説明

不揮発性半導体メモリ装置

【課題】複数のOTPを備え、アクセス速度を改善した擬似MTPの機能を有する不揮発性半導体メモリ装置を提供する。
【解決手段】不揮発性半導体メモリ装置100sは、記憶領域132sと、セレクトデコーダ131sと、セレクトアドレス処理部12sとを備え、記憶領域132sがnビット幅(n>1)の記憶素子をm+1個有し、セレクトデコーダ131sが記憶領域132sのうちいずれか1つの記憶素子に記憶されるセレクトアドレスに応じて、他のm個の記憶素子のいずれか1つを選択し、セレクトアドレス処理部12sが、記憶領域132sにデータを書き込むとき、セレクトアドレスを更新して、更新したセレクトアドレスをセレクトデコーダ131sに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワンタイムプログラマブル(OTP)の不揮発性メモリ素子を用いたメモリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EPROM(Electrically Programmable Read Only Memory)に代表される不揮発性メモリは、電源を切っても情報が消えないことから、多くの用途に用いられてきた。例えば、EPROMの代表的な用途としては、中容量のマスクROMマイコン内のマスクROMの置き換えとして使われている。また、EPROMは、紫外線で情報を消去可能であり複数回書き換えができるが、透明ガラスを使用したパッケージが高価なため、安価なプラスチックパッケージに封入し、消去はできないが安価な不揮発性メモリとして、OTP(One Time Programmable ROM)が普及してきた。更に、近年では、システムLSIや、論理ICの一部に不揮発性メモリを取り込んだ、埋め込み型の所謂、ロジック混載メモリ(Embedded Memory)の需要が高まってきている。特に、一回の書き込みのみを必要とするOTPは、書き込んだデータを消去するための消去回路を必要とせず、書き込み回路及び読出し回路のみで十分であり、回路構成を簡単化できるのでMTP(Multi Time Programmable ROM)より、製造コストが低くできる。また、OTPは、実装面積を小さくできるため需要が拡大している。
【0003】
ところで、アナログ回路に組み込んで、高精度のアナログ回路のチューニング等を行うための調整用スイッチとして、数百ビットから数Kビット程度の小規模の不揮発性メモリも必要になっており、調整用スイッチ用途では複数回のデータの書き換えが可能なMTP(Multi Time Programmable ROM)の需要も拡大している。このような需要に対して、複数のOTPを含む構成を用いた擬似MTPを構成する技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−323981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、擬似MTPであるメモリ装置が備える複数のOTPのうちのいずれのデータを読み出せばよいのかを判定するため、及び、新たなデータを書き込む際に複数のOTPのうちのいずれにデータを書き込めばよいのかを判定するために、複数のOTPそれぞれが記憶している書き込みを示す情報を読み出す必要がある。そのため、上述の判定を行うために、複数のOTP各々に記憶されている書き込みを示す情報を読み出す時間が必要となり、アクセス速度を高速化できないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、複数のOTPを備え、アクセス速度を改善した擬似MTPの機能を有する不揮発性半導体メモリ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記問題を解決するために、本発明は、nビット幅(n>1)のデータを記憶するn個の記憶素子群がm+1個(m>1、n≧m)含まれる記憶領域と、前記記憶領域のうちのいずれか1つの前記記憶素子群に記憶されるセレクトアドレスに応じて、他のm個の前記記憶素子群のいずれか1つを選択するセレクトデコーダと、前記他のm個の記憶素子群のいずれか1つの記憶素子群にデータを書き込む場合、前記セレクトアドレスを更新して、前記セレクトデコーダに更新した前記セレクトアドレスを出力するセレクトアドレス処理部とを備えることを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置である。
【0008】
(2)また、本発明は、上記に記載の発明において、前記セレクトアドレスを記憶する前記記憶素子群が有するnビット中のmビットそれぞれは、前記他のm個の記憶素子群がデータを書き込まれたか否かと対応付けられることを特徴とする。
【0009】
(3)また、本発明は、上記に記載の発明において、前記nビット幅の記憶素子群を構成するn個の1ビット幅のメモリ素子それぞれは、p型半導体基板上に形成されるMOSトランジスタであり、ドレインを形成する第1のn型拡散層と、チャネル領域と、ソースを形成する第2のn型拡散層とが順に直列方向に配置されたトランジスタ形成領域と、前記第1のn型拡散層とコンタクトを介して接続され、前記直列方向に配置される第1のメタル配線と、前記第2のn型拡散層とコンタクトを介して接続され、前記直列方向と直交する水平方向に配置される第2のメタル配線と、前記トランジスタ形成領域と前記水平方向に一定間隔をあけて配置されるn型ウエルと、前記n型ウエル上に形成される第3のn型拡散層と、前記n型ウエル上に形成される第4のn型拡散層と、前記第3のn型拡散層と前記第4のn型拡散層それぞれとコンタクトを介して接続され、前記水平方向に配置されたコントロールゲートを形成する第3のメタル配線と、前記第3のメタル配線と平行に、かつ、前記n型ウエル及び前記チャネル領域の一部を覆うように配置されたポリシリコンとを有することを特徴とする。
【0010】
(4)また、本発明は、上記に記載の発明において、前記メモリ素子にデータを書き込む場合、前記ドレインに第1の電圧を印加し、前記コントロールゲートに第1の電圧より高い第2の電圧を印加し、前記ソースに接地電位を印加することで、前記ドレイン近傍に空乏層を形成すると共にホットエレクトロンを発生させ、前記ホットエレクトロンをフローティングゲートを形成する前記ポリシリコンに注入して閾値電圧を高く変化させ、前記メモリ素子からデータを読み出す場合、前記ドレインに第3の電圧を印加し、前記コントロールゲートに前記第3の電圧より低く、前記メモリ素子の書き込みを行う前の初期状態の閾値より高い電圧を印加し、前記ソースに接地電位を印加して、前記ドレインと前記ソースとの間に電流が流れるか否かによりデータを読み出すことを特徴とする。
【0011】
(5)また、本発明は、上記に記載の発明において、前記記憶領域は、前記メモリ素子をマトリックス状に配置し、配置された前記メモリ素子それぞれは、行方向に隣接するメモリ素子と行方向に対して対称に配置され、かつ、列方向に隣接するメモリ素子と列方向に対して対称に配置され、行方向に対して隣接する一方の前記メモリ素子と前記第4のn型拡散層を共有し、同一の行方向に配置される前記メモリ素子は、前記第2のメタル配線と、前記第3のメタル配線とを共有し、同一の列方向に配置される前記メモリ素子は、前記第1のメタル配線を共有することを特徴とする。
【0012】
(6)また、本発明は、n(n>1)ビット幅のデータを記憶するn個の記憶素子群がm+1個(m>1、n≧m)含む記憶領域と、前記記憶領域に含まれる前記m+1個の記憶素子群のうちの1つに記憶されているセレクトアドレスを前記センスアンプ部を介して読み出して記憶するセレクトアドレス処理部と、前記セレクトアドレス処理部から入力される前記セレクトアドレスをデコードして、前記記憶領域に含まれる前記m+1個の記憶素子群のうちから1つの前記記憶素子群を選択するセレクトデコーダと、前記セレクトデコーダにより選択された前記記憶素子群が出力したnビット幅のデータを増幅してデータ入出力部を介して入出力端子に出力するセンスアンプ部と、前記入出力端子からデータ入出力部を介して入力されるnビット幅のデータを増幅して、増幅したnビット幅のデータを前記セレクトデコーダにより選択された記憶素子群に書き込み記憶させるライトアンプ部と、外部から読み出し命令が入力されると、前記記憶領域に含まれる前記m+1個の記憶素子群のうちの1つの記憶素子群に記憶されているnビット幅のデータを前記センスアンプ及び前記データ入出力部を介して入出力端子から出力する制御をし、外部から書き込み命令が入力されると、前記入出力端子から入力されるnビット幅のデータを前記データ入出力部及び前記ライトアンプ部を介して前記記憶領域に含まれる前記m+1個の記憶素子群のうちの1つの記憶素子群に記憶させる制御を行うアクセス制御部と、を備えることを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置である。
【0013】
(7)また、本発明は、上記に記載の発明において、外部から前記書き込み命令が入力されると、前記アクセス制御部は、前記セレクトアドレス処理部が、記憶している前記セレクトアドレスを前記セレクトデコーダに出力し、出力した前記セレクトアドレスに応じて前記セレクトデコーダに1つの前記記憶素子群を選択させ、前記データ入出力部及び前記ライトアンプ部を介して前記入出力端子から入力されるnビット幅のデータを前記セレクトデコーダにより選択された前記記憶素子群に出力して記憶させる制御をし、続いて、前記アクセス制御部は、前記セレクトアドレス処理部が、前記セレクトアドレスを記憶している前記記憶素子群を選択する信号を前記セレクトデコーダに出力すると共に、更新した前記セレクトアドレスを該記憶素子群に前記ライトアンプ部を介して出力して該記憶素子群に更新したセレクトアドレスを記憶させる制御をし、更に、前記アクセス制御部は、前記セレクトアドレス処理部が、前記セレクトアドレスを記憶している前記記憶素子群を選択する信号をセレクトデコーダに出力すると共に、該記憶素子群が記憶している前記セレクトアドレスを前記センスアンプを介して読み込んで記憶する制御をし、外部から前記読み出し命令が入力されると、前記アクセス制御部は、前記セレクトアドレス処理部が、記憶している前記セレクトアドレスを前記セレクトデコーダに出力し、出力した前記セレクトアドレスに応じて前記セレクトデコーダに1つの前記記憶素子群を選択させ、選択された前記記憶素子群に記憶されているnビット幅のデータを読み出して前記センスアンプ部及び前記データ入出力部を介して前記入出力端子に出力する制御をすることを特徴とする。
【0014】
(8)また、本発明は、上記に記載の発明において、前記セレクトアドレス処理部は、前記セレクトアドレスをエンコードして記憶するカウンタを備え、前記セレクトアドレスを更新する場合、前記カウンタが記憶している値を1増加させ、前記セレクトデコーダは、前記セレクトアドレス処理部の前記カウンタが出力する値をデコードして、前記m個の記憶素子群それぞれに対応する選択信号のうち1つのみを選択すると共に、前記セレクトアドレス処理部から前記セレクトアドレスを記憶する前記記憶素子群を選択する信号が入力されると該記憶素子群を選択する選択信号を出力するデコーダを備えることを特徴とする。
【0015】
(9)また、本発明は、上記に記載の発明において、前記セレクトアドレス処理部は、前記セレクトアドレスを記憶するシフトレジスタを備え、前記セレクトアドレスを更新する場合、前記シフトレジスタが記憶している値をシフトすると共に1をシフトインし、前記セレクトデコーダは、前記セレクトアドレス処理部の前記シフトレジスタが出力する値の0と1との境界を検出して、前記m個の記憶素子群それぞれに対応する選択信号を出力すると共に、前記セレクトアドレス処理部から前記セレクトアドレスを記憶する前記記憶素子群を選択する信号が入力されると該記憶素子群を選択する選択信号を出力するデコーダを備えることを特徴とする。
【0016】
(10)また、本発明は、n(n>1)ビット幅のデータを記憶するn個の記憶素子群がm+1個(m>1、n≧m)含む記憶領域と、前記m+1個の記憶素子群のうちの1つの記憶素子群を除くm個の記憶素子群から1つを選択するセレクトアドレスをデコードするセレクトデコーダとを含み構成されるk(k>1)個の記憶ブロック部と、外部から入力される行アドレスをデコードして、前記k個の記憶ブロック部のうち1つの記憶ブロック部を選択する行デコーダと、前記k個の記憶ブロック部のうち、前記行デコーダにより選択された前記記憶ブロック部に含まれる前記m+1個の記憶素子群のうち1つの記憶素子群から読み出されたnビット幅のデータを増幅してデータ入出力部に出力するセンスアンプ部と、前記データ入出力部から入力されるnビット幅のデータを増幅して、前記行デコーダにより選択された前記記憶ブロック部に含まれる前記m+1個の記憶素子群のうち1つの記憶素子群に書き込み記憶させるライトアンプ部と、前記k個の記憶ブロック部それぞれに対応した前記セレクトアドレスを記憶し、前記k個の記憶ブロック部がnビット幅のデータを新たに記憶する際に、対応する前記セレクトアドレスを更新し、更新した前記セレクトアドレスを前記記憶ブロック部の前記セレクトデコーダに出力するセレクトアドレス処理部と、外部から読み出し命令と前記行アドレスとが入力されると、入力された該行アドレスを前記行デコーダに出力し、前記セレクトアドレス処理部に記憶している前記セレクトアドレスを出力させ、前記セレクトデコーダにより選択された前記記憶素子群から読み出されたnビット幅のデータを前記センスアンプ部及び前記データ入出力部を介して入出力端子から出力する制御をし、外部から書き込み命令と前記行アドレスとが入力されると、前記入出力端子から入力されるnビット幅のデータを前記データ入出力部及び前記ライトアンプ部を介して前記行デコーダに選択された前記記憶領域に含まれる前記セレクトデコーダに選択された前記記憶素子群に記憶させる制御を行うアクセス制御部と、を備えることを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置である。
