光電センサ
【課題】様々な表面加工がされている物体、あるいは、様々な包装で包まれている物体についても、精度よく物体の検出を行う技術を提供することを課題とする。
【解決手段】センサヘッドは、光を照射して、その反射光をラインセンサで受光する。そして、ラインセンサの出力から受光量分布を得る。受光量分布に、複数の極大値が検出された場合(ステップS23でNO)には、多重反射が発生していると判断し、物体が存在すると判定する。極大値が検出されない場合(ステップS23でNO)にも、状態が変化したことから物体が存在すると判定する。また、極大値の数が1つであっても、ピークの位置が閾値の範囲を超えていれば(ステップS24でNO)、物体が存在すると判定する。さらに、受光波形の幅が規定範囲内を超えている場合(ステップS25でNO)にも、物体が存在すると判定する。
【解決手段】センサヘッドは、光を照射して、その反射光をラインセンサで受光する。そして、ラインセンサの出力から受光量分布を得る。受光量分布に、複数の極大値が検出された場合(ステップS23でNO)には、多重反射が発生していると判断し、物体が存在すると判定する。極大値が検出されない場合(ステップS23でNO)にも、状態が変化したことから物体が存在すると判定する。また、極大値の数が1つであっても、ピークの位置が閾値の範囲を超えていれば(ステップS24でNO)、物体が存在すると判定する。さらに、受光波形の幅が規定範囲内を超えている場合(ステップS25でNO)にも、物体が存在すると判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の検出を行う光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
物体に光を照射し、物体からの反射光を受光することで、物体の検出を行う光電センサと呼ばれる機器が存在する。光電センサを用いて物体を検出する方法としては、いくつかの手法がとられている。1つの方法としては、受光素子が受光する反射光の受光量が所定の閾値を上回った場合に、物体が存在すると判断する方法である(受光量判断型)。
【0003】
別の方法としては、反射光に基づいて対象物の変位を測定し、変位に基づいて物体を検出する方法である(距離判断型)。具体的には、受光量分布の重心位置を測定可能な受光素子を用い、その重心位置の変位を測定し、変位が所定の閾値を上回った場合に、物体が存在すると判断する方法である。
【0004】
距離判断型について図を用いて説明する。図23は、距離設定型の光電センサ100により変位を測定する原理を示す図である。光電センサ100の投光部101から照射された光は、反射面110aあるいは反射面110bで反射して受光部102において受光されるものとする。
【0005】
図24は、受光部102を示す図である。受光部102は、受光レンズ103と受光素子104を備えている。反射光は、受光レンズ103を介して受光素子104において受光される。そして、この反射光が受光素子104上でスポットを形成する位置は、光の反射位置によって異なる。たとえば、図23において光電センサ100に近い側の反射面110aで光が反射している場合には、反射光111aは、受光素子104の位置104a付近にスポットを形成する。これに対して、反射面110bで反射している反射光111bは、位置104bにスポットを形成する。
【0006】
図25(a),(b)は、それぞれ反射光111a,111bにより受光素子104に形成された受光量分布を示している。このように、光の反射位置によってスポットの形成位置が異なるので、これを利用して変位(光の反射位置あるいは反射面の変位と言っても良い。)を測定することができるのである。そして、図23および図25に示すように、変位が閾値Th0を超えた場合に、制御出力をONとして物体が存在すると判定するのである。
【0007】
図26は、光電センサ100により物体120の検出を行っている様子を示している。図に示すように、光電センサ100は、ベルトコンベア121上を流れる物体120に光130を照射し、その反射光を受光し、図23ないし図25で説明した原理を利用して変位を測定する。
【0008】
図27は、光電センサ100が受光する反射光の受光量分布に基づいて測定した変位の変化を表している。変位とは、上述したように、投光位置から反射位置までの距離と考えればよい。あらかじめ閾値Th0が決められており、この閾値Th0よりも変位が小さくなった場合(反射面までの距離が近づいた場合)、検出信号をONとし、閾値Th0よりも変位が大きくなった場合(反射面までの距離が遠ざかった場合)、検出信号をOFFとするのである。つまり、物体120が通過する際には、光の反射位置が光電センサ100に近づくことになるので、この変位に基づいて物体120の検出を行っているのである。
【0009】
多くの対象物に対しては、上記のいずれの方法(受光量判断型、距離判断型)であっても、ある程度の物体の検出精度が得られる。しかし、光沢の高い物体などにおいては、物体の検出が困難である。
【0010】
たとえば、図28(a)に示すように、物体の表面140が鏡面状態である場合には、受光部102に複数の経路を経た光が入射することになる。図中、破線は、正反射されて受光部102に入射する光を示している。つまり、投光部101が映り込んでいるような場合である。このため、図28(b)に示すように、受光量分布には、本来のピークp10とは別の位置に小さなピークp20が形成される。これにより、重心位置g10は、本来の位置より右にずれて誤って認識されることになる。つまり、変位を誤って測定することになる。
【0011】
また、図29(a)に示すように、物体の表面141に光沢がある場合には、光が乱反射するという問題がある。図29は、乱反射の影響なく受光部102において反射光を入射した場合であり、この場合には、図29(b)に示すように、ピークp10のみが現れ、その重心位置g20も一致し、問題ない。
【0012】
ところが、図30(a)あるいは図31(a)に示すように、乱反射が発生し、複数の経路を経た光が受光部102に入射する場合がある。この場合には、図30(b)あるいは図31(b)に示すように、重心位置g30,g40が、本来のピークp10の位置からずれて認識されるという問題がある。つまり、本来のピークp10とは別に、小さなピークp30,p40が形成されるために、重心位置が左右にずれるのである。また、図30,図31から分かるように、乱反射によって、重心位置が右にも左にもずれることがあるため、予測が困難であり、変位を測定することができない。
【0013】
このような問題を解決する方法として、受光量の分布を解析し、ピーク位置を判定した上で変位を求める方法がある。この方法を用いるためには、たとえば、CCDなどの受光素子が用いられる。受光量分布を解析し、正しいと思われるピーク位置を決定し、このピーク位置から変位量を求めるのである。
【0014】
下記特許文献1は、受光量分布を解析することで、ピーク位置を判定する方法を開示している。具体的には、閾値を設けて、その閾値よりも低いピーク位置を捨てることで、雑音成分を除去して、本来のピーク位置を判定しようとするものである。
【0015】
【特許文献1】特開平10−267648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記のように、受光量分布を解析してピーク位置が正しく算出されれば、正確な変位が求まるため、物体の検出精度も高くなる。しかし、受光量分布を解析する方法も完全とは言えない。たとえば、紙の箱や木材であれば検出精度も高いであろうが、図32ないし図38で示したような物体は、検出が困難である。つまり、図32ないし図38で示したような物体については、光の乱反射の度合いが大きいため、必ずしも、極大値の高いピークが真のピークとは限らないからである。また、受光量分布が非常に複雑になると、ピーク自体を検出することも難しいからである。
【0017】
図32は、光沢度の高い包装151で包まれている物体150を示している。図33は、透明度の高い包装153で包まれている物体152を示している。図34は、鏡面加工された物体154を示しており、図35は、複雑な形状の半透明の物体155を表している。これら図32ないし図35で示した物体は、物体や包装の表面で乱反射する光の量が多く、受光量分布を解析して、真のピークを判定することは困難である。つまり、物体表面あるいは包装の表面で多重反射が発生するために、受光量分布の解析自体が困難である。
【0018】
また、図36(a),(b)に示すように、ボールベアリング156などの金属加工品について、その表裏を判別したい場合などにおいて、変位を正確に測定することが困難であった。あるいは、図37に示すように、金属加工された物体157の加工部157aの有無を判別したい場合や、図38に示すように、積層されているガラス基板158の端面の位置を検出する処理においても、変位を正確に測定することが困難であった。
【0019】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、どのような表面加工がされている物体に対しても、あるいは、どのような包装で包まれている物体についても、精度よく物体の検出を行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、投光手段と、少なくとも一方向に配列された複数の受光素子によって、前記投光手段により照射された光の反射光を受光する受光手段と、前記受光手段から得られた受光量分布に基づいて、前記投光手段により照射された光を反射させた対象の変位相当量を求める手段と、前記受光量分布に基づいて、多重反射の有無を検出する多重反射検出手段と、前記多重反射検出手段により検出された多重反射の有または無の少なくともいずれか一方を示す情報を外部に出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の光電センサにおいて、前記多重反射検出手段は、前記受光量分布に複数のピークが存在する場合及び/または所定の閾値以上の受光量が得られた領域が所定範囲以上存在する場合、多重反射が発生していると判定することを特徴とする。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、前記出力手段は、前記光電センサに設けられた多重反射の有無を表示する表示灯であることを特徴とする。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、さらに、求めた変位相当量と設定された閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別する物体判別手段、を備え、前記出力手段は、多重反射が検出されない場合は前記物体判別手段の判別結果を示す信号を出力し、多重反射が検出された場合は多重反射が検出されたことを示す信号を出力することを特徴とする。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、さらに、求めた変位相当量と設定された閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別する物体判別手段、を備え、前記出力手段は、前記光電センサに設けられた多重反射の有無を表示する表示灯であり、さらに多重反射が検出されない場合は前記物体判別手段の判別結果を示す信号を出力し、多重反射が検出された場合は多重反射が検出されたことを示す信号を出力することを特徴とする。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、前記判別結果を示す信号のうち一の信号と、多重反射が検出されたことを示す信号とが同じであることを特徴とする。
【0026】
