力を発生し得る起電力発生機構により構成し、
上記起電力発生機構の上記発電機に上記動作スイッチを接続し、該動作スイッチを上記起電力発生機構により発生した起電力によってオンし得るように構成したものであることを特徴とする請求項1記載の自動車走行制御装置。
【請求項3】
上記発電機と上記動作スイッチとの間に上記発電機と上記動作スイッチとの経路の接続を開閉するための開閉スイッチを設け、
かつ上記自動車のスピードメータの速度を検出し、所定速度以下であるときは上記開閉スイッチをオンして上記経路を接続状態とし、上記所定速度以上であるときは上記開閉スイッチをオフして上記経路を開放状態とするスピードメータセンサーを設けたものであることを特徴とする請求項2記載の自動車走行制御装置。
【請求項4】
上記抵抗力発生機構は、上記アクセルペダルアームの近傍に固設されたエアシリンダーであって、上記アクセルペダルアームと動圧ピストンとを接続し、上記アクセルペダルの急激な踏み込みによるエア抵抗によって受動ピストンが摺動されるエアシリンダーによるエア抵抗力発生機構により構成し、
上記エアシリンダーの上記受動ピストンのピストン軸の先端部に上記動作スイッチを設け、上記受動ピストンの摺動によって上記動作スイッチがオンするように構成したものであることを特徴とする請求項1記載の自動車走行制御装置。
【請求項5】
上記動作スイッチと上記電源バッテリーの間に上記動作スイッチと上記電源バッテリーとの経路の接続を開閉するための開閉スイッチを設け、
かつ上記自動車のスピードメータの速度を検出し、所定速度以下であるときは上記開閉スイッチをオンして上記経路を接続状態とし、上記所定速度以上であるときは上記開閉スイッチをオフして上記経路を開放状態とするスピードメータセンサーを設けたものであることを特徴とする請求項4記載の自動車走行制御装置。
【請求項6】
上記アクセルペダルの踏み込みが解除されてアクセルペダルがその初期位置に復帰した状態において、上記アクセルアームスイッチがオフ状態となるものであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の自動車走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−246000(P2011−246000A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121652(P2010−121652)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(592223289)
【Fターム(参考)】