説明

リソグラフィ装置、デバイス製造方法、およびパターンを基板に付与する方法

【課題】基板表面のレベル変動の測定時間を短縮する。
【解決手段】リソグラフィ装置は、パターニングデバイスからパターンを基板(W)に転写するパターニングサブシステムを備える。パターニングサブシステムは、記録された基板表面のレベル変動の測定結果に従って制御される。レベルセンサ(LSP,LSD)は、レベルセンシング放射ビームを投影して基板表面の位置から反射させ、反射したセンシングビームを検出して位置の表面レベルを測定するために設けられる。レベルセンサは、少なくとも一つの移動光学素子(MP,MD)内蔵しており、基板表面を光学的移動(δY)により少なくとも一次元にスキャンして、レベルセンサと基板との間の機械的動作なしで異なる位置の表面レベルの測定結果を取得する。光路長等化手段は、成形リフレクタ及び/または追加的な移動ミラーを用いることにより、スキャンの間の焦点変動を回避するために配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、パターニングデバイスから基板上にパターンを付与する前に、基板にわたって表面レベルを測定するための方法および装置に関するが、本発明は、他の目的のために他の種類のターゲットにおける表面レベルの変化量を測定するために適用することができる。本発明はさらに、そのような方法のステップを実行するためにリソグラフィ装置を制御するためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板、通常は基板のターゲット部分に転写する機械である。リソグラフィ装置は例えば集積回路(IC)の製造に用いられる。この場合、例えばマスクまたはレチクルとも称されるパターニングデバイスが、集積回路の個々の層に形成されるべき回路パターンを形成するために使用されうる。このパターンが基板(例えばシリコンウエハ)の(例えばダイの一部、あるいは1つまたは複数のダイからなる)ターゲット部分に転写される。パターン転写は典型的には基板に形成された放射感応性材料(レジスト)層への結像による。一般に一枚の基板にはネットワーク状に隣接する一群のターゲット部分が含まれ、これらは連続的に露光される。公知のリソグラフィ装置にはいわゆるステッパとスキャナとがある。ステッパにおいては、ターゲット部分にパターン全体が一度に露光されるようにして各ターゲット部分は照射を受ける。スキャナにおいては、所与の方向(「走査」方向)に放射ビームによりパターンを走査するとともに基板をこの方向に平行または逆平行に同期して走査するようにして各ターゲット部分は照射を受ける。パターニングデバイスから基板へのパターン転写は、基板にパターンをインプリントすることによっても可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
リソグラフィプロセスにおける重要なステップは、ターゲット基板の測定である。高いコントラストと、以前に転写されたパターン付与フィーチャとの正確なアライメントとを確保するためである。基板にわたる表面のレベル(高さ)は、日常的な観点では極めて平坦であるかもしれないが、一般的には場所によって異なり、もし修正がなければ十分に転写パターンの品質に悪影響を与えうる。例えば、光学的投影によるパターニングの例では、レベル変動は投影パターンの焦点合わせや、レジストの露光部分と非露光部分との間のコントラストに支障をきたす。従って、高性能のリソグラフィ装置は、従来、パターンを転写する前にできるだけ正確に基板にわたる表面レベルの変動を「マッピング」するためのレベルセンサを含んでいる。一般的には、このマッピングは、測定ステップにおいて基板全体に対して行われるが、原理上はパターンを基板の第1部分に転写した後に行われてもよい。
【0004】
一つの周知のリソグラフィ装置においては、レベルセンサはセンシングスポットのラインアレイを基板上に斜角で投影し、これらは反射されて光検出器で検出される。各スポットは、グレーチングパターンなどのフィーチャを含む。これは、検出器側において対応するパターンと比較され、ターゲット表面における非常に細かい高さ変動を検出できる。この周知のリソグラフィ装置においては、基板全体にわたってレベル変動を測定し、マッピングするために、基板がレベルセンサの下方で2次元のスイープパターンで動かされる。このスイープ移動は測定ステップに時間を取り、必然的に装置のスループット(1時間当たりのウェハ)を制限する。米国特許第5,191,200号明細書(van der Werf et al/Philips)は、このような装置での使用に適したレベルセンシング装置の例を記載している。米国特許第5,191,200号明細書の内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、パターニングデバイスからパターンを基板に転写するパターニングサブシステムであって、基板表面にわたるレベル変動の測定結果に従って制御されるパターニングサブシステムを備えるリソグラフィ装置を提供する。レベルセンシング放射ビームを投影して基板表面の位置から反射させ、反射したセンシングビームを検出して前記位置の表面レベルを測定するレベルセンサが設けられる。特定の態様では、基板、またはその少なくとも一部が測定され、測定結果はパターニングより前に記録される。レベルセンサは、少なくとも一つの移動光学素子を内蔵しており、それによって前記レベルセンサは、少なくとも一次元のレベルセンシングビームにより基板表面を光学的にスキャニングして、前記レベルセンサと前記基板との間の対応する機械的動作なしで異なる位置の表面レベルの測定結果を取得する。機械的動作に代えて少なくとも一次元の光学的スキャニングを採用することにより、所定の測定精度に対してレベルマッピングプロセスの遅延が低減される。リソグラフィ装置のスループットが向上され、節約された時間をオーバーレイなどのパラメータのパターニング性能を向上するために使うことができる。スキャニング方向における比較的規模の小さい範囲の機械的移動は、他の方向の機械的移動と同様に、除外されない。実際には、焦点合せのための基板表面に対して垂直な移動と、スキャンニング方向に対して実質的に垂直な方向の表面の走査のための移動とが、特定の実施形態の特徴である。
【0006】
本発明のある態様においては、1つ以上の移動光学素子が設けられ、これらの素子は、走査の間に互いに同期している。例えば、投影器側と検出器側のレベルセンシング装置で相補的な移動素子が設けられてよい。2つの移動素子は、センシングビームのステアリング(操縦)を経路長の等化と組み合わせるために、装置の同じ側に配置されてもよい。このような態様の更なる詳細は、下記の実施例において説明される。
【0007】
本発明はさらに、上記に説明した本発明の第1の態様に係るリソグラフィ装置を採用したデバイス製造方法を提供する。この方法は、パターニングデバイスおよび基板を前記リソグラフィ装置に搭載するステップと、前記レベルセンサを用いて基板にわたって表面レベル変動を測定するステップと、前記パターニングデバイスから前記基板に1回以上パターンを転写するステップと、測定された表面レベル変動を参照して前記転写ステップを制御するステップと、パターン形成された基板を処理して機能デバイスフィーチャを生成す
【0008】
本発明はさらに、リソグラフィ装置において基板表面にわたってレベル変動を測定する方法を提供する。この方法は、
(a)前記リソグラフィ装置にレベルセンシング光学系を設けるステップと、
(b)前記光学系を用いてレベルセンシング放射ビームを投影し、前記基板表面上の位置から反射させるステップと、
(c)反射したセンシングビームを検出して前記位置の表面レベルを記録するステップと、
を備え、
前記光学系は、少なくとも一つの移動光学素子を採用しており、それによってステップ(b)においてセンシングビームは少なくとも一次元の光の移動により基板表面を横切って異なる位置をスキャンし、ステップ(c)において検出ステップは前記レベルセンシング光学系と前記基板との間の対応する機械的動作なしで前記異なる位置における表面レベルの各測定結果を取得する。
【0009】
本発明のレベルセンサ装置および方法は、リソグラフィへの適用について説明されているが、高速でありながらも正確なターゲットの表面レベルのマッピングが要求されるたの分野にも適用可能である。リソグラフィの準備段階としての計測プロセスに限定するよりむしろ、説明される本方法および装置は、計測装置に適用可能である。レベルマッピングステップは、それ自体にために行われてもよいし、与えられた高さマップに従うセンサによるより正確な測定の準備段階として行われてもよい。高さマッピングは、光学部品の品質制御のために行われてもよい。例えば、研削や研磨などの処理工程の準備段階として行われてもよい。本出願人は、リソグラフィ装置とは別に、レベルセンサ装置および方法を請求する権利を留保する。
【0010】
以下で議論される例示的な実施の形態を考慮することで、当業者としての読者は本発明のこれらおよび他の特徴および利点を理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
例示のみを目的として、本発明の実施の形態は添付の模式的な図面を参照して説明される。それらの図面において対応する符号は対応する部分を示す。
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係るリソグラフィ装置を示す図である。
【図2】従来の実施例に係るリソグラフィ装置の計測装置を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に適用された図2の装置におけるレベルセンサの動作の三角測量の原理を示す図である。
【図4】図3のレベルセンサの光学系を介したターゲット上のレベルセンシングスポットグレーチングの結像をより詳細に示す図である。
【図5】本発明の第1実施の形態に係る新規なスキャニング型のレベルセンサの一般的な動作原理を示す図である。
【図6】レベルセンサの対物レンズ素子通ったグレーチングスポットアレイの経路を示す図である。(a)は1Dのスキャニングの実施形態であり、(b)は2Dのスキャニングの実施形態である。
【図7】図5および図6の実施形態の移動光学素子のアクチュエータおよび制御機構を模式的に示す図である。
【図8】周知のレベルセンサ(a)および新規なレベルセンサ(b)、(c)および(d)に実装される選択的なスキャニングパターンを示す図である。
【図9】図5から図7のスキャニングレベルセンサに生じる焦点の問題を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に適用可能な選択的な経路長等化手段を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に適用可能な選択的な経路長等化手段を示す図である。
【図12】別の実施形態に係る経路長等化装置を示す図である。
【図13】さらに別の実施形態に係る経路長等化装置を示す図である。
【図14】図5から図13のレベルセンサにおける焦点不良の影響を示す図である。
