説明

ナビゲーション装置及び方法、ナビゲーションプログラム、並びに記憶媒体。

【課題】移動体の利用者に対して、経路の効率的な記憶又は学習をさせつつ、経路探索や経路案内を行うことを実現する。
【解決手段】ナビゲーション装置(10)は、目的地に到着するまでの経路を探索し、当該経路を移動体の利用者に提供する経路提供手段(21等)と、経路に対応した案内情報を、利用者に提供する案内手段(22等)と、利用者が前記経路を記憶している度合いを示す学習度を判定する判定手段(19)と、判定される学習度に基づいて、(i)経路を提供するように経路提供手段を制御する、又は(ii)案内情報を提供するように案内手段を制御する制御手段(19や20等)と、を備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体のナビゲーション装置及び方法、ナビゲーションプログラム、並びに記憶媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両等の移動体の移動に伴い、目的地点までの経路上(ルート(Route)上)で進行方向などを表示するナビゲーション装置が知られている。このようなナビゲーション装置は、探索した経路をディスプレイ上で地図に沿って表示したり、経路の誘導処理において、移動体が交差点などの案内地点に近づくと、表示装置の画面に移動体の進行方向を示す矢印などの案内情報を表示したりする。この場合、運転者(若しくは、利用者)は、表示された地図を見ることや、音声による経路案内を聞くことに、集中力が必要とされるため、自動車の運転操作や、外界の状況に対する注意力が低下してしまう。加えて、経路案内の以外に提供される各種の情報を十分に認識できない可能性が生じてしまう。
【0003】
また、一般的に、安全な運転を実現するためには、運転者が道路を明確に覚えることが最良の方法であるが、車載用のナビゲーション装置に単純に頼った運転を行う場合、道路を明確に覚えることは、必ずしも実現できない可能性が生じてしまう。そして、ひいては、運転者は、うろ覚えの道路に沿った、心理的に不安定な状態での運転を、継続的な強いられてしまう可能性が生じてしまう。
【0004】
そこで、特許文献1等によれば、運転者に道路を記憶させる観点に基づいた、運転支援装置や、カーナビゲーション装置に関する手法について開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−287425号公報
【特許文献2】特開2005−241276号公報
【特許文献3】特開平11−213289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1等によれば、運転者の個人毎の経路の記憶の向上が考慮されない、画一的な手法によって決定される、不適切な経路や、運転者が既に経路を殆ど又は完全に記憶している経路(所謂、既知の道路)が案内されてしまう可能性があるという技術的な問題点がある。よって、運転者の経路の記憶の定着度を向上させるための時間が無駄に掛かってしまい、時間的な効率が悪化してしまう可能性があるという技術的な問題点がある。加えて、既知の道路では、例えば右折を運転者に誘導する誘導情報や案内情報の提供が、耳障りとなって、うるさく感じてしまう可能性があるという技術的な問題点がある。更に加えて、運転者の個人毎の興味が考慮されずに、誘導情報や案内情報が、一方的や画一的に提供される(所謂、情報が垂れ流された)場合、運転者の経路の記憶の定着度を向上させる効率や効果が低くなってしまう可能性があるという技術的な問題点がある。
【0007】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、移動体の利用者に対して、経路の効率的な記憶や学習をさせつつ、経路や案内情報を提供することを実現することが可能な、移動体のナビゲーション装置及び方法、ナビゲーションプログラム、並びに記憶媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の移動体のナビゲーション装置は、移動体のナビゲーション装置であって、目的地に到着するまでの経路を探索し、当該経路を前記移動体の利用者に提供する経路提供手段と、前記経路に対応した案内情報(経路の誘導に対応した誘導情報、経路に関する学習用情報を含む)を、前記利用者に提供する案内手段と、前記利用者が前記経路を記憶している度合いを示す学習度を判定する判定手段と、判定される前記学習度に基づいて、(i)前記経路を提供するように前記経路提供手段を制御する、又は(ii)前記案内情報を提供するように前記案内手段を制御する制御手段と、を備える。
【0009】
上記課題を解決するために、請求項20に記載の移動体のナビゲーション方法は、移動体のナビゲーション方法であって、目的地に到着するまでの経路を探索し、当該経路を前記移動体の利用者に提供する経路提供工程と、前記経路に対応した案内情報(経路の誘導に対応した誘導情報、経路に関する学習用情報を含む)を、前記利用者に提供する案内工程と、前記利用者が前記経路を記憶している度合いを示す学習度を判定する判定工程と、判定される前記学習度に基づいて、(i)前記経路を提供するように前記経路提供工程を制御する、又は(ii)前記案内情報を提供するように前記案内工程を制御する制御工程と、を備える。
【0010】
上記課題を解決するために、請求項21に記載の移動体のナビゲーションプログラムは、請求項1から19に記載の移動体のナビゲーション装置に備えられたコンピュータを制御する制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記経路提供手段、前記案内手段、前記判定手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。
【0011】
上記課題を解決するために、請求項22に記載の記憶媒体は、請求項21に記載の制御用のコンピュータプログラムを記憶している。
【0012】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、発明を実施するための最良の形態としての本発明の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。
【0014】
(移動体のナビゲーション装置の実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る移動体のナビゲーション装置について説明する。
【0015】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態は、移動体のナビゲーション装置であって、目的地に到着するまでの経路を探索し、当該経路を前記移動体の利用者に提供する経路提供手段と、前記経路に対応した案内情報(経路の誘導に対応した誘導情報、経路に関する学習用情報を含む)を、前記利用者に提供する案内手段と、前記利用者が前記経路を記憶している度合いを示す学習度を判定する判定手段と、判定される前記学習度に基づいて、(i)前記経路を提供するように前記経路提供手段を制御する、又は(ii)前記案内情報を提供するように前記案内手段を制御する制御手段と、を備える。
【0016】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態によれば、経路提供手段によって、例えば、当該ナビゲーション装置の利用者が指定した目的地に到着するまでの経路が探索され、当該経路を利用者に提供される。ここに、本発明に係る「移動体」とは、本発明に係るナビゲーション装置の利用者が運転又は操作する、例えば車両等の移動手段を意味してよい、若しくは、当該利用者が移動する場合、当該利用者自身を意味してもよい。尚、本発明の移動体のナビゲーション装置は、移動体としての車両などに搭載される、例えばGPS装置(Global Positioning System受信機)を備えたカーナビゲーション装置や、人が所持して移動する携帯型端末装置として構成されるようにしてもよい。と同時に又は相前後して、案内手段によって、経路に対応した案内情報が、利用者に提供される。ここに、本発明に係る案内情報とは、例えば、次の交差点等の案内地点を右折又は左折することを利用者に誘導したり、案内したりするための情報である。尚、案内地点とは、探索された経路上において移動体が進行方向などを変更する必要があるため、ナビゲーション装置が案内情報を表示する地点をいい、例えば交差点、高速道路の出入口、経由地などが含まれる。更に、本発明では、経路の誘導(経路の案内)に対応した案内情報を適宜、誘導情報と称す。また、利用者の経路の記憶の定着度を向上させるための案内情報を適宜、学習用情報と称す。また、本発明に係る「経路」とは、例えば区間道路等の移動体が走行する道路を意味する。この経路は、例えば、2つの交差点によって区分される道路、若しくは、基準となる方向に沿って、往路に相当する道路と、復路に相当する道路等の、所定の規則に従って、区分されてもよい。また、本発明に係る「提供」とは、利用者に、何らかの方法で、知覚させることを意味する。例えば、経路を地図上で表示する表示画面を有する表示手段を介して、経路が、移動体の現在位置と共に提供されてもよいし、或いは、利用者に案内情報を音声出力する音声出力手段を介して、案内情報が提供されてもよい。
【0017】