請求項7記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、前記物体判別手段は、求めた変位相当量と二の前記閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別するものであって、前記判別結果を示す二値信号のうち求めた変位相当量が二の前記閾値の間にあると判別された時の信号と、多重反射が検出されたことを示す二値信号とが異なることを特徴とする。
【0027】
請求項8記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、さらに、外部からの指示に基づいて変位相当量を取得し、当該取得された変位相当量を含む範囲と含まない範囲とを判別するための前記閾値を設定する閾値設定手段、を備え、前記判別結果を示す二値信号のうち前記取得された変位相当量を含む範囲を示す信号と多重反射が検出されたことを示す二値信号とが異なることを特徴とする。
【0028】
請求項9記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、前記物体判別手段は、求めた変位相当量と二の前記閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別するものであって、前記光電センサは、さらに、外部からの指示に基づいて変位相当量を取得し、当該取得された変位相当量を含む範囲と含まない範囲とを判別するための二の前記閾値を設定する閾値設定手段を備え、前記判別結果を示す二値信号のうち求めた変位相当量が二の前記閾値の間にあると判別された時の信号と多重反射が検出されたことを示す二値信号とが異なることを特徴とする。
【0029】
請求項10記載の発明は、請求項4ないし請求項9のいずれかに記載の光電センサにおいて、前記受光量分布からピークが検出されない場合にも、物体を検出したと判定することを特徴とする。
【0030】
請求項11記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、さらに、多重反射が検出されているときに求めた変位相当量に換えて多重反射を検出する直前に算出した変位相当量を現在の変位として出力する手段、を備えることを特徴とする。
【0031】
請求項12記載の発明は、請求項1に記載の光電センサにおいて、前記出力手段は、多重反射が検出されない場合は変位相当量を表示し、多重反射が検出された場合は、多重反射が検出されたことを表示する表示部であることを特徴とする。
【0032】
請求項13記載の発明は、請求項1に記載の光電センサにおいて、前記出力手段は、多重反射が検出されない場合は変位相当量を表示し、多重反射が検出された場合は、多重反射が検出される直前に算出した変位相当量と多重反射が検出されたことを表示する表示部であることを特徴とする。
【0033】
請求項14記載の発明は、請求項12に記載の光電センサにおいて、前記受光量分布に複数のピークが存在する場合、近距離側のピークに基づいて変位相当量を求めることを特徴とする。
【0034】
請求項15記載の発明は、請求項12に記載の光電センサにおいて、前記受光量分布に複数のピークが存在する場合、極大値が最も大きいピークに基づいて変位を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明の光電センサは、受光量分布に基づいて、多重反射の有無を検出し、多重反射の有無に関わる信号を出力する。これにより、多重反射の発生の有無に応じた制御を実行することが可能である。
【0036】
本発明の光電センサは、受光量分布における真のピークを特定することなく、物体検出を行うことができる。完全ではないアルゴリズムによって真のピークを推定する場合には、誤った変位を用いて、誤った物体検出結果を出力する場合があるが、本発明においては、真のピークを特定する処理自体を必要としないので、物体検出の精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る光電センサ1の外観図である。光電センサ1は、センサヘッド2とアンプユニット3から構成されている。センサヘッド2は、アンプユニット3にケーブル4を介して接続されている。また、アンプユニット3には、外部とデータを交換するためのケーブル5が接続されている。このセンサヘッド2が、たとえば、製品の製造ラインに設置されることで、搬送される製品の検出や、製品の加工部分の検出などを行う。
【0038】
図2(a)は、センサヘッド2の正面図であり、図2(b)は、背面図である。センサヘッド2の正面には、物体に対して光を照射する投光部21と、反射光を受光する受光部23が配列されている。また、背面には、表示灯27が設けられている。表示灯27は、複数のLED27a〜27cで構成されている。LED27aは、電源ONのときに点灯し、LED27bは、後で詳しく説明するが、多重反射を検出した場合に点灯する。LED27cは、複数のLEDからなり、変位量を表す用途などに用いられる。
【0039】
図3は、アンプユニット3の平面図である。アンプユニット3の装置表面には、設定部31および表示灯35が設けられている。設定部31は、十字カーソルや複数のボタンなどからなり、光電センサ1に対する設定操作などを行うことができる。表示灯35は、数値を表示する7セグLED35aと、複数のLEDからなり、変位量を表す用途などに用いられるLED35bで構成されている。
【0040】
図4は、センサヘッド2およびアンプユニット3の機能ブロック図である。センサヘッド2は、投光部21、投光処理部22、受光部23、増幅部24、A/D変換部25、主制御部26、表示灯27、通信部28を備えている。
【0041】
投光部21は、たとえばレーザダイオードであり、投光処理部22により、駆動制御されることで、光を照射する。受光部23は、本実施の形態においては、CCDを用いている。受光部23は、複数の受光素子を備えており、これら受光素子は、投光部21から照射された光の反射光を受光する。受光部23は、反射光を受光すると、光電変換を行うことで、受光量をアナログ信号として出力する。増幅部24は、受光部23から出力されたアナログ信号を増幅する。A/D変換部25は、増幅部24から出力されたアナログ信号をデジタル変換し、主制御部26に出力する。
【0042】
主制御部26は、センサヘッド2の全体制御を行う処理部であり、CPU、メモリ、CPU上で動作するソフトウェアなどから構成される。主制御部26は、投光処理部22に対して指示信号を送り、投光量の調整などを行う。また、主制御部26は、受光部23から出力された信号を受け取って本発明の特徴である各種のソフトウェア処理を実行する。
【0043】
ここで、受光部23は、少なくとも一方向に複数の受光素子が配列されたセンサである。本実施の形態では、1次元のCCDラインセンサを用いている。これにより、受光した反射光の直線上の光量分布情報を得ることが可能であり、主制御部26がA/D変換部25から入力するデジタル信号は、1次元の受光量分布を示す信号である。主制御部26は、この信号を利用して物体の検出処理等を実行するのである。なお、受光部23として、2次元センサを用いても良い。
【0044】
表示灯27は、図2でも示したように、各種の情報を表示する表示部である。通信部28は、ケーブル4を介してアンプユニット3と通信を行い、データの送受信を行う。
【0045】
アンプユニット3は、設定部31、外部入出力部32、記憶部33、主制御部34、表示灯35、通信部36を備えている。設定部31は、アンプユニット3に対する各種の設定操作を行うためのものであり、図3に示すように、十字カーソルなどから構成される。外部入出力部32は、光電センサ1の検出結果、測定結果などをケーブル5を介して外部に出力するためのインタフェースである。また、外部から設定情報などを入力するためのインタフェースである。記憶部33は、設定情報などを記憶している。主制御部34は、CPU、メモリ、CPU上で動作するソフトウェアなどから構成され、アンプユニット3の全体制御を行う。表示灯35は、図3に示すように、7セグLED35aとLED35bから構成されている。通信部36は、センサヘッド2の通信部28との間で通信を行い、センサヘッド2から検出情報などを受信するほか、センサヘッド2に対する制御信号を送信する。
【0046】
次に、センサヘッド2における物体検出に関わる処理の流れについて説明する。図5は、設定処理のフローチャートである。設定処理とは、物体の検出処理に先立って、精度よく物体を検出するための準備処理である。
【0047】
まず、ワーク(基準)の距離を記憶する(ステップS11)。図6(a)は、センサヘッド2から光10を照射し、基準面11からの反射光を受光している様子を示している。そして、この受光量の分布は、図6(b)のようになり、ピーク位置p1が現れるため、このピーク位置p1を、基準位置bpとして設定する。たとえば、センサヘッド2を図6(a)の状態で固定しながら、アンプユニット3に設けられた設定ボタン(設定部31)を押下することにより、基準位置bpが設定される。基準位置bpは、主制御部26内の記憶手段に記憶される。なお、物体がない状態を基準とするのであれば、物体が搬送される搬送経路の路面が基準面11となる。あるいは、物体表面の凹部を検出する場合などにおいては、物体表面の平坦部分(凹部がない面)が基準面11となる。
【0048】
また、この基準面11を設定する操作を行う場合には、多重反射が発生していないことを確認する。上記のように、センサヘッド2の表示灯27には、多重反射の発生を通知するLED27bが設けられている。したがって、このLED27bが点灯していない状態で基準面11を設定する。
【0049】
次に、記憶した基準位置bpの上下に閾値が設定される(ステップS12)。ピークの位置が、基準位置bpから閾値を超えてずれた場合に、物体ありと判断される。図7(a),(b)に示すように、基準位置bpの上下に閾値Tha,Thbが設定され、同様に、主制御部26内の記憶手段に記憶される。なお、この閾値の値(幅)は、あらかじめ設定部31を操作して設定されていてもよいし、外部入出力部32を介して外部から入力したデータにより予め設定されていてもよい。あるいは、設定部31を操作して自由に変更しながら設定するようにしてもよい。
【0050】
次に、図8を参照しながら、物体検出の処理の流れについて説明する。図5で説明した設定処理が完了後、実際に、センサヘッド2の下を物体が搬送されてくる。そして、同様に、センサヘッド2は、投光部21から光を照射して、受光部23において反射光を受光する。これにより、主制御部26が光量分布情報を得る。図8は、この光量分布情報を得た後、主制御部26において行われる処理の流れである。
【0051】
まず、イメージセンサ上極大値のある位置を探索する(ステップS21)。つまり、主制御部26は、光量分布情報からピークの位置を探索する。次に、主制御部26は、極大値の個数を探索する(ステップS22)。つまり、ピークの個数を計測する。そして、主制御部26は、極大値の個数が1個であるか否かを判定し(ステップS23)、極大値の個数が1個でない場合、つまり、極大値の個数が0個であるか2個以上である場合には、ステップS27に移行し、制御出力をONにする。つまり、物体を検出したという制御出力を行う。
【0052】
この判断の根拠について説明する。まず、極大値の個数が2個以上である場合とは、投光部21から照射された光が物体表面で乱反射し、受光部23に複数の経路を経た反射光が入射したことを意味する。ここで、図5ないし図7を用いて説明した設定処理時には、乱反射が発生していない環境で基準位置bpおよび閾値Tha,Thbを設定している。つまり、極大値の個数は1である状態で設定を行っている。
【0053】
これに対して、極大値の個数が2個以上になった場合とは、多重反射が発生していることを意味しており、設定時とは異なる状態になっていると判断できる。これにより、変位量などを測定あるいは解析することなく、直ちに物体有りと判断するようにしているのである。
