説明

剥離剤の検出及び測定システム、剥離剤の検出及び測定方法、ならびにプリンタ

【課題】 インクジェットプリンタ内の回転画像部材上の剥離剤を光学的に検出し、測定するシステムを提供する。
【解決手段】 システム10は、生成された光ビームを回転画像部材28に方向づけるように配されたコリメート光源又はコヒーレント光源14と、回転画像部材28によって反射された光ビームの一部から回転画像部材28の一部の画像を生成する画像センサ18と、画像センサ18によって生成された第1の画像と画像センサ18によって生成された第2の画像との差分を測定する画像差分器20と、画像差分器20に結合されており、2つの画像の差分を受け取って回転画像部材28上の剥離剤の測定値を生成する剥離剤測定値発生器24と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットプリンタに関し、より詳細には、プリンタ内の中間画像部材に剥離剤を塗布するために用いられる剥離剤システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタには、液体インクが吐出される複数の射出ジェットを作動させるプリントヘッドがある。インクは、プリンタに取り付けられたカートリッジ内に位置するリザーバに蓄えられてもよいし、固体の形態で供給され、印刷の際に液体インクを生成するよう溶融されてもよい。これらの固体インクプリンタにおいて、固体インクはペレットでもよいしインクスティックでもよい。一般に、固体インクペレットや固体インクスティックはフィード(送出)シュート又はフィードチャンネルに隣接した「インクローダ」に配置される。フィード機構は固体インクスティックをインクローダからフィードチャンネル内に移動させ、次にインクスティックをフィードチャンネルに通してヒータアセンブリに送り、ここでインクが溶融される。固体インクスティックを重力によってフィードチャンネルに通してヒータアセンブリに引き寄せる固体インクプリンタもある。一般には、ヒータアセンブリ内のヒータプレート(「溶融プレート」)が、これに突き当たった固体インクを溶融して液体にし、液体はプリントヘッドに送られて記録媒体上に射出される。
【0003】
インクがプリントヘッドに供給されると、インクはプリントヘッドオリフィスから、開口間隙をわたって受像部材に射出され、画像が形成される。受像部材として、回転印刷ドラムや、回転ベルトのような他の中間オフセット部材を用いることができる。オフセット部材上に生成された画像は、回転部材と接触する媒体に転写される。画像転写プロセスを容易にするために、転写定着(transfix)部材又は転写部材と呼ばれることもある圧力ローラが媒体を印刷ドラムに押し付ける。具体的には、媒体の先端が中間部材と転写定着部材との間のニップに送り込まれ、これら2つの回転部材が媒体を押してニップを通過させ、画像が中間部材から媒体に転写される。オフセット印刷とは、前述のプロセスのように、インク画像又はトナー画像を中間部材上に生成し、ある種の記録媒体や他の部材に画像を転写するプロセスをいう。
【0004】
あるオフセットプリンタでは、オフセット画像部材から媒体への画像の転写を容易にするために剥離剤システムが用いられている。剥離剤システムは、一般に剥離剤供給源と剥離剤アプリケータを含む。剥離剤は一般に、回転画像部材上に剥離剤の薄い層を生成するようにこの部材に塗布することのできるシリコーン油などである。この層によって画像部材へのインクの付着が減少する。この減少によって媒体への画像の転写が容易になる。剥離剤が多すぎると画像が汚れたり媒体に油の染みが生じたりするため、画像部材に塗布される剥離剤の量の調節は重要である。そのため、画像部材から余分な剥離剤を除去するようにスキージとして作用する計量部材を含む剥離剤システムが多い。剥離剤供給源においてレベルセンサを使用し、剥離剤供給源のほぼ枯渇した状態を検出することもできる。しかし、画像部材上の剥離剤の量やレベルを実際に測定することは知られていない。
【0005】
剥離剤はトナープリンタ内の画像部材には塗布されないが、剥離剤システムを含むトナープリンタは多い。トナープリンタにおいて、回転画像部材は一般に受光体ベルト又は受光体ドラムである。光源が画像データによって制御され、受光体ベルトから電荷が除去されてドキュメント(原稿)などの潜像が形成される。この潜像は次に現像ステーションにおいて現像され、トナー雲が生成されてトナーが潜像に引き寄せられる。次に、媒体をトナー画像に接触させて媒体の裏面に電荷を付与することにより、トナー画像は媒体に転写される。トナーは媒体に引き寄せられる。媒体は次にフューザステーションに移動し、ここで媒体は一対の加熱ローラの間を通過して画像が媒体に融着する。これらの加熱ローラはしばしばフューザロールと呼ばれる。
【0006】
