説明

部品実装装置および部品実装方法

【課題】装置を小型にできるとともに、実装品質を向上でき、実装時間を短縮できる部品実装装置および部品実装方法を提供する。
【解決手段】部品実装装置10および部品実装方法は、電子部品1が保持される部品供給部と、部品供給部に対して上方から進退可能に設けられ、電子部品1におけるバンプが設けられた面に吸着することにより電子部品1がピックアップされるピックアップ工程を行うピックアップヘッド12と、ピックアップヘッド12と協働して電子部品1を挟持しながら電子部品1におけるバンプが設けられていない面に吸着してから、電子部品1に対するピックアップヘッド12の吸着が解除されることにより、電子部品1を受け渡される受渡工程を行うボンディングヘッド13と、を備え、ピックアップヘッド12が加熱され、かつ、ピックアップ工程および受渡工程のうちのいずれか一方において、各バンプの高さ寸法を揃えるレベリング工程を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップ等の電子部品を基板に実装する部品実装装置および部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レベリングステージと実装ステージとの位置を別にして設け、基板への実装とバンプレベリング、回転テーブルから実装ヘッドへの受け渡しとレベリングヘッドから回転テーブルへの受け渡し、および画像処理とレベリングヘッドへのフリップチップの供給を行う部品実装装置および部品実装方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−77593号公報(図1、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1に記載された部品実装装置および部品実装方法は、基板への実装とバンプレベリング、回転テーブルから実装ヘッドへの受け渡しとレベリングヘッドから回転テーブルへの受け渡し、および画像処理とレベリングヘッドへのフリップチップの供給をそれぞれ同一タイミングで行うことにより、レベリングの時間を考慮せずに無視することができるので、時間が短縮され生産性を大幅に向上できる。
【0005】
しかし、前述した特許文献1に記載された部品実装装置および部品実装方法は、レベリングステージが別途に設けられている。
従って、前述した特許文献1に記載された部品実装装置および部品実装方法は、装置が大型になるという問題がある。
【0006】
ところで、前述した特許文献1に記載された部品実装装置および部品実装方法と同様に、加熱用のツールを用いて半導体チップを加熱する部品実装装置および部品実装方法が提案されている。
しかし、ピックアップノズルから半導体チップを吸着して実装するまでの時間は短いために、接合されるバンプが十分に加熱されていない場合があり、実装時間を長く必要とする。
【0007】
また、加熱用のツールが接触している面と、実装時に接合されるバンプの面とは異なるために、半導体チップに有する板状の本体(ダイ)越しに間接的に加熱していることになって、バンプを十分に加熱するのに高温の加熱が必要となり、半導体チップの本体がダメージを受ける。
従って、このような従来の部品実装装置および部品実装方法は、実装品質を向上できず、実装時間を短縮できない。
【0008】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、装置を小型にできるとともに、実装品質を向上でき、実装時間を短縮できる部品実装装置および部品実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る部品実装装置は、板状の本体の片面に複数のバンプを有するとともに、前記各バンプが上向きとなるように電子部品が保持される部品供給部と、前記部品供給部に対して上方から進退可能に設けられ、前記電子部品における前記バンプが設けられた面に吸着することにより前記電子部品がピックアップされるピックアップ工程を行うピックアップヘッドと、前記ピックアップヘッドと協働して前記電子部品を挟持しながら前記電子部品における前記バンプが設けられていない面に吸着してから、前記電子部品に対する前記ピックアップヘッドの吸着が解除されることにより、前記電子部品を受け渡される受渡工程を行うボンディングヘッドと、を備え、前記ピックアップヘッドが加熱され、かつ、前記ピックアップ工程および前記受渡工程のうちのいずれか一方において、前記各バンプの高さ寸法を揃えるレベリング工程を行う。
【0010】
また、本発明に係る部品実装装置は、前記電子部品における前記本体の前記各バンプが設けられた面側から前記ピックアップノズルが前記各バンプを加熱する。
