説明

ダブルパターン形成方法

【解決手段】被加工基板上に、化学増幅ポジ型レジスト組成物を塗布し、レジスト膜を形成する工程、該膜に第1ポジ型パターンを得る工程、更に該ポジ型パターンに反転膜形成用組成物に使用される有機溶剤への耐性を与える工程、第2化学増幅ポジ型レジスト材料で反転膜を形成し、該膜に第2ポジ型パターンを得る工程を含み、更に第2ポジ型レジストパターンを得るアルカリ現像液工程において、上記アルカリ性現像液に可溶に反転された第1ポジ型パターンが、第2パターンを得る工程中に溶解除去、反転転写される工程を含むダブルパターン形成方法。
【効果】本発明によれば、ヒドロキシ基含有溶剤や高極性溶剤を用い反転用膜の第2レジスト膜を成膜しても、第1ポジ型レジストパターンにダメージを与えず、間隙に第2レジスト材料を埋め込むことができ、第1ポジ型パターンを現像液でアルカリ可溶除去でき、簡易な工程で高精度なポジネガ反転を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に露光と現像によってポジ型パターンを形成し、熱等によって該パターンをアルカリ可溶にし、その上へ反転膜形成用組成物として第2のポジ型レジスト材料を塗布し、第2のポジ型レジスト膜へ露光、ベーク、現像することで、第2のポジ型パターンを得るが、このとき第1のパターンはアルカリ可溶性に転じているので同時に現像除去することができる、反転転写された第1のパターンと第2のポジ型パターンを同時に重ねて形成するダブルパターニング形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFエキシマリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F2リソグラフィーの先送りと、ArF液浸リソグラフィーの早期導入が提唱された(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 4690 xxix)。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいて、投影レンズとウエハーの間に水を含浸させることが提案されている。193nmにおける水の屈折率は1.44であり、NA(開口数)1.0以上のレンズを使ってもパターン形成が可能で、理論上はNAを1.44近くにまで上げることができる。当初、水温変化に伴う屈折率変化による解像性の劣化やフォーカスのシフトが指摘された。水温を1/100℃以内にコントロールすることと、露光によるレジスト膜からの発熱による影響もほぼ心配ないことが確認され、屈折率変化の問題が解決された。水中のマイクロバブルがパターン転写されることも危惧されたが、水の脱気を十分に行うことと、露光によるレジスト膜からのバブル発生の心配がないことが確認された。1980年代の液浸リソグラフィーの初期段階では、ステージを全て水に浸ける方式が提案されていたが、高速スキャナーの動作に対応するために投影レンズとウエハーの間のみに水を挿入し、水の給排水ノズルを備えたパーシャルフィル方式が採用された。水を用いた液浸によって原理的にはNAが1以上のレンズ設計が可能になったが、従来の屈折率系による光学系では巨大なレンズになってしまい、レンズが自身の自重によって変形してしまう問題が生じた。よりコンパクトなレンズ設計のために反射屈折(Catadioptric)光学系が提案され、NA1.0以上のレンズ設計が加速された。NA1.2以上のレンズと強い超解像技術の組み合わせで45nmノードの可能性が示され(非特許文献2:Proc. SPIE Vol. 5040 p724)、更にはNA1.35のレンズの開発も行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低ラインエッジラフネス(LWR)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等が挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
NA1.35レンズを使った水液浸リソグラフィーの最高NAで到達できる解像度は40〜38nmであり、32nmには到達できない。そこで更にNAを高めるための高屈折率材料の開発が行われている。レンズのNAの限界を決めるのは投影レンズ、液体、レジスト膜の中で最小の屈折率である。水液浸の場合、投影レンズ(合成石英で屈折率1.5)、レジスト膜(従来のメタクリレート系で屈折率1.7)に比べて水の屈折率が最も低く、水の屈折率によって投影レンズのNAが決まっていた。最近、屈折率1.65の高透明な液体が開発されてきている。この場合、合成石英による投影レンズの屈折率が最も低く、屈折率の高い投影レンズ材料を開発する必要がある。LUAG(Lu3Al512)は屈折率が2以上であり、最も期待される材料ではあるが、複屈折率と吸収が大きい問題を持っている。また、屈折率1.8以上の投影レンズ材料が開発されたとしても屈折率1.65の液体ではNAは1.55止まりであり、35nmを解像できるが32nmは解像できない。32nmを解像するには屈折率1.8以上の液体と屈折率1.8以上のレジスト及び保護膜が必要である。屈折率1.8以上の材料で最も問題なのは高屈折率液体であり、今のところ吸収と屈折率がトレードオフの関係にあり、このような材料は未だ見つかっていない。アルカン系化合物の場合、屈折率を上げるためには直鎖状よりは有橋環式化合物の方が好ましいが、環式化合物は粘度が高いために露光装置ステージの高速スキャンに追随できない問題もはらんでいる。また、屈折率1.8の液体が開発された場合、屈折率の最小がレジスト膜になるために、レジスト膜も1.8以上に高屈折率化する必要がある。
【0006】
ここで最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである(非特許文献3:Proc. SPIE Vol. 5754 p1508 (2005))。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工する。その後、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分へフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成し、ハードマスクをドライエッチングで加工して、最初のパターンピッチの半分に相当するラインアンドスペースパターンを形成する方法である。
【0007】
もう一つの工程例として、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、もう一度その上にフォトレジスト膜を塗布し、ハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する。
【0008】
これら工程のいずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。前者、後者の方法においても、基板加工のエッチングは2回必要なため、スループットの低下と2回のエッチングによるパターンの変形や位置ずれが生じる問題がある。
【0009】
エッチングを1回で済ませるために、1回目の露光でネガ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料を用いる方法がある。1回目の露光でポジ型レジスト材料を用い、2回目のレジストとしてポジ型レジスト材料を溶解しない炭素数4以上の高級アルコールに溶解させたネガ型レジスト材料を用いる方法もある。これらの場合、解像性が低いネガ型レジスト材料を使う解像性の劣化が生じる。
【0010】
1回目の露光と2回目の露光の間にPEB(post−exposure bake)、現像を行わない方法は、最もシンプルでスループットが高い方法である。この場合、1回目の露光を行い、位置をずらしたパターンが描画されたマスクに交換して2回目の露光を行い、PEB、現像、ドライエッチングを行う。しかしながら、1回目の露光の光のエネルギーと2回目の光のエネルギーが相殺されるために、コントラストが0になってパターンが形成されなくなる。この場合、2光子吸収の酸発生剤やコントラスト増強膜(CEL)を使って酸発生を非線形にしてやるとハーフピッチだけずらした露光でもエネルギーの相殺が比較的小さく、低いコントラストながらもずらした分だけピッチが半分になったパターンが形成できることが報告されている(非特許文献4:Jpn. J. App. Phys. Vol. 33 (1994) p6874−6877, Part 1, No. 12B, December 1994)。この時、1回の露光毎にマスクを交換するとスループットが非常に低下するので、ある程度まとめて1回目の露光を行った後に2回目の露光を行う。但しこの場合、1回目の露光と2回目の露光の間の放置時間による酸の拡散による寸法変動等へのケアは必要になる。
【0011】
ダブルパターニングに限らず、細いスペースパターンやホールパターンを形成する技術としては、前述のネガ型レジスト材料を用いる方法や、サーマルフロー法、RELACS法が挙げられるが、ネガ型レジスト材料は前述したようにレジスト自身の解像性が低い問題点がある。一方、微細なスペースパターンを得る方法としてサーマルフロー法が挙げられる。形成したスペースパターンをレジストパターンのTg(ガラス転移点)より高い温度で加熱することによって、パターンがフローすることでスペースを狭くする技術である。もう一方で、微細なスペースパターンを得る方法として挙げられるRELACS法は、スペースパターンへレジストパターンを溶解しない溶剤に溶解した組成物を塗布し、ケミカルアタッチメントを熱によって付加することで、スペースを狭くできる方法として知られている。
【0012】
ところで、ポジ型パターンを反転させてネガ型パターンを形成する方法は古くからよく知られており、例えば特開平2−154266号公報(特許文献1)、特開平6−27654号公報(特許文献2)にはパターン反転可能なナフトキノンレジスト、FIB露光で硬化させた部分をその後の全面照射によって残す方法(特許文献3:特開昭64−7525号公報)、ナフトキノンジアジドの感光剤が露光によって生じたインデンカルボン酸を、塩基存在下における加熱処理でインデンにすることによってアルカリ不溶にし、全面露光によってポジネガ反転を生じさせる方法(特許文献4:特開平1−191423号公報、特許文献5:特開平1−92741号公報)が提案されている。
【0013】
また、現像液を変えることによるポジネガ反転方法では、t−BOC(tert−ブトキシカルボニル基)で部分保護したヒドロキシスチレンの有機溶媒現像や、超臨界二酸化炭素による現像によってネガ型パターンを得る方法が提案されている。
【0014】
珪素含有材料を用いたポジネガ反転技術としては、ポジ型レジストパターンのスペース部分をシリコン含有膜で覆い、酸素ガスエッチングでエッチングすることによって、ポジ型パターン部分をエッチング除去してシリコン含有膜パターンを得るポジネガ反転を行い、微細ホールパターンを形成する方法が提案されている(特許文献6:特開2001−92154号公報、特許文献7:特開2005−43420号公報)。
【0015】
いずれのポジネガ反転の手法も、工程が煩雑であって実用的ではなく、パターン反転した膜を更に加工して微細なパターンを形成することはできないものばかりである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平2−154266号公報
【特許文献2】特開平6−27654号公報
【特許文献3】特開昭64−7525号公報
【特許文献4】特開平1−191423号公報
【特許文献5】特開平1−92741号公報
【特許文献6】特開2001−92154号公報
【特許文献7】特開2005−43420号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 4690 xxix
【非特許文献2】Proc. SPIE Vol. 5040 p724
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 5754 p1508 (2005)
【非特許文献4】Jpn. J. App. Phys. Vol. 33 (1994) p6874−6877, Part 1, No. 12B, December 1994
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
高集積化、高速度化が進むLSIを生産する際、極めて微細なパターンルールを加工する技術として、ダブルパターニングが提案、報告されているが、その方法は簡便でなく、1回目のリソグラフィー後、次いでエッチングを行い、その後2回目のリソグラフィー後、更にエッチングを行う(2リソ、2エッチ)工程など煩雑であった。少なくとも、2回のリソグラフィーによるパターニング後、1回のエッチングで加工する技術の開発が望まれた。しかしながら、1回目のパターンを2回目のレジスト材料に用いられる有機溶剤に不溶にする技術やその第1レジストの解像性能の向上、第2レジストの解像性能の向上も重要な解決課題としてあった。
【0019】
ダブルパターニングに限らず、微細なスペースを加工することは非常に重要であって、ネガ型レジスト材料を用いる方法や、サーマルフロー法、RELACS法が挙げられる。しかしながら、ネガ型レジスト材料を用いる方法は、レジスト自身の解像性が低い問題点がある。一方、微細なスペースパターンを得る方法としてサーマルフロー法が挙げられる。しかしながら、サーマルフロー法は微細化が進むと共に、フローさせるパターンの量が少なくなることから、十分なフロー量を稼ぐことが困難になりつつある。また、高解像性能を示すレジスト材料のTg(ガラス転移点)は高いことが一般的で、工程中、適当な加熱温度では十分なフローを得られない事実もある。サーマルフローによる微細化に限界が観えてきたとする考えもある。更に微細なスペースパターンを得る方法として挙げられるRELACS法は、スペースパターンへケミカルアタッチメントを熱によって付加し、スペースを狭く加工する方法として知られているが、スペースを形成したレジスト材料のタイプによってアタッチメント量が異なったり、熱による寸法シュリンク時にバラツキが生じたりする問題があった。また、パターン欠陥を生じ易い問題もはらんでいることも否めない。
【0020】
高集積化、高速度化が進むLSIを生産する際、極めて微細なパターンルール、特に微細なスペースパターンを必要とする構造層が存在する。ところが、スペースパターンのみの微細化の向上だけでは不十分で、実は同じ層において、孤立のラインも存在したり、ピッチやラインとスペースの比率(Duty Ratio)の異なったパターンが存在したりすることから、両者の微細化を両立させなければならない。スペースの解像性能を高める要素と孤立ラインの解像性能を向上させる要素は全く異なっており、それぞれの微細化、並びにプロセスマージンの向上はトレードオフの関係にあることが一般的であって、同時に解決することは高集積化、高速度化が進むほど至難となってきている。
【0021】
一方、解像性の高いポジ型パターンを得た後、ネガ型に反転することができれば、微細なスペースパターンを得ることができる。上述した通り、高い解像性が得られるポジ型レジスト材料より得たポジ像をネガ型パターンに反転する方法は種々報告されているが、いずれのポジネガ反転の手法も、工程が煩雑であって実用的ではない。パターン反転した膜を更に加工して微細なパターンを形成することはできないものばかりである。ここには、反転転写の例だけで、反転転写する膜にリソグラフィーを施すパターニングを加えたダブルパターニングの例示はない。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するために、本発明者らは種々の検討を鋭意行った結果、第1の化学増幅ポジ型レジスト材料用樹脂中において部分架橋化処理を行うことによって、必要な有機溶剤耐性を得られる程度で架橋を進行させ、かつアルカリ性現像液に溶解可能にとどめることから、反転用の膜を塗布することによって、上記操作のポジネガ反転による微細なスペースパターンの形成が可能であることを見出した。更に合わせて、反転転写を目的とした塗布される膜をポジ型レジスト膜とすることによって、第1のレジストパターンが反転転写される膜材料へリソグラフィー加工できるダブルパターニングが可能な方法を見出した。
【0023】
本発明は、従って、下記のダブルパターン形成方法を提供する。
即ち、本発明は、被加工基板上に、酸によって脱離する酸不安定基によって保護されたアルカリ可溶性基を持つ構造を有する繰り返し単位を有する樹脂、光酸発生剤及び有機溶剤を含有する化学増幅ポジ型レジスト膜形成用組成物を塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせてアルカリ可溶とした後、アルカリ性現像液で現像して第1のポジ型パターンを得る工程、更に該ポジ型パターンを得る工程で得られたレジストパターン中の上記樹脂の酸不安定基を脱離させると共に、該樹脂にアルカリ性現像液に対する溶解性を失わない範囲で架橋を形成させて、レジストパターンに反転膜形成用組成物に使用される有機溶剤に対する耐性を与える工程、その後、反転膜形成用組成物として酸によって脱離する酸不安定基によって保護されたアルカリ可溶性基を持つ構造を有する繰り返し単位を有する樹脂を含有する第2の化学増幅ポジ型レジスト材料を用いて反転膜を形成し、第2の化学増幅型レジスト材料の溶剤をプリベークにより該反転膜から除去し、該反転膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせた後、アルカリ性現像液で現像して、第2のポジ型パターンを得る工程を含み、更に第2のポジ型レジストパターンを得るアルカリ現像液工程において、上記アルカリ性現像液に可溶に反転された第1のポジ型パターンが、第2のポジ型パターンを得る工程中に溶解除去、反転転写される工程を含むことを特徴とする上記第1のポジ型レジスト膜の反転転写パターンを得る工程と、第2のレジストポジ型パターン形成させるダブルパターン形成方法である(請求項1)。
【0024】
本発明者らは、第1のレジスト膜のポジ型パターンを構成する樹脂間を一部架橋させることと、酸不安定基を脱離させて得られるアルカリ性現像液への可溶性を保持したまま、有機溶剤に対する耐性を同時に満たす点があることを見出したが、これを利用することで、ポジネガ反転の最終工程におけるポジ型パターン部分の除去工程の大幅な簡略化が可能となったものである。更に反転転写される膜が、リソグラフィー可能な化学増幅ポジ型レジスト材料とすることによって、ダブルパターニングが可能となったものである。
【0025】
更に本発明は、上記第2のポジ型レジストパターンの形成露光において、第2のパターンを、第1のパターンの間に露光し、アルカリ現像除去できるスペースとして、第1のポジ型レジストパターンの反転転写したスペースパターンの間に形成することにより、ラインとスペースの繰り返しパターンを被加工基板上に形成させるダブルパターン形成方法が好ましい(請求項2)。
これにより、微細なライン&スペースを被加工基板上に2回のリソグラフィーでパターン形成し、その後1回のエッチングで行うことができる簡便なダブルパターニングを提供するものである。
【0026】
更に本発明は、上記第2のポジ型レジストパターンの形成露光において、第1のパターンより離れたところへ露光することにより、第1の反転転写したパターンとは別に第2のポジ型レジストパターンを被加工基板上に形成させるダブルパターン形成方法が好ましい(請求項3)。
このダブルパターニングも被加工基板上に2回のリソグラフィーでパターン形成し、その後1回のエッチングを行うことができる簡便なダブルパターニングを提供しているが、シングルパターニング(1回の露光だけでパターニングする)においては、微細なスペースパターンと、孤立ラインやピッチやライン&スペースの比率(Duty Ratio)の異なったパターンのプロセスマージンの向上は、トレードオフ関係にあって至難とされるが、本発明のダブルパターニングによって、どちらのプロセスマージンも改善、向上させることが可能となる。即ち、反転した第1のレジストパターンによって、微細なスペースを解像せしめ、混在する孤立ラインやピッチやライン&スペースの比率(Duty Ratio)の異なったパターンを第2のポジ型レジスト材料によって形成させることができるので、それぞれのプロセスマージンを向上させる利点があると言える。
【0027】
本発明のダブルパターニング方法は、パターン間のピッチを狭めるだけでなく、交差するパターンの2回の露光と、1回目のパターンのポジネガ反転によって様々なパターンを形成することができる。例えば十字型のホールパターンや、ホールの間の壁が非常に狭いホールを形成することができる(請求項4〜6)。
本発明の第1レジストパターンの形成方法を行うためには、上記第1の化学増幅ポジ型レジスト膜形成用組成物が、ラクトン環を有する繰り返し単位と、酸によって脱離する酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基を持つ脂環構造を有する繰り返し単位を有する樹脂を含有するポジ型レジスト材料であるダブルパターン形成方法が好ましい(請求項7)。
ラクトン環構造は、レジスト膜に密着性を与える単位として知られているが、この単位を含む材料は、第2のレジスト材料の有機溶剤に耐性を与える工程での架橋形成に有利に使用できる。
【0028】
更に本発明の一態様は、第1の化学増幅ポジ型レジスト膜形成用組成物が、7−オキサノルボルナン環を有する繰り返し単位と、酸によって脱離する脂環構造の酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基を持つ繰り返し単位を有する樹脂を含有するポジ型レジスト材料であって、得られたパターンに熱を加えて、パターン中の高分子化合物の酸不安定基を脱離させる際、該パターン中の高分子化合物の架橋と酸不安定基の脱離とを同時に行うことのできる樹脂を含有するポジ型レジスト材料であるダブルパターン形成方法が好ましい(請求項8)。
7−オキサノルボルナン環は特に有利に有機溶剤に対する耐性を与える。
【0029】
上記7−オキサノルボルナン環を有する繰り返し単位の好ましい一態様として、下記一般式(a)に示される繰り返し単位を挙げることができる(請求項9)。
【化1】