【0054】
たとえば、図9に示すような場合が想定される。図9(a)に示すように、物体が光沢度の高い包装12aで包まれている場合、多重反射が発生する。そして、図9(b)に示すように、複数の極大値が探索される。この場合には、多重反射が発生しているという判断とあわせて、物体が検出されたという判断を行うのである。
【0055】
一方、極大値の個数が0個の場合にも、状態が変化していると判断できる。つまり、設定時には、極大値の個数が1個であったわけであり、明らかに状態が変化していることから物体を検出したと判断するのである。
【0056】
たとえば、図10に示すような場合が想定される。図10(a)に示すように、物体が光沢度の高い包装12aで包まれている場合、投光部21から照射された光10は、受光部23に戻ることなく乱反射している。この場合、図10(b)に示すように、極大値が探索されないので、物体が検出されたという判断を行うのである。
【0057】
再びフローチャートに戻る。極大値の個数が1個である場合には、次に、極大値の位置が設定距離範囲内であるか否かを判定する(ステップS24)。つまり、ピークの位置が、図5のステップS12で設定した閾値Tha,Thbの範囲内に入っているか否かを判定する。そして、設定範囲内ではない場合には、ステップS27に移行し、制御出力をONにする。つまり、物体を検出したという制御出力を行う。
【0058】
これは、極大値の個数は1個であるが、閾値Tha,Thbの範囲から外れているわけであり、光の反射面が移動したことを表しているからである。たとえば、物体が光沢度の小さいものであって、多重反射が発生しないような物体であるならば、明らかに光の反射面が移動しており、物体の存在が明白である。これに対して、図11に示すように、物体が、やはり、光沢度の高い包装12aで包まれている場合であっても、いくつかの反射光が重なり合って偶然極大値が1つになる場合がある。しかし、この場合にも、極大値の位置が、閾値Tha,Thbの範囲から外れていれば、状態が変化していることが明白であるので、物体を検出したと判断するのである。
【0059】
極大値の位置が設定距離範囲内にある場合、受光波形の幅が規定範囲内にあるか否かを判定する(ステップS25)。受光波形の幅が規定範囲内にない場合には、ステップS27に移行し、制御出力をONにする。つまり、多重反射が発生しているとして、物体を検出したという制御出力を行う。
【0060】
受光波形の幅が規定範囲内にない場合について図12を参照して説明する。図12(a)に示すように、物体が光沢度の高い包装12aに包まれており、投光部21から照射された光10は、包装12aで多重反射している。そして、多重反射した光が、比較的同じような角度で受光部23に入射している。この場合、受光量の分布は図12(b)のようになる。つまり、複数の山が重なりあって、幅の長い分布となっている。一般には、図6等で示したように、受光量分布の形状はピークに向かって細くなっていくため、たとえば、極大値の50%の光量であれば、その分布幅はある程度予測することが可能である。したがって、その予測した幅を設定しておけば、その幅を超えるような受光量分布が得られた場合には、やはり、状態が変化していると判断することができる。これにより、物体を検出したと判断するのである。
【0061】
受光波形の幅が規定範囲内にある場合には、ステップS26に移行し、制御出力をOFFにする。つまり、物体は検出されなかったとする制御出力を行うのである。つまり、極大値の個数が1であり、極大値の位置が設定範囲内にあり、受光波形の幅が規定範囲内にあるということは、多重反射が発生せず、極大値が基準位置bpから大きくずれることなく、さらに、波形も変化していない、ということであるので、物体は検出していないと判断するのである。たとえば、図13(a)で示すように、物体の検出処理中、センサヘッド2の下には物体が存在していない。この場合には、図13(b)に示すように、受光量分布は、設定処理時の受光量分布(図6(b))と近似しており、物体を検出していないと判断するのである。
【0062】
このように、本実施の形態の光電センサ1によれば、第一に、多重反射が検出されれば、即座に物体ありと判定する。これにより、複数のピークが存在する場合に、どのピークを選択して変位を決定するかという煩雑な処理を不要とすることができる。また、どのピークを選択するかという処理は、判断を誤る場合が生じるが、本実施の形態によれば、物体の有無を判断するうえでは、それら判断を排除することで、物体の検出精度を高くすることができる。
【0063】
また、ピークの数が0となった場合や、受光波形の幅が規定範囲内にない場合にも、物体ありと判定する。これにより、複雑な受光波形を解析して、推定により変位を求めるといった煩雑な処理を不要とし、即座に物体の有無を判断することが可能である。
【0064】
従来、物体の検出を行う光電センサにおいては、受光量分布から、どのピークを真のピークとして選択するかという点に注力されていた。つまり、複雑な受光波形を得た場合にも、様々なアルゴリズムを駆使して、真のピークを見つけることを模索し、推定した真のピークから変位を求め、さらに、変位と閾値との比較から物体の有無を判定していた。これに対して、本実施の形態の光電センサ1は、複雑な波形解析を行うことなく、極大値の個数のみによって、物体の有無を判定する。あるいは、波形の幅によって物体の有無を判定するようにした。これにより、複雑な処理をすることなく、精度の高い物体検出が可能となっているのである。
【0065】
図14ないし図19は、本実施の形態の光電センサ1を用いて様々な物体の有無を検出する実施例である。
【0066】
図14は、透明度の高い包装に包まれた物体12bの検出例を示す図である。図14(a)では、ピークの数が1つであり、ピーク位置が設定範囲内にあり、かつ、受光波形の幅が規定範囲内であり、物体は存在しないと判断される。図14(b)では、ピークが複数探索されるので、物体ありと判断される。図14(c)では、偶然、ピークが1つになっているが、ピークの位置が設定範囲を超えており、やはり、物体ありと判断される。
【0067】
図15は、鏡面加工された物体12cの検出例を示す図である。図15(a)では、ピークの数が1つであり、ピーク位置が設定範囲内にあり、かつ、受光波形の幅が規定範囲内であり、物体は存在しないと判断される。図15(b)では、ピークが探索されないので、物体ありと判断される。図15(c)では、偶然、ピークが1つになっているが、ピークの位置が設定範囲を超えており、やはり、物体ありと判断される。
【0068】
図16は、形状の複雑な半透明の物体12dの検出例を示す図である。図16(a)では、ピークの数が1つであり、ピーク位置が設定範囲内にあり、かつ、受光波形の幅が規定範囲内であり、物体は存在しないと判断される。図16(b)では、ピークが複数探索されるので、物体ありと判断される。図16(c)では、偶然、ピークが1つになっているが、ピークの位置が設定範囲を超えており、やはり、物体ありと判断される。
【0069】
図17は、裏面が上に向いているベアリング12eの検出例を示す図である。この場合、図17(d)に示すように、ベアリング12eを裏側に向けた状態の裏面(底面)を基準面11として設定処理が行われる。つまり、図5で説明した設定処理においては、図6で示すように、物体が置かれていない搬送路上を基準面11として設定を行った。これに対して、裏向きのベアリング12eを検出する場合には、ベアリング12eを裏向きに置いた状態で、裏面を基準面11として設定処理が行われる。したがって、裏面の上下位置に閾値Tha,Thbが設定される。
【0070】
図17(a)および図17(b)では、ピークが複数探索されるので、ベアリング12eは裏向きではないと判断される。図17(c)では、偶然、ピークが1つになっているが、ピークの位置が設定範囲を超えており、やはり、ベアリング12eは裏向きではないと判断される。図17(d)では、ピークの数が1つであり、ピーク位置が設定範囲内にあり、かつ、受光波形の幅が規定範囲内であり、ベアリング12eが裏向きであると判定される。
【0071】
図18は、金属加工製品12fの金属加工部12gの検出例を示す図である。この場合、図18(c)に示すように、金属加工部12gがない部分を基準面11として設定処理が行われる。
【0072】
図18(a)では、ピークが複数探索されるので、金属加工部12gが存在すると判断される。図18(b)では、偶然、ピークが1つになっているが、ピークの位置が設定範囲を超えており、やはり、金属加工部12gが存在すると判断される。図18(c)では、ピークの数が1つであり、ピーク位置が設定範囲内にあり、かつ、受光波形の幅が規定範囲内であり、金属加工部12gは存在しないと判断される。
【0073】
図19は、ガラス基板端面の位置決め検出例を示す図である。この場合、図19(a)に示すように、ガラス基板12hの端面を基準面11として設定処理が行われる。
【0074】
図19(a)では、ピークの数が1つであり、ピーク位置が設定範囲内にあり、かつ、受光波形の幅が規定範囲内であり、ガラス基板の端面であると判断される。図19(b)では、ピークが複数探索されるので、ガラス基板の端面でないと判断される。
【0075】
このように、本実施の形態の光電センサ1によれば、あらゆる形状の物体、あらゆる包装に包まれた物体であっても、精度よくその有無を検出することが可能である。また、金属加工品や鏡面加工された製品の加工部分の検出も精度よく行うことが可能である。
【0076】
次に、本発明の光電センサ1の付加機能について説明する。付加機能は、表示に関する機能である。図2、図3で説明したように、センサヘッド2およびアンプユニット3には、それぞれ表示灯27,35が備わっている。この表示灯27,35を用いて各種の情報表示を行う。
【0077】
まず、センサヘッド2において、主制御部26が多重反射を検出した場合、主制御部26は、LED27bの点灯制御を行う。これにより、ユーザは、LED27bの点灯を見て即座に多重反射が発生していることを認識することが可能である。上述したように、基準面11を設定する際には、このLED27bの表示を参考にすればよい。また、主制御部26は、算出した変位量をLED27cの点灯幅で表現する。つまり、変位量が大きくなるとLED27cの点灯幅を長くすることで、ユーザに対して変位量の感覚的な情報を提供するようにしている。
【0078】
また、主制御部26は、上記のアルゴリズムによって物体の検出を行った後、物体の有無に関する情報と、変位情報をアンプユニット3に転送する。アンプユニット3では、主制御部34が、センサヘッド2から受け取った情報に基づいて表示灯35の表示制御を行う。
【0079】
主制御部34は、7セグLED35aに対して変位情報の表示制御を行う。つまり、センサヘッド2の投光部21から反射面までの距離情報が表示される。また、算出した変位量をLED35bの点灯幅で表現する。つまり、変位量が大きくなるとLED35bの点灯幅を長くすることで、ユーザに対して変位量の感覚的な情報を提供するようにしている。
【0080】
上述したように、物体の有無を検出するためには、本発明では、真のピークを推定する必要はなかった。しかし、ユーザに対して参考情報として変位情報を表示するために、主制御部26は、変位を測定している。たとえば、多重反射が検出されない場合はLED35aにより変位情報を表示し、多重反射が検出された場合は、LED27bを点灯させるようにすればよい。
【0081】
主制御部26による変位測定方法について説明する。まず、ピークが1つしか存在しない場合には、そのピーク位置に基づいて通常の方法で変位が測定される。つまり、図23ないし図25を用いて説明したものと同様の原理で変位を測定する。
【0082】
