説明

電源遮断トランジスタを有する半導体装置

【課題】パワーゲーティングの適用に困難さをもたらすコストアップと性能低下のトレードオフを打開する。
【解決手段】P型基板2と、P型基板2に互いに離れて形成されている第1のPウェル4および第2のPウェル5と、を有し、第1のPウェル4にN型ロジックトランジスタLTnが形成され、第2のPウェル5に電源遮断トランジスタPGTが形成され、第1のPウェル4と第2のPウェル5との間に、P型基板2内の電位干渉を遮蔽する遮蔽部(例えば2つのPN接合)が形成されている。遮蔽部により電位干渉が遮蔽された2つの基板領域のうち、第2のPウェル5側の基板領域に、電源遮断トランジスタPGTに基板バイアス電圧VBBを印加するための基板コンタクト領域11が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源電圧または基準電圧の論理回路への供給と遮断を制御する電源遮断トランジスタを、論理回路のロジックトランジスタと同一半導体基板に形成している半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイス製造のウェハプロセス(以下、単に「プロセス」という)で規定される最小寸法の微細化により、オフ状態におけるトランジスタのリーク電流が増加している。このため、リーク電流による無駄な電力消費が、半導体集積回路(チップ)全体の消費電力に占める比率を増やし、近年では、その割合が無視できないレベルにまで達してきている。
この無駄な電力消費を削減するための一手法として、パワーゲーティングが採用されている。パワーゲーティングは、MTCMOS(multi-threshold complementary metal oxide semiconductor)と称される回路技術としても知られている。
【0003】
パワーゲーティングの適用に際しては、閾値電圧が高いトランジスタ(電源遮断トランジスタ)を論理回路に電源電流を供給する経路に直列に挿入する。論理回路が休止可能な時間に、電源遮断トランジスタをオフすることにより、電源電流の供給経路を遮断し、結果として、リーク電流を低減する。
【0004】
しかし、論理回路向けのロジックトランジスタと、閾値が高い電源遮断トランジスタを、同じ半導体基板上で作り分ける必要がある。このため、プロセスに関するコストアップが発生する。
【0005】
このコストアップを極力抑制するには、ロジックトランジスタと電源遮断トランジスタのプロセスの親和性(共通性)を高める必要がある。
そのためには、異なるプロセスの構造や製造条件のパラメータを極力同じにする、つまり、一括形成する比率を高める。例えば、閾値電圧はチャネル濃度のみの制御で変えることとし、その他のパラメータは両トランジスタで同じにする。同じにするパラメータとしては、ソース領域およびドレイン領域の不純物の種類と濃度、ゲート絶縁膜の材質と厚さ、ゲート電極の材質と厚さなどを挙げることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、以下のように、プロセスの共通を高めることに伴う不利益もある。
【0007】
チャネル濃度以外、構造上ほとんど同じトランジスタは、電圧に対する耐性もほとんど同じであるため、ゲート制御電圧の上限に対する制約が同じである。
ここで、ロジックトランジスタは閾値電圧が比較的小さく設定されている。よって、ゲート制御電圧も比較的小さくて済む(例えば1.2[V]程度)。
【0008】
ところで、通常、圧倒的に数が多く、回路特性を決めるロジックトランジスタにあわせて、その速度が出るようにプロセスが決められる。このため、閾値電圧が大きな電源遮断トランジスタを同じプロセスで作製すると、ロジックトランジスタと同じ、比較的低いゲート制御電圧レベル(1.2[V]程度)では、オン抵抗が大きい。このため、動作時に論理回路に電源を供給する経路で直列抵抗が増加し、論理回路に実効的に与えられる電源電圧振幅(電源電圧と基準電圧との差)が低下する。このため論理回路の速度が低下する。また、直列抵抗を低減するためには、電源遮断トランジスタのサイズ(いわゆるゲート幅)を大きくする必要があるが、その場合、回路全体の面積が増加して、プロセスとは別の面からコストアップが発生する。