【0011】
本発明に係る部品実装方法は、板状の本体の片面に複数のバンプが上向きとなるように電子部品を保持する部品供給工程と、前記電子部品に対して上方から進退されて前記電子部品における前記バンプが設けられた面に吸着することにより前記電子部品をピックアップヘッドによりピックアップするピックアップ工程と、前記ピックアップヘッドと協働して前記電子部品を挟持しながら前記電子部品における前記バンプが設けられていない面に吸着してから、前記電子部品に対する前記ピックアップヘッドの吸着が解除されるボンディングヘッドにより、前記電子部品を受け渡される受渡工程と、前記ピックアップヘッドが加熱され、かつ、前記ピックアップ工程および前記受渡工程のうちのいずれか一方において、前記各バンプの高さ寸法を揃えるレベリング工程とを含む。
【0012】
また、本発明に係る部品実装方法は、前記電子部品における前記本体の前記各バンプが設けられた面側から前記ピックアップノズルが前記各バンプを加熱する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る部品実装装置および部品実装方法によれば、装置を小型にできるとともに、実装品質を向上でき、実装時間を短縮できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る第1実施形態の部品実装装置の全体の外観斜視図
【図2】本発明に係る第1実施形態の部品実装装置の要部の外観斜視図
【図3】本発明に係る第1実施形態の部品実装装置の正面図
【図4】本発明に係る第1実施形態の部品実装装置のエジェクタ機構周りの垂直断面図
【図5】本発明に係る第1実施形態の部品実装装置のツール交換時の正面図
【図6】本発明に係る第1実施形態の部品実装装置の制御系のブロック構成図
【図7】本発明に係る第1実施形態の部品実装方法の第1工程の外観斜視図
【図8】本発明に係る第1実施形態の部品実装方法の第1工程の正面図
【図9】本発明に係る第1実施形態の部品実装方法の第2工程の正面図
【図10】本発明に係る第1実施形態の部品実装方法の第3工程の正面図
【図11】本発明に係る第1実施形態の部品実装方法の第4工程の正面図
【図12】本発明に係る第1実施形態の部品実装方法の第5工程の正面図
【図13】本発明に係る第1実施形態の部品実装方法の第6工程の正面図
【図14】本発明に係る第1実施形態の部品実装方法の第7工程の正面図
【図15】本発明に係る第1実施形態の部品実装方法の第8工程の正面図
【図16】本発明に係る第1実施形態の部品実装方法の第9工程の正面図
【図17】本発明に係る第1実施形態の部品実装方法の第9工程後の電子部品の斜め下方から視た外観斜視図
【図18】本発明に係る第2実施形態の部品実装方法の第1工程の正面図
【図19】本発明に係る第2実施形態の部品実装方法の第2工程の正面図
【図20】本発明に係る第2実施形態の部品実装方法の第3工程の正面図
【図21】本発明に係る第2実施形態の部品実装方法の第4工程の正面図
【図22】本発明に係る第2実施形態の部品実装方法の第5工程の正面図
【図23】本発明に係る第2実施形態の部品実装方法の第6工程の正面図
【図24】本発明に係る第2実施形態の部品実装方法の第7工程の正面図
【図25】本発明に係る第2実施形態の部品実装方法の第8工程の正面図
【図26】本発明に係る第2実施形態の部品実装方法の第9工程の正面図
【図27】本発明に係る第3実施形態の部品実装装置のエジェクタ機構周りの垂直断面図
【図28】本発明に係る第3実施形態の部品実装方法の制御動作を説明するフローチャート
【図29】本発明に係る第3実施形態の部品実装方法の第1工程の正面図
【図30】本発明に係る第3実施形態の部品実装方法の第2工程の正面図
【図31】本発明に係る第3実施形態の部品実装方法の第3工程の正面図
【図32】本発明に係る第3実施形態の部品実装方法の第4工程の正面図
【図33】本発明に係る第3実施形態の部品実装方法の第5工程の正面図
【図34】本発明に係る第3実施形態の部品実装方法の第6工程の正面図
【図35】本発明に係る第3実施形態の部品実装方法の第7工程の正面図
【図36】本発明に係る第3実施形態の部品実装方法の第8工程の正面図