特に、本実施形態では、制御手段の制御下で、(i)利用者が経路を記憶している度合いを示す学習度に基づいて、経路提供手段によって、利用者に経路が提供される、又は(ii)学習度に基づいて、案内手段によって、利用者に案内情報が提供される。
【0018】
仮に、利用者が経路を記憶している度合いを示す学習度が考慮されていない場合、利用者の個人毎の学習度の向上が考慮されない、画一的な手法によって決定される、不適切な経路や、利用者が既に経路を殆ど又は完全に記憶している経路(所謂、既知の道路)が案内されてしまう。よって、利用者の経路の記憶の定着度を向上させるための時間が無駄に掛かってしまい、時間的な効率が悪化してしまう。加えて、利用者が既に経路を殆ど又は完全に記憶している経路(所謂、既知の道路)では、例えば右折を利用者に誘導する誘導情報の提供や、学習用情報の提供が、耳障りとなって、うるさく感じてしまう。
【0019】
更に加えて、利用者の個人毎の興味が考慮されずに、誘導情報や学習用情報が、一方的や画一的に提供される(所謂、情報が垂れ流された)場合、利用者の経路の記憶の定着度を向上させる効率や効果が低くなってしまう。
【0020】
これに対して、本実施形態によれば、制御手段の制御下で、(i)利用者が経路を記憶している度合いを示す学習度に基づいて、経路提供手段によって、利用者に経路が提供される、又は(ii)学習度に基づいて、案内手段によって、利用者に案内情報が提供される。
【0021】
この結果、利用者の能力に依存する学習度に適切に対応しつつ、経路の効率的な学習や、経路の効率的な記憶を実現することが可能である。特に、利用者の能力や個性に依存する学習度に適切に対応して、経路の難易度、案内情報の内容や情報量、案内情報を提供する頻度、並びに、案内情報を提供するタイミングなどを変化させつつ、利用者に経路が適切に選別され、取捨選択されて提供されたり、利用者の案内情報に対する関心や集中力を向上させるため、経路の効率的且つ迅速な学習や、経路の効率的且つ迅速な記憶を実現することが可能である。更には、利用者の能力や個性に依存する学習度の進歩や進展のスピードに適切に対応して、経路の効率的且つ迅速な学習や、経路の効率的且つ迅速な記憶を実現することが可能である。
【0022】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の一の態様では、前記判定手段は、前記利用者が前記経路を運転した際の運転状態に基づいて、前記学習度を判定する。
【0023】
この態様によれば、運転状態に基づいて、利用者の学習度を高精度に判定することが可能である。ここに、本発明に係る運転状態とは、利用者の経路における運転操作の巧拙の度合いを可能な各種の走行状態を意味する。
【0024】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、前記判定手段は、前記利用者が、(i)前記経路を走行した走行回数、(ii)前記経路に含まれる曲がり角を曲がり損ねた失敗回数、(iii)前記曲がり角での前記移動体のふらつき度合い、(iv)前記経路を以前に走行してから経過した経過時間、(v)前記経路での前記移動体のふらつき度合い、(vi)前記経路で急ブレーキをかけた度合い、(vii)前記経路でのろのろ運転した度合い、及び、(viii)前記経路で急カーブを行った度合いのうち少なくとも一つに基づいて、前記学習度を判定する。
【0025】
この態様によれば、上述した8つの変数に基づいて、利用者の学習度を高精度に判定することが可能である。
【0026】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、前記利用者が、前記経路において、前記案内情報を知覚する知覚度合いを算出する算出手段を更に備え、前記判定手段は、算出された前記知覚度合いに基づいて、前記学習度を判定する。
【0027】
この態様によれば、算出された知覚度合いに基づいて、利用者の学習度を高精度に判定することが可能である。ここに、本発明に係る「知覚度合い」とは、例えば画面等の表示手段へ視線を向けた、単位時間当たりの頻度や、合計回数等の、利用者が案内情報を知覚した度合いを意味する。
【0028】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、前記判定手段は、前記経路に含まれる区間道路の単位(区間道路の往路復路の単位)で、前記学習度を判定し、判定された前記学習度を、前記区間道路の単位で記憶する記憶手段を更に備える。
【0029】
この態様によれば、判定手段によって、経路に含まれる区間道路の単位で、学習度が判定される。ここに、本発明に係る「区間道路」とは、例えば、経路上にある、2つの交差点によって区分された道路において、基準となる方向に沿って、往路、又は、復路に相当する道路等の所定の規則によって区分される道路を意味する。特に、判定手段は、利用者の学習度を判定して、区間道路の単位で、実験的、理論的、経験的、シミュレーション等に基づいて、定量化(数値化)するようにしてもよい。また、記憶手段によって、判定された学習度が、区間道路の単位で適切に記憶し管理することが可能である。
【0030】
この結果、制御手段の制御下で、経路提供手段は、区間道路の単位で記憶された学習度を反映しつつ、次回、利用者が、当該区間道路を運転する際に、経路を適切に提供することが可能である。加えて、制御手段の制御下で、案内手段は、区間道路の単位で記憶された学習度を反映しつつ、次回、利用者が、当該区間道路を運転する際に、案内情報を適切に提供することが可能である。
【0031】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、前記利用者からの指示が入力される第1入力手段を更に備え、前記制御手段は、入力された前記指示により、前記学習度の代わりに、所定条件に基づいて、前記経路を提供するように前記経路提供手段を制御する。
【0032】
この態様によれば、利用者の指示により、利用者が経路を記憶している度合いを示す学習度に基づいた、経路の提供を行うか否かを、適切に切り替えることができる。学習度に基づいた、経路の提供を行わない場合、制御手段の制御下で、経路提供手段によって、所定条件に基づいて、経路が提供される。ここに、本発明に係る所定条件とは、例えば最短距離や、所定の道幅や、渋滞の度合い等の、経路の探索において設定可能な各種の条件を意味する。或いは、利用者の指示により、学習度に基づいた、経路に対応した案内情報の提供を行うか否かを、適切に切り替えることができる。
【0033】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、前記利用者から前記目的地が入力される第2入力手段を更に備え、前記判定手段は、前記利用者が前記目的地を入力しないで、前記経路を運転している場合、前記経路に対応される前記学習度を最大レベルとする。
【0034】
この態様によれば、判定手段によって、利用者が、経路を学習(記憶)する初期の段階において、利用者が殆ど又は完全に記憶している経路である既知道路が、判定され、把握される。この結果、既知道路を提供すべき経路に含めたり含まなかったりすることで、学習度に基づいた、経路提供をより適切に行うことが可能である。
【0035】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、前記制御手段は、(i)前記学習度が最大レベルである前記経路、(ii)前記経路の道路種別(幹線道路か支線道路か)、(iii)前記経路における曲がり角の頻度、(iv)前記経路の運転の際に必要とされる運転技量の度合いのうち少なくとも一つに基づいて、前記経路を探索するように前記経路提供手段を制御する。
【0036】
この態様によれば、これらの複数種類の変数に基づいて、より高精度に、利用者の学習度を判定することが可能である。
【0037】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、前記利用者の個人情報(興味、趣味、メモ書き)を入力する第3入力手段を更に備え、前記制御手段は、更に、入力された前記個人情報に基づいて、前記案内情報を提供するように、前記案内手段を制御する。
【0038】
この態様によれば、第3入力手段によって、予め、利用者の趣味や、興味や、性別や、年齢や、職業に関する情報等の各種の個人情報が入力される。従って、利用者の経路の学習(記憶)に利用される、複数種類の案内情報のうち、利用者にとって覚え易く、親しみ易い案内情報(例えば趣味と関連性のある建物や、店等に関する案内情報)を提供することが可能となる。
【0039】
この結果、経路に対する、より効率的且つ迅速な学習や、経路に対する、より効率的且つ迅速な記憶を実現することが可能である。
【0040】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、時刻に関する時刻情報を取得する時刻情報取得手段を更に備え、前記制御手段は、取得された前記時刻情報が反映された、前記利用者の個人情報に基づいて、前記案内情報を提供するように、前記案内手段を制御する。
【0041】