(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよいが、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基の場合、式中のエステル基に連結した炭素原子は1級又は2級である。R3、R4、R5は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。aは0<a<1.0の範囲である。)
【0030】
また、酸によって脱離する酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基を持つ繰り返し単位の好ましい一態様として、下記一般式(b)で示される繰り返し単位を挙げることができる(請求項10)。
下記構造の単位を有することにより、酸との反応により容易に溶解速度を上げることが可能となり、第1レジスト膜の解像性能を向上させるだけでなく、反転転写用の膜でもある第2レジスト膜へのアルカリ性現像液による除去を容易にすることができる。
【化2】

(式中、R6は水素原子又はメチル基、R7は酸不安定基を示す。bは0<b≦0.8の範囲である。)
【0031】
上記第1レジストパターンの反転膜形成用の組成物としての第2の化学増幅ポジ型レジスト材料が、ラクトン環を有する繰り返し単位と、酸によって脱離する酸不安定基によって保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有する樹脂を含有するポジ型レジスト材料であることが好ましい(請求項11)。
ラクトン環構造は、レジスト膜に密着性を与える単位として第1レジスト膜と同様である。
【0032】
更に、上記第1レジストパターンの反転膜形成用の組成物としての第2の化学増幅ポジ型レジスト材料が含有する樹脂における酸によって脱離する酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基を持つ繰り返し単位が、下記一般式(c)で示される繰り返し単位であることが好ましい(請求項12)。
【化3】

(式中、R8は水素原子又はメチル基、R9は酸不安定基を示す。cは0<c≦0.8の範囲である。)
【0033】
本発明に利用する上記第1レジストパターン反転膜形成用組成物としての第2の化学増幅ポジ型レジスト材料の特に有利な態様は、酸によって脱離する酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基を持つ繰り返し単位が、ポリシロキサン化合物であることが好ましい(請求項13)。
これは、被加工基板に対するエッチング選択比の改善に有用であることを謳える。
【0034】
更に該ポリシロキサン化合物が、下記一般式(1)及び(2)で表される構造単位と、更に第3として下記一般式(3)で表される構造単位を有するポリシロキサン化合物であることが好ましい(請求項14)。
【化4】

