説明

不揮発性半導体記憶装置

【課題】エンデュランスやディスターブ等の故障モードによって引き起こされる可能性のある重大な事故や損害を未然に防止するための手段が講じられた不揮発性半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】メモリセルトランジスタMCに記憶されたデータの読み出しに用いる第1のセンスアンプ10に加え、セル電流Icの状態を詳しく調べるために、第2,第3のセンスアンプ20,30を設ける。第2のセンスアンプ20は、セル電流Icと第1の基準電流Iref1よりも大きい第2の基準電流Iref2とを比較する。また、第3のセンスアンプ30では、第1の基準電流Iref1よりも小さい第3の基準電流Iref3とを比較する。そして、各出力信号に基づいて、第1のセンスアンプ10の出力信号の信頼度を判定する。その判定結果から、メモリセルトランジスタMCに故障モードが発生しているか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置に関し、特に、センスアンプを備えた不揮発性半導体記憶装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、不揮発性メモリは、携帯電話機やデジタルカメラ等の民生品にとどまらず、高いデータ保持の信頼性が求められる車載、航空、医療機器、IDカードなどにも採用されてきている。
【0003】
一般的な不揮発性メモリとしてEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Only Memory)が知られている。これは、フローティングゲート(浮遊ゲート)に所定の電荷量が蓄積されているか否かによって、2値又はそれ以上の多値のデジタルデータを記憶し、その電荷量に応じたチャネル領域の導通の変化を検知することで、デジタルデータを読み出すことができるものである。また、このEEPROMは、半導体基板上にフローティングゲートとコントロールゲートとが順次積層された構造を持つスタックゲート型(Stacked-Gate Type)と、フローティングゲートとコントロールゲートとがともに半導体基板のチャネル領域と対向する構造をもつスプリットゲート型(Split-Gate Type)とに分類される。
【0004】
図4は、不揮発性メモリの一例として、スプリットゲート型EEPROMの1つのメモリセルトランジスタ100の構造を示す断面図である。P型半導体基板101の表面に所定間隔を隔ててn+型のドレイン領域102及びn+型のソース領域103が形成され、それらの間にチャネル領域104が形成されている。このチャネル領域104の一部上及びソース領域103の一部上には、ゲート絶縁膜105を介してフローティングゲート106が形成されている。フローティングゲート106上には、厚いシリコン酸化膜107が形成されている。
【0005】
また、フローティングゲート106の側面及び厚いシリコン酸化膜107の上面の一部を被覆するようにトンネル絶縁膜108が形成されている。トンネル絶縁膜108上及びチャネル領域104の一部上にはコントロールゲート109(制御ゲート)が形成されている。
【0006】
上述した構成のメモリセルトランジスタ100の動作を説明すると以下の通りである。まず、データ「0」の書き込み時には、コントロールゲート109とソース領域103に所定の電源電圧(例えば、P型半導体基板101に0V、コントロールゲート109に2V、ソース領域103に10V)を印加し、チャネル領域104に電流を流すことにより、ゲート絶縁膜105を通してフローティングゲート106にチャネルホットエレクトロン(Channel Hot Electron)を注入する。フローティングゲート106に注入されたチャネルホットエレクトロンは電荷としてフローティングゲート106内に保持される。
【0007】
一方、前記メモリセルトランジスタ100に記憶されたデータ「0」を消去する時には、ドレイン領域102及びソース領域103を接地し、コントロールゲート109に所定の電源電圧(例えば、13V)を印加することにより、トンネル絶縁膜108にファウラー・ノルドハイム・トンネル電流(Fowler-Nordheim Tunneling Current)を流し、フローティングゲート106に蓄積された電子をコントロールゲート109へ引き抜く。この消去により、メモリセルトランジスタ100に記憶されたデジタルデータは「1」になる。
【0008】
また、前記メモリセルトランジスタ100に記憶されたデータを読み出す時は、コントロールゲート109及びドレイン領域102に所定の電源電圧(例えば、5V)を印加する。すると、フローティングゲート106に蓄積された電子の電荷量に応じて、ソース・ドレイン間にセル電流Icが流れる。データ「0」が書き込まれている場合にはメモリセルトランジスタ100のしきい値は高くなるので、セル電流Icは通常0μA程度に小さくなり、データ「1」が書き込まれている場合にはメモリセルトランジスタ100のしきい値は低くなるので、セル電流Icは通常40μA程度になる。
【0009】
