プラズマ侵入及びアーキングを減少させた静電チャックを準備するための方法及び装置
【課題】熱移送流体通路内のプラズマ形成及びアーキングを減少させる静電チャックのための流体分配要素を準備するための方法及び装置を提供する。
【解決手段】一実施形態は、プレート440と、上記プレート440へ挿入される誘電体コンポーネント442とを備える。上記プレートは、プレナム336を画成するためにチャネル内に配置されるように適応され、上記誘電体コンポーネント442は、上記プレナム336に結合される流体通路の少なくとも一部分を与える。上記誘電体コンポーネント442上に形成される多孔性誘電体層は、上記プレナム336に結合される流体通路の少なくとも別の部分を与える。他の実施形態では、流体分配要素は、基板のための支持表面からプレナム336への視線路を与えないような流体通路を画成するための種々なコンポーネントの配置を備える。
【解決手段】一実施形態は、プレート440と、上記プレート440へ挿入される誘電体コンポーネント442とを備える。上記プレートは、プレナム336を画成するためにチャネル内に配置されるように適応され、上記誘電体コンポーネント442は、上記プレナム336に結合される流体通路の少なくとも一部分を与える。上記誘電体コンポーネント442上に形成される多孔性誘電体層は、上記プレナム336に結合される流体通路の少なくとも別の部分を与える。他の実施形態では、流体分配要素は、基板のための支持表面からプレナム336への視線路を与えないような流体通路を画成するための種々なコンポーネントの配置を備える。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
[0001]本発明の実施形態は、一般的に、半導体デバイス製造を行うための装置に関し、より詳細には、処理中に半導体ウエハを支持するための静電チャックに関する。
【0002】
関連技術の説明
[0002]静電チャックは、プラズマ処理チャンバのような半導体処理装置内において(ここでは、半導体ウエハ又はウエハとも称される)基板に対する支持を与えるのに広く使用されている。静電チャックは、一般的に、基板の処理中、即ち、物質堆積又はエッチング中に基板を定位置に保持する。静電チャックは、基板を所定位置に保持するため容量性及びジョンセン・ラーベック吸引力を利用している。
【0003】
[0003]1つのタイプの静電チャックは、本体と、支持表面を形成するように誘電体物質の層で覆われた流体分配要素とを含む。その本体は、一般的には、静電チャックの電極を形成するように導電性である。基板は、その支持表面上に置かれる。その流体分配要素は、静電チャックの支持表面に形成され、ガスのような熱移送流体をチャックの支持表面と基板の背面との間に分配するための複数の流体通路を担持したプレナムを含む。一般的に、そのガスは、静電チャックと基板との間の間隙領域を満たして、それにより、静電チャックと基板との間の熱移送の割合及び均一性を高める。
【0004】
[0004]プラズマ処理チャンバにおいては、静電チャックは、基板の近傍において高電力高周波(RF)場及び高密度プラズマに曝される。このようなプラズマ処理チャンバにおいては、ガス通路において高い電界が発生するためガス絶縁破壊を生ずることがある。静電チャックの動作及び寿命は、ガス通路におけるプラズマの形成により悪影響を受ける。このようなプラズマは、基板、静電チャック又はそれらの両者を損傷してしまうことがある。その上、ガス通路におけるプラズマ形成は、チャンバ内に微粒子汚染物質を形成してしまうようなアーキングを生じてしまうことがある。
【0005】
[0005]ガス通路におけるプラズマ形成を減少させるための種々な技法が存在している。1つの技法として、チャックの表面でその通路へ多孔性誘電体プラグを挿入するものがある。このプラグの多孔度は、それら細孔の寸法が、プラズマ形成を禁止するが、熱移送ガスの基板支持表面への到達を許すようにするようなものとなるように、選択されている。そのような多孔性物質はプラズマ形成を防止するものではあるが、そのような静電チャックを製造するのは、難しく、時間の掛かるものとなり、又、費用の掛かるものとなってしまう。
【0006】
[0006]従って、プラズマ形成及びアーキングを減少させた改良された静電チャックが必要とされている。
【概要】
【0007】
[0007]本発明は、一般的に、熱移送流体通路内のプラズマ形成及びアーキングを減少させる静電チャックのための流体分配要素を準備するための方法及び装置を提供する。一実施形態は、プレートと、上記プレートへ挿入される誘電体コンポーネントとを備える。上記プレートは、プレナムを画成するためチャネル内に配置されるように適応されており、上記誘電体コンポーネントは、上記プレナムに結合される流体通路の少なくとも一部分を与える。上記誘電体コンポーネント上に形成される多孔性誘電体層は、上記プレナムに結合される流体通路の少なくとも別の部分を与える。他の実施形態では、流体分配要素は、基板のための支持表面からプレナムへの視線路を与えないような流体通路を画成するための種々なコンポーネントの配置を備える。
【0008】
[0008]本発明の前述したような特徴を詳細に理解できるように、概要について簡単に前述したような本発明について、いくつかを添付図面に例示している実施形態に関して、以下より特定して説明する。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを例示しているのであって、従って、本発明の範囲をそれに限定しようとするものではなく、本発明は、均等の効果を発揮できる他の実施形態も包含できることに、注意されたい。
【0009】
[0020]本発明は、ここに、幾つかの実施形態及び例示的図面を使用して実施例により説明されるのであるが、当業者であれば、本発明がここに説明される図面の実施形態に限定されるものではないことは認識できよう。添付図面及びこれらに関する詳細な説明は、本発明をここに説明される特定の形態に限定しようとしているものではなく、反対に、本発明は、特許請求の範囲の記載により限定されるような本発明の精神及び範囲内に入る全ての変形態様、均等物及び代替物をカバーするものであることを理解されたい。ここに使用される見出し語は、単に系統化する目的だけのものであり、詳細な説明又は特許請求の範囲の記載範囲を限定するために使用されているものではない。本明細書の記載を通して使用される用語「してもよい」又は「できる」は、必須の意味(即ち、「ねばならない」を意味する)としてではなく、任意の意味(即ち、「する可能性がある」を意味する)として使用されている。同様に、用語「含む」又は「含んでいる」は、全体の中の一部として含むことを意味しており、それだけを含むことに限定しているものではない。更に又、用語「ある」又は「1つの」は、別に述べない限り、「少なくとも1つ」を意味している。
【詳細な説明】
【0010】
[0021]図1は、本発明の種々な実施形態による静電チャック68を備えるプラズマによる基板処理システム36を例示している。このプラズマ処理システム36は、シリコンウエハ、GaAsウエハ等のような基板を処理するためのプラズマ環境を生成し維持しつつ、基板の温度制御された処理を行うのに使用される。基板を処理するためのプラズマが基板の近傍に生成され、基板の温度は、基板の背面へ熱移送流体を供給するような種々な技法を使用して制御される。プラズマ処理チャンバの一実施例として、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアル社から入手可能な300mmHDP−CVDウルティマXシステムのような高密度プラズマ化学気相堆積(HDP−CVD)システムにおけるものを例示しているのであるが、本発明は、物理気相堆積チャンバ、化学気相堆積チャンバ、エッチングチャンバを含むプラズマが使用される他の処理チャンバ及び基板の温度制御が必要とされるような他の適用例においても利用できるものである。
【0011】
[0022]図1は、処理中に基板を固定するのに静電チャック68が使用されているHDP−CVDシステム36の一実施形態を例示している。本発明の実施形態によれば、静電チャック68は、このチャック68の近くにおけるプラズマ侵入及びアーキングを減ずるように設計されている。
【0012】
[0023]このシステム36は、処理チャンバ38、真空システム40、ソースプラズマシステム42、バイアスプラズマシステム44、ガス分配システム46及びリモートプラズマクリーニングシステム48を含む。
【0013】
[0024]処理チャンバ38の上方部分は、アルミナ又は窒化アルミニウムのような誘電体材料で形成されたドーム50を含む。このドーム50は、プラズマ処理領域52の上方境界を画成している。このプラズマ処理領域52の底部は、基板54の上部表面及び基板支持部材56によって境界付けされている。
【0014】
[0025]ヒータープレート58及びコールドプレート60が、ドーム50の上に置かれて、このドーム50に熱的に結合されている。これらヒータープレート58及びコールドプレート60により、ドーム温度を約100℃から200℃までの範囲に亘って約+/−10℃内で制御することが可能とされている。これにより、種々な目的に対してドーム温度を最適なものとすることができる。例えば、クリーニング又はエッチング処理の場合には、堆積処理の場合よりも高い温度にドームを維持することが必要とされる。又、ドーム温度を正確に制御することにより、処理チャンバ内のフレーク及び粒子の数を減少させることができ、堆積層と基板との間の接着性を改善することができる。
【0015】
[0026]処理チャンバ38の下方部分は、この処理チャンバを真空システムに接合する本体部材62を含む。基板支持部材56のベース部分64は、本体部材62の上に取り付けられ、この本体部材62と連続する内側表面を形成している。基板は、処理チャンバ38の側部の挿入/取出し開口95を通して、ロボットブレード(図示せず)により、処理チャンバ38へ入れたり処理チャンバ38から出したりするように移送される。空気圧アクチュエータ(図示せず)により、ウエハを上昇及び下降させるリフトピン(図示せず)を上昇及び下降させるリフトピンプレート(図示せず)が上昇及び下降させられる。処理チャンバ38内への移送時には、基板は、上昇されたリフトピン上にロードされ、それから、基板支持部材56の基板受入れ部分66へと下降させられる。基板受入れ部分66は、基板処理中に基板を基板支持部材56へと固定する静電チャック68を含む。
【0016】
[0027]真空システム40は、マルチブレードスロットル弁72を収容しており且つゲート弁74及びターボ分子ポンプ76に取り付けられたスロットル本体70を含む。スロットル本体70は、最初に1995年12月12日に出願されて出願番号08/574,839を与えられ、1996年9月11日に再出願され出願番号08/712,724を与えられた「SYMMETRIC CHAMBER」と題された同時係属中の共有の米国特許出願明細書に記載されているように、ガスの流れに対する障害を最少とし且つ対称ポンピングを行えるようにするものである。ゲート弁74は、スロットル弁76をスロットル本体70から分離し且つスロットル弁が全開のときに、排気流容量を制限することにより、処理チャンバ圧力を制御することもできる。スロットル弁72、ゲート弁74及びターボ分子ポンプ76の配置により、処理チャンバ圧力を約1ミリトールから100ミリトールまで正確且つ安定に制御することが可能となる。
【0017】
[0028]ソースプラズマシステム42は、ドーム50に取り付けられた上部コイル78及び側部コイル80を含む。対称接地シールド(図示せず)により、それらコイル間の電気的結合を減ずることができる。上部コイル78は、上部高周波ソース発生器82により付勢され、一方、側部コイル80は、側部高周波ソース発生器84により付勢され、各コイルに対する動作の電力レベル及び周波数を別々に制御できるようにしている。このような二重コイルシステムにより、処理チャンバ38における半径方向イオン密度が制御でき、プラズマの均一性を改善することができるようになる。側部コイル80及び上部コイル78は、エネルギーをチャンバ38に誘導的に結合する。特定の実施形態では、上部高周波ソース発生器82は、8000Wまでの公称2MHzの高周波電力を与え、側部高周波ソース発生器84は、8000Wまでの公称2MHzの高周波電力を与える。上部高周波発生器及び側部高周波発生器の動作周波数は、プラズマ生成効率を改善するため、その公称動作周波数から(例えば、それぞれ、1.7−1.9MHz及び1.9−2.1MHzまで)ずらすことができる。
