表面検査装置および表面検査方法
【課題】感度の高い表面検査が可能な表面検査装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る表面検査装置1は、所定の繰り返しパターンを有するウェハ10の表面に第1の直線偏光L1を照射する照明系30と、ウェハ10の表面で生じた楕円偏光L2から第1の直線偏光L1と振動方向が異なる第2の直線偏光成分L3を抽出する検光子42と、第2の直線偏光成分L3を検出する撮像カメラ44と、撮像カメラ44で検出された第2の直線偏光成分L3に基づいて、繰り返しパターンの形状変化を表示するモニタ55と、楕円偏光L2の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと当該垂直な面内における第2の直線偏光成分L3の振動方向とが略一致するように検光子42を設定可能な回転駆動装置43とを備え、繰り返しパターンに応じて検光子42を設定するようになっている。
【解決手段】本発明に係る表面検査装置1は、所定の繰り返しパターンを有するウェハ10の表面に第1の直線偏光L1を照射する照明系30と、ウェハ10の表面で生じた楕円偏光L2から第1の直線偏光L1と振動方向が異なる第2の直線偏光成分L3を抽出する検光子42と、第2の直線偏光成分L3を検出する撮像カメラ44と、撮像カメラ44で検出された第2の直線偏光成分L3に基づいて、繰り返しパターンの形状変化を表示するモニタ55と、楕円偏光L2の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと当該垂直な面内における第2の直線偏光成分L3の振動方向とが略一致するように検光子42を設定可能な回転駆動装置43とを備え、繰り返しパターンに応じて検光子42を設定するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハや液晶基板等の表面を検査する表面検査装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハの表面に形成されたパターンの良否を判断する方法として、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察により、断面形状を計測する方法が種々提案されている。SEMによる断面形状の計測は、被検基板上のパターンに照射した電子線をパターンの断面方向に走査し、パターンからの反射電子や二次電子を検出、解析して、走査した部分の断面形状を求める方法で行われる。上記の操作をパターン上の何点かで行い、パターン全体の形状の良否を判断する。
【0003】
また、パターンの断面形状からパターンを形成した露光プロセスやエッチングのプロセスに不具合がないかどうかや、適切なプロセス条件が選択されているかの判断もなされる。例えば露光プロセスについては露光条件とパターンの断面形状との相関関係をあらかじめ求めておき、検査したパターンの断面形状から露光装置の露光条件の修正の可否を判断し、修正が必要な場合には前述の相関関係に基づいて適切な露光条件を求めている。また、エッチングのプロセスにおいては、ガス種、ガス圧、加速電圧等の条件と、パターンの断面形状との相関関係を予め求めておいて、同様の条件出しが行われる。
【0004】
上記の様にSEMによる計測方法は、パターン上に電子線を照射して走査する作業を何回も繰り返し行う為、パターンの形状を求めるのに膨大な時間を要してしまう。また観察倍率が高いため、ウェハ上の全てのパターン形状を求めるのは困難であり、何点かをサンプリングしてウェハ全体の良否を判断する。その結果、サンプリングされたパターン以外の部分に欠陥があっても見逃されてしまう。また、レジストパターンでは、電子線を照射すると加速電圧によって電子線がレジストに吸収、チャージされてパターンの目減りが起こる。場合によっては放電が発生してパターンが倒れてしまい、その後の工程で不都合が生じる為、加速電圧や観察倍率を色々と変えながら最適な観察条件をも求める。それ故、さらに計測に時間を要する。
【0005】
SEMによる断面形状の計測では、こうした見逃しによって露光装置やエッチャーの不具合を十分に把握出来ないという問題が生じる。また、計測に膨大な時間を要するため、計測結果によって得られた露光装置やエッチャーの不具合を迅速にそれらの装置に反映できない問題も生じる。
【0006】
このような問題を解決するため、レジストパターン、エッチング後のパターンに関わらず、被検基板上のパターン形状の良否を短時間で判別することができる表面検査装置および表面検査方法が考案されている(例えば、特許文献1を参照)。この表面検査装置は、被検基板に形成された周期性を有するレジストパターンの繰り返し方向に対して直線偏光の振動方向を斜めに設定して照明し、被検基板からの正反射光のうち、照明する直線偏光の振動面に垂直な振動面を有する偏光成分を抽出するために検像形成手段を用いて撮像することにより、被検基板上のパターン形状の良否を短時間に処理可能としている。
【特許文献1】特開2006−135211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、線幅が50nm以下になると、レジスト厚も薄くなり、被検基板に形成された周期性を有するレジストパターンが有する構造性複屈折によって発生する偏光状態の変化が少なくなる。このため、レジストパターンの繰り返し方向に対して直線偏光の振動方向を斜めに設定して照明したときの被検基板からの正反射光のうち、照明する直線偏光の振動面に垂直な振動面を有する偏光成分も減衰するため、パターン形状変化に対する検出感度が低下する問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、感度の高い表面検査が可能な表面検査装置および表面検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的達成のため、本発明に係る表面検査装置は、所定の繰り返しパターンを有する被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、前記被検基板の表面に照射された前記第1の直線偏光が前記繰り返しパターンで反射する際に前記パターンが有する構造性複屈折によって生じた楕円偏光から前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分を抽出する偏光素子と、前記第2の直線偏光成分を検出する検出部と、前記検出部で検出された前記第2の直線偏光成分に基づいて、前記繰り返しパターンの形状変化を表示する表示部と、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと前記垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向とが略一致するように前記偏光素子を設定可能な設定部とを備え、前記繰り返しパターンに応じて前記偏光素子を設定するようになっている。
【0010】
なお、上述の表面検査装置において、前記設定部は、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向と、前記第1の直線偏光の進行方向と垂直な面内における振動方向とのなす角度を所定角度ずつ変化させることができ、前記角度を前記所定角度ずつ変化させる毎に前記検出部で検出した前記第2の直線偏光成分の輝度に基づいて、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと前記垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向とが略一致する前記角度を選択設定することが好ましい。
【0011】
また、上述の表面検査装置において、前記検出部で検出された前記第2の直線偏光成分の輝度と予め設定された閾値とを比較して、前記繰り返しパターンの異常を検出する異常検出部をさらに備えることが好ましい。
【0012】
また、上述の表面検査装置において、前記設定部は、前記構造性複屈折によって生じた前記楕円偏光の前記第2の直線偏光成分を最も検出しやすくするように前記偏光素子を設定することが好ましい。
【0013】
また、上述の表面検査装置において、前記設定部は、前記角度が90度以外であって90度近傍の角度となるように前記選択設定を行うことが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る表面検査方法は、所定の繰り返しパターンを有する被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照射ステップと、前記被検基板の表面に照射された前記第1の直線偏光が前記繰り返しパターンで反射する際に前記パターンが有する構造性複屈折によって生じた楕円偏光から前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、前記第2の直線偏光成分を検出する検出ステップと、前記検出ステップで検出された前記第2の直線偏光成分に基づいて、前記繰り返しパターンの形状変化を表示する表示ステップと、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における前記抽出する前記第2の直線偏光成分の振動方向を、前記繰り返しパターンに応じて設定する設定ステップとを有している。
【0015】
なお、前記設定ステップにおいて、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向と、前記第1の直線偏光の進行方向と垂直な面内における振動方向とのなす角度を所定角度ずつ変化させ、前記角度を前記所定角度ずつ変化させる毎に検出した前記第2の直線偏光成分の輝度に基づいて、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと前記垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向とが略一致する前記角度を選択設定することが好ましい。
【0016】
また、前記設定ステップにおいて、前記角度が90度以外であって90度近傍の角度となるように前記選択設定を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、感度の高い表面検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態の表面検査装置1は、図1に示すように、被検基板である半導体ウェハ10(以下、ウェハ10と称する)を支持するステージ20と、アライメント系25と、照明系30と、受光系40とを備えて構成されている。また、表面検査装置1は、受光系40で撮像された画像の画像処理を行う画像処理部50と、受光系40で撮像された画像や画像処理部50による画像処理結果を表示するモニタ55とを備えている。表面検査装置1は、半導体回路素子の製造工程において、ウェハ10の表面の検査を自動的に行う装置である。ウェハ10は、最上層のレジスト膜への露光・現像後、不図示の搬送系により、不図示のウェハカセットまたは現像装置から運ばれ、ステージ20に吸着保持される。