そして、このセル電流Icを所定のセンスアンプで基準電流Irefと比較することによって「0」のデータか、「1」のデータかの判定が行われる。例えば、基準電流Iref(=20μA)とした場合に、セル電流Icが20μA以上の電流量であれば、センスアンプはそれを検出して電圧値5V(データ「1」)を出力し、20μA以下の電流量であれば、電圧値0V(データ「0」)を出力する。
【0010】
上述した技術は例えば、以下の特許文献に記載されている。
【特許文献1】特開2000−173278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述したような不揮発性メモリでは、データを保持しているメモリセルトランジスタの構造上、その使用に応じて、エンデュランス、ディスターブ、過消去、データリテンションなどの故障モードが潜在的に存在する。
【0012】
これらの故障モードが発生すると、メモリセルトランジスタのしきい値電圧が変化する。例えば、データ「1」に対するセル電流Icが当初40μA以上であったものが減少し、その一方で、データ「0」に対するセル電流Icが当初0μAであったものが上昇してしまう。そして、これにより、センスアンプの判定が逆転してしまい、本来のデータとは逆のデータを判定、出力してしまうという問題(以下、「誤読み出し」と称する)がある。
【0013】
このような誤読み出しが、車載、航空、医療機器、IDカードなどの高いデータ保持の信頼性が求められる不揮発性メモリで生じた場合には、重大な事故や損害が引き起こされ得る。
【0014】
そこで、本発明は、上記故障モードによって引き起こされる可能性のある重大な事故や損害を未然に防止するための手段が講じられた不揮発性半導体記憶装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な特徴は以下のとおりである。すなわち、本発明の不揮発性半導体記憶装置は、電気的にデータの消去及び書込みが可能な不揮発性メモリセルトランジスタと、前記不揮発性メモリセルトランジスタに流れるセル電流と第1の基準電流とを比較して第1の出力信号を出力する第1のセンスアンプと、前記不揮発性メモリセルトランジスタに流れるセル電流と前記第1の基準電流よりも大きい第2の基準電流とを比較して第2の出力信号を出力する第2のセンスアンプと、前記不揮発性メモリセルトランジスタに流れるセル電流と前記第2の基準電流よりも小さい第3の基準電流とを比較して第3の出力信号を出力する第3のセンスアンプと、前記第1、第2及び第3の出力信号に基づいて、前記第1の出力信号の信頼度を判定し、その判定結果を出力する判定回路を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の不揮発性半導体記憶装置によれば、誤読み出しが発生する状況が近いか否かの情報を容易に得ることができる。従って、かかる情報をLSI外部の報知装置(例えば、モニタや音声装置)で知らせることで、誤読み出しが原因となって引き起こされる重大な事故や損害を未然に防止することが可能となる。
【0017】
特に、高いデータ保持の信頼性が求められる車載、航空、医療機器、IDカードなどの用途に用いる不揮発性半導体記憶装置として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の不揮発性半導体記憶装置について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の不揮発性半導体記憶装置の回路構成の一例を示している。図1において、MCは既に説明したような不揮発性メモリのメモリセルトランジスタであり、ワード線選択信号WLによって制御されている。STはメモリセルトランジスタMCに直列に接続され、ビット線選択信号SELに応じて導通し、メモリセルトランジスタMCを選択する選択トランジスタである。図1では、選択トランジスタSTは1つだけ記載しているが、実際は複数の選択トランジスタが直列に接続されてデコーダを構成している。
【0020】
10はメモリセルトランジスタMCのソース・ドレイン間を流れるセル電流Icを第1の基準電流Iref1と比較する第1のセンスアンプである。第1のセンスアンプ10は、一対の差動トランジスタP2,P3と、カレントミラーを構成するトランジスタN1,N2と、イネーブル信号ENBに応じて導通し、第1のセンスアンプ10を活性化するトランジスタN3から構成されている。差動トランジスタP2は、選択トランジスタSTを介してメモリセルトランジスタMCと接続されたトランジスタP1とカレントミラーを構成しており、メモリセルトランジスタMCに流れるセル電流Icと同じ電流が差動トランジスタP2に流れる。
【0021】
上述の第1の基準電流Iref1は第1の基準電流発生回路11から発生される。この第1の基準電流発生回路11は、一定のバイアス電流Ibiasを発生する定電流源15と、このバイアス電流Ibiasを分流する2つの分流トランジスタP4,P5から構成され、これらの分流トランジスタP4,P5と第1のセンスアンプ10の差動トランジスタP3とがカレントミラーを構成している。分流トランジスタP4,P5、差動トランジスタP3のトランジスタサイズが等しいとすると、分流トランジスタP4,P5にはそれぞれ1/2Ibiasの電流が流れ、これと等しい第1の基準電流Iref1(=1/2Ibias)が差動トランジスタP3に流れることになる。したがって、第1のセンスアンプ10は、メモリセルトランジスタMCに流れるセル電流Icと第1の基準電流Iref1(=1/2Ibias)とを比較することになる。
