説明

プラズマCVD方法及びその装置

【課題】大気圧プラズマCVDでは、成膜レートがプラズマギャップ(電極−成膜用基板間距離)に非常に敏感である。1m角を越える大型基板に大気圧プラズマCVDで薄膜を形成する場合、基板のうねり等のために電極−成膜用基板間距離が変動すると、成膜レート、膜厚が変動し、それによって太陽電池の出力が変動するしてしまう。
【解決手段】
大気圧プラズマCVD装置において、ガス供給手段で電極とテーブルとの間に大気圧中でCVD原料ガスを供給しながら電極とテーブルとの間に大気圧中で高周波電力を印加することにより電極と試料との間にプラズマを発生させた状態で駆動手段で電極をテーブル手段に沿って移動させている間に電極とテーブルとの両方を制御して電極とテーブルとの間隔を制御することにより、基板にうねりがあっても基板上に均一な膜厚の薄膜を形成できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ化学気相成長法を用いた成膜方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜Si太陽電池や液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)用の薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)パネル等は1m四方を越えるような大型のガラス基板を用いて製造される。薄膜Si太陽電池は、メタル膜、Si膜等を形成する成膜工程、セルパターン形成工程の一連工程の繰り返しにより作製される。また、LCD−TFTパネルは成膜、所望の形状に加工するためのレジストパターンを形成する露光工程、形成されたレジストパターンに基づいて不要な膜を除去するエッチング工程、エッチング後に残ったレジストを除去する剥離工程の一連工程の繰り返しにより作製される。各工程を基板1枚が通過する時間は、薄膜Si太陽電池やLCD−TFTパネルの製造コストに大きく影響する。
【0003】
薄膜Si太陽電池やLCD−TFTパネルの製造で用いられる成膜方法の一つにプラズマ化学気相成長(PECVD;Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法がある。PECVDプロセスでは、反応容器内部を真空に排気した後、所望のガスを導入して、基板とほぼ同寸法の平行平板電極に高周波電力を印加してプラズマを発生させ、成膜を行う。
【0004】
ところで、大型基板を扱うPECVD装置では反応容器の容量が大きいため、小排気量の真空ポンプでは排気に長時間を要し、タクトタイムが長くなる。一方、大排気量の真空ポンプを用いて排気時間を短縮することは可能であるが、小排気量の真空ポンプを使った場合に比べて、装置価格やメンテナンス費用が増加する。すなわち、大型基板を処理するPECVD装置では、タクトタイム短縮と装置価格やメンテナンス費用の低減がトレードオフの関係になる。
【0005】
この課題を解決するため、処理圧力を大気圧まで高めた大気圧プラズマCVDプロセスが提案されている。特許文献1には、大気圧プラズマCVDによりSi膜のエピタキシャル成長を従来の方法よりも低温かつ高速で実現するための方法が開示されている。また、非特許文献1では、大気圧プラズマCVDにより微結晶Si成膜を従来法よりも低温かつ高速で実現するための方法が開示されている。
【0006】
大気圧下でのプロセスとすることの効果は、真空ポンプに要するコストを圧縮できることである。また、大気圧プロセスとすることで従来のプロセスに比べて桁違いに多いラジカルを発生させることができるため、高速プロセスが期待される。すなわち、大気圧プラズマCVDを用いることで上記トレードオフを解消できる。
【0007】
大気圧プラズマにはダイレクト型とリモート型と呼ばれる2種類の発生方式がある。特許文献2には、上記2つの大気圧プラズマの発生方式が開示されている。ダイレクト型は狭い間隔で2枚の平行平板電極を対向させ、電極間に電力を印加してプラズマを発生させてプロセスを行うものである。基板は一方の電極上に載置される。リモート型は2枚の平行平板電極を基板表面と垂直な面内で対向させ、この電極間に電力を印加してプラズマを発生させる。プロセスガスが電極に平行な面内で流れることによって、その下流側に設置された基板表面へプラズマまたはラジカル種を輸送してプロセスを行うものである。
【0008】
大気圧プラズマは電子の平均自由行程が小さいため、電極間隔は従来の低圧プラズマに比べて非常に小さくなる。そのため、リモート型は特に顕著であるが、長尺電極を用いて基板の幅と同等の長さのライン状プラズマを発生させ、基板の長さ方向に走査することにより、大型基板の処理を可能にしている。ダイレクト型においても、大気圧下で大面積かつ均一なプラズマを発生させることは困難であるため、ライン状プラズマを走査することが一般的に行われている。
【0009】
基板の表面を平坦にする方法は、特許文献3に開示がある。Si基板の平坦度を維持するため、多数の面要素で構成されたステージ上に載置される。各面要素はアクチュエータでそれぞれ独立に上下させることが可能となっており、基板裏面に異物が付着している場合は、その部分の面要素を加工させることによって平坦度を保つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−129009号公報
【特許文献2】特開2004−115731号公報
