説明

内燃機関の制御装置及びその制御システム

【課題】EGRクーラに新気を逆流させることでEGRクーラに堆積したデポジットを洗浄するにあたり、十分な洗浄効果を発揮させる。
【解決手段】EGRクーラ22に所定量以上のデポジットが堆積した堆積状態になっていると判定された場合に、排ガスの一部をEGRガスとして吸気系に再循環させる通常モードから、新気をEGRクーラ22に逆流させる逆流モードへ切り替える。そして、逆流モード時には、新気の温度を上昇させるよう内燃機関の制御内容を変更する。例えば、低圧EGR量増大(制御A)、インタクーラバイパス(制御B)、冷媒流量減少(制御C)、燃料添加(制御D)を実行することにより、逆流する新気の温度を上昇させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EGRガスを冷却するEGRクーラを備える内燃機関に適用された、内燃機関の制御装置その制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内燃機関の燃焼室から排出される排ガスの一部をEGR(Exhaust Gas Recirculation)ガスとして内燃機関の吸気系に再循環させることで、燃焼温度を低下させて排ガス中のNOx低減を図ったEGRシステムが知られている。また、EGRガスを冷却するEGRクーラを設けることで、EGRガスの密度を高めてNOx低減効果を向上させる技術が従来より知られている。
【0003】
しかしながら、内燃機関を使用するにつれ、EGRクーラには排ガス中に含まれる煤等の異物(デポジット)が堆積してくる。すると、EGRクーラによる冷却能力が低下してNOx低減効果を十分に向上できなくなる。
【0004】
そこで、特許文献1記載の制御では、外気から取り込まれて内燃機関の吸気系を流通する新気をEGRクーラに逆流させることで、堆積したデポジットを除去してEGRクーラを洗浄(以下、「逆流洗浄」と記載)することを図っている。
【特許文献1】特開平11−62722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、単純に新気を逆流させただけでは十分な洗浄効果を得ることができないことが、本発明者による以下の知見により明らかとなった。
【0006】
すなわち、EGRクーラに堆積するデポジットは、排気中の煤や未燃ガスと、EGRクーラにて冷却されて生じる凝縮水とが混ぜ合わさった状態の異物である。このようなデポジットは、EGRクーラに排気を流通させる高温下では粘性を有する状態(流動性状態)となっている。しかしながら、EGRクーラに新気を逆流させると、デポジットは新気により冷却され、デポジットの粘性が低下して粘着力が高まった状態(固着状態)となる。その結果、デポジットはEGRクーラから剥がれ落ちにくくなり、十分な洗浄効果を得ることができなくなる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、EGRクーラに新気を逆流させることでEGRクーラに堆積したデポジットを洗浄するにあたり、十分な洗浄効果を発揮させる内燃機関の制御装置及びその制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
【0009】
請求項1記載の発明は、燃焼室から排出される排ガスの一部を、EGRガスとして吸気系に再循環させるEGR配管と、/前記EGR配管に設けられ、前記EGRガスと熱交換して冷却するEGRクーラと、/前記EGRガスを前記再循環させる通常モードと、外気から取り込まれて前記吸気系を流通する新気を前記EGRクーラに逆流させる逆流モードとに、前記EGRガス及び前記新気の流通経路を切り替える切替バルブと、を備えた内燃機関に適用されたものである。
【0010】
そして、前記EGRクーラに所定量以上のデポジットが堆積した堆積状態になっているか否かを判定する堆積判定手段と、/前記堆積状態であると判定された場合に、前記逆流モードとなるよう前記切替バルブの作動を制御する逆流制御手段と、/前記逆流モード時に、前記新気の温度を上昇させるよう前記内燃機関の制御内容を変更する新気温度上昇手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明は、「デポジットが新気により冷却されると、デポジットは粘着力の高まった固着状態となり、EGRクーラから剥がれ落ちにくくなる」との先述した知見に基づきなされたものであり、逆流モード時に、新気の温度を上昇させるよう内燃機関の制御内容を変更するので、デポジットの粘着力が高まることを抑制できる。よって、新気を逆流させることによりEGRクーラからデポジットが剥がれ落ちやすくなるので、逆流による洗浄効果を十分に発揮させることができる。
【0012】
新気の温度を上昇させる手法としては、請求項2記載の如く新気を加熱する度合いを増大させることで新気温度上昇を図る手法と、請求項6記載の如く新気を冷却する度合いを減少させることで新気温度上昇を図る手法とが挙げられる。新気加熱度合いを増大させれば、吸気系へ取り込む外気の温度よりも逆流させる新気の温度を高くするよう新気温度を上昇させることができる。新気冷却度合いを減少させれば、逆流させる新気の温度を外気温度に近づけるよう新気温度を上昇させることができる。
