説明

プロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置の基板位置決め方法、及び表示用パネル基板の製造方法

【課題】経年変化に伴ってレーザー測長系のレーザー光源の出力特性が変化しても、移動ステージの位置を精度良く検出して、基板の位置決めを精度良く行う。
【解決手段】移動ステージに複数の反射手段34a,34b,35を取り付け、複数のレーザー干渉計32a,32b,33により、レーザー光源31a,31bからのレーザー光と各反射手段34a,34b,35により反射されたレーザー光との干渉を複数箇所で測定する。各レーザー干渉計32a,32b,33の測定結果から、移動ステージの位置を検出し、検出結果に基づき、移動ステージによりチャック10a,10bを移動して、基板1の位置決めを行う。各レーザー干渉計32a,32b,33が受光したレーザー光の強度の変化を検出し、検出したレーザー光の強度の変化を補う様に、レーザー光源31a,31bへ供給する駆動電流を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ装置等の表示用パネル基板の製造において、プロキシミティ方式を用いて基板の露光を行うプロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置の基板位置決め方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に係り、特に、チャックを移動する移動ステージの位置をレーザー測長系により検出して、露光時の基板の位置決めを行うプロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置の基板位置決め方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、露光装置を用いて、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成して行われる。露光装置としては、レンズ又は鏡を用いてマスクのパターンを基板上に投影するプロジェクション方式と、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ方式とがある。プロキシミティ方式は、プロジェクション方式に比べてパターン解像性能は劣るが、照射光学系の構成が簡単で、かつ処理能力が高く量産用に適している。
【0003】
近年、表示用パネルの各種基板の製造では、大型化及びサイズの多様化に対応するため、比較的大きな基板を用意し、表示用パネルのサイズに応じて、1枚の基板から1枚又は複数枚の表示用パネル基板を製造している。その場合、プロキシミティ方式では、基板の一面を一括して露光しようとすると、基板と同じ大きさのマスクが必要となり、高価なマスクのコストがさらに増大する。そこで、基板より比較的小さなマスクを用い、移動ステージにより基板をXY方向へステップ移動して、基板の一面を複数のショットに分けて露光する方式が主流となっている。
【0004】
プロキシミティ露光装置において、パターンの焼付けを精度良く行うためには、露光時の基板の位置決めを精度良く行わなければならない。基板の位置決めを行う移動ステージは、X方向へ移動するXステージと、Y方向へ移動するYステージと、θ方向へ回転するθステージとを備え、基板を支持するチャックを搭載して、XY方向へ移動及びθ方向へ回転する。特許文献1及び特許文献2には、基板を位置決めする際に、レーザー測長系を用いて移動ステージのXY方向の位置を検出し、また複数のレーザー変位計を用いてチャックのθ方向の傾きを検出する技術が開示されている。レーザー測長系は、レーザー光を発生するレーザー光源と、チャックに取り付けられた反射手段(バーミラー)と、レーザー光源からのレーザー光と反射手段(バーミラー)により反射されたレーザー光との干渉を測定するレーザー干渉計とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−298906号公報
【特許文献2】特開2009−31639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レーザー測長系のレーザー光源の出力は、経年変化により低下し、レーザー干渉計が受光するレーザー光の強度が低下すると、レーザー干渉計の測定結果に誤差が生じて、基板の位置決めが精度良く行えなくなるという問題があった。また、レーザー光源の寿命は約3年程度であり、レーザー測長系のレーザー光源の出力が突然停止すると、レーザー測長系の機能が働かなくなって、プロキシミティ露光装置の運転が停止するという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、経年変化に伴ってレーザー測長系のレーザー光源の出力特性が変化しても、移動ステージの位置を精度良く検出して、基板の位置決めを精度良く行うことである。また、本発明の課題は、レーザー測長系のレーザー光源の寿命を予め告知して、プロキシミティ露光装置の予期しない運転停止を防止することである。さらに、本発明の課題は、経年変化に伴ってレーザー測長系のレーザー光源の出力特性が変化しても、パターンの焼付けを精度良く行って、高品質な表示用パネル基板を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプロキシミティ露光装置は、基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置において、チャックを搭載して移動する移動ステージと、レーザー光を発生するレーザー光源、移動ステージに取り付けられた複数の反射手段、及びレーザー光源からのレーザー光と各反射手段により反射されたレーザー光との干渉を複数箇所で測定する複数のレーザー干渉計を有するレーザー測長系と、レーザー光源へ駆動電流を供給する光源制御装置と、各レーザー干渉計の測定結果から、移動ステージの位置を検出する検出手段と、移動ステージを駆動するステージ駆動回路と、検出手段による移動ステージの位置の検出結果に基づき、ステージ駆動回路を制御し、移動ステージによりチャックを移動させて、基板の位置決めを行う制御手段とを備え、検出手段が、各レーザー干渉計が受光したレーザー光の強度の変化を検出し、光源制御装置が、検出手段により検出されたレーザー光の強度の変化を補う様に、レーザー光源へ供給する駆動電流を制御するものである。
