説明

ナビゲーション装置およびナビゲーション装置用のプログラム

【課題】携帯機の現在位置情報を利用して携帯機の所持者と落ち合うためのナビゲーション装置の技術において、携帯機の現在位置がルート案内に不都合な地点であった場合も、携帯機の所持者と車両のドライバーとが容易に落ち合えるようにする。
【解決手段】携帯機は自機の現在位置20を特定して車両用ナビゲーション装置に送信する。そして、車両用ナビゲーション装置は、受信した現在位置20の周辺の道路から、待ち合わせに適切な複数のポイント34〜36を待ち合わせポイントとして抽出し、抽出した待ち合わせポイントの情報を携帯機に送信する。そして携帯機は、携帯機所持者の操作に基づいて、待ち合わせポイント34〜36のうちから1つを選択し、選択した待ち合わせポイントを車両用ナビゲーション装置に通知する。そして車両用ナビゲーション装置は、通知を受けた待ち合わせポイントまでのルートの算出および案内を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびナビゲーション装置用のプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用のナビゲーション装置において、携帯無線通信端末(以下、単に携帯機という)のGPS機能を利用することで、携帯機の現在位置を受信し、受信した現在位置を目的地として設定し、目的地までのルートを案内する技術が開示されている。このような技術によって、携帯機の所持者と車両のドライバーとが容易に落ち合うことができる。
【特許文献1】特開2006−184083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような技術では、携帯機の現在位置が、ルート案内不可能な道路上または地図データ上に無い道路上にあるような場合、携帯機までのルートを算出できなくなる。また、携帯機までのルートを算出できたとしても、車の進入が困難な幅の狭い道路上の地点を目的地に設定してしまう可能性もある。
【0004】
本発明は上記点に鑑み、携帯機の現在位置情報を利用して携帯機の所持者と落ち合うためのナビゲーション装置の技術において、携帯機の現在位置がルート案内に不都合な地点であった場合も、携帯機の所持者と車両のドライバーとが容易に落ち合えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、設定した目的地までのルートを案内するナビゲーション装置が、携帯機(7)から当該携帯機(7)の現在位置の情報を受信し、携帯機(7)の現在位置から離れた待ち合わせポイントを複数抽出し、抽出した複数の待ち合わせポイントの情報を携帯機(7)に通知し、複数の待ち合わせポイントの通知後、携帯機(7)から複数の待ち合わせポイントのうち1つを選択する指定を受信したことに基づいて、当該指定に係る待ち合わせポイントを目的地として設定する。
【0006】
このように、携帯機(7)の周辺から抽出した複数の待ち合わせポイントのうち1つを携帯機(7)側に選択させることで、待ち合わせポイントの選択肢が増えると共に、目的地の設定に携帯機(7)側の判断が反映されるので、携帯機(7)の現在位置がルート案内に不都合な地点であったとしても、携帯機(7)の所持者と車両のドライバーとが容易に落ち合える可能性が増大する。
【0007】
また、請求項2に記載のように、ナビゲーション装置は、携帯機(7)の現在位置周辺の複数の道路の走り易さ度の情報を取得し、それら複数の道路のうち、走り易さ度が基準値以上の道路上から、上述の複数の待ち合わせポイントを抽出するようになっていてもよい。
【0008】
このようにすることで、ナビゲーション装置側においても、道路の走り易さという評価を加味して待ち合わせポイントの抽出を行うことができるので、携帯機(7)の所持者と車両のドライバーとが容易に落ち合える可能性が更に増大する。
【0009】
また、請求項3に記載のように、ナビゲーション装置は、携帯機(7)の現在位置を中心とする円の内部を(準備ポイントの)探索範囲とし、その円の径を順次大きくすることで探索範囲を拡大していき、この探索範囲の拡大の過程で、携帯機(7)の現在位置周辺の複数の道路のそれぞれについて、当該探索範囲に最初に入った地点を、準備ポイントとして決定してもよい。
【0010】
この場合、ナビゲーション装置は、携帯機(7)の現在位置から当該準備ポイントまでのルートを算出し、算出した当該ルートにおいて当該準備ポイントのある道路に最初に到達する地点を、待ち合わせポイントとして抽出するようになっていてもよい。このようになっていることで、待ち合わせポイントまで携帯機(7)の所持者が移動する距離が短くなるので、待ち合わせの利便性が高まる。
【0011】
また、請求項4に記載のように、本発明の特徴は、プログラムとしても捉えることができる。