【特許文献3】特開平8−321457号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Hiroaki Kakiuchi,他、J.Appl.Phys. 104, 053522 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記非特許文献1に開示された技術によれば、大気圧プラズマCVDでは低温、かつ高速で微結晶Si成膜を実現できるものの、成膜レートはプラズマギャップ(電極−成膜用基板間距離)に非常に敏感であることが示されている。非特許文献1に開示された図によれば、プラズマギャップが0.5mmから25μm増加または減少すると、成膜レートは±10%の変動が生じる。
【0013】
太陽電池用のガラス基板は、一般に一辺の長さが1mを越える大きな基板を用いる。このような大型基板を用いる場合、いかに電極間隔の調整を正確に行ったとしても、電極表面、ガラス基板表面、基板ステージ表面の傾き、うねり、表面粗さによりプラズマギャップが変動する。特に、電極表面とそれに対向して設置された基板ステージ及びガラス基板表面の傾きとうねりは、100μm以上となり、無視できない。
上述の成膜レートの変動により、成膜後の膜厚も変動する。例えば平均的なプラズマギャップが0.5mmで、基板の平均面に対して±25μmの凹凸があると、成膜後の膜厚は平均値に対して±10%の変動が生じると推定される。
【0014】
このようにして作製した微結晶Si膜を、例えば太陽電池として応用した場合、ガラス基板の場所によって±10%の膜厚むらが生じる。膜厚が薄い場合、光が十分吸収されず、得られる電流値が小さくなる。そのため、太陽電池パネルとして、出力が不足して仕様を満たさない場合がある。
【0015】
特許文献3に示された基板平坦度の維持方法は、露光工程においてステップアンドリピートで回路パターンを高精度に焼き付けるためのものである。この方式は、光学系の焦点深度が極めて浅いため、1ショットの露光領域内でのフォーカスずれが生じないように、基板面を極めて平坦にすることを目的としている。そのため、ライン状プラズマを走査して1m四方を超えるような大面積基板に均一な膜厚で成膜をする場合には適さない。なぜならば、基板面を平坦にすることだけではなく、電極の基板との対向面のうねり等を考慮する必要があるためである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明では、プラズマCVD装置を、試料である基板を載置するテーブル手段と、テーブル手段と対向して配置された多孔質電極を有する電極手段と、電極手段をテーブル手段に沿って移動させる電極駆動手段と、電極手段の多孔質電極からテーブル手段との間に大気圧中でCVD原料ガスを供給するガス供給手段と、電極手段とテーブル手段との間に大気圧中で高周波電力を印加する高周波電力印加手段と、電極手段とテーブル手段との間隔を制御する制御手段とを備えて構成し、制御手段は、ガス供給手段で電極手段の多孔質電極からテーブル手段との間に大気圧中でCVD原料ガスを供給しながら高周波電力印加手段で電極手段とテーブル手段との間に大気圧中で高周波電力を印加することにより電極手段と試料との間にプラズマを発生させた状態で駆動手段で電極手段をテーブル手段に沿って移動させている間に電極手段とテーブル手段との間隔を制御するようにした。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明では、プラズマCVD装置を、試料である基板を載置するテーブル手段と、テーブル手段と対向して配置された電極手段と、電極手段をテーブル手段に沿って移動させる電極駆動手段と、電極手段とテーブル手段との間にCVD原料ガスを供給するガス供給手段と、電極手段とテーブル手段との間に高周波電力を印加する高周波電力印加手段と、電極手段とテーブル手段との間隔を制御する制御手段と
を備えて構成し、制御手段は、ガス供給手段で電極手段とテーブル手段との間に大気圧中でCVD原料ガスを供給して高周波電力印加手段で電極手段とテーブル手段との間に大気圧中で高周波電力を印加することにより電極手段と試料との間にプラズマを発生させた状態で駆動手段で電極手段をテーブル手段に沿って移動させている間に電極手段とテーブル手段との両方を制御して電極手段とテーブル手段との間隔を制御するようにした。
【0018】
さらに、上記課題を解決するために、本発明では、テーブルに載置された基板とテーブルと対向して配置された電極との間に大気圧中又は大気圧に近い雰囲気中でCVD原料ガスを供給してテーブルと電極との間に高周波電力を印加させてテーブルと電極との間に大気圧中又は大気圧に近い雰囲気中でプラズマを発生させた状態で電極をテーブルに沿って移動させることにより基板上に薄膜を形成するプラズマCVD方法において、テーブルと電極との間にプラズマを発生させた状態で電極を前記テーブルに沿って移動させている間にテーブルに載置された基板の表面に対する電極の高さと傾きとを調整してテーブルと電極との間隔を一定に維持しながら基板上に薄膜を形成するようにした。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、基板−電極間距離を一定に維持しながら大気圧プラズマCVDにより成膜することにより、膜厚変動を抑制して均一な膜厚の薄膜を形成することができるようになった。これにより、薄膜Si太陽電池パネル内の出力ばらつきを抑制することができ、出力が不十分な太陽電池パネルの作りこみを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係るプラズマCVD装置の全体の概略構成を示すブロック図である。
【図2A】本発明の実施例1に係るプラズマCVD装置の電極とステージ及びリニアガイドとの関係を示す断面図である。
