説明

光導波路モジュール

【課題】光導波路に幅の狭い溝部をフォトリソグラフィプロセスで形成できるようした光導波路モジュールを提供する。
【解決手段】光導波路2は導波路基板3に支持され、波長選択フィルタ7が挿入される溝部6を備える。溝部6は、コア4を横切る位置に形成される保持部6aと、保持部6aの両端部に形成される幅広部6bを備える。幅広部6bは、保持部6aより広い幅で構成され、フォトリソグラフィプロセスで溝部6を形成する際に、現像液の回り込みを良くして、確実に溝部6が形成されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜機能素子が挿入される溝部を有する平面型の光導波路を備えた光導波路モジュールに関する。詳しくは、溝部の少なくとも一方の端部に幅広部を備えることで、薄膜機能素子が挿入されるような幅の狭い溝部を、フォトリソグラフィプロセスで形成できるようにしたものである。
【0002】
また、光導波路を支持する導波路基板と光導波路の間に剥離防止層を備えて、溝部の底面を剥離防止層を介して導波路基板と接合することで、光導波路の導波路基板からの剥離を防止できるようにしたものである。
【背景技術】
【0003】
従来より、電子機器内のボード間、チップ間等の情報伝達は電気信号により行われてきたが、更に超高速、大容量の情報伝送を実現するために、光配線技術が注目されており、光配線技術を利用して波長多重双方向光伝送を行えるようにした導波路型の光モジュールが提案されている。
【0004】
波長多重双方向光伝送を実現するためには、異なる波長の光信号を分離多重化する機能が必要であり、例えば、任意の波長領域における光を選択的に反射及び透過させる機能を有する波長選択フィルタを使用した光モジュールが提案されている。
【0005】
このような光モジュールとして、平面型の光導波路を複数に分割した構成とし、光導波路の端面同士を波長選択フィルタ介して光接続した技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、平面型の光導波路にダイシング等により溝を形成して波長選択フィルタを挿入する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平10−133045号公報
【特許文献2】特開平11−258455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、光導波路を複数に分割した構成では、光導波路間のコアとコアの位置合わせ(光結合)が困難であるという問題がある。また、複数の光導波路を構成するのは、コストが掛かるという問題がある。
【0009】
更に、光導波路に溝を形成した構成では、光導波路を支持する導波路基板から、光導波路が容易に剥離してしまうという問題があった。図16は従来の課題を示す溝部の断面図で、以下に、この従来の課題を図面を参照して説明する。
【0010】
ダイシングで溝部51を形成する場合、形成される溝の深さをコントロールすることが困難であるので、光導波路52を支持する導波路基板53まで溝部51が形成されるようにして、確実に溝部51が形成されるようにしている。このため、溝部51の底面側に、光導波路52と導波路基板53の接合面が露出している。
【0011】
さて、導波路基板53は通常シリコンで構成される。これに対して、光導波路52は高分子材料等により構成される。このように、光導波路52と導波路基板53は材質が異なり、密着性が悪い。
【0012】
このため、図16(a)に示すように、波長選択フィルタ54を溝部51に固定する接着剤55が、光導波路52と導波路基板53の接合面に回り込み、光導波路52が導波路基板53から剥離するという問題がある。
【0013】
溝部51の形成部位で光導波路52が導波路基板53から剥離すると、溝部51の側壁面で対向するコア52a間の光結合にずれが生じ、光結合の効率が低下するという問題がある。
【0014】
また、ダイシングで溝部51を形成する場合は、光導波路52の途中から切断を開始したり、切断を途中で停止することができないので、光導波路52の一方の端部から他方の端部まで連続した溝部51を形成する必要がある。このため、接着剤55が光導波路52の側面から漏れるという問題がある。
【0015】
更に、溝部51をフォトリソグラフィプロセスで形成することも考えられるが、波長選択フィルタ54が挿入されるような幅の狭い溝部51を形成するのは、現像液の回り込みが悪く困難であるという問題がある。
【0016】
また、フォトリソグラフィプロセスで溝部51を形成する場合も、溝部51の底面に光導波路52と導波路基板53の接合面が露出しているので、図16(b)に示すように、溝部の形成プロセスで現像液が光導波路52と導波路基板53の接合面に回り込み、光導波路52が導波路基板53から剥離するという問題があった。
【0017】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、光導波路に幅の狭い溝部をフォトリソグラフィプロセスで形成できるようにし、かつ、溝部の形成部位からの光導波路の剥離を防止できるようにした光導波路モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決するため、本発明に係る光導波路モジュールは、薄膜機能素子が挿入される溝部を有する光導波路と、光導波路を支持する導波路基板とを備えた光導波路モジュールにおいて、溝部は、光が伝搬されるコアを横切る位置に形成される保持部の少なくとも一方の端部に、保持部より幅の広い幅広部を備えたものである。