【0017】
(11)また、本発明は、i(i>1)本のデータ線ごとに設けられたi個のセンスアンプと、複数の選択信号線と複数のビット線との交点それぞれに記憶素子が行方向と列方向とのマトリックス状に配置されると共に、前記記憶素子が前記i本のデータ線ごとに対応付けられ前記列方向に分割されたi個のメモリブロックからなるメモリセルアレイと、前記メモリセルアレイの一部に記憶されているセレクトアドレスを読み出して記憶するセレクトアドレス処理部と、前記i個のメモリブロックそれぞれの複数のビット線と、前記i個のメモリブロックそれぞれに対応する前記データ線との接続を切り替える複数のスイッチ素子と、前記セレクトアドレス処理部に記憶されているセレクトアドレスに応じて前記複数の選択信号線のうち1つの選択信号線を活性化させるセレクトデコーダと、前記セレクトアドレス処理部に記憶されているセレクトアドレスに応じて前記複数のスイッチ素子のオン/オフを切り替える複数の列デコーダと、外部から入力される前記メモリセルアレイに書き込むデータに応じて前記i本のデータ線に電圧を印加するデータ入力変換回路とを備え、前記記憶素子それぞれは、半導体基板上に形成されるフローティングゲートを有するトランジスタからなり、コントロールゲートが前記選択信号線に接続され、ドレインが前記ビット線に接続され、ソースが消去制御回路に共通接続されることを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置である。
【0018】
(12)また、本発明は、i(i>1)本のデータ線ごとに設けられたi個のセンスアンプと、複数の選択信号線と複数のビット線との交点それぞれに記憶素子が行方向と列方向とのマトリックス状に配置されると共に、前記記憶素子が前記i本のデータ線ごとに前記列方向にi個に分割され、更に、それぞれが前記行方向にk(k>1)個に分割されたi×k個のメモリブロックからなるメモリセルアレイと、前記メモリセルアレイの一部に記憶されているセレクトアドレスを読み出して記憶するセレクトアドレス処理部と、前記i本のデータ線それぞれと、該データ線に対応して前記列方向に分割された前記メモリブロックの前記複数のビット線との接続を切り替える複数のスイッチ素子と、前記行方向に分割されたi個のメモリブロックからなるメモリブロック群ごとに設けられ、該メモリブロック群に対応する前記複数の選択信号線のうち1つの選択信号線を活性化させるk個のセレクトデコーダと、前記セレクトアドレス処理部に記憶されているセレクトアドレスに応じて前記複数のスイッチ素子のオン/オフを切り替える複数の列デコーダと、前記k個のセレクトデコーダに対応して設けられ、外部から入力される行アドレスに応じて前記k個のセレクトデコーダのうちから1つのセレクトデコーダを選択して動作させる複数の行デコーダと、外部から入力される前記メモリセルアレイに書き込むデータに応じて前記i本のデータ線に電圧を印加するデータ入力変換回路とを備え、前記記憶素子それぞれは、半導体基板上に形成されるフローティングゲートを有するトランジスタからなり、コントロールゲートが前記選択信号線に接続され、ドレインが前記ビット線に接続され、ソースが消去制御回路に共通接続されることを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置である。
【0019】
(13)また、本発明は、上記に記載の発明において、前記記憶素子である前記トランジスタのドレインに第1の電圧を印加し、該トランジスタのコントロールゲートに前記第1の電圧より高い第2の電圧を印加し、該トランジスタのソースを接地電位にすることにより書き込み動作を行い、また、前記トランジスタのドレインに前記第2の電圧より高い第4の電圧を印加し、該トランジスタのコントロールゲートを接地電位にし、該トランジスタのソースをオープン状態か接地電位より高く前記第1の電圧より低い電圧を印加することにより消去動作を行い、また、前記トランジスタのドレインに前記接地電位か第4の電圧を印加し、該トランジスタのコントロールゲートに接地電位か第3の電圧を印加し、該トランジスタのソースに接地電位を印加するか、あるいは、前記トランジスタのドレインに前記第1の電圧を印加し、該トランジスタのソースに接地電位を印加し、該トランジスタのコントロールゲートに印加する電圧を前記第3の電圧から予め定められた電位まで徐々に高くすることにより書き戻し動作を行うことを特徴とする。
【0020】
(14)また、本発明は、上記に記載の発明において、前記記憶素子に対して書き込み動作を行って閾値が予め定めた書き込み基準値を超えたことを確認するテストを行った後に、消去動作を少なくとも1回以上行い、前記記憶素子である前記トランジスタの閾値が初期の閾値以下に変更されたか否かを検証し、更に、前記トランジスタの閾値が予め定められた判定基準値より低いとき書き戻し動作を少なくとも1回以上行い、閾値が、前記初期の閾値以下、かつ、前記判定基準値以上となるか否かにより前記記憶素子の動作検証を行い、予め定めた回数の前記消去動作を行っても前記トランジスタの閾値が前記初期の閾値以下にならないとき、前記記憶素子を不良と判断し、また、予め定めた回数の前記書き戻し動作を行っても、前記トランジスタの閾値が前記判定基準以上とならないとき、前記記憶素子を不良と判断することを特徴とする。
【0021】
(15)また、本発明は、上記に記載の発明において、前記消去制御回路は、前記複数の記憶素子の共通接続されたソースに接地電位のみを印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、記憶領域が有する記憶素子(OTP)にセレクトアドレスを記憶し、セレクトデコーダがセレクトアドレスに応じた記憶素子(OTP)を選択することで、セレクトアドレスを記憶したOTPを1回読み出すことで、最後にデータを記憶した記憶素子を検出することができる。また、データを書き込む際に、セレクトアドレスを更新するようにしたので、最後にデータが書き込まれた記憶素子を検出することができる。これにより、データの読み出し及びデータの書き込みにおいて、最後にデータが書き込まれた記憶素子を検出するために、記憶領域が有する記憶素子を順に読み出すことなく、アクセス回数を減らすことができるので、アクセス速度を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態における不揮発性半導体メモリ装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】同実施形態におけるセレクトデコーダとセレクトアドレス処理部との構成例を示す回路図である。
【図3】同実施形態におけるデータD<7:0>、A<2:0>、及び、SEL<7:0>の関係を示す表である。
【図4】第2実施形態におけるセレクトアドレス処理部とセレクトデコーダの構成を示す回路図である。
【図5】第3実施形態の不揮発性半導体メモリ装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図6】OTPアレイに用いるメモリ素子の構成図である。
【図7】OTPアレイに用いるメモリ素子の構成図である。
【図8】メモリ素子の動作表を示すテーブルである。
【図9】メモリ素子の書き込み、消去、及び、書き戻しそれぞれの動作による特性の変化を示すグラフである。
【図10】メモリ素子の弱書き込みの特性を示すグラフである。
【図11】メモリ素子のカップリング系の等価回路を示す図である。
【図12】第4実施形態におけるメモリ素子を用いたマトリックスアレイ(メモリアレイ)を有するOTPとしての図1に示した第1実施形態の不揮発性半導体メモリ装置の構成例を示す概略図である。
【図13】第5実施形態におけるメモリ素子を用いたマトリックスアレイ(メモリアレイ)を有するMTPとしての図5に示した第3実施形態の不揮発性半導体メモリ装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図14】第6実施形態における不揮発性半導体メモリ装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図15】第7実施形態における不揮発性半導体メモリ装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図16】第8実施形態におけるメモリ素子によるメモリブロックの構成例を示したレイアウト図である。
【図17】第9実施形態における不揮発性半導体メモリ装置が有するメモリ素子の消去動作及び書き戻し動作に対する不揮発性半導体メモリ装置が行う検証シーケンスのフローチャートである。
【図18】第9実施形態における不揮発性半導体メモリ装置が有するメモリ素子の消去動作及び書き戻し動作に対する不揮発性半導体メモリ装置が行う検証シーケンスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態による不揮発性半導体メモリ装置を図面を参照して説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における不揮発性半導体メモリ装置100sの構成を示す概略ブロック図である。不揮発性半導体メモリ装置100sは、アクセス制御部11s、セレクトアドレス処理部12s、MTPブロック部13s、ライトアンプ部14s、センスアンプ部15s、データ入出力部16s、及び、入出力端子17sを備える。
アクセス制御部11sは、外部から入力されるデータの読み出し命令と、外部から入力されるデータの書き込み命令とに応じて、セレクトアドレス処理部12s、ライトアンプ部14s、センスアンプ部15s、及び、データ入出力部16sそれぞれの動作順序を制御する。
【0026】
セレクトアドレス処理部12sは、MTPブロック部13sから読み出したセレクトアドレスを記憶し、アクセス制御部11sが出力する読み出し動作を示す情報に応じて、記憶しているセレクトアドレスをMTPブロック部13sに出力すると共に、アクセス制御部11sが出力する書き込み動作を示す情報に応じて、セレクトアドレスを更新し、更新したセレクトアドレスをMTPブロック部13sに出力する。
MTPブロック部13sは、nビット幅(nは、n>1を満たす整数である。)のデータを記憶するm+1個(m>1、n≧m)のOTPアレイ(記憶素子群)133s−1、…、133s−(m+1)を含み構成されるデータ記憶部(記憶領域)132sと、セレクトデコーダ131sとを備える。ここで、m+1個のOTPアレイ133s−1、…、133s−(m+1)は、同じ構成を有し、いずれか1つ、あるいは、全てを代表して示す場合に、OTPアレイ133sという。
【0027】
なお、OTPアレイ133s−(m+1)は、MTPブロック部13sの使用状態を示す情報であるセレクトアドレス、すなわち、いずれのOTPアレイ133sが既にデータを書き込まれているか否かを判定するために用いられる情報を記憶する。ここで、OTPアレイ133s−(m+1)は、使用状態レジスタといい、nビット幅のデータを記憶でき、各ビットがOTPアレイ133s−1、…、OTPアレイ133s−mそれぞれに対応する。OTPアレイ133s−(m+1)が記憶しているデータのビットが「0」のとき、当該ビットに対応するOTPアレイ133sは、データが書き込まれていないことを示し、OTPアレイ133s−(m+1)が記憶しているデータのビットが「1」のとき、当該ビットに対応するOTPアレイ133sは、既にデータが書き込まれていることを示す。
【0028】
ここで、OTPアレイ133s−(m+1)は、初期状態、すなわち、不揮発性半導体メモリ装置100sにまだデータが書き込まれていない状態において、全てのビットが「0」であり、OTPアレイ133s−1から133s−mの順にデータが書き込まれるのに応じて1ビット目から順に「1」が書き込まれる。例えば、OTPアレイ133s−(m+1)の記憶しているデータが、1ビット目(bit0)から8ビット目(bit7)まで「1」であり、9ビット目以降が「0」のとき、OTPアレイ133s−1からOTPアレイ133s−8には、既にデータが書き込まれ、最後に書き込まれたデータはOTPアレイ133s−8に記憶されているデータであることを示す。
また、OTPアレイ133s−(m+1)のnビットの内、mビット全てが「1」のとき、不揮発性半導体メモリ装置100sは、新たなデータを記憶するOTPアレイ133sが存在せず、新たなデータを記憶することができない状態であることを示す。
【0029】
セレクトデコーダ131sは、セレクトアドレス処理部12sが出力する使用状態を示すデータをデコードして、データ記憶部132sが含むOTPアレイ133s−1、…、133s−(m+1)のいずれか1つのOTPアレイ133sを選択する。
OTPアレイ133sは、読み出し動作のとき、記憶するnビット幅のデータをセンスアンプ部15sに出力し、書き込み動作のとき、ライトアンプ部14sから出力されるデータを読み込んで記憶する。
【0030】
ライトアンプ部14sは、アクセス制御部11sが書き込み動作を示す情報を出力すると、セレクトアドレス処理部12s又はデータ入出力部16sが出力したデータをMTPブロック部13sのOTPアレイ133sに出力する。センスアンプ部15sは、アクセス制御部11sが読み出し動作を示す情報を出力すると、MTPブロック部13sのOTPアレイ133sが出力するデータを読み取り、増幅してデータ入出力部16sに出力する。データ入出力部16sは、アクセス制御部11sが書き込み動作を示す情報を出力すると、データ入出力端子17sを介して外部から入力されるデータを読み取り、読み取ったデータをライトアンプ部14sに出力し、アクセス制御部11sが読み出し動作を示す情報を出力すると、センスアンプ部15sが出力するデータを読み取り、入出力端子17sを介して外部に読み取ったデータを出力する。