【0018】
[0029]高周波発生器82及び84は、デジタル的に制御される合成器を含み、約1.7MHzから約2.1MHzまでの周波数範囲に亘って動作する。各発生器は、当業者には理解されるように、処理チャンバからの反射電力を測定し、その発生器へとコイルバックし、反射電力を最も低くするようにその動作の周波数を調整する高周波制御回路(図示せず)を含む。高周波発生器は、典型的には、50オームの特性インピーダンスを有する負荷で動作するように設計されている。高周波電力は、発生器とは異なる特性インピーダンスを有する負荷では、高周波電力がそこから反射されてしまう。これにより、負荷へ伝送される電力が減ぜられてしまう。その上、負荷から発生器へと反射し戻される電力のため、その発生器が過負荷とされ、損傷させられてしまうことがある。プラズマのインピーダンスは、種々な要因の中でもプラズマイオン密度に依存して、5オームより小さい値から800オームを越える値までの範囲に亘るものであるので、且つ反射電力は周波数の関数であるので、反射電力により発生器の周波数を調整すると、その高周波発生器からプラズマへ伝送される電力が増大され、発生器が保護される。反射電力を減少させて効率を改善させる別の方法として、整合回路網によるものがある。
【0019】
[0030]整合回路網89及び90は、発生器82及び84の出力インピーダンスをコイル78及び80と、それぞれ整合させる。高周波制御回路は、負荷が変化するにつれて発生器をその負荷に整合させるように、整合回路網内のキャパシタの値を変えることにより、両整合回路網を同調させることができる。高周波制御回路は、負荷から発生器へと反射される電力が特定の限界値を越えるときに、整合回路網を同調させることができる。一定整合を与え、且つ高周波制御回路が整合回路網の同調を効果的にできないようにする1つの方法は、その反射電力限界値を反射電力の予測値より上に設定することである。こうすることにより、整合回路網定数をその最も最近の状態に保持することで、プラズマをある状態の下で安定化することができる。
【0020】
[0031]バイアスプラズマシステム44は、高周波バイアス発生器86及びバイアス整合回路網88を含む。バイアスプラズマシステム44は、相補的電極として作用する本体部材62へ基板受入れ部分66を容量的に結合する。バイアスプラズマシステム44は、ソースプラズマシステム42により生成されたプラズマ種の基板の表面への搬送を増長させるように作用する。特定の実施形態では、高周波バイアス発生器86は、13.56MHzで10000Wまでの高周波電力を与える。
【0021】
[0032]他の手段によってもプラズマを安定化することができる。例えば、負荷(プラズマ)へ分配される電力を決定するのに高周波制御回路を使用することができ、ある層の堆積中に、発生器出力電力を増大させたり減少させたりして、その分配される電力を実質的に一定に維持するようにすることができる。
【0022】
[0033]ガス分配システム46は、複数のガス源100a、100b、100c、100d及び100eを含む。一実施形態では、前述したガス源は、それぞれ、シラン、分子酸素、ヘリウム及びアルゴンからなる。このガス分配システム46は、基板を処理するため処理チャンバへ幾つかの源からガス分配ライン92(それらのうちの幾つかのみが図示)を通してガスを処理チャンバへ与える。ガスは、ガスリング94、上部ノズル96及び上部ベント98を通して処理チャンバ38へ導入される。詳述すると、ガス源100a及び100dは、それぞれ、流れコントローラ120a及び120cを通して、更に、ガス分配ライン92を通して、上部ノズル96へガスを与える。ガス源100bからのガスは、流れコントローラ120bを通してガスベント98へ与えられる。上部ノズル96及び上部ベント98により、ガスの上部流れ及び側部流れを独立して制御することが可能とされ、膜の均一性を改善し、膜の堆積及びドーピングパラメータの微調整が行えるようになる。上部ベント98は、上部ノズル96の周りの環状開口であり、そこを通してガスがガス分配システムから処理チャンバ内へと流れるようにするものである。
【0023】
[0034]ガスは、前述したガス源の各々から流れコントローラ102a、102b、102c、102d及び102e及びガス分配ライン92を通してガスリング94へと与えられる。ガスリング94は、基板上に亘ってガスの均一な流れを与える複数のガスのノズル106及び108(それらのうちの2つのみが図示されている)を有する。ノズル長さ及びノズル角度は、ガスリング94を変えることにより変えることができる。これにより、個々の処理チャンバ内での特定の処理のために均一プロファイル及びガス利用効率を調整することが可能となる。特定の実施形態では、ガスリング94は、24個の第1のガスノズル108及び12個の第2のガスノズル106の全部で36個のガスノズルを有する。典型的には、ガスノズル108(それらの1つのみが図示されている)は、第2のガスノズル106と同一平面にあり、この第2のガスノズル106より短い。
【0024】
[0035]ある実施形態では、可燃性、毒性又は腐食性ガスが使用される。これらの場合には、堆積後にガス分配ラインに残留するガスを除去することが望ましい。これは、例えば、処理チャンバ38を分配ライン92aから分離して、分配ライン92aを真空フォアライン114へ排気させるようにする弁112のような三方向弁を使用して行うことができる。図1に示されるように、112a及び112bのような他の同様の弁を、他のガス分配ラインに組み入れることができる。このような三方向弁は、非排気ガス分配ラインの空間(三方向弁と処理チャンバとの間)を最少とするため、実施可能な限り処理チャンバ38に近接させて配置される。又、二方向(オン−オフ)弁(図示せず)を、マスフローコントローラ(MFC)と処理チャンバとの間又はガス源とMFCとの間に配置することもできる。
【0025】
[0036]システム36は、更に、クリーニングガスをチャンバ38の上部ノズル96へ与えるためのリモートクリーニング高周波プラズマ源(図示せず)を含むことができる。他の実施形態では、クリーニングガス(もし、使用される場合には)は、他の位置でチャンバ38へ入れることができる。
【0026】
[0037]システムコントローラ132は、システム36の動作を調整するものであり、システムの動作を調整するためシステムと電気的にやり取りするプロセッサ134を含む。典型的には、このプロセッサ134は、アナログ及びデジタル入力/出力ボード、インターフェースボード及びステッパモータコントローラボードを含むシングルボードコンピュータ(SBC)の一部である。CVDシステム36の種々なコンポーネントは、ボード、カードケージ並びにコネクタタイプ及び寸法を定めるバーサモジュラーヨーロピアン(VME)スタンダードに適合している。このVMEスタンダードは、又、16ビットデータバス及び24ビットアドレスバスを有するようにバス構造を定めている。プロセッサ134は、このプロセッサ134に電子的に結合されたメモリ136に記憶されたコンピュータプログラムであるシステム制御ソフトウエアを実行する。ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、カードラック又はそれらの組み合わせのような任意のタイプのメモリ装置を使用することができる。システム制御ソフトウエアは、特定の処理のタイミング、ガス混合物、処理チャンバ圧力、処理チャンバ温度、マイクロ波電力レベル、ペデスタル位置及び他のパラメータを指令する命令のセットを含む。
【0027】
[0038]基板104の温度及び基板温度の均一性は、基板104を処理するための重要な処理パラメータである。均一な温度プロファイルを生成するため、熱移送流体がチャック68と基板104の背面との間に付与される。本発明の一実施形態では、例えば、その熱移送流体としてヘリウムが使用される。一般的には、静電チャック68は、円形形状であるが、別の仕方として、静電チャック68は、例えば、フラットパネルのような正方形又は長方形基板のような非円形基板を収容するように種々な規則性及び不規則性の幾何学形状をとることができる。
【0028】
[0039]動作において、基板104が静電チャック68の上に置かれ、気体混合物を形成するため、プラズマ処理チャンバ38の処理領域内へガスパネル46から複数の気体成分が供給される。プラズマを発生させるため、高周波電力が、基板支持部材56における電極、上部コイル78又は側部コイル80のうちの1つ以上に加えられる。処理中に基板の温度均一性を維持するため、ヘリウムガスのような熱移送流体が、本発明の実施形態により(以下に示され説明される)少なくとも1つの流体分配要素を通して供給される。
【0029】
[0040]図2は、本発明の一実施形態による流体分配要素222を有する静電チャック68の上面図を例示している。図2Aは、図2の静電チャック68の部分断面斜視図を示している。図3は、線3−3に沿ってとった図2のチャック68の断面図を示している。次の説明は、図2及び図3を同時に参照することにより、最も良く理解されよう。静電チャック68は、本体220と、流体分配要素222と、誘電体層224とを備えている。静電チャック68の一実施形態では、本体220は、アルミニウムのような導電材料で形成されており、誘電体層224は、窒化アルミニウム、アルミナ等のセラミック材料である。流体分配要素222は、静電チャック68の周辺の近を取り巻くようにして配設されている。この流体分配要素222は、静電チャックから基板の背面へとヘリウムガスのような流体を分配するため誘電体層224を貫通する複数の孔230(又は他の形の通路)を備えている。12インチ(300mm)直径の半導体ウエハに対して使用される静電チャック102の場合には、この静電チャック102の周辺の周りに60個から360個の孔がある。これら複数の孔230の各々は、典型的には、約0.15mmからの範囲の直径を有している。これらの寸法は、使用される流体分配要素の種類、処理チャンバ内に使用される圧力及び流体分配要素222を通してのガス流の量に依存して調整される。
【0030】
[0041]この流体分配要素222は、リング形状構造を有する。しかしながら、別の実施形態では、流体分配要素222は、処理方法及びユーザの必要に応じて、複数のリング、半径方向アーム、半径方向アーム及びリングの組合せ等を含む種々な幾何学構造を有することができる。本発明の実施形態は、流体分配要素の幾何学形状を制限するものではない。
【0031】
[0042]誘電体層224は、本体220の上部表面の少なくとも一部分及び流体分配要素222の少なくとも一部分を覆い、支持表面228を形成する。支持表面228は、その上に置かれた基板104を支持する。誘電体層224は、本体の上部表面上にスプレーされ、望ましい厚さまで研磨されたものでよい。
【0032】
[0043]本体220は、上部表面332と、この本体220の上部表面332に形成されたチャネル334とを備える。一般的に、チャネル334は、矩形断面形状を有する。しかしながら、別の実施形態では、チャネル334は、種々な幾何学断面形状を有することができる。流体分配要素222は、チャネル334及び流体分配要素222がプレナム336を形成するように本体220に結合され、即ち、要素222は、チャネル334内へ配置されて、そこに固定される。更に、本体220は、流体をプレナム336へ与えるためチャネル334に接続された導管338を備える。本発明の一実施形態によれば、冷却ガスが、導管338を通して供給され、プレナムによって流体分配要素222へと分配される。そのガスは、複数の孔230(他の形状の通路)のうちの1つ以上を通して出されて、熱移送媒体を基板の背面へ供給する。
【0033】
[0044]図4から図10は、静電チャックの部分、例えば、静電チャック102の流体分配要素222、誘電体層228及び本体220を有する、点線で示した部分230の横断面図を例示している。これら例示図では、静電チャックの諸寸法は、流体分配要素及び本体の横断面を例示するため拡大されている。
【0034】
