説明

ノズル取付方法

【課題】ノズルを縦型反応管に適正に取り付ける方法を提供する。
【解決手段】マニホールド209にノズル20を取り付けるに際して、保持治具10をノズル20の上下両端部に取り付け、ノズル20の水平部をマニホールド209の取付口210に処理室201側から挿入し、上下の保持治具10の前端面を処理室201の内周面に当接させることでノズル20と処理室201の内周面とのクリアランスおよび平行を自動的に保持する。ノズル20を保持治具10で位置決めした状態で、ノズル20の水平部を取付口210に設置された継手211に固定し、その後、上下の保持治具10をノズル209から取り外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル取付方法に関する。
詳しくは、基板処理装置のノズル取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置(以下、ICという)の製造方法において、ICが作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという)に成膜するのに使用される基板処理装置として、例えば、特許文献1に示されたものがある。
従来のこの種の基板処理装置においては、ウエハを積載したボートをボートエレベータによって処理室に搬入した後に、ガス供給管からノズルを介して処理室内にガスが供給されるように、構成されている。
【0003】
ノズルは、例えば石英が使用されて垂直部と水平部とがL形状に接合されて形成されており、石英製ノズルの水平部の端部がステンレス鋼等の金属からなるマニホールドに挿通され、マニホールドに溶接されたステンレス鋼等の金属からなる継手に挿通部周辺が溶接等によって固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−142237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の基板処理装置においては、ノズルの水平部がマニホールドに挿通されて継手によって固定されていることにより、ノズルと反応管との隙間が狭すぎてお互いが接触してノズルや反応管が破損したり、逆に、ノズルと反応管との隙間が広すぎてノズルとボートまたはウエハとが接触してノズルやボートやウエハが破損したりするという問題点がある。また、ノズル、反応管、ボートおよびウエハが破損に至らずとも、ノズルの取付具合に依存する成膜安定性が一定にならない場合がある。
一般に、ノズルと反応管との間にスペーサを挟む込むことにより、ノズルと反応管との隙間(クリアランス)を確保しながら、ノズルの固定が実施されている。
しかしながら、基板処理装置の狭い筐体内での一人作業では、ノズルを安定して取り付けることは困難である。
【0006】
本発明の目的は、ノズルを反応管に適正に取り付けることができるノズル取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、次の方法が提供される。
基板を収容して処理する反応管と、前記反応管を支持するマニホールドと、前記反応管内で複数枚の基板を多段に支持する支持具と、前記マニホールドに取り付けられるとともに、その一部が前記反応管と前記支持具との間に配置され、前記反応管内にガスを供給するノズルと、を有する基板処理装置に対して、前記ノズルを取り付ける方法であって、
前記反応管内に前記ノズルを配置するステップと、
前記反応管と前記ノズルとのクリアランスを保持するクリアランス保持治具を、前記ノズルに取り付けるステップと、
前記クリアランス保持治具を取り付けた前記ノズルを前記マニホールドに固定するステップと、
前記ノズルを前記マニホールドに固定した後に、前記ノズルから前記クリアランス保持治具を取り外すステップと、を有しており、
前記クリアランス保持治具は前記ノズルの側面を両サイドから挟み込む一対のアームを有しており、前記一対のアームのそれぞれの先端部は前記反応管の内面と接触するように構成され、前記一対のアームのそれぞれの側面には、内面が前記ノズルの側面形状に沿って接触する保持部が設けられている、
ことを特徴とするノズル取付方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ノズルを反応管に適正に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面で示す図である。
【図2】本実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を図1のA−A’線断面図で示す図である。
【図3】本実施形態における成膜フローを示す図である。
【図4】本実施形態の成膜シーケンスにおけるガス供給のタイミングを示す図であり、HCDガスを供給した後にHCDガスの供給を停止し、その後、OガスとHガスとを供給する例を示している。
【図5】本実施形態で好適に用いられるクリアランス保持治具を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図、(e)は(b)のe−e線に沿う断面図、(f)は保持状態を示す平面図である。
【図6】本実施形態にかかるノズル取付方法のクリアランス保持治具取付ステップおよびノズル挿入ステップを示しており、(a)は斜視図、(b)は(a)のb−b線に沿う平面断面図である。
【図7】(a)はノズル固定ステップを示しており、図6VII −VII 線に沿う断面図に相当する側面断面図であり、(b)はクリアランス保持治具取り外しステップを示す側面断面図である。
【図8】他の実施形態にかかるノズル取付方法のクリアランス保持治具取付ステップおよびノズル挿入ステップを示しており、(a)は斜視図、(b)は(a)のb−b線に沿う平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に即して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態にて好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を縦断面図で示している。
