説明

デカップリング回路及び半導体集積回路

【課題】容量値の切り換えが可能なデカップリング回路を提供すること。
【解決手段】本発明は、インバータ21を有する。インバータ21は、ゲート電極G1を有するi(iは1以上の整数)個のPMOSトランジスタ及びゲート電極G2を有するj(jは0以上の整数)個のPMOSトランジスタを有する。また、インバータ21は、ゲート電極G3を有するm(mは1以上の整数)個のNMOSトランジスタ及びゲート電極G2を有するn(nは0以上の整数)個のNMOSトランジスタを有する。ゲート電極G1〜G4は、インバータ21の入力端と接続される。ゲート電極G1及びG2の合計面積は、ゲート電極G3及びG4の合計面積と異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデカップリング回路及び半導体集積回路に関し、特に容量値が切り換え可能なデカップリング回路及び半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の動作の高速化に伴い、電源ノイズを緩和するためのオンチップデカップリング容量が必要となってきている。対象となる電源ノイズ量や共振周波数は、ボード、パッケージ及びチップにより決定される。しかし、電源ノイズ量や共振周波数を、シミュレーションにより、チップ設計時に正確に見積もることは難しい。また、複数の周波数で動作するチップでは、いずれかの動作周波数が共振周波数と一致する恐れがある。よって、動作周波数と共振周波数とが一致することを防止するため、共振周波数を制御することが求められる。
【0003】
このようなオンチップデカップリング容量の例が特許文献1に開示されている。図5は、特許文献1に開示されたデカップリング容量300の回路図である。図5に示すように、デカップリング容量300は、n型MOSトランジスタ11とp型MOSトランジスタ12から構成されており、n型MOSトランジスタ11のソース電極が接地線に、p型MOSトランジスタ12のソース電極が電源線に、n型MOSトランジスタ11のドレイン電極がp型MOSトランジスタ12のゲート電極に、p型MOSトランジスタ12のドレイン電極がn型MOSトランジスタ11のゲート電極に接続されている。
【0004】
続いて、デカップリング容量300の動作について説明する。n型MOSトランジスタ11、p型MOSトランジスタ12のゲート電極のノードは、それぞれフローティングである。しかし、各トランジスタのリーク電流によって電源投入後短時間でn型MOSトランジスタのゲート電極のノードは電源線電位に、p型MOSトランジスタのゲート電極のノードは接地線電位に確定する。従って、両方のトランジスタは共にオンして導通している。
【0005】
すなわち、デカップリング容量300は、電源線/接地線間に、n型MOSトランジスタのオン抵抗とp型MOSトランジスタのゲート容量の直列接続と、p型MOSトランジスタのオン抵抗とn型MOSトランジスタのゲート容量の直列接続と、が形成されている。
【0006】
デカップリング容量300では、n型MOSトランジスタ、p型MOSトランジスタ両方がそれぞれゲート容量とESD対策用抵抗の両方の役割を果たしており、新たにESD対策用抵抗を形成するための面積が不要であるため、面積効率に優れている。
【0007】
特許文献1では、デカップリング容量300によれば、ESD耐性があり、面積効率に優れ、且つ工程増のないデカップリング容量を提供することができるとしている。
【0008】
また、静電耐圧特性向上を図るためのクロスカップリング型デカップリングキャパシタの構成が知られている(特許文献2)。さらに、半導体集積回路の導波周波数に合わせて、電源回路のインピーダンス等を制御する技術が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−86699号公報
【特許文献2】特開2009−246062号公報
【特許文献3】特開平11−7330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、チップの共振周波数を制御するためには、デカップリング容量の容量値を制御することが必要である。すなわち、デカップリング容量の容量値を変化させることにより、チップの共振周波数を変化させることが必要である。
【0011】