加熱されたトナーは、ある程度の粘着性を示すためにフューザロールのうちの一方と接触したままになり、媒体がフィード経路に沿って排出領域に進むのを妨げようとする場合がある。フューザロールからの媒体の分離を容易にするために、剥離剤システムによって剥離剤を一方又は双方のフューザロールに塗布することができる。剥離剤の層は、媒体がフューザロールから分離して排出領域に進むように、媒体がフューザロールに付着するのを低減する助けになる。ここでも、剥離剤が多すぎると媒体や媒体上の画像の品質が低下したりするため、フューザロール上に塗布する剥離剤の計量が重要である。
【0007】
1つの公知のトナープリンタでは、フューザロール上の油を検出する光学系が知られている。この光学系はフューザロール上に光を方向づけ、反射光の量を用いてフューザロール上に十分な量の油があるか否かを決定する。しかし、このような光学系をインクジェットプリンタや固体インクプリンタ内の印刷ドラムに用いて画像部材上の剥離剤を測定することはできない。トナープリンタの光学系を用いて印刷ドラム上の剥離剤を測定することができない理由の1つは、印刷ドラムとフューザロールの間に表面のきめや基本反射率の差異があるためである。印刷ドラムは陽極酸化とエッチングが施された表面を有する。そのため、印刷ドラムの表面の空隙は微細であり、基本反射率はフューザロールに比べて比較的高い。これらの特徴のため、公知の光学感知システムは、ドラムの表面にある剥離剤の量の測定には効果的ではない。
【0008】
光感知システムが、受光体に付与されるトナーの現像量を評価するためにトナープリンタ内で使用されている。これらのシステムは光源と光センサを含む。1つの典型的なシステムでは、ETACセンサがコリメートされた光ビームを受光体に方向づけるように構成されて配置されており、受光体は光を複数の光検出器に向けて反射する。この構成により、センサは階調パッチと非階調受光体の差を検出することができる。光源は、ほぼ一定の直径のコリメート光ビームを生成する。また、この光は可視スペクトル又は赤外線スペクトルの範囲内とすることのできる主波長を有する。例えば、あるETACセンサは、幅約4mm、波長約940nmの光ビームを生成する光源を用いている。
【0009】
ETACセンサを用いてトナープリンタ内のフューザロール上の剥離剤を検出することができる。油を塗布していない状態では、フューザロールの基本反射率は、フューザロールの孔や隆起と相まって、少量の入射光をセンサの検出器に返せるように入射ビームを吸収し散乱させるのに十分である。フューザロールの表面が油で満たされるにつれて凹凸が減少し、表面はより滑らかになり、散乱されずにセンサに返される光が多くなる。よって、フューザロールの表面の油の量が多いほど、センサにおける光の強度が高い。
【0010】
しかし、陽極酸化とエッチングが施された印刷ドラムの基本反射率はフューザロールに比べて非常に高いため、光は、表面が剥離剤で覆われている場合と実質的に同じように、剥離剤で覆われていない印刷ドラムの表面から反射する。即ち、これらの視野及び検出方法は、表面に塗布される油の量が変化するにつれて生じる表面特性の変化を区別するには不適切である。
【0011】
油の層を機械的に妨げないことから、剥離剤のための光検出及び測定システムが望ましいが、公知のシステムは、インクジェットプリンタのかなり滑らかな画像部材上にある剥離剤の検出及び測定には効果を示していない。印刷ドラムなどの上の剥離剤を検出し、測定するシステムは、このようなプリンタにおいて現在使用されているレベル感知センサよりも改善されたものになるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
インクジェットプリンタ内の回転画像部材上の剥離剤を光学的に検出し、測定するシステムが開発された。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このシステムは、生成された光ビームを回転画像部材に方向づけるように配されたコリメート光源又はコヒーレント光源と、回転画像部材によって反射された光ビームの一部から回転画像部材の一部の画像を生成する画像センサと、画像センサによって生成された第1の画像と画像センサによって生成された第2の画像との差分を測定する画像差分器と、画像差分器に結合されており、2つの画像の差分を受け取って回転画像部材上の剥離剤の測定値を生成する剥離剤測定値発生器と、を含む。
【0014】
インクジェットプリンタは、回転画像部材上の剥離剤を光学的に検出し、測定する方法を実施することができる。この方法は、コリメート光ビーム又はコヒーレント光ビームを回転画像部材に方向づけることと、回転画像部材によって反射された光ビームの一部から回転画像部材の一部の画像を生成することと、画像センサによって生成された第1の画像と画像センサによって生成された第2の画像との差分を測定することと、第1の画像と第2の画像の測定差分に対応する回転画像部材上の剥離剤の測定値を生成することと、を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
