説明

買物経路誘導システム

【課題】 ショッピングセンタなどにおいて、ユーザを必要な場所まで誘導するカートロボットを用いたシステムを提供する。
【解決手段】
ユーザの買物経路を誘導するシステムであって、管理サーバは、商品棚位置情報、店舗内のカメラからの混雑情報、およびカートロボットの経路情報を格納し、各情報をカートロボットに送信し、カートロボットは、商品棚位置情報をもとに目的とする棚位置までの距離を最短とする経路計画を生成し、当該経路にしたがってカートを移動させ、曲がり角を検出したときに、ステアリング操作が自動的に行われることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショッピングセンタ等において、ステアリング付きのカートにより、ユーザがカートを押すと必要な場所までステアリングを自動的に制御して案内する経路誘導カートロボットの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模なショッピンセンタでは、広い売り場スペースを備え、扱う商品の種類も多いため、一般消費者(ユーザ)が購入対象とする商品や店が勧める商品の位置などを的確に探し出すのが難しい場合がある。また、よく行くショッピングセンタであっても、商品の位置を変えることがしばしば発生し、その位置を探すのに苦労する場合がある。さらに、非常に混雑している場合には、仮にその商品の場所が分かっていたとしても、その目的の場所に効率よく移動することが難しい場合ある。
【0003】
一方、ショッピングセンタ側でも、店に混雑度合いに応じたユーザの動線制御やお勧め商品の場所へのユーザの誘導をうまく行い、より多くの商品を購入させることに課題を抱えている。
【0004】
これに対し、従来、ユーザが効率よく買物できるカートシステムとして、ショッピングカートに距離センサ等を搭載するナビゲーション付きのカートシステム(例えば、特許文献1参照)や、商品販売情報を表示する機能を有するカートシステム(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
【0005】
しかしながら、上記の従来システムは、カートを操作するユーザに経路を誘導する位置情報や販売情報の提供を与えるだけであり、ユーザが目的の場所へ移動するにあたっての判断材料にはなっても、相変わらず、ユーザにとって、広いスペース内で目的の場所にたどり着くまでの不効率性の問題を抱えている。
【特許文献1】特開平6−107183号公報
【特許文献2】特開平11−152041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明では、店舗内に配置したカメラにより混雑している場所を計測するシステム、商品の棚位置情報を管理するシステム、各情報を各カートロボットに送るカートロボット管理サーバ、および自己位置を計測が可能で、ユーザがカートを押した場合、目的の場所へ行くために曲がる場所で自動的にステアリングを操作して経路を誘導するカートロボットによる買物経路誘導システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の発明は、無線LANを介して互いに通信可能な複数のカートロボットと管理サーバから構成された買物経路誘導システムであって、前記管理サーバは、店舗内の監視カメラから収集した混雑情報、および商品が陳列されている商品棚情報を含む店舗情報が格納されたデータベースと、前記店舗情報を前記カートロボットに送信する手段を備え、前記カートロボットは、店舗内における自己位置を検知する自己位置検知手段と、データの入出力装置と、ステアリングを自動的に操作するステアリング機構を備え、前記カートロボットは、前記管理サーバから取得した店舗情報をもとに、ユーザによる目的位置のデータ入力を受けて、前記目的位置までの距離が最短となる経路を生成し、当該経路にしたがってカートを移動させ、前記自己位置検知手段によって曲がり角が検知された時に前記ステアリング操作を行うことを特徴とする買物経路誘導システムに関する。
【0008】
すなわち、第一の発明によれば、本システムは、管理サーバは、商品を陳列している棚位置情報、および店舗内に複数配置されたカメラから取得した混雑場所情報をデータベースに蓄え、これらの蓄積情報を無線LANを介してカートロボットに送信し、カートロボットは、管理サーバからの受信情報をもとに、カートロボットに備わる、例えば、タッチパネル等の入力装置においてユーザが入力した目的位置のデータにしたがって、経路生成手段が該目的位置までの走行距離を最短にする経路を生成し、自己位置検出手段によって得られる情報にしたがって、例えば、表示装置に地図表示する等して当該経路を案内し、自己位置検出手段が曲がり角を検出すると、ステアリング機構が自動的に作動する構成とすることによって、カートを使用するユーザは、迷わず迅速に対象商品のある位置に到達することが可能となる。
