説明

車両の表示装置および車両の表示装置の制御方法、プログラム、およびプログラムを記録した記録媒体

【課題】運転者が車両の走行モードの切り替えに関する将来の情報を予め知ることができるハイブリッド車両の表示装置を提供する。
【解決手段】車両は、複数の走行モードを有する。車両の表示装置は、地図情報を表示する表示部48と、表示部48に対し地図情報の道路部分に車両1の道路に対応する走行モードを認識可能に表示させる制御部14とを備える。好ましくは、制御部14は、操作者からの指示に応じて目的地を設定し、起点から目的地までの走行経路を探索し、走行経路を分割し、分割された走行経路の各区間にいずれかの走行モードを対応付ける。より好ましくは、制御部14は、表示部48に各々走行モードが重ねられた複数の走行経路候補を表示させ、操作者の指示に応じて複数の走行経路候補のなかから1つの走行予定経路を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の表示装置および車両の表示装置の制御方法、プログラム、およびプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001−112121号公報(特許文献1)には、電気自動車において、ナビゲーションシステムの地図情報を取り込むためにナビゲーションシステムを走行制御手段に接続して設け、この走行制御手段には車両の走行状態を通常走行モードとエコノミー走行モードとのいずれか一方のモードとして走行制御する機能を付加して設けたことを特徴とする電気自動車に関する開示がある。
【0003】
この走行制御手段は、ナビゲーションシステムからの地図情報と電気自動車用主電源の残電力とによって、入力された目的地まで車両が到達可能であるか否かの判断を行なうとともに、目的地までの到達が困難である場合には、車両の走行状態を通常走行モードからエコノミー走行モードに切り替えるべく制御する。
【特許文献1】特開2001−112121号公報
【特許文献2】特開2005−091112号公報
【特許文献3】特開2004−098726号公報
【特許文献4】特開2004−248455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境にやさしい車両として、駆動装置としてエンジンとモータとを搭載するハイブリッド車両が注目を浴びている。このようなハイブリッド車両に関しても、通常走行モードとエコノミー走行モードのように、エンジンとモータとを併用してHV走行モードとEV走行モードとを切り替える制御が行なわれる場合がある。
【0005】
技術の進歩により、ハイブリッド車両の燃費改善がなされているが、運転者も意識して低燃費走行を心がけることが好ましい。運転者の低燃費走行に対する意識を高めるためにも、ハイブリッド車両の走行モードの切り替えについて運転者も認識できるほうが望ましい。
【0006】
しかしながら、上記特開2001−112121号公報に開示された技術は、走行モードが通常走行モードからエコノミー走行モードに切り替えが行なわれるときにその旨がモニタに表示されるが、その後どのように車両の走行モードが変更されるかという将来の切り替え状態を運転者が把握することができない。
【0007】
この発明の目的は、運転者が車両の走行モードの切り替えに関する将来の情報を予め知ることができるハイブリッド車両の表示装置、その表示装置の制御方法、その制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、要約すると、複数の走行モードを有する車両の表示装置であって、地図情報を表示する表示部と、表示部に対し地図情報の道路部分に車両の道路に対応する走行モードを認識可能に表示させる制御部とを備える。
【0009】
好ましくは、制御部は、操作者からの指示に応じて目的地を設定し、起点から目的地までの走行経路を探索し、走行経路を分割し、分割された走行経路の各区間にいずれかの走行モードを対応付ける。
【0010】
より好ましくは、走行経路は、複数の走行経路候補を含む。制御部は、表示部に各々走行モードが重ねられた複数の走行経路候補を表示させ、操作者の指示に応じて複数の走行経路候補のなかから1つの走行予定経路を選択する。
【0011】
より好ましくは、制御部は、走行モードの対応付けを分割された走行経路の各区間の情報に基づいて行なう。各区間の情報は、渋滞の有無、道路幅、法定制限速度、道路勾配、区間長の少なくともいずれか1つを含む。
【0012】
好ましくは、車両は、内燃機関とモータとを走行に併用するハイブリッド車両であり、複数の走行モードは、内燃機関とモータを同時に使用する第1走行モードと、内燃機関を停止させてモータを用いて走行する第2走行モードとを含む。
【0013】
好ましくは、制御部は、表示部に複数の走行モードを互いに異なる色に対応させて表示させる。
【0014】
好ましくは、制御部は、表示部に複数の走行モードを燃費の良悪に対応させて表示させる。
【0015】
この発明は、他の局面にしたがうと、複数の走行モードを有し、地図情報を表示する表示部を含む車両の表示装置の制御方法であって、道路に対応する走行モードを判定するステップと、表示部に対し地図情報の道路部分に車両の道路に対応する走行モードを認識可能に表示させるステップとを備える。
【0016】
好ましくは、制御方法は、操作者からの指示に応じて目的地を設定するステップと、起点から目的地までの走行経路を探索するステップと、走行経路を分割するステップとをさらに備える。判定するステップは、分割された走行経路の各区間にいずれかの走行モードを対応付ける。
【0017】
より好ましくは、走行経路は、複数の走行経路候補を含む。表示させるステップは、表示部に各々走行モードが重ねられた複数の走行経路候補を表示させる。制御方法は、操作者の指示に応じて複数の走行経路候補のなかから1つの走行予定経路を選択するステップをさらに備える。
【0018】
より好ましくは、判定するステップは、走行モードの対応付けを分割された走行経路の各区間の情報に基づいて行なう。各区間の情報は、渋滞の有無、道路幅、法定制限速度、道路勾配、区間長の少なくともいずれか1つを含む。