[0045]詳述するに、図4は、本発明の一実施形態による静電チャック402の部分を例示している。本体220は、下方チャネル404A及び上方チャネル404Bを有するジュアルダマシンチャネル404を備える。下方チャネル404Aは、上方チャネル404Bよりも狭い。この静電チャック402は、プレート440及び誘電体チューブ442を備える流体分配要素422を含む。プレート440は、上方チャネル404Bのベース406が止めを形成するように上方チャネル404Bにはめ込まれている(例えば、このプレートは、チャネル404に整合するような円形平面形状を有している)。プレート440の高さは、プレート440の上面408が本体220の上面332と実質的に同一平面となるように、上方チャネル404Bの高さと実質的に同じである。プレート440は、アルミニウムのような導電材料で形成され、上方チャネル404B内の所定位置に接合される。プレート440は、更に、このプレート440の底部表面に形成されたチャネル410を備えている。本発明の一実施形態では、チャネル410の幅は、下方チャネル404Aの幅と実質的に同様である。しかしながら、他の実施形態では、チャネル410は、下方チャネル404Aより狭い幅を有することができる。下方チャネル404Aとチャネル410との組合せにより、プレナム336が画成される。
【0035】
[0046]誘電体チューブ442(電気絶縁体)は、第1の端部446、第2の端部448及び軸方向貫通孔450を備えている。この誘電体チューブ442は、例えば、アルミナで形成され、プレート440の開口444の直径に実質的に整合する直径を有している。開口444の直径は、一般的には、これに限定するのではないが、約0.008インチ(約0.2mm)以上である。別の実施形態では、開口444は、円形、長方形、正方形等のような種々な幾何学形状を有することができる。更に又、この開口の形状及びサイズは、誘電体チューブ442の外側直径の形状及びサイズと実質的に整合している。誘電体チューブ442は、開口444内に(例えば、圧力ばめで)配置される。この開口444は、チューブ442が載るフランジ412を備えている(即ち、このフランジは止めを形成する)。図示した実施形態では、チューブ442の第1の端部446は、本体220の表面332より上方に延長している。他の実施形態では、チューブ442の第1の端部446は、その表面332と同一平面とすることもできる。
【0036】
[0047]本体220の少なくとも一部分及び流体分配要素422の少なくとも一部分は、誘電体層224によって覆われ、支持表面428を形成している。誘電体層224は、本体の上部表面上にスプレーされ、望ましい厚さまで研磨される。一実施形態では、この誘電体層224は、熱スプレーアルミナ又はスプレーアルミナ/チタニアを含む。このような熱スプレー誘電体層を付与する処理は、当業者には知られたものである。この熱スプレー処理は、プラズマスプレー、デトネーションガンスプレー、高速酸素燃料(HVOF)スプレー及びフレームスプレーのような幾つかの種々な方法の中から選択することができる。
【0037】
[0048]一実施形態では、誘電体層224は、この層224の表面428がチューブ442の端部446と同一平面となるように、線414で表された厚さまで研磨される。別の仕方として、この誘電体層224は、多孔性セラミックであってよく、この層224は、特定の平坦度まで研磨されるが、チューブ442の少なくとも第1の端部446を覆うようなものとされる。セラミックが多孔性であるため、プレナムからガスがチューブ442及び誘電体層224を通して流れる。例えば、チューブ442の第1の端部446の近くの誘電体層224は、約1μmから100μmの細孔直径となる10体積パーセントと60体積パーセントとの間の多孔度を有するアルミナで全体又は部分的に形成される。ある実施形態では、図8に関して後述されるように、この誘電体層は、チューブ442の端部446の近くで多孔性であるが、他の部分ではそれ程多孔性でないもとされる。例示されるように、通路445は、支持表面428からプレナム436への直接視線路を与えないようなものとするのが効果的であり、こうすることにより、通路445においてプラズマが形成される可能性を制限することができる。別の実施形態では、この誘電体層224は、この層224がチューブ442の第1の端部446を覆うようにして、特定の平坦度まで研磨される。この誘電体層416を通して通路445へと貫通する孔416が孔あけされ又は他の仕方にて(例えば、レーザドリリングで)形成される。この孔あけ処理は、誘電体物質を通して孔あけするだけであり、即ち、本体の導電物質は、この孔あけ処理によってスパッタされない。
【0038】
[0049]当業分野において知られるように、支持表面428は、誘電体層224上に溝パターン(図示せず)が形成されるように更に処理することができる。これら溝は、通路445と交差するように、支持表面428内へと機械加工又は他の仕方にて形成される。冷却ガスは、通路445からこれら溝へと流れて、これら溝により、この冷却ガスは、静電チャック402の全支持表面428に亘って均一に分配されることになる。
【0039】
[0050]プレナムと基板表面との間の通路を画成するのに電気絶縁体(誘電体チューブ及び/又は誘電体層)を使用することにより、熱移送ガスによるプラズマ形成の可能性又はプラズマ形成により生ぜしめられるアーキングの可能性を減ずることができる。プラズマ形成及びアーキングを減少又は除去することにより、静電チャックの寿命は相当に増大される。絶縁体を使用することにより、通路における電界が減少され、従って、プラズマ形成の機会が減少される。更に、本発明の特定の実施形態は、(高い電界が存在する場所である)基板支持表面とプレナムの導電性表面との間の視線路を排除することにより通路における電界を更に減ずるような流体分配要素構造を使用する。このような視線路が存在するときには、通路における流体の体積は、プラズマを発生するに十分なものである。非視線路を使用することにより、プラズマが形成されてしまうような十分に大きな体積の流体端に確立される電界を減少させることができる。従って、プラズマ形成及びそれに伴うアーキングが減少又は除去される。
【0040】
[0051]図5は、本発明の別の実施形態による静電チャック502の部分の断面図を例示している。図4の実施形態と同様に、プレート440を貫通する誘電体チューブ542が配置されている。この別の実施形態では、チューブ542は、チャネル534の底部まで延長し、そこで、このチューブ542の第2の端部548は、そのチャネル534の底部に形成された支持要素(例えば、段556)の上に載っている。前述の実施形態におけるように、誘電体チューブ542及び/又は誘電体層224の部分が、プレナム536から表面528までの流体のための通路545を画成する電気絶縁体を形成している。
【0041】
[0052]図6は、本発明の別の実施形態による静電チャック602の部分の断面図を例示している。図4及び図5の実施形態と同様に、プレート440を貫通して誘電体チューブ642が配置されている。この別の実施形態では、誘電体チューブ642は、その第2の端部604に形成された少なくとも1つのノッチ656を備えている。別の実施形態では、チューブ642は、プレナム636からチューブ642の通路645へ流体が流れるようにする孔を備えることができる。前の実施形態の場合のように、誘電体層224は、多孔性であり、チューブ642の第1の端部606を覆うことができ、その層224は、チューブ642の第1の端部606が露出されるように研磨されるか、又は、通路645に達する孔をその層に形成してもよい。この誘電体チューブ642及び誘電体層224の部分は、プレナム636からの流体のための通路645を形成する。例示されるように、誘電体層224が多孔性でありチューブ642を覆っている時には、通路645は、支持表面628からプレナム636への直接視線路を有さないのが効果的であり、これにより、通路645におけるプラズマの形成が制限される。
【0042】
[0053]図7は、本発明の更に別の実施形態による静電チャック702の部分の断面図を例示している。この静電チャック702は、本体720及び流体分配要素722を備える。流体分配要素722は、前述した実施形態と同じ仕方で組み合わされるプレート740及び誘電体チューブ742を備える。この実施形態では、本体720は、誘電体エンドキャップ760を含むチャネル734を備える。誘電体エンドキャップ760は、チャネル734の底部に配置される。誘電体エンドキャップ760は、このキャップ760がカップ形状とされるように開口762を備える。誘電体チューブ742は、第1の端部746、第2の端部748及び第1の端部746と第2の端部748とを接続する軸方向貫通孔750を備える。本発明の一実施形態では、誘電体層724は、チューブ742の第1の端部746を覆っており、第2の実施形態では、誘電体層724は、チューブ742の第1の端部746が露出されるように線414まで研磨されている。誘電体キャップ760は、チューブ742の第2の端部748が開口762内へ延長するが、そこから離間されてギャップを形成するように、チャネル734内へ配置されている。チューブ742及びエンドキャップ760は、そこを通して流体が流れる迷路チャネルを形成する。このようなチャネルを使用することにより、導電性プレナム壁部からチャック表面への視線路が存在しないようにすることができる。
【0043】
[0054]図8は、本発明の別の実施形態による静電チャック802の部分の断面図を例示している。この静電チャック802は、流体分配要素822を備える。この流体分配要素822は、開口844を備えるプレート840を備える。そのプレート840は、チャネル834及びこのプレート840がプレナム836を形成するように、本体820に結合されている。誘電体層824が本体820の少なくとも一部分及び流体分配要素822の少なくとも一部分を覆っている。この誘電体層824は、多孔性誘電体セグメント870を含み、この多孔性誘電体セグメント870の一部分が開口844と重なるようにされている。この多孔性誘電体セグメント870は、約10体積パーセントから約60体積パーセントまでの範囲の多孔度を有するアルミナのような多孔性セラミックであり、この多孔性誘電体セグメント870は、そこを通して連続する通路を形成する相互接続開口を有している。開口844及び多孔性誘電体セグメント870の少なくとも一部分は、プレナム836から静電チャック802の支持表面828へ流体が流れるようにする通路845を形成している。例示されるように、通路845は、支持表面828から導電性プレナム836への直接視線路がないようにすると効果的であり、これにより、通路845内へのプラズマの形成を阻止することができる。
【0044】
[0055]図9は、本発明の別の実施形態による静電チャック902の部分の断面図を例示している。この静電チャック902は、流体分配要素922を備える。この流体分配要素922は、開口944及び誘電体プラグ980を有するプレート940を備える。このプレート940は、チャネル934及びこのプレート940がプレナム936を形成するように、本体920に結合されている。これらプレート940及び本体920は、本発明の他の実施形態に関して前述したようにして組み合わされる。誘電体プラグ980の直径は、開口944の直径と実質的に整合している。誘電体プラグ980は、開口944に配置され、一般的には、そこに圧力ばめされている。誘電体層224は、本体920の少なくとも一部分及び流体分配要素922の少なくとも一部分を覆い、それにより、支持表面928を形成している。誘電体層224は、本体920の上部表面及び流体分配要素922の上にスプレーされて、望ましい厚さまで研磨されたものでよい。この誘電体層224及び誘電体プラグ980を貫通する孔982が形成されている。この孔982は、流体がプレナム936から静電チャック902の支持表面928へと流れるようにする。この孔982は、機械的ドリリング、レーザドリリング等の種々な技法を使用して形成することができる。この孔982は、誘電体物質のみを貫通して形成される。従って、そのドリリング処理による金属残留物は、その軸方向貫通孔982には形成されない。このような金属残留物が無いので、孔982におけるプラズマ形成又はアーキングの可能性は制限されている。
【0045】