【0009】
また、本発明のプロキシミティ露光装置の基板位置決め方法は、基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置の基板位置決め方法であって、チャックを移動ステージに搭載し、レーザー測長系のレーザー光を発生するレーザー光源へ駆動電流を供給し、移動ステージにレーザー測長系の複数の反射手段を取り付け、レーザー測長系の複数のレーザー干渉計により、レーザー光源からのレーザー光と各反射手段により反射されたレーザー光との干渉を複数箇所で測定し、各レーザー干渉計の測定結果から、移動ステージの位置を検出し、検出結果に基づき、移動ステージによりチャックを移動して、基板の位置決めを行い、各レーザー干渉計が受光したレーザー光の強度の変化を検出し、検出したレーザー光の強度の変化を補う様に、レーザー測長系のレーザー光源へ供給する駆動電流を制御するものである。
【0010】
レーザー干渉計が受光したレーザー光の強度の変化を検出し、検出したレーザー光の強度の変化を補う様に、レーザー測長系のレーザー光源へ供給する駆動電流を制御するので、経年変化に伴ってレーザー測長系のレーザー光源の出力特性が変化しても、レーザー測長系のレーザー光源の出力が一定に保たれ、レーザー干渉計の測定結果に誤差が生じるのが防止される。従って、移動ステージの位置が精度良く検出され、基板の位置決めが精度良く行われる。
【0011】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置は、光源制御装置が、レーザー光の強度の変化を補う際の駆動電流が所定値以下であることを確認し、制御手段が、駆動電流が所定値を超える場合に、警告を発生するものである。また、本発明のプロキシミティ露光装置の基板位置決め方法は、レーザー光の強度の変化を補う際の駆動電流が所定値以下であることを確認し、駆動電流が所定値を超える場合に、警告を発生するものである。レーザー光源の寿命が残り少なくなると、経年変化に伴う出力特性の変化が大きくなって、レーザー光の強度の変化を補うために必要な駆動電流が大きくなる。レーザー光の強度の変化を補う際の駆動電流が所定値以下であることを確認し、駆動電流が所定値を超える場合に、警告を発生するので、レーザー測長系のレーザー光源の寿命が予め告知され、プロキシミティ露光装置の予期しない運転停止が防止される。
【0012】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置は、検出手段が、各レーザー干渉計が受光したレーザー光の強度の変化を検出したとき、レーザー光の強度の変化を検出したレーザー干渉計と同じレーザー光源からレーザー光が供給されている他のレーザー干渉計について、受光したレーザー光の強度が同様に変化したことを確認し、制御手段が、レーザー光の強度が同様に変化していない場合に、警告を発生するものである。
【0013】
また、本発明のプロキシミティ露光装置の基板位置決め方法は、各レーザー干渉計が受光したレーザー光の強度の変化を検出したとき、レーザー光の強度の変化を検出したレーザー干渉計と同じレーザー光源からレーザー光が供給されている他のレーザー干渉計について、受光したレーザー光の強度が同様に変化したことを確認し、レーザー光の強度が同様に変化していない場合に、警告を発生するものである。
【0014】
基板のステップ移動や基板の位置決めのために、移動ステージによるチャックの移動を繰り返すプロキシミティ露光装置では、レーザー測長系のレーザー光源の出力に変化が無くても、移動ステージの移動による振動が原因で、レーザー測長系の反射手段やレーザー干渉計に位置ずれが発生し、その結果、レーザー干渉計により受光されるレーザー光の強度が低下することがある。その場合、レーザー光の強度の変化を検出したレーザー干渉計と同じレーザー光源からレーザー光が供給されている他のレーザー干渉計においては、全く同様の位置ずれが起こらない限り、レーザー光の強度の変化が同じになることはない。従って、レーザー光の強度の変化を検出したレーザー干渉計と同じレーザー光源からレーザー光が供給されている他のレーザー干渉計について、受光したレーザー光の強度が同様に変化したことを確認し、レーザー光の強度が同様に変化していない場合に、警告を発生することにより、レーザー測長系の反射手段及びレーザー干渉計に位置ずれが発生していないか、点検を促すことができる。
【0015】
本発明の表示用パネル基板の製造方法は、上記のいずれかのプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行い、あるいは、上記のいずれかのプロキシミティ露光装置の基板位置決め方法を用いて基板を位置決めして、基板の露光を行うものである。経年変化に伴ってレーザー測長系のレーザー光源の出力特性が変化しても、露光時の基板の位置決めが精度良く行われるので、パターンの焼付けが精度良く行われ、高品質な表示用パネル基板が製造される。
【発明の効果】
【0016】
本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置の基板位置決め方法によれば、レーザー干渉計が受光したレーザー光の強度の変化を検出し、検出したレーザー光の強度の変化を補う様に、レーザー測長系のレーザー光源へ供給する駆動電流を制御することにより、経年変化に伴ってレーザー測長系のレーザー光源の出力特性が変化しても、移動ステージの位置を精度良く検出して、基板の位置決めを精度良く行うことができる。
【0017】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置の基板位置決め方法によれば、レーザー光の強度の変化を補う際の駆動電流が所定値以下であることを確認し、駆動電流が所定値を超える場合に、警告を発生することにより、レーザー測長系のレーザー光源の寿命を予め告知して、プロキシミティ露光装置の予期しない運転停止を防止することができる。