【0019】
本発明に係る光導波路モジュールでは、薄膜機能素子が挿入される溝部において、光導波路のコアを横切る位置に形成される保持部の幅は、薄膜機能素子の厚さに対応して設定され、薄膜機能素子を実装した際の光結合の効率の低下が抑えられる。
【0020】
これに対して、溝部の少なくとも一方の端部に、保持部より幅の広い幅広部を備えることで、フォトリソグラフィプロセスで溝部を形成する際に、現像液が溝部の形成部位に回り込み易くなり、薄膜機能素子が挿入されるような幅の狭い溝部の形成が可能となる。
【0021】
また、本発明に係る光導波路モジュールは、薄膜機能素子が挿入される溝部を有する光導波路と、光導波路を支持する導波路基板とを備えた光導波路モジュールにおいて、光導波路と導波路基板との間で少なくとも溝部の底面に、光導波路と同様の材料で構成した剥離防止層を備えたものである。
【0022】
本発明に係る光導波路モジュールでは、光導波路は溝部の底面が剥離防止層で構成され、光導波路と導波路基板の接合面は溝部に露出しない。これにより、溝部に薄膜機能素子を固定する接着剤が、光導波路と導波路基板との接合面に回り込むことは無い。また、フォトリソグラフィプロセスで溝部を形成する工程で、現像液が光導波路と導波路基板との接合面に回り込むことは無い。
【発明の効果】
【0023】
本発明の光導波路モジュールによれば、薄膜機能素子が挿入される溝部の少なくとも一方の端部に幅広部を備えることで、フォトリソグラフィプロセスで溝部を形成する際に、現像液が溝部の形成部位に回り込み易くなり、薄膜機能素子が挿入されるような幅の狭い溝部を形成することができる。これにより、光導波路に高精度な溝部を容易に形成することができる。
【0024】
このように、フォトリソグラフィプロセスで光導波路に溝部を形成できるので、光導波路を溝部で分割した形態とする必要が無く、光導波路間でのコアの位置合わせは不要である。
【0025】
また、溝部の両端部は閉塞した形態にできるので、薄膜機能素子を固定する接着剤が光導波路の側面から漏れる事もない。
【0026】
更に、本発明の光導波路モジュールによれば、光導波路は溝部の底面が剥離防止層を介して導波路基板と接合しているので、溝部に薄膜機能素子を固定する接着剤が、光導波路と導波路基板との接合面に回り込むことは無く、光導波路の導波路基板からの剥離を防止することができる。
【0027】
また、剥離防止層は、光導波路と同様の材料で構成されるので、剥離防止層と光導波路の密着性は良く、剥離防止層と光導波路は容易には剥離しない。これにより、光導波路と剥離防止層との接合面が溝部の底面に露出していても、光導波路の剥離防止層からの剥離を防止することができ、接着剤や、溝部形成プロセス中で使用される現像液による光導波路の剥離を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の光導波路モジュールの実施の形態について説明する。
【0029】
<第1の実施の形態の光導波路モジュールの構成例>
図1は第1の実施の形態の光導波路モジュールの一例を示す構成図で、図1(a)は平面図、図1(b)は側面図である。また、図2は第1の実施の形態の光導波路モジュールの一例を示す斜視図である。
【0030】
第1の実施の形態の光導波路モジュール1Aは、平面型の光導波路2と、光導波路2を支持する導波路基板3を備える。
【0031】
光導波路2は例えばアクリル系の高分子材料で構成され、コア4と、クラッド層5を構成する下部クラッド5a及び上部クラッド5bを備えて、コア・クラッド構造を有する。コア4は、屈折率が下部クラッド5a及び上部クラッド5bより若干大きくなるように構成されて、光がコア4に閉じ込められて伝搬される。
【0032】
コア4は、1本のコア4aが2本のコア4b,4cに分岐する略Y字型のパターンを有し、コア4aの端面が光導波路2の一方の端部に露出し、コア4b及びコア4cの端部が光導波路2の他方の端部に露出する。
【0033】
光導波路2は、コア4aとコア4b及びコア4cとの分岐点に溝部6を備え、溝部6に波長選択フィルタ7が挿入されて、接着剤により固定される。溝部6は、コア4aとコア4b及びコア4cとの分岐点を横切って形成される保持部6aと、保持部6aの少なくとも一方の端部、本例では両端部に形成される幅広部6bとを備える。
【0034】
波長選択フィルタ7は、任意の波長領域における光を選択的に反射及び透過させる機能を有し、例えば波長λ1の光は反射し、波長λ2の光は透過するように構成される。
【0035】
光導波路2において、コア4を伝搬される光を波長選択フィルタ7により反射あるいは透過するため、溝部6は、波長選択フィルタ7がコア4の全体を横切ることができる位置まで挿入される形状で所定の深さまで形成される必要がある。
【0036】
溝部6は後述するようにフォトリソグラフィプロセスで形成されるが、溝部6の少なくとも一方の端部に幅広部6bを備えることで、幅の狭い溝を所定の深さで形成できるようにしている。なお、溝部6の詳細については後述する。