この態様によれば、例えば興味等の個人情報に基づいた案内情報は、季節や朝夕等の時間と共に変化させることが可能である。尚、この時刻(時間)に関する時刻情報は、後述されるGPS受信機から取得可能であり、この取得された時刻情報に基づいて、季節や時間に関する情報を把握可能である。従って、利用者の経路の学習(記憶)に利用される、複数種類の案内情報のうち、利用者にとって覚え易く、親しみ易い案内情報(例えばウインドサーフィン等の夏の趣味と関連性のある建物や、店等に関する案内情報)を提供することが可能となる。
【0042】
この結果、経路に対する、より効率的且つ迅速な学習や、経路に対する、より効率的且つ迅速な記憶を実現することが可能である。
【0043】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、前記制御手段は、判定された前記学習度に基づいて、前記案内情報の内容、前記案内情報の情報量、前記案内情報を提供する頻度、及び、前記案内情報を提供するタイミングのうち少なくとも一つを変化させるように、前記案内手段を制御する。
【0044】
この態様によれば、利用者の能力や個性に依存する学習度に適切に対応して、案内情報の内容や情報量、案内情報を提供する頻度、並びに、案内情報を提供するタイミングなどが変化させる。詳細には、定量的に評価された、利用者の学習度に基づいて、学習する経路の選択や、学習用情報の提供の内容や頻度を制御できるので、利用者の運転を、邪魔しない範囲で経路の学習をより効果的に実現することができる。
【0045】
この結果、利用者にとって、必要且つ十分な案内情報が取捨選択されたり、案内情報に対する、利用者の関心や集中力を向上させるため、経路の効率的且つ迅速な学習や、経路の効率的且つ迅速な記憶を実現することが可能である。
【0046】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、前記経路に対応した外界の画像を撮影する撮影手段を更に備え、前記制御手段は、前記案内情報として、撮影された前記写真に基づいた情報(クイズ)を提供するように、前記案内手段を制御する。
【0047】
この態様によれば、例えば写真や動画等の画像に基づいたクイズ等の案内情報に対する、利用者の関心や集中力を向上させるため、経路の効率的且つ迅速な学習や、経路の効率的且つ迅速な記憶を実現することが可能である。
【0048】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、前記判定手段は、前記利用者が、前記目的地に到着した場合、前記案内情報を提供する、頻度、タイミング、及び、内容のうち少なくとも一つに基づいて、前記学習度を判定する。
【0049】
この態様によれば、学習度に基づいて、経路の提供や、案内情報の提供を行い、目的地に到着したという成功の結果に基づいて、学習度を、帰納的に、より高精度に判定することが可能である。
【0050】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、前記学習度に関する情報を記憶する記憶手段と、前記利用者が、前記目的地に到着した場合、判定された前記学習度に関する情報を、前記記憶手段上で、更新する更新手段と、を更に備える
この態様によれば、学習度に関する情報を、最新の情報に更新しつつ、より高精度に管理することが可能である。
【0051】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、前記学習度に関する情報、又は、前記経路に関する情報を送受信する通信手段を更に備える。
【0052】
この態様によれば、利用者に学習させる経路を指定することが可能である。この結果、複数の利用者の間での、経路に対する知識の格差を低減させて、複数の利用者の間での、経路に対する知識の共有化を図ることが可能である。
【0053】
或いは、利用者が記憶している経路を、第三者が容易且つ簡便に把握することが可能である。この結果、利用者が記憶している経路の範囲に対応した、例えば、経路の最新の注意事項等の各種の情報の配信を、効率的に実施することができる。更に、例えばタクシー等の運転業務を担う利用者の適切な評価にも、応用することが可能である。
【0054】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、前記経路を提供するために、前記利用者に前記経路を地図上で表示する表示画面を有する表示手段、又は、前記案内情報を提供するために、前記利用者に前記案内情報を音声出力する音声出力手段を更に備える。
【0055】
この態様によれば、表示手段、又は、音声出力手段を介して、より的確に、利用者に対して、学習度に基づいた、経路の提供や、案内情報の提供を行うことが可能である。
【0056】
この制御手段に係る態様では、前記制御手段は、前記表示画面において、前記学習度が相対的に高いレベルの前記経路を示す線の色又は線幅を変化させるように、前記表示手段を制御するように構成してもよい。
【0057】
このように構成すれば、判定された学習度のレベルは、表示画面に表示された地図上において、重ねて表示されつつ利用者に対して提供される。特に、高いレベルの利用者の学習度に対応される区間道路の色や線幅などを変えて提供されるようにしてもよい。
【0058】
この結果、より明確に、利用者に対して、学習度に基づいた、経路の提供や、案内情報の提供を行うことが可能である。
【0059】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、前記経路提供手段は、前記経路に固有名称を付与しつつ、当該経路を前記利用者に提供する。
【0060】
この態様によれば、人による経路の提供に近似した環境で、より簡潔に、利用者に対して、学習度に基づいた、経路の提供や、案内情報の提供を行うことが可能である。案内情報について、具体的には、学習済み、即ち、利用者が経路を殆ど又は完全に記憶済みであることが把握された場合、経路の固有名称だけを、最初に簡潔に提供するだけでよい。例えば、目的地に到達するまで、複数種類の経路がある場合、交通渋滞に関する情報などを考慮して、経路の選択が行われた後、「Aの経路を使ってください」というような簡潔な経路の指示が、最初に行われだけでよいので、簡便に、経路案内を行うことができる。
【0061】
本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態の他の態様では、前記制御手段は、前記経路のうち往路及び復路のうちいずれか一方では、前記学習度を向上させるために、前記経路提供手段の制御、又は、前記案内手段の制御を行い、前記往路及び復路のうちいずれか他方では、前記学習度を判定させるために、前記経路提供手段の制御、又は、前記案内手段の制御を行う。
【0062】
この態様によれば、例えばゲーム的な要素が盛り込まれた案内情報の提供が行われる。具体的には、例えば、目的地へ到達するまでの往路では、学習度を向上させるための設定、所謂、学習モードで、経路の提供や、案内情報の提供が行われる。他方、目的地から出発地へ到達する復路では、学習度を判定させるための設定、所謂、検定モードで、経路の提供や、案内情報の提供が行われる。
【0063】
この結果、提供された案内情報に対する、利用者の関心や集中力を向上させ、眠気を予防することができるため、経路の効率的且つ迅速な学習や、経路の効率的且つ迅速な記憶を実現することが可能である。
【0064】
(移動体のナビゲーション方法の実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る移動体のナビゲーション方法について説明する。
【0065】
本発明の移動体のナビゲーション方法に係る実施形態は、移動体のナビゲーション方法であって、目的地に到着するまでの経路を探索し、当該経路を前記移動体の利用者に提供する経路提供工程と、前記経路に対応した案内情報(経路の誘導に対応した誘導情報、経路に関する学習用情報を含む)を、前記利用者に提供する案内工程と、前記利用者が前記経路を記憶している度合いを示す学習度を判定する判定工程と、判定される前記学習度に基づいて、(i)前記経路を提供するように前記経路提供工程を制御する、又は(ii)前記案内情報を提供するように前記案内工程を制御する制御工程と、を備える。
【0066】
本発明の移動体のナビゲーション方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態が有する各種利益を享受することが可能となる。
【0067】
尚、上述した本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態が有する各種態様に対応して、本発明の移動体のナビゲーション方法に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0068】
(ナビゲーションプログラムの実施形態)
以下、本発明の実施形態に係るナビゲーションプログラムについて説明する。
【0069】
本発明のナビゲーションプログラムは、上述した移動体のナビゲーション装置(但し、各種の態様を含む)に備えられたコンピュータを制御する制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記経路提供手段、前記案内手段、前記判定手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。
【0070】
本発明に係る移動体のナビゲーションプログラムの実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態を比較的簡単に実現できる。