【図2B】本発明の第1の実施例における電極構造体とギャップセンサとの関係を示す側面の断面図である。
【図3A】本発明の実施例1におけるステージの平面図である。
【図3B】図3AのC−C断面の矢視図である。
【図4】本発明の実施例1の処理の流れを示すフロー図である。
【図5】基板のうねりの形状を説明する基板の断面図である。
【図6】本発明の実施例1における基板−電極間距離の調整方法の処理の流れを示すフロー図である。
【図7A】本発明の実施例1における基板面高さの測定位置を説明する電極構造体の正面の断面図である。
【図7B】本発明の実施例1における基板面高さの測定位置を説明する電極構造体の下面の平面図である。
【図8】本発明の実施例1における基板面高さの調整をする前の状態を説明する電極構造体と基板及びステージの断面図である。
【図9】本発明の実施例1における基板面高さの測定位置を説明する電極構造体と基板及びステージの断面図である。
【図10】本発明の実施例1における基板面高さの測定手段の変形例の構成を説明する大気圧プラズマCVD装置本体の斜視図である。
【図11】本発明の実施例1における基板面高さの調整を行った後の状態を説明する電極構造体と基板及びステージの断面図である。
【図12】本発明の実施例1における基板と電極とを相対的に移動させる手段の変形例の構成を説明する大気圧プラズマCVD装置本体の斜視図である。
【図13】本発明の実施例2に係るプラズマCVD装置本体の概略構成を示すブロック図である。
【図14A】本発明の実施例2に係るプラズマCVD装置の電極とステージ及びリニアガイドとの関係を示す断面図である。
【図14B】図14AのC−C断面矢視図である。
【図15A】本発明の実施例2における電極面及び基板面高さの調整を行う前の複数の電極構造体と基板及びステージの関係を示す図である。
【図15B】本発明の実施例2における電極面高さの調整を行った後の複数の電極構造体と基板及びステージの関係を示す図である。
【図15C】本発明の実施例2における電極面と基板面との高さの調整を行った後の複数の電極構造体と基板及びステージの関係を示す図である。
【図16】本発明の実施例2における基板と電極とを相対的に移動させる手段の変形例の構成を説明する大気圧プラズマCVD装置本体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係るダイレクト型の大気圧プラズマCVDによる成膜装置の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0022】
第1の実施例に係るダイレクト型の大気圧プラズマCVD装置の構成を、図1に示す。図1において、100は大気圧プラズマCVD装置本体で、電極構造物3、ガラス基板6を載置するためのステージ7、装置フレーム20、電極構造物3の移動を案内するリニアガイド21、22、電極構造物3を支持してリニアガイド21及び22の固定子21−1,22−1に沿って移動可能であり、かつ電極構造物3の高さや傾きを調整する支持部24−1及び24−2、電極構造物3とガラス基板6とのギャップを検出するギャップセンサ31−37を備えて構成されている。26は成膜チャンバーで大気圧プラズマCVD装置本体100を覆っている。
【0023】
150は制御手段で、電極構造物3を駆動するテーブル駆動手段151、電極構造物3の高さと傾きとを制御する支持部23及び24を駆動する傾き調整手段152、ギャップセンサ31−37を制御するギャップセンサコントローラ153、ステージ7に載置されたガラス基板6を突き上げる突き上げピンを駆動する突き上げピン駆動手段154、ステージ7に載置されたガラス基板6を真空吸着するための真空排気を制御する真空排気制御部155、ガス供給部156から電極構造物3の内部に供給されるガスの流量や圧力を調整するための流量調整バルブ158を制御するガス供給制御手段157、高周波電力印加手段27をそれぞれ制御する。
【0024】
また、制御手段150の内部には、演算部150−1、記憶部150−2、制御部150−3が含まれている。
【0025】
電極構造物3及び電極構造物3の高さや傾きを調整する支持部23と24の詳細な構成を図2Aに示す。
【0026】
電極構造物3は、多孔質電極2と多孔質電極支持体1とで構成されており、内部に空間3−1があり、空間3−1には多孔質電極支持体1に設けられたガス供給ポート4から原料ガスが供給される。多孔質電極2は、金属又は半金属又はそれらの合金の粒子を焼結して成形することにより作成され、気孔率が20−40%程度で形成されている。
【0027】
支持部24−1は、リニアガイド21の固定子21−1に沿って移動可能なリニアガイドの可動子21−2と、可動子21−2に支持されているブロック体24−1と、可動子21−2に固定されてブロック体24−1の高さ方向(紙面の上下方向)の位置を調整する駆動部23−1で構成されており、ブロック体24−1で電極構造体3の多孔質電極支持体1の一方の面を固定支持している。
【0028】
支持部24−2も支持部24−1と同様に、リニアガイドの固定子22−1に沿って移動可能なリニアガイドの可動子22−2と、可動子22−2に支持されているブロック体24−2と、可動子22−2に固定されてブロック体24−2の高さ方向(紙面の上下方向)の位置を調整する駆動部23−2で構成されており、ブロック体24−2で電極構造体3の多孔質電極支持体1の他方の面を固定支持している。
【0029】
リニアガイドの固定子21−1と可動子21−2及びリニアガイドの固定子22−1と可動子22−2とはテーブル駆動手段152により制御され、可動子21−2と22−2とを固定子21−1と22−1に沿って同期して駆動することにより電極構造体3をガラス基板6の表面に沿って移動させる。