【0012】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態の通信システムの構成を概略的に示す。本実施形態においては、車両用ナビゲーション装置1が車両2に搭載され、車両用ナビゲーション装置1から無線通信の基地局3、通信ネットワーク4、基地局5を介して、携帯機所持者6が所持する携帯無線通信端末(以下、単に携帯機という)7と無線通信を行うようになっている。
【0014】
具体的には、携帯機7は、GPS(Global Positioning System)の機能を用いて自機の現在位置を特定し、特定した現在位置を車両用ナビゲーション装置1に送信する。そして、車両用ナビゲーション装置1は、受信した現在位置の周辺の道路から、待ち合わせに適切な1つまたは複数のポイントを待ち合わせポイントとして抽出し、抽出した待ち合わせポイントの情報を携帯機7に送信する。そして携帯機7は、携帯機所持者6の選択操作に基づいて、待ち合わせポイントのうちから1つを選択し、選択した待ち合わせポイントを車両用ナビゲーション装置1に通知する。そして車両用ナビゲーション装置1は、通知を受けた待ち合わせポイントまでのルートの算出および案内を行う。
【0015】
以下、このような通信システムの構成および作動について詳述する。携帯機7は、GPS等の技術を利用して現在位置を特定することのできる周知の無線通信機である。携帯機7の例としては、携帯電話機、無線通信可能なPDA等がある。携帯機7の作動については後述する。
【0016】
次に、車両用ナビゲーション装置1について説明する。図2に、車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。この車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、スピーカ14、無線インターフェース15、地図データ取得部16、および制御回路17を有している。
【0017】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報を制御回路17に出力する。
【0018】
画像表示装置12は、制御回路17から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0019】
操作部13は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置12の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザの操作に応じた信号を制御回路17に出力する。
【0020】
無線インターフェース15は、基地局3と無線接続するための周知の無線機能(例えば、増幅、周波数変換、変調、復調)を有する装置である。制御回路17は、この無線インターフェース15を介して携帯機7と通信することができる。
【0021】
地図データ取得部16は、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出しおよび書き込みを行う装置から成る。当該記憶媒体は、制御回路17が実行するプログラム、ルート案内用の地図データ、車幅データ、登録携帯機データ等を記憶している。
【0022】
地図データは、道路データおよび施設データを有している。施設データは、施設毎の名称情報、所在位置情報、施設種類情報等を示すデータを含んでいる。道路データは、リンクの位置、リンクの種別、リンクの幅員、リンクの属する道路名称(例えば、国道155号線、県道47号線等)、リンクの走り易さ度、ノードの位置、ノードの種別、および、ノードとリンクとの接続関係等の情報を含んでいる。
【0023】
リンクの走り易さ度は、当該リンクが走り易い程その値が大きい指標である。なお、この走り易さ度は、あらかじめ実地計測されたリンクの幅員、平均的な交通量、路面の整備状況、カーブの状況等に基づいて、あらかじめ決定されている。リンクの走り易さの情報の例としては、例えば、国土地理院の「走りやすさマップ」がある。
【0024】
車幅データは、車両2の横幅の情報である。この情報は、車両用ナビゲーション装置1の車両2への搭載時に、ユーザまたは搭載作業者による操作部13の登録操作に従って、制御回路17が登録するようになっていてもよい。
【0025】
登録携帯機データは、車両用ナビゲーション装置1と現在位置情報をやりとりすることを許可した携帯機の識別情報を含んでいる。この登録携帯機データは、ユーザによる操作部13の登録操作に従って、制御回路17が登録するようになっていてもよい。
【0026】
制御回路(コンピュータに相当する)17は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMまたは地図データ取得部16から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および地図データ取得部16から情報を読み出し、RAMおよび(可能であれば)地図データ取得部16の記憶媒体に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、およびスピーカ14と信号の授受を行い、無線インターフェース15を用いて携帯機7と通信する。