【0037】
導波路基板3は、例えばシリコン(Si)基板であり、表面に剥離防止層5cを介して光導波路2が実装される。剥離防止層5cは、光導波路2と同様の材質、例えばクラッド層5の材質と同じ材質等で構成され、下部クラッド5bの下面全体に形成されており、溝部6の底面が剥離防止層5cで構成される。
【0038】
また、導波路基板3は、発光素子(LD)8と、受光素子(PD)9と、光ファイバ10等が実装される。
【0039】
発光素子8は例えば端面発光型の半導体レーザ装置であり、光導波路2の一方の端部側で、コア4aの端面と対向する位置の導波路基板3に実装されて、発光素子8と光導波路2のコア4aは光学的に結合している。
【0040】
受光素子9は、光導波路2の他方の端部側で、コア4bの端面と対向する位置の導波路基板3に実装されて、受光素子9と光導波路2のコア4bは光学的に結合している。
【0041】
光ファイバ10は例えばマルチモードの光ファイバであり、光導波路2の他方の端部側で、コア4cの端面と対向する位置に実装され、光ファイバ10と光導波路2のコア4cは光学的に結合している。
【0042】
ここで、光導波路モジュール1Aは、導波路基板3に形成した図示しないガイド溝に光ファイバ10を嵌めて、光導波路2のコア4cと光ファイバ10との位置合わせを行う構成を備えても良いし、光導波路2に形成した図示しないガイド溝に光ファイバ10を嵌めて、光導波路2のコア4cと光ファイバ10との位置合わせを行う構成を備えても良い。
【0043】
光導波路モジュール1Aの動作について説明すると、光導波路モジュール1Aでは、電気信号が発光素子8で光信号に変換され、発光素子8から出射された光信号は光導波路2のコア4aに入射し、コア4aを伝搬される。本例では、発振波長λ2の発光素子8を備えることで、発光素子8から出射され、光導波路2のコア4aを伝搬された波長λ2の光は、波長選択フィルタ7を透過してコア4cに入射し、コア4cを伝搬される。
【0044】
コア4cを伝搬された波長λ2の光は光ファイバ10に入射し、光ファイバ10を伝搬されて、図示しない対向装置で受光される。
【0045】
図示しない対向装置から出射され、光ファイバ10を伝搬された光は、光導波路2のコア4cに入射し、コア4cを伝搬される。図示しない対向装置に発振波長λ1の発光素子を備えることで、光導波路2のコア4cを伝搬される波長λ1の光は、波長選択フィルタ7で反射してコア4bに入射し、コア4bを伝搬される。そして、コア4bを伝搬された波長λ1の光は受光素子9に入射し、電気信号に変換される。
【0046】
このように、光導波路モジュール1Aでは、複数の異なる波長の光信号の分離多重化が行われることで、1本の光ファイバ10に複数の異なる波長の光信号を伝送させることが可能となり、光導波路モジュール1Aを備えることで、波長多重双方向光通信が行われるシステムの構築が可能となる。
【0047】
<溝部の構成>
図3は波長選択フィルタ7が挿入される溝部6の要部構成を示す平面図で、次に、各図を参照して溝部6の詳細について説明する。
【0048】
溝部6は、図3の例では保持部6aの両端に幅広部6bが形成されている。保持部6aは、コア4aとコア4b及びコア4cを横切る位置に形成されており、溝部6は、保持部6aの対向する側壁面にコア4aとコア4b及びコア4cの端面が露出している。
【0049】
溝部6の保持部6aの幅W1は、挿入される波長選択フィルタ7の厚さに応じて設定される。すなわち、波長選択フィルタ7の厚さに対して保持部6aの幅W1が狭いと、溝部6への波長選択フィルタ7の挿入が困難となる。
【0050】
また、波長選択フィルタ7の厚さに対して保持部6aの幅W1が広いと、波長選択フィルタ7を光導波路2に対して略垂直に固定することが困難となる。更に、波長選択フィルタ7の厚さに対して保持部6aの幅W1が広いと、溝部6の側壁面に露出する各コア4の端面と波長選択フィルタ7との間隔が広くなり、対向するコア4aの端面とコア4cの端面との間隔が広くなる。波長選択フィルタ7を固定する接着剤は、コア4と同等の屈折率を有するものを使用するが、コア4の端面と波長選択フィルタ7との間隔及び対向するコア4の端面の間隔が広いと、光の結合効率が低下する。
【0051】
このため、溝部6の保持部6aの幅W1は、波長選択フィルタ7の厚さに応じ、波長選択フィルタ7が容易に挿入でき、かつ、挿入された波長選択フィルタ7と溝部6の側壁面との間に必要以上の隙間が形成されないような寸法に設定される。なお、本例で使用される波長選択フィルタ7は、例えば厚さが約30μmのものであり、この場合は、溝部6の保持部6aの幅W1は、約60μmに設定される。
【0052】
これに対して、溝部6の幅広部6bの幅W2は、保持部6aの幅W1に対してW2>W1となるように設定されている。
【0053】
また、保持部6aの長さL1は、コア4の幅L2に対してL1≧L2となるように設定され、コア4の形成部位には、幅広部6bが形成されない構成となっている。
【0054】
ここで、保持部6aの長さを短くして幅広部6bがコア4に近づく形態では、コア4の側面側のクラッドの厚みが不足し、コア4を伝搬される光が幅広部6bに漏れる可能性がある。
【0055】