【図37】本発明に係る第3実施形態の部品実装方法の第9工程の正面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る複数の実施形態の部品実装装置および部品実装方法について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明に係る第1実施形態の部品実装装置10は、板状の本体2の片面に複数のバンプ3を有するとともに、各バンプ3が上向きとなるように半導体チップ(電子部品)1が保持される部品供給部11と、部品供給部11に対して上方から進退可能に設けられ、半導体チップ1におけるバンプ3が設けられた表面4に吸着することにより半導体チップ1がピックアップされるピックアップ工程を行う半導体チップ本体当接面付のピックアップヘッド12と、ピックアップヘッド12と協働して半導体チップ1を挟持しながら半導体チップ1におけるバンプ3が設けられていない裏面5に吸着してから、半導体チップ1に対するピックアップヘッド12の吸着が解除されることにより、半導体チップ1を受け渡される受渡工程を行うボンディングヘッド13とを備える。
【0016】
図1に示すように、部品実装装置10は、基台14上に、部品供給部11に相当する部品供給ステージ15と、ユニット集合ステージ16と、基板保持ステージ17とがY方向に配列されている。
部品供給ステージ15に備えられたウェハ保持テーブル18には、実装対象となる部品である複数の半導体チップ1が配列された半導体ウェハ6が保持されている。
ユニット集合ステージ16は、直動機構19によってX方向に往復動する移動テーブル20に、ツールストッカ21,部品回収部22,較正基準マーク23,中継ステージ24、アンダーカメラ25等などの機能ユニットを集合的に配設した構成となっている。
基板保持ステージ17は、基板7を保持する基板保持テーブル26をXYテーブル機構27(図3参照)によって水平駆動する構成となっており、基板7上に半導体チップ1が実装される。
【0017】
部品供給ステージ15と、ユニット集合ステージ16と、基板保持ステージ17の上方には、基台14のX方向の端部に位置して、Y軸フレーム28が支持ポスト29によって両端部を支持されてY方向に架設されている。
Y軸フレーム28の前面には、第1ヘッド30をリニアモータ駆動によりY方向に案内して駆動するヘッド移動機構31が組み込まれている。第1ヘッド30には半導体チップ1を保持して基板7に搭載する機能を有する搭載ユニット32が装着されている。搭載ユニット32は搭載ヘッドであるボンディングヘッド13を有する。
【0018】
部品供給ステージ15と中継ステージ24と基板保持ステージ17との上方には、位置認識のために第1カメラ33と、第2カメラ34とが配設されている。
第1カメラ33は部品供給ステージ15において取り出し対象の半導体チップ1を撮像する。
第2カメラ34は基板7上の部品実装位置を撮像する。
また、ユニット集合ステージ16に配設されたアンダーカメラ25は、部品供給ステージ15から取り出された半導体チップ1を下方から撮像する。
【0019】
図2および図3に示すように、部品供給ステージ15はXYテーブル機構35を備えており、XYテーブル機構35の上面に装着された水平な移動プレート36には、複数の支持部材37が立設されている。支持部材37は、上面に半導体ウェハ6が装着されて保持されるウェハ保持テーブル18を支持している。
半導体ウェハ6は、ウェハシート8に複数の半導体チップ1を所定の配列で貼着した構成となっている。ウェハシート8には、能動面を上向きにしたフェイスアップ姿勢で個片に分割された状態の複数の半導体チップ1が貼着保持されている。
【0020】
部品供給ステージ15は、半導体ウェハ6から半導体チップ1をピックアップするためのピックアップ作業位置[P1]が設定されている。第1カメラ33の位置はピックアップ作業位置[P1]に対応しており、第1カメラ33によって半導体ウェハ6を撮像した撮像結果を認識処理することにより、ピックアップ対象の半導体チップ1の位置が検出される。
ウェハ保持テーブル18の内部においてピックアップ作業位置[P1]に対応する位置には、エジェクタ機構38が配設されている。
【0021】
図4に示すように、エジェクタ機構38は、ポンプPを備えており、ウェハシート8の下面側から半導体チップ1をピンで突き上げることにより、半導体チップ1のウェハシート8からの剥離を促進する機能を有している。
半導体チップ1の取り出し時にエジェクタ機構38を昇降させてウェハシート8の下面に当接させることにより、ピックアップヘッド12による半導体チップ1のウェハシート8からの取り出しを容易に行うことができる。
【0022】
図2および図3に戻り、部品取り出し動作においては、XYテーブル機構35を駆動してウェハシート8をXY方向に水平移動させることにより、ウェハシート8に貼着された複数の半導体チップ1のうち、取り出し対象となる所望の半導体チップ1をピックアップ作業位置[P1]に位置させる。
【0023】