【0018】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置の基板位置決め方法によれば、各レーザー干渉計が受光したレーザー光の強度の変化を検出したとき、レーザー光の強度の変化を検出したレーザー干渉計と同じレーザー光源からレーザー光が供給されている他のレーザー干渉計について、受光したレーザー光の強度が同様に変化したことを確認し、レーザー光の強度が同様に変化していない場合に、警告を発生することにより、レーザー測長系の反射手段及びレーザー干渉計に位置ずれが発生していないか、点検を促すことができる。
【0019】
本発明の表示用パネル基板の製造方法によれば、経年変化に伴ってレーザー測長系のレーザー光源の出力特性が変化しても、露光時の基板の位置決めを精度良く行うことができるので、パターンの焼付けを精度良く行って、高品質な表示用パネル基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】チャック10aが露光位置にあり、チャック10bがロード/アンロード位置にある状態を示す上面図である。
【図3】チャック10aが露光位置にあり、チャック10bがロード/アンロード位置にある状態を示す一部断面側面図である。
【図4】チャック10bが露光位置にあり、チャック10aがロード/アンロード位置にある状態を示す上面図である。
【図5】チャック10bが露光位置にあり、チャック10aがロード/アンロード位置にある状態を示す一部断面側面図である。
【図6】主ステージベース上にある移動ステージの上面図である。
【図7】主ステージベース上にある移動ステージのX方向の一部断面側面図である。
【図8】主ステージベース上にある移動ステージのY方向の側面図である。
【図9】レーザー干渉計の動作を説明する図である。
【図10】レーザー干渉計の動作を説明する図である。
【図11】X方向の変位を測定するレーザー変位計の斜視図である。
【図12】Y方向の変位を測定するレーザー変位計の斜視図である。
【図13】レーザー測長系のレーザー光源の制御を行う部分のブロック図である。
【図14】レーザー光源の駆動電流を制御する動作を示すフローチャートである。
【図15】液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図16】液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。本実施の形態は、複数のチャックを有するプロキシミティ露光装置の例を示している。プロキシミティ露光装置は、複数のチャック10a,10b、主ステージベース11、複数の副ステージベース11a,11b、台12、Xガイド13、複数の移動ステージ、マスクホルダ20、レーザー測長系制御装置30、複数の第1のレーザー測長系、第2のレーザー測長系、レーザー変位計制御装置40、レーザー変位計42,43、バーミラー44、主制御装置70、入出力インタフェース回路71,72、ステージ駆動回路80a,80b、及び光源制御装置90を含んで構成されている。プロキシミティ露光装置は、これらの他に、基板1をチャック10へ搬入し、また基板1をチャック10から搬出する基板搬送ロボット、露光光を照射する照射光学系、装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えている。
【0022】
なお、本実施の形態では、チャック、副ステージベース、移動ステージ、第1のレーザー測長系及びステージ駆動回路がそれぞれ2つ設けられているが、これらをそれぞれ1つ又は3つ以上設けてもよい。また、以下に説明する実施の形態におけるXY方向は例示であって、X方向とY方向とを入れ替えてもよい。
【0023】
図1において、基板1の露光を行う露光位置の上空に、マスク2を保持するマスクホルダ20が設置されている。マスクホルダ20には、露光光が通過する開口20aが設けられており、開口20aの下方には、マスク2が装着されている。マスクホルダ20の下面の開口20aの周囲には、吸着溝が設けられており、マスクホルダ20は、吸着溝により、マスク2の周辺部を真空吸着して保持している。マスクホルダ20に保持されたマスク2の上空には、図示しない照射光学系が配置されている。露光時、照射光学系からの露光光がマスク2を透過して基板1へ照射されることにより、マスク2のパターンが基板1の表面に転写され、基板1上にパターンが形成される。
【0024】
マスクホルダ20の下方には、主ステージベース11が配置されている。主ステージベース11の左右には、主ステージベース11のX方向に隣接して副ステージベース11a,11bが配置されている。主ステージベース11のY方向には、台12が取り付けられている。チャック10aは、後述する移動ステージによって、副ステージベース11a上のロード/アンロード位置と主ステージベース11上の露光位置との間を移動される。また、チャック10bは、後述する移動ステージによって、副ステージベース11b上のロード/アンロード位置と主ステージベース11上の露光位置との間を移動される。
【0025】
基板1は、副ステージベース11a,11b上のロード/アンロード位置において、図示しない基板搬送ロボットにより、チャック10a,10bへ搬入され、またチャック10a,10bから搬出される。チャック10a,10bへの基板1のロード及びチャック10a,10bからの基板1のアンロードは、チャック10a,10bに設けた複数の突き上げピンを用いて行われる。突き上げピンは、チャック10a,10bの内部に収納されており、チャック10a,10bの内部から上昇して、基板1をチャック10a,10bにロードする際、基板搬送ロボットから基板1を受け取り、基板1をチャック10a,10bからアンロードする際、基板搬送ロボットへ基板1を受け渡す。チャック10a,10bは、基板1を真空吸着して支持する。
【0026】