【0031】
次に、不揮発性半導体メモリ装置100sの動作について説明する。
【0032】
(電源の供給開始時における初期化動作)
まず、不揮発性半導体メモリ装置100sに電源の供給が開始されると、アクセス制御部11sは、セレクトアドレス処理部12sにOTPアレイ133s−(m+1)が記憶するセレクトアドレスを読み出すため、セレクトアドレス処理部12sに当該OTPアレイ133s−(m+1)を選択するセレクトアドレスをセレクトデコーダ131sの中の131s−(m+1)に出力させる制御を行う。また、アクセス制御部11sは、センスアンプ部15sが、データ記憶部132sのOTPアレイ133s−(m+1)から出力されるデータを読み込んで出力する制御を行い、セレクトアドレス処理部12sがセンスアンプ部15sから出力されるデータを読み込んで記憶する制御を行う。
【0033】
セレクトデコーダ131sは、セレクトアドレス処理部12sが出力したアドレスをデコードして、OTPアレイ133s−(m+1)を選択する読み出し信号をデータ記憶部132sのOTPアレイ133s−(m+1)に出力する。OTPアレイ133s−(m+1)は、セレクトデコーダ131sが出力した読み出し信号に応じて、記憶しているデータをセンスアンプ部15sに出力する。センスアンプ部15sは、OTPアレイ133s−(m+1)が出力したデータを読み込み、読み込んだデータを増幅してセレクトアドレス処理部12sに出力する。セレクトアドレス処理部12sは、センスアンプ部15sが出力したデータを記憶する。ここで、読み出し信号とは、OTPアレイ133sのいずれか1つを選択すると共に、OTPアレイ133sが記憶しているデータを出力すること示す信号である。
【0034】
上述の動作により、セレクトアドレス処理部12sは、OTPアレイ133sのうち最後にデータを書き込まれたOTPアレイ133sを示す情報をセレクトアドレスに記憶する。この動作により、セレクトアドレス処理部12sがセレクトアドレスを記憶して、初期化動作が完了する。
【0035】
(データ書き込み動作)
次に、不揮発性半導体メモリ装置100sにデータを記憶させる書き込み動作について説明する。
まず、不揮発性半導体メモリ装置100sは、外部からデータの書き込み命令が入力されると、アクセス制御部11sは、セレクトアドレス処理部12sが記憶しているセレクトアドレスから、新たなデータを記憶するOTPアレイ133sを示すセレクトアドレスを生成し、セレクトデコーダ131sに出力する。セレクトデコーダ131sは、セレクトアドレス処理部12sが出力したセレクトアドレスをデコードしてデータ記憶部132sが有するOTPアレイ133s−1、…、133s−mのうち1つのOTPアレイ133sに対して書き込み信号を出力する。
【0036】
セレクトデコーダ131sから書き込み信号を入力されたOTPアレイ133sは、ライトアンプ部14sが出力するデータを読み込んで記憶する。ここで、ライトアンプ部14sが出力するデータは、入出力端子17sとデータ入出力部16sとを介して外部から入力されたnビット幅のデータである。ここで、書き込み信号とは、OTPアレイ133sのいずれか1つを選択すると共に、OTPアレイ133sがライトアンプ部14sから出力されているデータを読み取って、記憶することを示す信号である。
上述の動作により、外部から入力されたデータは、OTPアレイ133sに記憶される。続いて、アクセス制御部11sは、セレクトアドレス処理部12sに更新したセレクトアドレスをライトアンプ部14sに出力させて、更新したセレクトアドレスをOTPアレイ133sに記憶させる制御を行う。
【0037】
アクセス制御部11sは、外部から入力されたデータをOTPアレイ133sに記憶させる動作が完了すると、セレクトアドレス処理部12sがOTPアレイ133s−(m+1)を選択するセレクトアドレスを出力すると共に、セレクトアドレス処理部12sが更新したセレクトアドレスをライトアンプ部14sに出力する制御を行う。また、アクセス制御部11sは、ライトアンプ部14sが入力されたセレクトアドレスをOTPアレイ133sに出力する制御を行う。
【0038】
セレクトデコーダ131sは、セレクトアドレス処理部12sが出力したOTPアレイ133s−(m+1)を選択するセレクトアドレスが入力されると、OTPアレイ133s−(m+1)に対して書き込み信号を出力する。OTPアレイ133s−(m+1)は、セレクトデコーダ131sから書き込み信号が入力されると、ライトアンプ部14sが出力する更新されたセレクトアドレスをデータとして読み込んで記憶する。これにより、OTPアレイ133s−(m+1)に記憶されているセレクトアドレスが更新される。
【0039】
続いて、セレクトアドレス処理部12sが記憶している不揮発性半導体メモリ装置100sの使用状態を示す情報の更新を行う。
アクセス制御部11sは、セレクトアドレス処理部12sがデータをOTPアレイ133s−(m+1)が記憶するセレクトアドレスを読み出すために、OTPアレイ133s−(m+1)を選択するセレクトアドレスをセレクトデコーダ131sに出力させる制御を行う。また、アクセス制御部11sは、センスアンプ部15sがOTPアレイ133sから出力されるデータを読み込んでセレクトアドレス処理部12sに出力する制御を行う。
【0040】
セレクトデコーダ131sは、セレクトアドレス処理部12sからセレクトアドレスが入力されると、入力されたセレクトアドレスをデコードしてOTPアレイ133s−(m+1)に読み出し信号を出力する。OTPアレイ133s−(m+1)は、セレクトデコーダ131sから読み出し信号が入力されると、記憶しているデータをセンスアンプ部15sに出力する。センスアンプ部15sは、OTPアレイ133s−(m+1)が出力するデータを増幅して、増幅したデータをセレクトアドレス処理部12sに出力する。セレクトアドレス処理部12sは、センスアンプ部15sが出力するデータ、すなわち、OTPアレイ133s−(m+1)が記憶しているセレクトアドレスを読み込んで記憶する。
【0041】
上述のように、不揮発性半導体メモリ装置100sは、外部から入力されたデータをOTPアレイ133sに記憶させる処理、OTPアレイ133s−(m+1)に記憶されているセレクトアドレスを更新する処理、及び、セレクトアドレス処理部12sが記憶しているセレクトアドレスを更新して、OTPアレイ133s−(m+1)に記憶されているセレクトアドレスと同期をとる処理の3つの処理を行うことにより、データ書き込み動作を行う。
なお、データを書き込むOTPアレイ133sがない場合、すなわち、不揮発性半導体メモリ装置100sが有する全てのOPTアレイ133s−1〜133s−mに対して既にデータが書き込まれている場合、すなわち、新たなデータを書き込むことができない場合、セレクトアドレス処理部12sは、データの書き込み処理を行わない。また、このとき、セレクトアドレス処理部12sは、外部に対してこれ以上のデータの書き込み処理が行えない旨を通知する信号を出力しても良い。
【0042】
(データ読み出し動作)
次に、不揮発性半導体メモリ装置100sのデータ読み出し動作について説明する。
まず、アクセス制御部11sは、外部からデータの読み出し命令が入力されると、セレクトアドレス処理部12sが記憶しているセレクトアドレスを、読み出しセレクトアドレスとしてセレクトデコーダ131sに出力する。セレクトデコーダ131sは、入力されたセレクトアドレスをデコードして、入力されたセレクトアドレスに対応するOTPアレイ133sに読み出し信号を出力する。読み出し信号が入力されたOTPアレイ133sは、記憶しているデータをセンスアンプ部15sに出力する。センスアンプ部15sは、OTPアレイ133sが出力したデータを読み込んで増幅し、増幅したデータをデータ入出力部16sに出力する。データ入出力部16sは、センスアンプ部15sが出力したデータを入出力端子17sを介して外部に出力する。
上述のように、不揮発性半導体メモリ装置100sは、データ読み出し動作を行う。
【0043】
不揮発性半導体メモリ装置100sは、上述の構成を備えることにより、nビット幅のデータを1つ記憶し、記憶しているデータを読み出し、nビット幅のデータをm回書き換えることのできる擬似MTPとして用いることができる。
また、不揮発性半導体メモリ装置100sは、セレクトアドレス処理部12sを備え、セレクトアドレス処理部12sが使用状態を示すセレクトアドレスを記憶することにより、OTPアレイ133sのうち最後に書き込まれたデータを記憶するOTPアレイ133s、すなわち、最新のデータを記憶するOTPアレイ133sを特定してデータを読み出すことができるため、OTPアレイ133s各々の状態を検出してデータを読み出すメモリ装置に比べ、高速にデータの読み出しを行うことができる。また、不揮発性半導体メモリ装置100sは、データの書き込み動作については、OTPアレイ133sにデータを書き込みが2回と、OTPアレイ133sのデータを読み出し1回とを行うので、アクセス速度の改善はデータの読み出しほどではないが、データを書き込む対象を検出するためにOTPアレイ各々にアクセスする場合に比べ、アクセス速度を改善することができる。
【0044】
次に、図2は、セレクトデコーダ131sとセレクトアドレス処理部12sとの構成例を示す回路図である。図2においては、OTPアレイ133sが記憶するデータのビット幅が8ビット、書き換え回数8回(m=n=8)である場合について説明する。また、データD<7:0>は、セレクトアドレスである。
セレクトアドレス処理部12sは、フリップフロップFF0〜2、排他的論理和ゲートXOR1、2、セレクタSEL0〜2、論理和ゲートOR1、4入力論理和ゲートOR2、2入力論理積ゲートAND9、12、3入力論理積ゲートAND11、4入力論理積ゲートAND10、インバータINV1〜3、バッファBUF1を有している。
【0045】
セレクタSEL2の入力Aには、バッファBUF1を介してデータD<4>が入力される。論理積ゲートAND9は、データD<4>がインバータINV1で反転された信号と、データD<2>とが入力され、論理積演算の結果を論理和ゲートOR1に出力する。論理和ゲートOR1は、論理積ゲートAND9の出力と、データD<6>とを論理和演算してセレクタSEL1の入力Aに出力する。
論理積ゲートAND10は、データD<6>がインバータINV3で反転された信号と、データD<4>がインバータINV1で反転された信号と、データ<D2>がインバータINV2で反転された信号と、データD<1>とを論理積演算して論理和ゲートOR2
に出力する。論理積ゲートAND11は、データD<6>がインバータINV3で反転された信号と、データD<4>がインバータINV1で反転された信号と、データD<3>とを論理積演算して論理和ゲートOR2に出力する。論理積ゲートAND12は、データD<6>がインバータINV3で反転された信号と、データD<5>とを論理積演算して論理和ゲートOR2に出力する。論理和ゲートOR2は、論理積ゲートAND10〜12の出力と、データD<7>とを論理積演算してセレクタSEL0の入力Aに出力する。
【0046】
排他的論理ゲートXOR1は、フリップフロップFF2、FF1それぞれのQ出力が入力され、排他的論理和演算の結果をセレクタSEL2の入力Bに出力する。排他的論理和ゲートXOR2は、フリップフロップFF1、FF0Q出力に対して、排他的論理和演算を行いセレクタSEL1の入力Bに出力する。
セレクタSEL0の入力Bには、フリップフロップFF0の反転出力QBと、論理和ゲートOR2の出力とが入力され、排他的論理和演算の結果をフリップフロップFF0の入力Dに出力する。
【0047】
セレクタSEL0〜SEL2は、センスアンプ部15sを介して入力されるデータD<7:0>を読み込んで記憶するとき、入力Bからの信号をフリップフロップFF0〜FF2の入力Dに出力し、データを書き込むOTPアレイ133sを指し示すセレクトアドレスを生成するとき、入力Aからの信号をフリップフロップFF0〜FF2の入力Dに出力する。
上述の構成により、セレクトアドレス処理部12sは、アクセス制御部11sが動作に合わせて出力するクロック信号CLKに同期して、セレクトアドレス処理部12sにセレクトアドレスを記憶させる場合、入力されるデータD<7:0>を3ビットにエンコードしてフリップフロップFF0〜FF2に記憶し、記憶したデータをセレクトデコーダ131sにアドレスA<2:0>として出力し、セレクトアドレスを更新してデータを書き込むOTPアレイ133sを指し示す場合、フリップフロップFF0〜FF2に記憶しているデータに「+1」インクリメントしてセレクトデコーダ131sにアドレスA<2:0>として出力する。また、セレクトアドレス処理部12sは、アクセス制御部11sから入力されるOTPアレイ133s−9を選択する信号SEL8をセレクトデコーダ131sに出力する。
【0048】
セレクトデコーダ131sは、図示するように、3入力論理積ゲートAND0〜8を有し、論理積ゲートAND0〜7には、セレクトアドレス処理部12sが出力するエンコードされたアドレスA<2:0>が入力される。
論理積ゲートAND0は、入力されるアドレスA<2:0>=(0,0,0)(左から順に、A<2>、A<1>、A<0>の値を示す)のとき、OTPアレイ133s−1を選択する「1(Highを表す)」レベルの選択信号SEL<0>を出力し、それ以外のとき「0(Lowを表す)」レベルの選択信号SEL<0>を出力する。論理積ゲートAND1は、入力されるアドレスA<2:0>=(0,0,1)のとき、OTPアレイ133s−2を選択する「1」レベルの選択信号SEL<1>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<1>を出力する。