【0019】
ウェハ10の表面には、図2に示すように、複数のチップ領域11がXY方向に配列され、各チップ領域の中に所定の繰り返しパターン12が形成されている。繰り返しパターン12は、図3に示すように、複数のライン部2Aがその短手方向(X方向)に沿って一定のピッチPで配列されたレジストパターン(例えば、配線パターン)である。隣り合うライン部2A同士の間は、スペース部2Bである。なお、ライン部2Aの配列方向(X方向)を「繰り返しパターン12の繰り返し方向」と称する。
【0020】
ここで、繰り返しパターン12におけるライン部2Aの線幅DAの設計値をピッチPの1/2とする。設計値の通りに繰り返しパターン12が形成された場合、ライン部2Aの線幅DAとスペース部2Bの線幅DBは等しくなり、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比は略1:1になる。これに対して、繰り返しパターン12を形成する際の露光フォーカスが適正値から外れると、ピッチPは変わらないが、ライン部2Aの線幅DAが設計値と異なってしまうとともに、スペース部2Bの線幅DBとも異なってしまい、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比が略1:1から外れる。
【0021】
本実施形態の表面検査装置1は、上記のような繰り返しパターン12におけるライン部2Aとスペース部2Bとの体積比の変化を利用して、繰り返しパターン12の欠陥検査を行うものである。説明を簡単にするため、理想的な体積比(設計値)を1:1とする。体積比の変化は、露光フォーカスの適正状態からの外れに起因し、ウェハ10のショット領域ごとに現れる。なお、体積比を断面形状の面積比と言い換えることもできる。
【0022】
また、本実施形態においては、繰り返しパターン12に対する照明光(後述)の波長と比較して繰り返しパターン12のピッチPが十分小さいものとする。このため、繰り返しパターン12から回折光が発生することはなく、繰り返しパターン12の欠陥検査を回折光により行うことはできない。本実施形態における欠陥検査の原理は、以降、表面検査装置の構成(図1)とともに順に説明する。
【0023】
表面検査装置1のステージ20は、ウェハ10を上面で支持して、例えば真空吸着により固定保持する。さらに、ステージ20は、上面の中心における法線A1を中心軸として回転可能である。この回転機構によって、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向(図2および図3におけるX方向)を、ウェハ10の表面内で回転させることができる。なお、ステージ20は、上面が水平面であり、ウェハ10を常に水平な状態に保つことができる。
【0024】
アライメント系25は、ステージ20が回転しているときに、ウェハ10の外縁部を照明し、外縁部に設けられた外形基準(例えばノッチ)の回転方向の位置を検出し、所定位置でステージ20を停止させる。その結果、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向(図2および図3におけるX方向)を、後述の照明光の入射面A2(図4を参照)に対して、45度の角度に傾けて設定することができる。なお、角度は45度に限らず、22.5度や67.5度など任意角度方向に設定可能である。
【0025】
照明系30は、光源31と、偏光子32と、照明レンズ33とを有して構成された偏心光学系であり、ステージ20上のウェハ10の繰り返しパターン12を直線偏光L1(第1の直線偏光)により照明する。この直線偏光L1が、繰り返しパターン12に対する照明光である。直線偏光L1は、ウェハ10の表面全体に照射される。
【0026】
直線偏光L1の進行方向(ウェハ10表面上の任意の点に到達する直線偏光L1の主光線の方向)は、ステージ20の中心を通り、ステージ20の法線A1に対して所定の角度θだけ傾けられている。ちなみに、直線偏光L1の進行方向を含み、ステージ20の法線A1に平行な平面が、直線偏光L1の入射面である。図4の入射面A2は、ウェハ10の中心における入射面である。
【0027】
また、本実施形態では、直線偏光L1がp偏光である。直線偏光L1の振動面は、偏光子32の透過軸により規定される。
【0028】
なお、照明系30の光源31は、安価な放電光源又はLEDである。偏光子32は、光源31の射出端近傍に配置され、その透過軸が所定の方位に設定され、透過軸に応じて光源31からの光を直線偏光L1にする。照明レンズ33は、光源31の射出端と略一致し、後側焦点がウェハ10の表面と略一致するように配置され、偏光子32からの光をウェハ10の表面に導く。すなわち照明系30は、ウェハ10側に対してテレセントリックな光学系である。
【0029】
上記の照明系30において、光源31からの光は、偏光子32および照明レンズ33を介しp偏光の直線偏光L1となって、ウェハ10の表面全体に入射する。ウェハ10の各点における直線偏光L1の入射角度は、平行光束のため互いに同じであり、光軸と法線A1とのなす角度θに相当する。
【0030】
本実施形態では、ウェハ10に入射する直線偏光L1がp偏光であるため、図4に示すように、繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)が直線偏光L1の入射面A2(ウェハ10の表面における直線偏光L1の進行方向)に対して45度の角度に設定された場合、ウェハ10の表面における直線偏光L1の振動面の方向(図5におけるV方向)と繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)とのなす角度も、45度に設定される。
【0031】
言い換えると、直線偏光L1は、ウェハ10の表面における直線偏光L1の振動面の方向(図5におけるV方向)が繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)に対して45度傾いた状態で、繰り返しパターン12を斜めに横切るようにして繰り返しパターン12に入射する。
【0032】
このような直線偏光L1と繰り返しパターン12との角度状態は、ウェハ10の表面全体において均一である。なお、45度を135度,225度,315度のいずれかに言い換えても、直線偏光L1と繰り返しパターン12との角度状態は同じである。また、図5の振動面の方向(V方向)と繰り返し方向(X方向)とのなす角度を45度に設定するのは、繰り返しパターン12による偏光状態の変化を最大とするためである。
【0033】
そして、上記の直線偏光L1を用いて繰り返しパターン12を照明すると、繰り返しパターン12から正反射方向に楕円偏光L2が発生する。この場合、楕円偏光L2の進行方向が正反射方向に一致する。正反射方向とは、直線偏光L1の入射面A2内に含まれ、ステージ20の法線A1に対して角度θ(直線偏光L1の入射角度θに等しい角度)だけ傾いた方向である。なお、上述の通り、繰り返しパターン12のピッチPが照明波長と比較して十分短いため、繰り返しパターン12から回折光が発生することはない。
【0034】
さて、受光系40は、図1に示すように、受光レンズ41と、検光子42と、回転駆動装置43と、撮像カメラ44とを有して構成され、その光軸が、ステージ20の中心を通り、かつ、ステージ20の法線A1に対して角度θだけ傾くように配設される。受光レンズ41は、楕円偏光L2を撮像カメラ44の撮像面に集光する。
【0035】
検光子42は、回転駆動装置43を用いて受光系40の光軸を中心に透過軸の方位(偏光方向)を回転可能に構成されており、検光子42の透過軸の方位は、上述した偏光子32の透過軸に対して90度前後の傾斜角度で傾くように設定される。すなわち、クロスニコル状態を意図的にくずすことを可能にしている。したがって、楕円偏光L2が検光子42を透過するとその偏光成分、すなわち検光子42からの直線偏光L3(第2の直線偏光)が撮像カメラ44の撮像面に集光される。その結果、撮像カメラ44の撮像面には、直線偏光L3によるウェハ10の反射像が形成される。
【0036】
撮像カメラ44は、不図示のCCD撮像素子を有するCCDカメラであり、撮像面に形成されたウェハ10の反射像を光電変換して、画像信号を画像処理部50に出力する。ウェハ10の反射像の明暗は、直線偏光L3の光強度に略比例し、繰り返しパターン12の形状に応じて変化する。ウェハ10の反射像が最も明るくなるのは、繰り返しパターン12が理想的な形状の場合である。なお、ウェハ10の反射像の明暗は、ショット領域ごとに現れる。
【0037】
画像処理部50は、被検基板であるウェハ10の反射画像が入力されると、その輝度情報を予め記憶された良品ウェハの反射画像の輝度情報と比較する。このとき、ウェハ10の反射画像における暗い箇所の輝度値の低下量(輝度変化)に基づいて、繰り返しパターン12の欠陥を検出する。例えば、輝度値の低下量が予め定められた閾値(許容値)より大きければ「欠陥(異常)」と判定し、閾値より小さければ「正常」と判断すればよい。そして、画像処理部50による輝度情報の比較結果およびそのときのウェハ10の反射画像がモニタ55で出力表示される。また、ここで画像処理部50を介さずに撮像カメラ44に撮像されたウェハ10の反射画像をモニタ55で表示させ、目視によりウェハ10における繰り返しパターンの形状変化を確認するようにしてもよい。また、モニタ55の画面を分割して、欠陥(異常)の表示とウェハ10の反射画像の両方を表示してもよい。
【0038】
なお、画像処理部50においては、上述のように、良品ウェハの反射画像を予め記憶しておく構成の他、ウェハ10のショット領域の配列データと輝度値の閾値を予め記憶しておく構成でもよい。この場合、ショット領域の配列データに基づいて、取り込まれたウェハ10の反射画像中における各ショット領域の位置が分かるので、各ショット領域の輝度値を求める。そして、その輝度値と記憶されている閾値とを比較することにより、パターンの欠陥を検出する。閾値より輝度値が小さいショット領域を「欠陥(異常)」と判断すればよい。
【0039】
前述したように、検光子42は、回転駆動装置43を用いて受光系40の光軸を中心に透過軸の方位(偏光方向)を回転可能に構成されており、検光子42の透過軸が偏光子32の透過軸に対して90度から少しずれた傾斜角度だけ傾くように(すなわち、クロスニコル状態を少し崩すように)、検光子42を回転させることで、繰り返しパターン12の形状変化に対する検出感度を向上させることができる。
【0040】