【図15】(a)は個々のグレーチングバー規模のターゲット表面の局部的な傾斜の影響を示す図であり、(b)は個々のグレーチングスポット規模のターゲット表面の局部的な傾斜の影響を示す図である。
【図16】ターゲット表面の局部的な傾斜により生じる誤差を考察するための図である。
【図17】異なるタイプのリソグラフィ装置におけるスキャニングレベルセンサに関する選択的なレイアウトを示す図である。
【図18】逆反射型光学素子を採用したすきゃにnの選択的な実施形態のレイアウトを示す図である。
【図19】図5から図18のスキャニングレベルセンサを用いたレベルセンシングとプロダクト製造工程を示す図である。
【図20】レベルセンシング動作およびその他の機能を制御するためにリソグラフィ装置において採用される処理ユニットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置を模式的に示す図である。この装置は、
放射ビームB(例えばUV放射またはDUV放射)を調整するよう構成されている照明系(照明器)ILと、
パターニングデバイス(例えばマスク)Mを支持するよう構成され、あるパラメタに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするよう構成されている第1の位置決め装置PMに接続されているサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、
基板(例えばレジストでコーティングされたウエハ)Wを保持するよう構成され、あるパラメタに従って基板を正確に位置決めするよう構成されている第2の位置決め装置PWに接続されている基板テーブル(例えばウエハテーブル)WTと、
パターニングデバイスMにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つまたは複数のダイからなる)ターゲット部分Cに投影するよう構成されている投影系(例えば屈折投影レンズ系)PSと、を備える。
【0014】
照明系は、放射を方向付け、整形しまたは制御するために、各種の光学素子例えば屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子または他の各種光学部品を含んでもよく、あるいはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0015】
サポート構造は、パターニングデバイスを支持する、すなわちその重みを支える。サポート構造は、パターニングデバイスの向きやリソグラフィ装置の構成、あるいはパターニングデバイスが真空環境下で保持されるか否かなどの他の条件に応じた方式でパターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械的固定、真空固定、またはパターニングデバイスを保持するその他の固定用技術を用いてもよい。サポート構造は例えばフレームまたはテーブルであってよく、必要に応じて固定されていてもよいし移動可能であってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスが例えば投影系に対して所望の位置にあることを確かなものとしてもよい。本明細書では「レチクル」または「マスク」という用語を用いた場合には、より一般的な用語である「パターニングデバイス」に同義であるとみなされるものとする。
【0016】
本明細書で使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成する等のために放射ビームの断面にパターンを付与するのに使用されうるいかなるデバイスをも指し示すよう広く解釈されるべきである。放射ビームに与えられるパターンは、基板のターゲット部分における所望のパターンと厳密に対応していなくてもよいことを注意しておく。このような場合には例えば、パターンが位相シフトフィーチャあるいはいわゆるアシストフィーチャを含む場合がある。一般には、放射ビームに付与されるパターンは、ターゲット部分に形成される集積回路などのデバイスの特定の機能層に対応する。
【0017】
パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、例えばマスクやプログラマブルミラーアレイ、プログラマブルLCDパネルなどがある。マスクはリソグラフィの分野では周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、更に各種のハイブリッド型マスクが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型のミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーが入射してくる放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜されるというものがある。これらの傾斜ミラーにより、マトリックス状ミラーで反射された放射ビームにパターンが付与されることになる。
【0018】
本明細書で使用される「投影系」という用語は、使用される露光光あるいは液浸や真空の利用などの他の要因に関して適切とされるいかなる投影系をも包含するよう広く解釈されるべきである。投影系には例えば屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系、磁気的光学系、電磁気的光学系、静電的光学系、またはこれらの任意の組み合わせなどが含まれる。以下では「投影レンズ」という用語は、より一般的な用語である「投影系」と同義に用いられ得る。
【0019】
ここに図示されるのは、(例えば透過型マスクを用いる)透過型のリソグラフィ装置である。これに代えて、(例えば上述のようなプログラマブルミラーアレイまたは反射型マスクを用いる)反射型のリソグラフィ装置を用いることもできる。
【0020】
装置はさらに処理ユニットPUを含む。この処理ユニットPUは、種々のアクチュエータおよびセンサの、説明される全ての動きおよび測定を制御する。
【0021】
リソグラフィ装置は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を備えるタイプのものであってもよい。このような多重ステージ型の装置においては追加されたテーブルは並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルで露光が行われている間に他の1以上のテーブルで準備工程を実行するようにしてもよい。本明細書で説明される本発明は、単一ステージ装置および多重ステージ装置の両方において追加的な柔軟性を提供する。
【0022】
また、リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が比較的屈折率の高い液体、たとえば水で覆われ、それにより投影系と基板との間の空間が充填されるタイプの装置であってもよい。液浸液は例えばマスクと投影系との間などの、リソグラフィ装置の他の空間に与えられてもよい。液浸技術は、投影系の開口数を大きくするため技術として周知である。本明細書で使用される「液浸(immersion)」という用語は、基板などの構造が液体の中に沈められなければならないことを意味するものではなく、むしろ露光中投影系と基板との間に液体がある程度のことを意味するものである。
【0023】
図1に示されるように、照明器ILは放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば光源がエキシマレーザである場合には、光源とリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、光源はリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOから照明器ILへとビーム搬送系BDを介して受け渡される。ビーム搬送系BDは例えば適当な方向変更用のミラー及び/またはビームエキスパンダを含んで構成される。あるいは光源が例えば水銀ランプである場合には、光源はリソグラフィ装置に一体に構成されていてもよい。光源SOと照明器ILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射系と総称される。
【0024】
照明器ILは放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタADを備えてもよい。一般には、照明器の瞳面における強度分布の少なくとも半径方向外径及び/または内径の大きさ(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えて照明器ILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの種々の他の要素を備えてもよい。照明器はビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。
【0025】
放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブルMT)に保持されるパターニングデバイス(例えばマスクMA)に入射して、当該パターニングデバイスによりパターンが付与される。マスクMAを通過した放射ビームBは投影系PSに進入する。投影系PSはそのビームを基板Wのターゲット部分Cに集束する。第2の位置決め装置PWおよび位置センサIF(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により基板テーブルWTを正確に移動させることができる。基板テーブルWTは例えば放射ビームBの経路上に異なるターゲット部分Cを位置決めするように移動される。同様に、第1の位置決め装置PMおよび他の位置センサ(図1には明示せず)は、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めするのに使用されうる。この位置決めは例えばマスクライブラリからのマスクの機械検索後や走査中に行われる。一般にマスクテーブルMTの移動は、第1の位置決め装置PMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現されうる。同様に基板テーブルWTの移動は、第2の位置決め装置PWの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使用して実現されうる。ステッパでは(スキャナとは異なり)、マスクテーブルMTはショートストロークのアクチュエータにのみ接続されているか、あるいは固定されていてもよい。マスクMAと基板Wとは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントされてもよい。図においては基板アライメントマークが専用のターゲット部分を占拠しているが、アライメントマークはターゲット部分間のスペースに配置されてもよい(これはスクライブライン・アライメントマークとして公知である)。同様に、マスクMAに複数のダイがある場合にはマスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0026】