【0071】
尚、上述した本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のナビゲーションプログラムに係る各実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0072】
(記憶媒体の実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る記憶媒体について説明する。
【0073】
本発明の記憶媒体は、上述した、制御用のコンピュータプログラム(但し、各種の態様を含む)を記憶している。
【0074】
本発明に係る記憶媒体の実施形態によれば、上述した制御用のコンピュータプログラムを、コンピュータに読み取らせることで、コンピュータを上述した本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態として適切に、機能させることが可能である。
【0075】
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
【0076】
以上説明したように、本発明の移動体のナビゲーション装置及び方法に係る実施形態によれば、経路提供手段及び工程、案内手段及び工程、判定手段及び工程、並びに、制御手段及び工程を備える。この結果、利用者の能力に依存する学習度に適切に対応しつつ、経路の効率的な学習や、経路の効率的な記憶を実現することが可能である。特に、利用者の能力や個性に依存する学習度に適切に対応して、経路の難易度、案内情報の内容や情報量、案内情報を提供する頻度、並びに、案内情報を提供するタイミングなどを変化させつつ、利用者に経路が適切に選別され、取捨選択されて提供されたり、利用者の案内情報に対する関心や集中力を向上させるため、経路の効率的且つ迅速な学習や、経路の効率的且つ迅速な記憶を実現することが可能である。更には、利用者の能力や個性に依存する学習度の進歩や進展のスピードに適切に対応して、経路の効率的且つ迅速な学習や、経路の効率的且つ迅速な記憶を実現することが可能である。
【0077】
また、本発明のナビゲーションプログラムに係る実施形態によれば、コンピュータを上述した本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態として機能させるので、コンピュータをして、利用者の能力に依存する学習度に適切に対応させつつ、経路の効率的な学習や、経路の効率的な記憶を実現せしめることが可能である。
【0078】
更に、また、本発明の記憶媒体に係る実施形態によれば、上述したナビゲーションプログラムを、コンピュータに読み取らせることで、コンピュータを上述した本発明の移動体のナビゲーション装置に係る実施形態として適切に、機能させることが可能である。
【実施例】
【0079】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。尚、以下の説明は、本発明を車載用のナビゲーション装置に適用した例を示す。
【0080】
(1)基本構成
先ず、図1を参照して、本実施例に係るナビゲーション装置の基本構成について説明する。ここに、図1は、本実施例に係る学習度に基づいた経路探索、及び、経路案内を行うナビゲーション装置の基本構成を概念的に示したブロック図である。
【0081】
図1に示されるように、本実施例に係る学習度に基づいた経路探索、及び、経路案内を行う、ナビゲーション装置10は、GPS受信機11、車両情報の測位部12、運転技量評価装置13、カメラ14、地図データベース(地図DB)15、記憶装置16、通信装置17、既知道路の推定部18、学習判定部19、案内情報取得部20、経路探索部21、経路案内部22、画面表示部23、音声出力部24、入力部25、CPU26、視線検出部27を備えて構成されている。
【0082】
GPS受信機11は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0083】
車両情報の測位部12は、加速度センサ、角速度センサ及び距離センサを備え、車両の加速度や、車両の速度、車両の角加速度等の車両情報や、地図データベースに基づいて、車両の現在位置を測定する。具体的には、加速度センサは、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサは、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサは、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0084】
運転技量評価装置13は、車両の加速度や、車両の速度、車両の角加速度等の車両情報に基づいて、運転者の運転技量を評価する。
【0085】
カメラ14は、例えば車両の前側に配置され、例えば交差点の付近の写真等の静止画像を撮影する。
【0086】
地図データベース(地図DB)15は、経路探索や、経路案内のための地図データベースを格納する。
【0087】
記憶装置16は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)などにより構成され、地図データや施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶するユニットである。
【0088】
通信装置17は、運転者の学習度の判定結果を、例えばサーバ等の情報配信装置と通信する機能を有する。また、通信装置17によって、運転者に対して、優先的に記憶させたい経路を指定することも可能である。通信装置17は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェースを介して、VICS(Vehicle Information Communication System)センタから配信される渋滞や交通情報などの道路交通情報、その他の情報を受信する。尚、本発明の通信手段の一例が、通信装置17によって構成されている。
【0089】
既知道路の推定部18は、運転者が経路を記憶している度合いを示す学習度が最大レベル、即ち、完全に記憶している経路である既知道路に関する情報を推定する。特に、この既知道路の推定部18と、後述される学習度判定部19で作成された学習度に関する情報が記憶されたデータベースを利用することで、学習度に基づいた経路の探索を実現することが可能である。
【0090】
学習度判定部19は、運転者が経路を記憶している度合いを示す学習度を判定する。詳細には、学習度判定部19は、(i)区間道路を走行した走行回数、(ii)区間道路に含まれる曲がり角を曲がり損ねた失敗回数、(iii)曲がり角での車両等の移動体のふらつき度合い、(iv)区間道路を以前に走行してから経過した経過時間、及び、(v)区間道路での車両等の移動体のふらつき度合いのうち少なくとも一つに基づいて、学習度を、定量化(数量化)して、判定する。特に、車両等の移動体のふらつき度合いについては、上述した運転技量評価装置13により測定された情報を利用してもよい。或いは、後述されるように、例えば交差点の記憶に関する質問形式のテストを、運転者に対して実施して、運転者の経路の記憶の定着度を、直接的に判定するようにしてもよい。そして、この判定された学習度は、例えば経路上の区間道路の車線で区別された往路及び復路の単位で管理されるようにしてもよい。加えて、学習度を判定するための利用した各種の情報(例えば、走行回数、走行日時、曲がり損ねた失敗回数、車両のふらつき度合い等の挙動など)と共に、例えばデータベース等の記憶手段に記憶される。
【0091】
特に、学習度判定部19は、後述される案内情報取得部20と共に、運転者が探索された経路に沿って目的地に到着した場合、運転者の経路の記憶の定着度を向上させるための各種の情報に基づいて、運転者の学習度を判定するようにしてもよい。この運転者の経路の記憶の定着度を向上させるための各種の情報とは、具体的には、(i)運転者の学習に利用する情報である学習用情報が提供された頻度や内容や情報量に関する情報、(ii)学習用情報に対する反応に関する情報、(iii)学習用情報の提供が行われた否かという観点に関する情報、(iv)経路案内の提供が行われた否かという観点に関する情報である。この学習用情報は、文字情報、音声情報、画像情報であるようにしてもよい。例えば、画像情報の学習用情報は、車載用のカメラで撮影された曲がり角の手前付近で撮影された街路の画像情報が、記憶装置16に格納され、次回以降の学習度に基づいた経路の提供や、案内情報の提供の際に、繰り返して利用されるようにしてもよい。
【0092】
案内情報取得部20は、地図データベースや、車載用のカメラによって撮影された曲がり角の手前付近で撮影された街路の画像や、運転者による直接的に入力された音声情報や文字情報に基づいて、運転者の学習に利用する情報である学習用情報を取得し、地図上の位置情報と関連付けて管理する。具体的には、案内情報取得部20により、学習用情報は、最初に、地図データベースや、予め用意された店の位置情報や、観光情報などの各種のデータベースを利用して作成されるようにしてもよい。次に、運転者の趣味や、性別などの個性を加味して、運転者に適した学習しやすい学習用情報が、抽出されて提示されるようにしてもよい。
【0093】