次にその理由について説明する。図6は、繰り返しパターン12の構造性複屈折により入射直線偏光L1が楕円偏光L2へと変化した状態を表している。図6に示すように、楕円偏光L2は、必ずしも長軸の方位角が直線偏光L1(入射面A2)の角度と一致するわけではなく、繰り返しパターン12の形状や下地構造などに応じて傾いた楕円偏光となる。なお、この傾き量は、実際にはわずか数度程度であるが、図7では誇張して描いている。
【0041】
図7は、パターンによる偏光状態の変化を良品ショットと不良ショットとで比較した図である。短軸の長い楕円偏光L2Aは良品ショットによって変化した楕円偏光の状態を、短軸の短い楕円偏光L2Bは不良ショットによって変化した楕円偏光の状態を示している。短軸の短い楕円偏光L2Bは、パターンが不良であるために偏光状態の変化が小さく楕円偏光の太り具合(短軸の長さ)が小さくなっている。パターンの良、不良を判定するためには、この楕円の太り具合の差異を見ることが有効である。
【0042】
このとき、完全なクロスニコル状態とするために、検光子42の透過軸42aを縦に(直線偏光L1と直交する方向に)配置した時に透過する光について考えて見ると、短軸の長い楕円偏光L2Aからは縦の振動成分B1の振幅の光が、短軸の短い楕円偏光L2Bからは縦の振動成分B2の振幅の光が透過してくることになる。光量は振幅の2乗であるから、このときの光量比は、(B1)2:(B2)2となる。ここで注目すべき点は、B1、B2ともに楕円の太り具合に応じて発生した短軸方向の振動成分だけでなく、楕円の傾きによって発生した長軸方向の振動成分も含んでいるため、B1とB2との差が小さく光量比が1:1に近くなってしまい、パターンの形状変化の検出感度が低くなる。
【0043】
図8は、検光子42の透過軸42aの向きを楕円偏光の短軸の向きと略一致(長軸の向きと略直交)させたときに検光子42を透過する光を説明する図である。図8においては、検光子42の透過軸42aの向きを楕円偏光の短軸の向きと略一致させているため、短軸の長い楕円偏光L2Aからは振動成分C1の振幅の光が、短軸の短い楕円偏光L2Bからは振動成分C2の振幅の光が透過してくることになる。このようにして検光子42を傾けることによって、楕円の傾きによって発生する長軸方向振動成分を透過させることなく、楕円の太り具合の変化に応じた振動成分のみを検出できる。
【0044】
このときの光量比は、C1とC2は長さが2倍程度違うことから、(B1)2:(B2)2の値は4:1程度となり、2つの楕円偏光L2A,L2Bにはその太り具合において大きな差があることがわかり、パターンの形状変化をより高感度に検出可能することができる。
【0045】
以上に述べたように、パターンの形状変化をそのパターンによる偏光状態の変化から検出する光学系においては、必ずしも完全なクロスニコル系が最良の形態ではなく、楕円偏光の傾きに応じて検光子の角度をわずかに傾けることが有効である。
【0046】
そこで、本実施形態の表面検査装置1を用いた表面検査方法について、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、ウェハの表面検査の前に、レシピ作成作業を実施する。これは、ウェハの表面検査において、最適な検査を実施するため検査条件を決める必要があるからである。そこで、予め露光機のフォーカス量およびドーズ量をショット毎に振った(変化させた)条件で露光し、現像したウェハをステージ20へ搬送する(ステップS101)。
【0047】
このような条件振りウェハ10f(図10を参照)は、基準となる最適なフォーカス量およびドーズ量によるベストショット(良品ショット)が存在するように作成する。この際、条件振りウェハ10fに限らず、不作為による欠陥が存在するウェハでもよい。条件振りウェハ10fの搬送後、繰り返しパターン12の繰り返し方向が照明方向(ウェハ10の表面における直線偏光L1の進行方向)に対して45度だけ傾くようにアライメントを行う。なお、アライメントの角度は45度に限らず、67.5度あるいは22.5度であってもよい。
【0048】
条件振りウェハ10fの搬送およびアライメントを行った後、条件振りウェハ10fの表面に第1の直線偏光L1を照射し、条件振りウェハ10fの表面で反射した正反射光(楕円偏光L2)を検光子42を介して撮像カメラ44で検出し撮像する(ステップS102)。このとき、光源31からの光が偏光子32および照明レンズ33を介し直線偏光L1となって、条件振りウェハ10fの表面に照射される。そして、条件振りウェハ10fの表面で反射した正反射光(楕円偏光L2)が受光レンズ41により集光され、検光子42で第2の直線偏光L3に変換されて撮像カメラ44の撮像面上に結像され、撮像カメラ44は、撮像面上に形成された第2の直線偏光L3による条件振りウェハ10fの反射像を光電変換して画像信号を生成し、画像信号を画像処理部50に出力する。
【0049】
第2の直線偏光L3による条件振りウェハ10fの画像信号が画像処理部50に入力されると、画像処理部50の内部メモリ(図示せず)に記憶される(ステップS103)。
【0050】
前述したように、検光子42は、回転駆動装置43を用いて透過軸の方位(偏光方向)を回転可能に構成されており、検光子42の透過軸の方位を偏光子32の透過軸に対して90度−3度(87度)から90度+3度(93度)の傾斜角度まで0.2度ずつ回転させながら(ステップS104〜S105)、ステップS102の撮像およびステップS103の画像記憶を繰り返し、このとき、撮像した画像から基準ショット(ベスト良品ショット)位置の輝度を計算し、一定の輝度になるように毎回照明光量を調整する。これにより、基準ショットが同一輝度値で検光子42の透過軸の方位が異なる30枚の画像が記憶される。
【0051】
検光子42の透過軸の方位が異なる30枚の画像を撮像取得すると、条件振りウェハ10fを回収する(ステップS104〜S106)。そして、画像処理部50は、30枚の画像を内部メモリから読み出し、基準ショットの輝度とフォーカス量およびドーズ量を振った(変化させた)ショットの輝度との差が最も大きい画像を画像処理により求める(ステップS107)。この処理により、露光機または膜厚の異常時に発生するフォーカスの不良(デフォーカス)を検出するための、不良ショットと良品ショットとの間の輝度変化が最も大きくなる(すなわち、透過軸の向きが楕円偏光L2の短軸の向きと略一致した)検光子42の透過軸の方位を求めることができる。また、ドーズの不良についても、不良ショットと良品ショットとの間の輝度変化が最も大きくなる検光子42の透過軸の方位を求めることができ、フォーカスの不良およびドーズの不良を検出する時の最適条件がそれぞれ決定される。なお、同一の条件の場合は1条件となる。この際、求めた検光子42の透過軸の方位をそのときの照明光量と合わせてレシピに登録する。
【0052】
レシピ作成後、被検基板であるウェハ10の表面検査を行う(ステップS108)。このとき、先のステップで決定した検光子42の透過軸の方位および照明光量により、ウェハ10の表面に第1の直線偏光L1を照射し、ウェハ10の表面で反射した正反射光(楕円偏光L2)を検光子42を介して撮像カメラ44で検出し撮像する。そのため、撮像カメラ44で撮像された第2の直線偏光L3によるウェハ10の反射像は、フォーカスの不良およびドーズの不良がある場合、不良ショットと良品ショットとの間の輝度変化が大きくなるため、画像処理部50が当該輝度変化に基づいて繰り返しパターン12の欠陥を検出することで、感度の高い繰り返しパターン12の検査が可能となる。
【0053】
この結果、本実施形態の表面検査装置1および方法によれば、第2の直線偏光L3の進行方向と垂直な面内における振動方向(検光子42の透過軸の向き)が楕円偏光L2の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと略一致するように設定を行うため、感度の高い表面検査を行うことができる。
【0054】
また、前述のように、検光子42の透過軸の傾斜角度を所定角度(0.2度)ずつ変化させる毎に撮像カメラ44で検出した第2の直線偏光L3の輝度に基づいて、第2の直線偏光L3の振動方向(検光子42の透過軸の向き)が楕円偏光L2の楕円短軸の向きと略一致する検光子42の傾斜角度を選択設定するようにすることで、簡便な構成で感度の高い表面検査を行うことができる。
【0055】
このとき、検光子42の傾斜角度が90度近傍の角度となるように選択設定を行うことで、構造性複屈折の影響を受けずに正反射する光を低減させる条件で比較的短時間に検光子42の設定を行うことができる。
【0056】
続いて、本実施形態の表面検査装置1を用いた表面検査方法の変形例について、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、ウェハの表面検査の前に、レシピ作成作業を実施する。これは、ウェハの表面検査において、最適な検査を実施するため検査条件を決める必要があるからである。そこで、基準となる最適なフォーカス量およびドーズ量によるベストショット(良品ショット)で露光し、現像した良品ウェハをステージ20へ搬送する(ステップS201)。なお、良品ウェハはウェハの製造工程毎に用意する。そして、良品ウェハの搬送後、繰り返しパターン12の繰り返し方向が照明方向(ウェハ10の表面における直線偏光L1の進行方向)に対して45度だけ傾くようにアライメントを行う。なお、アライメントの角度は45度に限らず、67.5度あるいは22.5度であってもよい。
【0057】
良品ウェハの搬送およびアライメントを行った後、良品ウェハの表面に第1の直線偏光L1を照射し、良品ウェハの表面で反射した正反射光(楕円偏光L2)を検光子42を介して撮像カメラ44で検出し撮像する(ステップS202)。このとき、光源31からの光が偏光子32および照明レンズ33を介し直線偏光L1となって、良品ウェハの表面に照射される。そして、良品ウェハの表面で反射した正反射光(楕円偏光L2)が受光レンズ41により集光され、検光子42で第2の直線偏光L3に変換されて撮像カメラ44の撮像面上に結像され、撮像カメラ44は、撮像面上に形成された第2の直線偏光L3による良品ウェハの反射像を光電変換して画像信号を生成し、画像信号を画像処理部50に出力する。
【0058】
第2の直線偏光L3による良品ウェハの画像信号が画像処理部50に入力されると、画像処理部50の内部メモリ(図示せず)に記憶される(ステップS203)。
【0059】
また、上述の実施形態の場合と同様に、検光子42の透過軸の方位を偏光子32の透過軸に対して90度−3度(87度)から90度+3度(93度)の傾斜角度まで0.2度ずつ回転させながら(ステップS204〜S205)、ステップS202の撮像およびステップS203の画像記憶を繰り返し、このとき、撮像した画像から基準ショット(ベスト良品ショット)位置の輝度を計算し、一定の輝度になるように毎回照明光量を調整する。これにより、基準ショットが同一輝度値で検光子42の透過軸の方位が異なる30枚の画像が記憶される。
【0060】