【0030】
ガラス基板6を載置するためのステージ7の構成について、図3A,Bを用いて説明する。
【0031】
図3Aはステージ7を上(電極構造物3側)から見た平面図、図3BはそのA−A断面図である。ステージ7には突き上げピン9と真空吸着溝8が一定の間隔で全面に配されている。基板表面高さの調整機構は、それぞれ1つの突き上げピン9とその周囲を取り巻くように配置された真空吸着溝8が対を成すことで構成されている。突き上げピン9には基板を保持するための真空吸着穴10が設けられている。各突き上げピン9は、制御手段150で制御されている突き上げピン駆動手段154によりピン駆動部9−1でステージ7の上面からの突き出し量が個別に制御される。
【0032】
また、真空排気溝8は各突き上げピンの周囲を取り囲むように形成されているが、それらはステージ7の内部でつながっており、排気ポート8−1から真空排気部155により真空排気されている。
【0033】
次に図1に示した構成で、大気圧プラズマCVD法により基板6上に薄膜を形成する工程を図4を用いて説明する。
【0034】
まず、ステージ7に基板6を載置する(基板ロード:S401)。次に、制御部150で真空排気部155を作動させてステージ7の真空排気溝8を排気して基板6をステージ7に真空吸着させる(S402)。次に、ギャップセンサ31−37でステージ7に真空吸着されている基板6の表面の高さを検出し、制御部150で突き上げピン駆動手段154を制御して基板6の表面の高さが一定となるように突き上げピン9のステージ7の上面からの突き出し量を調整する(S403)。
【0035】
次に、制御部150でガス供給手段157を制御してガス供給部156から電極構造物3の内部3−1にCVD原料ガス(例えば、モノシランガス(SiH)又はジシランガス(Si)又はそれらにアルシン(AsH)やホスフィン(PH)などの添加ガスを微量添加したもの)を供給する。次に、電極構造物3の内部3−1にCVD原料ガスが十分に供給されて多孔質電極2から基板6の側にCVD原料ガスが噴出した状態で多孔質電極2とステージ7との間に高周波電力印加手段27からケーブル271を介して高周波電力を印加して(S405)、多孔質電極2と基板6との間にプラズマを発生させる。次に、多孔質電極2と基板6との間にプラズマを発生させた状態でガス供給部156から電極構造物3の内部3−1にCVD原料ガスを供給し、ギャップセンサ31−37でステージ7に真空吸着されている基板6の表面の高さを検出しながらリニアガイド21を作動させて電極構造物3を一定の速度でリニアガイド21に沿って移動させる(S406)。
【0036】
電極構造物3が移動端に到達したらリニアガイド21の作動を停止し(S407),高周波電力の印加を停止し(S408),ガス供給手段157を作動させて電極構造物3の内部3−1へのCVD原料ガスの供給を停止し、真空排気部155を作動させて基板6のステージ7への真空吸着を停止する。その後、基板6をステージから取り出して(基板アンロード:S411)一連の捜査を終了する。
【0037】
前記プラズマCVD装置は電極構造物3の長手方向に渡って、5箇所以上の位置において基板−電極間距離の測定手段31を備えている。5箇所以上とした根拠については以下の通りである。薄膜Si太陽電池やTFTパネルは、ガラス基板などに2層以上の薄膜を積層することにより作製される。
【0038】
その場合、図5に示すように、基板上に形成された膜11の応力により、1〜2.5周期程度のうねりが想定される。1周期構造となるのは、ほぼ均一に圧縮応力または引っ張り応力が働いている場合、1.5または2周期構造になるのは膜の端部の応力が中心部と異なる場合または1周期構造の中心部が自重でたわんだ場合、2.5周期構造になるのは、1.5周期または2周期構造の中心部が自重でたわんだ場合などが考えられる。微細な凹凸はさらに多周期構造を持つが、ガラス基板の製法上及び膜の特性上、成膜プロセスに影響を及ぼすほど大きなうねりが2.5周期より多周期になることは考えにくい。測定点数の最小値は、2.5周期構造をもつ基板であっても、うねりの頂上、谷底付近の基板面高さ測定に対応するため、5箇所以上とした。
【0039】
ステージ7上に配された基板6の表面高さの調整機構(真空吸着穴10を備えた突き上げピン9と真空吸着溝8が対になったもの)の点数は、基板の幅方向(長尺電極の長手方向)には前記測定点数と同数以上が必要である。電極構造物3を基板6およびステージ7に対して相対的に走査する際には、調整を容易にするため、測定点の直下付近を突き上げピン9が通過するように配置する。
【0040】
以下では電極面高さ、基板面高さの測定点及び基板表面高さの調整機構は7箇所に設けたとして説明する。
【0041】
基板の長さ方向(長尺電極の幅方向)の調整機構の設置ピッチは特に指定はないが、設置ピッチが小さいと調整機構を駆動しても十分な基板変形量を得ることができず、効果が小さい。
次に、S403における基板表面高さ計測・調整のステップの詳細について、図6乃至12を用いて説明するは以下のようにして行われる。まず、図4に示した処理フローに先立って、予め図7に示すように、予め電極構造物3表面の特徴的な位置における表面高さ(電極面高さ)E1〜E7を測定し(S601)、記憶手段150−2に入力しておく(S602)。ここで、電極構造物3表面の特徴的な位置とは、図7に示すような多孔質電極2の長手方向に沿った線分上の位置である。図6では一例として、多孔質電極2の中心線上でE1〜E7を測定した。
【0042】