[0056]図10は、本発明の別の実施形態による静電チャック1002の部分の断面図を例示している。この静電チャック1002は、流体分配要素1022を備える。この流体分配要素1022は、プレート1040及び誘電体キャップ1042を備える。プレート1040は、2つの円形リング1040A及び1040Bを備える。リング1040Aは、リング1040Bより小さい直径を有している。各リング1040A及び1040Bは、上方チャネル404Bの底部に形成された棚部406に載っている。プレート1040は、本体1020に接合されており、このプレートは上方チャネル404Bに保持されている。(プレナム1036を形成するようにリング形状とされた)誘電体キャップ1042は、上方チャネル404B内へ挿入されていて、プレート1040に載っている。
【0046】
[0057]別の実施形態では、プレート1040は、複数の皿孔を有する逆U字形断面(例えば、図4のプレート440)を備えることができる。要素1042と同様な断面を有する円形(ドーナツ形)誘電体要素を、そのような皿孔へ挿入することができる。流体分配要素1022は、本体1020に結合され、この流体分配要素1022とチャネル1034とでプレナム1036が形成される。誘電体層224は、本体1020の少なくとも一部分及び流体分配要素1022の少なくとも一部分を覆い、それにより、支持表面1028を形成している。誘電体層224は、本体1020の上部表面及び流体分配要素1022の上にスプレーされ、望ましい厚さまで研磨されたものでよい。誘電体層224及び誘電体キャップ1042を貫通する孔1082が形成されている。この孔1082は、機械的ドリリング、レーザドリリング等のような種々な技法を使用して孔あけすることができる。図9の実施形態の場合のように、この孔1082は、誘電体物質のみを通して形成されている。従って、この孔1082には、導電性残留物は残らない。
【0047】
[0058]前述した実施形態の各々においては、本発明の流体分配要素を使用した静電チャックがプラズマ形成又はアーキングによって損傷されるようなありそうもないことが起きても、多くの方法を使用して、このチャックを容易に修理(又は再生)することができるのである。一般的には、損傷を生ずるようなプラズマ形成又はアーキング」は、誘電体コンポーネント(チューブ、多孔性インサート等)の近く又は内部で生ずる。従って、誘電体層を局部的に(誘電体コンポーネントの上)又は全体的に(全チャックに亘って)取り除いて、その誘電体コンポーネントを露出させることができる。それから、そのコンポーネントをドリルアウト又は引き出すための引出し工具を使用して、そのコンポーネントを取り外すことができる。取り外したとき、新しい誘電体コンポーネントを挿入して、誘電体層を、必要に応じて、局部的又は全体的に取り換えることができる。ある実施形態では、その誘電体コンポーネントは、(前述したように)チャックの支持表面まで延長しているので、引出し前に誘電体層を取り除く必要はない。これらのような場合には、損傷された誘電体コンポーネントを取り外し、新しい誘電体コンポーネントをそのプレートの開口内へと(一般的には、圧力ばめで)挿入する。このようにして、静電チャックの修理は、熱移送流体通路における又はその近くにおけるアーキング又はプラズマ形成のため静電チャック全体を交換しなければならないのと比べて、実質的に節約された形で行うことができるのである。
【0048】
[0059]本発明の種々な実施形態について前述してきたのであるが、本発明の基本的範囲から逸脱せずに、本発明の他の更なる実施形態が考えられるものであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載により決定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の種々な実施形態による流体分配要素を有する静電チャックを備えるプラズマによる基板処理システムを例示している。
【図2】図1の静電チャックの上面図を例示している。
【図2A】図2の静電チャックの部分の部分断面斜視図を例示している。
【図3】線3−3に沿ってとった図2の静電チャックの断面図を例示している。
【図4】本発明の一実施形態による静電チャックの流体分配要素の断面図を示している。
【図5】別の実施形態による静電チャックの流体分配要素の断面図を示している。
【図6】別の実施形態による静電チャックのための流体分配要素の断面図を示している。
【図7】本発明の更に別の実施形態による静電チャックの流体分配要素の断面図を示している。
【図8】本発明の種々な実施形態による静電チャックの流体分配要素の断面図を示している。
【図9】本発明の種々な実施形態による静電チャックの流体分配要素の断面図を示している。
【図10】本発明の種々な実施形態による静電チャックの流体分配要素の断面図を示している。
【符号の説明】
【0050】
36…プラズマによる基板処理システム、38…処理チャンバ、40…真空システム、42…ソースプラズマシステム、44…バイアスプラズマシステム、46…ガス分配システム、48…リモートプラズマクリーニングシステム、50…ドーム、52…プラズマ処理領域、54…基板、56…基板支持部材、58…ヒータープレート、60…コールドプレート、62…本体部材、64…ベース部材、66…基板受入れ部分、68…静電チャック、70…スロットル本体、72…マルチブレードスロットル弁、74…ゲート弁、76…ターボ分子ポンプ、78…上部コイル、80…側部コイル、82…上部高周波ソース発生器、84…側部高周波ソース発生器、86…高周波バイアス発生器、88…バイアス整合回路網、89…整合回路網、90…整合回路網、92…ガス分配ライン、92a…分配ライン、92b…分配ライン、94…ガスリング、95…挿入/取出し開口、96…上部ノズル、98…上部ベント、100a…ガス源、100b…ガス源、100c…ガス源、100d…ガス源、100e…ガス源、102…静電チャック、102a…流れコントローラ、102b…流れコントローラ、102c…流れコントローラ、102d…流れコントローラ、102e…流れコントローラ、104…基板、106…第2のガスノズル、108…第1のガスノズル、112…弁、112a…弁、112b…弁、114…真空フォアライン、120a…流れコントローラ、120b…流れコントローラ、120c…流れコントローラ、132…システムコントローラ、134…プロセッサ、136…メモリ、220…本体、222…流体分配要素、224…誘電体層、228…支持表面、230…孔、332…上部表面、334…チャネル、336…プレナム、338…導管、402…静電チャック、404…ジュアルダマシンチャネル、404A…下方チャネル、404B…上方チャネル、406…棚部、408…上面、410…チャネル、412…フランジ、414…線、416…誘電体層、422…流体分配要素、428…支持表面、436…プレナム、440…プレート、442…誘電体チューブ、444…開口、445…通路、446…第1の端部、448…第2の端部、450…軸方向貫通孔、502…静電チャック、528…表面、534…チャネル、536…プレナム、542…誘電体チューブ、545…通路、556…段、602…静電チャック、604…第2の端部、606…第1の端部、628…支持表面、636…プレナム、642…誘電体チューブ、645…通路、656…ノッチ、702…静電チャック、720…本体、722…流体分配要素、724…誘電体層、734…チャネル、740…プレート、742…誘電体チューブ、746…第1の端部、748…第2の端部、750…軸方向貫通孔、760…誘電体エンドキャップ、762…開口、802…静電チャック、820…本体、822…流体分配要素、824…誘電体層、828…支持表面、834…チャネル、836…プレナム、840…プレート、844…開口、845…通路、870…多孔性誘電体セグメント、902…静電チャック、920…本体、922…流体分配要素、928…支持表面、934…チャネル、936…プレナム、940…プレート、944…開口、980…誘電体プラグ、982…孔、1002…静電チャック、1020…本体、1022…流体分配要素、1028…支持表面、1036…プレナム、1040…プレート、1040A…円形リング、1040B…円形リング、1042…誘電体キャップ、1082…孔
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
[0001]本発明の実施形態は、一般的に、半導体デバイス製造を行うための装置に関し、より詳細には、処理中に半導体ウエハを支持するための静電チャックに関する。
【0002】
関連技術の説明
[0002]静電チャックは、プラズマ処理チャンバのような半導体処理装置内において(ここでは、半導体ウエハ又はウエハとも称される)基板に対する支持を与えるのに広く使用されている。静電チャックは、一般的に、基板の処理中、即ち、物質堆積又はエッチング中に基板を定位置に保持する。静電チャックは、基板を所定位置に保持するため容量性及びジョンセン・ラーベック吸引力を利用している。
【0003】
[0003]1つのタイプの静電チャックは、本体と、支持表面を形成するように誘電体物質の層で覆われた流体分配要素とを含む。その本体は、一般的には、静電チャックの電極を形成するように導電性である。基板は、その支持表面上に置かれる。その流体分配要素は、静電チャックの支持表面に形成され、ガスのような熱移送流体をチャックの支持表面と基板の背面との間に分配するための複数の流体通路を担持したプレナムを含む。一般的に、そのガスは、静電チャックと基板との間の間隙領域を満たして、それにより、静電チャックと基板との間の熱移送の割合及び均一性を高める。
【0004】
[0004]プラズマ処理チャンバにおいては、静電チャックは、基板の近傍において高電力高周波(RF)場及び高密度プラズマに曝される。このようなプラズマ処理チャンバにおいては、ガス通路において高い電界が発生するためガス絶縁破壊を生ずることがある。静電チャックの動作及び寿命は、ガス通路におけるプラズマの形成により悪影響を受ける。このようなプラズマは、基板、静電チャック又はそれらの両者を損傷してしまうことがある。その上、ガス通路におけるプラズマ形成は、チャンバ内に微粒子汚染物質を形成してしまうようなアーキングを生じてしまうことがある。
【0005】
[0005]ガス通路におけるプラズマ形成を減少させるための種々な技法が存在している。1つの技法として、チャックの表面でその通路へ多孔性誘電体プラグを挿入するものがある。このプラグの多孔度は、それら細孔の寸法が、プラズマ形成を禁止するが、熱移送ガスの基板支持表面への到達を許すようにするようなものとなるように、選択されている。そのような多孔性物質はプラズマ形成を防止するものではあるが、そのような静電チャックを製造するのは、難しく、時間の掛かるものとなり、又、費用の掛かるものとなってしまう。
【0006】
[0006]従って、プラズマ形成及びアーキングを減少させた改良された静電チャックが必要とされている。
【概要】
【0007】
[0007]本発明は、一般的に、熱移送流体通路内のプラズマ形成及びアーキングを減少させる静電チャックのための流体分配要素を準備するための方法及び装置を提供する。一実施形態は、プレートと、上記プレートへ挿入される誘電体コンポーネントとを備える。上記プレートは、プレナムを画成するためチャネル内に配置されるように適応されており、上記誘電体コンポーネントは、上記プレナムに結合される流体通路の少なくとも一部分を与える。上記誘電体コンポーネント上に形成される多孔性誘電体層は、上記プレナムに結合される流体通路の少なくとも別の部分を与える。他の実施形態では、流体分配要素は、基板のための支持表面からプレナムへの視線路を与えないような流体通路を画成するための種々なコンポーネントの配置を備える。
【0008】
[0008]本発明の前述したような特徴を詳細に理解できるように、概要について簡単に前述したような本発明について、いくつかを添付図面に例示している実施形態に関して、以下より特定して説明する。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを例示しているのであって、従って、本発明の範囲をそれに限定しようとするものではなく、本発明は、均等の効果を発揮できる他の実施形態も包含できることに、注意されたい。
【0009】