検光子42の透過軸の方位が異なる30枚の画像を撮像取得すると、良品ウェハを回収する(ステップS204〜S206)。そして、画像処理部50は、30種類ある検光子42の透過軸の方位とそのときの照明光量とをそれぞれレシピに登録する(ステップS207)。
【0061】
レシピ作成後、被検基板であるウェハ10の表面検査を行う(ステップS208)。このとき、先のステップで登録した30種類の検光子42の透過軸の方位および照明光量によりそれぞれ、ウェハ10の表面に第1の直線偏光L1を照射し、ウェハ10の表面で反射した正反射光(楕円偏光L2)を検光子42を介して撮像カメラ44で検出し撮像する。そして、画像処理部50は、撮像カメラ44で撮像した30枚のウェハ10の画像を、同じ条件で撮像した30枚の良品ウェハの画像とそれぞれ比較し、輝度変化が所定の閾値より大きい場合に、繰り返しパターン12に欠陥があると判定する。これにより、検光子42を0.2度ずつ回転させて撮像した30枚のウェハ10の画像は、フォーカスの不良およびドーズの不良がある場合に不良ショットと良品ショットとの間の輝度変化が大きくなる条件の画像を含むことになるため、感度の高い繰り返しパターン12の検査が可能となる。
【0062】
この結果、変形例に係る表面検査方法(および装置)によっても、上述の実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0063】
なお、上述の実施形態において、検光子42は、回転駆動装置43を用いて受光系40の光軸を中心に透過軸の方位を回転可能に構成されているが、これに限られるものではない。例えば、図12に示すように、受光レンズ41と検光子42との間に1/2λ板45を配置し、1/2λ板45の遅相軸の方位を、回転駆動装置49を用いて受光系40の光軸を中心に回転させるようにしてもよい。例えば1/2λ板45は、図13において遅相軸45aが縦方向となるよう配置されている、このような1/2λ板45に楕円偏光46が入射すると、通過する光は遅相軸45aに対して対称な形の楕円偏光47に変換される。この現象を利用して、検光子42の前に1/2λ板45を配置し、その遅相軸45aの角度を適切に設定すれば、楕円偏光の短軸の方位を検光子42の透過軸の方位と略一致させることができるため、検光子42を傾けたのと同様の効果を得ることができる。また、遅相軸45aの回転角の2倍の角度だけ楕円偏光を回転させることができるため、検光子42を直接回転させるのと比較して高速な回転制御が可能になる。
【0064】
なおこのとき、良品ショットの楕円偏光と不良ショットの楕円偏光の長軸方位角は一致しない場合もあるが、その場合はそれらの中間的な角度と検光子42の透過軸の方位を略直交させる(短軸方位角の中間的な角度と略一致させる)のがよいと考えられるが、より現実的には、実際に検光子42の角度を少しずつ変えて測定を行い、検光子42を通過する良品ショットと不良ショットの輝度変化が最も大きくなる角度を探し出し、その角度に設定することが好ましい。
【0065】
また、本実施形態の表面検査装置1では、照明波長と比較して繰り返しパターン12のピッチPが十分小さい場合に限らず、構造性複屈折が生じれば、繰り返しパターン12のピッチPが照明波長と同程度でも、照明波長より大きい場合でも、同様に繰り返しパターン12の欠陥検査を行うことができる。すなわち、繰り返しパターン12のピッチPに拘わらず、確実に欠陥検査を行うことができる。繰り返しパターン12による直線偏光L1の楕円化は、繰り返しパターン12のライン部2Aとスペース部2Bとの体積比に依存して変化するからである。
【0066】
また、上述の実施形態において、画像処理部50を用いずに、撮像カメラ44に撮像されたウェハ10の反射画像をモニタ55で表示して、目視によりウェハ10における繰り返しパターン12の欠陥を検出するようにしてもよい。このようにしても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
また、上述の実施形態において、直線偏光L1がp偏光である例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、p偏光ではなくs偏光にしてもよい。s偏光とは、入射光と反射光の両方が含まれる仮想平面に対して垂直な成分を持つ直線偏光である。このため、図4に示すように、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)が、s偏光である直線偏光L1の入射面A2に対して45度の角度に設定された場合、ウェハ10の表面におけるs偏光の振動面の方向と繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)とのなす角度も、45度に設定される。なお、p偏光は、繰り返しパターン12のライン部2Aのエッジ形状に拘わる欠陥情報を取得するのに有利である。また、s偏光は、ウェハ10の表面の欠陥情報を効率よく捉えて、SN比を向上させるのに有利である。
【0068】
さらに、p偏光やs偏光に限らず、振動面が入射面に対して任意の傾きを持つような直線偏光でも構わない。この場合、繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)を直線偏光L1の入射面に対して45度以外の角度に設定し、ウェハ10の表面における直線偏光L1の振動面の方向と繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)とのなす角度を、45度に設定することが好ましい。
【0069】
また、上述の実施形態では、光源31と偏光子32を利用して、直線偏光L1を作り出すように構成されているが、これに限られるものではなく、直線偏光レーザを光源として使用すれば偏光子32は必要ない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る表面検査装置の全体構成を示す図である。
【図2】半導体ウェハの表面の外観図である。
【図3】繰り返しパターンの凹凸構造を説明する斜視図である。
【図4】直線偏光の入射面と繰り返しパターンの繰り返し方向との傾き状態を説明する図である。
【図5】直線偏光の振動面の方向と繰り返しパターンの繰り返し方向との傾き状態を説明する図である。
【図6】パターンの構造性複屈折により入射直線偏光が楕円偏光へと変化した状態を示す図である。
【図7】パターンによる偏光状態の変化を良品ショットと不良ショットで比較した図である。
【図8】検光子の透過軸の向きを楕円偏光の短軸の向きと略一致させたときに検光子を透過する光を説明する図である。
【図9】本発明に係る表面検査方法を示すフローチャートである。
【図10】条件振りウェハを示す模式図である。
【図11】表面検査方法の変形例を示すフローチャートである。
【図12】表面検査装置の変形例を示す図である。
【図13】1/2λ板を示す模式図である。
【符号の説明】
【0071】
1 表面検査装置
10 ウェハ(被検基板) 12 繰り返しパターン
30 照明系(照明部)
40 受光系 42 検光子(偏光素子)
43 回転駆動装置(設定部) 44 撮像カメラ(検出部)
45 1/2λ板(設定部の変形例) 49 回転駆動装置(設定部の変形例)
50 画像処理部(異常検出部) 55 モニタ(表示部)
L1 第1の直線偏光 L2 楕円偏光
L3 第2の直線偏光
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハや液晶基板等の表面を検査する表面検査装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハの表面に形成されたパターンの良否を判断する方法として、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察により、断面形状を計測する方法が種々提案されている。SEMによる断面形状の計測は、被検基板上のパターンに照射した電子線をパターンの断面方向に走査し、パターンからの反射電子や二次電子を検出、解析して、走査した部分の断面形状を求める方法で行われる。上記の操作をパターン上の何点かで行い、パターン全体の形状の良否を判断する。
【0003】
また、パターンの断面形状からパターンを形成した露光プロセスやエッチングのプロセスに不具合がないかどうかや、適切なプロセス条件が選択されているかの判断もなされる。例えば露光プロセスについては露光条件とパターンの断面形状との相関関係をあらかじめ求めておき、検査したパターンの断面形状から露光装置の露光条件の修正の可否を判断し、修正が必要な場合には前述の相関関係に基づいて適切な露光条件を求めている。また、エッチングのプロセスにおいては、ガス種、ガス圧、加速電圧等の条件と、パターンの断面形状との相関関係を予め求めておいて、同様の条件出しが行われる。
【0004】
上記の様にSEMによる計測方法は、パターン上に電子線を照射して走査する作業を何回も繰り返し行う為、パターンの形状を求めるのに膨大な時間を要してしまう。また観察倍率が高いため、ウェハ上の全てのパターン形状を求めるのは困難であり、何点かをサンプリングしてウェハ全体の良否を判断する。その結果、サンプリングされたパターン以外の部分に欠陥があっても見逃されてしまう。また、レジストパターンでは、電子線を照射すると加速電圧によって電子線がレジストに吸収、チャージされてパターンの目減りが起こる。場合によっては放電が発生してパターンが倒れてしまい、その後の工程で不都合が生じる為、加速電圧や観察倍率を色々と変えながら最適な観察条件をも求める。それ故、さらに計測に時間を要する。
【0005】
SEMによる断面形状の計測では、こうした見逃しによって露光装置やエッチャーの不具合を十分に把握出来ないという問題が生じる。また、計測に膨大な時間を要するため、計測結果によって得られた露光装置やエッチャーの不具合を迅速にそれらの装置に反映できない問題も生じる。
【0006】
このような問題を解決するため、レジストパターン、エッチング後のパターンに関わらず、被検基板上のパターン形状の良否を短時間で判別することができる表面検査装置および表面検査方法が考案されている(例えば、特許文献1を参照)。この表面検査装置は、被検基板に形成された周期性を有するレジストパターンの繰り返し方向に対して直線偏光の振動方向を斜めに設定して照明し、被検基板からの正反射光のうち、照明する直線偏光の振動面に垂直な振動面を有する偏光成分を抽出するために検像形成手段を用いて撮像することにより、被検基板上のパターン形状の良否を短時間に処理可能としている。