また、ギャップセンサ31の検出面と多孔質電極2の基板6に対向する面との間隔H(図2B参照)を予め計測して記憶手段150−2に記憶させておく。ギャップセンサ31で検出するガラス基板6の表面の高さは(H+D)であり、成膜中に管理したい寸法はDであるので、成膜中にギャップセンサ31で検出したガラス基板6の表面の高さ(H+D)から記憶手段150−2に記憶させておいた寸法Hを差し引くことで成膜中の管理したい寸法Dを求めることができる。
【0043】
次に図4に示した処理フローを実行し、S402において、真空吸着溝8及び真空吸着穴10から真空排気を行うことにより、ガラス基板6をステージ7に吸着した状態にする。このとき、図8に示すようにガラス基板6の裏面がステージ7の表面形状に倣う。この状態でS403において、電極構造物3の前記E1〜E7に正対するガラス基板6の表面の位置の高さ(基板面高さ) S10〜S70をギャップセンサ31−37で測定する(図9:S603)。
【0044】
上記は、基板−電極間距離の測定手段31−37が、図1に示すように、測定点毎に一つずつある場合について説明を行ったが、図10に示すように電極の長手方向に測定手段30を走査手段28により左右に往復運動をさせつつ所定の位置、点数の測定を行っても同様の効果が得られる。例えば図13の走査手段28上に●で示した点を測定手段30が通過するときに基板面高さを測定する。測定を行うタイミングは、●で示された点が突き上げピン9の直上付近を通過するときである。
【0045】
次に、制御部150の演算手段150−1において、記憶手段150−2に記録された電極面高さデータとS603において測定手段31−37で測定して得られた計測データを用いて、En−Sn0(nは1〜7の整数:図8参照)を計算し(S604)、基板−電極間距離および傾きを求める。
【0046】
次に、この求めた基板−電極間距離および傾きのデータに基づいて制御手段150−3で傾き調整手段152を制御して駆動部23−1と23−2とを個別に駆動し、ブロック体24−1と24−2との高さを調整することにより電極構造体3の基板6との間隔及び傾きを調整する(S605)。
【0047】
傾き調整手段152で駆動部23−1と23−2とを制御して電極構造体3の基板6との間隔及び傾きを調整した後、その結果を演算手段150−1で基板−電極間距離の設定値と比較し(S606)、所定の値と異なる場合には、制御手段150−3が基板6の表面高さ調整機構(突き上げピン駆動手段154)を制御して、ピン駆動部9−1で駆動される個々の突き上げピン9のステージ7の上面からの突き出し量が所定の値となるように調整する(S607)。たとえば、図8でE1−S10は所定の基板−電極間距離よりも大きいため、図11に示すように突き上げピン9が上方へ伸び、基板6の表面を押し上げて、基板表面のうねりや傾きを低減する。一方、E2−S20は所定の基板−電極間距離となっているため、突き上げピン13は駆動されない。
【0048】
以上の動作で、成膜開始前のS403における基板表面高さ計測・調整のステップを終了する。
【0049】
次に、S406において、電極構造体3と基板6との間に原料ガスを供給しプラズマを発生させながら電極構造体3が一定の速度で移動している最中に行う電極構造体3と基板6との間隔と傾きの調整及び基板表面のうねりや傾きを低減する方法について説明する。
【0050】
S406において行う電極構造体3と基板6との間隔と傾きの調整及び基板表面のうねりや傾きを低減する方法は、基本的に先に説明したS403における方法と同じであり、S406においてはこの操作を、電極構造物3に対して基板6及びステージ7を相対的に移動させながら、基板6の表面上の測定位置S11〜S71、S12〜S72、……、S1n〜S7n(nは自然数)に対して繰り返し行う。これらの測定を行う位置は、S10〜S70の測定時と同様、突き上げピンの直上であることが望ましい。
【0051】
電極構造物3に対して基板及びステージを相対的に移動させるための他の方法として、図12に示すように高さ・傾き調整機構22、23を装置フレーム20に固定し、基板6及びステージ7を移動させても良い。その場合には、基板6及びステージ7の移動機構29を備える。移動機構29は、例えば、多連のローラーからなり、基板及びステージを水平に等速で移動させる機能を持つ。
【0052】
本実施例によれば、電極構造物3を支持するブロック体24−1と24−2との高さを個別に調整可能な構成とし、かつ、基板表面の高さを小領域ごとに調整できる構成としたことにより、基板6が電極構造物3の進行方向に対して傾きやうねりを持っている場合でも、電極側の高さ調整機構と基板表面高さ調整機構とを組合せて用いることによって、基板−電極間距離の調整を効率的に実施することができる。
【実施例2】
【0053】
第2番目の実施例として、実施例1で説明した電極構造体3を複数に分割して、分割した個々の電極構造体の高さ及び傾きを調整して成膜する方法及びその講師構成について、13乃至16を用いて説明する。
【0054】
図13に実施例2に係る装置の全体構成を示す。全体の構成は、実施例1で説明した図1に記載した構成と類似している。図1に示した構成と相違する点は、実施例1では電極構造体3が1つで構成されていたが、本実施例では、電極構造体を103,203及び303の3つに分割し、それぞれの高さと傾きとを個別に調整できるように構成した点である。図13においては、図1に示した構成と共通している制御部や駆動、調整手段の記載を省略している。
【0055】
図14Aは電極の長手方向(基板幅方向)の断面図、図14Bは図14AのC−C断面矢視図である図14Aでは、電極構造物が3つに分割された例として多孔質電極102、202、302と多孔質電極支持体101、201、301からなる電極構造物103、203、303を示している。また、図14Bに示すように、隣り合った電極同士は千鳥配置になっている。