【0009】
このように、パワーゲーティングの適用においては、コストアップを抑制するためにプロセスの共通性を高めると、論理回路の速度が低下するか、あるいは、回路面積増大という別の面からコストアップが発生するという開発上の行き詰まりに遭遇する。
本発明は、このパワーゲーティングの適用に困難さをもたらすコストアップと性能低下のトレードオフを打開するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に関わる半導体装置は、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板に互いに離れて形成されている第1導電型の第1および第2ウェルと、を有し、前記第1ウェルに論理回路部のトランジスタが形成され、前記第2ウェルに、前記論理回路部を駆動する電源電流の経路に接続されて、入力される制御信号に応じてオフし、前記経路を電気的に遮断する電源遮断トランジスタが形成され、前記第1ウェルと前記第2ウェルとの間に、前記半導体基板内の電位干渉を遮蔽する遮蔽部が形成され、前記遮蔽部により電位干渉が遮蔽された2つの基板領域のうち、前記第2ウェル側の基板領域に、前記電源遮断トランジスタに基板バイアスを印加するための基板コンタクト領域が形成されている。
【0011】
ここで「遮蔽」とは完全な電位干渉がないという意味ではなく、動作時に与えられる電位で動作に支障がないほど十分に電位干渉が抑圧されるという意味での遮蔽である。
【0012】
本発明では好適に、前記半導体基板と逆の第2導電型を有し、基板表面を除く前記第1ウェルの周囲を囲む逆導電型ウェルを導入することにより、当該逆導電型ウェルと前記第1ウェル間、および、当該逆導電型ウェルと前記半導体基板間に形成された互いに逆向きの2つのPN接合を、前記遮蔽部が含む。
本発明では好適に、前記基板コンタクト領域が第1導電型を有し、共に第1導電型である前記基板コンタクト領域と前記第2ウェル間が、同じ第1導電型の半導体基板領域によって接続されている。
【0013】
本発明では好適に、前記基板コンタクト領域が、前記半導体基板のトランジスタ形成面を平面でみたときに、前記論理回路の形成領域と、当該論理回路の形成領域に接する前記電源遮断トランジスタの形成領域とからなる回路形成領域の周囲に配置されている。
【0014】
本発明では好適に、前記第1ウェル内にロジックトランジスタが形成され、前記ロジックトランジスタと前記電源遮断トランジスタとは、閾値電圧が同じとなるトランジスタ構造を有する。
好適に、前記ロジックトランジスタと前記電源遮断トランジスタについて、ソース領域とドレイン領域は不純物の種類と濃度が同じ第2導電型半導体領域から形成され、前記ソース領域と前記ドレイン領域間の第1導電型のウェル領域は不純物の種類と濃度が同じに設定され、前記ウェル領域上に形成されているゲート絶縁膜の材質と厚さが同じに設定され、前記ゲート絶縁膜上のゲート電極の材質が同じであり、かつ、前記ソース領域と前記ドレイン領域間の離間方向における前記ゲート電極のサイズが同じに設定されている。
【0015】
本発明では好適に、前記基板コンタクト領域が、前記半導体基板のトランジスタが形成されている表面と反対の裏面に形成されている。
あるいは好適に、前記基板コンタクト領域が、前記半導体基板のトランジスタが形成されている表面と裏面にともに接する側面に形成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、パワーゲーティングの適用に困難さをもたらすコストアップと性能低下のトレードオフを打開することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
《第1実施形態》
図1に、第1実施形態に関わる半導体集積回路の断面構造を示す。また、図2に、半導体集積回路の部分的な平面配置を示す。半導体集積回路は、半導体装置のチップ部分を指す。よって半導体装置はベアチップで供給される形態と、パッケージ化された形態がある。
第1実施形態は、電源供給経路を遮断するためのトランジスタ(以下、遮断トランジスタ)を有する半導体装置において、論理回路部分にディープNウェルを有することを特徴の1つとする。
【0019】