【0013】
また、請求項2記載の発明と請求項6記載の発明とを組み合わせてもよい。すなわち、一方では、新気を加熱する度合いを増大させることで新気温度上昇を図りつつ、他方では、新気を冷却する度合いを減少させることで新気温度上昇を図るようにしてもよい。以下、上記加熱度合い増大及び冷却度合い減少のそれぞれの手法を実現させる具体例について説明する。
【0014】
<加熱度合い増大の手法>
請求項3記載の発明は、過給機、低圧EGR配管、及び低圧EGRバルブが備えられた内燃機関に適用されたものであり、前記EGR配管は、前記タービンの上流側から前記EGRガスを再循環させるよう配置された高圧EGR配管である。つまり、本発明が対象とする内燃機関は、タービン通過前の高圧EGRを再循環させる経路と、タービン通過後の低圧EGRを再循環させる経路とを備えている。そして、このような内燃機関において、前記新気温度上昇手段は、前記低圧EGRガスの流量を増大させるよう前記低圧EGRバルブの制御内容を変更することで、前記新気に対する加熱度合いを増大させることを特徴とする。
【0015】
これによれば、高圧EGRの経路では新気逆流によりEGRクーラの洗浄を実施しつつも、低圧EGRの経路では、外気に比べて高温となっている排気を低圧EGRガスとして吸気系に再循環させるので、EGRクーラを逆流させる新気の加熱度合いを容易に増大させることができる。しかも、逆流モード時には高圧EGRの経路によるEGRの再循環が実施できないものの、本発明によれば逆流モード時であっても低圧EGRの経路によりEGRの再循環が実施できるので、EGR再循環による先述したNOx低減効果を逆流モード時にも発揮させることができる。
【0016】
請求項4記載の発明では、前記内燃機関には、前記低圧EGR配管に設けられ、前記EGRガスと熱交換して冷却する低圧EGRクーラと、排気中の微粒子成分を捕集するフィルタと、が備えられており、前記低圧EGR配管は、前記フィルタの下流側から前記EGRガスを再循環させるよう配置されていることを特徴とする。
【0017】
この請求項4記載の発明では、高圧EGR配管にEGRクーラを設けることに加え、低圧EGR配管にも低圧EGRクーラを設けている。そのため、低圧EGRガスの密度を高めてNOx低減効果を向上させることができる。但し、低圧EGR配管は、フィルタの下流側からEGRガスを再循環させるよう配置されているので、低圧EGRクーラの場合には、高圧側のEGRクーラのようにデポジットが堆積することがないため洗浄は不要である。
【0018】
請求項5記載の発明では、前記内燃機関には、排気の流速エネルギをタービンの回転力に変換する量を調整することで過給圧を調整する過給圧調整機構を有する過給機が備えられており、前記新気温度上昇手段は、前記過給圧を増大させるよう前記過給圧調整機構の制御内容を変更することで、前記新気に対する加熱度合いを増大させることを特徴とする。
【0019】
このように過給圧を増大させれば、新気は圧力増大に伴い温度上昇する。よって、過給圧を増大させるよう過給圧調整機構の制御内容を変更するだけで、新気に対する加熱度合いを容易に増大させることができる。
【0020】
<冷却度合い減少の手法>
請求項7記載の発明は、新気を冷却するインタークーラ、インタークーラに対して前記新気を迂回させるバイパス配管、及びバイパス配管への新気流量に対するインタークーラへの新気流量の割合を制御するインタークーラバルブが備えられた内燃機関に適用されたものである。そして、前記新気温度上昇手段は、前記インタークーラへの新気流量の割合を減少させるよう前記インタークーラバルブの制御内容を変更することで、前記新気に対する冷却度合いを減少させることを特徴とする。
【0021】
これによれば、インタークーラへの新気流量の割合を減少させるようインタークーラバルブの制御内容を変更するだけで、新気に対する冷却度合いを容易に減少させることができる。
【0022】
請求項8記載の発明では、前記EGRクーラには、前記EGRガスと熱交換する冷却媒体の循環流量を調整する冷媒流量調整バルブが設けられており、前記新気温度上昇手段は、前記冷媒流量を減少させるよう前記冷媒流量調整バルブの制御内容を変更することで、前記新気に対する冷却度合いを減少させることを特徴とする。
【0023】
これによれば、冷媒流量を減少させるよう冷媒流量調整バルブの制御内容を変更するだけで、新気に対する冷却度合いを容易に減少させることができる。
【0024】
請求項9記載の発明は、過給機が備えられた内燃機関に適用されたものである。そして、前記逆流モード時に前記EGRクーラを逆流した前記新気が前記タービンの下流側に流入して排出されるよう、前記流通経路は構成されていることを特徴とする。
【0025】
ここで、逆流して洗浄した後の新気、つまり逆流モード時のEGRクーラ下流側の新気には、EGRクーラから剥がされた多量のデポジットが含まれている。そして、このような洗浄後の新気をタービンの上流側に流入して排出させようとすると、タービンにデポジットが付着してしまい過給機の作動不良が懸念されるようになる。この点を鑑みた上記請求項9記載の発明では、逆流モード時にEGRクーラを逆流した新気(つまり洗浄後の新気)がタービンの下流側に流入して排出されるよう流通経路を構成しているので、タービンにデポジットが付着することを回避でき、上記懸念を解消できる。