経路探索部21は、後述されるCPU26の制御下で、設定された目的地までの経路を探索する。経路探索部21は、運転者等の利用者により目的地が設定された場合には経路設定を行う。経路設定を行う具体的な方法について簡単に述べる。経路設定を行う場合、運転者等の利用者は、入力装置を操作することにより、目的地の設定を行い、経路探索指示をナビゲーション装置10に対して行う。経路探索部21は、データ記憶ユニットより必要なリンク、ノード情報を取り込み、経路計算を行う。そして、経路探索部21は、バッファメモリに必要な地図情報と共に経路情報を記憶して、ディスプレイの表示画面に地図及び目的地までの経路を表示する。尚、本発明の制御手段や、経路提供手段の一例が、この経路探索部21によって構成されている。
【0094】
経路案内部22は、表示画面において、経路、及び案内情報(誘導情報)を表示すると共に、音声を利用して目的地までの経路案内を行う。尚、本発明の案内手段の一例が、この経路案内部22によって構成されている。
【0095】
画面表示部23は、後述されるCPU26の制御下で、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、CPU26の制御下で、データ記憶ユニットから地図データが読み出される。画面表示部23は、地図データベースから読み出された地図データを、ディスプレイなどの表示画面上に表示する。画面表示部23は、バスラインを介してCPU26から送られる制御データに基づいて画面表示部23全体の制御を行うグラフィックコントローラと、VRAM(Video RAM )等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイを表示制御する表示制御部と、ディスプレイとを備える。ディスプレイは、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。尚、本発明の表示手段の一例が、この画面表示部23によって構成されている。
【0096】
音声出力部24は、システムコントローラの制御の下、CD−ROMドライブ又はDVD−ROM、若しくはRAM等からバスラインを介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータと、D/Aコンバータから出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカとを備えて構成されている。音声出力部24は、ユーザに対し、経路上の右折又は左折をすべき案内交差点を所定のタイミングで「300m先を右折して下さい」、「100m先のコンビニエンスストアを右折してください」といった音声案内を行う。従って、音声出力部24は案内手段として機能する。
【0097】
入力部25は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイの周囲に配置される。また、ディスプレイがタッチパネル方式である場合には、ディスプレイの表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置として機能する。このタッチパネルが本発明における入力手段として機能する。
【0098】
CPU(Central Processing Unit)26は、本実施例に係る、ナビゲーション装置10を統括制御する。尚、本発明の制御手段の一例が、このCPU26によって構成されている。
【0099】
視線検出部27は、運転者が、経路において、画面表示部23へ視線を向けた頻度や回数を検出する。尚、この視線検出部27によって、本発明に係る算出手段の一例が構成されている。
【0100】
なお、本実施例に係る、交差点とは、案内地点の一例を示すものに過ぎず、交差点の代わりに、他の案内地点、例えば、高速道路や有料道路の出入口、インターチェンジ、その他、車両の進行方向を変更する必要がある地点においても同様に本発明を適用することができる。
【0101】
(2)動作原理
次に、図2を参照して、本実施例に係る学習度に基づいた経路探索、及び、経路案内を行う動作原理について説明する。ここに、図2は、本実施例に係る学習度に基づいた経路探索、及び、経路案内を行う動作の流れを示したフローチャートである。
【0102】
図2に示されるように、CPU26の制御下で学習度に基づいた経路探索、及び、経路案内を行う設定(所謂、学習モード)となっているか否かが判定される(ステップS110)。ここで、学習モードとなっていると判定される場合(ステップS110:Yes)、学習度の判定が行われる(ステップS120)。尚、この学習度の判定については、後述される。
【0103】
次に、学習モードの下で、目的地が設定されているか否かが判定される(ステップS130)。ここで、目的地が設定されていると判定される場合(ステップS130:Yes)、CPU26の制御下で、学習度に基づいた経路の探索(以下、適宜、経路探索又は経路の提供と称す)が行われる(ステップS140)。尚、この学習度に基づいた経路の探索については、後述される。
【0104】
次に、CPU26の制御下で、学習度に基づいた経路の案内が行われる(ステップS150)。尚、この学習度に基づいた経路案内については、後述される。
【0105】
他方、ステップS130の判定の結果、目的地が設定されていないと判定される場合(ステップS130:No)、学習モードの下で、目的地の設定を行わずに、運転が行われている場合、運転者にとって既知の道路(即ち、運転者が既に経路を殆ど又は完全に記憶している道路や、運転者の学習度が最大レベルである経路)であると判定され、この既知の道路に関する情報(例えば道路の位置情報)が、後述の区間道路の単位で、記憶装置16に記憶される(ステップS160)。
【0106】
他方、ステップS110の判定の結果、学習モードとなっていないと判定される場合(ステップS110:No)、学習モードとなっていない条件下で、目的地が設定されているか否かが判定される(ステップS170)。ここで、目的地が設定されていると判定される場合(ステップS170:Yes)、CPU26の制御下で、学習度に基づかない、一般的な経路の探索が行われる(ステップS180)。
【0107】
次に、CPU26の制御下で、学習度に基づかない、一般的な経路の案内即ち、案内情報の提供が行われる(ステップS190)。他方、ステップS170の判定の結果、目的地が設定されていると判定されない場合(ステップS170:No)、上述したステップS180及びS190は、省略される。
【0108】
(3)学習度の判定手法
次に、図3から図7を参照して、本実施例に係る運転者の学習度の判定手法について説明する。
【0109】
(3−1)区間道路
先ず、図3を参照して、本実施例に係る運転者の学習度を判定する際の、単位である区間道路について説明する。ここに、図3は、本実施例に係る運転者の学習度を判定する単位である区間道路を図式的に示した模式図(図3(a))、並びに、地点の組み合わせによって構成される区間道路を示した表(図3(b))である。
【0110】
図3(a)に示されるように、本実施例に係る運転者の学習度の判定手法を簡便に説明するために、例えば4つの交差点、即ち、「A点」、「B点」、「C点」、「D点」によって構成することが可能な区間道路を設定する。これら4つの交差点の組み合わせによって、区間道路が、図3(b)に示されるように示すことができる。具体的には、区間道路の一例は、始点を「A点」とし、終点を「B点」とする区間道路(以下、適宜、区間道路「A−B」と称す)や、始点を「B点」とし、終点を「A点」とする区間道路(即ち、区間道路「B−A」)を挙げることができる。区間道路の他の例は、始点を「B点」とし、終点を「C点」とする区間道路(即ち、区間道路「B−C」)や、始点を「C点」とし、終点を「B点」とする区間道路(即ち、区間道路「C−B」)を挙げることができる。以下、同様にして、区間道路の他の例は、始点を「A点」とし、終点を「D点」とする区間道路(即ち、区間道路「A−D」)や、始点を「D点」とし、終点を「A点」とする区間道路(即ち、区間道路「D−A」)を挙げることができる。特に、図3(a)中の太線で示された、区間道路「A−B」、「B−A」、「B−C」、「C−B」によって、主要な幹線道路が表示されており、図3(a)中の細線で示された、区間道路「A−D」、「D−A」、「D−C」、「C−D」によって、支線道路が表示されている。
【0111】
そして、本実施例では、図3(b)の表中の升目に、運転者の学習度を格納することが可能である。
【0112】
(3−2)学習度を判定するための複数種類の変数
次に、図4及び図5を参照して、本実施例に係る運転者の学習度を判定する際の、複数種類の変数の一具体例について説明する。ここに、図4は、本実施例に係る運転者の学習度を判定する際の、複数種類の変数の一具体例を示したグラフ群(図4(a)から図4(f))である。図5は、本実施例に係る運転者の学習度を判定する際の、曲がり損ねた運転の類型を図式的に示した一及び他の模式図(図5(a)、図5(b)、及び図5(c))である。
【0113】
図4(a)に示されるように、本実施例では、例えば5種類の変数に基づいて、運転者の学習度を判定する。
【0114】
