説明

ハイブリッド自動車

【課題】ブレーキ操作を検出するセンサ等に異常が生じブレーキ操作を適切に検出することができないときでもアクセル操作とブレーキ操作とが同時に行なわれているのをより確実に判定する。
【解決手段】ブレーキフェール中であると判定されたときには、アクセル開度Accが閾値Aref以上であり且つ回転数変化量ΔNが負の値として定められた閾値Nref未満であるか否かを判定し(S150,S160)、アクセル開度Accが閾値Aref以上であり且つ回転数変化量ΔNが閾値Nref以上であるときにアクセルペダル83とブレーキペダル85とが同時に踏み込まれたアクセルブレーキ同時操作と判定する(S170)、これにより、ブレーキフェール中であってもより確実にアクセルブレーキ同時操作を判定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関と電動機とを有するハイブリッド自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のハイブリッド自動車などに搭載される走行制御装置としては、アクセルペダルとブレーキペダルとが同時に踏み込まれたときには、走行用モータに流れる電流が基準値以下となる範囲内で走行用モータに流れる電流を制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、上述の制御を行なうことにより、走行用モータに過電流を印加することなく車両を走行させることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−39001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハイブリッド自動車では、アクセルペダルとブレーキペダルとが同時に踏み込まれたときには、上述した装置のようにモータに過電流が印加されないようにしたり、発電機や電動機が過回転しないようにしたり、発電機や電動機と電力のやりとりを行なうバッテリが過充電されないようにしたりするなどの保護制御が行なわれるが、ブレーキペダルの踏み込みを検出するセンサに異常が生じているときには、アクセルペダルとブレーキペダルとが同時に踏み込まれたのを適切に判定することができない。
【0005】
本発明のハイブリッド自動車は、ブレーキ操作を検出するセンサ等に異常が生じブレーキ操作を適切に検出することができないときでもアクセル操作とブレーキ操作とが同時に行なわれているのをより確実に判定することを主目的とし、アクセル操作とブレーキ操作とが同時に行なわれているときに発電機が過回転するのをより確実に防止することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハイブリッド自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のハイブリッド自動車は、
内燃機関と電動機とを有するハイブリッド自動車であって、
ブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段と、
アクセル操作に基づくアクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
駆動輪の回転数を検出する駆動輪回転数検出手段と、
前記ブレーキ検出手段に異常が生じている最中に前記検出されたアクセル開度が予め定められた所定開度以上であり且つ前記検出された駆動輪の回転数の変化が予め定められた所定変化程度以上の減速変化であるときには、加速用のアクセル操作と減速用のブレーキ操作とが同時に行なわれたアクセルブレーキ同時操作を判定する判定手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明のハイブリッド自動車では、ブレーキ検出手段に異常が生じている最中にアクセル開度が予め定められた所定開度以上であり且つ駆動輪の回転数の変化が予め定められた所定変化程度以上の減速変化であるときには、加速用のアクセル操作と減速用のブレーキ操作とが同時に行なわれたアクセルブレーキ同時操作を判定する。これにより、ブレーキ検出手段に異常が生じているときでも、加速用のアクセル操作と減速用のブレーキ操作とが同時に行なわれたのをより確実に判定することができる。
【0009】
こうした本発明のハイブリッド自動車において、発電機と、3つの回転要素が共線図上で左から順に前記発電機の回転軸,前記内燃機関の出力軸,前記駆動輪に連結された駆動軸に接続された遊星歯車機構と、前記発電機の回転数を検出する発電機回転数検出手段と、前記判定手段により前記アクセルブレーキ同時操作が判定されている最中に前記検出された発電機の回転数が予め定められた所定回転数以上となるときには、前記内燃機関への燃料供給を禁止する禁止手段と、を備えるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の回転数を低下させて発電機の回転数の上昇を抑制することができる。これにより、発電機が過回転するのをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される同時操作判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料とするエンジン22と、エンジン22のクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪38a,38bにデファレンシャルギヤ37を介して連結された駆動軸36にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸36に接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2と電力をやりとりするバッテリ50と、駆動輪38a,39bや従動輪39a,39bのブレーキを制御するためのブレーキアクチュエータ92と、車両全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット70と、を備える。