部品供給ステージ15の上方には、半導体チップ1を吸着して保持するピックアップノズル39を備えたピックアップヘッド12が配設されている。ピックアップヘッド12はピックアップアーム40に保持されており、ピックアップアーム40は、Y軸フレーム28の下面に縣吊して配置されたピックアップヘッド移動機構41から、部品供給ステージ15の上方に延出して設けられている。ピックアップヘッド移動機構41を駆動することにより、ピックアップアーム40はXYZ方向に移動するとともに、X方向の軸廻りに回転する。
【0024】
これにより、ピックアップヘッド12は部品供給ステージ15の上方とユニット集合ステージ16の上方との間でY方向に移動するとともにX方向に進退する。そのため、ピックアップヘッド12は、部品供給ステージ15から半導体チップ1をピックアップして、ユニット集合ステージ16に設けられた中継ステージ24に移送する動作を行う。また、必要時に、ピックアップヘッド12をピックアップ作業位置[P1]の上方からX方向に退避させることが可能となっている。そして、ピックアップアーム40は、回転させることによりピックアップヘッド12を反転させて、ピックアップノズル39に保持されている半導体チップ1の姿勢を表裏反転させることができる。
【0025】
ユニット集合ステージ16および基板保持ステージ17は、ベースプレート42の上面に設けられており、ベースプレート42は基台14の上面に立設された複数の支持ポスト43により下方から支持されている。
【0026】
部品回収部16は、部品供給ステージ15から取り出された後に、不良部品や混入した異種部品など基板7への実装が不適と判断された部品を廃棄回収する機能を有している。較正基準マーク23は、直動機構19を継続して駆動する際に熱伸縮によって生じる機構的な位置誤差を、上方に配設された第2カメラ34によって撮像して較正するために設けられた基準マークである。
【0027】
中継ステージ24は、部品供給ステージ15と基板保持ステージ17との間に配置されてツールストッカ21と一体的に設けられた形態となっており、中継ステージ24には、部品供給ステージ15からピックアップヘッド12によって取り出された半導体チップ1が位置補正のために載置される。
【0028】
基板保持ステージ17は、XYテーブル機構27上に基板7を保持する基板保持テーブル26を設けた構成となっている。基板保持ステージ17には、半導体チップ1を基板保持テーブル26に保持された基板7に実装するための実装作業位置[P2]が設定されており、第2カメラ34は実装作業位置[P2]に対応して配置されている。そして、XYテーブル機構27を駆動することにより、基板保持テーブル26は基板7とともにXY方向に水平移動し、基板7に設定された任意の部品実装点を実装作業位置[P2]に位置させることができる。
【0029】
次に、第1ヘッド30について説明する。Y軸フレーム28に設けられたヘッド移動機構31の前面には、第1ヘッド30をY方向にガイドするための2条のガイドレール44が設けられており、これらガイドレール44の間に、第1ヘッド30をY方向に駆動するためのリニアモータを構成する固定子45が配設されている。ガイドレール44には、図示しないスライダがY方向にスライド自在に嵌合しており、このスライダが垂直な移動プレート46の背面に固着されている。
【0030】
移動プレート46の背面には、固定子45に対向してリニアモータを構成する可動子(図示省略)が配設されている。これらのリニアモータを駆動することにより、第1ヘッド30がガイドレール44によりガイドされてY方向に移動する。移動プレート46の前面には、昇降機構47が配設されており、昇降機構47の前面には昇降プレート48が垂直方向にスライド自在に配設されている。昇降機構47を駆動することにより、昇降プレート48がそれぞれ昇降する。昇降プレート48には、搭載ユニット32が着脱自在に装着されている。
【0031】
搭載ユニット32は、実装対象の部品である半導体チップ1を保持する機能を有しており、第1ヘッド30をY方向に水平移動させて昇降プレート48が昇降することにより、部品供給ステージ15から供給された半導体チップ1を、基板保持ステージ17に保持された基板7に搭載する。
このとき、搭載ユニット32が装着された第1ヘッド30による実装形態としては、ピックアップヘッド12によって部品供給ステージ15から取り出されて中継ステージ24上に載置された半導体チップ1を搭載ユニット32によって保持して基板7に搭載するプリセンタ実装形態と、部品供給ステージ15の半導体チップ1を搭載ユニット32により直接保持して基板7に搭載するダイレクト実装形態と、ピックアップヘッド12により部品供給ステージ15から取り出されて表裏反転状態でピックアップヘッド12に保持された半導体チップ1を搭載ユニット32により保持して基板7に搭載するフェイスダウン実装形態とを選択的に実行できる。
【0032】