ところが、特許文献1に開示されたデカップリング容量300では、n型MOSトランジスタとp型MOSトランジスタとの接続関係が固定されている。そのため、デカップリング容量300は一定の容量値を有することとなる。従って、デカップリング容量300によっては、チップの共振周波数を変化させることができない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様であるデカップリング回路は、第1の電源と前記第1の電源よりも低電圧の第2の電源との間に接続されることにより電源供給される第1のインバータを備え、前記第1のインバータは、当該第1のインバータの出力端と前記第1の電源との間に接続されるi(iは1以上の整数)個の第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタと並列に接続され、前記第1のトランジスタと同じ導電型であるj(jは0以上の整数)個の第2のトランジスタと、当該第1のインバータの前記出力端と前記第2の電源との間に接続され、前記第1のトランジスタと導電型が異なるm(mは1以上の整数)個の第3のトランジスタと、前記第3のトランジスタと並列に接続され、前記第3のトランジスタと同じ導電型であるn(nは0以上の整数)個の第4のトランジスタと、を備え、前記第1乃至4のトランジスタの制御端子は、前記第1のインバータの入力端と接続され、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのゲート面積の合計は、前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタのゲート面積の合計と異なるものである。このデカップリング回路では、前記入力端に入力される信号に応じて、前記第1及び第2のトランジスタと、前記第3及び第4のトランジスタと、が相補的にオン/オフする。すなわち、オン状態のトランジスタのゲート面積の合計が、前記入力端に入力される信号に応じて変化する。これにより、前記入力端に入力される信号に応じて、当該デカップリング回路の容量値が変化する。
【0013】
本発明の一態様であるデカップリング回路は、第1の電源と前記第1の電源よりも低電圧の第2の電源との間に接続されることにより電源供給され、第1の入力信号に応じて容量値が変化する第1のインバータを備え、前記第1のインバータは、当該第1のインバータの出力端と前記第1の電源との間に接続されるi(iは1以上の整数)個の第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタと並列に接続されるj(jは0以上の整数)個の第2のトランジスタと、当該第1のインバータの前記出力端と前記第2の電源との間に接続されるm(mは1以上の整数)個の第3のトランジスタと、前記第3のトランジスタと並列に接続されるn(nは0以上の整数)個の第4のトランジスタと、を備え、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタと、前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタと、は前記第1の入力信号に応じて相補的にオン/オフし、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのゲート面積の合計は、前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタのゲート面積の合計と異なるものである。このデカップリング回路では、前記第1の入力信号に応じて、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとが相補的にオン/オフする。すなわち、オン状態のトランジスタのゲート面積の合計が、前記第1の入力信号に応じて変化する。これにより、前記第1の入力信号に応じて、当該デカップリング回路の容量値が変化する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容量値の切り換えが可能なデカップリング回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1にかかるデカップリング回路100の回路図である。
【図2】イネーブル信号enが「1」の場合におけるデカップリング回路100の等価回路図である。
【図3】イネーブル信号enが「0」の場合におけるデカップリング回路100の等価回路図である。
【図4】実施の形態2にかかるデカップリング回路200のMOSトランジスタの配置を模式的に示す構成図である。
【図5】特許文献1に開示されたデカップリング容量300の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態1にかかるデカップリング回路100の回路図である。図1に示すように、デカップリング回路100は、インバータ1及びインバータ2により構成される。インバータ1の入力端にはイネーブル信号enが入力される。インバータ1の出力端は、インバータ2の入力端と接続される。また、インバータ1及びインバータ2は、電源電圧VDDとグランド電圧GNDとの間に接続されることにより、電源供給される。
【0017】
インバータ1は、PMOSトランジスタMP1とNMOSトランジスタMN11〜MN13とが直列に接続される。具体的には、PMOSトランジスタMP1のソースは、電源電圧VDDと接続される。PMOSトランジスタMP1のドレインは、NMOSトランジスタMN11〜MN13のドレインと接続される。PMOSトランジスタMP1のドレインとNMOSトランジスタMN11〜MN13のドレインとの接続点は、インバータ1の出力端と接続される。NMOSトランジスタMN11〜MN13のソースは、グランド電圧GNDと接続される。PMOSトランジスタMP1及びNMOSトランジスタMN11〜MN13のゲートは、インバータ1の入力端と接続され、イネーブル信号enが入力される。