[0020]本発明は、ここに、幾つかの実施形態及び例示的図面を使用して実施例により説明されるのであるが、当業者であれば、本発明がここに説明される図面の実施形態に限定されるものではないことは認識できよう。添付図面及びこれらに関する詳細な説明は、本発明をここに説明される特定の形態に限定しようとしているものではなく、反対に、本発明は、特許請求の範囲の記載により限定されるような本発明の精神及び範囲内に入る全ての変形態様、均等物及び代替物をカバーするものであることを理解されたい。ここに使用される見出し語は、単に系統化する目的だけのものであり、詳細な説明又は特許請求の範囲の記載範囲を限定するために使用されているものではない。本明細書の記載を通して使用される用語「してもよい」又は「できる」は、必須の意味(即ち、「ねばならない」を意味する)としてではなく、任意の意味(即ち、「する可能性がある」を意味する)として使用されている。同様に、用語「含む」又は「含んでいる」は、全体の中の一部として含むことを意味しており、それだけを含むことに限定しているものではない。更に又、用語「ある」又は「1つの」は、別に述べない限り、「少なくとも1つ」を意味している。
【詳細な説明】
【0010】
[0021]図1は、本発明の種々な実施形態による静電チャック68を備えるプラズマによる基板処理システム36を例示している。このプラズマ処理システム36は、シリコンウエハ、GaAsウエハ等のような基板を処理するためのプラズマ環境を生成し維持しつつ、基板の温度制御された処理を行うのに使用される。基板を処理するためのプラズマが基板の近傍に生成され、基板の温度は、基板の背面へ熱移送流体を供給するような種々な技法を使用して制御される。プラズマ処理チャンバの一実施例として、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアル社から入手可能な300mmHDP−CVDウルティマXシステムのような高密度プラズマ化学気相堆積(HDP−CVD)システムにおけるものを例示しているのであるが、本発明は、物理気相堆積チャンバ、化学気相堆積チャンバ、エッチングチャンバを含むプラズマが使用される他の処理チャンバ及び基板の温度制御が必要とされるような他の適用例においても利用できるものである。
【0011】
[0022]図1は、処理中に基板を固定するのに静電チャック68が使用されているHDP−CVDシステム36の一実施形態を例示している。本発明の実施形態によれば、静電チャック68は、このチャック68の近くにおけるプラズマ侵入及びアーキングを減ずるように設計されている。
【0012】
[0023]このシステム36は、処理チャンバ38、真空システム40、ソースプラズマシステム42、バイアスプラズマシステム44、ガス分配システム46及びリモートプラズマクリーニングシステム48を含む。
【0013】
[0024]処理チャンバ38の上方部分は、アルミナ又は窒化アルミニウムのような誘電体材料で形成されたドーム50を含む。このドーム50は、プラズマ処理領域52の上方境界を画成している。このプラズマ処理領域52の底部は、基板54の上部表面及び基板支持部材56によって境界付けされている。
【0014】
[0025]ヒータープレート58及びコールドプレート60が、ドーム50の上に置かれて、このドーム50に熱的に結合されている。これらヒータープレート58及びコールドプレート60により、ドーム温度を約100℃から200℃までの範囲に亘って約+/−10℃内で制御することが可能とされている。これにより、種々な目的に対してドーム温度を最適なものとすることができる。例えば、クリーニング又はエッチング処理の場合には、堆積処理の場合よりも高い温度にドームを維持することが必要とされる。又、ドーム温度を正確に制御することにより、処理チャンバ内のフレーク及び粒子の数を減少させることができ、堆積層と基板との間の接着性を改善することができる。
【0015】
[0026]処理チャンバ38の下方部分は、この処理チャンバを真空システムに接合する本体部材62を含む。基板支持部材56のベース部分64は、本体部材62の上に取り付けられ、この本体部材62と連続する内側表面を形成している。基板は、処理チャンバ38の側部の挿入/取出し開口95を通して、ロボットブレード(図示せず)により、処理チャンバ38へ入れたり処理チャンバ38から出したりするように移送される。空気圧アクチュエータ(図示せず)により、ウエハを上昇及び下降させるリフトピン(図示せず)を上昇及び下降させるリフトピンプレート(図示せず)が上昇及び下降させられる。処理チャンバ38内への移送時には、基板は、上昇されたリフトピン上にロードされ、それから、基板支持部材56の基板受入れ部分66へと下降させられる。基板受入れ部分66は、基板処理中に基板を基板支持部材56へと固定する静電チャック68を含む。
【0016】
[0027]真空システム40は、マルチブレードスロットル弁72を収容しており且つゲート弁74及びターボ分子ポンプ76に取り付けられたスロットル本体70を含む。スロットル本体70は、最初に1995年12月12日に出願されて出願番号08/574,839を与えられ、1996年9月11日に再出願され出願番号08/712,724を与えられた「SYMMETRIC CHAMBER」と題された同時係属中の共有の米国特許出願明細書に記載されているように、ガスの流れに対する障害を最少とし且つ対称ポンピングを行えるようにするものである。ゲート弁74は、スロットル弁76をスロットル本体70から分離し且つスロットル弁が全開のときに、排気流容量を制限することにより、処理チャンバ圧力を制御することもできる。スロットル弁72、ゲート弁74及びターボ分子ポンプ76の配置により、処理チャンバ圧力を約1ミリトールから100ミリトールまで正確且つ安定に制御することが可能となる。
【0017】
[0028]ソースプラズマシステム42は、ドーム50に取り付けられた上部コイル78及び側部コイル80を含む。対称接地シールド(図示せず)により、それらコイル間の電気的結合を減ずることができる。上部コイル78は、上部高周波ソース発生器82により付勢され、一方、側部コイル80は、側部高周波ソース発生器84により付勢され、各コイルに対する動作の電力レベル及び周波数を別々に制御できるようにしている。このような二重コイルシステムにより、処理チャンバ38における半径方向イオン密度が制御でき、プラズマの均一性を改善することができるようになる。側部コイル80及び上部コイル78は、エネルギーをチャンバ38に誘導的に結合する。特定の実施形態では、上部高周波ソース発生器82は、8000Wまでの公称2MHzの高周波電力を与え、側部高周波ソース発生器84は、8000Wまでの公称2MHzの高周波電力を与える。上部高周波発生器及び側部高周波発生器の動作周波数は、プラズマ生成効率を改善するため、その公称動作周波数から(例えば、それぞれ、1.7−1.9MHz及び1.9−2.1MHzまで)ずらすことができる。
【0018】
[0029]高周波発生器82及び84は、デジタル的に制御される合成器を含み、約1.7MHzから約2.1MHzまでの周波数範囲に亘って動作する。各発生器は、当業者には理解されるように、処理チャンバからの反射電力を測定し、その発生器へとコイルバックし、反射電力を最も低くするようにその動作の周波数を調整する高周波制御回路(図示せず)を含む。高周波発生器は、典型的には、50オームの特性インピーダンスを有する負荷で動作するように設計されている。高周波電力は、発生器とは異なる特性インピーダンスを有する負荷では、高周波電力がそこから反射されてしまう。これにより、負荷へ伝送される電力が減ぜられてしまう。その上、負荷から発生器へと反射し戻される電力のため、その発生器が過負荷とされ、損傷させられてしまうことがある。プラズマのインピーダンスは、種々な要因の中でもプラズマイオン密度に依存して、5オームより小さい値から800オームを越える値までの範囲に亘るものであるので、且つ反射電力は周波数の関数であるので、反射電力により発生器の周波数を調整すると、その高周波発生器からプラズマへ伝送される電力が増大され、発生器が保護される。反射電力を減少させて効率を改善させる別の方法として、整合回路網によるものがある。
【0019】
[0030]整合回路網89及び90は、発生器82及び84の出力インピーダンスをコイル78及び80と、それぞれ整合させる。高周波制御回路は、負荷が変化するにつれて発生器をその負荷に整合させるように、整合回路網内のキャパシタの値を変えることにより、両整合回路網を同調させることができる。高周波制御回路は、負荷から発生器へと反射される電力が特定の限界値を越えるときに、整合回路網を同調させることができる。一定整合を与え、且つ高周波制御回路が整合回路網の同調を効果的にできないようにする1つの方法は、その反射電力限界値を反射電力の予測値より上に設定することである。こうすることにより、整合回路網定数をその最も最近の状態に保持することで、プラズマをある状態の下で安定化することができる。
【0020】
[0031]バイアスプラズマシステム44は、高周波バイアス発生器86及びバイアス整合回路網88を含む。バイアスプラズマシステム44は、相補的電極として作用する本体部材62へ基板受入れ部分66を容量的に結合する。バイアスプラズマシステム44は、ソースプラズマシステム42により生成されたプラズマ種の基板の表面への搬送を増長させるように作用する。特定の実施形態では、高周波バイアス発生器86は、13.56MHzで10000Wまでの高周波電力を与える。
【0021】
[0032]他の手段によってもプラズマを安定化することができる。例えば、負荷(プラズマ)へ分配される電力を決定するのに高周波制御回路を使用することができ、ある層の堆積中に、発生器出力電力を増大させたり減少させたりして、その分配される電力を実質的に一定に維持するようにすることができる。
【0022】
[0033]ガス分配システム46は、複数のガス源100a、100b、100c、100d及び100eを含む。一実施形態では、前述したガス源は、それぞれ、シラン、分子酸素、ヘリウム及びアルゴンからなる。このガス分配システム46は、基板を処理するため処理チャンバへ幾つかの源からガス分配ライン92(それらのうちの幾つかのみが図示)を通してガスを処理チャンバへ与える。ガスは、ガスリング94、上部ノズル96及び上部ベント98を通して処理チャンバ38へ導入される。詳述すると、ガス源100a及び100dは、それぞれ、流れコントローラ120a及び120cを通して、更に、ガス分配ライン92を通して、上部ノズル96へガスを与える。ガス源100bからのガスは、流れコントローラ120bを通してガスベント98へ与えられる。上部ノズル96及び上部ベント98により、ガスの上部流れ及び側部流れを独立して制御することが可能とされ、膜の均一性を改善し、膜の堆積及びドーピングパラメータの微調整が行えるようになる。上部ベント98は、上部ノズル96の周りの環状開口であり、そこを通してガスがガス分配システムから処理チャンバ内へと流れるようにするものである。
【0023】
[0034]ガスは、前述したガス源の各々から流れコントローラ102a、102b、102c、102d及び102e及びガス分配ライン92を通してガスリング94へと与えられる。ガスリング94は、基板上に亘ってガスの均一な流れを与える複数のガスのノズル106及び108(それらのうちの2つのみが図示されている)を有する。ノズル長さ及びノズル角度は、ガスリング94を変えることにより変えることができる。これにより、個々の処理チャンバ内での特定の処理のために均一プロファイル及びガス利用効率を調整することが可能となる。特定の実施形態では、ガスリング94は、24個の第1のガスノズル108及び12個の第2のガスノズル106の全部で36個のガスノズルを有する。典型的には、ガスノズル108(それらの1つのみが図示されている)は、第2のガスノズル106と同一平面にあり、この第2のガスノズル106より短い。
【0024】
[0035]ある実施形態では、可燃性、毒性又は腐食性ガスが使用される。これらの場合には、堆積後にガス分配ラインに残留するガスを除去することが望ましい。これは、例えば、処理チャンバ38を分配ライン92aから分離して、分配ライン92aを真空フォアライン114へ排気させるようにする弁112のような三方向弁を使用して行うことができる。図1に示されるように、112a及び112bのような他の同様の弁を、他のガス分配ラインに組み入れることができる。このような三方向弁は、非排気ガス分配ラインの空間(三方向弁と処理チャンバとの間)を最少とするため、実施可能な限り処理チャンバ38に近接させて配置される。又、二方向(オン−オフ)弁(図示せず)を、マスフローコントローラ(MFC)と処理チャンバとの間又はガス源とMFCとの間に配置することもできる。
【0025】