図5に示すように、ピックアップヘッド12のピックアップノズル39および搭載ユニット32の部品保持ノズル49を交換するツール交換に際しては、実装作業において部品種が変更された場合、ピックアップヘッド12および搭載ユニット32が装着された第1ヘッド30を、ピックアップノズル39および部品保持ノズル49が収納されたツールストッカ21に順次アクセスさせる。そして、ピックアップヘッド12および搭載ユニット32にツール交換動作を行わせることにより、ピックアップヘッド12または搭載ユニット32に、必要に応じて新たな部品種に対応したピックアップノズル39または部品保持ノズル49が装着される。
【0033】
図6に示すように、部品実装装置10に有する制御装置60による部品実装方法の制御は、部品供給ステージ15における部品供給ステージ移動機構の制御A1と、基板保持ステージ17における基板保持ステージ移動機構の制御A2と、移動テーブル20における移動テーブル移動機構の制御A3と、ピックアップヘッド12におけるピックアップヘッド移動機構の制御A4と、ピックアップヘッド12におけるピックアップヘッド吸着機構の制御A5と、搭載ユニット32における搭載ヘッド移動機構の制御A6と、搭載ユニット19における搭載ヘッド吸着機構の制御A7と、エジェクタ機構38におけるエジェクタの制御A8と、第1カメラ21における部品供給ステージカメラの制御A9と、第2カメラ23における基板保持ステージカメラの制御A10と、アンダーカメラ25におけるアンダーカメラの制御A11とである。
【0034】
次に、部品実装装置10が適用する部品実装方法について説明する。
部品実装装置10に適用された部品実装方法は、本体2の片面に複数のバンプ3が上向きとなるように半導体チップ1を部品供給部11に保持する部品供給工程と、半導体チップ1に対して上方から進退されて半導体チップ1におけるバンプ3が設けられた表面4に吸着することにより半導体チップ1をピックアップヘッド12によりピックアップするピックアップ工程と、ピックアップヘッド12と協働して半導体チップ1を挟持しながら半導体チップ1におけるバンプ3が設けられていない裏面5に吸着してから、半導体チップ1に対するピックアップヘッド12の吸着が解除されるボンディングヘッド13により、半導体チップ1を受け渡される受渡工程と、ピックアップ工程において各バンプ3の高さ寸法を揃えるレベリング工程とを含む。
【0035】
図7および図8に示すように、部品実装方法の第1工程では、ピックアップヘッド12の下方に複数のバンプ3が上向きとなるように半導体チップ1が保持される。このレベリング前において、バンプ3は、それらの高さ寸法にばらつきがある。
【0036】
図9に示すように、部品実装方法の第2工程では、ウェハシート8の下方からエジェクタ機構38が上昇されて、エジェクタ機構38がウェハシート8に密着され、ポンプPの駆動に伴い、ウェハシート8が下方に向けて吸引される。
【0037】
図10に示すように、部品実装方法の第3工程では、ピックアップヘッド12が下降されてピックアップノズル39が半導体チップ1の複数のバンプ3上に配置される。半導体チップ1は、ピックアップヘッド12によりエジェクタ機構38に向けて押圧されることにより複数のバンプ3が高さ寸法を揃えるように潰されてレベリングされる。このとき、図10に示すようにピックアップヘッド12の先端に所定の段差を設けてバンプを加圧する加圧面と部品を吸着する吸着面とを構成することで、レベリング後のバンプの高さを一定にすることができる。また、上記のようにピックアップヘッドに段差を設けられない場合はピックアップヘッドとエジェクタ機構との間でのチップ受け渡し時のピックアップヘッドの高さ位置を、レベリング後のバンプの高さが所望の値となるように制御するようにしてもよい。
【0038】
図11に示すように、部品実装方法の第4工程では、エジェクタ機構38が駆動されることにより、ウェハシート8の下面側から半導体チップ1がピンで突き上げられて半導体チップ1がウェハシート8から剥離される。そして、ピックアップヘッド12の上昇に伴い、半導体チップ1はピックアップヘッド12に吸着されたままピックアップヘッド12とともに上昇される。
【0039】
図12に示すように、部品実装方法の第5工程では、ピックアップヘッド12が上昇を続けるために、半導体チップ1はウェハシート8から離れていく。
【0040】
図13に示すように、部品実装方法の第6工程では、ピックアップヘッド12が180度回動されることにより半導体チップ1の裏面5を上方に配置し、半導体チップ1の裏面の上方に搭載ユニット32のボンディングヘッド13が配置される。
【0041】