【0009】
第二の発明は、前記カートロボットは、ステアリングを操作する取手に力センサを備え、前記取手に閾値以上の力が検出されたときに、該力の加わった方向に移動することを特徴とする上記第一の発明に記載の買物経路誘導システムに関する。
【0010】
すなわち、第二の発明によれば、カートロボットのステアリングを操作する取手にかかる回転力を検出する力センサが取り付けられ、力の閾値を設定しておくことによって、取手にかかる力が閾値を超えたときに、力のかかった方向にカートが移動する仕組みとすることによって、ユーザの意志で行きたい方向に舵をとることを可能とし、当初計画した経路を変更することを可能とするものである。
【0011】
第三の発明は、前記カートロボットは、店舗内の複数配置に設置された室内GPSから発信される信号を受信する室内GPS受信機とカートに取り付けられた内界センサによって、自己位置を検出して前記経路を移動することを特徴とする上記第一または第二の発明に記載の買物経路誘導システムに関する。
【0012】
すなわち、第三の発明によれば、室内GPS受信機によって店舗内に設置された室内GPS(位置検知システム)からの信号を受信し、かつ、カートに取り付けられた内界センサ(例えば、車輪の回転数センサ,ジャイロ等)によって、店舗内において正確に自己位置を特定することができる。例えば、大規模ショッピングセンタ等のような場所において、全ての位置を網羅できるGPSを設置できない場合、要所でGPSを使い、その間はカートの内界センサを用いることによって自己位置を把握することが可能である。
【0013】
第四の発明は、前記管理サーバは、前記カートロボットの経路を予め登録する手段を備え、店舗内の複数位置に配置したタグリーダを介して前記カートロボットが所持する無線タグの番号を読み込み、当該番号に対応する経路の前記混雑情報を前記カートロボットに送信することを特徴とする上記第一乃至第三の発明のいずれかに記載の買物経路誘導システムに関する。
【0014】
すなわち、第四の発明によれば、予めカートロボットの移動経路を登録しておくことによって、管理サーバ側が管理する店舗内に配置されたリーダによって、カートロボットに貼られた無線タグからカート番号を識別し、登録された経路中に混雑場所があれば、その位置を無線LANを介して通知する構成とすることによって、混雑を避ける経路に変更することが可能となる。
【0015】
第五の発明は、前記カートロボットの前記経路生成手段は、無線LANを介して店側が薦めるお薦め商品の位置を前記管理サーバから取得し、当該位置を通過点とした目的位置までの経路を生成することを特徴とする上記第一乃至第三の発明のいずれかに記載の買物経路誘導システムに関する。
【0016】
すなわち、第五の発明によれば、カートロボットの経路生成手段は、店側が用意したお薦め商品情報を管理サーバから取得し、該お薦め商品が存在する棚位置を通過点とするように経路を生成する仕組みとすることによって、お薦め商品に意識せずにアクセスすることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
以上、上記してきた発明により以下の効果が生まれる。
(1)本システムは、管理サーバは、商品を陳列している棚位置情報、および店舗内に複数配置されたカメラから取得した混雑場所情報をデータベースに蓄え、これらの蓄積情報を無線LANを介してカートロボットに送信し、カートロボットは、管理サーバからの受信情報をもとに、カートロボットに備わる、例えば、タッチパネル等の入力装置においてユーザが入力した目的位置のデータにしたがって、経路生成手段が該目的位置までの走行距離を最短にする経路を生成し、自己位置検出手段によって得られる情報にしたがって、例えば、表示装置に地図表示する等して当該経路を案内し、自己位置検出手段が曲がり角を検出すると、ステアリング機構が自動的に作動する構成とすることによって、カートを使用するユーザは、迷わず迅速に対象商品のある位置に到達することが可能となる。
(2)カートロボットのステアリングを操作する取手にかかる回転力を検出する力センサが取り付けられ、力の閾値を設定しておくことによって、取手にかかる力が閾値を超えたときに、力のかかった方向にカートが移動する仕組みとすることによって、ユーザの意志で行きたい方向に舵をとることを可能とし、また、当初計画した経路を変更することを可能としている。
(3)カートロボットが近接した時に、カートロボットに備わる無線タグ(RFIDタグ)のタグリーダが、経路中の各所に埋め込まれた無線タグの番号を読み取り、当該無線タグの番号と、内蔵する地図上にマークされた当該無線タグの番号とを照合することによって、自己位置が曲がり角にあることが認識でき、ステアリング操作を作動させることが可能となる。