また、図2は、図1に示す処理炉のA−A’断面図である。
なお、本発明は本実施形態にかかる基板処理装置に限らず、枚葉式、Hot Wall型、Cold Wall型の処理炉を有する基板処理装置にも好適に適用できる。
【0012】
図1に示されているように、処理炉202は加熱手段(加熱機構)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0013】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管としてのプロセスチューブ203が配設されている。プロセスチューブ203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。プロセスチューブ203の筒中空部には処理室201が形成されており、基板としてのウエハ200を後述するボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
【0014】
プロセスチューブ203の下方には、プロセスチューブ203と同心円状にマニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス等からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209は、プロセスチューブ203に係合しており、プロセスチューブ203を支持するように設けられている。なお、マニホールド209とプロセスチューブ203との間にはシール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベースに支持されることにより、プロセスチューブ203は垂直に据え付けられた状態となっている。プロセスチューブ203とマニホールド209とにより反応容器(処理容器)が形成される。
【0015】
マニホールド209には、第1ガス導入部としての第1ノズル233aと、第2ガス導入部としての第2ノズル233bと、第3ガス導入部としての第3ノズル233cとが、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられており、第1ノズル233a、第2ノズル233b、第3ノズル233cには、それぞれ第1ガス供給管232a、第2ガス供給管232b、第3ガス供給管232cが接続されている。このように、処理室201内へは複数種類、ここでは3種類の処理ガスを供給するガス供給路として、3本のガス供給管が設けられている。
【0016】
第1ガス供給管232aには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御手段)であるマスフローコントローラ241a、及び開閉弁であるバルブ243aが設けられている。また、第1ガス供給管232aのバルブ243aよりも下流側には、不活性ガスを供給する第1不活性ガス供給管234aが接続されている。この第1不活性ガス供給管234aには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御手段)であるマスフローコントローラ241c、及び開閉弁であるバルブ243cが設けられている。また、第1ガス供給管232aの先端部には、上述の第1ノズル233aが接続されている。第1ノズル233aは、処理室201を構成しているプロセスチューブ203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間に、プロセスチューブ203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。第1ノズル233aの側面にはガスを供給する供給孔であるガス供給孔248aが設けられている。このガス供給孔248aは、下部から上部にわたってそれぞれ同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。主に、第1ガス供給管232a、マスフローコントローラ241a、バルブ243a、第1ノズル233aにより第1ガス供給系が構成される。また主に、第1不活性ガス供給管234a、マスフローコントローラ241c、バルブ243cにより、第1不活性ガス供給系が構成される。
【0017】
第2ガス供給管232bには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御手段)であるマスフローコントローラ241b、及び開閉弁であるバルブ243bが設けられている。また、第2ガス供給管232bのバルブ243bよりも下流側には、不活性ガスを供給する第2不活性ガス供給管234bが接続されている。この第2不活性ガス供給管234bには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御手段)であるマスフローコントローラ241d、及び開閉弁であるバルブ243dが設けられている。また、第2ガス供給管232bの先端部には、上述の第2ノズル233bが接続されている。第2ノズル233bは、処理室201を構成しているプロセスチューブ203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間に、プロセスチューブ203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。第2ノズル233bの側面にはガスを供給する供給孔であるガス供給孔248bが設けられている。このガス供給孔248bは、下部から上部にわたってそれぞれ同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。主に、第2ガス供給管232b、マスフローコントローラ241b、バルブ243b、第2ノズル233bにより第2ガス供給系が構成される。また主に、第2不活性ガス供給管234b、マスフローコントローラ241d、バルブ243dにより第2不活性ガス供給系が構成される。