【0019】
好ましくは、車両は、内燃機関とモータとを走行に併用するハイブリッド車両であり、複数の走行モードは、内燃機関とモータを同時に使用する第1走行モードと、内燃機関を停止させてモータを用いて走行する第2走行モードとを含む。
【0020】
好ましくは、表示させるステップは、表示部に複数の走行モードを互いに異なる色に対応させて表示させる。
【0021】
好ましくは、表示させるステップは、表示部に複数の走行モードを燃費の良悪に対応させて表示させる。
【0022】
この発明は、さらに他の局面にしたがうと、上記いずれかの車両の表示装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0023】
この発明は、さらに他の局面にしたがうと、上記いずれかの車両の表示装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、運転者が車両の走行モードの切り替えに関する将来の情報を予め知ることができ、運転者の省エネルギ意識が高まるとともに、運転者がいろいろ試行することが可能であるのでその結果燃費の向上も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0026】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態1のハイブリッド車両1の主たる構成を示す図である。ハイブリッド車両1は、エンジンとモータとを走行に併用する車両である。
【0027】
図1を参照して、ハイブリッド車両1は、前輪20R,20Lと、後輪22R,22Lと、エンジン2と、プラネタリギヤ16と、デファレンシャルギヤ18と、ギヤ4,6とを含む。
【0028】
ハイブリッド車両1は、さらに、車両後方に配置されるバッテリBと、バッテリBの出力する直流電力を昇圧する昇圧ユニット32と、昇圧ユニット32との間で直流電力を授受するインバータ36と、プラネタリギヤ16を介してエンジン2と結合され主として発電を行なうモータジェネレータMG1と、回転軸がプラネタリギヤ16に接続されるモータジェネレータMG2とを含む。インバータ36はモータジェネレータMG1,MG2に接続され、交流電力と昇圧ユニット32からの直流電力との変換を行なう。
【0029】
プラネタリギヤ16は、第1〜第3の回転軸を有する。第1の回転軸はエンジン2に接続され第2の回転軸はモータジェネレータMG1に接続され第3の回転軸はモータジェネレータMG2に接続される。
【0030】
この第3の回転軸にはギヤ4が取付けられ、このギヤ4はギヤ6を駆動することによりデファレンシャルギヤ18に動力を伝達する。デファレンシャルギヤ18はギヤ6から受ける動力を前輪20R,20Lに伝達するとともに、ギヤ6,4を介して前輪20R,20Lの回転力をプラネタリギヤの第3の回転軸に伝達する。
【0031】
プラネタリギヤ16は、エンジン2,モータジェネレータMG1,MG2の間で動力を分割する役割を果たす。すなわちプラネタリギヤ16の3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転が定まれば、残る1つの回転軸の回転は強制的に決定される。したがって、エンジン2を最も効率のよい領域で動作させつつ、モータジェネレータMG1の発電量を制御してモータジェネレータMG2を駆動させることにより車速の制御を行ない、全体としてエネルギ効率のよい自動車を実現している。
【0032】
なお、モータジェネレータMG2の回転を減速してプラネタリギヤPGに伝達する減速ギヤを設けても良く、その減速ギヤの減速比を変更可能にした変速ギヤを設けても良い。
【0033】
直流電源であるバッテリBは、例えばニッケル水素またはリチウムイオンなどの二次電池を含み、直流電力を昇圧ユニット32に供給するとともに、昇圧ユニット32からの直流電力によって充電される。
【0034】
昇圧ユニット32は、バッテリBから受ける直流電圧を昇圧してその昇圧された直流電圧をインバータ36に供給する。インバータ36は供給された直流電圧を交流電圧に変換してエンジン始動時にはモータジェネレータMG1を駆動制御する。また、エンジン始動後には、モータジェネレータMG1が発電した交流電力はインバータ36によって直流に変換され、昇圧ユニット32によってバッテリBの充電に適切な電圧に変換されてバッテリBが充電される。
【0035】
また、インバータ36はモータジェネレータMG2を駆動する。モータジェネレータMG2はエンジン2を補助して前輪20R,20Lを駆動する。制動時には、モータジェネレータは回生運転を行ない、車輪の回転エネルギを電気エネルギに変換する。得られた電気エネルギは、インバータ36および昇圧ユニット32を経由してバッテリBに戻される。バッテリBは組電池であり、直列に接続された複数の電池ユニットB0〜Bnを含む。昇圧ユニット32とバッテリBとの間にはシステムメインリレー28,30が設けられ、車両非運転時には高電圧が遮断される。
【0036】
ハイブリッド車両1は、さらに、制御装置14を含む。制御装置14は、運転者の指示および車両に取付けられた各種センサからの出力に応じて、エンジン2,インバータ36,昇圧ユニット32およびシステムメインリレー28,30の制御を行なう。
【0037】
図2は、図1の制御装置14の機能ブロックと関連する周辺装置とを示した図である。なお、この制御装置14は、ソフトウエアでもハードウエアでも実現が可能である。
【0038】
図2を参照して、制御装置14は、ハイブリッド制御部62と、ナビゲーション制御部64と、バッテリ制御部66と、エンジン制御部68とを含む。
【0039】
バッテリ制御部66は、バッテリBの充電状態SOCをバッテリBの充放電電流の積算などにより求めてこれをハイブリッド制御部62に送信する。
【0040】
エンジン制御部68は、エンジン2のスロットル制御を行なうとともに、エンジン2のエンジン回転数Neを検出してハイブリッド制御部62に送信する。
【0041】