(式中、R10は官能基としてヒドロキシ基を持ち、かつ、該ヒドロキシ基が結合する炭素原子に更に結合する炭素原子上に合計3つ以上のフッ素原子が置換されており、該フッ素原子の他にハロゲン、酸素、又はイオウ原子を含んでいてもよい炭素数3〜20の直鎖状、分岐状又は環状、又は多環状骨格を持った1価有機基であり、R11は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状骨格を持った1価炭化水素基であり、R12は官能基として、酸分解性保護基で保護されたカルボキシル基を持ち、該カルボキシル基の他にハロゲン、酸素、又はイオウ原子を含んでいてもよい炭素数3〜20の直鎖状、分岐状又は環状、又は多環状骨格を持った1価有機基であり、R13はR11と同定義である。R14は官能基としてラクトン環を有し、該ラクトン環の他にハロゲン、酸素、又はイオウ原子を含んでいてもよい炭素数4〜16の1価有機基であり、R15はR11と同定義である。pは0又は1であり、qは0又は1であり、rは0又は1である。)
【0035】
また更に、上記第1のレジストパターンに反転用膜形成用組成物に使用される有機溶剤に対する耐性を与える工程は、プリベーク及び露光後加熱のいずれよりも高い温度での処理を伴うことが好ましい(請求項15)。
【0036】
本発明のパターン形成方法において、ArF液浸リソグラフィーが用いられる。ArF液浸リソグラフィーにおいて液体として水を用いるのが一般的であり、水への酸の溶出を防ぐために保護膜を用いることが行われている。保護膜を用いるプロセスとしては以下の方法を挙げることができる。
被加工基板上に、酸によって脱離する酸不安定基によって保護されたアルカリ可溶性基を持つ構造を有する繰り返し単位を有する樹脂、光酸発生剤及び有機溶剤を含有する化学増幅ポジ型レジスト膜形成用組成物を塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成する工程、レジスト膜上に保護膜形成用組成物を塗布し、加熱により不要な溶剤を除去して保護膜を形成する工程、該レジスト膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせた後、アルカリ性現像液で現像して第1のポジ型パターンを得る工程、更に該ポジ型パターンを得る工程で得られたレジストパターン中の上記樹脂の酸不安定基を脱離させると共に、該樹脂にアルカリ性現像液に対する溶解性を失わない範囲で架橋を形成させて、レジストパターンに反転膜形成用組成物に使用される有機溶剤に対する耐性を与える工程、その後、反転膜形成用組成物として酸によって脱離する酸不安定基によって保護されたアルカリ可溶性基を持つ繰り返し単位を有する樹脂を含有する第2の化学増幅ポジ型レジスト材料を用いて反転膜を形成し、第2の化学増幅型レジスト材料の溶剤をプリベークにより該反転膜から除去し、該反転膜上に保護膜形成用組成物を塗布し、加熱により不要な溶剤を除去して保護膜を形成する工程、該第2のレジスト反転膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせた後、アルカリ性現像液で現像して、第2のポジ型パターンを得る工程を含み、更に第2のポジ型レジストパターンを得るアルカリ現像液工程において、上記アルカリ性現像液に可溶に反転された第1のポジ型パターンが、第2のポジ型パターンを得る工程中に溶解除去、反転転写される工程を含むことを特徴とする上記第1のポジ型レジスト膜の反転転写パターンを得る工程と、第2のレジストポジ型パターンを形成させるダブルパターン形成方法である(請求項16)。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、ポジ型パターン上に反転膜形成用組成物でかつ第2のポジ型レジスト材料を塗布するが、第2のレジスト材料の溶媒としてヒドロキシ基を有する溶剤やエステル類、ケトン類のような高極性溶剤を含有する溶剤を用いたものを塗布して反転用膜の第2レジスト膜を成膜しても、第1のポジ型レジストパターンにダメージを与えることなく、第1のポジ型レジストパターンの間隙に反転用膜材料でもある第2のレジスト材料を埋め込むことができ、更に第1のポジ型レジスト材料より得られるポジ型パターンを現像液でアルカリ可溶除去できることから、簡易な工程で高精度なポジネガ反転を行うことができる。
【0038】
この方法を用いてポジ型パターンをネガ型パターンへ画像反転することにより、第1の微細なラインパターンを用いて同寸法の微細スペースパターンを反転形成することができる。トレンチパターンからも、より微細なパターンを形成できるラインパターンを露光によって形成して、これを上記画像反転技術でトレンチパターンにすることによって、超微細なトレンチパターンの形成が可能になる。
【0039】
このポジネガ反転方法は、次のような場合で有利に利用できる。即ち、ポジ型パターンは、オーバー露光量によって、より細いパターンを形成可能である。そこで、例えば露光限界以下の孤立スペース(トレンチパターン)の形成は技術的に極めて難しいが、オーバー露光を利用して通常の露光限界よりも細いポジ型パターンのラインを形成し、これを本発明の方法で反転することで極めて細いトレンチパターンを形成することができるのである。
【0040】
このように、極めて微細なスペースパターンを第1レジストの微細ラインをポジネガ反転によって第2レジストに転写することで形成でき、第2レジストを解像せしめることで、ダブルパターニングが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のパターン形成方法を説明する断面図であり、(A)は、基板上に被加工基板、第1レジスト膜を形成した状態を示す。
【図2】本発明のパターン形成方法を説明する断面図であり、(B)は、第1レジスト膜の露光状態を示す。
【図3】本発明のパターン形成方法を説明する断面図であり、(B−1)は、現像した状態、更にレジスト膜を過露光によってラインサイズを細く仕上げた状態を示す。
【図4】本発明のパターン形成方法を説明する断面図であり、(C)は、レジストパターンを酸と熱によって脱保護し、架橋した状態を示す。
【図5】本発明のパターン形成方法を説明する断面図であり、(D)は、パターン反転用膜を塗布した状態を示す。
【図6】本発明のパターン形成方法を説明する断面図であり、(D−1)は、第1レジストパターンの高さを高く、第2レジストの塗布膜厚を薄くすることによって、アルカリ現像液可溶へ反転した第1レジストパターンをアルカリ現像液へ露出させた状態を示す。
【図7】本発明のパターン形成方法を説明する断面図であり、(E)は、反転転写用の膜である第2レジストのパターニングを施さず、反転した第1レジストをアルカリ現像液で除去した状態を示す。
【図8】本発明のパターン形成方法を説明する断面図であり、(F−1)は、反転した第1レジストパターンの間の位置に第2レジストのスペースが形成できるように露光する例を示す。
【図9】本発明のパターン形成方法を説明する断面図であり、(F−2)は、アルカリ現像液へ反転可溶となった第1レジストパターンと、第1レジストパターン間にスペースパターンを形成するように露光を施された第2レジスト膜をアルカリ現像液で除去した状態(ダブルパターン形成)を示す。
【図10】本発明のパターン形成方法を説明する断面図であり、(F−3)は、スペースへと反転する第1レジストパターンから離れた位置の第1レジスト膜へ露光する例を示す。
【図11】本発明のパターン形成方法を説明する断面図であり、(F−4)は、アルカリ現像液へ反転可溶となった第1レジストパターンと、反転する第1レジストパターンから離れた位置へ孤立ラインパターンを形成した状態(ダブルパターニング)を示す。
【図12】本発明のパターン形成方法を説明する上空図であり、(G−1)は、レジストパターンを酸と熱によって脱保護し、架橋したY方向の5本の第1パターン上に、第2レジスト膜を塗布し第1パターンに直交する抜きパターンの第2パターンを露光した状態を示す。
【図13】本発明のパターン形成方法を説明する上空図であり、(G−2)は、現像によって第1パターンをポジネガ反転させ、同時に第2パターンのスペースパターンを解像した状態を示す。
【図14】本発明のパターン形成方法を説明する上空図であり、(H−1)は、レジストパターンを酸と熱によって脱保護し、架橋したY方向の5本の第1パターン上に、第2レジスト膜を塗布し第1パターンに直交するX方向の5本のラインの残しの第2パターンを露光した状態を示す。
【図15】本発明のパターン形成方法を説明する上空図であり、(H−2)は、現像によって第1パターンをポジネガ反転させ、同時に第2パターンのライン部分を第1パターンの反転によって断線させ、微細なドットパターンを解像した状態を示す。
【図16】本発明のパターン形成方法を説明する上空図であり、(I−1)は、Xライン、Yラインの2重露光(ダブルダイポール)を行った状態を示す。
【図17】本発明のパターン形成方法を説明する上空図であり、(I−2)は、現像によってドットパターンを形成し、レジストパターンを酸と熱によって脱保護し、架橋した第1パターンの状態を示す。
【図18】本発明のパターン形成方法を説明する上空図であり、(I−3)は、第2レジストを塗布し、第1レジストのドットの間に第2レジストのホールパターンを露光し、現像によって第1レジストパターンのポジネガ反転によりホールパターンを形成し、同時に第2レジストパターンのホールパターンを形成した状態を示す。
【図19】実施例43,44によって得られたレジストパターンの説明図である。
【図20】比較例9によって得られたレジストパターンの説明図である。
【図21】実施例45のレジストパターンの説明図である。
【図22】比較例10のレジストパターンの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明で克服しなければならない課題は、一旦形成されたポジ型のパターン上に反転用膜を成膜する際に、得られたパターンを崩壊させることなく新たな膜を成膜する方法を確立することが、その一つであった。この課題の解決のため、ポジ型パターンを架橋し、溶剤に対して不溶化した後に反転用膜を形成することをまず案出した。
【0043】
反転転写される膜、本発明ではダブルパターンを形成できるように第2のレジスト膜であるが、上述のように反転用膜の第2レジスト材料を塗布する際の溶剤に対する第1パターン不溶化は、パターンの架橋を利用することを案出したが、この架橋反応は、できれば、現在、半導体デバイスを製造しているラインに既存にある、特にリソグラフィー工程の中で用いられる既存の技術や装置で行うことが好ましい。例えば、架橋反応を促すような光反応が生じる高エネルギー線照射工程の導入は生産性を落とし、高エネルギー線照射装置のような特殊で高価な製造装置を組み込むことは、好ましくないとされた。
【0044】
本発明で案出した反転膜である第2レジスト膜の有機溶剤に対する耐性を得るために施す第1レジスト膜のパターンの架橋は、高温のベークによってのみ行うことを目標とした。高温によるベークのみであれば、高温ホットプレートが汎用に半導体デバイス製造ラインで用いられており、実用の効果は極めて高い。
【0045】
反転膜である第2レジスト膜の有機溶剤に対する耐性を得るために施す第1レジスト膜のパターンの架橋は、後述する第2レジストパターンを除去するために必須な第2レジストパターンのアルカリ現像液への高い溶解性を損なわないことも具備していなければならない。
【0046】
本発明者らは、反転膜である第2レジスト膜の有機溶剤に対する耐性を得るために熱架橋が生じる第1の化学増幅ポジ型レジスト材料の組成、条件の探索を鋭意行い、本発明の具現に至った。
【0047】
ところで、克服しなければならないもう一つの課題は、反転用膜に対して第1のポジ型パターンをどのように選択的に除去するかであった。第1パターンを除去する方法も、上述と同様に現在、半導体デバイスを製造しているラインに既存にある。特にリソグラフィー工程の中で用いられる既存の技術や装置で第1パターンを除去することが好ましい。できれば、アルカリ性現像液で簡便に行いたい。ドライエッチングを用いる方法などもあるが、工程の煩雑さ、スループットの低下は免れない。できれば、リソグラフィー工程の中にあるアルカリ現像ユニットで第1パターンを除去し、第2パターンへ転写したいとした。
【0048】
第1ポジ型レジスト膜の未露光部のパターンは、アルカリ可溶性基は酸によって脱離する酸不安定基で保護されたままなので、アルカリ性現像液に不溶なことは当然であるが、パターン中、露光部から拡散し残存した微量の酸が高温によって酸不安定基と反応し脱離して、第1のポジ型レジスト膜のパターンがアルカリ可溶となることを知見した。また、いくつかの酸不安定基は、高温の加熱によって熱脱離することも認め、高温加熱によって第1のレジストパターンがアルカリ現像液に不溶なポジ型の特性からアルカリ現像液へ可溶に反転することを確認できた。第1レジスト膜のポジ型レジストパターンがアルカリ可溶性へ反転することで、反転転写される第2のレジスト膜と共に容易にアルカリ現像液を用いて除去できることを見出した。反転した第1レジストパターンは、第2レジスト膜がパターンニングされる工程の中のアルカリ現像液工程において、第2レジスト膜より容易に除去でき高い効率を発揮する。
【0049】
上述したように、本発明者らは、この第1レジストパターンの反転したアルカリ可溶性を保持したまま、反転転写される第2のレジスト膜を塗布する際の溶剤耐性を高める架橋反応ができる組成物や条件を鋭意探索し、本発明の第1のポジ型レジスト膜を第2のレジスト膜へ反転転写し、かつ第2のレジスト膜をパターニングするダブルパターン形成方法を確立するに至った。
【0050】
以上の解決しなければならない課題の他にいくつかの注意しなければならない点があったので、次に記載する。
まず、一点は、第1のレジスト膜の膜厚と第2のレジスト膜の膜厚である。アルカリ可溶へと反転した第1レジストパターンをアルカリ現像で第2のレジスト膜から除去するためには、第1レジストパターンの頭は第2レジスト膜の上表面より露出していなければ、第1レジストパターンは現像液に触れないので除去できないと考えられる。従って、第1レジスト膜のパターンを高くして、第2レジスト膜の膜厚を薄くすることの検討が必要とされた。しかしながら、第2レジストパターンの高さ(アスペクト比=ラインパターンの高さ/ラインパターンサイズ)が低くなることや工程管理のため第1レジストパターンを第2レジスト膜で覆ってしまうことが好しとされた。第2レジスト膜で第1レジストパターンを覆ってしまう効果は、第1レジストパターン間へ隙間無く第2レジスト膜を埋め込むことに有用と考えられる。第2レジスト膜で第1レジストパターンを覆ってしまうと、反転した第1レジストパターンをアルカリ現像除去できなくなってしまう。そこで、第2レジスト膜に若干のアルカリ現像液に対する溶解性を持たせ、アルカリ現像液で若干の膜減りを与えることで、第1レジストパターンのアルカリ可溶部と現像液が通じ、接する方策が案出された。
【0051】
上述のように、第1レジストパターンを反転転写される膜であって第2のレジスト膜には、第1レジスト膜がアルカリ現像液に触れることができるようにアルカリ現像液に対して溶解性を与えることが案出された。
【0052】
しかしながら、第1レジストが転写される膜がパターニングされる第2のレジスト膜であることを忘れてはならず、第2のレジスト膜にアルカリ現像液に対する溶解速度を持たせることは、そのレジスト膜の解像性能に係る溶解コントラストを劣化させることにつながり、第2レジスト膜のパターニングの性能を劣化させてしまい、ブリッジマージンの低下といったプロセスマージンが劣化するおそれが大いにある。特に、第2レジスト膜のパターニングにおいて膜減りが大きくなることは、仕上がりのレジストパターンの高さが低くなるレジストパターンロスが著しくなったり、パターンエッジが欠けてプロファイルの劣化が観察されたりして、好ましくないのである。
【0053】
ところが、鋭意検討を重ねていく中で、第1レジストパターンを第2レジスト膜で完全に覆った場合、更に第1レジスト膜がアルカリ現像液に通じ接触するように第2レジスト膜にアルカリ現像液に対する若干の溶解速度を持たせなくとも、第2レジスト膜から反転した第1レジスト膜をアルカリ現像液によって除去し、反転した第1レジストパターンを第2レジスト膜へ転写することに成功することができた。即ち、それは第1レジストパターンの露光部から拡散しパターン中に残存した若干の酸、もしくは第1レジストパターンをアルカリ現像液に対する溶解性を保持したまま第1レジスト膜の溶剤に対する耐性を具現化する高温による加熱工程において、第1レジストパターン中に残存するレジスト材料の光酸発生剤が熱分解することによって発生する酸が、第1レジストパターン上部を覆った第2レジスト膜の、酸によって脱離する酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基に作用して、第2レジスト膜を塗布、プリベークし、更に露光及び露光後ベークのそれぞれのベーク工程において、酸脱離が生じ、第1レジストパターン上部を覆った第2レジスト膜がアルカリ可溶性となることによって、第2レジスト膜をパターニングする際の現像時に第1レジストパターン上部を覆った第2レジスト膜も溶解、更に反転した第1レジストパターンも除去可能になることを見出した。
【0054】
このように、第2レジスト膜に若干のアルカリ現像液に対する溶解速度を持たせなくとも、第2レジスト膜から反転した第1レジストパターンを除去することが可能であることが判明したが、もちろん、塗布する第2レジスト膜の膜厚が極めて厚い場合、第1レジストパターン上部を覆った第2レジスト膜が極めて厚い場合、第1レジストパターンから発生し作用する酸が十分に第2レジスト膜の酸によって脱離する酸不安定基に行き渡らず、第1レジスト膜上部を覆った第2レジスト膜のアルカリ可溶性を発現することができず、反転した第1レジストパターンへアルカリ性現像液が到達しないため、反転した第1レジストパターンを除去できず、第2レジスト膜へ第1レジストパターンを反転転写できない。第2レジスト膜の膜厚は、平坦な基板上で塗布されたときの膜厚で、第1レジスト膜の塗布膜厚より薄いことが絶対的に必要である。例えば、第1レジスト膜の塗布膜厚が平坦な基板上で1,200Åで塗布される場合、第2レジスト膜の塗布膜厚は平坦な基板上で600Åであった場合、第2レジスト膜は、第1レジストパターンもパターン間に隙間無く埋め込まれ、かつ第1レジストパターンを覆うことができ、更に第1レジスト膜上部を覆った第2レジスト膜は、第1レジストパターンから発生する酸によってアルカリ可溶性となって、覆った第2レジスト膜と反転した第1レジストパターンは同時にアルカリ現像液によって除去できる。
【0055】
第1レジストパターンの高さを勘案することも重要で、第1レジストパターンは塗布後、パターニングされるとトップロスを引き起こしている場合が多く、低くなっている。更に第1レジストパターンを第2のレジスト膜を塗布する際の溶剤耐性を高める架橋反応を行うため高温加熱工程において生じる、第1レジストパターンの熱による収縮(サーマルシュリンク)も考慮に入れなければならない。従って、第2レジスト膜が塗布される前の第1レジストパターンの高さが重要で、その高さを超えて第2レジスト膜は第1レジストパターンに埋め込まれ、そして覆われる必要があり、更に第1レジストパターン上部を覆う第2レジスト膜の厚さは、第1レジスト膜から生じる酸による第2レジスト膜の酸不安定基の酸脱離が十分に行き渡る厚さでなければならない。
【0056】
第2レジスト膜が塗布される前の第1レジストパターンの高さは、高いほど好ましく、第1レジストパターンはトップロスの少ないものほど好ましいことは言うまでもない。即ち、それは、第1レジスト膜のトップロスが大きくパターンの高さが低い場合、覆うべく第2レジスト膜は薄くなり、反転転写された第1レジストパターンを含む第2レジストパターンのダブルパターンの高さ(アスペクト比)は低いものに仕上がってしまうからである。反転転写される第1レジストパターンが高くなるように第1レジスト組成を構築する必要があった。
【0057】
形成される第1レジスト膜の高さも踏まえ、塗布される第1、第2レジスト膜の好ましい膜厚は、次の通りである。第1レジスト膜を平坦な基板上へ塗布したときの膜厚に対し、第2レジスト膜の平坦な基板上へ塗布した場合の膜厚は、60〜50%が好ましい。これより薄いそれぞれの膜厚は、第1レジスト膜を反転転写したパターンを含む第2レジストパターニング後、得られるダブルパターンの高さを稼ぐことができない。
【0058】
ところで、第1レジストパターンの露光部から拡散しパターン中に残存した若干の酸、もしくは第1レジストパターンをアルカリ現像液に対する溶解性を保持したまま第2レジスト膜の溶剤に対する耐性を具現化する高温による加熱工程において、第1レジストパターン中に残存するレジスト材料の光酸発生剤が熱分解することによって発生する酸が、第1レジストパターン上部を覆った第2レジスト膜の、酸によって脱離する酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基に作用して、第2レジスト膜を塗布、プリベークし、更に露光及び露光後ベークのそれぞれのベーク工程において、酸脱離が生じ、第1レジストパターン上部を覆った第2レジスト膜がアルカリ可溶性となることによって、第2レジスト膜をパターニングする際の現像時に第1レジストパターン上部を覆った第2レジスト膜も溶解、更に反転した第1レジストパターンも一気に除去可能になることを見出したが、第1レジストパターンの露光部から拡散しパターン中に残存した若干の酸や第1レジスト膜の溶剤に対する耐性を具現化する高温による加熱工程において、第1レジストパターン中に残存するレジスト材料の光酸発生剤が熱分解することによって発生する酸を補う目的で、第1レジスト材料に熱によって酸を発生することのできる熱酸発生剤を積極的に添加する方法が案出された。ところが、第1レジスト膜へ過剰に添加した熱酸発生剤は、第1レジスト膜をパターニングする際にその解像性能やプロセスマージンを劣化させることを知見した。例えば、熱酸発生剤は酸のアンモニウム塩などが用いられるが、レジスト材料の光酸発生剤に用いられるオニウム塩とアニオン交換が系中で起こることが推察され、所望の解像性能が得られないことがある。例えば、熱酸発生剤を添加することでレジスト膜中で酸不安定基に作用する酸の拡散が大きくなるような振る舞いが観察され、酸拡散の増大は、形成するべくレジストパターンの露光余裕度(Exposure Latitude)、マスクエラーファクター(Mask Error Factor;MEF)といったプロセスマージンを劣化する。加えて、熱酸発生剤を積極的に添加した場合、第1レジスト膜のアルカリ可溶性の発現、第2レジスト膜塗布に用いられる有機溶剤に対する耐性を具現化する架橋反応が促進することで好ましいが、過剰の酸が第1レジスト膜に発生、残存した場合、第2レジスト膜の酸不安定基に作用することも著しく、反転した第1レジストパターンの転写において、転写膜でもある第2レジスト膜の酸不安定基がアルカリ可溶性に変化するため、転写されるパターンサイズが大きくなってしまう弊害が生じる。また、更に過剰の酸が第1レジストパターンに発生、残存、そして第2レジスト膜へ大きく拡散した場合、第2レジスト膜の酸不安定基に全体に作用することもあって、第2レジスト膜の全てがアルカリ可溶性へ変化し、第1レジストパターンを転写することもできず、第2レジストのパターンを得るどころか、第2レジスト膜全体が除去され、膜すら残らないことがある。
【0059】
また、熱酸発生剤の添加は後述する第1レジスト膜の熱特性を劣化させることも判明した。即ち、添加した熱酸発生剤が、第1レジストパターンを架橋することで第2レジスト膜の溶剤に対する耐性を持たせる高温加熱工程において、可塑剤として振る舞い、第1のレジストパターンがこの高温加熱工程でサーマルフローを起こしてしまう弊害が発生する。
【0060】
このように第1レジスト材料へ熱酸発生剤を添加することは、第1レジスト膜のアルカリ可溶性の発現、第2レジスト膜塗布に用いられる有機溶剤に対する耐性を具現化する架橋反応が促進することで好ましいが、過剰の添加はいくつかの弊害を引き起こす。熱酸発生剤の添加は、第1レジスト膜のパターニングにおけるリソグラフィーに影響を与えない程度、第1レジスト膜の熱特性に影響を与えない程度、第2レジスト膜へ影響を与えない程度の添加量が好ましく、その添加量は第1レジスト材料のベースとなる樹脂の質量に対して5%以下、好ましくは3%以下、更に好ましい添加範囲は1〜0.01%である。
【0061】
本発明を具現化するに当たってのいくつかの注意しなければならない点を記載しているが、第1レジスト膜の熱特性、並びに第1レジスト膜のアルカリ可溶性の発現、第2レジスト膜塗布に用いられる有機溶剤に対する耐性を具現化する架橋反応を施すための高温加熱する温度に関しても注意を払わなければならない。
【0062】
第1レジスト膜のアルカリ可溶性の発現、第2レジスト膜塗布に用いられる有機溶剤に対する耐性を具現化する架橋反応を施すための高温加熱する温度は、第1レジスト膜をパターニングする際の塗布、プリベーク、露光並びに露光後ベークのそれぞれの温度より高いことが望ましい。架橋反応を施す温度が、第1レジスト膜のパターニングに行われるプリベーク、露光後ベークに近くても可能な場合、第1レジスト膜のパターニング中に架橋反応が進行する危険があり、リソグラフィー特性を劣化させることを拭い去ることができない。また、第1レジストパターンのTg(ガラス転移点)よりも高い温度で架橋反応を施すことは望ましくない。それは、第1レジストパターンのTg以上の温度で第1レジストパターンを加熱した場合、第1レジストパターンはサーマルフローを引き起こし、パターンサイズが増大してしまい微細な加工が不可能となる。また、サーマルフローが生じた場合、レジストパターンの高さも低くなるので、好ましくない。
【0063】
第1レジスト膜のアルカリ可溶性の発現、第2レジスト膜の塗布に用いられる有機溶剤に対する耐性を具現化する架橋反応を施すための高温加熱する温度の最適は、150℃以上が好ましく、更に好ましい範囲は180〜220℃がよい。レジスト材料の光酸発生剤や塩基性化合物は一般的に可塑剤として働き、レジストパターンのTgを低下させ、サーマルフローが始まる温度が低温となってしまう。光酸発生剤や塩基性化合物はレジスト材料の必須成分であるから、その添加、可塑の効果を鑑みて、レジストベース樹脂自身のTgを上げておく必要がある。従って、レジストベース樹脂のTgの最適は、150℃以上、好ましくは180℃以上である。架橋反応を施す高温加熱の温度が220℃より高い場合、第1レジスト膜のサーマルシュリンクが著しかったり、熱的ダメージが著しかったりして、第2レジスト膜へ反転転写されるべく最良の第1レジストパターンを得ることができない。前述した通り、架橋反応を施す加熱工程が150℃未満の場合、十分な架橋反応は進行し難い。
【0064】
本発明を具現化するに当たってのいくつかの注意点として、更に、アルカリ可溶性に反転した第1レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解速度を挙げる。前述した通り、第1レジストパターン中、露光部から拡散し残存した微量の酸が高温によって酸不安定基と反応し脱離して、第1のポジ型レジストパターンがアルカリ可溶なったり、また、いくつかの酸不安定基は、高温の加熱によって熱脱離したりすることから、高温加熱によって第1のレジストパターンがアルカリ現像液に不溶なポジ型の特性からアルカリ現像液へ可溶に反転することできるのであるが、その反転した第1レジストパターンの溶解速度の最適の目安としては、通常レジスト膜のアルカリ現像に使用される2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で現像した場合、溶解速度が2nm/秒を超えるものとすることが好ましい。
【0065】
このように、本発明を具現化するに当たり、第1のポジ型レジストパターンをアルカリ可溶に反転させる課題や、反転転写される膜の第2レジスト膜が塗布する際の第1レジストパターンの有機溶剤耐性を持たせる課題、更に具現化するに当たってクリアにしなければならない注意点を、鋭意検討、考察を重ね、解決し、本態様に係るダブルパターニングによる形成方法の完成に至った。
【0066】
更に、本発明の詳細を説明する。
本態様に係るパターン形成方法に用いられる第1のポジ型レジスト材料のベース樹脂に使用される高分子化合物としては、ラクトン環を有する繰り返し単位、特には7−オキサノルボルナン環を有する繰り返し単位、好ましくは下記一般式(a)に示される繰り返し単位を有するものが有利に使用できる。この単位は密着性単位として使用されるものであり、ベース樹脂に更に追加の構成を加えなくても本発明の方法が好ましく適用可能である。
【0067】
【化5】

(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基(−O−)又はエステル基(−COO−)を有していてもよいが、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基の場合、式中のエステル基に連結した炭素原子は1級又は2級である。R3、R4、R5は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。aは0<a<1.0の範囲である。)
【0068】
ここで、炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、シクロペンチレン基、n−ヘキシレン基、シクロヘキシレン基が挙げられる。
【0069】
また、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
【0070】
一般式(a)で示される繰り返し単位を得るためのモノマーMaは、下記式で示される。ここで、R1〜R5は前述と同じである。
【化6】

【0071】
モノマーMaは、具体的には下記に例示される。
【化7】

【0072】
本態様の工程では、露光と現像によって第1のレジストパターン形成後、酸と加熱によって酸不安定基を脱保護すると共に架橋し、反転用膜でかつ第2のレジスト膜を塗布し、第2のレジスト膜をパターニングしアルカリ現像する際、同時に除去することでダブルパターンを形成する。
架橋反応に寄与する酸は、第1レジストパターンに露光部から拡散、残存した酸であったり、残存した光酸発生剤が加熱によって熱分解し、酸を発生したりしたものである。更に加熱時に酸を発生できる熱酸発生剤を微量添加してあってもよい。
第1のレジストパターンは、酸不安定基の脱保護によってアルカリに溶解し、上記に例示した7−オキサノルボルナン環の架橋によって溶媒(反転用膜であってかつ第2レジストパターンを形成するための材料の溶媒)に不溶化する膜になる。よって、第1のパターン上に、反転用である第2レジスト膜材料を有機溶媒に溶解したパターン反転用膜溶液を塗布しても、第1のパターンはパターン反転用膜の第2レジスト材料とミキシングしない。
【0073】
次に、第2レジスト膜をパターニングする際のアルカリ現像液による処理によって、反転用の膜であって第2レジスト膜が第1のパターン部分まで膜の表面が溶解したところで、第1のパターンの溶解が始まり、画像反転が起こる。第1レジストパターンを覆った反転転写される第2レジスト膜が溶解して、反転した第1レジストパターンにまで到達溶解する機構は、あらかじめ反転転写される第2レジスト膜にアルカリ溶解速度を持たせてもよいが、第1レジストパターンに存在する酸が第2レジストパターニングするために経るプリベーク、露光後ベークにおいて、第1レジストパターン上部を覆った第2レジスト膜の酸不安定基と反応、脱離しすることから、アルカリ可溶性に転じることから、反転した第1レジストパターンまで到達、第1レジストパターンをアルカリ溶解、除去できるようになる。
【0074】
オキシランやオキセタンを有する繰り返し単位を有する高分子化合物をレジスト用ベースポリマーとして用いた場合、オキシラン環やオキセタン環は、酸による開裂反応の速度が非常に速いために、90〜130℃程度の露光後のベーク(Post Exposure Bake)(PEB)等のレジストプロセスの温度で架橋が進行するためにアルカリに不溶となり、本発明における第1のポジ型レジスト材料として機能しない。一方、7−オキサノルボルナン環の1,4−エポキシ結合は、オキシラン環やオキセタン環に比べて酸による開裂反応の反応性が低いために、PEBによる加熱温度領域では架橋が進行しない。7−オキサノルボルナン環を有する繰り返し単位は、現像までのプロセスでは酸に対して安定で、親水性基として密着性やアルカリ溶解性向上のための機能を発揮する。しかしながら、現像後のパターンに残存する酸、もしくは加熱により発生した酸と160℃以上の加熱によって7−オキサノルボルナン環の1,4−エポキシ結合が開環して架橋反応が進行し、上記溶媒に不溶になると同時に酸と熱により酸不安定基の脱保護が起こり、アルカリ溶解性が増す。
【0075】
本態様のパターン形成方法に用いる第1のポジ型レジスト材料に用いるベース樹脂としては、上記一般式(a)で示される架橋性の繰り返し単位と、下記一般式(b)で示される酸不安定基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物を使用することが好ましい。
【0076】
【化8】