このため、コア4と幅広部6bの間隔が30μm以上、好ましくは50μm以上となるように、保持部6aの長さを設定すると良い。
【0056】
なお、溝部6は、後述するようにフォトリソグラフィプロセスにより形成されるため、溝部6の両端が、光導波路2の側端面まで到達する形状とする必要は無く、両端部が閉塞した形状である。これにより、溝部6の全体の長さは、挿入される波長選択フィルタ7の横方向の長さ等に応じて設定される。
【0057】
更に、溝部6は、本例では光導波路2の表面から剥離防止層5cの表面まで到達しており、溝部6の深さは光導波路2の厚さと同等である。
【0058】
<第1の実施の形態の光導波路の製造工程例>
光導波路モジュール1Aは、フォトリソグラフィプロセスにより剥離防止層5c及び溝部6を備えた光導波路2が形成される。図4,図5は光導波路2の製造工程例を示す説明図で、次に、第1の実施の形態の光導波路モジュール1Aを構成する光導波路2の製造工程について説明する。
【0059】
まず、図4(a)に示すように、剥離防止層5cを構成する感光性の高分子材料により、導波路基板3上に剥離防止層形成薄膜11cを所定の膜厚で塗布する。本例では、コア4と、下部クラッド5a、上部クラッド5b及び剥離防止層5cを構成する高分子材料として、紫外線硬化型のアクリル系高分子材料を用いる。更に、剥離防止層5cは、下部クラッド5a及び上部クラッド5bを構成する高分子材料と同じ材料を用いる。
【0060】
そして、剥離防止層形成薄膜11cに紫外線を照射し、剥離防止膜形成薄膜11cを硬化させて、剥離防止膜5cを形成する。
【0061】
次に、図4(b)に示すように、導波路基板3上に形成した剥離防止層5c上に、下部クラッド5aを構成する感光性の高分子材料により、下部クラッド形成薄膜11aを所定の膜厚で塗布する。
【0062】
次に、保持部6aと幅広部6bを有する溝部6のパターンが形成されたマスク12を介して下部クラッド形成薄膜11aに紫外線を照射し、溝部6を形成する部位以外の下部クラッド形成薄膜11aを硬化させる。そして、図4(c)に示すように、例えば溶液現像によって、溝部6の形成部位13を除去して、下部クラッド5aを形成する。ここで、溶液現像で使用される現像液としては、例えばTMAH(Tetramethyl ammonium hydroxide)水溶液を使用する。
【0063】
次に、図4(d)に示すように、剥離防止層5c上に形成した下部クラッド5a上に、コア4を構成する感光性の高分子材料により、コア形成薄膜14を所定の膜厚で塗布する。コア4を構成する高分子材料は、下部クラッド5a及び上部クラッド5bを構成する高分子材料より若干屈折率が大きい材料を用いる。
【0064】
次に、コア4のパターンが形成されたマスク15を介してコア形成薄膜14に紫外線を照射し、コア4を形成する部位のコア形成薄膜14を硬化させる。そして、図5(a)に示すように、溶液現像によって、コア4の形成部位以外を除去して、図1に示すような所定のパターンでコア4を形成する。
【0065】
次に、図5(b)に示すように、剥離防止層5c上に形成した下部クラッド5a及びコア4上に、上部クラッド5bを構成する感光性の高分子材料により、上部クラッド形成薄膜11bを所定の膜厚で塗布する。
【0066】
次に、保持部6aと幅広部6bを有する溝部6のパターンが形成されたマスク12を介して上部クラッド形成薄膜11bに紫外線を照射し、溝部6を形成する部位以外の上部クラッド形成薄膜11bを硬化させる。そして、図5(c)に示すように、溶液現像によって、溝部6の形成部位を除去して、上部クラッド5bを形成する。
【0067】
これにより、コア4が所定のパターンで形成されると共に、溝部6が形成された光導波路2が、剥離防止層5cを介して導波路基板3上に作成される。ここで、溝部6の形成プロセスでは、保持部6aと幅広部6bが同時に形成される。
【0068】
図6は第1の実施の形態の光導波路モジュールの要部構成を示す溝部の断面図である。具体例として、上述したリソグラフィプロセスにより、導波路基板3上にクラッド材料を用いて厚さ20μmの剥離防止層5cを形成した後、下部クラッド5a、コア4及び上部クラッド5bを順次積層して光導波路2を作成した。コア4は断面形状が四角形で、そのサイズは本例では40×40μmであり、コア4が形成される層の厚さは40μmである。また、下部クラッド5a及び上部クラッド5bの厚さは何れも30μmである。これにより、光導波路2の厚さは約100μmとなる。
【0069】
また、下部クラッド5a、コア4及び上部クラッド5bの形成プロセスで、コア4の分岐点に保持部6aと幅広部6bを有する溝部6を形成した。なお、溝部6は、下部クラッド5aの底面から上部クラッド5bの上面まで貫通するように形成しており、溝部6の深さは約100μmである。
【0070】
そして、作成した溝部6に、厚さが約30μmの波長選択フィルタ7を挿入し、接着剤18で固定した。以上の構成による溝部6の断面形状を図6に示している。
【0071】
<溝部の具体例>
上述したように、波長選択フィルタ7は厚さが例えば30μm程度と薄いもので、波長選択フィルタ7が挿入される溝部6の幅も、60μm程度と狭い。このように、幅の狭い溝部6を上述したフォトリソグラフィプロセスで形成する場合、溝部6の形成プロセスにおいて溝部6の形成部位への現像液の回り込みが悪く、所定の形状で溝部6を形成することが難しい。