図1に図解する半導体集積回路1−1は、P型の半導体基板として、たとえばP型のシリコンウェハを有する。以下、このP型の半導体基板を「P型基板(PSUB)2」と称する。
【0020】
P型基板2は、一方の主面をトランジスタ形成面(または基板表面)と呼び、他の主面を裏面と呼ぶ。
基板表面から見ると、たとえば図2に示すように、ある機能を実現するための回路形成領域1Cが、論理回路の形成領域1Aと、論理回路の形成領域1Aに接して設けられ、論理回路の電源供給経路を遮断する電源遮断トランジスタPGTを含むパワーゲート領域(PGR)1Bとから形成されている。
なお、図2において論理回路の形成領域1Aとパワーゲート領域1Bの配置関係は、図示のように限定されず、縦長のパワーゲート領域1B、あるいは、不規則に孤立した複数のパワーゲート領域1Bの配置も可能である。
【0021】
図1は、互いに隣接した論理回路の形成領域1Aとパワーゲート領域1Bの箇所の断面を示す。
図1に示すように、P型基板2内の基板表面側にN型のウェル(Nウェル)3が形成されている。Nウェル3は、基板表面より深い位置に形成されているNウェル部分(以下、ディープNウェル)3Aと、ディープNウェル3Aから基板表面までに形成されている浅いNウェル3Bとから構成されている。
【0022】
一般に、ディープNウェルは、P型基板から伝達するノイズを低減するために、アナログ回路の形成領域(不図示)に設けられることが多い。
本実施形態では、ディープNウェル3Aを論理回路の形成領域1Aに設けている。浅いNウェル3BとディープNウェル3Aによって形成されているNウェル3は、「逆導電型ウェル」の実施例に該当する。
【0023】
Nウェル3内に、P型のウェル(以下、第1のPウェル)4が形成されている。第1のPウェル4は、基板表面を除く周囲を逆導電型ウェル、すなわちNウェル3に囲まれている。
【0024】
このような論理回路の形成領域1A側のウェル構造に対して、パワーゲート領域1Bでは、逆導電側ウェルが形成されてない。したがって、P型基板2内の基板表面側に直接、P型のウェル(以下、第2のPウェル)5が形成されている。
第2のPウェル5は、第1のPウェル4と別々に形成してもよいが、プロセスコスト削減のためには同時形成が好ましい。同時形成では、ウェル内のP型不純物の種類と深さ方向の濃度プロファイルが2つのウェル(第1のPウェル4と第2のPウェル5)でほぼ同じになる。
【0025】
このように形成されている第1のPウェル4と第2のPウェル5間は、「遮蔽部」により電位干渉が遮蔽されている。本明細書で「遮蔽」とは完全な電位干渉がないという意味ではなく、動作時に与えられる電位で動作に支障がないほど十分に電位干渉が抑圧されるという意味での遮蔽である。
具体的に「遮蔽部」は、Nウェル3の形成によって導入されたものである。図1で分かりやすさのためにダイオードの記号で示すように、第1のPウェル4とNウェル3間のPN接合(PN1)と、Nウェル3とP型基板2間のPN接合(PN2)とが形成されている。この2つのPN接合は、互いに逆向きのダイオードを形成するため電位遮蔽の効果がある。つまり、本実施形態における「遮蔽部」には、このような2つのPN接合を含む。
【0026】
第1のPウェル4内にN型ロジックトランジスタLTnが形成され、浅いNウェル3B内にP型ロジックトランジスタLTpが形成されている。
N型ロジックトランジスタLTnは、互いに離れたN型のソース領域6SとN型のドレイン領域6Dと、その間のPウェル領域上に形成されているゲート絶縁膜Fnおよびゲート電極Gnとを有する。
導電型が逆であるが、P型ロジックトランジスタLTpも同様に、ソース領域8S、ドレイン領域8D、ゲート絶縁膜Fpおよびゲート電極Gpを有する。
【0027】
一方、第2のPウェル5内に、N型の電源遮断トランジスタPGTが形成されている。
電源遮断トランジスタPGTは、互いに離れたN型のソース領域10SとN型のドレイン領域10Dと、その間のPウェル領域上に形成されているゲート絶縁膜Fgおよびゲート電極Ggとを有する。
【0028】
ここで、N型ロジックトランジスタLTnと電源遮断トランジスタPGTは同時に形成されることで、構造およびプロセスのパラメータがほぼ同じに設定されている。
