説明

三次元干渉顕微鏡観察

【課題】 三次元干渉顕微鏡観察を提供する。
【解決手段】 サンプル内にあるスイッチャブル光源のうち統計的に散在するサブセットが活性化され、活性化されたスイッチャブル光源が励起され、それにより、光ビームが、少なくとも2つの光路に沿って、活性化されたスイッチャブル光源から放出される。活性化されたスイッチャブル光源から第1の光路に沿って放出される第1の光ビームでの第1の波面修正が導入され、活性化されたスイッチャブル光源から第2の光路に沿って放出される第2の光ビームでの第2の波面修正が導入され、第2の波面修正が、第1の波面修正とは異なる。第1および第2の光ビームが、互いに干渉されて、複数の出力ビームを生成し、光源の三次元位置情報が、複数の出力ビームからの各出力ビームの強度に基づいて決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「三次元干渉顕微鏡観察のためのシステムおよび方法(System and Methods for 3-Dimensional Interferometric Microscopy)」という名称で2006年12月21日に出願された米国仮特許出願第60/871,366号ならびに「三次元干渉顕微鏡観察のためのシステムおよび方法(System and Methods for 3-Dimensional Interferometric Microscopy)」という名称で2007年3月27日に出願された米国仮特許出願第60/908,307号に基づく優先権を主張する「三次元干渉顕微鏡観察のためのシステムおよび方法(Systems and Methods for 3-Dimensional Interferometric Microscopy)」という名称の2007年12月20日に出願された米国特許出願第11/961,601号の一部継続出願である。これら全ての出願は、それらの全体が参照により本明細書に援用されるものとする。
【0002】
技術分野
開示する主題は、たとえば、空間的に解像可能な点光源を含む、またはそのような点光源で標識されたサンプルの干渉顕微鏡観察を含めた、干渉顕微鏡観察に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
干渉位相を測定する顕微鏡観察システムは公知である。たとえば、1つの公知の顕微鏡観察システムは、外部光源で対象物の延在表面を照明することにより干渉位相を測定する。サンプルから反射された光は、ビームスプリッター中で参照ビームと干渉する。干渉ビームは、ディテクター上に画像化される。参照ビームとサンプルビームとの光路差は、出力干渉ビームの振幅を変調して、対象物の高さの尺度を提供することが可能である。また、対向する対物レンズを介してサンプルからの2つのビームを干渉させて1つの干渉出力ビームだけを測定する顕微鏡観察システムも公知である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
1つの一般的な態様では、第1および第2の直交次元によって定義されるサンプル平面に概して沿って延在するサンプル内にある光源が光駆動され、光源が複数の伝搬方向に光ビームを放出する。光源から放出された2つ以上の光ビームは互いに干渉されて複数の出力ビームが生成され、複数のディテクターに向けられる。複数の出力ビームからの各出力ビームの画像の中心領域に基づいて、第1の直交次元および第2の直交次元での光源の位置が決定される。複数の出力ビームそれぞれから個別に検出される強度に基づいて、サンプル平面に垂直な第3の直交次元での光源の取り得る位置の組が決定される。第3の直交次元での光源の位置と共に変化する波面修正に基づいて、1つまたは複数の光ビームおよび出力ビームの画像の形状が分析される。波面修正は、光源から放出される少なくとも1つの光ビームの波面の曲率および形状のうちの1つまたは複数の修正である。分析された形状に基づいて、光源の位置が取り得る組の中から第3の直交次元での位置が決定される。
【0005】
実装形態は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。たとえば、1つまたは複数の画像の形状が、波面修正を所定の波面修正と比較することによって分析することができる。1つまたは複数の画像の形状は、波面修正をモデル化された波面修正と比較することによって分析することもできる。1つまたは複数の画像の形状は、波面修正によって引き起こされ、第3の直交次元での光源の位置と共に変化する複素位相を分析することによって分析することもできる。
【0006】
第3の直交次元での光源の位置は、1つまたは複数の画像の形状を、所定の波面修正に基づいて決定される所定の画像の形状と比較することによって、取り得る位置の組の中から決定することができる。
【0007】
波面修正は、少なくとも1つの光ビームに能動的に導入することができる。波面修正は、ビーム伝搬方向に対する横方向にそれぞれ1つの焦点を有する焦点面間で、少なくとも1つの光ビームに伝搬方向に沿ったずれを導入することによって、導入することができる。波面修正は、少なくとも1つの光ビームにビーム伝搬方向に対する1つまたは複数の横方向に沿って波面の曲率を導入することによって、導入することができる。
【0008】
波面修正は、少なくとも1つの光ビームの画像の輝度を変えることによって、少なくとも1つの光ビームに導入することができる。画像の輝度は、光ビームおよび出力ビームのうちの1つまたは複数のビームの1つの横方向に沿って、第2の横方向とは異なるように変えることができる。
【0009】
別の一般的な態様では、装置は、光駆動システムと、干渉システムと、少なくとも2つのディテクターと、プロセッサーとを含む。光駆動システムは、概してサンプル平面に沿って延在するサンプル内にある光源が複数の光路に光ビームを放出するように構成される。干渉システムは、光源から放出された第1および第2の光ビームを受け取り、各光ビームを2つ以上の分割ビームに分割し、分割ビームの少なくとも2つ以上を組み合わせて複数の合成ビームを形成するように構成される。各合成ビームは、2つ以上の分割ビーム間の干渉を含み、これは、光源の位置に相対的な光ビームの光路長の差による光ビーム間での光源位相の差によって少なくとも部分的に引き起こされる。少なくとも2つのディテクターは、干渉システムから出力された各合成ビームの強度およびプロファイルの1つまたは複数を個別に検出するように構成される。プロセッサーは、少なくとも2つのディテクターから出力を受け取り、各合成ビームの画像の中心領域に基づいて、サブ回折確度で、サンプル平面内の光源の位置を計算し、各合成ビームの個別に検出された強度に基づいて、サンプル平面に垂直な第3の直交次元での光源の取り得る位置の組を計算し、第3の直交次元での光源の位置と共に変化する波面修正に基づいて、光ビームおよび合成ビームのうちの1つまたは複数のビームの画像の形状を分析し、分析された形状に基づいて、取り得る位置の組の中から第3の直交次元での光源の位置を決定するように構成される。波面修正は、光源から放出される少なくとも1つの光ビームの波面の曲率および形状のうちの1つまたは複数の修正である。
【0010】
実装形態は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。たとえば、光駆動システムは、サンプルに光学的に結合することができ、サンプル内にあるスイッチャブル光源のうち統計的に散在するサブセットを活性化させ、活性化されたスイッチャブル光源を励起するように構成することができ、それにより光ビームが、活性化されたスイッチャブル光源から、干渉システムに向けられた少なくとも2つの光路に沿って放出されるように構成することができる。
【0011】
また、装置は、第1の光路に沿って放出された第1の光ビームを受け取り、第1の光ビームを干渉システムに少なくとも向け直すように構成された第1の光学素子と、第2の光路に沿って放出された第2の光ビームを受け取り、第2の光ビームを干渉システムに少なくとも向け直すように構成された第2の光学素子とを含むこともできる。
【0012】
装置は、少なくとも1つの光ビームの可変の波面修正を導入するように構成された少なくとも1つの光路に、波面修正システムを含むことができる。波面修正システムは、1つまたは複数の光ビームおよび合成ビームの横方向に沿って焦点面をずらすように構成された少なくとも1つの光路に、デフォーカスシステムを含むことができる。デフォーカスシステムは、光源と干渉システムとの間の第1の光ビームの第1の光路内にあり、第1の光ビームの横方向に沿って焦点面をずらすように構成された第1のデフォーカスシステムと、光源と干渉システムとの間の第2の光ビームの第2の光路内にあり、第2の光ビームの横方向に沿って焦点面をずらすように構成された第2のデフォーカスシステムとを含むことができる。デフォーカスシステムは、サンプルと干渉システムとの間に置くことができる。
【0013】
別の一般的な態様では、方法が、サンプル内にあるスイッチャブル光源のうち統計的に散在するサブセットを活性化する工程と、活性化されたスイッチャブル光源から少なくとも2つの光路に沿って光ビームが放出されるように、活性化されたスイッチャブル光源を励起する工程と、活性化されたスイッチャブル光源から第1の光路に沿って放出される第1の光ビームに第1の波面修正を導入し、活性化されたスイッチャブル光源から第2の光路に沿って放出される第2の光ビームに第2の波面修正を導入する工程であって、第2の波面修正が第1の波面修正と異なる工程と、複数の出力ビームを生成するために第1の光ビームと第2の光ビームを干渉させる工程と、複数の出力ビームからの各出力ビームの強度に基づいて、光源の三次元位置情報を決定する工程とを含む。
【0014】
実装形態は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。たとえば、第2の波面修正は、第1の波面修正と方向が逆であってよい。
【0015】
第1の波面修正は、第1の横方向に沿った第1の光ビームの焦点面を、第2の横方向に沿った第1の光ビームの焦点面に対して第1のシフト値だけシフトさせることによって導入することができ、第1および第2の横方向は第1の光路に対して横方向である。
【0016】
第2の波面修正は、第1の横方向に沿った第2の光ビームの焦点面を第2の横方向に沿った第2の光ビームの焦点面に対して第2のシフト値だけシフトさせることによって導入することができ、第1および第2の横方向は第2の光路に対して横方向であり、第2のシフト値は第1のシフト値と逆である。
【0017】
第1の波面修正は、第1の光路に対して横方向である少なくとも1つの方向に沿って、活性化されたスイッチャブル光源から放出される第1の光ビームをアンダーフォーカスすることによって導入することができ、第2の波面修正は、第2の光路に対して横方向である少なくとも1つの方向に沿って、活性化されたスイッチャブル光源から放出される第2の光ビームをオーバーフォーカスすることによって導入することができる。
【0018】
また、この方法は、第1および第2の光ビームに第1および第2の波面修正を導入する前に、平行化された光ビームを形成する工程を含むこともできる。
【0019】
三次元位置情報は、サンプルが概して延在するサンプル平面に垂直な次元での光源の位置を決定することによって決定することができる。
【0020】
第1の波面修正は、第1の光ビームに波面曲率を導入することによって第1の光ビームに導入することができ、第2の波面修正は、第2の光ビームに波面曲率を導入することによって第2の光ビームに導入することができる。
【0021】
各波面修正は、それぞれの光ビームの波面の曲率および形状のうちの1つまたは複数の修正であってよい。
【0022】
別の一般的な態様では、方法が、点光源から放出される第1および第2の光ビームを、当該の第1および第2の異なる光路に関連する第1および第2の異なる方向に沿って向ける工程と、第1の光路での第1の光ビームに対して横方向で、焦点面を第1のシフト値だけシフトさせ、第2の光路での第2の光ビームに対して横方向で、焦点面を第2のシフト値だけシフトさせる工程であって、第2のシフト値が第1のシフト値と逆である工程と、第1および第2の光ビームの焦点面をシフトさせた後、第1および第2の光ビームをそれぞれ2つ以上の分割ビームに分割し、分割ビームの少なくとも2つ以上を組み合わせて複数の合成ビームを形成する工程であって、各合成ビームが、第1および第2の光ビームの光路長の差によって少なくとも部分的に引き起こされる2つ以上の分割ビーム間の干渉を含む工程と、各合成ビームの画像を個別に検出する工程と、第1の直交次元および第2の直交次元での光源の位置を決定する工程と、各合成ビームの個別に検出された画像に基づいて、第3の直交次元での光源の位置を決定する工程とを含む。
【0023】
実装形態は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。たとえば、第3の直交次元での光源の位置は、各合成ビームの個別に検出された画像に基づいて決定することができ、これは、個別に検出された画像の強度を所定の値と比較することによって光源の位置を決定する工程を含む。
【0024】
1つの一般的な態様では、装置は、複数のディテクターとプロセッサーとを有する光学システムを含む。光学システムは、所与の時間で、各ディテクターで、第1の次元と第1の次元に実質的に直交する第2の次元とで、光源の画像を生成するように構成される。それらの画像からの各画像は光源からの放出の干渉に基づいており、この放出は2つの異なる光ビームを形成する。プロセッサーは、画像に基づいて第3の次元での位置を計算するように構成される。第3の次元は、第1の次元と第2の次元とに実質的に直交する。
【0025】
1つの一般的な態様では、蛍光標識でタグ付けされた対象分子は、回折限界よりも良好な確度で三次元で位置特定が可能である。そのような実装形態では、画像に関連付けられる位相情報を用いてz座標で分子の位置に関する情報を決定することが可能であり、結果的に、三次元でサブ回折確度<<λ/2を有する3D(三次元)表現を達成することが可能である。すなわち、第3の次元(たとえばz座標)での分子の位置に関する情報は、2つの他の次元(たとえばxおよびy座標)での分子の位置に関する情報を得るために使用されるのと同じ画像の組から得ることができる。
【0026】
いくつかの一般的な態様では、点光源から放出される少なくとも2つの光ビームが、少なくとも2つの異なる方向に沿って向けられ、各方向が異なる光路に関連付けられる。光ビームはそれぞれ2つ以上の分割ビームに分割され、分割ビームの少なくとも2つ以上が組み合わされて複数の合成ビームを形成し、各合成ビームは、2つ以上の分割ビーム間の干渉を含み、これは、光ビームの光路長の差による光ビーム間の光源位相の差によって少なくとも部分的に引き起こされる。各合成ビームの強度および画像プロファイルが個別に検出される。第1の直交次元および第2の直交次元での光源の位置が決定され、第3の直交次元での光源の位置は、各合成ビームの個別に検出された強度および画像プロファイルに基づいて決定される。
【0027】
実装形態は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。少なくとも2つの発光ビームは、反対側のレンズを通るように少なくとも2つの光ビームをそれぞれ向けることによって方向付けることができる。少なくとも2つの発光ビームは、レンズの異なる部分を通るように少なくとも2つの光ビームをそれぞれ向けることによって方向付けることができる。各合成ビームの強度は、各合成ビームの強度を同時に検出することによって、個別に検出することができる。各発光ビームは、発光ビームの少なくとも1つを3つ以上の分割ビームに分割することによって分割することができる。
【0028】
別の一般的な態様では、装置が、点光源から2つの異なる光路に沿って放出される少なくとも2つの光ビームを受け取り、各発光ビームを2つ以上の分割ビームに分割し、分割ビームの少なくとも2つ以上を組み合わせて複数の合成ビームを形成するように構成されたビームスプリッターを含む。各合成ビームは、2つ以上の分割ビーム間の干渉を含み、これは、光ビームの光路長の差による分割光ビーム間の位相差によって少なくとも部分的に引き起こされる。少なくとも2つのディテクターが、ビームスプリッターから出力される各合成ビームの強度および画像プロファイルを個別に検出するように構成される。プロセッサーは、少なくとも2つのディテクターからの出力を受け取り、第1、第2、および第3の直交次元での光源の位置をサブ回折確度で計算するように構成される。
【0029】
別の一般的な態様では、サンプル内にあるスイッチャブル光源のうち統計的に散在するサブセットが活性化され、活性化されたスイッチャブル光源が励起され、それにより、光エネルギーが、活性化されたスイッチャブル光源から複数の方向で放出され、活性化されたスイッチャブル光源から複数の方向で放出された光エネルギーが干渉されて複数の出力ビームを生成し、光源の三次元位置情報が、複数の出力ビームからの各出力ビームの強度および画像プロファイルに基づいて決定される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】多位相干渉顕微鏡観察システムおよびサンプルのブロック図である。