【0013】
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24によりその燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量制御などの運転制御がなされている。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号が入力されており、エンジンECU24からは、図示しないスロットルバルブや燃料噴射弁,点火プラグ,可変バルブタイミング機構などへの駆動制御信号が出力されている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
【0014】
モータMG1およびモータMG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
【0015】
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の正極側の出力端子に取り付けられた電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサからの電池温度などが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいてバッテリ50から放電可能な蓄電量の全容量(蓄電容量)に対する割合である蓄電割合SOCを演算したりする。
【0016】
ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキペダル85の踏み込みに応じて生じるブレーキマスターシリンダ90の圧力(ブレーキ圧)と車速Vとにより車両に作用させる制動力におけるブレーキの分担分に応じた制動トルクが駆動輪38a,38bや従動輪39a,39bに作用するようブレーキホイールシリンダ96a〜96dの油圧を調整したり、ブレーキペダル85の踏み込みに無関係に、駆動輪38a,38bや従動輪39a,39bに制動トルクが作用するようブレーキホイールシリンダ96a〜96dの油圧を調整したりすることができるよう構成されている。ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキ用電子制御ユニット(以下、ブレーキECUという)94により制御されている。このブレーキECU94は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってブレーキアクチュエータ92を駆動制御したり、必要に応じてブレーキアクチュエータ92の状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0017】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、図示しないイグニッションスイッチからのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,ブレーキマスターシリンダ90に取り付けられてその圧力(ブレーキ圧)を検出するブレーキ圧センサ91からのブレーキ圧Pbなどが入力ポートを介して入力されている。なお、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU94と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU94と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0018】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力が駆動軸36に出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてがプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されて駆動軸36に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸36に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力を駆動軸36に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
【0019】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にブレーキペダルポジションセンサ86やブレーキ圧センサ91に異常が生じているときにアクセルペダル83とブレーキペダル85とが同時に踏み込まれたときの動作について説明する。図2は、実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される同時操作判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
【0020】