【0026】
請求項10記載の発明は、上記制御装置と、前記EGR配管、前記EGRクーラ及び前記切替バルブの少なくとも1つと、を備えることを特徴とする内燃機関の制御システムである。この制御システムによれば、上述の各種効果を同様に発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明にかかる内燃機関の制御装置を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
先ず、本実施形態にかかる制御装置が制御の対象とするエンジン(内燃機関)の概略について、簡単に説明する。本実施形態では、4輪自動車用ディーゼルエンジンを対象にしており、燃焼室に直接的に高圧燃料(例えば噴射圧力「1000気圧」以上の軽油)を噴射供給(直噴供給)する方式の圧縮着火式エンジンである。また、当該エンジンは、多気筒(例えば直列4気筒)の4ストローク、レシプロ式ディーゼルエンジンを想定している。
【0029】
次に、エンジンの吸排気系システムの構成について図1を用いて説明する。
【0030】
当該エンジン10は、排気系から吸気系に排気を還流させるEGR配管20,30を備えており、排気の一部を吸気管11に戻すことで、燃焼室10aにおける燃焼温度を下げて排ガス中のNOx低減等を図っている。また、本実施形態では、排気管12のうち後述するタービン42の上流側部分(符号12a参照)から排気を還流させる高圧EGR配管20と、排気管12のうちタービン42の下流側部分(符号12b参照)から排気を還流させる低圧EGR配管30と、を備えている。つまり、タービン42通過前の低圧EGRを高圧EGR配管20を通じて再循環させる経路と、タービン42通過後の低圧EGRを低圧EGR配管30を通じて再循環させる経路とを備えている。
【0031】
EGR配管20,30の各々には、EGRガスの流量(EGR流量)を調整するEGR流量調整装置21,31が備えられている。EGR流量調整装置21,31は、EGR配管10,20の流路面積を調整する高圧EGRバルブ21a及び低圧EGRバルブ31aと、EGRバルブ21a,31aを駆動させる電動モータ21b,31bと、を備えて構成されている。そして、EGRバルブ21a,31aを全開作動させるとEGR流量は最大となり、全閉作動させるとEGR流量はゼロとなる。
【0032】
EGR配管20,30のうちEGRバルブ21a,31aの上流側部分には、EGRガスを冷却する高圧EGRクーラ22及び低圧EGRクーラ32が備えられている。このようにEGRガスを冷却することで、EGRガスの体積減少(密度上昇)を図り、これによって燃焼室10aに流入する吸気の充填効率向上を図っている。高圧EGRクーラ22の内部には、冷却液(冷却媒体)が循環する冷却液通路と、EGRガスが流通するガス通路22aとが形成されており、ガス通路22aを流通するEGRガスは冷却液通路を循環する冷却液と熱交換して冷却される。
【0033】
なお、前記冷却液にはエンジン冷却水が適用されており、冷却液は図示しないラジエータにより外気と熱交換して冷却される。そして、冷媒流量調整バルブ22bの開度を調整することで、ラジエータを循環している冷却水(符号※1,※2参照)のうち冷却液通路へ流入させる量(冷媒流量※3)を調整する。これにより、高圧EGRクーラ22の冷却能力を調整する。なお、低圧EGRクーラ32の構成は高圧EGRクーラ22と同じであるため、説明を援用する。
【0034】
高圧EGR配管20のうちEGRバルブ21aの上流側部分には、高圧EGRガスを高圧EGRクーラ22に対して迂回させるバイパス配管23が設けられている。また、高圧EGR配管20のうちEGRクーラ22の上流側部分であり、バイパス配管23が分岐する部分には、EGRガスの流れをEGRクーラ22とバイパス配管23とに切り替える切替装置24が備えられている。切替装置24は、EGR配管20のうちEGRクーラ22への流入口20aとバイパス配管23への流入口20bとを切替開閉する切替バルブ24aと、切替バルブ24aを駆動させる電動モータ24bと、を備えて構成されている。
【0035】
また、切替バルブ24aは、両流入口20a,20bを単に切替開閉するのみならず、両流入口20a,20bを開口させた中間開度位置においてその開度を調整することで、EGRガスをEGRクーラ22へ流通させる流量とバイパス配管23により迂回させる流量との流通割合を調整している。これにより、EGRクーラ22の下流側にてバイパス配管23と合流した部分における、EGRガスの温度が調整されることとなる。これによれば、高圧EGRガスの温度を最適値に調整して、高圧EGRガスを還流させることによるNOx低減の効果を向上させることができる。
【0036】
吸気管11のうち、高圧EGR配管20が接続される部分の上流側には、燃焼室10aに流入する吸気のうち新気の流量を調整するスロットルバルブ13が備えられている。スロットルバルブ13は電動モータ13aにより開閉作動し、全開作動時に新気量は最大となり、全閉作動時に新気量はゼロとなる。