図2は、チャック10aが露光位置にあり、チャック10bがロード/アンロード位置にある状態を示す上面図である。また、図3は、チャック10aが露光位置にあり、チャック10bがロード/アンロード位置にある状態を示す一部断面側面図である。図2において、主ステージベース11上及び副ステージベース11a,11b上には、主ステージベース11上から副ステージベース11a,11b上へX方向に伸びるXガイド13が設けられている。
【0027】
図3において、チャック10a,10bは、それぞれ移動ステージに搭載されている。各移動ステージは、Xステージ14、Yガイド15、Yステージ16、θステージ17、及びチャック支持台19を含んで構成されている。Xステージ14は、Xガイド13に搭載され、Xガイド13に沿ってX方向へ移動する。Yステージ16は、Xステージ14上に設けられたYガイド15に搭載され、Yガイド15に沿ってY方向(図3の図面奥行き方向)へ移動する。θステージ17は、Yステージ16に搭載され、θ方向へ回転する。チャック支持台19は、θステージ17に搭載され、チャック10a,10bを複数箇所で支持する。
【0028】
各移動ステージのXステージ14のX方向への移動により、チャック10aは、副ステージベース11a上のロード/アンロード位置と主ステージベース11上の露光位置との間を移動され、チャック10bは、副ステージベース11b上のロード/アンロード位置と主ステージベース11上の露光位置との間を移動される。図4は、チャック10bが露光位置にあり、チャック10aがロード/アンロード位置にある状態を示す上面図である。また、図5は、チャック10bが露光位置にあり、チャック10aがロード/アンロード位置にある状態を示す一部断面側面図である。副ステージベース11a,11b上のロード/アンロード位置において、各移動ステージのXステージ14のX方向への移動、Yステージ16のY方向への移動、及びθステージ17のθ方向への回転により、チャック10a,10bに搭載された基板1のプリアライメントが行われる。
【0029】
主ステージベース11上の露光位置において、各移動ステージのXステージ14のX方向への移動及びYステージ16のY方向への移動により、チャック10a,10bに保持された基板1のXY方向へのステップ移動が行われる。また、図示しないZ−チルト機構によりマスクホルダ20をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせが行われる。そして、各移動ステージのXステージ14のX方向への移動、Yステージ16のY方向への移動、及びθステージ17のθ方向への回転により、露光時の基板1の位置決めが行われる。
【0030】
各移動ステージのXステージ14、Yステージ16、及びθステージ17には、ボールねじ及びモータや、リニアモータ等の図示しない駆動機構が設けられている。図1において、ステージ駆動回路80aは、主制御装置70の制御により、チャック10aを搭載する移動ステージのXステージ14、Yステージ16、及びθステージ17を駆動する。また、ステージ駆動回路80bは、主制御装置70の制御により、チャック10bを搭載する移動ステージのXステージ14、Yステージ16、及びθステージ17を駆動する。
【0031】
なお、本実施の形態では、マスクホルダ20をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行っているが、各移動ステージにZ−チルト機構を設けて、チャック10a,10bをZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行ってもよい。
【0032】
以下、本実施の形態のプロキシミティ露光装置の基板の位置決め動作について説明する。本実施の形態では、2つの第1のレーザー測長系の一方により、チャック10aを搭載する移動ステージのX方向の位置を検出し、他方により、チャック10bを搭載する移動ステージのX方向の位置を検出する。また、第2のレーザー測長系により、主ステージベース11上での各移動ステージのY方向の位置を検出する。さらに、レーザー変位計42,43を用いて、チャック10a,10bのθ方向の傾きを検出する。
【0033】
図1において、第1のレーザー測長系の一方は、レーザー光源31a、2つのレーザー干渉計32a、及び後述するバーミラー34aを含んで構成されている。第1のレーザー測長系の他方は、レーザー光源31b、2つのレーザー干渉計32b、及び後述するバーミラー34bを含んで構成されている。また、第2のレーザー測長系は、レーザー光源31b、2つのレーザー干渉計33、及びバーミラー35を含んで構成されている。レーザー光源31a,31bは、半導体レーザーを含んで構成されている。
【0034】
図6は、主ステージベース上にある移動ステージの上面図である。図7は、主ステージベース上にある移動ステージのX方向の一部断面側面図である。図8は、主ステージベース上にある移動ステージのY方向の側面図である。図6〜図8は、チャック10aを搭載する移動ステージを示しており、チャック10bを搭載する移動ステージは、チャック10aを搭載する移動ステージとX方向において左右対称な構成となっている。なお、図7ではXガイド13が省略され、図8ではレーザー干渉計32a,32bが省略されている。
【0035】
図8において、移動ステージのXステージ14がXガイド13に搭載されているので、主ステージベース11及び副ステージベース11a,11bとXステージ14との間に、Xガイド13の高さに応じた空間が発生している。第1のレーザー測長系のバーミラー34aは、この空間を利用して、Xステージ14の下に取り付けられている。バーミラー34bも同様である。第1のレーザー測長系の2つのレーザー干渉計32aは、図1に示す様に、主ステージベース11のXガイド13から外れた位置に設置されている。レーザー干渉計32bも同様である。
【0036】