同時操作判定処理ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやブレーキ圧センサ91からのブレーキ圧Pb,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,フェール情報などのアクセルペダル83とブレーキペダル85とが同時に踏み込まれたアクセルブレーキ同時操作の判定に必要なデータを入力し(ステップS100)、入力したモータMG2の回転数Nm2から前回このルーチンが実行されたときに入力されたモータMG2の回転数Nm2(以下、前回Nm2という。)を減じて得られる回転数変化量ΔNを計算する(ステップS110)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。フェール情報としては、図示しない異常判定処理ルーチンにより検出されるシフトポジションセンサ82やアクセルペダルポジションセンサ84,ブレーキペダルポジションセンサ86,車速センサ88などのセンサ異常やモータMG1,MG2の異常,インバータ41,42の異常などが検出されたときにハイブリッド用電子制御ユニット70が備える図示しないフラッシュメモリなどのメモリの予め定められた所定領域に記憶されたものを読み込むことにより入力するものとした。回転数変化量ΔNは、モータMG2の回転数Nm2の変化量であることと、モータMG2のロータは駆動輪38a,38bにデファレンシャルギヤ37を介して連結された駆動軸36に取り付けられていることとを考慮すると、駆動輪38a,38bの回転数の変化の程度を示すものとなる。
【0021】
次に、フェール情報に基づいてブレーキフェールが生じているか否か、即ち、ブレーキペダルポジションセンサ86やブレーキ圧センサ91などのブレーキ関係に異常が生じているか否かを判定し(ステップS120)、ブレーキフェール中ではないときには、ブレーキペダルポジションセンサ86やブレーキ圧センサ91は正常に機能していると判断し、アクセル開度Accが閾値Aref以上であり且つブレーキ圧Pbが閾値Pref以上であるか否かを判定する(ステップS130、S140)。ここで、閾値Arefは、アクセルペダル83が踏み込まれているか否かを判定するために設けられた閾値であり、アクセル開度Accとして例えば5%や7%などを用いることができる。また、閾値Prefは、ブレーキペダル85が踏み込まれているか否かを判定するために設けられた閾値であり、ブレーキペダル85を解放している状態のときのブレーキマスターシリンダ90の圧力より若干大きな圧力を用いることができる。アクセル開度Accが閾値Aref未満であったり、アクセル開度Accが閾値Aref以上であってもブレーキ圧Pbが閾値Pref未満のときには、アクセルブレーキ同時操作ではないと判断し、本ルーチンを終了する。
【0022】
一方、ステップS130,S140でアクセル開度Accが閾値Aref以上であり且つブレーキ圧Pbが閾値Pref以上であると判定されると、アクセルブレーキ同時操作と判定すると共に(ステップS170)、モータMG1の回転数Nm1が閾値Nmax以上であるか否かを判定し(ステップS180)、モータMG1の回転数Nm1が閾値Nmax以上のときにはエンジン22への燃料供給を停止するフューエルカットをエンジンECU24に指示して(ステップS190)、本ルーチンを終了し、モータMG1の回転数Nm1が閾値Nmax未満のときには、フューエルカットは不要と判断してフューエルカットを解除し(ステップS200)、本ルーチンを終了する。ここで、閾値Nmaxは、モータMG1がその上限回転数を超えるかもしれない状態(過回転状態)になる可能性があるのを判定するための閾値であり、モータMG1の回転数としては比較的大きいが上限回転数より小さな回転数として設定することができる。アクセルブレーキ同時操作のときには、アクセルペダル83の踏み込みによってエンジン22から出力するパワーを大きくするためにエンジン22の回転数Neは大きくなるが、ブレーキペダル85の踏み込みにより車速Vが低下するために駆動軸36の回転数は小さくなる。即ち、プラネタリギヤ30のリングギヤ32の回転数が小さくなると共にキャリア34の回転数が大きくなる。このため、プラネタリギヤ30の特性上、サンギヤ31の回転数、即ち、モータMG1の回転数Nm1が大きくなり、場合によっては過回転に至ってしまう。このため、モータMG1の回転数Nm1が閾値Nmax以上のときにエンジン22のフューエルカットを行なうことにより、エンジン22の回転数Ne*を低下させ、モータMG1の回転数Nm1の上昇を抑制している。この結果、モータMG1の過回転をより確実に防止することができる。
【0023】
ステップS120でブレーキフェール中であると判定されたときには、アクセル開度Accが閾値Aref以上であり且つ回転数変化量ΔNが負の値として定められた閾値Nref未満であるか否かを判定する(ステップS150,S160)。ここで、閾値Nrefは、駆動軸36の回転数が減少しているか否かを判定するために用いられるものであり、値0より若干小さな値として設定することができる。アクセル開度Accが閾値Aref未満であったり、アクセル開度Accが閾値Aref以上であっても回転数変化量ΔNが閾値Nref以上のときには、アクセルブレーキ同時操作ではないと判断し、本ルーチンを終了する。一方、アクセル開度Accが閾値Aref以上であり且つ回転数変化量ΔNが閾値Nref未満であると判定すると、アクセルブレーキ同時操作と判定すると共に(ステップS170)、モータMG1の回転数Nm1が閾値Nmax以上であるか否かを判定し(ステップS180)、モータMG1の回転数Nm1が閾値Nmax以上のときにはエンジン22への燃料供給を停止するフューエルカットをエンジンECU24に指示して、即ち、エンジン22への燃料噴射の禁止を指示して(ステップS190)、本ルーチンを終了し、モータMG1の回転数Nm1が閾値Nmax未満のときには、フューエルカットは不要と判断してフューエルカットを解除し(ステップS200)、本ルーチンを終了する。アクセル開度Accが閾値Aref以上であり且つ回転数変化量ΔNが閾値Nref未満であると判定したときにアクセルブレーキ同時操作と判定するのは、モータMG2の回転数Nm2が減少しているときは駆動輪38a,38bの回転数が減少していることであるため、運転者がブレーキペダル85を踏み込んでいる可能性が高いと判断することができることに基づく。