【0018】
ここで、PMOSトランジスタMP1及びNMOSトランジスタMN11〜MN13は同じ大きさのMOSトランジスタである。つまり、PMOSトランジスタMP1及びNMOSトランジスタMN11〜MN13は、同一のゲート幅及びゲート長を有するので、各MOSトランジスタのゲート面積は同一である。従って、インバータ1におけるNMOSトランジスタの合計ゲート面積は、PMOSトランジスタのゲート面積の3倍となる。すなわち、インバータ1におけるNMOSトランジスタの合計ゲート面積は、PMOSトランジスタのゲート面積よりも大きい。
【0019】
インバータ2は、PMOSトランジスタMP21〜MP23とNMOSトランジスタMN2とが直列に接続される。具体的には、PMOSトランジスタMP21〜MP23のソースは、電源電圧VDDと接続される。PMOSトランジスタMP21〜MP23のドレインは、NMOSトランジスタMN2のドレインと接続される。PMOSトランジスタMP21〜MP23のドレインとNMOSトランジスタMN2のドレインとの接続点は、インバータ2の出力端と接続される。NMOSトランジスタMN2のソースは、グランド電圧GNDと接続される。PMOSトランジスタMP21〜MP23及びNMOSトランジスタMN2のゲートは、インバータ2の入力端と接続される。また、インバータ2の入力端は、インバータ1の出力端と接続される。従って、PMOSトランジスタMP21〜MP23及びNMOSトランジスタMN2のゲートには、イネーブル信号enの反転信号である反転イネーブル信号enbが入力される。
【0020】
ここで、PMOSトランジスタMP21〜MP23及びNMOSトランジスタMN2は同じ大きさのMOSトランジスタである。つまり、PMOSトランジスタMP21〜MP23及びNMOSトランジスタMN2は、同一のゲート幅及びゲート長を有するので、各MOSトランジスタのゲート面積は同一である。従って、インバータ2におけるPMOSトランジスタの合計ゲート面積は、NMOSトランジスタのゲート面積の3倍となる。すなわち、インバータ2におけるPMOSトランジスタの合計ゲート面積は、NMOSトランジスタのゲート面積よりも大きい。
【0021】
次に、デカップリング回路100の動作について説明する。まず、イネーブル信号enが「1」の場合について説明する。図2は、イネーブル信号enが「1」の場合におけるデカップリング回路100の等価回路図である。図2では、オン状態のMOSトランジスタのゲート容量(MOS容量)をキャパシタで表している。オン状態のMOSトランジスタのソース及びドレインに形成されている拡散領域の抵抗を、抵抗素子で表わしている。
【0022】
図2に示すように、スイッチSW1がオンとなり、スイッチSW2がOFFとなることにより、イネーブル信号enが「1」となる。これにより、インバータ1では、POSトランジスタMP1はオフとなり、NMOSトランジスタMN11〜MN13はオンとなる。よって、NMOSトランジスタMN11は、ドレイン部抵抗Rd11、ソース部抵抗Rs11及びゲート容量C11により表される。ドレイン部抵抗Rd11及びソース部抵抗Rs11は、インバータ1の出力端(反転イネーブル信号enbレベルのノード)とグランド電圧GNDとの間に直列に接続される。ゲート容量C11は、インバータ1の入力端(イネーブル信号enレベルのノード)と、ドレイン部抵抗Rd11とソース部抵抗Rs11との間の接続点と、の間に接続される。なお、同様に、NMOSトランジスタMN12は、ドレイン部抵抗Rd12、ソース部抵抗Rs12及びゲート容量C12により表される。NMOSトランジスタMN13は、ドレイン部抵抗Rd13、ソース部抵抗Rs13及びゲート容量C13により表される。
【0023】
また、反転イネーブル信号enbは「0」となるので、インバータ2では、POSトランジスタMP21〜MP23はオンとなり、NMOSトランジスタNM2はオフとなる。よって、PMOSトランジスタMP21は、ドレイン部抵抗Rd21、ソース部抵抗Rs21及びゲート容量C21により表される。ドレイン部抵抗Rd21及びソース部抵抗Rs21は、インバータ2の出力端(イネーブル信号enレベルのノード)と電源電圧VDDとの間に直列に接続される。ゲート容量C21は、インバータ1の出力端(反転イネーブル信号enbレベルのノード)と、ドレイン部抵抗Rd21とソース部抵抗Rs21との間の接続点と、の間に接続される。なお、同様に、PMOSトランジスタMP22は、ドレイン部抵抗Rd22、ソース部抵抗Rs22及びゲート容量C22により表される。PMOSトランジスタMP23は、ドレイン部抵抗Rd23、ソース部抵抗Rs23及びゲート容量C23により表される。
【0024】