【0037】
吸気管11と排気管12との間にはターボチャージャ40(過給機)が配設されている。ターボチャージャ40は、吸気管11に設けられたコンプレッサインペラ41(以下、「コンプレッサ」と記載)と、排気管12に設けられたタービンホイール42(以下、「タービン」と記載)とを有し、それらがシャフト43にて連結されている。ターボチャージャ40では、排気管12を流れる排気の流速エネルギによってタービン42が回転し、その回転力がシャフト43を介してコンプレッサ41に伝達される。そして、コンプレッサ41により、エアクリーナ14の流入口14aから取り込まれた外気(新気)が圧縮される。これにより、燃焼室10aへ吸入される吸気(新気)が過給されることとなる。
【0038】
また、本実施形態に係るターボチャージャ40には、排気の流体エネルギをタービン42の回転駆動力に変換する割合を設定変更可能にする容量可変型のターボチャージャが採用されている。具体的には、タービン42には、吹き付けられる排気の流速を可変とするための複数の可変ベーン44が設けられている。これらの可変ベーン44は互いに同期した状態で開閉動作する。そして、隣り合う可変ベーン44間の隙間の大きさ、すなわち可変ベーン44の開度を変化させることで、前記排気流速を調整し、これによりタービン42の回転速度が調整される。そして、タービン42の回転速度が調整されることにより、燃焼室10aに強制的に供給される空気の量、すなわち過給圧が調整される。
【0039】
ターボチャージャ40にて過給された空気は、インタークーラ50によって冷却された後、その下流側に給送される。インタークーラ50によって吸入空気を冷却して体積減少(密度上昇)を図ることで、燃焼室10aに流入する吸気の充填効率向上を図っている。
【0040】
吸気管11には、過給された新気をインタークーラ50に対して迂回させるバイパス配管51が設けられている。また、吸気管11のうちインタークーラ50の上流側部分であり、バイパス配管51が分岐する部分には、新気の流れをインタークーラ50とバイパス配管51とに切り替える切替装置52が備えられている。切替装置52は、吸気管11のうちインタークーラ50への流入口11aとバイパス配管51への流入口11bとを切替開閉する切替バルブ52aと、切替バルブ52aを駆動させる電動モータ52bと、を備えて構成されている。
【0041】
排気管12のうちタービン42の下流側、かつ、低圧EGR配管30の分岐箇所12bより上流側には、排気中の微粒子成分(PM:particulate matters)を捕集するフィルタ60(DPF:diesel particulate filter)が設けられている。したがって、高圧EGR配管20による高圧EGRはフィルタ60によりPMが捕集されていない状態の排気であるのに対し、低圧EGR配管30による低圧EGRはフィルタ60によりPMが捕集された状態の排気である。なお、フィルタ60の下流側には、排気中のHCやCOを浄化する酸化触媒(図示せず)や、排気中のNOxを浄化するNOx触媒(図示せず)等が設けられている。ちなみに、前記酸化触媒はフィルタ60に備えさせるようにしてもよい。
【0042】
ところで、エンジン10を使用するにつれ、高圧EGRクーラ22のガス通路22aには、排ガス中に含まれる煤等のPMを主体とした異物(デポジット)が堆積してくる。すると、EGRクーラ22による冷却能力が低下してNOx低減効果を十分に向上できなくなることが懸念される。
【0043】
そこで本実施形態では、エアクリーナ14から取り込まれた外気(新気)をEGRクーラ22に逆流させることで、堆積したデポジットを除去してEGRクーラ22を洗浄することを図っている。以下の説明では、排気系から吸気系へEGRガスを再循環させる向きにEGRクーラ22へEGRガスを流通させる状態を「通常モード」と呼び、吸気系から排気系へ新気を逆流させる向きにEGRクーラ22へ新気を流通させる状態を「逆流モード」と呼ぶ。
【0044】
なお、ECU60は、EGRクーラ22に所定量以上のデポジットが堆積した堆積状態になっているか否かを判定する堆積判定手段として機能し、堆積状態であると判定した場合に通常モードから逆流モードへ切り替える。また、逆流モードの実行を所定時間継続したことを条件として通常モードへ復帰させるようにしてもよいし、堆積状態でないと判定した時点で通常モードへ復帰させるようにしてもよい。
【0045】
堆積判定の具体例としては、EGRクーラ22の前後差圧を検出してその差圧が所定値以上になった場合に堆積状態であると判定することが挙げられる。また、サージタンク16に設置された吸気圧センサ(図示せず)にて検出した吸気圧及び吸気温度に基づき燃焼室10aへの吸気量を算出し、算出した吸気量からエアフローメータ(図示せず)にて検出した新気量を減算することで実EGR量を算出し、高圧EGRバルブ21aの開度から理論EGR量を算出し、算出した実EGR量が理論EGR量より所定量以上少なくなっている場合に堆積状態であると判定することが挙げられる。
【0046】