【図2】二位相干渉顕微鏡システムおよび単一発光体サンプルのブロック図である。
【図3】図2の2つのディテクターで検出された放射光の強度のグラフである。
【図4】二位相干渉顕微鏡システムおよび延在サンプルのブロック図である。
【図5】図4の2つのディテクターで検出された放射光の強度のグラフである。
【図6】ビーム位相の表現を有する二位相干渉顕微鏡システムのブロック図である。
【図7A】図6の当該のディテクターで検出された所与の出力ビームに関する成分のビーム強度の位相を表すグラフである。
【図7B】図6の当該のディテクターで検出された所与の出力ビームに関する成分のビーム強度の位相を表すグラフである。
【図7C】それぞれ図7Aおよび7Bに関連付けられる出力ビームの強度を表すグラフである。
【図7D】それぞれ図7Aおよび7Bに関連付けられる出力ビームの強度を表すグラフである。
【図8】三位相干渉顕微鏡システムのブロック図である。
【図8A】三方向ビームスプリッターの側面図である。
【図8B】八方向ビームスプリッターの側面図である。
【図9】図8の3つのディテクターで検出される放射光の強度のグラフである。
【図10】三方向ビームスプリッターの側面図である。
【図10A】図10の三方向ビームスプリッターでの、ビームスプリッッティングデバイスとして使用されるストライプ状ミラーの図である。
【図10B】図10の三方向ビームスプリッターでの、ビームスプリッッティングデバイスとして使用されるストライプ状ミラーの図である。
【図10C】図10の三方向ビームスプリッターでの、ビームスプリッッティングデバイスとして使用されるストライプ状ミラーの図である。
【図11】図10の三方向ビームスプリッターの斜視図である。
【図12】四位相干渉顕微鏡システムのブロック図である。
【図13】図12の4つのディテクターで検出される放射光の強度のグラフである。
【図14】回折グレーティングを有する四位相干渉顕微鏡システムのブロック図である。
【図15】回折グレーティングを有する六位相干渉顕微鏡システムのブロック図である。
【図16】2つの異なる潜在位置にある単一量子発光体の図である。
【図17】単一対物レンズを有する三位相干渉顕微鏡システムのブロック図である。
【図18】図17に示されるビームスプリッターおよび/またはアニュラーリバーサーシステムの一例のブロック図である。
【図19】図18に示されるアニュラーエキスパンダーの断面図である。
【図20】図18に示されるアニュラーエキスパンダーの端面図である。
【図21】図17に示されるアニュラーエキスパンダーの6つのプリズム素子のうち3つの斜視図である。
【図22】図17の3つのディテクターで検出される放射光の強度のグラフである。
【図23】アニュラーエキスパンダーの平面図である。
【図24】ラインXX−XXに沿って取られた図23に示されるアニュラーエキスパンダーの断面図である。
【図25】ラインXXI−XXIに沿って取られた図23に示されるアニュラーエキスパンダーの断面図である。
【図26】多位相干渉顕微鏡システムに関する校正プロセスのフロー図である。
【図27】多位相干渉顕微鏡システム内部での光活性化されたサンプルの三次元位置情報を得るためのプロセスのフロー図である。
【図28】多位相干渉顕微鏡観察システムおよびサンプルのブロック図である。
【図29】図28のシステムのプロセッサーによって行われる処置のフロー図である。
【図30】三位相干渉顕微鏡システムのブロック図である。
【図31A】図28の干渉顕微鏡システムの例示的な一部分のブロック図である。
【図31B】図31Aのシステムでのサンプルの光源の楕円率と垂直位置との関係の一般化したグラフである。
【図32】データへのあてはめ、データとあてはめとの差、およびデータの断面と共に、図31Aのシステム内部のディテクターから得られる生の画像データを示す表である。
【図33】図31Aと同じ光源の楕円率と垂直位置との関係のグラフである。
【図34】図31Aのサンプル光源の測定された垂直位置(干渉法データのみを使用して決定された直交位置の組)と実際の垂直位置との関係のグラフである。
【図35】図33および34のグラフからのデータを使用した、図31Aのサンプル光源の推定される垂直位置と実際の垂直位置との関係のグラフである。
【図36A】図28の干渉顕微鏡システムの例示的な一部分のブロック図である。
【図36B】図36Aのシステムでのサンプルの光源の楕円率と垂直位置との関係の一般化したグラフである。
【図37A】図28の干渉顕微鏡システムの例示的な一部分のブロック図である。
【図37B】図37Aのシステムでのサンプルの光源の楕円率と垂直位置との関係の一般化したグラフである。
【図38】図28の干渉顕微鏡システムの例示的な一部分のブロック図である。
【図39A】図28の干渉顕微鏡システムの例示的な一部分のブロック図である。
【図39B】図39Aのシステムでのサンプルの光源の位相角差と垂直位置との関係の一般化したグラフである。
【図40A】図28の干渉顕微鏡システムの例示的な一部分のブロック図である。
【図40B】図40Aのシステムでのサンプルの光源の楕円率と垂直位置との関係の一般化したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
広義には、本明細書に記載の1つ以上の実装形態は、公知の光学顕微鏡観察よりも良好な解像度を有するサンプルの三次元レンダリングを生成することができる。いくつかの実装形態では、広視野干渉顕微鏡が、位相差を測定して、(たとえばz座標または垂直方向に沿った)第3の次元でのサンプル内にあるスイッチャブル光源の位置情報を決定すると同時に、(たとえばxおよびy座標に沿った、またはサンプル平面に沿った)2つの他の直交次元での位置情報を測定することができる。いくつかの実装形態では、干渉顕微鏡は、タンパク質分子中の光活性化蛍光標識から光を内的に放射するサンプルなど、空間的に解像可能な一群の点光源を含むまたはそのような点光源で標識されたサンプルを測定することができる。
【0032】
たとえば、サンプル中の特定の標識タンパク質の三次元(3D)レンダリングを生成することが可能である。特定の標識タンパク質によりコントラストを与えることが可能であるが、なおかつ専用の光学顕微鏡を用いてコントラストを得ることが可能である。たとえば、1つ以上の実装形態を用いて、全3D位置で細胞内の蛍光標識タンパク質の位置を決定することが可能である。
【0033】
公知の顕微鏡観察システムの1つは、光活性化位置特定顕微鏡観察(「PALM」)システムである。PALMシステムは、次の参考文献(参照により本明細書に援用されるものとする)に記載されている。「光変換性光学標識を用いた光学顕微鏡観察(Optical Microscopy with Phototransformable Optical Labels)」という名称で2005年5月23日に出願された米国仮特許出願第60/683,337号、「ほぼ分子分解能での細胞内蛍光タンパク質のイメージング(Imaging Intracellular Fluorescent Proteins at Near-Molecular Resolution)」という名称で2006年3月10日出願に出願された米国仮特許出願第60/780,968号、「光変換性光学標識を用いた光学顕微鏡観察(Optical Microscopy with Phototransformable Optical Labels)」という名称で2006年5月23日に出願されかつPCT国際公開第2006/127682号として2005年11月11日に公開されたPCT特許出願第PCT/US2006/019887号、Betzig, E. et al., "Imaging Intracellular Fluorescent Proteins at Nanometer Resolution," Science, Vol. 313, September 15, 2006、およびBetzig, E. et al., "Supporting online Material for 'Imaging Intracellular Fluorescent Proteins at Nanometer Resolution'," Science Express, August 10, 2006, [online] www.sciencemag.org/cgi/content/full/1127344/DC1(本明細書中ではまとめて「Betzig参考文献」と記す)。
【0034】
PALMシステムは、主に二次元(2D)で、すなわちx,y画像平面(またはサンプル平面)で分子の位置を特定して、回折限界顕微鏡のものよりも優れた高解像度画像を提供する。2D PALMシステムの場合において、スイッチャブル光学標識は、PA−GFPのような光活性蛍光タンパク質でありうる。PA−GFPは、GFPの光活性蛍光タンパク質変異体であり、405nmの光を照射することにより非蛍光形からアニオン形に変換可能であり、アニオン形は、500nmの励起線を吸収して520nmの蛍光線を発する。他の光活性タンパク質には、Dronpa、Eos、PA−Cherry、Kaede、Kikume、Kindling−FP、PA−CFPが含まれ、その多くは、単量体形、二量体形、および四量体形で使用可能である。そのようなタンパク質は、対象タンパク質を標識するように遺伝子発現および遺伝子結合が可能である。これによりタンパク質特異的画像を構築することが可能である。種々のケージド染料分子を使用することも可能であるが、それらは典型的には免疫標識スキームまたはそれに代わる結合スキームを必要とする。こうしたタンパク質/標識のいくつかは、十分に異なる光物理的性質、たとえば、発光波長、励起波長、または脱色速度を有するので、2つの異なるスイッチャブル光学標識を用いて画像を作成することが可能である。この場合、ビーム経路中にダイクロイックミラーを追加することにより、この3D干渉顕微鏡観察のための新しい第2さらには第3の一連の画像を得ることが可能である。1種のタンパク質の画像化および脱色を行ってから第2のタンパク質の画像化を行うように取得処理を順序付けることは、異なる標識タンパク質を画像化するもう1つの方法である。
【0035】
慣例的に、標識された分子のz位置は、1つまたは複数の対物レンズの光軸の方向に沿っており、xおよびy位置は、サンプルの平面に沿って延在するxおよびy方向に沿っており、xおよびy方向はz方向に直交する。
【0036】
第3の次元(z方向)での標識分子の位置に関する情報を取得するための一方法は、光路長の差の位相角情報を使用するものであり、それにより、標識分子のx,y位置を決定することができる二次元強度画像と、標識分子のz位置を決定することができる位相依存画像とを両方同時に獲得することができ、再構成することができる。言い換えれば、サンプルからの2つ以上の発光ビームを2つ以上のビームにさらにスプリットして互いにペアワイズ干渉させ(それらの異なる位相に基づいて)、得られた干渉ビームで画像を形成し、画像を同時に記録してサンプルの局在化光源の経路長差(すなわちz位置)を再構築する。それに加えて、いくつかの実装形態では、干渉振幅を抽出して垂直方向位置の追加的尺度として使用することも可能である。
【0037】
そのような実装形態は、多くの点で有利である。たとえば、以上で述べたように、本明細書に記載のいくつかの実装形態では、位相差を測定することにより、第3の次元(たとえばz方向)で位置情報を決定すると同時に2つの他の次元(たとえばx方向およびy方向)で位置情報を測定することが可能である。これにより3つの直交する次元すべてで測定が可能になり、この測定は、こうした測定がさまざま時点で行われる公知のシステムよりも正確でありうる。本明細書に記載のそのような測定技術は、たとえば、時間変化する明るさを有する光活性サンプルのように静的でないサンプルに特に有利でありうる。
【0038】
以上にも述べたように、本明細書に記載のいくつかの実装形態では、測定されるサンプルの成分は、サブ回折サイズの点光源として分離可能かつ同定可能である。これにより可能になる測定は、明確な画定が可能であるとともに、測定サンプル成分が位置の分布を有する拡張光源でありかつ光源の種々の部分が光源の他の部分と干渉する可能性がある公知のシステムよりも正確でありうる。本明細書に記載のそのような測定技術は、回折限界よりも正確に測定を行うのに特に有利でありうる。
【0039】
図1を参照すると、サンプルSで、第3の次元(たとえばz方向)での位置情報を決定すると同時に2つの他の次元(たとえばxおよびy方向)での位置情報を測定するために、二位相干渉顕微鏡観察システム100が使用される。顕微鏡観察システム100は、光学素子130および140と、干渉システム(多方向ビームスプリッターとも呼ぶ)150と、光学素子160および170と、ディテクター165および175とを含む。光学素子130および140は、サンプルSからビームスプリッター150までそれぞれ光路132および142を画定する任意のタイプの光学素子でありうる。たとえば、光学素子130および140のそれぞれは、一連のミラー、レンズ、または対物レンズを含みうる。光学素子130および140は、たとえば、サンプルの点光源から放出される光エネルギーを平行化するレンズまたは対物レンズを含みうる。図1には2つの光学素子130および140中に至る2つの反対方向を向いて対向する経路132および142が示されているが、以下で論述されるいくつかの実装形態では、光学素子140のような単一の光学素子は、2つの対向しない経路132および142を含みうる。第1の方向での(すなわち光路132に沿った)光源の放出(すなわち、サンプルSから放出される光エネルギー)と、第2の方向での(すなわち、光路142に沿った)光源の放出との干渉が、第1の方向に沿って進む放出と第2の方向に沿って進む放出との光路長の差によって少なくとも部分的に引き起こされる。
【0040】
光学素子130および/または140は、サンプルSが1種以上の活性化源を受容できるようにする追加の素子および/特徴部を含みうる。たとえば、いくつかの実装形態では、光源(たとえば、図1には示されていないが、図28に示されている)からの光エネルギーを用いることによりサンプルSの蛍光応答を活性化させて励起光子を生成することが可能である。そのような実装形態では、たとえば、光学素子130および/または140は、アパーチャーを含みうる。そしてディテクター165および/または175に向かって逆行する励起レーザーからの迷光放射を最小限に抑えつつ、アパーチャーを介して光源からの光エネルギーをサンプルSに照射することが可能である。また、主に蛍光がディテクターに達するように、ディテクター165および/または175に至るビーム経路中にレーザーラインフィルターを存在させることも可能である。第1のレーザー光源は、たとえば、活性化ビームをサンプルSに照射することが可能であり、かつ第2のレーザー光源は、たとえば、励起ビームをサンプルSに照射することが可能である。他の実装形態では、レーザー以外の光源、たとえば、発光ダイオード、白熱ランプなどを活性化用および/または励起用の光源として使用することが可能である。以上で参照により援用されたBetzig参考文献にさらに詳細に記載されているように、活性化ビームは、サンプル中の個別に解像可能な光活性標識の十分に散在したサブセットを活性化させるように構成され、かつ励起ビームは、サンプルSの活性化部分を励起して蛍光に基づく光子を放出させるように構成される。
【0041】
他の選択肢の実装形態では、1種以上の化学物質を用いてサンプルの蛍光応答を活性化させることが可能である。そのような他の選択肢の実装形態では、サンプルを第1の化学物質に暴露してサンプルの分子の蛍光性散在サブセットを活性化させることが可能であり、続いて、光脱色を用いない場合、第2の化学物質に暴露してサンプルの蛍光を失活させることが可能である。
【0042】
ビームスプリッター150は、任意のタイプの適切な光学素子でありうる。ただし、この光学素子は、光路132および142に沿って光エネルギーを受け取って組み合わせて、かつ組み合わされ混合された光エネルギーを2つ以上の光路152および154(それぞれ本明細書中では「レッグ」とも記す)に沿って光学素子160および170に伝送する。たとえば、ビームスプリッター150は、50:50ビームスプリッターでありうる。この場合、組み合わされた光エネルギーはスプリットされて、組み合わされた光エネルギーの実質的に50パーセントは光路152で伝送され、かつ組み合わされた光エネルギーの実質的に50パーセントは光路154で伝送される。光路132および142からの光エネルギーは、ビームスプリッター150により干渉され混合されるので、光路152に沿って得られる光エネルギーは、光路132および142からの光エネルギー間の相対位相差に基づく。同様に、光路132および142に沿った光エネルギーは、ビームスプリッター150中で干渉され混合されるので、光路154に沿って得られる光エネルギーは、光路132および142からの光エネルギー間の相対位相差に基づき、この相対位相差は、光路152に沿った光エネルギーに関連付けられる相対位相差とは異なる。この実装形態では、光路152に沿って得られる光エネルギーと光路154に沿って得られる光エネルギーとは、位相が約180度異なる。
