説明

プラズマ処理装置及び酸化膜の形成方法

【課題】プラズマ発生のために誘導結合型の電極を用いることにより、プラズマ形成ボックス内の壁面がエッチングされることを防止することが可能なプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】真空引き可能になされた筒体状の処理容器14と、複数の被処理体Wを保持して前記処理容器内へ挿脱される保持手段22と、前記処理容器内へガスを供給するガス供給手段38と、前記ガスをプラズマにより活性化する活性化手段60とを有して前記被処理体にプラズマ処理を施すようにしたプラズマ処理装置において、前記活性化手段は、前記処理容器の長手方向に沿って設けられるプラズマ形成ボックス64と、前記プラズマ形成ボックスに沿って設けられる誘導結合型の電極66と、前記誘導結合型の電極に接続された高周波電源68とよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体にプラズマを用いて成膜処理やエッチング処理等を実施するためのプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路を製造するためにはシリコン基板等よりなる半導体ウエハに対して、成膜処理、エッチング処理、酸化処理、拡散処理、改質処理、自然酸化膜の除去処理等の各種の処理が行なわれる。これらの処理を特許文献1等に開示されている縦型の、いわゆるバッチ式の熱処理装置にて行う場合には、まず、半導体ウエハを複数枚、例えば25枚程度収容できるカセットから、半導体ウエハを縦型のウエハボートへ移載してこれに多段に支持させる。このウエハボートは、例えばウエハサイズにもよるが30〜150枚程度のウエハを載置できる。このウエハボートは、排気可能な処理容器内にその下方より搬入(ロード)された後、処理容器内が気密に維持される。そして、処理ガスの流量、プロセス圧力、プロセス温度等の各種のプロセス条件を制御しつつ所定の熱処理が施される。
【0003】
ここで一例として半導体製造工程における絶縁膜等について注目すると、一般的には、この絶縁膜に関してはSiO 膜が主として用いられていた。しかし、最近にあっては、半導体集積回路の更なる高集積化、高微細化の要請が強くなっている。このような状況下において、耐酸化膜、不純物の拡散防止膜、ゲート素子のサイドウォール膜等の絶縁膜としてシリコン窒化膜(Si 膜)が用いられている。このシリコン窒化膜は、不純物の拡散係数が低く、且つ酸化バリヤ性が高いことから、上述したような絶縁膜として非常に適している。
【0004】
また更には、今日においては動作速度の高速化も更に要請されており、この要請に応えるために、例えば不純物としてボロン(B)等を添加して形成したシリコン窒化膜が、誘電率を非常に小さくして寄生容量を大幅に抑制することが可能な絶縁膜として提案されている(特許文献1)。
【0005】
また、上述した要請に加えて、プロセス処理時における低温化が求められており、これに対応してプロセス時のウエハ温度が低くても反応を促進させることができるプラズマを用いたプラズマ処理装置が提案されている(特許文献2、3等)。
【0006】
上記したプラズマ処理装置の一例を説明すると、図25は上記した従来の縦型のプラズマ処理装置の一例を示す概略模式図、図26は図25中のプラズマボックスの一部を示す断面図である。図25において、内部雰囲気が真空引き可能になされた石英製の円筒体状の処理容器2内には、図示しない半導体ウエハが多段に支持されており、この処理容器2の側壁には、この高さ方向に沿って断面が矩形状になされたプラズマ形成ボックス4が設けられている。そして、このボックス4内にプラズマにより活性化するガスを流すガスノズル5が設けてある。そして、図26にも示すように、このプラズマ形成ボックス4の区画壁の外側両側に、それぞれ独立したプラズマ電極6をボックスの高さ方向に沿って設け、この両プラズマ電極6間にプラズマ発生用の高周波電源8からの、例えば13.56MHzの高周波電力を印加するようになっている。
【0007】
これにより、上記両プラズマ電極6は平行平板型の電極となって、両プラズマ電極6間に高周波電力が印加されると容量結合によってプラズマが発生し、このプラズマによってプラズマボックス4内に供給されたガスが活性化され、形成された活性種によって反応等が促進されることになる。尚、このような方式のプラズマ処理装置を一般的には容量結合プラズマ[CCP(Capacitively Coupled Plasma)]方式のプラズマ処理装置と称す。
【0008】
【特許文献1】特開平6−275608号公報
【特許文献2】特開2006−270016号公報
【特許文献3】特開2007−42823号公報
【特許文献4】国際公開2006/093136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した容量結合プラズマ方式によるプラズマ処理装置では、成膜等の反応をプラズマのアシストにより促進させることができるので、ウエハ温度が比較的低くても所望するプラズマ処理を行うことができる。
【0010】
しかしながら、この場合には、プラズマ形成ボックス4の石英よりなる内壁が、イオンシースにかかる電位差により加速されたプラズマ中のイオンによりスパッタされてエッチングされ、この結果、石英構成成分であるSi成分やO成分がプラズマ形成ボックス4の内面やその周辺部に付着してパーティクルの発生の要因になる、といった問題があった。
また、処理効率を上げるために大きな電力を投入して電子密度を上げようとしても、大電力を投入すると上記したパーティクルの発生量が急激に増大し、このため電子密度を向上させることが困難であった。
【0011】
この場合、印加する高周波電力の周波数を高くすることにより、電子温度を低くしてエッチングを抑制すると共にラジカル密度を上げて反応を促進させることも考えられるが、周波数が大きくなると高周波電源自体も大型化して装置コストが大幅に増大する、といった問題があった。そこで、特許文献4に示されるように、1ターンのU字形のコイルを用いた放電電極を備えたプラズマ処理装置も提案されているが、実用化には困難性が伴っていた。
【0012】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、プラズマ発生のために誘導結合型の電極を用いることにより、プラズマ形成ボックス内の壁面がエッチングされることを防止すると共に、大電力の投入を可能にして電子密度を高くすることが可能なプラズマ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明は、真空引き可能になされた筒体状の処理容器と、複数の被処理体を保持して前記処理容器内へ挿脱される保持手段と、前記処理容器内へガスを供給するガス供給手段と、前記ガスをプラズマにより活性化する活性化手段とを有して前記被処理体にプラズマ処理を施すようにしたプラズマ処理装置において、前記活性化手段は、前記処理容器の長手方向に沿って設けられるプラズマ形成ボックスと、前記プラズマ形成ボックスに沿って設けられる誘導結合型の電極と、前記誘導結合型の電極に接続された高周波電源とよりなることを特徴とするプラズマ処理装置である。
【0014】
このように、プラズマを発生させる活性化手段の一部としてプラズマ形成ボックスに沿って誘導結合型の電極を用いるようにしたので、プラズマ形成ボックス内の壁面がエッチングされることを防止すると共に、大電力の投入を可能にして電子密度を高くすることができる。また、電子密度を高くすることによって、処理効率も向上させることができる。
【0015】
この場合、例えば請求項2に記載したように、前記ガス供給手段は、前記ガスを供給するためのガスノズルを有し、前記プラズマ形成ボックス内には前記ガスノズルが設けられている。
また例えば請求項3に記載したように、前記プラズマ形成ボックスは、前記処理容器の外側に、前記処理容器の側壁に沿って設けられる。
また例えば請求項4に記載したように、前記プラズマ形成ボックスは、前記処理容器の内側に、前記処理容器の側壁に沿って設けられる。
また例えば請求項5に記載したように、前記高周波電源からの高周波電力の周波数は4MHz〜27.12MHzの範囲内である。
また例えば請求項6に記載したように、前記プラズマ形成ボックスと前記誘導結合型の電極との間に、静電シールドを設ける。
また例えば請求項7に記載したように、前記誘導結合型の電極は、前記プラズマ形成ボックスの側面に沿って設けられる。
【0016】
また例えば請求項8に記載したように、前記誘導結合型の電極は、前記プラズマ形成ボックスの一端で折り返されて前記プラズマ形成ボックスの両側壁に沿って設けられる。
また例えば請求項9に記載したように、前記誘導結合型の電極は、前記プラズマ形成ボックスの側壁に沿って半ターン、1ターン又は複数ターン巻回して設けられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るプラズマ処理装置によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
プラズマを発生させる活性化手段の一部としてプラズマ形成ボックスに沿って誘導結合型の電極を用いるようにしたので、プラズマ形成ボックス内の壁面がエッチングされることを防止すると共に、大電力の投入を可能にして電子密度を高くすることができる。また、電子密度を高くすることによって、処理効率も向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明に係るプラズマ処理装置の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
<第1実施形態>
図1は本発明の係るプラズマ処理装置の第1実施形態の一例を示す縦断面構成図、図2はプラズマ処理装置(加熱手段は省略)を示す横断面構成図、図3はプラズマ処理装置の誘導結合型の電極の部分を主に取り出して示す概略斜視図、図4は誘導結合型の電極を含む回路を示すブロック構成図である。尚、ここではシラン系ガスとしてジクロロシラン(DCS)を用い、窒化ガスとしてアンモニアガス(NH )を用い、上記NH ガスをプラズマにより活性化してシリコン窒化膜(SiN)を成膜する場合を例にとって説明する。
【0019】
図示するように、プラズマ処理装置12は、下端が開口された有天井の円筒体状の処理容器14を有している。この処理容器14の全体は、例えば石英により形成されており、この処理容器14内の天井には、石英製の天井板16が設けられて封止されている。また、この処理容器14の下端開口部には、例えばステンレススチールにより円筒体状に成形されたマニホールド18がOリング等のシール部材20を介して連結されている。尚、このマニホールド18の部分も石英で構成し、上記処理容器14と一体化して形成される場合もある。
【0020】
上記処理容器14の下端は、上記マニホールド18によって支持されており、このマニホールド18の下方より多数枚の被処理体としての半導体ウエハWを多段に載置した保持手段としての石英製のウエハボート22が昇降可能に挿脱自在になされている。本実施例の場合において、このウエハボート22の支柱22Aには、例えば50〜150枚程度の直径が300mmのウエハWを略等ピッチで多段に支持できるようになっている。