ナビゲーション制御部64は、タッチディスプレイを含む表示部48から乗員によって設定された目的地の情報を得る。またナビゲーション制御部64は、GPSアンテナ50およびジャイロセンサ52を用いて車両の現在位置を把握し、その現在位置を道路地図データに重ねて表示部48に表示する。さらに、ナビゲーション制御部64は、通信用アンテナ51または携帯電話クレドール53を介して、道路の渋滞情報を取得し、渋滞区間を道路地図データに重ねて表示部48に表示する。さらにナビゲーション制御部64は、現在位置から目的地までの走行経路を探索して表示するナビゲーション動作を行なう。
【0042】
ハイブリッド制御部62は、アクセルポジションセンサ42の出力信号Accと車速センサで検出された車速Vとに基づいて、運転者の要求する出力(要求パワー)を算出する。ハイブリッド制御部62は、この運転者の要求パワーに加え、バッテリBの充電状態SOCを考慮して必要な駆動力(トータルパワー)を算出し、エンジンに要求する回転数とエンジンに要求するパワーとをさらに算出する。
【0043】
ハイブリッド制御部62は、エンジン制御部68に要求回転数と要求パワーとを送信し、エンジン制御部68にエンジン2のスロットル制御を行なわせる。
【0044】
ハイブリッド制御部62は、走行状態に応じた運転者要求トルクを算出し、インバータ36にモータジェネレータMG2を駆動させるとともに、必要に応じてモータジェネレータMG1に発電を行なわせる。
【0045】
エンジン2の駆動力は、車輪を直接駆動する分とモータジェネレータMG1を駆動する分とに分配される。モータジェネレータMG2の駆動力とエンジンの直接駆動分との合計が車両の駆動力となる。
【0046】
さらに、この車両にはEV優先スイッチ46が設けられている。運転者がこのEV優先スイッチ46を押すとエンジンの作動が制限される。これにより車両は、原則としてエンジンを停止させモータジェネレータMG2の駆動力のみで走行する。深夜、早朝の住宅密集地での低騒音化や屋内駐車場、車庫内での排気ガス低減化のために、運転者は必要に応じてEV優先スイッチ46を押すことができる。
【0047】
しかし、エンジンをずっと停止させておくとバッテリが充電不足になったり、必要なパワーが得られなかったりすることがあるので、1)EV優先スイッチ46をオフにする、2)バッテリの充電状態SOCが所定値よりも低下する、3)車速が所定値以上となる、4)アクセル開度が規定値以上となる、といういずれかの条件が成立するとEV優先スイッチ46のオン状態は解除される。
【0048】
車両1は、ハイブリッド自動車であり、複数の走行モードを有する。車両の表示装置は、地図情報を表示する表示部48と、表示部48に対し地図情報の道路部分に車両1の道路に対応する走行モードを認識可能に表示させる制御装置14とを備える。
【0049】
制御装置14は、操作者からの指示に応じて目的地を設定し、起点から目的地までの走行経路を探索し、走行経路を分割し、分割された走行経路の各区間にいずれかの走行モードを対応付ける。
【0050】
具体的には、ナビゲーション制御部64は、乗員の操作に基づいて目的地を設定する設定処理を行ない、起点から目的地までの走行経路を設定する探索処理を行なう。
【0051】
そしてナビゲーション制御部64は、探索した走行経路を分割し、分割された走行経路の各区間にいずれかの走行モードを対応付ける処理を行なう。
【0052】
探索された走行経路は、複数の走行経路候補を含む。制御装置14は、表示部48に各々走行モードが重ねられた複数の走行経路候補を表示させ、操作者の指示に応じて複数の走行経路候補のなかから1つの走行予定経路を選択する。
【0053】
制御装置14は、走行モードの対応付けを分割された走行経路の各区間の情報に基づいて行なう。各区間の情報は、渋滞の有無、道路幅、法定制限速度、道路勾配、区間長の少なくともいずれか1つを含む。
【0054】
車両1は、内燃機関とモータとを走行に併用するハイブリッド車両であり、複数の走行モードは、内燃機関とモータを同時に使用する第1走行モードと、内燃機関を停止させてモータを用いて走行する第2走行モードとを含む。
【0055】
制御装置14は、表示部48に複数の走行モードを互いに異なる色に対応させて表示させてもよい。また、制御装置14は、表示部48に複数の走行モードを燃費の良悪に対応させて表示させてもよい。
【0056】
走行経路の探索および確定後、ナビゲーション制御部64は、走行が開始されると、対応付けられた走行モードで各区間を走行するように走行モードの情報をハイブリッド制御部62に送信して車両を走行させる。
【0057】
なお、メモリカードインタフェース56を経由して、ナビゲーション制御部64に対して、車両外部から目的地、走行経路、分割された各区間および各区間に対応付けられた走行モードを含む情報を読み込んでもよい。この場合には、メモリカード54に図示しないパーソナルコンピュータで作成したデータを予め記憶させておき、メモリカードインタフェース56を介してこのデータをナビゲーション制御部64に読み込ませる。
【0058】
ナビゲーション制御部64は、起点から目的地までの走行経路を複数の走行モードの各々に適する区間に分割する。例えば、道路の周辺環境、傾斜、カーブの有無、信号の有無などに応じて複数の走行モードのいずれかが選択される。なお、レンジ切り替え可能な変速機を有する車両では、このような走行モードの設定に加え、レンジの切り替えを行なっても良い。
【0059】
以上図2で説明した制御装置14は、コンピュータを用いてソフトウエアで実現することも可能である。
【0060】
図3は、制御装置14としてコンピュータ100を用いた場合の一般的な構成を示した図である。
【0061】
図3を参照して、コンピュータ100は、CPU180と、A/D変換器181と、ROM182と、RAM183と、インターフェース部184とを含む。
【0062】
A/D変換器181は、各種センサの出力等のアナログ信号AINをディジタル信号に変換してCPU180に出力する。またCPU180はデータバスやアドレスバス等のバス186でROM182と、RAM183と、インターフェース部184とに接続されデータ授受を行なう。
【0063】