【0022】
そして、第1のセンスアンプ10の出力は差動トランジスタP3とトランジスタN2との接続点から取り出され、インバータINV1によって反転され、第1の出力信号SENCE_OUT1となる。すなわち、Ic>Iref1のときはSENCE_OUT1=「1」、Ic<Iref1のときはSENCE_OUT1=「0」である。この第1の出力信号SENCE_OUT1が、この不揮発性半導体記憶装置の本来的な出力信号である。
【0023】
また、20はメモリセルトランジスタMCのソース・ドレイン間を流れるセル電流Icを第2の基準電流Iref2と比較する第2のセンスアンプである。第2のセンスアンプ20は、差動トランジスタP6とこれと対を成す並列接続された3つの差動トランジスタP7,P8,P9と、カレントミラーを構成するトランジスタN4,N5と、イネーブル信号ENBに応じて導通し、第2のセンスアンプ20を活性化するトランジスタN6から構成されている。差動トランジスタP6は、選択トランジスタSTを介してメモリセルトランジスタMCと接続されたトランジスタP1とカレントミラーを構成しており、メモリセルトランジスタMCに流れるセル電流Icと同じ電流が差動トランジスタP6に流れる。
【0024】
上述の第2の基準電流Iref2は第2の基準電流発生回路21から発生される。この第2の基準電流発生回路21は、一定のバイアス電流Ibiasを発生する定電流源25と、このバイアス電流Ibiasを分流する4つの分流トランジスタP10,P11,P12,P13から構成され、これらの分流トランジスタP10,P11,P12,P13と第2のセンスアンプ20の差動トランジスタP7,P8,P9とがカレントミラーを構成している。分流トランジスタP10,P11,P12,P13と差動トランジスタP7,P8,P9のトランジスタサイズが等しいとすると、分流トランジスタP10,P11,P12,P13にはそれぞれ1/4Ibiasの電流が流れ、これと等しい電流がそれぞれ差動トランジスタP7,P8,P9に流れる。したがって、第2の基準電流Iref2(=3/4Ibias)が並列の3つの差動トランジスタP7,P8,P9に流れることになる。
【0025】
したがって、第2のセンスアンプ20は、メモリセルトランジスタMCに流れるセル電流Icと第1の基準電流Iref1(=1/2Ibias)より大きな第2の基準電流Iref2(=3/4Ibias)とを比較することになる。
【0026】
そして、第2のセンスアンプ20の出力は差動トランジスタP7,P8,P9とトランジスタN5の接続点から取り出され、インバータINV2によって反転され、第2の出力信号SENCE_OUT2となる。すなわち、Ic>Iref2のときはSENCE_OUT2=「1」、Ic<Iref2のときはSENCE_OUT2=「0」である。
【0027】
第2のセンスアンプ20は、第1のセンスアンプ10に比して大きな基準電流を用いているので、メモリセルトランジスタMCが記憶しているデータ「1」に対しては、第1のセンスアンプ10に比して厳しい条件でデータを判定することになる。
【0028】
また、30はメモリセルトランジスタMCのソース・ドレイン間を流れるセル電流Icを第3の基準電流Iref3と比較する第3のセンスアンプである。第3のセンスアンプ30は、一対の差動トランジスタP14,15と、カレントミラーを構成するトランジスタN7,N8と、イネーブル信号ENBに応じて導通し、第3のセンスアンプ30を活性化するトランジスタN9から構成されている。差動トランジスタP14は、選択トランジスタSTを介してメモリセルトランジスタMCと接続されたトランジスタP1とカレントミラーを構成しており、メモリセルトランジスタに流れるセル電流Icと同じ電流が差動トランジスタP14に流れる。
【0029】
上述の第3の基準電流Iref3は第3の基準電流発生回路31から発生される。この第3の基準電流発生回路31は、一定のバイアス電流Ibiasを発生する定電流源35と、このバイアス電流Ibiasを分流する4つの分流トランジスタP16,P17,P18,P19から構成され、これらの分流トランジスタP16,P17,P18,P19と第2のセンスアンプ20の差動トランジスタP15とがカレントミラーを構成している。分流トランジスタP16,P17,P18,P19と差動トランジスタP15のトランジスタサイズが等しいとすると、分流トランジスタP16,P17,P18,P19にはそれぞれ1/4Ibiasの電流が流れ、これと等しい電流が差動トランジスタP15に流れる。したがって、第3の基準電流Iref3(=1/4Ibias)が差動トランジスタP15に流れることになる。
【0030】
したがって、第3のセンスアンプ30は、メモリセルトランジスタMCに流れるセル電流Icと第1の基準電流Iref1(=1/2Ibias)よりも小さな第3の基準電流Iref3(=1/4Ibias)とを比較することになる。
