説明

ベンゾシクロヘプタン及びベンズオキセピン誘導体

【化1】


本発明は、任意の立体化学的異性体を包含する式(I)の化合物;そのN−オキシド、その製薬学的に許容され得る塩又はその溶媒和物に関し、ここで置換基は明細書及び請求の範囲において定義された通りであり;但し、化合物は式(B)又はその製薬学的に許容され得る塩以外である。特許請求される化合物は、処置がGHS1A−r受容体の活性化により影響されるか、媒介されるか、又は助長される疾患の処置のために有用である。本発明は、その製薬学的組成物及びその製造方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、グレリン(ghrelin)受容体調節活性、特にグレリン受容体アゴニスト性(GHS1A−rアゴニスト性)を有するベンゾシクロヘプタン及びベンズオキセピン誘導体に関する。本発明はさらに、それらの製造方法及びそれらを含んでなる製薬学的組成物に関する。本発明は、グレリン受容体の活性化による疾患の予防又は処置用の薬剤の製造のための該化合物の使用にも関する。
【0002】
図の記載
図1は、食事の30分前に食塩水(ビヒクル)又は化合物3(10mg/kg SC)で予備処置されたGHS1A−r+/+(WT)及びGHS1A−r−/−(KO)マウスにおける、経口的強制栄養法によるフェノールレッド含有試験食の投与から15分後に残る胃の内容物(フェノールレッドの吸光単位として測定される)を記述している(個々のデータ及び平均,n=3)。
【背景技術】
【0003】
背景技術の記載
非特許文献1は、薬剤の可能性のあるものとしてのベンゾシクロヘプテン及び複素環式類似物に関する。化合物の薬力学的効果は弱いと開示されている。非特許文献2は、薬剤の可能性のあるものとしてのベンゾシクロヘプテン及び複素環式類似物に関する。記載されている複数の化合物が興味深い活性の徴候を有するとしても、実験による発見は、いずれの1つの事例においても、さらに詳細な薬理学的又は毒性学的研究を正当としなかったことが開示されている。
【0004】
特許文献1は、置換された複素環式ベンゾシクロアルケン及び鎮痛効果を有する物質としてのその使用を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,013,809号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Protiva et al.著,Collection of Czechoslovak Chemical Communications,37(6),1972年,2081−2090
【非特許文献2】Protiva et al.著,Collection of Czechoslovak Chemical Communications,37(3),1972年,868−886
【発明の概要】
【0007】
発明の記述
本発明の化合物は、構造において、それらの薬理学的活性及び/又は薬理学的力価において先行技術の化合物と異なる。
【0008】
本発明の1つの側面は、任意の立体化学的異性体を包含する式
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、
Aはフェニル、チエニル、フラニル又は1もしくは2個の窒素原子を含有する6−員芳香族複素環を示し;ここで該フェニル、チエニル、フラニル又は6−員芳香族複素環は場合によりフェニル又は1もしくは2個の窒素原子を含有する6−員芳香族複素環と縮合していることができ;
ZはCH又はOを示し;
はハロ、ヒドロキシル、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ポリハロC1−4アルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノもしくはジ(C1−4アルキル)アミノを示すか;あるいは
Aがフェニルを示す場合、2個の隣接するR置換基は一緒になって式
−O−CH−O− (a−1);又は
−O−CH−CH−O− (a−2)
の基を形成することができ;
は水素又はC1−4アルキルを示し;
及びRはそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C1−4アルキルオキシC1−6アルキル又はフェニルC1−4アルキルを示すか;あるいは
及びRは、それらが結合する窒素と一緒になって、式(b−1)又は(b−2)
【0011】
【化2】

【0012】
の基を形成し、XはCH又はCHOHを示し;XはCH、O又はNRを示し;Rは水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ又はトリフルオロメチルを示し;
は水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、フェニルオキシカルボニルを示し;
nは0、1、2、3、4又は5の値の整数を示す]
の化合物、そのN−オキシド、その製薬学的に許容され得る塩又はその溶媒和物に関し、但し、化合物は
【0013】
【化3】

【0014】
又はその製薬学的に許容され得る塩以外である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】食事の30分前に食塩水(ビヒクル)又は化合物3(10mg/kg SC)で予備処置されたGHS1A−r+/+(WT)及びGHS1A−r−/−(KO)マウスにおける、経口的強制栄養法によるフェノールレッド含有試験食の投与から15分後に残る胃の内容物(フェノールレッドの吸光単位として測定される)を記述しているグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、グレリン受容体の活性化による疾患の予防又は処置用、特にグレリン受容体の活性化による疾患の処置用の薬剤の製造のための式(I)の化合物の使用にも関する。
【0017】
前記又は下記で用いられる場合、基として又は基の一部としてのC1−4アルキルは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチルを定義し;基として又は基の一部としてのC1−6アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばC1−4アルキルに関して定義された基ならびにペンチル、ヘキシル、2−メチルブチルなどを定義する。
【0018】
ハロという用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードの総称である。前記又は下記で用いられる場合、基として又は基の一部としてのポリハロC1−4アルキルは、モノ−もしくはポリハロ置換されたC1−4アルキル、例えば1個もしくはそれより多いフルオロ原子で置換されたメチル、例えばジフルオロメチル又はトリフルオロメチル、1,1−ジフルオロ−エチル又は1,1−ジフルオロ−2,2,2−トリフルオロエチルなどとして定義される。ポリハロC1−4アルキルの定義内で、1個より多いハロゲン原子がC1−4アルキル基に結合している場合、それらは同じか又は異なることができる。
【0019】
いずれかの成分中にいずれかの可変項が1回より多く存在する場合、それぞれの定義は独立している。
【0020】
置換基から環系内に引かれている線は、結合が適した環原子のいずれにも連結できることを示す。
【0021】
治療的使用のために、式(I)の化合物の塩は、対イオンが製薬学的に許容され得るものである。しかしながら、製薬学的に許容され得ない酸及び塩基の塩も、例えば製薬学的に許容され得る化合物の製造又は精製において用途を見出すことができる。製薬学的に許容され得ても許容され得なくても、すべての塩が本発明の範囲内に含まれる。
【0022】
前記又は下記で言及される製薬学的に許容され得る塩は、式(I)の化合物が形成する
ことができる治療的に活性な無毒性の酸付加塩の形態を含むものとする。後者は、塩基形態を無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸、臭化水素酸など;硫酸;硝酸;リン酸など;あるいは有機酸、例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸などのような適した酸で処理することにより、簡便に得ることができる。逆に、アルカリを用いる処理により、塩形態を遊離の塩基形態に転換することができる。
【0023】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物を、適した有機及び無機塩基を用いる処理により、それらの治療的に活性な無毒性の金属又はアミン付加塩の形態に転換することができる。前記又は下記で言及される製薬学的に許容され得る塩は、式(I)の化合物が形成することができる治療的に活性な無毒性の金属又はアミン付加塩の形態(塩基付加塩形態)も含むものとする。適した塩基付加塩の形態は例えばアンモニウム塩、アルカリ及びアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えば第1級、第2級及び第3級脂肪族及び芳香族アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4種のブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリン及びイソキノリン、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、ヒドラバミン塩、ならびにアミノ酸、例えばアルギニン、リシンなどとの塩を含む。
【0024】
逆に、酸を用いる処理により、塩の形態を遊離の酸の形態に転換することができる。
【0025】
塩という用語は、式(I)の化合物の塩基性窒素と適した第4級化剤、例えば場合により置換されていることができるC1−6アルキルハライド、アリールハライド、C1−6アルキルカルボニルハライド、アリールカルボニルハライド又はアリールC1−6アルキルハライド、例えばメチルヨーダイド又はベンジルヨーダイドの間の反応により式(I)の化合物が形成することができる第4級アンモニウム塩(第4級アミン)も含み、ここでアリールは置換されないかもしくは置換されたフェニルを示す。優れた離脱基を有する他の反応物、例えばC1−6アルキルトリフルオロメタンスルホネート、C1−6アルキルメタンスルホネート及びC1−6アルキルp−トルエンスルホネートを用いることもできる。第4級アミンは、正に帯電した窒素を有する。製薬学的に許容され得る対イオンにはクロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロアセテート、アセテート、トリフレート、サルフェート、スルホネートが含まれる。選択される対イオンを、イオン交換樹脂を用いて導入することができる。
【0026】
好ましくは、塩という用語は、製薬学的に許容され得る酸付加塩の形態及び製薬学的に許容され得る金属又はアミン付加塩の形態を意味する。
【0027】
本化合物のN−オキシド形態は、1個もしくは数個の第3級窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化された式(I)の化合物を含むものとする。
【0028】
溶媒和物という用語は、式(I)の化合物ならびにその塩が形成することができる水和物及び溶媒付加形態を含む。そのような形態の例は、例えば水和物、アルコラートなどである。
【0029】
式(I)の化合物ならびにそれらのN−オキシド、塩及び溶媒和物のいくつかが、1個もしくはそれより多いキラリティーの中心を含有し、立体化学的異性体として存在し得ることは認識されるであろう。
【0030】
前記又は下記で用いられる「立体化学的異性体」という用語は、式(I)の化合物ならびにそれらのN−オキシド、塩又は溶媒和物が有することができるすべての可能な立体異性体を定義する。他にことわるか又は指示しなければ、化合物の化学的名称は、すべての可能な立体化学的異性体の混合物ならびに実質的に他の異性体を含まない、すなわち伴う他の異性体が10%より少ない、好ましくは5%より少ない、特に2%より少ない、そして最も好ましくは1%より少ない式(I)の化合物ならびにそれらのN−オキシド、塩又は溶媒和物の個々の異性体のそれぞれを指す。かくして式(I)の化合物が例えばシスと規定される場合、これは化合物が実質的にトランス異性体を含まないことを意味する。あるいは、式(I)の化合物が例えばシス(+)と規定される場合、これは化合物が実質的にシス(−)異性体を含まないことを意味する。
【0031】
式(I)から、本発明の化合物がそれらの構造中に少なくとも2個の不斉炭素原子、すなわち−OR及び−CHCHCH−NR置換基を有する炭素原子ならびに−A−(R置換基を有する炭素原子を有することが明白である。下記の構造において、これらの不斉炭素原子を1及び2を用いて示す。
【0032】
【化4】

【0033】
置換基R〜Rの性質に依存して、式(I)の化合物は第3もしくはさらなる不斉炭素原子を含有し得る。結局、式(I)の化合物は種々の立体化学的異性体の下に存在し得る。他にことわるか又は指示しなければ、化合物の化学的名称はすべての可能な立体化学的異性体の混合物を示し、該混合物は基本の分子構造のすべてのジアステレオマー及びエナンチオマーを含有する。
【0034】
各不斉中心の絶対立体配置を立体化学的記述字(descriptors)R及びSにより示すことができ、このR及びS記号は、Pure Appl.Chem.45,1976年,11−30に記載されている規則に対応し、且つ熟練者に周知である。CAS命名法協定に従うと、1個の分子中に2個の既知の絶対立体配置のステレオジェン中心が存在する場合、最低の番号が付けられるキラル中心、参照中心にR又はSの記述字が指定される(Cahn−Ingold−Prelog順位則に基づいて)。第2のステレオジェン中心の立体配置は相対的記述字[R,R]又は[R,S]を用いて示され、ここで最初のRは常に参照中心として規定され、[R,R]は同じキラリティーを有する中心を示し、[R,S]は同じでないキラリティーの中心を示す。例えば分子中の最低の番号が付けられるキラル中心がS立体配置を有し、第2の中心がRである場合、立体記述字はS−[R,S]と規定される。「α」及び「β」が用いられる場合:最低の環番号を有する環系中の不斉炭素原子上の最高優先置換基の位置は、随意に常に環系により決定される平均平面の「α」位にある。環系中の他の不斉炭素原子上の最高優先置
換基の、参照原子上の最高優先置換基の位置に対する位置は、それが環系により決定される平均平面の同じ側上にある場合には「α」、あるいはそれが環系により決定される平均平面の他の側上にある場合には「β」と呼ばれる。
【0035】
本明細書で、シス及びトランスという用語は、Chemical Abstracts命名法(J.Org.Chem.35(9),1970年,2849−2867)に従って用いられ、環部分上、さらに特定的に式(I)の化合物中のシクロヘプタン又はオキセピン環上の置換基の位置を指す。例えばシクロヘプタン又はオキセピン環のシス又はトランス立体配置を確定する場合、シクロヘプタン又はオキセピン環の炭素原子1上の最高優先度を有する置換基及びシクロヘプタン又はオキセピン環の炭素原子2上の最高優先度を有する置換基が考慮される(置換基の優先度は、Cahn−Ingold−Prelog順位則に従って決定される)。該最高優先度を有する2個の置換基が環の同じ側にある場合、立体配置はシスと称され、そうでなかったら、立体配置はトランスと称される。
【0036】
当該技術分野において既知の方法の適用により、シス及びトランスラセミ体をさらにそれらの光学的異性体、それぞれシス(+)及びシス(−)、トランス(+)及びトランス(−)に分割できることは明白である。上記の化合物中に追加の不斉中心が存在する場合、得られる立体異性体の混合物を、下記でさらに記述される当該技術分野において既知の方法により、さらに分離することができる。好ましくは、特定の立体化学的形態が望ましい場合、該化合物を立体選択的製造方法により合成することができ、それは有利にはエナンチオマー的に純粋な出発材料を用いる。
【0037】
立体化学的配置(シス又はトランス)は式(II)の中間体において、それらの合成案によりすでに固定され得るので、製造のその段階にシス及びトランス形態を分離することがすでに可能である。式(II)の中間体は、好ましくはシス立体配置を有する。式(II)のシス中間体から誘導される式(I)の化合物もシス立体配置を有する。式(I)の化合物は、好ましくはシス立体配置を有する。
【0038】
式(I)の化合物の立体化学的異性体は、明らかに本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0039】
(I)の化合物は、エナンチオマーのラセミ混合物の形態で合成され得、それを当該技術分野において既知の分割法に従って互いから分離することができる。式(I)のラセミ化合物を、適したキラル酸との反応により、対応するジアステレオマー塩の形態に転換することができる。該ジアステレオマー塩の形態を、続いて例えば選択的又は分別結晶化により分離し、アルカリによりそこからエナンチオマーを遊離させる。式(I)の化合物のエナンチオマーの形態を分離する代わりの方法は、キラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを含む。該純粋な立体化学的異性体を、適した出発材料の対応する純粋な立体化学的異性体から誘導することもでき、但し、反応は立体特異的に起こる。好ましくは、特定の立体異性体が望まれる場合、該化合物は立体特異的製造方法により合成されるであろう。これらの方法は、有利にはエナンチオマー的に純粋な出発材料を用いるであろう。
【0040】
式(I)の化合物のいくつかは、それらの互変異性体の形態でも存在し得る。そのような形態は、上記の式(I)中に明白に示されてはいないが、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0041】
下記で用いられる場合は常に、「式(I)の化合物」という用語又はそのいずれのサブグループも、それらのN−オキシド形態、それらの塩、それらの立体化学的異性体及びそれらの溶媒和物も含むものとする。特に興味深いのは、立体化学的に純粋である式(I)の化合物である。
【0042】
前記又は下記で用いられる場合は常に、置換基は多数の定義のリストからそれぞれ独立して選ばれることができ、化学的に可能であるすべてのあり得る組み合わせが意図されている。
【0043】
本発明の興味深い態様は、Aがフェニル又は1〜5個のR置換基で、特に1〜3個のR置換基で、さらに特定的に1もしくは2個のR置換基で置換されたフェニルを示す式(I)の化合物である。
【0044】
本発明の興味深い態様は、Aが
【0045】
【化5】