【0027】
制御回路17がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、目的地設定処理、誘導ルート算出処理、ルート案内処理等がある。
【0028】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
【0029】
目的地設定処理は、操作部13に対するユーザの操作等に応じて、ルート案内のための目的地を設定する処理である。
【0030】
誘導ルート算出処理は、車両2の現在位置から目的地設定処理によって設定された目的地までの最適な誘導ルートを算出する処理である。
【0031】
ルート案内処理は、地図データ取得部16から地図データを読み出し、算出された誘導ルート、目的地、経由地および現在位置等をこの地図データの示す地図上に重ねた画像を、画像表示装置12に出力し、案内交差点の手前に自車両が到達したとき等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声をスピーカ14に出力させる処理である。
【0032】
なお、目的地設定処理の一部として、制御回路17は、携帯機7から受けた携帯機7の現在位置(以下、携帯機位置という)の情報に基づいて、携帯機所持者6と落ち合うための待ち合わせポイントの1つを、目的地として決定する待ち合わせ目的地設定処理を実行する。
【0033】
図3に、この待ち合わせ目的地設定処理のためのプログラム100のフローチャートを示す。制御回路17は、車両2のACCオン中に、このプログラム100を実行するようになっている。
【0034】
なお、携帯機7は、携帯機7に対する携帯機所持者6の所定の送信操作に基づいて、あるいは、携帯機所持者6の操作によらず自動的に、自機の現在位置を特定し、特定した現在位置および携帯機7の識別情報を車両用ナビゲーション装置1に送信する。送信の形態は、e−mailによる送信の形式であってもよいし、他の電話通話以外のプロトコルに従うデータ送信の形式であってもよい。
【0035】
このプログラム100の実行において制御回路17は、まずステップ105で、携帯機からのアクセス(すなわち、情報送信のための接続要求)があるか否かを、無線インターフェース15からの信号に基づいて判定し、アクセスがあれば続いてステップ110を実行し、アクセスがない場合は再度ステップ105を実行する。
【0036】
ステップ110では、アクセスのあった携帯機が登録された携帯機7であるか否かを判定する。この判定は、アクセスのあった携帯機によって送信されたデータ中の識別情報を受信し、当該識別情報が登録携帯機データに登録されているか否かによって行う。登録されていれば続いてステップ115を実行し、登録されていなければ再度ステップ105を実行する。
【0037】
ステップ115以降は、待合わせポイント設定モードの処理である。ステップ115では、制御回路17は、アクセスのあった携帯機7からの信号に基づいて携帯機7の現在位置(すなわち携帯機位置)の情報を取得する。
【0038】
続いてステップ120では、携帯機位置がルート案内可能な道路に位置しているか否かを判定する。ルート案内可能な道路に位置していない場合とは、道路構成上の理由や交通規制等の理由によって、車両2の現在位置から携帯機位置に到達するルートが存在しない場合、携帯機位置の周辺に道路がない場合、携帯機位置の道路地図データがない場合等がある。
【0039】
この判定処理は、実際に車両2の現在位置をスタート地点とし、携帯機位置を目的地として、誘導ルート算出処理を実行し、ルートが見つかったか否かを判定することによって実現してもよい。携帯機位置がルート案内可能な道路に位置している場合続いてステップ125を実行し、位置していない場合続いてステップ150を実行する。
【0040】
ステップ125では、携帯機位置が高優先順位の道路に位置しているか否かを、地図データに基づいて判定する。高優先順位の道路とは、走り易さ度が基準値以上の道路のことをいう。基準値は、あらかじめ記憶された一定値であってもよいし、各種条件に基づいて変動する値であってもよいし、一定の範囲内でランダムに決まる値であってもよい。例えば、基準値は、車両2の車幅データに記録されている横幅が大きくなるほど大きくなるようになっていてもよい。
【0041】
図4に、携帯機位置20およびその周辺の道路21〜25を例示する。なお、この例においては、A号線21およびB号線22は、走り易さ度が最高の3であり、C号線23は、走り易さ度が2であり、細街路24、25は、走り易さ度が最低の1である。例えば上述の基準値を2とすると、図4の例においては、ステップ120の判定結果が否定的になる。ステップ125の判定結果が肯定的な場合、続いてステップ130を実行し、否定的な場合、続いてステップ150を実行する。