(式中、R6は水素原子又はメチル基、R7は酸不安定基を示す。bは0<b≦0.8の範囲である。)
【0077】
ここで、一般式(b)に示す繰り返し単位を得るためのモノマーMbは、下記式で示される。
【化9】

(式中、R6、R7は上記の通りである。)
【0078】
一般式(b)中、R7で示される酸不安定基は種々選定されるが、特に下記式(AL−10)、(AL−11)で示される基、下記式(AL−12)で示される三級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0079】
【化10】

【0080】
式(AL−10)、(AL−11)において、R51、R54は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。R52、R53は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよく、a5は0〜10の整数である。R52とR53、R52とR54、R53とR54はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
55、R56、R57はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR55とR56、R55とR57、R56とR57はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0081】
式(AL−10)に示される化合物を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記一般式(AL−10)−1〜(AL−10)−10で示される置換基が挙げられる。
【0082】
【化11】

【0083】
式(AL−10)−1〜(AL−10)−10中、R58は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R59は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R60は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0084】
前記式(AL−11)で示されるアセタール化合物を(AL−11)−1〜(AL−11)−34に例示する。
【0085】
【化12】

【0086】
【化13】

【0087】
また、一般式(AL−11a)あるいは(AL−11b)で表される酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化14】

【0088】
上記式中、R61、R62は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R61とR62は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR61、R62は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R63は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はO、S、N等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0089】
この場合、好ましくは、Aは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はO、S、N等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0090】
一般式(AL−11a)、(AL−11b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(AL−11)−35〜(AL−11)−42のものが挙げられる。
【0091】
【化15】

【0092】
次に、前記式(AL−12)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記一般式(AL−12)−1〜(AL−12)−16を挙げることができる。
【0093】
【化16】

【0094】
上記式中、R64は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R65、R67は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R66は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0095】
更に、下記式(AL−12)−17、(AL−12)−18に示すように、2価以上のアルキレン基、又はアリーレン基であるR68を含んで、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていてもよい。式(AL−12)−17、(AL−12)−18のR64は前述と同様、R68は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又はアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。b6は1〜3の整数である。
【0096】
【化17】

【0097】
なお、上記R64、R65、R66、R67は、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記式(AL−13)−1〜(AL−13)−7に示すことができる。
【0098】
【化18】

【0099】
特に、上記式(AL−12)の酸不安定基としては、下記式(AL−12)−19に示されるエキソ体構造を有するものが好ましい。
【化19】

(式中、R69は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R70〜R75及びR78、R79はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキル基等の1価の炭化水素基を示し、R76、R77は水素原子を示す。あるいは、R70とR71、R72とR74、R72とR75、R73とR75、R73とR79、R74とR78、R76とR77又はR77とR78は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく、その場合には環の形成に関与する基は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基等の2価の炭化水素基を示す。またR70とR79、R76とR79又はR72とR74は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0100】
ここで、一般式(AL−12)−19に示すエキソ体構造を有する下記繰り返し単位
【化20】

を得るためのエステル体のモノマーとしては、特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に示すものを挙げることができるが、これらに限定されることはない。なお、R111、R112は互いに独立に水素原子、メチル基、−COOCH3、−CH2COOCH3等を示す。
【0101】
【化21】

【0102】
更に、上記式(AL−12)の酸不安定基としては、下記式(AL−12)−20に示されるフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基を挙げることができる。
【0103】
【化22】

(式中、R80、R81はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。又は、R80、R81は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の脂肪族炭化水素環を形成してもよい。R82はフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルから選ばれる2価の基を示す。R83は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。)
【0104】
フランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基で置換された繰り返し単位
【化23】

を得るためのモノマーとしては、下記に例示される。なお、R112は上記の通りである。また、下記式中Meはメチル基、Acはアセチル基を示す。
【0105】
【化24】

【0106】
【化25】

【0107】
本態様のパターン形成方法に用いられるレジスト材料のベースとなる高分子化合物は、一般式(a)の繰り返し単位と一般式(b)に示す繰り返し単位を有することが好ましいが、更にはヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボニル基、カルボン酸無水物基等の密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位(d)を共重合させてもよい。
繰り返し単位(d)を得るためのモノマーとしては、具体的に下記に挙げることができる。
【0108】
【化26】

【0109】
【化27】

【0110】
【化28】

【0111】
【化29】

【0112】
【化30】

【0113】
繰り返し単位(d)中、α−トリフルオロメチルアルコール基やカルボキシル基を有するものは、現像後のパターンの加熱後のアルカリ溶解速度を向上させるので、これらを共重合させることは好ましい。
カルボキシル基を有する繰り返し単位としては下記に挙げることができる。
【0114】
【化31】

【0115】
上記繰り返し単位a、b、dにおいて、繰り返し単位の比率は、0<a<1.0、0<b≦0.8、0.1≦a+b≦1.0、0≦d<1.0、好ましくは、0.1≦a≦0.9、0.1≦b≦0.7、0.2≦a+b≦1.0、0≦d≦0.9の範囲である。なお、a+b+d=1である。
【0116】
ここで、例えばa+b=1とは、繰り返し単位a、bを含む高分子化合物において、繰り返し単位a、bの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを示し、a+b<1とは、繰り返し単位a、bの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%未満でa、b以外に他の繰り返し単位dを有していることを示す。
【0117】
本態様のパターン形成方法に用いられるレジストのベース樹脂となる高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎるとレジスト材料現像後の熱架橋における架橋効率が低下するものとなり、大きすぎるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0118】
更に、本態様のパターン形成方法に用いられるレジスト材料のベース樹脂となる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0119】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては繰り返し単位a、b,dを得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加え加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、酸不安定基を酸触媒によって一旦脱離し、その後、保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0120】
上記ポジ型レジスト材料は、上述したように、基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線をこのレジスト膜の所用部分に照射、露光し、加熱処理後にアルカリ現像液を用いて上記レジスト膜の露光部分を溶解、現像してライン等のレジストパターンを形成し、その後、このレジストパターン(上記高エネルギー線による未露光部分)に残存する酸や酸を発生させてこのレジストパターン中の高分子化合物の酸不安定基を脱離する(脱保護する)と共に、これを架橋するものである。上記高分子化合物は、このように酸不安定基が脱離し、架橋した状態において、アルカリ現像液に対する溶解速度が2nm/秒を超える速度、好ましくは3〜5,000nm/秒、更には4〜4,000nm/秒であることが好ましい。またこの場合、後述する反転用膜であって第2のレジスト材料の上記アルカリ現像液に対する溶解速度の2〜250,000倍、特に5〜10,000倍であることが、本発明の目的を達成する上で好ましい。
【0121】
なお、高分子化合物をこのような溶解速度とするためには、一般式(b)で示される酸不安定基を有する繰り返し単位が全繰り返し単位中、10モル%以上90モル%以下、特に12モル%以上80モル%以下であることが好ましい。
【0122】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料は、有機溶剤、高エネルギー線に感応して酸を発生する化合物(酸発生剤)、必要に応じて溶解阻止剤、塩基性化合物、界面活性剤、その他の成分を含有することができる。
【0123】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料に使用される有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0124】
なお、有機溶剤の使用量は、ベース樹脂100部(質量部、以下同じ)に対し、200〜3,000部、特に400〜2,000部とすることが好ましい。
【0125】
本発明パターン形成方法に用いられるポジ型レジスト材料に使用される酸発生剤としては、
i.下記一般式(P1a−1)、(P1a−2)、(P1a−3)又は(P1b)のオニウム塩、
ii.下記一般式(P2)のジアゾメタン誘導体、
iii.下記一般式(P3)のグリオキシム誘導体、
iv.下記一般式(P4)のビススルホン誘導体、
v.下記一般式(P5)のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル、
vi.β−ケトスルホン酸誘導体、
vii.ジスルホン誘導体、
viii.ニトロベンジルスルホネート誘導体、
ix.スルホン酸エステル誘導体
等が挙げられる。
【0126】
【化32】

(上記式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは互いに結合してこれらが結合する硫黄原子又はヨウ素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。K-はα位の少なくとも1つがフッ素化されたスルホン酸、又はパーフルオロアルキルイミド酸もしくはパーフルオロアルキルメチド酸である。R101d、R101e、R101f、R101gはそれぞれ水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとは互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基であるか、又は式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を形成する。)
【0127】
上記式(P1a−1)、(P1a−2)、(P1a−3)で示されるオニウム塩中、式(P1a−1)は光酸発生剤として機能し、式(P1a−2)は熱酸発生剤として機能し、式(P1a−3)は光酸発生剤、熱酸発生剤の両方の機能がある。式(P1a−1)と(P1a−2)を組み合わせると、露光で式(P1a−1)から発生した酸でパターン形成を行い、現像後の高温の加熱によって式(P1a−2)から発生した酸で架橋を効率よく行うことができる。
【0128】
-として具体的には、トリフレート、ノナフレート等のパーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチド等のメチド酸、更には下記一般式(K−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【0129】
【化33】

【0130】
上記一般式(K−1)中、R102aは水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はラクトン環を有していてもよく、又はこれらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。上記一般式(K−2)中、R102bは水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
【0131】
上記R101a、R101b、R101cは互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられ、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。オキソアルケニル基としては、2−オキソ−4−シクロヘキセニル基、2−オキソ−4−プロペニル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。K-の非求核性対向イオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート等が挙げられる。
【0132】
【化34】

(上記式中、R102a、R102bはそれぞれ炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R103は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R104a、R104bはそれぞれ炭素数3〜7の2−オキソアルキル基を示す。K-は非求核性対向イオンを表す。)
【0133】
上記R102a、R102bとして具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。R103としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロオクチレン基、1,4−シクロヘキサンジメチレン基等が挙げられる。R104a、R104bとしては、2−オキソプロピル基、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソシクロヘプチル基等が挙げられる。K-は式(P1a−1)及び(P1a−2)で説明したものと同様のものを挙げることができる。
【0134】
【化35】

(上記式中、R105、R106は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。)
【0135】
105、R106のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。R105、R106のハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。R105、R106のアリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。R105、R106のハロゲン化アリール基としてはフルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。R105、R106のアラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0136】
【化36】

(上記式中、R107、R108、R109は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。R108、R109は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R108、R109はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R105は式(P2)のものと同様である。)
【0137】
107、R108、R109のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基としては、R105、R106で説明したものと同様の基が挙げられる。なお、R108、R109のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0138】
【化37】

(上記式中、R101a、R101bは前記と同様である。)
【0139】
【化38】

(上記式中、R110は炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のアルケニレン基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、アセチル基、又はフェニル基で置換されていてもよい。R111は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は置換のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシアルキル基、フェニル基、又はナフチル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基;炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基;炭素数3〜5のヘテロ芳香族基;又は塩素原子、フッ素原子で置換されていてもよい。)
【0140】
ここで、R110のアリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,8−ナフチレン基等が、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、フェニルエチレン基、ノルボルナン−2,3−ジイル基等が、アルケニレン基としては、1,2−ビニレン基、1−フェニル−1,2−ビニレン基、5−ノルボルネン−2,3−ジイル基等が挙げられる。R111のアルキル基としては、R101a〜R101cと同様のものが、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプレニル基、1−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ジメチルアリル基、1−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基等が、アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチロキシメチル基、ヘキシロキシメチル基、ヘプチロキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチロキシエチル基、ヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基等が挙げられる。
【0141】
なお、更に置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、トリル基、p−tert−ブトキシフェニル基、p−アセチルフェニル基、p−ニトロフェニル基等が、炭素数3〜5のヘテロ芳香族基としては、ピリジル基、フリル基等が挙げられる。
【0142】
上記で例示した酸発生剤として、具体的には下記のものが挙げられる。
オニウム塩としては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート]、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩を挙げることができる。
【0143】
ジアゾメタン誘導体としては、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体を挙げることができる。
【0144】
グリオキシム誘導体としては、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体を挙げることができる。
【0145】
ビススルホン誘導体としては、ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロメチルスルホニルメタン、ビスメチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、ビスベンゼンスルホニルメタン等のビススルホン誘導体を挙げることができる。
【0146】
β−ケトスルホン酸誘導体としては、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等のβ−ケトスルホン酸誘導体を挙げることができる。
【0147】
ジスルホン誘導体としては、ジフェニルジスルホン、ジシクロヘキシルジスルホン等のジスルホン誘導体を挙げることができる。
【0148】
ニトロベンジルスルホネート誘導体としては、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体を挙げることができる。
【0149】
スルホン酸エステル誘導体としては、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体を挙げることができる。
【0150】
N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体としては、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体等が挙げられる。
【0151】
特に、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、ビスナフチルスルホニルメタン等のビススルホン誘導体、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体が好ましく用いられる。
更に、国際公開第2004/074242号パンフレットで示されるオキシムタイプの酸発生剤を添加することもできる。
【0152】
なお、上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。オニウム塩は矩形性向上効果に優れ、ジアゾメタン誘導体及びグリオキシム誘導体は定在波低減効果に優れるため、両者を組み合わせることによりプロファイルの微調整を行うことが可能である。
【0153】
酸発生剤の添加量は、ベース樹脂100部に対して好ましくは0.1〜50部、より好ましくは0.5〜40部である。0.1部より少ないと露光時の酸発生量が少なく、感度及び解像力が劣る場合があり、50部を超えるとレジストの透過率が低下し、解像力が劣る場合がある。なお、上記式(P1a−1)と式(P1a−2)とを併用する場合、(P1a−2)は熱酸発生剤としてのみ機能するので、その併用割合は、式(P1a−1)1部に対して式(P1a−2)を0.001〜1部とすることが好ましい、もしくは、熱酸発生剤(P1a−2)の添加は、第1レジストのパターニングにおけるリソグラフィーに影響を与えない程度、第1レジストの熱特性に影響を与えない程度、第2レジスト膜へ影響を与えない程度の添加量が好ましいため、ベース樹脂100部に対して好ましくは0.01〜1部が好ましい。
【0154】
次に、本発明のポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料に配合される溶解阻止剤としては、重量平均分子量が100〜1,000、好ましくは150〜800で、かつ分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物の該フェノール性水酸基の水素原子を酸不安定基により全体として平均0〜100モル%の割合で置換した化合物又は分子内にカルボキシ基を有する化合物の該カルボキシ基の水素原子を酸不安定基により全体として平均50〜100モル%の割合で置換した化合物が挙げられる。
【0155】
なお、フェノール性水酸基の水素原子の酸不安定基による置換率は、平均でフェノール性水酸基全体の0モル%以上、好ましくは30モル%以上であり、その上限は100モル%、より好ましくは80モル%である。カルボキシ基の水素原子の酸不安定基による置換率は、平均でカルボキシ基全体の50モル%以上、好ましくは70モル%以上であり、その上限は100モル%である。
この場合、かかるフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物又はカルボキシ基を有する化合物として下記式(D1)〜(D14)で示されるものが好ましい。
【0156】
【化39】

【0157】
但し、式中R201、R202はそれぞれ水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。R203は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基、あるいは−(R207hCOOHを示す。R204は−(CH2i−(i=2〜10)、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す。R205は炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す。R206は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はそれぞれ水酸基で置換されたフェニル基又はナフチル基を示す。R207は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R208は水素原子又は水酸基を示す。jは0〜5の整数である。u、hは0又は1である。s、t、s’、t’、s’’、t’’はそれぞれs+t=8、s’+t’=5、s’’+t’’=4を満足し、かつ各フェニル骨格中に少なくとも1つの水酸基を有するような数である。αは式(D8)、(D9)の化合物の分子量を100〜1,000とする数である。
【0158】
溶解阻止剤の配合量は、ベース樹脂100部に対して0〜50部、好ましくは5〜50部、より好ましくは10〜30部であり、単独又は2種以上を混合して使用できる。配合量が少ないと解像性の向上がない場合があり、多すぎるとパターンの膜減りが生じ、解像度が低下する傾向がある。
【0159】
更に、本発明のポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料には、塩基性化合物を配合することができる。
塩基性化合物としては、酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適している。塩基性化合物の配合により、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
【0160】
このような塩基性化合物としては、第1級、第2級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0161】
具体的には、第1級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第2級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0162】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。
【0163】
芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリドン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0164】
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。
【0165】
アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。
イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0166】
更に、下記一般式(B)−1で示される塩基性化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
N(X)n(Y)3-n (B)−1
(上記式中、n=1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(X1)、(X2)又は(X3)で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の水素原子もしくは直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよい。)
【化40】

【0167】
ここで、R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。
303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。
【0168】
上記一般式(B)−1で表される化合物は、具体的には下記に例示される。
トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−フォルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンを例示できるが、これらに制限されない。
【0169】
更に、下記一般式(B)−2に示される環状構造を持つ塩基性化合物の1種あるいは2種以上を添加することもできる。
【化41】