実際のところ、処理ユニットPUは多くのサブユニットを有するシステムとして実現されうる。サブユニットのそれぞれは、装置内のサブシステムまたはコンポーネントのリアルタイムでのデータ取得、処理および制御を扱う。例えば、ある処理サブシステムは基板位置決め装置PWのサーボ制御専用とされてもよい。粗いアクチュエータおよび精細なアクチュエータを、または異なる軸を、別々のユニットで扱ってもよい。別のユニットは位置センサIFの読み出し専用とされてもよい。オペレータおよび他の装置がリソグラフィ製造プロセスに含まれる状況で、これらのサブシステム処理ユニットと通信する中央演算装置(central processing unit)によって、装置が全体的に制御されてもよい。
【0027】
図示の装置は例えば次のうちの少なくとも1つのモードで使用され得る。
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射でターゲット部分Cに投影される間、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる(すなわち単一静的露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なるターゲット部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズが単一静的露光で転写されるターゲット部分Cのサイズを制限することになる。
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTは同期して走査される(すなわち単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められてもよい。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが単一動的露光でのターゲット部分の(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離がターゲット部分の(走査方向の)長さを決定する。
3.別のモードにおいては、マスクテーブルMTがプログラム可能パターニングデバイスを保持して実質的に静止状態とされ、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、基板テーブルWTが移動または走査される。このモードではパルス放射源が通常用いられ、プログラム可能パターニングデバイスは、基板テーブルWTの毎回の移動後、または走査中の連続放射パルス間に必要に応じて更新される。この動作モードは、上述のプログラマブルミラーアレイ等のプログラム可能パターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0028】
上記で記載した使用モードを組み合わせて動作させてもよいし、各モードに変更を加えて動作させてもよいし、さらに全く別の使用モードでリソグラフィ装置を使用してもよい。以下の実施例および記載は、スキャニングモードの動作を想定しているが、これは本発明に直接的には関係していない。慣例により、基板上の各ターゲット部分Cは、フィールドとも称される。一つのフィールドを露光する間のスキャニング動作は、Y方向を規定する。
フィールド間のステップまたはフィールドの列間のステップはX方向を規定する。
【0029】
図2は、周知のリソグラフィ装置において行われるレベルマッピング動作の斜視図である。基板Wが搭載された基板テーブルWTが図示されている。基板Wは、レベルセンシング投影器LSPと、レベルセンシング検出器LSDとを備えるレベルセンサにより測定されている。アライメントセンサASは、基板の全域でX−Y位置を測定するために設けられる。図1に示す位置センサIFは図2により詳細に示されている。一対のZ方向の位置センサIF(Z)が設けられている(この例では、干渉計)。またIF(X)はX方向の干渉計の光線を表し、IF(Y)はY方向の干渉計の光線を表している。前述したように、当業者に知られている他の形態の位置センサ、例えばエンコーダプレート、が用いられてもよい。
【0030】
周知のレベルセンサの動作では、投影器LSPにより多数のレベルセンシング「スポット」が基板表面のライン形状部分に投影され、基板表面から反射してレベルセンシング検出器LSDに結像される。各スポットは、投影器のスリットアレイにより生成されたラインパターンを備える。このスリットアレイは、簡単にするために「グレーチング」と称される。スリットアレイは、センシング用放射の波長よりもより広く間隔をあけられる。従って「グレーチング」なる用語は、本明細書では回折格子の意味では用いられていない。原理上は単純をスポットを用いることができるが、多数のラインの使用は、検知される範囲におけるエッジの数を増大させるので、測定性能を向上させる。この例におけるスポットは、基板W上のおおよそ正方向のパッチをカ覆うするように投影ビームに形成される。パッチは、例えば2〜3mm角であってよく、スポットのサイズおよび形状は、所望の性能に応じて選択される。スポットのラインは、例えば、基板Wが例えば直径300mmである場合、基板表面の30mmのストリップ(strip)を覆う。基板テーブルWTのY方向のスキャニング動作は、次のX位置にステップする前に、基板のストライプ(stripe)に沿って表面レベルをマッピングするために用いられる。ステージWTの動作は測定の間にリニアであるので、テーブルまたは基板を変形させ、測定に支障を来たす加速力は存在しない。一方、X方向にステップする前にY位置ごとにスキャンを行う必要性は、全体の動作を非常に時間のかかるものとしており、総じてリソグラフィ装置のスループットの向上を不利に抑制する。以上の周知の装置におけるレベルセンサ投影器LSPおよびレベルセンサ検出器LSDは、米国特許第5,191,200号明細書(van der Werf et al/Philips)に記載された一実施形態に基づく。
【0031】
図3は、今説明したタイプのレベルセンサにおいて採用される三角測量の原理を示す。この原理は、下記に記載された本発明の実施形態でも採用される。(本発明は必ずしもこのタイプの測定に限定されない。このタイプの測定は当分野において十分に確立された技術である。)図3(a)において、Wはターゲット基板(ウェハ)を表し、LZはレベルセンサのゼロ基準レベルを表す。LSPおよびLSDは、それぞれレベルセンサの投影器および検出器の位置を大まかに示す。結像光学系は簡単のためにこの図からは省略されている。投影器からの光線は図の左側から入ってきて、投影器のグレーチングの像は面GP’に形成される。GP’rは、面GP’の反射を表しており、右手側に現れて検出器LSDに向かう反射光線の発生源である。検出器の光学系は、検出器のグレーチングGDの面内に別の像GP”を形成する。投影されたグレーチング像と検出器のグレーチングの相対位相は、光検出器により測定できる。光検出器の出力強度は、位相によって変化する。
【0032】
図3(b)は、ターゲット面がゼロレベルLZから(この場合下方に)離れたときに生じる変化を示す。光線は点で描いた矢印により表されるゼロレベル光路と比べて、長い光路長とされる。高差Hは、投影器のグレーチングの投影像GP”と検出器のグレーチングGDとの間の位相のオフセットにより生じる検出器の強度変化を観察することにより測定できる。入射角および期待される高差に関して検出器と投影器のグレーチングピッチを適切な設計とすることで、期待される高さ範囲の単調な強度変化を得ることが適度に容易となる。この動作範囲における変動が単調であるが十分にリニアではない場合、測定された強度を高さ測定に変換するためにキャリブレーションを適用できる。当業者であれば、ターゲットをこの動作範囲内に持ってくるために粗い位置調整のための機構を設けなければならないことを理解するであろう。知られるように、ステージ高さ及び/または検出器高さは、ゼロレベルからの偏差を最小とするために、スキャニングの間にサーボコントローラによって制御される。これらの動作は、測定された高さ信号の成分として記録され、検出器信号により示される高さ誤差は、任意の点における正確な高さを得るためにこの成分に加えられる。
【0033】
図4(a)は、基板表面の各グレーチングスポット内における個別ラインの焦点調節を、仮想的な例において処理詳細に示す。この仮想的な例において、グレーチングはレベルセンシング投影器LSPのレンズの光軸と垂直である。レベルセンシング投影機の焦点面は、基板Wの表面に対して斜角(oblique angle)に位置する像GP’で示されている。6対(6ペア)の光線が図示されており、各ペアはグレーチングパターンにおける1ラインの範囲を定めている。6ラインがこの説明のために図示されているが、典型的にはパターンはより多くのライン、例えば20〜40のラインを有する。太い矢印EF+は、一番上のライン用のターゲット表面が焦点面を超えて位置する正のデフォーカスを表す。同様に、負のデフォーカスは、一番下のライン上の矢印EF−により表されている。ターゲット表面のラインに沿った幅広のラインは、中心線が相対的に強く表面にフォーカスされた状態を示す。このラインは、パターンの端部に向かって表面を横切って幅広に塗りつぶされている。要約すると、ターゲット表面に形成される投影器のグレーチングの像は、特にグレーチングパターンの端部において焦点が外れている。
【0034】
実際のセンサは、このライン間の変化するデフォーカス(焦点外れ)を回避するための測定を採用できる。このための既存技術は、よく知られたScheimpflug条件に従って、光軸に対してグレーチングを傾けることである。その結果、その焦点像もまた傾くようになる。
【0035】
図4(b)は、
左側の投影器LSPにおける投影器グレーチングGPの面から、中央のターゲット(基板W)から反射した投影像GP’を通って、検出器LSDにおける検出器グレーチングGDの面へのレベルセンサ光学系の略図である。レベルセンサ投影器LSPは、グレーチングGPと、テレセントリックレンズ、実施形態においては単一倍率の二重テレセントリックレンズ、を有するレンズ系とを備える。この単純な図において、一対のレンズ素子は「+」符号のバーにより表されている。より高い性能のためには多素子のレンズグレープを勿論用いることができる。ターゲットに最も近いレンズ素子またはレンズグループは、アスタリスク「*」が付されており、便宜上「フロント」素子と称される。
【0036】
図4(b)においては、図4(a)と同様に、一点鎖線で表された光線の第1グループは、グレーチングパターンの1つのラインを表している。一方、二点鎖線で表された光線のグループは、グレーチングの別のラインを表している。各グループには3つの光線が図示されており、レンズの開口数(NA)により許された回折次数を表している。図4(b)には、グレーチングラインの焦点調節(フォーカシング)が図示されている。
一点鎖線と二点鎖線のグループの光線は、ターゲット面の前または後でそれぞれ一点に集まっている。Scheimpflug条件を有効にするグレーチングの傾斜は図示されていないが、実際には用いられる。その結果、グレーチングスポット内の全てのラインがターゲット基板Wの表面に焦点合わせ(フォーカス)される。
【0037】