(4)予めカートロボットの移動経路を登録しておくことによって、管理サーバ側が管理する店舗内に配置されたタグリーダによって、カートロボットに貼られた無線タグからカート番号を識別し、登録された経路中に混雑場所があれば、その位置を無線LANを介して通知する構成とすることによって、混雑を避ける経路に変更することが可能となる。
【0018】
また、管理サーバからお薦め商品の存在する位置情報を得て、その位置を通過点とする経路計画を生成する仕組みであるため、ユーザはとくに意識しないでも、店側で用意したお薦め商品の買物を楽しむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態になる買物経路誘導システムの一基本構成を示す。本発明のユーザが買物する経路を誘導するシステムは、無線LAN(Local Area Network)を介して、互いにデータの送受信が可能なカートロボット2と管理サーバ1とから構成される。
【0021】
管理サーバ1は、混雑度検出手段11によって店舗内に複数設置された店舗内カメラ4から取得した混雑情報が格納された混雑情報DB(データベース)100、商品棚管理手段12によって管理され、商品が陳列された棚位置情報を格納する商品棚情報DB200と予め設定された店舗のお薦め商品に関する宣伝情報を格納する店舗宣伝情報DB300、およびカートロボット管理手段13によって管理され、カートロボット2の経路情報が格納されたカートロボット管理DB400を記憶部に備え、さらに、これらの店舗における各情報をカートロボット2に無線LANを介して、随時、送信する手段を具備している。
【0022】
また、カートロボット2は、無線LANを介して、上記の各情報を受信する手段と、店舗内の室内GPS(Global Positioning System :位置検知システム)5のアンテナからから放射される電波を受信し、自己位置を検出する手段を備える。
【0023】
なお、本発明のシステムで使うカートロボット2においては、自己位置を知る方法としては、カートロボット2に備わるの内界センサ(車輪の回転数センサ、ジャイロ等)と、室内GPS、または、UWB(Ultra Wide Band )位置検知システム等を使うことが可能である。すなわち、大規模ショッピングセンタ等のような場所で、全ての位置を網羅できるGPSが設置できない場合、主な場所にGPSを使い、その間はカートロボット2の内界センサを用いることによって、自己位置を精度よく把握することができる。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態になるカートロボットの構成例を示す。カートロボット2は、取手の回転力を検出するに力センサを備え、カートの進む方向を操作する力センシング機構21と、ユーザに購入対象の商品情報を入力させるタッチパネル等の入力装置、自己位置または前記管理サーバから受信した各情報を出力する表示装置や音声装置、力センサなどを制御するユーザIF(インタフェース)22と、無線LAN3を介し、管理サーバ1から経路における混雑情報を取得して、現在の状況を確認する現在状況確認機能23と、室内GPSを受信する室内GPS24と、該室内GPS24および車輪の回転数を計測する内界センシング部27によって自己位置を計測する自己位置計測部26と、商品の棚位置情報をもとに該棚位置までの距離を最短とする経路計画を生成し、経路中の曲がり角に対するステアリングを制御する経路計画/制御部27と、ステアリング制御モータを備えている。
【0025】
なお、カートロボット2のカートは、車輪式であって、曲がる方向の車輪を停止させることでカートのステアリングを切ることを可能とし、また、前部の車輪にステアリング機能を持たせた構造となっている。
【0026】
また、カートロボット2は、RFIDタグ(無線タグともいう)29およびRFIDリーダ(タグリーダともいう)30を備えている。カートロボット2は、経路計画に沿って店舗内を移動する際、店舗内の複数の箇所に設置されたRFIDタグを、RFIDリーダ30によって読み取り、経路中におけるステアリングを切るべき曲がり角を特定する。
【0027】
また、RFIDタグ29は、店舗側に複数配置されたタグリーダにより読み取られ、予め管理サーバ1に登録されているカートロボット2の経路計画と照合して、管理サーバ1から無線LANを介して混雑している場所が通知される。
【0028】
さらに、このカートロボット2は、音声装置、または表示装置を備えることにより、必要な曲がり角付近に来た場合、方向指示器等で曲がる方向を示すとともに、積極的にカートのステアリングを切ってユーザを誘導することが可能である。また、計画する経路に関し、基本的な経路計画方法としては、走行距離が最短になる方法を適用する。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態になるカートロボットにおけるステアリング操作の処理フローを示す。