【0046】
を示す式(I)の化合物である。
【0047】
本発明の興味深い態様は、Aが1もしくは2個の窒素原子を含有する6−員芳香族複素環を示すか、あるいはAが1〜5個のR置換基で、特に1〜3個のR置換基で、さらに特定的に1もしくは2個のR置換基で置換された1もしくは2個の窒素原子を含有する6−員芳香族複素環を示す;特にAがピリジル又はピリミジニルを示し、該ピリジル又はピリミジニルのそれぞれは場合により1〜5個のR置換基で、特に1〜3個のR置換基で、さらに特定的に1もしくは2個のR置換基で置換されていることができる式(I)の化合物である。
【0048】
本発明の興味深い態様は、Aが1もしくは2個の窒素原子を含有する6−員芳香族複素環を示し;ここで該複素環はフェニルと縮合しており;該二環は場合により1〜5個のR置換基で、特に1〜3個のR置換基で、さらに特定的に1もしくは2個のR置換基で置換されていることができ;特にAがキノリニル又は1〜5個のR置換基で、特に1〜3個のR置換基で、さらに特定的に1もしくは2個のR置換基で置換されたキノリニルを示す式(I)の化合物である。
【0049】
本発明の興味深い態様は、Aがチエニル又はフラニルを示す式(I)の化合物である。
【0050】
本発明の興味深い態様は、Aがチエニル又はフラニルを示し、それぞれ1もしくは2個のR置換基で置換されている式(I)の化合物である。
【0051】
本発明の興味深い態様は、ZがCHを示す式(I)の化合物、あるいは可能な場合は常に、前記又は下記で興味深い態様として言及されるそのいずれかのサブグループである。
【0052】
本発明の興味深い態様は、ZがOを示す式(I)の化合物、あるいは可能な場合は常に、前記又は下記で興味深い態様として言及されるそのいずれかのサブグループである。
【0053】
本発明の興味深い態様は、Rがハロ、ヒドロキシル、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシを示す式(I)の化合物、あるいは可能な場合は常に、前記又は下記で興味深い態様として言及されるそのいずれかのサブグループである。
【0054】
本発明の興味深い態様は、Rが水素を示す式(I)の化合物、あるいは可能な場合は常に、前記又は下記で興味深い態様として言及されるそのいずれかのサブグループである。
【0055】
本発明の興味深い態様は、RがC1−4アルキル、特にメチルを示す式(I)の化合物、あるいは可能な場合は常に、前記又は下記で興味深い態様として言及されるそのいずれかのサブグループである。
【0056】
本発明の興味深い態様は、R及びRがそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C1−4アルキルオキシC1−6アルキル又はフェニルC1−4アルキルを示すか;あるいは
及びRが、それらが結合する窒素と一緒になって、式(b−1)又は(b−2)
【0057】
【化6】

【0058】
の基を形成し、XはCH又はCHOHを示し;且つXはCH、O又はNHを示す;特に
及びRがそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C1−4アルキルオキシC1−6アルキル又はフェニルC1−4アルキルを示すか;あるいは
及びRが、それらが結合する窒素と一緒になって、式(b−1)又は(b−2)
【0059】
【化7】

【0060】
の基を形成し、XはCH又はCHOHを示し;且つXはCHを示す;さらに特定的に、
及びRがそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C1−4アルキルオキシC1−6アルキル又はフェニルC1−4アルキルを示すか;あるいは
及びRが、それらが結合する窒素と一緒になって、式(b−1)
【0061】
【化8】

【0062】
の基を形成し、XはCH又はCHOHを示す;さらにもっと特定的に、
及びRがそれぞれ独立して水素;C1−6アルキル、特にメチル又はエチル;C1−4アルキルオキシC1−6アルキル、特にメチルオキシエチルを示すか;あるいは
及びRが、それらが結合する窒素と一緒になって、式(b−1)
【0063】
【化9】

【0064】
の基を形成し、XはCH又はCHOHを示す
式(I)の化合物、あるいは可能な場合は常に、前記又は下記で興味深い態様として言及されるそのいずれかのサブグループである。
【0065】
本発明の興味深い態様は、R及びRがそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C1−4アルキルオキシC1−6アルキル又はフェニルC1−4アルキルを示す;特にR及びRがそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル又はC1−4アルキルオキシC1−6アルキルを示す;さらに特定的に、R及びRがそれぞれ独立して水素、メチル、エチル又はメトキシエチルを示す式(I)の化合物、あるいは可能な場合は常に、前記又は下記で興味深い態様として言及されるそのいずれかのサブグループである。
【0066】
本発明の興味深い態様は、R及びRが、それらが結合する窒素と一緒になって、式(b−1)又は(b−2)
【0067】
【化10】

【0068】
の基を形成し、XはCH又はCHOHを示し;且つXはCH、O又はNRを示す;特に
及びRが、それらが結合する窒素と一緒になって、式(b−1)又は(b−2)
【0069】
【化11】

【0070】
の基を形成し、XはCH又はCHOHを示し;且つXはCH、O又はNHを示す;さらに特定的に、
及びRが、それらが結合する窒素と一緒になって、式(b−1)又は(b−2)
【0071】
【化12】

【0072】
の基を形成し、XはCH又はCHOHを示し;且つXはCHを示す;さらにもっと特定的に、
及びRが、それらが結合する窒素と一緒になって、式(b−1)
【0073】
【化13】

【0074】
の基を形成し、XはCH又はCHOHを示す
式(I)の化合物、あるいは可能な場合は常に、前記又は下記で興味深い態様として言及されるそのいずれかのサブグループである。
【0075】
本発明の興味深い態様は、Rが水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ又はトリフルオロメチルを示す式(I)の化合物、あるいは可能な場合は常に、前記又は下記で興味深い態様として言及されるそのいずれかのサブグループである。
【0076】
本発明の興味深い態様は、Rが水素を示す式(I)の化合物、あるいは可能な場合は常に、前記又は下記で興味深い態様として言及されるそのいずれかのサブグループである。
【0077】
本発明の興味深い態様は、Rがハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ又はトリフルオロメチル;特にハロ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシ;さらに特定的に、ハロ、メチル又はメトキシ;さらにもっと特定的に、メチル又はメトキシを示す式(I)の化合物、あるいは可能な場合は常に、前記又は下記で興味深い態様として言及されるそのいずれかのサブグループである。
【0078】
本発明の興味深い態様は、nが0の値の整数を示す式(I)の化合物、あるいは可能な場合は常に、前記又は下記で興味深い態様として言及されるそのいずれかのサブグループである。これは、置換基Aが置換されていないことを意味する。
【0079】
本発明の興味深い態様は、nが1又は2の値の整数を示す式(I)の化合物、あるいは可能な場合は常に、前記又は下記で興味深い態様として言及されるそのいずれかのサブグループである。これは、置換基Aが1もしくは2個のR置換基を有することを意味する。
【0080】
本発明の興味深い態様は、Aがフェニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、ピリジル、ピリミジニル、キノリニルを示し;該環のそれぞれは場合によりハロ、ヒドロキシル、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシからそれぞれ独立して選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができ;R及びRがそれぞれ独立して水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシC1−4アルキル、フェニルC1−4アルキルを示すか;あるいはR及びRが、それらが結合する窒素と一緒になって、場合により3位においてヒドロキシルで置換されていることができるピロリジニル;ピペリジニル;モルホリニル;場合によりC1−4アルキル又はC1−4アルキルカルボニルで置換されていることができるピペラジニルを形成し;Rが水素又はメチルを示し;Rが水素、ハロ又はC1−4アルキルオキシ、特に水素、ハロ又はメトキシ、さらにもっと特定的に水素又はメトキシを示す式(I)の化合物である。
【0081】
本発明の興味深い態様は、シクロヘプタン又はオキセピン環上の置換基がシス立体配置を有する式(I)の化合物、あるいは可能な場合は常に、前記又は下記で興味深い態様として言及されるそのいずれかのサブグループである。
【0082】
本発明の興味深い態様は、化合物が
(±)シス−6−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−5−(3−ジエチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−6−(3−クロロ−フェニル)−5−(3−ジエチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−4−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−5−(3−ジエチルアミノ−プロピル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[b]オキセピン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−6−(3−クロロ−フェニル)−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−6−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール;
(±)シス−6−(4−クロロ−フェニル)−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6−(3−メトキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6−(4−フルオロ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6−フェニル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−6−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−5−{3−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−プロピル}−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6−p−トリル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−5−(3−ジエチルアミノ−プロピル)−6−(4−フルオロ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−6−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−4−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[b]オキセピン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−5−(3−ジエチルアミノ−プロピル)−6−p−トリル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−5−(3−ジエチルアミノ−プロピル)−6−(3−メトキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール 塩酸塩;(±)シス−6−(4−ブロモ−フェニル)−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−6−(5−クロロ−ピリジン−3−イル)−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール
塩酸塩;
(±)シス−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6−キノリン−3−イル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール;
(±)シス−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6−(6−メチル−ピリジン−3−イル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール 塩酸塩
から選ばれる式(I)の化合物である。
【0083】
本発明の興味深い態様は、(±)シス−6−(4−クロロ−フェニル)−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩である。
【0084】
本発明は、任意の立体化学的異性体を包含する式(II)
【0085】
【化14】

【0086】
[式中、A、Z、R、R、R及びnは式(I)の化合物に関する通りに定義される]
の化合物、そのN−オキシド、その製薬学的に許容され得る塩又はその溶媒和物にも関する。
【0087】
特に本発明は、シクロヘプタン又はオキセピン環上の置換基がシス立体配置を有する式(II)の化合物にも関する。
【0088】
可能な場合は常に、上記で挙げた式(I)の化合物に関する興味深い態様は、式(II)の化合物にも適用できる。
【0089】
一般に、適した触媒、例えばRh(cod)BFの存在下に、場合により第2の触媒(還元のため)、例えばIr(cod)BFの存在下に、適したリガンド、例えばキサントフォス(Xantphos)又はX−Phosの存在下に、適した溶媒、例えばテトラヒドロフラン及びアルコール、例えばメタノール中で、CO及びH(圧力下)の存在下に、高められた温度で、式(II)の中間体を式(III)の中間体と反応させることにより、式(I)の化合物を製造することができる。
【0090】
【化15】

【0091】
上記の反応を、Pが適した保護基、例えば−Si(CHC(CH、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ベンジル、テトラヒドロピラニルを示す式(II−a)の中間体から実施し、式(I−a)の化合物を形成することもできる。反応後、例えばSi−含有保護基の場合にはテトラブチルアンモニウムフルオリドを用いる処理により、保護基を除去し、式(I−a)の化合物を与えることができる。
【0092】
【化16】

【0093】
が水素を示す式(I)の化合物は、式(I−b)により示され、Mg、適したグリニヤル反応の開始剤、例えば1,2−ジブロモエタン又はI結晶及び適した溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテルの存在下で、式(IV)の中間体を、Wが適した離脱基、例えばハロ、例えばクロロ、ブロモなどを示す式(V)の中間体と反応させることによっても製造され得る。
【0094】
【化17】

【0095】
がベンジルを示す式(I)の化合物は、式(I−c)により示され、適した触媒、例えば木炭上のパラジウムの存在下、適した溶媒、例えばアルコール、例えばメタノール
の存在下における水素化により、式(I−d)により示されるRが水素を示す式(I)の化合物に転換され得る。
【0096】
【化18】