【特許文献1】特開2006−135211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、線幅が50nm以下になると、レジスト厚も薄くなり、被検基板に形成された周期性を有するレジストパターンが有する構造性複屈折によって発生する偏光状態の変化が少なくなる。このため、レジストパターンの繰り返し方向に対して直線偏光の振動方向を斜めに設定して照明したときの被検基板からの正反射光のうち、照明する直線偏光の振動面に垂直な振動面を有する偏光成分も減衰するため、パターン形状変化に対する検出感度が低下する問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、感度の高い表面検査が可能な表面検査装置および表面検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的達成のため、本発明に係る表面検査装置は、所定の繰り返しパターンを有する被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、前記被検基板の表面に照射された前記第1の直線偏光が前記繰り返しパターンで反射する際に前記パターンが有する構造性複屈折によって生じた楕円偏光から前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分を抽出する偏光素子と、前記第2の直線偏光成分を検出する検出部と、前記検出部で検出された前記第2の直線偏光成分に基づいて、前記繰り返しパターンの形状変化を表示する表示部と、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと前記垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向とが略一致するように前記偏光素子を設定可能な設定部とを備え、前記繰り返しパターンに応じて前記偏光素子を設定するようになっている。
【0010】
なお、上述の表面検査装置において、前記設定部は、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向と、前記第1の直線偏光の進行方向と垂直な面内における振動方向とのなす角度を所定角度ずつ変化させることができ、前記角度を前記所定角度ずつ変化させる毎に前記検出部で検出した前記第2の直線偏光成分の輝度に基づいて、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと前記垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向とが略一致する前記角度を選択設定することが好ましい。
【0011】
また、上述の表面検査装置において、前記検出部で検出された前記第2の直線偏光成分の輝度と予め設定された閾値とを比較して、前記繰り返しパターンの異常を検出する異常検出部をさらに備えることが好ましい。
【0012】
また、上述の表面検査装置において、前記設定部は、前記構造性複屈折によって生じた前記楕円偏光の前記第2の直線偏光成分を最も検出しやすくするように前記偏光素子を設定することが好ましい。
【0013】
また、上述の表面検査装置において、前記設定部は、前記角度が90度以外であって90度近傍の角度となるように前記選択設定を行うことが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る表面検査方法は、所定の繰り返しパターンを有する被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照射ステップと、前記被検基板の表面に照射された前記第1の直線偏光が前記繰り返しパターンで反射する際に前記パターンが有する構造性複屈折によって生じた楕円偏光から前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、前記第2の直線偏光成分を検出する検出ステップと、前記検出ステップで検出された前記第2の直線偏光成分に基づいて、前記繰り返しパターンの形状変化を表示する表示ステップと、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における前記抽出する前記第2の直線偏光成分の振動方向を、前記繰り返しパターンに応じて設定する設定ステップとを有している。
【0015】
なお、前記設定ステップにおいて、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向と、前記第1の直線偏光の進行方向と垂直な面内における振動方向とのなす角度を所定角度ずつ変化させ、前記角度を前記所定角度ずつ変化させる毎に検出した前記第2の直線偏光成分の輝度に基づいて、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと前記垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向とが略一致する前記角度を選択設定することが好ましい。
【0016】
また、前記設定ステップにおいて、前記角度が90度以外であって90度近傍の角度となるように前記選択設定を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、感度の高い表面検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態の表面検査装置1は、図1に示すように、被検基板である半導体ウェハ10(以下、ウェハ10と称する)を支持するステージ20と、アライメント系25と、照明系30と、受光系40とを備えて構成されている。また、表面検査装置1は、受光系40で撮像された画像の画像処理を行う画像処理部50と、受光系40で撮像された画像や画像処理部50による画像処理結果を表示するモニタ55とを備えている。表面検査装置1は、半導体回路素子の製造工程において、ウェハ10の表面の検査を自動的に行う装置である。ウェハ10は、最上層のレジスト膜への露光・現像後、不図示の搬送系により、不図示のウェハカセットまたは現像装置から運ばれ、ステージ20に吸着保持される。
【0019】
ウェハ10の表面には、図2に示すように、複数のチップ領域11がXY方向に配列され、各チップ領域の中に所定の繰り返しパターン12が形成されている。繰り返しパターン12は、図3に示すように、複数のライン部2Aがその短手方向(X方向)に沿って一定のピッチPで配列されたレジストパターン(例えば、配線パターン)である。隣り合うライン部2A同士の間は、スペース部2Bである。なお、ライン部2Aの配列方向(X方向)を「繰り返しパターン12の繰り返し方向」と称する。
【0020】
ここで、繰り返しパターン12におけるライン部2Aの線幅DAの設計値をピッチPの1/2とする。設計値の通りに繰り返しパターン12が形成された場合、ライン部2Aの線幅DAとスペース部2Bの線幅DBは等しくなり、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比は略1:1になる。これに対して、繰り返しパターン12を形成する際の露光フォーカスが適正値から外れると、ピッチPは変わらないが、ライン部2Aの線幅DAが設計値と異なってしまうとともに、スペース部2Bの線幅DBとも異なってしまい、ライン部2Aとスペース部2Bとの体積比が略1:1から外れる。
【0021】
本実施形態の表面検査装置1は、上記のような繰り返しパターン12におけるライン部2Aとスペース部2Bとの体積比の変化を利用して、繰り返しパターン12の欠陥検査を行うものである。説明を簡単にするため、理想的な体積比(設計値)を1:1とする。体積比の変化は、露光フォーカスの適正状態からの外れに起因し、ウェハ10のショット領域ごとに現れる。なお、体積比を断面形状の面積比と言い換えることもできる。
【0022】
また、本実施形態においては、繰り返しパターン12に対する照明光(後述)の波長と比較して繰り返しパターン12のピッチPが十分小さいものとする。このため、繰り返しパターン12から回折光が発生することはなく、繰り返しパターン12の欠陥検査を回折光により行うことはできない。本実施形態における欠陥検査の原理は、以降、表面検査装置の構成(図1)とともに順に説明する。
【0023】
表面検査装置1のステージ20は、ウェハ10を上面で支持して、例えば真空吸着により固定保持する。さらに、ステージ20は、上面の中心における法線A1を中心軸として回転可能である。この回転機構によって、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向(図2および図3におけるX方向)を、ウェハ10の表面内で回転させることができる。なお、ステージ20は、上面が水平面であり、ウェハ10を常に水平な状態に保つことができる。
【0024】
アライメント系25は、ステージ20が回転しているときに、ウェハ10の外縁部を照明し、外縁部に設けられた外形基準(例えばノッチ)の回転方向の位置を検出し、所定位置でステージ20を停止させる。その結果、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向(図2および図3におけるX方向)を、後述の照明光の入射面A2(図4を参照)に対して、45度の角度に傾けて設定することができる。なお、角度は45度に限らず、22.5度や67.5度など任意角度方向に設定可能である。
【0025】
照明系30は、光源31と、偏光子32と、照明レンズ33とを有して構成された偏心光学系であり、ステージ20上のウェハ10の繰り返しパターン12を直線偏光L1(第1の直線偏光)により照明する。この直線偏光L1が、繰り返しパターン12に対する照明光である。直線偏光L1は、ウェハ10の表面全体に照射される。
【0026】
直線偏光L1の進行方向(ウェハ10表面上の任意の点に到達する直線偏光L1の主光線の方向)は、ステージ20の中心を通り、ステージ20の法線A1に対して所定の角度θだけ傾けられている。ちなみに、直線偏光L1の進行方向を含み、ステージ20の法線A1に平行な平面が、直線偏光L1の入射面である。図4の入射面A2は、ウェハ10の中心における入射面である。
【0027】
また、本実施形態では、直線偏光L1がp偏光である。直線偏光L1の振動面は、偏光子32の透過軸により規定される。
【0028】
なお、照明系30の光源31は、安価な放電光源又はLEDである。偏光子32は、光源31の射出端近傍に配置され、その透過軸が所定の方位に設定され、透過軸に応じて光源31からの光を直線偏光L1にする。照明レンズ33は、光源31の射出端と略一致し、後側焦点がウェハ10の表面と略一致するように配置され、偏光子32からの光をウェハ10の表面に導く。すなわち照明系30は、ウェハ10側に対してテレセントリックな光学系である。
【0029】
上記の照明系30において、光源31からの光は、偏光子32および照明レンズ33を介しp偏光の直線偏光L1となって、ウェハ10の表面全体に入射する。ウェハ10の各点における直線偏光L1の入射角度は、平行光束のため互いに同じであり、光軸と法線A1とのなす角度θに相当する。
【0030】