図6〜図8において、第2のレーザー測長系のバーミラー35は、アーム36により、ほぼチャック10aの高さでYステージ16に取り付けられている。チャック10bを搭載する移動ステージについても、同様に、バーミラー35は、ほぼチャック10bの高さでYステージ16に取り付けられている。第2のレーザー測長系の2つのレーザー干渉計33は、図6及び図8に示す様に、主ステージベース11のY方向に取り付けられた台12に設置されている。
【0037】
図9及び図10は、レーザー干渉計の動作を説明する図である。なお、図9は、チャック10aが露光位置にあり、チャック10bがロード/アンロード位置にある状態を示し、図10は、チャック10bが露光位置にあり、チャック10aがロード/アンロード位置にある状態を示している。
【0038】
図9及び図10において、各レーザー干渉計32aは、レーザー光源31aからのレーザー光をバーミラー34aへ照射し、バーミラー34aにより反射されたレーザー光を受光して、レーザー光源31aからのレーザー光とバーミラー34aにより反射されたレーザー光との干渉を測定する。図1において、レーザー測長系制御装置30は、主制御装置70の制御により、2つのレーザー干渉計32aの測定結果から、チャック10aを搭載する移動ステージのX方向の位置を検出し、またXステージ14がX方向へ移動する際のヨーイングを検出する。主制御装置70は、レーザー測長系制御装置30の検出結果を、入出力インタフェース回路71を介して入力する。
【0039】
図9及び図10において、各レーザー干渉計32bは、レーザー光源31bからのレーザー光をバーミラー34bへ照射し、バーミラー34bにより反射されたレーザー光を受光して、レーザー光源31bからのレーザー光とバーミラー34bにより反射されたレーザー光との干渉を測定する。図1において、レーザー測長系制御装置30は、主制御装置70の制御により、2つのレーザー干渉計32bの測定結果から、チャック10bを搭載する移動ステージのX方向の位置を検出し、またXステージ14がX方向へ移動する際のヨーイングを検出する。主制御装置70は、レーザー測長系制御装置30の検出結果を、入出力インタフェース回路71を介して入力する。
【0040】
第1のレーザー測長系のバーミラー34a,34bを各移動ステージのXステージ14の下に取り付け、レーザー干渉計32a,32bを主ステージベース11のXガイド13から外れた位置に設置するので、各移動ステージは副ステージベース11a,11bと主ステージベース11とを移動する際にレーザー干渉計32a,32bと衝突することがない。そして、レーザー干渉計32a,32bを主ステージベース11に設置するので、レーザー干渉計32a,32bが副ステージベース11a,11bの振動の影響を受けない。また、レーザー干渉計32a,32bから主ステージベース11上の各移動ステージまでの測定距離が短くなる。従って、各第1のレーザー測長系を用いて、各移動ステージのX方向の位置が精度良く検出される。そして、各第1のレーザー測長系で、複数のレーザー干渉計32a,32bを主ステージベース11に設置するので、複数のレーザー干渉計32a,32bの測定結果から、各移動ステージのXステージ14がX方向へ移動する際のヨーイングが検出される。
【0041】
図9及び図10において、各レーザー干渉計33は、レーザー光源31bからのレーザー光をバーミラー35へ照射し、バーミラー35により反射されたレーザー光を受光して、レーザー光源31bからのレーザー光とバーミラー35により反射されたレーザー光との干渉を測定する。図1において、レーザー測長系制御装置30は、主制御装置70の制御により、2つのレーザー干渉計33の測定結果から、主ステージベース11上での各移動ステージのY方向の位置を検出し、またYステージ16がY方向へ移動する際のヨーイングを検出する。主制御装置70は、レーザー測長系制御装置30の検出結果を、入出力インタフェース回路71を介して入力する。
【0042】
第2のレーザー測長系のレーザー干渉計33を主ステージベース11のY方向に取り付けられた台12に設置するので、レーザー干渉計33が副ステージベース11a,11bの振動の影響を受けない。また、レーザー干渉計33から主ステージベース11上の各移動ステージまでの測定距離が短くなる。従って、第2のレーザー測長系を用いて、主ステージベース11上での各移動ステージのY方向の位置が精度良く検出される。そして、複数のレーザー干渉計33を台12に設置するので、複数のレーザー干渉計33の測定結果から、各移動ステージのYステージ16がY方向へ移動する際のヨーイングが検出される。また、第2のレーザー測長系の各バーミラー35を、ほぼ各移動ステージが搭載するチャック10a,10bの高さに取り付けるので、各移動ステージのY方向の位置が基板1の近傍で検出される。
【0043】
図11は、X方向の変位を測定するレーザー変位計の斜視図である。図11は、チャック10aを搭載する移動ステージに取り付けられたレーザー変位計を示しており、チャック10bを搭載する移動ステージに取り付けられたレーザー変位計は、図11とX方向において左右対称な構成となっている。バーミラー44は、チャック10a,10bのY方向へ伸びる一側面に取り付けられている。2つのレーザー変位計42は、それぞれ、アーム46により、バーミラー44の高さでブロック48に取り付けられている。ブロック48は、Xステージ14に取り付けられている。
【0044】
図12は、Y方向の変位を測定するレーザー変位計の斜視図である。図12において、バーミラー45は、取り付け具49により、チャック10a,10bの裏面に取り付けられている。レーザー変位計43は、図7及び図12に示す様に、アーム47により、バーミラー45の高さでYステージ16に取り付けられている。なお、図12は、バーミラー45及び取り付け具49が見える様にするため、チャック10a,10bの一部を切り欠いた状態を示している。
【0045】
図11において、各レーザー変位計42は、レーザー光をバーミラー44へ照射し、バーミラー44により反射されたレーザー光を検出することにより、バーミラー44が取り付けられたチャック10aのX方向の変位を測定する。また、図12において、レーザー変位計43は、レーザー光をバーミラー45へ照射し、バーミラー45により反射されたレーザー光を検出することにより、バーミラー45が取り付けられたチャック10a,10bのY方向の変位を測定する。