[0036]システム36は、更に、クリーニングガスをチャンバ38の上部ノズル96へ与えるためのリモートクリーニング高周波プラズマ源(図示せず)を含むことができる。他の実施形態では、クリーニングガス(もし、使用される場合には)は、他の位置でチャンバ38へ入れることができる。
【0026】
[0037]システムコントローラ132は、システム36の動作を調整するものであり、システムの動作を調整するためシステムと電気的にやり取りするプロセッサ134を含む。典型的には、このプロセッサ134は、アナログ及びデジタル入力/出力ボード、インターフェースボード及びステッパモータコントローラボードを含むシングルボードコンピュータ(SBC)の一部である。CVDシステム36の種々なコンポーネントは、ボード、カードケージ並びにコネクタタイプ及び寸法を定めるバーサモジュラーヨーロピアン(VME)スタンダードに適合している。このVMEスタンダードは、又、16ビットデータバス及び24ビットアドレスバスを有するようにバス構造を定めている。プロセッサ134は、このプロセッサ134に電子的に結合されたメモリ136に記憶されたコンピュータプログラムであるシステム制御ソフトウエアを実行する。ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、カードラック又はそれらの組み合わせのような任意のタイプのメモリ装置を使用することができる。システム制御ソフトウエアは、特定の処理のタイミング、ガス混合物、処理チャンバ圧力、処理チャンバ温度、マイクロ波電力レベル、ペデスタル位置及び他のパラメータを指令する命令のセットを含む。
【0027】
[0038]基板104の温度及び基板温度の均一性は、基板104を処理するための重要な処理パラメータである。均一な温度プロファイルを生成するため、熱移送流体がチャック68と基板104の背面との間に付与される。本発明の一実施形態では、例えば、その熱移送流体としてヘリウムが使用される。一般的には、静電チャック68は、円形形状であるが、別の仕方として、静電チャック68は、例えば、フラットパネルのような正方形又は長方形基板のような非円形基板を収容するように種々な規則性及び不規則性の幾何学形状をとることができる。
【0028】
[0039]動作において、基板104が静電チャック68の上に置かれ、気体混合物を形成するため、プラズマ処理チャンバ38の処理領域内へガスパネル46から複数の気体成分が供給される。プラズマを発生させるため、高周波電力が、基板支持部材56における電極、上部コイル78又は側部コイル80のうちの1つ以上に加えられる。処理中に基板の温度均一性を維持するため、ヘリウムガスのような熱移送流体が、本発明の実施形態により(以下に示され説明される)少なくとも1つの流体分配要素を通して供給される。
【0029】
[0040]図2は、本発明の一実施形態による流体分配要素222を有する静電チャック68の上面図を例示している。図2Aは、図2の静電チャック68の部分断面斜視図を示している。図3は、線3−3に沿ってとった図2のチャック68の断面図を示している。次の説明は、図2及び図3を同時に参照することにより、最も良く理解されよう。静電チャック68は、本体220と、流体分配要素222と、誘電体層224とを備えている。静電チャック68の一実施形態では、本体220は、アルミニウムのような導電材料で形成されており、誘電体層224は、窒化アルミニウム、アルミナ等のセラミック材料である。流体分配要素222は、静電チャック68の周辺の近を取り巻くようにして配設されている。この流体分配要素222は、静電チャックから基板の背面へとヘリウムガスのような流体を分配するため誘電体層224を貫通する複数の孔230(又は他の形の通路)を備えている。12インチ(300mm)直径の半導体ウエハに対して使用される静電チャック102の場合には、この静電チャック102の周辺の周りに60個から360個の孔がある。これら複数の孔230の各々は、典型的には、約0.15mmからの範囲の直径を有している。これらの寸法は、使用される流体分配要素の種類、処理チャンバ内に使用される圧力及び流体分配要素222を通してのガス流の量に依存して調整される。
【0030】
[0041]この流体分配要素222は、リング形状構造を有する。しかしながら、別の実施形態では、流体分配要素222は、処理方法及びユーザの必要に応じて、複数のリング、半径方向アーム、半径方向アーム及びリングの組合せ等を含む種々な幾何学構造を有することができる。本発明の実施形態は、流体分配要素の幾何学形状を制限するものではない。
【0031】
[0042]誘電体層224は、本体220の上部表面の少なくとも一部分及び流体分配要素222の少なくとも一部分を覆い、支持表面228を形成する。支持表面228は、その上に置かれた基板104を支持する。誘電体層224は、本体の上部表面上にスプレーされ、望ましい厚さまで研磨されたものでよい。
【0032】
[0043]本体220は、上部表面332と、この本体220の上部表面332に形成されたチャネル334とを備える。一般的に、チャネル334は、矩形断面形状を有する。しかしながら、別の実施形態では、チャネル334は、種々な幾何学断面形状を有することができる。流体分配要素222は、チャネル334及び流体分配要素222がプレナム336を形成するように本体220に結合され、即ち、要素222は、チャネル334内へ配置されて、そこに固定される。更に、本体220は、流体をプレナム336へ与えるためチャネル334に接続された導管338を備える。本発明の一実施形態によれば、冷却ガスが、導管338を通して供給され、プレナムによって流体分配要素222へと分配される。そのガスは、複数の孔230(他の形状の通路)のうちの1つ以上を通して出されて、熱移送媒体を基板の背面へ供給する。
【0033】
[0044]図4から図10は、静電チャックの部分、例えば、静電チャック102の流体分配要素222、誘電体層228及び本体220を有する、点線で示した部分230の横断面図を例示している。これら例示図では、静電チャックの諸寸法は、流体分配要素及び本体の横断面を例示するため拡大されている。
【0034】
[0045]詳述するに、図4は、本発明の一実施形態による静電チャック402の部分を例示している。本体220は、下方チャネル404A及び上方チャネル404Bを有するジュアルダマシンチャネル404を備える。下方チャネル404Aは、上方チャネル404Bよりも狭い。この静電チャック402は、プレート440及び誘電体チューブ442を備える流体分配要素422を含む。プレート440は、上方チャネル404Bのベース406が止めを形成するように上方チャネル404Bにはめ込まれている(例えば、このプレートは、チャネル404に整合するような円形平面形状を有している)。プレート440の高さは、プレート440の上面408が本体220の上面332と実質的に同一平面となるように、上方チャネル404Bの高さと実質的に同じである。プレート440は、アルミニウムのような導電材料で形成され、上方チャネル404B内の所定位置に接合される。プレート440は、更に、このプレート440の底部表面に形成されたチャネル410を備えている。本発明の一実施形態では、チャネル410の幅は、下方チャネル404Aの幅と実質的に同様である。しかしながら、他の実施形態では、チャネル410は、下方チャネル404Aより狭い幅を有することができる。下方チャネル404Aとチャネル410との組合せにより、プレナム336が画成される。
【0035】
[0046]誘電体チューブ442(電気絶縁体)は、第1の端部446、第2の端部448及び軸方向貫通孔450を備えている。この誘電体チューブ442は、例えば、アルミナで形成され、プレート440の開口444の直径に実質的に整合する直径を有している。開口444の直径は、一般的には、これに限定するのではないが、約0.008インチ(約0.2mm)以上である。別の実施形態では、開口444は、円形、長方形、正方形等のような種々な幾何学形状を有することができる。更に又、この開口の形状及びサイズは、誘電体チューブ442の外側直径の形状及びサイズと実質的に整合している。誘電体チューブ442は、開口444内に(例えば、圧力ばめで)配置される。この開口444は、チューブ442が載るフランジ412を備えている(即ち、このフランジは止めを形成する)。図示した実施形態では、チューブ442の第1の端部446は、本体220の表面332より上方に延長している。他の実施形態では、チューブ442の第1の端部446は、その表面332と同一平面とすることもできる。
【0036】
[0047]本体220の少なくとも一部分及び流体分配要素422の少なくとも一部分は、誘電体層224によって覆われ、支持表面428を形成している。誘電体層224は、本体の上部表面上にスプレーされ、望ましい厚さまで研磨される。一実施形態では、この誘電体層224は、熱スプレーアルミナ又はスプレーアルミナ/チタニアを含む。このような熱スプレー誘電体層を付与する処理は、当業者には知られたものである。この熱スプレー処理は、プラズマスプレー、デトネーションガンスプレー、高速酸素燃料(HVOF)スプレー及びフレームスプレーのような幾つかの種々な方法の中から選択することができる。
【0037】
[0048]一実施形態では、誘電体層224は、この層224の表面428がチューブ442の端部446と同一平面となるように、線414で表された厚さまで研磨される。別の仕方として、この誘電体層224は、多孔性セラミックであってよく、この層224は、特定の平坦度まで研磨されるが、チューブ442の少なくとも第1の端部446を覆うようなものとされる。セラミックが多孔性であるため、プレナムからガスがチューブ442及び誘電体層224を通して流れる。例えば、チューブ442の第1の端部446の近くの誘電体層224は、約1μmから100μmの細孔直径となる10体積パーセントと60体積パーセントとの間の多孔度を有するアルミナで全体又は部分的に形成される。ある実施形態では、図8に関して後述されるように、この誘電体層は、チューブ442の端部446の近くで多孔性であるが、他の部分ではそれ程多孔性でないもとされる。例示されるように、通路445は、支持表面428からプレナム436への直接視線路を与えないようなものとするのが効果的であり、こうすることにより、通路445においてプラズマが形成される可能性を制限することができる。別の実施形態では、この誘電体層224は、この層224がチューブ442の第1の端部446を覆うようにして、特定の平坦度まで研磨される。この誘電体層416を通して通路445へと貫通する孔416が孔あけされ又は他の仕方にて(例えば、レーザドリリングで)形成される。この孔あけ処理は、誘電体物質を通して孔あけするだけであり、即ち、本体の導電物質は、この孔あけ処理によってスパッタされない。
【0038】
[0049]当業分野において知られるように、支持表面428は、誘電体層224上に溝パターン(図示せず)が形成されるように更に処理することができる。これら溝は、通路445と交差するように、支持表面428内へと機械加工又は他の仕方にて形成される。冷却ガスは、通路445からこれら溝へと流れて、これら溝により、この冷却ガスは、静電チャック402の全支持表面428に亘って均一に分配されることになる。
【0039】
[0050]プレナムと基板表面との間の通路を画成するのに電気絶縁体(誘電体チューブ及び/又は誘電体層)を使用することにより、熱移送ガスによるプラズマ形成の可能性又はプラズマ形成により生ぜしめられるアーキングの可能性を減ずることができる。プラズマ形成及びアーキングを減少又は除去することにより、静電チャックの寿命は相当に増大される。絶縁体を使用することにより、通路における電界が減少され、従って、プラズマ形成の機会が減少される。更に、本発明の特定の実施形態は、(高い電界が存在する場所である)基板支持表面とプレナムの導電性表面との間の視線路を排除することにより通路における電界を更に減ずるような流体分配要素構造を使用する。このような視線路が存在するときには、通路における流体の体積は、プラズマを発生するに十分なものである。非視線路を使用することにより、プラズマが形成されてしまうような十分に大きな体積の流体端に確立される電界を減少させることができる。従って、プラズマ形成及びそれに伴うアーキングが減少又は除去される。
【0040】