本実施形態では、ウェハ10に入射する直線偏光L1がp偏光であるため、図4に示すように、繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)が直線偏光L1の入射面A2(ウェハ10の表面における直線偏光L1の進行方向)に対して45度の角度に設定された場合、ウェハ10の表面における直線偏光L1の振動面の方向(図5におけるV方向)と繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)とのなす角度も、45度に設定される。
【0031】
言い換えると、直線偏光L1は、ウェハ10の表面における直線偏光L1の振動面の方向(図5におけるV方向)が繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)に対して45度傾いた状態で、繰り返しパターン12を斜めに横切るようにして繰り返しパターン12に入射する。
【0032】
このような直線偏光L1と繰り返しパターン12との角度状態は、ウェハ10の表面全体において均一である。なお、45度を135度,225度,315度のいずれかに言い換えても、直線偏光L1と繰り返しパターン12との角度状態は同じである。また、図5の振動面の方向(V方向)と繰り返し方向(X方向)とのなす角度を45度に設定するのは、繰り返しパターン12による偏光状態の変化を最大とするためである。
【0033】
そして、上記の直線偏光L1を用いて繰り返しパターン12を照明すると、繰り返しパターン12から正反射方向に楕円偏光L2が発生する。この場合、楕円偏光L2の進行方向が正反射方向に一致する。正反射方向とは、直線偏光L1の入射面A2内に含まれ、ステージ20の法線A1に対して角度θ(直線偏光L1の入射角度θに等しい角度)だけ傾いた方向である。なお、上述の通り、繰り返しパターン12のピッチPが照明波長と比較して十分短いため、繰り返しパターン12から回折光が発生することはない。
【0034】
さて、受光系40は、図1に示すように、受光レンズ41と、検光子42と、回転駆動装置43と、撮像カメラ44とを有して構成され、その光軸が、ステージ20の中心を通り、かつ、ステージ20の法線A1に対して角度θだけ傾くように配設される。受光レンズ41は、楕円偏光L2を撮像カメラ44の撮像面に集光する。
【0035】
検光子42は、回転駆動装置43を用いて受光系40の光軸を中心に透過軸の方位(偏光方向)を回転可能に構成されており、検光子42の透過軸の方位は、上述した偏光子32の透過軸に対して90度前後の傾斜角度で傾くように設定される。すなわち、クロスニコル状態を意図的にくずすことを可能にしている。したがって、楕円偏光L2が検光子42を透過するとその偏光成分、すなわち検光子42からの直線偏光L3(第2の直線偏光)が撮像カメラ44の撮像面に集光される。その結果、撮像カメラ44の撮像面には、直線偏光L3によるウェハ10の反射像が形成される。
【0036】
撮像カメラ44は、不図示のCCD撮像素子を有するCCDカメラであり、撮像面に形成されたウェハ10の反射像を光電変換して、画像信号を画像処理部50に出力する。ウェハ10の反射像の明暗は、直線偏光L3の光強度に略比例し、繰り返しパターン12の形状に応じて変化する。ウェハ10の反射像が最も明るくなるのは、繰り返しパターン12が理想的な形状の場合である。なお、ウェハ10の反射像の明暗は、ショット領域ごとに現れる。
【0037】
画像処理部50は、被検基板であるウェハ10の反射画像が入力されると、その輝度情報を予め記憶された良品ウェハの反射画像の輝度情報と比較する。このとき、ウェハ10の反射画像における暗い箇所の輝度値の低下量(輝度変化)に基づいて、繰り返しパターン12の欠陥を検出する。例えば、輝度値の低下量が予め定められた閾値(許容値)より大きければ「欠陥(異常)」と判定し、閾値より小さければ「正常」と判断すればよい。そして、画像処理部50による輝度情報の比較結果およびそのときのウェハ10の反射画像がモニタ55で出力表示される。また、ここで画像処理部50を介さずに撮像カメラ44に撮像されたウェハ10の反射画像をモニタ55で表示させ、目視によりウェハ10における繰り返しパターンの形状変化を確認するようにしてもよい。また、モニタ55の画面を分割して、欠陥(異常)の表示とウェハ10の反射画像の両方を表示してもよい。
【0038】
なお、画像処理部50においては、上述のように、良品ウェハの反射画像を予め記憶しておく構成の他、ウェハ10のショット領域の配列データと輝度値の閾値を予め記憶しておく構成でもよい。この場合、ショット領域の配列データに基づいて、取り込まれたウェハ10の反射画像中における各ショット領域の位置が分かるので、各ショット領域の輝度値を求める。そして、その輝度値と記憶されている閾値とを比較することにより、パターンの欠陥を検出する。閾値より輝度値が小さいショット領域を「欠陥(異常)」と判断すればよい。
【0039】
前述したように、検光子42は、回転駆動装置43を用いて受光系40の光軸を中心に透過軸の方位(偏光方向)を回転可能に構成されており、検光子42の透過軸が偏光子32の透過軸に対して90度から少しずれた傾斜角度だけ傾くように(すなわち、クロスニコル状態を少し崩すように)、検光子42を回転させることで、繰り返しパターン12の形状変化に対する検出感度を向上させることができる。
【0040】
次にその理由について説明する。図6は、繰り返しパターン12の構造性複屈折により入射直線偏光L1が楕円偏光L2へと変化した状態を表している。図6に示すように、楕円偏光L2は、必ずしも長軸の方位角が直線偏光L1(入射面A2)の角度と一致するわけではなく、繰り返しパターン12の形状や下地構造などに応じて傾いた楕円偏光となる。なお、この傾き量は、実際にはわずか数度程度であるが、図7では誇張して描いている。
【0041】
図7は、パターンによる偏光状態の変化を良品ショットと不良ショットとで比較した図である。短軸の長い楕円偏光L2Aは良品ショットによって変化した楕円偏光の状態を、短軸の短い楕円偏光L2Bは不良ショットによって変化した楕円偏光の状態を示している。短軸の短い楕円偏光L2Bは、パターンが不良であるために偏光状態の変化が小さく楕円偏光の太り具合(短軸の長さ)が小さくなっている。パターンの良、不良を判定するためには、この楕円の太り具合の差異を見ることが有効である。
【0042】
このとき、完全なクロスニコル状態とするために、検光子42の透過軸42aを縦に(直線偏光L1と直交する方向に)配置した時に透過する光について考えて見ると、短軸の長い楕円偏光L2Aからは縦の振動成分B1の振幅の光が、短軸の短い楕円偏光L2Bからは縦の振動成分B2の振幅の光が透過してくることになる。光量は振幅の2乗であるから、このときの光量比は、(B1)2:(B2)2となる。ここで注目すべき点は、B1、B2ともに楕円の太り具合に応じて発生した短軸方向の振動成分だけでなく、楕円の傾きによって発生した長軸方向の振動成分も含んでいるため、B1とB2との差が小さく光量比が1:1に近くなってしまい、パターンの形状変化の検出感度が低くなる。
【0043】
図8は、検光子42の透過軸42aの向きを楕円偏光の短軸の向きと略一致(長軸の向きと略直交)させたときに検光子42を透過する光を説明する図である。図8においては、検光子42の透過軸42aの向きを楕円偏光の短軸の向きと略一致させているため、短軸の長い楕円偏光L2Aからは振動成分C1の振幅の光が、短軸の短い楕円偏光L2Bからは振動成分C2の振幅の光が透過してくることになる。このようにして検光子42を傾けることによって、楕円の傾きによって発生する長軸方向振動成分を透過させることなく、楕円の太り具合の変化に応じた振動成分のみを検出できる。
【0044】
このときの光量比は、C1とC2は長さが2倍程度違うことから、(B1)2:(B2)2の値は4:1程度となり、2つの楕円偏光L2A,L2Bにはその太り具合において大きな差があることがわかり、パターンの形状変化をより高感度に検出可能することができる。
【0045】
以上に述べたように、パターンの形状変化をそのパターンによる偏光状態の変化から検出する光学系においては、必ずしも完全なクロスニコル系が最良の形態ではなく、楕円偏光の傾きに応じて検光子の角度をわずかに傾けることが有効である。
【0046】
そこで、本実施形態の表面検査装置1を用いた表面検査方法について、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、ウェハの表面検査の前に、レシピ作成作業を実施する。これは、ウェハの表面検査において、最適な検査を実施するため検査条件を決める必要があるからである。そこで、予め露光機のフォーカス量およびドーズ量をショット毎に振った(変化させた)条件で露光し、現像したウェハをステージ20へ搬送する(ステップS101)。
【0047】
このような条件振りウェハ10f(図10を参照)は、基準となる最適なフォーカス量およびドーズ量によるベストショット(良品ショット)が存在するように作成する。この際、条件振りウェハ10fに限らず、不作為による欠陥が存在するウェハでもよい。条件振りウェハ10fの搬送後、繰り返しパターン12の繰り返し方向が照明方向(ウェハ10の表面における直線偏光L1の進行方向)に対して45度だけ傾くようにアライメントを行う。なお、アライメントの角度は45度に限らず、67.5度あるいは22.5度であってもよい。
【0048】
条件振りウェハ10fの搬送およびアライメントを行った後、条件振りウェハ10fの表面に第1の直線偏光L1を照射し、条件振りウェハ10fの表面で反射した正反射光(楕円偏光L2)を検光子42を介して撮像カメラ44で検出し撮像する(ステップS102)。このとき、光源31からの光が偏光子32および照明レンズ33を介し直線偏光L1となって、条件振りウェハ10fの表面に照射される。そして、条件振りウェハ10fの表面で反射した正反射光(楕円偏光L2)が受光レンズ41により集光され、検光子42で第2の直線偏光L3に変換されて撮像カメラ44の撮像面上に結像され、撮像カメラ44は、撮像面上に形成された第2の直線偏光L3による条件振りウェハ10fの反射像を光電変換して画像信号を生成し、画像信号を画像処理部50に出力する。
【0049】
第2の直線偏光L3による条件振りウェハ10fの画像信号が画像処理部50に入力されると、画像処理部50の内部メモリ(図示せず)に記憶される(ステップS103)。
【0050】
前述したように、検光子42は、回転駆動装置43を用いて透過軸の方位(偏光方向)を回転可能に構成されており、検光子42の透過軸の方位を偏光子32の透過軸に対して90度−3度(87度)から90度+3度(93度)の傾斜角度まで0.2度ずつ回転させながら(ステップS104〜S105)、ステップS102の撮像およびステップS103の画像記憶を繰り返し、このとき、撮像した画像から基準ショット(ベスト良品ショット)位置の輝度を計算し、一定の輝度になるように毎回照明光量を調整する。これにより、基準ショットが同一輝度値で検光子42の透過軸の方位が異なる30枚の画像が記憶される。