高圧EGR配管20のうち高圧EGRクーラ22よりも上流側部分と、排気管12のうちタービン42の下流側部分かつフィルタ60の上流側部分(符号12c参照)とは、逆流バイパス配管25により連通されている。また、高圧EGR配管20のうち逆流バイパス配管25が分岐する部分には、EGR配管20をタービン上流側部分12aに連通させる状態と、逆流バイパス配管25を介してタービン下流側部分12cに連通させる状態とに切り替える切替装置26が備えられている。切替装置26は、切替バルブ26aと、切替バルブ26aを駆動させる電動モータ26bと、を備えて構成されている。切替バルブ26aは、EGR配管20のうちタービン上流側部分12aへの流通口20cと、タービン上流側部分12aへの流通口20dとを切替開閉する。
【0047】
図2に示すように、通常モード時には、EGR配管20をタービン上流側部分12aへ連通させ、逆流バイパス配管25を閉鎖するよう切替バルブ26aを作動させる。これにより、タービン上流側部分12aの排気が高圧EGRガスとして吸気系へと再循環されることとなる。
【0048】
一方、図3に示す逆流モード時には、EGR配管20を逆流バイパス配管25へ連通させ、タービン上流側部分12aへの流通口20cを閉鎖するよう、ECU70(逆流制御手段)は切替バルブ26aを作動させる。これにより、EGRクーラ22を逆流した新気は、逆流バイパス配管25を流通して排気管12へ排出される。つまり、EGRクーラ22を洗浄した新気はタービン42を迂回して、フィルタ60等の浄化装置を通過して浄化された後、外部へ排出されることとなる。なお、EGRクーラ22から剥がれ落ちたデポジットはフィルタ60にて捕集される。
【0049】
また、EGRクーラ22へ新気を逆流させるためには、EGRクーラ22に対して吸気系側の圧力が排気系側の圧力よりも高くなる「圧力逆転状態」にする必要がある。つまり、吸気圧を増大させて排気圧を減少させるようエンジン10を制御する必要が有る。
【0050】
ここで、エンジン10の出力軸(クランク軸)を減速させるようエンジン10が作動している時、かつ、過給圧が所定値以上になっており減圧することが要求されている時(以下、「減速減圧時」と記載)には、可変ベーン44の開度を大きくすることで、排気の流体エネルギをタービン42の回転駆動力に変換する割合を少なくするよう制御している。したがって、このような減速減圧時には、可変ベーン44の開度を大きくすることで、排気管12中の排気圧が低くなっており、しかも、吸気系側の圧力が過剰過給により高くなっている。つまり、先述した圧力逆転状態になっている。
【0051】
そこで本実施形態では、圧力逆転状態となっていることが想定される減速減圧時に、EGR配管20を逆流バイパス配管25へ連通させるよう切替バルブ26aを作動させる。これにより、吸気系の新気がEGRクーラ22を逆流し、逆流バイパス配管25を通じて排気系へ排出されることとなる。
【0052】
ECU70(電子制御装置)は、エンジン運転状態に基づき、エンジン10に搭載された各種アクチュエータの作動を制御している。エンジン運転状態の具体例としては、エンジン回転速度、エンジン負荷、運転者によるアクセル操作量、エアクリーナ14を流通する新気流入量、サージタンク16内の圧力(吸気圧)、スロットルバルブ13の開度、エンジン冷却水温度、排気中に含まれるO2濃度やNOx濃度等の検出値が挙げられる。
【0053】
次に、通常モード時において、ECU70が上記各種アクチュエータの作動を制御する具体例を列挙する。ECU70は、燃料噴射弁15の作動を制御することで燃料の噴射量や噴射タイミング等を制御する。また、可変ベーン44の作動を制御することで過給圧を制御する。スロットルバルブ13の作動を制御することで吸気量を制御する。EGRバルブ21a,31aの作動を制御することで高圧EGR量及び低圧EGR量を制御する。切替バルブ24a,52aの作動を制御することで高圧EGRの温度及び低圧EGRの温度を制御する。
【0054】
また、ECU70は、切替装置26の切替バルブ26aの作動を制御することで、通常モード及び逆流モードを切り替え制御する。つまり、先述した通り、圧力逆転状態となっていることが想定される減速減圧時に、EGR配管20を逆流バイパス配管25へ連通させるよう切替バルブ26aを作動させることで、逆流モードに切り替える。
【0055】
ちなみに、本実施形態では、吸気系に高圧EGRを再循環させる高圧EGRモードと、低圧EGRを再循環させる低圧EGRモードと、高圧EGR及び低圧EGRの両方を再循環させるミックスモードとを、エンジン運転状態に応じて切り替えている。
【0056】
高圧EGRモードでは、排気管12のうちタービン上流側の燃焼室10aに近い箇所からEGRガスを取り込んで循環させるため、フィルタ下流側からEGRガスを取り込んで循環させる低圧EGRモードに比べ、その循環経路を短くできる。そのため、高圧EGRバルブ21aの開度を変化させてからサージタンク16へ流入する高圧EGRの流量が実際に変化するまでの応答時間を短くできる。但し、エンジン負荷が増大してくると、過給圧を増大させるよう可変ベーン44の作動を制御することとなるため、サージタンク16内の圧力が増大する。すると、高圧EGRのサージタンク16への流入が困難となり高圧EGRが循環しなくなることが懸念されるようになる。
【0057】