【0043】
別法として、ビームスプリッター150は、たとえば66:33または70:30など、任意の所望の比でビームを分割することができる。他の実装形態では、ビームスプリッター150は、複数のビームスプリッターの組合せであってよい。そのようなビームスプリッターは、たとえば、2つのガラスセグメントと2つのガラスセグメント間に配設された薄膜コーティングとのブロックから構成可能である。そのようなビームスプリッターは、3つ以上の出力、すなわち、152および154の2つよりも多くの出力を生成することが可能である。これにより、2つのビームの場合の0度および180度ではなく、3つ以上の干渉位相角(たとえば、0度、120度、および240度)で3つ以上の出力ビームを表現することが可能になる。さらに他の実装形態では、薄膜コーティングを有するビームスプリッターに加えてまたはその代わりに、回折グレーティングをビームスプリッターとして使用することが可能であり、かつそれによりビームを2つ以上のビームに分割することが可能である。また、グレーティングにより複数の入力ビームを受け取って、それらを混合して干渉させ、種々の出力ビームを生成することが可能である。いくつかの実装形態では、スイッチャブル散乱中心を有する標識(たとえば、活性散乱特性を有する光スイッチャブル標識)のように実質的に同一の波長で発光する点光源を有するサンプルと組み合わせて、回折グレーティングを使用することが可能である。実質的に同一の波長で発光する点光源を有するそのようなサンプルでは、回折グレーティングにより、入力ビームの波長の関数である比較的狭い偏向角で入力ビームを有利に偏向させることが可能である。
【0044】
他の実装形態では、ビームスプリッターのうちの1つ以上は、回折グレーティングまたは薄膜コーティングの代わりにストライプ状ミラー部分を含みうる。一実装形態では、ストライプ状ミラー部分は、回折次数により画像平面内に再集光されないように、十分に小さいストライプ周期を有する。波長λ、焦点距離f、および画像サイズdの場合、これは、fλ/d未満の周期を意味する。正方形もしくは六角形のポルカドットのような他のパターンを使用することが可能である。しかしながら、画像中のゴースト発生を防止するために、同一条件のポルカドット周期(すなわちfλ/d未満)を保持しなければならない。
【0045】
光学素子130および140のときと同様に、光学素子160および170は、ビームスプリッター150からそれぞれディテクター165および175までそれぞれ光路152および154を画定する任意のタイプの光学素子でありうる。たとえば、光学素子160および170は、光エネルギーがそれぞれディテクター165および175に集束するように、それぞれ光路152および154からの光エネルギーを非平行にするレンズでありうる。いくつかの実装形態では、光学素子130、140、160、および170、ならびに/またはビームスプリッター150のような光学素子のうちの1つ以上は、補償光学素子を含みうる。
【0046】
使用時、サンプルS中の個別画像化標識の統計学的散在サブセットを活性化した後、測定が行われる。以上で述べたように、サンプルS中の標識の統計学的散在サブセットは、適切な技術により、たとえば、光活性化または化学的活性化により、活性化可能である。活性化の後、レーザーのような励起光源によりサンプルSを励起することが可能であり、結果として、サンプルSから少なくとも光路132および142に沿って光子が放出されて光学素子130および140を介してビームスプリッター150に達する。光路132および142からの光エネルギーは、ビームスプリッター150で組み合わされ、そして経路152および154に沿って伝送されてそれぞれ光学素子160および170を介してディテクター165および175に達する。ビーム132とビーム142の光路長の差による位相差により、ビームスプリッター150で干渉が生じ、ディテクター165および175での検出信号の強度を変調する。以下にさらに詳細に説明するように、この変調された強度を使用して、z座標での位置を決定することができる。それに加えて、ディテクター165および175における検出信号は、x、y方向の位置情報をも提供する。検出信号を収集した後、それらの標識からさらなる光信号を検出できなくなるように、サンプルS中の標識の活性化散在サブセットを反復励起により脱色することが可能であり、次に、追加の測定に供すべく、標識のさらなる散在サブセットを活性化し励起することが可能であり、そしてプロセスは反復される。
【0047】
図2は、二位相干渉顕微鏡観察システムおよび単一活性発光体を有するサンプルのシステムブロック図を示している。図2に示されるように、単一量子発光体Sは、z座標に沿って中心位置220から距離δの位置に配置される。単一量子発光体Sは、たとえば、蛍光分子、量子ドット、またはサブ波長散乱中心でありうる。放射光子は、量子発光体Sから上向きにレンズ230中にも下向きにレンズ240中にも逃散可能であり、これらのレンズでは、それぞれ、2つの平行ビーム232および242が形成される。平行ビーム232および242は、それぞれ、ミラー234および244により反射されて、ビームスプリッター250で受光される。
【0048】
2つのビーム経路は、次のように画定される。すなわち、量子発光体Sからミラー234までおよびミラー234からビームスプリッター250までの第1のビーム経路(トップ経路とも呼ばれる)、ならびに量子発光体Sからミラー244までおよびミラー244からビームスプリッター250までの第2のビーム経路(ボトム経路とも呼ばれる)。ミラー234および244ならびにビームスプリッター250は、ビーム経路の長さがほぼ波長レベル内まで一致するように、すなわち、(L+Ltop=(L+Lbottomになるように、量子発光体Sに対して定置される。ただし、z座標に沿った発光体の位置変位δおよびトップビーム経路での90度の位相シフトは除く。式中、Lは、中心位置220とミラー234または244との間の経路長であり、かつLは、ミラー234または244とビームスプリッター250との間の経路長である。
【0049】
この場合、トップビーム経路中の光ビームの電界は、E=A×exp(−ikδ+ikL+ikL+iπ/2)、式中、k=2π/λ、となる。ボトムビーム経路中の光ビームの電界は、E=A×exp(ikδ+ikL+ikL)となる。
【0050】
ビームスプリッター250で受け取られると、光ビームは分割され、組み合わされて、それぞれレンズ260および270を通して2つのディテクター265および275に伝送される。各ディテクター265および270に向かって進む光ビームの1つの光源からの電界は、E12=1/20.5×(E±E)=1/20.5×(A×exp(−ikδ+ik−L+ikL+iπ/2)±A×exp(ikδ+ikL+ikL))となる。
【0051】
この実装形態では、ディテクター265および275は、電荷結合デバイス(CCD)ディテクターまたは(単一蛍光分子に対する感度向上のために)電子増倍電荷結合ディテクター(EMCCD)である。図3に示されるように、ディテクター265で検出される放射光の強度365およびディテクター275で検出される放射光の強度375は、位相4πδ/λを有して正弦パターンで変化する。より具体的には、ディテクター265で検出される放射光の強度365は、I=1/2×(E+E=A×(1+sin(2kδ))である。ディテクター275で検出される放射光の強度275は、I=1/2×(E−E=A×(1+sin(2kδ+π))である。これら2つの式から分かるように、位置変位δが光源位相2kδをもたらし、干渉が干渉位相πをもたらす。次いで、2つの強度式を組み合わせることによって、z方向変位δを計算することができる。すなわち、(I−I)/(I+I)=sin(4πδ/λ)またはδ=λ arcsin((I−I)/(I+I))/4πである。
【0052】
この計算は、図4に示されるような顕微鏡観察システムに一般化することができる。より詳細には、図4は、二位相干渉顕微鏡観察システムおよび延在サンプルのシステムブロック図を示している。図4に示されるように、顕微鏡観察システムは、画像平面がディテクター465および475に画定されるように、顕微鏡対物レンズ430および440ならびにレンズ460および470を含む。サンプルSの任意の点光源は、ディテクター465および475に画定される各画像平面上に分解能限界のスポットを形成するであろう。
【0053】
次に、空間的に一体化されたスポットの強度を用いて、以上に記載の強度式によりサンプルSの点光源のz変位(すなわちz座標位置)を計算することが可能である。CCD、EMCCD、または他の大面積ディテクターを用いることにより、複数の画像スポットを同時に検出することが可能であり、かつサンプル310の各関連部分のz変位δを実質的に同時に確定することが可能である。検出される光信号の位相を1ラジアンの何分の一まで決定することが可能であるので、波長の何分の一よりも良好なレベル(たとえば<20%)で位置情報を決定することが可能である。たとえば、λ=600nmの波長では、δ=50nmに対応する1ラジアン未満まで位置情報を決定することが可能である。そのような干渉システムは、光源発光体のx,y位置もまたナノメートルスケール分解能で測定できるように構成可能である。
【0054】
サンプルSの厚さは、一意的なz座標位置を測定しうる範囲に影響を及ぼす可能性がある。たとえば、図2または4に示される二位相の実装形態では、サンプル210の厚さはλ/4未満であり、その場合、一意的なz座標位置を測定することが可能である。こうした実装形態でのz変位δの感度は、一様でない。言い換えれば、図3および5に示されるように、強度が正弦波の最小または最大の近傍で決定されるような位相の場合、勾配はゼロに近づくので、感度はゼロに近づく。しかしながら、強度が正弦波の最小または最大から離れて決定されるような位相の場合、こうした実装形態での変位δの感度は、測定可能でありゼロではない。
【0055】
図6は、ビーム位相の表現を有する二位相干渉顕微鏡システムのシステムブロック図を示す。この二位相干渉顕微鏡システムでは、0またはπの干渉位相がビームに与えられる。ビーム432は、サンプルの変位により、ビーム442の位相とは異なる位相を有し、出力ビーム452は、位相が異なる成分452’と452’’を含む。ビーム成分452’および452’’は、図6では分離されて示されているが、これは例示を目的としたものであり、当然のことながら、ビーム成分は、互いに同時に存在して干渉する。ビーム成分452’はビーム432に由来し、かつビーム成分452’’はビーム442に由来する。同様に、出力ビーム454は、位相が異なる成分454’および454’’を含む。ビーム成分454’および454’’は、図6では分離されて示されているが、これは例示を目的としたものであり、当然のことながら、ビーム成分は、互いに同時に存在して干渉する。ビーム成分454’はビーム432に由来し、かつビーム成分454’’はビーム442に由来する。この実装形態では、ビーム成分452’とビーム成分452’’の位相差(光源位相2kδと干渉位相0の両方を含む)が、ディテクターCCDφで検出される強度Iを決定し、ビーム成分454’とビーム成分454’’の位相差(光源位相2kδおよび干渉位相πの両方を含む)が、ディテクターCCDφで検出される強度Iを決定する。
【0056】
図7Aおよび7Bは、それぞれ、図6の各ディテクターで検出される所与の出力ビームの成分のビーム強度の位相を表すグラフを示している。図6の出力ビーム452および454は、入力ビーム432および442の成分を含む。図7Aに示されるように、452’および452’’は、出力ビーム452の成分であり、位相差480(光源位相2kδと干渉位相0の組合せ)だけ位相が離されている。図7Bに示されるように、454’および454’’は、出力ビーム454の成分であり、位相差490(光源位相2kδと干渉位相πの組合せ)だけ位相が離されている。これらの位相差の差は、対象物の位置に応じて変化する。図7Aに示されるビームの二乗和は、図7Cに示される強度Iを有するビームを生成し、同様に、図7Bに示されるビームの二乗和は、図7Dに示される強度Iを有するビームを生成する。これらの2つのビームIとIの相対強度が、光源位相を決定し、それにより垂直方向変位δを決定する。
【0057】
他の選択肢の実装形態では、干渉顕微鏡観察システムは、二位相よりも多くの位相を有しうる。たとえば、図8は、三位相干渉顕微鏡観察システムのシステムブロック図を示している。図9は、適切に干渉されて図8の3つのディテクターで検出された場合の点光源からの放射光の強度のグラフを示している。
【0058】
図10および11は、三方向ビームスプリッターの一実装形態を示す。この三位相干渉顕微鏡システムでは、0、2π/3、または4π/3の干渉位相がビームに与えられる。2つの発光ビーム1010および1020は、50−50ビームスプリッティング表面1050に入る。2つの得られた干渉ビームは、上側66:33ビームスプリッティング表面1040および下側ミラー表面1070に進行する。上側ビームのほとんど(66%)は、出力経路1030に入り、33%は、経路1028に進行して、ミラー表面1070から反射されたビーム1024と干渉する。この最終干渉は、50:50ビームスプリッティング表面1052で起こり、第2および第3の出力ビーム1032および1034を生じる。3つの出力間でバランスのとれた三方向干渉(すなわち、出力ビーム1030、1032、および1034に対して類似の振幅)を得るために、ビームスプリッターに対するミラー1070の位置を変化させてギャップ1060のサイズを変化させることにより、干渉ビーム1028および1024の干渉位相を調整することができる。ガラスプリズムの底面上での残留反射率を最小限に抑えるために、ギャップ1060に屈折率整合油を充填することができる。
【0059】
図10A、10B、および10Cは、図10の三方向ビームスプリッター中でビームスプリッティングデバイスとして使用されるストライプ状ミラーを示している。ビーム経路中の望ましくない干渉を低減するために、図10A、10B、および10Cに示される各ストライプ状ミラーは、図10A、10B、および10Cに示される他のストライプ状ミラーに対して回転されている。
【0060】
図10および11は、三方向ビームスプリッターの実装形態を介して対象物および画像平面に関連付けられた波面の伝搬をさらに示している。波面1012および1022を有する発光ビーム1010および1020は、ビームスプリッティング表面1050に入る。波面1012および1022は、サンプルの対象物平面に関連付けられ、かつビームスプリッティング表面1050で互いに干渉される。得られた波面は、三方向ビームスプリッターを通って伝搬する時、ビームスプリッティング表面1040および1052で互いに干渉する。ビームスプリッティング表面1040、1050、および1052は、ビームスプリッティング表面1040、1050、および1052での干渉時に波面の歪みおよび/または広がりに適合するのに十分な表面積を有する。出力ビーム1030、1032、および1034は、1036、1038、および1039の相対位相シフトでビーム1010と1020を組み合わせた状態で三方向ビームスプリッターから送出され、位相シフト1036は、2kδ(光源位相)+0(干渉位相)であり、位相シフト1038は、2kδ(光源位相)+2π/3(干渉位相)であり、位相シフト1039は、2kδ(光源位相)+4π/3(干渉位相)である。これにより異なる強度のビーム1030、1032、および103が得られ、これらは、波面1012および1022のインタクトな干渉形であり、ディテクターの画像平面に伝搬する。
【0061】
図12は、四位相干渉顕微鏡観察システムのシステムブロック図を示している。図13は、図12の4つのディテクターで検出される放射光の強度のグラフを示している。図8〜12は、三位相もしくは四位相の干渉顕微鏡観察システムを有する実装形態を示しているが、四位相よりも多くの位相を有するシステム、たとえば、五位相干渉顕微鏡観察システム、六位相干渉顕微鏡観察システムなども可能である。
【0062】
二位相干渉顕微鏡観察システムでは、たとえば、図2に示される50:50ビームスプリッター250のようなビームスプリッターを使用することが可能であるが、二位相よりも多くの位相を有する顕微鏡観察システム用のビームスプリッター(たとえば、図8に示されるもの)を多様な方法で具現化することが可能である。たとえば、図8に示されるように、ビームスプリッターは、複数の素子、すなわち、2つの50:50ビームスプリッター、66:33ビームスプリッター、およびミラーを含みうる。こうしたビームスプリッター素子は、たとえば、光学ベンチ上に手動で定置することが可能である。他の選択肢として、こうしたビームスプリッター素子を作製して1対の光学平面間に配設することが可能であり、そのようなビームスプリッター素子の位置を、たとえば、圧電トランスデューサーによる調整することが可能である。そのような調整を行えば、3本のレッグの位相シフトを2π/3だけ離したり、またはN本のレッグの実装形態の場合には2π/Nだけ離したりすることを保証できるようになり、しかも、スプリッティング平面の平行性を確保することも保証できるようになる。三方向ビームスプリッターの代替の実装形態が図8Aに示される。