【0018】
第3ガス供給管232cには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御手段)であるマスフローコントローラ241e、及び開閉弁であるバルブ243eが設けられている。また、第3ガス供給管232cのバルブ243eよりも下流側には、不活性ガスを供給する第3不活性ガス供給管234cが接続されている。この第3不活性ガス供給管234cには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御手段)であるマスフローコントローラ241f、及び開閉弁であるバルブ243fが設けられている。また、第3ガス供給管232cの先端部には、上述の第3ノズル233cが接続されている。第3ノズル233cは、処理室201を構成しているプロセスチューブ203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間に、プロセスチューブ203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。第3ノズル233cの側面にはガスを供給する供給孔であるガス供給孔248cが設けられている。このガス供給孔248cは、下部から上部にわたってそれぞれ同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。主に、第3ガス供給管232c、マスフローコントローラ241e、バルブ243e、第3ノズル233cにより第3ガス供給系が構成される。また主に、第3不活性ガス供給管234c、マスフローコントローラ241f、バルブ243fにより第3不活性ガス供給系が構成される。
【0019】
第1ガス供給管232aからは、酸素を含むガス(酸素含有ガス)として、例えば酸素(O)ガスが、マスフローコントローラ241a、バルブ243a、第1ノズル233aを介して処理室201内に供給される。すなわち、第1ガス供給系は酸素含有ガス供給系として構成される。このとき同時に、第1不活性ガス供給管234aから、不活性ガスが、マスフローコントローラ241c、バルブ243cを介して第1ガス供給管232a内に供給されるようにしてもよい。
【0020】
また、第2ガス供給管232bからは、水素を含むガス(水素含有ガス)として、例えば水素(H)ガスが、マスフローコントローラ241b、バルブ243b、第2ノズル233bを介して処理室201内に供給される。すなわち、第2ガス供給系は水素含有ガス供給系として構成される。このとき同時に、第2不活性ガス供給管234bから、不活性ガスが、マスフローコントローラ241d、バルブ243dを介して第2ガス供給管232b内に供給されるようにしてもよい。
【0021】
また、第3ガス供給管232cからは、原料ガス、すなわち、シリコンを含む原料ガス(シリコン含有ガス)として、例えばヘキサクロロジシラン(SiCl、略称:HCD)ガスが、マスフローコントローラ241e、バルブ243e、第3ノズル233cを介して処理室201内に供給される。すなわち、第3ガス供給系は原料ガス供給系(シリコン含有ガス供給系)として構成される。このとき同時に、第3不活性ガス供給管234cから、不活性ガスが、マスフローコントローラ241f、バルブ243fを介して第3ガス供給管232c内に供給されるようにしてもよい。
【0022】
なお、第1ガス供給系と第2ガス供給系とにより反応ガス供給系が構成され、第3ガス供給系により原料ガス供給系が構成される。
【0023】
なお、本実施形態では、Oガス、Hガス、HCDガスを、それぞれ別々のノズルから処理室201内に供給するようにしているが、例えば、HガスとHCDガスとを同じノズルから処理室201内に供給するようにしてもよい。また、OガスとHガスとを同じノズルから処理室201内に供給するようにしてもよい。このように、複数種類のガスでノズルを共用とすれば、ノズルの本数を減らすことができ、装置コストを低減することができ、またメンテナンスも容易となる等のメリットがある。また、OガスとHガスとを同じノズルから処理室201内に供給することで、酸化力向上効果および酸化力均一化効果を高めることも可能となる。
なお、後述する成膜温度帯では、HCDガスとHガスとは反応しないが、HCDガスとOガスとは反応することが考えられるので、HCDガスとOガスとは別々のノズルから処理室201内に供給した方がよい。
【0024】
マニホールド209には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、圧力検出器としての圧力センサ245及び圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ242を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。なお、APCバルブ242は、弁を開閉して処理室201内の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節して圧力調整可能なように構成されている開閉弁である。真空ポンプ246を作動させつつ、圧力センサ245により検出された圧力に基づいてAPCバルブ242の弁の開度を調節することにより、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。主に、排気管231、圧力センサ245、APCバルブ242、真空ポンプ246により排気系が構成される。