(上記式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基、又はスルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0170】
上記一般式(B)−2として具体的には、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチル等を挙げることができる。
【0171】
更に、下記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む塩基性化合物を添加することができる。
【化42】

(上記式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0172】
シアノ基を含む塩基性化合物として具体的には、具体的には3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)等が例示される。
【0173】
なお、塩基性化合物の配合量は、ベース樹脂100部に対して0.001〜2部、特に0.01〜1部が好適である。配合量が0.001部より少ないと配合効果が少なく、2部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0174】
アミノ基とフルオロアルキル基を繰り返し単位として有する高分子化合物を添加することもできる。この高分子化合物は、塗布後のレジスト表面に配向することによって、現像後のレジストパターンの膜減りを防止し、矩形性を高めることができる。下記高分子化合物の添加は有効である。
【0175】
【化43】

(上記式中、R01、R04、R07はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。X1、Y1、Y2はそれぞれ独立に単結合、−O−R09−、−C(=O)−O−R09−又は−C(=O)−NH−R09−、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、又はフェニレン基である。R09は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基(−COO−)又はエーテル基(−O−)を有していてもよい。nは1又は2であり、n=1の場合、Y1は単結合、−O−R09−、−C(=O)−O−R09−又は−C(=O)−NH−R09−、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、又はフェニレン基であり、R09は上記の通りである。n=2の場合、Y1は−O−R010=、−C(=O)−O−R010=又は−C(=O)−NH−R010=、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基から更に水素原子が1個脱離した基、又はフェニレン基から更に水素原子が1個脱離した基であり、R010は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基より更に水素原子が1個脱離した基であり、エステル基又はエーテル基を有していてもよい。R02、R03は同一又は異種の水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数2〜20のアルケニル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミノ基、2重結合、又はハロゲン原子を有していてもよく、又は炭素数6〜10のアリール基であり、R02とR03が結合してこれらが結合する窒素原子と共に炭素数3〜20の環を形成してもよい。R05は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、R06は水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基、又はR05と結合してR05、R06及びこれらが結合する炭素原子とで炭素数2〜12の脂環を形成してもよく、環の中にエーテル基、フッ素で置換されたアルキレン基又はトリフルオロメチル基を有していてもよい。R08は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、少なくとも1個のフッ素原子で置換されていて、エーテル基、エステル基、又はスルホンアミド基を有していてもよい。0<(a−1)<1.0、0≦(b−1)<1.0、0≦(b−2)<1.0、0<(b−1)+(b−2)<1.0、0.5≦(a−1)+(b−1)+(b−2)≦1.0である。)
【0176】
本発明のパターン形成方法に用いられるポジ型レジスト材料に添加することができる分子内に≡C−COOHで示される基を有する化合物としては、例えば下記[I群]及び[II群]から選ばれる1種又は2種以上の化合物を使用することができるが、これらに限定されるものではない。本成分の配合により、レジストのPED(Post Exposure Delay)安定性が向上し、窒化膜基板上でのエッジラフネスが改善される。
【0177】
[I群]
下記一般式(A1)〜(A10)で示される化合物のフェノール性水酸基の水素原子の一部又は全部を−R401−COOH(R401は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基)により置換してなり、かつ分子中のフェノール性水酸基(C)と≡C−COOHで示される基(D)とのモル比率がC/(C+D)=0.1〜1.0である化合物。
【0178】
【化44】

(上記式中、R408は水素原子又はメチル基を示す。R402、R403はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。R404は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基、あるいは−(R409h−COOR’基(R’は水素原子又は−R409−COOH)を示す。R405は−(CH2i−(i=2〜10)、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す、R406は炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す。R407は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基、それぞれ水酸基で置換されたフェニル基又はナフチル基を示す。R409は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基又は−R411−COOH基を示す。R410は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基又は−R411−COOH基を示す。R411は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。hは1〜4の整数である。jは0〜3、s1〜s4、t1〜t4はそれぞれs1+t1=8、s2+t2=5、s3+t3=4、s4+t4=6を満足し、かつ各フェニル骨格中に少なくとも1つの水酸基を有するような数である。uは1〜4の整数である。κは式(A6)の化合物を重量平均分子量1,000〜5,000とする数である。λは式(A7)の化合物を重量平均分子量1,000〜10,000とする数である。)
【0179】
[II群]
下記一般式(A11)〜(A15)で示される化合物。
【化45】

(上記式中、R402、R403、R411は上記と同様の意味を示す。R412は水素原子又は水酸基を示す。s5、t5は、s5≧0、t5≧0で、s5+t5=5を満足する数である。h’は0又は1である。)
【0180】
本成分として具体的には、下記一般式(AI−1)〜(AI−14)及び(AII−1)〜(AII−10)で示される化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0181】
【化46】

(上記式中、R’’は水素原子又は−CH2COOH基を示し、各化合物においてR’’の10〜100モル%は−CH2COOH基である。κ、λは上記と同様の意味を示す。)
【0182】
【化47】

【0183】
なお、上記分子内に≡C−COOHで示される基を有する化合物の添加量は、ベース樹脂100部に対して0〜5部、好ましくは0.1〜5部、より好ましくは0.1〜3部、更に好ましくは0.1〜2部である。5部より多いとレジスト材料の解像度が低下する場合がある。
【0184】
本発明のパターン形成に用いられるポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料には、更に、塗布性を向上させる等のための界面活性剤を加えることができる。
【0185】
界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノール等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノバルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノバルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、F172、F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−430、FC−431、FC−4430(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−381、S−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、サーフィノールE1004、KH−10、KH−20、KH−30、KH−40(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP−341、X−70−092、X−70−093(信越化学工業(株)製)、アクリル酸系又はメタクリル酸系ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)等が挙げられ、中でもFC−430、FC−4430、サーフロンS−381、サーフィノールE1004、KH−20、KH−30が好適である。これらは単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0186】
本発明のパターン形成方法に用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料中の界面活性剤の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100部に対して2部以下、好ましくは1部以下である。
【0187】
一方、本態様に係るダブルパターン形成方法に用いられる反転用膜として働き、かつ第2のポジ型レジスト材料に用いるベース樹脂に使用される高分子化合物としては、ラクトン環を有する繰り返し単位を有し、酸によって脱離する酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基を持つ繰り返し単位を有する樹脂が挙げられ、酸によって脱離する酸不安定基によって保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(c)で示される酸不安定基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物を使用することが好ましい。
【化48】

(式中、R8は水素原子又はメチル基、R9は酸不安定基を示す。cは0<c≦0.8の範囲である。)
【0188】
ここで、一般式(c)に示す繰り返し単位を得るためのモノマーMcは、下記式で示される。
【化49】

(式中、R8、R9は上記の通りである。)
【0189】
一般式(c)中、R9で示される酸不安定基は種々選定されるが、第1レジストの酸不安定基に例示した式(AL−10)、(AL−11)で示される基、下記式(AL−12)で示される三級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を同様に挙げることができる。その例示は、第1レジストの酸不安定基の例示に記載したものと同様のものが挙げられる。
【0190】
本態様に係るダブルパターン形成方法に用いられる反転用膜として働き、かつ第2のポジ型レジスト材料に用いるベース樹脂に使用される高分子化合物としては、一般式(c)に示す繰り返し単位を有することが好ましいが、更にはヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボニル基、カルボン酸無水物基等の密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位(d)を共重合させてもよい。繰り返し単位(d)は、第1のポジ型レジスト材料の例示において記載したものと同様のものが挙げられる。
【0191】
上記繰り返し単位c、dにおいて、繰り返し単位の比率は、0<c≦0.8、0≦d<1.0、好ましくは、0.1≦c≦0.7、0≦d≦0.9の範囲である。なお、c+d=1である。
【0192】
ここで、例えばc+d=1とは、繰り返し単位c、dを含む高分子化合物において、繰り返し単位c、dの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを示す。
【0193】
本態様に係るダブルパターン形成方法に用いられる反転用膜として働き、かつ第2のポジ型レジスト材料に用いるベース樹脂に使用される高分子化合物としては、KrF、EB、EUV等のリソグラフィーに用いられるフェノール系の高分子化合物を用いることができる。このようなフェノール系の高分子化合物を用いたレジストとしては、数多くの材料が提案されている。
具体的には、特開平10−207066号、同10−020504号、同10−265524号、特開2001−324814号、同2002−202610号、同2002−234910号、同2002−244297号、同2002−107934号、同2002−107933号、同2003−84440号、同2003−131384号、同2004−45448号、同2004−61794号、同2004−115630号、同2004−149756号、同2004−348014号、同2005−8766号、同2005−8769号、同2006−169302号、同2007−114728号、同2007−132998号、同2007−254494号、同2007−254495号、同2007−270128号、同2008−50568号、同2008−95009号公報に示される材料を用いることができる。
【0194】
本態様のダブルパターン形成方法に用いられる第2のレジスト材料のベース樹脂となる高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎるとPEB中の酸拡散が大きくなって解像性が劣化し、大きすぎると第1レジストのパターン間へ隙間無く第2レジストを埋め込むことが困難となり、また、アルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0195】
更に、本態様のダブルパターン形成方法に用いられる第2レジスト材料のベース樹脂となる高分子化合物においては、第1レジスト材料のベース樹脂と同様に分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0196】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては繰り返し単位c、dを得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加え加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、酸不安定基を酸触媒によって一旦脱離し、その後、保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0197】
更に、本態様のダブルパターン形成方法に用いられる第2レジスト材料のベース樹脂となる高分子化合物は、下記一般式(1)及び(2)で表される構造単位と、更に第3として下記一般式(3)で表される構造単位を有するポリシロキサン化合物であってもよい。
【化50】

(式中、R10は官能基としてヒドロキシ基を持ち、かつ、該ヒドロキシ基が結合する炭素原子に更に結合する炭素原子上に合計3つ以上のフッ素原子が置換されており、該フッ素原子の他にハロゲン、酸素、又はイオウ原子を含んでいてもよい炭素数3〜20の直鎖状、分岐状又は環状、又は多環状骨格を持った1価有機基であり、R11は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状骨格を持った1価炭化水素基であり、R12は官能基として、酸分解性保護基で保護されたカルボキシル基を持ち、該カルボキシル基の他にハロゲン、酸素、又はイオウ原子を含んでいてもよい炭素数3〜20の直鎖状、分岐状又は環状、又は多環状骨格を持った1価有機基であり、R13はR11と同定義である。R14は官能基としてラクトン環を有し、該ラクトン環の他にハロゲン、酸素、又はイオウ原子を含んでいてもよい炭素数4〜16の1価有機基であり、R15はR11と同定義である。pは0又は1であり、qは0又は1であり、rは0又は1である。)
【0198】
一般式(1)で示されるユニットは、膨潤を抑制することのできる極性基として導入されるものである。R10が有するヒドロキシ基は、通常のアルコールと異なり、隣接位に結合するフッ素原子が強く電子を吸引することによって、酸素上の電子密度が下がり、適度な酸性を与えることがこの効果の原因として考えられている。フッ素原子はヒドロキシ基が結合する炭素原子上に更に結合する炭素原子上に置換された場合、この大きな電子吸引効果を示し、それ以上遠い位置では効果はかなり小さなものとなる。より効率的にこの効果を得るためには、ヒドロキシ基の結合する炭素原子にトリフルオロメチル基が結合したものを用いることが好ましく、その代表的な部分構造として、ヘキサフルオロイソプロピル基がある。上記フッ素置換されたアルコール誘導体は既に多く発表されているが、シリコーンの構造単位を得るためには、不飽和結合を有する該誘導体とシランのハイドロシリレーションを行うことにより得られたシリコーンモノマーを加水分解、縮合することによって得られる。この側鎖を形成する置換基の骨格は炭素数3〜20のハロゲン、酸素、又はイオウ原子を含んでいてもよい、直鎖状、分岐状、環状あるいは多環状骨格を有する有機基であるが、既にこれらヒドロキシ基を有するフッ素化されたシリコーン化合物のいくつかは開示されており(例えば、特開2002−268227号公報、特開2003−173027号公報参照)、それらは基本的にすべて使用可能である。なお、このユニットに属する構造単位は単一のものを選択してもよいし、これに属するものを複数混合して用いてもよい。また、これらのうち、ノルボルナン骨格を有する構造単位を使用すると、得られる樹脂が固体となり易く、精製等において有利である。いくつかの代表的な例を以下に例示する。
【0199】
【化51】

【0200】
なかでも好ましい一般式(1)で表される構造単位として、下記式(Si−10)で表されるポリシロキサン化合物を挙げることができる。
【化52】

【0201】
一般式(2)で示される構造単位において、R12の酸不安定基で保護されたカルボン酸を有する側鎖は、露光部と未露光部の溶解性差を決定する機能を有する。酸不安定基は既にレジスト関連技術において一般的技術用語となっているが、これは、露光により光酸発生剤から発生した強酸が存在すると、これを触媒として保護していた官能基との間の結合が切断されるものであり、ここではカルボン酸が形成される。使用される保護基は周知のものが使用可能であるが、カルボン酸を保護する場合、炭素数4〜20の3級アルキル基、炭素数3〜18のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基が好ましく、特に3級アルキル基のうち、3級炭素の置換基が、該3級炭素を含む5〜7員環を形成する形で置換されている3級アルキル基による保護や、3級炭素に結合している炭素鎖が分岐あるいは環状構造を持つ3級アルキル基は、高い解像性を与え好ましい。
【0202】
保護される側のカルボン酸を含む側鎖は、3〜20の炭素原子を持ち、ハロゲン、酸素、又はイオウ原子を含んでいてもよい直鎖状、分岐状又は環状更には多環状構造を持つ有機基であるが、これも前記と同様、不飽和炭素結合を有する保護カルボン酸誘導体をハイドロシリレーションすることによって得られるシリコーンモノマーを加水分解、縮合することによって、容易に得ることができる。これらのうち、珪素及び保護カルボキシル基がノルボルナン環、あるいはテトラシクロドデセン環に共に直接結合しているモノマーを使用すると、高解像性を得ることができ、特に好ましい。即ち、一般式(2)で示される構造単位が下記式(Si−11)で表されるものを好適なものとして挙げることができる。
【化53】

(上記式中、R16は酸不安定基を示し、nは0又は1の整数を示す。)
【0203】
16の酸不安定基の好ましい例を以下に示す。
【化54】

【0204】
なお、一般式(1)のユニットと同様、一般式(2)のユニットはそれに属するものを単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
【0205】
一般式(3)で示されるユニットの機能は、シリコーン樹脂が必要な極性を確保すると共に、一般式(2)で示されるユニットの必要量をさげる機能を持つ、第2の極性基である。既に極性基としては、ヒドロキシ基、カルボニルオキシアルキル基、カルボキシル基、カーボネート基等多くの極性基が開示されてきているが、実際に一般式(1)のユニットと一般式(2)のユニットと組み合わせてみたところ、単層用のアクリル酸系ポリマーのような効果は得られず、高い解像度が得られなかった。これに対し、一般式(3)のラクトン骨格を有するユニットを用いると極性の確保と高解像性を同じに得ることができる。
【0206】
ラクトン骨格を持つシリコーン構造は、ラクトンが環状構造に組み込まれているものと、リンカーを持つもの、環状構造より更にラクトンがリンカーにより結合されているものの3種が報告されている(特開2002−268227号公報参照)。これらのうち、特に脂肪族環状骨格を持ち、更に、それに結合した5員環ラクトン骨格を持ち、かつ珪素原子が脂肪族環状骨格中の炭素の一つと結合した側鎖を持つ構造単位を使用した場合に、最も高い解像度が得られた。
【0207】
以下に最も良好な解像度を与えた2つのシリコーン化合物の側鎖を例示する。
【化55】