続いて、イネーブル信号enが「0」の場合について説明する。図3は、イネーブル信号enが「0」の場合におけるデカップリング回路100の等価回路図である。図3では、図2と同様に、オン状態のMOSトランジスタのゲート容量(MOS容量)をキャパシタで表し、ソース及びドレインに形成されている拡散領域の抵抗を抵抗素子で表わしている。
【0025】
図3に示すように、スイッチSW1がオフとなり、スイッチSW2がオンとなることにより、イネーブル信号enが「0」となる。これにより、インバータ1では、PMOSトランジスタMP1はオンとなり、NMOSトランジスタMN11〜MN13はオフとなる。よって、PMOSトランジスタMP1は、ドレイン部抵抗Rd1、ソース部抵抗Rs1及びゲート容量C1により表される。ドレイン部抵抗Rd1及びソース部抵抗Rs1は、インバータ1の出力端(反転イネーブル信号enbレベルのノード)と電源電圧VDDとの間に直列に接続される。ゲート容量C1は、インバータ1の入力端(イネーブル信号enレベルのノード)と、ドレイン部抵抗Rd1とソース部抵抗Rs1との間の接続点と、の間に接続される。
【0026】
また、反転イネーブル信号enbは「1」となるので、インバータ2では、PMOSトランジスタMP21〜MP23はオフとなり、NMOSトランジスタMN2はオンとなる。よって、NMOSトランジスタMN2は、ドレイン部抵抗Rd2、ソース部抵抗Rs2及びゲート容量C2により表される。ドレイン部抵抗Rd2及びソース部抵抗Rs2は、インバータ1の出力端(反転イネーブル信号enbレベルのノード)とグランド電圧GNDとの間に直列に接続される。ゲート容量C2は、インバータ1の出力端(イネーブル信号enレベルのノード)と、ドレイン部抵抗Rd2とソース部抵抗Rs2との間の接続点と、の間に接続される。
【0027】
すなわち、デカップリング回路100は、イネーブル信号enにかかわらず、デカップリング容量として機能する。さらに、デカップリング回路100では、イネーブル信号enが「1」の場合の容量値は、イネーブル信号enが「0」の場合の容量値の3倍となる。すなわち、本構成によれば、イネーブル信号enの切り替わりに応じて、電源電圧VDDとグランド電圧との間に挿入される容量値を切り換えることができるデカップリング回路を提供することが可能である。従って、デカップリング回路100を半導体集積回路に搭載することにより、半導体集積回路の共振周波数を変化させることが可能である。
【0028】
デカップリング回路100におけるインバータ1及びインバータ2では、直列に接続されたトランジスタの一方のゲート面積が、他方のゲート面積よりも大きい。従って、従来の構成と比べて、電源電圧VDDとグランド電圧に挿入される合成抵抗値を低減することができる。従って、本構成によれば、高速動作に有利なデカップリング回路を提供することができる。
【0029】
デカップリング回路100を構成するインバータ1及びインバータ2が有するPMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタは、全てがデカップリング容量として機能する。従って、最小数のPMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタを設けるのみで、所望のデカップリング容量を得ることができる。従って、本構成によれば、面積効率に優れるデカップリング回路を提供することができる。
【0030】
さらに、このデカップリング回路100は、単一のイネーブル信号enのみで容易に容量値を切り換えることが可能である。
【0031】
さらにまた、このデカップリング回路100では、インバータ1とインバータ2とは対称型の構成を有しているので、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとをバランスよく配置することが可能である。従って、デカップリング回路100を適用することにより、面積効率に優れる半導体集積回路を実現することができる。
【0032】
実施の形態2
次に、実施の形態2にかかるデカップリング回路200について説明する。図4は、実施の形態2にかかるデカップリング回路200のMOSトランジスタの配置を模式的に示す構成図である。図4に示すように、デカップリング回路200は、インバータ21及びインバータ22により構成される。インバータ21及びインバータ22には、Nウェル領域Nwell及びPウェル領域Pwellが形成される。インバータ21及びインバータ22のNウェル領域Nwellの上には、ゲート電極G1及びG2が形成される。インバータ21及びインバータ22のPウェル領域Pwellの上には、ゲート電極G3及びG4が形成される。つまり、Nウェル領域Nwellの上にゲート電極G1又はG2が形成される部分は、PMOSトランジスタを構成する。Pウェル領域Pwellの上にゲート電極G3又はG4が形成される部分は、NMOSトランジスタを構成する。
【0033】
よって、インバータ21は、2個のPMOSトランジスタと、4個のNMOSトランジスタが形成される。インバータ22は、4個のPMOSトランジスタと、2個のNMOSトランジスタが形成される。