【0072】
また、光導波路2を構成する高分子材料と、導波路基板3を構成するシリコンは、材質が異なり密着性が悪い。このため、剥離防止層5cを設けずに溝部6が導波路基板3まで到達している形態では、波長選択フィルタ7を固定する接着剤18が光導波路2と導波路基板3の接合面に回り込み、光導波路2が導波路基板3から剥離することがある。溝部6の部分で光導波路2が導波路基板3から剥離すると、溝部6の側壁面で対向するコア4の位置にずれが生じ光の結合効率が悪くなる。
【0073】
更に、光導波路2の形成プロセス中に現像液が光導波路2と導波路基板3の接合面に回り込み、光導波路2が導波路基板3から剥離することがある。
【0074】
これに対して、溝部6の少なくとも一方の端部に幅広部6bを設けることで、現像液の回り込みが良くなり、所定の形状で溝部6が形成できることが判った。また、光導波路2と導波路基板3の間に剥離防止層5cを設け、溝部6の底面を剥離防止層5cで構成すると、光導波路2の導波路基板3からの剥離を防止できることが判った。以下に、溝部6の具体的な実施例について説明する。
【0075】
図7及び図8は溝部の実施例を示す説明図である。図7に示す実施例1〜実施例3は、溝部6の全体の長さは1600μm、保持部6aの幅W1は60μmとして、溝部6の両端部に幅広部6bを形成した例である。幅広部6bの幅W2は200μmとした。また、コア4が溝部6の略中央を通る形態となるように、コア4から一方の幅広部6bの端部までの長さを800μmとした。
【0076】
図8に示す実施例4〜実施例6は、溝部6の全体の長さは800μm、保持部6aの幅W1は60μmとして、溝部6の一方の端部に幅広部6bを形成した例である。幅広部6bの幅W2は200μmとした。また、溝部6において、幅広部6bを形成していない側の端部からコア4までの長さを300μmとした。
【0077】
そして、図7(a)に示す実施例1及び図8(a)に示す実施例4では、幅広部6bを直径が200μmの円形とした例、図7(b)に示す実施例2及び図8(b)に示す実施例5では、幅広部6bを底辺の長さが200μmの三角形とした例、図7(c)に示す実施例3及び図8(c)に示す実施例6では、幅広部6bを一辺の長さが200μmの四角形とした例である。
【0078】
なお、実施例1〜実施例6では、溝部の深さは100μm、コア4の幅は40μmとした。
【0079】
<比較例の光導波路モジュールの構成>
上述した本実施の形態の光導波路モジュール1Aに対して、以下に示す比較例の光導波路モジュールを作製し、溝部6の形成状態及び光導波路2の剥離の有無を比較した。
【0080】
図9は第1の比較例の光導波路モジュールを示す構成図で、図9(a)は平面図、図9(b)は側面図である。第1の比較例の光導波路モジュール1Bは、導波路基板3上に、剥離防止層を設けずに直接光導波路2を形成したものである。他の構成は、図1等で説明した第1の実施の形態の光導波路モジュール1Aと同じであり、溝部6は、保持部6aと幅広部6bを備えている。
【0081】
図10は第2の比較例及び第3の比較例の光導波路モジュールを示す構成図で、図10(a)は平面図、図10(b)は側面図である。第2,第3の比較例の光導波路モジュール1Cは、幅広部を形成しない溝部16を備えたものである。他の構成は、図1等で説明した第1の実施の形態の光導波路モジュール1Aと同じであり、光導波路2と導波路基板3の間に剥離防止層5cを備えている。
【0082】
図11は第4の比較例及び第5の比較例の光導波路モジュールを示す構成図で、図11(a)は平面図、図11(b)は側面図である。第4,第5の比較例の光導波路モジュール1Dは、導波路基板3上に、剥離防止層を設けずに直接光導波路2を形成すると共に、幅広部を形成しない溝部16を備えたものである。他の構成は、図1等で説明した第1の実施の形態の光導波路モジュール1Aと同じである。
【0083】
図12は溝部の比較例を示す説明図である。図12(a)は比較例1の溝部の形状を示す。比較例1は、図9に示す第1の比較例の光導波路モジュール1Bの溝部で、溝部6の形状は、ここでは図7(a)に示す実施例1の溝部と同じとした。
【0084】
図12(b)は、比較例2及び比較例4の溝部の形状を示す。比較例2,4は、図10に示す第2の比較例の光導波路モジュール1Cの溝部及び図11に示す第4の比較例の光導波路モジュール1Dの溝部の一例を示し、比較例2,比較例4は、溝部16の全体の長さを1600μm、溝部16の幅を60μmとし、コア4から溝部16の一方の端部までの長さを800μmとした。
【0085】
また、図12(c)は、比較例3及び比較例5の溝部の形状を示す。比較例3,比較例5は、図10に示す第3の比較例の光導波路モジュール1Cの溝部及び図11に示す第5の比較例の光導波路モジュール1Dの溝部の他の例を示し、比較例3,5は、溝部16の全体の長さを800μm、溝部16の幅を60μmとし、コア4から溝部16の一方の端部までの長さを300μmとした。
【0086】
図13,図14は剥離防止層を備えていない第1の比較例及び第4,第5の比較例の光導波路2の製造工程例を示す説明図で、次に、剥離防止層を備えていない光導波路2の製造工程について説明する。