【0021】
このウエハボート22は、石英製の保温筒24を介してテーブル26上に載置されており、このテーブル26は、マニホールド18の下端開口部を開閉する例えばステンレススチール製の蓋部28を貫通する回転軸30上に支持される。そして、この回転軸30の貫通部には、例えば磁性流体シール32が介設され、この回転軸30を気密にシールしつつ回転可能に支持している。また、蓋部28の周辺部とマニホールド18の下端部には、例えばOリング等よりなるシール部材34が介設されており、処理容器14内のシール性を保持している。
【0022】
上記した回転軸30は、例えばボートエレベータ等の昇降機構(図示せず)に支持されたアーム36の先端に取り付けられており、ウエハボート22及び蓋部28等を一体的に昇降して処理容器14内へ挿脱できるようになされている。尚、上記テーブル26を上記蓋部28側へ固定して設け、ウエハボート22を回転させることなくウエハWの処理を行うようにしてもよい。
【0023】
このマニホールド18には、処理容器14内の方へプラズマ化される窒化ガスとして、例えばアンモニア(NH )ガスを供給する第1のガス供給手段38と、成膜ガスであるシラン系ガスとして例えばDCS(ジクロロシラン)ガスを供給する第2のガス供給手段40と、パージガスとして不活性ガス、例えばN ガスを供給する第3のガス供給手段42とが設けられる。具体的には、上記第1のガス供給手段38は、上記マニホールド18の側壁を内側へ貫通して上方向へ屈曲されて延びる石英管よりなる第1のガスノズル44を有している。この第1のガスノズル44には、その長さ方向に沿って複数(多数)のガス噴射孔44Aが所定の間隔を隔てて形成されて分散形のガスノズルとなっており、各ガス噴射孔44Aから水平方向に向けて略均一にアンモニアガスを噴射できるようになっている。
【0024】
また同様に上記第2のガス供給手段40も、上記マニホールド18の側壁を内側へ貫通して上方向へ屈曲されて延びる石英管よりなる第2のガスノズル46を有している。上記第2のガスノズル46には、その長さ方向に沿って複数(多数)のガス噴射孔46Aが所定の間隔を隔てて形成されて分散形のガスノズルとなっており、各ガス噴射孔46Aから水平方向に向けて略均一にシラン系ガスであるDCSガスを噴射できるようになっている。
【0025】
また同様に上記第3のガス供給手段42は、上記マニホールド18の側壁を貫通して設けた第3のガスノズル48を有している。上記各ノズル44、46、48には、それぞれのガス通路52、54、56が接続されている。そして、各ガス通路52、54、56には、それぞれ開閉弁52A、54A、56A及びマスフローコントローラのような流量制御器52B、54B、56Bが介設されており、NH ガス、DCSガス及びN ガスをそれぞれ流量制御しつつ供給できるようになっている。
【0026】
そして、上記処理容器14の一側には、その高さ方向に沿ってプラズマを発生させてガスを活性化させる活性化手段60が形成されると共に、この活性化手段60に対向する処理容器14の反対側には、この内部雰囲気を真空排気するために処理容器14の側壁を、例えば上下方向へ削りとることによって形成した細長い排気口62が設けられている。この活性化手段60は、処理容器14の長手方向に沿って設けられるプラズマ形成ボックス64と、このプラズマ形成ボックス64に沿って設けられる誘導結合型の電極66と、この誘導結合型の電極66に接続された高周波電源68とにより主に構成されている。
【0027】
具体的には、上記プラズマ形成ボックス64は、上記処理容器14の側壁を上下方向に沿って所定の幅で削りとることによって上下に細長い開口70を形成し、この開口70をその外側より覆うようにして断面コ字状になされた上下に細長い例えば石英製のプラズマ区画壁72を容器外壁に気密に溶接接合することにより形成されている。すなわち、このプラズマ区画壁72は、対向する一対の側壁72A、72Bと、この側壁72A、72Bの一端側、すなわち外周側を連結する背面壁73とよりなっている。尚、この側壁72A、72Bの上下端も区画壁により閉じられている。
【0028】
これにより、この処理容器14の側壁の外側に、断面コ字状に窪ませて一側が処理容器14内へ開口されて連通されたプラズマ形成ボックス64が一体的に形成されることになる。すなわちプラズマ区画壁72の内部空間はプラズマ形成領域となっており、上記処理容器14内に一体的に連通された状態となっている。上記開口70は、ウエハボート22に保持されている全てのウエハWを高さ方向においてカバーできるように上下方向に十分に長く形成されている。
【0029】
そして、上記誘導結合型の電極66は、上記プラズマ区画壁72の両側壁の外側面に沿って、その長さ方向(上下方向)に沿って略1周するようにして設けられる。すなわち、この誘導結合型の電極66は、図3にも示すようにプラズマ区画壁72の上端で折り返されており、略1ターンのコイルとして形成されている。そして、この誘導結合型の電極66の基端部側は、図4にも示すようにインピーダンス整合を図るためのマッチング回路74が途中に介設されて更に給電ライン76を介して上記高周波電源68に接続されている。そして、上記マッチング回路74と高周波電源68との間では、調整信号78(図4参照)が送られてインピーダンスを自動調整する。
【0030】
図4中では上記給電ライン76としては、同軸ケーブルが用いられている。また、マッチング回路74よりも先端側が電極66となっている。そして、上記誘導結合型の電極66の一端が接地された状態となっている。ここで上記高周波電源68の周波数としては、例えば13.56MHzが用いられるが、これに限定されず、4MHz〜27.12MHzの範囲内の周波数を用いることができる。
【0031】
これにより、上記誘導結合型の電極66に供給される高周波電力によってプラズマ形成ボックス64内に生ずる誘導結合型の電磁場によりプラズマが形成されることになる。ここで上記プラズマ形成ボックス64の長さは1m程度である。また、幅H1(図2参照)は20〜100mm程度であって、例えば55mm程度に設定され、厚さH2は25〜50mm程度であって、例えば35mmに設定されている。また、誘導結合型の電極66は例えばニッケル合金により形成され、その厚さは3〜5mm程度、幅は2〜10mm程度、全長は4〜5.5m程度である。
【0032】
そして、上記処理容器14内を上方向に延びて行く第1のガスノズル44は途中で処理容器14の半径方向外方へ屈曲されて、上記プラズマ区画壁72内の一番奥(処理容器14の中心より一番離れた部分)に位置され、この一番奥の部分に沿って上方に向けて起立させて設けられている。従って、高周波電源68がオンされている時に上記第1のガスノズル44の各ガス噴射孔44Aから噴射されたアンモニアガスはここで活性化されて処理容器14の中心に向けて拡散しつつ流れるようになっている。
【0033】
そして上記プラズマ区画壁72の外側には、これを覆うようにして例えば石英よりなる絶縁保護カバー(図示せず)が取り付けられている。また、この絶縁保護カバーの内側部分には、図示しない冷媒通路が設けられており、冷却された窒素ガスを流すことにより上記誘導結合型の電極66を冷却し得るようになっている。
【0034】
そして上記プラズマ区画壁72の開口70の処理容器14内側には、上記第2のガスノズル46が片側に起立させて設けられており、第2のガスノズル46に設けた各ガス噴射孔46Aより処理容器14の中心方向に向けてシラン系ガスを噴射し得るようになっている。
【0035】
一方、上記開口70に対向させて設けた排気口62には、これを覆うようにして石英よりなる断面コ字状に成形された排気口カバー部材80が溶接により取り付けられている。この排気口カバー部材80は、上記処理容器14の側壁に沿って上方に延びており、処理容器14の上方のガス出口82より図示しない真空ポンプ等を介設した真空排気系により真空引きされる。そして、この処理容器14の外周を囲むようにしてこの処理容器14及びこの内部のウエハWを加熱する筒体状の加熱手段84が設けられている。
【0036】
そして、図1に戻って、このプラズマ処理装置12の動作全体の制御、例えばガスの供給の開始及び供給の停止、高周波電源68の電力の設定や、このオン・オフ、プロセス温度やプロセス圧力の設定等は例えばコンピュータ等よりなる装置制御部86により行われる。そして、この装置制御部86は、このプラズマ処理装置12の全体の動作も制御することになる。またこの装置制御部86は、上記各種ガスの供給や供給停止の制御、高周波のオン・オフ制御及び装置全体の動作を制御するためのコンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶する例えばフロッピディスクやフラッシュメモリやハードディスクやコンパクトディスク等の記憶媒体88を有している。
【0037】
次に、以上のように構成されたプラズマ処理装置を用いて行なわれるプラズマによる成膜方法(いわゆるALD[Atomic Layer Deposition]成膜)について説明する。ここでは成膜処理として、ウエハ表面に低温で間欠的にプラズマを用いてシリコン窒化膜(SiN)を形成する場合を例にとって説明する。すなわち、上記シラン系ガスであるDCSガスと上記窒化ガスであるアンモニアガスとを交互に供給すると共に、上記窒化ガスはプラズマにより活性化させるようにしている。
【0038】
まず、常温の多数枚、例えば50〜150枚の300mmサイズのウエハWが載置された状態のウエハボート22を予め所定の温度になされた処理容器14内にその下方より上昇させてロードし、蓋部28でマニホールド18の下端開口部を閉じることにより容器内を密閉する。
【0039】
そして処理容器14内を真空引きして所定のプロセス圧力に維持すると共に、加熱手段84への供給電力を増大させることにより、ウエハ温度を上昇させてプロセス温度を維持し、上記DCSガスとNH ガスとを第2のガス供給手段40及び第1のガス供給手段38からそれぞれ交互に間欠的に供給する。これにより、回転しているウエハボート22に支持されているウエハWの表面にシリコン窒化膜(SiN)を形成する。この際、NH ガスを単独で供給する時に、全供給時間に亘って、或いは全供給時間の一部において高周波電源(RF電源)68をオンして活性化手段60のプラズマ形成ボックス64内にプラズマを立てるようにする。
【0040】
具体的には、NH ガスは第1のガスノズル44の各ガス噴射孔44Aから水平方向へ噴射され、また、DCSガスは第2のガスノズル46の各ガス噴射孔46Aから水平方向へ噴射され、各ガスが反応してシリコン窒化膜(SiN)が形成される。この場合、上記各ガスは、連続的に供給されるのではなく、互いにタイミングを同じにして、或いはタイミングをずらして供給する。そして、タイミングをずらしたガス同士は、間に間欠期間(パージ期間)を挟んで交互に間欠的に繰り返し供給され、シリコン窒化膜の薄膜を一層ずつ繰り返し積層する。そして、NH ガスを流す時には、高周波電源68がオンされてプラズマが立てられて、供給されるNH ガスを活性化して活性種等が作られ、反応(分解)が促進される。この時の高周波電力68の出力は、例えば50W〜3kWの範囲内である。
【0041】