図14に示すように、部品実装方法の第7工程では、ボンディングヘッド13がピックアップヘッド12に向けて進行されることにより、ボンディングヘッド13がピックアップヘッド12と協働して半導体チップ1を挟持する。
【0042】
図15に示すように、部品実装方法の第8工程では、ボンディングヘッド13が吸引を始め、ピックアップヘッド12の半導体チップ1への吸着が解除される。
【0043】
図16に示すように、部品実装方法の第9工程では、半導体チップ1は、ピックアップヘッド12からボンディングヘッド13に受け渡され、ボンディングヘッド13が、複数のバンプ3が下向きとなるように半導体チップ1を保持して基板7上に搬送され、半導体チップ1が基板7に実装される。
【0044】
図17に示すように、部品実装方法の第9工程が実行されることにより、ピックアップヘッド12とエジェクタ機構38とにより挟まれて押圧されてレベリングされた半導体チップ1は、複数のバンプ3が高さ寸法を揃えて形成される。
【0045】
以上、説明したように第1実施形態の部品実装装置10によれば、ピックアップヘッド12が、部品供給部11に対して上方から進退可能に設けられて半導体チップ1におけるバンプ3が設けられた表面4に吸着することにより半導体チップ1をピックアップするときに、各バンプ3の高さ寸法が揃えられるために、従来のもののように、レベリングステージを別途に設けたものと比べて、装置を小型にでき、製造工程を短縮できる。
【0046】
また、第1実施形態の部品実装方法によれば、ピックアップヘッド12が、部品供給部11に対して上方から進退可能に設けられて半導体チップ1におけるバンプ3が設けられた表面4に吸着することにより半導体チップ1をピックアップするピックアップ工程において、各バンプ3の高さ寸法が揃えられるために、従来のもののように、レベリングステージを別途に設けたものと比べて、装置を小型にでき、製造工程を短縮できる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の部品実装装置および部品実装方法について説明する。なお、以下の各実施形態において、前述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0048】
本発明に係る第2実施形態の部品実装装置70は、ボンディングヘッド13が、ピックアップヘッド12と協働して半導体チップ1を挟持しながら半導体チップ1におけるバンプ3が設けられていない裏面5に吸着してから、半導体チップ1に対するピックアップヘッド12の吸着が解除されることにより、半導体チップ1を受け渡される受渡工程においてレベリング工程が実行される。
【0049】
次に、部品実装装置70に適用された部品実装方法について具体的に説明する。
図18に示すように、部品実装方法の第1工程では、ピックアップヘッド12の下方に複数のバンプ3が上向きとなるように半導体チップ1が保持される。
【0050】
図19に示すように、部品実装方法の第2工程では、ウェハシート8の下方からエジェクタ機構38が上昇されて、エジェクタ機構38がウェハシート8に密着され、ポンプPの駆動に伴い、ウェハシート8が下方に向けて吸引される。
【0051】
図20に示すように、部品実装方法の第3工程では、ピックアップヘッド12が下降されてピックアップノズル39が半導体チップ1の複数のバンプ3上に配置される。
【0052】
図21に示すように、部品実装方法の第4工程では、エジェクタ機構38が駆動されることにより、ウェハシート8の下面側から半導体チップ1がピンで突き上げられて半導体チップ1がウェハシート8から剥離される。そして、ピックアップヘッド12の上昇に伴い、半導体チップ1はピックアップヘッド12に吸着されたままピックアップヘッド12とともに上昇される。
【0053】
図22に示すように、部品実装方法の第5工程では、ピックアップヘッド12が上昇を続けるために、半導体チップ1はウェハシート8から離れていく。
【0054】
図23に示すように、部品実装方法の第6工程では、ピックアップヘッド12が180度回動されることにより半導体チップ1の裏面5を上方に配置し、半導体チップ1の裏面の上方に搭載ユニット32のボンディングヘッド13が配置される。
【0055】
図24に示すように、部品実装方法の第7工程では、ボンディングヘッド13がピックアップヘッド12に向けて進行されることにより、ボンディングヘッド13がピックアップヘッド12と協働して半導体チップ1を挟持し、ボンディングヘッド13とピックアップヘッド12とにより押圧されることにより、半導体チップ1は、複数のバンプ3が高さ寸法を揃えるように潰されてレベリングされる。
【0056】
図25に示すように、部品実装方法の第8工程では、ボンディングヘッド13が吸引を始め、ピックアップヘッド12の半導体チップ1への吸着が解除される。