次に、ピークの数が複数存在する場合には、第1の方法としては、近距離側のピークを選択する。つまり、センサヘッド2に近い側に存在するピークを真のピークと推定する。ただし、検出対象の物体の性質によっては、逆に、遠距離側のピークを選択するように設定してもよい。第2の方法としては、極大値の最も大きいピークを真のピークと推定する方法である。
【0083】
これら第1の方法あるいは第2の方法は、そもそも完全に信頼のおける推定ではないというのが、本発明の前提であった。しかし、ここでは、参考情報として変位情報を表示するため、これらの方法をとり、なるべく真のピークを推定するようにしている。センサヘッド2には、LED27bによって物体の検出の有無が表示されるので、この精度の高い情報とあわせて、参考情報としての変位情報をユーザに与えることで、利便性の高い構成となっている。
【0084】
次に、本発明の変形例について説明する。上記の実施の形態において、光電センサ1は、多重反射を検出することで、物体の有無を判断した。この変形例では、多重反射の検出結果を利用しつつ、従来からの変位計測に基づく物体の検出を行う方法である。
【0085】
図20は、金属加工品12iにおける金属加工部12jの検出方法を示す図である。図20(a)において、センサヘッド2は、金属加工部12jのない平坦な部分に光10を照射している。このときの多重反射は起こっていない。したがって、光量分布のピーク位置に基づいて変位を求めることができる。図21において、領域Raで示された部分が、図20(a)において計測された変位である。
【0086】
次に、図20(b)の状態に金属加工品12iが移動すると、多重反射が発生する。このとき、光10が様々な角度で反射して受光部23において受光されるため、計測される変位量が細かく変動する。図21において、領域Rbが多重反射が発生している状態で計測されている変位を示している。
【0087】
そして、図20(c)の位置に金属加工品12iが移動すると、再び多重反射がなくなり、光量分布におけるピークも1つになる。この状態の変位は、図21の領域Rcに対応している。
【0088】
このように、多重反射が発生している期間は、変位の計測結果に信頼性がない。そこで、この変形例では、直前の変位を維持するようにするのである。これにより、センサヘッド2より出力される変位は、図22で表される。つまり、領域Rbについては、領域Raで計測した変位を維持するようにしているのである。したがって、LED35aには、多重反射が検出されていない場合は、算出した変位量を表示し、多重反射が検出された場合には、多重反射が検出される直前に算出した変位量を表示するようにすればよい。このとき、LED27bを点灯させ、多重反射が検出されていることも合わせて通知すればよい。
【0089】
そして、主制御部26は、多重反射を検出すると、多重反射が発生する直前の変位を現在の変位として物体の有無を判断するのである。これにより、多重反射が発生している状態であっても、多重反射の影響をできるだけ除去して、物体の検出を行うことが可能である。
【0090】
あるいは、多重反射が発生する直前の変位を現在の変位としてアンプユニット3に出力する。そして、アンプユニット3は、表示灯35に現在の変位として出力するのである。また、アンプユニット3は、外部入出力部32を介して、外部に変位を出力するようにしてもよい。また、上記の実施の形態で説明したように、多重反射の検出によって物体ありと判断する一方、変位については、多重反射発生前の値を維持し、ユーザに提供するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施の形態に係る光電センサの外観図である。
【図2】センサヘッドの正面図および背面図である。
【図3】アンプユニットの平面図である。
【図4】センサヘッドおよびアンプユニットのブロック図である。
【図5】設定処理のフローチャートである。
【図6】基準面の設定時の受光状態を示す図である。
【図7】基準面とともに設定される閾値の位置関係を示す図である。
【図8】物体検出処理のフローチャートである。
【図9】極大値が複数探索される受光状態と受光量分布を示す図である。
【図10】極大値が探索されない受光状態と受光量分布を示す図である。
【図11】ピークの位置が設定範囲内にない受光状態と受光量分布を示す図である。
【図12】複数の山が重なり合う受光状態と受光量分布を示す図である。
【図13】物体が存在しない場合の受光状態と受光量分布を示す図である。
【図14】透明度の高い包装で包まれた物体の検出例を示す図である。
【図15】鏡面物体の検出例を示す図である。
【図16】形状が複雑な半透明物体の検出例を示す図である。
【図17】金属加工品の表裏判別例を示す図である。
【図18】金属加工部分の検出例を示す図である。
【図19】ガラス基板の端面位置の検出例を示す図である。
【図20】金属加工品からの反射光の状態を示す図である。
【図21】金属加工品からの反射光から算出した変位量の変化を示す図である。
【図22】多重反射の発生前の変位を維持した場合の変位量の変化を示す図である。
【図23】従来技術における光電センサの変位測定方法を示す図である。
【図24】受光部の詳細図である。
【図25】ピーク位置と閾値との関係を示す図である。
【図26】ベルトコンベア上を流れる物体を検出するシステム図である。
【図27】光電センサが求めた変位と閾値との関係を示す図である。
【図28】鏡面反射により受光量分布に複数のピークが発生する例を示す図である。
【図29】光沢面反射により受光量分布に1つのピークが発生する例を示す図である。
【図30】光沢面反射により受光量分布に複数のピークが発生する例を示す図である。
【図31】光沢面反射により受光量分布に複数のピークが発生する例を示す図である。
【図32】検出が困難な光沢度の高い包装で包まれた物体を示す図である。
【図33】検出が困難な透明度の高い包装で包まれた物体を示す図である。
【図34】検出が困難な鏡面物体を示す図である。
【図35】検出が困難な形状の複雑な半透明物体を示す図である。
【図36】表裏判定が困難な金属加工品を示す図である。
【図37】加工部検出が困難な金属加工品を示す図である。
【図38】端面位置の検出が困難な積層されたガラス基板を示す図である。
【符号の説明】
【0092】
1 光電センサ
2 センサヘッド
3 アンプユニット
10 (投光部より照射される)光
11 基準面
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の検出を行う光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
物体に光を照射し、物体からの反射光を受光することで、物体の検出を行う光電センサと呼ばれる機器が存在する。光電センサを用いて物体を検出する方法としては、いくつかの手法がとられている。1つの方法としては、受光素子が受光する反射光の受光量が所定の閾値を上回った場合に、物体が存在すると判断する方法である(受光量判断型)。
【0003】
別の方法としては、反射光に基づいて対象物の変位を測定し、変位に基づいて物体を検出する方法である(距離判断型)。具体的には、受光量分布の重心位置を測定可能な受光素子を用い、その重心位置の変位を測定し、変位が所定の閾値を上回った場合に、物体が存在すると判断する方法である。
【0004】
距離判断型について図を用いて説明する。図23は、距離設定型の光電センサ100により変位を測定する原理を示す図である。光電センサ100の投光部101から照射された光は、反射面110aあるいは反射面110bで反射して受光部102において受光されるものとする。
【0005】
図24は、受光部102を示す図である。受光部102は、受光レンズ103と受光素子104を備えている。反射光は、受光レンズ103を介して受光素子104において受光される。そして、この反射光が受光素子104上でスポットを形成する位置は、光の反射位置によって異なる。たとえば、図23において光電センサ100に近い側の反射面110aで光が反射している場合には、反射光111aは、受光素子104の位置104a付近にスポットを形成する。これに対して、反射面110bで反射している反射光111bは、位置104bにスポットを形成する。
【0006】
図25(a),(b)は、それぞれ反射光111a,111bにより受光素子104に形成された受光量分布を示している。このように、光の反射位置によってスポットの形成位置が異なるので、これを利用して変位(光の反射位置あるいは反射面の変位と言っても良い。)を測定することができるのである。そして、図23および図25に示すように、変位が閾値Th0を超えた場合に、制御出力をONとして物体が存在すると判定するのである。
【0007】
図26は、光電センサ100により物体120の検出を行っている様子を示している。図に示すように、光電センサ100は、ベルトコンベア121上を流れる物体120に光130を照射し、その反射光を受光し、図23ないし図25で説明した原理を利用して変位を測定する。
【0008】
図27は、光電センサ100が受光する反射光の受光量分布に基づいて測定した変位の変化を表している。変位とは、上述したように、投光位置から反射位置までの距離と考えればよい。あらかじめ閾値Th0が決められており、この閾値Th0よりも変位が小さくなった場合(反射面までの距離が近づいた場合)、検出信号をONとし、閾値Th0よりも変位が大きくなった場合(反射面までの距離が遠ざかった場合)、検出信号をOFFとするのである。つまり、物体120が通過する際には、光の反射位置が光電センサ100に近づくことになるので、この変位に基づいて物体120の検出を行っているのである。
【0009】
多くの対象物に対しては、上記のいずれの方法(受光量判断型、距離判断型)であっても、ある程度の物体の検出精度が得られる。しかし、光沢の高い物体などにおいては、物体の検出が困難である。
【0010】
たとえば、図28(a)に示すように、物体の表面140が鏡面状態である場合には、受光部102に複数の経路を経た光が入射することになる。図中、破線は、正反射されて受光部102に入射する光を示している。つまり、投光部101が映り込んでいるような場合である。このため、図28(b)に示すように、受光量分布には、本来のピークp10とは別の位置に小さなピークp20が形成される。これにより、重心位置g10は、本来の位置より右にずれて誤って認識されることになる。つまり、変位を誤って測定することになる。
【0011】
また、図29(a)に示すように、物体の表面141に光沢がある場合には、光が乱反射するという問題がある。図29は、乱反射の影響なく受光部102において反射光を入射した場合であり、この場合には、図29(b)に示すように、ピークp10のみが現れ、その重心位置g20も一致し、問題ない。
【0012】
ところが、図30(a)あるいは図31(a)に示すように、乱反射が発生し、複数の経路を経た光が受光部102に入射する場合がある。この場合には、図30(b)あるいは図31(b)に示すように、重心位置g30,g40が、本来のピークp10の位置からずれて認識されるという問題がある。つまり、本来のピークp10とは別に、小さなピークp30,p40が形成されるために、重心位置が左右にずれるのである。また、図30,図31から分かるように、乱反射によって、重心位置が右にも左にもずれることがあるため、予測が困難であり、変位を測定することができない。
【0013】
このような問題を解決する方法として、受光量の分布を解析し、ピーク位置を判定した上で変位を求める方法がある。この方法を用いるためには、たとえば、CCDなどの受光素子が用いられる。受光量分布を解析し、正しいと思われるピーク位置を決定し、このピーク位置から変位量を求めるのである。
【0014】
下記特許文献1は、受光量分布を解析することで、ピーク位置を判定する方法を開示している。具体的には、閾値を設けて、その閾値よりも低いピーク位置を捨てることで、雑音成分を除去して、本来のピーク位置を判定しようとするものである。
