説明

エンジンの排気浄化装置

【課題】噴射弁の持つ固体差や噴射量のバラツキを無くすることにより、効率的に排気浄化を行うことができるエンジンの排気浄化装置を提供する。
【解決手段】本発明のエンジンの排気浄化装置は、排気通路8に設けられ排気ガスを浄化するフィルタ20と、このフィルタよりも排気通路の上流側に設けられた酸化触媒18と、この酸化触媒の上流側の排気通路に設けられた排気燃料噴射弁32と、エンジンの減速燃料カット運転領域を検出する検出手段と、酸化触媒の温度に関連するパラメータ値(Tu)を検出するパラメータ値検出手段と、酸化触媒での酸素消費量を算出する酸素消費量算出手段39と、パラメータ値が所定の閾値以上で且つ減速燃料カット運転領域にあるとき、噴射指令値により排気燃料噴射弁から燃料を噴射させ、この噴射指令値に対応する目標噴射量と算出された酸素消費量から推定される実際の噴射量とのずれを学習する学習手段40と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気浄化装置に係わり、特に、酸素触媒を用いたエンジンの排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ディ−ゼルエンジン等の内燃機関の排気ガスに含まれる排気微粒子をフィルタにより捕獲して、外部へ排出される微粒子の量を低減することが行われている。
また、エンジンの窒素酸化物(NOX)を低減するために、排気ガスの一部を吸気通路に還流させて、燃焼を緩慢にさせるエンジンの排気還流装置(EGR装置)が設けられている。
【0003】
特許文献1には、エンジンの排気通路のフィルタより上流側に酸化触媒を設け、この酸化触媒により、排気ガス中のNO(一酸化窒素)を酸化してNO2(二酸化窒素)にして、このNO2で、下流側のフィルタに捕獲された排気微粒子を酸化してCO2(二酸化炭素)とし、排気微粒子を除去しているエンジンの排気浄化装置が記載されている。
この特許文献1のエンジンの排気浄化装置においては、さらに、排気微粒子によりフィルタが目詰まりした場合には、燃料の筒内噴射や排気管内へ噴射し、それにより、排気温度を上昇させて、フィルタに捕獲されている排気微粒子を燃焼除去して、フィルタを再生するようにしている。
【0004】
この特許文献1のエンジンの排気浄化装置においては、フィルタ再生中の未燃燃料を含んだ排気ガスが排気通路内を流れているとき、EGR装置を作動させて吸気側に排気ガスの一部であるEGRガスを流すと、EGR通路やエンジンの吸気通路に排気ガス中に含まれる未燃燃料が流れ込み、この未燃燃料が還流することにより、燃焼が不安定になったり、EGR通路が目詰まり故障を起すため、フィルタ再生中は、EGRガスの吸気通路への還流を停止するようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2005‐282477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたエンジンの排気浄化装置のように、フィルタ再生中に、EGRガスの吸気通路への還流を停止したのでは、EGR装置の本来の目的であるエンジンの窒素酸化物(NOX)を低減することできなくなるので、問題であった。
この問題を解決するため、本発明者らは、排気通路のEGR装置よりも下流側に新たに排気燃料噴射弁を設け、この排気燃料噴射弁から燃料を噴射することにより、フィルタを再生することを案出した(図1参照)。これにより、未燃燃料の吸気通路への還流が防止され、フィルタ再生中であっても、EGRガスを吸気通路へ還流させてエンジンの窒素酸化物(NOX)を低減することが可能となる。
【0007】
しかしながら、排気通路に排気燃料噴射弁を設ける場合、噴射弁には固体差があり、さらに、噴射弁の劣化に伴う噴射量のバラツキが大きいため、効率的な排気浄化を行うことが出来ないと言う新たな問題(課題)が生じた。
【0008】
そこで、本発明は、噴射弁の持つ固体差や噴射量のバラツキを無くすることにより、効率的に排気浄化を行うことができるエンジンの排気浄化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、エンジンの排気通路内の排気ガスを浄化するエンジンの排気浄化装置であって、排気通路に設けられエンジンから排出される排気ガスを浄化する浄化手段と、この浄化手段よりも排気通路の上流側に設けられた酸化触媒と、この酸化触媒の上流側の排気通路に設けられ燃料を噴射する排気燃料噴射弁と、エンジンの減速燃料カット運転領域を検出する運転領域検出手段と、酸化触媒の温度に関連するパラメータ値を検出するパラメータ値検出手