ここで、本発明ではプラズマ形成ボックス64内に、すなわちプラズマ形成領域内にプラズマを形成するに際して、従来装置で用いた平行平板型の容量結合型の電極ではなく、誘導結合型の電極66を用いているので、この電極66による電磁場によって発生するプラズマに関しては、イオンシース電位差が小さくなり、この結果、プラズマ中のイオンの加速度が小さくなるので、プラズマ区画壁72の内面がイオンのスパッタによりエッチングされることを防止することができる。このため、半導体製品の歩留まり低下の原因となるパーティクルの発生を大幅に抑制することができる。
【0042】
また上述したように誘導結合型の電極66を用いることで、高周波電力や周波数を上げることなくラジカル密度を向上させることができるので、プラズマ処理を効率的に行うことが可能となる。すなわち、大電力の投入が可能になるので、パーティクルの発生を抑制しつつ電子密度を高くすることができ、この結果、プラズマ処理効率を向上させることができる。
【0043】
ここで、上記誘導結合型の電極66によるプラズマ形成ボックス64内における電流の分布状態について説明する。図5はプラズマ形成ボックス内における電流の分布状態を示す図である。図5(A)は誘導結合型の電極66を直線状に延ばした時の電流の状態を示す図、図5(B)は誘導結合型の電極66をプラズマ形成ボックス64の一端(上端)で折り曲げた時の電流の状態を示す図である。図中、”BTM”はウエハボート22の底部に対応する部分を示し、”TOP”はウエハボート22の上部に対応する部分を示す。
【0044】
ここで高周波電力の周波数は13.56MHz(波長=約22m)、誘導結合型の電極66の長さは4m、プラズマ形成ボックス64の長さは1mである。上記誘導結合型の電極66の一端は接地端となっており、この接地端で電流が反射している。図5(A)において、中心の太い線が誘導結合型の電極66を示しており、右端が接地端となっている。電流の進行波iは、実線で示され、以下のような式となっている。
i=I sin(ωt−kx)
ここで、I は振幅、ωは角速度、tは時間、kは正数、xは図中の横方向における場所を示している。
また電流の反射波i’は、以下の式のようになる。
i’=I sin(ωt+kx)
【0045】
この時の電流の定在波Iは波線で示され、以下のような式となる。
I=2I sinωt・coskx
ここで、本実施例のように、上記誘導結合型の電極66をプラズマ形成ボックス64の一端(右端)で折り曲げると、電流の定在波は図5(B)に示すようになる。尚、図中ではプラズマ形成ボックス64の厚さは無視している。この場合、プラズマ形成ボックス64の中心軸90における誘導電界のバラツキはTOPとBTMで±2〜3%程度となって非常に少なくなっている。
【0046】
この理由は、誘導結合型の電極66をプラズマ形成ボックス64の一端(TOP側)で折り曲げ、同ボックス64の両側に対称に配置することで、同ボックス64の中心軸90における誘導電界が、両側の電極66が生成するそれぞれの誘導電界の重ね合わせたものとなるためである。
従って、このように上記誘導結合型の電極66を折り返して実質的に1ターンのコイルとして形成して誘導電界を重ね合わせることにより、給電側からグランド側への電界の落ち込みを軽減してプラズマ形成ボックス64内の誘導電界を均一化することができる。
【0047】
尚、上記実施例においては、高周波電力の周波数として13.56MHzを用いたが、これに限定されず、前述したように、4MHz〜27.12MHzの範囲内の周波数を用いることができる。上記周波数が4MHzよりも低い場合には、プラズマ密度が顕著に低下してしまうことによってスループットが低減する問題が生じ、また、電子温度が高くなり、当該機構の主目的であるプラズマダメージの低減を達し得なくなることになる。また、27.12MHzよりも高い場合には、高周波の短波長化により定在波の影響が顕著になり、プラズマ形成ボックス66の上下方向で均一なプラズマを生成することが困難になってしまう。
【0048】
また、ここではプラズマ形成ボックス64の周囲に誘導結合型の電極66を実質的に1ターン形成した場合を例にとって説明したが、これに限定れず、複数ターン形成するようにしてもよいし、或いは図6に示す模式図のようにプラズマ形成ボックス64の一側辺のみに沿って半ターン形成するようにしてもよい。
【0049】
また更には、ここではプラズマ形成ボックス64は、処理容器14の外側に、その高さ方向に沿って設けたが、これに限定されず、処理容器14内に十分な大きさの空間がある場合には、プラズマ形成ボックス64を処理容器内に設けるようにしてもよい。図7はプラズマ形成ボックスを処理容器内に設けた時の処理容器を示す横断面図、図8はこの時の誘導結合型の電極を示す斜視図である。
【0050】
図7に示すように、ここでは処理容器14内に、その内壁面の高さ方向に沿って前面にスリット92を有する石英製のプラズマ形成ボックス94を溶接により接合して設けている。そして、このプラズマ形成ボックス94内に第1のガスノズル44を設けている。更に、このプラズマ形成ボックス94内に、図8にも示すように、石英製の保護管96内に挿通された誘導結合型の電極66を上下方向に沿って1往復(1ターン)となるように設けている。この場合にも、先の実施例と同様な作用効果を発揮することができる。
【0051】
また、容量性結合を低減するために誘導結合型の電極66に対応させて静電シールドを設けるようにしてもよい。尚、この静電シールドはファラデーシールドとも称される。図9は静電シールドを設けたプラズマ形成ボックスの部分を示す拡大断面図である。図9(A)は静電シールドの第1例を示し、図9(B)は静電シールドの第2例を示す。図9(A)には静電シールドの平面図を併記している。ここでは図2に示す構成部分と同一構成部分については同一参照符号を付してその説明を省略する。
【0052】
まず、図9(A)に示すように、プラズマ形成ボックス64の側面、すなわちプラズマ区画壁72の側面に、誘導結合型の電極66を形成するに先立って接地された静電シールド100を設け、この上に絶縁板102を配置し、更に、この絶縁板102上に上記誘導結合型の電極66を配置するようにしている。
【0053】
上記静電シールド100は、上記プラズマ形成ボックス64の高さ方向に沿って、このボックス64(プラズマ区画壁72の側面)と上記誘導結合型の電極66との間に配置されることになる。この静電シールド100は、例えば誘導結合型の電極66と同じ材質で形成することができる。具体的には、この静電シールド100の幅は例えば10〜30mm程度の幅を有し、細長い長方形状に形成されている。そして、この静電シールド100には、水平に延びる長方形状の開口スリット104が多数段に亘って形成されている。この開口スリット104の縦の長さは5〜30mm程度、横の長さは30〜45mm程度、ピッチは7〜35mm程度である。
【0054】
またプラズマ形成ボックス64の左右に配置した静電シールド100同士は、これらを上方で連結してもよく、或いはしなくてもよく、いずれにしてもそれぞれ接地しておく。また、上記絶縁板102は、例えば石英やアルミナ等を用いることができ、その長さは2〜5mm程度である。
このように、静電シールド100を配置することにより、上記誘導結合型の電極66が作る誘導結合型磁界とプラズマを結合させながら、電界による容量性結合を更に低減させることができ、この結果、プラズマ中に発生するイオンによるプラズマ形成ボックス64の内壁のエッチングダメージを軽減することができる、という利点が得られる。
【0055】
また、上記開口スリット104を有する平板状の静電シールド100に代えて、図9(B)に示すように、複数のロッド状の棒状電極106を有する静電シールド100を用いてもよい。図示例では、縦方向に平行に配列された3本の棒状電極106A、106B、106Cを有しており、中央の棒状電極106Bを上記誘導結合型の電極66に場所的に一致させて配置し、他の棒状電極106A、106Cを、その両側に僅かな距離だけ離間させて配置している。この場合には、図9(A)に示した場合と同様な作用効果を発揮することができる。尚、この棒状電極106の本数は特に限定されない。
【0056】
また上記実施形態では、本発明のプラズマ処理装置を用いてシリコン窒化膜を形成する場合について説明したが、これに限定されず、どのような薄膜を形成する場合にも、本発明のプラズマ処理装置を用いることができる。例えば上記プラズマ処理装置を用いてシリコン酸化膜を形成するようにしてもよい。この点について一例を挙げると、例えば50〜150枚の直径が300mmのウエハWに対してALD(Atomic Layer Deposition)法によりシリコン酸化膜を形成する場合には、シリコンソースとしては1〜3価のアミノ基をもつSiの有機ソースを用いることができる。
【0057】
例えば1価のソースとしてはジイソプロピルアミノシラン[SiH (N(i−C ]があり、2価のソースとしてはビスジエチルアミノシラン[SiH (N(C ]があり、また3価のアミノシランとしてはトリスジメチルアミニシラン:3DMAS(SiH(N(CH )がある。また酸化剤としては酸素を用いることができ、この酸素を本発明によるICPプラズマにより活性化して生成した酸素活性種(酸素ラジカル)を利用する。
【0058】
具体的な装置例としては、図1に示すプラズマ処理装置において、第1のガス供給手段38としてNH ガスに替えてO ガスを供給し、ICPプラズマにより酸素活性種を生成する。また第2のガス供給手段40としてDCSに替えて上記Siの有機ソースを供給するように構成する。
このSiの有機ソースとプラズマ化された酸素ガスを交互に間欠的にウエハW側に供給するシーケンスを1サイクル(1回の有機ソースの供給から次の有機ソースの供給までの間)として複数サイクルの原子層成長を行わせて所望の膜厚のシリコン酸化膜を得る。
【0059】
例えば150〜1200サイクル実施すれば30〜250nmの膜厚のシリコン酸化膜が得られる。この場合、成膜温度は室温(27℃程度)から300℃程度の範囲内である。特に上記の1価のジイソプロピルアミノシランを用いれば室温で成膜を行なうことができる。従って、この場合には、先にシリコン窒化膜を形成した場合とは異なり、プラズマ処理装置12としては加熱手段84を設ける必要をなくすことができる。
【0060】
またSiの有機ソースとして上記1価のジイソプロピルアミノシランを用いて、従来のCCP結合電極を設けたラズマ処理装置で成膜した場合と本発明のICP方式の電極を設けたプラズマ処理装置で成膜した場合とを比較実験した結果、それぞれの平均パーティクル増加量はウエハ当たり100ヶ対10ヶ(0.08ミクロン以上の総計)であった。従って、本発明の場合には、パーティクル抑制効果が特に優れていることが理解できる。尚、この実験では酸素プラズマを発生させるための高周波電力は250ワットで比較した。
【0061】
[変形実施形態]
次に本発明の変形実施形態について説明する。尚、以下に説明する各変形実施形態の図では図1〜図9に示した構成部分と同一構成部分については同一参照符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
<第1変形実施形態>
図10は本発明の第1変形実施形態を示す模式図であり、ここでは屈曲型の電極を有している。図10(A)は斜視図を示し、図10(B)は背面壁を中心として両側壁を展開させた時の状態である部分拡大展開図を示す。