【0015】
【特許文献1】特開平10−267648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記のように、受光量分布を解析してピーク位置が正しく算出されれば、正確な変位が求まるため、物体の検出精度も高くなる。しかし、受光量分布を解析する方法も完全とは言えない。たとえば、紙の箱や木材であれば検出精度も高いであろうが、図32ないし図38で示したような物体は、検出が困難である。つまり、図32ないし図38で示したような物体については、光の乱反射の度合いが大きいため、必ずしも、極大値の高いピークが真のピークとは限らないからである。また、受光量分布が非常に複雑になると、ピーク自体を検出することも難しいからである。
【0017】
図32は、光沢度の高い包装151で包まれている物体150を示している。図33は、透明度の高い包装153で包まれている物体152を示している。図34は、鏡面加工された物体154を示しており、図35は、複雑な形状の半透明の物体155を表している。これら図32ないし図35で示した物体は、物体や包装の表面で乱反射する光の量が多く、受光量分布を解析して、真のピークを判定することは困難である。つまり、物体表面あるいは包装の表面で多重反射が発生するために、受光量分布の解析自体が困難である。
【0018】
また、図36(a),(b)に示すように、ボールベアリング156などの金属加工品について、その表裏を判別したい場合などにおいて、変位を正確に測定することが困難であった。あるいは、図37に示すように、金属加工された物体157の加工部157aの有無を判別したい場合や、図38に示すように、積層されているガラス基板158の端面の位置を検出する処理においても、変位を正確に測定することが困難であった。
【0019】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、どのような表面加工がされている物体に対しても、あるいは、どのような包装で包まれている物体についても、精度よく物体の検出を行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、投光手段と、少なくとも一方向に配列された複数の受光素子によって、前記投光手段により照射された光の反射光を受光する受光手段と、前記受光手段から得られた受光量分布に基づいて、前記投光手段により照射された光を反射させた対象の変位相当量を求める手段と、前記受光量分布に基づいて、多重反射の有無を検出する多重反射検出手段と、前記多重反射検出手段により検出された多重反射の有または無の少なくともいずれか一方を示す情報を外部に出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の光電センサにおいて、前記多重反射検出手段は、前記受光量分布に複数のピークが存在する場合及び/または所定の閾値以上の受光量が得られた領域が所定範囲以上存在する場合、多重反射が発生していると判定することを特徴とする。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、前記出力手段は、前記光電センサに設けられた多重反射の有無を表示する表示灯であることを特徴とする。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、さらに、求めた変位相当量と設定された閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別する物体判別手段、を備え、前記出力手段は、多重反射が検出されない場合は前記物体判別手段の判別結果を示す信号を出力し、多重反射が検出された場合は多重反射が検出されたことを示す信号を出力することを特徴とする。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、さらに、求めた変位相当量と設定された閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別する物体判別手段、を備え、前記出力手段は、前記光電センサに設けられた多重反射の有無を表示する表示灯であり、さらに多重反射が検出されない場合は前記物体判別手段の判別結果を示す信号を出力し、多重反射が検出された場合は多重反射が検出されたことを示す信号を出力することを特徴とする。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、前記判別結果を示す信号のうち一の信号と、多重反射が検出されたことを示す信号とが同じであることを特徴とする。
【0026】
請求項7記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、前記物体判別手段は、求めた変位相当量と二の前記閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別するものであって、前記判別結果を示す二値信号のうち求めた変位相当量が二の前記閾値の間にあると判別された時の信号と、多重反射が検出されたことを示す二値信号とが異なることを特徴とする。
【0027】
請求項8記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、さらに、外部からの指示に基づいて変位相当量を取得し、当該取得された変位相当量を含む範囲と含まない範囲とを判別するための前記閾値を設定する閾値設定手段、を備え、前記判別結果を示す二値信号のうち前記取得された変位相当量を含む範囲を示す信号と多重反射が検出されたことを示す二値信号とが異なることを特徴とする。
【0028】
請求項9記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、前記物体判別手段は、求めた変位相当量と二の前記閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別するものであって、前記光電センサは、さらに、外部からの指示に基づいて変位相当量を取得し、当該取得された変位相当量を含む範囲と含まない範囲とを判別するための二の前記閾値を設定する閾値設定手段を備え、前記判別結果を示す二値信号のうち求めた変位相当量が二の前記閾値の間にあると判別された時の信号と多重反射が検出されたことを示す二値信号とが異なることを特徴とする。
【0029】
請求項10記載の発明は、請求項4ないし請求項9のいずれかに記載の光電センサにおいて、前記受光量分布からピークが検出されない場合にも、物体を検出したと判定することを特徴とする。
【0030】
請求項11記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、さらに、多重反射が検出されているときに求めた変位相当量に換えて多重反射を検出する直前に算出した変位相当量を現在の変位として出力する手段、を備えることを特徴とする。
【0031】
請求項12記載の発明は、請求項1に記載の光電センサにおいて、前記出力手段は、多重反射が検出されない場合は変位相当量を表示し、多重反射が検出された場合は、多重反射が検出されたことを表示する表示部であることを特徴とする。
【0032】
請求項13記載の発明は、請求項1に記載の光電センサにおいて、前記出力手段は、多重反射が検出されない場合は変位相当量を表示し、多重反射が検出された場合は、多重反射が検出される直前に算出した変位相当量と多重反射が検出されたことを表示する表示部であることを特徴とする。
【0033】
請求項14記載の発明は、請求項12に記載の光電センサにおいて、前記受光量分布に複数のピークが存在する場合、近距離側のピークに基づいて変位相当量を求めることを特徴とする。
【0034】
請求項15記載の発明は、請求項12に記載の光電センサにおいて、前記受光量分布に複数のピークが存在する場合、極大値が最も大きいピークに基づいて変位を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明の光電センサは、受光量分布に基づいて、多重反射の有無を検出し、多重反射の有無に関わる信号を出力する。これにより、多重反射の発生の有無に応じた制御を実行することが可能である。
【0036】
本発明の光電センサは、受光量分布における真のピークを特定することなく、物体検出を行うことができる。完全ではないアルゴリズムによって真のピークを推定する場合には、誤った変位を用いて、誤った物体検出結果を出力する場合があるが、本発明においては、真のピークを特定する処理自体を必要としないので、物体検出の精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る光電センサ1の外観図である。光電センサ1は、センサヘッド2とアンプユニット3から構成されている。センサヘッド2は、アンプユニット3にケーブル4を介して接続されている。また、アンプユニット3には、外部とデータを交換するためのケーブル5が接続されている。このセンサヘッド2が、たとえば、製品の製造ラインに設置されることで、搬送される製品の検出や、製品の加工部分の検出などを行う。
【0038】
図2(a)は、センサヘッド2の正面図であり、図2(b)は、背面図である。センサヘッド2の正面には、物体に対して光を照射する投光部21と、反射光を受光する受光部23が配列されている。また、背面には、表示灯27が設けられている。表示灯27は、複数のLED27a〜27cで構成されている。LED27aは、電源ONのときに点灯し、LED27bは、後で詳しく説明するが、多重反射を検出した場合に点灯する。LED27cは、複数のLEDからなり、変位量を表す用途などに用いられる。
【0039】
図3は、アンプユニット3の平面図である。アンプユニット3の装置表面には、設定部31および表示灯35が設けられている。設定部31は、十字カーソルや複数のボタンなどからなり、光電センサ1に対する設定操作などを行うことができる。表示灯35は、数値を表示する7セグLED35aと、複数のLEDからなり、変位量を表す用途などに用いられるLED35bで構成されている。
【0040】
図4は、センサヘッド2およびアンプユニット3の機能ブロック図である。センサヘッド2は、投光部21、投光処理部22、受光部23、増幅部24、A/D変換部25、主制御部26、表示灯27、通信部28を備えている。
【0041】
投光部21は、たとえばレーザダイオードであり、投光処理部22により、駆動制御されることで、光を照射する。受光部23は、本実施の形態においては、CCDを用いている。受光部23は、複数の受光素子を備えており、これら受光素子は、投光部21から照射された光の反射光を受光する。受光部23は、反射光を受光すると、光電変換を行うことで、受光量をアナログ信号として出力する。増幅部24は、受光部23から出力されたアナログ信号を増幅する。A/D変換部25は、増幅部24から出力されたアナログ信号をデジタル変換し、主制御部26に出力する。
【0042】
主制御部26は、センサヘッド2の全体制御を行う処理部であり、CPU、メモリ、CPU上で動作するソフトウェアなどから構成される。主制御部26は、投光処理部22に対して指示信号を送り、投光量の調整などを行う。また、主制御部26は、受光部23から出力された信号を受け取って本発明の特徴である各種のソフトウェア処理を実行する。
【0043】
ここで、受光部23は、少なくとも一方向に複数の受光素子が配列されたセンサである。本実施の形態では、1次元のCCDラインセンサを用いている。これにより、受光した反射光の直線上の光量分布情報を得ることが可能であり、主制御部26がA/D変換部25から入力するデジタル信号は、1次元の受光量分布を示す信号である。主制御部26は、この信号を利用して物体の検出処理等を実行するのである。なお、受光部23として、2次元センサを用いても良い。