【0042】
ステップ130では、携帯機位置を仮の目的地として誘導ルート算出処理を実行することで、車両2の現在位置から当該仮目的地までの誘導ルートを算出する。
【0043】
続いてステップ135では、目的地までの到達予想時刻等の、算出された誘導ルートに基づく情報を算出し、それら算出した情報を、ステップ130で算出した誘導ルートの経路情報と共に、携帯機7に送信する。
【0044】
このような情報を受信した携帯機7では、受信した情報をディスプレイで携帯機所持者6に表示し、承諾するか否かを問い合わせる。携帯機所持者6が、この問い合わせに応じて承諾の旨の操作または非承諾の旨の操作を行うと、携帯機7は、その操作に応じた承諾または非承諾の旨の情報を車両用ナビゲーション装置1に送信する。
【0045】
車両用ナビゲーション装置1の制御回路17は、ステップ135に続いてステップ140で、携帯機7から承諾または非承諾のデータを受けるまで待ち、承諾のデータを受けると続いてステップ145を実行し、非承諾のデータを受けるとプログラム100の実行を終了する。
【0046】
ステップ145では、仮目的地を正式目的地として決定し、プログラム100の実行を終了し、その後誘導ルート算出処理およびそれに続くルート案内処理を実行する。
【0047】
ステップ150以降は、周辺ポイント探索モードの処理である。まずステップ150において、制御回路17は、携帯機位置20の周辺の高優先順位の道路21〜23のみから、ルート案内可能ポイント(準備ポイントの一例に相当する)を探索する。ここで、ルート案内可能ポイントとは、車両2の現在位置からその位置まで誘導ルートを算出できるポイントをいう。
【0048】
ルート案内可能ポイントの具体的な探索方法は、以下の通りである。制御回路17は、携帯機位置20を中心とする円内を探索範囲として、その円を順次大きくしていくことで、探索範囲を広げていく。そして、探索範囲を広げていく過程で、高優先順位の道路21〜23上のルート案内可能な地点が新たに探索範囲に入った時点で、当該地点をルート案内可能ポイントとして抽出していく。
【0049】
ただし、高優先順位の道路21〜23上のルート案内可能な地点であっても、同じ道路上に既にルート案内可能ポイントが抽出されている場合は、当該地点をルート案内可能ポイントとして抽出しない。道路が同じか否かの判定は、道路データ中の、「リンクの属する道路名称」の情報に基づいて行う。
【0050】
この探索範囲を広げていく処理は、円の半径が最大半径となるまで続ける。したがって、ルート案内可能ポイントは、複数抽出できる場合もあれば、1つだけ抽出できる場合もあれば、1つも抽出できない場合もある。
【0051】
図4の例においては、円26内まで探索範囲が広がった時点で、地点40がルート案内可能地点として探索範囲に入るが、地点40の属する細街路24は低優先順位の道路であるので、地点40はルート案内可能ポイントとして抽出されることはない。
【0052】
また、円27内まで探索範囲が広がった時点で、地点30、32がルート案内可能地点として探索範囲に入る。これら地点30、32は、それぞれ高優先順位の道路21、23上にあるので、地点30、32はルート案内可能ポイントとして抽出される。
【0053】
また、円28内まで探索範囲が広がった時点で、地点31がルート案内可能地点として探索範囲に入る。この地点31は高優先順位の道路22上にあるので、地点31ルート案内可能ポイントとして追加抽出される。
【0054】
なお、探索範囲の円の最大半径は、人が携帯機位置20から歩いて到達できる程度の距離であり、具体的には、固定値(例えば1キロメートル)であってもよいし、車両2のドライバーによる操作部13を用いた設定操作に応じて変化させるようになっていてもよい。あるいは、携帯機位置20と車両2の現在位置が遠いほど(すなわち、落ち合う時間が遅くなる可能性が高くなるほど)最大半径を大きくするようになっていてもよい。
【0055】
続いてステップ155では、ルート案内可能ポイントが1つ以上見つかったか否かを判定し、1つ以上見つかっていれば続いてステップ160を実行し、1つも見つかっていなければステップ158を実行する。
【0056】
ステップ158では、ステップ150と同じ方法で、ルート案内可能ポイントを抽出する。ただし、抽出対象の道路は、低優先順位の道路(すなわち、走り安さ度が基準値未満の道路)に限定する。ステップ158に続いては、ステップ160を実行する。
【0057】
ステップ160では、抽出した1つまたは複数のルート案内可能ポイントの個々について、待ち合わせポイントを決定する。それぞれのルート案内可能ポイントに対する待ち合わせポイントの決定方法は、以下の通りである。
【0058】