[0051]図5は、本発明の別の実施形態による静電チャック502の部分の断面図を例示している。図4の実施形態と同様に、プレート440を貫通する誘電体チューブ542が配置されている。この別の実施形態では、チューブ542は、チャネル534の底部まで延長し、そこで、このチューブ542の第2の端部548は、そのチャネル534の底部に形成された支持要素(例えば、段556)の上に載っている。前述の実施形態におけるように、誘電体チューブ542及び/又は誘電体層224の部分が、プレナム536から表面528までの流体のための通路545を画成する電気絶縁体を形成している。
【0041】
[0052]図6は、本発明の別の実施形態による静電チャック602の部分の断面図を例示している。図4及び図5の実施形態と同様に、プレート440を貫通して誘電体チューブ642が配置されている。この別の実施形態では、誘電体チューブ642は、その第2の端部604に形成された少なくとも1つのノッチ656を備えている。別の実施形態では、チューブ642は、プレナム636からチューブ642の通路645へ流体が流れるようにする孔を備えることができる。前の実施形態の場合のように、誘電体層224は、多孔性であり、チューブ642の第1の端部606を覆うことができ、その層224は、チューブ642の第1の端部606が露出されるように研磨されるか、又は、通路645に達する孔をその層に形成してもよい。この誘電体チューブ642及び誘電体層224の部分は、プレナム636からの流体のための通路645を形成する。例示されるように、誘電体層224が多孔性でありチューブ642を覆っている時には、通路645は、支持表面628からプレナム636への直接視線路を有さないのが効果的であり、これにより、通路645におけるプラズマの形成が制限される。
【0042】
[0053]図7は、本発明の更に別の実施形態による静電チャック702の部分の断面図を例示している。この静電チャック702は、本体720及び流体分配要素722を備える。流体分配要素722は、前述した実施形態と同じ仕方で組み合わされるプレート740及び誘電体チューブ742を備える。この実施形態では、本体720は、誘電体エンドキャップ760を含むチャネル734を備える。誘電体エンドキャップ760は、チャネル734の底部に配置される。誘電体エンドキャップ760は、このキャップ760がカップ形状とされるように開口762を備える。誘電体チューブ742は、第1の端部746、第2の端部748及び第1の端部746と第2の端部748とを接続する軸方向貫通孔750を備える。本発明の一実施形態では、誘電体層724は、チューブ742の第1の端部746を覆っており、第2の実施形態では、誘電体層724は、チューブ742の第1の端部746が露出されるように線414まで研磨されている。誘電体キャップ760は、チューブ742の第2の端部748が開口762内へ延長するが、そこから離間されてギャップを形成するように、チャネル734内へ配置されている。チューブ742及びエンドキャップ760は、そこを通して流体が流れる迷路チャネルを形成する。このようなチャネルを使用することにより、導電性プレナム壁部からチャック表面への視線路が存在しないようにすることができる。
【0043】
[0054]図8は、本発明の別の実施形態による静電チャック802の部分の断面図を例示している。この静電チャック802は、流体分配要素822を備える。この流体分配要素822は、開口844を備えるプレート840を備える。そのプレート840は、チャネル834及びこのプレート840がプレナム836を形成するように、本体820に結合されている。誘電体層824が本体820の少なくとも一部分及び流体分配要素822の少なくとも一部分を覆っている。この誘電体層824は、多孔性誘電体セグメント870を含み、この多孔性誘電体セグメント870の一部分が開口844と重なるようにされている。この多孔性誘電体セグメント870は、約10体積パーセントから約60体積パーセントまでの範囲の多孔度を有するアルミナのような多孔性セラミックであり、この多孔性誘電体セグメント870は、そこを通して連続する通路を形成する相互接続開口を有している。開口844及び多孔性誘電体セグメント870の少なくとも一部分は、プレナム836から静電チャック802の支持表面828へ流体が流れるようにする通路845を形成している。例示されるように、通路845は、支持表面828から導電性プレナム836への直接視線路がないようにすると効果的であり、これにより、通路845内へのプラズマの形成を阻止することができる。
【0044】
[0055]図9は、本発明の別の実施形態による静電チャック902の部分の断面図を例示している。この静電チャック902は、流体分配要素922を備える。この流体分配要素922は、開口944及び誘電体プラグ980を有するプレート940を備える。このプレート940は、チャネル934及びこのプレート940がプレナム936を形成するように、本体920に結合されている。これらプレート940及び本体920は、本発明の他の実施形態に関して前述したようにして組み合わされる。誘電体プラグ980の直径は、開口944の直径と実質的に整合している。誘電体プラグ980は、開口944に配置され、一般的には、そこに圧力ばめされている。誘電体層224は、本体920の少なくとも一部分及び流体分配要素922の少なくとも一部分を覆い、それにより、支持表面928を形成している。誘電体層224は、本体920の上部表面及び流体分配要素922の上にスプレーされて、望ましい厚さまで研磨されたものでよい。この誘電体層224及び誘電体プラグ980を貫通する孔982が形成されている。この孔982は、流体がプレナム936から静電チャック902の支持表面928へと流れるようにする。この孔982は、機械的ドリリング、レーザドリリング等の種々な技法を使用して形成することができる。この孔982は、誘電体物質のみを貫通して形成される。従って、そのドリリング処理による金属残留物は、その軸方向貫通孔982には形成されない。このような金属残留物が無いので、孔982におけるプラズマ形成又はアーキングの可能性は制限されている。
【0045】
[0056]図10は、本発明の別の実施形態による静電チャック1002の部分の断面図を例示している。この静電チャック1002は、流体分配要素1022を備える。この流体分配要素1022は、プレート1040及び誘電体キャップ1042を備える。プレート1040は、2つの円形リング1040A及び1040Bを備える。リング1040Aは、リング1040Bより小さい直径を有している。各リング1040A及び1040Bは、上方チャネル404Bの底部に形成された棚部406に載っている。プレート1040は、本体1020に接合されており、このプレートは上方チャネル404Bに保持されている。(プレナム1036を形成するようにリング形状とされた)誘電体キャップ1042は、上方チャネル404B内へ挿入されていて、プレート1040に載っている。
【0046】
[0057]別の実施形態では、プレート1040は、複数の皿孔を有する逆U字形断面(例えば、図4のプレート440)を備えることができる。要素1042と同様な断面を有する円形(ドーナツ形)誘電体要素を、そのような皿孔へ挿入することができる。流体分配要素1022は、本体1020に結合され、この流体分配要素1022とチャネル1034とでプレナム1036が形成される。誘電体層224は、本体1020の少なくとも一部分及び流体分配要素1022の少なくとも一部分を覆い、それにより、支持表面1028を形成している。誘電体層224は、本体1020の上部表面及び流体分配要素1022の上にスプレーされ、望ましい厚さまで研磨されたものでよい。誘電体層224及び誘電体キャップ1042を貫通する孔1082が形成されている。この孔1082は、機械的ドリリング、レーザドリリング等のような種々な技法を使用して孔あけすることができる。図9の実施形態の場合のように、この孔1082は、誘電体物質のみを通して形成されている。従って、この孔1082には、導電性残留物は残らない。
【0047】
[0058]前述した実施形態の各々においては、本発明の流体分配要素を使用した静電チャックがプラズマ形成又はアーキングによって損傷されるようなありそうもないことが起きても、多くの方法を使用して、このチャックを容易に修理(又は再生)することができるのである。一般的には、損傷を生ずるようなプラズマ形成又はアーキング」は、誘電体コンポーネント(チューブ、多孔性インサート等)の近く又は内部で生ずる。従って、誘電体層を局部的に(誘電体コンポーネントの上)又は全体的に(全チャックに亘って)取り除いて、その誘電体コンポーネントを露出させることができる。それから、そのコンポーネントをドリルアウト又は引き出すための引出し工具を使用して、そのコンポーネントを取り外すことができる。取り外したとき、新しい誘電体コンポーネントを挿入して、誘電体層を、必要に応じて、局部的又は全体的に取り換えることができる。ある実施形態では、その誘電体コンポーネントは、(前述したように)チャックの支持表面まで延長しているので、引出し前に誘電体層を取り除く必要はない。これらのような場合には、損傷された誘電体コンポーネントを取り外し、新しい誘電体コンポーネントをそのプレートの開口内へと(一般的には、圧力ばめで)挿入する。このようにして、静電チャックの修理は、熱移送流体通路における又はその近くにおけるアーキング又はプラズマ形成のため静電チャック全体を交換しなければならないのと比べて、実質的に節約された形で行うことができるのである。
【0048】
[0059]本発明の種々な実施形態について前述してきたのであるが、本発明の基本的範囲から逸脱せずに、本発明の他の更なる実施形態が考えられるものであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載により決定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の種々な実施形態による流体分配要素を有する静電チャックを備えるプラズマによる基板処理システムを例示している。
【図2】図1の静電チャックの上面図を例示している。
【図2A】図2の静電チャックの部分の部分断面斜視図を例示している。
【図3】線3−3に沿ってとった図2の静電チャックの断面図を例示している。
【図4】本発明の一実施形態による静電チャックの流体分配要素の断面図を示している。
【図5】別の実施形態による静電チャックの流体分配要素の断面図を示している。
【図6】別の実施形態による静電チャックのための流体分配要素の断面図を示している。
【図7】本発明の更に別の実施形態による静電チャックの流体分配要素の断面図を示している。
【図8】本発明の種々な実施形態による静電チャックの流体分配要素の断面図を示している。
【図9】本発明の種々な実施形態による静電チャックの流体分配要素の断面図を示している。
【図10】本発明の種々な実施形態による静電チャックの流体分配要素の断面図を示している。
【符号の説明】
【0050】