【0051】
検光子42の透過軸の方位が異なる30枚の画像を撮像取得すると、条件振りウェハ10fを回収する(ステップS104〜S106)。そして、画像処理部50は、30枚の画像を内部メモリから読み出し、基準ショットの輝度とフォーカス量およびドーズ量を振った(変化させた)ショットの輝度との差が最も大きい画像を画像処理により求める(ステップS107)。この処理により、露光機または膜厚の異常時に発生するフォーカスの不良(デフォーカス)を検出するための、不良ショットと良品ショットとの間の輝度変化が最も大きくなる(すなわち、透過軸の向きが楕円偏光L2の短軸の向きと略一致した)検光子42の透過軸の方位を求めることができる。また、ドーズの不良についても、不良ショットと良品ショットとの間の輝度変化が最も大きくなる検光子42の透過軸の方位を求めることができ、フォーカスの不良およびドーズの不良を検出する時の最適条件がそれぞれ決定される。なお、同一の条件の場合は1条件となる。この際、求めた検光子42の透過軸の方位をそのときの照明光量と合わせてレシピに登録する。
【0052】
レシピ作成後、被検基板であるウェハ10の表面検査を行う(ステップS108)。このとき、先のステップで決定した検光子42の透過軸の方位および照明光量により、ウェハ10の表面に第1の直線偏光L1を照射し、ウェハ10の表面で反射した正反射光(楕円偏光L2)を検光子42を介して撮像カメラ44で検出し撮像する。そのため、撮像カメラ44で撮像された第2の直線偏光L3によるウェハ10の反射像は、フォーカスの不良およびドーズの不良がある場合、不良ショットと良品ショットとの間の輝度変化が大きくなるため、画像処理部50が当該輝度変化に基づいて繰り返しパターン12の欠陥を検出することで、感度の高い繰り返しパターン12の検査が可能となる。
【0053】
この結果、本実施形態の表面検査装置1および方法によれば、第2の直線偏光L3の進行方向と垂直な面内における振動方向(検光子42の透過軸の向き)が楕円偏光L2の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと略一致するように設定を行うため、感度の高い表面検査を行うことができる。
【0054】
また、前述のように、検光子42の透過軸の傾斜角度を所定角度(0.2度)ずつ変化させる毎に撮像カメラ44で検出した第2の直線偏光L3の輝度に基づいて、第2の直線偏光L3の振動方向(検光子42の透過軸の向き)が楕円偏光L2の楕円短軸の向きと略一致する検光子42の傾斜角度を選択設定するようにすることで、簡便な構成で感度の高い表面検査を行うことができる。
【0055】
このとき、検光子42の傾斜角度が90度近傍の角度となるように選択設定を行うことで、構造性複屈折の影響を受けずに正反射する光を低減させる条件で比較的短時間に検光子42の設定を行うことができる。
【0056】
続いて、本実施形態の表面検査装置1を用いた表面検査方法の変形例について、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、ウェハの表面検査の前に、レシピ作成作業を実施する。これは、ウェハの表面検査において、最適な検査を実施するため検査条件を決める必要があるからである。そこで、基準となる最適なフォーカス量およびドーズ量によるベストショット(良品ショット)で露光し、現像した良品ウェハをステージ20へ搬送する(ステップS201)。なお、良品ウェハはウェハの製造工程毎に用意する。そして、良品ウェハの搬送後、繰り返しパターン12の繰り返し方向が照明方向(ウェハ10の表面における直線偏光L1の進行方向)に対して45度だけ傾くようにアライメントを行う。なお、アライメントの角度は45度に限らず、67.5度あるいは22.5度であってもよい。
【0057】
良品ウェハの搬送およびアライメントを行った後、良品ウェハの表面に第1の直線偏光L1を照射し、良品ウェハの表面で反射した正反射光(楕円偏光L2)を検光子42を介して撮像カメラ44で検出し撮像する(ステップS202)。このとき、光源31からの光が偏光子32および照明レンズ33を介し直線偏光L1となって、良品ウェハの表面に照射される。そして、良品ウェハの表面で反射した正反射光(楕円偏光L2)が受光レンズ41により集光され、検光子42で第2の直線偏光L3に変換されて撮像カメラ44の撮像面上に結像され、撮像カメラ44は、撮像面上に形成された第2の直線偏光L3による良品ウェハの反射像を光電変換して画像信号を生成し、画像信号を画像処理部50に出力する。
【0058】
第2の直線偏光L3による良品ウェハの画像信号が画像処理部50に入力されると、画像処理部50の内部メモリ(図示せず)に記憶される(ステップS203)。
【0059】
また、上述の実施形態の場合と同様に、検光子42の透過軸の方位を偏光子32の透過軸に対して90度−3度(87度)から90度+3度(93度)の傾斜角度まで0.2度ずつ回転させながら(ステップS204〜S205)、ステップS202の撮像およびステップS203の画像記憶を繰り返し、このとき、撮像した画像から基準ショット(ベスト良品ショット)位置の輝度を計算し、一定の輝度になるように毎回照明光量を調整する。これにより、基準ショットが同一輝度値で検光子42の透過軸の方位が異なる30枚の画像が記憶される。
【0060】
検光子42の透過軸の方位が異なる30枚の画像を撮像取得すると、良品ウェハを回収する(ステップS204〜S206)。そして、画像処理部50は、30種類ある検光子42の透過軸の方位とそのときの照明光量とをそれぞれレシピに登録する(ステップS207)。
【0061】
レシピ作成後、被検基板であるウェハ10の表面検査を行う(ステップS208)。このとき、先のステップで登録した30種類の検光子42の透過軸の方位および照明光量によりそれぞれ、ウェハ10の表面に第1の直線偏光L1を照射し、ウェハ10の表面で反射した正反射光(楕円偏光L2)を検光子42を介して撮像カメラ44で検出し撮像する。そして、画像処理部50は、撮像カメラ44で撮像した30枚のウェハ10の画像を、同じ条件で撮像した30枚の良品ウェハの画像とそれぞれ比較し、輝度変化が所定の閾値より大きい場合に、繰り返しパターン12に欠陥があると判定する。これにより、検光子42を0.2度ずつ回転させて撮像した30枚のウェハ10の画像は、フォーカスの不良およびドーズの不良がある場合に不良ショットと良品ショットとの間の輝度変化が大きくなる条件の画像を含むことになるため、感度の高い繰り返しパターン12の検査が可能となる。
【0062】
この結果、変形例に係る表面検査方法(および装置)によっても、上述の実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0063】
なお、上述の実施形態において、検光子42は、回転駆動装置43を用いて受光系40の光軸を中心に透過軸の方位を回転可能に構成されているが、これに限られるものではない。例えば、図12に示すように、受光レンズ41と検光子42との間に1/2λ板45を配置し、1/2λ板45の遅相軸の方位を、回転駆動装置49を用いて受光系40の光軸を中心に回転させるようにしてもよい。例えば1/2λ板45は、図13において遅相軸45aが縦方向となるよう配置されている、このような1/2λ板45に楕円偏光46が入射すると、通過する光は遅相軸45aに対して対称な形の楕円偏光47に変換される。この現象を利用して、検光子42の前に1/2λ板45を配置し、その遅相軸45aの角度を適切に設定すれば、楕円偏光の短軸の方位を検光子42の透過軸の方位と略一致させることができるため、検光子42を傾けたのと同様の効果を得ることができる。また、遅相軸45aの回転角の2倍の角度だけ楕円偏光を回転させることができるため、検光子42を直接回転させるのと比較して高速な回転制御が可能になる。
【0064】
なおこのとき、良品ショットの楕円偏光と不良ショットの楕円偏光の長軸方位角は一致しない場合もあるが、その場合はそれらの中間的な角度と検光子42の透過軸の方位を略直交させる(短軸方位角の中間的な角度と略一致させる)のがよいと考えられるが、より現実的には、実際に検光子42の角度を少しずつ変えて測定を行い、検光子42を通過する良品ショットと不良ショットの輝度変化が最も大きくなる角度を探し出し、その角度に設定することが好ましい。
【0065】
また、本実施形態の表面検査装置1では、照明波長と比較して繰り返しパターン12のピッチPが十分小さい場合に限らず、構造性複屈折が生じれば、繰り返しパターン12のピッチPが照明波長と同程度でも、照明波長より大きい場合でも、同様に繰り返しパターン12の欠陥検査を行うことができる。すなわち、繰り返しパターン12のピッチPに拘わらず、確実に欠陥検査を行うことができる。繰り返しパターン12による直線偏光L1の楕円化は、繰り返しパターン12のライン部2Aとスペース部2Bとの体積比に依存して変化するからである。
【0066】
また、上述の実施形態において、画像処理部50を用いずに、撮像カメラ44に撮像されたウェハ10の反射画像をモニタ55で表示して、目視によりウェハ10における繰り返しパターン12の欠陥を検出するようにしてもよい。このようにしても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
また、上述の実施形態において、直線偏光L1がp偏光である例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、p偏光ではなくs偏光にしてもよい。s偏光とは、入射光と反射光の両方が含まれる仮想平面に対して垂直な成分を持つ直線偏光である。このため、図4に示すように、ウェハ10における繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)が、s偏光である直線偏光L1の入射面A2に対して45度の角度に設定された場合、ウェハ10の表面におけるs偏光の振動面の方向と繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)とのなす角度も、45度に設定される。なお、p偏光は、繰り返しパターン12のライン部2Aのエッジ形状に拘わる欠陥情報を取得するのに有利である。また、s偏光は、ウェハ10の表面の欠陥情報を効率よく捉えて、SN比を向上させるのに有利である。
【0068】
さらに、p偏光やs偏光に限らず、振動面が入射面に対して任意の傾きを持つような直線偏光でも構わない。この場合、繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)を直線偏光L1の入射面に対して45度以外の角度に設定し、ウェハ10の表面における直線偏光L1の振動面の方向と繰り返しパターン12の繰り返し方向(X方向)とのなす角度を、45度に設定することが好ましい。
【0069】