即ち、上述した学習度判定部19は、運転者が、(i)区間道路を走行した走行回数、(ii)区間道路に含まれる曲がり角を曲がり損ねた失敗回数、(iii)区間道路に含まれる曲がり角での移動体のふらつき度合い、(iv)区間道路を以前に走行してから経過した経過時間、及び、(v)区間道路での移動体のふらつき度合いに基づいて、学習度を判定するようにしてもよい。詳細には、これらの5種類の変数のレベルの平均値によって、当該区間道路に対応される学習度が判定されるようにしてもよい。尚、本実施例では、5種類に加えて、(vi)経路で急ブレーキをかけた度合い、(vii)経路でのろのろ運転した度合い、及び、(viii)経路で急カーブを行った度合い等の各種の変数に基づいて運転者の学習度を判定することが好ましい。尚、これらの度合いは、上述した、車両の加速度や、車両の速度、車両の角加速度等の車両情報や、地図データベースに基づいて、個別具体的に、理論的、実験的、経験的、又は、シミュレーション等に基づいて規定可能である。
【0115】
より詳細には、図4(b)に示されるように、一般的に、区間道路を走行した走行回数が増加すれば、学習度のレベルも向上すると判定するようにしてもよい。また、図4(c)に示されるように、一般的に、区間道路に含まれる曲がり角を曲がり損ねた失敗回数が減少すれば、学習度のレベルも向上すると判定するようにしてもよい。具体的には、区間道路に含まれる曲がり角を曲がり損ねた失敗回数は、図5に示されるような、運転者の曲がり損ねの運転動作の類型との比較に基づいて、測定されるようにしてもよい。即ち、運転者の曲がり損ねの運転動作の類型の一例としては、図5(a)に示されるように、運転者は、本来であれば、区間道路を、直進しなければならないのに、途中で右折(又は左折)してしまった場合、運転者は曲がり損ねたと判定してもよい。或いは、図5(b)に示されるように、運転者は、本来であれば、区間道路を、進行方向を基準にして奥側の交差点、所謂、案内地点を右折(又は左折)しなければならないのに、手前の交差点で右折(又は左折)してしまった場合、運転者は曲がり損ねたと判定してもよい。或いは、図5(c)に示されるように、運転者は、本来であれば、区間道路を、進行方向を基準にして手前側の交差点、所謂、案内地点を右折(又は左折)しなければならないのに、この案内地点を通過後、奥側の交差点で右折(又は左折)してしまった場合、運転者は曲がり損ねたと判定してもよい。
【0116】
また、図4(d)に示されるように、一般的に、区間道路に含まれる曲がり角での移動体のふらつき度合いが減少すれば、学習度のレベルも向上すると判定するようにしてもよい。また、図4(e)に示されるように、一般的に、区間道路を以前に走行してから経過した経過時間が減少すれば、学習度のレベルも向上すると判定するようにしてもよい。また、図4(f)に示されるように、一般的に、区間道路での移動体のふらつき度合いが減少すれば、学習度のレベルも向上すると判定するようにしてもよい。尚、移動体のふらつき度合いは、運転技量評価装置13によって、評価されるようにしてもよい。
【0117】
以上の結果、例えば、(i)区間道路「A−B」を走行した走行回数を変数とした学習度のレベルが「5」、(ii)区間道路「A−B」に含まれる曲がり角を曲がり損ねた失敗回数を変数とした学習度のレベルが「3」、(iii)区間道路「A−B」に含まれる曲がり角での移動体のふらつき度合いを変数とした学習度のレベルが「4」、(iv)区間道路「A−B」を以前に走行してから経過した経過時間を変数とした学習度のレベルが「5」、及び、(v)区間道路「A−B」での移動体のふらつき度合いを変数とした学習度のレベルが「3」の場合、学習度のレベルの平均値によって、区間道路「A−B」での運転者の学習度の総合的なレベルは、「4.0」と算出することが可能である。
【0118】
(3−3)学習度の判定結果
次に、図6及び図7を参照して、本実施例に係る運転者の学習度の判定結果の一具体例について説明する。ここに、図6は、本実施例に係る運転者の学習度が判定された区間道路を図式的に示した模式図(図6(a))、並びに、地点の組み合わせによって構成され、学習度が判定された区間道路を示した表(図6(b))である。図7は、本実施例に係る運転者を、判定された学習度に基づいて、類型化した一具体例を示した表である。
【0119】
図6(a)及び図6(b)に示されるように、上述した学習度が判定され、区間道路の単位で、運転者の学習度が判定され、表として可視化することが可能である。具体的には、図6(b)の表に示されるように、区間道路「A−B」は、前述の図4における算出方法によって、学習度のレベルは「4.0」として判定される。概ね同様にして、区間道路「B−A」は、学習度のレベルは「4.5」として判定される。区間道路「A−D」は、学習度のレベルは「2.0」として判定される。区間道路「D−A」は、学習度のレベルは「1.0」として判定される。区間道路「B−C」は、学習度のレベルは「4.8」として判定される。区間道路「C−B」は、学習度のレベルは「4.0」として判定される。区間道路「C−D」は、学習度のレベルは「3.0」として判定される。区間道路「D−C」は、学習度のレベルは「2.0」として判定される。
【0120】
特に、図7に示されるように、本実施例に係る運転者を、判定された学習度に基づいて、類型化するようにしてもよい。具体的には、運転者における区間道路の単位での、例えば学習度のレベルが、「0.0」以上で且つ、「2.5」未満である場合、当該運転者の学習度を、「可」レベル、即ち、初心者のレベルとして類型化するようにしてもよい。或いは、運転者における区間道路の単位での、例えば学習度のレベルが、「2.5」以上で且つ、「4.0」未満である場合、当該運転者の学習度を、「良」レベル、即ち、中級のレベルとして類型化するようにしてもよい。或いは、運転者における区間道路の単位での、例えば学習度のレベルが、「4.0」以上で且つ、「5.0」未満である場合、当該運転者の学習度を、「優」レベル、即ち、上級のレベル、又は優秀なレベルとして類型化するようにしてもよい。
【0121】
(4)学習度に基づいた経路探索、及び、経路案内
次に、図8から図13を参照して、本実施例に係る学習度に基づいた経路探索、及び、経路案内の手法について説明する。
【0122】
(4−1)経路探索の手法
先ず、図8及び図9を参照して、本実施例に係る学習度に基づいた経路探索の手法について説明する。ここに、図8は、本実施例に係る学習度に基づいて類型化された運転者に夫々対応した経路探索、及び、経路案内の手法の一具体例を示した表である。図9は、本実施例に係る経路探索の手法における、一及び他の具体例、並びに、経路案内の手法における、一及び他の具体例を図式的に示した模式図(図9(a)から図9(d))である。
【0123】
図8に示されるように、本実施例に係る学習度に基づいた経路探索の手法においては、判定された学習度に基づいて、類型化された運転者に夫々対応して、経路探索の手法の手法を変化させる。例えば、経路の学習(記憶)の際、経路探索部21によって、運転者にとって学習しやすい(言い換えると、学習の効果が高い)経路を優先的に探索する。詳細には、運転者が殆ど又は完全に記憶した既知道路が含まれるか否か、幹線道路若しくは支線道路等の道路種別、経路における曲がり角の頻度、経路の運転の際に必要とされる運転技量の度合い等を総合的に判断する。また、目的地が、過去に訪れた実績や履歴がある場所である場合、又は、その場所の周辺である場合、学習度も考慮して、過去に利用した経路を優先的に採用するようにしてもよい。
【0124】
具体的には、判定された学習度に基づいて、「可」レベルとして類型化された運転者に対しては、経路探索の手法において、当該運転者にとって経路の記憶の定着度が相対的に高い、所謂、得意な経路を探索し、当該経路が、提供される。より具体的には、学習度が最大レベル、即ち、完全に記憶している経路である既知道路を、50%以上含むような経路を探索し、当該経路が、提供される。或いは、図9(a)に示されるように、現在地が「A点」で、目的地が「C点」である場合、主要な幹線道路、即ち、区間道路「A−B」及び区間道路「B−C」が、提供されるようにしてもよい。
【0125】
他方、判定された学習度に基づいて、「良」レベルとして類型化された運転者に対しては、経路探索の手法において、当該運転者にとって経路の記憶の定着度が相対的に高い、所謂、得意な経路と、経路の記憶の定着度が相対的に低い、所謂、不得意な経路との両方を探索し、当該経路が、提供される。より具体的には、学習度が最大レベル、即ち、完全に記憶している経路である既知道路を、50%未満だけ含むような経路を探索し、当該経路が、提供される。或いは、前述の図9(a)に示されるように、現在地が「A点」で、目的地が「C点」である場合、主要幹線道路、即ち、区間道路「A−B」及び区間道路「B−C」が、提供されるようにしてもよい。
【0126】
更に、他方、判定された学習度に基づいて、「優」レベルとして類型化された運転者に対しては、経路探索の手法において、当該運転者にとって経路の記憶の定着度が相対的に低い、所謂、不得意な経路を探索し、当該経路が提供される。より具体的には、図9(b)に示されるように、現在地が「A点」で、目的地が「C点」である場合、支線道路、即ち、区間道路「A−D」及び区間道路「D−C」が、提供される。尚、経路(道路)を学習することを主目的にしているので、基本的には移動距離や移動時間を最短にする経路の優先度は低く設定されつつ、経路が提供されるようにしてもよい。
【0127】