【0030】
まず、ステップS11において、ユーザが音声装置やタッチパネル等を使って購入したい商品の目的位置を指示する。つぎに、ステップS12において、カートロボット2は、当該目的位置までの距離を最短にする経路計画を生成する。そして、ステップS13において、経路計画に沿って、ユーザがカートを押す。
【0031】
続いて、ステップS14において、カートロボット2の車輪に取り付けた回転数またはジャイロ等の内界センサによって移動距離を測定する。ステップS15において、室内GPSによって計測可能な状態にあるかを判断する。
【0032】
ステップS16において、計測が可能であれば、室内GPSの値によって、移動距離を補正する。また、計測が不能ならば、ステップS16はスキップする。
【0033】
つぎに、ステップS17において、カートロボット2が経路中の曲がり角に達しているかを判断する。カートロボット2が、曲がり角の位置にあれば、ステップS18において、ステアリング操作情報として「曲がる」ことをユーザに知らせる。
【0034】
そして、ステップS19において、カートロボット2は、ユーザによってステアリングを操作する取手に力が加えられたときに、取手に取り付けた力センサが閾値以上の値を検出したか否かを判断する。力センサが閾値以上を検知すれば、ステップS20において、ステアリングをユーザの指示方向に向ける。また、ステップS21においても、同様に、取手に取り付けた力センサが閾値以上の値を検出したか否かを判断する。この処理は、取手の指定方向への切り過ぎを上限を設定してフィードバックさせるものである。
【0035】
つぎに、ステップS22において、ユーザに経路の変更を通知する。そして、ステップS23において、ユーザが目的地の変更を要求しているか否かを判断する。目的地変更の要求がなければ、ステップS11に戻り、一通り計画された経路を終えるまで、以降のフローを繰り返す。また、変更要求があった場合には、ステップS13に戻り、以降のフローを繰り返えす。
【0036】
さらに、ステップS17で、カートロボット2が曲がり角にいない場合、また、ステップS19で、取手の力センサが閾値以上を検出しない場合には、いずれもステップS13に戻り、それ以降の処理ステップを繰り返えす。
【0037】
上記したように、カートロボットの方向制御において、ユーザがカートロボット2とは異なった方向に強制的に行こうとした場合、カートロボット2に取り付けられた取手を強く行きたい方向に向けることで、その方向にカートを移動できる。
【0038】
また、その場合、カートロボット2は、ある閾値の力(カートの取手の部分についた力センサでの検出する力)がかかると経路をリセットし、ステアリングをユーザの行きたい方向に向ける。そして、その方向から新たな経路を計画してユーザを再度誘導し、もし、その場所へ行くことがキャンセルされた場合には、つぎの目的の場所を誘導することとなる。
【0039】
さらに、カートロボット2への指示として、もし、ユーザが目的の場所を指示しなかった場合でも、ユーザが購入する必要な項目を指示すれば、それらの品物がある場所を最短距離で経路計画することも可能である。
【0040】
図4は、本発明の実施の形態になる店舗内におけるRFIDタグの配置例を示す。店舗内に複数配置されるRFIDタグ33(A’、B’・・・I’)は、各商品棚のコーナに配置され、RFIDタグ33のID(識別子)、商品棚31の番号、および棚に陳列される商品リストに関するデータを格納しており、カートロボット2に備わるRFIDリーダ29との無線通信によって当該店舗側のRFIDタグ33のデータがカートロボット2側に送信される。
【0041】
また、RFIDリーダ34(A、B・・・I)は、管理サーバ1とRFID専用の通信回32線によって接続し、カートロボット2側に貼り付けられたRFIDタグ30のID(識別子)のデータを読み取り、該データは管理サーバ1に送信されて、カートロボット2がどの棚近くにいるかの状態情報として管理される。
【0042】
なお、RFIDリーダ34(A、B・・・I)は、RFIDタグ(A’、B’・・・I’)にデータを書き込む書込装置(ライタ)としての役割も備え、商品棚31における陳列商品の更新等のデータの書き込みが行えるものとしている。
【0043】
図5は、本発明の実施の形態になるカートロボットにおいて店舗内に設置されたRFIDタグを読み取る処理フローを示す。
【0044】
まず、ステップS31において、ユーザがカートロボット2を押して移動を開始する。ステップS32において、商品棚31に取り付けられたRFIDタグ33の読み取りが可能か否かを判定し、可能であれば、つぎのステップS33において、カートロボット2が当該RFIDタグ33から取得したID(識別子)が、計画された経路において、曲がる位置に該当しているかを判断する。曲がる位置に登録されていれば、ステップS34に進み、ステアリングの取手を自動的に曲げる操作に入る。