【0031】
そして、第3のセンスアンプ30の出力は差動トランジスタP15とトランジスタN9との接続点から取り出され、インバータINV3によって反転され、第3の出力信号SENCE_OUT3となる。すなわち、Ic>Iref3のときはSENCE_OUT3=「1」、Ic<Iref3のときはSENCE_OUT3=「0」である。
【0032】
第3のセンスアンプ30は、第1のセンスアンプ10に比して小さな基準電流を用いているので、メモリセルトランジスタMCが記憶しているデータ「0」に対しては、第1のセンスアンプ10に比して厳しい条件でデータを判定することになる。
【0033】
上述のように、本発明は、メモリセルトランジスタMCに記憶されたデータの読み出しに用いる第1のセンスアンプ10に加えて、メモリセルトランジスタMCに流れるセル電流Icの状態をより詳しく調べるために、第2及び第3のセンスアンプ20,30を設けたものである。バイアス電流Ibias=40μAとすると、メモリセルトランジスタMCに記憶されたデータ「1」に対しては、第1のセンスアンプ10は、第1の基準電流Iref1(=20μA)を用いてデータの判定するのに対して、第2のセンスアンプ20は第2の基準電流Iref2(=30μA)という、より厳しい条件でデータの判定を行うことになる。また、メモリセルトランジスタMCに記憶されたデータ「0」に対しては、第1のセンスアンプ10は、第1の基準電流Iref1(=20μA)を用いてデータの判定するのに対して、第3のセンスアンプ30は第3の基準電流Iref3(=10μA)という、より厳しい条件でデータの判定を行うことになる。
【0034】
実際には、データ読み出し時のデータの期待値(「0」か「1」か)は不明なので、第1、第2,第3の出力信号SENCE_OUT1〜SENCE_OUT3が全て一致するか否かによって、本来のセンス出力信号である第1の出力信号SENCE_OUT1の信頼度を判定する。
【0035】
第1、第2,第3の出力信号SENCE_OUT1〜SENCE_OUT3が全て一致した場合には、セル電流Icは、Ic>Iref2もしくは、Ic<Iref3 であることが確認されるから、誤動作に至るまでには十分な余裕があり、データの信頼度が高いと判定される。一方、第1、第2,第3の出力信号SENCE_OUT1〜SENCE_OUT3が全て一致しない場合には、Ic<Iref2もしくは、Ic>Iref3であることが確認されるので、現在は正常であるが、将来的に誤動作する危険が大きくなっており、データの信頼度が低いと判定される。
【0036】
図2は、上述のようなデータの信頼度の判定機能を有した判定回路50の論理回路図である。また、図3は、この判定回路の論理値表である。第1の出力信号SENCE_OUT1は、アンプAPを通して出力データDATAとして外部に出力される。また、第1、第2,第3の出力信号SENCE_OUT1〜SENCE_OUT3はそれぞれNOR回路60及びNAND回路70に入力される。NOR回路60の出力はNOR回路80に入力され、NAND回路70の出力はインバータINV4を通してNOR回路80に入力される。そして、NOR回路80の出力はインバータINV5を通して、信頼度判定結果データRELYとして外部に出力される。
【0037】
例えば、メモリセルトランジスタMCにデータ「1」が記憶されている場合、当初のセル電流Icは40μA以上であるとする。この場合には、第1、第2,第3の出力信号SENCE_OUT1〜SENCE_OUT3はいずれも「1」であり、DATA=1、RELY=1である。すなわち、第1のセンスアンプ10によってデータ「1」と判定した結果の信頼度が高いと判定される。
【0038】
その後、メモリセルトランジスタMCの使用によって、エンデュランス,ディスターブ,過消去,データリテンションなどの故障モードが原因で、データ「1」に対するセル電流Icが40μA以上であったものが減少し、25μAになってしまったとする。この場合、セル電流Icは第2の基準電流Iref2(=30μA)よりも小さいため、第2の出力信号SENCE_OUT2は「0」に変化する。そうすると、DATA=1、RELY=0となり、誤読み出しの発生が近いことが予見でき、出力データDATAの結果の信頼度が低いと判定される。
【0039】
メモリセルトランジスタMCにデータ「0」が記憶されている場合についても同様である。従って、当初のセル電流Icが0μAであるとすると、第1,第2,第3の出力信号SENCE_OUT1〜SENCE_OUT3はいずれも「0」であり、DATA=0、RELY=1である。すなわち、第1のセンスアンプ10によってデータ「0」と判定した結果の信頼度が高いと判定される。
【0040】
これに対して、故障モードが原因で、データ「0」に対するセル電流Icが0μAであったものが上昇し、15μAになってしまったとする。この場合、セル電流Icは第3の基準電流Iref3(=10μA)よりも大きいため、第3の出力信号SENCE_OUT3が「1」に変化する。そうすると、DATA=0,RELY=0となり、誤読み出しの発生が近いことが予見でき、出力データDATAの結果の信頼度が低いと判定される。