同様に、レベルセンシング検出器LSDは、検出器グレーチングGD(および光検出器)と、テレセントリックレンズ、典型的には投影器と同一のテレセントリックレンズを備える光学系とを備える。ここでも、検出器光学系のフロント素子はアスタリスク「*」が付されている。上述したように、精度が要求される実際のシステムにおいては、これらのレンズ素子は多素子構成であってよい。「レンズ」なる用語は、屈折型(光屈折型)、反射型(光反射型)、ハイブリッド型(屈折反射型)の要素を含むものと解するべきである。すべてのこれらの改良および変形は、本明細書を読んだ当業者の知識に従って下記に記載される実施形態に適用可能である。以上の実際のシステムおよびその変形の更なる詳細は、米国特許第5,191,200号明細書から入手できる。詳細および変形は、当業者であれば、詳細および変形を下記の本発明の実施形態に適用できる。従って、米国特許第5,191,200号明細書の内容は、参照により本明細書に組み込まれ、実際のシステムの基本原理および多くの付加的特徴を理解するための詳細なバックグラウンドを提供する。
【0038】
例示の系におけるターゲット表面に対する入射角は、15〜20°であってよく、たとえば17°であってよい。この浅い入射角のために、投影器グレーチングGPのフィーチャはY方向に引き伸ばされる。一例においては、面GPまたはGDにおける各「スポット」は、入射角のサイン(正弦)により規定されるアスペクト比を有してもよい。ターゲット表面に正方形(1:1)で到達するためには、6.4°の入射角に対してアスペクト比は約1:9となる。下記の実施形態において典型的な約15°〜20°の入射角に対して、アスペクト比は1:3の辺りである。ターゲットにおける像平面は、GP’およびGD’が付されており、理想的にはそれが投影器グレーチングGPおよび検出器グレーチングGDの両方の像であることを表している。また、検出器グレーチングGDの平面はGP”が付されており、理想的には投影器グレーチングに対応する第2の像が検出器グレーチングと同じ平面内に形成されることを表している。
【0039】
図5は、本発明の第1実施形態に係るスキャニングレベルセンサの原理を示す。図5(a)は、基板Wを中心とした状態における、投影器LSPおよび検出器LSDそれぞれの対物レンズ素子を示す。投影器LSPは、フロントレンズ素子より前且つ該素子の焦点面内に移動光学素子を含む。この例では、移動光学素子は長時間数ヘルツから数十ヘルツの周波数で角振動するミラーMPである。ミラーMPは、異なる角度δθ間で振動するので、レベルセンシングスポットの光路は点線および破線の光線によりそれぞれ表された端部位置間で移動する。その中心位置に、角レベルセンシングスポットを含む光線の光路が実線で図示されている。これらの光線の各々の中には、図3および図4で詳細に説明したグレーチングパターンが存在することを思い出されたい。3つの光線はグレーチングラインにおける回折次数を表すものではなく、またグレーチングスポットにおける3つのラインを表すものでもない。むしろ、それらは全スポットの異なるスキャニング位置を表している。検出器側においては、相補的な振動ミラーMDがミラーMPと逆位相で同期して動いている。これは、角度−δθで示されている。その結果、新規の投影器LSPおよび検出器LSDが図2に示す装置の投影器LSPおよび検出器LSDと置き換えられたとき、基板と検出器との間のY方向の相対運動をすることなく、基板Wの全ストライプをスキャンできる。このストリップの長さは、図においてδYで表されており、特定の実施形態においては、ウェハの全直径(典型的には300mm)を覆っている。
【0040】
光学系は、δYの範囲にわたって光線の入射角を一定に維持するよう設計される。これにより、ターゲットにわたって測定された高さの変動に依存するプロセスを回避できる。周知の検出器に関しては、投影器及び/または装置の検出器側の光学系は、傾斜したグレーチング素子を含んでもよい。それは、投影されたグレーチング像GP’をターゲット面と平行に傾斜させる。
【0041】
図5(b)においては、中心位置、並びに第1および第2の端部位置(それぞれ点線および破線)におけるレベルセンサスポットを表す光線グループの光路が、光学系の種々の素子を通過している様子が描かれている。図5(b)においては、図4(b)の対応部分と同様の符号が付されている。振動ミラーMPおよびMDが、投影器および検出器の光学系内にそれぞれ図示されている。ターゲットの相対運動なしでのレベルセンサの正確な動作に関係する結果および測定の詳細は、下記においてさらに検討される。
【0042】
図6は、実施される2つの異なるタイプのスキャニング動作における、レベルセンシング投影器LSPの対物レンズL内の各個別スポットに対する光線の移動を示す。同様のシチュエーションは、レベルセンシング検出器LSDのレンズに適用される。図6(a)において、円は対物レンズLを表す。G’iは、X方向に間隔を空けられたいくつか(本例では7個)のスポットのうち一つのスポットを指し示す。7個のスポットは、基板上の7ポイントの高さを並行して測定する。矢印δY’は、各スポットの振動するトラック(oscillating track)を示しており、それはレンズの領域を実質的に覆っている。点線の楕円は、周知のレベルセンサにおいて中心領域のみが用いられていることを示す。周知のレベルセンサでは、ターゲットのスキャニングは、センサに対するターゲットの移動によりなされる。
【0043】
図6(a)および後述される例においては、隠すポットは一方向、Y方向にのみスキャンする。図6(b)において、単一のグレーチングスポットG’のトラックが図示されている。これは、2次元のスキャンニング経路δXY’をたどっている。どちらの場合にも、レンズLの直径は、パターンの幅が例えばターゲット基板W上の30mmの幅広のストライプに対応した30mmである場合、例えば数センチメートルであってよい。既に説明したように、Y方向の入射が斜角であるために、長方形のスポットG’およびG’iは、ターゲットに当たったときに正方形のセンシング領域に変換される。ターゲット表面におけるスポットのレイアウトは、図に見られるのと同じであるが、Y方向に引き伸ばされて、約30mmから300mmまでのストライプをカバーする。
【0044】
要約すると、大きな領域、特定の実施形態においてはターゲット基板の全領域を、基板とレベルセンシング装置との相対運動なしでカバーするために、レベルセンシングスポットアレイを低周波で光学的にスキャニングすることが提案されている。ノイズを抑制するために、追加的な低振幅の高周波変調をミラートラックの第1の方向または第2の方向に与えてもよい。この後者の目的のための振動ミラーは、例えば米国特許第5448332号明細書(ニコン)に記載されている。
【0045】
図6に図示されたスキャニング動作を採用した結果は、点線の楕円により図示されたレンズの固定部分を用いた場合と比較して、レンズLを含む光学系の設計に対する追加的な要求性能を負わせるだけでなく、ターゲット上の異なる点でなされた高さ測定がレンズ上の異なる点を介して行われるという結果も有する。従って、レンズ全体にわたるレンズセンシングスポットの物理的な移動は事実上、ウェハ上の位置の関数として、高さマップにレンズ全体にわたる収差の変動に応じた「フィンガープリント(fingerprint)」を生じる。この追加的なフィンガープリントは、設計及び品質制御を通じてそれを最小化すること、および基板の露光に使用するために高さマップを報告する前にフィンガープリントを測定してそれを減じることにより、解決することができる。適切なキャリブレーションプロセスが設定可能である。
【0046】
図7は、振動ミラーMPおよびMDのための駆動機構の例を模式的に示す。この例において、ミラーは、レベルセンシング装置のハウジング(図示せず)内において、支持部202により規定されるピボット点201に関して一次元の旋回運動を行うために搭載される。アクチュエータ204は、制御部206の制御の下でミラーを異なる角度δθに駆動する。アクチュエータは、例えば圧電モータまたは「ボイスコイル」などの電磁アクチュエータであってよい。動作の周波数fおよび位相φは、所望のスキャニングを実現するよう制御される。光源およびおレベルセンシング光学系の第1の部分からの入射光線208は、ミラーMPに当たる。周知の反射の法則に従って、角度が2δθ変化した出射光線208が図示されている。検出器側においても、類似の構成(図示せず)がミラーMDを駆動するために設けられる。相違点は、入射光線が様々な角度であることであり、出射光線は光線208と類似の光路をたどって、常に検出器グレーチングの同じ点に当たることである。原理上は、検出器側および投影器側の光学系は異なってもよいが、実際にはこの例で説明したような対称な構成の方が使いやすい。
【0047】
振動δθは、図7(b)に示されるタイプの波形により制御される。この波形は、正弦曲線ではなく、むしろ実線により示される線形部分と、センサの測定範囲の外側である反転部分とを有する。別の方法として、非線形スキャニング(例えば、正弦波)信号を用いること、および所望のグリッドのサンプル点での高さマップを得るのに要求される数学的変換を適用するために、より念入りなデータ収集時間及び/またはデータ処理を用いることも有益である。
【0048】
完全に同期して振動する投影器ミラーMPおよび検出器ミラーMDを維持するために、シンプルなサーボ機構がレベルセンサにより測定された高さ信号を参照することにより実現される。具体的には、ミラー動作間の位相誤差は、検出器LSDにより報告されるターゲット表面の高さに変動をもたらす。基板テーブルWTの制御によりターゲット表面の高さHは実際には変化していないので、ウェハの特定の点に関して報告される高さの時間変動成分dH/dtは、制御部206により修正可能な位相誤差を示している。制御部206は、対応する検出器ミラーMDの制御部と共に動作する。
【0049】
二次元のスキャニング動作の間、第2の軸の制御は、追加的なアクチュエータおよび追加的な周波数/位相制御を必要とするが、原理は同じままである。往復振動よりはむしろラスタ(raster)パターンを実現するために、振動ミラーによるスキャニング動作ではなく、例えばプリズムなどの多面回転ミラーによるスキャニング動作が必要とされる。2つの移動光学素子間の同期の問題は、この記載の最後において簡潔に述べる別の実施形態で回避可能である。この実施形態では、投影器および検出器は、共通の対物レンズの後に位置される。そして、ターゲットの「遠い側」において光学系は「キャッツアイ(catseye)」型の逆反射素子を含む。入射光線および出射光線は、投影器グレーチングおよび検出器グレーチング/光検出器が同じハウジング内となるように、ビームスプリッタで分離可能である。移動する光学素子が一つしかないので、同期の問題は回避される。簡単にするために、本説明は、投影器LSPおよび検出器LSDがターゲット領域の両端で分離して位置すると仮定する。
【0050】
2つの同期した移動素子を有することに代わる別の代替案は、反射像の移動を十分に収容できるほど大きな線形の高さセンシング範囲を有する固定検出器を設けることである。結果として生じる高さ変調は、高さ信号を出力する前に検知し、数学的に差し引くことができる。このような技術により明らかに、検出器の線形領域に対する要求は大きくなる。それでもなお、これらの動作は、本発明の実用的な実装を設計する際に利用可能である。