【0063】
図8Bは、八方向ビームスプリッターのシステムブロック図を示している。図8Bに示されるように、ビームスプリッターは、複数のビームスプリッター素子を含む。それらはいずれも、破線で表されている。図8Bは、8本の出力ビームを生成する16個のビームスプリッター素子を有するビームスプリッターを明示的に示しているが、当然のことながら、N本の出力ビームを生成するより多数もしくはより少数のビームスプリッター素子の場合にもこの基本構造に従うことが可能である。こうしたビームスプリッター素子は、0〜100%の範囲内の反射率を有しうる。透過率は公称でありうる。ビームスプリッター素子の表面が実質的に互いに平行である場合、ビームの実質的に全部(またはビームの一部)(直径Dを有する)は、元の入力ビームAおよびBの反射ビーム部分またはそれらからスプリットされた他のビーム部分にコヒーレントに干渉可能である。ビームスプリッター素子の表面は、実質的に平行でありうる。たとえば、それぞれ、<λ/Dの角度の範囲内である。また、ビームスプリッター素子は、入力ビームのコヒーレンス長λ/(nΔλ)の範囲内で等しく離間される。ただし、λは波長であり、Δλは波長の範囲であり、かつnは媒体の屈折率である。この隔間により、干渉は、対象のビーム波長範囲dlにわたり実質的にコヒーレントであることが保証される。入力ビームAおよびBは、A−Bがビームスプリッターの平面に対して法線方向のベクトルになるように方向ベクトルを有してビームスプリッターに入る。両入力ビームは、第1のビームスプリッター素子上の同一点に向けられる。ビームスプリッターが平行平面構造であれば、ある範囲内のビーム角で自己干渉が可能になり、このビーム角範囲は、たとえば、いわゆるCCDディテクター(図8Bには示されていない)の画像平面上に集束する前のビームの平行部分の画像に関連付けられる角度範囲に対応しうる。いくつかの実装形態では、1本だけの入力ビーム(たとえば入力ビームAまたは入力ビームB)が適用される場合、N本の出力ビーム(図8Bはn=8の場合を示す)に実質的に等しくスプリットされることが保証されるように、各ビームスプリッター素子の反射率およびビームスプリッター素子間の微細間隔(コヒーレンス長未満であるが干渉角を制御するのに十分である)を変化させることが可能である。さらには、いくつかの実装形態では、入力ビームAと入力ビームBとの間の干渉角を360度/Nの異なる間隔に設定することが可能である。したがって、N=8である図8Bに示される例では、45度、90度、135度の間隔に設定することが可能である。
【0064】
以上に述べたように、いくつかの実装形態では、1つ以上のビームスプリッターは、薄膜コーティングを有するビームスプリッターの代わりに回折グレーティングに基づくものでありうる。たとえば、図14は、回折グレーティングを有する四位相干渉顕微鏡システムのシステムブロック図を示している。この実装形態では、ビームスプリッター1450は、回折グレーティング1451〜1454と、ミラー1462および1464と、位相シフター1472および1474と、を含む。回折グレーティング1451および1452は、それぞれ、ミラー1434および1444から光エネルギーを受け取る。回折グレーティング1451は、受け取った光エネルギーを分割し、分割部分をミラー1462および位相シフター1472に伝送する。回折グレーティング1452は、受け取った光エネルギーを分割し、分割部分をミラー1464および位相シフター1472に伝送する。回折グレーティング1453は、ミラー1462および位相シフター1474から光エネルギーを受け取って混合し、混合された光エネルギーを分割し、各分割部分を異なるディテクターに伝送する。同様に、回折グレーティング1454は、ミラー1464および位相シフター1472から光エネルギーを受け取って混合し、混合された光エネルギーを分割し、各分割部分を異なるディテクターに伝送する。図15は、回折グレーティングを有する六位相干渉顕微鏡システムのシステムブロック図を示している。
【0065】
いくつかの実装形態では、スイッチャブル光源から放出された光エネルギーへの特定の光エネルギーの寄与を低減または防止するために、分光フィルター(たとえば、帯域幅フィルター、ローパスフィルター、またはハイパスフィルター)を光路中に配設することが可能である。たとえば、光路内の迷光およびノイズならびにディテクターに向かう伝搬を低減するために、光活性化時および/または光励起時に使用される光エネルギーを光路から除去することが可能である。
【0066】
いくつかの実装形態では、光路に沿った1つ以上のサンプル、対物レンズ、ミラー、光学素子、ビームスプリッター、レンズ、分光フィルター、および他の要素を、圧電アクチュエーターなどの多軸ポジショナーに個別に結合させることが可能である。そのような多軸ポジショナーを用いれば、自動もしくは非自動の校正および定置が可能になる。このほかに、そのような多軸ポジショナーを用いれば、定置および校正に関してマニュアル法よりも精度および確度を改良することが可能である。
【0067】
干渉計システムの構成時ならびにその定置およびアライメントのためのガイドとして、2つの入力ビーム経路中に組み込まれたシャッターを有することが有用なこともある。これにより、各経路からの画像を独立して観測し、各経路が最適に焦点調整されていることを確認することが可能である。さらには、2つの部分の画像を観測できるので、両ビームに対してシャッターを開いた時に最適な干渉で重畳されるように、一方の画像を他方の画像に対して移動させることが可能である。
【0068】
二位相よりも多い位相を有する他の選択肢の実装形態では、感度は位相不変でありうる。それに加えて、一意的な動作範囲をλ/2まで拡張することが可能である。変位が大きくなると、λ/2を法とする位置あいまい性を生じるであろう。これは、たとえば、空間領域および時間領域の両方でまたはサンプルのセクション化で選択的照射(励起または活性化)を行うなどの追加の技術を用いて、除去可能である。三位相または四位相干渉計測を行うそのような実装形態では、たとえば、サンプルの測定部分の位置は、以下の強度により決定される。すなわち、Iij=G×(AUi+ALi+2×β×AUi×ALi×cos((φ+φ)+Ofs)であり、式中、j=0、1、2、・・・は、多位相干渉計のレッグを表し、I=点光源のj番目のレッグの強度(オフセット補正なし)であり、j=j番目のレッグの干渉補正因子であり、G=j番目のレッグのゲインであり、Ofs=j番目のレッグのオフセットであり、AUi=i番目の点光源の上側対物レンズの振幅であり、ALi=i番目の点光源の下側対物レンズの振幅であり、φ=j番目のレッグの位相シフト(これは干渉位相である)であり、φ=光路長の差による点光源(すなわち蛍光分子)の位相である。
【0069】
暗校正(AUi=ALi=0)により、j番目のディテクターからの暗信号を決定することができる。すなわち、Ioj=G×Ofs、Iij=G×(AUi+ALi+2×β×AUi×ALi×cos(φ+φ)+Ofs)である。全体の振幅は、ATi=AUi+ALiである。再スケール調整された干渉部分は、X=2×AUi×ALi/ATiである。したがって、これらの変数を用いれば、強度は以下のようになる。Iij=Ioj+G×ATi(1+β×X×cos(φ+φ))
【0070】
z方向に沿って基準光源をδだけ移動させる校正を用いて、残りの装置パラメーターG、β、およびφを決定することができる。これにより、位相φf(z)が約4×π/(nλ)δ(z)だけ回転されている三位相の場合、図7と同様に各レッグにおいて振動する強度信号が得られる。ここで、nは、シフト経路長を有する媒体(たとえば液浸油)の屈折率である。
【0071】
そのような一群の校正データへのあてはめを行えば、参照基準で発光基準の干渉部分Xおよびその強度ATi=Iを用いて各レッグjに対して以下の式が決定され、装置パラメーターG、β、およびφがここで決定される。そのような校正は、位相シフト値が正確に120度(3本のレッグに関して)または2π/N(N本のレッグに関して)でない場合に有用となることがある。
fj(z)=Ioj+G×I(1+β×X×cos(φ(z)+φ))
、βは、基準単位、すなわちI=1およびX=1およびα=ATi/Iに規格化することによって定義することができる。
ij=Ioj+G×ATi(1+β×X×cos(φ+φ))
ij=(Iij−Ioj)/(G×I) 再スケール調整された強度データ
ij=α×(1+β×X×cos(φ+φ))
【0072】
図26は、自動校正法を用いる多位相干渉顕微鏡システム用の校正プロセス2600のフロー図を示している。2610では、サブ回折基準などの発光体をz方向内の種々の位置で画像化して画像フレームシーケンスを生成する。2610でのこのプロセスは、サブプロセス2611および2612を含み、サブプロセスをz方向内の種々の位置に対して反復して画像フレームシーケンスを生成する。2611では、干渉顕微鏡システム中の各ディテクターで発光体の画像を取り込む。各ディテクターで取り込まれた画像フレームは、他のディテクターで取り込まれた画像フレーム中の情報に対して位相シフトされた位相関連特性(たとえば、j番目のディテクターのφβ)を含む。2612で発光体のz位置をインクリメントし、2611をN回反復して画像フレームシーケンスを生成する。画像フレームシーケンス中の各画像フレームは、発光体の発光分布に関連するx,y平面内の光エネルギー強度に基づく。
【0073】
2621では、発光体の発光分布を所定の分布にあてはめてx,y平面内の発光体発光分布を位置特定する。たとえば、特定の発光体は、ガウス分布に正確にあてはめることが可能な発光分布を有する。そのようなガウス分布により、たとえば、発光体の画像の点広がり関数の尤度を表すことが可能である。2622では、画像フレーム中に組み込まれた基準を用いてドリフトに関して画像フレームを補正する。次に、2623でドリフト補正フレームを変換して、x,y平面内の画像フレーム中に基準をアライメントした変換フレームを生成する。
【0074】
2624では、z方向における各位置に対して各イメージディテクターで取り込まれた画像フレームを和分して和分画像を生成する。和分画像は、各ディテクターにより取り込まれた位相シフト画像フレームの合成体である。2625では、和分画像を所定の分布にあてはめてx,y平面内の発光体の中心を決定する。
【0075】
2626で変換フレームをガウス分布のような所定の分布にあてはめ、そして2625で決定されたx,y平面内の発光体の中心で各フレーム中の発光体発光分布の振幅を測定する。発光体の中心は、たとえば、発光体の位置の尤度を表すガウス分布(たとえば、三次元分布)の図心に基づきうる。2627では、発光体発光分布の振幅を2624で決定された和に規格化する。各画像に対して2627で決定された規格化振幅および関連z位置を2628で記録する。たとえば、各フレームに対する規格化振幅および関連z位置をルックアップテーブル内に記憶するかまたは上述の式によりパラメーター化してφおよびβを決定することが可能である。
【0076】
以下の式は、干渉顕微鏡観察システムにより収集された強度データから光源のz変位δ(すなわち、サンプルの相対z座標位置)を決定しうることを説明するものである。
【0077】
校正が終了した後、データをスケール調整することが可能であり、その場合、干渉計の各出力ビームに対する値βおよびφもわかる。j個の式:Dij=α×(1+β×X×cos(φ(z)+φ))を用いて軸方向に沿った発光体の位置を決定することが可能である。したがって、i番目の分子の強度に関する3つ以上のデータ値Di0、Di1、Di2、…から、3つの未知の値:α、X、および(最も興味深い)φ(z)を決定するための3つ以上の式が得られる。3つの位相だけが存在する場合、3つの式からこれらの3つの未知量の一意解が得られるであろう。この値、特にφの値は、たとえば、ニュートン法により解くことが可能である。
【0078】
3つの位相よりも多くの位相が存在する場合、4つ以上の式から3つの未知の値を決定することが可能であり、連立方程式は制約過剰である。その場合、未知量の最良値は、χ最小化法を用いて決定可能である。これは、次式の誤差を最小化にすることによる。χ=Σ[Dij−α(1+βcos(φ+φ))]
【0079】
十分にバランスの取れた干渉計システム(カメラ間の位相シフト増分、均等化ゲイン、および均等化干渉効率を意味する)の近似として、次式により与えられるφの最良値を得ることができる。tan(φ)≒−Σijsin(φ)/Σijcos(φ
【0080】
i番目の発光体の位相φがわかった後、z軸に沿った垂直方向位置(z方向変位)δを次式によって第一近似で推定することができる。nがサンプル環境の屈折率であることに留意されたい。δ≒λ×φ/(4πn)=λ/(4πn)×atan(Σijsin(φ)/Σijcos(φ))
【0081】
変位δについて解くこの最後の式は、強度データから決定される位相シフトを記述する。言い換えれば、この最後の式は、干渉顕微鏡システムの各レッグに対するディテクターで検出された強度データに基づいてどのように変位δを計算するかを示している。たとえば、三位相干渉顕微鏡システムでは、(φ)≒−2π/3、0、2π/3である。四位相干渉顕微鏡では、(φ)≒0、π/2、π、3π/2である。
【0082】
変位δを計算するための以上の式は、種々の仮定に基づいていることに留意されたい。他の選択肢の実装形態では、他の仮定を用いて、変位δを計算するための1つ以上の代替手段を得ることが可能である。たとえば、高次の補正を実数部から計算することが可能であり、これにより、各干渉計レッグのN位相が等間隔で離間されるかまたは干渉計レッグの感度が等しいという近似が取り除かれる。他の選択肢の実装形態は、バランスがとれていない強度感度および位相混合角を校正および補正するための手段を提供するさらなる精密化を含みうる。
【0083】
要約すると、N位相干渉計のN個のスポット強度は、垂直方向位置変位δに変換可能なデータDになる。
【0084】
φは周期解であるので、全2πに対して、一意的に決定可能な範囲は、λ/2nにわたる。これより厚いサンプルでは、δを決定するうえで、整数Nに対して±Nλ/2nだけあいまい性が存在する。測定される点広がり関数および干渉効率のような他の属性を用いて、可能性が最も高いNを見いだしたりまたは多値解の最良値を選択したりすることが可能である。事実上、デフォーカスの範囲は、発光体が位置する場所でλ/2n以内で推定するための代替的でそれほど精密ではないが適切な方法である。これを干渉計測により推定された位置と組み合わせることにより、発光体の一意的な垂直方向位置を得ることが可能である。垂直方向位置を推定する際のさらなる検討対象の一つは、ほぼRayleigh長の距離zにわたり焦点でπだけ余分に前進させる余分項であるGouy位相を考慮することである。この場合、δは、次式を解くことにより与えられる。φ≒4πδ/(nλ)+atan(δ/z
【0085】
図27は、多位相干渉顕微鏡システム内の光活性サンプルの三次元位置情報を取得するためのプロセスのフロー図を示している。工程2710では、サブ回折基準などの種々のスイッチャブル光源を画像化させて画像フレームシーケンスを生成する。工程2710は、サブ工程2711および2712を含み、これらのサブ工程を繰返し行って、蛍光標識の様々な散在サブセットを活性化および励起し、画像フレームシーケンスを生成する。工程2711で、光源(図28に図示および説明されるものなど)からの光エネルギーを使用してスイッチャブル光源を活性化および励起する。工程2712では、干渉顕微鏡システム中の各ディテクターで画像フレームを取り込んで、工程2711をN回反復して画像フレームシーケンスを生成する。各ディテクターで取り込まれた画像フレームは、他のディテクターで取り込まれた画像フレーム中の情報に対して位相シフトされた位相関連特性を含む。画像フレームは、スイッチャブル光源の発光分布に関連するx,y平面内の光エネルギー強度に基づく。
【0086】
工程2721では、スイッチャブル光源の発光分布を所定の分布にあてはめてx,y平面内のスイッチャブル光源の発光分布を位置特定する。たとえば、特定のスイッチャブル光源は、ガウス分布に正確にあてはめうる発光分布を有する。そのようなガウス分布は、たとえば、発光体の画像の点広がり関数を表すことが可能である。工程2722では、画像フレーム中に組み込まれた基準を用いてドリフトに関して画像フレームを補正する。次に、ドリフト補正フレームを工程2723で変換して、x,y平面内の画像フレームシーケンスの画像フレーム中に基準をアライメントした変換フレームを生成する。
【0087】