一方、フィルタ60は一般的にエンジン10から遠い位置(例えば車両の床下)に配置されるものであるため、フィルタ下流側からEGRガスを取り込んで循環させる低圧EGRモードでは、高圧EGRモードに比べその循環経路が長くなる。そのため、低圧EGRバルブ31aの開度を変化させてからコンプレッサ41へ流入する低圧EGRの流量が実際に変化するまでの応答時間が長くなってしまう。但し、エンジン負荷が増大してきても、低圧EGRはコンプレッサ41により吸入されるため、高圧EGRの如く循環しなくなるとの懸念は生じない。
【0058】
以上の説明をまとめると、応答性の点では高圧EGRモードが有利であるが、エンジン10の高負荷運転時には循環不可のおそれのない低圧EGRモードにすることを要する。そこで本実施形態では、通常モード実行時においては、高負荷運転領域では低圧EGRモードに、中負荷運転領域ではミックスモードに、低負荷運転領域では高圧EGRモードに切り替えている。
【0059】
ところで、逆流モードを実行するにあたり、EGRクーラ22へ新気を単純に逆流させただけでは十分な洗浄効果を得ることができない。すなわち、EGRクーラ22に堆積したデポジットが新気により冷却されると、そのデポジットは粘着力の高まった固着状態となり、EGRクーラ22から剥がれ落ちにくくなる。
【0060】
そこで本実施形態のECU70(新気温度上昇手段)は、逆流モード時には通常モード時に比べて新気温度が高くなるよう、通常モード時のエンジン制御内容から逆流モード時の制御内容へと変更する。以下、逆流モード時に新気温度を上昇させるための各種制御A〜Dについて説明する。
【0061】
<制御A:低圧EGR量増大>
低圧EGR量及び高圧EGR量を制御するにあたり、エンジン負荷に応じて低圧EGRモード、ミックスモード及び高圧EGRモードに切り替えることは先述した通りである。換言すれば、低圧EGRバルブ31aの開度を制御して低圧EGR量を制御するにあたり、図2に示す通常モード時には、エンジン負荷に応じて制御していると言える。
【0062】
これに対し、図3に示す逆流モード時には、エンジン負荷に拘わらず低圧EGRバルブ31aの開度を所定開度(例えば最大開度)に制御することで、低圧EGR量を増大させる。これにより、新気に対する加熱度合いが増大され、EGRクーラ22へ逆流させる新気の温度を上昇できる。
【0063】
また、逆流モード時において、低圧EGRバルブ31aを最大開度に制御することに換え、A/Fセンサ(図示せず)により検出された排気酸素濃度が目標排気酸素濃度に近づくよう目標EGR量を設定し、その目標EGR量となるよう低圧EGRバルブ31aの開度を制御するようにしてもよい。これによれば、低圧EGRバルブ31aを全閉にした場合に比べれば新気温度を上昇でき、しかも、通常モード時に循環させていた高圧EGR量の分を、逆流モード時に低圧EGRで補うことができる。
【0064】
ちなみに、EGR流量が過小の場合には十分なNOx低減効果が得られず、EGR流量が過大の場合には、気筒内の酸素が不足してパティキュレート(特にスモーク)が増加する。これを回避するためには、スモーク発生限界ぎりぎりまでEGR流量を増やし、スモークの発生なしでNOxを低減させることが要求される。そこで、高圧EGR及び低圧EGRの目標流量は、スモーク発生ぎりぎりまで増やすよう設定されているが、逆流モード時には高圧EGR量がゼロとなる。この点、逆流モード時に高圧EGR量の不足分を低圧EGRで補うよう制御すれば、逆流モード時においてもスモーク抑制とNOx低減の効果を十分に発揮させることができる。
【0065】
<制御B:インタクーラバイパス>
EGRガスを還流させることによるNOx低減効果は、還流させるEGRの温度によって変化する。よって、NOx低減効果が最大限に発揮されるようEGR温度を最適値に制御することが望ましい。そこで、切替バルブ52aの開度を制御して低圧EGRガスの温度を制御するにあたり、通常モード時には、エンジン運転状態に応じた最適値となるよう切替バルブ52aの開度を制御する。
【0066】
これに対し、逆流モード時には、エンジン運転状態に拘わらず切替バルブ52aの開度を所定開度(例えばバイパス配管51への流入口11bを最大にする開度)に制御することで、インタークーラ50をバイパスする新気の流量を増大させる。これにより、新気がインタークーラ50により冷却される度合いを減少できるので、インタークーラ50で新気の一部を冷却させる場合に比べて、EGRクーラ22へ逆流させる新気の温度を上昇できる。
【0067】
また、通常モード時における切替バルブ52aの目標開度を、インタークーラ50をバイパスさせる側に補正して、逆流モード時にはその補正した目標開度となるよう切替バルブ52aの開度を制御するようにしてもよい。
【0068】
<制御C:冷媒流量減少>
冷媒流量調整バルブ22bの作動を制御するにあたり、通常モード時には、高圧EGRクーラ22内部の冷却液通路をエンジン冷却液(冷媒)が循環するよう冷媒流量調整バルブ22bを全開にする。これにより、高圧EGRクーラ22による冷却機能が十分に発揮されることとなる。
【0069】