更に、他方、判定された学習度に基づいて、「優」レベルとして類型化された運転者に対しては、図9(c)に示されるように、B点で左折する際の誘導情報を無くし、図9(d)に示されるように、B点で左折する際の学習用情報を無くしてもよい。
【0128】
(4−2)経路案内の手法
次に、図10から図13に加えて、前述の図8及び図9を適宜、参照して、本実施例に係る学習度に基づいた経路案内の手法について説明する。ここに、図10は、本実施例に係る運転者の趣味に基づいた、経路案内の手法の一具体例を図式的に示したグラフ(図10(a))、及び模式図(図10(b))である。図11は、本実施例に係る運転者の趣味に基づいた、経路案内の手法における、表示画面の一具体例を図式的に示したグラフ(図11(a))、及び模式図(図11(b))である。図12は、本実施例に係る経路案内の手法における、撮影された写真に基づいたクイズを表示した表示画面の一具体例を図式的に示した模式図である。図13は、本実施例に係る、経路案内の手法の一具体例を図式的に示した模式図である。
【0129】
前述の図8に示されるように、本実施例に係る学習度に基づいた、経路案内の手法においては、判定された学習度に基づいて、類型化された運転者に夫々対応して、経路案内の手法を変化させる。この学習度に基づいた経路案内では、基本的には、経路の現在位置の特徴を反復して運転者に提示する。経路を走行している際の、特徴的な建物や店、風景などに関する、画像や音声を運転者に提供する。学習用情報の提供は、地図情報と車両情報(例えば現在地、車速など)から、運転の妨げにならないタイミング(例えば、信号待ちのタイミングなど)で行われることが好ましい。例えば曲がり角を走行中では、曲がる少し手前の風景の特徴を、運転者に提示しながら経路案内を行う。
【0130】
具体的には、判定された学習度に基づいて、「可」レベルとして類型化された運転者に対しては、経路案内の手法において、当該運転者にとって、最低限、必要な案内情報、即ち、目的地へ誘導するための誘導情報に加えて、運転者の趣味に基づいて決定された、運転者にとって記憶しやすい学習用情報が提供されるようにしてもよい。
【0131】
より具体的には、図10(a)に示されるように、運転者の趣味を、例えば5つの要素に基づいて決定し、決定された運転者の趣味に対応した、当該運転者にとって記憶しやすい学習用情報が提供されるようにしてもよい。例えば、運転者の趣味が、「音楽」、「グルメ」、「ショッピング」、「ビジネス」、「スポーツ」の5つの要素に対する嗜好の度合いに基づいて、類型化され、学習用情報が、それらの趣味に対応して、提供される。即ち、図10(b)及び図11(a)に示されるように、運転者の趣味が、「音楽」である場合、交差点である「B点」を運転者に知らせる際に、学習用情報の提供として、交差点「B点」の左側に位置する「コンサートホール」の存在を知らせたり、表示画面に表示したりする。或いは、図10(b)及び図11(b)に示されるように、運転者の趣味が、「スポーツ」である場合、交差点である「B点」を運転者に知らせる際に、学習用情報の提供として、交差点「B点」の右側に位置する「体育館」の存在を知らせたり、表示画面に表示したりする。或いは、前述の図8の表中の、当該運転者によって、経路の記憶の定着度が相対的に低い、所謂、不得意な経路(学習度のレベルが低い区間道路)を走行する際には、その旨を通知するような学習用情報が提供されるようにしてもよい。
【0132】
特に、例えば興味等の個人情報に対応される案内情報は、季節や朝夕等の時間と共に変化されるようにしてもよい。具体的には、趣味でスキーや、ウインドサーフィンを選択した運転者に対しては、冬においては、経路上のスキー場に基づく案内情報を提供することが好ましく、夏においては、経路上のサーフィンショップや海に基づく案内情報を提供することが好ましい。或いは、運転者に対して、お昼の時間は、レストランに基づく案内情報を提供することが好ましい。尚、この時間に関する時刻情報は、GPS受信機11から取得可能であり、この取得された時刻情報に基づいて、季節や時間等に関する情報を把握可能である。
【0133】
他方、判定された学習度に基づいて、「良」レベルとして類型化された運転者に対しては、経路案内の手法において、当該運転者にとって、最低限、必要な案内情報、即ち、目的地へ誘導するための誘導情報に加えて、運転者の興味を引き付けると共に、運転者にとって記憶しやすい学習用情報が提供される。より具体的には、図12に示されるように、現在地が「A点」で、目的地が「C点」である場合において、次に右折又は左折しなければならない交差点の写真を、運転者に表示して、質問する。詳細には、例えば一の経路を最初に運転する際に、車載用のカメラ等の撮影手段によって、経路に含まれる曲がり角の周辺の静止画像が撮影されることで、この一の経路を、次回、運転する際に、この曲がり角の周辺の静止画像を利用した、運転者の経路の学習を実現可能である。特に、曲がり角の周辺の静止画像は、文字情報と比較して、人間の記憶形態に近いため、経路に対する、より効率的且つ迅速な学習や、経路に対する、より効率的且つ迅速な記憶を実現することが可能である。
【0134】
或いは、図13に示されるように、現在地が「B点」で、目的地が「C点」である場合において、目的地「C点」の手前に位置する「国会議事堂」を、運転者に知らせたり、表示画面に表示したりする際に、運転者への通知や、表示を、例えば2段階に分けて、行うようにしてもよい。即ち、図13中のStep1に示されるように、「国会議事堂」がまだ運転者の視界にない時に、1段階目の学習用情報の提供として、「もうすぐ右側に白い面白い建物が見えます」と、運転者にあいまいに、知らせたり、表示画面に表示したりする。次に、図13中のStep2に示されるように、2段階目の学習用情報の提供として、運転者が目的地「C点」に近づいた所定の位置に到着した時に、「国会議事堂でした」と、運転者に知らせたり、表示画面に表示したりするようにしてもよい。或いは、単純に「この先にパスタがおいしい店があります」という、位置情報に加えて、興味を起こさせる付加的な学習用情報を提供するようにしてもよい。
【0135】
このように、運転者の興味を喚起させる会話形式で、学習用情報が提供されるので、1段階目において直接的に学習用情報を提供する場合と比較して、運転者の経路の記憶の定着度をより効果的に向上させることが可能である。
【0136】
上述した実施例では、移動体のナビゲーション装置の一例として、車載用のカーナビゲーション装置について説明したが、本発明は、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の情報機器に搭載される携帯用のナビゲーション装置に応用されてもよい。
【0137】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う移動体のナビゲーション装置及び方法、並びに、コンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本実施例に係る学習度に基づいた経路探索、及び、経路案内を行うナビゲーション装置の基本構成を概念的に示したブロック図である。
【図2】本実施例に係る学習度に基づいた経路探索、及び、経路案内を行う動作の流れを示したフローチャートである。
【図3】本実施例に係る運転者の学習度を判定する単位である区間道路を図式的に示した模式図(図3(a))、並びに、地点の組み合わせによって構成される区間道路を示した表(図3(b))である。
【図4】本実施例に係る運転者の学習度を判定する際の、複数種類の変数の一具体例を示したグラフ群(図4(a)から図4(f))である。
【図5】本実施例に係る運転者の学習度を判定する際の、曲がり損ねた運転の類型を図式的に示した一及び他の模式図(図5(a)、図5(b)、及び図5(c))である。
【図6】本実施例に係る運転者の学習度が判定された区間道路を図式的に示した模式図(図6(a))、並びに、地点の組み合わせによって構成され、学習度が判定された区間道路を示した表(図6(b))である。
【図7】本実施例に係る運転者を、判定された学習度に基づいて、類型化した一具体例を示した表である。
【図8】本実施例に係る学習度に基づいて類型化された運転者に夫々対応した経路探索、及び、経路案内の手法の一具体例を示した表である。
【図9】本実施例に係る経路探索の手法における、一及び他の具体例、並びに、経路案内の手法における、一及び他の具体例を図式的に示した模式図(図9(a)から図9(d))である。
【図10】本実施例に係る運転者の趣味に基づいた、経路案内の手法の一具体例を図式的に示したグラフ(図10(a))、及び模式図(図10(b))である。
【図11】本実施例に係る運転者の趣味に基づいた、経路案内の手法における、表示画面の一具体例を図式的に示したグラフ(図11(a))、及び模式図(図11(b))である。
【図12】本実施例に係る経路案内の手法における、撮影された写真に基づいたクイズを表示した表示画面の一具体例を図式的に示した模式図である。
【図13】本実施例に係る、経路案内の手法の一具体例を図式的に示した模式図である。
【符号の説明】
【0139】
10 ナビゲーション装置
11 GPS受信機
12 車両情報の測位部
13 運転技量評価装置
14 カメラ
15 地図データベース(地図DB)
16 記憶装置
17 通信装置
18 既知道路の推定部
19 学習判定部
20 案内情報取得部
21 経路探索部
22 経路案内部
23 画面表示部