【0063】
ここでは、プラズマ形成ボックス64に設けられる電極66は、途中で複数箇所で屈曲されて屈曲状態になされて設けられている。具体的には、ここでは電極66は両側壁72A、72Bの長さ方向に沿って設けられ、この屈曲状態は円弧を交互に逆向きに連ねてなる蛇行状態となるように設定されている。これにより、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長を長くすることができる。
【0064】
この円弧の半径Rは、例えば5〜50mm程度の範囲内であり、円弧の角度θは”π/2〜3π/2”の範囲内、ここでは半円弧、すなわち”θ=π”に設定されている。また電極66の幅Wは、第1実施形態と同様に2〜10mm程度である。そして、ここでは両側壁72A、72B間で対向する上記電極66の蛇行の屈曲方向は、互いに逆方向になるように設定されている。すなわち、図10(B)に示す展開図では同方向になっている。
【0065】
そして、このような電極66に高周波電流を流すと、電極66の円弧の内側の円形状の領域110(図中では斜線で示す)では高周波による電界が大きくなって局所時にプラズマ密度が高くなり、高密度プラズマエリアとなる。そして、この領域110はプラズマ形成ボックス64内に互いに所定の距離を隔てて分散された状態で生ずるので、全体としてプラズマ発生エリアを拡大することができ、しかも、プラズマ密度も均一化させることができる。尚、ここでも先の第1実施形態と同様な作用効果を示すことは勿論である。
【0066】
この場合、両側壁72A、72B間で対向する電極66の蛇行の屈曲方向を同じ方向に設定するようにしてもよい。また、図10(A)において、高周波電源68(この直ぐ下流側には図示しないマッチング回路が介設されている)と接地112との間の線全体が電極66を示しており、この点はこれ以降の全ての変形実施形態においても同様である。また矢印114はガスの噴出方向、すなわちウエハの中心方向を示している。
【0067】
また、ウエハWとこの電極66の、上記ウエハWと最も近い部分の距離L1は40mm以上となるように設定されている。この理由は、プラズマ形成ボックス64から洩れ出たプラズマがウエハWと直接接触しないようにし、ウエハWにプラズマに起因する損傷が発生することを防止するためである。この距離L1の事項は、先の第1実施形態及びこれ以降説明する各変形実施形態においても同様に適用される事項である。
【0068】
<第2〜第4変形実施形態>
次に第2〜第4変形実施形態について説明する。図11は第2〜第4変形実施形態を示す模式図であり、ここでも屈曲型の電極を有している。図11(A)は第2変形実施形態を示し、図11(B)は第3変形実施形態を示し(展開図を併記)、図11(C)は第4変形実施形態を示す。
【0069】
図11(A)に示す第2変形実施形態の場合にも、プラズマ形成ボックス64に設けられる電極66は、途中で複数箇所で屈曲されて屈曲状態になされて設けられている。具体的には、上記電極66の屈曲状態は、上記両側壁72A、72Bの内のいずれか一方の側壁、例えば72Aより上記背面壁73を通って他方の側壁、例えば72Bに到り、この他方の側壁72Bにて屈曲して折り返されて上記背面壁73を通って上記一方の側壁72Aに戻り、この一方の側壁にて屈曲して折り返されるという状態を繰り返すような屈曲状態である。
【0070】
この場合、図示例では上記電極66を折り返すために直角状に屈曲されているが、これに限定されず、例えば円弧状に屈曲させて折り返すようにしてもよい。
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0071】
図11(B)に示す第3変形実施形態の場合にも、プラズマ形成ボックス64に設けられる電極66は、途中で複数箇所で屈曲されて屈曲状態になされて設けられている。具体的には、上記電極66の屈曲状態は、上記両側壁72A、72Bの内のいずれか一方の側壁、例えば72Aより上記背面壁73を通って他方の側壁、例えば72Bに到り、この他方の側壁にて小さい折り返し幅で屈曲して折り返されて上記背面壁73を通って一方の側壁へ戻り、この一方の側壁に大きい折り返し幅で屈曲して折り返されるという状態を上記両側壁72A、72Bに対して行うように繰り返されている屈曲状態である。すなわち、ここでは折り返し時の折り返し幅が、小→大→小→大→小→大…のように繰り返されている。
【0072】
この場合、図示例では上記電極66を折り返すために直角状に屈曲されているが、これに限定されず、例えば円弧状に屈曲させて折り返すようにしてもよい。
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0073】
図11(C)に示す第4変形実施形態の場合にも、プラズマ形成ボックス64に設けられる電極66は、途中で複数箇所で屈曲されて屈曲状態になされて設けられている。具体的には、上記電極66の屈曲状態は、上記背面壁73の一端から上記両側壁72A、72Bの内のいずれか一方の側壁、例えば72Aへ延びて屈曲して折り返されて上記背面壁73にて再度屈曲して折り返されるという状態を上記背面壁73の他端まで繰り返し行い、この背面壁73の他端から他方の側壁へ延びて屈曲して折り返されて上記背面壁73にて再度屈曲して折り返されるという状態を上記背面壁73の一端まで繰り返し行うような屈曲状態である。すなわち、上記電極66を、両側壁72A、72Bの内の一方の側壁(一部の背面壁を含む)に屈曲形成した後に、他方の側壁にも屈曲形成するようにしている。
【0074】
この場合、図示例では上記電極66を折り返すために直角状に屈曲されているが、これに限定されず、例えば円弧状に屈曲させて折り返すようにしてもよい。
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0075】
<第5〜第7変形実施形態>
次に第5〜第7変形実施形態について説明する。この各変形実施形態では、いわゆる百足型の電極を有している。図12は第5〜第7変形実施形態を示す模式図であり、図12(A)は第5変形実施形態を示し、図12(B)は第6変形実施形態を示し、図12(C)は第7変形実施形態を示す。
【0076】
まず、図12(A)に示す第5変形実施形態の場合には、上記電極66は、上記側壁72A、72Bにその長さ方向に沿って形成された1ターンの主電極120と、上記両側壁72A、72Bにおいて上記主電極120より分岐されて上記背面壁73に向けて延びる複数の分岐電極122とよりなっている。具体的には、上記分岐電極122は、上記両側壁72A、72Bを間に挟んで対向するように配置されて、その先端は上記背面壁73の途中まで達している。ここで上記各分岐電極122のピッチP1を適宜選択することにより、プラズマ密度の分布を制御することができる。
【0077】
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0078】
図12(B)に示す第6変形実施形態の場合にも、上記電極66は、上記側壁72A、72Bにその長さ方向に沿って形成された1ターンの主電極120と、上記両側壁72A、72Bにおいて上記主電極120より分岐されて上記背面壁73に向けて延びる複数の分岐電極122とよりなっている。具体的には、上記分岐電極122は、互いに反対側の上記側壁に設けられた上記分岐電極122に対して互い違いに配置されており、その先端は前記背面壁73を通過して反対側の側壁まで延びている。
【0079】
ここで上記各分岐電極122のピッチP1を適宜選択することにより、プラズマ密度の分布を制御することができる。
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0080】
図12(C)に示す第7変形実施形態の場合も、上記電極66は、上記側壁72A、72Bにその長さ方向に沿って形成された1ターンの主電極120と、上記両側壁72A、72Bにおいて上記主電極120より分岐されて上記背面壁73に向けて延びる複数の分岐電極122とよりなっている。具体的には、上記電極66は、上記背面壁73にその長さ方向に沿って形成された1ターンの主電極120と、上記主電極120から分岐されて上記両側壁72A、72Bの方向に向けて延びる複数の分岐電極122とよりなる。
【0081】
ここで上記各分岐電極122のピッチP1を適宜選択することにより、プラズマ密度の分布を制御することができる。
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0082】
<第8及び第9変形実施形態>
次に第8及び第9変形実施形態について説明する。図13は第8及び第9変形実施形態を示す模式図であり、ここではチェーン型の電極を有している。図13(A)は第8変形実施形態を示し、図13(B)は第9変形実施形態を示す。
【0083】
まず、図13(A)に示す第8変形実施形態の場合には、上記電極66は、一部が切り欠かれた状態になされた複数のリング状電極124を直列に接続して形成されている。具体的には、上記電極66は、一部が切り欠かれて上記両側壁72A、72Bにその長手方向に沿って直線状に配列された複数のリング状のリング状電極124と、上記配列方向に沿って隣り合う上記リング状電極124の一端同士を連結して全体で直列接続するために上記側壁より離間させて設けられた接続電極126と、を備えている。
【0084】
すなわち、上記リング状電極124は、円形リングの一部が切り欠かれたような状態になって側壁72A、或いは72Bに接して配置され、そのリング状電極124の両端は側壁72A、72Bから起立するように離れ、その内の一端は接続電極126により、例えば下方向に配列されている隣のリング状電極124の一端に接続され、他端は上方向に配列されている隣のリング電極124の一端に接続されている。これにより、全体として略チェーンのような状態となって相互に連結されている。このリング状電極124の直径は特に限定されないが、例えば10〜65mm程度である。
【0085】
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0086】
図13(B)に示す第9変形実施形態の場合にも、上記電極66は、一部が切り欠かれた状態になされた複数のリング状電極124を直列に接続して形成されている。具体的には、上記電極66は、一部が切り欠かれて、上記背面壁73にその長さ方向に沿って配列された複数のリング状のリング電極と、上記配列方向に沿って隣り合う上記リング状電極124の一端同士を連結して全体で直列接続するために上記背面壁73より離間させて設けられた接続電極126と、を備えている。
【0087】
すなわち、ここではチェーン状の電極66を、両側壁72A、72Bに替えて、背面壁73に設けている。この場合、上記電極66の内、プラズマ形成ボックス64の上端から接地までの電極部分は、両側壁72A、72Bから離間させた状態で下方へ導いてもよいし、いずれか一方の側壁に沿って下方へ導くようにしてもよい。
【0088】
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0089】
<第10及び第11変形実施形態>
次に、第10及び第11変形実施形態について説明する。図14は第10及び第11変形実施形態を示す模式図であり、ここではダブル往復型の電極を有している。図14(A)は第10変形実施形態を示し、図14(B)は第11変形実施形態を示す。