制御回路17は、図5に示すように、携帯機位置20から当該ルート案内可能ポイント31までの歩行ルート33を算出する。歩行ルート33の算出は、誘導ルート算出処理によって実現してもよいし、誘導ルート算出処理が狭い道路を誘導ルートから除外している場合は、そのような狭い道路も誘導ルートに組み込むような処理によって実現してもよい。
【0059】
続いて制御回路17は、その徒歩ルート33において、ルート案内可能ポイントが属する道路に初めて到達する地点34を特定し、当該地点を当該ルート案内可能ポイントに対応する待ち合わせポイントとして決定する。
【0060】
上記のような方法で、図6に例示するように、抽出したすべてのルート案内可能ポイント30〜33のそれぞれに対応する待ち合わせポイント34〜36を決定する。
【0061】
続いてステップ165では、携帯機位置20から決定した待ち合わせポイント34〜36のそれぞれへの歩行ルート44〜46を、徒歩ルート33の算出と同じ方法で算出する。さらに、歩行ルート44〜46の移動距離および移動時間(例えば、移動距離を所定の歩行速度で除算した結果)を算出する。
【0062】
続いてステップ170では、ステップ165の算出結果に基づいて、歩行ルート44〜46、歩行ルート44〜46の移動距離、移動時間、待ち合わせポイント34〜36への到達予想時刻等の情報を、携帯機7に送信する。
【0063】
この情報を受信した携帯機7は、図7に示すように、受信した情報をディスプレイに表示する。そして、受信した待ち合わせポイントが複数であれば、それらのうちの1つの選択を促す表示を行い、受信した待ち合わせポイントが1つであれば、その待ち合わせポイントを承諾するか否かを問い合わせる表示を行う。そして、それらの表示に応じた携帯機所持者6の応答操作の内容を、携帯機7に応答データとして送信する。
【0064】
車両2の制御回路17は、ステップ170に続くステップ175では、携帯機7から応答データデータを受けるまで待ち、応答データを受けると、その内容が、送信した複数の待ち合わせポイントのうち1つを選ぶ旨の内容であるか、送信した1つの待ち合わせポイントを承諾する旨の内容であれば、続いてステップ180を実行し、それ以外の内容(送信した複数の待ち合わせポイントのうち1つも選ばない旨の内容であるか、送信した1つの待ち合わせポイントを承諾しない旨の内容)であれば、プログラム100の実行を終了する。
【0065】
ステップ180では、選択された待ち合わせポイントまたは承諾された待ち合わせポイントを正式目的地として決定し、プログラム100の実行を終了し、その後誘導ルート算出処理およびそれに続くルート案内処理を実行する。
【0066】
以上のようなプログラム100を実行することで、制御回路17は、登録された携帯機7からアクセスがあると(ステップ105、110参照)、携帯機位置情報を携帯機7から受信し(ステップ115参照)、当該携帯機位置がルート案内可能であり(ステップ120参照)、かつ携帯機位置が高優先順位の道路にあれば(ステップ125参照)、当該携帯機位置を仮の目的地として設定して誘導ルート算出処理を行い(ステップ130参照)携帯機7に当該仮の目的地および誘導ルートを通知する(ステップ135参照)。そして、携帯機7から承諾のデータを受信すると(ステップ140参照)、当該仮の目的地を正式目的地として決定する(ステップ145参照)。
【0067】
その後制御回路17は、この正式な目的地への誘導ルートを算出し、算出したルートによって決まる目的地への予想到着時間を携帯機7に送信する。そして、算出したルートに基づくルート案内を行い、目的地付近に車両2が到達すると、その旨を携帯機7に送信する。
【0068】
また、当該携帯機位置がルート案内可能でない場合(ステップ120参照)、および、ルート案内可能であっても携帯機位置が高優先順位の道路にない場合(ステップ125参照)、周辺ポイント探索モード(ステップ150〜180参照)に入る。
【0069】
そして、周辺ポイント探索モードにおいて、携帯機位置20から離れた周辺の待ち合わせポイント34〜36を1つまたは複数抽出し(ステップ150〜160参照)、抽出した待ち合わせポイント34〜36を仮目的地として徒歩の誘導ルート44〜46を算出し(ステップ165参照)、算出した待ち合わせポイント34〜36および徒歩ルート44〜46等の情報を携帯機7に通知する(ステップ170参照)。
【0070】
そして、待ち合わせポイント34〜36の通知後、携帯機7から複数の待ち合わせポイント34〜36のうち1つを選択する指定を受信したことに基づいて、あるいは、通知した1つの待ち合わせポイントについての承認の指定を受信したことに基づいて、当該指定または承認に係る待ち合わせポイントを正式な目的地として設定する。
【0071】
その後制御回路17は、この正式な目的地への誘導ルートを算出し、算出したルートによって決まる目的地への予想到着時間を携帯機7に送信する。そして、算出したルートに基づくルート案内を行い、目的地付近に車両2が到達すると、その旨を携帯機7に送信する。