36…プラズマによる基板処理システム、38…処理チャンバ、40…真空システム、42…ソースプラズマシステム、44…バイアスプラズマシステム、46…ガス分配システム、48…リモートプラズマクリーニングシステム、50…ドーム、52…プラズマ処理領域、54…基板、56…基板支持部材、58…ヒータープレート、60…コールドプレート、62…本体部材、64…ベース部材、66…基板受入れ部分、68…静電チャック、70…スロットル本体、72…マルチブレードスロットル弁、74…ゲート弁、76…ターボ分子ポンプ、78…上部コイル、80…側部コイル、82…上部高周波ソース発生器、84…側部高周波ソース発生器、86…高周波バイアス発生器、88…バイアス整合回路網、89…整合回路網、90…整合回路網、92…ガス分配ライン、92a…分配ライン、92b…分配ライン、94…ガスリング、95…挿入/取出し開口、96…上部ノズル、98…上部ベント、100a…ガス源、100b…ガス源、100c…ガス源、100d…ガス源、100e…ガス源、102…静電チャック、102a…流れコントローラ、102b…流れコントローラ、102c…流れコントローラ、102d…流れコントローラ、102e…流れコントローラ、104…基板、106…第2のガスノズル、108…第1のガスノズル、112…弁、112a…弁、112b…弁、114…真空フォアライン、120a…流れコントローラ、120b…流れコントローラ、120c…流れコントローラ、132…システムコントローラ、134…プロセッサ、136…メモリ、220…本体、222…流体分配要素、224…誘電体層、228…支持表面、230…孔、332…上部表面、334…チャネル、336…プレナム、338…導管、402…静電チャック、404…ジュアルダマシンチャネル、404A…下方チャネル、404B…上方チャネル、406…棚部、408…上面、410…チャネル、412…フランジ、414…線、416…誘電体層、422…流体分配要素、428…支持表面、436…プレナム、440…プレート、442…誘電体チューブ、444…開口、445…通路、446…第1の端部、448…第2の端部、450…軸方向貫通孔、502…静電チャック、528…表面、534…チャネル、536…プレナム、542…誘電体チューブ、545…通路、556…段、602…静電チャック、604…第2の端部、606…第1の端部、628…支持表面、636…プレナム、642…誘電体チューブ、645…通路、656…ノッチ、702…静電チャック、720…本体、722…流体分配要素、724…誘電体層、734…チャネル、740…プレート、742…誘電体チューブ、746…第1の端部、748…第2の端部、750…軸方向貫通孔、760…誘電体エンドキャップ、762…開口、802…静電チャック、820…本体、822…流体分配要素、824…誘電体層、828…支持表面、834…チャネル、836…プレナム、840…プレート、844…開口、845…通路、870…多孔性誘電体セグメント、902…静電チャック、920…本体、922…流体分配要素、928…支持表面、934…チャネル、936…プレナム、940…プレート、944…開口、980…誘電体プラグ、982…孔、1002…静電チャック、1020…本体、1022…流体分配要素、1028…支持表面、1036…プレナム、1040…プレート、1040A…円形リング、1040B…円形リング、1042…誘電体キャップ、1082…孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電チャックの少なくとも一部分を再生するための方法において、
上記静電チャックの流体分配要素から第1の誘電体コンポーネントを取り外すステップと、
上記第1の誘電体コンポーネントを第2の誘電体コンポーネントと置き換えるステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
上記第1の誘電体コンポーネントを露出するように誘電体層の少なくとも一部分を取り除くステップと、
上記第1の誘電体コンポーネントを上記第2の誘電体コンポーネントと置き換えた後、上記誘電体層の上記取り除いた少なくとも一部分を上記誘電体層の新しい少なくとも一部分と置き換えるステップと、
を更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記第2の誘電体コンポーネントは、上記流体分配要素における開口へ圧力ばめされる、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
上記第1又は第2の誘電体コンポーネントのうち少なくとも1つは、チューブを含む、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
上記第1又は第2の誘電体コンポーネントのうち少なくとも1つは、多孔性プラグを含む、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
上記第1又は第2の誘電体コンポーネントのうち少なくとも1つは、セラミックを含む、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
上記セラミックは、アルミナを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上記取り外すステップは、上記第1の誘電体コンポーネントをドリリングする段階を含む、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
上記置き換えられた誘電体層を研磨するステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
チャネルを含む本体と、
開口を含み、プレナムを形成するため上記チャネルに結合されるように適応されたプレートと、
上記プレナムからの流体通路の少なくとも一部分を画成するため上記開口に配置された誘電体コンポーネントと、
基板支持表面を形成するため上記本体の少なくとも一部分及び上記プレートの少なくとも一部分を覆う誘電体層と、
上記流体通路の部分を形成するために上記誘電体コンポーネントを覆う多孔性誘電体層と、
を備える静電チャック。
【請求項11】
上記流体通路は、上記プレナムから上記基板支持表面への視線路を形成していない、請求項10に記載の静電チャック。
【請求項12】
上記誘電体コンポーネントは、第1の端部、第2の端部及び軸方向貫通孔を含む誘電体チューブであり、上記誘電体チューブは、上記プレートにおける上記開口内へ配置されており、上記誘電体層は、上記誘電体チューブの上記第1の端部の少なくとも一部分を覆っており、上記軸方向貫通孔及び上記誘電体層の上記少なくとも一部分は、上記流体通路を形成している、請求項10に記載の静電チャック。
【請求項13】
半導体基板を処理するための装置において、
処理領域を画成するチャンバと、
上記処理領域に半導体基板を保持するための請求項10から12のいずれかに記載の静電チャックと、
を備える装置。
【請求項14】
静電チャックを形成する方法において、
プレナムを形成するため本体におけるチャネルへプレートを配置するステップと、
上記プレナムからの通路の部分を画成する誘電体コンポーネントを上記プレートにおける開口へ挿入するステップと、
支持表面を形成するため上記本体の少なくとも一部分及び上記プレートの少なくとも一部分を覆う誘電体層を堆積するステップと、
上記誘電体層を特定の厚さまで研磨するステップと、
上記支持表面と上記プレナムとの間の通路を画成するため上記誘電体層及び上記誘電体コンポーネントを貫通する開口を形成するステップと、
を備えた方法。
【請求項15】
上記誘電体コンポーネントは、第1の端部、第2の端部、及び上記第1の端部及び上記第2の端部を接続する軸方向貫通孔を備える誘電体チューブを含み、
上記チャネル内にエンドキャップを配置して、上記誘電体チューブの上記第2の端部が上記誘電体エンドキャップの内側へ延長するが、ギャップを形成するようにそこから離間され、上記ギャップ及び上記貫通孔が上記通路を形成するようにするステップ、又は、
上記誘電体チューブを上記開口内へ配置し、上記第1の端部の少なくとも一部分を上記誘電体層で覆い、上記軸方向貫通孔及び上記誘電体層の少なくとも一部分が上記通路を形成するようにするステップ、
を更に備えた、請求項14に記載の方法。
【請求項1】
静電チャックの少なくとも一部分を再生するための方法において、
上記静電チャックの流体分配要素から第1の誘電体コンポーネントを取り外すステップと、
上記第1の誘電体コンポーネントを第2の誘電体コンポーネントと置き換えるステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
上記第1の誘電体コンポーネントを露出するように誘電体層の少なくとも一部分を取り除くステップと、
上記第1の誘電体コンポーネントを上記第2の誘電体コンポーネントと置き換えた後、上記誘電体層の上記取り除いた少なくとも一部分を上記誘電体層の新しい少なくとも一部分と置き換えるステップと、
を更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記第2の誘電体コンポーネントは、上記流体分配要素における開口へ圧力ばめされる、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
上記第1又は第2の誘電体コンポーネントのうち少なくとも1つは、チューブを含む、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
上記第1又は第2の誘電体コンポーネントのうち少なくとも1つは、多孔性プラグを含む、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
上記第1又は第2の誘電体コンポーネントのうち少なくとも1つは、セラミックを含む、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
上記セラミックは、アルミナを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上記取り外すステップは、上記第1の誘電体コンポーネントをドリリングする段階を含む、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
上記置き換えられた誘電体層を研磨するステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
チャネルを含む本体と、
開口を含み、プレナムを形成するため上記チャネルに結合されるように適応されたプレートと、
上記プレナムからの流体通路の少なくとも一部分を画成するため上記開口に配置された誘電体コンポーネントと、
基板支持表面を形成するため上記本体の少なくとも一部分及び上記プレートの少なくとも一部分を覆う誘電体層と、
上記流体通路の部分を形成するために上記誘電体コンポーネントを覆う多孔性誘電体層と、
を備える静電チャック。
【請求項11】
上記流体通路は、上記プレナムから上記基板支持表面への視線路を形成していない、請求項10に記載の静電チャック。
【請求項12】
上記誘電体コンポーネントは、第1の端部、第2の端部及び軸方向貫通孔を含む誘電体チューブであり、上記誘電体チューブは、上記プレートにおける上記開口内へ配置されており、上記誘電体層は、上記誘電体チューブの上記第1の端部の少なくとも一部分を覆っており、上記軸方向貫通孔及び上記誘電体層の上記少なくとも一部分は、上記流体通路を形成している、請求項10に記載の静電チャック。
【請求項13】
半導体基板を処理するための装置において、
処理領域を画成するチャンバと、
上記処理領域に半導体基板を保持するための請求項10から12のいずれかに記載の静電チャックと、
を備える装置。
【請求項14】
静電チャックを形成する方法において、
プレナムを形成するため本体におけるチャネルへプレートを配置するステップと、
上記プレナムからの通路の部分を画成する誘電体コンポーネントを上記プレートにおける開口へ挿入するステップと、
支持表面を形成するため上記本体の少なくとも一部分及び上記プレートの少なくとも一部分を覆う誘電体層を堆積するステップと、
上記誘電体層を特定の厚さまで研磨するステップと、
上記支持表面と上記プレナムとの間の通路を画成するため上記誘電体層及び上記誘電体コンポーネントを貫通する開口を形成するステップと、
を備えた方法。
【請求項15】
上記誘電体コンポーネントは、第1の端部、第2の端部、及び上記第1の端部及び上記第2の端部を接続する軸方向貫通孔を備える誘電体チューブを含み、
上記チャネル内にエンドキャップを配置して、上記誘電体チューブの上記第2の端部が上記誘電体エンドキャップの内側へ延長するが、ギャップを形成するようにそこから離間され、上記ギャップ及び上記貫通孔が上記通路を形成するようにするステップ、又は、
上記誘電体チューブを上記開口内へ配置し、上記第1の端部の少なくとも一部分を上記誘電体層で覆い、上記軸方向貫通孔及び上記誘電体層の少なくとも一部分が上記通路を形成するようにするステップ、
を更に備えた、請求項14に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−65133(P2009−65133A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−198466(P2008−198466)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198466(P2008−198466)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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