これに対し、逆流モード時には、高圧EGRクーラ22内部への冷媒の流入を停止させるよう冷媒流量調整バルブ22bを全閉にする。これにより、高圧EGRクーラ22による冷却機能が著しく低下することとなるので、新気が高圧EGRクーラ22により冷却される度合いを減少できる。よって、EGRクーラ22へ逆流させる新気の温度を上昇できる。
【0070】
<制御D:燃料添加>
図1に示すように、高圧EGR配管20のうち高圧EGRクーラ22に対してサージタンク16側の部分には、高圧EGR配管20中に燃料を添加する添加弁17と、添加した燃料を酸化反応させる触媒18とが備えられている。そして、通常モード時には、添加弁17からの燃料添加を禁止するようECU70は添加弁17の作動を制御する。
【0071】
これに対し、逆流モード時には、燃料添加を実行するようECU70は添加弁17の作動を制御する。これにより、添加された燃料は触媒18上で酸化反応し、その反応熱により新気は加熱され、EGRクーラ22へ逆流させる新気の温度を上昇できる。
【0072】
以上により、本実施形態によれば、逆流モード時には上記各種制御A〜Dを実行することで、EGRクーラ22へ逆流させる新気の温度を上昇できる。よって、EGRクーラ22に堆積したデポジットが新気により冷却される度合いを抑制でき、デポジットの粘着力が高まることを抑制できる。よって、新気を逆流させることによりEGRクーラ22のガス通路22aからデポジットが剥がれ落ちやすくなるので、逆流による洗浄効果を十分に発揮させることができる。
【0073】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
【0074】
・上記各種制御A〜Dは、エンジン運転状態等の各種状況に応じて任意に組み合わせて実行させるようにしてもよい。
【0075】
・逆流モード時には、通常モード時に比べて過給圧を高めるよう可変ベーン44を制御することで、逆流新気の温度上昇を図るようにしてもよい。
【0076】
・高圧EGRクーラ22に逆流時の上流側に、新気を加熱する電気ヒータを備え、逆流モード時には電気ヒータにより逆流新気を加熱して温度上昇を図るようにしてもよい。当該電気ヒータは、エンジン10の暖機運転時において燃焼室10aに流入する吸気の温度を上昇させる電気ヒータを兼用するようにして好適である。
【0077】
・排気弁及び吸気弁の少なくとも一方の開閉弁タイミングを調整するバルブタイミング調整装置が備えられたエンジンにおいて、当該開閉弁タイミングを制御することでEGRクーラ22へ逆流させる新気の温度上昇を図るようにしてもよい。例えば、排気弁の閉弁タイミングを制御するにあたり、逆流モード時には通常モード時に比べて遅角して閉弁させるよう制御すれば、排気温度が上昇されることとなる。よって、低圧EGR温度が上昇して逆流新気温度が上昇する。
【0078】
・低圧EGRクーラ23をバイパスさせるバイパス配管を設置し、逆流モード時には低圧EGRが低圧EGRクーラ23をバイパスするように制御することで、EGRクーラ22へ逆流させる新気の温度上昇を図るようにしてもよい。
【0079】
・逆流モード時には、スロットルバルブ13及び高圧EGRバルブ21aの開度を全開にすることが望ましい。これによれば、逆流させる新気の流量を増大させてEGRクーラ22の洗浄効果を向上できる。
【0080】
・図1に示す実施形態では、逆流バイパス配管25を、排気管12のうちタービン42の下流側部分12cに接続させているが、吸気管11の所定部分(例えばコンプレッサ41上流部分)に接続させるようにしてもよい。或いは、低圧EGR配管30に接続させるようにしてもよい。但し、これらの場合には、逆流洗浄によりEGRクーラ22から剥がれ落ちたデポジットがコンプレッサ41に付着することとなるため、ターボチャージャ40の作動不良が懸念される。これに対し図1に示す実施形態では、EGRクーラ22から剥がれ落ちたデポジットはフィルタ60により捕集されるので、上記懸念を解消でき、好適である。
【0081】
・逆流モード時に逆流新気の温度を上昇させるにあたり、通常モード時に比べて温度上昇するよう各種制御A〜D等によりエンジン制御内容を変更してもよいし、エアクリーナ14の流入口14aから取り込まれた時点での新気温度(つまり外気温度)よりも逆流新気の温度が高くなるようエンジン制御内容を変更してもよい。或いは、逆流新気が冷却されて外気温度よりも低温にならないようエンジン制御内容を変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態にかかる内燃機関の制御システムを示す模式図。
【図2】図1の制御システムが通常モードで作動している時の、EGR及び新気の流れを示す図。
【図3】図1の制御システムが逆流モードで作動している時の、EGR及び新気の流れを示す図。
【符号の説明】
【0083】
20…高圧EGR配管(EGR配管)、22…高圧EGRクーラ(EGRクーラ)、26a…切替バルブ、30…低圧EGR配管、31a…低圧EGRバルブ、40…ターボチャージャ(過給機)、41…コンプレッサ、42…タービン、70…ECU(堆積判定手段、逆流制御手段、新気温度上昇手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室から排出される排ガスの一部を、EGRガスとして吸気系に再循環させるEGR配管と、