【0034】
さらに、ゲート電極G1〜G4のそれぞれは、異なる寸法を有している。Nウェル領域Nwell上に形成されるゲート電極G1及びG2のゲート幅は等しく、共にW1である。Pウェル領域Pwell上に形成されるゲート電極G3及びG4のゲート幅は等しく、共にW2である。また、ゲート電極G1及びG3のゲート長は等しく、共にL1である。ゲート電極G2及びG4のゲート長は等しく、共にL2である。図4では、L1<L2である。また、W1>W2である。
【0035】
つまり、インバータ21及び22には、ゲート幅は等しいが、チャネル長が異なる2種類のPMOSトランジスタが形成される。同様に、インバータ21及び22には、ゲート幅は等しいが、チャネル長が異なる2種類のNMOSトランジスタが形成される。
【0036】
なお、図示しないが、インバータ21の各ゲート電極には、イネーブル信号enが入力される。インバータ22の各ゲート電極には、反転イネーブル信号enbが入力される。従って、デカップリング回路200は、デカップリング回路100と同様の動作を行うことができる。
【0037】
上述のように、デカップリング回路200は、複数のゲート長を有するMOSトランジスタが形成される。よって、デカップリング回路200は、抵抗値が相違するMOSトランジスタが形成される。
【0038】
MOSトランジスタの抵抗値が異なれば、デカップリング容量としての周波数特性も異なる。すなわち、デカップリング回路200は、複数の異なる周波数特性を有するMOSトランジスタが形成される。従って、デカップリング回路200によれば、複数の周波数特性に対応することが可能となる。
【0039】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施の形態では、インバータを2個用いているが、いずれか一方のインバータのみを用いてデカップリング回路を構成することが可能である。さらに、3個以上のインバータを用いて、デカップリング回路を構成することも可能である。
【0040】
デカップリング回路100では、インバータ1及びインバータ2のPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとの個数比は1対3であったが、例えば1対100のように、任意の比とすることができる。同様に、デカップリング回路200では、インバータ21及びインバータ22のPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとの個数比を、任意の比とすることができる。
【0041】
デカップリング回路100におけるインバータ内のPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとは、それぞれのゲート面積の合計が異なっていればよい。すなわち、PMOSトランジスタのゲート面積の合計及びNMOSトランジスタのゲート面積の合計のいずれか一方が、他方より大きければよい。これは、デカップリング回路200においても同様である。
【0042】
インバータ2の出力端は、必ずしもインバータ1の入力端と接続される必要は無い。例えば、インバータ2の入力端に、別途反転イネーブル信号enbを入力することも可能である。
【0043】
インバータ1では、PMOSトランジスタのゲート面積の合計は、NMOSトランジスタのゲート面積の合計と異なる。従って、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタのそれぞれのゲート面積が等しい場合には、PMOSトランジスタの個数が、NMOSトランジスタの個数と異なっていればよい。PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタのそれぞれの個数が等しい場合には、PMOSトランジスタのゲート面積が、NMOSトランジスタのゲート面積と異なっていればよい。つまり、PMOSトランジスタのゲート幅が、NMOSトランジスタのゲート幅と異なっていればよい。または、PMOSトランジスタのゲート長が、NMOSトランジスタのゲート長と異なっていればよい。さらに、PMOSトランジスタのゲート幅及びゲート長が、それぞれNMOSトランジスタのゲート幅及びゲート長と異なっていてもよい。なお、各PMOSトランジスタのゲート面積は均一である必要は無い。各NMOSトランジスタのゲート面積は均一である必要は無い。これは、インバータ2においても同様である。
【0044】