【0051】
図8は、バージョン(a)〜(d)において、ターゲット基板Wをカバーするために実装される様々なスキャニングパターンの形を示す。太線の円は、基板Wの領域を表す。図8(a)は、図2の周知の装置を示す。この周知の装置においては、センサに基づいて基板サポートWTを移動させることによりY方向のスキャニングが実行され、幅においてフィールド領域(ターゲット部分C)に対応するストライプが測定され、X方向にストライプ間をステップされる。センサによりカバーされる交互のストライブは影付きとされており、白抜き矢印は基板にわたるレベルセンシングスポットアレイの経路を示している。図8(b)は、移動ミラーを用いてY方向にスキャンする間に、基板サポートWTをX方向にステップさせることにより、新規な装置において同一スキャニングパターンを実現できることを示す。ウェハの高さマップは既存の装置におけるウェハの高さマップと同一の方法により用いられるので、結果として生じる測定結果は同じであるかもしれないが、基板全部を測定するのに要する時間を、周知の装置において数秒要していたのと比べて、約1秒にできる。下記においてさらに検討されるように、精度を向上させるために、各ストライプは新規なセンサにより複数回スキャンされてもよい。この場合、図示された白抜き矢印は、交互の方向よりむしろ、全ての点において同じ方向であってよい。このような実施の詳細は、本明細書を読んだ当業者であれば容易に実現できるであろう。
【0052】
バージョン(b)は、全体としてよりシンプルであり、且つ既存の装置と全体として適合する傾向にあるが、図8(c)および(d)は、新規な装置に適用可能なさらなる変形例を示す。図8(c)において、レベルセンシングスポットアレイの全幅は、(a)および(b)で必要とされるよりも少ないステップでウェハをカバーするために用いられる。具体的には、各ストライプに関する情報は、ターゲット部分(フィールド)の一列に限定されない領域をカバーできる。例として、直径300mmのウェハは、30mm幅のスポットアレイの10回の通過だけでカバーされる。これは、レベルセンシング測定のスピードを向上させるが、結果として生じる高さマップの使用に複雑な問題を与える。この高さマップは、露光動作の各スキャンにおいて一貫したデータを提供するために、変換および場合よっては補間および適切なキャリブレーションでの補正を必要とするのである。
【0053】
図8(d)は、さらなる変形例を示す。この変形例においては、基板テーブルWTのX方向の移動がステップ状と言うよりむしろ連続的である。その結果、ターゲットを横切るレベルセンシングスポットアレイのトラックがウェハ上に露光されるフィールドの列に対して斜角となる。これは、斜めのトラックに沿って測定された高さサンプルからフィールドに沿った高さマップを得るのに必要とされる数学的変換を複雑にするが、測定に要する時間をさらに低減する。
【0054】
図示されたすべての例では、レベルセンサのスキャニング周波数および基板テーブルのスキャニング、またはステップ動作は、ターゲット上の特定の点の複数パス(multi-pass)スキャニングに対して多くのオプションを生じる。多重測定はノイズを低減させるのに役立つ。(b)および(c)の例では、同一のストライプを横切る複数の通過は、X方向のステップの前に実行されてもよいし、またはX方向のステップはスポットアレイの幅よりも短くてもよい。その結果、ストリップが重なり合い、ウェハ上の各点が2回またはそれ以上測定される。同様にモード(d)においては、基板サポートWTのX方向のスキャニング速度は、図示されるように各位置において2回のパスを与えるために適合されてもよいし、またはより多くのパスを与えるために低減されてもよい。
【0055】
図9は、ターゲット上におけるレベルセンシングスポットのデフォーカスに関係するいくつかの問題について説明するための図である。図9(a)は、レベルセンシング投影器LSPと検出器LSDとの間のLZ(レベルセンシングゼロ)位置でのターゲット表面を示す。この場合もやはり、1スポットのYスキャニング範囲が端部の点線および破線の光線経路により図示されている。図9(b)は、反射が取り除かれた同じ光学系を示す。基板Wは、一般的にレベルセンシング高さがゼロであるが、X軸に関して傾斜されており、これはY方向にわたる焦点の不均一性を導く。焦点の不均一性は、(a)において2つの光線に図示された焦点誤差EFにより表されている。このデフォーカスの一つの結果は、レベルセンシングスポットのぼけがY方向にわたってスポットのカバー範囲の変動を引き起こすことである。これは望ましくない。さらに重要なことに、そして図9(b)に図示されるように、傾斜したウェハは、ターゲットのY方向にわたって変動する高さ誤差EHをもたらす。傾斜したターゲットWの影響は、誇張された形で図示されており、実線、点線および破線の光線経路が例えば図5に示される公称経路(nominal path)からどのようにして外れるのかを示している。中央の光線が傾斜したターゲット表面に適切に焦点合わせされると仮定すると、検出器LSDの光学系は、中央の光線経路を検出器グレーチング平面GDの正しい点に戻そうとする。他方では、点線および破線の光線経路は、それらが傾斜したターゲット表面で反射するのとは反対の方向に焦点が外れ、その結果、平面GD内の検出グリッド上への到達位置が変化する。これは、検出器により高さ変化と読み取られ、測定誤差をもたらす。
【0056】
その結果、レベルセンシング結果が実際に生じているウェハの傾斜に対して反応しにくくするために、傾斜による焦点変動はシステムの設計において取り除かれるか、または減らされなければならない。ターゲットにわたる焦点変動の1つの原因は、スキャンにおける異なる点での光線経路間の光路長の変動である。図から容易に分かるように、レンズとウェハの近いおよび遠い端部との間の経路長は、ほぼウェハの直径程度、典型的には300mmである。移動光学素子(ミラーMP/MD)とレンズLとの間の経路長にも差が存在するが、これは、これらの素子間の距離を最大にし、そしてスキャニング角を最小化することにより、最小化できる。
【0057】
図10は、レベルセンサのスキャニングの間に光線間の経路長を均等にするための第1のアプローチを示す。レンズとターゲットWとの間の経路は、真っすぐではなく、一組のプリズムにより案内される。プリズムの数は必ずしも2つでなくてもよい。経路長の相対的差異は、上記で説明されたように、ほぼスキャン長(300mm)程度の必要がある。これは、大型且つ高価な構成を必要とするだけでなく、さらなる収差を生じさせ、そしてその結果、ウェハにわたってプロセス依存変動を生じさせる。投影器側と検出器側の両方において同じことが要求される。
【0058】
図11は、別のアプローチを示す。このアプローチでは、ターゲットの寸法に相当する開口を有するレンズLLが設けられる。実際には、LLはマイクロレンズアレイを含む。スキャン工程において、マイクロレンズアレイの各素子は一つのサンプリング点に対応する。レンズの形状安定性およびウェハ全体にわたるプロセス依存変動に課題が生じる。
(プロセス依存は、一般的に、ターゲット基板上に存在する顕微鏡的特徴、レジスト層、プロダクトパターンなどに対する測定感度に言及する)。図10および図11に示すアプローチは理論的には利用できるが、それぞれスペース及び/または費用において現実的な結果とコストを有するので、下記に提示される解決策に比べて魅力的ではない。しかしながら、実際のシステムは必要に応じてそれらを用いることを選択できる。
【0059】
図12は、図5から図7に示すタイプを変形したシステムを示す。この変形システムは、投影器側および検出器側のそれぞれにおける経路長イコライザEQP,EQDのより実用的な形態を含んでいる。各経路長イコライザは、図示されるような概略形状の一対の成形リフレクタ(ミラー)を備える。成形リフレクタは、ターゲットにわたって焦点変動を取り除く(または少なくても焦点変動の発生を低減する)よう設計され、そしてその結果、測定されたターゲット高さの傾斜感度を低減する。ミラーは、スペース(空気または真空)により分離されていてもよいし、固体光学素子の両側であってもよい。イコライザEQP,EQDは、この場合、投影器および検出器のそれぞれの対物レンズとターゲットとの間に図示されており、ターゲット上の位置の関数として経路長を均等化する。別の構成においては、イコライザは、移動ミラーとレンズとの間に配置でき、角度の関数として経路長を均等化する。
【0060】
図13は、成形リフレクタに代えて検討された別の実施形態を示す。ここでは、投影器側および検出器側における一つの移動素子に代えて、投影器は2つの移動ミラーMP1,MP2を備える。これらは、検出器側におけるミラーMDおよびMD2と対応している。追加されたミラーMP2およびMD2の振動の振幅を制御することにより、図12におけるイコライザEQP,EQDの成形ミラーと同じように焦点誤差を取り除ける可能性がある。
【0061】
ここで留意すべきは、スキャニングのためにビームを誘導する間に経路長を均等化するために2つの揺動ミラーを用いることにより、ミラーをレンズLの焦点面に位置させる必要がなくなることである。ミラーは、投影器/検出器のレンズ系の素子間に位置される。これにより、移動素子および複雑な光線経路を収容するための変更を行うことなく、二重テレセントリックレンズなどの内蔵型の投影器および検出器のレンズ系の使用が可能となる。このように投影器/検出器のレンズ系をシンプルな構成とすることにより、コストが削減され、追加ミラーの同期化による追加的な複雑性が埋め合わされる。移動素子は、投影器/検出器のグレーチングと各レンズ系との間に配置できる。あるいは、図13に模式的に示されるように、移動素子は投影器/検出器のレンズ系と基板との間の光路に配置されてもよい。
【0062】
スキャンにわたって均等化されるべき経路差を抑えるために、例えば、移動素子MP/MDとレンズとの間の距離を最大にするための方策が行われるべきである。これは、要求される揺動角δθを制限するとともに、是正措置が必要とされるどんなことでも単純にする。
【0063】
米国特許第5013108号明細書(Van Amstel/Phillips)は、(回転ポリゴンによる)光学的スキャニングおよび多面カーブミラーによる経路長等化の例について説明している。従ってこの文献は、図12の実施形態の設計におけるガイダンスを提供するために利用できる。上述された全ての実施形態において、一つまたは全てのミラーに関して、データ収集またはデータ処理を簡略化するために、ミラー角度の時間的なプロファイルは非線形または非正弦的であってよい。任意の移動ミラーまたは他の移動光学素子は、ミラーの傾斜角に対して所望の経路変化を実現するために、原則として平面に代えて(1次元または2次元のカーブに)成形できる。同様に、これらの素子の移動は、傾斜に限定されず、直線運動や複合運動であってもよい。
【0064】
いくつかの本方法の改良点を図14から図16に図示される理論的背景とともに説明する。
【0065】