【0056】
さらに、多孔質電極102、202、302とステージ7間に高周波電力を印加し、プラズマを発生させるためにそれぞれの電極構造物103、203、303は高周波電力印加手段227にケーブル2271,2272及び2273を介して接続されている。電極構造物103〜303は多孔質電極102〜302から噴出させるCVD用の原料ガスを供給するためのポート104〜304をそれぞれ備える。前記プラズマを発生手段は多孔質電極102〜302から基板−電極間に噴出したガスをプラズマ化する。
【0057】
ステージ7の構成は実施例1で図3A及びBを用いて説明したものと同じなので省略する。
【0058】
各電極構造物103〜303はその支持部1424に駆動部を含む高さ及び傾き調整機構1031,1032,2031,2032,3031及び3032を介して支持されている。電極構造物103は駆動部を含む高さ及び傾き調整機構1031,1032により支持部1424に支持されており、制御手段150で高さ及び傾き調整機構1031,1032を個々に制御することにより電極構造物103の高さと傾きとが調整される。電極構造物203及び303についても同様にして高さと傾きとが調整される。
【0059】
また、支持部1424はリニアガイド221及び222の可動子221−2及び222−2に固定されており、制御手段150で制御されて可動子221−2及び222−2が固定子221−1及び222−1に沿って移動することにより基板6上を移動する。
【0060】
ステージ7上に配された基板表面高さの調整機構の構成及び動作は実施例1で説明したものと同じなので説明を省略する。
【0061】
また、電極構造物103〜303の長さは、少なくとも3対の基板表面高さの調整機構にかかるように設計する。このようにすることで、電極下の0.5〜1周期の基板うねりに対して、基板−電極間距離を調整することが可能となる。図8及び15では、電極構造物は103から303の3つで構成されているとしたが、基板幅全体にわたっては少なくとも3つ以上の電極構造物で構成されていることが必要である。
【0062】
基板の幅方向の基板面高さの調整機構は、電極の分割数をnとすると、2n+1箇所以上備えられている。図8では電極の分割数が3のため、7点の調整機構が必要となる。
【0063】
図9に示すように、電極構造物を3つ以上で構成し、基板面高さの調整機構の点数を7箇所(電極構造物数をnとしたときに2n+1箇所)以上である本構造は、基板面高さの調整機構を設置しにくい外周部にうねりが集中している基板に対して、特に有効である。すなわち、基板両端の電極を水平面から傾けることによって、基板表面高さの調整機構のない最外周のうねりを調整できる。
【0064】
電極構造物3の支持部は高さ・傾き調整機構1031,1032,2031,2032,3031及び3032を備える。基板表面高さ調整機構のストロークが足りない場合や基板が長尺電極の進行方向に対して傾きを持っている場合に、電極側の高さ調整機構を用いることによって、基板−電極間距離の調整を効率的に実施することができる。
【0065】
以下では測定点数及び基板表面高さの調整機構の点数は6点として説明する。
【0066】
基板の長さ方向(長尺電極の幅方向)の調整機構の設置ピッチは特に指定はないが、設置ピッチが小さいと調整機構を駆動しても十分な基板変形量を得ることができず、効果が小さい。
【0067】
本実施例の図13に示した構成の大気圧プラズマCVD装置を用いて、大気圧プラズマCVD法により基板6上に薄膜を形成する工程は、実施例1で図4を用いて説明したものと同じであるので、記載を省略する。
【0068】
次に、図4のフローのS403に対応する基板表面高さ計測・調整ステップについて説明する。
【0069】
基板−電極間距離の調整は次のようにして行われる。まず、予め電極構造物103,203および303の表面の特徴的な位置における表面高さ(電極面高さ)E1〜E6をギャップセンサ231〜236で測定し(図15A:S601)、図示していない記憶手段に入力する(図1の150−2に相当:S602)。ここで、電極構造物103,203および303の表面の特徴的な位置とは、電極構造物103,203および303の長手方向に沿った線分上の位置である。例えば、千鳥配置されている電極構造物103,203および303の中心線上でE1〜E6を測定した。
【0070】
次に実施例1の図3AおよびBに示したのと同じ構成のステージ7を用いて、真空吸着溝8及び真空吸着穴10から真空排気を行うことにより、ガラス基板6をステージ7に吸着した状態にする。このとき、図15Aに示すように基板の裏面がステージの表面形状に倣う。この状態で基板表面上の高さを測定する(S603)。
【0071】
さらに図示していない演算手段(図1の150−1に相当)において、記憶手段(図1の150−2に相当)に記録された電極面高さデータとギャップセンサ231〜236から得られた計測データを用いて、En−Sn0(nは1〜6の整数)を計算し、基板−電極間距離を求める(S604)。
【0072】
図15Aに示すように多孔質電極102の下に相当する基板6の表面は、基板表面高さ調整機構93付近から91付近にかけて右上がりの傾向がある。一方、多孔質電極302の下に相当する基板6の表面は、基板表面高さ調整機構95付近から96付近にかけて右下がりの傾向がある。また多孔質電極202の下に相当する部分は中央が低い構造となっている。そこで多孔質電極102を備えた電極構造物103は、その下の基板の傾向にあわせるために高さ及び傾き調整機構1031を作動させて左側を下げ、多孔質電極302を備えた電極構造物303は、その下の基板の傾向に合わせるために高さ及び傾き調整機構3032を作動させて右側を下げる。多孔質電極202を備えた電極構造物203については、左端、右端の上下では調整することができないため、水平を保ったままにする(S605)。