【0087】
まず、図13(a)に示すように、下部クラッド5aを構成する感光性の高分子材料により、導波路基板3上に下部クラッド形成薄膜11aを所定の膜厚で塗布する。
【0088】
次に、溝部6あるいは溝部16のパターンが形成されたマスク12を介して下部クラッド形成薄膜11aに紫外線を照射し、溝部を形成する部位以外の下部クラッド形成薄膜11aを硬化させる。
【0089】
そして、図13(b)に示すように、例えば溶液現像によって、溝部の形成部位13を除去して、下部クラッド5aを形成する。
【0090】
次に、図13(c)に示すように、導波路基板3上に形成した下部クラッド5a上に、コア4を構成する感光性の高分子材料により、コア形成薄膜14を所定の膜厚で塗布する。
【0091】
次に、コア4のパターンが形成されたマスク15を介してコア形成薄膜14に紫外線を照射し、コア4を形成する部位のコア形成薄膜14を硬化させる。そして、図13(d)に示すように、溶液現像によって、コア4の形成部位以外を除去して、図9等に示すような所定のパターンでコア4を形成する。
【0092】
次に、図14(a)に示すように、導波路基板3上に形成した下部クラッド5a及びコア4上に、上部クラッド5bを構成する感光性の高分子材料により、上部クラッド形成薄膜11bを所定の膜厚で塗布する。
【0093】
次に、溝部のパターンが形成されたマスク12を介して上部クラッド形成薄膜11bに紫外線を照射し、溝部を形成する部位以外の上部クラッド形成薄膜11bを硬化させる。そして、図14(b)に示すように、溶液現像によって、溝部の形成部位を除去して、上部クラッド5bを形成する。
【0094】
これにより、溝部あるいは溝部16が形成された光導波路2が、導波路基板3上に直接作製される。
【0095】
図15は剥離防止層を備えていない第1の比較例及び第4,第5の比較例の光導波路モジュールの要部構成を示す溝部の断面図である。具体例として、上述したリソグラフィプロセスにより、導波路基板3上に下部クラッド5a、コア4及び上部クラッド5bを順次積層して光導波路2を作成した。コア4は断面形状が四角形で、そのサイズは本例では40×40μmであり、コア4が形成される層の厚さは40μmである。また、下部クラッド5a及び上部クラッド5bの厚さは何れも30μmである。これにより、光導波路2の厚さは約100μmとなる。
【0096】
また、下部クラッド5a、コア4及び上部クラッド5bの形成プロセスで、コア4の分岐点に保持部6aと幅広部6bを有する溝部6を形成した。なお、溝部6は、下部クラッド5aの底面から上部クラッド5bの上面まで貫通するように形成しており、溝部6の深さは約100μmである。
【0097】
そして、作成した溝部6に、厚さが約30μmの波長選択フィルタ7を挿入し、接着剤18で固定した。以上の構成による溝部6の断面形状を図15に示している。
【0098】
<実施例と比較例の対比>
実施例1〜6と、比較例2,3の溝部を上述した図4,図5のフォトリソグラフィプロセスで形成し、比較例1及び比較例4,5の溝部を上述した図13,図14のフォトリソグラフィプロセスで形成して、実施例1〜実施例3の溝部6と、比較例1の溝部6と、比較例2,4の溝部16は、長さが1000μm、厚さが30μm、高さが500μmの波長選択フィルタ7を挿入し、接着剤で固定した。
【0099】
また、実施例4〜実施例6の溝部6と、比較例3,5の溝部16は、長さが500μm、厚さが30μm、高さが500μmの波長選択フィルタ7を挿入し、接着剤で固定した。
【0100】
上述した実施例1〜6と比較例1〜5の溝部の形態及び剥離防止層の有無と、実施例1〜6と比較例1〜5の溝部をフォトリソグラフィプロセスで形成した場合における溝の抜け状態と光導波路の剥離状態を評価した結果を以下の表1に示す。
【0101】
【表1】

【0102】
溝の抜け状態は、溝断面をカットして光学顕微鏡で観察することにより評価した。完全に溝が形成された場合を○、溝の一部に残留物が見られた場合を△、溝底に残留物があり溝が形成されなかった場合を×とした。
【0103】
また、光導波路の剥離状態は、断面をダイシングカットして光学顕微鏡で観察し、剥離していない場合を○、剥離している場合を×とした。
【0104】
まず、溝部の形成状態を評価すると、表1から、溝部6の両端部に幅広部6bを形成した実施例1〜3、溝部6の一方の端部に幅広部6bを形成した実施例4〜6の何れも、完全な溝が形成されたことが判る。また、溝部6の両端部に幅広部6bを形成した比較例1も、完全な溝が形成された。
【0105】
これに対して、幅広部6bを形成していない比較例2〜比較例5では、溝部16の長さを長くした比較例2及び比較例4では、溝は形成されたが一部に残留物が見られ、溝部16の長さを短くした比較例3及び比較例5では溝が形成されなかった。
【0106】
ここで、比較例2及び比較例4のように、溝部16に残留物があると、波長選択フィルタ7を挿入した場合に、波長選択フィルタ7がコア4に到達しない場合がある。波長選択フィルタ7がコア4に到達しないと、波長選択フィルタ7は機能しないので、溝部16に残留物がある状態は好ましくない。
【0107】
これにより、幅広部を形成していない比較例2〜比較例5では、幅が狭く深い溝を形成する場合、溝内部への現像液の回り込みが悪く、波長選択フィルタ7を正常に挿入できる溝部16を形成することが困難であることが判る。