【0097】
当該技術分野において既知の基変換反応に従って、式(I)の化合物を互いに転換することにより、さらに式(I)の化合物を製造することができる。
【0098】
3価の窒素をそのN−オキシド形態に転換するための当該技術分野において既知の方法に従い、式(I)の化合物を対応するN−オキシド形態に転換することができる。該N−オキシド化反応は一般に、式(I)の出発材料を適した有機もしくは無機過酸化物と反応させることにより行なうことができる。適した無機過酸化物は、例えば過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含み;適した有機過酸化物はペルオキシ酸、例えばベンゼンカルボペルオキソ酸又はハロ置換ベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばtert.ブチルヒドロ−ペルオキシドを含むことができる。適した溶媒は、例えば水、低級アルコール類、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン類、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン及びそのような溶媒の混合物である。
【0099】
本発明における式(I)の化合物及び中間体のいくつかは、少なくとも2個の不斉炭素原子を含有する。当該技術分野において既知の方法の適用により、該化合物及び該中間体の純粋な立体化学的異性体を得ることができる。例えば、選択的結晶化又はクロマトグラフィー法、例えば向流分配、キラル液体クロマトグラフィーなどの方法のような物理的方法により、ジアステレオ異性体を分離することができる。ラセミ混合物から、最初に例えばキラル酸のような適した分割剤を用いて該ラセミ混合物をジアステレオマー塩又は化合物の混合物に転換し;次いで例えば選択的結晶化又はクロマトグラフィー法、例えば液体クロマトグラフィーなどの方法により、該ジアステレオマー塩又は化合物の混合物を物理的に分離し;そして最後に該分離されたジアステレオマー塩又は化合物を対応するエナンチオマーに転換することにより、エナンチオマーを得ることができる。適した中間体及び出発材料の純粋な立体化学的異性体から、純粋な立体化学的異性体を得ることもでき、但し、介在する反応は立体特異的に起こる。
【0100】
式(I)の化合物及び中間体のエナンチオマー形態を分離する別の方法は、特にキラル固定相を用いる液体クロマトグラフィー又はSFC(超臨界流体)クロマトグラフィーを含む。
【0101】
例えばアルコール、例えば2−プロパノール、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルのような適した溶媒中における、適した酸、例えば塩酸又はシュウ酸との反応により
、式(I)の化合物を製薬学的に許容され得る酸付加塩に転換することもできる。
【0102】
中間体及び出発材料のいくつかは既知の化合物であり、商業的に入手可能であり得るか、あるいは当該技術分野において既知の方法に従って製造され得る。
【0103】
が水素を示す式(II)の中間体は式(II−b)により示され、一般にエノール化を妨げるための適した添加剤、例えばCeCl又は他のランタニドハライド、例えば他のランタニドクロリド及び適した溶媒、例えばテトラヒドロフランの存在下に、式(IV)の中間体をビニルマグネシウムブロミドと反応させることにより、製造され得る。この反応は、好ましくは低められた温度、例えば−78℃で行われ、続いて例えば室温に温められる。
【0104】
【化19】

【0105】
式(II−b)の中間体を、例えば水素化ナトリウムのような適した塩基及び例えばテトラヒドロフランのような適した溶媒の存在下におけるC1−4アルキルヨーダイドとの反応により、RがC1−4アルキルを示す式(II)の中間体に転換することができ、該中間体は式(II−c)により示される。
【0106】
【化20】

【0107】
エノール化を妨げるための適した添加剤、例えばCeCl又は他のランタニドハライド、例えば他のランタニドクロリド及び適した溶媒、例えばテトラヒドロフランの存在下に、式(IV−a)の中間体をビニルマグネシウムブロミドと反応させることにより、式(II−a)の中間体を製造することができる。
【0108】
【化21】

【0109】
適した触媒、例えばPd(OAc)、適したリガンド、例えばキサントフォス又はトリス−(1,1−ジメチルエチル)ホスフィン、適した塩基、例えばCsCO又はナトリウム第3級ブトキシド及び適した溶媒、例えばキシレン又はテトラヒドロフランの存在下に、式(VI)の中間体を、Wが適した離脱基、例えばハロ、例えばブロモなどを示す式(VII)の中間体と反応させることにより、式(IV)の中間体を製造することができる。反応は、好ましくは窒素雰囲気下且つ高められた温度で行われる。
【0110】
【化22】

【0111】
式(IV−a)の中間体は上記の反応に従い、式(VI)の中間体を式(VII−a)の中間体と反応させることにより製造され得る。
【0112】
【化23】

【0113】
適した触媒、例えばPd(OAc)の存在下に、トリ−o−トリルホスフィン又はジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、トリブチルメトキシスタンナン及び例えばトルエンのような適した溶媒の存在下に、場合によりKFの存在下で、式(VIII)の中間体を式(VII)の中間体と反応させることによっても式(IV)の中間体を製造することができる。
【0114】
【化24】

【0115】
式(VIII)の中間体は、適した酸、例えばp−トルエンスルホン酸の存在下で式(VI)の中間体をCH−C(=O)−O−C(CH)=CHと反応させることにより製造され得る。
【0116】
【化25】