前記EGR配管に設けられ、前記EGRガスと熱交換して冷却するEGRクーラと、
前記EGRガスを前記再循環させる通常モードと、外気から取り込まれて前記吸気系を流通する新気を前記EGRクーラに逆流させる逆流モードとに、前記EGRガス及び前記新気の流通経路を切り替える切替バルブと、
を備えた内燃機関に適用され、
前記EGRクーラに所定量以上のデポジットが堆積した堆積状態になっているか否かを判定する堆積判定手段と、
前記堆積状態であると判定された場合に、前記逆流モードとなるよう前記切替バルブの作動を制御する逆流制御手段と、
前記逆流モード時に、前記新気の温度を上昇させるよう前記内燃機関の制御内容を変更する新気温度上昇手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記新気温度上昇手段は、前記逆流モード時に、前記新気を加熱する度合いを増大させるよう前記制御内容の少なくとも1つを変更することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記内燃機関には、
排気の流速エネルギにより回転するタービン、及び前記タービンの回転力により回転して前記新気を過給するコンプレッサを有する過給機と、
前記タービン通過後の排ガスを低圧EGRガスとして前記タービンの下流側から再循環させる低圧EGR配管と、
前記低圧EGRガスの流量を制御する低圧EGRバルブと、
が備えられており、
前記EGR配管は、前記タービンの上流側から前記EGRガスを再循環させるよう配置された高圧EGR配管であり、
前記新気温度上昇手段は、前記低圧EGRガスの流量を増大させるよう前記低圧EGRバルブの制御内容を変更することで、前記新気に対する加熱度合いを増大させることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記内燃機関には、
前記低圧EGR配管に設けられ、前記EGRガスと熱交換して冷却する低圧EGRクーラと、
排気中の微粒子成分を捕集するフィルタと、
が備えられており、
前記低圧EGR配管は、前記フィルタの下流側から前記EGRガスを再循環させるよう配置されていることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記内燃機関には、排気の流速エネルギにより回転するタービン、前記タービンの回転力により回転して前記新気を過給するコンプレッサ、及び前記流速エネルギを前記タービンの回転力に変換する量を調整することで過給圧を調整する過給圧調整機構を有する過給機が備えられており、
前記新気温度上昇手段は、前記過給圧を増大させるよう前記過給圧調整機構の制御内容を変更することで、前記新気に対する加熱度合いを増大させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記新気温度上昇手段は、前記逆流モード時に、前記新気を冷却する度合いを減少させるよう前記制御内容の少なくとも1つを変更することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記内燃機関には、
前記新気を冷却するインタークーラと、
前記インタークーラに対して前記新気を迂回させるバイパス配管と、
前記バイパス配管への新気流量に対する前記インタークーラへの新気流量の割合を制御するインタークーラバルブと、
が備えられており、
前記新気温度上昇手段は、前記インタークーラへの新気流量の割合を減少させるよう前記インタークーラバルブの制御内容を変更することで、前記新気に対する冷却度合いを減少させることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項8】
前記EGRクーラには、前記EGRガスと熱交換する冷却媒体の循環流量を調整する冷媒流量調整バルブが設けられており、
前記新気温度上昇手段は、前記冷媒流量を減少させるよう前記冷媒流量調整バルブの制御内容を変更することで、前記新気に対する冷却度合いを減少させることを特徴とする請求項6又は7に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項9】
前記内燃機関には、排気の流速エネルギにより回転するタービン、及び前記タービンの回転力により回転して前記新気を過給するコンプレッサを有する過給機が備えられており、
前記逆流モード時に前記EGRクーラを逆流した前記新気が前記タービンの下流側に流入して排出されるよう、前記流通経路は構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置と、前記EGR配管、前記EGRクーラ及び前記切替バルブの少なくとも1つと、を備えることを特徴とする内燃機関の制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−96143(P2010−96143A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269655(P2008−269655)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】