【0044】
表示灯27は、図2でも示したように、各種の情報を表示する表示部である。通信部28は、ケーブル4を介してアンプユニット3と通信を行い、データの送受信を行う。
【0045】
アンプユニット3は、設定部31、外部入出力部32、記憶部33、主制御部34、表示灯35、通信部36を備えている。設定部31は、アンプユニット3に対する各種の設定操作を行うためのものであり、図3に示すように、十字カーソルなどから構成される。外部入出力部32は、光電センサ1の検出結果、測定結果などをケーブル5を介して外部に出力するためのインタフェースである。また、外部から設定情報などを入力するためのインタフェースである。記憶部33は、設定情報などを記憶している。主制御部34は、CPU、メモリ、CPU上で動作するソフトウェアなどから構成され、アンプユニット3の全体制御を行う。表示灯35は、図3に示すように、7セグLED35aとLED35bから構成されている。通信部36は、センサヘッド2の通信部28との間で通信を行い、センサヘッド2から検出情報などを受信するほか、センサヘッド2に対する制御信号を送信する。
【0046】
次に、センサヘッド2における物体検出に関わる処理の流れについて説明する。図5は、設定処理のフローチャートである。設定処理とは、物体の検出処理に先立って、精度よく物体を検出するための準備処理である。
【0047】
まず、ワーク(基準)の距離を記憶する(ステップS11)。図6(a)は、センサヘッド2から光10を照射し、基準面11からの反射光を受光している様子を示している。そして、この受光量の分布は、図6(b)のようになり、ピーク位置p1が現れるため、このピーク位置p1を、基準位置bpとして設定する。たとえば、センサヘッド2を図6(a)の状態で固定しながら、アンプユニット3に設けられた設定ボタン(設定部31)を押下することにより、基準位置bpが設定される。基準位置bpは、主制御部26内の記憶手段に記憶される。なお、物体がない状態を基準とするのであれば、物体が搬送される搬送経路の路面が基準面11となる。あるいは、物体表面の凹部を検出する場合などにおいては、物体表面の平坦部分(凹部がない面)が基準面11となる。
【0048】
また、この基準面11を設定する操作を行う場合には、多重反射が発生していないことを確認する。上記のように、センサヘッド2の表示灯27には、多重反射の発生を通知するLED27bが設けられている。したがって、このLED27bが点灯していない状態で基準面11を設定する。
【0049】
次に、記憶した基準位置bpの上下に閾値が設定される(ステップS12)。ピークの位置が、基準位置bpから閾値を超えてずれた場合に、物体ありと判断される。図7(a),(b)に示すように、基準位置bpの上下に閾値Tha,Thbが設定され、同様に、主制御部26内の記憶手段に記憶される。なお、この閾値の値(幅)は、あらかじめ設定部31を操作して設定されていてもよいし、外部入出力部32を介して外部から入力したデータにより予め設定されていてもよい。あるいは、設定部31を操作して自由に変更しながら設定するようにしてもよい。
【0050】
次に、図8を参照しながら、物体検出の処理の流れについて説明する。図5で説明した設定処理が完了後、実際に、センサヘッド2の下を物体が搬送されてくる。そして、同様に、センサヘッド2は、投光部21から光を照射して、受光部23において反射光を受光する。これにより、主制御部26が光量分布情報を得る。図8は、この光量分布情報を得た後、主制御部26において行われる処理の流れである。
【0051】
まず、イメージセンサ上極大値のある位置を探索する(ステップS21)。つまり、主制御部26は、光量分布情報からピークの位置を探索する。次に、主制御部26は、極大値の個数を探索する(ステップS22)。つまり、ピークの個数を計測する。そして、主制御部26は、極大値の個数が1個であるか否かを判定し(ステップS23)、極大値の個数が1個でない場合、つまり、極大値の個数が0個であるか2個以上である場合には、ステップS27に移行し、制御出力をONにする。つまり、物体を検出したという制御出力を行う。
【0052】
この判断の根拠について説明する。まず、極大値の個数が2個以上である場合とは、投光部21から照射された光が物体表面で乱反射し、受光部23に複数の経路を経た反射光が入射したことを意味する。ここで、図5ないし図7を用いて説明した設定処理時には、乱反射が発生していない環境で基準位置bpおよび閾値Tha,Thbを設定している。つまり、極大値の個数は1である状態で設定を行っている。
【0053】
これに対して、極大値の個数が2個以上になった場合とは、多重反射が発生していることを意味しており、設定時とは異なる状態になっていると判断できる。これにより、変位量などを測定あるいは解析することなく、直ちに物体有りと判断するようにしているのである。
【0054】
たとえば、図9に示すような場合が想定される。図9(a)に示すように、物体が光沢度の高い包装12aで包まれている場合、多重反射が発生する。そして、図9(b)に示すように、複数の極大値が探索される。この場合には、多重反射が発生しているという判断とあわせて、物体が検出されたという判断を行うのである。
【0055】
一方、極大値の個数が0個の場合にも、状態が変化していると判断できる。つまり、設定時には、極大値の個数が1個であったわけであり、明らかに状態が変化していることから物体を検出したと判断するのである。
【0056】
たとえば、図10に示すような場合が想定される。図10(a)に示すように、物体が光沢度の高い包装12aで包まれている場合、投光部21から照射された光10は、受光部23に戻ることなく乱反射している。この場合、図10(b)に示すように、極大値が探索されないので、物体が検出されたという判断を行うのである。
【0057】
再びフローチャートに戻る。極大値の個数が1個である場合には、次に、極大値の位置が設定距離範囲内であるか否かを判定する(ステップS24)。つまり、ピークの位置が、図5のステップS12で設定した閾値Tha,Thbの範囲内に入っているか否かを判定する。そして、設定範囲内ではない場合には、ステップS27に移行し、制御出力をONにする。つまり、物体を検出したという制御出力を行う。
【0058】
これは、極大値の個数は1個であるが、閾値Tha,Thbの範囲から外れているわけであり、光の反射面が移動したことを表しているからである。たとえば、物体が光沢度の小さいものであって、多重反射が発生しないような物体であるならば、明らかに光の反射面が移動しており、物体の存在が明白である。これに対して、図11に示すように、物体が、やはり、光沢度の高い包装12aで包まれている場合であっても、いくつかの反射光が重なり合って偶然極大値が1つになる場合がある。しかし、この場合にも、極大値の位置が、閾値Tha,Thbの範囲から外れていれば、状態が変化していることが明白であるので、物体を検出したと判断するのである。
【0059】
極大値の位置が設定距離範囲内にある場合、受光波形の幅が規定範囲内にあるか否かを判定する(ステップS25)。受光波形の幅が規定範囲内にない場合には、ステップS27に移行し、制御出力をONにする。つまり、多重反射が発生しているとして、物体を検出したという制御出力を行う。
【0060】
受光波形の幅が規定範囲内にない場合について図12を参照して説明する。図12(a)に示すように、物体が光沢度の高い包装12aに包まれており、投光部21から照射された光10は、包装12aで多重反射している。そして、多重反射した光が、比較的同じような角度で受光部23に入射している。この場合、受光量の分布は図12(b)のようになる。つまり、複数の山が重なりあって、幅の長い分布となっている。一般には、図6等で示したように、受光量分布の形状はピークに向かって細くなっていくため、たとえば、極大値の50%の光量であれば、その分布幅はある程度予測することが可能である。したがって、その予測した幅を設定しておけば、その幅を超えるような受光量分布が得られた場合には、やはり、状態が変化していると判断することができる。これにより、物体を検出したと判断するのである。
【0061】
受光波形の幅が規定範囲内にある場合には、ステップS26に移行し、制御出力をOFFにする。つまり、物体は検出されなかったとする制御出力を行うのである。つまり、極大値の個数が1であり、極大値の位置が設定範囲内にあり、受光波形の幅が規定範囲内にあるということは、多重反射が発生せず、極大値が基準位置bpから大きくずれることなく、さらに、波形も変化していない、ということであるので、物体は検出していないと判断するのである。たとえば、図13(a)で示すように、物体の検出処理中、センサヘッド2の下には物体が存在していない。この場合には、図13(b)に示すように、受光量分布は、設定処理時の受光量分布(図6(b))と近似しており、物体を検出していないと判断するのである。
【0062】
このように、本実施の形態の光電センサ1によれば、第一に、多重反射が検出されれば、即座に物体ありと判定する。これにより、複数のピークが存在する場合に、どのピークを選択して変位を決定するかという煩雑な処理を不要とすることができる。また、どのピークを選択するかという処理は、判断を誤る場合が生じるが、本実施の形態によれば、物体の有無を判断するうえでは、それら判断を排除することで、物体の検出精度を高くすることができる。
【0063】
また、ピークの数が0となった場合や、受光波形の幅が規定範囲内にない場合にも、物体ありと判定する。これにより、複雑な受光波形を解析して、推定により変位を求めるといった煩雑な処理を不要とし、即座に物体の有無を判断することが可能である。
【0064】
従来、物体の検出を行う光電センサにおいては、受光量分布から、どのピークを真のピークとして選択するかという点に注力されていた。つまり、複雑な受光波形を得た場合にも、様々なアルゴリズムを駆使して、真のピークを見つけることを模索し、推定した真のピークから変位を求め、さらに、変位と閾値との比較から物体の有無を判定していた。これに対して、本実施の形態の光電センサ1は、複雑な波形解析を行うことなく、極大値の個数のみによって、物体の有無を判定する。あるいは、波形の幅によって物体の有無を判定するようにした。これにより、複雑な処理をすることなく、精度の高い物体検出が可能となっているのである。
【0065】
図14ないし図19は、本実施の形態の光電センサ1を用いて様々な物体の有無を検出する実施例である。
【0066】
図14は、透明度の高い包装に包まれた物体12bの検出例を示す図である。図14(a)では、ピークの数が1つであり、ピーク位置が設定範囲内にあり、かつ、受光波形の幅が規定範囲内であり、物体は存在しないと判断される。図14(b)では、ピークが複数探索されるので、物体ありと判断される。図14(c)では、偶然、ピークが1つになっているが、ピークの位置が設定範囲を超えており、やはり、物体ありと判断される。
【0067】
図15は、鏡面加工された物体12cの検出例を示す図である。図15(a)では、ピークの数が1つであり、ピーク位置が設定範囲内にあり、かつ、受光波形の幅が規定範囲内であり、物体は存在しないと判断される。図15(b)では、ピークが探索されないので、物体ありと判断される。図15(c)では、偶然、ピークが1つになっているが、ピークの位置が設定範囲を超えており、やはり、物体ありと判断される。
【0068】
図16は、形状の複雑な半透明の物体12dの検出例を示す図である。図16(a)では、ピークの数が1つであり、ピーク位置が設定範囲内にあり、かつ、受光波形の幅が規定範囲内であり、物体は存在しないと判断される。図16(b)では、ピークが複数探索されるので、物体ありと判断される。図16(c)では、偶然、ピークが1つになっているが、ピークの位置が設定範囲を超えており、やはり、物体ありと判断される。