【0117】
薬理学的部分
式(I)の化合物及びそのサブグループは、グレリン受容体アゴニスト性を示す。
【0118】
グレリンは、1990年代後半に見出された内在性ペプチドホルモンである。それは主に胃中で生産され、1型成長ホルモン分泌促進物質受容体(GHS1A−r)に関する自然のリガンドであることが示された(Kojima et al著,Nature 402:1999年,656−660)。このGタンパク質−結合受容体(G protein−coupled receptor)は、わずか数年早くに初めてクローニングされ(Howard et al著,Science 273:1996年,974−977)、主に脳において(視床下部、海馬及び黒質中の弓状核及び腹内側核)ならびに下垂体中で発現される。これらの組織と別に、受容体は中枢神経系の他の領域内及び種々の末梢組織、例えば副腎及び甲状腺、心臓、肺、腎臓、骨格筋及び胃腸管においても検出された。
【0119】
下垂体において、GHS1A−rの活性化は成長ホルモンの分泌を誘導し、それはグレリン−GHS1A−r系の主な機能の1つであると思われる。(GHS1A−rは、成長ホルモン−放出ホルモン(GHRH)受容体と機能的及び構造的に異なる。)グレリン媒介シグナリングの別の重要な役割は、食欲の刺激ならびにエネルギーホメオスタシスの正の調節に有利であり、それにより肥満に有利に働き、かくして肥満に寄与する摂食行動であることが示された。最近示唆された通り、従ってグレリンを「saginary」(太らせる)ペプチドと呼ぶことができる。
【0120】
成長ホルモン分泌の刺激及びエネルギーホメオスタシスの正の調節と別に、グレリン及び多くの合成成長ホルモン分泌促進物質は:1)プロラクチン(PRL)及びACTH分泌の刺激を生ずる視床下部活性を示し;2)下垂体−生殖腺軸に、中枢及び末梢レベルの両方において負に影響を及ぼし;3)睡眠及び行動に影響を及ぼし;4)胃の運動性及び酸分泌を調節し;5)膵臓外分泌及び内分泌機能を調節し、グルコースレベルに影響を及
ぼし、6)軟骨及び骨のホメオスタシスを調節し、7)免疫系を調節し、ならびに8)細胞増殖に影響を有することも示された(Van der Lely et al著,Endocrine Reviews 25:2004年,426−457;Lago et
al著,Vitamins and Hormones.71:2005年,405−432)。
【0121】
これらのグレリンの種々の効果の解明は、グレリン及び/又はその受容体が役割を果たす種々の疾患の処置のための治療法への道を開く。グレリンの発見の前に、成長ホルモン欠乏症に関連する状態の処置のための成長ホルモン分泌促進化合物の開発における試みが、1970年代後半からすでに進行していた(Bowers著,Curr.Opin.Endocrinol.Diabetes 7:2000年,168−174)。人間において試験された成長ホルモン放出の刺激のために経口的に活性であるように設計された化合物には、小ペプチド、例えばヘキサレリン(hexarelin)(Zentaris)及びイパモレリン(ipamorelin)(Novo Nordisk)ならびにアデノシン類似物ならびに小分子、例えばカプロモレリン(capromorelin)(Pfizer)、L−252,564(Merck)、MK−0677(Merck)、NN7203(Novo Nordisk)、G−7203(Genentech)、S−37435(Kaken)、SM−130868(Sumitomo)及び他が含まれる。GHS1A−rへの内在性リガンドとしてのグレリンの同定の後、これらの化合物はGHS1A−rと相互作用すること及びアゴニストとして行動することが確証された。これらの化合物の多くは、実験的モデルにおいて、グレリンに関して記載された機能的効果と非常に類似の機能的効果を示すことが示された。
【0122】
グレリンの発見及び続く無数のその種々の生理学的役割及び効果の記載以来、薬剤発見の試みは、前−速度論的治療(pro−kinetic therapy)を必要とする消化障害のようなより広い範囲の可能な治療的適用に広げられた。そのような状態の例には、突発性又は糖尿病性胃不全麻痺、術後腸閉塞、オピオイド−誘起腸機能不全、短腸症候群(short bowel syndrome)、慢性腸擬−閉塞(chronic
intestinal pseudo−obstruction)、嘔吐、過敏性腸症候群(IBS)の低運動性期と関連するような便秘、消耗状態と関連する胃内容排出の遅れ、逆流性食道炎(GERD)、胃潰瘍及び他が含まれ得る(Murray et al著,Gastroenterology 125:2003年,1492−1502)。さらに、獣医学において類似の状態にしばしば遭遇し、治療薬がこの分野でも有用であり得ることを意味する。例を1つだけ名指して挙げると、仙痛(colic)は、ウマの間で死亡の主な原因を構成する胃腸運動機能不全である。
【0123】
文献データに従い、社内研究(in house study)は、マウスへのグレリンの静脈内投与が試験食の胃内容排出を刺激することを示した(ED50=0.100mg/kg,95%信頼区間 0.058−0.174)。しかし興味深いことに、最高で2.5mg/kg投与されたグレリンは、GHS1A−rの欠失を有する形質転換マウスにおいて効果がなかった。これらの観察は、グレリン−リガンドの胃腸前−速度論的性質がGHS1A−rとの直接の相互作用により媒介されることを確証している。従って、GHS1A−rに関する親和性を示し、且つそれを活性化する小分子は、一般に胃腸運動性、そして特に胃内容排出を刺激すると予想される。
【0124】
グレリンの前−速度論的活性は、成長ホルモン−分泌効果と無関係であると思われ、迷走神経−コリン作動性ムスカリン経路(vagal−cholinergic muscarinic pathway)により媒介されるらしい。必要な投薬レベルは、ホルモンの成長ホルモン分泌及び食欲刺激効果に必要なレベルと同等である(Peeters著,Physiol.Pharmacol.54(Suppl.4):2003年,95−
103)。胃腸系へのGHS1A−r刺激の効果と別に、GHS1A−rアゴニストは、機能を果たすことにおいてグレリンが関係しており、重要な役割を果たすとされてきた他の系にも影響を及ぼすと思われる。これらには、例えば男性及び女性の繁殖可能性(fertility)の調節のような生殖の側面(抗受胎(anticonception))(グレリンは黄体化ホルモンならびにテストステロンの分泌を妨げる)(Arvat et al著,Endocrine 14:2001年,35−43;Barreiro
and Tena−Sempre著,Mol Cell Endocrinol 226:2004年,1−9);グレリンが乳汁分泌(Nakahara et al著,Biochem Biophys Res Comm 303:2003年,751−755)ならびに在胎令に関して小さく生まれた子供における生後成長の成長ホルモン調節(Cianfarani et al著,Hormone Research 65(Suppl 3):2006年,70−74)に影響を及ぼす新生児発育;心臓血管系(グレリンは強力な血管拡張薬であり、かくしてグレリンアゴニストは慢性心不全の処置及び心臓保護のための可能性を有する:Nagaya and Kangawa著,Regul.Pept.114:2003年,71−77及びCurr.Opin.Pharmacol.3:2003年,146−151;国際公開第2004/014412号パンフレット)ならびに中枢神経系障害、例えば不安、認知障害(Carlini et al著,Biochem.Biophys.Res.Commun.299:2002年,739−743)、慢性ストレスのうつ病−様症状を含むうつ病(Lutter et al著,Nature Neuroscience,vol.11,No.7:2008年,752−753)、神経変性障害、例えば黒質細胞層部(substantia nigra pars compacta)の神経変性を伴う障害、例えばパーキンソン病(グレリンは神経保護効果を有することが見出された)(Jiang et al.著,Experimental neurology 212:2008年,532−537;Dong et al.著,J.Mol.Neurosci.37:2009年,182−189;国際公開第2008/143835号パンフレット)が含まれる。グレリンの食欲刺激性は、GHS1A−rアゴニストが悪液質及び神経性食欲不振のような状態の処置においても有用な薬剤であり得ることを示す。さらに、記載されてきたグレリンの投与への種々の他の反応に基づき、グレリンアゴニストの治療的使用は:コルチソルレベルが低いか、又は副腎皮質不全を有する患者(ACTH−放出の刺激)、睡眠−覚醒リズムの障害(グレリンは覚醒を助長する(Szentirmai et al著,Am J Physiol 292:2007年,R575−R585))、嚢胞性線維症又は慢性膵臓炎に冒された人におけるような外分泌性膵臓不全(グレリンは膵臓分泌を刺激する(Am
J of Physiol:290:2006年,G1350−G1358))、膵臓炎の間の器官の保護(Dembinski et al著,J Physiol Pharmacol 54:2003年,561−573)、骨そしょう症(グレリンは骨形成を直接調節する)(Fukushima et al著,J Bone Min Res:20:2005年,790−798))、記憶及び学習(Diano et al著,Nature Neuroscience 9:2006年,381−388)のような障害においても意図されている。
【0125】
上記で挙げた観察に基づき、グレリンアゴニストの使用は、特に前−速度論的治療を必要とする消化障害、例えば突発性又は糖尿病性胃不全麻痺、術後腸閉塞、オピオイド−誘起腸機能不全、短腸症候群、慢性腸擬−閉塞、嘔吐、過敏性腸症候群(IBS)の低運動性期と関連するような便秘、消耗状態と関連する胃内容排出の遅れ、逆流性食道炎(GERD)、胃潰瘍、仙痛の処置のため;例えば慢性心不全のような心臓血管障害の処置又は心臓保護を与えるため、ならびに中枢神経系障害、例えば不安、認知障害、慢性ストレスのうつ病−様症状を含むうつ病、神経変性障害、例えば黒質細胞層部の神経変性を伴う障害、例えばパーキンソン病の処置のため;悪液質及び神経性食欲不振の処置におけるような食欲の刺激のため;コルチソルレベルが低いか、又は副腎皮質不全を有する患者の処置
のため;睡眠−覚醒リズムの障害の処置のため;嚢胞性線維症又は慢性膵臓炎に冒された人におけるような外分泌性膵臓不全の処置のため;膵臓炎の間の器官の保護のため;骨そしょう症の処置のため;記憶及び学習を向上させるために、治療的に興味深いと思われる。グレリンアゴニストを抗受胎薬としても用いることができる。
【0126】
式(I)の化合物、それらのN−オキシド、製薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物は、それらのGHS1A−rアゴニスト活性の故に、特に処置又は予防がGHS1A−r受容体の活性化により影響されるか、媒介されるか、又は助長される疾患の処置又は予防のため、特に処置のための薬剤として有用である。
【0127】
上記の薬理学的性質の観点から、式(I)の化合物、それらのN−オキシド、製薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を薬剤として用いることができ、特に処置又は予防がGHS1A−r受容体の活性化により影響されるか、媒介されるか、又は助長される疾患の処置又は予防のため、特に処置のための薬剤として用いることができ;さらに特定的に、式(I)の化合物、それらのN−オキシド、製薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を、処置又は予防がGHS1A−r受容体の活性化により影響されるか、媒介されるか、又は助長される疾患の処置又は予防のため、特に処置のために用いることができる。特に本化合物を、処置又は予防がGHS1A−r受容体の活性化により影響されるか、媒介されるか、又は助長される疾患の処置又は予防用の、特に処置がGHS1A−r受容体の活性化により影響されるか、媒介されるか、又は助長される疾患の処置用の薬剤の製造のために用いることができる。さらに特定的に、本発明の化合物を、前−速度論的治療を必要とする消化障害、例えば突発性又は糖尿病性胃不全麻痺、術後腸閉塞、オピオイド−誘起腸機能不全、短腸症候群、慢性腸擬−閉塞、嘔吐、過敏性腸症候群(IBS)の低運動性期と関連するような便秘、消耗状態と関連する胃内容排出の遅れ、逆流性食道炎(GERD)、胃潰瘍、仙痛;例えば慢性心不全のような心臓血管障害の処置又は予防、特に処置のため、あるいは心臓保護を与えるため;中枢神経系障害、例えば不安、認知障害、慢性ストレスのうつ病−様症状を含むうつ病、神経変性障害、例えば黒質細胞層部の神経変性を伴う障害、例えばパーキンソン病;骨そしょう症;睡眠−覚醒リズムの障害;嚢胞性線維症又は慢性膵臓炎に冒された人におけるような外分泌性膵臓不全の処置又は予防、特に処置のため;悪液質及び神経性食欲不振の処置におけるような食欲の刺激のため;コルチソルレベルが低いか、又は副腎皮質不全を有する患者の処置又は予防、特に処置のため;膵臓炎の間の器官の保護のため;記憶及び学習を向上させるための薬剤の製造のために用いることができる。
【0128】
式(I)の化合物の有用性の観点から、処置又は予防がGHS1A−r受容体の活性化により影響されるか、媒介されるか、又は助長される疾患に苦しむ人間を含む温血動物の処置方法あるいは人間を含む温血動物が、処置又は予防がGHS1A−r受容体の活性化により影響されるか、媒介されるか、又は助長される疾患に苦しむのを予防する方法;特に、処置がGHS1A−r受容体の活性化により影響されるか、媒介されるか、又は助長される疾患に苦しむ人間を含む温血動物の処置方法を提供する。該方法は、式(I)の化合物、そのN−オキシド形態、その製薬学的に許容され得る塩又はその溶媒和物の有効量を、人間を含む温血動物に投与することを含んでなる。
【0129】
本発明は、処置又は予防がGHS1A−r受容体の活性化により影響されるか、媒介されるか、又は助長される疾患の予防又は処置のため;特に処置がGHS1A−r受容体の活性化により影響されるか、媒介されるか、又は助長される疾患の処置のための組成物も提供する。該組成物は、式(I)の化合物、そのN−オキシド形態、その製薬学的に許容され得る塩又はその溶媒和物の治療的に有効な量及び製薬学的に許容され得る担体又は希釈剤を含んでなる。
【0130】
本発明の化合物を、投与目的のための種々の製薬学的形態に調製することができる。適した組成物として、薬剤を全身的に投与するために通常用いられるすべての組成物を挙げることができる。本発明の製薬学的組成物の調製のために、場合により塩の形態にあることができる特定の化合物の活性成分として有効な量を、製薬学的に許容され得る担体と緊密な混合物において合わせ、その担体は、投与のために望ましい調製物の形態に依存して多様な形態をとることができる。望ましくはこれらの製薬学的組成物は、特に経口的投与、直腸的投与、経皮的投与又は非経口的注入に適した単位投薬形態にある。例えば経口的投薬形態における組成物の調製において、懸濁剤、シロップ、エリキシル剤、乳剤及び溶液のような経口用液体調製物の場合、通常の液体の製薬学的媒体のいずれか、例えば水、グリコール、油、アルコールなど;あるいは粉剤、丸薬、カプセル及び錠剤の場合、澱粉、糖類、カオリン、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような固体担体を用いることができる。それらの容易な投与のために、錠剤及びカプセルは最も有利な経口的投薬単位形態物を与え、その場合には固体の製薬学的担体が用いられるのは明らかである。非経口用組成物のために、担体は通常少なくとも大部分において無菌水を含んでなるであろうが、例えば溶解性を向上させるための他の成分が含まれることができる。例えば担体が食塩水、グルコース溶液又は食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる、注入可能な溶液を調製することができる。注入可能な懸濁剤を調製することもでき、その場合には適した液体担体、懸濁化剤などを用いることができる。使用直前に液体形態の調製物に転換されることが意図されている固体形態の調製物も含まれる。経皮的投与に適した組成物において、担体は場合により浸透促進剤及び/又は適した湿潤剤を含んでなることができ、それらは場合により皮膚に有意な悪影響を導入しない小さい割合のいずれかの性質の適した添加剤と組み合わされていることができる。該添加剤は、皮膚への投与を容易にすることができるか、あるいは所望の組成物の調製の助けとなることができる。これらの組成物を種々の方法で、例えば経皮パッチ、スポット−オン又は軟膏として投与することができる。
【0131】
本発明の化合物を吸入又は吹入を介して、この方法を介する投与のために当該技術分野において用いられる方法及び調剤により、投与することもできる。かくして一般に本発明の化合物を溶液、懸濁剤又は乾燥粉末の形態で肺に投与することができる。経口的又は鼻的吸入又は吹入を介する溶液、懸濁剤又は乾燥粉末の送達のために開発されたいずれの系も、本化合物の投与に適している。
【0132】
本発明の化合物を、滴剤、特に点眼剤の形態で局所的に投与することもできる。該点眼剤は溶液又は懸濁剤の形態にあることができる。点眼剤としての溶液又は懸濁剤の送達のために開発されたいずれの系も、本化合物の投与に適している。
【0133】
投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、上記の製薬学的組成物を単位投薬形態物において調製するのが特に有利である。本明細書で用いられる単位投薬形態物は、1回の投薬量として適した物理的に分離された単位を指し、各単位は所望の治療効果を生むために計算されたあらかじめ決められた量の活性成分を、必要な製薬学的担体と一緒に含有する。そのような単位投薬形態物の例は錠剤(刻み付き又はコーティング錠を含む)、カプセル、丸薬、粉剤小包、ウェハース、座薬、注入可能な溶液又は懸濁剤など、ならびに分離されたそれらの複数である。
【0134】
正確な投薬量及び投与の頻度は、当該技術分野における熟練者に周知の通り、用いられる特定の式(I)の化合物、処置されている特定の状態、処置されている状態の重度、特定の患者の年齢、体重、性別、障害の程度及び一般的な身体状態ならびに個人が摂取しているかも知れない他の投薬に依存する。さらに、処置される患者の反応に依存して、及び/又は本発明の化合物を処方する医師の評価に依存して、該有効な1日の量を減少させるか又は増加させることができることは、明らかである。
【0135】
投与の様式に依存して、製薬学的組成物は、好ましくは0.05〜99重量%、より好ましくは0.1〜70重量%、さらにもっと好ましくは0.1〜50重量%の活性成分及び1〜99.95重量%、より好ましくは30〜99.9重量%、さらにもっと好ましくは50〜99.9重量%の製薬学的に許容され得る担体を含んでなり、すべてのパーセンテージは組成物の合計重量に基づく。
【0136】
以下の実施例は、本発明を例示する。
【実施例】
【0137】
実験の部
下記で、「DCM」という用語はジクロロメタンを意味し、「MeOH」という用語はメタノールを意味し、「EtOAc」という用語は酢酸エチルを意味し、「DIPE」という用語はジイソプロピルエーテルを意味し、「THF」という用語はテトラヒドロフランを意味し、「LCMS」という用語は液体クロマトグラフィー/質量分析を意味し、「eq.」という用語は当量を意味し、「HPLC」という用語は高−性能液体クロマトグラフィーを意味し、「r.t.」という用語は室温を意味し、「Rh(COD)BF」という用語はビス[(1,2,5,6−η)−1,5−シクロオクタジエン]ロジウム(1+)テトラフルオロボレート(1−)を意味し、「Ir(COD)BF」という用語はビス[(1,2,5,6−η)−1,5−シクロオクタジエン]イリジウム(1+)テトラフルオロボレート(1−)を意味し、「Pd(OAc)」という用語は酢酸パラジウムを意味し、「X−Phos」という用語はジシクロヘキシル[2’,4’,6’−トリス(1−メチルエチル)[1,1’−ビフェニル]−2−イル]−ホスフィンを意味し、「Xantphos」という用語は(9,9−ジメチル−9H−キサンテン−4,5−ジイル)ビス[ジフェニル−ホスフィン]を意味し、「SFC」という用語は超臨界流体クロマトグラフィーを意味し、「MeI」という用語はヨウ化メチルを意味し、「NHOAc」という用語は酢酸アンモニウムを意味し、「q.s.」という用語は十分な量を意味し、そして「r.t.」という用語は室温を意味する。
【0138】
A.中間体の製造
実施例A1
a−1)中間体1の製造
【0139】
【化26】

【0140】
キシレン(600ml)中の6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オン(37.2ml,0.2480モル)、1−ブロモ−4−クロロベンゼン(47.4g,0.2480モル)及びCsCO(179.2g)の混合物を混合し、Nを用いてフラッシングした(flushed)。Pd(OAc)(2.8g)及びX−Phos(11.6g)を加え、反応混合物を150℃に加熱した。続いて混合物を室温に冷まし、濾過した。濾液をDCMで希釈した。この有機混合物をNHCl水溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を蒸留(Kugelrohr蒸留)により精製し、44gの中間体1を与えた(66%)。
a−2)中間体1の製造
【0141】
【化27】

【0142】
THF(100ml)、Pd(OAc)(1.4g,0.0062モル)及びナトリウムtert−ブトキシド(8.3g,0.0870モル)の混合物を、N雰囲気下に室温で15分間撹拌した。次いで最初にトリス(1,1−ジメチルエチル)ホスフィン(1.3g,0.0062モル)を加え、続いて1−ブロモ−4−クロロベンゼン(10.8g,0.0560モル)を加え、最後に6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オン(10g,0.0624モル)を加えた。反応混合物をゆっくり50℃に温め、混合物をこの温度に3時間保ち、その後それを室温で終夜撹拌した。混合物を再び75℃で4時間温め、次いで室温に冷ました。飽和NHCl溶液を用いて混合物をクエンチングし、DCMで3回抽出した。合わせた有機抽出物を洗浄し(HO)、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上で精製した(溶離剤:DCM)。純粋な画分を真空中で濃縮した。残留物をn−ヘキサン中で磨砕した。沈殿を濾過し、乾燥し(40℃,2時間)、2.9gの中間体1を与えた。
b)中間体2の製造
【0143】
【化28】

【0144】
CeCl(112g,0.450モル)を140℃で終夜乾燥し、次いで室温に冷まし、THF(十分な量)中で90分間撹拌した。白色のスラリを−78℃に冷却し、ビニルマグネシウムブロミド(THF中の0.7M)(450ml,0.315モル)を30分かけて滴下した。明オレンジ色のスラリを30分間撹拌し、THF(500ml)中の中間体1(40g,0.150モル)の混合物を30分かけて滴下した。反応混合物が終夜ゆっくり室温に温まるのを許した。続いてNHCl水溶液を用いて混合物をクエンチングした。ゴム状の残留物を濾過し、エーテルで洗浄した。層を分離し、水相をエーテルで抽出した。合わせた有機層を洗浄し(HO)、乾燥し(MgSO)、濾過し、濾液を蒸発させて濃い褐色の油を与えた。収穫:中間体2。
c)中間体14の製造
【0145】
【化29】