【0041】
そのような信頼度判定結果をユーザー等に知らせるために、図2に示すように、報知装置90を設けてもよい。報知装置90は、信頼度判定結果データRELYに応じて表示を行う表示装置、あるいは音声装置であることが好ましい。
【0042】
なお、本実施形態では、第1の基準電流Iref1(20μA)を基準として、それよりも大きい第2の基準電流Iref2(30μA)、小さい第3の基準電流Iref3(10μA)を用いたが、それらの基準電流の値は互いの大小関係を保ちながら、適当に設定することができる。
【0043】
また、本実施形態では、3つのセンスアンプを備えた不揮発性半導体記憶装置について説明したが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、基準電流値が35μA,5μAのセンスアンプをさらに追加するといったように判定レベルを増加することによって、出力データDATAの結果の信頼度をより細かいレベルで判定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の不揮発性半導体記憶装置を説明する回路図である。
【図2】本発明の不揮発性半導体記憶装置の判定回路を説明する回路図である。
【図3】本発明の実施例に係る判定回路の論理値表である。
【図4】スプリットゲート型EEPROMのメモリセルを説明する断面図である。
【符号の説明】
【0045】
MC メモリセルトランジスタ ST 選択トランジスタ
P1〜P19 Pチャンネル型MOSトランジスタ
N1〜N9 Nチャンネル型MOSトランジスタ 10 センスアンプ
11 第1の基準電流発生回路 15,25,35 定電流発生源
20 第2のセンスアンプ 21 第2の基準電流発生回路
30 第3のセンスアンプ 31 第3の基準電流発生回路 50 判定回路
60 NOR回路 70 NAND回路 80 NOR回路
90 報知装置 100 メモリセルトランジスタ
101 P型半導体基板 102 ドレイン領域 103 ソース領域
104 チャネル領域 105 ゲート絶縁膜 106 フローティングゲート
107 厚いシリコン酸化膜 108 トンネル絶縁膜
109 コントロールゲート AP アンプ Ic セル電流
Iref1 第1の基準電流 Iref2 第2の基準電流
Iref3 第3の基準電流 Ibias 一定のバイアス電流
INV1〜INV5 インバータ WL ワード線選択信号
SEL ビット線選択信号 VDD 基準電圧
DATA 出力データ RELY 信頼度判定結果データ
S ソース D ドレイン ENB イネイブル信号
SENCE_OUT1 第1の出力信号 SENCE_OUT2 第2の出力信号
SENCE_OUT3 第3の出力信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的にデータの消去及び書込みが可能な不揮発性メモリセルトランジスタと、
前記不揮発性メモリセルトランジスタに流れるセル電流と第1の基準電流とを比較して第1の出力信号を出力する第1のセンスアンプと、
前記不揮発性メモリセルトランジスタに流れるセル電流と前記第1の基準電流よりも大きい第2の基準電流とを比較して第2の出力信号を出力する第2のセンスアンプと、
前記不揮発性メモリセルトランジスタに流れるセル電流と前記第2の基準電流よりも小さい第3の基準電流とを比較して第3の出力信号を出力する第3のセンスアンプと、
前記第1、第2及び第3の出力信号に基づいて、前記第1の出力信号の信頼度を判定し、その判定結果を出力する判定回路とを備えることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記判定回路は、前記前記第1、第2及び第3の出力信号が全て一致するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置
【請求項3】
定電流源と、この定電流源の定電流を分流する複数の分流トランジスタを備え、該分流トランジスタは、前記第1、第2、第3のセンスアンプの差動トランジスタとカレントミラーを構成することで、前記第1、第2、第3のセンスアンプの差動トランジスタにそれぞれ前記第1、第2及び第3の基準電流を流すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記判定回路による前記判定結果を報知する報知装置を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記報知装置は、表示装置又は音声発生装置であることを特徴とする請求項4に記載の不揮発性半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−109322(P2007−109322A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299750(P2005−299750)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】