(上記式中、Yは酸素原子、イオウ原子、あるいはメチレン基であり、また、mは0又は1である。)
【0208】
なお、上記例示の式(Si−12)の化合物のうち、Yが酸素であるものは、より極性効果が高く、本発明の組成物に使用する際、より好ましい側鎖である。また上記式(Si−13)で示される化合物は、mが0であるものと1であるものをそれぞれ単一で使用してもよいし、混合物として使用してもよい。
【0209】
なお、一般式(1)や(2)のユニットと同様、一般式(3)のユニットはそれに属するものを単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
【0210】
一般式(1)、(2)、(3)で示される構造単位は、2価の構造単位でも3価のシリコーン化合物あってもよい。それぞれp、q、rが0である場合には3価であることを意味し、1である場合には2価であることを意味する。一般式(1)、(2)、(3)の構造単位に対し、2価の構造単位が50モル%以上である場合、縮合により得られたシリコーン樹脂が固形化しにくくなる傾向となり、精製等が困難になる場合があり、従って3価の構造単位が50モル%以上が好ましい。
【0211】
2価のモノマーを使用する際に選ばれる珪素のもう一つの側鎖R11、R13、R15は、特に機能を求めるものではないため、一般に簡単なものが選ばれ、炭素数が6より大きくなってくると蒸留等による精製が困難になる傾向があるため、炭素数6以下の炭化水素基から選ばれる。
【0212】
上記一般式(1)、(2)、(3)で示される構造単位の混合比であるが、まず初めに決めるのは一般式(2)で示される構造単位の全シリコーン構造単位に対する混合比であり、この単位の量比が、レジスト膜が持つ露光部と未露光部のおよそのコントラストを決める。この量比は、保護基の分子量等にもよるが、5〜80モル%/(全シリコーン化合物)の間であることが好ましく、より好ましくは10〜50モル%である。
【0213】
次に極性基総量、即ち一般式(1)で示される構造単位と一般式(3)で示される構造単位の合計量であるが、20〜95モル%/(全シリコーン化合物)であることが好ましく、より好ましくは50〜90モル%である。この単位が不足すると現像時のパターン剥がれ、膨潤によるパターン崩壊が起こり、逆に多すぎる場合にはレジストのコントラストが低下し、解像度が低下することになる。
【0214】
また、一般式(1)で示される構造単位と一般式(3)で示される構造単位との量比では、この2つの構造単位の合計に対し、一方の構造単位が10モル%以下である場合にはその構造単位の持つ機能が得られない。そこでそれぞれの単位は10〜90モル%/{(一般式(1)の構造単位)+(一般式(3)の単位)}であることが好ましい。
【0215】
更に、全シリコーン化合物に対し30モル%以下であれば、一般式(1)〜(3)で示される構造単位以外の2価以上のシロキサンユニットを更に加えることができる。例えば、シロキサン構造単位がいずれもバルキーな側鎖を有する際には、ポリシロキサン合成の縮合条件の調整だけでは、分子量が低いもしか得られない場合がある。このような場合、メチルシロキサン等の炭素数4以下のアルキル基のみを有するユニットを加えてやると、分子量を高くすることができる。また、より短波長の露光光、例えば157nmの光に対し透明性を上げる場合には、樹脂が有する単位重量あたりのフッ素原子の数自体を増加させてやることが効果的であることが知られているが、このような透明性を本発明のレジストに更に与えてやるためにはフルオロアルキル基が導入されたシロキサンユニットの導入が有効である。
【0216】
これらシロキサン構造のユニットは、それぞれのユニットに相当する加水分解性シラン化合物の混合物を水と接触させることにより共加水分解、縮合することで合成することができる。その際、酸触媒あるいは塩基触媒の存在下で反応を行うことができる。また、この反応は有機溶媒中で行うことができる。これらの反応で好適に利用される酸触媒としては、塩酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフロロ酢酸、トリフロロメタンスルホン酸、過塩素酸、リン酸、クエン酸などを使用することができる。また、塩基触媒としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、コリン、ジエチルヒドロキシルアミン、DBU、DBNなどを使用することができる。有機溶剤としては、エタノール、IPA、MIBK、アセトニトリル、DMA、DMFなどの極性溶媒や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒より選択することが好ましく、これらは単独あるいは混合して使用する。
【0217】
加水分解・縮合物であるシリコーン樹脂の重量平均分子量(GPCポリスチレン換算)は1,000〜100,000、好ましくは1,000〜30,000、更に1,500〜20,000であることがより好ましい。分子量が100,000を超えた場合、精製が困難となり、また、30,000を超えたものについては、モノマーの組み合わせにもよるが、解像性が低下する傾向にあり、20,000を超えたものについてもそのおそれがある。また、1,500より小さな場合には、パターン形状が丸くなる傾向があり、1,000未満であると顕著である。この丸くなったパターン形状は、下層膜のエッチングの際に、下層膜の垂直なエッチング加工ができなくなる原因となる。
【0218】
本態様のダブルパターン形成方法に用いられる第2レジスト材料のベース樹脂となる高分子化合物がポリシロキサン化合物で構成されるレジスト材料は、有機溶剤、高エネルギー線に感応して酸を発生する化合物(酸発生剤)、必要に応じて溶解阻止剤、塩基性化合物、界面活性剤、その他の成分を含有することができる。それら、有機溶剤、高エネルギー線に感応して酸を発生する化合物(酸発生剤)、必要に応じて溶解阻止剤、塩基性化合物、界面活性剤、その他の成分に関しては、上記に例示したものとどうようのものが挙げられる。但し、第2レジスト材料は、架橋反応を施し、有機溶剤耐性の発現や酸不安定基を積極的に外してアルカリ可溶性へ転ずる必要は全くないので、熱酸発生剤の添加はなくてもよい。また、本態様のダブルパターン形成方法に用いられる第2レジスト材料のベース樹脂となる高分子化合物がポリシロキサン化合物で構成される場合、Si含有量が高いことが望ましく、その他の添加剤が有機化合物であってレジスト化合物全系のSi含有量を低下させるような場合は、その配合量を低くとどめることが好ましい。
【0219】
本態様の2回目のパターンを形成するためのレジスト材料は、前述に示すように膜表面のアルカリ溶解速度を速くするように調整する方が1回目のレジストパターンの反転がスムーズに進行する。反転用膜の表面だけのアルカリ溶解性を向上させることは、アルカリ可溶に変質したポジレジストパターントップまでを覆ったパターン反転用膜の溶解をスムーズにし、ポジパターンを変換したトレンチパターンやホールパターンの寸法制御性向上のために有効である。表面のアルカリ溶解性を向上させるためにアルカリ可溶の界面活性剤、特にフッ素系界面活性剤を添加することができる。フッ素系界面活性剤としては、少なくとも下記一般式(4)中、繰り返し単位s−1、s−2のいずれか一方又は両方を有することを特徴とする。
【0220】
【化56】

(式中、Rs6、Rs9はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。nsは1又は2であり、ns=1の場合、Xs1はフェニレン基、−O−、−C(=O)−O−Rs12−又は−C(=O)−NH−Rs12−であり、Rs12は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、エステル基(−COO−)又はエーテル基(−O−)を有していてもよい。ns=2の場合、Xs1はフェニレン基から水素原子が1個脱離した基、−C(=O)−O−Rs81=又は−C(=O)−NH−Rs81=であり、Rs81は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基から水素原子が1個脱離した基であり、エステル基又はエーテル基を有していてもよい。Rs7は単結合、又は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、Rs8は水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基、又はRs7と結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜10の環(但し芳香環を除く)を形成してもよく、環の中にエーテル基、フッ素で置換されたアルキレン基又はトリフルオロメチル基を有していてもよい。Xs2はフェニレン基、−O−、−C(=O)−O−Rs11−又は−C(=O)−NH−Rs11−であり、Rs11は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、エステル基又はエーテル基を有していてもよい。Rs10はフッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、少なくとも1個のフッ素原子で置換されていて、エーテル基、エステル基又はスルホンアミド基を有していてもよい。Xs2がフェニレン基の場合、msは1〜5の整数であり、Xs2がそれ以外の場合、msは1である。)
【0221】
s−1を得るためのモノマーは具体的には[化28]、[化29]に例示あるいは下記例示のものを用いることができる。
【化57】

【0222】
【化58】

【0223】
【化59】

(式中、Rs6は前述と同様である。)
【0224】
更に、上記一般式(4)中のs−2で示されるフッ素で置換されたアルキル基を有する繰り返し単位s−2を得るためのモノマーとしては、下記の具体例を挙げることができる。
【化60】

【0225】
【化61】

【0226】
【化62】

(式中、Rs9は前述と同様である。)
【0227】
この場合、上記フッ素系界面活性剤中の繰り返し単位s−1、s−2の合計割合は30〜100モル%、特に50〜100モル%であることが好ましい。
s−1、s−2の繰り返し単位は、前述のフェノール基やカルボキシル基を有するアルカリ溶解性の繰り返し単位や、アルカリ難溶解性の繰り返し単位と共重合することができる。
【0228】
上記アルカリ可溶界面活性剤の添加量は、ベースポリマー100部に対して0〜50部、特に0〜20部が好ましい。多すぎると、膜減り量が多くなりすぎたり、エッチング耐性が低下したりする場合が生じる。なお、配合する場合は、1部以上とすることが好ましい。
【0229】
本発明に係るダブルパターニング方法は、上記第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布してレジスト膜を形成する。この場合、図1(A)に示したように、本発明においては基板10上に形成した被加工基板20に直接又は中間介在層を介してポジ型レジスト材料による第1レジスト膜30を形成するが、第1レジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃、更に好ましくは80〜120℃で、10〜300秒間、特に15〜200秒間、更に30〜120秒間行うことが好ましい。
【0230】
なお、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工基板20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。中間介在層としては、SiO2、SiN、SiON、p−Si等のハードマスク、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜、有機反射防止膜等が挙げられる。
特に好ましくは、非加工基板上に炭素の割合が75質量%以上のカーボン膜、その上に珪素含有中間層、その上にフォトレジスト膜を積層させる。又は非加工基板上に炭素の割合が75質量%以上のカーボン膜、その上にSiO2、SiN、SiON、p−Si等のハードマスク、その上に有機反射防止膜(BARC)、その上にフォトレジスト膜を積層させる。
【0231】
本発明のダブルパターン形成方法の第2レジスト材料が上述のようなポリシロキサン化合物からなるレジスト材料であった場合、被加工基板上で、形成されたダブルパターニングの下の層は有機膜材料が好ましく、形成されたダブルパターンは、いわゆる2層レジストとして使用できる。
【0232】
2層レジストとして使用する際の、被加工基板上で、形成されたダブルパターニングの下層膜である有機膜材料は、公知のものが多数あり、これらはいずれも使用できる。有機膜について若干の説明を加えると、基本的には芳香族系の樹脂が好ましく、また、本発明のレジスト材料を塗布、成膜する際にインターミキシングが起こらないよう、成膜時に架橋されるものが好ましい。
【0233】
芳香族系の樹脂としては、ノボラック樹脂、ポリヒドロスチレン系の樹脂等があり、この有機膜にパターン転写した後に基板をエッチング加工する際のエッチング耐性を上げるため、フルオレン骨格や、インデン骨格を含有するものが有効に使用することができる。また、この有機膜上に反射防止膜を形成し、その上に本発明のレジスト膜を形成してもよいが、有機膜が反射防止機能を有していれば、工程をより簡便にすることができ、好ましい。この反射防止機能を与えるためにアントラセン骨格やナフタレン骨格、また共役不飽和結合を有するベンゼン骨格を持った樹脂を使用することが好ましい。
【0234】
架橋の形成は、熱硬化樹脂や、ネガ型レジスト材料で使用される架橋法により形成することができ、フェノールやアルコキシフェニル、アルコールあるいはカルボン酸等の官能基を有する樹脂に対し、熱で分解して酸を発生する物質と、ヘキサアルコキシメチルメラミンを初めとする上記官能基と酸触媒により架橋を形成する架橋剤を加えた組成物溶液を被加工基板上に塗布し、加熱によって酸を発生させ架橋形成をさせる方法が一般的である。
【0235】
次いで、第1レジスト材料の露光を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、その中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶媒として純水、又はアルカン等の屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶媒に溶解させた材料が好ましい。フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤等の抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
【0236】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度、更に好ましくは10〜50mJ/cm2となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、30秒〜5分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜3分間ポストエクスポージュアベーク(PEB)する。
【0237】
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のレジストパターン30aが形成される(図2(B)参照)。
【0238】
上記パターニング方法によって得られる第1レジスト膜のラインパターンは後述する反転転写される第2レジスト膜のスペースパターンとして除去されるが、第2レジスト膜へ反転転写されるスペースパターンを細く仕上げる場合、第1レジスト膜の上記パターン30aを形成する際、高エネルギー線の露光量を大きくすることで細く仕上げることができる。第1レジスト膜の過露光によって、ラインサイズが小さくなった図例を(図3(B−1))に示す。
【0239】
次いで、上記第1レジストパターン中の高分子化合物の酸不安定基を脱離させると共に、該高分子化合物を架橋し、架橋パターン30bを形成する(図4(C)参照)。この場合、このレジストパターン中の高分子化合物の酸不安定基の脱離と架橋には、酸と加熱が必要である。この場合、酸を発生させた後、加熱によって酸不安定基の脱保護と架橋とを同時に行う。
【0240】
酸を発生させるには、現像後のウエハー(パターン)のフラッド露光(全面露光)によって光酸発生剤の分解を行う方法がある。フラッド露光の露光波長は波長180〜400nmで、露光量10mJ/cm2〜1J/cm2の範囲である。波長180nm以下、特には172nm、146nm、122nmのエキシマレーザーや、エキシマランプの照射は、光酸発生剤からの酸の発生だけでなく、光照射による架橋反応を促進させ、過剰な架橋によってアルカリ溶解速度が低下するために好ましくない。フラッド露光の波長は193nmより長波長のArFエキシマレーザー、222nmのKrClエキシマランプ、248nmのKrFエキシマレーザー、254nmの中心の低圧水銀ランプ、308nmのXeClエキシマランプ、365nmのi線が好ましく用いられる。
【0241】
しかしながら、フラッド露光を施す装置を半導体デバイスの生産ラインへ組み込むことは、その装置が高価であること、工程数が増加することによるスループットの低下などの弊害もあって、用いることを避けたい。
【0242】
上記第1レジストパターン中の高分子化合物の酸不安定基を脱離させると共に、該高分子化合物を架橋し、架橋パターン30bを形成する(図4(C)参照)場合、このレジストパターン中、高分子化合物の酸不安定基の脱離と架橋には、酸と加熱が必要である。酸を積極的に発生させるため、熱酸発生剤を第1レジスト材料へ添加してもよい。
【0243】
ポジ型レジスト材料にアンモニウム塩の熱酸発生剤を添加しておいて、加熱によって酸を発生させることもできる。この場合、酸の発生と架橋反応は同時に進行する。加熱の条件は180〜220℃の温度範囲で、10〜300秒、特に30〜60秒の範囲が好ましい。これにより、反転用膜形成材料である第2レジスト溶媒に不溶の架橋レジストパターンが形成される。
【0244】
なお、上記アンモニウム塩の熱酸発生剤としては、具体的に下記一般式(P1a−2)で示されるものを挙げることができる。第1レジスト材料へ熱酸発生剤を添加することは、第1レジスト膜のアルカリ可溶性の発現、第2レジスト膜の塗布に用いられる有機溶剤に対する耐性を具現化する架橋反応が促進することで好ましいが、過剰の添加はいくつかの弊害を引き起こす。熱酸発生剤の添加は、第1レジスト膜のパターニングにおけるリソグラフィーに影響を与えない程度、第1レジスト膜の熱特性に影響を与えない程度、第2レジスト膜へ影響を与えない程度の添加量が好ましく、その添加量は第1レジスト膜のベースとなる樹脂の質量に対して5%以下、好ましくは3%以下、更に好ましい添加範囲は1〜0.01%である。
【0245】
【化63】

(上記式中、K-はα位の少なくとも1つがフッ素化されたスルホン酸、又はパーフルオロアルキルイミド酸もしくはパーフルオロアルキルメチド酸である。R101d、R101e、R101f、R101gはそれぞれ水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとはこれらが結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基であるか、又は式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を形成する。)
【0246】
-として具体的には、トリフレート、ノナフレート等のパーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸、更には下記一般式(K−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【0247】
【化64】