【0025】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は、例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてOリング220bが設けられている。シールキャップ219の処理室201と反対側には、後述する基板保持具としてのボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、プロセスチューブ203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内に対して搬入・搬出することが可能なように構成されている。
【0026】
基板保持具としてのボート217は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなり、複数枚のウエハ200を水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。なお、ボート217の下部には、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる断熱部材218が設けられており、ヒータ207からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなるように構成されている。なお、断熱部材218は、石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる複数枚の断熱板と、これら断熱板を水平姿勢で多段に支持する断熱板ホルダとにより構成してもよい。プロセスチューブ203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することにより、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、第1ノズル233a、第2ノズル233b及び第3ノズル233cと同様に、プロセスチューブ203の内壁に沿って設けられている。
【0027】
制御部(制御手段)であるコントローラ280は、マスフローコントローラ241a、241b、241c、241d、241e、241f、バルブ243a、243b、243c、243d、243e、243f、圧力センサ245、APCバルブ242、ヒータ207、温度センサ263、真空ポンプ246、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。コントローラ280により、マスフローコントローラ241a、241b、241c、241d、241e、241fによるガス流量調整、バルブ243a、243b、243c、243d、243e、243fの開閉動作、APCバルブ242の開閉及び圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整、真空ポンプ246の起動・停止、回転機構267の回転速度調節、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等の制御が行われる。
【0028】
次に、上述の基板処理装置の処理炉を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に絶縁膜としての酸化膜を成膜する方法の例について説明する。
なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0029】
図3に、本実施形態における成膜フロー図を、図4に本実施形態の成膜シーケンスにおけるガス供給のタイミング図を示す。
本実施形態の成膜シーケンスでは、基板を収容した処理容器内に、所定元素としてのシリコンを含む原料ガス(HCDガス)を供給することで、基板上に所定元素含有層としてのシリコン含有層を形成する工程と、処理容器内に原料ガスとは異なる反応ガスとして、酸素含有ガス(Oガス)と水素含有ガス(Hガス)とを供給することで、シリコン含有層をシリコン酸化層に変化させる(改質する)工程と、を交互に繰り返すことで、基板上に所定膜厚のシリコン酸化膜を形成する。
【0030】
基板上にシリコン含有層を形成する工程は、CVD反応が生じる条件下で行う。このとき基板上に1原子層未満から数原子層程度のシリコン含有層としてのシリコン層を形成する。シリコン含有層は原料ガスの吸着層であってもよい。ここで、シリコン層とは、シリコンにより構成される連続的な層の他、不連続な層や、これらが重なってできるシリコン薄膜をも含む総称である。なお、シリコンにより構成される連続的な層をシリコン薄膜という場合もある。また、原料ガスの吸着層とは、原料ガスのガス分子の連続的な化学吸着層の他、不連続な化学吸着層をも含む。なお、1原子層未満の層とは不連続に形成される原子層のことを意味している。原料ガスが自己分解する条件下では、基板上にシリコンが堆積することでシリコン層が形成される。原料ガスが自己分解しない条件下では、基板上に原料ガスが吸着することで原料ガスの吸着層が形成される。なお、基板上に原料ガスの吸着層を形成するよりも、基板上にシリコン層を形成する方が、成膜レートを高くすることができ好ましい。
【0031】
また、シリコン含有層をシリコン酸化層に変化させる工程では、反応ガスを熱で活性化させて供給することで、シリコン含有層を酸化してシリコン酸化層に変化させる。このとき、大気圧未満の圧力雰囲気下にある処理容器内で反応ガスとしての酸素含有ガスと水素含有ガスとを反応させて酸素を含む酸化種を生成し、この酸化種によりシリコン含有層を酸化してシリコン酸化層に変化させる。この酸化処理によれば、酸素含有ガスを単独で供給する場合に比べ、酸化力を大幅に向上させることができる。すなわち、減圧雰囲気下において酸素含有ガスに水素含有ガスを添加することで、酸素含有ガス単独供給の場合に比べ大幅な酸化力向上効果が得られる。シリコン含有層を酸化層に改質する工程はノンプラズマの減圧雰囲気下で行われる。