【0073】
このようにして高さ・傾き調整機構1031,1032,2031,2032,3031及び3032による電極面の移動量を補正すると、基板−電極間距離はEn’−Sn0となる。この値を基板−電極間距離の設定値と比較し(S606)、所定の値と異なる場合には、制御手段が基板表面高さ調整機構を駆動して、所定の値となるように調整する(S607)。たとえば、図15BでE1’−S10は所定の基板−電極間距離よりも大きいため、図15Cに示すように突き上げピン91が上方へ伸び、基板表面を押し上げて、基板表面のうねりや傾きを低減する。一方、E2’−S20は所定の基板−電極間距離となっているため、突き上げピン92は駆動されない。
【0074】
以上の動作で、成膜開始前のS403における基板表面高さ計測・調整のステップを終了する。
【0075】
次に、S406に相当するステップおいて、電極構造体103,203および303と基板6との間に原料ガスを供給しプラズマを発生させながら電極構造体103,203および303が一定の速度で移動している最中に行う電極構造体103,203および303と基板6との間隔と傾きの調整及び基板表面のうねりや傾きを低減する方法について説明する。
【0076】
S406において行う電極構造体103,203および303と基板6との間隔と傾きの調整及び基板表面のうねりや傾きを低減する方法は、基本的に先に説明したS403における方法と同じであり、S406においてはこの操作を、電極構造体103,203および303に対して基板6及びステージ7を相対的に移動させながら、基板6の表面上の測定位置に対して繰り返し行う。
【0077】
電極構造体103,203および303に対して基板6及びステージ7を相対的に移動させる方法は次の通りである。図13に示すように、高さ調整機構1424はガイド21−1及び22−1に沿って等速で移動可能な構造となっており、基板6及びステージ7上で電極構造体103,203および303を走査する目的で使用される。ガイド21−1及び22−1は装置フレーム20上に設置されている。
【0078】
他の方法として、図16に示すように高さ・傾き調整機構1622を装置フレーム20に固定し、基板6及びステージ7を移動させても良い。その場合には、基板及びステージの移動機構29を備える。移動機構29は、例えば、多連のローラーからなり、基板及びステージを水平に等速で移動させる機能を持つ。
【0079】
なお、上記した実施例1及び2においては、大気圧プラズマCVD法について説明したが、チャンバー26の内部の圧力を大気圧よりの多少低く(例えば10〜10Pa)維持した状態で実施しても良い。また、大気圧プラズマCVD法を大気中で行っても良く、不活性ガス(例えば、窒素(N)ガスまたはヘリウム(He)ガスまたはアルゴン(Ar)ガス)雰囲気中で行っても良い。
【0080】
更に、上記した実施例1及び2においては、ダイレクト型の大気圧プラズマCVD法を実現する装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、リモート型の大気圧プラズマCVD法を実現する装置についても適用できることは明らかである。
【符号の説明】
【0081】
1、101、201、301・・・多孔質電極支持体 2、102、202、302
・・・多孔質電極 3、103、203、303・・・電極構造物 4、104、204、304:ガス導入ポート 6・・・基板 7・・・ステージ 8、12
・・・真空吸着溝 9、13・・・突き上げピン 10、14・・・真空吸着穴
20・・・装置フレーム 21、22・・・リニアガイド 21−1,22−1
・・・リニアガイドの固定子 21−2,22−2・・・リニアガイドの可動子 23−1,23−2,1031,1032,2031,2032,3031,3032・・・駆動部 31,32,33,34,35,36,37,231,232,233,234,235,236・・・ギャップセンサ 26:チャンバー 27:高周波電力印加手段 150・・・制御部 150−1・・・演算手段 150−2・・・記憶手段 150−3・・・制御手段 151・・・テーブル駆動手段 152・・・傾き調整手段 153・・・ギャップコントローラ 154・・・突き上げピン駆動手段 155・・・真空排気部 156・・・ガス供給部 157・・・ガス供給制御手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料である基板を載置するテーブル手段と、
該テーブル手段と対向して配置された多孔質電極を有する電極手段と、
該電極手段を前記テーブル手段に沿って移動させる電極駆動手段と、
前記電極手段の多孔質電極から前記テーブル手段との間に大気圧中でCVD原料ガスを供給するガス供給手段と、
前記電極手段と前記テーブル手段との間に大気圧中で高周波電力を印加する高周波電力印加手段と、
前記電極手段と前記テーブル手段との間隔を制御する制御手段と
を備えたプラズマCVD装置であって、