【0146】
中間体2(1g,0.0033モル)をTHF(50ml)中で撹拌した。NaH(0.3g,0.006モル)を加え、反応混合物を30分間撹拌した。MeIを加え、反応混合物を終夜撹拌した。続いて混合物を濃縮し、洗浄し(HO)、乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させた(真空中)。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/ヘプタン 50/50)により精製した。生成物画分を集め、溶媒を蒸発させた。収穫:0.7gの中間体14。
【0147】
実施例A2
a)中間体3の製造
【0148】
【化30】

【0149】
キシレン(400ml)中の6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オン(18.6ml,0.124モル)、(4−ブロモフェノキシ)−tert−ブチルジメチルシラン(30.34ml,0.124モル)及びCsCO(89.6g)の混合物を混合し、Nを用いてフラッシングした。続いてPd(OAc)(1.4g)及びX−Phos(5.80g)を加え、反応混合物を150℃に加熱し、80℃で終夜撹拌した。混合物を室温に冷まし、濾過し、DCMで希釈し、洗浄し(NHCl溶液)、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発させた。仕上げの後、残留物を逆−相HPLC(Shandon Hyperprep(R) C18 BDS(塩基不活性化シリカ(Base Deactivated Silica))8μm,250g,内径5cm)により精製した。3種の移動相を用いる勾配を適用した。相A:水中の0.25%NHHCO溶液;相B:MeOH;相C:CHCN)。所望の画分を集めた。仕上げの後、6.61gの中間体3が得られた。
b)中間体4の製造
【0150】
【化31】

【0151】
CeCl(14.7g)をTHF(150ml;乾燥)中で撹拌し、スラリを形成した。この混合物を2時間撹拌した。次いでビニルマグネシウムブロミド(THF中の0.7M)(57ml,0.040モル)を−78℃において15分かけて滴下した。続いて中間体3(6.61g,0.018モル)を90分かけて滴下し、混合物を−78℃で2時間撹拌した。次に反応混合物をゆっくり室温に温めた(終夜)。次いで混合物を再び0℃に冷却し、NHCl溶液を用いてクエンチングした。混合物をジカライト上で濾過した。溶媒を蒸発させ、残留物にDCMを加えた。この有機混合物を洗浄し(NHCl溶液)、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:ヘプタンからDCM)により精製した。所望の画分を集め、溶媒を蒸発させた。収穫:6.05gの中間体4(85%)。
【0152】
実施例A3
a)中間体5の製造
【0153】
【化32】

【0154】
2,3,4,5−テトラヒドロ−1−ベンズオキセピン−5−オン(2g,0.0120モル)、2−アセトキシ−1−プロペン(2.9ml,0.0260モル)及びp−トルエンスルホン酸(0.24g,0.0010モル)の混合物を終夜撹拌し、且つ還流させた。EtOAcを加えた。有機層をKCO(10%溶液)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物(3.2g)をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/EtOAc 95/5;15−40μm)により精製した。純粋な画分を集め、溶媒を蒸発させた。収穫:2.6gの中間体5(100%)。
b)中間体6の製造
【0155】
【化33】

【0156】
Pd(OAc)(0.03g,0.0001モル)及びトリ−O−トリルホスフィン(0.08g,0.0002モル)の溶液を、トルエン(25ml)中の中間体5(2.6g,0.0130モル)の溶液に加えた。続いてブロモベンゼン(1.5ml,0.0140モル)及びトリブチルメトキシスタンナン(3.7ml,0.0130モル)を加え、反応混合物を終夜撹拌し、且つ還流させた。KCOを加え、混合物をセライト上で濾過した。セライトをEtOAcで洗浄した。濾液を洗浄し(飽和NaCl水溶液)、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物(2.7g)をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/EtOAc 97/3;15−40μm)により精製した。純粋な画分を集め、溶媒を蒸発させた。収穫:1.1gの中間体6(36%)。
【0157】
実施例A4
a)中間体7の製造
【0158】
【化34】

【0159】
2,3,4,5−テトラヒドロ−1−ベンズオキセピン−5−オン(3.8g,0.023モル)、5−ブロモ−2−メチルピリジン(4g,0.023モル)、CsCO(18g)及びキシレン(100ml)の混合物を撹拌し、Nを用いて20分間フラッシングした。Pd(OAc)(0.27g)及びX−Phos(1.18g)を加え、反応混合物をN雰囲気下で5時間撹拌し、且つ還流させた。次いで混合物を冷却し、濾過した。濾液をNHCl水溶液で洗浄した。有機層を乾燥し、濃縮した。残留物をシリカゲル上で精製した(溶離剤:DCM/MeOH 95/5)。生成物画分を集め、溶媒を蒸発させた。収穫:4.5gの中間体7。
b)中間体8の製造
【0160】
【化35】

【0161】
CeCl(5.9g)を140℃における真空中で、終夜乾燥した。乾燥したCeClを、THF(60ml)中でN雰囲気下に、2時間撹拌した。この混合物を−78℃に冷却し、ビニルマグネシウムブロミド(32ml,0.032モル;THF中の1M溶液)を10分かけて加えた。続いてTHF(50ml)中の中間体7(2.2g,0.008モル)を30分かけて加えた。反応混合物が室温に温まるのを許し、1時間撹拌した。次いで反応混合物を氷上で冷却し、NHCl水溶液(6ml)を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を乾燥し、濾過し、濾液の溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上で精製した(溶離剤:DCM/MeOH 98/2)。生成物画分を集め、溶媒を蒸発させた。収穫:1.2gの中間体8。
【0162】
実施例A5
a)中間体9の製造
【0163】
【化36】

【0164】
1−ブロモ−4−メチルベンゼン(3.2g,0.018709モル)、2,3,4,5−テトラヒドロ−1−ベンズオキセピン−5−オン(3g,0.018497モル)、CsCO(18g,0.055245モル)及びキシレン(100ml)の混合物を撹拌し、Nを用いて20分間フラッシングした。Pd(OAc)(0.27g,0.000456モル)及びX−Phos(1.18g)を加え、反応混合物をN下で5時間還流させた。次いで混合物を冷却し、濾過した。濾液をNHCl水溶液で洗浄した。有機層を乾燥し、濃縮した。残留物をシリカゲル上で精製した(溶離剤:DCM)。所望の画分を集め、溶媒を蒸発させた。収穫:4gの中間体9(85.7%)。
b)中間体10の製造
【0165】
【化37】

【0166】
CeCl(10.8g,0.043818モル)を140℃における真空中で、終夜乾燥した。乾燥したCeClをTHF(150ml)中で2時間撹拌した(N雰囲気下)。次いで混合物を−78℃に冷却し、ビニルマグネシウムブロミド(4当量;THF中の1M溶液)を10分かけて加えた。続いて中間体9(4g,0.015853モル)及びTHF(50ml)を30分かけて加えた。反応混合物が室温に温まるのを許し、終夜撹拌した。次いで反応混合物を氷上で冷却し、10mlのNHCl溶液を加えた。混合物を1時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:DCM)。所望の画分を集め、溶媒を蒸発させた。収穫:3.4gの中間体10(76.5%)。
【0167】
実施例A6
a)中間体11の製造
【0168】
【化38】

【0169】
キシレン(十分な量)中の6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オン(1.6g,0.010モル)、5−ブロモ−2−メチルピリジン(1.7g,0.010モル)、Pd(OAc)(0.11g,0.0005モル)、X−Phos(0.477g,0.001モル)及びCsCO(6.5g,0.022モル)の混合物を140℃で終夜加熱した。次いで反応混合物を冷却し、溶媒を蒸発させ、残留物を、勾配0−5% MeOH/DCMを用いて溶離させるBiotageカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物画分を集め、溶媒を蒸発させ、中間体11を与えた。
b)中間体12の製造
【0170】
【化39】

【0171】
CeCl(7.46g,0.020モル)を0.02ミリバール下に80℃において2時間、次いで110℃において1時間及び最後に140℃において2時間乾燥した。冷却後、白色の粉末を乾燥THF(75ml)中で、N雰囲気下に室温において90分間撹拌した。この白色の懸濁液を−78℃に冷却し、ビニルマグネシウムブロミド(THF中の0.7M)(20ml)を滴下して、明黄色の懸濁液を得た。1時間後、THF(十分な量)中の中間体11(1.65g,0.00657モル)を−78℃で滴下し、混合物を1時間撹拌した。続いて混合物を−20℃に温め、NHCl水溶液を用いて混合物をクエンチングした。次いで混合物を追加のHOで希釈し、セライトを介して濾過した。濾液をエーテルで抽出し、乾燥し(MgSO)、濾過し、濾液を蒸発させた。残留物を、5% MeOH/DCMを用いて溶離するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物画分を集め、溶媒を蒸発させた。得られる油をDIPE中に取り上げ、n−ヘプタンを加えた。固体が結晶化し、それを濾過し、乾燥した。収穫:1.12gの中間体12(オフホワイト色の固体)。
【0172】
実施例A7
中間体13の製造
【0173】
【化40】

【0174】
トルエン(30ml)中の6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−9−オールアセテート(3g,0.0150モル)、1−ブロモ−3−メトキシベンゼン(2.2ml,0.0180モル)、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)−パラジウム(0.23g,0.0082モル)及びトリブチルメトキシスタンナン(0.23g,0.0082モル)の混合物を終夜撹拌し、且つ還流させた。KF(10%)を加え、混合物を室温で終夜撹拌した。沈殿をセライト上で濾過した。セライトをEtOAcで洗浄した。EtOAcを用いて濾液を抽出し、合わせた有機層を洗浄した(飽和NaCl水溶液)。分離された有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/EtOAc 95/5から90/10;20−45μm)により精製した。純粋な画分を集め、溶媒を蒸発させ、1.8gの中間体13を与えた(45%)。
【0175】
実施例A8
a)中間体15の製造
【0176】
【化41】

【0177】
キシレン(150ml)中の7−クロロ−3,4−ジヒドロ−1−ベンズオキセピン−5(2H)−オン(9.8g,0.050モル)、4−ブロモ−N,N−ジメチル−ベンゼンアミン(9.5g,0.050モル)、X−Phos(2.4g)、CsCO(4.11g)及びPd(OAc)(0.65g)の混合物を、N雰囲気下で110〜120℃に6時間加熱した。反応後、混合物を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル/EtOAc 1/1)により精製した。所望の画分を集め、溶媒を蒸発させた。残留物をエタノールから結晶化させ、8.2gの中間体15を紫色の固体として与えた(51.9%収率)。
b)中間体16の製造
【0178】
【化42】

【0179】
CeCl(0.0239モル)を140℃における真空中で、終夜乾燥する。乾燥したCeClを、THF(60ml)中でN雰囲気下に、2時間撹拌する。この混合物を−78℃に冷却し、ビニルマグネシウムブロミド(0.032モル;THF中の1M溶液)を10分かけて加える。続いてTHF(50ml)中の中間体15(0.008モル)を30分かけて加える。反応混合物が室温に温まるのを許し、1時間撹拌する。次いで反応混合物を氷上で冷却し、NHCl水溶液(6ml)を加える。反応混合物を1時間撹拌し、次いで濾過する。濾液を乾燥し、濾過し、濾液の溶媒を蒸発させる。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製する。収穫:中間体16。
【0180】
実施例A9
a)中間体17の製造
【0181】
【化43】

【0182】
キシレン(40ml)中の3,4−ジヒドロ−9−メトキシ−1−ベンズオキセピン−5(2H)−オン(1.92g,0.010モル)、4−ブロモ−N,N−ジメチル−ベンゼンアミン(2.0g,0.010モル)、X−Phos(0.48g)、CsCO(6.54g)及びPd(OAc)(0.12g)の混合物を、N雰囲気下で110〜120℃に12時間加熱した。反応後、混合物を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤:石油エーテル/EtOAc 10/1)により精製した。所望の画分を集め、溶媒を蒸発させた。残留物をエタノールから結晶化させ、1.2gの中間体17を白色の固体として与えた(38.7%収率)。
b)中間体18の製造
【0183】
【化44】

【0184】
CeCl(0.0239モル)を140℃における真空中で、終夜乾燥する。乾燥したCeClを、THF(60ml)中でN雰囲気下に、2時間撹拌する。この混合物を−78℃に冷却し、ビニルマグネシウムブロミド(0.032モル;THF中の1M溶液)を10分かけて加える。続いてTHF(50ml)中の中間体17(0.008モル)を30分かけて加える。反応混合物が室温に温まるのを許し、1時間撹拌する。次いで反応混合物を氷上で冷却し、NHCl水溶液(6ml)を加える。反応混合物を1時間撹拌し、次いで濾過する。濾液を乾燥し、濾過し、濾液の溶媒を蒸発させる。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製する。収穫:中間体18。
【0185】
表1〜3は式(II)の化合物を挙げており、それは上記の実施例(実施例番号)への類似により製造され、式(I)の化合物の合成に用いられた。
【0186】
【表1−1】