なお、反応ガスとしては、酸素含有ガスを単独で用いることもできる。
【0032】
以下、これを具体的に説明する。なお、本実施形態では、シリコンを含む原料ガスとしてHCDガスを、反応ガスとしての酸素含有ガス、水素含有ガスとしてOガス、Hガスをそれぞれ用い、図3の成膜フロー、図4の成膜シーケンスにより、基板上に絶縁膜としてシリコン酸化膜(SiO膜)を形成する例について説明する。
【0033】
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図1に示されているように、複数枚のウエハ200を保持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219はOリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0034】
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力に基づきAPCバルブ242がフィードバック制御される(圧力調整)。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)。続いて、回転機構267によりボート217が回転されることでウエハ200が回転される。その後、後述する4つのステップを順次実行する。
【0035】
[ステップ1]
第3ガス供給管232cのバルブ243e、第3不活性ガス供給管234cのバルブ243fを開き、第3ガス供給管232cにHCDガス、第3不活性ガス供給管234cに不活性ガス(例えばNガス)を流す。不活性ガスは、第3不活性ガス供給管234cから流れ、マスフローコントローラ241fにより流量調整される。HCDガスは、第3ガス供給管232cから流れ、マスフローコントローラ241eにより流量調整される。流量調整されたHCDガスと、流量調整された不活性ガスは、第3ガス供給管232c内で混合されて、第3ノズル233cのガス供給孔248cから、加熱された減圧状態の処理室201内に供給され排気管231から排気される(HCD供給)。
【0036】
このとき、APCバルブ242を適正に調整して、処理室201内の圧力を、大気圧未満、例えば10〜1000Paの範囲内の圧力に維持する。マスフローコントローラ241eで制御するHCDガスの供給流量は、例えば1〜1000sccmの範囲内の流量とする。HCDガスにウエハ200を晒す時間は、例えば1〜120秒間の範囲内の時間とする。ヒータ207の温度は、処理室201内でCVD反応が生じるような温度となるように設定する。すなわち、ウエハ200の温度が、例えば350〜850℃、好ましくは400〜700℃の範囲内の温度となるようにヒータ207の温度を設定する。
【0037】
なお、ウエハ200の温度が350℃未満となると、ウエハ200上にHCDが吸着しにくくなるし、HCDが分解しにくくなる。また、ウエハ200の温度が400℃未満となると、成膜レートが実用レベルを下回る。また、ウエハ200の温度が700℃、特に850℃を超えると、CVD反応が強くなり、均一性が悪化しやすくなる。よって、ウエハ200の温度は350〜850℃、好ましくは400〜700℃とするのがよい。
【0038】
上述の条件にてHCDガスを処理室201内に供給することで、ウエハ200(表面の下地膜)上に1原子層未満から数原子層のシリコン含有層としてのシリコン層(Si層)が形成される。シリコン含有層はHCDガスの化学吸着層であってもよい。なお、HCDガスが自己分解する条件下では、ウエハ200上にシリコンが堆積することでシリコン層が形成される。HCDガスが自己分解しない条件下では、ウエハ200上にHCDガスが化学吸着することでHCDガスの化学吸着層が形成される。ウエハ200上に形成されるシリコン含有層の厚さが数原子層を超えると、後述するステップ3での酸化の作用がシリコン含有層の全体に届かなくなる。また、ウエハ200上に形成可能なシリコン含有層の最小値は1原子層未満である。よって、シリコン含有層の厚さは1原子層未満から数原子層とするのが好ましい。
【0039】
シリコンを含む原料としては、HCDの他、TCS(テトラクロロシラン、SiCl)、DCS(ジクロロシラン、SiHCl)、SiH(モノシラン )等の無機原料だけでなく、アミノシラン系の4DMAS(テトラキスジメチルアミノシラン、Si[N(CH)、3DMAS(トリスジメチルアミノシラン、Si[N(CHH)、2DEAS(ビスジエチルアミノシラン、Si[N(C)、BTBAS(ビスターシャリーブチルアミノシラン、SiH[NH(C)])などの有機原料を用いてもよい。
【0040】
不活性ガスとしては、Nガスの他、Ar、He、Ne、Xe等の希ガスを用いてもよい。なお、不活性ガスとして窒素(N)を含まないガスであるArやHe等の希ガスを使用することで、形成されるシリコン酸化膜の膜中N不純物濃度を低減できる。よって、不活性ガスとしては、Ar、He等の希ガスを用いるのが好ましい。後述するステップ2、3、4においても同様なことが言える。
【0041】
[ステップ2]
ウエハ200上にシリコン含有層が形成された後、第3ガス供給管232cのバルブ243eを閉じ、HCDガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ242は開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、残留したHCDガスを処理室201内から排除する。このとき、不活性ガスを処理室201内へ供給すると、残留したHCDガスを排除する効果が更に高まる(残留ガス除去)。このときのヒータ207の温度は、ウエハ200の温度がHCDガスの供給時と同じく350〜850℃、好ましくは400〜700℃の範囲内の温度となるように設定する。
【0042】
[ステップ3]