ROM182は、例えばCPU180で実行されるプログラムや参照されるマップ等のデータが格納されている。RAM183は、例えばCPU180がデータ処理を行なう場合の作業領域であり、各種変数等のデータを一時的に記憶する。
【0064】
インターフェース部184は、例えば他のECU(Electric Control Unit)との通信を行なったり、ROM182として電気的に書換可能なフラッシュメモリ等を使用した場合の書換データの入力などを行なったり、メモリカードやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体からのデータ信号SIGの読込みを行なったりする。
【0065】
なお、CPU180は、入出力ポートからデータ入力信号DINやデータ出力信号DOUTを授受する。
【0066】
制御装置14は、このような構成に限られるものでなく、複数のCPUを含んで実現されるものであっても良い。また、図2のハイブリッド制御部62、ナビゲーション制御部64、バッテリ制御部66、エンジン制御部68の各々が図3のような構成を有するものであっても良い。
【0067】
図4は、制御装置14が実行する処理の制御構造を示すフローチャートである。
図4を参照して、まず処理が開始されると、ステップS1において車両走行の目的地の設定入力の受付処理が行なわれる。操作者は、車両において操作を行なう場合は図2の表示部48にあるタッチディスプレイを操作することにより目的地を設定する。
【0068】
続いて、ステップS2において、車両の現在位置(または自宅の位置)から目的地までの走行経路候補の探索が行なわれる。走行経路候補は、推奨ルート、別ルート等複数の候補が探索される。他にも、高速道路優先ルート、最短距離ルートなどの候補を探索しておいても良い。このようなルートの探索については、一般的なカーナビゲーション装置でよく用いられているので、ここでは詳細な説明は行なわない。
【0069】
続いてステップS3では、探索された走行経路を分割する処理がおこなわれる。分割は、基本的には、交差点から交差点を1単位として行なわれる。それ以外にも、法定制限速度の変化点、道幅の変化点、道路勾配の変化点、通信用アンテナ51や携帯電話クレドール53を経由して得られる情報からわかる渋滞区間の始点と終点等でも分割される。また、バッテリBの容量を考慮して、EV走行が連続して可能な距離が単位距離となり、この単位距離を越える区間は単位距離以下になるようにさらに分割される。なお、渋滞区間の情報は、VICS(Vehicle Information and Communication System)等のサービスで提供される。
【0070】
ステップS4では、ステップS3で分割された区間に対応する走行モードが決定される。この走行モードは、例えば、EV(Electric Vehicle)力行モード、EV回生モード、HV(Hybrid Vehicle)充電モード、HV非充電モードなどが含まれている。
【0071】
EV力行モードでは、車両は、エンジン2を停止させた状態で車両はモータ(主としてモータジェネレータMG2)のみを使用して電気自動車のように走行する。このとき、バッテリBのエネルギが消費され、バッテリBの蓄電状態(SOC)が次第に減少する。
【0072】
EV回生モードでは、車両は、EV力行モードと同様にエンジン2を停止させた状態で車両を走行させるが、モータは回生制動を行なっている。このため、モータの発電作用によりバッテリBに対する充電が行なわれSOCは次第に増加する。
【0073】
HV充電モードでは、エンジン2は運転状態にある。そして、エンジン2のトルクはプラネタリギヤ16に伝達され、モータジェネレータMG1に発電を行なわせるトルクと、ギヤ4を回転させるトルクとに分配される。ギヤ4は、エンジン2からプラネタリギヤ16を介して伝達されたトルクとモータジェネレータMG2のトルクとによって回転される。このときモータジェネレータMG1で発電された電力は、モータジェネレータMG2で使用される電力より大きい。余った分の電力は、バッテリBの充電に使用される。したがって、HV充電モードでは、バッテリBのSOCは次第に増加する。
【0074】
HV非充電モードでは、エンジン2は運転状態にある。そして、エンジン2のトルクはプラネタリギヤ16に伝達され、モータジェネレータMG1に発電を行なわせるトルクと、ギヤ4を回転させるトルクとに分配される。ギヤ4は、エンジン2からプラネタリギヤ16を介して伝達されたトルクとモータジェネレータMG2のトルクとによって回転される。このときモータジェネレータMG1で発電された電力は、モータジェネレータMG2で使用される電力に等しくなるように制御される。したがって、HV充電モードでは、バッテリBに対する電力の出入りは無いので、バッテリBのSOCは現状維持となる。
【0075】
図5は、図4におけるステップS4の処理の詳細を示したフローチャートである。
図5を参照して、まずステップS4の処理の最初には、ステップS41においてEV力行モードに設定する区間(EV力行区間)が決定される。この区間は、現在渋滞しているまたは車両が到達時に渋滞していると予測される区間、道路の傾斜があまり無い区間(例えば2%以内)、法定速度が所定値以下である区間(例えば40Km/h以下など)で、バッテリBの容量からみて連続走行可能な距離以内(例えば、20Km程度の所定距離)の区間に設定される。
【0076】
ただし、EV力行区間とEV力行区間との間があまり短いと、バッテリBに充電してSOCを回復させることができない。したがって、EV力行区間が1つ決定されると、その区間の後の所定距離(または、法定制限速度と区間の距離を考慮した所定時間分の区間)は、EV力行モード対象区間からは除外される。
【0077】
ステップS41に続き、ステップS42の処理が行なわれる。ステップS42では、EV回生モードで走行する区間(EV回生区間)が決定される。この区間は、基本的には下り坂の区間である。下り坂では運転者がアクセルペダルを緩め、場合によってはブレーキペダルを踏む。車両では、このときモータジェネレータMG2を用いた回生制動が実行される。このときにバッテリBは充電される。この充電量が走行時速、道路勾配、走行距離から予測される。