【0108】
次に、光導波路の剥離状態を評価すると、表1から、導波路基板3上に剥離防止層5cを形成してから光導波路2を形成した実施例1〜6は、光導波路2の剥離が見られないことが判る。また、剥離防止層5cを形成した比較例2,比較例3も光導波路2の剥離は見られなかった。
【0109】
これに対して、剥離防止層を形成せずに光導波路2を形成した比較例1及び比較例4,5は、光導波路の剥離が見られた。
【0110】
上述したように、光導波路2を構成する高分子材料と、導波路基板3を構成するシリコンは、材質が異なり密着性が悪い。このため、図15に示すように、剥離防止層5cを設けずに溝部6が導波路基板3まで到達している形態では、波長選択フィルタ7を固定する接着剤18が光導波路2と導波路基板3の接合面に回り込み、光導波路2が導波路基板3から剥離することがある。
【0111】
また、光導波路2の形成プロセス中に現像液が光導波路2と導波路基板3の接合面に回り込み、光導波路2が導波路基板3から剥離することがある。
【0112】
これに対して、図6に示すように、光導波路2と導波路基板3の間に剥離防止層5cを設け、溝部6の底面を剥離防止層5cで構成すると、光導波路2は溝部6の底面が剥離防止層5cを介して導波路基板3と接合しているので、光導波路2と導波路基板3の接合面に接着剤18が回り込むことはなく、光導波路2と導波路基板3の剥離を防止できる。
【0113】
また、剥離防止層5cは、下部クラッド5aと同様の材料で構成されるので、剥離防止層5cと光導波路2の密着性は良く、剥離防止層5cと光導波路2は容易には剥離しない。
【0114】
これにより、光導波路2と剥離防止層5cの接合面に接着剤18が回り込んで、光導波路2が剥離防止層5cから剥離することはない。また、光導波路2の形成プロセス中に現像液が光導波路2と剥離防止層5cの接合面に回り込んで、光導波路2が剥離防止層5cから剥離することはない。
【0115】
以上の評価から、溝部6の一方の端部もしくは両端部に幅広部6bを形成した実施例1〜実施例6では、溝内部への現像液の回り込みが良く、波長選択フィルタ7を正常に挿入できる溝部6をフォトリソグラフィプロセスで確実に形成することができることが判る。
【0116】
例えば、溝部6の両端部に幅広部6bを形成すれば、溝部6の長さが長くても、波長選択フィルタ7を正常に挿入できる溝部6を形成でき、長さの長い波長選択フィルタ7に対応できる。
【0117】
また、溝部6の長さを短くできる場合等は、溝部6の一方の端部に幅広部6bを形成すれば、波長選択フィルタ7を正常に挿入できる溝部6を形成できる。
【0118】
更に、光導波路2と導波路基板3の間に剥離防止層5cを設け、溝部6の底面を剥離防止層5cで構成した実施例1〜実施例6では、光導波路2の剥離を防ぐことができることが判る。
【0119】
なお、溝部6の両端部に幅広部6bを形成した比較例1では、溝部6は正常に形成できるが、剥離防止層5cを備えていないことで、光導波路2の剥離が見られた。また、剥離防止層5cを備えた比較例2,3では、光導波路2の剥離は見られないが、溝部16の端部に幅広部を備えていないことで、溝部が正常に形成されなかった。
【0120】
よって、溝部6の一方の端部もしくは両端部に幅広部6bを形成すると共に、光導波路2と導波路基板3の間に剥離防止層5cを設け、溝部6の底面を剥離防止層5cで構成した実施例1〜実施例6が好ましい形態であることが判る。
【0121】
なお、幅広部6bの形状は、各実施例に挙げたものに限らず、他の形状でも良い。
【0122】
また、剥離防止層5cは下部クラッド5a及び上部クラッド5bと同等の材料で構成したが、コア4と同等の材料で構成しても良い。更に、光導波路2を構成する材料と密着性の良い材料であれば、他の材料でも良い。更に、導波路基板3と剥離防止層5cの間にチタン(Ti)やアルミニウム(Al)等の金属からなる薄膜層を形成しても良い。
【0123】
ここで、剥離防止層5cの厚さは好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上である。膜厚が5μm未満である場合は、剥離防止層5c自体の強度が弱く、剥離防止効果が低減する。
【0124】
更に、光導波路2を構成する材料としては、アクリル系高分子材料に限らず、エポキシ系高分子材料、その他例えばシロキサン構造(Si−O−Si)を有するような無機高分子材料でも良い。
【0125】
上述したように、光導波路モジュール1Aにおいて、波長選択フィルタ7が挿入される溝部6をフォトリソグラフィプロセスで形成できるので、光導波路2を溝部で分割した形態とする必要が無く、光導波路間での位置合わせが不要となる。
【0126】
また、光導波路にダイシングで溝部を形成する場合は、光導波路の途中から切断を開始したり、切断を途中で停止することができないので、光導波路の一方の端部から他方の端部まで連続した溝部を形成する必要があり、光導波路の設計自由度が低下する。これに対してフォトリソグラフィプロセスで溝部6を形成することで、任意の長さで溝部を形成することができ、光導波路2及び光導波路モジュール1A全体の設計自由度が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、電子機器のボード間やチップ間の光通信モジュールや、光ファイバを利用した通信ケーブルのコネクタ等に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】第1の実施の形態の光導波路モジュールの一例を示す構成図である。