【0090】
まず、図14(A)に示すように、第10変形実施形態の場合には、上記電極66は、上記両側壁72A、72Bの長さ方向に沿って2往復分だけ設けられている。具体的には、上記電極66は、上記両側壁72A、72Bにその長さ方向に沿って2回(2ターン)巻回して上記2往復分になされている。
【0091】
すなわち、ここでは一方の側壁72Aから他方の側壁72Bへその長さ方向に沿って巻回するように2回巻き付けている。この場合、1ターン目の電極と2ターン目の電極とは重ね合わせるのではなく、所定の間隔L2、例えば10〜40mm程度離れるように設定する。
【0092】
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0093】
次に、図14(B)に示すように、第11変形実施形態の場合にも、上記電極66は、上記両側壁72A、72Bの長さ方向に沿って2往復分だけ設けられている。具体的には、上記電極66は、上記両側壁72A、72Bの内のいずれか一方の側壁、例えば72Aにてその長さ方向に沿って互いに間隔を隔てて1往復配設されると共に、次に他方の側壁、例えば72Bにてその長さ方向に沿って互いに間隔を隔てて1往復配設されて、全体で上記2往復になされている。
【0094】
すなわち、ここでは上記電極66は一方の側壁72Aにて、まず1往復配設され、次に、他方の側壁72Bへ移って、ここでまた1往復配設されている。この場合において、各1往復における電極66間の間隔L3は、図14(A)のL2と同様に例えば10〜40mm程度に設定する。
【0095】
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0096】
<第12〜第14変形実施形態>
次に第12〜第14変形実施形態について説明する。図15は第12〜第14変形実施形態を示す模式図であり、ここでは側壁の片面型に電極を有している。図15(A)は第12変形実施形態を示し、図15(B)は第13変形実施形態を示し、図15(C)は第14変形実施形態を示す。
【0097】
まず、図15(A)に示すように、第12変形実施形態の場合には、上記電極66は、上記両側壁72A、72Bの内のいずれか一方の側壁に設けられている。具体的には、上記電極66は、上記両側壁72A、72Bの内のいずれか一方の側壁、例えば72Aにその長さ方向に沿って設けられて半ターン状態になされていると共に、上記電極66の下端側が上記高周波電源68に接続され、上記電極66の上端側が接地されている。
【0098】
この場合には、電極66は1ターンではなく半ターンなので1ターンの場合よりもその作用効果は少し低減されるが、図3に示す第1実施形態の場合と同様な作用効果を発揮することができる。
更に、この場合には、接地112を電極66の上端部に位置させることによって電極66の全体の長さが短くなり、その分、電極66の長さ方向に沿って発生している電界分布の差が少なくなって、プラズマ密度を向上させることができる。尚、この場合、電極66の上端に高周波電源68を接続し、下端を接地するようにしてもよい。
【0099】
図15(B)に示すように、第13変形実施形態の場合にも、上記電極66は、上記両側壁72A、72Bの内のいずれか一方の側壁に設けられている。具体的には、上記電極66は、上記両側壁72A、72Bの内のいずれか一方の側壁、例えば72Bにその長さ方向に沿って1往復されて設けられている。この場合、上記1往復する時の電極66の間隔L4、例えば10〜40mm程度である。
【0100】
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0101】
更に、往復する電極66間には、プラズマ形成ボックス64を区画する側壁72A、72Bの材料である石英が介在しないので、その分、容量性を低減させて誘導性を高めることができる。
【0102】
次に図15(C)に示すように、第14変形実施形態の場合にも、上記電極66は、上記両側壁72A、72Bの内のいずれか一方の側壁に設けられている。具体的には、上記電極66は、上記両側壁72A、72Bの内のいずれか一方の側壁、例えば72Aにその長さ方向に沿って設けられて半ターン状態になされていると共に、上記電極66の下端側が上記高周波電源68に接続され、上記電極66の他端は上記側壁72Aから離間して下方へ折り返されて接地されている。この場合は、接地112が下端に位置されている点を除き、図15(A)に示す第12変形実施形態と同じ構造であり、その作用効果は上記第12変形実施形態と同じである。
【0103】
<第15〜第17変形実施形態>
次に第15〜第17変形実施形態について説明する。図16は第15〜第17変形実施形態を示す模式図であり、ここでは幅広のプレート型の電極を有している。図16(A)は第15変形実施形態を示し、図16(B)は第16変形実施形態を示し、図16(C)は第17変形実施形態を示す。
【0104】
まず、図16(A)に示すように、第15変形実施形態の場合には、上記電極66は、所定の幅L5を有する幅広電極128を有している。具体的には、上記幅広電極128は、上記両側壁72A、72Bに亘ってその長さ方向に沿って1ターン巻回するように形成されている。
【0105】
この幅広電極128は、図3に示す第1変形実施形態に示す電極66の幅よりもかなり広く設定されており、例えばこの幅L5は5〜40mmに設定されている。この幅広電極128の幅L5は、好ましくはプラズマ形成ボックス64の幅の20%以上の長さに設定し、プラズマ形成エリアができるだけ大きくなるように設定する。上記幅広電極128は、具体的には金属プレート、金属製のパンチングプレート、金属メッシュの内のいずれか1つを用いることができる。
【0106】
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0107】
図16(B)に示すように、第16変形実施形態の場合にも、上記電極66は、所定の幅L5を有する幅広電極128を有している。具体的には、上記電極66は、上記両側壁72A、72Bの内のいずれか一方の側壁、例えば72Aに沿って形成された主電極120と、他方の側壁72Bにその長さ方向に沿って形成された上記幅広電極128とよりなると共に、上記主電極120と上記幅広電極128とは上端で互いに接続されている。そして、上記幅広電極128の下端部は、接地されている。
【0108】
この幅広電極128の材料や幅等は、図16(A)の場合と同じである。この変形実施形態の場合には、側壁72A側の電極の幅が、図16(A)の場合よりも小さいので、その分、プラズマの形成エリアは小さくなるが、それでも図16(A)に示す場合と同様な作用効果を発揮することができる。
【0109】
次に図16(C)に示すように、第17変形実施形態の場合にも、上記電極66は、所定の幅L5を有する幅広電極128を有している。具体的には、上記電極66は、上記両側壁72A、72Bの内のいずれか一方の側壁、例えば72Aにその長さ方向に沿って形成された主電極120と、他方の側壁72Bにその長さ方向に沿って形成された接地用の上記幅広電極128とよりなり、上記主電極と上記接地用の幅広電極128とは電気的に分離されている。
【0110】
そして、主電極120は、その上端で接地されており、図15(A)と同じ構造となっている。また、上記接地用の幅広電極128は、図16(B)に示す幅広電極128の材料や幅等と同じである。
【0111】
この場合には、主電極120と接地用の幅広電極128とが電気的に分離されているので、その分、誘導性は低下するが、図16(B)に示す場合と同様な作用効果を発揮することができる。
【0112】
<第18〜第24変形実施形態>
次に第18〜第24変形実施形態について説明する。図17は第18〜第21変形実施形態を示す模式図であり、図18は第22〜第24変形実施形態を示す模式図である。ここでは電極が途中で分岐された分岐型の電極を有している。図17(A)は第18変形実施形態を示し、図17(B)は第19変形実施形態を示し、図17(C)は第20変形実施形態を示し、図17(D)は第21変形実施形態を示し、図18(A)は第22変形実施形態を示し、図18(B)は第23変形実施形態を示し、図18(C)は第24変形実施形態を示す。
【0113】
まず、図17(A)に示すように、第18変形実施形態の場合には、上記電極66は、途中で2つの主分岐電極に分岐される分岐部130を有している。具体的には、上記電極66は、上記両側壁72A、72Bの内のいずれか一方の側壁、例えば72Aにその長さ方向の中央部にて上記高周波電源68に接地されると共に、この中央部にて上方へ延びる主分岐電極134Aと下方へ延びる主分岐電極134Bとに分岐された分岐部130を有し、上記両主分岐電極134A、134Bは互いに他方の側壁72Bに向けて折り曲げられて他方の側壁72Bの長さ方向の中央部にて互いに接合されている。
【0114】
すなわち、一方の主分岐電極134Aは、プラズマ形成ボックス64の上端部で他方の側壁72B側へ折り返され、また、他方の主分岐電極134Bは、プラズマ形成ボックス64の下端部で他方の側壁72B側へ折り返されて、それぞれ側壁72Bの長さ方向に沿って配設され、プラズマ形成ボックス64の高さ方向の中央部で再び接続されることになり、この部分が接地されている。
【0115】
この変形実施形態の場合には、図2及び図3に示した第1実施形態と同様な作用効果を発揮することができる。また特に、高周波電源68から接地122までの長さを非常に短くすることができるので、その分、各主分岐電極134A、134Bの長さ方向における電圧変化を小さくすることができ、その結果、プラズマ形成ボックス64内の高さ(長さ)方向におけるプラズマ密度の均一性を向上させることができる。
【0116】
次に図17(B)に示すように、第19変形実施形態の場合にも、上記電極66は、途中で2つの主分岐電極に分岐される分岐部130を有している。具体的には、上記電極66は、上記プラズマ形成ボックス64の下端部で上記高周波電源68に接続されると共に、上記下端部を分岐部130として2つの主分岐電極134A、134Bに分岐されて、この主分岐電極134A、134Bは上記一方の側壁、例えば72Aのその長さ方向に沿って設けられ、そのまま上端部で折り返されて他方の側壁72Bにその長さ方向に沿って設けられて下端部で接地されている。すなわち、上記2つの主分岐電極134A、134Bが高周波電源68を共通にしてそれぞれ1ターンの状態に巻回させて設けられている。
【0117】
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0118】
次に図17(C)に示すように、第20変形実施形態の場合にも、上記電極66は、途中で2つの主分岐電極に分岐される分岐部130を有している。具体的には、上記電極66は、前記プラズマ形成ボックス64の下端部で上記高周波電源68に接続されると共に、上記下端部を上記分岐部130として2つの主分岐電極134A、134Bに分岐されてこの主分岐電極134A、134Bは上記一方の側壁、例えば72Aにその長さ方向に沿って設けられ、上記プラズマ形成ボックス64の上端で両主分岐電極が1本に接合されると共に、そのまま折り返されて他方の側壁72Bにその長手方向に沿って設けられて下端部で接地されている。