【0049】
論理積ゲートAND2は、入力されるアドレスA<2:0>=(0,1,0)のとき、OTPアレイ133s−3を選択する「1」レベルの選択信号SEL<2>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<2>を出力する。論理積ゲートAND3は、入力されるアドレスA<2:0>=(0,1,1)のとき、OTPアレイ133s−4を選択する「1」レベルの選択信号SEL<3>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<3>を出力する。
論理積ゲートAND4は、入力されるアドレスA<2:0>=(1,0,0)のとき、OTPアレイ133s−5を選択する「1」レベルの選択信号SEL<4>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<4>を出力する。論理積ゲートAND5は、入力されるアドレスA<2:0>=(1,0,1)のとき、OTPアレイ133s−6を選択する「1」レベルの選択信号SEL<5>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<5>を出力する。
【0050】
論理積ゲートAND6は、入力されるアドレスA<2:0>=(1,1,0)のとき、OTPアレイ133s−7を選択する「1」レベルの選択信号SEL<6>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<6>を出力する。論理積ゲートAND7は、入力されるアドレスA<2:0>=(1,1,1)のとき、OTPアレイ133s−8を選択する「1」レベルの選択信号SEL<7>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<7>を出力する。
論理積ゲートAND8は、「1」レベルの使用状態レジスタであるOTPアレイ133s−9を選択する選択信号D<8>が入力されると「1」レベルの選択信号SEL<8>を出力し「0」レベルの選択信号D<8>が入力されると、「0」レベルの選択信号SEL<8>を出力する。
【0051】
図3は、データD<7:0>、アドレスA<2:0>、及び、SEL<7:0>の関係を示す表である。図示するように、データD<7:0>は、OTPアレイ133sにデータを書き込む度に、0ビットから順に「0」が「1」に書き換えられる。セレクトアドレス処理部12sは、入力されるデータD<7:0>を3ビットのアドレスA<2:0>にエンコードして記憶すると共に、セレクトデコーダ131sにアドレスA<2:0>を出力する。セレクトデコーダ131sは、入力されたアドレスA<2:0>をデコードして、アドレスA<2:0>の値に対応した選択信号SEL<7:0>をデータ記憶部132sに出力する。
不揮発性半導体メモリ装置100sは、上述のような、セレクトアドレス処理部12sとセレクトデコーダ131sとを設けることにより、書き込み回数に応じたOTPアレイ133sを選択することができる。
【0052】
(第2実施形態)
第2実施形態において、セレクトアドレス処理部12sとセレクトデコーダ131sの異なる構成例を示す。以下、m=n=8、すなわち、OTPアレイ133sは、8ビット幅のデータを記憶し、データ記憶部132sは、9つのOTPアレイ133s−1〜133s−9を含み構成されるとして説明する。
図4は、第2実施形態におけるセレクトアドレス処理部12sAとセレクトデコーダ131sAの構成を示す回路図である。セレクトアドレス処理部12sAは、フリップフロップFF20〜FF27、及び、セレクタSEL20〜SEL27を有している。
【0053】
セレクタSEL20〜SEL27は、フリップフロップFF20〜FF27にセレクトアドレスを記憶させる場合、入力Aに入力される信号を出力し、データを書き込むOTPアレイ133sを指し示すセレクトアドレスを生成する場合、入力Bに入力される信号を出力する。
セレクタSEL20は、入力AにデータD<0>が入力され、入力BにVDD電位の「1」レベルの信号が入力され、入力された信号のいずれか一方を選択してフリップフロップFF20の入力Dに出力する。セレクタSEL21は、入力AにデータD<1>が入力され、入力BにフリップフロップF20の出力Qが入力され、入力された信号のいずれか一方を選択してフリップフロップFF21に入力Dに出力する。
【0054】
セレクタSEL22は、入力AにデータD<2>が入力され、入力BにフリップフロップF21の出力Qが入力され、入力された信号のいずれか一方を選択してフリップフロップFF22に入力Dに出力する。セレクタSEL23は、入力AにデータD<3>が入力され、入力BにフリップフロップF22の出力Qが入力され、入力された信号のいずれか一方を選択してフリップフロップFF23に入力Dに出力する。
セレクタSEL24は、入力AにデータD<4>が入力され、入力BにフリップフロップF23の出力Qが入力され、入力された信号のいずれか一方を選択してフリップフロップFF24に入力Dに出力する。セレクタSEL25は、入力AにデータD<5>が入力され、入力BにフリップフロップF24の出力Qが入力され、入力された信号のいずれか一方を選択してフリップフロップFF25に入力Dに出力する。
【0055】
セレクタSEL26は、入力AにデータD<6>が入力され、入力BにフリップフロップF25の出力Qが入力され、入力された信号のいずれか一方を選択してフリップフロップFF26に入力Dに出力する。セレクタSEL27は、入力AにデータD<7>が入力され、入力BにフリップフロップF25の出力Qが入力され、入力された信号のいずれか一方を選択してフリップフロップFF26に入力Dに出力する。
【0056】
フリップフロップFF20〜FF27には、アクセス制御部11sが出力するクロック信号が入力され、クロック信号に同期して入力Dから入力される信号を記憶し、記憶した信号を出力Qから出力すると共に、記憶した信号を反転した信号を出力QBから出力する。フリップフロップFF20〜FF27は、各々がセレクタSEL20〜SEL27を介して直列に接続され、シフトレジスタを形成しており、セレクトアドレスを記憶する場合、データD<7:0>をセレクタSEL20〜SEL27を介して読み込んで記憶し、データを書き込むセレクトアドレスを生成する場合、記憶しているデータをフリップフロップFF20からフリップフロップFF27に向かって、図面上では左にデータをシフトする動作をする。また、フリップフロップFF20〜F27は、データをシフトするとき、最下位ビットを記憶するフリップフロップFF20に「1」をシフトインする動作をする。また、セレクトアドレス処理部12sAは、フリップフロップFF20〜FF27の出力QをデータDT<7:0>としてセレクトデコーダ131sAに出力する。
【0057】
セレクトデコーダ131sAは、9つの2入力の論理積ゲートAND21〜AND29を有している。
論理積ゲートAND21は、データDT<0:1>=(0,1)(左から順に、DT<0>、DT<1>の値を示す)のとき、OTPアレイ133s−1を選択する「1」レベルの選択信号SEL<0>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<0>を出力する。理積ゲートAND22は、データDT<1:2>=(0,1)のとき、OTPアレイ133s−2を選択する「1」レベルの選択信号SEL<1>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<1>を出力する。
【0058】
論理積ゲートAND23は、データDT<2:3>=(0,1)のとき、OTPアレイ133s−3を選択する「1」レベルの選択信号SEL<2>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<2>を出力する。論理積ゲートAND24は、データDT<3:4>=(0,1)のとき、OTPアレイ133s−4を選択する「1」レベルの選択信号SEL<3>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<3>を出力する。
論理積ゲートAND25は、データDT<4:5>=(0,1)のとき、OTPアレイ133s−5を選択する「1」レベルの選択信号SEL<4>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<4>を出力する。論理積ゲートAND26は、データDT<5:6>=(0,1)のとき、OTPアレイ133s−6を選択する「1」レベルの選択信号SEL<5>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<5>を出力する。
【0059】
論理積ゲートAND27は、データDT<6:7>=(0,1)のとき、OTPアレイ133s−7を選択する「1」レベルの選択信号SEL<6>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<6>を出力する。論理積ゲートAND28は、データDT<7>が「1」レベルのとき、OTPアレイ133s−8を選択する「1」レベルの選択信号SEL<7>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<7>を出力する。
論理ゲートAND29は、セレクトアドレス処理部12sAから「1」レベルの選択信号D<8>が入力されると、セレクトアドレスを記憶するOPTアレイ133s−8を選択する「1」レベルの選択信号SEL<8>を出力し、それ以外のとき「0」レベルの選択信号SEL<8>を出力する。
本実施形態においては、セレクトアドレス処理部12sAとセレクトデコーダ131sAとを、第1実施形態のセレクトアドレス処理部12sとセレクトデコーダ131sに比べ、少ない論理素子で構成することができる。
【0060】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態の不揮発性半導体メモリ装置200sの構成を示す概略ブロック図である。不揮発性半導体メモリ装置200sは、アクセス制御部21s、セレクトアドレス処理部22s、行デコーダ23s、データ記憶部24s、ライトアンプ部14s、センスアンプ部15s、データ入出力部16s、及び、入出力端子17sを備える。
データ記憶部24sは、k個(k>1を満たす整数である。)のMTPブロック部13s−1〜13s−kを含み構成される。MTPブロック部13s−1〜13s−kは、図1に図示する第1実施形態のMTPブロック部13sと同じ構成を有しており、以下、いずれか1つ、あるいは、全てを代表して示す場合に、MTPブロック部13sという。
【0061】
セレクトアドレス処理部22sは、第1実施形態のセレクトアドレス処理部12sと同様に、MTPブロック部13s−1、…、13s−kそれぞれから読み出した不揮発性半導体メモリ装置200sの使用状態を示す情報であるk個のセレクトアドレスを記憶し、アクセス制御部21sが出力する読み出し動作を示す情報に応じて、セレクトアドレスをMTPブロック部13sに出力すると共に、アクセス制御部21sが出力する書き込み動作を示す情報に応じて、セレクトアドレスを更新してMTPブロック部13sに出力する。
不揮発性半導体メモリ装置200sにおいて、アクセス制御部21s、セレクトアドレス処理部22s、行デコーダ23s、データ記憶部24s以外は、第1実施形態の対応する構成と同じであるため、同じ符号(14s〜17s)を付して、その説明を省略する。
【0062】
アクセス制御部21sは、第1実施形態のアクセス制御部11sと同様に、外部から入力されるデータの読み出し命令と、外部から入力されるデータの書き込み命令とに応じて、セレクトアドレス処理部22s、ライトアンプ部14s、センスアンプ部15s、及び、データ入出力部16sそれぞれの動作順序を制御し、更に、行アドレス信号が入力され、データの読み出し及びデータの書き込みに合わせて、当該行アドレスを行デコーダ23sに出力する。行デコーダ23sは、入力された行アドレス信号をデコードして、データ記憶部24sに含まれるk個のMTPブロック部13sから当該行アドレス信号に対応するMTPブロック部13sのいずれか1つを選択する。読み出し命令において、行デコーダ23sに選択されたMTPブロック部13sは、記憶しているデータをセンスアンプ部15sに出力する。また、書きこみ命令において、行デコーダ23sに選択されたMTPブロック部13sには、ライトアンプ部14sからデータが入力されて、当該データが記憶される。
【0063】
上述のように構成された、不揮発性半導体メモリ装置200sは、第1実施形態の不揮発性半導体メモリ装置100sの動作に比べ、行アドレス信号が入力され、行デコーダ23sが入力された行アドレス信号に対応したMTPブロック部13sを選択して動作する点が異なる。選択されたMTPブロック部13sに対しては、第1実施形態と同様の動作により、データの読み出し及び書き込みを行う。これにより、不揮発性半導体メモリ装置200sは、不揮発性半導体メモリ装置100sが1個のnビット幅のデータを記憶するのに対して、k個のnビット幅のデータを記憶することができ、各々別にデータを読み出し、及び、書き換えを行うことができる。このとき、行デコーダ23sが、外部から入力される行アドレスに応じて、k個のMTPブロック部13s−1〜13s−kのうちいずれか1つのMTPブロック部13sを選択する。
【0064】
次に、不揮発性半導体メモリ装置100s、200sに用いる不揮発性のメモリ素子(記憶素子)30について説明する。