まず第一に、ターゲットが概して設計されたゼロレベルLZにない場合、レベルセンサの性能は潜在的に低下することを留意すべきである。図14は、ターゲットWがレベルLZから移動された状態を示している。図14においては、ターゲット領域における投影器グレーチングの像GP’と、ターゲット領域における検出器グレーチングの像GD’とはもはや一致しない。その結果、検出器側における投影器グレーチングの検出像GP’’は、検出器グレーチングの平面GDと一致しない。言い換えると、レベルセンサーゼロLZからの反射ターゲットの偏差は、ターゲット上および検出器グレーチング上に投影されるグレーチングの焦点はずれ(デフォーカス)生じさせる。図4においては、一点鎖線および二点鎖線は、一つのスポット位置内における各グレーチングラインの位置を示しており、全体のスポットパターンのスキャニング動作は表していない。このデフォーカスにより一次回折が移動されるが、これはまた、ウェハプロセスフィーチャに測定高さの依存性を生じさせる。
【0066】
既に上述したように、ゼロレベルからの偏差を最小化するとともに、レベルセンサの線形範囲をできるだけ有効に使うために、従来よりレベルセンシングの間にセンサー高さ及び/または基板テーブル高さを制御するためのサーボ機構が採用されている。これは、図14に図示されるデフォーカス状態を最小化する第1のアプローチを提供する。
【0067】
同じターゲット位置の多重スキャン(マルチスキャン)は、低周波ノイズの低減された高さ測定を得るために、結果を平均化することにより行われてもよい。追加的な測定として、本明細書では少なくとも2回のスキャンを連続して用いることを提案する。第2のスキャンは、精度の改善したゼロレベルをたどるであろう。具体的には、第1のスキャンにおいて、サーボ動作およびレベルセンサにより測定された残留差分を含む高さ変動が記録される。第2のスキャンの前に、その第2スキャンの間の基板テーブルのZ軸サーボ制御のための高さセットポイントプロファイルとして、測定された高さプロファイルが高さとして適用される。その結果、ウェハのエッジに出くわした後の「スキャンイン(scan in)」という観点と、その後のトラッキングにおいて高さ変動が効果的に予測されるという観点の両方において、単なるサーボ制御だけよりむしろ、第2のパスにおけるゼロレベルのトラッキングが大幅に改善する。その結果、第2のスキャンにおいて取得される高さの値は、第1のスキャンにおいて取得されるものよりもより正確なはずである。もちろん、マルチスポットアレイにおいては、個々のスポットGi間の高さ変動が依然としてあるであろう。ターゲットの高さは、これらの変動の平均ができるだけゼロに近くなるように制御されてよい。第1のスキャンにおいて測定された高さプロファイルを、その後のスキャンにおいて測定される高さプロファイルの予測の判断材料として用いるという、同じ原理がスキャンの間に適用されてもよい。
【0068】
図15は、ターゲット表面におけるx軸(Rx)についての局所的傾斜の影響を示す。これにより、各スポットまたは各グレーチングラインのみの規模の傾斜を示す表面形状を指している。図15(a)は、それでもなおターゲットがゼロレベルLZに位置している場合における、1つのグレーチングラインの規模の局部的傾斜の影響を示す。2つのバーを表している鎖線の光線は、平らなターゲット(一点鎖線で図示)から外れたときにたどるパスとは異なるパスをたどるが(破線で図示)、それらは、それでもなお検出器グレーチングの平面GDにおける正しい点に収束する。
【0069】
対照的に図15(b)においては、全レベルスキャニングスポット(グレーチング)の大きさの局部的ウェハ傾斜の結果が見られる。ここでも、局部的傾斜がない場合の光線経路は、破線で図示されており、一方、傾斜の影響は各バーを表す鎖線の光線に図示されている。勿論、図示のために影響は誇張されている。図中央のターゲット面がスポットパターンにわたって一様に傾斜しており、バー間の焦点に差が生じていることが分かる。右手側の検出器グレーチング面内に各バーの光線を焦点合わせすることにより表される像は、矢印により示されるように離れるように動く。すなわち、局部的なウェハの傾斜の結果として、パターンが検出器平面GDにおいて拡大される。この拡大は、中央のターゲットレベルにおいて既に存在している。検査及び分析により、この拡大はウェハの傾斜だけでなく、ターゲット上における投影器グレーチングGPの焦点はずれ(デフォーカス)にも依存していることが明らかになる。図に示される影響は、拡大の影響のみであり、ウェハの傾斜の結果である「実際の」高さ変動の三角測量に帰因するグレーチングパターンの「正式の(proper)」シフトではない
【0070】
従って、図15(b)に示されるように、ウェハの傾斜Rxは、検出器グレーチング上の投影器グレーチングの像を傾け、効果的に投影器グレーチング像の拡大を生じさせる。これにより、グレーチング上で検出されたとき、各バーの強度の不均一な変動が生じる。図16は、多数のグレーチングラインにわたるこの傾斜の結果を示す。少なくとも
図の左側のグレーチングラインは、高さ誤差が負方向に徐々に増大しており、一方、図の右側のグレーチングラインは高さ誤差が正方向に徐々に増大している。これらの誤差は、検出器により平均化され、必ずしも高さ測定の誤差を引き起こすわけではない。しかしながら、図16に破線の長方形および点線の長方形で示したように、この平均値は基板上のレベルセンシングスポットの焦点に非常に依存する。破線の長方形は、インフォーカス状態を表している。この状態では、図15(b)に示される拡大により、検出されたグレーチングラインの半分を上方に移動され、半分を下方に移動される。その場合の高さ測定に対する全体器な影響はゼロである。スポットが十分に焦点合わせされておらず、局部的傾斜に遭遇する場合、鎖線の図示されるように、上方誤差および下方誤差のバランスは等しくなくなる。この場合、傾斜の存在は、報告された高さ測定に誤差を生じさせる。
【0071】
従って、適切な焦点を維持することは、正確な高さ測定に重要である。上述の二重パスサーボ機構を局部的傾斜の影響を和らげるために用いることができる。
【0072】
上述したように、図15(a)は、1次の影響を示している。同様の検討が局部的なウェハ形状の3次、5次などの次数変動(奇数の次数)に当てはまる。局部的なウェハ形状の2次、4次、6次などの偶数の次数変動は、図16に示される方法でキャンセルされ、「カーブウェハ効果(curved wafer effect)」として知られる高さ測定誤差をもたらす可能性がある。これらのオフセットは、デフォーカスと無関係である。
【0073】
図17は、新規のレベルセンサを異なるタイプのリソグラフィ装置に適用したレイアウトを示す。図17(a)において、レベルセンシング投影器LSPおよびレベルセンシング検出器LSDがY方向にストリップをスキャンする間に、ターゲット基板Wを運ぶ基板サポートWTはX方向にステップまたはスキャンする。アライメントセンサASは、XおよびY位置情報をターゲット上にあるアライメントマークから取得するために設けられる。アライメントセンサの形状に応じて、XおよびY両方向の基板テーブルWTのスキャニング動作が必要となる。
【0074】
図17(b)は、別のレイアウトを示す。このレイアウトでは、レベルセンサLSP,LSDは、基板テーブルがY方向にスキャンまたはステップする間に、X方向に方向づけられたストリップをスキャンするよう配置される。アライメントセンサASは、アライメントセンサアレイAS’に置き換えられている。アライメントセンサアレイAS’は、基板にわたって間隔をあけたアライメントマークを並列処理で測定するために、X方向に間隔をあけられている。このようにして、レベルセンシングおよびアライメントが並列に行うことができ、時間短縮を実現できる。(b)の構成に関して、上記のレベルセンサの実施形態の記載におけるXおよびY方向は、反転されるべきであることが理解されるであろう。そうでなければ、動作原理および実施の詳細は実質的に同一にできる。
【0075】
図18は、図17(a)および(b)と類似の例を示す。本例では、検出器側の光学系が、上述のようなキャットアイを内蔵する反射部Rにより置き換えられ、投影器および検出器は両方ともに一つのユニットLS内に位置する、という変更が加えられている。この場合の各グレーチングスポットは、検出器グリッドGDに到達する前にターゲット表面から2度反射するであろう。
【0076】
図19は、レベルスキャニングプロセスの概略フローチャートを示す。ステップ500において、基板(ウェハなど)がリソグラフィ装置に搭載される。ステップ502において、移動光学素子を備えるレベルセンシング装置の運転が開始され、状況によっては上述のように素子間の同期が確立される。ステップ504において、ターゲットのストライプが与えられ、移動スポットまたはスポットアレイによりスキャンされる。ステップ506において、基板テーブルが走査ストライプに対して垂直な方向にステップされる、及び/または該方向に連続的なスキャン動作を受け、そして次のストライプのスキャンがステップ504を繰り返すことにより行われる。上述したように選択的に、ステップ508が高さセットポイントプロファイル及び/またはレベルセンサのその他のサーボパラメータを設定するステップと、精度が向上するとともにウェハの傾斜などに対する感度が低下した第2のスキャンを実行するステップとを含んでもよい。第2のスキャンは、同型のものであってもよい。この場合、第1スキャンとと第2スキャンとの間にX方向の移動がなされない。あるいは、測定された高さプロファイルは、重複するストライプまたは近接するが重複はしないストライプのスキャニングを改善するために用いられてもよい。ウェハ形状および各測定のスケールに依存するので、隣接するストライプの測定結果は、測定中のストライプのプロファイルの好適な予測判断材料として役立つ可能性がある。この予測判断材料は、測定中のストライプをスキャニングする際にセンサの高さセットポイントプロファイルを調整するための参考として用いることもできる。隣接するストライプの測定結果は、測定中のスキャンの開始時の「スキャンイン」段階における高さサーボ誤差を低減するための予測判断材料として特に役立つ。
【0077】
ステップ510において、出来上がった高さマップをステップ512で報告する前に、レンズ収差などの補正(図6)がなされる。ステップ504,510,512は連続的に図示されているが、補正の全てまたは一部はスキャニング測定の間になされてもよい。高さマップは、次の露光動作のために一度に制御部に供給されてもよいし、またはスキャニングがまだ進行中の間にストリームとして供給されてもよい。ステップ514において、レベルセンサから取得された高さマップを用いて(スキャニング露光の場合には各部分の露光の間に)全ての部分における投影パターンの焦点精度を最大化することにより、パターニングデバイスMA(図1)からのプロダクトパターンが基板Wのターゲット部分C(フィールド)上に露光される。ステップ516において、露光された基板が周知の方法により処理され、実際のプロダクトフィーチャが基板上に形成される。これらの全プロセスは、よく知られるように、多層デバイスを形成するために繰り返されてもよい。
【0078】
改良されたレベルセンサを用いることにより、より微細なプロダクトパターンとより一貫したプロダクト特性が達成される。それに代えてまたは加えて、スキャニングレベルセンサにより提供されるレベルセンシング測定時間の短縮により、同じ品質のプロダクトがより大きなスループットで実現できる。