【0248】
上記一般式(K−1)中、R102aは水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はラクトン環を有していてもよく、又はこれらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。上記一般式(K−2)中、R102bは水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
【0249】
ところで、フラッド露光を施さずとも、もしくは積極的に第1レジストパターン中へ酸を発生するために用いる熱酸発生剤を添加しなくとも、実は、第1レジストパターン中、露光部から拡散し残存した微量の酸が高温によって酸不安定基と反応し脱離して、第1のポジ型レジストのパターンがアルカリ可溶となることや、その酸と加熱によって架橋反応が進行し溶剤耐性が持たせることが可能なる例がある。また、いくつかの酸不安定基は、高温の加熱によって熱脱離することも認め、高温加熱によって第1のレジストパターンがアルカリ現像液に不溶なポジ型の特性からアルカリ現像液へ可溶に反転することを確認できたこともある。本発明に係る第1レジスト材料であれば、第1レジストパターンがアルカリ現像液に不溶から可溶へ反転するための酸不安定基の酸脱離や、反転転写される第2レジスト材料の有機溶剤耐性を発現するための架橋反応は、高温の加熱工程のみで施すことができる。第1レジスト膜のアルカリ可溶性の発現、第2レジスト膜の塗布に用いられる有機溶剤に対する耐性を具現化する架橋反応を施すための高温加熱する温度の最適は、150℃以上が好ましく、更に好ましい範囲は180〜220℃がよい。レジスト材料の光酸発生剤や塩基性化合物は一般的に可塑剤として働き、レジストパターンのTgを低下させ、サーマルフローが始まる温度が低温となってしまう。光酸発生剤や塩基性化合物はレジスト材料の必須成分であるから、その添加、可塑の効果を鑑みて、レジストベース樹脂自身のTgを上げておく必要がある。従って、レジストベース樹脂のTgの最適は、150℃以上、好ましくは180℃以上である。架橋反応を施す高温加熱の温度が220℃より高い場合、第1レジストのサーマルシュリンクが著しかったり、熱的ダメージが著しかったりして、第2レジストへ反転転写されるべく最良の第1レジストパターンを得ることができない。前述した通り、架橋反応を施す加熱工程が150℃未満の場合、十分な架橋反応は進行し難い。
【0250】
次に、図5(D)に示したように、架橋した第1のレジストパターン30bを覆って反転用膜形成材料であってかつ第2レジスト材料を塗布することにより反転用膜(第2レジスト膜)40を形成する。
【0251】
第1レジストパターンの高さを高く、第2レジスト膜の塗布膜厚を薄くすることによって、アルカリ現像液可溶へ反転した第1レジストパターンをアルカリ現像液へ露出させて、反転転写用膜の第2レジスト膜から第1レジストパターンを除去する方法もある(図6(D−1))。
【0252】
図5(D)のように、第1レジストパターンの上部を覆った反転転写膜である第2レジスト膜を除去し、アルカリ現像液可溶へ反転した第1レジストパターンへ現像液を接触させる方法が必要である場合、あらかじめ第1レジストパターンを反転転写用膜の第2レジスト膜に若干のアルカリ現像液に対して溶解性を与え、膜減りを施し、アルカリ可溶に反転した第1レジストパターンをアルカリ現像液へ露出させる方法がある。
【0253】
一方、第1レジストパターンの上部を覆った反転転写膜である第2レジスト膜を除去し、アルカリ現像液可溶となっている第1レジストパターンへ通じることは、上述のような反転転写用膜の第2レジスト膜にアルカリ現像液に対して溶解性を与えることなく達成できる例がある。それは第1レジストパターンの露光部から拡散しパターン中に残存した若干の酸、もしくは第1レジストパターンをアルカリ現像液に対する溶解性を保持したまま第2レジスト膜の溶剤に対する耐性を具現化する高温による加熱工程において、第1レジストパターン中に残存するレジスト材料の光酸発生剤が熱分解することによって発生する酸が、第1レジストパターン上部を覆った第2レジスト膜の、酸によって脱離する酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基に作用して、第2レジスト膜を塗布、プリベーク、更に露光及び露光後ベークのそれぞれのベーク工程において、酸脱離が生じ、第1レジストパターン上部を覆った第2レジスト膜がアルカリ可溶性となることによって、第2レジスト膜をパターニングする際の現像時に第1レジストパターン上部を覆った第2レジスト膜も溶解し、更に反転した第1レジストパターンも除去可能になるものである。
【0254】
高温による加熱工程のみで、反転した第1レジストパターン上部を覆った反転転写用膜の第2レジスト膜も除去し、第1レジストパターンをアルカリ現像溶解せしめる方法を用いる場合、第1レジスト膜、第2レジスト膜の塗布膜厚が重要となる。塗布される第1、第2レジスト膜の好ましい膜厚は、次の通りである。第1レジスト膜を平坦な基板上へ塗布したときの膜厚に対し、第2レジスト膜の平坦な基板上へ塗布した場合の膜厚は、60〜50%が好ましい。第2レジスト膜の塗布膜厚がこれより厚い場合、第1レジストパターン上部を覆った第2レジスト膜が十分にアルカリ可溶に転じないため、第2レジスト膜が除去されず、第1レジストパターンがアルカリ現像液に触れることができないため、第1レジストパターンも反転除去でない。これより薄いそれぞれの膜厚は、第1レジストパターンを反転転写したパターンを含む第2レジストパターニング後、得られるダブルパターンの高さを稼ぐことができない。
【0255】
図7(E)は、反転転写用の膜である第2レジスト膜のパターニングを施さず、反転した第1レジストパターンをアルカリ現像液で除去した例を示したものである。
【0256】
一方、アルカリ現像液へ可溶となった反転した第1レジストパターンは、第2レジスト膜のパターニングを行う際の現像工程において、第1レジストパターンの反転と第2レジストのパターン形成を同時に行うことができる。
【0257】
第1レジストパターン上へ塗布された反転転写用の第2レジスト膜は、第1レジスト膜をパターニングした同じ方法によって、パターニングされる。その方法は、第1レジスト膜のパターニングにおいて記載した場合と同様である。
【0258】
但し、第2レジスト膜のパターニング様式は、いくつかの方法が挙げられ、それぞれの利点がある。
一つは、反転した第1レジストパターンの間の位置に第2レジストパターンのスペースが形成できるように露光するものである(図8(F−1)、露光部50)。この場合、アルカリ可溶に反転した第1レジストパターンはスペースとしてアルカリ現像液で除去され、更に第2レジストパターンはその間にスペースを形成することから、結果、緻密なライン&スペースを形成するダブルパターニングを可能とする(図9(F−2))。
このダブルパターニングによる緻密なライン&スペースパターンは、シングルパターニングではなし得ないパターンサイズのライン&スペースを形成できる利点がある。
【0259】
次の第2レジスト膜への露光方式は、スペースへと反転する第1レジストパターンから離れた位置に露光するものである(図10(F−3))。
図10(F−3)に示した例は、上述のように第1レジストのパターンを過露光によって細いラインに仕上げ、これを高温加熱してアルカリ可溶性へ反転を行い、細いスペースに仕上げる例である。微細なスペースパターンと孤立性の高いラインパターンを同時に形成することは、それぞれの特徴がトレードオフの関係にあるため至難なパターニングであるが、本発明のダブルパターニングでは、極めて微細なスペースパターンを反転転写する第1レジスト膜で形成し、孤立ラインなどのパターンを第2レジスト膜のパターニングよって形成することで成し遂げることが可能となる。微細なスペースと孤立ラインが混在する層の加工に有利である(図11(F−4))。
【0260】
次に示される方法は、第1レジストパターンに直交する抜きパターンの第2レジストパターンを露光する方法である(図12(G−1))。なお、図中50は露光部である。これを現像することによって第1パターンがポジネガ反転し、第2パターンのトレンチパターンと交わって、十字型の抜きパターンを形成することができる(図13(G−2))。
次に示される方法は、第1パターンに直交する残しラインパターンの第2レジストパターンを露光する方法である(図14(H−1))。これによって第2ラインを第1パターンが断線することによって微細なピッチで四角い形状のドットパターンを形成することができる(図15(H−2))。ダブルダイポールによるドットパターンは、通常次に示す図17のような円形状のホールになるが、この方法では四角いホールが形成される。
次に示される方法は、X方向のラインとY方向のラインの2重露光(図16(I−1))と現像によってドットパターンを形成する(図17(I−2))。その上に第2レジストを塗布し、ドットの間にホールパターンを露光し、現像する。現像により第1パターンのドットはポジネガ反転によりホールパターンになり、第2パターンのホールと同時に解像される(図18(I−3))。なお、図中30cは露光部レジストパターンである。
第2レジストの露光波長としては、波長300nm以下の高エネルギー線を好ましく用いることができる。具体的には波長248nmのKrFエキシマレーザー光、193nmのArFエキシマレーザー光、波長157nmのF2レーザー光、EB、EUV、X線が挙げられる。この中では、波長193nmのArFエキシマレーザー光を好ましく用いることができる。ArFエキシマレーザーによる露光は水を用いた液浸リソグラフィーであってもよいし、ドライ露光であってもよいが、より微細なパターンを形成するには液浸リソグラフィーの方が好ましい。ArFエキシマレーザーによる露光では、ベースポリマーとしてナフタレン環を除く芳香族を有する材料は用いることができなく、環状構造を有するメタクリレートなどが好ましく用いられる。KrFエキシマレーザーやEB、EUV露光が適用される場合は、芳香族のフェノール基を有する材料を用いることもできる。
特に図16〜18に示される第1レジストパターンの間に画像反転膜となる第2レジストを用いて微細なホールを形成しようとする場合、非常に高い解像性能が要求されるため、ArFエキシマレーザー露光やEB露光を用いることが好ましい。
【0261】
更に、上記反転パターン40aをマスクとして、ハードマスク等の中間介在層がある場合はこの中間介在層をエッチングし、更に被加工基板20のエッチングを行う。この場合、ハードマスク等の中間介在層のエッチングは、フロン系、ハロゲン系のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができ、被加工基板のエッチングは、ハードマスクとのエッチング選択比をとるためのエッチングガス及び条件を適宜選択することができ、フロン系、ハロゲン系、酸素、水素等のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができる。次いで、架橋レジスト膜、第2のレジスト膜を除去するが、これらの除去は、ハードマスク等の中間介在層のエッチング後に行ってもよい。なお、架橋レジスト膜の除去は、酸素、ラジカル等のドライエッチングによって行うことができ、第2のレジスト膜の除去は上記と同様に、あるいはアミン系、又は硫酸/過酸化水素水等の有機溶媒等の剥離液によって行うことができる。
【実施例】
【0262】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本態様を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0263】
[合成例1]
反転する第1レジスト材料に用いる高分子化合物、並びに第1レジスト膜が反転転写されかつ第2のレジスト材料に用いる高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶媒下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(レジストポリマー1〜9、比較レジストポリマー10〜12)を得た。モノマーのフェノール基はアセトキシ基で置換し、重合後のアルカリ加水分解によってフェノール基にした。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより確認した。なお、下記式中Meはメチル基を示す。
【0264】
レジストポリマー1(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.73
【化65】

【0265】
レジストポリマー2(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=7,300
分散度(Mw/Mn)=1.67
【化66】

【0266】
レジストポリマー3(第1レジスト材料並びに第2レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=7,700
分散度(Mw/Mn)=1.68
【化67】

【0267】
レジストポリマー4(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=7,500
分散度(Mw/Mn)=1.67
【化68】

【0268】
レジストポリマー5(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=8,000
分散度(Mw/Mn)=1.71
【化69】

【0269】
レジストポリマー6(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=6,700
分散度(Mw/Mn)=1.67
【化70】

【0270】
レジストポリマー7(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=7,800
分散度(Mw/Mn)=1.66
【化71】

【0271】
レジストポリマー8(第2レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=7,900
分散度(Mw/Mn)=1.67
【化72】

【0272】
レジストポリマー9(第2レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=7,400
分散度(Mw/Mn)=1.63
【化73】

【0273】
比較レジストポリマー10(第1レジスト材料用/比較高分子化合物)
分子量(Mw)=7,700
分散度(Mw/Mn)=1.68
【化74】

【0274】
比較レジストポリマー11(第1レジスト材料用/比較高分子化合物)
分子量(Mw)=6,600
分散度(Mw/Mn)=1.67
【化75】

【0275】
比較レジストポリマー12(第1レジスト材料用/比較高分子化合物)
分子量(Mw)=7,500
分散度(Mw/Mn)=1.80
【化76】

【0276】
次に反転転写される第2レジスト材料がポリシロキサン化合物の場合の合成例を示す。
[合成例2]
撹拌機、還流器、滴下ロート、温度計を備えた200mlの四つ口フラスコに酢酸0.2g、水20g、エタノール20gを仕込んで30℃に保ち、これに下記に示すトリエトキシシラン化合物A10.8g(30mmol)、トリエトキシシラン化合物B8.8g(20mmol)、トリエトキシシラン化合物C16.4g(50mmol)をエタノール40gに溶解させた溶液を3時間かけて滴下した。
【化77】

(Etはエチル基を示す。)
【0277】
引き続き30℃で20時間熟成させた後、この反応混合物をメチルイソブチルケトンで希釈し、有機層が中性となるまで水洗を繰り返した後に濃縮してオリゴマー27.6gを得た。
これをトルエン50gを用いて撹拌機、還流器、温度計を備えた100mlの三つ口フラスコに洗い込み、ここに水酸化カリウム56mgを加えて20時間、加熱還流した。冷却後反応液をメチルイソブチルケトンで希釈し、有機層が中性となるまで水洗を繰り返した後に濃縮してポリマー24.9gを得た。
NMRとGPC分析の結果、このものは下記式で示される重量平均分子量3,500のレジストポリマー13であることが確認された。
【0278】
レジストポリマー13(第2レジスト材料用ポリシロキサン化合物)
分子量(Mw)=3,500
【化78】

【0279】
上述したエトキシシラン化合物のような構造において、珪素に結合する置換基構造を変えることによって種々のエトキシシラン化合物を得ることができる。その後、ポリシロキサン化合物合成例と同様の実験操作により種々の構成単位を有したポリシロキサン化合物であるレジストポリマー14,15を得た。
【0280】
レジストポリマー14(第2レジスト材料用ポリシロキサン化合物)
分子量(Mw)=3,600
【化79】

【0281】
レジストポリマー15(第2レジスト材料用ポリシロキサン化合物)
分子量(Mw)=2,000
【化80】

【0282】
レジストポリマー16(第2レジスト材料用フェノール系ポリマー)
分子量(Mw)=6,000
【化81】

【0283】
レジストポリマー17(第2レジスト材料用フェノール系ポリマー)
分子量(Mw)=7,400
【化82】

【0284】
レジストポリマー18(第2レジスト材料用フェノール系ポリマー)
分子量(Mw)=6,300
【化83】

【0285】
レジストポリマー19(第2レジスト材料用フェノール系ポリマー)
分子量(Mw)=6,600
【化84】

【0286】
レジストポリマー20(第2レジスト材料用フェノール系ポリマー)
分子量(Mw)=6,600
【化85】

【0287】
[実施例、比較例]
次に、上述した高分子化合物を用いて、光酸発生剤、塩基性化合物、界面活性剤、熱酸発生剤、表面溶解速度向上剤(Surface DRR)、有機溶剤の各レジスト材料を用いた配合例を示す。界面活性剤は住友スリーエム社製FC−4430を有機溶剤100質量部に対して0.005質量部加え、上記レジスト材料を十分に混合した。
【0288】
酸発生剤:PAG1,2(下記構造式参照)
【化86】

【0289】
塩基性化合物:Quencher1〜3(下記構造式参照)
【化87】

【0290】
熱酸発生剤:TAG1(下記構造式参照)
【化88】

【0291】
表面溶解速度向上剤:Surface DRR(下記構造式参照)
【化89】

有機溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
【0292】
第1レジスト材料、第2レジスト材料、比較第1レジスト材料のフォーミュレーション例を表1に示す。
【0293】
【表1】

【0294】
表2に、第1レジストのパターニングの実施例1〜8及び第1レジストのパターニングの比較例1〜3を示す。
上記表1に示す組成で調製したレジスト材料を孔径0.2μmのテトラフルオロエチレン製フィルターを用いて濾過し、ポジ型レジスト膜形成用塗布液を調製した。
シリコンウエハーにARC−29A(日産化学工業(株)製)を90nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて各レジストに適正な温度で60秒間プリベークし、レジスト膜の厚みを1,200Åとした。適正なベーク温度とは、パターニング後、評価するパターンプロファイルをTop Down SEM(上空走査電子線顕微鏡)S9320((株)日立製作所製)を用いて観察した際に矩形性が高く、ブリッジなど発生せず、パターンエッジが欠けることのない、良好なプロファイルを得る温度を指す。適正なプリベーク温度を表2に示した。
【0295】
更に、成膜した第1レジスト膜をArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製S−307E)、NA0.85、σ0.93−0.62、Dipole(ダイポール)の条件で、パターン露光を施した。用いたマスクは、6%HT−PSMを用い、マスク上ライン&スペースのデザインはライン70nm、ピッチ160nm(レジストパターンサイズ相当)を使用した。最良なフォーカスを選択し、露光量を低露光量から高露光量まで変化させ、レジスト膜に照射した。
【0296】
露光後、ホットプレートでベークを行った(Post Exposure Bake=PEB)。各レジスト材料に相応しいPEB温度も表2に記載した。相応しいPEB温度は、それぞれのレジスト材料のプロセスマージンが広く観察される温度を指す。PEBを60秒間施した後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像を行って、ポジ型のパターンを得た。
【0297】
表2には、マスク上ライン&スペースのデザインのライン70nm、ピッチ160nm(レジストパターンサイズ相当)ラインが40nmに仕上がる最適露光量を示した。
【0298】
ここで、第1レジスト膜をアルカリ可溶へ反転させるため、転写される第2レジスト膜の溶剤に対する耐性を持たせるために高温で加熱を施した。その温度は200℃で60秒間ホットプレートにおいて行った。この加熱後の上記で得られた40nmラインのサイズの変化を測定した。加熱後のラインサイズを表2に記載した。
【0299】
【表2】

【0300】
比較例3のおいては、パターニング後得られた40nmのラインが200℃×60秒の加熱で太く変化していることから、比較例3に用いた第1レジストパターンのガラス転移点(Tg)が低く、サーマルフローが観察された。比較例3で用いられたレジスト材料は、反転転写するパターンとして第1レジストの微細加工を成すことができないため相応しくない。
【0301】
次に、実施例1〜8及び比較例1,2において得られた第1レジストパターンへ第2レジスト材料を塗布した。第2レジスト材料の塗布膜厚は、平坦な基板上で600Åとなるように設定した。表3に第2レジストを塗布した時の第1レジストパターンの変化を示す。表3には、第2レジストを塗布する際のプリベーク温度も記載した。
【0302】
【表3】

【0303】
比較例4及び5においては、第2レジスト材料の溶剤によって、第1レジストパターンが崩壊してしまった。比較例4及び5において用いられた第1レジスト材料の高分子化合物は、有機溶剤耐性を持たせるための高温加熱工程においても架橋することがないため、第2レジスト溶剤に溶解してしまったのである。
【0304】
次いで、上記と同様に実施例1〜8において得られた第1レジストパターンへ第2レジスト材料を塗布した。塗布した第2レジスト膜へは露光パターニングを施さず、第2レジスト膜に相応しいPEBとPEB後、2.38質量%のTMAH水溶液による30秒間の現像を行い、第1レジストパターンが反転アルカリ可溶となって、第2レジスト膜へ反転転写されることをTop Down SEM(上空走査電子線顕微鏡)S9320((株)日立製作所製)を用いて観察した。更に第2レジスト膜へ反転転写されたパターンサイズを測長した。その結果を表4に記載する。
【0305】
比較例として、第2レジスト材料の塗布膜厚を変化させて、同じように第2レジストへ反転転写されたパターンを観察した。表4に結果をまとめた。第2レジストの膜厚が厚いとアルカリ可溶性へと反転した第1レジストまでアルカリ現像液が到達し難くなるため転写に不具合が生じる。
【0306】
【表4】