図6、7は、上述の第1実施形態から第3実施形態のOTPアレイ133sに用いるメモリ素子30の構成図である。図6(a)は、メモリ素子30のレイアウトを示す図である。図6(b)は、図6(a)の等価回路を示す図である。図示するように、メモリ素子30は、フローティングゲートFGを有するトランジスタT1である。図7(a)は、図6(a)におけるA−A’に沿った断面図を示し、図7(b)は、図6(a)におけるB−B’に沿った断面図を示す。
【0065】
構造的には、図6(a)及び(b)、図7(a)及び(b)において、トランジスタT1は、p型半導体基板1上に形成(配置)される。トランジスタT1は、ドレインを形成するn型拡散層5(第1のn型拡散層)、チャネル領域4、ソースを形成するn型拡散層7(第2のn型拡散層)が、順に直列方向(第1の方向)に配置され、n型拡散層5とn型拡散層7とが、チャネル領域4を挟んで対向して配置され、トランジスタT1のトランジスタ形成領域8を形成する。
n型拡散層5は、コンタクト10を介して直列方向に配置されるドレイン配線であるメタル配線12(第1のメタル配線)と接続する。n型拡散層7は、コンタクト11を介して直列方向と直交する同一平面上の水平方向に配置されるソース配線であるメタル配線13(第2のメタル配線)と接続する。
【0066】
トランジスタ形成領域8に対して水平方向に一定の間隔をあけて、p型半導体基板1上にn型ウエル2が形成され、n型ウエル2上にn型拡散層17(第3のn型拡散層)とp型拡散層15(第1のp型拡散層)とが形成される。n型拡散層17は、コンタクト18を介して水平方向(第2の方向)に配置されるコントロールゲート配線であるメタル配線19(第3のメタル配線)と接続される。p型拡散層15は、n型拡散層17と同様に、コンタクト16を介してメタル配線19と接続される。
メタル配線19と平行に配置されるポリシリコン9は、フローティングゲートFGを形成し、n型ウエル2の領域の一部と、あるいは、p型拡散層15の領域の一部と、チャネル領域4の一部とを覆うように配置され、n型ウエル2との間に容量を形成すると共に、チャネル領域4との間に容量を形成する。
なお、20と21とで示される領域は、分離用絶縁酸化膜である。
【0067】
次に、図8は、メモリ素子30の動作表を示すテーブルである。図8(a)は、メモリ素子30をOTPとして用いる場合の動作表である。メモリ素子30に対する書き込み動作は、コントロールゲートCGに6V(第2の電圧)の電圧を印加し、ドレインDに5V(第1の電圧)の電圧を印加し、ソースSに0Vの電圧を印加する。これにより、高電圧が印加されたドレインD近傍に空乏層が形成されてホットエレクトロンが発生し、発生したホットエレクトロンがフローティングゲートFGに注入されて蓄積する。その結果、メモリ素子30のフローティングゲートトランジスタT1の閾値電圧が初期状態より高い電圧に変化し、書き込み状態となる。
【0068】
次に、メモリ素子30に対する読み出し動作は、コントロールゲートCGに3Vの電圧を印加し、ドレインDに1V(第3の電圧)の電圧を印加し、ソースSに0Vの電圧を印加する。このとき、メモリ素子30のドレインDとソースSとの間に電流が流れるか否かにより、消去状態であるか、あるいは、書き込み状態であるかを判断し、情報を読み出す。メモリ素子30の初期状態における閾値電圧は、1V程度であり、コントロールゲートCGに3Vを印加するとオン状態となり通電する。一方、書き込み状態では、メモリ素子30の閾値電圧は、フローティングゲートFGに電子が注入されて5V程度であり、コントロールゲートCGに3Vを印加してもオフ状態であり、通電しない。
【0069】
続いて、図8(b)は、メモリ素子30をMTPとして用いる場合の動作表である。メモリ素子30に対する書き込み及び読み出し動作は、図8(a)に図示した動作と同じなので、その説明を省略する。
メモリ素子30に対する消去動作は、コントロールゲートCGに0Vの電圧を印加し、ドレインDに8V(第4の電圧)の電圧を印加し、ソースSをオープン状態にするか、あるいは、ソースSに2V(第5の電圧)の電圧を印加する。これにより、コントロールゲートCGとドレインDとの間に高電界が加わり、FN電流が流れると共に、フローティングゲートFGから電子がドレインDに放出される。これにより、メモリ素子30の閾値電圧が初期状態より低い電圧に変化した状態、データが消去された状態である消去状態になる。
【0070】
次に、メモリ素子30の消去動作により閾値電圧が初期状態の閾値電圧より低くなった状態(過消去状態)のうち、閾値電圧が負になってしまう場合がある。この場合、メモリ素子30は、コントロールゲートCGが0Vでも、常にオン状態となるので、ドレインDとソースSとに電圧を印加するとドレインDとソースSとの間に常に電流が流れる状態となり、コントロールゲートCG印加する電圧による選択性がなくなり、メモリアレイに組み込んだ場合、不良となってしまう。そこで、低くなりすぎた閾値電圧を初期状態の閾値電圧近傍に戻す書き戻し動作を行う。書き戻し動作には、以下に示すように2通りある。
【0071】
1つ目の書き戻し動作(第1の書き戻し動作)は、図示するように、コントロールゲートCGに0V又は1V(第3の電圧)の電圧を印加し、ドレインDに8V(第4の電圧)の電圧を印加し、ソースSに0Vの電圧を印加する。このとき、メモリ素子30が過消去されていれば、オン状態となりドレインDとソースSとの間には、チャネル電流が流れると共に、ドレインDに高電圧を印加しているので、ドレインD近傍にホットエレクトロンが発生し、フローティングゲートFGにホットエレクトロンが注入される書き込みが行われる。これにより、メモリ素子30の閾値電圧は上昇して、正の閾値電圧となる。このとき、コントロールゲートCGには、書き込み動作に比べ低い電圧が印加されているので、書き込み動作に比べフローティングゲートFGに注入されるホットエレクトロンの量は少ない。この書き込みを、弱書き込み(ドレインストレス)という。
【0072】
2つ目の書き戻し動作(第2の書き戻し動作)は、基本的に書き込み動作であるが、時間をかけて徐々に書き込みを行う必要があるので、コントロールゲートCGに印加する電圧を1V程度から3V程度まで、電圧を徐々に上げて複数回書き込みを行うことにより、閾値電圧を正の値、1V程度に変化させる。このとき、コントロールゲートCGに印加する電圧は、予め定められたステップで電圧を徐々に高くしてもよいし、電圧を印加する時間に応じて線形的に増加させてもよい。
【0073】
次に、図9は、メモリ素子30の書き込み、消去、及び、書き戻しそれぞれの動作による特性の変化を示すグラフ及びメモリ素子30の等価回路であるフローティングゲートトランジスタT1を示す図である。縦軸方向は、ドレイン電流を示し、横軸方向は、コントロールゲート電圧を示す。メモリ素子30は、初期状態において閾値電圧は1Vであるが、書き込み動作により閾値電圧は5Vに変化する。その後に、メモリ素子30の閾値電圧は、消去動作により−1Vに変化し、書き戻し動作により1Vに変化させることができる。このように、メモリ素子30の閾値電圧を変化させることにより、メモリ素子30に情報を記憶させることができる。
【0074】
次に、図10は、メモリ素子30の弱書き込みの特性を示すグラフ、及び、メモリ素子30の等価回路であるフローティングゲートトランジスタT1と印加する電圧とを示す図である。縦軸方向は、メモリ素子30の閾値電圧であり、横軸方向は、弱書き込みを行う時間である。例えば、コントロールゲートCGに0Vの電圧を印加する弱書き込みを行うと、ドレイン近傍の高電界により高エネルギーを有するホットエレクトロンが発生し、その一部のホットエレクトロンがフローティングゲートFGに注入されて弱書き込みとなり、メモリ素子30の閾値電圧は、最終的には初期状態の閾値電圧に自己収束する。ここで、コントロールゲートCGに1Vの電圧を印加すると、コントロールゲートCGに印加した電圧に応じて収束する閾値電圧がシフトするので、収束する閾値電圧を制御することができる。この特性を用いて、消去動作により過消去状態となったメモリ素子30に対して書き戻しを行うことにより、メモリ素子30の閾値電圧を正の閾値電圧に自己収束させることができ、過消去状態を解消することができる。
【0075】
図11は、メモリ素子30のカップリング系の等価回路を示す図である。コントロールゲートCGに印加される電位をVCG、コントロールゲートCGとフローティングゲートFGの静電容量をC(FC)、ソースSに印加される電位をVS、ソースSとフローティングゲートFGとの間の静電容量をC(FS)、半導体基板Subに印加される電位をVsub、半導体基板SubとフローティングゲートFGとの間の静電容量をC(FB)、ドレインDに印加される電位をVD、ドレインDとフローティングゲートFGとの間の静電容量をC(FD)、フローティングゲートに印加される電位をVFGとする。
フローティングゲートFGの状態が初期状態(中性状態)のとき、この系のトータルチャージは、ゼロであるから次式(1)が成り立つ。
【0076】
【数1】

【0077】
この系の総静電容量をCTとすると、CTは次式(2)で表される。
【0078】
【数2】

【0079】
式(2)を用いて、式(1)をVFGについて変形すると次式(3)と表せる。
【0080】
【数3】

【0081】
ここで、C(FD)=C(FS)≒0,Vsub=VS=0とすると、式(3)は次式(4)のように表される。
【0082】
【数4】

【0083】
ここで、C(FG)/{C(FC)}+C(FB)=α(カップリング比)とすると、式(4)は、次式(5)で表される。
【0084】
【数5】

【0085】
通常α≒0.6に設定し、フローティングゲートFGなどの静電容量を定めて、不揮発性半導体メモリセルの設計を行う。
【0086】
上述のメモリ素子30は、標準的なCMOSプロセスで製造可能な記憶素子である。メモリ素子30を記憶素子として用いた第1実施形態の不揮発性半導体メモリ装置100s及び第2実施形態の不揮発性半導体メモリ装置200sは、製造工程を増やさずにシステムLSIなどに混載することができる。
【0087】
(第4実施形態)
図12は、第4実施形態におけるメモリ素子30を用いたマトリックスアレイ(メモリアレイ)を有するOTPとしての図1に示した第1実施形態の不揮発性半導体メモリ装置100sの構成例を示す概略図である。
メモリアレイは、図示するように、セレクト信号線(選択信号線)SEL1〜SELm+1と、ビット線BIT1−0、…、BITj−0、…、BIT1−7、…、BITj−7との交点それぞれメモリ素子30が配置され構成される。また、メモリアレイは、読み出し及び書き込みを8ビット単位で行う構成とし、すなわち、データの入出を8ビット単位で行う構成とする。不揮発性半導体メモリ装置100sは、メモリ素子30であるメモリセルM11−0〜M11−7、…、M(m+1)j−0〜M(m+1)j−7からなるメモリアレイ、セレクトデコーダ131sに相当するセレクトデコーダ2000、列デコーダ300−1〜300−j、データ入力変換回路400、センスアンプ部15sに相当するセンスアンプ500−0〜500−7、セレクトアドレス処理部12sに相当するセレクトアドレス処理部600、列デコーダ300−1〜300−jの出力に応じてオン/オフを切り替えるスイッチ素子CG1−0〜CGj−0、…、CG1−7〜CGj−7を含み構成される。
【0088】
1ビット目に相当するデータを記憶する(m+1)×j個のメモリセルM11−0〜M(m+1)j−0は、メモリブロック100−0を構成する。2〜8ビット目それぞれのデータを記憶するメモリセルM11−1〜M(m+1)j−1、…、M11−7〜M(m+1)j−7は、1ビット目と同様に、メモリブロック100−1、…、100−7を構成する。
メモリブロック100−0において、メモリセルM11−0〜M(m+1)1−0のドレインDは、ビット線BIT1−0に接続される。メモリセルM12−0〜M(m+1)j−0のドレインDは、メモリセルM11−0〜M(m+1)1−0と同様に、ビット線BIT2−0〜BITj−0に接続される。メモリブロック100−1〜100−7においても、メモリブロック100−0と同様に、それぞれのメモリセルM11−1〜M(m+1)j−1、…、M11−7〜M(m+1)j−7のドレインDは、ビット線BIT1−1〜BITj−1、…、BIT1−7〜BITj−7に接続される。ビット線BIT1−0〜BITj−0、…、BIT1−7〜BITj−7は、スイッチ素子CG1−0〜CGj−0、…、CG1−7〜CGj−7を介してデータ線D0〜D7に接続される。
【0089】
セレクトデコーダ2000は、m+1個のセレクトデコーダ回路200−1〜200−m+1を有し、セレクトデコーダ回路200−1〜200−m+1がセレクトアドレス処理部600から出力されるセレクトアドレスをデコードして、セレクト信号線SEL1〜SELm+1のいずれか1つのセレクト信号線を活性化する。セレクト信号線SEL1は、各メモリブロック100−0〜100−7に含まれるメモリセルM11−0〜M1j−0、…、M11−7〜M1j−7のコントロールゲートCGに接続され、データの読み出し又は書き込みをするメモリセルを選択する。セレクト信号線SEL2〜SELm+1は、セレクト信号線SEL1と同様に、各メモリブロック100−0〜100−7に含まれるメモリセルのコントロールゲートCGに接続され、データの読み出し又は書き込みをするメモリセルを選択する。セレクトデコーダ回路200−1〜200−m+1は、それぞれアドレスデコード回路201、インバータ202、レベルシフト回路203を含み構成される。
【0090】
列デコーダ300−1〜300−jは、それぞれ列デコーダ回路301、インバータ302、レベルシフト回路303を含み構成され、セレクトアドレス処理部600が出力するセレクトアドレスをデコードして、カラム線COL1〜COLjのいずれか1つのカラム線を活性化してビット線を選択し、スイッチ素子CG1−0〜CGj−0、…、CG1−7〜CGj−7のオン/オフを切り替える。