【0072】
このように、携帯機位置20の周辺から抽出した複数の待ち合わせポイント34〜36のうち1つを携帯機7側(すなわち、携帯機7および携帯機所持者6)に選択させることで、従来よりも待ち合わせポイント34〜36の選択肢が増えると共に、正式な目的地の設定に携帯機7側の判断が反映されるので、携帯機7の現在位置がルート案内に不都合な地点であったとしても、携帯機7の所持者と車両のドライバーとが容易に落ち合える可能性が増大する。
【0073】
また制御回路17は、待ち合わせポイント34〜36の抽出の際に、携帯機位置20を中心とする円26〜28の内部をルート案内可能ポイントの探索範囲とし、その円の径を順次大きくすることで探索範囲を拡大していき、この探索範囲の拡大の過程で、携帯機7の現在位置周辺の複数の道路のそれぞれについて、当該探索範囲に最初に入った地点を、ルート案内可能ポイント30〜32として決定する(ステップ150、158参照)。
【0074】
更に、制御回路17は、携帯機7の現在位置から当該ルート案内可能ポイント30〜32のそれぞれについて、当該ルート案内可能ポイントまでのルート(例えばルート33)を算出し、算出した当該ルートにおいて当該ルート案内可能ポイントのある道路(例えば道路21)に最初に到達する地点を、待ち合わせポイント(例えばポイント34)として抽出する(ステップ160参照)。このようになっていることで、待ち合わせポイントまで携帯機7の所持者が移動する距離が短くなるので、待ち合わせの利便性が高まる。
【0075】
また制御回路17は、ルート案内可能ポイントの抽出の際に、まず高優先度の道路21〜23のみからルート案内可能ポイントを抽出し(ステップ150参照)、高優先度の道路21〜23からルート案内可能ポイントが抽出できなかった場合に初めて(ステップ155参照)、低優先度の道路24〜25からルート案内可能ポイントを抽出する(ステップ158参照)。
【0076】
すなわち、制御回路17は、待ち合わせポイント34〜36の抽出の際に、携帯機位置20周辺の複数の道路21〜25の優先度の情報を取得し、それら複数の道路21〜25のうち、高優先度の道路21〜23上にルート案内可能ポイントがある場合は、高優先度の道路21〜23のみから待ち合わせポイント34〜36を抽出するようになっている。。
【0077】
このようにすることで、車両用ナビゲーション装置1側においても、道路の走り易さという評価を加味して待ち合わせポイント34〜36の抽出を行うことができるので、携帯機7の所持者と車両2のドライバーとが容易に落ち合える可能性が更に増大する。
【0078】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0079】
例えば、制御回路17は、プログラム100の実行において、ステップ110で肯定判定があった後、アクセスがあったことを音声でドライバーに知らせ、画像表示装置12にどの携帯機7からアクセスがあったのか(例えば、識別番号、携帯電話機の電話番号)を表示してもよい。さらに制御回路17は、当該携帯機7と落ち合うか否かの選択を、操作部13を介してまたは音声でドライバーから受け、落ち合う旨の選択があった場合に、ステップ115以降の待合わせポイント設定モードに移行するようになっていてもよい。
【0080】
また、上記実施形態においては、各リンクの走り易さ度は、地図データにあらかじめ記録されている。しかし、このようなものに限らず、制御回路17は、各リンクの走り易さ度を、必要なときに算出するようになっていてもよい。算出の際に利用する情報としては、リンクの幅員、車両2の車幅、隣接するリンクの走り易さ度等がある。
【0081】
例えば、リンクの幅員が大きいほど、リンクの走り易さ度を高く算出するようになっていてもよい。また、車両2の車幅の2倍以上の幅員を有するリンクには、上述の基準値よりも高い走り易さ度を付与し、車幅の2倍未満の幅員を有するリンクには、上述の基準値よりも低い走り易さ度を付与するようになっていてもよい。また、あるリンクAに隣接するリンクBの走り易さ度が高いほど、リンクAの走り易さ度を高くするようになっていてよい。
【0082】
また、制御回路17は、プログラム100のステップ120で、携帯機7の現在位置までルート案内が不可能であると判定した場合には、続くステップ150では、対象を高優先順位の道路に限定せず、すべての道路を対象としてルート案内可能ポイントを抽出するようになっていてもよい。
【0083】
また、登録携帯機データ等の、更新が必要なデータは、地図データ取得部16の記憶媒体に限らず、他の、車両用ナビゲーション装置1の主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体(例えばフラッシュメモリ、EEPROM、バックアップRAM)に記憶されるようになっていてもよい。その場合、地図データ取得部16の記憶媒体は、HDD等の書き込み可能な記憶媒体である必要はなく、DVD、CD−ROM等の書き込み不可能な記憶媒体であってもよい。