工程2724では、z平面内の各位置に対して各イメージディテクターで取り込まれた画像フレームを和分して和分画像を生成する。工程2724で、各画像ディテクターで取り込まれた変換された画像フレームが重ね合わされて、足し合わされる(すなわち、和の合計は、三位相システムに関しては、第1のディテクターでの画像+第2のディテクターでの画像+第3のディテクターでの画像であり、三位相において、そのような足し合わされた三つ組が多数存在しうる)。和分画像は、各ディテクターにより取り込まれた干渉画像フレームの合成体である。工程2725では、和分画像を所定の分布にあてはめてx,y平面内のスイッチャブル光源の中心を決定する。
【0088】
変換フレームをガウス分布のような所定の分布にあてはめ、工程2725で決定されたx,y平面内のスイッチャブル光源の中心で、各フレーム中のスイッチャブル光源の発光分布の振幅を測定する(工程2726)。発光体の中心は、たとえば、発光体の位置の尤度を表すガウス分布の図心に基づきうる。工程2727で、スイッチャブル光源のディテクターそれぞれへの発光分布の振幅を、工程2724で決定された和に規格化する。工程2728で、工程2727で決定された規格化振幅を使用して、前の工程2628で記録された校正データと相関付けることにより、スイッチャブル光源のz座標を取得する。そのような校正データは、たとえば、ルックアップテーブルに記憶することができる。z座標は、たとえば、[CA(z)−PA+[CA(z)−PA+[CA(z)−PA+・・・+[CA(z)−PAの最小χを求めることによって、規格化振幅に基づいて計算することができ、式中、Nは、システム中のディテクターの数であり、CA(z)は、z座標での特定のサンプル位置に対して校正時に決定されたディテクターiにおける規格化ピーク光エネルギー強度振幅であり、PAは、現在のPALM画像フレームから決定されたディテクターiにおける規格化ピーク光エネルギー強度振幅である。
【0089】
他の実装形態では、干渉顕微鏡観察システムは、第3の次元zによって異なる経路長差をさらに生成する発光ビームの異なる部分を使用しうる。そのような他の選択肢の実装形態について図16〜22に関連させて論述する。より詳細には、図16は、2つの異なる潜在位置の単一量子発光体の概念図を示しており、図17および18は、単一の対物レンズを有する三位相干渉顕微鏡観察システムのシステムブロック図の例を示しており、図19〜21は、図18のアニュラーエキスパンダーの例を示しており、図22は、図17の3つのディテクターで検出される放射光の強度のグラフを示している。これらの図について以下で論述する。
【0090】
図16は、2つの可能な位置の単一量子発光体の例を示している。そのような量子発光体は、たとえば、蛍光分子、量子ドット、またはサブ波長散乱中心でありうる。放射光子(波長λ)は、図17に示される対物レンズから離れる下方向および図17に示される対物レンズ中に入る上方向などの全方向に伝搬する。対物レンズ中に伝搬する放射光子のエネルギー部分は、ほぼ等しい強度の2つの平行ビーム、すなわち、「B」と記された内側円柱状ビームおよび「C」と記された外側環状ビーム標識化とみなしうる。内側ビーム部分Bおよび外側ビーム部分Cのサイズは、それらの強度が実質的に等しくなるように選択可能であり、そのような実質的に等しい強度は、ビームの非線形強度プロファイルに基づいて異なるビーム部分領域に対応する(たとえば、ビームエネルギーのピークは、ビームの縁に向かって減少する強度を有するビームの中心にある)。たとえば、「B」と記された内側ビーム部分は、全ビーム半径のほぼ1/3に等しい半径を有しうる。「C」と記された外側ビーム部分は、内側ビーム部分「B」の半径に対応する内半径と全ビームの半径に対応する外半径とを有しうる。
【0091】
サンプルが、正確に焦点が合っている場合、これらのビーム部分は、一致して同位相である(図16の左側に示されるように)。しかしながら、発光体の位置変位Δzが存在する場合(図16の右側に示されるように)、位相ビーム部分BおよびCは、それぞれ、ΔinnerおよびΔouterだけ変位する。ただし、ΔinnerはΔzに等しく、ΔouterはΔz×cos(θ)に等しい。位相ビーム部分BおよびCのこの変位は、外側ビーム部分Cのほうが少ない光路変化を受けてcos(θ)倍になるという事実に基づく。ただし、θは、発光体からの光線の初期円錐角である。したがって、2つのビーム間の位相シフト差が残り、これは次の値に等しい。δ=2π(Δinner−Δouter)/λ=Δz×(1−cos(θ))×2πn/(λ)
【0092】
位相が360度にわたり増加し反復するz範囲は、λ/(n(1−cos(θ))である。この単一対物レンズの実装形態に対するこのz範囲は、図1〜11に関連して以上で述べた対向する対物レンズの実装形態のz範囲よりも長い。発光体の周りの光学環境の屈折率nは、位相シフトを再スケール調整する。単一対物レンズシステムの実装形態については、図17〜20に関連して以下でより詳細に論述する。
【0093】
図17は、単一の対物レンズを有する三位相干渉顕微鏡観察システムのシステムブロック図の例を示している。図18は、図17に示されるビームスプリッター/アニュラーリバーサーシステムのシステムブロック図の例を示している。図17に示されるように、干渉顕微鏡観察システムは、対物レンズ1730と、ミラー1744と、ビームスプリッター/アニュラーリバーサーシステム1740と、ミラー1756と、ビームスプリッター1754、1755、および1758と、レンズ1760、1770、および1780と、ディテクター1765、1775、および1785と、を含む。図18に示されるように、ビームスプリッター/アニュラーリバーサーシステム1740は、ビームスプリッター1741と、ミラー1742〜1747と、アニュラーエキスパンダー1748と、アニュラーリデューサー1749と、を含む。
【0094】
アニュラーエキスパンダー1748は、所与の半径を有する光を受光して光の半径を拡大する任意のタイプのデバイスでありうる。たとえば、アニュラーエキスパンダー1748は、ミラー1742からの光の内側円柱状ビームを受光することが可能であり(断面形状は、図17を参照して論述された内側ビーム「B」に類似している)、より大きい外径を有する環形状を有する光を生成することが可能である(たとえば、断面形状は、図17を参照して論述された外側ビーム「C」に類似している)。同様に、アニュラーリデューサー1749は、所与の半径を有する光を受光して光の半径を縮小する任意のタイプのデバイスでありうる。たとえば、アニュラーリデューサー1749は、ミラー1742からの光の外側環状ビームを受光することが可能であり(断面形状は、図17を参照して論述された外側ビーム「C」に類似している)、より小さい内径を有する内側円柱形状(またはより小さい環形状)を有する光を生成することが可能である(たとえば、断面形状は、図17を参照して論述された内側ビーム「B」に類似している)。
【0095】
図19〜21は、図18に示されるアニュラーエキスパンダーの例を示している。より詳細には、図19は、図18に示されるアニュラーエキスパンダーの断面図を示しており、図20は、図18に示されるアニュラーエキスパンダーの端面図を示しており、そして図21は、図18に示されるアニュラーエキスパンダーの6つのプリズム素子のうちの3つの斜視図を示している。図19〜21に示されるように、アニュラーエキスパンダー1748は、アニュラーエキスパンダー1748の中心線の近傍に離間して配置された6つのプリズム1748a〜1748fを有する。ただし、6つのプリズム1748a〜1748fの一方の端は、6つのプリズム1748a〜1748fの他方の端によりまとめて画定される環状多面表面のサイズとは異なるサイズを有する環状多面表面をまとめて画定する。図19に示されるように、光は、より小さい環状多面表面を画定するプリズム1748a〜1748fの端に入り、そしてより大きい環状多面表面を画定するプリズム1748a〜1748fの端から出る。図20は、より大きい環状多面表面から、より小さい環状多面表面に向かって、ページ中の方向に見たアニュラーエキスパンダー1748の端面図を示している。明示的に示されていないが、アニュラーリデューサー1749は、アニュラーエキスパンダー1748と同様に構成される。ただし、光は、より小さい環状多面表面を画定するプリズムの端に入り、そしてより大きい環状多面表面を画定するプリズムの端から出る。
【0096】
次に、図17および18に戻って、システムを介して伝搬する光を参照しながら、三位相干渉顕微鏡観察システムについて説明する。図17に示されるように、エネルギーは、サンプル(図17中で「S」と記される)から放射され、そしてミラー1744によりビームスプリッター/アニュラーリバーサーシステム1740の方向に反射される。ビームスプリッター/アニュラーリバーサーシステム1740の50:50ビームスプリッター1741(図17に示される)は、光の一部をミラー1742に伝送し、光の残りの部分をミラー1743に伝送する。光を2つのビーム部分に分離するために、ミラー1742は、外側ビーム部分Cをミラー1745の方向に反射するとともに、内側ビーム部分のビームBをミラー1744の方向に反射する。ミラー1745および1744は、それぞれ、外側ビーム部分Cおよび内側ビーム部分Bを、それぞれ、アニュラーエキスパンダー1748およびアニュラーリデューサー1749の方向に反射する。アニュラーエキスパンダー1748は、受光した光をミラー1746の方向に拡大し、このミラーは、拡大された光をビームスプリッター1754の方向に反射する(図17に示される)。同様に、アニュラーリデューサー1749は、その受光した光の半径をミラー1747の方向に縮小し、このミラーは、縮小された光を50:50ビームスプリッター1754の方向に反射する。
【0097】
50:50ビームスプリッター1754は、ミラー1746および1747から受光した光の半分を66:33ビームスプリッター1755の方向に反射し、光の残りの半分をミラー1756に伝送する。50:50ビームスプリッター1754も同様に、ミラー1743からの受光した光の半分をミラー1756の方向に反射し、光の残りの半分を66:33ビームスプリッター1755に伝送する。66:33ビームスプリッター1755は、受光したビームの33%を50:50ビームスプリッター1758の方向に反射し、受光したビームの残りの66%をレンズ1760の方向に伝送する。ミラー1756は、受光したビームを50:50ビームスプリッター1758の方向に反射するとともに余分の位相シフトを追加する。50:50ビームスプリッター1758は、ミラー1756から受光したビームの50%をレンズ1780の方向に反射し、ミラー1756から受光したビームの50%をレンズ1770の方向に伝送する。50:50ビームスプリッター1758も同様に、66:33ビームスプリッター1755から受光したビームの50%をレンズ1770の方向に反射し、66:33ビームスプリッター1755から受光したビームの50%をレンズ1780の方向に伝送する。
【0098】
光路長に差が存在するように、50:50ビームスプリッター1754および1758、ミラー1756、ならびに66:33ビームスプリッター1755を配置しうることに留意されたい。より詳細には、50:50ビームスプリッター1754および1758ならびに66:33ビームスプリッター1755の間の光路距離xは、50:50ビームスプリッター1754および1758ならびにミラー1756の間の距離x+δbeamsplitterよりも短くすることが可能である。たとえば、2つの距離間の光路差δbeamsplitterを波長λの1/8になるように選択することが可能でありかつ波長λが580nmであると仮定すると、2つの距離間の差δbeamsplitterは、72nmに選択可能である。
【0099】
レンズ1760に伝送されたビーム、レンズ1770に伝送されたビーム、およびレンズ1780に伝送されたビームは、それぞれ、実質的に等しい振幅を有する。レンズ1760、1770、および1780は、それぞれ、それぞれのビームをディテクター1765、1775、および1785に集束させる。3つのディテクター1765、1775および1785での発光画像の強度は、光源位相(すなわち、サンプルのz位置)の関数として変化する。なぜなら、3つのディテクター1765、1775、および1785間の相対強度は、約120度の位相シフトを有するからである。図22は、図17に示される3つのディテクターで検出される放射光の強度のグラフを示している。3つのディテクター1765、1775、および1785により検出される強度をモニタリングすることにより、内側ビーム部分Bおよび外側ビーム部分Cの間の初期オフセットの位相シフトは、図1〜11に関連して先に記載したように推定可能である。
【0100】
この光源位相シフトδを用いて発光体のz位置を計算することが可能である。Δz=δλ/(n(1−cos(θ))
【0101】
いくつかの実装形態では、校正技術を用いて、ディテクターのバランスがとれていない強度感度および位相混合角を補正することが可能である。図17〜22に示される実装形態は、約120度の位相シフトを有する3つのディテクターに対して記述したものであるが、異なる数のディテクターを有する他の実装形態が可能である。さらに他の実装形態では、画像化スポット形状を用いて、いかなる周期的あいまい性または位置あいまい性をも解消することが可能である。他の選択肢として、位置計算用の追加情報として画像化スポット形状を使用することが可能である。
【0102】
図23〜25は、アニュラーエキスパンダーの例を示している。より詳細には、図23は、アニュラーエキスパンダーの端面図を示しており、図24は、ラインXX−XXに沿った図23のアニュラーエキスパンダーの断面図を示しており、図25は、ラインXXI−XXIに沿った図23のアニュラーエキスパンダーの断面図を示している。図23〜25に示されるように、アニュラーエキスパンダー2300は、6つのプリズム2310a〜2310fと、6つのミラー2320a〜2320fと、6つのミラー2330a〜2330fと、を有する。プリズム2310a〜2310fは、アニュラーエキスパンダー2300の中心線の近傍に離間して配置される。ただし、6つのプリズムの一方の端は、6つのプリズムの他方の端によりまとめて画定される環状表面のサイズとは異なるサイズを有する環状表面をまとめて画定する。ミラー2320a〜2320fは、アニュラーエキスパンダー2300の中心線の近傍にかつ6つのプリズム2310a〜2310fにより画定される内側中央部分内に配置される。ミラー2330a〜2330fは、アニュラーエキスパンダー2300の中心線の近傍にかつ隣接プリズム2310a〜2310f間の間隙により画定される外側部分の近傍に配置される。
【0103】
図24に示されるように、各プリズム2310は、入射面2310’および出射面2310’’を含む。入射面2310’は、出射面2310’’に平行であり、かつそれよりも小さい内半径および外半径を有する。各プリズム2310はまた、全内部反射(TIR)の条件が満たされるように、入射面2310’および出射面2310’’に対して角度を付けた2つの側壁2310’’’および2310’’’を含む。したがって、光は、入射面2310’で各プリズム2310に入り、側壁2310’’’でTIRによる反射および側壁2310’’’’でTIRによる反射を受け、次に、出射面2310’’から出る。このようにすれば、アニュラーエキスパンダー2300を出る時に入射光の半径を拡大することが可能になる。
【0104】
図25に示されるように、ミラー2320a〜2320fは、それぞれ、アニュラーエキスパンダー2300の中心線に沿ってかつその近傍でミラー2330a〜2330fの方向に外向きに光を反射する。ミラー2330a〜2330fは、隣接プリズム2310a〜2310fにより画定される間隙間に受光した光を反射する。たとえば、ミラー2320aは、アニュラーエキスパンダー2300の中心線の近傍で光の一部をミラー2330aの方向に反射し、ミラー2330aは、プリズム2310aおよびプリズム2310bとの間に画定された間隙間にこの光を反射する。全体として、これにより光の中央部分を拡大して、増大されたスループットを提供することが可能になる。
【0105】
明示的に示されていないが、アニュラーリデューサーは、アニュラーエキスパンダー2310と同様に構成することが可能である。ただし、光は、より大きい環状表面を画定するプリズムの端に入り、より小さい環状表面を画定するプリズムの端から出る。図19〜20および23〜25に示される実装形態は、特定の屈折素子および/または反射素子を用いて示されているが、他の実装形態および配置、たとえば、回折素子またはそれらの任意の組合せを有する実装形態も可能である。
【0106】
一意の垂直位置の決定