【0046】
図1において、レーザー変位計制御装置40は、主制御装置70の制御により、各レーザー変位計42,43の測定結果から、チャック10a,10bのθ方向の傾きを検出する。主制御装置70は、レーザー変位計制御装置40の検出結果を、入出力インタフェース回路72を介して入力する。
【0047】
露光時の基板1の位置決めを行う際、主制御装置70は、レーザー変位計制御装置40によるチャック10a,10bのθ方向の傾きの検出結果に基づき、ステージ駆動回路80a,80bを制御し、各移動ステージのθステージ17によりチャック10a,10bをθ方向へ回転させて、基板1のθ方向の位置決めを行う。また、主制御装置70は、レーザー測長系制御装置30による移動ステージのXY方向の位置の検出結果に基づき、ステージ駆動回路80a,80bを制御し、各移動ステージのXステージ14及びYステージ16によりチャック10a,10bをXY方向へ移動させて、基板1のXY方向の位置決めを行う。
【0048】
第1のレーザー測長系及び第2のレーザー測長系の光源に用いられているレーザー光源31a,31bの出力は、経年変化により低下し、レーザー干渉計32a、32b、33が受光するレーザー光の強度が低下すると、そのままでは、レーザー干渉計32a、32b、33の測定結果に誤差が生じて、基板の位置決めが精度良く行えなくなる。また、レーザー光源の寿命は約3年程度であり、レーザー光源31a,31bの出力が突然停止すると、第1のレーザー測長系及び第2のレーザー測長系の機能が働かなくなって、プロキシミティ露光装置の運転が停止する。そこで、本実施の形態では、経年変化に伴うレーザー光源31a,31bの出力特性の変化を考慮して、レーザー光源31a,31bの駆動電流の制御を行う。
【0049】
図13は、レーザー測長系のレーザー光源の制御を行う部分のブロック図である。光源制御装置90は、レーザー光源31a,31bへ駆動電流を供給し、主制御装置70の制御により、レーザー光源31a,31bへ供給する駆動電流を制御する。図14は、レーザー光源の駆動電流を制御する動作を示すフローチャートである。図13のレーザー測長系制御装置30は、各レーザー干渉計32a,32b,33が測定した干渉波形から、各レーザー干渉計32a,32b,33で受光されたレーザー光の強度を検出する(ステップ301)。続いて、レーザー測長系制御装置30は、各レーザー干渉計32a,32b,33で受光されたレーザー光の強度の変化が許容値以内であるか否かを判定する(ステップ302)。各レーザー干渉計32a,32b,33で受光されたレーザー光の強度の変化が許容値以内である場合、ステップ301へ戻る。
【0050】
各レーザー干渉計32a,32b,33で受光されたレーザー光の強度の変化が許容値を超えた場合、レーザー測長系制御装置30は、レーザー光の強度の変化を検出したレーザー干渉計と同じレーザー光源からレーザー光が供給されている他のレーザー干渉計について、受光したレーザー光の強度が同様に変化したか否かを判定する(ステップ303)。
【0051】
図13において、レーザー光源31aから発生したレーザー光は、レーザービームスプリッター37aで2つに分岐される。分岐されたレーザー光の一方は、2つのレーザー干渉計32aの一方へ供給され、他方は、ミラー38aを介して2つのレーザー干渉計32aの他方へ供給される。レーザー光源31aから各レーザー干渉計32aへ供給されるレーザー光の強度は、等しくなっている。
【0052】
また、レーザー光源31bから発生したレーザー光は、レーザービームスプリッター37bで2つに分岐される。分岐されたレーザー光の一方は、レーザービームスプリッター37cでさらに2つに分岐され、他方は、ミラー38bで反射した後、レーザービームスプリッター37dでさらに2つに分岐される。レーザービームスプリッター37cで分岐されたレーザー光の一方は、2つのレーザー干渉計32bの一方へ供給され、他方は、ミラー38cを介して2つのレーザー干渉計32bの他方へ供給される。レーザービームスプリッター37dで分岐されたレーザー光の一方は、2つのレーザー干渉計33の一方へ供給され、他方は、ミラー38dを介して2つのレーザー干渉計33の他方へ供給される。レーザー光源31bから各レーザー干渉計32b,33へ供給されるレーザー光の強度は、等しくなっている。
【0053】
基板のステップ移動や基板の位置決めのために、移動ステージによるチャックの移動を繰り返すプロキシミティ露光装置では、レーザー測長系のレーザー光源の出力に変化が無くても、移動ステージの移動による振動が原因で、レーザー測長系のバーミラーやレーザー干渉計に位置ずれが発生し、その結果、レーザー干渉計により受光されるレーザー光の強度が低下することがある。その場合、レーザー光の強度の変化を検出したレーザー干渉計と同じレーザー光源からレーザー光が供給されている他のレーザー干渉計においては、全く同様の位置ずれが起こらない限り、レーザー光の強度の変化が同じになることはない。
【0054】
図14のステップ303において、レーザー光の強度の変化を検出したレーザー干渉計と同じレーザー光源からレーザー光が供給されている他のレーザー干渉計について、受光したレーザー光の強度が同様に変化していない場合、レーザー測長系制御装置30は、主制御装置70へその旨を通知し、主制御装置70は、表示装置による表示又は警告音等で警告を発生する(ステップ304)。これにより、レーザー測長系のバーミラー34a,34b,35及びレーザー干渉計32a,32b,33に位置ずれが発生していないか、点検を促すことができる。
【0055】
ステップ303において、レーザー光の強度の変化を検出したレーザー干渉計と同じレーザー光源からレーザー光が供給されている他のレーザー干渉計について、受光したレーザー光の強度が同様に変化した場合、レーザー測長系制御装置30は、主制御装置70へその旨を通知し、主制御装置70は、レーザー光の強度の変化を検出したレーザー干渉計へレーザー光を供給しているレーザー光源について、駆動電流の変更を光源制御装置90へ指示する(ステップ305)。