【0045】
ステップS32、またはステップS33において、RFIDタグ33による読み込みが不可能な場合、または読み込んだRFIDタグ33のIDが曲がる位置に該当しない場合は、ステップS31に戻り、以降の処理を繰り返えす。
【0046】
図6は、本発明の実施の形態になるカートロボットおよび管理サーバにおける経路誘導の処理フローを示す。
〔カートロボット側の経路誘導処理〕
まず、ステップS41において、生成した計画経路の情報を管理サーバ1に、事前に無線LAN3を介して管理サーバ1に送信する。
【0047】
ステップS42において、ユーザが計画した経路に沿ってカートを押して移動し、ステップS43において、店舗側に設置されたRFIDリーダ34との交信によって、カートロボット2に貼り付けられたRFIDタグ30が読み込み可能な状態にあるかを判断する。読込可能であれば、ステップS44において、カートロボット2のIDは、店舗側のRFIDリーダ34によって読み込まれ、該IDが管理サーバ1に送信される。
【0048】
つぎに、ステップS45において、管理サーバ1から送信された混雑場所情報を取得し、ステップS46において、取得した混雑情報の中に混雑場所を示すRFIDタグ33の番号が存在するかを判断する。該当する混雑場所のRFIDタグ33があれば、ステップS47において、これから移動する経路について再計画する。そして、ステップS48において、ステアリング操作と経路変更に関する情報を、音声あるいは表示装置を使ってユーザに知らせる。
〔管理サーバ側の経路誘導処理〕
ステップS51において、カートロボット2から送信されたカートロボット2のIDと経路計画情報を取得し、管理ロボットDB40に登録する。つぎに、ステップS52において、カートロボット2から取得したIDのカートロボット2の経路計画が登録済かを判断し、登録済であれば、ステップS53において、該経路に混雑している場所があるかを判断する。混雑している場所があれば、ステップS54において、経路中の混雑場所のRFIDタグ33の番号をカートロボット2に送信する。また、混雑している情報がなければ、ステップS55において、混雑情報がない旨をカートロボット2に通知する。
【0049】
さらに、ステップS52において、経路が未登録の場合には、ステップS56において、カートロボット2の周囲で混雑しているRFIDタグ33の番号を送信し、ステップS52に戻って、それ以降の処理が繰り返えされる。
【0050】
上記したように、事前に管理サーバ1に経路を知らせていない場合、周囲の混雑しているRFIDタグ33の番号をカートロボット2に知らせて、もし、経路上に混雑しているRFIDタグ33の番号がある場合、それを避けるように経路が再計画されることとなり、混んでいても迅速な買物経路誘導システムが実現される。
【0051】
また、本買物経路誘導システムでは、無線LAN等を使って、事前に店側のお勧め商品の位置を知らせておき、その場所を通過点とした目的の位置までの経路計画を生成させることも可能である。お勧め商品の前を通過するとき、その情報を、カートを押しているユーザに音声または、カートについている表示装置を使って知らせることもできる。また、上記無線LAN等を使って、適宜、混雑が激しい場所がある場合、その混雑している場所(エリア)を知らせることによって経路の再計画が可能となる。また、経路誘導では、現在の混雑具合を地図など使って、カートについている表示デバイスで知らせることが可能である。
【0052】
また、以上のお勧め商品情報や混雑情報を組合せることによって、ユーザを店の考え(事前に入力したお勧め商品経路)に従った経路で誘導することが可能となる。
【0053】
さらに、本経路誘導システムでは、個人識別のためのカードリーダや生体認証装置などの個人識別機能を持たせ、その認識情報に基づき、ユーザの購入履歴を検索して、ユーザが以前購入した消耗品については一定期間が過ぎると積極的にその消耗品の案内を行い、その方向に誘導し、それ以外は、ユーザがよく購入する商品の場所をできるだけ通る経路を計画することも可能である。
【0054】
以上、ロボットが人をショッピングセンタにおいて誘導すると、混雑がさらに増してしまう場合がある。そこで、本発明のようにカートのステアリング部分に方向を向ける機能を付加することで、人を目的の場所まで誘導し、また、混雑度合いや店の宣伝情報と連動することで、自然と人の流れを制御し、購買を促進するシステムが実現できる。
【0055】
このように、混雑度合いと棚情報などを連動して、カート自身に自己位置計測機能とステアリング機能を付加することによって、人の流れを制御できる効果が期待できる。