処理室201内の残留ガスを除去した後、第1ガス供給管232aのバルブ243a、第1不活性ガス供給管234aのバルブ243cを開き、第1ガス供給管232aにOガス、第1不活性ガス供給管234aに不活性ガスを流す。不活性ガスは、第1不活性ガス供給管234aから流れ、マスフローコントローラ241cにより流量調整される。Oガスは第1ガス供給管232aから流れ、マスフローコントローラ241aにより流量調整される。流量調整されたOガスは、流量調整された不活性ガスと第1ガス供給管232a内で混合されて、第1ノズル233aのガス供給孔248aから、加熱された減圧状態の処理室201内に供給され排気管231から排気される。
このとき同時に、第2ガス供給管232bのバルブ243b、第2不活性ガス供給管234bのバルブ243dを開き、第2ガス供給管232bにHガス、第2不活性ガス供給管234bに不活性ガスを流す。不活性ガスは、第2不活性ガス供給管234bから流れ、マスフローコントローラ241dにより流量調整される。Hガスは第2ガス供給管232bから流れ、マスフローコントローラ241bにより流量調整される。流量調整されたHガスは、流量調整された不活性ガスと第2ガス供給管232b内で混合されて、第2ノズル233bのガス供給孔248bから、加熱された減圧状態の処理室201内に供給され排気管231から排気される(O及びH供給)。なお、Oガス及びHガスはプラズマによって活性化することなく処理室201内に供給する。
【0043】
このとき、APCバルブ242を適正に調整して、処理室201内の圧力を、大気圧未満、例えば1〜1000Paの範囲内の圧力に維持する。マスフローコントローラ241aで制御するOガスの供給流量は、例えば1sccm〜20000sccm(20slm)の範囲内の流量とする。マスフローコントローラ241bで制御するHガスの供給流量は、例えば1sccm〜20000sccm(20slm)の範囲内の流量とする。なお、Oガス及びHガスにウエハ200を晒す時間は、例えば1〜120秒間の範囲内の時間とする。ヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば350〜1000℃の範囲内の温度となるように設定する。なお、この範囲内の温度であれば減圧雰囲気下でのOガスへのHガス添加による酸化力向上の効果が得られることを確認した。また、ウエハ200の温度が低すぎると酸化力向上の効果が得られないことも確認した。ただしスループットを考慮すると、ウエハ200の温度が、酸化力向上の効果が得られる温度であってステップ1のHCDガスの供給時と同一の温度となるように、すなわちステップ1とステップ3とで処理室201内の温度を同一の温度に保持するようにヒータ207の温度を設定するのが好ましい。この場合、ステップ1とステップ3とでウエハ200の温度、すなわち処理室201内の温度が350〜850℃、好ましくは400〜700℃の範囲内の一定の温度となるようにヒータ207の温度を設定する。さらには、ステップ1〜ステップ4(後述)にかけて処理室201内の温度を同一の温度に保持するようにヒータ207の温度を設定するのがより好ましい。この場合、ステップ1〜ステップ4(後述)にかけて処理室201内の温度が350〜850℃、好ましくは400〜700℃の範囲内の一定の温度となるようにヒータ207の温度を設定する。なお、減圧雰囲気下でのOガスへのHガス添加による酸化力向上の効果を得るには、処理室201内の温度を350℃以上とする必要があるが、処理室201内の温度は400℃以上とするのが好ましく、さらには450℃以上とするのが好ましい。処理室201内の温度を400℃以上とすれば、400℃以上の温度で行うO酸化処理による酸化力を超える酸化力を得ることができ、処理室201内の温度を450℃以上とすれば、450℃以上の温度で行うOプラズマ酸化処理による酸化力を超える酸化力を得ることができる。
【0044】
上述の条件にてOガス及びHガスを処理室201内に供給することで、Oガス及びHガスは加熱された減圧雰囲気下においてノンプラズマで活性化されて反応し、それにより原子状酸素(O)等の酸素を含む酸化種が生成される。そして、主にこの酸化種により、ステップ1でウエハ200上に形成されたシリコン含有層に対して酸化処理が行われる。そして、この酸化処理により、シリコン含有層はシリコン酸化層(SiO層、以下、単にSiO層ともいう。)へと変化させられる。
【0045】
酸素含有ガスとしては、酸素(O )ガスの他、オゾン(O)ガス等を用いてもよい。なお、上述の温度帯において、一酸化窒素(NO)ガスや亜酸化窒素(NO)ガスへの水素含有ガス添加効果を試してみたところ、NOガス単独供給やNOガス単独供給に比べて酸化力向上の効果が得られないことを確認した。すなわち、酸素含有ガスとしては窒素非含有の酸素含有ガス(窒素を含まず酸素を含むガス)を用いるのが好ましい。水素含有ガスとしては、水素(H)ガスの他、重水素(D)ガス等を用いてもよい。なお、アンモニア(NH)ガスやメタン(CH)ガス等を用いると、窒素(N)不純物や炭素(C)不純物の膜中への混入が考えられる。すなわち、水素含有ガスとしては、他元素非含有の水素含有ガス(他元素を含まず水素または重水素を含むガス)を用いるのが好ましい。すなわち、酸素含有ガスとしては、OガスおよびOガスよりなる群から選択される少なくとも一つのガスを用いることができ、水素含有ガスとしては、HガスおよびDガスよりなる群から選択される少なくとも一つのガスを用いることができる。
【0046】
[ステップ4]