【0307】
次いで、アルカリ現像液に可溶に反転した第1レジストパターン上に第2レジスト膜を塗布し、第1レジストパターンの間にスペースパターンが形成できるように次の露光条件で露光を施した。ArFスキャナー((株)ニコン製S−307E)、NA0.85、σ0.93−0.62、Dipoleの条件で、パターン露光を行った。用いたマスクは、上記と同じ6%HT−PSMを用い、マスク上ライン&スペースのデザインはライン70nm、ピッチ160nm(レジストパターンサイズ相当)を使用した。最良なフォーカスを選択し、露光量を低露光量から高露光量まで変化させ、第2レジスト膜に照射した。このとき、第1レジスト膜を露光したときと同じマスクを使用したことは、第1レジストの未露光部のラインパターンは反転してスペースパターンとなり、その位置は第2レジストパターン露光の未露光部、ラインパターンと重なることから同じライン&スペースの配列を用いることができるからである。更に、マスク上ライン&スペースのデザインはライン70nm、ピッチ160nm(スペース90nmであるので)低露光量で40nmの第2レジストスペースパターンを解像せしめ、反転転写した第1レジストのスペースパターンサイズも40nmを狙ったことから、ライン(&スペース)40nm、ピッチ80nmの繰り返しパターンが形成するダブルパターニングに成功した。その結果を表5にまとめる。表5には第2レジストを40nmに解像した露光量とダブルパターニング後のプロファイルをまとめた。
【0308】
【表5】

【0309】
シリコンウエハーに信越化学工業(株)製の下層膜ODL−50を塗布し、ホットプレートを用いて250℃で60秒間ベークして膜厚200nmの下層膜(炭素含量80質量%)を形成した。その上に信越化学工業(株)製の珪素含有中間膜SHB−A940を塗布し、200℃で60秒間ベークして膜厚35nmの珪素含有中間膜(珪素含量43質量%)を形成した。その上にフォトレジスト材料を塗布し、100℃で60秒間プリベークし、膜厚120nmの第1のフォトレジスト膜を形成した。
更に、成膜した第1レジスト膜をArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製S−307E)、NA0.85、σ0.93−0.62、Y方向ライン用Dipole照明で、6%ハーフトーン位相シフトマスクを用いて線幅が70nm、ピッチが140nmで長さが700nmの5本のY方向ラインパターン露光を施した。露光後100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間現像し、Y方向の70nmラインパターンを得、190℃で60秒間ベークし、架橋と脱保護を行い、第1レジストパターンの線幅を測定した。
【0310】
実施例43では、第1のラインパターン上に第2レジストを塗布し、第2レジストの膜厚を50nmにした。第1パターンと垂直に交差するX方向の1本のラインをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製S−307E)、NA0.85、σ0.93−0.62、輪帯照明の条件で、6%ハーフトーン位相シフトマスクを用いて線幅が150nm、長さが1μmのトレンチパターンを露光し、100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間現像し、5本のY方向の70nmトレンチと交差するX方向幅150nmトレンチパターンを得た。
【0311】
実施例44では、第1のラインパターン上に第2レジストを塗布し、第2レジストの膜厚を60nmにした。第1パターンと垂直に交差するX方向の1本のラインをKrFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製S−203B)、NA0.68、σ0.75−0.50、輪帯照明の条件で、6%ハーフトーン位相シフトマスクを用いて線幅が200nm、長さが1μmのトレンチパターンを露光し、100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間現像し、5本のY方向の70nmトレンチと交差するX方向幅200nmトレンチパターンを得た。
【0312】
比較例9では、マスク上のY方向5本の70nmライン140nmピッチに重なるX方向の150nmトレンチ(ウエハー上寸法換算)パターンが形成されている図19に示される形状の6%ハーフトーン位相シフトマスク(灰色部分Gはシフターによる遮光部分、白色部分Wは光透過部分)を用いてArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製S−307E)、NA0.85、σ0.93−0.62、クロスポール照明の条件で露光し、露光後100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間現像し、5本のY方向の70nmトレンチと交差するX方向幅150nmトレンチパターンを得た。
【0313】
第1レジストY方向ラインのラインパターンの寸法と、第2レジスト現像後の反転後のY方向スペースのスペース幅測定寸法、第2レジストパターンのX方向トレンチの寸法、第1パターンと交わる第2パターンの接合部の形状をSEMで観察した。結果を表6に示す。
また、実施例43と44によって得られたレジストパターンを図19、比較例9によって得られたレジストパターンを図20に示す。灰色部分Gはレジストが残っている領域、白色部分Wはレジストが溶解している領域を示す。
【0314】
【表6】

【0315】
シリコンウエハーに信越化学工業(株)製の下層膜ODL−50を塗布し、ホットプレートを用いて250℃で60秒間ベークして膜厚200nmの下層膜を形成した。その上に信越化学工業(株)製の珪素含有中間膜SHB−A940を塗布し、200℃で60秒間ベークして膜厚35nmの珪素含有中間膜を形成した。その上にフォトレジスト材料を塗布し、100℃で60秒間プリベークし、膜厚120nmの第1のフォトレジスト膜を形成した。
更に、成膜した第1レジスト膜をArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製S−307E)、NA0.85、σ0.93−0.62、Y方向ライン用Dipole照明の条件で、6%ハーフトーン位相シフトマスクを用いて線幅が70nm、ピッチが140nmで長さが700nmの5本のY方向ラインパターン露光を施した。露光後100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間現像し、Y方向の70nmラインパターンを得、190℃で60秒間ベークし、架橋と脱保護を行い、第1レジストパターンの線幅を測定した。
【0316】
実施例45では、第1のラインパターン上に第2レジストを塗布し、第2レジストの膜厚を50nmにした。第1パターンと垂直に交差するX方向の5本のラインをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製S−307E)、NA0.85、σ0.93−0.62、X方向ライン用Dipoleの条件で、6%ハーフトーン位相シフトマスクを用いて線幅が70nm、ピッチが140nmで長さが700nmの5本のX方向ラインパターン露光を施し、100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間現像し、X方向の5本のラインと、これに重なるY方向ラインのポジネガ反転によって形成されたドットパターンを得た。
【0317】
比較例10では、マスク上の寸法がX方向5本の140nmピッチ70nmラインと70nmドットの図21に示される形状のマスクを用いてレジストを露光し、露光後100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間現像し、5本のX方向の70nmラインと70nmのドットパターンを得た。
【0318】
現像後のラインの寸法とドットの寸法をSEMで測長した。結果を表7に示す。
また、実施例45の現像後のレジストパターンを図21、比較例10の現像後のレジストパターンを図22に示す。
【0319】
【表7】

【0320】
シリコンウエハーに信越化学工業(株)製の下層膜ODL−50を塗布し、ホットプレートを用いて250℃で60秒間ベークして膜厚200nmの下層膜を形成した。その上に信越化学工業(株)製の珪素含有中間膜SHB−A940を塗布し、200℃で60秒間ベークして膜厚35nmの珪素含有中間膜を形成した。その上にフォトレジストを塗布し、100℃で60秒間プリベークし、膜厚120nmの第1のフォトレジスト膜を形成した。
更に、成膜した第1レジスト膜をArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製S−307E)、NA0.85、σ0.93−0.62、Y方向ライン用Dipole照明の条件で、6%ハーフトーン位相シフトマスクを用いて線幅が70nm、ピッチが140nmのY方向ラインパターン露光を施し、次いでX方向のDipole照明で線幅が70nm、ピッチが140nmのX方向ラインパターンを露光し、露光後100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間現像しピッチが140nmで50nmのサイズのドットパターンを得、190℃で60秒間ベークし、架橋と脱保護を行った。
ドットパターン上に第2レジストを塗布し、100℃で60秒間プリベークし、膜厚60nmの第2のフォトレジスト膜を形成した。(株)日立製作所製HL−800Dを用いてHV電圧50keVで真空チャンバー内、第一レジストのドットパターンの間にホールパターンを描画した。
露光後100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間現像し第1レジストドットパターンをポジネガ反転によりホールパターンにし、第2レジストパターンのホールパターンを解像した。
現像後のホールの寸法をSEMで測長した。結果を表8に示す。
また、実施例46〜49の現像後のレジストパターンを図18に示す。
【0321】
【表8】

【0322】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0323】
10 基板
20 被加工基板
30 第1レジスト膜
30a レジストパターン
30b 架橋レジストパターン
30c 露光部レジストパターン
40 反転用膜(第2レジスト膜)
40a 反転パターン
50 露光部
G 灰色部分
W 白色部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工基板上に、酸によって脱離する酸不安定基によって保護されたアルカリ可溶性基を持つ構造を有する繰り返し単位を有する樹脂、光酸発生剤及び有機溶剤を含有する化学増幅ポジ型レジスト膜形成用組成物を塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせてアルカリ可溶とした後、アルカリ性現像液で現像して第1のポジ型パターンを得る工程、更に該ポジ型パターンを得る工程で得られたレジストパターン中の上記樹脂の酸不安定基を脱離させると共に、該樹脂にアルカリ性現像液に対する溶解性を失わない範囲で架橋を形成させて、レジストパターンに反転膜形成用組成物に使用される有機溶剤に対する耐性を与える工程、その後、反転膜形成用組成物として酸によって脱離する酸不安定基によって保護されたアルカリ可溶性基を持つ構造を有する繰り返し単位を有する樹脂を含有する第2の化学増幅ポジ型レジスト材料を用いて反転膜を形成し、第2の化学増幅型レジスト材料の溶剤をプリベークにより該反転膜から除去し、該反転膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせた後、アルカリ性現像液で現像して、第2のポジ型パターンを得る工程を含み、更に第2のポジ型レジストパターンを得るアルカリ現像液工程において、上記アルカリ性現像液に可溶に反転された第1のポジ型パターンが、第2のポジ型パターンを得る工程中に溶解除去、反転転写される工程を含むことを特徴とするダブルパターン形成方法。
【請求項2】
上記第2のポジ型レジストパターンの形成露光において、第2のパターンを、第1のパターンの間に露光し、アルカリ現像除去できるスペースとして、第1のポジ型レジストパターンの反転転写したスペースパターンの間に形成することにより、ラインとスペースの繰り返しパターンを被加工基板上に形成させる請求項1記載のダブルパターン形成方法。
【請求項3】
上記第2のポジ型レジストパターンの形成露光において、第1のパターンより離れたところへ露光することにより、第1の反転転写したパターンとは別に第2のポジ型レジストパターンを被加工基板上に形成させる請求項1記載のダブルパターン形成方法。
【請求項4】
上記第2のポジ型レジストパターンの形成露光において、第1のパターンと交わる第2パターンを露光することにより、第1のパターンが反転されたスペースパターンと交わる第2のスペースパターンを作製することを特徴とする請求項1記載のダブルパターン形成方法。
【請求項5】
上記第2のポジ型レジストパターンの形成露光において、第1のパターンと交わる第2パターンを露光することにより、第2のポジ型レジストパターンに第1のパターンが反転されたスペースパターンを作製することを特徴とする請求項1記載のダブルパターン形成方法。
【請求項6】
第1のパターンの露光と現像によってドットパターンを形成し、上記第2のポジ型レジストパターンの形成露光において、第1のドットパターンの間にホールパターンを露光することにより、第1のパターンが反転されたホールパターン間に第2のレジストの現像によるホールパターンを作製することを特徴とする請求項1記載のダブルパターン形成方法。
【請求項7】
上記第1の化学増幅ポジ型レジスト膜形成用組成物が、ラクトン環を有する繰り返し単位と、酸によって脱離する酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基を持つ脂環構造を有する繰り返し単位を有する樹脂を含有するポジ型レジスト材料である請求項1乃至6のいずれか1項記載のダブルパターン形成方法。
【請求項8】
上記第1の化学増幅ポジ型レジスト膜形成用組成物が、7−オキサノルボルナン環を有する繰り返し単位と、酸によって脱離する脂環構造の酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基を持つ繰り返し単位を有する樹脂を含有するポジ型レジスト材料であって、得られたパターンに熱を加えて、パターン中の高分子化合物の酸不安定基を脱離させる際、該パターン中の高分子化合物の架橋と酸不安定基の脱離とを同時に行うことのできる樹脂を含有するポジ型レジスト材料である請求項7記載のダブルパターン形成方法。
【請求項9】
上記第1の化学増幅ポジ型レジスト膜形成用組成物が含有する樹脂が、下記一般式(a)に示される繰り返し単位を有する請求項7又は8記載のダブルパターン形成方法。
【化1】

(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよいが、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基の場合、式中のエステル基に連結した炭素原子は1級又は2級である。R3、R4、R5は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。aは0<a<1.0の範囲である。)
【請求項10】
上記第1の化学増幅ポジ型レジスト膜形成用組成物を含有する樹脂における酸によって脱離する酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基を持つ繰り返し単位が、下記一般式(b)で示される繰り返し単位である請求項7乃至9のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【化2】

(式中、R6は水素原子又はメチル基、R7は酸不安定基を示す。bは0<b≦0.8の範囲である。)
【請求項11】
上記第1レジストパターンの反転膜形成用の組成物としての第2の化学増幅ポジ型レジスト材料が、ラクトン環を有する繰り返し単位と、酸によって脱離する酸不安定基によって保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有する樹脂を含有するポジ型レジスト材料である請求項1乃至10のいずれか1項記載のダブルパターン形成方法。
【請求項12】
上記第1レジストパターンの反転膜形成用の組成物としての第2の化学増幅ポジ型レジスト材料が含有する樹脂における酸によって脱離する酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基を持つ繰り返し単位が、下記一般式(c)で示される繰り返し単位である請求項11記載のパターン形成方法。
【化3】

(式中、R8は水素原子又はメチル基、R9は酸不安定基を示す。cは0<c≦0.8の範囲である。)
【請求項13】
上記第1レジストパターンの反転膜形成用組成物としての第2の化学増幅ポジ型レジスト材料の酸によって脱離する酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基を持つ繰り返し単位が、ポリシロキサン化合物である請求項1乃至10のいずれか1項記載のダブルパターン形成方法。
【請求項14】
上記第1レジストパターンの反転膜形成用組成物としての第2の化学増幅ポジ型レジスト材料において、上記ポリシロキサン化合物が、下記一般式(1)及び(2)で表される構造単位と、更に第3として下記一般式(3)で表される構造単位を有するポリシロキサン化合物である請求項13記載のダブルパターン形成方法。
【化4】

(式中、R10は官能基としてヒドロキシ基を持ち、かつ、該ヒドロキシ基が結合する炭素原子に更に結合する炭素原子上に合計3つ以上のフッ素原子が置換されており、該フッ素原子の他にハロゲン、酸素、又はイオウ原子を含んでいてもよい炭素数3〜20の直鎖状、分岐状又は環状、又は多環状骨格を持った1価有機基であり、R11は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状骨格を持った1価炭化水素基であり、R12は官能基として、酸分解性保護基で保護されたカルボキシル基を持ち、該カルボキシル基の他にハロゲン、酸素、又はイオウ原子を含んでいてもよい炭素数3〜20の直鎖状、分岐状又は環状、又は多環状骨格を持った1価有機基であり、R13はR11と同定義である。R14は官能基としてラクトン環を有し、該ラクトン環の他にハロゲン、酸素、又はイオウ原子を含んでいてもよい炭素数4〜16の1価有機基であり、R15はR11と同定義である。pは0又は1であり、qは0又は1であり、rは0又は1である。)
【請求項15】
上記第1のレジストパターンに反転用膜形成用組成物に使用される有機溶剤に対する耐性を与える工程は、プリベーク及び露光後加熱のいずれよりも高い温度での処理を伴う請求項1乃至14のいずれか1項記載のダブルパターン形成方法。
【請求項16】
被加工基板上に、酸によって脱離する酸不安定基によって保護されたアルカリ可溶性基を持つ構造を有する繰り返し単位を有する樹脂、光酸発生剤及び有機溶剤を含有する化学増幅ポジ型レジスト膜形成用組成物を塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成する工程、レジスト膜上に保護膜形成用組成物を塗布し、加熱により不要な溶剤を除去して保護膜を形成する工程、該レジスト膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせた後、アルカリ性現像液で現像して第1のポジ型パターンを得る工程、更に該ポジ型パターンを得る工程で得られたレジストパターン中の上記樹脂の酸不安定基を脱離させると共に、該樹脂にアルカリ性現像液に対する溶解性を失わない範囲で架橋を形成させて、レジストパターンに反転膜形成用組成物に使用される有機溶剤に対する耐性を与える工程、その後、反転膜形成用組成物として酸によって脱離する酸不安定基によって保護されたアルカリ可溶性基を持つ繰り返し単位を有する樹脂を含有する第2の化学増幅ポジ型レジスト材料を用いて反転膜を形成し、第2の化学増幅型レジスト材料の溶剤をプリベークにより該反転膜から除去し、該反転膜上に保護膜形成用組成物を塗布し、加熱により不要な溶剤を除去して保護膜を形成する工程、該第2のレジスト反転膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせた後、アルカリ性現像液で現像して、第2のポジ型パターンを得る工程を含み、更に第2のポジ型レジストパターンを得るアルカリ現像液工程において、上記アルカリ性現像液に可溶に反転された第1のポジ型パターンが、第2のポジ型パターンを得る工程中に溶解除去、反転転写される工程を含むことを特徴とする上記第1のポジ型レジスト膜の反転転写パターンと、第2のレジストポジ型パターンを形成させるダブルパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−217250(P2009−217250A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22350(P2009−22350)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】