【0078】
ステップS43では、EV力行区間で減少するバッテリBのSOCから、その前に位置するEV回生区間で増加するバッテリBのSOC分を差し引いて、予想消費SOC量を算出する。この予想消費SOC量分は、EV力行区間より前に予めバッテリBに充電されていなければならない。
【0079】
したがって、ステップS44で予想消費SOC量分の充電を予め行なっておくためのHV充電モードで走行する区間(HV充電区間)を決定する。そして、走行経路からEV力行区間、EV回生区間、HV充電区間を除外した残りの部分がステップS45においてHV非充電モードで走行する区間(HV非充電区間)として決定される。
【0080】
そして、ステップS46では、同じモードで走行する区間が連続する場合、これらの区間を1つの区間として結合する処理が行なわれ、ステップS47において処理は終了する。なお、ステップS46の結合処理は、行なわない場合もありうる。
【0081】
図6は、図5のフローチャートで説明した区間の決定とSOCの変化との関係を説明するための図である。
【0082】
図5、図6を参照して、ステップS41でA3〜A4の区間がEV力行区間として決定されたとする。この区間の走行距離と予想速度から区間走行に要する消費電力量が求められ、これに対応する消費SOC量(−ΔSOC1)が求められる。
【0083】
バッテリのSOCは、地点A3では管理上限値(MAX値)を超えてはならず、また地点A4では管理下限値(MIN値)を下回ってはならない。したがって、地点A3を通過した時点からSOCがΔSOC1だけ減少してもこの条件を満たすように地点A1〜A3の間で充電を行なっておかなければならない。充電量は、これに限定されないが、例えば、地点A3のSOCと地点A4のSOCの中央値(または平均値)がSOCの標準値に一致するようにΔSOC2に設定される。
【0084】
図7は、HV充電区間の決定について説明するための図である。
図7において、横軸はエンジン回転数Neであり、縦軸はエンジントルクTeである。そして、エンジンの動作点は、最適燃費線上を移動するように制御される。E1〜E3はエネルギ効率の等高線を示し、E1が最も効率が良い領域であり、E2、E3の順でエネルギ効率は低下する。
【0085】
エンジンとモータとを併用するハイブリッド走行を行なっている場合、平坦路ではトルクはあまり必要ではないのでP1に示すようにエンジン回転数も低く抑えられている。しかし、この状態は領域E3に属しておりあまりエネルギ効率は良くない。
【0086】
これに対し、登坂路のように勾配がある場合にはトルクが必要でありP2に示すようにエンジン回転数が少し高くなる。この状態は、領域E2に入るのでエネルギ効率も若干改善される。
【0087】
バッテリに充電する場合には、エンジンにはさらに負荷がかかる。ここで、平坦路P1走行状態のエンジンに負荷をかけるよりも勾配路P2走行状態のエンジンに負荷をかけたほうが、P3に示すようにエネルギ効率が良い状態になる。したがって、P1に相当する部分ではエンジンは停止させてモータで走行する。そして、登坂路ではP3に示すようにエネルギ効率が良い状態になるように併せて充電も行なうようにすれば全体的な燃費の改善につながる。
【0088】
したがって、図5のステップS44のHV充電区間の決定は、登坂路が優先して割当てられる。図6では、登坂路であるA1〜A2の区間がHV充電区間に決定され、残りの区間であるA2〜A3がHV非充電区間に決定される。
【0089】
以上により、図4のステップS4の処理が終了すると、ステップS5において、各走行経路候補に各分割区間の走行モードを重ねて表示する処理が行なわれる。
【0090】
図8は、図4のステップS5の処理が実行された後の表示画面例である。
図8を参照して、走行経路候補R1、R2が探索されている。
【0091】
車両の現在位置を示すマークV1が画面左下に表示されている。走行経路候補R1は、交差点K1、K2,K3,K4において、区間M1〜M3に分割される。走行経路候補R2は、交差点K1,K5,K4において、区間M4,M5に分割される。
【0092】
区間M1,M4はHV充電区間として決定されている。区間M2は、HV非充電区間として決定されている。区間M3,M5は、EV力行区間として決定されている。これらの区間は種類ごとに色分けして表示される。例えば、HV充電区間は赤ラインで示され、EV力行区間は青ラインで示され、HV非充電区間は黄ラインで示される。このように色分けして示すことで、運転者はどの走行経路候補を選択すればよいかわかりやすくなる。
【0093】
このように、複数の走行モードを互いに異なる色に対応させて表示させても良いし、EV回生モードを「燃費良」、EV力行モードは「通常燃費」、HV充電モードは「燃費悪」というような表示(文字表示でも、関連したマークでも良い)にしても良い。
【0094】
走行経路候補R2を選択するボタンとして「推奨ルート」ボタンがタッチパネル上に表示されている。また、走行経路候補R1を選択するボタンとして「別ルート」ボタンがタッチパネル上に表示されている。
【0095】
画面は、「推奨ルート」ボタンが押されて走行経路候補R2が選択された状態を示す。この場合には、画面右下に、エンジン運転するHV走行と、エンジンを停止して走行するEV走行の割合が示される。画面例では、EV走行の比率が55%であることが示されている。このように割合で示すようにすれば、地図の縮尺が大きい表示で区間ごとの色が表示できない場合でも、どの走行経路候補を選択すればよいかを選びやすい。
【0096】
なお、「推奨ルート」ボタンの左には「再探索」ボタンが設けられている。図4のステップS6では、「再探索」ボタンが押されると、再びステップS2に戻り走行経路候補の探索が実行される。
【0097】
ステップS6において、再探索指示が無い場合には、ステップS7において走行経路の選択が有ったか否かが判断される。走行経路の選択は、タッチパネル上の「推奨ルート」「別ルート」等のボタンを乗員が押すことで行なわれる。
【0098】
ステップS7において、特に選択が行なわれなかった場合、つまり選択せずに「案内開始」ボタンが押されたり、車両が走行開始したりした場合には、ステップS8に処理が進み、走行経路として推奨ルートを決定する。