制御手段は、前記ガス供給手段で前記電極手段の多孔質電極から前記テーブル手段との間に大気圧中でCVD原料ガスを供給しながら前記高周波電力印加手段で前記電極手段と前記テーブル手段との間に大気圧中で高周波電力を印加することにより前記電極手段と前記試料との間にプラズマを発生させた状態で前記駆動手段で前記電極手段を前記テーブル手段に沿って移動させている間に前記電極手段と前記テーブル手段との間隔を制御することを特徴とするプラズマCVD装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記電極手段と前記テーブル手段との両方を制御して前記電極手段と前記テーブル手段との間隔を制御することを特徴する請求項1記載のプラズマCVD装置。
【請求項3】
前記電極手段は複数の分割電極を並べて構成されており、該複数の分割電極ごとに前記制御手段で前記テーブル手段との間隔を制御することを特徴する請求項1記載のプラズマCVD装置。
【請求項4】
試料である基板を載置するテーブル手段と、
該テーブル手段と対向して配置された電極手段と、
該電極手段を前記テーブル手段に沿って移動させる電極駆動手段と、
前記電極手段と前記テーブル手段との間にCVD原料ガスを供給するガス供給手段と、
前記電極手段と前記テーブル手段との間に高周波電力を印加する高周波電力印加手段と、
前記電極手段と前記テーブル手段との間隔を制御する制御手段と
を備えたプラズマCVD装置であって、
制御手段は、前記ガス供給手段で前記電極手段と前記テーブル手段との間に大気圧中でCVD原料ガスを供給して前記高周波電力印加手段で前記電極手段と前記テーブル手段との間に大気圧中で高周波電力を印加することにより前記電極手段と前記試料との間にプラズマを発生させた状態で前記駆動手段で前記電極手段を前記テーブル手段に沿って移動させている間に前記電極手段と前記テーブル手段との両方を制御して前記電極手段と前記テーブル手段との間隔を制御することを特徴とするプラズマCVD装置。
【請求項5】
前記電極手段は該電極手段の前記テーブル手段に載置された基板の表面に対する高さと傾きとを調整する高さ・傾き調整部を有し、前記テーブル手段は前記電極手段に対する前記基板の部分領域ごとの間隔を調整する基板の小領域高さ調整部を有し、前記制御手段で前記電極手段の高さ・傾き調整部と前記テーブル手段の小領域高さ調整部とを制御することにより前記電極手段を前記テーブル手段に沿って移動させている間に前記電極手段と前記テーブル手段との間隔を制御することを特徴する請求項1又は4に記載のプラズマCVD装置。
【請求項6】
前記小領域高さ調整部は、前記テーブル手段に載置された基板を前記テーブル手段に真空吸着する真空吸着部と、前記基板の前記テーブル手段側の面を前記小領域ごとに押し上げる複数の押し上げピンとを有していることを特徴する請求項5記載のプラズマCVD装置。
【請求項7】
前記電極手段は前記テーブル手段の幅よりも狭く前記基板の幅よりも大きい幅を有し、前記電極手段の前記幅方向の複数の箇所に前記電極手段と前記テーブル手段に載置された基板との間隔を計測する計測手段を設け、前記制御手段は、計測手段で計測した前記電極手段と前記基板との間の複数の箇所の間隔の情報に基づいて前記電極手段と前記テーブル手段との間隔を制御することを特徴する請求項1又は4に記載のプラズマCVD装置。
【請求項8】
前記電極手段は多孔質電極を有し、前記ガス供給手段は大気圧中で前記電極手段の多孔質電極から前記テーブル手段との間にCVD原料ガスを供給することを特徴とする請求項1又は4に記載のプラズマCVD装置。
【請求項9】
テーブルに載置された基板と前記テーブルと対向して配置された電極との間に大気圧中又は大気圧に近い雰囲気中でCVD原料ガスを供給して前記テーブルと前記電極との間に高周波電力を印加させて前記テーブルと前記電極との間に大気圧中又は大気圧に近い雰囲気中でプラズマを発生させた状態で前記電極を前記テーブルに沿って移動させることにより前記基板上に薄膜を形成する方法であって、前記テーブルと前記電極との間にプラズマを発生させた状態で前記電極を前記テーブルに沿って移動させている間に前記テーブルに載置された基板の表面に対する前記電極の高さと傾きとを調整して前記テーブルと前記電極との間隔を一定に維持しながら前記基板上に薄膜を形成することを特徴とするプラズマCVD方法。
【請求項10】
前記テーブルと前記電極との間隔を制御することを、前記テーブルに載置された基板の表面対する前記電極の高さと傾きとを調整するとともに、前記電極に対する前記基板の部分領域ごとの間隔を調整することを特徴とする請求項8記載のプラズマCVD方法。
【請求項11】
前記部分領域ごとの間隔を調整することを、前記テーブルに載置された基板を前記テーブルに真空吸着し、前記基板の前記テーブルに真空吸着されている側の面を前記小領域ごとに複数のピンで押し上げることにより行うことを特徴する請求項10記載のプラズマCVD方法。
【請求項12】
前記電極は前記テーブルの幅よりも狭く前記基板の幅よりも大きい幅を有し、前記電極の前記幅方向の複数の箇所で前記電極と前記テーブルに載置された基板との間隔を計測し、該計測した前記電極と前記基板との間の複数の箇所の間隔の情報に基づいて前記電極と前記テーブルとの間隔を制御することを特徴する請求項8記載のプラズマCVD方法。
【請求項13】
電極は多孔質電極で形成されており、大気圧中又は大気圧に近い雰囲気中で該多孔質電極から前記テーブルに載置された基板との間にCVD原料ガスを供給することを特徴する請求項8記載のプラズマCVD方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−181749(P2011−181749A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45514(P2010−45514)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】