【0057】
図26に示すように、部品実装方法の第9工程では、半導体チップ1は、ピックアップヘッド12からボンディングヘッド13に受け渡され、ボンディングヘッド13が、複数のバンプ3が下向きとなるように半導体チップ1を保持して基板7上に搬送され、半導体チップ1が基板7に実装される。
【0058】
以上、説明したように第2実施形態の部品実装装置70によれば、ボンディングヘッド13が、ピックアップヘッド12と協働して半導体チップ1を挟持しながら半導体チップ1におけるバンプ3が設けられていない裏面5に吸着してから、半導体チップ1に対するピックアップヘッド12の吸着が解除されることにより、半導体チップ1を受け渡されるときに、各バンプ3の高さ寸法が揃えられるために、従来のもののように、レベリングステージを別途に設けたものと比べて、装置を小型にでき、製造工程を短縮できる。
【0059】
また、第2実施形態の部品実装方法によれば、ボンディングヘッド13が、ピックアップヘッド12と協働して半導体チップ1を挟持しながら半導体チップ1におけるバンプ3が設けられていない裏面5に吸着してから、半導体チップ1に対するピックアップヘッド12の吸着が解除されることにより、半導体チップ1を受け渡される受渡工程において、各バンプ3の高さ寸法が揃えられるために、従来のもののように、レベリングステージを別途に設けたものと比べて、装置を小型にでき、製造工程を短縮できる。
【0060】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の部品実装装置および部品実装方法について説明する。
図27に示すように、本発明に係る第3実施形態の部品実装装置80は、ピックアップヘッド12のピックアップノズル39がヒーター等の加熱手段81に接続されており、加熱手段81の駆動によりピックアップヘッド12およびピックアップノズル39が加熱される。
【0061】
図28に示すように、部品実装装置80に適用された部品実装方法の制御動作は、以下のステップを含む。
ウェハシート8から半導体チップ(本体2)1をピックアップノズル39によりピックアップする(ST100)。
ピックアップノズル39が加熱されることにより、半導体チップ1のバンプ3が加熱されながら、受け渡しを行う(ST110)。
半導体チップ1を反転させる(ST120)。
ボンディングヘッド(ボンディングツール)13に半導体チップ1を受け渡す(ST130)。
半導体チップ1を基板7に実装する(ST140)。
【0062】
次に、部品実装装置80に適用された部品実装方法について具体的に説明する。
図29に示すように、部品実装方法の第1工程では、ピックアップヘッド12の下方に複数のバンプ3が上向きとなるように半導体チップ1が保持される。このレベリング前において、バンプ3は、それらの高さ寸法にばらつきがある。
【0063】
図30に示すように、部品実装方法の第2工程では、ウェハシート8の下方からエジェクタ機構38が上昇されて、エジェクタ機構38がウェハシート8に密着され、ポンプPの駆動に伴い、半導体チップ1が下方に向けて吸引される。
【0064】
図31に示すように、部品実装方法の第3工程では、加熱手段81が駆動されることによりピックアップノズル39が加熱され、加熱されているピックアップノズル39が下降されてピックアップノズル39が半導体チップ1の複数のバンプ3上に配置される。半導体チップ1は、ピックアップノズル39によりエジェクタ機構38に向けて押圧されることにより複数のバンプ3が高さ寸法を揃えるように潰されてレベリングされる。
従って、ピックアップノズル39によりバンプ3が加熱されるために、半導体チップ1をボンディングヘッドに移し替えてから加熱開始するよりも早く目的温度まで昇温できる。
【0065】
図32に示すように、部品実装方法の第4工程では、エジェクタ機構38が駆動されることにより、ウェハシート8の下面側から半導体チップ1がピンで突き上げられて半導体チップ1がウェハシート8から剥離される。そして、ピックアップヘッド12の上昇に伴い、半導体チップ1はピックアップヘッド12に吸着されたままピックアップヘッド12とともに上昇される。
【0066】
図33に示すように、部品実装方法の第5工程では、ピックアップヘッド12が上昇を続けるために、半導体チップ1はウェハシート8から離れていく。
【0067】
図34に示すように、部品実装方法の第6工程では、ピックアップヘッド12が180度回動されることにより半導体チップ1の裏面5を上方に配置し、半導体チップ1の裏面の上方に搭載ユニット32のボンディングヘッド13が配置される。
【0068】