【0056】
光源制御装置90は、主制御装置70からの指示に応じ、検出されたレーザー光の強度の変化を補うために必要な駆動電流を算出する(ステップ306)。そして、光源制御装置90は、算出した駆動電流が、予め決められた所定値、例えばレーザー光源31a,31bの定格駆動電流以下であるか否かを判定する(ステップ307)。算出した駆動電流が所定値を超える場合、光源制御装置90は、主制御装置70へその旨を通知し、主制御装置70は、表示装置による表示又は警告音等で警告を発生する(ステップ308)。
【0057】
レーザー測長系のレーザー光源の寿命が残り少なくなると、経年変化に伴う出力特性の変化が大きくなって、レーザー光の強度の変化を補うために必要な駆動電流が大きくなる。レーザー光の強度の変化を補う際の駆動電流が所定値以下であることを確認し、駆動電流が所定値を超える場合に、警告を発生するので、レーザー測長系のレーザー光源の寿命が予め告知され、プロキシミティ露光装置の予期しない運転停止が防止される。
【0058】
ステップ307において、算出した駆動電流が所定値以下である場合、光源制御装置90は、レーザー光の強度の変化を検出したレーザー干渉計へレーザー光を供給しているレーザー光源について、駆動電流を算出した値に変更して(ステップ309)、ステップ301へ戻る。
【0059】
レーザー干渉計32a,32b,33が受光したレーザー光の強度の変化を検出し、検出したレーザー光の強度の変化を補う様に、レーザー測長系のレーザー光源31a,31bへ供給する駆動電流を制御するので、経年変化に伴ってレーザー測長系のレーザー光源31a,31bの出力特性が変化しても、レーザー測長系のレーザー光源31a,31bの出力が一定に保たれ、レーザー干渉計32a,32b,33の測定結果に誤差が生じるのが防止される。従って、移動ステージの位置が精度良く検出され、基板1の位置決めが精度良く行われる。
【0060】
以上説明した本実施の形態によれば、レーザー干渉計32a,32b,33が受光したレーザー光の強度の変化を検出し、検出したレーザー光の強度の変化を補う様に、レーザー測長系のレーザー光源31a,31bへ供給する駆動電流を制御することにより、経年変化に伴ってレーザー測長系のレーザー光源31a,31bの出力特性が変化しても、移動ステージの位置を精度良く検出して、基板1の位置決めを精度良く行うことができる。
【0061】
さらに、レーザー光の強度の変化を補う際の駆動電流が所定値以下であることを確認し、駆動電流が所定値を超える場合に、警告を発生することにより、レーザー測長系のレーザー光源31a,31bの寿命を予め告知して、プロキシミティ露光装置の予期しない運転停止を防止することができる。
【0062】
さらに、各レーザー干渉計32a,32b,33が受光したレーザー光の強度の変化を検出したとき、レーザー光の強度の変化を検出したレーザー干渉計と同じレーザー光源からレーザー光が供給されている他のレーザー干渉計について、受光したレーザー光の強度が同様に変化したことを確認し、レーザー光の強度が同様に変化していない場合に、警告を発生することにより、レーザー測長系のバーミラー34a,34b,35及びレーザー干渉計32a,32b,33に位置ずれが発生していないか、点検を促すことができる。
【0063】
本発明のプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行い、あるいは、本発明のプロキシミティ露光装置の基板位置決め方法を用いて基板を位置決めして、基板の露光を行うことにより、経年変化に伴ってレーザー測長系のレーザー光源の出力特性が変化しても、露光時の基板の位置決めを精度良く行うことができるので、パターンの焼付けを精度良く行って、高品質な基板を製造することができる。
【0064】
例えば、図15は、液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。薄膜形成工程(ステップ101)では、スパッタ法やプラズマ化学気相成長(CVD)法等により、基板上に液晶駆動用の透明電極となる導電体膜や絶縁体膜等の薄膜を形成する。レジスト塗布工程(ステップ102)では、ロール塗布法等により感光樹脂材料(フォトレジスト)を塗布して、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜上にフォトレジスト膜を形成する。露光工程(ステップ103)では、プロキシミティ露光装置や投影露光装置等を用いて、マスクのパターンをフォトレジスト膜に転写する。現像工程(ステップ104)では、シャワー現像法等により現像液をフォトレジスト膜上に供給して、フォトレジスト膜の不要部分を除去する。エッチング工程(ステップ105)では、ウエットエッチングにより、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜の内、フォトレジスト膜でマスクされていない部分を除去する。剥離工程(ステップ106)では、エッチング工程(ステップ105)でのマスクの役目を終えたフォトレジスト膜を、剥離液によって剥離する。これらの各工程の前又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。これらの工程を数回繰り返して、基板上にTFTアレイが形成される。
【0065】
また、図16は、液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)では、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、剥離等の処理により、基板上にブラックマトリクスを形成する。着色パターン形成工程(ステップ202)では、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等により、基板上に着色パターンを形成する。この工程を、R、G、Bの着色パターンについて繰り返す。保護膜形成工程(ステップ203)では、着色パターンの上に保護膜を形成し、透明電極膜形成工程(ステップ204)では、保護膜の上に透明電極膜を形成する。これらの各工程の前、途中又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。