デカップリング回路100では、インバータ1とインバータ2とは対称型の構成を有している。すなわち、インバータ1のPMOSトランジスタのゲート面積の合計は、インバータ2のNMOSトランジスタのゲート面積の合計と等しい。インバータ1のNMOSトランジスタのゲート面積の合計は、インバータ2のPMOSトランジスタのゲート面積の合計と等しい。すなわち、インバータ1のPMOSトランジスタ及びインバータ2のNMOSトランジスタの個数と、それぞれのゲート面積が等しければよい。また、インバータ1のNMOSトランジスタ及びインバータ2のPMOSトランジスタの個数と、それぞれのゲート面積が等しければよい。この場合には、インバータ1のPMOSトランジスタ及びインバータ2のNMOSトランジスタのゲート幅及びゲート長が等しければよい。インバータ1のNMOSトランジスタ及びインバータ2のPMOSトランジスタのゲート幅及びゲート長が等しければよい。但し、デカップリング回路の構成は、デカップリング回路100のような対称構成に限られるものではない。
【0045】
上述の実施の形態にかかるデカップリング回路は、半導体集積回路に組み込んで用いることができることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1、2、21、22 インバータ
11 n型MOSトランジスタ
12 p型MOSトランジスタ
100、200 デカップリング回路
300 デカップリング容量
C1、C2、C11〜C13、C21〜C23 ゲート容量
G1〜G4 ゲート電極
MN2、MN11〜MN13 NMOSトランジスタ
MP1、MP21〜MP23 PMOSトランジスタ
Rd1、Rd2、Rd11〜Rd13、Rd21〜Rd23 ドレイン部抵抗
Rs1、Rs2、Rs11〜Rs13、Rs21〜Rs23 ソース部抵抗
SW1、SW2 スイッチ
en イネーブル信号
enb 反転イネーブル信号
GND グランド電圧
VDD 電源電圧
Nwell Nウェル領域
Pwell Pウェル領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源と前記第1の電源よりも低電圧の第2の電源との間に接続されることにより電源供給される第1のインバータを備え、
前記第1のインバータは、
当該第1のインバータの出力端と前記第1の電源との間に接続されるi(iは1以上の整数)個の第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタと並列に接続され、前記第1のトランジスタと同じ導電型であるj(jは0以上の整数)個の第2のトランジスタと、
当該第1のインバータの前記出力端と前記第2の電源との間に接続され、前記第1のトランジスタと導電型が異なるm(mは1以上の整数)個の第3のトランジスタと、
前記第3のトランジスタと並列に接続され、前記第3のトランジスタと同じ導電型であるn(nは0以上の整数)個の第4のトランジスタと、を備え、
前記第1乃至4のトランジスタの制御端子は、前記第1のインバータの入力端と接続され、
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのゲート面積の合計は、前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタのゲート面積の合計と異なる、
デカップリング回路。
【請求項2】
前記第1のトランジスタのゲート長は、前記第3のトランジスタのゲート長と同じであり、
前記第1のトランジスタのゲート幅は、前記第3のトランジスタのゲート幅と異なることを特徴とする、
請求項1に記載のデカップリング回路。
【請求項3】
前記第1のトランジスタのゲート幅は、前記第3のトランジスタのゲート幅と同じであり、
前記第1のトランジスタのゲート長は、前記第3のトランジスタのゲート長と異なることを特徴とする、
請求項1に記載のデカップリング回路。
【請求項4】
前記第1のトランジスタのゲート幅は、前記第3のトランジスタのゲート幅と同じであり、
前記第1のトランジスタのゲート長は、前記第3のトランジスタのゲート長と同じであることを特徴とする、
請求項1に記載のデカップリング回路。
【請求項5】
前記第1のトランジスタの個数は、前記第3のトランジスタの個数と異なることを特徴とする、
請求項4に記載のデカップリング回路。
【請求項6】
前記第1のトランジスタのゲート長は、前記第2のトランジスタのゲート長と同じであり、
前記第1のトランジスタのゲート幅は、前記第2のトランジスタのゲート幅と同じであることを特徴とする、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のデカップリング回路。
【請求項7】
前記第1のトランジスタのゲート幅は、前記第2のトランジスタのゲート幅と同じであり、
前記第1のトランジスタのゲート長は、前記第2のトランジスタのゲート長と異なることを特徴とする、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のデカップリング回路。
【請求項8】
前記第3のトランジスタのゲート長は、前記第4のトランジスタのゲート長と同じであり、
前記第4のトランジスタのゲート幅は、前記第4のトランジスタのゲート幅と同じであることを特徴とする、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のデカップリング回路。
【請求項9】