シリコン含有層をシリコン酸化層へと変化させた後、第1ガス供給管232aのバルブ243aを閉じ、Oガスの供給を停止する。また、第2ガス供給管232bのバルブ243bを閉じ、Hガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ242は開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、残留したOガスやHガスを処理室201内から排除する。このとき、不活性ガスを処理室201内へ供給すると、残留したOガスやHガスを排除する効果が更に高まる(残留ガス除去)。このときのヒータ207の温度は、ウエハ200の温度がOガス及びHガスの供給時と同じく350〜850℃、好ましくは400〜700℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
【0047】
上述したステップ1〜4を1サイクルとして、このサイクルを複数回繰り返すことにより、ウエハ200上に所定膜厚のシリコン酸化膜(SiO膜、以下、単にSiO膜ともいう)を成膜することができる。
【0048】
所定膜厚のシリコン酸化膜を成膜すると、不活性ガスが処理室201内へ供給され排気されることで処理室201内が不活性ガスでパージされる(パージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0049】
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200がボート217に保持された状態でマニホールド209の下端からプロセスチューブ203の外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済みのウエハ200はボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0050】
以下、本実施形態にかかる基板処理装置のノズル取付方法を、図5〜図7を参照しつつ説明する。
【0051】
本実施形態にかかるノズル取付方法においては、図5に示されたクリアランス保持治具(以下、保持治具という)10が使用される。保持治具10は第1ノズル233a、第2ノズル233b、第3ノズル233cにそれぞれ使用されるが、その構成および作用は原理的に同様であるので、便宜上、ノズル20に使用されるものとして説明する。
【0052】
図5に示されているように、保持治具10は洗濯挟み構造に構成されている。すなわち、保持治具10はノズル20の側面を両サイドから挟み込む一対のアーム11、11を有しており、一対のアーム11、11は中間部を回動自在に枢支するピン12によって開閉自在に連結されている。一対のアーム11、11の一端部(以下、後端部とする)間にはスプリング14が介設されており、スプリング14は後端部を開く(離間させる)方向に常時付勢している。一対のアーム11、11の後端部外側面には滑り止め13、13がそれぞれ縦(ピン12と平行方向)溝形状に形成されている。
一対のアーム11、11の前端面は、反応管としてのプロセスチューブ203の内面とそれぞれ接触するように形成されている。一対のアーム11、11の前端部の対向する両方の側面には、内面がノズル20の側面形状に沿って接触する保持部15、15がそれぞれ没設されている。すなわち、両保持部15、15は円形のノズル20の円周面に一致する円弧形凹曲面形状にそれぞれ形成されている。
【0053】
マニホールド209にノズル20を取り付けるに際しては、図6に示されているように、保持治具10がノズル20の上下両端部にそれぞれ取り付けられ、ノズル20の水平部がマニホールド209の取付口210に処理室201側から挿入される。ノズル20が取付口210に挿入されると、上下の保持治具10、10の前端面が処理室201の内周面にそれぞれ当接するので、ノズル20と処理室201の内周面とのクリアランスおよび平行が自動的に調整されて保持される。
保持治具10をノズル20に取り付けるに際しては、図6(a)の上端部に示されているように、一対のアーム11、11の後端部がスプリング14の弾発力に抗して閉じられて前端部が開かれた状態で、ノズル20がその前端部間に相対的に挿入される。続いて、両側の保持部15、15がノズル20の外周面にそれぞれ対向されてから、保持治具10がスプリング14の弾発力よって閉じられる。保持治具10が閉じられると、両側の保持部15、15がノズル20の円周面に当接してノズル20を挟んだ状態になるので、保持治具10はノズル20に相対的に保持された状態になる。
【0054】
図7(a)(b)に示されているように、ノズル20が保持治具10によって位置決めされた状態で、ノズル20の水平部は、取付口210に設置された継手211に固定される。この固定により、ノズル20は処理室201の内周面とのクリアランスおよび平行を上下の保持治具10、10によって保持された状態で、マニホールド209に固定的に取り付けられる。
【0055】
図7(b)に示されているように、ノズル20がマニホールド209に固定された後に、上下の保持治具10、10がノズル209からそれぞれ取り外される。ノズル20はマニホールド209に固定されているので、上下の保持治具10、10が取り外されても、処理室201の内周面とのクリアランスおよび平行を維持した状態になっている。
【0056】
本実施形態によれば、次の効果が得られる。
【0057】
(1)洗濯挟み構造の保持治具をノズルの上下端部にそれぞれ取り付けて、ノズルの水平部をマニホールドの取付口に挿入して固定することにより、ノズルと処理室内周面とのクリアランスを保持し、かつ、ノズルを処理室内周面と平行にマニホールドに固定することができるので、プロセスチューブに適正に取り付けることができる。
【0058】
(2)ノズルをプロセスチューブに適正に取り付けることができるので、ノズルのプロセスチューブやボートやウエハとの干渉を防止することができ、ノズルやプロセスチューブやボートやウエハの破損を防止することができる。
【0059】
(3)ノズルをプロセスチューブに適正に取り付けることができるので、ノズルの取付具合に依存する成膜安定性を一定に維持することができる。
【0060】
(4)保持治具をノズルに取り付けることにより、ノズルと処理室内周面とのクリアランスを自己制御的に保持することができるので、狭い空間内の一人作業でもノズルをプロセスチューブに適正に取り付けることができる。