【0056】
以上述べてきた本発明の実施の態様は、以下の付記に示す通りである。
(付記1) 無線LANを介して互いに通信可能な複数のカートロボットと管理サーバから構成された買物経路誘導システムであって、
前記管理サーバは、
店舗内の監視カメラから収集した混雑情報、および商品が陳列されている商品棚情報を含む店舗情報が格納されたデータベースと、前記店舗情報を前記カートロボットに送信する手段を備え、
前記カートロボットは、店舗内における自己位置を検知する自己位置検知手段と、データの入出力装置と、ステアリングを自動的に操作するステアリング機構を備え、
前記カートロボットは、前記管理サーバから取得した店舗情報をもとに、ユーザによる目的位置のデータ入力を受けて、前記目的位置までの距離が最短となる経路を生成し、当該経路にしたがってカートを移動させ、前記自己位置検知手段によって曲がり角が検知された時に前記ステアリング操作を行うことを特徴とする買物経路誘導システム。
(付記2) 前記カートロボットは、ステアリングを操作する取手に力センサを備え、前記取手に閾値以上の力が検出されたときに、該力の加わった方向に移動することを特徴とする付記1に記載の買物経路誘導システム。
(付記3) 前記カートロボットは、車輪式のカート構造からなり、曲がる方向の車輪を停止させることでステアリングを操作することを特徴とする付記1または2に記載の買物経路誘導システム。
(付記4) 前記カートロボットは、車輪式のカート構造からなり、前部の車輪にステアリング機能を持たせたことを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の買物経路誘導システム。
(付記5) 前記カートロボットは、店舗内の複数配置に設置された室内GPSから発信される信号を受信する室内GPS受信機とカートに取り付けられた内界センサによって、自己位置を検出して前記経路を移動することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の買物経路誘導システム。
(付記6) 前記カートロボットは、店舗内の複数位置に配置された前記無線タグの番号を近接時に読み取るタグリーダを備え、前記無線タグが配置された位置情報が対応付けられて予め記憶された無線タグの番号と照合して前記自己位置を認識することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の買物経路誘導システム。
(付記7) 前記管理サーバは、前記カートロボットの経路を予め登録する手段を備え、店舗内の複数位置に配置したタグリーダを介して前記カートロボットが所持する無線タグの番号を読み込み、当該番号に対応する経路の前記混雑情報を前記カートロボットに送信することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の買物経路誘導システム。
(付記8) 前記カートロボットの前記経路生成手段は、無線LANを介して店側が薦めるお薦め商品の位置を前記管理サーバから取得し、当該位置を通過点とした目的位置までの経路を生成することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の買物経路誘導システム。
(付記9) 前記カートロボットは、音声装置または表示装置を備え、前記経路において、前記お勧め商品の前を通過するときに、音声または表示によって前記お薦め商品をガイドすることを特徴する付記8に記載の買物経路誘導システム。
(付記10) 前記カートロボットは、混雑が激しい場所がある場合、適宜、無線LANを介して当該場所を前記管理サーバから取得し、計画経路を再構築することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の買物経路誘導システム。
(付記11) 前記カートロボットに備わる表示装置において、店舗内の複数の場所における現在の混雑状況を店舗内の地図上にマーク表示することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の買物経路誘導システム。
(付記12) 前記カートロボットは、前記管理サーバから取得したお勧め商品情報および混雑情報を組合せ、前記お勧め商品が位置する経路に誘導することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の買物経路誘導システム。