前記第3のトランジスタのゲート幅は、前記第4のトランジスタのゲート幅と同じであり、
前記第3のトランジスタのゲート長は、前記第4のトランジスタのゲート長と異なることを特徴とする、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のデカップリング回路。
【請求項10】
前記第1の電源と前記第2の電源との間に接続されることにより電源供給される第2のインバータを更に備え、
前記第2のインバータは、
当該第2のインバータの出力端と前記第1の電源との間に接続されるm個の前記第1のトランジスタと、
当該第2のインバータの前記第1のトランジスタと並列に接続されるn個の前記第2のトランジスタと、
当該第2のインバータの前記出力端と前記第2の電源との間に接続されるi個の前記第3のトランジスタと、
当該第2のインバータの前記第3のトランジスタと並列に接続されるj個の前記第4のトランジスタと、を備え、
前記第2のインバータの前記第1乃至4のトランジスタの制御端子は、前記第2のインバータの入力端と接続され、
前記第2のインバータの前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのゲート面積の合計は、前記第2のインバータの前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタのゲート面積の合計と異なることを特徴とする、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のデカップリング回路。
【請求項11】
前記第1のインバータの前記入力端にはイネーブル信号が入力され、
前記第2のインバータの前記入力端には、前記イネーブル信号を反転させた反転イネーブル信号が入力されることを特徴とする、
請求項10に記載のデカップリング回路。
【請求項12】
前記第1のインバータの前記出力端は、前記第2のインバータの前記入力端と接続されることを特徴とする、
請求項11に記載のデカップリング回路。
【請求項13】
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、ソースが前記第1の電源と接続されるPMOSトランジスタであり、
前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタは、ソースが前記第2の電源と接続されるNMOSトランジスタであり、
前記第1のトランジスタのドレイン及び前記第2のトランジスタのドレインは、前記第3のトランジスタのドレイン及び前記第4のトランジスタのドレインと接続されることを特徴とする、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のデカップリング回路。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載のデカップリング回路を備えることを特徴とする、
半導体集積回路。
【請求項15】
第1の電源と前記第1の電源よりも低電圧の第2の電源との間に接続されることにより電源供給され、第1の入力信号に応じて容量値が変化する第1のインバータを備え、
前記第1のインバータは、
当該第1のインバータの出力端と前記第1の電源との間に接続されるi(iは1以上の整数)個の第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタと並列に接続されるj(jは0以上の整数)個の第2のトランジスタと、
当該第1のインバータの前記出力端と前記第2の電源との間に接続されるm(mは1以上の整数)個の第3のトランジスタと、
前記第3のトランジスタと並列に接続されるn(nは0以上の整数)個の第4のトランジスタと、を備え、
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタと、前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタと、は前記第1の入力信号に応じて相補的にオン/オフし、
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのゲート面積の合計は、前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタのゲート面積の合計と異なる、
デカップリング回路。
【請求項16】
前記第1のトランジスタのゲート長は、前記第3のトランジスタのゲート長と同じであり、
前記第1のトランジスタのゲート幅は、前記第3のトランジスタのゲート幅と異なることを特徴とする、
請求項15に記載のデカップリング回路。
【請求項17】
前記第1のトランジスタのゲート幅は、前記第3のトランジスタのゲート幅と同じであり、
前記第1のトランジスタのゲート長は、前記第3のトランジスタのゲート長と異なることを特徴とする、
請求項15に記載のデカップリング回路。
【請求項18】
前記第1のトランジスタのゲート幅は、前記第3のトランジスタのゲート幅と同じであり、