段と、酸化触媒での酸素消費量を算出する酸素消費量算出手段と、パラメータ値検出手段により検出されたパラメータ値が所定の閾値以上で且つ減速燃料カット運転領域にあるとき、噴射指令値により排気燃料噴射弁から燃料を噴射させ、この噴射指令値に対応する目標噴射量と酸素消費量算出手段により算出された酸素消費量から推定される実際の噴射量とのずれを学習する学習手段と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、酸化触媒の上流側の排気通路に燃料を噴射する排気燃料噴射弁設け、酸化触媒の温度に関連するパラメータ値が所定の閾値以上で且つ減速燃料カット運転領域にあるとき、噴射指令値により排気燃料噴射弁から燃料を噴射させ、学習手段により、噴射指令値に対応する目標噴射量と酸素消費量算出手段により算出された酸素消費量から推定される実際の噴射量とのずれを学習するようになっている。この結果、本発明によれば、排気燃料噴射弁の噴射量の学習を容易に行うことができ、排気燃料噴射弁の固体差や噴射量のばらつきを無くすることができる。
【0010】
本発明は、好ましくは、更に、酸化触媒の劣化度合を推定する劣化度合推定手段と有し、この劣化度合推定手段により推定された酸化触媒の劣化度合が進むにつれてパラメータ値の閾値を増大させる。
このように構成された本発明においては、酸化触媒の劣化が進んでも、排気燃料噴射弁の噴射量の学習を正確に実行することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、浄化手段は、フィルタに捕獲された排気微粒子を再生させるフィルタであって、更に、フィルタに捕獲された排気微粒子を燃焼させて再生するフィルタ再生手段を有し、このフィルタ再生手段は、フィルタの再生を実行するとき、学習手段により学習された噴射量のずれを反映させて排気燃料噴射弁の噴射量を制御する。
このように構成された本発明においては、排気微粒子を捕獲するフィルタを再生する場合、排気燃料噴射弁の噴射量は学習されているので、フィルタ再生を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のエンジンの排気浄化装置によれば、噴射弁の持つ固体差や噴射量のバラツキを無くすることにより、効率的に排気浄化を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。先ず、図1により、本発明の実施形態によるエンジンの排気浄化装置を説明する。図1は本発明の第1実施形態によるエンジンの排気浄化装置を示す全体構成図である。なお、第1実施形態による排気浄化装置が適用されるエンジン(内燃機関)は、ディーゼルエンジンであるが、本発明は他のタイプのエンジンにも適用可能である。
【0014】
図1に示すように、符号1は、自動車のエンジンを示し、このエンジン1は複数の気筒を備えている。エンジン1には、吸気ポート2と排気ポート4が形成され、吸気ポート2には吸気通路6が、排気ポート4には排気通路8が、それぞれマニホールドを介して接続されている。
吸気通路6には、上流側から、エアクリーナ10、インタークーラ12、吸気制御弁14、サージタンク16等が設けられている。
【0015】
また、排気通路8には、上流側から、酸化触媒18、フィルタ20(「パティキュレートフィルタ」とも言う)が設けられている。この酸化触媒18により、排気ガス中のNO(一酸化窒素)を酸化してNO2(二酸化窒素)にして、このNO2で、下流側のフィルタ20に捕獲された排気微粒子を酸化してCO2(二酸化炭素)とし、排気微粒子を除去するようになっている。
ここで、本実施形態においては、酸化触媒18に限定されず、三元触媒等の酸化触媒系触媒であれば良い。
【0016】
また、吸気通路6と排気通路8には、ターボ過給機22が設けられており、このターボ過給機22の吸気側タービン及び排気側タービンにより、吸気および排気ガスが加圧されるようになっている。
【0017】
さらに、吸気通路6と排気通路8との間には、EGR装置23が設けられており、このEGR装置23は、排気通路8の排気ガスの一部を吸気通路6に還流させるEGR通路24、還流する排気ガスの量を制御するEGRバルブ26、EGRガスを冷却するEGRクーラ28を備えている。このEGR装置23により、排気通路8の排気ガスの一部を吸気通路6に還流させることにより、エンジンの窒素酸化物(NOX)を低減させるようになっている。
【0018】
次に、エンジン1には、燃焼室内に燃料を噴射する筒内燃料噴射弁30が設けられ、さらに、排気通路8のEGR装置23(EGR通路24)の下流側で且つ酸化触媒18の上流側には、燃料を噴射して酸化触媒18での酸化を促進する排気燃料噴射弁32が設けられている。これらの筒内燃料噴射弁30と排気燃料噴射弁32の役割については後述する。