【0069】
図17は、裏面が上に向いているベアリング12eの検出例を示す図である。この場合、図17(d)に示すように、ベアリング12eを裏側に向けた状態の裏面(底面)を基準面11として設定処理が行われる。つまり、図5で説明した設定処理においては、図6で示すように、物体が置かれていない搬送路上を基準面11として設定を行った。これに対して、裏向きのベアリング12eを検出する場合には、ベアリング12eを裏向きに置いた状態で、裏面を基準面11として設定処理が行われる。したがって、裏面の上下位置に閾値Tha,Thbが設定される。
【0070】
図17(a)および図17(b)では、ピークが複数探索されるので、ベアリング12eは裏向きではないと判断される。図17(c)では、偶然、ピークが1つになっているが、ピークの位置が設定範囲を超えており、やはり、ベアリング12eは裏向きではないと判断される。図17(d)では、ピークの数が1つであり、ピーク位置が設定範囲内にあり、かつ、受光波形の幅が規定範囲内であり、ベアリング12eが裏向きであると判定される。
【0071】
図18は、金属加工製品12fの金属加工部12gの検出例を示す図である。この場合、図18(c)に示すように、金属加工部12gがない部分を基準面11として設定処理が行われる。
【0072】
図18(a)では、ピークが複数探索されるので、金属加工部12gが存在すると判断される。図18(b)では、偶然、ピークが1つになっているが、ピークの位置が設定範囲を超えており、やはり、金属加工部12gが存在すると判断される。図18(c)では、ピークの数が1つであり、ピーク位置が設定範囲内にあり、かつ、受光波形の幅が規定範囲内であり、金属加工部12gは存在しないと判断される。
【0073】
図19は、ガラス基板端面の位置決め検出例を示す図である。この場合、図19(a)に示すように、ガラス基板12hの端面を基準面11として設定処理が行われる。
【0074】
図19(a)では、ピークの数が1つであり、ピーク位置が設定範囲内にあり、かつ、受光波形の幅が規定範囲内であり、ガラス基板の端面であると判断される。図19(b)では、ピークが複数探索されるので、ガラス基板の端面でないと判断される。
【0075】
このように、本実施の形態の光電センサ1によれば、あらゆる形状の物体、あらゆる包装に包まれた物体であっても、精度よくその有無を検出することが可能である。また、金属加工品や鏡面加工された製品の加工部分の検出も精度よく行うことが可能である。
【0076】
次に、本発明の光電センサ1の付加機能について説明する。付加機能は、表示に関する機能である。図2、図3で説明したように、センサヘッド2およびアンプユニット3には、それぞれ表示灯27,35が備わっている。この表示灯27,35を用いて各種の情報表示を行う。
【0077】
まず、センサヘッド2において、主制御部26が多重反射を検出した場合、主制御部26は、LED27bの点灯制御を行う。これにより、ユーザは、LED27bの点灯を見て即座に多重反射が発生していることを認識することが可能である。上述したように、基準面11を設定する際には、このLED27bの表示を参考にすればよい。また、主制御部26は、算出した変位量をLED27cの点灯幅で表現する。つまり、変位量が大きくなるとLED27cの点灯幅を長くすることで、ユーザに対して変位量の感覚的な情報を提供するようにしている。
【0078】
また、主制御部26は、上記のアルゴリズムによって物体の検出を行った後、物体の有無に関する情報と、変位情報をアンプユニット3に転送する。アンプユニット3では、主制御部34が、センサヘッド2から受け取った情報に基づいて表示灯35の表示制御を行う。
【0079】
主制御部34は、7セグLED35aに対して変位情報の表示制御を行う。つまり、センサヘッド2の投光部21から反射面までの距離情報が表示される。また、算出した変位量をLED35bの点灯幅で表現する。つまり、変位量が大きくなるとLED35bの点灯幅を長くすることで、ユーザに対して変位量の感覚的な情報を提供するようにしている。
【0080】
上述したように、物体の有無を検出するためには、本発明では、真のピークを推定する必要はなかった。しかし、ユーザに対して参考情報として変位情報を表示するために、主制御部26は、変位を測定している。たとえば、多重反射が検出されない場合はLED35aにより変位情報を表示し、多重反射が検出された場合は、LED27bを点灯させるようにすればよい。
【0081】
主制御部26による変位測定方法について説明する。まず、ピークが1つしか存在しない場合には、そのピーク位置に基づいて通常の方法で変位が測定される。つまり、図23ないし図25を用いて説明したものと同様の原理で変位を測定する。
【0082】
次に、ピークの数が複数存在する場合には、第1の方法としては、近距離側のピークを選択する。つまり、センサヘッド2に近い側に存在するピークを真のピークと推定する。ただし、検出対象の物体の性質によっては、逆に、遠距離側のピークを選択するように設定してもよい。第2の方法としては、極大値の最も大きいピークを真のピークと推定する方法である。
【0083】
これら第1の方法あるいは第2の方法は、そもそも完全に信頼のおける推定ではないというのが、本発明の前提であった。しかし、ここでは、参考情報として変位情報を表示するため、これらの方法をとり、なるべく真のピークを推定するようにしている。センサヘッド2には、LED27bによって物体の検出の有無が表示されるので、この精度の高い情報とあわせて、参考情報としての変位情報をユーザに与えることで、利便性の高い構成となっている。
【0084】
次に、本発明の変形例について説明する。上記の実施の形態において、光電センサ1は、多重反射を検出することで、物体の有無を判断した。この変形例では、多重反射の検出結果を利用しつつ、従来からの変位計測に基づく物体の検出を行う方法である。
【0085】
図20は、金属加工品12iにおける金属加工部12jの検出方法を示す図である。図20(a)において、センサヘッド2は、金属加工部12jのない平坦な部分に光10を照射している。このときの多重反射は起こっていない。したがって、光量分布のピーク位置に基づいて変位を求めることができる。図21において、領域Raで示された部分が、図20(a)において計測された変位である。
【0086】
次に、図20(b)の状態に金属加工品12iが移動すると、多重反射が発生する。このとき、光10が様々な角度で反射して受光部23において受光されるため、計測される変位量が細かく変動する。図21において、領域Rbが多重反射が発生している状態で計測されている変位を示している。
【0087】
そして、図20(c)の位置に金属加工品12iが移動すると、再び多重反射がなくなり、光量分布におけるピークも1つになる。この状態の変位は、図21の領域Rcに対応している。
【0088】
このように、多重反射が発生している期間は、変位の計測結果に信頼性がない。そこで、この変形例では、直前の変位を維持するようにするのである。これにより、センサヘッド2より出力される変位は、図22で表される。つまり、領域Rbについては、領域Raで計測した変位を維持するようにしているのである。したがって、LED35aには、多重反射が検出されていない場合は、算出した変位量を表示し、多重反射が検出された場合には、多重反射が検出される直前に算出した変位量を表示するようにすればよい。このとき、LED27bを点灯させ、多重反射が検出されていることも合わせて通知すればよい。
【0089】
そして、主制御部26は、多重反射を検出すると、多重反射が発生する直前の変位を現在の変位として物体の有無を判断するのである。これにより、多重反射が発生している状態であっても、多重反射の影響をできるだけ除去して、物体の検出を行うことが可能である。
【0090】
あるいは、多重反射が発生する直前の変位を現在の変位としてアンプユニット3に出力する。そして、アンプユニット3は、表示灯35に現在の変位として出力するのである。また、アンプユニット3は、外部入出力部32を介して、外部に変位を出力するようにしてもよい。また、上記の実施の形態で説明したように、多重反射の検出によって物体ありと判断する一方、変位については、多重反射発生前の値を維持し、ユーザに提供するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施の形態に係る光電センサの外観図である。
【図2】センサヘッドの正面図および背面図である。
【図3】アンプユニットの平面図である。
【図4】センサヘッドおよびアンプユニットのブロック図である。
【図5】設定処理のフローチャートである。
【図6】基準面の設定時の受光状態を示す図である。
【図7】基準面とともに設定される閾値の位置関係を示す図である。
【図8】物体検出処理のフローチャートである。
【図9】極大値が複数探索される受光状態と受光量分布を示す図である。
【図10】極大値が探索されない受光状態と受光量分布を示す図である。
【図11】ピークの位置が設定範囲内にない受光状態と受光量分布を示す図である。
【図12】複数の山が重なり合う受光状態と受光量分布を示す図である。
【図13】物体が存在しない場合の受光状態と受光量分布を示す図である。
【図14】透明度の高い包装で包まれた物体の検出例を示す図である。
【図15】鏡面物体の検出例を示す図である。
【図16】形状が複雑な半透明物体の検出例を示す図である。
【図17】金属加工品の表裏判別例を示す図である。
【図18】金属加工部分の検出例を示す図である。
【図19】ガラス基板の端面位置の検出例を示す図である。
【図20】金属加工品からの反射光の状態を示す図である。
【図21】金属加工品からの反射光から算出した変位量の変化を示す図である。
【図22】多重反射の発生前の変位を維持した場合の変位量の変化を示す図である。
【図23】従来技術における光電センサの変位測定方法を示す図である。
【図24】受光部の詳細図である。
【図25】ピーク位置と閾値との関係を示す図である。
【図26】ベルトコンベア上を流れる物体を検出するシステム図である。
【図27】光電センサが求めた変位と閾値との関係を示す図である。
【図28】鏡面反射により受光量分布に複数のピークが発生する例を示す図である。
【図29】光沢面反射により受光量分布に1つのピークが発生する例を示す図である。
【図30】光沢面反射により受光量分布に複数のピークが発生する例を示す図である。
【図31】光沢面反射により受光量分布に複数のピークが発生する例を示す図である。
【図32】検出が困難な光沢度の高い包装で包まれた物体を示す図である。
【図33】検出が困難な透明度の高い包装で包まれた物体を示す図である。
【図34】検出が困難な鏡面物体を示す図である。
【図35】検出が困難な形状の複雑な半透明物体を示す図である。
【図36】表裏判定が困難な金属加工品を示す図である。
【図37】加工部検出が困難な金属加工品を示す図である。
【図38】端面位置の検出が困難な積層されたガラス基板を示す図である。
【符号の説明】
【0092】
1 光電センサ
2 センサヘッド
3 アンプユニット
10 (投光部より照射される)光
11 基準面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光手段と、
少なくとも一方向に配列された複数の受光素子によって、前記投光手段により照射された光の反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段から得られた受光量分布に基づいて、前記投光手段により照射された光を反射させた対象の変位相当量を求める手段と、
前記受光量分布に基づいて、多重反射の有無を検出する多重反射検出手段と、