前記第1のトランジスタのゲート長は、前記第3のトランジスタのゲート長と同じであることを特徴とする、
請求項15に記載のデカップリング回路。
【請求項19】
前記第1のトランジスタの個数は、前記第3のトランジスタの個数と異なることを特徴とする、
請求項18に記載のデカップリング回路。
【請求項20】
前記第1のトランジスタのゲート長は、前記第2のトランジスタのゲート長と同じであり、
前記第1のトランジスタのゲート幅は、前記第2のトランジスタのゲート幅と同じであることを特徴とする、
請求項15乃至19のいずれか一項に記載のデカップリング回路。
【請求項21】
前記第1のトランジスタのゲート幅は、前記第2のトランジスタのゲート幅と同じであり、
前記第1のトランジスタのゲート長は、前記第2のトランジスタのゲート長と異なることを特徴とする、
請求項15乃至19のいずれか一項に記載のデカップリング回路。
【請求項22】
前記第3のトランジスタのゲート長は、前記第4のトランジスタのゲート長と同じであり、
前記第4のトランジスタのゲート幅は、前記第4のトランジスタのゲート幅と同じであることを特徴とする、
請求項15乃至21のいずれか一項に記載のデカップリング回路。
【請求項23】
前記第3のトランジスタのゲート幅は、前記第4のトランジスタのゲート幅と同じであり、
前記第3のトランジスタのゲート長は、前記第4のトランジスタのゲート長と異なることを特徴とする、
請求項15乃至21のいずれか一項に記載のデカップリング回路。
【請求項24】
前記第1の電源と前記第2の電源との間に接続されることにより電源供給され、第2の入力信号に応じて容量値が変化する第2のインバータを更に備え、
前記第2のインバータは、
当該第2のインバータの出力端と前記第1の電源との間に接続されるm個の前記第1のトランジスタと、
当該第2のインバータの前記第1のトランジスタと並列に接続されるn個の前記第2のトランジスタと、
当該第2のインバータの前記出力端と前記第2の電源との間に接続されるi個の前記第3のトランジスタと、
当該第2のインバータの前記第3のトランジスタと並列に接続されるj個の前記第4のトランジスタと、を備え、
前記第2のインバータの前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタと、前記第2のインバータの前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタと、は前記第2の入力信号に応じて相補的にオン/オフし、
前記第2のインバータの前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタのゲート面積の合計は、前記第2のインバータの前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタのゲート面積の合計と異なることを特徴とする、
請求項15乃至23のいずれか一項に記載のデカップリング回路。
【請求項25】
前記第1のトランジスタの導電型は、前記第2のトランジスタの導電型と同じであり、
前記第3のトランジスタの導電型は、前記第4のトランジスタの導電型と同じであり、
前記第1のトランジスタの導電型及び前記2のトランジスタの導電型は、前記第3のトランジスタの導電型及び前記第4のトランジスタの導電型と異なることを特徴とする、
請求項24に記載のデカップリング回路。
【請求項26】
前記第1の入力信号は、前記第2の入力信号の反転信号であることを特徴とする、
請求項25に記載のデカップリング回路。
【請求項27】
前記第2の入力信号は、前記第1のインバータの前記出力端から出力される信号であることを特徴とする、
請求項26に記載のデカップリング回路。
【請求項28】
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、ソースが前記第1の電源と接続されるPMOSトランジスタであり、
前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタは、ソースが前記第2の電源と接続されるNMOSトランジスタであり、
前記第1のトランジスタのドレイン及び前記第2のトランジスタのドレインは、前記第3のトランジスタのドレイン及び前記第4のトランジスタのドレインと接続されることを特徴とする、
請求項15乃至27のいずれか一項に記載のデカップリング回路。
【請求項29】
請求項15乃至28のいずれか一項に記載のデカップリング回路を備えることを特徴とする、
半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−233945(P2011−233945A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99580(P2010−99580)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】