24 音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体のナビゲーション装置であって、
目的地に到着するまでの経路を探索し、当該経路を前記移動体の利用者に提供する経路提供手段と、
前記経路に対応した案内情報を、前記利用者に提供する案内手段と、
前記利用者が前記経路を記憶している度合いを示す学習度を判定する判定手段と、
判定される前記学習度に基づいて、(i)前記経路を提供するように前記経路提供手段を制御する、又は(ii)前記案内情報を提供するように前記案内手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする移動体のナビゲーション装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記利用者が前記経路を運転した際の運転状態に基づいて、前記学習度を判定することを特徴とする請求項1に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記利用者が、(i)前記経路を走行した走行回数、(ii)前記経路に含まれる曲がり角を曲がり損ねた失敗回数、(iii)前記曲がり角での前記移動体のふらつき度合い、(iv)前記経路を以前に走行してから経過した経過時間、(v)前記経路での前記移動体のふらつき度合い、(vi)前記経路で急ブレーキをかけた度合い、(vii)前記経路でのろのろ運転した度合い、及び、(viii)前記経路で急カーブを行った度合いのうち少なくとも一つに基づいて、前記学習度を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記利用者が、前記経路において、前記案内情報を知覚する知覚度合いを算出する算出手段を更に備え、
前記判定手段は、算出された前記知覚度合いに基づいて、前記学習度を判定することを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記経路に含まれる区間道路の単位で、前記学習度を判定し、
判定された前記学習度を、前記区間道路の単位で記憶する記憶手段を更に備えることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記利用者からの指示が入力される第1入力手段を更に備え、
前記制御手段は、入力された前記指示により、(i)前記学習度の代わりに、所定条件に基づいて、前記経路を提供するように前記経路提供手段を制御する、又は、(ii)前記案内情報を提供しないように前記案内手段を制御することを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記利用者から前記目的地が入力される第2入力手段を更に備え、
前記判定手段は、前記利用者が前記目的地を入力しないで、前記経路を運転している場合、前記経路に対応される前記学習度を最大レベルとすることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記制御手段は、(i)前記学習度が最大レベルである前記経路、(ii)前記経路の道路種別、(iii)前記経路における曲がり角の頻度、(iv)前記経路の運転の際に必要とされる運転技量の度合いのうち少なくとも一つに基づいて、前記経路を探索するように前記経路提供手段を制御することを特徴とする請求項1から7のうちいずれか一項に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記利用者の個人情報を入力する第3入力手段を更に備え、
前記制御手段は、更に、入力された前記個人情報に基づいて、前記案内情報を提供するように、前記案内手段を制御することを特徴とする請求項1から8のうちいずれか一項に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項10】
時刻に関する時刻情報を取得する時刻情報取得手段を更に備え、
前記制御手段は、取得された前記時刻情報が反映させた、前記利用者の個人情報に基づいて、前記案内情報を提供するように、前記案内手段を制御することを特徴とする請求項1から9のうちいずれか一項に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項11】
前記制御手段は、判定された前記学習度に基づいて、前記案内情報の内容、前記案内情報の情報量、前記案内情報を提供する頻度、及び、前記案内情報を提供するタイミングのうち少なくとも一つを変化させるように、前記案内手段を制御することを特徴とする請求項1から10のうちいずれか一項に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項12】
前記経路に対応した外界の画像を撮影する撮影手段を更に備え、
前記制御手段は、前記案内情報として、撮影された前記写真に基づいた情報を提供するように、前記案内手段を制御することを特徴とする請求項1から11のうちいずれか一項に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項13】
前記判定手段は、前記利用者が、前記目的地に到着した場合、前記案内情報を提供する、頻度、タイミング、及び、内容のうち少なくとも一つに基づいて、前記学習度を判定することを特徴とする請求項1から12のうちいずれか一項に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項14】
前記学習度に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記利用者が、前記目的地に到着した場合、判定された前記学習度に関する情報を、前記記憶手段上で、更新する更新手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から13のうちいずれか一項に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項15】
前記学習度に関する情報、又は、前記経路に関する情報を送受信する通信手段を更に備えることを特徴とする請求項1から14のうちいずれか一項に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項16】
前記経路を提供するために、前記利用者に前記経路を地図上で表示する表示画面を有する表示手段、又は、前記案内情報を提供するために、前記利用者に前記案内情報を音声出力する音声出力手段を更に備えることを特徴とする請求項1から15のうちいずれか一項に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項17】
前記制御手段は、前記表示画面において、前記学習度が相対的に高いレベルの前記経路を示す線の色又は線幅を変化させるように、前記表示手段を制御することを特徴とする請求項16に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項18】
前記経路提供手段は、前記経路に固有名称を付与しつつ、当該経路を前記利用者に提供することを特徴とする請求項1から17のうちいずれか一項に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項19】
前記制御手段は、前記経路のうち往路及び復路のうちいずれか一方では、前記学習度を向上させるために、前記経路提供手段の制御、又は、前記案内手段の制御を行い、前記往路及び復路のうちいずれか他方では、前記学習度を判定させるために、前記経路提供手段の制御、又は、前記案内手段の制御を行うことを特徴とする請求項1から18のうちいずれか一項に記載の移動体のナビゲーション装置。
【請求項20】
移動体のナビゲーション方法であって、
目的地に到着するまでの経路を探索し、当該経路を前記移動体の利用者に提供する経路提供工程と、
前記経路に対応した案内情報を、前記利用者に提供する案内工程と、
前記利用者が前記経路を記憶している度合いを示す学習度を判定する判定工程と、
判定される前記学習度に基づいて、(i)前記経路を提供するように前記経路提供工程を制御する、又は(ii)前記案内情報を提供するように前記案内工程を制御する制御工程と、
を備えることを特徴とする移動体のナビゲーション方法。
【請求項21】
請求項1から19に記載の移動体のナビゲーション装置に備えられたコンピュータを制御する制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記経路提供手段、前記案内手段、前記判定手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させることを特徴とする制御用のコンピュータプログラム。
【請求項22】
請求項21に記載の制御用のコンピュータプログラムを記憶していることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−14660(P2008−14660A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183422(P2006−183422)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】