上述したように、φは循環解であり、したがって一意に決定可能な範囲は、2πごとにλ/2nである。したがって、初めに、取り得るz方向位置δの組が上述したように決定され、装備に応じて上述の一般式によって与えられる。たとえば、2つの対物レンズを有するシステムに関して、取り得るz方向位置の組に関する一般式は、δ≒λ×φ/(4πn)=λ/(4πn)×atan(Σijsin(φ)/Σijcos(φ))である。図28〜40Bに関して以下に論じるように、上述したシステムおよび方法は、取り得る位置の組の中から第3の直交次元(z次元)での光源の位置を決定するように修正することができる。
【0107】
図28を参照すると、多位相干渉顕微鏡観察装置2800が、サンプル2804に光学的に結合された光駆動システム2802と、干渉システム2806と、少なくとも2つのディテクター2808、2810、2812と、少なくとも2つのディテクター2808、2810、2812に接続された制御装置(たとえばプロセッサー)2814とを含む。少なくとも2つのディテクター2808、2810が示されているが、干渉システム2806の幾何形状によっては追加のディテクター(ディテクター2812など)を使用することもできる。
【0108】
本明細書の残りの部分を通じて、座標系を説明するときには以下の慣例に従う。2つの座標系または基準フレームを使用する。第1の座標系は、サンプル(または対象物)座標系であり、これは、サンプルの位置での静止座標系である。サンプル座標系は、サンプル位置での一組の直交次元、すなわち、第1のサンプル次元2816(x次元とも呼び、紙面から出る方向に向かう)と、第2のサンプル次元2818(yサンプル次元とも呼ぶ)と、第3のサンプル次元2824(z次元または垂直次元とも呼ぶ)とによって定義される。また、第1および第2のサンプル次元2816、2818を横方向次元とも呼び、第3のサンプル次元2824を軸方向次元とも呼ぶ。第2の座標系は、ビーム座標系であり、これは、ビームと共に移動する移動可能な座標系である。ビーム座標系は、ビーム伝搬方向と、ビーム伝搬方向に対して横方向または垂直である2つの方向とによって定義される。
【0109】
サンプル2804は、概して、第1の直交サンプル次元2816と第2の直交サンプル次元2818によって定義されるサンプル平面に沿って延在する。光駆動システム2802は、サンプル2804内の光源が複数の光路に光ビームを放出するように、具体的には2つの正反対の光路または光伝搬方向2820、2822に沿って第1および第2の光ビームを放出するように構成され、これらの光伝搬方向2820、2822は、第3の直交サンプル次元2824と概して平行であり、光学素子2840、2844の対物レンズ内部で対物レンズを通過した後に干渉システム2806に向けられる。光駆動システム2802は、サンプル2804に光学的に結合され、サンプル2804内のスイッチャブル光源のうち十分に統計的に散在するサブセットを活性化するように構成される。活性化は、光源が少なくとも回折限界距離だけ離隔されるように、制御された散在する活性標識密度を生成する任意の活動であってよい。したがって、この離隔距離にするには光源が少なすぎる場合には、活性化によって光源を追加することができ、あるいは、光源が多すぎて、回折限界距離未満で離隔されている場合には、活性化を減少することによって光源を減らすことができる。また、システム2802は、活性化されたスイッチャブル光源を励起することもでき、それにより光ビームは、活性化されたスイッチャブル光源から複数の光路に沿って、具体的には干渉システム2806に交差する光路2820、2822に沿って放出される。
【0110】
したがって、光駆動システム2802は、活性化ビームをサンプル2806に照射する第1のレーザーと、サンプル2804内の活性化されたスイッチャブル光源を励起ビームによって励起する第2のレーザーとを含むことができる。他の実装形態では、光駆動システム2802は、活性化源および/または励起源として動作する発光ダイオードおよび白熱灯の1つまたは複数を含むことができる。光駆動システム2802は、ディテクター2808、2810、2812に達するノイズの量を減少させるために、サンプル2804から放出される光ビームの波長とは異なる波長で動作する。
【0111】
干渉システム2806は、光源から放出された第1および第2の光ビームを受け取り、第1および第2の光ビームをそれぞれ2つ以上の分割ビームに分割し、分割ビームの少なくとも2つ以上を組み合わせて複数の合成ビームを形成し、合成ビームが、それぞれの光路(またはビーム伝搬方向)2830、2832、2834に沿って送られるように構成される。各合成ビーム(光路2830、2832、2834に沿って進む)は、2つ以上の分割ビーム間の干渉を含み、これは、光源の位置に対する光ビームの光路長の差による光ビーム間の位相差によって少なくとも部分的に引き起こされる。干渉システム2806は、上述したビームスプリッター、たとえばビームスプリッター150、250、または1050、あるいは図8、8A、8B、10、11、12、14、15、17、および18に示されるビームスプリッターのいずれであってもよい。
【0112】
装置2800は、光学素子2840、2844を含み、これらは、サンプル2804から干渉システム2806へのそれぞれの光路2820、2822を定義する任意のタイプの光学素子であってよい。各光学素子2840、2844は、1つまたは複数のミラー、レンズ、または対物レンズを含むことができる。各光学素子2840、2844は、サンプル2804内の光源から放出された光エネルギーを平行化するレンズまたは対物レンズを含むことができる。上述したように、光学素子2840、2844の1つまたは複数がアパーチャーを含むことができ、このアパーチャーを通して光駆動システム2802からの光エネルギーをサンプル2804に照射することができると共に、光駆動システム2802の励起レーザーからディテクター2808、2810、2812に向かって進む迷放射の量を減少する。
【0113】
また、装置2800は、光学素子2850、2854、2858を含み、これらはそれぞれ、干渉システム2806から光路2830、2832、2834に沿って進む当該の合成ビームを受け取り、合成ビームを当該のディテクター2808、2810、2812に向け直す。上述したように、ディテクター2808、2810、2812は、干渉システムから出力された各合成ビームの強度を個別に検出するように構成される。
【0114】
プロセッサー2814は、ディテクター2808、2810、2812に接続され、λ/2nよりも厚いサンプルに関する取り得る垂直位置の組の中から、サンプル2804内の光源の垂直次元に沿った一意の位置δを決定するための処置を行うように構成され、ここで、λは、合成ビームでの光の波長であり、nは、サンプル2804の媒体の屈折率である。上述したように、λ/2nよりも厚いサンプルに関しては、垂直位置δを決定する際の±Nλ/2n(Nは整数)に曖昧さがある。プロセッサー2814は、最も可能性の高いNを見い出すために他の属性(光ビームまたは合成ビームの波面修正によって引き起こされる画像変化など)を使用し、多数解の最良垂直位置を選択する。プロセッサー2814によって使用される属性は、光源の垂直位置と共に変化する属性である。
【0115】
プロセッサー2814によって使用される光ビームまたは合成ビームの波面修正は、装置2800を通って進む際に光ビームおよび/または合成ビームが相互作用することによって引き起こされる修正でありうる。
【0116】
代替としてまたは追加として、装置2800は、当該の光学素子2840、2844の少なくとも1つに、波面修正システム2860、2864を含むことができる。波面修正システム2860、2864は、少なくとも1つの光ビームおよび/または合成ビームの可変の波面修正を能動的に導入するように構成される。図31A、36A、39A、および40Aに関して以下に詳細に述べるように、波面修正システム2860、2864は、ディテクター2808、2810、2812に達する合成ビームに、デフォーカス、曲率、および輝度分散の1つまたは複数をもたらす1つ以上のデバイスを含むことができる。
【0117】
いくつかの実装形態では、装置2800は、普通であれば干渉システム2806に向けられる小さなパーセンテージの光を除去するために、光路2820、2822の1つまたは複数に位置決めされたビームスプリッター2880を含む。ビームスプリッター2880は、ディテクターシステム2882に光を向け、ディテクターシステム2882は、光学素子およびディテクターを含むことができ、図37Aおよび38に関して以下に論じるように、このディテクターはまたプロセッサー2814に接続される。ディテクターシステム2882は、図37Aに関して以下に論じるように、光ビームへの可変の波面修正を能動的に導入する光学素子を含むことができる。
【0118】
図29を参照すると、プロセッサー2814は、サンプル2804内の光源の一意の垂直位置δを決定するための処置2900を行う。プロセッサー2814は、ディテクター2808、2810、2812から(またはディテクターシステム2882内のディテクターから)電子出力を受け取る(工程2904)。ディテクター2808、2810、2812は、各合成ビームの画像を検出し、画像のデータを電子信号に変換する。上で詳述したように、プロセッサー2814は、ディテクター2808、2810、2812からの各合成ビームの画像の中心領域に基づいて、サブ回折確度で、サンプル平面内での光源の位置を計算する(工程2908)。また、上で詳述したように、プロセッサー2814は、ディテクター2808、2810、2812からの各合成ビームの個別に検出された強度に基づいて、サンプル平面に垂直な第3の直交次元(垂直方向)における光源の取り得る位置の組を計算する(工程2912)。したがって、工程2908および2912で、プロセッサー2814は、光活性化局所干渉顕微鏡観察処置を行い、この処置は上で詳述したものであり、ここでは繰り返さない。
【0119】
プロセッサー2814は、波面修正に基づいて、第3の直交次元に沿った光源の位置と共に変化する合成ビーム(またはディテクターシステム2882が光路2820、2822内に装備されている場合には光ビーム)の画像の属性(たとえば形状またはピーク値)を分析する(工程2916)。以下により詳細に論じるように、波面修正は、サンプル2804の光源から放出される少なくとも1つの光ビームの波面の曲率(たとえばデフォーカスまたは非点収差)および形状のうちの1つまたは複数の修正である。
【0120】
プロセッサー2814は、分析された形状に基づいて、取り得る位置の組の中から第3の直交次元での光源の位置を決定する(工程2920)。
【0121】
図30を参照すると、多位相干渉顕微鏡観察装置3000は、サンプル3004に光学的に結合された光駆動システム3002と、干渉システム3006と、少なくとも2つのディテクター3008、3010、3012と、少なくとも2つのディテクター3008、3010、3012に接続された制御装置(たとえばプロセッサー)3014とを含む。装置3000は、サンプル3004の両側にある光学素子3040、3044と、干渉システム3006と当該のディテクター3008、3010、3012との間にある光学素子3050、3054、3058とを含む。
【0122】
各光学素子3040、3044は、対物レンズ3041、3045およびミラー3042、3046を含む。対物レンズ3041、3045は、当該のミラー3042、4046に向けられる平行化された光ビームを形成し、ミラー3042、3046は、光ビームを干渉システム3006に向け直す。
【0123】
それぞれディテクター3008、3010、3012に達したビームは、波面修正によって、第3の直交次元での光源の位置と共に画像が変化するように変形されている。たとえば、波面を修正するためにサンプル3004と干渉システム3006の間に光学要素を追加することによって(たとえば図36A、37A、または38に図示されるように)、または光ビームを修正するために、したがってディテクター3008、3010、3012に達する合成ビームの波面を修正するために光学素子3040、3044内部の光学要素の1つを修正することによって(たとえば図31A、39A、または40Aに示されるように)、この波面修正機能を装置3000に能動的に付け加えることができる。波面修正は、装置3000の構成の固有の特性であってよく、図38に示されるように検出することができる。いずれにせよ、波面修正は、各ディテクター3008、3010、3012での画像の属性(たとえば形状)に変化を与え、その属性修正を分析して、第3の直交次元での光源の位置を決定することができる。
【0124】
図31Aを参照すると、多位相干渉顕微鏡観察装置3100が、ミラー3142、3146を含み、これらのミラーは、サンプル3104から放出された当該の光ビームの波面曲率の比較的小さな修正をそれぞれ提供するように修正されている。ミラー3142、3146は、それぞれ、円筒形(ただ1つの方向に沿って湾曲された)または双円錐形(すなわち、2つの横方向に沿って逆に湾曲され、サドルまたは双曲放物面形状を有する)であってよい。たとえば、ミラー3142の表面は、ミラー3142の中心で取られた垂線3172に対して横方向である第1の方向3170に沿って凸形であり、垂線3172および第1の方向3170に対して横方向である第2の方向3174(紙面に向かう方向)に沿って凹形である(ミラー3142の拡大図でより詳細に示される)。さらに、ミラー3146の表面は、ミラー3146の中心で取られた垂線3182に対して横方向である第1の方向3180に沿って凹形であり、垂線3182および第1の方向3180に対して横方向である第2の方向3184(紙面から出る方向)に沿って凸形である(ミラー3146の拡大図でより詳細に示される)。ミラー3142、3146は、逆または補完形状を有するように設計され、それにより、ミラー3142、3146から反射される光ビームの波面が干渉システム3106を通過した後に互いに重なり合い、すなわち合成ビームの波面が干渉システム2806を通過した後に互いに重なり合う。
【0125】
いくつかの実装形態では、ミラー3142、3146は、波面曲率修正を加えるのに必要な形で平面ミラーを湾曲させるために平面ミラーの表面および/または裏面に沿った点に適当な力を加えることによって形成される。他の実装形態では、ミラー3142、3146は、ミラー表面上での適当な曲率を得るために平面ミラーを研磨または被覆することによって形成される。
【0126】
上述したように、ミラー3142または3146に当たる光ビームは、ビーム伝搬方向に対して横方向である2つの方向に沿ってその波面が平面であることで平行化されている。したがって、ミラー3142または3146が横方向間の対称性を破り、したがって両横方向で波面はもはや平面でない。波面は、円筒形ミラーを使用してただ1つの横方向で湾曲されるようになすことができ、または双円錐形ミラーを使用して両横方向で(しかしほぼ逆の量で)湾曲されるようになすこともできる。各ミラー3142、3146は、当該のビーム伝搬方向に対する2つの横方向に関して、わずかに異なる2つの焦点面を形成する。その結果、第3の直交次元での光源の位置がサンプル平面(垂直位置δがゼロである位置である)に関して変化するにつれて、画像の楕円率および向きが変化する。すなわち、ゼロ垂直位置にある光源は、ディテクターでの平均焦点面に相関し、したがってディテクターでの画像は円形または対称的に現れる。ゼロ垂直位置よりも上の光源は、第2の横方向よりも第1の横方向で強く合焦され、長手軸が第2の横方向に沿った楕円としてディテクターに現れ、一方、ゼロ垂直位置よりも下の光源は、第1の横方向よりも第2の横方向で強く合焦され、長手軸が第1の横方向に沿った楕円としてディテクターに現れる。
【0127】
各光ビームの波面に対する修正は、最終的に、ディテクターでの(ビーム伝搬方向に対して)第1の横方向に沿った第1の値の放物線状に変化する位相と、ディテクターでの(ビーム伝搬方向に対して)第2の横方向に沿った第2の値の放物線状に変化する位相とをもたらす。このようにして、上側または下側対物レンズにより近い点光源は、第1の横方向に沿った焦点面が第2の横方向に沿った焦点面とはずらされる。
【0128】
上述したように、干渉法のみを使用して決定された複数の値の組の中からサンプル内にある光源の垂直位置δを正確に決定することができるように、曲率の量は、ディテクターに達する合成ビームに十分なデフォーカスを与えるのに十分であるように選択される。もたらされた曲率が、ビームの中心とビームの外縁部の間で4πまたは2λ未満の位相差を生じるべきであり、ここでλは光の波長である。もたらされた曲率がこの量よりも大きい場合、ディテクターでの画像は、過度に楕円になることがあり、その結果、過剰に細長い軸に沿って中心を見い出すのはより難しい。中心を見い出すことは、(xおよびyサンプル次元に沿った)サンプル平面内での光源の位置を決定するため、またはzサンプル次元に沿った光源の取り得る位置の組を決定するために重要である。特に、サンプル平面での光源位置の精度は、分子画像のファジィ半径(すなわち、ガウスシグマ)に直接比例する。したがって、追加の曲率によるデフォーカスの量は、一般には動作範囲にわたって約20〜30%に保たれる。
【0129】