【0079】
上述の実施の形態における処理ユニットPUは図20に示されるコンピュータアセンブリであってもよいことは理解されるべきである。コンピュータアセンブリは、本発明に係るアセンブリの実施の形態においては制御ユニットの形式の専用コンピュータであってもよいし、あるいはリソグラフィ投影装置を制御するための中央コンピュータであってもよい。コンピュータアセンブリは、コンピュータに実行可能なコードを備えるコンピュータプログラム製品をロードするよう構成されていてもよい。これによりコンピュータアセンブリは、コンピュータプログラム製品がダウンロードされた場合、上述の方法のステップ502〜512にしたがって光学的スキャニングによるレベル検知を伴うリソグラフィ装置の上述の使用を制御できる。
【0080】
プロセッサ1227に接続されているメモリ1229は、ハードディスク1231、リードオンリメモリ(ROM)1262、電気的消去可能ROM(EEPROM)1263、ランダムアクセスメモリ(RAM)1264等の多数のメモリ素子を備えてもよい。これらすべてのメモリ素子を備えている必要はない。また、上述のメモリ素子がプロセッサ1227または互いに物理的に近接して設けられていることは重要ではない。これらは遠隔に設けられていてもよい。
【0081】
プロセッサ1227は例えばキーボード1265またはマウス1266等のユーザインタフェースに接続されていてもよい。タッチスクリーン、トラックボール、スピーチコンバータなどの当業者に知られているのその他のインタフェースが使用されてもよい。
【0082】
プロセッサ1227は読み取りユニット1267に接続されていてもよい。読み取りユニット1267は、例えばコンピュータ実行可能コードの形でデータをフロッピー(登録商標)ディスク1268またはCDROM1269等のデータキャリアから読み出し、ある状況下ではそのデータキャリアにデータを記憶させるよう構成される。DVD等の当業者に公知のその他のデータキャリアが使用されてもよい。
【0083】
プロセッサ1227は、出力データを紙面に印刷するためのプリンタ1270に接続されていてもよい。また、プロセッサ1227は、モニタまたはLCD(液晶ディスプレイ)等の当業者に公知のディスプレイ1271に接続されていてもよい。
【0084】
プロセッサ1227は、例えば公衆交換電話網(PSTN)やローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)等の通信ネットワーク1272に、入出力(I/O)を担当するトランスミッタ/レシーバ1273を介して接続されていてもよい。プロセッサ1227は、通信ネットワーク1272を通じて他の通信システムと通信可能に構成されていてもよい。本発明のある実施の形態においては例えばオペレータのパーソナルコンピュータ等の外部コンピュータ(図示せず)が通信ネットワーク1272を通じてプロセッサ1227にログイン可能であってもよい。
【0085】
プロセッサ1227は、独立のシステムとして構築されていてもよいし、並列に動作する複数の処理ユニットとして構築されていてもよい。各処理ユニットは、より大きいプログラムのサブタスクを実行するよう構成されている。処理ユニットは、1つまたは複数の主処理ユニットといくつかの副処理ユニットとに分割されていてもよい。プロセッサ1227のうちいくつかの処理ユニットは、他の処理ユニットから離れて配置されており通信ネットワーク1272を通じて通信してもよい。
【0086】
図20の全ての接続は物理的な接続として示されているが、これらの接続のうちのひとつ以上は無線とされてもよい。それらは、「接続された」ユニットは何らかの方法で互いに通信し合うよう構成されることを示すだけである。コンピュータシステムは、本明細書で議論された機能を実現するよう構成された、アナログおよび/またはデジタルおよび/またはソフトウエア技術の任意の信号処理システムであってもよい。
【0087】
本明細書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、リソグラフィ装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積光学システム、磁区メモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどがある。当業者であればこれらの他の適用に際して、本明細書における「ウエハ」あるいは「ダイ」という用語がそれぞれ「基板」あるいは「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。本明細書で言及される基板は露光前または露光後において例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、及び/またはインスペクションツールにおいて処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は処理されている多数の層を既に含む基板をも意味してもよい。
【0088】
上では特に光リソグラフィにおける本発明の実施の形態の使用に言及したが、本発明は例えばインプリントリソグラフィなどの他のアプリケーションにおいても使用されうるものであり、文脈が許す場面において光リソグラフィに限られるものではないことは理解される。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィが基板に生成されるパターンを決める。パターニングデバイスのトポグラフィが基板に塗布されているレジスト層に押し付けられ、電磁放射や熱、圧力、あるいはこれらの組み合わせによってレジストが硬化される。レジストが硬化された後パターニングデバイスはレジストから外され、レジスト上にはパターンが残される。
【0089】
本明細書において「放射」および「ビーム」という用語は、紫外(UV)放射(例えば約365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)および極端紫外(EUV)放射(例えば5nm−20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆる種類の電磁放射、およびイオンビームや電子ビームなどの粒子線を含む。
【0090】
「レンズ」という用語は、文脈が許す限り、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子を含む各種の光学素子の任意のひとつまたは組み合わせを指し示すものであってもよい。
【0091】
本発明の具体的な実施の形態が上述のように説明されたが、本発明は上述の形式以外の形式でも実施可能であると理解されたい。例えば、本発明の変形例はコンピュータプログラムの形式を取ってもよい。このコンピュータプログラムは機械に読み取り可能な命令の1つもしくは複数のシーケンスを含む。命令は、上述の方法を記述する。あるいはまた、本発明は、そのようなコンピュータプログラムを記憶保持するデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気もしくは光学ディスク)の形式を取ってもよい。
【0092】
上述の記載は例示を目的としており、それに限定されるものではない。したがって、この開示に基づいて下記の特許請求の範囲から逸脱することなく記載された発明に変更を加えることができるということは、関連技術の当業者には明らかなことであろう。
【0093】
要約すれば、本開示は、以下の1つまたは複数の特徴を含む種々の実施形態を提供する。
【0094】
1.パターニングデバイスからパターンを基板に転写するパターニングサブシステムであって、基板表面にわたるレベル変動の測定結果に従って制御されるパターニングサブシステムを備えるリソグラフィ装置であって、
レベルセンシング放射ビームを投影して基板表面の位置から反射させ、反射したセンシングビームを検出して前記位置の表面レベルを記録するレベルセンサをさらに備え、
前記レベルセンサは、少なくとも一つの移動光学素子を内蔵しており、それによって前記レベルセンサは、少なくとも一次元のレベルセンシングビームにより基板表面を光学的にスキャニングして、前記レベルセンサと前記基板との間の対応する機械的動作なしで異なる位置の表面レベルの測定結果を取得するよう構成される、リソグラフィ装置。
【0095】
2.前記レベルセンシングビームのスキャニングは、基板全体を横切って一次元に延びており、前記基板と前記レベルセンサは、二次元の表面レベル変動の測定を完了するために互いに対して二次元に移動するよう構成される特徴1に記載のリソグラフィ装置。
【0096】
3.前記レベルセンシングビームはパターン付与ビームであり、
焦点誤差を示すものとして前記レベルセンシングビームのスキャンの間に前記パターン付与ビームの焦点を前記基板上に維持する焦点制御装置をさらに備える特徴1または2に記載のリソグラフィ装置。
【0097】
4.前記焦点制御装置は、進行中のスキャンの焦点誤差の予測判断材料として少なくとも一つの前回のセンシングビームのスキャンの間に測定されたレベル変動に応答する特徴3に記載のリソグラフィ装置。
【0098】
5.前記レベルセンサは、前記センシングビームのスキャンの間に基板表面への前記ビームの光路長の変動を低減するよう構成された少なくとも一つの経路長等化光学装置をさらに備える特徴1から4のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【0099】
6.前記移動光学素子は、前記レベルセンシングビームを前記基板上に投影するレンズ系の素子間に位置する特徴1から5のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【0100】
7.前記レベルセンサは、少なくとも2つの移動光学素子を備え、該素子の動作は互いに同期している特徴1から6のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【0101】
8.第1の移動光学素子は、基板表面を横切って移動するターゲット位置上に前記レベルセンシングビームを導き、第2の移動光学素子は、前記移動するターゲット位置から反射した前記レベルセンシングビームを静止した検出器へ導く特徴7に記載のリソグラフィ装置。
【0102】
9.少なくとも2つの移動光学素子が前記レベルセンシングビームの放射源と前記基板との間に連続して位置しており、それらの素子は、光路長変動を最小化する間に基板を横切って移動するターゲット位置上に前記レベルセンシングビームを導くために同期して移動する特徴7または8に記載のリソグラフィ装置。
【0103】
10.前記レベルセンシングビームを前記基板上に投影する投影レンズ系をさらに備え、
前記2つの移動光学素子のどちらも前記投影レンズ系の素子間に位置していない特徴9に記載のリソグラフィ装置。
【0104】
11.前記レベルセンシングビームは、各高さ測定のために前記基板表面から2回および各移動光学素子から2回反射する経路をたどる特徴1から10のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【0105】