【0119】
すなわち、この変形実施形態は、図17(B)に示す場合において、両主分岐電極134A、134Bがプラズマ形成ボックス64の上端で互いに接合されて一本の電極になったものである。この場合にも、図17(B)に示した場合と、略同様な作用効果を発揮することができる。
【0120】
次に図17(D)に示すように、第21変形実施形態の場合にも、上記電極66は、途中で2つの主分岐電極に分岐される分岐部130を有している。具体的には、上記電極66は、上記プラズマ形成ボックス64の下端部で上記高周波電源68に接続されると共に、上記下端部を上記分岐部130として2つの主分岐電極134A、134Bに分岐されて、それぞれが互いに異なった上記側壁72A、72Bにその長さ方向に沿って設けられ、上記2つの主分岐電極134A、134Bは上記プラズマ形成ボックス64の上端でそのまま互いに反対側へ折り返されて異なった側壁72A、72Bにその長さ方向に沿って設けられて下端部で接地されている。
【0121】
すなわち、一方の主分岐電極134Aは、一方の側壁72Aに沿って設けられて、その上端にて反対側へ折り返されて他方の側壁72Bに沿って設けられて1ターンの電極となっている。また他方の主分岐電極134Bは、他方の側壁72Bに沿って設けられて、その上端にて反対側へ折り返されて一方の側壁72Aに沿って設けられて1ターンの電極となっている。そして、両主分岐電極134A、134Bはその下端で接合されて接地されている。
【0122】
このように、全体で2ターン分の電極が形成されており、この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0123】
次に図18(A)に示すように、第22変形実施形態の場合にも、上記電極66は、途中で2つの主分岐電極に分岐される分岐部130を有している。具体的には、上記電極66は、上記プラズマ形成ボックス64の下端部で上記高周波電源68に接続されると共に、上記下端部を上記分岐部130として2つの主分岐電極134A、134Bに分岐されて、それぞれが互いに異なった上記側壁72A、72Bにその長さ方向に沿って設けられ、上記プラズマ形成ボックス64の上端側で上記主分岐電極134A、134Bは1本に接合されると共にそのまま折り返されて上記背面壁73にその長さ方向に沿って設けられて下端部で接地される。
【0124】
すなわち、この場合には、電極66は側壁72A、72Bの部分に1ターン分形成されると共に、背面壁73に半ターン分形成されることになる。この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0125】
次に図18(B)に示すように、第23変形実施形態の場合にも、上記電極66は、途中で2つの主分岐電極に分岐される分岐部130を有している。具体的には、上記電極66は、上記プラズマ形成ボックス64の下端部で上記高周波電源68に接続されると共に、上記下端部を上記分岐部130として2つの主分岐電極134A、134Bに分岐されて、それぞれ互いに異なった上記側壁72A、72Bにその長さ方向に沿って設けられ、上記各主分岐電極134A、134Bは上記プラズマ形成ボックス64の上端側で上記各側壁72A、72Bから離間されてそれぞれ接地されている。
【0126】
すなわち、この場合には、2つに分岐された各主分岐電極134A、134Bが、それぞれ異なる側壁72A、72Bにその長さ方向に沿って設けられることになる。この場合にも、図2に示した第1変形実施形態と略同様な作用効果を発揮することができる。また、ここでは2つの主分岐電極134A、134Bには、互いに同方向へ高周波電流が流れることになるので、両主分岐電極134A、134Bの容量性を低減させることができる。
【0127】
次に図18(C)に示すように、第24変形実施形態の場合にも、上記電極66は、途中で2つの主分岐電極に分岐される分岐部130を有している。具体的には、上記電極66は、上記プラズマ形成ボックス64の下端部で上記高周波電源68に接続されると共に、上記下端部を前記分岐部130として2つの主分岐電極134A、134Bに分岐されて、それぞれ上記両側壁72A、72Bの内のいずれか一方の側壁、例えば72Aにその長さ方向に沿って互いに所定の間隔L6を隔てて設けられ、上記各主分岐電極134A、134Bは上記側壁72Aの上端側で上記側壁72Aから離間されると共にそのまま折り返されて下方に延びて接地される。
【0128】
すなわち、一方の側壁、例えば72Aにその長さ方向に沿って2つの主分岐電極134A、134Bが間隔L6を隔てて平行に設けられることになる。この場合、上記間隔L6は、例えば10〜40mm程度である。
【0129】
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。また図18(B)の場合と同様に、ここでも、両主分岐電極134A、134Bの容量性を低減させることができる。
【0130】
<第25変形実施形態>
次に第25変形実施形態について説明する。図19は第25変形実施形態を示す模式図である。この第25変形実施形態の場合には、上記電極66は、上記両側壁72A、72Bに亘って1ターン形成されると共に、上記電極66は、上記プラズマ形成ボックス64の高さ方向の中央部X1が最も上記処理容器14(図2参照)の中心側へ突出するように曲線状に屈曲形成されている。
【0131】
すなわち、ここでは、この1ターンの電極66はその長さ方向の中央部X1がウエハW側へ最も接近するように、且つこの電極66の上下端がウエハWより最も遠ざかるように、曲線状、例えば円弧状に屈曲形成されている。
【0132】
この場合にも、図2及び図3に示した第1実施形態と同様な作用効果を発揮することができる。また、プラズマ形成ボックス64内でプラズマを発生させると、一般に、ボックス64内の上部側と下部側でプラズマ密度が高くなり、そのプラズマがウエハまで達してプラズマダメージを与える傾向にある。そのため、上述のように、電極66の上部と下部とをウエハW側から遠ざけることによって、発生したプラズマがウエハに到達することがなくなり、その結果、ウエハにプラズマダメージを与える恐れを低減化させることができる。またこの結果、プラズマ形成ボックス64内に、その高さ方向に沿って均一にプラズマを形成することができる。
【0133】
<第26変形実施形態>
次に第26変形実施形態について説明する。図20は第26変形実施形態を示す模式図である。この第26変形実施形態の場合には、上記電極66は、上記両側壁72A、72Bの長さ方向に沿って1ターンで形成される主電極120と、上記主電極120の途中から上記両側壁72A、72Bの幅方向へ延びると共に上記背面壁73を通って上記両側壁72A、72Bの主電極66同士を接続する複数のバイパス電極136とよりなっている。
【0134】
この変形実施形態は図12(A)又は図12(B)に示す変形実施形態と非常に類似しており、このバイパス電極136のピッチP2を適宜選択することにより、プラズマ形成ボックス64内のプラズマ密度を制御することができる。
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0135】
<第27変形実施形態>
次に第27変形実施形態について説明する。図21は第27変形実施形態を示す模式図である。この第27変形実施形態の場合には、上記電極66は、上記プラズマ形成ボックス64の下端部で上記高周波電源68に接続され、上記背面壁73にその長さ方向に沿って設けられると共に上記両側壁72A、72B側にループ状に延びる複数のループ電極138が介設された主電極120と、上記プラズマ形成ボックス64の上端部で2つに分岐されてそれぞれが異なる側壁72A、72Bにその長さ方向に沿って設けられると共に下端部で接地される主分岐電極134A、134Bとよりなっている。この場合は、複数のバイパス電極136が設けられている図20に示す第26変形実施形態と略同様な作用効果を発揮することができる。
【0136】
<第28変形実施形態>
次に第28変形実施形態について説明する。図22は第28変形実施形態を示す模式図である。この第28変形実施形態の場合には、上記高周波電源68(68A、68B)は2つ設けられると共に、上記電極66(66A、66B)も2つ設けられ、上記2つの電極66A、66Bの内の一方の電極66Aは、上記両側壁72A、72B内のいずれか一方の側壁、例えば72Aにその長さ方向に沿って設けられ、この電極66Aの下端部が上記2つの高周波電源68A、68Bの内の一方の高周波電源、例えば68Aに接続されると共に上端側が接地されている。
【0137】
また他方の電極66Bは他方の側壁72Bにその長さ方向に沿って設けられ、この電極66Bの上端部が他方の高周波電源68Bに接続されると共に下端側が接地されている。すなわち、両側壁72A、72Bに、半ターンの電極66A、66Bがそれぞれ高周波電源68A、68Bの取り付け位置を上下逆にして取り付けられている。この場合にも、先の第1実施形態と略同様な作用効果を発揮することができると共に、2台の高周波電源68A、68Bを用いているので、大電力の高周波電力を投入することができる。
【0138】
<第29変形実施形態>
次に第29変形実施形態について説明する。図23は第29変形実施形態を示す模式図である。この第29変形実施形態の場合には、上記電極66のその長さ方向の途中にはコンデンサ140が介設されている。すなわち、ここでは図2及び図3に示すような1ターン状態に形成された電極66の途中、すなわちここでは電極66の長さ方向の中央部にて上記コンデンサ140を介在させている。
【0139】
この場合にも、図2及び図3に示す第1実施形態と同様な作用効果を発揮することができる。更には、このように電極66の途中にコンデンサ140を設けることにより、高周波電圧と電流との位相差を調整して両者間に90度の位相差を設けることができる。そして、このような回路構成によって、回路の容量性を低減させることができる。
【0140】
また、このコンデンサ140を介在させる構成は、先に説明した第1実施形態、第1変形実施形態〜第28変形実施形態の内の主電極120や幅広電極128や主分岐電極134A、134B等においても、その長さ方向の略中央部においてコンデンサ140を介在させることによってそれぞれ適用することができる。
【0141】
<第30〜第32変形実施形態>
次に第30〜第32変形実施形態について説明する。図24は第30〜第32変形実施形態を示す模式図であり、ここでは電極が同一平面で渦巻き状に巻回されたスパイラル型の電極を有している。図24(A)は第30変形実施形態を示し、図24(B)は第31変形実施形態を示し、図24(C)は第32変形実施形態を示している。
【0142】
まず、図24(A)に示すように、第30変形実施形態の場合には、上記電極66は、渦巻き状に巻回された渦巻き電極142を有している。具体的には、上記渦巻き電極142は、上記両側壁72A、72Bの内のいずれか一方の側壁、例えば72Aに設けられている。
【0143】
この渦巻き電極142は、上記側壁72Aの中心部から次第に周囲に向かって渦巻き状になされている。この場合、この渦巻きの形態は円弧状ではなく、側壁72Aの四角形状に合致させるように、四角形状の渦巻き形態になされている。そして、渦巻きの中心部分が高周波電源68に接続され、渦巻きの先端部分が接地されている。このようにして、上記渦巻き電極142は、一方の側壁72Aの略全面に亘って形成されている。