ミラー3142、3146によって引き起こされる波面曲率によって、点光源の点広がり関数(PSF)は、ディテクター2808、2810、2812で測定されるときに楕円になる。垂直位置δの関数としての楕円率εの一般化したあてはめが、3つの異なる垂直位置δの値で、ディテクターでの一般的な蛍光画像と共に図31Bに示される。プロセッサー2814が、第3の直交次元での光源の位置を決定するために合成ビームの蛍光画像の形状を分析する。
【0130】
また図32を参照すると、ナノ粒子の3つの異なる既知の垂直座標Zに関して、単一の金ナノ粒子(光源として作用する)の実際の回折限界蛍光画像3200がディテクターで取得されている。ナノ粒子は、既知の垂直座標Z=−230nm(左欄3210)、Z=0nm(中央欄3220)、およびZ=+230nm(右欄3230)に配置されている。画像3200に対応するガウスフィット3240、および画像3200とそれに対応するガウスフィット3240との差3250が、当該の画像3200の下に示される。さらに、データのxおよびy断面3260が、当該の画像3200およびガウスフィット3240の下に示される。
【0131】
蛍光画像のガウスフィット3240を用いることによって、蛍光画像3200から属性、この場合は楕円率εが決定される。楕円率εは、以下の式から求められる。
【数1】

ここで、σおよびσは、対応するガウスフィット3240の標準偏差(ガウス幅)である。以下に他の実装形態において述べるように、装置の設計に応じて、他の属性(位相角差またはピーク輝度など)を使用することもできる。
【0132】
次に、図33に示されるように、約25μm×25μmの領域にわたって拡散された約40個の金ナノ粒子の領域に関して、点光源の既知の垂直位置Zについて楕円率εが測定される。生のデータが、点として示される。さらに、生のデータは、式Zε=m+m・ε+m・εに適合される。測定された、光源の垂直位置δに対する楕円率εの依存性は、決定された第1および第2の直交位置の精度よりも精度が低いが、この依存性は、単一の干渉縞に限定されず、単に縞次数を決定するために用いられ、これは、広い範囲の光源位置にわたる垂直位置δの正確な決定を可能にする。この決定は、以下のように行われる。
【0133】
装置2800または3000の校正中、(図33に示されるように)属性(この場合は楕円率ε)と点光源のサンプル垂直位置Zとの関係の生データが記録され、3つのディテクターそれぞれでのピーク強度と点光源のサンプル垂直位置Zとの関係が記録される。このピーク強度から、取り得る垂直位置の組Zinterfを決定することができる。取り得る垂直位置の組Zinterfとサンプル垂直位置Zとの関係は、図34のグラフに示される。実際の垂直位置δは、以下の式を使用して計算することができる。
【数2】

ここで、Zinterfrangeは、反復される垂直距離の周期である。たとえば、図33に示されるように、サンプル垂直位置に関して240nmごとにZinterfの測定値が反復されるので、Zinterfrangeは約240nmである。Zinterfrangeの値は、光ビームの波長λと、サンプル媒体の屈折率nとに依存し、約λ/2・nになると推定することができる。用語「丸め」は、式中のあまり正確でない第2の項によって、より正確な値Zinterfを乱すのを避けるために、引数の値を最も近い整数値に単に丸めることである。丸め処理は、本質的に、干渉縞の整数次数のみを抽出する。図33および34からのデータを使用した計算結果が図35に示される。ここから分かるように、計算は、約700nmの範囲にわたって有効であり、これは、実験で使用された高い開口数の対物レンズの被写界深度に近い。約−450nm〜+300nmの範囲にわたる測定点の総数に対する、不正確に求められた干渉縞次数の数の誤り率は、約2.9%である。さらに、Zε−Zによって与えられる不確定性パラメーターZを導入することによって、またZが許容範囲外となるデータをフィルター除去することによって、エラー率を減少させることができる。
【0134】
また図36Aを参照すると、多位相干渉顕微鏡観察装置3600は、当該の対物レンズ3641、3645とミラー3642、3646の間に配置されたレンズ3642、3647を含む。ミラー3642、3646は、サンプル3604から放出される光ビームに対して波面修正を行わないように平面状に形成することができる。しかし、この場合、レンズ3643、3647は、サンプル3604から放出される当該の光ビームの曲率に対して波面修正を提供する。したがって、レンズ3643、3647はそれぞれ、円筒形(ただ1つの方向に沿って湾曲された)または双円錐形(すなわち、ミラー3142、3146の表面と同様に、2つの横方向に沿って逆に湾曲され、サドルまたは双曲放物面形状を有する)であってよい。
【0135】
たとえば、レンズ3643の斜視図に示されるように、レンズ3643の表面は、ビーム伝搬方向に対して横方向である第1の方向に沿って凸形であってよく、ビーム伝搬方向および第1の方向に対して横方向である第2の方向に沿って凹形であってよい。さらに、レンズ3647の斜視図に示されるように、レンズ3647の表面は、ビーム伝搬方向に対して横方向である第1の方向に沿って凹形であってよく、ビーム伝搬方向および第1の方向に対して横方向である第2の方向に沿って凸形であってよい。レンズ3643、3647は、逆または補完形状を有するように設計され、それにより、光ビームの波面が干渉システムを通過した後に互いに重なり合い、すなわち合成ビームの波面がディテクターで互いに重なり合う(これは図28および30に示される)。
【0136】
レンズ3643、3647に当たる光ビームは、ビーム伝搬方向に対して横方向である2つの方向に沿ってその波面が平面であることで平行化されている。したがって、レンズ3643または3647が横方向間の対称性を破り、したがって両横方向で波面はもはや平面でない。装置3600におけるレンズ3643、3647は、波面の曲率を修正する働きをするという点で、装置3100における修正ミラー3142、3146と同じ目的を果たし、当該のビーム伝搬方向に対する2つの横方向に関して、わずかに異なる2つの焦点面を形成する。その結果、図36Bに示されるように、第3の直交次元での光源の位置がサンプル平面(垂直位置δがゼロである位置)に対して変化するにつれて、画像の楕円率および向きが変化する。上述したように、この情報をプロセッサーが使用して、第3の直交次元での光源の位置を決定することができる。
【0137】
図37Aを参照すると、別の実装形態では、多位相干渉顕微鏡観察装置3700が、普通であれば干渉システム(図28の干渉システム2806など)に向けられる小さなパーセンテージの光をフィルター除去するために、各光路3720、3722内に位置決めされたビームスプリッター3780を含む。各ビームスプリッター3780は、当該のディテクターシステム3782に光を向け、各ディテクターシステム3782は、光学素子およびディテクターを含み、このディテクターはまたプロセッサー(図28のプロセッサー2814など)に接続される。ディテクターは、たとえば、電荷結合素子(CCD)または電子増倍電荷結合素子(EMCCD)であってよい。特に、下側ディテクターシステム3782は、下側ビームスプリッター3780からの光ビームを受け取る波面対称性破壊レンズ3784と、光ビームを合焦する集束レンズ3786と、特定の波長範囲外の光を遮断するフィルター3788と、ディテクター3790とを含む。波面対称性破壊レンズ3784は、図36Aに示される装置3600におけるレンズ3647と同様に、光ビームに可変の波面修正を能動的に導入する。上側ディテクターシステム3782は、上側ビームスプリッター3780からの光ビームを受け取る波面対称性破壊レンズ3792と、光ビームを合焦する集束レンズ3794と、特定の波長範囲外の光を遮断するフィルター3796と、ディテクター3798とを含む。波面対称性破壊レンズ3792は、図36Aに示される装置3600におけるレンズ3643と同様に、光ビームに可変の波面修正を能動的に導入する。レンズ3784および3792は、図36Aの装置3600でのレンズ3647および3643と同様に設計され、したがってこれらのレンズは、当該のディテクター3790、3798で、当該のビーム伝搬方向に対する2つの横方向に関して、わずかに異なる2つの焦点面を形成する。その結果、図37Bに示されるように、第3の直交次元での光源の位置がサンプル平面(垂直位置δがゼロである位置)に対して変化するにつれて、画像の楕円率および向きが変化する。上述したように、この情報を、ディテクター3790、3798に接続されたプロセッサー(図28のプロセッサー2814など)が使用して、第3の直交次元での光源の位置を決定することができる。
【0138】
図38を参照すると、別の実装形態では、多位相干渉顕微鏡観察装置3800が、普通であれば干渉システム(図28の干渉システム2806など)に向けられる小さなパーセンテージの光をフィルター除去するために、各光路3820、3822内に位置されたビームスプリッター3880を含む。各ビームスプリッター3880は、当該のディテクターシステム3882に光を向け、各ディテクターシステム3882は、光学素子およびディテクターを含み、このディテクターはまたプロセッサー(図28のプロセッサー2814など)に接続される。ディテクターは、たとえば、電荷結合素子(CCD)または電子増倍電荷結合素子(EMCCD)であってよい。特に、下側ディテクターシステム3882は、下側ビームスプリッター3880からの光ビームを受け取り、光ビームを合焦する集束レンズ3886と、特定の波長範囲外の光を遮断するフィルター3888と、ディテクター3890とを含む。上側ディテクターシステム3882は、上側ビームスプリッター3880からの光ビームを受け取り、光ビームを合焦する集束レンズ3894と、特定の波長範囲外の光を遮断するフィルター3896と、ディテクター3898とを含む。
【0139】
ディテクターシステム3882は、軸方向でずらされた2つのサンプル平面を検出するように設計される。この検出方式では、ディテクター3890、3898の1つまたは複数を、標準の画像平面から移動させることができ、かつ/またはレンズ3886、3894の1つまたは複数を、ディテクター3890、3898の直前または直後に画像平面を配置するように移動させることができ、その結果、標準の(z=0)対象物(サンプル)平面のオーバーフォーカスまたはアンダーフォーカス画像が得られる。これを行うことによって、焦点の独立したz依存性がディテクター3890、3898で観察される。
【0140】
この情報をプロセッサーが使用して、ディテクター3898、3890での第1の画像B1の規格化ピーク輝度を第2の画像の規格化ピーク輝度B2と比較することによって、第3の直交次元での光源の位置を決定することができる。したがって、ディテクターでの第1の画像のピーク輝度がb1であり、ディテクターでの第2の画像のピーク輝度がb2である場合、第1の画像の規格化ピーク輝度がB1、すなわちb1/(b1+b2)となり、第2の画像の規格化ピーク輝度がB2、すなわちb2/(b1+b2)となる。したがって、プロセッサーは、差B1−B2を求めてデフォーカスを示し、上述した処置に従って光源の垂直位置を決定する。
【0141】
他の実装形態では、プロセッサーは、デフォーカスを示すために、第1および第2の画像のあてはめ半径またはスポットサイズに関する情報を使用する。
【0142】
図39Aを参照すると、別の実装形態では、多位相干渉顕微鏡観察装置3900が、ミラー3942、3946を含み、これらのミラーは、外側環状領域3984から分離された内径瞳孔領域3980を有するように修正されている。ミラー3942、3946は、各ミラー面が互いに異なる2つの反射角に向けられている2つのミラー面を有することができる。たとえば、内側領域と外側領域の角度の差は、約0.1〜1°であってよく、この差は、ディテクターで光源の二重画像を生成するのに十分である。
【0143】
この設計により、各ミラー3942、3946は、別個の2つの光ビーム(内径瞳孔領域3980からの内側光ビームと、外側環状領域3984からの外側光ビーム)を提供し、これらの光ビームが干渉システム(図28の干渉システム2806など)内で個別に干渉する。2つの画像が各ディテクター2808、2810、2812に取り込まれ、一方の画像は、より短い距離でディテクターに進む内側光ビーム成分からのものであり、他方の画像は、より長い距離でディテクターに進む合成ビームの外側光ビーム成分からのものである。内側光ビームは、より速い位相変動を有し、したがって図39Bに示されるように位相角差(これは内側光ビームと外側光ビームの位相差である)から位置を決定することができる。図39Bは、位相角差と光源の垂直位置との関係のグラフを表す。
【0144】
ディテクターは、内側光ビーム成分および外側光ビーム成分から得られた2つの画像により、軸方向でずらされた2つのサンプル平面を検出するように設計される。この検出方式では、上で詳述したように、光活性化局所干渉顕微鏡観察が、第1および第2の直交次元での光源の位置を決定し、かつ第3の直交次元での光源の取り得る位置の組を決定する。光活性化局所干渉顕微鏡観察は、内側成分または外側成分に対して行うことができ、同時に第3の直交次元での光源の実際の位置を決定する。
【0145】
図40Aを参照すると、別の実装形態では、多位相干渉顕微鏡観察装置4000が、ミラー4042、4046を含み、それらの形状は、(波面曲率を修正しないので)平面対称性を維持するように修正され、かつ波面の回転対称性を破壊するように修正されている。この場合、各ミラー4042、4046は、円形のミラーから縁部領域を除去して概して卵形のミラーを形成することによって修正され、各ミラーは他のミラーに対して約90°回転され、それにより各ミラーが、光源の垂直位置に依存する異なる形状を生み出す。したがって、ミラー4042、4046から反射された光ビームが干渉システム内で干渉され、再結合されて合成ビームを形成するとき、光ビームは、中心領域では完全に重ね合わされるが、縁部領域では重ね合わされない。この場合、点広がりまたは画像対称性がミラーの形状の修正によって修正され、画像の振幅および/または形状がミラーの形状の修正によって修正されると言うことができる。形状が光源の垂直位置に依存することにより、この情報をプロセッサーが使用して、既知の光源を使用する装置4000の校正に基づいて、ディテクターに当たる画像形状を分析することによって光源の垂直位置を決定することができる。(1つの軸に沿って他の軸よりも多くのミラーが存在することによって)ミラー4042、4046が何らかの楕円状の変化を伴って修正されるので、画像形状が何らかの楕円率シグネチャを示すはずであると予想される。
【0146】
ディテクターと基本的な合焦レンズとの相対配置により生じる平面のずれを測定することを含む別の実装形態では、たとえば図30に示される基本設計の素子を実質的に修正せずに装置を設計することができる。その代わりに、装置は、ディテクター3008、3010、3012が干渉システム3006に対して移動されるように、かつ/または光学素子3050、3054、3058内部の合焦レンズが干渉システム3006に対して移動されるように設計することができ、それにより各ディテクターが異なる画像平面に対して合焦される。たとえば、ディテクター3010は、ディテクター3008に対して一方向でデフォーカスさせることができ、ディテクター3012は、ディテクター3008に対して逆方向でデフォーカスさせることができる。この場合、3つのディテクターそれぞれでの画像半径が、光源の垂直位置に依存する情報を提供することができ、垂直位置を決定するためにこれを使用することができる。
【0147】
さらなる他の実装形態では、多位相干渉顕微鏡観察装置3800は、ただ1つのディテクターシステム3882を有するように設計することができ、このディテクターシステム3882は、主要なディテクター3008、3010、3012の1つまたは複数と共に移動させることができ、ディテクターのうちの1つまたは複数のデフォーカスを可能にし、そのようなデフォーカスは光源の垂直位置に依存する。
【0148】