【0019】
また、エンジン1の回転速度(Ne)を検出するためのエンジン速度センサ33、車両速度(Sv)を検出する車両速度センサ(図示せず)、及び、アクセル開度(θ)を検出するアクセル開度センサ(図示せず)が設けられている。
さらに、排気通路8のフィルタ20の上流側及び下流側には、ぞれぞれ、排気ガスの圧力(P1,P2)を検出する上流側排気圧力センサ34と下流側排気圧力センサ36が設けられ、詳細は後述するように、これらのセンサ34,36により得られた排気ガスの差圧(P1−P2)から、フィルタ20により捕獲された微粒子の量を推定するようになっている。なお、フィルタ20による排気微粒子の捕獲量を算出するために、一つの差圧センサを設けるようにしても良い。
【0020】
また、排気通路8の酸化触媒18の上流側には、酸化触媒上流排気温度(Tu)を検出するための第1排気ガス温度センサ37が設けられ、さらに、排気通路8の酸化触媒18とフィルタ20の間には、排気燃料噴射弁32の異常を判定するための排気ガスの温度を検出する第2排気ガス温度センサ38が設けられている。
また、排気通路8のフィルタ20の直ぐ下流には、酸化触媒下流酸素濃度(Do)を検出する酸度濃度センサ39が設けられている。
さらに、上述したEGRバルブ26の開度、筒内燃料噴射弁30による燃料噴射のタイミング及び噴射量、排気燃料噴射弁32による燃料噴射のタイミング及び噴射量を制御し且つ詳細は後述する排気燃料噴射弁32の目標噴射量と実際の噴射量のずれを学習するためのコントローラ40が設けられている。
【0021】
次に、図2により、本実施形態によるフィルタ再生のための制御内容を説明する。図2は、本発明の実施形態によるエンジンの排気浄化装置によるフィルタ再生の制御内容を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおけるSは、各ステップを示している。
【0022】
先ず、S1において、上流側排気圧力センサ34により検出されたフィルタ上流排気圧力(P1)、及び、下流側排気圧力センサ36により検出されたフィルタ下流排気圧力(P2)を入力する。
【0023】
次に、S2において、フィルタ上流排気圧力(P1)とフィルタ下流排気圧力(P2)との差圧(P1−P2)により、フィルタ20における排気微粒子の捕獲量(M)を算出する。この差圧(P1−P2)が大きいほど排気微粒子の捕獲量(M)が多くなり、両者の関係は予め算出されている。
【0024】
次に、S3において、排気微粒子の捕獲量(M)が第1所定値(Y)以下であるか否かを判定し、排気微粒子の捕獲量(M)が第1所定値(Y)より多い場合には、S4に進み、排気微粒子の捕獲量(M)が第1所定値(Y)よりも大きな値である第2所定値(X)以上か否かを判定し、排気微粒子の捕獲量(M)が第2所定値(X)以上の場合には、S5に進み、再生実行フラグを「1」とする。
一方、S3において、排気微粒子の捕獲量(M)が第1所定値(Y)以下であると判定された場合には、S6に進み、再生実行フラグを「0」とする。
さらに、S4において、排気微粒子の捕獲量(M)が第2所定値(X)より少ないと判定された場合には、S7に進み、再生実行フラグが「1」か否かを判定する。
【0025】
換言すれば、これらのS3〜S7においては、フィルタによる排気微粒子の捕獲量(M)が第2所定値(X)以上でフィルタの再生を開始し、排気微粒子の捕獲量(M)が第1所定値(Y)(但し、X>Y)以下でフィルタの再生を終了するようになっている。
【0026】
次に、S8に進み、フィルタ再生を実行する。具体的には、筒内燃料噴射弁30により主噴射が実行された後、筒内燃料噴射弁30により第1後噴射が実行され、且つ、排気燃料噴射弁32により第2後噴射が実行されることにより、フィルタ再生が実行されるようになっている。
【0027】
このフィルタ再生をより具体的に説明すると、図3に示すように、エンジン1の圧縮行程上死点付近で筒内燃料噴射弁30により主噴射が実行された後、筒内燃料噴射弁30により、膨張行程で、第1後噴射が実行され、次に、排気燃料噴射弁32により、排気行程で、第2後噴射が実行されるようになっている。
ここで、排気燃料噴射弁32による第2後噴射の噴射タイミングは、エンジン1の各気筒の排気行程で排出される排気ガスが排気燃料噴射弁32を通過するタイミングとなるように制御されるのが好ましい。これにより、排気燃料噴射弁32による第2後噴射がエンジン1から排出された排気ガスと混合され、酸化触媒18において、良好な酸化反応が可能となる。