【0144】
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0145】
次に図24(B)に示すように、第31変形実施形態の場合にも、上記電極66は、渦巻き状に巻回された渦巻き電極142を有している。具体的には、まず、上記プラズマ形成ボックス64は、ここでは断面が曲面状に成形されており、上記渦巻き電極142は上記曲面上に設けられている。すなわち、上記プラズマ形成ボックス64は、断面が曲面状、ここでは断面が円弧状に成形され、その外側面が曲面144となっている。そして、この曲面144上に、図24(A)の場合と同様に上記渦巻き電極142が設けられている。この場合にも、図24(A)の変形実施形態と同様な作用効果を発揮することができる。
【0146】
次に図24(C)に示すように、第32変形実施形態の場合にも、上記電極66は、渦巻き状に巻回された渦巻き電極142を有している。具体的には、上記プラズマ形成ボックス64は、断面が曲面状に成形されており、上記電極66は、上記曲面の中心部において上記高周波電源68に接続されると共に、この中心部にて2つの上記渦巻き電極142に分岐されて共に同じ方向へ渦巻き状に巻回させて設けられている。
【0147】
ここでも図24(B)の場合と同様に、上記プラズマ形成ボックス64は、断面が曲面状、ここでは断面が円弧状に成形され、その外側面が曲面144となっている。そして、この曲面144上に、上記2つの渦巻き電極142が四角形状の渦巻き形態で設けられている。そして、この2つの渦巻き電極142の先端がそれぞれ接地されている。
この変形実施形態でも、先の第1実施形態と同様な作用効果を示すのは勿論のこと、プラズマ形成ボックス64に対する電極66の設置長が長くなり、プラズマ密度を向上できるのみならず、プラズマ形成エリアを拡大し、プラズマ密度も均一化させることができる。
【0148】
また、ここではプラズマ処理としてプラズマALD成膜処理を例にとって説明したが、これに限定されず、プラズマCVD処理、プラズマ改質処理、プラズマ酸化拡散処理、プラズマスパッタ処理、プラズマ窒化処理等のプラズマを用いる全ての処理に対して本発明を適用することができる。
また、ここでは被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、ガラス基板、LCD基板、セラミック基板等にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の係るプラズマ処理装置の第1実施形態の一例を示す縦断面構成図である。
【図2】プラズマ処理装置(加熱手段は省略)を示す横断面構成図である。
【図3】プラズマ処理装置の誘導結合型の電極の部分を取り出して示す概略斜視図である。
【図4】誘導結合型の電極を含む回路を示すブロック構成図である。
【図5】プラズマ形成ボックス内における電流の分布状態を示す図である。
【図6】プラズマ形成ボックスの一側辺のみに沿って半ターン形成した電極を示す模式図である。
【図7】プラズマ形成ボックスを処理容器内に設けた時の処理容器を示す横断面図である。
【図8】図7に記載した誘導結合型の電極を示す斜視図である。
【図9】静電シールドを設けたプラズマ形成ボックスの部分を示す拡大断面図である。
【図10】本発明の第1変形実施形態を示す模式図である。
【図11】第2〜第4変形実施形態を示す模式図である。
【図12】第5〜第7変形実施形態を示す模式図である。
【図13】第8及び第9変形実施形態を示す模式図である。
【図14】第10及び第11変形実施形態を示す模式図である。
【図15】第12〜第14変形実施形態を示す模式図である。
【図16】第15〜第17変形実施形態を示す模式図である。
【図17】第18〜第21変形実施形態を示す模式図である。
【図18】第22〜第24変形実施形態を示す模式図である。
【図19】第25変形実施形態を示す模式図である。
【図20】第26変形実施形態を示す模式図である。
【図21】第27変形実施形態を示す模式図である。
【図22】第28変形実施形態を示す模式図である。
【図23】第29変形実施形態を示す模式図である。
【図24】第30〜第32変形実施形態を示す模式図である。
【図25】従来の縦型のプラズマ処理装置の一例を示す概略模式図である。
【図26】図25中のプラズマボックスの一部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0150】
12 プラズマ処理装置
14 処理容器
22 ウエハボート(保持手段)
38 第1のガス供給手段
44 第1のガスノズル
60 活性化手段
64 プラズマ形成ボックス
66 誘導結合型の電極
68 高周波電源
72 プラズマ区画壁
84 加熱手段
W 半導体ウエハ(被処理体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空引き可能になされた筒体状の処理容器と、
複数の被処理体を保持して前記処理容器内へ挿脱される保持手段と、
前記処理容器内へガスを供給するガス供給手段と、
前記ガスをプラズマにより活性化する活性化手段とを有して前記被処理体にプラズマ処理を施すようにしたプラズマ処理装置において、
前記活性化手段は、
前記処理容器の長手方向に沿って設けられるプラズマ形成ボックスと、
前記プラズマ形成ボックスに沿って設けられる誘導結合型の電極と、
前記誘導結合型の電極に接続された高周波電源とよりなることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記ガス供給手段は、前記ガスを供給するためのガスノズルを有し、前記プラズマ形成ボックス内には前記ガスノズルが設けられていることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記プラズマ形成ボックスは、前記処理容器の外側に、前記処理容器の側壁に沿って設けられることを特徴とする請求項1又は2記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記プラズマ形成ボックスは、前記処理容器の内側に、前記処理容器の側壁に沿って設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記高周波電源からの高周波電力の周波数は4MHz〜27.12MHzの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記プラズマ形成ボックスと前記誘導結合型の電極との間に、静電シールドを設けるように構成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記誘導結合型の電極は、前記プラズマ形成ボックスの側面に沿って設けられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記誘導結合型の電極は、前記プラズマ形成ボックスの一端で折り返されて前記プラズマ形成ボックスの両側壁に沿って設けられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記誘導結合型の電極は、前記プラズマ形成ボックスの側壁に沿って半ターン、1ターン又は複数ターン巻回して設けられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記プラズマ形成ボックスは、断面コ字状のプラズマ区画壁により区画形成されて、このプラズマ区画壁は対向する一対の側壁と、該側壁の一端側を連結する背面壁とよりなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記電極は、途中で複数箇所が屈曲されて屈曲状態になされて設けられていることを特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記電極は、前記側壁にその長さ方向に沿って設けられ、前記屈曲状態は、円弧を交互に逆向きに連ねてなる蛇行状態であることを特徴とする請求項11記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記電極の屈曲状態は、前記両側壁の内のいずれか一方の側壁より前記背面壁を通って他方の側壁に到り、該他方の側壁にて屈曲して折り返されて前記背面壁を通って前記一方の側壁に戻り、該一方の側壁にて屈曲して折り返されるという状態を繰り返すような屈曲状態であることを特徴とする請求項11記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記電極の屈曲状態は、前記両側壁の内のいずれか一方の側壁より前記背面壁を通って他方の側壁に到り、該他方の側壁にて小さい折り返し幅で屈曲して折り返されて前記背面壁を通って一方の側壁へ戻り、該一方の側壁に大きい折り返し幅で屈曲して折り返されるという状態を前記両側壁に対して行うように繰り返されている屈曲状態であることを特徴とする請求項11記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
前記電極の屈曲状態は、前記背面壁の一端から前記両側壁の内のいずれか一方の側壁へ延びて屈曲して折り返されて前記背面壁にて再度屈曲して折り返されるという状態を前記背面壁の他端まで繰り返し行い、該背面壁の他端から他方の側壁へ延びて屈曲して折り返されて前記背面壁にて再度屈曲して折り返されるという状態を前記背面壁の一端まで繰り返し行うような屈曲状態であることを特徴とする請求項11記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
前記電極は、前記側壁にその長さ方向に沿って形成された1ターンの主電極と、前記両側壁において前記主電極より分岐されて前記背面壁に向けて延びる複数の分岐電極とよりなることを特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置。
【請求項17】
前記分岐電極は、前記両側壁を間に挟んで対向するように配置されて、その先端は前記背面壁の途中まで達していることを特徴とする請求項16記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
前記分岐電極は、互いに反対側の前記側壁に設けられた前記分岐電極に対して互い違いに配置されており、その先端は前記背面壁を通過して反対側の側壁まで延びていることを特徴とする請求項16記載のプラズマ処理装置。
【請求項19】
前記電極は、前記背面壁にその長さ方向に沿って形成された1ターンの主電極と、前記主電極から分岐されて前記両側壁の方向に向けて延びる複数の分岐電極とよりなることを特徴とする請求項16記載のプラズマ処理装置。
【請求項20】
前記電極は、一部が切り欠かれた状態になされた複数のリング状電極を直列に接続して形成されていることを特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置。
【請求項21】