データ入力変換回路400は、入力データDin0〜Din7が入力され、書き込み動作に応じた高電圧Vp3(5V)を、データ線D0〜D7に出力してカラム線COL1〜COLj、及び、セレクト信号線SEL1〜SELm+1により選択されるメモリセルに印加する。センスアンプ500−0〜500−7は、データ線D0〜D7に接続されカラム線COL1〜COLj、及び、セレクト信号線SEL1〜SELm+1により選択されるメモリセルから読み出したデータを増幅して出力データDout0〜Dout7として出力する。全てのメモリセルM11−0〜Mmj−7のソースSは、共通接続され接地される。
【0091】
次に、本実施形態の不揮発性半導体メモリ装置100sの動作を説明する。
書き込み動作において、例えば、セレクトデコーダ回路200−1と列デコーダ300−1が、セレクトアドレス処理部600が出力するセレクトアドレスにより、セレクト信号線SEL1とカラム線COL1とを活性化する。このとき、セレクト信号線SEL1には、電圧Vp1(6V)が印加され、メモリセルM11−0〜M1j−0、…、M11−7〜M1j−7のコントロールゲートCGに電圧Vp1(6V)が印加される。データ入力変換回路400は、入力データDin0〜Din7に応じてデータ線D0〜D7に電圧Vp3(5V)を印加する。また、列デコーダ300−1は、カラム線COL1に電圧Vp3より高い電圧Vp2が列デコーダ300−1のレベルシフト回路303により印加し、スイッチ素子CG1−0、CG1−1、…、CG1−7をオンにすることで、データ線D0〜D7とビット線BIT1−0、BIT1−1、…、BIT1−7とを接続し、メモリセルのドレインDに電圧Vp3を印加する。
【0092】
例えば、書き込みデータをDin0=Din2=Din4=Din6=「0」データ(書き込みをする)、Din1=Din3=Din5=Din7=「1」(書き込みをしない)が入力された場合、データ線D0,D2,D4,D6には、電圧Vp3が印加され、データ線D1,D3,D5,D7には、0Vの電圧が印加される。カラム線COL1が選択されているので、ビット線BIT1−0、BIT1−2、BIT1−4、BIT1−6には電圧Vp3(5V)が印加され、ビット線BIT1−1、BIT1−3、BIT1−5、BIT1−7には、0Vの電圧が印加される。これにより、メモリセルM11−0、M11−2、M11−4、M11−6には、書き込みが行われ、メモリセルM11−1、M11−3、M11−5、M11−7には書き込みが行われない。
上述のように、セレクトアドレスに応じてメモリセルが選択され、選択されたメモリセルにデータが記憶される。
【0093】
読み出し動作は、上述のようにセレクトアドレスに応じてメモリセルが選択され、選択されたメモリセルに流れる電流をセンスアンプ500−0〜500−7が検出し、検出した電流を増幅してデータを検出して「0」又は「1」に対応する電圧を出力データDout0〜Dout7として出力する。このとき、メモリセルが消去状態(「1」;オン)であればメモリセルに電流が流れ、選択されたメモリセルが書き込み状態(「0」;オフ)であればメモリセルに電流が流れない。
なお、図1の第1実施形態では、nビット幅のデータを1度に読み出し及び書き込みを行う構成を示したが、本実施形態では、不揮発性半導体メモリ装置100sは、n>8の場合、nビット幅のデータを8ビットごとに読み出し及び書き込みを複数回行い、その複数回の切り替えを列デコーダ300−1〜300−jが行う。このとき、セレクトアドレス処理部600は、読み出すデータ又は書き込むデータの順序を制御するために、セレクトアドレスの一部、例えば、セレクトアドレスの上位ビットを順次切り替えて8ビットごとのデータに対する読み出し及び書き込みを行う。
もちろん、セレクトアドレス処理部600は、セレクトアドレスの一部の順次切り替えずに、外部アドレス端子より入力する列アドレスに応じて、任意の列アドレスを選択しても良い。
【0094】
(第5実施形態)
図13は、第5実施形態におけるメモリ素子30を用いたマトリックスアレイ(メモリアレイ)を有するMTPとしての図5に示した第3実施形態の不揮発性半導体メモリ装置200sの構成を示す概略ブロック図である。不揮発性半導体メモリ装置200sは、図12に示した第4実施形態が1個のnビット幅(n=8)のデータをm回書き換え可能なOTPであるのに対して、k個のnビット幅のデータをm回書き換え可能なOTPである。不揮発性半導体メモリ装置200sは、不揮発性半導体メモリ装置100sと比べ、k個の行デコーダ700−1〜700−kと、k個のセレクトデコーダ2000−1〜2000−kと、k×8個のメモリブロック100−10〜100−17、…、100−k0〜100−k7を有する点と、セレクトアドレス処理部600に替えてセレクトアドレス処理部601を有する点が異なる。不揮発性半導体メモリ装置100sと同じ構成については、対応する構成と同じ符号(300−1〜300−j、400、500−0〜500−7)を付して、その説明を省略する。
【0095】
メモリブロック100−10〜100−17からなるメモリブロック群には、1つセレクトアドレスが記憶される。同様に、メモリブロック100−20〜27、…、メモリブロック100−k0〜100−k7からなる7個のメモリブロック群それぞれには、1つのセレクトアドレスが記憶され、k個のセレクトアドレスがメモリブロック100−10〜100−17、…、100−k0〜100−k7に記憶されている。
セレクトアドレス処理部601は、図5に示すセレクトアドレス処理部22sに相当し、k個のセレクトアドレスを読み出して記憶すると共に、不図示のアクセス制御部が出力する読み出し動作を示す情報に応じて、データを読み出すメモリブロック群に対応するセレクトアドレスをセレクトデコーダ2000−1〜2000−kに出力し、アクセス制御部が出力する書き込み動作を示す情報に応じて、データを書き込むメモリブロック群に対応したセレクトアドレスを更新してセレクトデコーダ2000−1〜2000−kに出力する。
【0096】
行デコーダ700−1〜700−kそれぞれには、セレクトデコーダ2000−1〜2000−kと、メモリブロック100−10〜100−17、…、100−k0〜100−k7とが対応付けられて接続される。セレクトデコーダ2000−1〜2000−kは、同じ構成を有しており、図12に示した第4実施形態のセレクトデコーダ2000と同じ構成である。
外部から入力される行アドレスにより、行デコーダ700−1〜700−kのうち1つが活性化され、活性化された行デコーダは、対応したセレクトデコーダとメモリブロックとを選択して活性化し、第4実施形態で説明した動作(書き込み、読み出し、消去、書き戻し)を行う。不揮発性半導体メモリ装置200sは、セレクトアドレス処理部601と、行デコーダ700−1〜700−kとを備えることにより、nビット幅のk個のデータを記憶し、読み出すことができる。これにより、不揮発性半導体メモリ装置200sは、異なるk個のデータを記憶することができ複数のデータが要求されるOTPに用いることが可能となる。
【0097】
(第6実施形態)
図14は、第6実施形態における不揮発性半導体メモリ装置101sの構成を示す概略ブロック図である。不揮発性半導体メモリ装置101sは、第4実施形態の不揮発性半導体メモリ装置100sが有するメモリ素子30それぞれをOTPとしてではなく、MTPとして使用する構成が特徴である。メモリ素子30をMTPとして使用するために、不揮発性半導体メモリ装置101sは、メモリ素子30のソースSに消去動作用の電圧を印加する消去制御回路800を備えること以外、図12に示した第4実施形態の不揮発性半導体メモリ装置100sと同じ構成であり、対応する構成には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0098】
消去制御回路800は、レベルシフト回路により構成され、不揮発性半導体メモリ装置101sが有する全てのメモリ素子30のソースSと接続され、消去動作に用いられる電圧Vp4をメモリ素子30のソースSに印加する。消去回路800は、書き込み、書き戻し、及び、消去の動作の場合、接地電位である0Vをメモリ素子30のソースSに印加し、消去動作の場合、電圧Vp4(2V)をメモリ素子30のソースSに印加する。この印加する電位の切り替えは、外部から入力される非消去信号EBにより切り替えられる。
【0099】
この構成により、不揮発性半導体メモリ装置101sは、OTPである複数のメモリ素子30を切り替えて使用する擬似MTPとして用いるだけでなく、OTPである複数のメモリ素子30をMTPとして用いることができる。このとき、OTPであるメモリ素子30の記憶するデータを正しく保持できるか否かの信頼性に応じて、メモリ素子30を切り替えて用いることができる。
更に、以下の利点もある。OTPの最大の問題点は、出荷時に書き込みテストができないことである。書き込みテストができないため、信頼性に問題が残る。図14の第6実施形態に示した不揮発性半導体メモリ装置101sでは、出荷時に書き込みテストを行った後に、最後に消去を行うことにより、書き込みテストにより動作検証された信頼性の高いOTPが提供できる。
【0100】
(第7実施形態)
図15は、第7実施形態における不揮発性半導体メモリ装置201sの構成を示す概略ブロック図である。不揮発性半導体メモリ装置201sは、図13に示した第5実施形態の不揮発性半導体メモリ装置200sが有するメモリ素子30それぞれをOTPとしてではなく、MTPとして使用する構成が特徴である。メモリ素子30をMTPとして使用するために、不揮発性半導体メモリ装置201sは、メモリ素子30のソースSに消去動作用の電圧を印加する消去制御回路800−1〜800−kを備えること以外、図13に示した第5実施形態の不揮発性半導体メモリ装置200sと同じ構成であり、対応する構成には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0101】
消去制御回路800−1〜800−kは、レベルシフト回路により構成され、行デコーダ700−1〜700−kそれぞれに対応して設けられ、行デコーダ700−1〜700−kそれぞれに対応して接続されるメモリブロック100−10〜100−k7それぞれに含まれるメモリ素子30のソースSに共通接続される。消去制御回路800−1〜800−kは、同じ構成を有し、それぞれには、メモリ素子30のソースSに印加する電位を切り替える非消去信号EB1〜EBkが入力される。
【0102】
この構成により、不揮発性半導体メモリ装置201sは、OTPである複数のメモリ素子30を切り替えて使用する擬似MTPとして用いるだけでなく、OTPである複数のメモリ素子30をMTPとして用いることができる。このとき、OTPであるメモリ素子30の記憶するデータを正しく保持できるか否かの信頼性に応じて、メモリ素子30を切り替えて用いることができる。
なお、本実施例では、行アドレス記憶部として、冗長メモリOTPアレイ(SELm+1で選択されるメモリアレイ)を設けたが、列アドレス記憶部として、更に、冗長メモリアレイ部(例えば、SELm+2で選択されるメモリアレイ)を設けても良い。
【0103】
(第8実施形態)
図16は、第8実施形態として、上述の第4実施形態から第7実施形態におけるメモリ素子30によるメモリブロック100−0の構成例を示したレイアウト図である。
メモリブロック100−0において、メモリ素子30であるメモリセルM11、…、Mmjは、行方向及び列方向にマトリックス状に配置される。また、図の上下方向(列方向、トランジスタ形成領域の直列方向)に隣接するメモリセルM11、…、Mmjは、互いに直列方向に直交する水平方向に対して対称に配置され、直列方向に隣接する一方のメモリセルとソース線(S1、S2)であるメタル配線13を共有する。
【0104】
また、図の左右方向(行方向、トランジスタ形成領域の直列方向に対して直交する水平方向)に隣接するメモリセルM11、…、M(m+1)jは、互いに水平方向に対して対称に配置され、垂直方向に隣接する一方のメモリセルとn型拡散層17及びコンタクト18を共有し、互いのn型ウエル2の間に境界を設けることなく接続して配置される。更に、メモリセルM11、…、M(m+1)jの行方向を同じにするメモリセルは、コントロールゲート線(SEL1、SEL2、SEL3、SEL4)であるメタル配線19を共有し、ソース線(S1、S2)であるメタル配線13を共有して配置される。
このようにして、メモリセルM11、…、M(m+1)jを配置することで配置面積を削減することが可能となる。
【0105】
(第9実施形態)
第9実施形態として、上述の第6実施形態の不揮発性半導体メモリ装置101sは、内部あるいは外部に閾値検証回路を有し、メモリ素子30に対する消去動作及び第1の書き戻し動作の2通りの検証シーケンスについて説明する。
まず、図17は、第9実施形態として、上述の不揮発性半導体メモリ装置101sが有するメモリ素子30の消去動作及び書き戻し動作に対する不揮発性半導体メモリ装置101sが行う検証シーケンスのフローチャートである。なお、閾値検証回路(不図示)は、以下の動作を制御する。また、検証シーケンスは、書き込みテストを行った後に行われる。ここで、書き込みテストとは、メモリ素子30に対してデータの書き込みを行い、閾値が予め定めた値より高くなっているか否かを判定することにより行う検証である。
【0106】
まず、消去動作において、列デコーダ300−1〜300−jは、セレクトアドレス処理部600が出力するセレクトアドレスに応じたカラム線を選択する。データ入力変換回路400は、データ線D0〜D7を介して、選択されたメモリ素子30のドレインDに電圧Vp3(8V)を印加する。また、セレクトデコーダ2000は、セレクトアドレス処理部600が出力するセレクトアドレスに応じたメモリ素子30のコントロールゲートCGに0Vの電圧を印加する。消去制御回路800は、メモリ素子30のソースが共通接続されたソース線Sに電圧Vp4(2V)を印加する。これにより、選択されたメモリ素子30のそれぞれの端子には、消去状態の電圧が印加され消去が行われる(ステップS101)。