前記多重反射検出手段により検出された多重反射の有または無の少なくともいずれか一方を示す情報を外部に出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする光電センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の光電センサにおいて、
前記多重反射検出手段は、前記受光量分布に複数のピークが存在する場合及び/または所定の閾値以上の受光量が得られた領域が所定範囲以上存在する場合、多重反射が発生していると判定することを特徴とする光電センサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、
前記出力手段は、前記光電センサに設けられた多重反射の有無を表示する表示灯であることを特徴とする光電センサ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、さらに、
求めた変位相当量と設定された閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別する物体判別手段、
を備え、
前記出力手段は、多重反射が検出されない場合は前記物体判別手段の判別結果を示す信号を出力し、多重反射が検出された場合は多重反射が検出されたことを示す信号を出力することを特徴とする光電センサ。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、さらに、
求めた変位相当量と設定された閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別する物体判別手段、
を備え、
前記出力手段は、前記光電センサに設けられた多重反射の有無を表示する表示灯であり、さらに多重反射が検出されない場合は前記物体判別手段の判別結果を示す信号を出力し、多重反射が検出された場合は多重反射が検出されたことを示す信号を出力することを特徴とする光電センサ。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、
前記判別結果を示す信号のうち一の信号と、多重反射が検出されたことを示す信号とが同じであることを特徴とする光電センサ。
【請求項7】
請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、
前記物体判別手段は、求めた変位相当量と二の前記閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別するものであって、
前記判別結果を示す二値信号のうち求めた変位相当量が二の前記閾値の間にあると判別された時の信号と、多重反射が検出されたことを示す二値信号とが異なることを特徴とする光電センサ。
【請求項8】
請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、さらに、
外部からの指示に基づいて変位相当量を取得し、当該取得された変位相当量を含む範囲と含まない範囲とを判別するための前記閾値を設定する閾値設定手段、
を備え、
前記判別結果を示す二値信号のうち前記取得された変位相当量を含む範囲を示す信号と多重反射が検出されたことを示す二値信号とが異なることを特徴とする光電センサ。
【請求項9】
請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、
前記物体判別手段は、求めた変位相当量と二の前記閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別するものであって、
前記光電センサは、さらに、外部からの指示に基づいて変位相当量を取得し、当該取得された変位相当量を含む範囲と含まない範囲とを判別するための二の前記閾値を設定する閾値設定手段を備え、
前記判別結果を示す二値信号のうち求めた変位相当量が二の前記閾値の間にあると判別された時の信号と多重反射が検出されたことを示す二値信号とが異なることを特徴とする光電センサ。
【請求項10】
請求項4ないし請求項9のいずれかに記載の光電センサにおいて、
前記受光量分布からピークが検出されない場合にも、物体を検出したと判定することを特徴とする光電センサ。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、さらに、
多重反射が検出されているときに求めた変位相当量に換えて多重反射を検出する直前に算出した変位相当量を現在の変位として出力する手段、
を備えることを特徴とする光電センサ。
【請求項12】
請求項1に記載の光電センサにおいて、
前記出力手段は、多重反射が検出されない場合は変位相当量を表示し、多重反射が検出された場合は、多重反射が検出されたことを表示する表示部であることを特徴とする光電センサ。
【請求項13】
請求項1に記載の光電センサにおいて、
前記出力手段は、多重反射が検出されない場合は変位相当量を表示し、多重反射が検出された場合は、多重反射が検出される直前に算出した変位相当量と多重反射が検出されたことを表示する表示部であることを特徴とする光電センサ。
【請求項14】
請求項12に記載の光電センサにおいて、
前記受光量分布に複数のピークが存在する場合、近距離側のピークに基づいて変位相当量を求めることを特徴とする光電センサ。
【請求項15】
請求項12に記載の光電センサにおいて、
前記受光量分布に複数のピークが存在する場合、極大値が最も大きいピークに基づいて変位を求めることを特徴とする光電センサ。
【請求項1】
投光手段と、
少なくとも一方向に配列された複数の受光素子によって、前記投光手段により照射された光の反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段から得られた受光量分布に基づいて、前記投光手段により照射された光を反射させた対象の変位相当量を求める手段と、
前記受光量分布に基づいて、多重反射の有無を検出する多重反射検出手段と、
前記多重反射検出手段により検出された多重反射の有または無の少なくともいずれか一方を示す情報を外部に出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする光電センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の光電センサにおいて、
前記多重反射検出手段は、前記受光量分布に複数のピークが存在する場合及び/または所定の閾値以上の受光量が得られた領域が所定範囲以上存在する場合、多重反射が発生していると判定することを特徴とする光電センサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、
前記出力手段は、前記光電センサに設けられた多重反射の有無を表示する表示灯であることを特徴とする光電センサ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、さらに、
求めた変位相当量と設定された閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別する物体判別手段、
を備え、
前記出力手段は、多重反射が検出されない場合は前記物体判別手段の判別結果を示す信号を出力し、多重反射が検出された場合は多重反射が検出されたことを示す信号を出力することを特徴とする光電センサ。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、さらに、
求めた変位相当量と設定された閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別する物体判別手段、
を備え、
前記出力手段は、前記光電センサに設けられた多重反射の有無を表示する表示灯であり、さらに多重反射が検出されない場合は前記物体判別手段の判別結果を示す信号を出力し、多重反射が検出された場合は多重反射が検出されたことを示す信号を出力することを特徴とする光電センサ。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、
前記判別結果を示す信号のうち一の信号と、多重反射が検出されたことを示す信号とが同じであることを特徴とする光電センサ。
【請求項7】
請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、
前記物体判別手段は、求めた変位相当量と二の前記閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別するものであって、
前記判別結果を示す二値信号のうち求めた変位相当量が二の前記閾値の間にあると判別された時の信号と、多重反射が検出されたことを示す二値信号とが異なることを特徴とする光電センサ。
【請求項8】
請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、さらに、
外部からの指示に基づいて変位相当量を取得し、当該取得された変位相当量を含む範囲と含まない範囲とを判別するための前記閾値を設定する閾値設定手段、
を備え、
前記判別結果を示す二値信号のうち前記取得された変位相当量を含む範囲を示す信号と多重反射が検出されたことを示す二値信号とが異なることを特徴とする光電センサ。
【請求項9】
請求項4または請求項5に記載の光電センサにおいて、
前記物体判別手段は、求めた変位相当量と二の前記閾値とを比較することにより前記対象の状態を判別するものであって、
前記光電センサは、さらに、外部からの指示に基づいて変位相当量を取得し、当該取得された変位相当量を含む範囲と含まない範囲とを判別するための二の前記閾値を設定する閾値設定手段を備え、
前記判別結果を示す二値信号のうち求めた変位相当量が二の前記閾値の間にあると判別された時の信号と多重反射が検出されたことを示す二値信号とが異なることを特徴とする光電センサ。
【請求項10】
請求項4ないし請求項9のいずれかに記載の光電センサにおいて、
前記受光量分布からピークが検出されない場合にも、物体を検出したと判定することを特徴とする光電センサ。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の光電センサにおいて、さらに、
多重反射が検出されているときに求めた変位相当量に換えて多重反射を検出する直前に算出した変位相当量を現在の変位として出力する手段、
を備えることを特徴とする光電センサ。
【請求項12】
請求項1に記載の光電センサにおいて、
前記出力手段は、多重反射が検出されない場合は変位相当量を表示し、多重反射が検出された場合は、多重反射が検出されたことを表示する表示部であることを特徴とする光電センサ。
【請求項13】
請求項1に記載の光電センサにおいて、
前記出力手段は、多重反射が検出されない場合は変位相当量を表示し、多重反射が検出された場合は、多重反射が検出される直前に算出した変位相当量と多重反射が検出されたことを表示する表示部であることを特徴とする光電センサ。
【請求項14】
請求項12に記載の光電センサにおいて、
前記受光量分布に複数のピークが存在する場合、近距離側のピークに基づいて変位相当量を求めることを特徴とする光電センサ。
【請求項15】
請求項12に記載の光電センサにおいて、
前記受光量分布に複数のピークが存在する場合、極大値が最も大きいピークに基づいて変位を求めることを特徴とする光電センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2007−221491(P2007−221491A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40104(P2006−40104)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】
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