前記電極は、一部が切り欠かれて前記両側壁にその長手方向に沿って直線状に配列された複数のリング状のリング状電極と、前記配列方向に沿って隣り合う前記リング状電極の一端同士を連結して全体で直列接続するために前記側壁より離間させて設けられた接続電極と、を備えたことを特徴とする請求項20記載のプラズマ処理装置。
【請求項22】
前記電極は、一部が切り欠かれて、前記背面壁にその長さ方向に沿って配列された複数のリング状のリング電極と、前記配列方向に沿って隣り合う前記リング状電極の一端同士を連結して全体で直列接続するために前記背面壁より離間させて設けられた接続電極と、を備えたことを特徴とする請求項20記載のプラズマ処理装置。
【請求項23】
前記電極は、前記両側壁の長さ方向に沿って2往復分だけ設けられていることを特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置。
【請求項24】
前記電極は、前記両側壁にその長さ方向に沿って2回巻回して前記2往復分になされていることを特徴とする請求項23記載のプラズマ処理装置。
【請求項25】
前記電極は、前記両側壁の内のいずれか一方の側壁にてその長さ方向に沿って互いに間隔を隔てて1往復配設されると共に、他方の側壁にてその長さ方向に沿って互いに間隔を隔てて1往復配設されて、全体で前記2往復になされていることを特徴とする請求項23記載のプラズマ処理装置。
【請求項26】
前記電極は、前記両側壁に亘って1ターン形成されると共に、前記電極は、前記プラズマ形成ボックスの高さ方向の中央部が最も前記処理容器の中心側へ突出するように曲線状に屈曲形成されていることを特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置。
【請求項27】
前記電極は、前記両側壁の内のいずれか一方の側壁に設けられていることを特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置。
【請求項28】
前記電極は、前記両側壁の内のいずれか一方の側壁にその長さ方向に沿って設けられて半ターン状態になされていると共に、前記電極の下端側が前記高周波電源に接続され、前記電極の上端側が接地されていることを特徴とする請求項27記載のプラズマ処理装置。
【請求項29】
前記電極は、前記両側壁の内のいずれか一方の側壁にその長さ方向に沿って1往復されて設けられていることを特徴とする請求項27記載のプラズマ処理装置。
【請求項30】
前記電極は、前記両側壁の内のいずれか一方の側壁にその長さ方向に沿って設けられて半ターン状態になされていると共に、前記電極の下端側が前記高周波電源に接続され、前記電極の他端は前記側壁から離間して下方へ折り返されて接地されていることを特徴とする請求項27記載のプラズマ処理装置。
【請求項31】
前記電極は、所定の幅を有する幅広電極を有することを特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置。
【請求項32】
前記幅広電極は、前記両側壁に亘ってその長さ方向に沿って1ターン巻回するように形成されていることを特徴とする請求項31記載のプラズマ処理装置。
【請求項33】
前記電極は、前記両側壁の内のいずれか一方の側壁に沿って形成された主電極と、他方の側壁にその長さ方向に沿って形成された前記幅広電極とよりなると共に、前記主電極と前記幅広電極とは上端で互いに接続されていることを特徴とする請求項31記載のプラズマ処理装置。
【請求項34】
前記幅広電極の下端部は、接地されていることを特徴とする請求項33記載のプラズマ処理装置。
【請求項35】
前記電極は、前記両側壁の内のいずれか一方の側壁にその長さ方向に沿って形成された主電極と、他方の側壁にその長さ方向に沿って形成された接地用の前記幅広電極とよりなり、前記主電極と前記接地用の幅広電極とは電気的に分離されていることを特徴とする請求項31記載のプラズマ処理装置。
【請求項36】
前記幅広電極は、金属プレート、金属製のパンチングプレート、金属メッシュの内のいずれか1つよりなることを特徴とする請求項32乃至35のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項37】
前記電極は、途中で2つの主分岐電極に分岐される分岐部を有することを特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置。
【請求項38】
前記電極は、前記両側壁の内のいずれか一方の側壁にその長さ方向の中央部にて前記高周波電源に接地されると共に、この中央部にて上方へ延びる主分岐電極と下方へ延びる主分岐電極とに分岐された分岐部を有し、前記両主分岐電極は互いに他方の側壁に向けて折り曲げられて他方の側壁の長さ方向の中央部にて互いに接合されていることを特徴とする請求項37記載のプラズマ処理装置。
【請求項39】
前記電極は、前記プラズマ形成ボックスの下端部で前記高周波電源に接続されると共に、前記下端部を分岐部として2つの主分岐電極に分岐されて、該主分岐電極は前記一方の側壁のその長さ方向に沿って設けられ、そのまま上端部で折り返されて他方の側壁にその長さ方向に沿って設けられて下端部で接地されていることを特徴とする請求項37記載のプラズマ処理装置。
【請求項40】
前記電極は、前記プラズマ形成ボックスの下端部で前記高周波電源に接続されると共に、前記下端部を前記分岐部として2つの主分岐電極に分岐されて該主分岐電極は前記一方の側壁にその長さ方向に沿って設けられ、前記プラズマ形成ボックスの上端で両主分岐電極が1本に接合されると共に、そのまま折り返されて他方の側壁にその長手方向に沿って設けられて下端部で接地されていることを特徴とする請求項37記載のプラズマ処理装置。
【請求項41】
前記電極は、前記プラズマ形成ボックスの下端部で前記高周波電源に接続されると共に、前記下端部を前記分岐部として2つの主分岐電極に分岐されて、それぞれが互いに異なった前記側壁にその長さ方向に沿って設けられ、前記2つの主分岐電極は前記プラズマ形成ボックスの上端でそのまま互いに反対側へ折り返されて異なった側壁にその長さ方向に沿って設けられて下端部で接地されていることを特徴とする請求項37記載のプラズマ処理装置。
【請求項42】
前記電極は、前記プラズマ形成ボックスの下端部で前記高周波電源に接続されると共に、前記下端部を前記分岐部として2つの主分岐電極に分岐されて、それぞれが互いに異なった前記側壁にその長さ方向に沿って設けられ、前記プラズマ形成ボックスの上端側で前記主分岐電極は1本に接合されると共にそのまま折り返されて前記背面壁にその長さ方向に沿って設けられて下端部で接地されることを特徴とする請求項37記載のプラズマ処理装置。
【請求項43】
前記電極は、前記プラズマ形成ボックスの下端部で前記高周波電源に接続されると共に、前記下端部を前記分岐部として2つの主分岐電極に分岐されて、それぞれ互いに異なった前記側壁にその長さ方向に沿って設けられ、前記各主分岐電極は前記プラズマ形成ボックスの上端側で前記各側壁から離間されてそれぞれ接地されていることを特徴とする請求項37記載のプラズマ処理装置。
【請求項44】
前記電極は、前記プラズマ形成ボックスの下端部で前記高周波電源に接続されると共に、前記下端部を前記分岐部として2つの主分岐電極に分岐されて、それぞれ前記両側壁の内のいずれか一方の側壁にその長さ方向に沿って互いに所定の間隔を隔てて設けられ、前記各主分岐電極は前記側壁の上端側で前記側壁から離間されると共にそのまま折り返されて下方に延びて接地されることを特徴とする請求項37記載のプラズマ処理装置。
【請求項45】
前記電極は、前記両側壁の長さ方向に沿って1ターンで形成される主電極と、前記主電極の途中から前記両側壁の幅方向へ延びると共に前記背面壁を通って前記両側壁の主電極同士を接続する複数のバイパス電極とよりなることを特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置。
【請求項46】
前記電極は、
前記プラズマ形成ボックスの下端部で前記高周波電源に接続され、前記背面壁にその長さ方向に沿って設けられると共に前記両側壁側にループ状に延びる複数のループ電極が介設された主電極と、
前記プラズマ形成ボックスの上端部で2つに分岐されてそれぞれが異なる側壁にその長さ方向に沿って設けられると共に下端部で接地される主分岐電極と、
よりなることを特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置。
【請求項47】
前記電極は、渦巻き状に巻回された渦巻き電極を有することを特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置。
【請求項48】
前記渦巻き電極は、前記両側壁の内のいずれか一方の側壁に設けられていることを特徴とする請求項47記載のプラズマ処理装置。
【請求項49】
前記プラズマ形成ボックスは、断面が曲面状に成形されており、前記渦巻き電極は前記曲面上に設けられていることを特徴とする請求項47記載のプラズマ処理装置。
【請求項50】
前記プラズマ形成ボックスは、断面が曲面状に成形されており、前記電極は、前記曲面の中心部において前記高周波電源に接続されると共に、該中心部にて2つの前記渦巻き電極に分岐されて共に同じ方向へ渦巻き状に巻回させて設けられていることを特徴とする請求項47記載のプラズマ処理装置。
【請求項51】
前記高周波電源は2つ設けられると共に、前記電極も2つ設けられ、
前記2つの電極の内の一方の電極は、前記両側壁内のいずれか一方の側壁にその長さ方向に沿って設けられ、該電極の下端部が前記2つの高周波電源の内の一方の高周波電源に接続されると共に上端側が接地され、
他方の電極は他方の側壁にその長さ方向に沿って設けられ、該電極の上端部が他方の高周波電源に接続されると共に下端側が接地されていることを特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置。
【請求項52】
前記電極のその長さ方向の途中にはコンデンサが介設されていることを特徴とする請求項10乃至51のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項53】
前記被処理体と前記電極の、前記被処理体と最も近い部分との間の距離は、40mm以上となるように設定されていることを特徴とする請求項1乃至52のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項54】
前記処理容器の外周には、前記被処理体を加熱するための加熱手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至53のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2011−97096(P2011−97096A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8264(P2011−8264)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【分割の表示】特願2008−203574(P2008−203574)の分割
【原出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】