(付記13 ) 前記カートロボットは、個人を識別する機能を備え、前記識別情報に基づき、ユーザの購入履歴を検索して、ユーザが以前購入した消耗品について一定期間が過ぎている場合に、該消耗品が存在する経路に誘導することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の買物経路誘導システム。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態になる買物経路誘導システムの一基本構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態になるカートロボットの構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態になるカートロボットにおけるステアリング操作の処理フローを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態になる店舗内におけるRFIDタグ/リーダの配置例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態になるカートロボットにおける店舗内に設置されたRFIDタグの読取処理フローを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態になるカートロボットおよび管理サーバにおける経路誘導の処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 管理サーバ
2 カートロボット
3 無線LAN
4 店舗内カメラ
5 室内GPS(店舗側)
11 混雑度検出手段
12 商品棚管理手段
13 カートロボット管理手段
21 力センシング機構
22 ユーザI/F
23 現在状況認識機能
24 室内GPS(カート側)
25 内界センシング部
26 自己位置計測部
27 経路計画と制御部
28 ステアリング制御モータ
29 RFIDリーダ(カート側)
30 RFIDタグ(カート側)
31 商品棚
32 通信回線
33 RFIDタグ(店舗側)
34 RFIDリーダ(店舗側)
100 混雑度情報DB
200 商品棚情報DB
300 店舗宣伝情報DB
400 カートロボット管理DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LANを介して互いに通信可能な複数のカートロボットと管理サーバから構成された買物経路誘導システムであって、
前記管理サーバは、
店舗内の監視カメラから収集した混雑情報、および商品が陳列されている商品棚情報を含む店舗情報が格納されたデータベースと、前記店舗情報を前記カートロボットに送信する手段を備え、
前記カートロボットは、店舗内における自己位置を検知する自己位置検知手段と、データの入出力装置と、ステアリングを自動的に操作するステアリング機構を備え、
前記カートロボットは、前記管理サーバから取得した店舗情報をもとに、ユーザによる目的位置のデータ入力を受けて、前記目的位置までの距離が最短となる経路を生成し、当該経路にしたがってカートを移動させ、前記自己位置検知手段によって曲がり角が検知された時に前記ステアリング操作を行うことを特徴とする買物経路誘導システム。
【請求項2】
前記カートロボットは、ステアリングを操作する取手に力センサを備え、前記取手に閾値以上の力が検出されたときに、該力の加わった方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の買物経路誘導システム。
【請求項3】
前記カートロボットは、店舗内の複数配置に設置された室内GPSから発信される信号を受信する室内GPS受信機とカートに取り付けられた内界センサによって、自己位置を検出して前記経路を移動することを特徴とする請求項1または2に記載の買物経路誘導システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記カートロボットの経路を予め登録する手段を備え、店舗内の複数位置に配置したタグリーダを介して前記カートロボットが所持する無線タグの番号を読み込み、当該番号に対応する経路の前記混雑情報を前記カートロボットに送信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の買物経路誘導システム。
【請求項5】
前記カートロボットの前記経路生成手段は、無線LANを介して店側が薦めるお薦め商品の位置を前記管理サーバから取得し、当該位置を通過点とした目的位置までの経路を生成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の買物経路誘導システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−145383(P2008−145383A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335636(P2006−335636)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】