図35に示すように、部品実装方法の第7工程では、ボンディングヘッド13がピックアップヘッド12に向けて進行されることにより、ボンディングヘッド13がピックアップヘッド12と協働して半導体チップ1を挟持する。
【0069】
図36に示すように、部品実装方法の第8工程では、ボンディングヘッド13が吸引を始め、ピックアップヘッド12の半導体チップ1への吸着が解除される。
【0070】
図37に示すように、部品実装方法の第9工程では、半導体チップ1は、ピックアップヘッド12からボンディングヘッド13に受け渡され、ボンディングヘッド13が、複数のバンプ3が下向きとなるように半導体チップ1を保持して基板7上に搬送され、半導体チップ1が基板7に実装される。
【0071】
第3実施形態の部品実装装置80によれば、ピックアップノズル39が加熱されているために、半導体チップ1をボンディングヘッドに移し替えてから加熱開始するよりも早く目的温度まで昇温できる。
【0072】
第3実施形態の部品実装方法によれば、加熱されているピックアップノズル39にピックアップされている半導体チップ1にレベリング工程が実行されるために、別構成の加熱用のツールを用いて加熱する場合と比べて長い時間で加熱でき、長い時間の加熱を行えるために、バンプ3を効率よく直接加熱できるので、加熱用のツールを用いた場合よりも短時間で低温にすることができ、本体2へのダメージを軽減してレベリングできる。これにより、第3実施形態の部品実装方法によれば、従来のもののように、レベリングステージを別途に設けたものと比べて、装置を小型にできるとともに、実装品質を向上でき、実装時間を短縮できる。
【0073】
なお、本発明の部品実装装置および部品実装方法において部品供給ステージ,ユニット集合ステージ,基板保持ステージ等は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 半導体チップ(電子部品)
2 本体
3 バンプ
10,70,80 部品実装装置
11 部品供給部
12 ピックアップヘッド
13 ボンディングヘッド
81 加熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の本体の片面に複数のバンプを有するとともに、前記各バンプが上向きとなるように電子部品が保持される部品供給部と、
前記部品供給部に対して上方から進退可能に設けられ、前記電子部品における前記バンプが設けられた面に吸着することにより前記電子部品がピックアップされるピックアップ工程を行うピックアップヘッドと、
前記ピックアップヘッドと協働して前記電子部品を挟持しながら前記電子部品における前記バンプが設けられていない面に吸着してから、前記電子部品に対する前記ピックアップヘッドの吸着が解除されることにより、前記電子部品を受け渡される受渡工程を行うボンディングヘッドと、を備え、
前記ピックアップヘッドが加熱され、かつ、前記ピックアップ工程および前記受渡工程のうちのいずれか一方において、前記各バンプの高さ寸法を揃えるレベリング工程を行う部品実装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品実装装置において、
前記電子部品における前記本体の前記各バンプが設けられた面側から前記ピックアップノズルが前記各バンプを加熱する部品実装装置。
【請求項3】
板状の本体の片面に複数のバンプが上向きとなるように電子部品を保持する部品供給工程と、
前記電子部品に対して上方から進退されて前記電子部品における前記バンプが設けられた面に吸着することにより前記電子部品をピックアップヘッドによりピックアップするピックアップ工程と、
前記ピックアップヘッドと協働して前記電子部品を挟持しながら前記電子部品における前記バンプが設けられていない面に吸着してから、前記電子部品に対する前記ピックアップヘッドの吸着が解除されるボンディングヘッドにより、前記電子部品を受け渡される受渡工程と、
前記ピックアップヘッドが加熱され、かつ、前記ピックアップ工程および前記受渡工程のうちのいずれか一方において、前記各バンプの高さ寸法を揃えるレベリング工程とを含む部品実装方法。
【請求項4】
請求項3に記載の部品実装方法において、
前記電子部品における前記本体の前記各バンプが設けられた面側から前記ピックアップノズルが前記各バンプを加熱する部品実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2012−94634(P2012−94634A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239739(P2010−239739)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】