【0107】
ステップS101における消去動作により、閾値検証回路は、正しく消去が行われたか否かをかの確認として閾値電圧が初期状態の閾値電圧である1Vより高いか否かを判定する(ステップS102)。
ステップS102において、閾値電圧が初期状態の閾値電圧より高い場合(ステップS102:Yes)、閾値検証回路は、ステップS101における消去回数Nを「1」カウントアップし、消去回数Nが100回以下か否かを判定する(ステップS103)。
なお、消去回数Nは、当該シーケンス開始時において「0」に初期化される。
【0108】
消去回数が100回以下の場合(ステップS103;N≦100)、閾値検証回路は、ステップS101を実行する制御を行う。
一方、一方消去回数が100回を越える場合(ステップS103;N>100)、閾値検証回路は、テスト対象となっているメモリ素子30は、消去が正しく行えなかったとして不良判定を行い外部に通知する(ステップS108)。
また、ステップS102において、閾値電圧が初期状態の閾値電圧未満の場合(ステップS102;No)、閾値検証回路は、メモリ素子30の閾値電圧が0.5V以上か否かを判定する(ステップS104)。
なお、ステップS104における判定基準とする閾値電圧0.5Vは、非選択状態において、コントロールゲートCGに印加する電圧(0V)に対してメモリ素子30がオフ状態であるためのマージンがあるか否かを判定するステップである。なお、判定基準とする閾値電圧0.5Vは、メモリ素子30に用いるプロセスと、非選択状態においてメモリ素子30のコントロールゲートCGに印加する電圧に応じて定められる判定基準値である。
【0109】
ステップS104において、閾値電圧が0.5V未満の場合(ステップS104;No)、閾値検証回路は、データ入力変換回路400が、データ線D0〜D7を介して、選択されたメモリ素子30のドレインDに電圧Vp3(8V)を印加し、セレクトデコーダ2000が、セレクトアドレス処理部600が出力するセレクトアドレスに応じたメモリ素子30のコントロールゲートCGに1Vの電圧を印加し、消去制御回路800が、メモリ素子30のソースが共通接続されたソース線Sに電圧Vp4(0V)を印加する制御を行う。これにより、検証対象のメモリ素子30が有するそれぞれの端子には、第1の書き戻し動作に対応する電圧が100msの間印加され、書き戻しが行われる(ステップS105)。
閾値検証回路は、ステップS105における書き戻し回数をカウントするMを「1」カウントアップし、書き戻し回数が10回以下であるか否かを判定する(ステップS106)。
【0110】
ステップS106において、書き戻し回数が10回以下の場合(ステップS106;M≦10)、閾値検証回路は、再度ステップS104を実行する制御をし、メモリ素子30の閾値電圧を判定する。
一方、ステップS106において書き戻し回数が10回を越える場合(ステップS106;M>10)、閾値検証回路は、テスト対象となっているメモリ素子30が、消去が正しく行えなかったとして不良判定を行い外部に通知する(ステップS108)。
なお、書き戻し回数をカウントするMは、当該シーケンス開始時において「0」に初期化される。
ステップS104において、閾値電圧が0.5V以上の場合(ステップS104;Yes)、閾値検証回路は、メモリ素子30が正しく消去動作を行えるとして外部に通知する(ステップS107)。
以上の処理により、閾値検証回路は、メモリ素子30が正しく動作することを検証することができる。
【0111】
次に、異なる検証シーケンスとして、図18は、上述の不揮発性半導体メモリ装置101sが有するメモリ素子30の消去動作及び書き戻し動作に対する不揮発性半導体メモリ装置101sが行う検証シーケンスのフローチャートである。
まず、消去動作において、列デコーダ300−1〜300−jは、セレクトアドレス処理部600が出力するセレクトアドレスに応じたカラム線を選択する。データ入力変換回路400は、データ線D0〜D7を介して、選択されたメモリ素子30のドレインDに電圧Vp3(8V)を印加する。また、セレクトデコーダ2000は、セレクトアドレス処理部600が出力するセレクトアドレスに応じたメモリ素子30のコントロールゲートCGに0Vの電圧を印加する。消去制御回路800は、メモリ素子30のソースが共通接続されたソース線Sに電圧Vp4(2V)を印加する。閾値検証回路は、データ入力変換回路400、セレクトデコーダ2000、及び、消去制御回路800が上述の電圧を印加する制御を行い、選択されたメモリ素子30に10msの間電圧を印加して消去を行う(ステップS201)。
【0112】
ステップS201における消去動作により、閾値検証回路は、正しく消去が行われたか否かをかの確認として閾値電圧が初期状態の閾値電圧である1Vより高いか否かを判定する(ステップS202)。
ステップS202において、閾値電圧が初期状態の閾値電圧より高い場合(ステップS202:Yes)、閾値検証回路は、ステップS201における消去回数Nを「1」カウントアップし、消去回数Nが1000回以下か否かを判定する(ステップS103)。
なお、消去回数Nは、当該シーケンス開始時において「0」に初期化される。
【0113】
消去回数が1000回以下の場合(ステップS203;N≦1000)、閾値検証回路は、ステップS201を実行する制御を行う。
一方、消去回数が1000回を越える場合(ステップS203;N>1000)、閾値検証回路は、テスト対象となっているメモリ素子30が、消去が正しく行えなかったとして不良判定を行い外部に通知する(ステップS208)。
また、ステップS202において、閾値電圧が初期状態の閾値電圧未満の場合(ステップS202;No)、閾値検証回路は、メモリ素子30の閾値電圧が0.5V以上か否かを判定する(ステップS204)。
なお、ステップS204における判定は、非選択状態において、コントロールゲートCGに印加する電圧(0V)に対してメモリ素子30がオフ状態であるためのマージンがあるか否かを判定するステップである。
【0114】
ステップS204において、閾値電圧が0.5V未満の場合(ステップS204;No)、閾値検証回路は、データ入力変換回路400が、データ線D0〜D7を介して、選択されたメモリ素子30のドレインDに電圧Vp3(8V)を印加し、セレクトデコーダ2000が、セレクトアドレス処理部600が出力するセレクトアドレスに応じたメモリ素子30のコントロールゲートCGに(1+0.5M)Vの電圧を印加し、消去制御回路800が、メモリ素子30のソースが共通接続されたソース線Sに電圧Vp4(0V)を印加する制御を行う。これにより、検証対象のメモリ素子30が有するそれぞれの端子には、第1の書き戻し動作に対応する電圧が1msの間印加され、書き戻しが行われる(ステップS205)。
なお、Mは、書き戻し回数のカウント値であり、書き戻し動作(ステップS205)を行うごとに、セレクトデコーダ2000は、コントロールゲートCGに印加する電圧を高くして、書き戻し動作を行う。
閾値検証回路は、ステップS205における書き戻し回数をカウントするMを「1」カウントアップし、書き戻し回数が5回以下であるか否かを判定する(ステップS206)。
【0115】
ステップS206において、書き戻し回数が5回以下の場合(ステップS206;N≦5)、閾値検証回路は、再度ステップS204を実行する制御をし、メモリ素子30の閾値電圧を判定する。
一方、ステップS206において書き戻し回数が5回を越える場合(ステップS206;N>5)、閾値検証回路は、テスト対象となっているメモリ素子30が、消去が正しく行えなかったとして不良判定を行い外部に通知する(ステップS208)。
ステップS204において、閾値電圧が0.5V以上の場合(ステップS204;Yes)、閾値検証回路は、メモリ素子30が正しく消去動作を行えるとして外部に通知する(ステップS207)。
【0116】
以上の処理により、閾値検証回路は、メモリ素子30が正しく動作することを検証することができる。当該シーケンスは、図17の検証シーケンスに比べ、書き戻し動作の時間を長く設定することにより、過消去により閾値電圧が負の電圧になり常にオン状態となる不良を防ぐ動作を行うことで、不良発生を削減することができる。
なお、上述の2つの検証シーケンスは、図15に図示する第7実施形態の不揮発性半導体メモリ装置201sにおいても同様に行われる。
【0117】
上述の図17及び図18で行った検証シーケンスは、不揮発性半導体メモリ装置101sが行うものであるが、テスト装置などを使って、閾値検証回路及び消去制御回路を備えず、メモリ素子30をOTPとして用いる不揮発性半導体メモリ装置100s、200sに対しても行うことができる。これにより、メモリ素子30の信頼性を十分に保証した製品を出荷することができる。また、上述のシーケンスを処理する閾値検証回路と、消去制御回路800とを備える不揮発性半導体メモリ装置101s、201sは、回路規模が大きくなり製造コストが高くなるため、数回程度の書き換えを要するシステムなどには、メモリ素子30をOTPとして用い、擬似MTPを実現する不揮発性半導体メモリ装置100s、200sが好適である。
また、不揮発性半導体メモリ装置100s、200sは、アンチヒューズ型のCMOSプロセスを用いたOTP用のメモリ素子と異なり、キャパシタを形成する酸化膜に高電圧を印加して非可逆的な破壊を用いないので、上述のような閾値の検証を行うことができ、製品の信頼性を向上させることが可能である。
【符号の説明】
【0118】
100s、200s、101s、201s…不揮発性半導体メモリ装置
11s…アクセス制御部、12s、12sA…セレクトアドレス処理部
13s、13s−1、13s−k…MTPブロック部
14s…ライトアンプ部、15s…センスアンプ部
16s…データ入出力部、17s…入出力端子
131s、131sA…セレクトデコーダ、132s…データ記憶部
133s、133s−1、133s−(m+1)…OTPアレイ
21s…アクセス制御部、22s…セレクトアドレス処理部、23s…行デコーダ
24s…データ記憶部
1…p型半導体基板、2…n型ウエル、4…チャネル領域
5、7、17…n型拡散層、15…p型拡散層、9…ポリシリコン
10、11、16、18…コンタクト
12、13、19…メタル配線
30…メモリ素子
100−0、100−1、100−7、100−10、100−17…メモリブロック
100−20〜100−27、100−k0〜100−k7…メモリブロック
200−1、200−m+1…セレクトデコーダ回路
2000、2000−1、2000−k…セレクトデコーダ
300−1、300−j…列デコーダ、400…データ入力変換回路
500−0、500−7…センスアンプ、600、601…セレクトアドレス処理部
700−1、700−k…行デコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
nビット幅(n>1)のデータを記憶するn個の記憶素子群がm+1個(m>1、n≧m)含まれる記憶領域と、
前記記憶領域のうちのいずれか1つの前記記憶素子群に記憶されるセレクトアドレスに応じて、他のm個の前記記憶素子群のいずれか1つを選択するセレクトデコーダと、
前記他のm個の記憶素子群のいずれか1つの記憶素子群にデータを書き込む場合、前記セレクトアドレスを更新して、前記セレクトデコーダに更新した前記セレクトアドレスを出力するセレクトアドレス処理部と
を備えることを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置。
【請求項2】
前記セレクトアドレスを記憶する前記記憶素子群が有するnビット中のmビットそれぞれは、前記他のm個の記憶素子群がデータを書き込まれたか否かと対応付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体メモリ装置。
【請求項3】
前記nビット幅の記憶素子群を構成するn個の1ビット幅のメモリ素子それぞれは、
p型半導体基板上に形成されるMOSトランジスタであり、
ドレインを形成する第1のn型拡散層と、チャネル領域と、ソースを形成する第2のn型拡散層とが順に直列方向に配置されたトランジスタ形成領域と、
前記第1のn型拡散層とコンタクトを介して接続され、前記直列方向に配置される第1のメタル配線と、
前記第2のn型拡散層とコンタクトを介して接続され、前記直列方向と直交する水平方向に配置される第2のメタル配線と、
前記トランジスタ形成領域と前記水平方向に一定間隔をあけて配置されるn型ウエルと、
前記n型ウエル上に形成される第3のn型拡散層と、
前記n型ウエル上に形成される第1のp型拡散層と、
前記第3のn型拡散層と前記第1のp型拡散層それぞれとコンタクトを介して接続され、前記水平方向に配置されたコントロールゲートを形成する第3のメタル配線と、
前記第3のメタル配線と平行に、かつ、前記第1のp型各拡散及び前記チャネル領域の一部を覆うように配置されたポリシリコンと
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の不揮発性半導体メモリ装置。
【請求項4】
前記メモリ素子にデータを書き込む場合、
前記ドレインに第1の電圧を印加し、前記コントロールゲートに第1の電圧より高い第2の電圧を印加し、前記ソースに接地電位を印加することで、前記ドレイン近傍に空乏層を形成すると共にホットエレクトロンを発生させ、前記ホットエレクトロンをフローティングゲートを形成する前記ポリシリコンに注入して閾値電圧を高く変化させ、
前記メモリ素子からデータを読み出す場合、
前記ドレインに第3の電圧を印加し、前記コントロールゲートに前記第3の電圧より低く、前記メモリ素子の書き込みを行う前の初期状態の閾値より高い電圧を印加し、前記ソースに接地電位を印加して、前記ドレインと前記ソースとの間に電流が流れるか否かによりデータを読み出す