【0099】
一方、ステップS7において、「推奨ルート」「別ルート」等の選択ボタンが押された場合には、ステップS9に処理が進み、走行経路として選択されたルートを決定する。
【0100】
ステップS8またはS9の処理が終了すると、ステップS10において走行経路決定処理が終了する。
【0101】
以上説明したように、この実施の形態に係る発明は、ある局面にしたがうと、複数の走行モードを有し、地図情報を表示する表示部48を含む車両の表示装置の制御方法であって、道路に対応する走行モードを判定するステップ(S4)と、表示部48に対し地図情報の道路部分に車両1の道路に対応する走行モードを認識可能に表示させるステップ(S5)とを備える。
【0102】
好ましくは、制御方法は、操作者からの指示に応じて目的地を設定するステップ(S1)と、起点から目的地までの走行経路を探索するステップ(S2)と、走行経路を分割するステップ(S3)とをさらに備える。判定するステップ(S4)は、分割された走行経路の各区間にいずれかの走行モードを対応付ける。
【0103】
より好ましくは、走行経路は、複数の走行経路候補(R1,R2)を含む。表示させるステップ(S5)は、表示部48に各々走行モードが重ねられた複数の走行経路候補を表示させる。制御方法は、操作者の指示に応じて複数の走行経路候補のなかから1つの走行予定経路を選択するステップ(S7)をさらに備える。
【0104】
より好ましくは、判定するステップ(S4)は、走行モードの対応付けを分割された走行経路の各区間の情報に基づいて行なう。各区間の情報は、渋滞の有無、道路幅、法定制限速度、道路勾配、区間長の少なくともいずれか1つを含む。
【0105】
好ましくは、車両1は、内燃機関とモータとを走行に併用するハイブリッド車両であり、複数の走行モードは、内燃機関とモータを同時に使用する第1走行モード(HV充電モードまたはHV非充電モード)と、内燃機関を停止させてモータを用いて走行する第2走行モード(EV回生モードまたはEV力行モード)とを含む。
【0106】
続いて、車両の走行中に実行される処理について説明する。
図9は、車両走行時にナビゲーション制御部64で実行される処理を示したフローチャートである。
【0107】
図9を参照して、まず処理が開始されると、ステップS21において走行モードおよび区間分割のデータの読込みが行なわれる。この走行モードおよび区間分割のデータは、図4のフローチャートの処理が終了した際にメモリやハードディスク等の記憶装置上に記憶されている。
【0108】
続いて、ステップS22において走行開始判定処理が行なわれる。例えば、ステップS21の処理後にタッチディスプレイ上の「走行開始」ボタンが押されたり、運転者がアクセルペダルを踏んだりすると、走行開始されたと判断されて処理はステップS22からステップS23に進む。
【0109】
ステップS23では、ナビゲーション制御部64が車両現在位置に対応する走行モードを示す情報をハイブリッド制御部62に送る。ハイブリッド制御部62は、送られてきた情報がHV充電モードまたはHV非充電モードを示すものであれば、エンジンを運転させた状態で走行を行なう。また、ハイブリッド制御部62は、送られてきた情報がEV力行モードまたはEV回生モードを示すものであれば、原則としてエンジンが停止された状態で走行を行なう。
【0110】
ただし、ハイブリッド制御部62は、1)EV優先スイッチ46が操作される、2)バッテリBの充電状態SOCの実際の値が所定値よりも低下する、3)車速Vが所定値以上となる、4)アクセル開度Accが規定値以上となる、等の条件に基づき走行モードの修正を加える。
【0111】
続いて、ステップS24では、車両の現在位置情報と区間の境界点情報が比較され、区間の境界点に車両が到達したか否かが判断される。区間の境界点は、例えば、図8の図では走行経路候補R1上では点K2,K3であり、走行経路候補R2上では点K5である。
【0112】
このような場合にはステップS24からステップS23に処理が戻り、これから走行する区間の走行モードがナビゲーション制御部64からハイブリッド制御部62に通知される。
【0113】
例えば、図8の区間M1を走行している場合に車両の現在位置が地点K2に到達した場合には、エンジンを運転した状態を維持したまま発電が停止される。また、区間M2を走行している場合に車両の現在位置が地点K3に到達した場合は、エンジンが停止される。
【0114】
区間の途中を走行中でまだ境界点に車両が到達しない場合には、ステップS24からステップS25に処理が進む。ステップS25では、走行終了判定が行われる。例えば、車両の現在位置が設定されていた目的地に到着した場合や、カーナビゲーションのタッチパネル上の「案内中止」ボタンが押された場合等に走行が終了したと判定され、ステップS26において処理が終了する。ステップS25において走行が終了したと判定されなければ、再びステップS24の処理が実行され現在の車両位置が区間の境界点に到着したか否かの監視が継続される。
【0115】
なお、目的地を設定しない状態においても、EV走行が可能な道路を運転者に知らせることで、運転者が走行経路を決定するのに役立つ場合もある。
【0116】
図10は、目的地を設定しない状態における画面表示の例を示す図である。
図10に示した例では、表示領域中の道路中、EV走行に適した区間が例えば緑で表示される。EV走行に適した区間の選択としては、道路の勾配があまりなく(例えば2%以下)で法定制限速度が60Km以下などの区間が選択される。そして、EV走行に適した区間以外は、HV走行が行なわれる区間として例えば赤で表示される。これにより、運転者は、なるべく緑に表示される部分が多い走行経路を選択して運転をすることができる。
【0117】
ただし、運転者がアクセルを踏込んで加速したり、実際の車速と法定制限速度との間に開きがあったり、バッテリBのSOCが低くなったり等の原因で、車両は画面上の表示とは異なる走行モードで走行する場合もありうる。
【0118】