【0187】
【表1−2】

【0188】
【表1−3】

【0189】
【表2】

【0190】
【表3】

【0191】
B.化合物の製造
実施例B1
a−1)化合物1、3及び4の製造
【0192】
【化45】

【0193】
ジメチルアミン(MeOH中の30%)(8ml)、THF(50ml)及びMeOH(50ml)中の中間体2(15g,0.050モル)、Rh(COD)BF(0.02g)、Ir(COD)BF(0.05g)及びキサントフォス(0.12g)の混合物を、CO/H(7/33気圧)雰囲気下に、100℃で32時間撹拌した。続いて反応混合物を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤:最初にDCM;次いで5%MeOH/DCM;最後に10%(MeOH/NH)/DCM)により精製した。純粋な画分を集め、4gの黄色の油を得、それは放置すると結晶化した。固体をヘプタン中で磨砕し、濾過により集めた。生成物を終夜乾燥し(50℃,真空)、2.24gの化合物1をクリーム色の固体として与えた(CIS混合物)。濾液から第2の画分が結晶化し、化合物1の第2のバッチ(0.390g)を白色の結晶として与えた(CIS混合物)。化合物1の第1のバッチの一部(2g)を、調製的SFC(負荷量:55mg/1.5ml;Chiralpak AD−Hカラム(30x250mm);移動相(9分間保持):25%MeOH(+0.2%2−プロピルアミン)/75%CO);流量:
50ml/分;カラムヒーター温度:40℃;ノズル圧:100バール)によりそのエナンチオマーにさらに分離した。2種の生成物画分を集め、溶媒を蒸発させた。カラムから最初に溶離した化合物(遊離の塩基として)をシュウ酸塩として結晶化させ、1.00gの化合物3を与えた。カラムから2番目に溶離した化合物(遊離の塩基として)をシュウ酸塩として結晶化させ、1.00gの化合物4を与えた。
a−2)化合物2、3及び4の製造
【0194】
【化46】

【0195】
MeOH/トルエン(40ml;1/1)中の中間体2(5g,0.016モル)、ジメチルアミン(MeOH中の30%)(3ml)、Rh(COD)BF(0.008g)、Ir(COD)BF(0.02g)及びキサントフォス(0.048g)の混合物を、CO/H(7/33気圧)雰囲気下に、100℃で32時間反応させた。この反応を4回行った。合わせたバッチをシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:最初にDCM;次いで5%MeOH/DCM;最後に5%(MeOH/NH)/DCM)により精製した。所望の画分を集め、溶媒を蒸発させ、15gの粗油を与えた。この油を2−プロパノール中に取り上げ、シュウ酸で処理した。固体を集め、真空下で乾燥し、10gの化合物2、白色の固体を与えた(CIS混合物)。化合物2を調製的SFC(Chiralpak AD−Hカラム(30x250mm);移動相:28%MeOH(+0.2%2−プロピルアミン)/72%CO);流量:50ml/分;カラムヒーター温度:40℃;ノズル圧:100バール)によりエナンチオマーに分離した。2種の生成物画分を集め、溶媒を蒸発させた。カラムから最初に溶離した化合物をシュウ酸塩に転換した。収穫:4.1gの化合物3。カラムから2番目に溶離した化合物をシュウ酸塩に転換した。収穫:4.05gの化合物4。
b)化合物1、3、4、5及び6の製造
【0196】
【化47】

【0197】
THF(2ml)中の3−クロロ−N,N−ジメチル−1−プロパンアミン(少量)、Mg(1.45g,0.0610モル)及び1,2−ジブロモエタン(少量)の混合物を60℃で撹拌した。続いてTHF(50ml)中の3−クロロ−N,N−ジメチル−1−プロパンアミン塩酸塩(7.4g,0.0610モル)の溶液を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで5℃に冷却した。THF(50ml)中の中間体1(5.5g,0.02モル)の溶液をゆっくり加えた。混合物を室温で18時間撹拌した。飽和NHCl水溶液を加え、得られる混合物をEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物(6.3g)をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 96/4/0.3から95/5/0.5;15−40μm)により精製した。所望の画分を集め、2.35gの化合物1を与えた(CIS混合物)。化合物1をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(Chiralpak AD;溶離剤:ヘプタン/2−プロパノール/EtN 97/3/0.1)により精製した。2種の画分を集め、溶媒を蒸発させた。カラムから最初に溶離した化合物は1.1gの化合物5を与えた(遊離の塩基)。カラムから2番目に溶離した化合物は1.1gの化合物6を与えた(遊離の塩基)。化合物5の一部(1g)を2−プロパノール中に溶解し、HCl/2−プロパノール(1.1当量;5N)を用いてHCl−塩に転換した。沈殿を濾過し、乾燥した。残留物をMeOH中に取り上げ、濃縮した。残留物にジエチルエーテルを加え、混合物を濃縮し、0.9gの化合物5aを与えた(HCl−塩)。同じ方法により化合物6の一部(1g)もHCl−塩に転換し、1.0gの化合物6aを与えた(HCl−塩)。HO/KCO/DCMを用いて化合物5a(0.9g)を再び遊離の塩基に転換し、0.9gの遊離の塩基を与えた。この遊離の塩基を2−プロパノン中に溶解し、エタン二酸塩に転換した。沈殿を濾過し、乾燥した。この沈殿を2−プロパノン/ジエチルエーテルから結晶化させた。生成物を濾過し、乾燥し、0.8gの化合物4を与えた。化合物6a(1.0g)もその塩基形態に転換した。残留物(0.8g)を2−プロパノン中に溶解し、エタン二酸塩に転換した。沈殿を濾過し、乾燥した。この沈殿を2−プロパノン/ジエチルエーテルから結晶化させた。生成物を濾過し、乾燥し、0.82gの化合物3を与えた。
【0198】
EtO(200ml)中の3−クロロ−N,N−ジメチル−1−プロパンアミン塩酸塩(25g,0.158モル,CAS[4584−46−7])の懸濁液にNaHCOの飽和溶液(205ml)をゆっくり加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、次いでKCO(固体)で飽和させた。混合物をEtOで抽出した。有機層をMgSO上で乾燥し、真空下に室温で濃縮し、15.5gの3−クロロ−N,N−ジメチル−1−プロ
パンアミンを与えた(収率75%)。
【0199】
実施例B2
化合物7の製造
【0200】
【化48】

【0201】
MeOH/THF(40ml;1/1)中の中間体4(0.4g,0.00101モル)、モルホリン(0.3g)、Rh(COD)BF(0.004g)、Ir(COD)BF(0.01g)及びキサントフォス(0.024g)の混合物を、CO/H(7/33気圧)雰囲気下に、密閉管中で100℃において32時間反応させた。次いで混合物を室温に冷まし、濾過し、濾液を蒸発させた(真空中)。生成物を逆相HPLC(Shandon Hyperprep(R) C18 BDS(塩基不活性化シリカ)8μm,250g,内径5cm)により精製した。3種の移動相を用いる勾配を適用した。相A:水中の0.5%NHOAc溶液の90%+10%CHCN;相B:MeOH;相C:CHCN)。所望の画分を集め、有機溶媒を蒸発させた。濃厚水溶液(aqueous concentrate)をDCMで抽出し、NaCO水溶液(10%;2x)で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をDIPEから結晶化させ、濾過し、乾燥した。化合物7が白色の粉末として得られた。
【0202】
実施例B3
化合物8の製造
【0203】
【化49】

【0204】
THF(2ml)中の少量の3−クロロ−N,N−ジメチル−1−プロパンアミン(B1bに記載した通りに得た)、Mg(0.5g,0.02モル)及び1,2−ジブロモエタン(少量)を60℃で撹拌した。THF(15ml)中の3−クロロ−N,N−ジメチ
ル−1−プロパンアミン塩酸塩(0.02モル)の溶液をゆっくり加えた。混合物を1時間撹拌し、次いで50℃に冷ました。THF(10ml)中の中間体6(1.1g,0.0070モル)の溶液をゆっくり加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。飽和NHCl水溶液を加えた。混合物をEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物(1.5g)をKromasil上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 93/7/0.5;15−40μm)により精製した。純粋な画分を集め、溶媒を蒸発させた。収穫:1.1gの化合物8a(遊離の塩基;80%)。この画分を2−プロパノン中に溶解し、エタン二酸塩(=シュウ酸塩)に転換した。沈殿を濾過し、乾燥した。収穫:0.6gの化合物8。
【0205】
実施例B4
化合物9の製造
【0206】
【化50】

【0207】
MeOH/THF(40ml;1/1)中の中間体8(1.3g,0.0046モル)、ジメチルアミン(MeOH溶液の2ml)、Rh(COD)BF(0.004g)、Ir(COD)BF(0.010g)及びキサントフォス(0.024g)の混合物を、CO/H(7/32気圧)雰囲気下に、100℃で32時間反応させた。冷却後、反応混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残留物(1.6g)を逆相HPLC(Shandon Hyperprep(R) C18 BDS(塩基不活性化シリカ)8μm,250g,内径5cm)により精製した。緩衝溶液と有機溶媒を用いる勾配を適用した。続いてHPLCにより生成物を脱塩した。生成物画分を集め、仕上げた。収穫:0.6gの化合物9。
【0208】
実施例B5
a)化合物10の製造
【0209】
【化51】

【0210】
オートクレーブ中でN雰囲気下において行われる反応。MeOH/THF(40ml,1/1)中の中間体10(1g,0.003567モル)、Rh(COD)BF(0.001448g)、Ir(COD)BF(0.001766g)、キサントフォス(0.020616g)及びN−メチルベンゼンメタンアミン(2当量,0.864429g,0.007133モル)の混合物をオートクレーブ中に装入し、オートクレーブを50バールCO/H(1/3)に加圧した。混合物を100℃で32時間反応させた。次いで混合物を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上で精製した(溶離剤:DCM)。所望の画分を集め、溶媒を蒸発させ、0.8gの化合物10を与えた。
b)化合物11の製造
【0211】
【化52】

【0212】
流下でPd/C10%(0.100g)をMeOH(50ml)中に懸濁させた。化合物10(0.9g,0.002166モル)を加え、反応混合物をH雰囲気下に25℃において、1当量が吸収されるまで撹拌した。ジカライト上で触媒を濾過した。濾液を濃縮し、残留物(化合物11a;遊離の塩基)を、2−プロパノール中でジエチルエーテル/2−プロパノール/シュウ酸からシュウ酸塩として結晶化させた。収穫:0.420gの化合物11。
【0213】
実施例B6
a)化合物12の製造
【0214】
【化53】

【0215】
オートクレーブ中でN雰囲気下において行われる反応。MeOH/THF(40ml,1/1)中の中間体12(0.935g,0.003347モル)、Rh(COD)BF(0.001359g)、Ir(COD)BF(0.001658g)、キサントフォス(0.019364g)及びジメチルアミン(MeOH中の2.0M溶液)(2当量)の混合物をオートクレーブ中に装入し、オートクレーブを50バールCO/H(1/3)に加圧した。混合物を100℃で32時間反応させた。反応混合物を濾過し、溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:最初にD
CM;次いで5%MeOH/DCM;最後に5%(MeOH/NH)/DCM)により精製した。所望の画分を集め、溶媒を蒸発させて油を与え、それをシュウ酸塩として結晶化させた。収穫:0.120gの化合物12(8.37%;白色の吸湿性の固体,シュウ酸塩)。
b)化合物16の製造
【0216】
【化54】

【0217】
THF/MeOH(20ml)中の中間体12(0.1g,0.0004モル)、1mlのジメチルアミン溶液(MeOH中)、Rh(COD)BF(0.002g)、Ir(COD)BF(0.005g)及びキサントフォス(0.012g)の混合物を、7気圧のCO及び33気圧のH下で、100℃において32時間撹拌した。次いで混合物を冷却し、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を逆相HPLC(Shandon Hyperprep(R) C18 BDS(塩基不活性化シリカ)8μm,250g,内径5cm)により精製した。3種の移動相を用いる勾配を適用した。相A:水中の0.5%NHOAc溶液の90%+10%CHCN;相B:CHOH;相C:CHCN)。所望の画分を集めた。仕上げの後、残留物をDIPE中に取り上げ、2−プロパノール/HClで処理した。固体を集め、オーブン中で乾燥し(吸湿性)、化合物16をHCl−塩(.2HCl)として与えた。
【0218】
実施例B7
化合物13の製造
【0219】
【化55】

【0220】
MeOH/THF(40ml;1/1)中の中間体2(0.4g,0.0013モル)、2−メトキシ−N−メチルエタンアミン(0.3g,0.00337モル)、Rh(COD)BF(0.004g)、Ir(COD)BF(0.01g)及びキサントフォス(0.024g)の混合物を、CO/H(7/33気圧)雰囲気下に、密閉管中で100℃において32時間反応させた。室温に冷ました後、溶液を濾過し、濾液を蒸発
させた。残留物を逆相HPLC(Shandon Hyperprep(R) C18 BDS(塩基不活性化シリカ)8μm,250g,内径5cm)により精製した。3種の移動相を用いる勾配を適用した。相A:水中の0.25%NHHCO溶液;相B:CHOH;相C:CHCN)。所望の画分を集め、仕上げた。生成物をDIPE中に溶解し、HCl/2−プロパノールを加え、化合物13をHCl−塩として与えた。
【0221】
実施例B8
化合物14の製造
【0222】
【化56】

【0223】
THF(2ml)中の少量の3−クロロ−N,N−ジメチル−1−プロパンアミン(B1bに記載した通りに得た)、Mg(0.5g,0.02モル)及び1,2−ジブロモエタン(少量)を60℃で加熱した。反応が始まったら、THF(15ml)中の3−クロロ−N,N−ジメチル−1−プロパンアミン塩酸塩(2.5g,0.02モル)の溶液をゆっくり加えた。反応混合物を60℃で1時間撹拌し、次いで5℃に冷却した。THF(25ml)中の中間体13(1.8g,0.0070モル)の溶液をゆっくり加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。NHCl(10%)を加え、混合物をセライト上で濾過した。濾液をEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物(2.2g)をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 95/5/0.2;15−40μm)により精製した。純粋な画分を集め、溶媒を蒸発させ、化合物14a(遊離の塩基)を与えた。1gの化合物14aをシュウ酸塩に転換し、0.615gの化合物14を与えた。
【0224】
実施例B9
化合物15の製造
【0225】
【化57】