12.露光ステップにおいて光学投影系を介して前記パターニングデバイスから前記基板に前記パターンを転写するタイプのリソグラフィ装置であって、前記基板のターゲット部分に投影ビームの焦点を維持するために、測定ステップの前に前記レベルセンサにより測定された基板レベル変動に応答する特徴1から11のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【0106】
13.特徴1から12のいずれかに記載のリソグラフィ装置を用いてパターニングデバイスから基板上にパターンを転写するステップを備えるデバイス製造方法であって、
パターニングデバイスおよび基板を前記リソグラフィ装置に搭載するステップと、
前記レベルセンサを用いて基板にわたって表面レベル変動を測定するステップと、
前記パターニングデバイスから前記基板に1回以上パターンを転写するステップと、
測定された表面レベル変動を参照して前記転写ステップを制御するステップと、
パターン形成された基板を処理して機能デバイスフィーチャを生成するステップと、
を備える方法。
【0107】
14.リソグラフィ装置において基板表面にわたってレベル変動を測定する方法であって、
(a)前記リソグラフィ装置にレベルセンシング光学系を設けるステップと、
(b)前記光学系を用いてレベルセンシング放射ビームを投影し、前記基板表面上の位置から反射させるステップと、
(c)反射したセンシングビームを検出して前記位置の表面レベルを記録するステップと、
を備え、
前記光学系は、少なくとも一つの移動光学素子を採用しており、それによってステップ(b)においてセンシングビームは少なくとも一次元の光の移動により基板表面を横切って異なる位置をスキャンし、ステップ(c)において検出ステップは前記レベルセンシング光学系と前記基板との間の対応する機械的動作なしで前記異なる位置における表面レベルの各測定結果を取得する、
ことを特徴とする方法。
【0108】
15.前記センシングビームの光学的スキャニングは、基板全体を横切って一次元に延びており、前記基板と前記レベルセンシング光学系は、前記基板にわたって二次元の表面レベル変動の測定を完了するために、互いに対して二次元に移動する特徴14に記載の方法。
【0109】
16.前記センシングビームはパターン付与ビームであり、
光学的スキャンニングの間に測定されたレベル変動を焦点誤差を示すものとして参照することにより、前記パターン付与ビームを前記基板上に焦点合わせするステップを備え、
該焦点合わせは、少なくとも一つの以前のスキャンの間に測定されたレベル変動も焦点誤差を示すものとして参照することにより行われる特徴14または15に記載の方法。
【0110】
17.前記レベルセンシング光学系は、前記スキャニングの間に前記ビームの光路長の変動を低減する少なくとも一つの経路長等化装置をさらに備える特徴14から16のいずれかに記載の方法。
【0111】
18.前記移動光学素子は、前記レベルセンシングビームを前記基板上に投影する投影レンズ系の素子間に位置する特徴14から17のいずれかに記載の方法。
【0112】
19.前記レベルセンシング光学系は、少なくとも2つの移動光学素子を備え、該素子の動作は互いに同期している特徴14から18のいずれかに記載の方法。
【0113】
20.少なくとも2つの移動光学素子が前記レベルセンシングビームの放射源と前記基板との間に連続して位置しており、それらの素子は、光路長変動を最小化する間に基板を横切って移動するターゲット位置上に前記レベルセンシングビームを導くために同期して移動する特徴19に記載の方法。
【0114】
21.前記2つの移動光学素子のどちらも、前記レベルセンシングビームを前記基板上に投影する投影レンズ系の素子間に位置していない特徴20に記載の方法。
【0115】
22.(d)露光ステップにおいて光学投影系を介して前記パターニングデバイスから前記基板にパターンを転写するステップをさらに備え、
該転写ステップ(d)は、投影パターンの焦点を前記基板のターゲット部分に維持するために、ステップ(b)および(c)において測定された基板レベル変動を参照することにより制御される特徴14から21のいずれかに記載の方法。
【0116】
23.リソグラフィ装置のレベルセンサ光学系およびレベルセンサ信号処理部を制御するためのコンピュータ読取可能な指示の1つ以上のシーケンスを備えるコンピュータプログラムであって、前記指示は、特徴14から22のいずれかに記載のステップ(b)および(c)を実行するために適合される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターニングデバイスからパターンを基板に転写するパターニングサブシステムであって、基板表面にわたるレベル変動の測定結果に従って制御されるパターニングサブシステムを備えるリソグラフィ装置であって、
レベルセンシング放射ビームを投影して基板表面の位置から反射させ、反射したセンシングビームを検出して前記位置の表面レベルを記録するレベルセンサをさらに備え、
前記レベルセンサは、少なくとも一つの移動光学素子を内蔵しており、それによって前記レベルセンサは、少なくとも一次元のレベルセンシングビームにより基板表面を光学的にスキャニングして、前記レベルセンサと前記基板との間の対応する機械的動作なしで異なる位置の表面レベルの測定結果を取得するよう構成される、
ことを特徴とするリソグラフィ装置。
【請求項2】
前記レベルセンシングビームのスキャニングは、基板全体を横切って一次元に延びており、前記基板と前記レベルセンサは、二次元の表面レベル変動の測定を完了するために互いに対して二次元に移動するよう構成されることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項3】
前記レベルセンシングビームはパターン付与ビームであり、
焦点誤差を示すものとして前記レベルセンシングビームのスキャンの間に前記パターン付与ビームの焦点を前記基板上に維持する焦点制御装置をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のリソグラフィ装置。
【請求項4】
前記焦点制御装置は、進行中のスキャンの焦点誤差の予測判断材料として少なくとも一つの前回のセンシングビームのスキャンの間に測定されたレベル変動に応答することを特徴とする請求項3に記載のリソグラフィ装置。
【請求項5】
前記レベルセンサは、前記センシングビームのスキャンの間に基板表面への前記ビームの光路長の変動を低減するよう構成された少なくとも一つの経路長等化光学装置をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項6】
前記移動光学素子は、前記レベルセンシングビームを前記基板上に投影するレンズ系の素子間に位置することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項7】
前記レベルセンサは、少なくとも2つの移動光学素子を備え、該素子の動作は互いに同期していることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項8】
第1の移動光学素子は、基板表面を横切って移動するターゲット位置上に前記レベルセンシングビームを導き、第2の移動光学素子は、前記移動するターゲット位置から反射した前記レベルセンシングビームを静止した検出器へ導くことを特徴とする請求項7に記載のリソグラフィ装置。
【請求項9】
少なくとも2つの移動光学素子が前記レベルセンシングビームの放射源と前記基板との間に連続して位置しており、それらの素子は、光路長変動を最小化する間に基板を横切って移動するターゲット位置上に前記レベルセンシングビームを導くために同期して移動することを特徴とする請求項7または8に記載のリソグラフィ装置。
【請求項10】
前記レベルセンシングビームを前記基板上に投影する投影レンズ系をさらに備え、
前記2つの移動光学素子のどちらも前記投影レンズ系の素子間に位置していないことを特徴とする請求項9に記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
前記レベルセンシングビームは、各高さ測定のために前記基板表面から2回および各移動光学素子から2回反射する経路をたどることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項12】
露光ステップにおいて光学投影系を介して前記パターニングデバイスから前記基板に前記パターンを転写するタイプのリソグラフィ装置であって、前記基板のターゲット部分に投影ビームの焦点を維持するために、測定ステップの前に前記レベルセンサにより測定された基板レベル変動に応答することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項13】
リソグラフィ装置において基板表面にわたってレベル変動を測定する方法であって、
(a)前記リソグラフィ装置にレベルセンシング光学系を設けるステップと、
(b)前記光学系を用いてレベルセンシング放射ビームを投影し、前記基板表面上の位置から反射させるステップと、
(c)反射したセンシングビームを検出して前記位置の表面レベルを記録するステップと、
を備え、
前記光学系は、少なくとも一つの移動光学素子を採用しており、それによってステップ(b)においてセンシングビームは少なくとも一次元の光の移動により基板表面を横切って異なる位置をスキャンし、ステップ(c)において検出ステップは前記レベルセンシング光学系と基板との間の対応する機械的動作なしで前記異なる位置における表面レベルの各測定結果を取得する、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記センシングビームの光学的スキャニングは、基板全体を横切って一次元に延びており、前記基板と前記レベルセンシング光学系は、前記基板にわたって二次元の表面レベル変動の測定を完了するために、互いに対して二次元に移動することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記センシングビームはパターン付与ビームであり、
光学的スキャンニングの間に測定されたレベル変動を焦点誤差を示すものとして参照することにより、前記パターン付与ビームを前記基板上に焦点合わせするステップを備え、
該焦点合わせは、少なくとも一つの以前のスキャンの間に測定されたレベル変動も焦点誤差を示すものとして参照することにより行われることを特徴とする請求項13または14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図19】
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【図20】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−139060(P2011−139060A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−281884(P2010−281884)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】