図8に示した例と比べると、図10では走行経路であるか否かに関わらず、表示画面上の道路についてはすべてEV走行に適するか否かの情報が色で提供されている。これにより、運転者はこれを参考に経路を選択して運転することができる。例えば、VICS等のサービスで交通渋滞区間が地図上に表示されていれば運転者はこれを参考にその渋滞区間を迂回して運転することができるのに似た使用法といえる。
【0119】
なお、図10では、表示されているすべての道路の区間について、表示しているが、主要幹線道路のみEV/HVの区別を表示させたり、地図の縮尺に応じて細部の道路については表示を省略したりしても良い。
【0120】
本実施の形態によれば、運転者が車両の走行モードの切り替えに関する将来の情報を予め知ることができ、運転者の省エネルギ意識が高まるとともに、運転者がいろいろ試行することが可能であるのでその結果燃費の向上も期待できる。
【0121】
[実施の形態2]
図11は、実施の形態2に係る車両1Aの構成を示した図である。
【0122】
図11に示す車両1Aは、図1に示した車両1の構成に加えて、バッテリBに対して外部から充電を行なうための充電ユニット202を含む。充電ユニット202は、例えば、家庭用の商用電源AC100Vを受けて直流に変換してバッテリBに充電電圧を与える。
【0123】
なお、他の部分については、車両1Aは図1で説明した車両1と同様な構成を有するので説明は繰返さない。
【0124】
このような、外部から充電可能に構成される車両には、大容量のバッテリが搭載されている。そして家庭等に夜間駐車している際に、バッテリに対して商用電源から充電しておく。車両で出勤して家に帰宅した場合に、再びバッテリに大きなの電力量を充電することができることが望ましい。
【0125】
図12は、自宅を出発してから帰宅するまでの車両走行距離とSOCの変化の関係を示した図である。
【0126】
図12に示すように、まず点B1で自宅を出発した時点においては、バッテリBに夜間に充電が行なわれていた結果、SOCは、管理上限値(例えば80%)に近くになっている。
【0127】
自宅を出発してからしばらくの間はEV力行モードで運転が行なわれる。したがってB1〜B2の間ではSOCは次第に減少する。これは、走行途中で回生制動が行なわれたときに、発生する電力をバッテリに受入れられるようにしておくためである。
【0128】
そして、SOCが所定値(例えば60%)に到達したら、B2〜B4の間はエンジンが運転されてHV非充電走行モードで運転が行なわれる。その結果、バッテリのSOCは、ほぼ一定値に維持される。
【0129】
続いて、帰路において、自宅が所定距離以内になると地点B4〜B5の間では車両はEV力行モードで走行し、SOCは下限値(例えば20%)近くになるように次第に減少するように管理される。
【0130】
図13は、HV非充電走行モードでのエネルギ効率の変化を示した図である。
バッテリのSOCは、上限管理値が例えば80%、下限管理値が例えば20%に設定されている。この範囲であればHV非充電走行モードで走行することは可能である。しかし、図13に示すように、SOCがあまり下限管理値に近くなるとエネルギ効率が低下してしまう。例えば、SOCが60%の場合と20%の場合では、燃費の差が数%程度ある。
【0131】
したがって、図13に示すようにHV非充電走行モードで走行するときはSOCが60%程度あることが望ましい。このためには、出発して直ぐにバッテリの電力を下限管理値近くまで使い切ってしまうよりも、図12に示したように自宅直前(地点B4)になってバッテリの電力を使うほうが良い。
【0132】
具体的には、自宅を出発するとき目的地が地点B3であると設定されたら、B1〜B2の区間はEV力行モードで走行するように表示画面上に表示し、B2〜B3の区間はHV非充電走行モードで走行するように表示画面上に表示する。
【0133】
そして、地点B3において「自宅に帰る」ボタンを押して目的地が自宅に設定されたら、残SOCを考慮して、B4〜B5の区間の平坦な部分をEV力行モードで走行するように表示画面上に表示する。B3〜B5のそれ以外の部分はHV非充電走行モードで走行するように画面上に表示する。なお、表示画面例は、図8と基本的には同様であるので説明は繰返さない。
【0134】
このように、外部充電が可能なハイブリッド自動車においても実施の形態1と同様に走行モードを画面に表示することで、運転者に走行モードの切り替えを把握させることができる。
【0135】
これにより、運転者の省エネルギ意識が高まるとともに、運転者がいろいろ試行することが可能であるのでその結果燃費の向上も期待できる。
【0136】
なお、ナビゲーション制御部64で走行モードが決定されるように説明したが、ナビゲーション制御部64が車両の現在位置情報や走行ルート情報を提供し、ハイブリッド制御部が区間の分割や走行モードの決定を行なうように変更しても良い。
【0137】
また、以上の実施の形態で開示された制御方法は、コンピュータを用いてソフトウエアで実行可能である。この制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体(ROM、CD−ROM、メモリカードなど)から車両の制御装置中のコンピュータに読み込ませたり、また通信回線を通じて提供したりしても良い。
【0138】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本実施の形態1のハイブリッド車両1の主たる構成を示す図である。
【図2】図1の制御装置14の機能ブロックと関連する周辺装置とを示した図である。
【図3】制御装置14としてコンピュータ100を用いた場合の一般的な構成を示した図である。
【図4】制御装置14が実行する処理の制御構造を示すフローチャートである。
【図5】図4におけるステップS4の処理の詳細を示したフローチャートである。
【図6】図5のフローチャートで説明した区間の決定とSOCの変化との関係を説明するための図である。
【図7】HV充電区間の決定について説明するための図である。
【図8】図4のステップS5の処理が実行された表示画面例である。
【図9】車両走行時にナビゲーション制御部64で実行される処理を示したフローチャートである。