【0226】
MeOH/THF(40ml;1/1)中の中間体14(0.5g,0.0016モル)、ジメチルアミン溶液(1ml;MeOH中)、Rh(COD)BF(0.004g)、Ir(COD)BF(0.010g)及びキサントフォス(0.024g)の混合物を、CO/H雰囲気(7気圧/32気圧)下に、100℃において32時間撹拌した。冷却後、反応混合物を濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH 95/5)により2回精製した。生成物画分を集め、溶媒を蒸発させた。収穫:0.0685gの化合物15。
【0227】
実施例B10
化合物17の製造
【0228】
【化58】

【0229】
反応はN雰囲気下にオートクレーブ中で行われる。MeOH/THF(40ml,1/1)中の中間体16(0.003347モル)、Rh(COD)BF(0.001359g)、Ir(COD)BF(0.001658g)、キサントフォス(0.0000334モル)及びジメチルアミン(MeOH中の2.0M溶液)(2当量)の混合物をオートクレーブ中に装入し、オートクレーブを50バールCO/H(1/3)に加圧する。混合物を100℃で32時間反応させる。反応混合物を濾過し、溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製する。収穫:化合物17。
【0230】
実施例B11
化合物18の製造
【0231】
【化59】

【0232】
反応はN雰囲気下にオートクレーブ中で行われる。MeOH/THF(40ml,1
/1)中の中間体18(0.003347モル)、Rh(COD)BF(0.001359g)、Ir(COD)BF(0.001658g)、キサントフォス(0.0000334モル)及びジメチルアミン(MeOH中の2.0M溶液)(2当量)の混合物をオートクレーブ中に装入し、オートクレーブを50バールCO/H(1/3)に加圧する。混合物を100℃で32時間反応させる。反応混合物を濾過し、溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製する。収穫:化合物18。
【0233】
表4〜7中に描かれる以下の式(I)の化合物は、上記の実施例(実施例番号)への類似により、適宜に別の出発材料を用いて製造された。
【0234】
【表4−1】

【0235】
【表4−2】

【0236】
【表4−3】

【0237】
【表4−4】

【0238】
【表4−5】

【0239】
【表4−6】

【0240】
【表4−7】

【0241】
【表4−8】

【0242】
【表4−9】

【0243】
【表5−1】

【0244】
【表5−2】

【0245】
【表6】

【0246】
【表7】

【0247】
C.分析部分
融点
方法(a):DSC823e(Mettler−Toledo)を用いて融点(m.p.)を決定した。30℃/分の温度勾配を用いて融点を測定した。報告される値はピーク値である。
方法(b):直線状温度勾配を有する加熱板、スライディングポインター(sliding pointer)及び度摂氏における温度目盛から成るKofler熱台(hot bench)を用いて融点を得た。
【0248】
【表8】

【0249】
LCMS
LCMS一般的方法A
HPLC測定は、脱ガス器を有するクウォーターナリーポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン(他に指示しなければ40℃に設定)、ダイオード−アレー検出器(DAD)及び下記のそれぞれの方法において特定されるカラムを含んでなるAlliance HT 2790(Waters)システムを用いて行なわれた。カラムからの流れはMS分光計に分けられた。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン化源を用いて形成された。0.1秒の滞留時間を用いて1秒内に100から1000まで走査することにより、質量スペクトルを取得した。毛管針電圧は3kVであり、源温度は140℃に保たれた。ネブライザーガスとして窒素を用いた。Waters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いてデータ取得を行なった。
【0250】
LCMS一般的方法B
LC測定は、バイナリーポンプ、サンプルオルガナイザー、カラムヒーター(55℃に設定)、ダイオードアレー検出器(DAD)及び下記のそれぞれの方法において特定されるカラムを含んでなるAcquity UPLC(Waters)システムを用いて行なわれた。カラムからの流れはMS分光計に分けられた。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン化源を用いて形成された。0.02秒の滞留時間を用いて0.18秒内に100
から1000まで走査することにより、質量スペクトルを取得した。毛管針電圧は3.5kVであり、源温度は140℃に保たれた。ネブライザーガスとして窒素を用いた。Waters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いてデータ取得を行なった。
【0251】
LCMS一般的方法C
HPLC測定は、脱ガス器を有するクウォーターナリーポンプ、オートサンプラー、ダイオード−アレー検出器(DAD)及び下記のそれぞれの方法において特定されるカラムを含んでなるAlliance HT 2795(Waters)システムを用いて行なわれ、カラムは30℃の温度に保たれた。カラムからの流れはMS分光計に分けられた。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン化源を用いて形成された。LCT(WatersからのTime of Flight ZsprayTM 質量分析計−LCMS方法7及び8のため)上で毛管針電圧は3kVであり、源温度は100℃に保たれ、ZQTM(Watersからの単純四極(simple quadrupole)ZsprayTM質量分析計−LCMS方法9及び10のため)上で毛管電圧は3.15kVであり、源温度は110℃に保たれた。ネブライザーガスとしてNを用いた。Waters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いてデータ取得を行なった。
【0252】
LCMS−方法1
一般的方法Aに加え:逆相HPLCをXterra MS C18カラム(3.5μm,4.6x100mm)上で、1.6ml/分の流量を用いて行なった。3種の移動相(移動相A:95% 25mM酢酸アンモニウム+5%アセトニトリル;移動相B:アセトニトリル;移動相C:メタノール)を用い、6.5分内に100%Aから1%A、49%B及び50%Cにし、1分内に1%A及び99%Bにし、これらの条件を1分間保持し、100%Aを用いて1.5分間再平衡化する勾配条件を実施した。10μlの注入容積を用いた。コーン電圧は、正のイオン化モードの場合に10Vであり、負のイオン化モードの場合に20Vであった。
【0253】
LCMS−方法2
一般的方法Aに加え:逆相HPLCをAtlantis C18カラム(3.5μm,4.6x100mm)(3.5μm,4.6x100mm)上で、1.6ml/分の流量を用いて行なった。2種の移動相(移動相A:70%メタノール+30% HO;移動相B:HO中の0.1%ギ酸/メタノール 95/5)を用い、12分内に100%Bから5%B+95%Aにする勾配条件を実施した。10μlの注入容積を用いた。コーン電圧は、正のイオン化モードの場合に10Vであり、負のイオン化モードの場合に20Vであった。
【0254】
LCMS−方法3
一般的方法Aに加え:カラムヒーターを60℃に設定した。逆相HPLCをXterra MS C18カラム(3.5μm,4.6x100mm)上で、1.6ml/分の流量を用いて行なった。3種の移動相(移動相A:95% 25mM酢酸アンモニウム+5%アセトニトリル;移動相B:アセトニトリル;移動相C:メタノール)を用い、6.5分内に100%Aから50%B及び50%Cにし、0.5分内に100%Bにし、これらの条件を1分間保持し、100%Aを用いて1.5分間再平衡化する勾配条件を実施した。10μlの注入容積を用いた。コーン電圧は、正のイオン化モードの場合に10Vであり、負のイオン化モードの場合に20Vであった。
【0255】
LCMS−方法4
一般的方法Aに加え:カラムヒーターを45℃に設定した。逆相HPLCをXterr
a MS C18カラム(3.5μm,4.6x100mm)上で、1.6ml/分の流量を用いて行なった。3種の移動相(移動相A:HO中の0.1%ギ酸/メタノール 95/5;移動相B:アセトニトリル;移動相C:メタノール)を用い、7分内に100%Aから1%A、49%B及び50%Cにし、これらの条件を1分間保持する勾配条件を実施した。10μlの注入容積を用いた。コーン電圧は、正のイオン化モードの場合に10Vであった。
【0256】
LCMS―方法5
一般的方法Bに加え:架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH) C18カラム(1.7μm,2.1x50mm;Waters Acquity)上で、0.8ml/分の流量を用い、逆相UPLC(超性能液体クロマトグラフィー(Ultra Performance Liquid Chromatography))を行なった。2種の移動相(移動相A:HO中の0.1%ギ酸/メタノール 95/5;移動相B:メタノール)を用い、1.3分内に95%A及び5%Bから5%A及び95%Bにし、0.2分間保持する勾配条件を実施した。0.5μlの注入容積を用いた。コーン電圧は、正のイオン化モードの場合に10Vであり、負のイオン化モードの場合に20Vであった。
【0257】
LCMS−方法6
一般的方法Aに加え:カラムヒーターを45℃に設定した。逆相HPLCをAtlantis C18カラム(3.5μm,4.6x100mm)上で、1.6ml/分の流量を用いて行なった。2種の移動相(移動相A:70%メタノール+30% HO;移動相B:HO中の0.1%ギ酸/メタノール 95/5)を用い、9分内に100%Bから5%B+95%Aにし、これらの条件を3分間保持する勾配条件を実施した。10μlの注入容積を用いた。
【0258】
LCMS−方法7
一般的方法Cに加え:逆相HPLCをKromasil C18カラム(5μm,4.6x150mm)上で、1.0ml/分の流量を用いて行った。3種の移動相(移動相A:100% 7mM酢酸アンモニウム;移動相B:100%アセトニトリル;移動相C:0.2%ギ酸+99.8%超−純水)を用い、4分内に30%A、40%B及び30%C(1分間保持)から100%Bにし、5分間100%Bにし、最初の条件を用いて3分間再平衡化する勾配条件を実施した。5μlの注入容積を用いた。コーン電圧は、正のイオン化モードの場合に20Vであった。0.08秒の走査間遅延(interscan delay)を用い、0.8秒内に100から900まで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0259】
LCMS−方法8
一般的方法Cに加え:逆相HPLCをXterra MS C18カラム(5μm,4.6x150mm)上で、1.0ml/分の流量を用いて行った。2種の移動相(移動相A:100% 7mM酢酸アンモニウム;移動相B:100%アセトニトリル)を用い、5分内に85%A、15%B(3分間保持)から20%A、80%Bにし、20%A及び80%Bを6分間保持し、最初の条件を用いて3分間再平衡化する勾配条件を実施した。20μlの注入容積を用いた。コーン電圧は、正のイオン化モードの場合に20Vであった。0.08秒の走査間遅延を用い、0.8秒内に100から900まで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0260】
LCMS−方法9
一般的方法Cに加え:逆相HPLCをXterra MS C18カラム(3.5μm,4.6x100mm)上で、0.8ml/分の流量を用いて行った。2種の移動相(移
動相A:100% 7mM酢酸アンモニウム;移動相B:100%アセトニトリル)を用い、4.5分内に80%A、20%B(0.5分間保持)から10%A、90%Bにし、10%A及び90%Bを4分間保持し、最初の条件を用いて3分間再平衡化する勾配条件を実施した。10μlの注入容積を用いた。コーン電圧は、正及び負のイオン化モードの場合に20Vであった。0.3秒の走査間遅延を用い、0.4秒内に100から1000まで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0261】
LCMS−方法10
一般的方法Cに加え:逆相HPLCをSunfire C18カラム(3.5μm,4.6x100mm)上で、0.8ml/分の初期流量を用いて行った。2種の移動相(移動相A:35% 6.5mM酢酸アンモニウム+30%アセトニトリル+35%ギ酸(2ml/l);移動相B:100%アセトニトリル)を用い、4分内に100%A(1分間保持)から100%Bとし、1.2ml/分の流量で100%Bにおいて4分間保持し、最初の条件を用いて3分間再平衡化する勾配条件を実施した。10μlの注入容積を用いた。コーン電圧は、正及び負のイオン化モードの場合に20Vであった。0.3秒の走査間遅延を用い、0.4秒内に100から1000まで走査することにより、質量スペクトルを取得した。
【0262】
【表9−1】

【0263】
【表9−2】

【0264】
旋光度
Perkin Elmer 341偏光計を用いて旋光度を測定した。[α]20は、20℃の温度でナトリウムのD−線の波長(589nm)における光を用いて測定される旋光度を示す。セルの路長は1dmである。実際の値の後に、旋光度の測定に用いられ
た溶液の濃度及び溶媒を挙げる。
【0265】
【表10】

【0266】
D.薬理学的実施例
HEK293細胞におけるグレリン−アゴニズム
実験の1日前に、GHS1A−受容体の発現のための遺伝子配列が永久的にトランスフェクションされたHEK293細胞を、透明な底を有するポリ−D−L−リシンがコーティングされた96−ウェルプレート中に播種し、翌日、〜75%の密集まで成長させた。
【0267】
次いで細胞を、カルシウム−感受性細胞内蛍光プローブfluo−4又はKit−3と一緒に、37℃で1時間インキュベーションした。細胞中の遊離の細胞内カルシウムを示す蛍光をFLIPR−系(488nmにおいて励起,発光>520nm)において測定した。試験化合物を所望の濃度で各ウェルに加え、蛍光シグナルをすべてのウェルにおいて同時に記録した。試験化合物を加えると受容体の活性化により引き金を引かれる細胞内カルシウムの放出を、カルシウムと蛍光プローブの複合体から発光する蛍光として測定した。蛍光強度への薬剤の効果を、カルシウム−イオノホア、イオノマイシンに暴露された細胞において測定される最大蛍光強度に対して相対的に表わした。濃度−反応データのカーブ−フィッティングを用い、試験化合物に関するpEC50−値を決定した(pEC50=−logEC50;EC50はMにおける有効用量であり、達成され得る最大の効果の大きさ(=100%)の50%である効果の大きさを生ずる試験化合物の濃度として定義される)。下記の表11は、pEC50値を開示している。正の標準として、参照化合物GHRP−6は、9.0±0.1(平均±SEM,n=19)の平均pEC50−値を以て濃度−依存的に蛍光を増加させた。
【0268】
【表11】