【図2】第1の実施の形態の光導波路モジュールの一例を示す斜視図である。
【図3】溝部の要部構成を示す平面図である。
【図4】第1の実施の形態の光導波路の製造工程例を示す説明図である。
【図5】第1の実施の形態の光導波路の製造工程例を示す説明図である。
【図6】第1の実施の形態の光導波路モジュールの要部構成を示す溝部の断面図である。
【図7】溝部の実施例を示す説明図である。
【図8】溝部の実施例を示す説明図である。
【図9】第1の比較例の光導波路モジュールの一例を示す構成図である。
【図10】第2,第3の比較例の光導波路モジュールの一例を示す構成図である。
【図11】第4,第5の比較例の光導波路モジュールの一例を示す構成図である。
【図12】溝部の比較例を示す説明図である。
【図13】剥離防止層を備えていない光導波路の製造工程例を示す説明図である。
【図14】剥離防止層を備えていない光導波路の製造工程例を示す説明図である。
【図15】剥離防止層を備えていない光導波路モジュールの要部構成を示す溝部の断面図である。
【図16】従来の課題を示す溝部の断面図である。
【符号の説明】
【0129】
1・・・光導波路モジュール、2・・・光導波路、3・・・導波路基板、4・・・コア、5a・・・下部クラッド、5b・・・上部クラッド、5c・・・剥離防止膜、6・・・溝部、7・・・波長選択フィルタ、8・・・発光素子、9・・・受光素子、10・・・光ファイバ、11a・・・下部クラッド形成薄膜、11b・・・上部クラッド形成薄膜、12・・・マスク、13・・・溝部形成部位、14・・・コア形成薄膜、15・・・マスク、18・・・接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜機能素子が挿入される溝部を有する光導波路と、前記光導波路を支持する導波路基板とを備えた光導波路モジュールにおいて、
前記溝部は、光が伝搬されるコアを横切る位置に形成される保持部の少なくとも一方の端部に、前記保持部より幅の広い幅広部を備えた
ことを特徴とする光導波路モジュール。
【請求項2】
前記保持部の長さを、前記コアの幅以上とした
ことを特徴とする請求項1記載の光導波路モジュール。
【請求項3】
前記光導波路と前記導波路基板との間で少なくとも前記溝部の底面に、前記光導波路と同様の材料で構成した剥離防止層を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の光導波路モジュール。
【請求項4】
前記光導波路は、高分子材料により形成される
ことを特徴とする請求項1記載の光導波路モジュール。
【請求項5】
前記溝部は、フォトリソグラフィプロセスにより形成される
ことを特徴とする請求項1記載の光導波路モジュール。
【請求項6】
前記薄膜機能素子は、任意の波長領域における光を選択的に反射及び透過させる波長選択フィルタで、前記波長選択フィルタが挿入される前記溝部が前記コアの分岐点に形成されて、前記コアを伝搬される光の波長により前記波長選択フィルタで光路の切り替えが行われる
ことを特徴とする請求項1記載の光導波路モジュール。
【請求項7】
薄膜機能素子が挿入される溝部を有する光導波路と、前記光導波路を支持する導波路基板とを備えた光導波路モジュールにおいて、
前記光導波路と前記導波路基板との間で少なくとも前記溝部の底面に、前記光導波路と同様の材料で構成した剥離防止層を備えた
ことを特徴とする光導波路モジュール。
【請求項8】
前記剥離防止層は、前記光導波路を構成するクラッドと同様の材料で形成される
ことを特徴とする請求項7記載の光導波路モジュール。
【請求項9】
前記剥離防止層は、前記光導波路を構成するコアと同様の材料で形成される
ことを特徴とする請求項7記載の光導波路モジュール。
【請求項10】
前記光導波路及び前記剥離防止層は、高分子材料により形成される
ことを特徴とする請求項7記載の光導波路モジュール。
【請求項11】
前記導波路基板上に形成した前記剥離防止層上に、前記溝部を有する前記光導波路がフォトリソグラフィプロセスにより形成される
ことを特徴とする請求項7記載の光導波路モジュール。
【請求項12】
前記薄膜機能素子は、任意の波長領域における光を選択的に反射及び透過させる波長選択フィルタで、前記波長選択フィルタが挿入される前記溝部が前記光導波路のコアの分岐点に形成されて、前記コアを伝搬される光の波長により前記波長選択フィルタで光路の切り替えが行われる
ことを特徴とする請求項7記載の光導波路モジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2006−184755(P2006−184755A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380396(P2004−380396)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】