【0066】
図15に示したTFT基板の製造工程では、露光工程(ステップ103)において、図16に示したカラーフィルタ基板の製造工程では、ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)の露光処理において、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置の基板位置決め方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 基板
2 マスク
10a,10b チャック
11 主ステージベース
11a,11b 副ステージベース
12 台
13 Xガイド
14 Xステージ
15 Yガイド
16 Yステージ
17 θステージ
19 チャック支持台
20 マスクホルダ
30 レーザー測長系制御装置
31a,31b レーザー光源
32a,32b,33 レーザー干渉計
34a,34b,35 バーミラー
36 アーム
37a,37b,37c,37d レーザービームスプリッター
38a,38b,38c,38d ミラー
40 レーザー変位計制御装置
42,43 レーザー変位計
44,45 バーミラー
46,47 アーム
48 ブロック
49 取り付け具
70 主制御装置
71,72 入出力インタフェース回路
80a,80b ステージ駆動回路
90 光源制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置において、
前記チャックを搭載して移動する移動ステージと、
レーザー光を発生するレーザー光源、前記移動ステージに取り付けられた複数の反射手段、及び前記レーザー光源からのレーザー光と各反射手段により反射されたレーザー光との干渉を複数箇所で測定する複数のレーザー干渉計を有するレーザー測長系と、
前記レーザー光源へ駆動電流を供給する光源制御装置と、
各レーザー干渉計の測定結果から、前記移動ステージの位置を検出する検出手段と、
前記移動ステージを駆動するステージ駆動回路と、
前記検出手段による前記移動ステージの位置の検出結果に基づき、前記ステージ駆動回路を制御し、前記移動ステージにより前記チャックを移動させて、基板の位置決めを行う制御手段とを備え、
前記検出手段は、各レーザー干渉計が受光したレーザー光の強度の変化を検出し、
前記光源制御装置は、前記検出手段により検出されたレーザー光の強度の変化を補う様に、前記レーザー光源へ供給する駆動電流を制御することを特徴とするプロキシミティ露光装置。
【請求項2】
前記光源制御装置は、レーザー光の強度の変化を補う際の駆動電流が所定値以下であることを確認し、
前記制御手段は、駆動電流が所定値を超える場合に、警告を発生することを特徴とする請求項1に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項3】
前記検出手段は、各レーザー干渉計が受光したレーザー光の強度の変化を検出したとき、レーザー光の強度の変化を検出したレーザー干渉計と同じレーザー光源からレーザー光が供給されている他のレーザー干渉計について、受光したレーザー光の強度が同様に変化したことを確認し、
前記制御手段は、レーザー光の強度が同様に変化していない場合に、警告を発生することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項4】
基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置の基板位置決め方法であって、
チャックを移動ステージに搭載し、
レーザー測長系のレーザー光を発生するレーザー光源へ駆動電流を供給し、
移動ステージにレーザー測長系の複数の反射手段を取り付け、レーザー測長系の複数のレーザー干渉計により、レーザー光源からのレーザー光と各反射手段により反射されたレーザー光との干渉を複数箇所で測定し、
各レーザー干渉計の測定結果から、移動ステージの位置を検出し、検出結果に基づき、移動ステージによりチャックを移動して、基板の位置決めを行い、
各レーザー干渉計が受光したレーザー光の強度の変化を検出し、検出したレーザー光の強度の変化を補う様に、レーザー測長系のレーザー光源へ供給する駆動電流を制御することを特徴とするプロキシミティ露光装置の基板位置決め方法。
【請求項5】
レーザー光の強度の変化を補う際の駆動電流が所定値以下であることを確認し、
駆動電流が所定値を超える場合に、警告を発生することを特徴とする請求項4に記載のプロキシミティ露光装置の基板位置決め方法。
【請求項6】
各レーザー干渉計が受光したレーザー光の強度の変化を検出したとき、レーザー光の強度の変化を検出したレーザー干渉計と同じレーザー光源からレーザー光が供給されている他のレーザー干渉計について、受光したレーザー光の強度が同様に変化したことを確認し、
レーザー光の強度が同様に変化していない場合に、警告を発生することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のプロキシミティ露光装置の基板位置決め方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。
【請求項8】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置の基板位置決め方法を用いて基板を位置決めして、基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−64896(P2013−64896A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203910(P2011−203910)
【出願日】平成23年9月19日(2011.9.19)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】