【0028】
本実施形態によれば、筒内燃料噴射弁30により主噴射に続く第1後噴射を実行することで、エンジン1から排出される排気ガスの温度を上昇させて、酸化触媒18の温度上昇(活性化)を図っている。さらに、排気燃料噴射弁32により第2後噴射を実行することで、活性化した酸化触媒18に未燃燃料を供給して酸化させることで、フィルタ20に流入する排気ガスの温度を急上昇させて、フィルタ20に捕獲されている排気微粒子を燃焼させている。
【0029】
次に、図4により、本実施形態による排気燃料噴射弁の目標噴射量と実際の噴射量のずれを学習するための学習制御内容を説明する。図4は、本発明の実施形態によるエンジンの排気浄化装置による排気燃料噴射便の目標噴射量と実際の噴射量のずれを学習するための学習制御内容を示すフローチャートである。図4のフローチャートにおけるSは、各ステップを示している。
【0030】
先ず、S11において、第1排気ガス温度センサ37により検出された酸化触媒上流排気温度(Tu)、酸度濃度センサ39により検出された酸化触媒下流酸度濃度(Do)、車両速度センサにより検出された車両速度(Sv)、アクセル開度センサにより検出されたアクセル開度(θ)、及び、エンジン速度センサ33により検出されたエンジン回転速度(Ne)をそれぞれ入力する。
【0031】
次に、S12に進み、酸化触媒上流排気温度(Tu)を積算し、このTu積算値に基づき酸化触媒18の劣化度合を算出する。このS12においては、酸化触媒18の劣化度合を熱履歴から推定するようにしている。そのため、酸化触媒18の劣化度合は、酸化触媒上流排気温度(Tu)に限らず、酸化触媒下流排気温度や、酸化触媒上流側と下流側の両方の排気温度により推定するようにしても良い。
【0032】
次に、S13に進み、詳細は後述する排気燃料噴射噴射弁32の目標噴射量と実際の噴射量のずれを学習するための条件である酸化触媒上流排気温度(Tu)の閾値を算出する。この酸化触媒上流排気温度(Tu)の閾値は、酸化触媒18の劣化度合が大きいほど大きな値となる。酸化触媒は、劣化度合が進むにつれて燃料を酸化し難くなるので、劣化が進むにつれて酸化し易くするために、学習実行閾値である酸化触媒上流排気温度(Tu)を上昇させている。このため、酸化触媒18の劣化が進んでも、後述する排気燃料噴射弁32の噴射量の学習を正確に実行することができる。
なお、この排気燃料噴射噴射弁32の目標噴射量と実際の噴射量のずれを学習するための条件として、この酸化触媒上流排気温度(Tu)以外の酸化触媒の温度に関連するパラメータである酸化触媒下流排気温度や、酸化触媒の上流側と下流側の両方の排気温度の閾値を算出するようにしても良い。
【0033】
次に、S14に進み、学習完了フラグが「1」か否かを判定する。エンジン始動後は噴射量のずれの学習は実行されていないので「0」と設定されている。ここで、エンジン始動後に1度のみ学習が実行され、次回のエンジンが始動されるまで、学習は実行しないようになっている。
【0034】
次に、S15において、車両速度(Sv)がゼロか否かを判定し、ゼロでなければ(即ち、車両が走行中であれば)、S16に進み、アクセル開度(θ)が全閉か否かを判定し、全閉であれば(即ち、アクセルが操作されていなければ)、S17に進み、エンジン回転速度(Ne)が復帰回転数以下か否かを判定し、復帰回転数より大きければ、S18に進む。ここで、復帰回転数とは、エンストを防止するための閾値であり、エンジン回転速度がこの閾値以下となった場合には自動的に燃料が噴射される。
これらのS15、S16、S17は、エンジンが「減速燃料カット運転領域」か否かを判定するためのステップである。即ち、学習実行中の排気通路8の酸素濃度の状態を大気酸素濃度状態にしておく必要があるからである。
【0035】
「減速燃料カット運転領域」であれば、S18に進み、酸化触媒上流排気温度(Tu)が閾値以上か否かを判定する。即ち、酸化触媒18に燃料を供給したとき、酸化触媒18が燃料を酸化できる温度状態になっているか否かを判定する。なお、酸化触媒18の劣化度合に応じて、この閾値は変更される(S13参照)。
【0036】
酸化触媒上流排気温度(Tu)がS13に示す閾値以上の場合には、S19に進む。上述したS14〜S18において、学習制御実行条件が成立したので、目標噴射量に対応する噴射指令値を排気燃料噴射弁32に送り、排気燃料噴射弁32から燃料を噴射する。
【0037】
次に、S20に進み、酸化触媒18での酸素消費量を算出する。ここで、酸素消費量は、大気酸素濃度から酸素濃度センサ39により検出された酸化触媒下流酸度濃度(Do)を引いた値(=大気酸素濃度−Do)として求められる。