【0269】
NMRI−マウスにおける胃内容排出及び小腸前進(small intestinal
propulsion)の加速
体重が約25グラムの雄のNMRI−マウスを20時間絶食させ、飲料水に自由に近づけるようにしておいた。経口的強制栄養法により動物に試験食を与える30分前に、試験化合物を皮下経路により動物に投与した。試験食は、フェノールレッドマーカー(5mg/ml)を含有する0.3mlのチョコレート栄養飲料液(chocolate nutridrink solution)(1.0kcal/ml)から成った。食事の投与から15分後、COガス吸入によりマウスを犠牲にした。胃中に残るフェノールレッド
含有量(NaOHを用いて胃から抽出した)を、分光光度計で557nmにおいて決定し、吸光単位として表わした。腸を介してフェノールレッドマーカーが移動する距離として小腸前進を決定し、小腸全長(幽門から回盲接合部まで)のパーセンテージとして表わした。
【0270】
標準データの周波数分布(frequency distribution)の分析により、有意(p<0.05)な効果に関する全か無かの基準を規定した:それより低ければ胃内容排出が有意に加速されたと考えられるフェノールレッドの胃含有量に関するカットオフ基準を、0.9吸光単位に設定した。小腸前進は、フェノールレッド前端が小腸の長さの85%を超えて進んでいた場合に有意に加速されたと考えられた。調べられた動物の60%がいずれかのパラメーターに有意な効果を示した場合に、与えられる用量における薬剤効果は活性であると考えられた。各パラメーターに関して活性であった最低用量を最低活性用量(LAD)として記録した。表12はLAD値を開示している。参照化合物GHRP−6に関するLADは、胃内容排出の加速に関して0.63mg/kgであり、小腸前進の刺激に関して2.5mg/kgであった(n=3/用量)。
【0271】
【表12−1】

【0272】
【表12−2】

【0273】
【表12−3】

【0274】
野生型及びGHS1A−r−/−,KOマウスにおける胃内容排出の加速
経口的強制栄養法によりフェノールレッド含有試験食を投与する30分前に、GHS1A−rの欠失を有するマウス(GHS1A−r−/−,KO)又はそれらの野生型同腹仔(GHS1A−r+/+,WT)に化合物3又はそのビヒクルを投与した(10mg/kg 皮下)。試験食の投与から15分後、NMRI−マウスに関する方法における上記の通りに、胃中に残る食事の含有量を決定した。化合物3で処置されたWTマウスの胃は、ビヒクル処置されたWTマウスより多く内容排出されていた。KO−マウスにおける同じ処置管理は、化合物又はビヒクル処置されたKO−マウスの間で、残る胃内容物における差を示さなかった(図1を参照されたい)。
【0275】
E.組成物実施例
これらの実施例全体を通じて用いられる「活性成分」(a.i.)は式(I)の化合物に関し、その立体化学的異性体、そのN−オキシド、その製薬学的に許容され得る塩又はその溶媒和物を含み;特に例示された化合物のいずれか1つに関する。
【0276】
本発明の調剤のための処方の典型的な例は以下の通りである:

1.錠剤
活性成分 5〜50mg
リン酸二カルシウム 20mg
ラクトース 30mg
タルク 10mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
ポテトデンプン 200mgまで

2.懸濁剤
各ミリリットルが1〜5mgの活性成分、50mgのナトリウムカルボキシメチルセル
ロース、1mgの安息香酸ナトリウム、500mgのソルビトール及び1mlまでの水を含有するように、経口的投与用の水性懸濁剤を調製する。

3.注入剤
0.9%NaCl溶液中で1.5%(重量/体積)の活性成分を撹拌することにより、非経口用組成物を調製する。

4.軟膏
活性成分 5〜1000mg
ステアリルアルコール 3g
ラノリン 5g
白色ワセリン(white petroleum) 15g
水 100gまで

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の立体化学的異性体を包含する式
【化1】

[式中、
Aはフェニル、チエニル、フラニル又は1もしくは2個の窒素原子を含有する6−員芳香族複素環を示し;ここで該フェニル、チエニル、フラニル又は6−員芳香族複素環は場合によりフェニル又は1もしくは2個の窒素原子を含有する6−員芳香族複素環と縮合していることができ;
ZはCH又はOを示し;
はハロ、ヒドロキシル、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ポリハロC1−4アルキル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノもしくはジ(C1−4アルキル)アミノを示すか;あるいは
Aがフェニルを示す場合、2個の隣接するR置換基は一緒になって式
−O−CH−O− (a−1);又は
−O−CH−CH−O− (a−2)
の基を形成することができ;
は水素又はC1−4アルキルを示し;
及びRはそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C1−4アルキルオキシC1−6アルキル又はフェニルC1−4アルキルを示すか;あるいは
及びRは、それらが結合する窒素と一緒になって、式(b−1)又は(b−2)
【化2】

の基を形成し、XはCH又はCHOHを示し;XはCH、O又はNRを示し;Rは水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ又はトリフルオロメチルを示し;
は水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、フェニルオキシカルボニルを示し;
nは0、1、2、3、4又は5の値の整数を示す]
の化合物、そのN−オキシド、その製薬学的に許容され得る塩又はその溶媒和物であって、
但し、化合物は
【化3】

又はその製薬学的に許容され得る塩以外である化合物、そのN−オキシド、その製薬学的に許容され得る塩又はその溶媒和物。
【請求項2】
Aがフェニルあるいは1、2又は3個のR置換基で置換されたフェニルを示す請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが式
【化4】

の基を示す請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aがピリジル、ピリミジニル又はキノリニルを示し、該ピリジル、ピリミジニル又はキノリニルのそれぞれは場合により1、2又は3個のR置換基で置換されていることができる請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
ZがCHを示す請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
ZがOを示す請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
がハロ、ヒドロキシル、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシを示す請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
が水素を示す請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
及びRがそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C1−4アルキルオキシC1−6アルキル又はフェニルC1−4アルキルを示すか;あるいは
及びRが、それらが結合する窒素と一緒になって、式(b−1)又は(b−2)
【化5】

の基を形成し、XはCH又はCHOHを示し;XはCHを示す
請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
及びRがそれぞれ独立して水素、C1−6アルキル、C1−4アルキルオキシC1−6アルキル又はフェニルC1−4アルキルを示すか;あるいは
及びRが、それらが結合する窒素と一緒になって、式(b−1)
【化6】

の基を形成し、XはCH又はCHOHを示す
請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
nが1又は2の値の整数を示す請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
nが0である請求項1〜6及び8〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
Aがフェニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、ピリジル、ピリミジニル、キノリニルを示し;該環のそれぞれは場合によりハロ、ヒドロキシル、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシからそれぞれ独立して選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができ;R及びRがそれぞれ独立して水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシC1−4アルキル、フェニルC1−4アルキルを示すか;あるいはR及びRが、それらが結合する窒素と一緒になって、場合により3位においてヒドロキシルで置換されていることができるピロリジニル;ピペリジニル;モルホリニル;場合によりC1−4アルキル又はC1−4アルキルカルボニルで置換されていることができるピペラジニルを形成し;Rが水素又はメチルを示す
請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
シクロヘプタン又はオキセピン環上の置換基がシス立体配置を有する請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
化合物がエナンチオマー的に純粋な形態である請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
化合物が
(±)シス−6−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−5−(3−ジエチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−6−(3−クロロ−フェニル)−5−(3−ジエチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−4−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−5−(3−ジエチルアミノ−プロピル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[b]オキセピン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−6−(3−クロロ−フェニル)−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−6−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール;
(±)シス−6−(4−クロロ−フェニル)−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6−(3−メトキシ−フェニル)
−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6−(4−フルオロ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6−フェニル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−6−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−5−{3−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−プロピル}−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6−p−トリル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−5−(3−ジエチルアミノ−プロピル)−6−(4−フルオロ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−6−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−4−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[b]オキセピン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−5−(3−ジエチルアミノ−プロピル)−6−p−トリル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−5−(3−ジエチルアミノ−プロピル)−6−(3−メトキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール 塩酸塩;(±)シス−6−(4−ブロモ−フェニル)−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール シュウ酸塩;
(±)シス−6−(5−クロロ−ピリジン−3−イル)−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール 塩酸塩;
(±)シス−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6−キノリン−3−イル−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール;
(±)シス−5−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−6−(6−メチル−ピリジン−3−イル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−オール 塩酸塩
から選ばれる請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
薬剤として用いるための請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
処置がGHS1A−r受容体の活性化により影響されるか、媒介されるか、又は助長される疾患の処置のための請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
前−速度論的治療(pro−kinetic therapy)を必要とする消化障害、例えば突発性又は糖尿病性胃不全麻痺、術後腸閉塞、オピオイド−誘起腸機能不全、短腸症候群(short bowel syndrome)、慢性腸擬−閉塞(chronic intestinal pseudo−obstruction)、嘔吐、過敏性腸症候群(IBS)の低運動性期と関連するような便秘、消耗状態と関連する胃内容排出の遅れ、逆流性食道炎(GERD)、胃潰瘍、仙痛(colic);例えば慢性心不全のような心臓血管障害;中枢神経系障害、例えば不安、認知障害、慢性ストレスのうつ病−
様症状を含むうつ病、神経変性障害、例えば黒質細胞層部の神経変性を伴う障害、例えばパーキンソン病;骨そしょう症;睡眠−覚醒リズムの障害;嚢胞性線維症又は慢性膵臓炎に冒された人におけるような外分泌性膵臓不全;低いコルチソルレベル又は副腎皮質不全の症状の処置のため;
心臓保護を与えるため;
悪液質及び神経性食欲不振の処置におけるような食欲の刺激のため;
膵臓炎の間の器官の保護のため;
記憶及び学習を向上させるため
の請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
製薬学的に許容され得る担体及び活性成分として請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物の治療的に有効な量を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項21】
前−速度論的治療を必要とする消化障害、例えば突発性又は糖尿病性胃不全麻痺、術後腸閉塞、オピオイド−誘起腸機能不全、短腸症候群、慢性腸擬−閉塞、嘔吐、過敏性腸症候群(IBS)の低運動性期と関連するような便秘、消耗状態と関連する胃内容排出の遅れ、逆流性食道炎(GERD)、胃潰瘍、仙痛;例えば慢性心不全のような心臓血管障害;中枢神経系障害、例えば不安、認知障害、慢性ストレスのうつ病−様症状を含むうつ病、神経変性障害、例えば黒質細胞層部の神経変性を伴う障害、例えばパーキンソン病;骨そしょう症;睡眠−覚醒リズムの障害;嚢胞性線維症又は慢性膵臓炎に冒された人におけるような外分泌性膵臓不全;低いコルチソルレベル又は副腎皮質不全の症状の処置のため;
心臓保護を与えるため;
悪液質及び神経性食欲不振の処置におけるような食欲の刺激のため;
膵臓炎の間の器官の保護のため;
記憶及び学習を向上させるため
の薬剤の製造のための化合物の使用であって;ここで化合物は請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物である使用。
【請求項22】
任意の立体化学的異性体を包含する式
【化7】

[式中、A、Z、R、R、R及びnは請求項1で定義される通りである]
の化合物、そのN−オキシド、その製薬学的に許容され得る塩又はその溶媒和物。
【請求項23】
シクロヘプタン又はオキセピン環上の置換基がシス立体配置を有する請求項22に従う化合物。
【請求項24】
a)適した触媒の存在下に、場合により第2の触媒(還元のため)、適したリガンド、適した溶媒の存在下に、且つCO及びH(圧力下)の存在下に、高められた温度で、式(II)の中間体を式(III)の中間体と反応させ、
【化8】

可変項は請求項1で定義した通りであるか;
b)適した触媒の存在下に、場合により第2の触媒(還元のため)、適したリガンド、適した溶媒の存在下に、且つCO及びH(圧力下)の存在下に、高められた温度で、式(II−a)の中間体を式(III)の中間体と反応させ、続いて脱保護し、
【化9】

可変項は請求項1で定義した通りであり、Pは保護基を示すか;
c)Mg、適したグリニヤル反応の開始剤及び適した溶媒の存在下で、式(IV)の中間体を式(V)の中間体と反応させ、
【化10】

可変項は請求項1で定義した通りであり、Wは適した離脱基を示すか;
d)適した触媒及び適した溶媒の存在下で式(I−c)の化合物を式(I−d)の化合物に水素化し、
【化11】

可変項は請求項1で定義した通りであるか、
あるいは必要に応じて当該技術分野において既知の変換に従って式(I)の化合物を互いに転換し、且つさらに必要に応じて、式(I)の化合物を、酸を用いる処理により治療的に活性な無毒性の酸付加塩に、又は塩基を用いる処理により治療的に活性な無毒性の塩基付加塩に転換するか、あるいは逆にアルカリを用いる処理により酸付加塩の形態を遊離の塩基に転換するか、又は酸を用いる処理により塩基付加塩を遊離の酸に転換するか;あるいは必要に応じて、その立体化学的異性体、第4級アミン、溶媒和物又はN−オキシド形態を製造する
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物の製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−522783(P2011−522783A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506667(P2011−506667)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055034
【国際公開番号】WO2009/133052
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】