いくつかの実装形態は、プロセッサーと、種々のプロセッサー実行操作を行うための命令またはコンピューターコードを有する関連プロセッサー可読媒体と、を含む。そのようなプロセッサーは、内蔵マイクロプロセッサー、コンピューターシステムの一部としてのマイクロプロセッサー、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、およびプログラマブルロジックデバイス(「PLD」)のようなハードウェアモジュールとして実装可能である。そのようなプロセッサーはまた、Java(登録商標)、C++、C、アセンブラーのようなプログラミング言語、ハードウェア記述言語、または任意の他の好適なプログラミング言語で記述された1つ以上のソフトウェアモジュールとして実装することも可能である。プロセッサーは、1つもしくは複数の特定目的のために特別に設計および構成された媒体およびコンピューターコード(コードと呼ばれることもある)を含む。プロセッサー可読媒体の例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。磁気記憶媒体、たとえば、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、および磁気テープ、光記憶媒体、たとえば、コンパクトディスク/ディジタルビデオディスク(「CD/DVD」)、コンパクトディスクリードオンリーメモリー(「CD−ROM」)、およびホログラフィックデバイス、光磁気記憶媒体、たとえば、フロッピー(登録商標)ディスクならびにリードオンリーメモリー(「ROM」)デバイスおよびランダムアクセスメモリー(「RAM」)デバイス。コンピューターコードの例としては、マイクロコードまたはマイクロ命令、機械命令、たとえば、コンパイラーにより生成されるもの、およびインタープリターを用いてコンピューターにより実行されるより高レベルの命令を含有するファイルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。たとえば、プロセッサー実行指示は、Java(登録商標)、C++、または他のオブジェクト指向型プログラミング言語、および開発ツールを用いて実施可能である。コンピューターコードのそのほかの例としては、制御信号、暗号化コード、および圧縮コードが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0149】
特定の実装形態を以上に示して説明してきたが、形態および細部にさまざまな変更を加えうることは、当業者であればわかるであろう。たとえば、照明技術の変更が可能であり、それにより強度データのモジュロλ/2周期性を改良することが可能である。それに加えて、Betzig参考文献に記載の種々の実装形態を本明細書に記載の種々の実装形態と組み合わせることが可能である。たとえば、一実装形態では、トップ/ボトムTIRF照明を行って、一波長λまでの厚さを有するサンプルを測定することが可能である。他の選択肢の実装形態では、短パルスのコヒーレント再位相調整により照明平面を形成することが可能である。さらに他の実装形態では、サンプルの種々の高さのz座標でガウシアンウエストを形成する側方照明により、物理的セクション化に頼ることなくz座標方向の範囲をさらに拡張することが可能である。したがって、当然のことながら、本明細書に記載のシステムは、さまざまな記載の実装形態の素子および/または特徴部のさまざまな組合せおよび/または部分的組合せを含みうる。
【0150】
他の実装形態も、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
【符号の説明】
【0151】
100 二位相干渉顕微鏡観察システム
130 光学素子
132 光路
140 光学素子
142 光路
150 ビームスプリッター
160 光学素子
165 ディテクター
170 光学素子
175 ディテクター
250 ビームスプリッター
260 レンズ
265 ディテクター
270 レンズ
275 ディテクター
S サンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
概して第1および第2の直交次元によって定義されるサンプル平面に沿って延在するサンプル内にある光源を光駆動して、光源が複数の伝搬方向に光ビームを放出させる工程と、
前記光源から放出された2つ以上の光ビームを干渉させて、複数のディテクターに向けられる複数の出力ビームを生成する工程と、
前記複数の出力ビームからの各出力ビームの画像の中心領域に基づいて、前記第1の直交次元および前記第2の直交次元での前記光源の位置を決定する工程と、
前記複数の出力ビームそれぞれの個別に検出される強度に基づいて、前記サンプル平面に垂直な第3の直交次元での前記光源の取り得る位置の組を決定する工程と、
前記第3の直交次元での前記光源の位置と共に変化する波面修正に基づいて、光ビームおよび出力ビームのうちの1つまたは複数のビームの画像の形状を分析する工程であって、前記波面修正が、前記光源から放出される少なくとも1つの光ビームの波面の曲率および形状のうちの1つまたは複数の修正である工程と、
前記分析された形状に基づいて、取り得る位置の組の中から第3の直交次元での前記光源の位置を決定する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数の画像の形状を分析する工程が、前記波面修正を所定の波面修正と比較する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数の画像の形状を分析する工程が、前記波面修正をモデル化された波面修正と比較する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の画像の形状を分析する工程が、前記波面修正によって引き起こされ、前記第3の直交次元での前記光源の位置と共に変化する複素位相を分析する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
取り得る位置の組の中から前記第3の直交次元での前記光源の位置を決定する工程が、前記1つまたは複数の画像の形状を、所定の波面修正に基づいて決定される所定の画像の形状と比較する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光ビームに前記波面修正を導入する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光ビームに前記波面修正を導入する工程が、前記ビーム伝搬方向に対して当該の横方向にそれぞれ1つの焦点を有する焦点面間に、前記伝搬方向に沿ったずれを導入する工程を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光ビームに前記波面修正を導入する工程が、前記ビーム伝搬方向に対する1つまたは複数の横方向に沿って前記波面の曲率を導入する工程を含む請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光ビームに前記波面修正を導入する工程が、前記少なくとも1つの光ビームの画像の輝度を変える工程を含む請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記画像の輝度が、前記光ビームおよび出力ビームのうちの1つまたは複数のビームの1つの横方向に沿って、第2の横方向とは異なるように変えられる請求項9に記載の方法。
【請求項11】
概してサンプル平面に沿って延在するサンプル内にある光源が複数の光路に光ビームを放出するように構成された光駆動システムと、
前記光源から放出された第1および第2の光ビームを受け取り、前記各光ビームを2つ以上の分割ビームに分割し、前記分割ビームの少なくとも2つ以上を組み合わせて複数の合成ビームを形成するように構成された干渉システムであって、前記各合成ビームが、前記2つ以上の分割ビーム間の干渉を含み、前記干渉が、前記光源の位置に対する前記光ビームの光路長の差による前記光ビーム間での光源位相の差によって少なくとも部分的に引き起こされる干渉システムと、
前記干渉システムから出力された前記各合成ビームの強度およびプロファイルの1つまたは複数を個別に検出するように構成された少なくとも2つのディテクターと、
前記少なくとも2つのディテクターから出力を受け取り、
各合成ビームの画像の中心領域に基づいて、サブ回折確度で、前記サンプル平面内での光源の位置を計算し、
各合成ビームの個別に検出された強度に基づいて、前記サンプル平面に垂直な第3の直交次元での前記光源の取り得る位置の組を計算し、
前記第3の直交次元での前記光源の位置と共に変化する波面修正に基づいて、光ビームおよび合成ビームのうちの1つまたは複数のビームの画像の形状を分析し、その際、前記波面修正が、前記光源から放出される少なくとも1つの光ビームの波面の曲率および形状のうちの1つまたは複数の修正であり、
前記分析された形状に基づいて、前記取り得る位置の組から前記第3の直交次元での前記光源の位置を決定する
ように構成されたプロセッサーと
を備える装置。
【請求項12】
前記光駆動システムが、前記サンプルに光学的に結合され、前記サンプル内にあるスイッチャブル光源のうち統計的に散在するサブセットを活性化させ、前記活性化されたスイッチャブル光源を励起するように構成され、それにより前記光ビームが、前記活性化されたスイッチャブル光源から、前記干渉システムに向けられた少なくとも2つの光路に沿って放出される請求項11に記載の装置。
【請求項13】
第1の光路に沿って放出された前記第1の光ビームを受け取り、少なくとも前記第1の光ビームを前記干渉システムに向け直すように構成された第1の光学素子と、
第2の光路に沿って放出された前記第2の光ビームを受け取り、少なくとも前記第2の光ビームを前記干渉システムに向け直すように構成された第2の光学素子と
をさらに備える請求項12に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つの光ビームの可変の波面修正を導入するように構成された波面修正システムを、光路の少なくとも1つにさらに備える請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記波面修正システムが、1つまたは複数の光ビームおよび合成ビームの横方向に沿った焦点面をずらすように構成されたデフォーカスシステムを、前記光路の少なくとも1つに備える請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記デフォーカスシステムが、
前記光源と前記干渉システムとの間で第1の光ビームの第1の光路内にあり、前記第1の光ビームの横方向に沿った焦点面をずらすように構成された第1のデフォーカスシステムと、
前記光源と前記干渉システムとの間で第2の光ビームの第2の光路内にあり、前記第2の光ビームの横方向に沿った焦点面をずらすように構成された第2のデフォーカスシステムと
を備える請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記デフォーカスシステムが、前記サンプルと前記干渉システムとの間にある請求項15に記載の装置。
【請求項18】
サンプル内にあるスイッチャブル光源のうち統計的に散在するサブセットを活性化する工程と、
前記活性化されたスイッチャブル光源から少なくとも2つの光路に沿って光ビームが放出されるように、前記活性化されたスイッチャブル光源を励起する工程と、
前記活性化されたスイッチャブル光源から第1の光路に沿って放出される第1の光ビームに第1の波面修正を導入し、前記活性化されたスイッチャブル光源から第2の光路に沿って放出される第2の光ビームに第2の波面修正を導入する工程であって、前記第2の波面修正が前記第1の波面修正と異なる工程と、
複数の出力ビームを生成するために前記第1の光ビームと第2の光ビームを干渉させる工程と、
前記複数の出力ビームからの各出力ビームの強度に基づいて、前記光源の三次元位置情報を決定する工程と
を含む方法。
【請求項19】
前記第2の波面修正が、前記第1の波面修正と方向が逆である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の波面修正を導入する工程が、第1の横方向に沿った第1の光ビームの焦点面を第2の横方向に沿った前記第1の光ビームの焦点面に対して第1のシフト値だけシフトさせる工程を含み、前記第1および第2の横方向が前記第1の光路に対して横方向である請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の波面修正を導入する工程が、第1の横方向に沿った第2の光ビームの焦点面を第2の横方向に沿った前記第2の光ビームの焦点面に対して第2のシフト値だけシフトさせる工程を含み、前記第1および第2の横方向が前記第2の光路に対して横方向であり、前記第2のシフト値が前記第1のシフト値と逆である請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の波面修正を導入する工程が、前記第1の光路に対して横方向である少なくとも1つの方向に沿って、前記活性化されたスイッチャブル光源から放出される第1の光ビームをアンダーフォーカスする工程を含み、
前記第2の波面修正を導入する工程が、前記第2の光路に対して横方向である少なくとも1つの方向に沿って、前記活性化されたスイッチャブル光源から放出される第2の光ビームをオーバーフォーカスする工程を含む
請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記第1および第2の光ビームに前記第1および第2の波面修正を導入する前に、平行化された光ビームを形成する工程をさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項24】
三次元位置情報を決定する工程が、前記サンプルが概して延在するサンプル平面に垂直な次元での前記光源の位置を決定する工程を含む請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の光ビームに前記第1の波面修正を導入する工程が、前記第1の光ビームに波面曲率を導入する工程を含み、
前記第2の光ビームに前記第2の波面修正を導入する工程が、前記第2の光ビームに波面曲率を導入する工程を含む
請求項18に記載の方法。
【請求項26】
各波面修正が、当該の光ビームの波面の曲率および形状のうちの1つまたは複数の修正である請求項18に記載の方法。
【請求項27】
点光源から放出される第1および第2の光ビームを、当該の第1および第2の異なる光路に関連する第1および第2の異なる方向に沿って向ける工程と、
前記第1の光路での前記第1の光ビームに対して横方向で、焦点面を第1のシフト値だけシフトさせ、前記第2の光路内の前記第2の光ビームに対して横方向で、焦点面を第2のシフト値だけシフトさせる工程であって、前記第2のシフト値が前記第1のシフト値と逆である工程と、
前記第1および第2の光ビームの焦点面をシフトさせた後、前記第1および第2の光ビームをそれぞれ2つ以上の分割ビームに分割し、前記分割ビームの少なくとも2つ以上を組み合わせて複数の合成ビームを形成する工程であって、前記各合成ビームが、2つ以上の分割ビーム間の干渉を含み、前記干渉が、前記第1および第2の光ビームの前記光路長の差によって少なくとも部分的に引き起こされる工程と、
前記各合成ビームの画像を個別に検出する工程と、
第1の直交次元および第2の直交次元での前記光源の位置を決定する工程と、
前記各合成ビームの個別に検出された画像に基づいて、第3の直交次元での前記光源の位置を決定する工程と
を含む方法。
【請求項28】
前記合成ビームそれぞれの個別に検出された画像に基づいて前記第3の直交次元での前記光源の位置を決定する工程が、個別に検出された画像の強度を所定の値と比較することによって前記光源の位置を決定する工程を含む請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31A】
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【図31B】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36A】
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【図36B】
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【図37A】
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【図37B】
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【図38】
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【図39A】
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【図39B】
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【図40A】
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【図40B】
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【公開番号】特開2011−59100(P2011−59100A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−140065(P2010−140065)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(502352427)ハワード ヒューズ メディカル インスティチュート (3)
【Fターム(参考)】