【0038】
次に、S21に進み、排気燃料噴射弁32の噴射指令値による目標噴射量と酸素消費量から算出された実際の噴射量のずれを学習する。
その後、S22に進み、学習完了フラグを「1」に設定する。
【0039】
本実施形態によれば、酸化触媒18の上流側の排気通路8に燃料を噴射する排気燃料噴射弁32を設け、酸化触媒18の温度に関連するパラメータ値(酸化触媒上流排気温度(Tu))が所定の閾値以上で且つ減速燃料カット運転領域にあるとき、噴射指令値により排気燃料噴射弁32から燃料を噴射させ、噴射指令値に対応する目標噴射量と算出された酸素消費量から推定される実際の噴射量とのずれを学習するようになっている。この結果、本実施形態によれば、排気燃料噴射弁32の噴射量の学習を容易に行うことができ、排気燃料噴射弁32の固体差や噴射量のばらつきを無くすることができる。
【0040】
本実施形態においては、図4に示す学習制御により求められた排気燃料噴射弁の目標噴射量と実際の噴射量のずれを反映させた噴射指令値を排気燃料噴射弁32に供給して、フィルタ再生を実行するようになっている。この結果、本実施形態によれば、排気微粒子を捕獲するフィルタ20を再生する場合、排気燃料噴射弁32の噴射量は学習されているので、フィルタ再生を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態によるエンジンの排気浄化装置を示す全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態によるエンジンの排気浄化装置によるフィルタ再生の制御内容を示すフローチャートである。
【図3】図2のS8におけるフィルタ再生を実行するときの燃料噴射を示すタイムチャートである。
【図4】本発明の実施形態によるエンジンの排気浄化装置による排気燃料噴射便の噴射量のずれ学習制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
1 エンジン
6 吸気通路
8 排気通路
18 酸化触媒
20 フィルタ
23 EGR装置
24 EGR通路
26 EGRバルブ
30 筒内燃料噴射弁
32 排気燃料噴射弁
33 エンジン速度センサ
34 上流側排気圧力センサ
36 下流側排気圧力センサ
37 第1排気ガス温度センサ
38 第2排気ガス温度センサ
39 酸素濃度センサ
40 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気通路内の排気ガスを浄化するエンジンの排気浄化装置であって、
排気通路に設けられエンジンから排出される排気ガスを浄化する浄化手段と、
この浄化手段よりも排気通路の上流側に設けられた酸化触媒と、
この酸化触媒の上流側の排気通路に設けられ燃料を噴射する排気燃料噴射弁と、
上記エンジンの減速燃料カット運転領域を検出する運転領域検出手段と、
上記酸化触媒の温度に関連するパラメータ値を検出するパラメータ値検出手段と、
上記酸化触媒での酸素消費量を算出する酸素消費量算出手段と、
上記パラメータ値検出手段により検出されたパラメータ値が所定の閾値以上で且つ上記減速燃料カット運転領域にあるとき、噴射指令値により上記排気燃料噴射弁から燃料を噴射させ、この噴射指令値に対応する目標噴射量と上記酸素消費量算出手段により算出された酸素消費量から推定される実際の噴射量とのずれを学習する学習手段と、
を有することを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
【請求項2】
更に、上記酸化触媒の劣化度合を推定する劣化度合推定手段と有し、この劣化度合推定手段により推定された酸化触媒の劣化度合が進むにつれて上記パラメータ値の閾値を増大させる請求項1に記載のエンジンの排気浄化装置。
【請求項3】
上記浄化手段は、上記フィルタに捕獲された排気微粒子を再生させるフィルタであって、更に、上記フィルタに捕獲された排気微粒子を燃焼させて再生するフィルタ再生手段を有し、このフィルタ再生手段は、フィルタの再生を実行するとき、上記学習手段により学習された噴射量のずれを反映させて排気燃料噴射弁の噴射量を制御する請求項1又は請求項2に記載のエンジンの排気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−144626(P2010−144626A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322901(P2008−322901)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】