また、上述の実施形態では、光源31と偏光子32を利用して、直線偏光L1を作り出すように構成されているが、これに限られるものではなく、直線偏光レーザを光源として使用すれば偏光子32は必要ない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る表面検査装置の全体構成を示す図である。
【図2】半導体ウェハの表面の外観図である。
【図3】繰り返しパターンの凹凸構造を説明する斜視図である。
【図4】直線偏光の入射面と繰り返しパターンの繰り返し方向との傾き状態を説明する図である。
【図5】直線偏光の振動面の方向と繰り返しパターンの繰り返し方向との傾き状態を説明する図である。
【図6】パターンの構造性複屈折により入射直線偏光が楕円偏光へと変化した状態を示す図である。
【図7】パターンによる偏光状態の変化を良品ショットと不良ショットで比較した図である。
【図8】検光子の透過軸の向きを楕円偏光の短軸の向きと略一致させたときに検光子を透過する光を説明する図である。
【図9】本発明に係る表面検査方法を示すフローチャートである。
【図10】条件振りウェハを示す模式図である。
【図11】表面検査方法の変形例を示すフローチャートである。
【図12】表面検査装置の変形例を示す図である。
【図13】1/2λ板を示す模式図である。
【符号の説明】
【0071】
1 表面検査装置
10 ウェハ(被検基板) 12 繰り返しパターン
30 照明系(照明部)
40 受光系 42 検光子(偏光素子)
43 回転駆動装置(設定部) 44 撮像カメラ(検出部)
45 1/2λ板(設定部の変形例) 49 回転駆動装置(設定部の変形例)
50 画像処理部(異常検出部) 55 モニタ(表示部)
L1 第1の直線偏光 L2 楕円偏光
L3 第2の直線偏光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の繰り返しパターンを有する被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、
前記被検基板の表面に照射された前記第1の直線偏光が前記繰り返しパターンで反射する際に前記パターンが有する構造性複屈折によって生じた楕円偏光から前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分を抽出する偏光素子と、
前記第2の直線偏光成分を検出する検出部と、
前記検出部で検出された前記第2の直線偏光成分に基づいて、前記繰り返しパターンの形状変化を表示する表示部と、
前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと前記垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向とが略一致するように前記偏光素子を設定可能な設定部とを備え、
前記繰り返しパターンに応じて前記偏光素子を設定することを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向と、前記第1の直線偏光の進行方向と垂直な面内における振動方向とのなす角度を所定角度ずつ変化させることができ、
前記角度を前記所定角度ずつ変化させる毎に前記検出部で検出した前記第2の直線偏光成分の輝度に基づいて、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと前記垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向とが略一致する前記角度を選択設定することを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記検出部で検出された前記第2の直線偏光成分の輝度と予め設定された閾値とを比較して、前記繰り返しパターンの異常を検出する異常検出部をさらに備えることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記構造性複屈折によって生じた前記楕円偏光の前記第2の直線偏光成分を最も検出しやすくするように前記偏光素子を設定することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記角度が90度以外であって90度近傍の角度となるように前記選択設定を行うことを特徴とする請求項2に記載の表面検査装置。
【請求項6】
所定の繰り返しパターンを有する被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照射ステップと、
前記被検基板の表面に照射された前記第1の直線偏光が前記繰り返しパターンで反射する際に前記パターンが有する構造性複屈折によって生じた楕円偏光から前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、
前記第2の直線偏光成分を検出する検出ステップと、
前記検出ステップで検出された前記第2の直線偏光成分に基づいて、前記繰り返しパターンの形状変化を表示する表示ステップと、
前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における前記抽出する前記第2の直線偏光成分の振動方向を、前記繰り返しパターンに応じて設定する設定ステップとを有することを特徴とする表面検査方法。
【請求項7】
前記設定ステップにおいて、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向と、前記第1の直線偏光の進行方向と垂直な面内における振動方向とのなす角度を所定角度ずつ変化させ、
前記角度を前記所定角度ずつ変化させる毎に検出した前記第2の直線偏光成分の輝度に基づいて、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと前記垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向とが略一致する前記角度を選択設定することを特徴とする請求項6に記載の表面検査方法。
【請求項8】
前記設定ステップにおいて、前記角度が90度以外であって90度近傍の角度となるように前記選択設定を行うことを特徴とする請求項7に記載の表面検査方法。
【請求項1】
所定の繰り返しパターンを有する被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照明部と、
前記被検基板の表面に照射された前記第1の直線偏光が前記繰り返しパターンで反射する際に前記パターンが有する構造性複屈折によって生じた楕円偏光から前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分を抽出する偏光素子と、
前記第2の直線偏光成分を検出する検出部と、
前記検出部で検出された前記第2の直線偏光成分に基づいて、前記繰り返しパターンの形状変化を表示する表示部と、
前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと前記垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向とが略一致するように前記偏光素子を設定可能な設定部とを備え、
前記繰り返しパターンに応じて前記偏光素子を設定することを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向と、前記第1の直線偏光の進行方向と垂直な面内における振動方向とのなす角度を所定角度ずつ変化させることができ、
前記角度を前記所定角度ずつ変化させる毎に前記検出部で検出した前記第2の直線偏光成分の輝度に基づいて、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと前記垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向とが略一致する前記角度を選択設定することを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記検出部で検出された前記第2の直線偏光成分の輝度と予め設定された閾値とを比較して、前記繰り返しパターンの異常を検出する異常検出部をさらに備えることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記構造性複屈折によって生じた前記楕円偏光の前記第2の直線偏光成分を最も検出しやすくするように前記偏光素子を設定することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記角度が90度以外であって90度近傍の角度となるように前記選択設定を行うことを特徴とする請求項2に記載の表面検査装置。
【請求項6】
所定の繰り返しパターンを有する被検基板の表面に第1の直線偏光を照射する照射ステップと、
前記被検基板の表面に照射された前記第1の直線偏光が前記繰り返しパターンで反射する際に前記パターンが有する構造性複屈折によって生じた楕円偏光から前記第1の直線偏光と振動方向が異なる第2の直線偏光成分を抽出する抽出ステップと、
前記第2の直線偏光成分を検出する検出ステップと、
前記検出ステップで検出された前記第2の直線偏光成分に基づいて、前記繰り返しパターンの形状変化を表示する表示ステップと、
前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における前記抽出する前記第2の直線偏光成分の振動方向を、前記繰り返しパターンに応じて設定する設定ステップとを有することを特徴とする表面検査方法。
【請求項7】
前記設定ステップにおいて、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向と、前記第1の直線偏光の進行方向と垂直な面内における振動方向とのなす角度を所定角度ずつ変化させ、
前記角度を前記所定角度ずつ変化させる毎に検出した前記第2の直線偏光成分の輝度に基づいて、前記楕円偏光の進行方向と垂直な面内における楕円短軸の向きと前記垂直な面内における前記第2の直線偏光成分の振動方向とが略一致する前記角度を選択設定することを特徴とする請求項6に記載の表面検査方法。
【請求項8】
前記設定ステップにおいて、前記角度が90度以外であって90度近傍の角度となるように前記選択設定を行うことを特徴とする請求項7に記載の表面検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−145307(P2009−145307A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325953(P2007−325953)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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