【0024】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、ブレーキフェール中であると判定されたときには、アクセル開度Accが閾値Aref以上であり且つ回転数変化量ΔNが負の値として定められた閾値Nref未満であるか否かを判定し、アクセル開度Accが閾値Aref以上であり且つ回転数変化量ΔNが閾値Nref未満の減速時であるときにアクセルペダル83とブレーキペダル85とが同時に踏み込まれたアクセルブレーキ同時操作と判定することにより、ブレーキフェール中であってもより確実にアクセルブレーキ同時操作を判定することができる。しかも、ブレーキフェール中であってもより確実にアクセルブレーキ同時操作を判定している最中にモータMG1の回転数Nm1が閾値Nmax以上のときにはエンジン22への燃料供給を停止するフューエルカットするから、モータMG1が過回転するのをより確実に防止することができる。
【0025】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22とプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とを備える構成に対してブレーキフェール中におけるアクセルブレーキ同時操作の判定処理を適用したが、エンジンとモータとを備える如何なる構成のハイブリッド自動車の構成に対してブレーキフェール中におけるアクセルブレーキ同時操作の判定処理を適用するものとしてもよい。
【0026】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、プラネタリギヤ30が「遊星歯車機構」に相当し、ブレーキペダルポジションセンサ86やブレーキ圧センサ91が「ブレーキ操作検出手段」に相当し、アクセルペダルポジションセンサ84が「アクセル開度検出手段」に相当し、モータMG2の回転数Nm2を検出するための回転位置検出センサ44やモータECU40が「駆動輪回転数検出手段」に相当し、ブレーキフェール中にアクセル開度Accが閾値Aref以上であり且つ回転数変化量ΔNが負の値として定められた閾値Nref未満であるときにアクセルブレーキ同時操作を判定する図2の同時操作判定処理ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「判定手段」に相当する。
【0027】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0028】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、ハイブリッド自動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0030】
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、37 デファレンシャルギヤ、38a,38b 駆動輪、39a,39b 従動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、90 ブレーキマスターシリンダ、91 ブレーキ圧センサ、92 ブレーキアクチュエータ、94 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、96a〜96d ブレーキホイールシリンダ、MG1,MG2 モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と電動機とを有するハイブリッド自動車であって、
ブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段と、
アクセル操作に基づくアクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
駆動輪の回転数を検出する駆動輪回転数検出手段と、
前記ブレーキ検出手段に異常が生じている最中に前記検出されたアクセル開度が予め定められた所定開度以上であり且つ前記検出された駆動輪の回転数の変化が予め定められた所定変化程度以上の減速変化であるときには、加速用のアクセル操作と減速用のブレーキ操作とが同時に行なわれたアクセルブレーキ同時操作を判定する判定手段と、
を備えるハイブリッド自動車。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリッド自動車であって、
発電機と、
3つの回転要素が共線図上で左から順に前記発電機の回転軸,前記内燃機関の出力軸,前記駆動輪に連結された駆動軸に接続された遊星歯車機構と、
前記発電機の回転数を検出する発電機回転数検出手段と、
前記判定手段により前記アクセルブレーキ同時操作が判定されている最中に前記検出された発電機の回転数が予め定められた所定回転数以上となるときには、前記内燃機関への燃料供給を禁止する禁止手段と、
を備えるハイブリッド自動車。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−148652(P2012−148652A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8086(P2011−8086)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】