そのため、N型ロジックトランジスタLTnと電源遮断トランジスタPGTは、ソースやドレインの不純物の種類と濃度、チャネルの不純物の種類と濃度、ゲート絶縁膜の材質と厚さ、ゲート電極の材質と厚さにおいて同じに設定されている。もちろん、同じといってもバラツキがあるが、本発明で「同じ」というときバラツキ程度の差があることを前提とし、かつ、意図的な差を設けていないことを意味する。
【0029】
たとえば図1に示すように、トランジスタ間が不図示の上層配線等で接続されている。図1に示す例では、電源電圧VDDの供給線と基準電圧VSS(例えば接地電圧GND)の供給線との間に、P型ロジックトランジスタLTp、N型ロジックトランジスタLTn、電源遮断トランジスタPGTが、この順で互いに直列に接続されている。2つのロジックトランジスタは、例えば、ゲートが共通に接続されてインバータを構成する。N型ロジックトランジスタLTnのソースと基準電圧VSS間に、電源遮断トランジスタPGTが接続されている。電源遮断トランジスタPGTは、このように論理回路の構成要素であるゲート回路の電源電流の供給経路に挿入されることで、論理回路への電源供給を制御する。電源遮断トランジスタPGTのゲート信号は不図示の制御回路から与えられる。
【0030】
本実施形態の特徴の1つは、遮蔽部(2つのPN接合)により区分される2つの基板領域、すなわち、第1のPウェル4内領域と、その他の基板領域のうち、第2のPウェル5側に基板コンタクト領域11を有することである。基板コンタクト領域11は、P型の不純物領域であり、外部から基板バイアス電圧VBBが与えられる。
この基板バイアス電圧VBBは、第2のPウェル5内に形成されている電源遮断トランジスタPGTのチャネル領域にバックバイアスとして作用する。なぜなら、基板バイアス電圧VBBの供給経路が全てP型の半導体から形成され、多少の抵抗はあるが、遮蔽部の効果はないためである。一方、基板バイアス電圧VBBは遮蔽部でブロックされ、N型ロジックトランジスタLTnのバックバイアスとして作用しない。
【0031】
基板バイアス電圧VBBの大きさによって、電源遮断トランジスタPGTの閾値電圧を上げ下げできる。通常、基板バイアス電圧VBBを基準電圧VSSより下げると、電源遮断トランジスタPGTの閾値電圧が上昇する。よって、論理回路の非動作時に、電源遮断トランジスタPGTに印加するゲート電圧等を同じにしたまま、閾値電圧を実効的に上げ、これによりリーク電流を低減できる。また、閾値電圧が上がることから、ロジックトランジスタと同じゲート電圧でも、電源遮断トランジスタPGTのオン抵抗が下がり、その分、論理回路に与えられる実効的な電源電圧振幅が増大する。よって、論理回路の動作速度が向上する。
また、そのために電源遮断トランジスタPGTのサイズが増大することはない。むしろ、動作速度が十分で余裕が生じれば、その分、サイズを小さくできて基板等の材料を節約し、また、収率を上げてコストを削減できる。
【0032】
図2に示すように、基板コンタクト領域11を設ける位置は、回路形成領域1Cより外側の領域とすることが望ましい。これにより、パワーゲート領域1Bに基板コンタクト領域を設けて、基板バイアス電圧VBBの供給配線をパワーゲート領域1B内に通すより、パワーゲート領域1Bの面積を大幅に小さくできる。よって、この面でもコスト削減効果が大きい。
【0033】
以下に述べる第2実施形態以降の実施形態は、第1実施形態の変形に該当する。よって、以上の説明と同一構成は、図面に同一符号を付して説明を省略または簡略化する。
【0034】
《第2実施形態》
図3に、第2実施形態に関わる半導体集積回路の断面構造図を示す。
本実施形態では、基板裏面に基板コンタクト領域11Aを設ける。この領域に接続する端子の数は、1つ以上の任意である。
チップ(半導体集積回路1−2)を組み立て時に、ダイパッドに対し、導電性のペーストを介してダイボンドすることがある。その場合、ダイパッドは接地電圧GND用ではなくて、基板バイアス電圧VBB用の外部端子(パッケージの端子)に接続されるようにする。通常の基準電圧VSSは、ワイヤボンドなどチップ表面からの接続のみとする。
また、3次元ICの場合、第1のチップ上に第2のチップを電気的、機械的に接合する場合がある。この場合、第2のチップの裏面を、第1のチップの表面に形成されている基板バイアス電圧VBBの印加パターンに接合する。これにより複雑なビアホール等の経路を経ることなく、第2のチップへの基板バイアス供給が容易に実現できる。