【0061】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0062】
例えば、真円形筒形状ノズル20の取付方法への適用に限定されるものではなく、長円形(小判形)筒形状ノズル20Aの取付方法(図8参照)や、楕円形筒形状ノズルの取付方法(図示せず)に適用することができる。
長円形(小判形)筒形状ノズル20Aおよび楕円形筒形状ノズルに使用される場合には、図8に示されているように、保持治具10Aの一対のアーム11A、11Aの間隔が広く設定される。
【0063】
一対のアームを強制的に閉じるスプリングとしては、圧縮コイルスプリングを使用するに限らず、例えば、トーションスプリングを使用してもよい。
【0064】
保持治具はノズルをマニホールドの取付口に挿入した後で、かつ、継手に固定する前に、ノズルに取り付けてもよい。
【0065】
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
本発明の一態様によれば、次の方法が提供される。
基板を収容して処理する反応管と、前記反応管を支持するマニホールドと、前記反応管内で複数枚の基板を多段に支持する支持具と、前記マニホールドに取り付けられるとともに、その一部が前記反応管と前記支持具との間に配置され、前記反応管内にガスを供給するノズルと、を有する基板処理装置に対して、前記ノズルを取り付ける方法であって、
前記反応管内に前記ノズルを配置するステップと、
前記反応管と前記ノズルとのクリアランスを保持するクリアランス保持治具を、前記ノズルに取り付けるステップと、
前記クリアランス保持治具を取り付けた前記ノズルを前記マニホールドに固定するステップと、
前記ノズルを前記マニホールドに固定した後に、前記ノズルから前記クリアランス保持治具を取り外すステップと、を有しており、
前記クリアランス保持治具は前記ノズルの側面を両サイドから挟み込む一対のアームを有しており、前記一対のアームのそれぞれの先端部は前記反応管の内面と接触するように構成され、前記一対のアームのそれぞれの側面には、内面が前記ノズルの側面形状に沿って接触する保持部が設けられている、
ことを特徴とするノズル取付方法。
基板を収容して処理する反応管と、前記反応管を支持するマニホールドと、前記反応管内で複数枚の基板を多段に支持する支持具と、前記マニホールドに取り付けられると共にその一部が前記反応管と前記支持具との間に配置され、前記反応管内にガスを供給するノズルと、を有する基板処理装置に対して、前記ノズルを取り付ける方法であって、
前記反応管内にノズルを配置する工程と、
前記ノズルに、前記反応管と前記ノズルとのクリアランスを保持するクリアランス保持治具を取り付ける工程と、
その状態で前記ノズルを前記マニホールドに固定する工程と、
前記ノズルを前記マニホールドに固定した後、前記ノズルから前記クリアランス保持治具を取り外す工程と、を有しており、
前記クリアランス保持治具は、前記ノズルの側面を両サイドから挟み込む一対のアーム部を有しており、前記各アーム部の先端部は前記反応管の内壁と接触するように構成され、前記各アーム部の側面には、前記ノズルの側面形状に沿って凹部が設けられ、該凹部は、その内壁が前記ノズルの側面と接触するように構成されることを特徴とするノズル取り付け方法。
好ましくは、前記ノズルの断面形状が真円形である。
また好ましくは、前記ノズルの断面形状が真円形ではない。
また好ましくは、前記ノズルの断面形状がひしゃげた円形である。
また好ましくは、前記ノズルの断面形状が長円形(小判形)である。
また好ましくは、前記ノズルの断面形状が楕円形である。
【符号の説明】
【0066】
10、10A 保持治具(クリアランス保持治具)
11、11A アーム
12 ピン
13 滑り止め
14 スプリング
15 保持部
20 真円形筒形状ノズル(ノズル)
20A 長円形(小判形)筒形状ノズル(ノズル)
200 ウエハ(基板)
201 処理室
203 プロセスチューブ(反応管)
209 マニホールド
210 取付口
211 継手
233a 第1ノズル
233b 第2ノズル
233c 第3ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容して処理する反応管と、前記反応管を支持するマニホールドと、前記反応管内で複数枚の基板を多段に支持する支持具と、前記マニホールドに取り付けられるとともに、その一部が前記反応管と前記支持具との間に配置され、前記反応管内にガスを供給するノズルと、を有する基板処理装置に対して、前記ノズルを取り付ける方法であって、
前記反応管内に前記ノズルを配置するステップと、
前記反応管と前記ノズルとのクリアランスを保持するクリアランス保持治具を、前記ノズルに取り付けるステップと、
前記クリアランス保持治具を取り付けた前記ノズルを前記マニホールドに固定するステップと、
前記ノズルを前記マニホールドに固定した後に、前記ノズルから前記クリアランス保持治具を取り外すステップと、を有しており、
前記クリアランス保持治具は前記ノズルの側面を両サイドから挟み込む一対のアームを有しており、前記一対のアームのそれぞれの先端部は前記反応管の内面と接触するように構成され、前記一対のアームのそれぞれの側面には、内面が前記ノズルの側面形状に沿って接触する保持部が設けられている、
ことを特徴とするノズル取付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−151386(P2012−151386A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10509(P2011−10509)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】