【図10】目的地を設定しない状態における画面表示の例を示す図である。
【図11】実施の形態2に係る車両1Aの構成を示した図である。
【図12】自宅を出発してから帰宅するまでの車両走行距離とSOCの変化の関係を示した図である。
【図13】HV非充電走行モードでのエネルギ効率の変化を示した図である。
【符号の説明】
【0140】
1,1A 車両、2 エンジン、4,6 ギヤ、14 制御装置、16 プラネタリギヤ、18 デファレンシャルギヤ、20R,20L 前輪、22R,22L 後輪、28,30 システムメインリレー、32 昇圧ユニット、36 インバータ、42 アクセルポジションセンサ、44 車速センサ、46 EV優先スイッチ、48 表示部、50 GPSアンテナ、51 通信用アンテナ、52 ジャイロセンサ、53 携帯電話クレドール、54 メモリカード、56 メモリカードインタフェース、62 ハイブリッド制御部、64 ナビゲーション制御部、66 バッテリ制御部、68 エンジン制御部、100 コンピュータ、181 A/D変換器、184 インターフェース部、186 バス、202 充電ユニット、B バッテリ、B0〜Bn 電池ユニット、MG1,MG2 モータジェネレータ、PG プラネタリギヤ、R1,R2 走行経路候補。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走行モードを有する車両の表示装置であって、
地図情報を表示する表示部と、
前記表示部に対し前記地図情報の道路部分に前記車両の前記道路に対応する走行モードを認識可能に表示させる制御部とを備える、車両の表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、
操作者からの指示に応じて目的地を設定し、
起点から前記目的地までの走行経路を探索し、
前記走行経路を分割し、分割された走行経路の各区間にいずれかの走行モードを対応付ける、請求項1に記載の車両の表示装置。
【請求項3】
前記走行経路は、
複数の走行経路候補を含み、
前記制御部は、前記表示部に各々走行モードが重ねられた前記複数の走行経路候補を表示させ、前記操作者の指示に応じて前記複数の走行経路候補のなかから1つの走行予定経路を選択する、請求項2に記載の車両の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、
走行モードの対応付けを分割された走行経路の各区間の情報に基づいて行ない、
前記各区間の情報は、渋滞の有無、道路幅、法定制限速度、道路勾配、区間長の少なくともいずれか1つを含む、請求項2に記載の車両の表示装置。
【請求項5】
前記車両は、内燃機関とモータとを走行に併用するハイブリッド車両であり、
前記複数の走行モードは、
前記内燃機関と前記モータを同時に使用する第1走行モードと、
前記内燃機関を停止させて前記モータを用いて走行する第2走行モードとを含む、請求項1に記載の車両の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記表示部に前記複数の走行モードを互いに異なる色に対応させて表示させる、請求項1に記載の車両の表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記表示部に前記複数の走行モードを燃費の良悪に対応させて表示させる、請求項1に記載の車両の表示装置。
【請求項8】
複数の走行モードを有し、地図情報を表示する表示部を含む車両の表示装置の制御方法であって、
道路に対応する走行モードを判定するステップと、
前記表示部に対し前記地図情報の道路部分に前記車両の前記道路に対応する走行モードを認識可能に表示させるステップとを備える、車両の表示装置の制御方法。
【請求項9】
操作者からの指示に応じて目的地を設定するステップと、
起点から前記目的地までの走行経路を探索するステップと、
前記走行経路を分割するステップとをさらに備え、
前記判定するステップは、分割された走行経路の各区間にいずれかの走行モードを対応付ける、請求項8に記載の車両の表示装置の制御方法。
【請求項10】
前記走行経路は、
複数の走行経路候補を含み、
前記表示させるステップは、前記表示部に各々走行モードが重ねられた前記複数の走行経路候補を表示させ、
前記制御方法は、
前記操作者の指示に応じて前記複数の走行経路候補のなかから1つの走行予定経路を選択するステップをさらに備える、請求項9に記載の車両の表示装置の制御方法。
【請求項11】
前記判定するステップは、走行モードの対応付けを分割された走行経路の各区間の情報に基づいて行ない、
前記各区間の情報は、渋滞の有無、道路幅、法定制限速度、道路勾配、区間長の少なくともいずれか1つを含む、請求項9に記載の車両の表示装置の制御方法。
【請求項12】
前記車両は、内燃機関とモータとを走行に併用するハイブリッド車両であり、
前記複数の走行モードは、
前記内燃機関と前記モータを同時に使用する第1走行モードと、
前記内燃機関を停止させて前記モータを用いて走行する第2走行モードとを含む、請求項8に記載の車両の表示装置の制御方法。
【請求項13】
前記表示させるステップは、前記表示部に前記複数の走行モードを互いに異なる色に対応させて表示させる、請求項8に記載の車両の表示装置の制御方法。
【請求項14】
前記表示させるステップは、前記表示部に前記複数の走行モードを燃費の良悪に対応させて表示させる、請求項8に記載の車両の表示装置の制御方法。
【請求項15】
請求項8〜14のいずれか1項に記載の車両の表示装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項16】
請求項8〜14のいずれか1項に記載の車両の表示装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−82944(P2008−82944A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264811(P2006−264811)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】