また、表面側の面積が節約できるので、実質的にチップサイズを小さくでき、その分、基板等の材料費の節約、収率の向上によるコスト削減が可能である。
【0035】
《第3実施形態》
図4に、第3実施形態に関わる半導体集積回路の断面構造図を示す。
本実施形態では、基板側面に基板コンタクト領域11Cを設ける。この領域に接続する端子の数は、1つ以上任意である。
ウェハをダイシングしてチップ(半導体集積回路1−3)にする前に、例えば、スクライブラインの一部を裏からエッチングして側面を露出させ、そこにP型領域(基板コンタクト領域11C)と電極を形成する。スクライブラインをカットすると、側面に基板コンタクト領域11Cが形成された半導体集積回路1−3が形成される。
第2実施形態と同様、本実施形態においても、表面側の面積が節約できるので、実質的にチップサイズを小さくでき、その分、基板等の材料費の節約、収率の向上によるコスト削減が可能である。また、3次元ICにおいて、チップの側面の有効利用ができるので、基板バイアス電圧VBBの配線資源を節約できる。半導体集積回路1−3を、3次元の中間のチップとすると、側面を介して上のチップの裏面接続構造(図3)と、下のチップの表面接続構造(図1)との接続が容易となる。
【0036】
《第4実施形態》
図5に、第4実施形態に関わる半導体集積回路の断面構造図を示す。
本実施形態では、基板側面に基板コンタクト領域11Cを設ける。この領域に接続する端子の数は、1つ以上の任意である。
ただし、半導体集積回路1−4は、いわゆるSOI構造を有する。半導体集積回路1−4は、P型基板2上に基板分離絶縁層20が形成され、その上の半導体層(SOI層)を有する。SOI層に、その厚さ方向に貫く絶縁材料により素子分離絶縁層21が形成され、これにより、SOI層が論理回路の形成領域1Aとパワーゲート領域1Bに分けられている。
この場合、他の実施形態と同様、第2のPウェル5外側のSOI層に基板コンタクト領域11を形成してもよいが、図示のように第2のPウェル5内に基板コンタクト領域11を形成してもよい。
あるいは、第2のPウェル5が露出する側面に基板コンタクト領域11Cを形成してもよい。
【0037】
なお、上記第1〜第4実施形態で、全ての導電型と不純物導電型を逆にし、かつ、電源遮断トランジスタPGTを、電源電圧VDDとP型ロジックトランジスタLTpのソース間に接続する変形を可能である。
【0038】
以上のように、第1〜第4の実施形態によれば、パワーゲーティングを実装する上で、プロセス工程の追加によるコストアップを回避しつつ、また動作速度劣化を抑制することができる。
通常のパワーゲートでは、閾値電圧の違う2種類のトランジスタを作り分けるが、本件では、閾値電圧の低い、1種類のトランジスタのみを使用する。一般的に、トランジスタの閾値電圧はプロセスのバラツキなどによって変化するが、トランジスタのチャネルに作用するように基板電位(基板バイアス電圧)を調整することによっても、閾値電圧を変化させることができる。Nチャネルトランジスタでは、トランジスタ直下のPウェルの電位を負電位にすることで、閾値を上昇させることができる。この特性を利用して、電源経路遮断用として挿入されているトランジスタの閾値電圧を上昇させて、オフ状態でのリーク電流を低減する。
【0039】
特に第1および第4実施形態では、P型基板2を通じて、バックゲートバイアスを供給するため、電源遮断トランジスタPGTの形成領域における金属配線部分の面積を削減することができる。
第2実施形態では、基板裏面からバックゲートバイアスを供給するため、直接Pウェルに接続する端子面積を削減できる。
第3実施形態では、基板側面からバックゲートバイアスを供給するため、直接Pウェルに接続する端子面積を削減できる。また3次元実装を行う場合、表面、裏面への接続性が制限されるため、それを解決する手法として、有効となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1実施形態に関わる半導体集積回路の断面構造図である。
【図2】第1実施形態に関わる半導体集積回路の部分的な平面配置図である。