ことを特徴とする請求項3に記載の不揮発性半導体メモリ装置。
【請求項5】
前記記憶領域は、
前記メモリ素子をマトリックス状に配置し、配置された前記メモリ素子それぞれは、行方向に隣接するメモリ素子と行方向に対して対称に配置され、かつ、列方向に隣接するメモリ素子と列方向に対して対称に配置され、
行方向に対して隣接する一方の前記メモリ素子と前記第3のn型拡散層を共有し、
同一の行方向に配置される前記メモリ素子は、前記第2のメタル配線と、前記第3のメタル配線とを共有し、
同一の列方向に配置される前記メモリ素子は、前記第1のメタル配線を共有する
ことを特徴とする請求項4に記載の不揮発性半導体メモリ装置。
【請求項6】
n(n>1)ビット幅のデータを記憶するn個の記憶素子群がm+1個(m>1、n≧m)含む記憶領域と、
前記記憶領域に含まれる前記m+1個の記憶素子群のうちの1つに記憶されているセレクトアドレスを前記センスアンプ部を介して読み出して記憶するセレクトアドレス処理部と、
前記セレクトアドレス処理部から入力される前記セレクトアドレスをデコードして、前記記憶領域に含まれる前記m+1個の記憶素子群のうちから1つの前記記憶素子群を選択するセレクトデコーダと、
前記セレクトデコーダにより選択された前記記憶素子群が出力したnビット幅のデータを増幅してデータ入出力部を介して入出力端子に出力するセンスアンプ部と、
前記入出力端子からデータ入出力部を介して入力されるnビット幅のデータを増幅して、増幅したnビット幅のデータを前記セレクトデコーダにより選択された記憶素子群に書き込み記憶させるライトアンプ部と、
外部から読み出し命令が入力されると、前記記憶領域に含まれる前記m+1個の記憶素子群のうちの1つの記憶素子群に記憶されているnビット幅のデータを前記センスアンプ及び前記データ入出力部を介して入出力端子から出力する制御をし、外部から書き込み命令が入力されると、前記入出力端子から入力されるnビット幅のデータを前記データ入出力部及び前記ライトアンプ部を介して前記記憶領域に含まれる前記m+1個の記憶素子群のうちの1つの記憶素子群に記憶させる制御を行うアクセス制御部と、を備える
ことを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置。
【請求項7】
外部から前記書き込み命令が入力されると、
前記アクセス制御部は、
前記セレクトアドレス処理部が、記憶している前記セレクトアドレスを前記セレクトデコーダに出力し、出力した前記セレクトアドレスに応じて前記セレクトデコーダに1つの前記記憶素子群を選択させ、前記データ入出力部及び前記ライトアンプ部を介して前記入出力端子から入力されるnビット幅のデータを前記セレクトデコーダにより選択された前記記憶素子群に出力して記憶させる制御をし、
続いて、前記アクセス制御部は、
前記セレクトアドレス処理部が、前記セレクトアドレスを記憶している前記記憶素子群を選択する信号を前記セレクトデコーダに出力すると共に、更新した前記セレクトアドレスを該記憶素子群に前記ライトアンプ部を介して出力して該記憶素子群に更新したセレクトアドレスを記憶させる制御をし、
更に、前記アクセス制御部は、
前記セレクトアドレス処理部が、前記セレクトアドレスを記憶している前記記憶素子群を選択する信号をセレクトデコーダに出力すると共に、該記憶素子群が記憶している前記セレクトアドレスを前記センスアンプを介して読み込んで記憶する制御をし、
外部から前記読み出し命令が入力されると、
前記アクセス制御部は、
前記セレクトアドレス処理部が、記憶している前記セレクトアドレスを前記セレクトデコーダに出力し、出力した前記セレクトアドレスに応じて前記セレクトデコーダに1つの前記記憶素子群を選択させ、選択された前記記憶素子群に記憶されているnビット幅のデータを読み出して前記センスアンプ部及び前記データ入出力部を介して前記入出力端子に出力する制御をする
ことを特徴とする請求項6に記載の不揮発性半導体メモリ装置。
【請求項8】
前記セレクトアドレス処理部は、
前記セレクトアドレスをエンコードして記憶するカウンタを備え、
前記セレクトアドレスを更新する場合、前記カウンタが記憶している値を1増加させ、
前記セレクトデコーダは、
前記セレクトアドレス処理部の前記カウンタが出力する値をデコードして、前記m個の記憶素子群それぞれに対応する選択信号のうち1つのみを選択すると共に、前記セレクトアドレス処理部から前記セレクトアドレスを記憶する前記記憶素子群を選択する信号が入力されると該記憶素子群を選択する選択信号を出力するデコーダを備える
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の不揮発性半導体メモリ装置。
【請求項9】
前記セレクトアドレス処理部は、
前記セレクトアドレスを記憶するシフトレジスタを備え、
前記セレクトアドレスを更新する場合、前記シフトレジスタが記憶している値をシフトすると共に1をシフトインし、
前記セレクトデコーダは、
前記セレクトアドレス処理部の前記シフトレジスタが出力する値の0と1との境界を検出して、前記m個の記憶素子群それぞれに対応する選択信号を出力すると共に、前記セレクトアドレス処理部から前記セレクトアドレスを記憶する前記記憶素子群を選択する信号が入力されると該記憶素子群を選択する選択信号を出力するデコーダを備える
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の不揮発性半導体メモリ装置。
【請求項10】
n(n>1)ビット幅のデータを記憶するn個の記憶素子群がm+1個(m>1、n≧m)含む記憶領域と、前記m+1個の記憶素子群のうちの1つの記憶素子群を除くm個の記憶素子群から1つを選択するセレクトアドレスをデコードするセレクトデコーダとを含み構成されるk(k>1)個の記憶ブロック部と、
外部から入力される行アドレスをデコードして、前記k個の記憶ブロック部のうち1つの記憶ブロック部を選択する行デコーダと、
前記k個の記憶ブロック部のうち、前記行デコーダにより選択された前記記憶ブロック部に含まれる前記m+1個の記憶素子群のうち1つの記憶素子群から読み出されたnビット幅のデータを増幅してデータ入出力部に出力するセンスアンプ部と、
前記データ入出力部から入力されるnビット幅のデータを増幅して、前記行デコーダにより選択された前記記憶ブロック部に含まれる前記m+1個の記憶素子群のうち1つの記憶素子群に書き込み記憶させるライトアンプ部と、
前記k個の記憶ブロック部それぞれに対応した前記セレクトアドレスを記憶し、前記k個の記憶ブロック部がnビット幅のデータを新たに記憶する際に、対応する前記セレクトアドレスを更新し、更新した前記セレクトアドレスを前記記憶ブロック部の前記セレクトデコーダに出力するセレクトアドレス処理部と、
外部から読み出し命令と前記行アドレスとが入力されると、入力された該行アドレスを前記行デコーダに出力し、前記セレクトアドレス処理部に記憶している前記セレクトアドレスを出力させ、前記セレクトデコーダにより選択された前記記憶素子群から読み出されたnビット幅のデータを前記センスアンプ部及び前記データ入出力部を介して入出力端子から出力する制御をし、外部から書き込み命令と前記行アドレスとが入力されると、前記入出力端子から入力されるnビット幅のデータを前記データ入出力部及び前記ライトアンプ部を介して前記行デコーダに選択された前記記憶領域に含まれる前記セレクトデコーダに選択された前記記憶素子群に記憶させる制御を行うアクセス制御部と、を備える
ことを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置。
【請求項11】
i(i>1)本のデータ線ごとに設けられたi個のセンスアンプと、
複数の選択信号線と複数のビット線との交点それぞれに記憶素子が行方向と列方向とのマトリックス状に配置されると共に、前記記憶素子が前記i本のデータ線ごとに対応付けられ前記列方向に分割されたi個のメモリブロックからなるメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの一部に記憶されているセレクトアドレスを読み出して記憶するセレクトアドレス処理部と、
前記i個のメモリブロックそれぞれの複数のビット線と、前記i個のメモリブロックそれぞれに対応する前記データ線との接続を切り替える複数のスイッチ素子と、
前記セレクトアドレス処理部に記憶されているセレクトアドレスに応じて前記複数の選択信号線のうち1つの選択信号線を活性化させるセレクトデコーダと、
前記セレクトアドレス処理部に記憶されているセレクトアドレスに応じて前記複数のスイッチ素子のオン/オフを切り替える複数の列デコーダと、
外部から入力される前記メモリセルアレイに書き込むデータに応じて前記i本のデータ線に電圧を印加するデータ入力変換回路と
を備え、
前記記憶素子それぞれは、
半導体基板上に形成されるフローティングゲートを有するトランジスタからなり、コントロールゲートが前記選択信号線に接続され、ドレインが前記ビット線に接続され、ソースが消去制御回路に共通接続される
ことを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置。
【請求項12】
i(i>1)本のデータ線ごとに設けられたi個のセンスアンプと、
複数の選択信号線と複数のビット線との交点それぞれに記憶素子が行方向と列方向とのマトリックス状に配置されると共に、前記記憶素子が前記i本のデータ線ごとに前記列方向にi個に分割され、更に、それぞれが前記行方向にk(k>1)個に分割されたi×k個のメモリブロックからなるメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの一部に記憶されているセレクトアドレスを読み出して記憶するセレクトアドレス処理部と、
前記i本のデータ線それぞれと、該データ線に対応して前記列方向に分割された前記メモリブロックの前記複数のビット線との接続を切り替える複数のスイッチ素子と、
前記行方向に分割されたi個のメモリブロックからなるメモリブロック群ごとに設けられ、該メモリブロック群に対応する前記複数の選択信号線のうち1つの選択信号線を活性化させるk個のセレクトデコーダと、
前記セレクトアドレス処理部に記憶されているセレクトアドレスに応じて前記複数のスイッチ素子のオン/オフを切り替える複数の列デコーダと、
前記k個のセレクトデコーダに対応して設けられ、外部から入力される行アドレスに応じて前記k個のセレクトデコーダのうちから1つのセレクトデコーダを選択して動作させる複数の行デコーダと、
外部から入力される前記メモリセルアレイに書き込むデータに応じて前記i本のデータ線に電圧を印加するデータ入力変換回路と
を備え、
前記記憶素子それぞれは、
半導体基板上に形成されるフローティングゲートを有するトランジスタからなり、コントロールゲートが前記選択信号線に接続され、ドレインが前記ビット線に接続され、ソースが消去制御回路に共通接続される
ことを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置。
【請求項13】
前記記憶素子である前記トランジスタのドレインに第1の電圧を印加し、該トランジスタのコントロールゲートに前記第1の電圧より高い第2の電圧を印加し、該トランジスタのソースを接地電位にすることにより書き込み動作を行い、
また、前記トランジスタのドレインに前記第2の電圧より高い第4の電圧を印加し、該トランジスタのコントロールゲートを接地電位にし、該トランジスタのソースをオープン状態か接地電位より高く前記第1の電圧より低い電圧を印加することにより消去動作を行い、
また、前記トランジスタのドレインに前記接地電位か第4の電圧を印加し、該トランジスタのコントロールゲートに接地電位か第3の電圧を印加し、該トランジスタのソースに接地電位を印加するか、あるいは、前記トランジスタのドレインに前記第1の電圧を印加し、該トランジスタのソースに接地電位を印加し、該トランジスタのコントロールゲートに印加する電圧を前記第3の電圧から予め定められた電位まで徐々に高くすることにより書き戻し動作を行う
ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の不揮発性半導体メモリ装置。
【請求項14】
前記記憶素子に対して書き込み動作を行って閾値が予め定めた書き込み基準値を超えたことを確認するテストを行った後に、消去動作を少なくとも1回以上行い、前記記憶素子である前記トランジスタの閾値が初期の閾値以下に変更されたか否かを検証し、更に、前記トランジスタの閾値が予め定められた判定基準値より低いとき書き戻し動作を少なくとも1回以上行い、閾値が、前記初期の閾値以下、かつ、前記判定基準値以上となるか否かにより前記記憶素子の動作検証を行い、
予め定めた回数の前記消去動作を行っても前記トランジスタの閾値が前記初期の閾値以下にならないとき、前記記憶素子を不良と判断し、
また、予め定めた回数の前記書き戻し動作を行っても、前記トランジスタの閾値が前記判定基準以上とならないとき、前記記憶素子を不良と判断する
ことを特徴とする請求項13に記載の不揮発性半導体メモリ装置。
【請求項15】
前記消去制御回路は、前記複数の記憶素子の共通接続されたソースに接地電位のみを印加する
ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の不揮発性半導体メモリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−238278(P2010−238278A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82574(P2009−82574)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】