【0084】
また、上記の実施形態において、制御回路17がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【0085】
また、上記実施形態においては、ナビゲーション装置は車載タイプのものであるが、ナビゲーション装置は、車両内に持ち込んで使用することができるならば、人が持ち運びできるタイプのものであってもよい。例えば、ナビゲーション装置の機能を有する携帯電話機も、本発明のナビゲーション装置に該当する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの概略図である。
【図2】車両用ナビゲーション装置1の構成図である。
【図3(a)】制御回路17が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図3(b)】制御回路17が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図4】ルート案内可能ポイント31、32を探索する手順を示す図である。
【図5】待ち合わせポイント34を決定する手順を示す図である。
【図6】抽出された待ち合わせポイント34〜36および携帯機位置20からそれらへのルート44〜46を示す図である。
【図7】携帯機7における表示内容を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1 車両用ナビゲーション装置
2 車両
6 携帯機所持者
7 携帯機
20 携帯機位置
21〜25 道路
26〜28 探索円
30〜32 ルート案内可能ポイント
33、44〜46 徒歩ルート
34〜36 待ち合わせポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定した目的地までのルートを案内するナビゲーション装置であって、
携帯機(7)から当該携帯機(7)の現在位置の情報を受信する受信手段(115)と、
前記携帯機(7)の前記現在位置から離れた待ち合わせポイントを複数抽出する抽出手段(150〜160)と、
抽出された前記複数の待ち合わせポイントの情報を前記携帯機(7)に通知する通知手段(170)と、
前記携帯機(7)から前記複数の待ち合わせポイントのうち1つを選択する指定を受信したことに基づいて、当該指定に係る待ち合わせポイントを目的地として設定する設定手段(180)と、を備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
前記抽出手段(150〜160)は、前記携帯機(7)の前記現在位置周辺の複数の道路の走り易さ度の情報を取得し、前記複数の道路のうち、走り易さ度が基準値以上の道路上から、前記複数の待ち合わせポイントを抽出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記抽出手段は、前記携帯機(7)の前記現在位置を中心とする円の内部を探索範囲とし、前記円の径を順次大きくすることで探索範囲を拡大していき、この探索範囲の拡大の過程で、前記携帯機(7)の前記現在位置周辺の複数の道路のそれぞれについて、当該探索範囲に最初に入った地点を、準備ポイントとして決定し、また、前記携帯機(7)の前記現在位置から当該準備ポイントまでのルートを算出し、当該ルートにおいて当該準備ポイントのある道路に最初に到達する地点を、待ち合わせポイントとして抽出することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
設定した目的地までのルートを案内するナビゲーション装置に用いるプログラムであって、
携帯機(7)から当該携帯機(7)の現在位置の情報を受信する受信手段(115)、
前記携帯機(7)の前記現在位置から離れた待ち合わせポイントを複数抽出する抽出手段(150〜160)、
抽出された前記複数の待ち合わせポイントの情報を前記携帯機(7)に通知する通知手段(170)、および
前記複数の待ち合わせポイントの通知後、前記携帯機(7)から前記複数の待ち合わせポイントのうち1つを選択する指定を受信したことに基づいて、当該指定に係る待ち合わせポイントを目的地として設定する設定手段(180)として、コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−186182(P2009−186182A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22942(P2008−22942)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】