【図3】第2実施形態に関わる半導体集積回路の断面構造図である。
【図4】第3実施形態に関わる半導体集積回路の断面構造図である。
【図5】第4実施形態に関わる半導体集積回路の断面構造図である。
【符号の説明】
【0041】
1−1〜1−4…半導体集積回路、1A…論理回路の形成領域、1B…パワーゲート領域、2…P型基板、3…Nウェル、3A…ディープNウェル、3B…浅いNウェル、4…第1のPウェル、5…第2のPウェル、11、11A〜11C…基板コンタクト領域、PGT…電源遮断トランジスタ、LTn…N型ロジックトランジスタ、LTp…P型ロジックトランジスタ、VBB…基板バイアス電圧、VDD…電源電圧、VSS…基準電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板に互いに離れて形成されている第1導電型の第1および第2ウェルと、
を有し、
前記第1ウェルに論理回路部のトランジスタが形成され、
前記第2ウェルに、前記論理回路部を駆動する電源電流の経路に接続されて、入力される制御信号に応じてオフし、前記経路を電気的に遮断する電源遮断トランジスタが形成され、
前記第1ウェルと前記第2ウェルとの間に、前記半導体基板内の電位干渉を遮蔽する遮蔽部が形成され、
前記遮蔽部により電位干渉が遮蔽された2つの基板領域のうち、前記第2ウェル側の基板領域に、前記電源遮断トランジスタに基板バイアスを印加するための基板コンタクト領域が形成されている、
電源遮断トランジスタを有する半導体装置。
【請求項2】
前記半導体基板と逆の第2導電型を有し、基板表面を除く前記第1ウェルの周囲を囲む逆導電型ウェルを導入することにより、当該逆導電型ウェルと前記第1ウェル間、および、当該逆導電型ウェルと前記半導体基板間に形成された互いに逆向きの2つのPN接合を、前記遮蔽部が含む
請求項1に記載の、電源遮断トランジスタを有する半導体装置。
【請求項3】
前記基板コンタクト領域が第1導電型を有し、共に第1導電型である前記基板コンタクト領域と前記第2ウェル間が、同じ第1導電型の半導体基板領域によって接続されている
請求項1に記載の、電源遮断トランジスタを有する半導体装置。
【請求項4】
前記基板コンタクト領域が、前記半導体基板のトランジスタ形成面を平面でみたときに、前記論理回路の形成領域と、当該論理回路の形成領域に接する前記電源遮断トランジスタの形成領域とからなる回路形成領域の周囲に配置されている
請求項1に記載の、電源遮断トランジスタを有する半導体装置。
【請求項5】
前記第1ウェル内にロジックトランジスタが形成され、
前記ロジックトランジスタと前記電源遮断トランジスタとは、閾値電圧が同じとなるトランジスタ構造を有する
請求項1に記載の、電源遮断トランジスタを有する半導体装置。
【請求項6】
前記ロジックトランジスタと前記電源遮断トランジスタについて、ソース領域とドレイン領域は不純物の種類と濃度が同じ第2導電型半導体領域から形成され、前記ソース領域と前記ドレイン領域間の第1導電型のウェル領域は不純物の種類と濃度が同じに設定され、前記ウェル領域上に形成されているゲート絶縁膜の材質と厚さが同じに設定され、前記ゲート絶縁膜上のゲート電極の材質が同じであり、かつ、前記ソース領域と前記ドレイン領域間の離間方向における前記ゲート電極のサイズが同じに設定されている
請求項5に記載の、電源遮断トランジスタを有する半導体装置。
【請求項7】
前記基板コンタクト領域が、前記半導体基板のトランジスタが形成されている表面と反対の裏面に形成されている
請求項1に記載の、電源遮断トランジスタを有する半導体装置。
【請求項8】
前記基板コンタクト領域が、前記半導体基板のトランジスタが形成されている表面と裏面にともに接する側面に形成されている
請求項1に記載の、電源遮断トランジスタを有する半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−302194(P2009−302194A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153083(P2008−153083)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】