同様の参照番号は、下記の説明及び添付の図面にわたって同様の部分を示す。
【0016】
回転画像部材上の剥離剤を検出し、測定する光学系を図1に示す。このシステム10は、コリメート光源14、画像センサ18、画像差分器20及び剥離剤測定値発生器24を含む。システム10は、剥離剤が剥離剤システム30によって塗布される回転画像部材28の近くに取り付けられている。1つ以上のプリントヘッド34が画像部材28付近に位置し、インクを画像部材に射出する。転写定着ローラ38が、画像部材との係合及び係合解除のために移動するよう配置されており、転写定着ローラ38と画像部材28が互いに係合する際に、これらの間に形成されるニップを通って移動する媒体へ画像部材28上のインク画像が転写されるのを容易にする。
【0017】
更に詳しく説明すると、回転画像部材28は、陽極酸化及びエッチングが施されたアルミニウムドラムである。印刷ドラムの製造に用いられるプロセスによって、微細なピットを有する表面が生成される。これらのピットは、プリントヘッド34からドラム28に射出されるインクを固定するのを助長する。回転画像部材28は印刷ドラムとして説明されているが、システム10は、印刷ドラムに関して述べるのと同一の表面特性を有する回転印刷ベルトなどと作動してもよい。
【0018】
プリントヘッド34からインクを射出することにより、印刷ドラム上に画像が生成される。インクは、固体インクスティック又はペレットを溶融させることによって得られるインクのリザーバから供給されることが可能である。固体インクは、更なる固体インクスティック又はペレットを挿入することで補充が可能である。これらの固体インクスティック又はペレットはフィードチャンネルを通って溶融アセンブリに送られ、ここで固体インクは、プリンタのために更に多くのインクを生成するよう溶融温度に加熱される。あるいは、インクは、固定された液体インク供給部を備えたインクカートリッジによって供給されてもよい。画像データは、電子ドキュメント、又は物理的なドキュメントの光走査から得られる。これらのデータはピクセルデータのストリームを生成するのに使用され、データストリームは、プリントヘッドコントローラにより、プリントヘッド内の圧電アクチュエータの駆動信号を生成するのに使用される。この駆動信号に応答して、圧電アクチュエータは、プリントヘッドから間隙をわたって印刷ドラム28にインクを選択的に射出する。印刷ドラム上に画像を形成するには、印刷ドラムを1回以上回転させることが必要となる場合がある。
【0019】
剥離剤システム30は、剥離剤ローラ40及び剥離剤供給部44を含んでもよい。剥離剤供給部は、適切な粘性を有するシリコーン油のような剥離剤48のリザーバを含む。剥離剤供給部44は、剥離剤ローラ40が部分的に浸される油だめ(サンプ)として機能してもよい。剥離剤ローラ40を可動リンクに取り付けてローラを印刷ドラムに係合させたり印刷ドラムとの係合を外したりし、剥離剤を印刷ドラムに選択的に塗布することができる。剥離剤を印刷ドラム上に更に均一に広げ、余分な剥離剤を印刷ドラムから取り除くように、計量ブレード(図示せず)を剥離剤システム30内に含めてもよい。計量ブレードが印刷ドラムと選択的に係合できるよう、計量ブレードを可動式にしてもよい。更に、ドラム上に残ってもよい剥離剤の量を変えることができるよう、印刷ドラムに対する計量ブレードの位置を調節可能にしてもよい。印刷ドラム上に残った剥離剤は、印刷ドラムの空隙を部分的に満たして空隙内のインクの蓄積を緩和し、印刷ドラムへのインクの付着の減少を助長する。付着の減少はインク画像の媒体への転写に役立つ。
【0020】
画像が媒体に転写される際、媒体シートを媒体供給部から取り出し、転写定着ローラ38と印刷ドラム28との間の間隙に向けて経路に沿って搬送することができる。印刷ドラムとの係合及び係合解除のために移動することができるよう、転写定着ローラは可動リンクに取り付けられている。画像を転写するために媒体が印刷ドラムに移動されるにつれて、転写定着ローラは印刷ドラムと接触する。あるプリンタでは、転写定着部材が移動されて印刷ドラムと接触できるように画像部材が停止され、次に印刷ドラムは回転運動量を転写定着ローラに与えるように回転を再開する。転写定着ローラ及び印刷ドラムが適切な速度に達すると、媒体の先端が転写定着ローラと印刷ドラムとの間のニップに入ってニップを通過する。画像がニップを通過する際に画像が転写されるよう、ニップを通過する媒体の移動は印刷ドラム上の画像の回転と同期される。
【0021】
適量の剥離剤が回転画像部材上にあるか否かを評価するために、光学剥離剤測定システムが開発された。システム10はコリメート光源14を含む。図1ではコリメート光源14をレーザとして示しているが、他のコリメート光源も可能である。例えば、コリメート光源14をヘリウム−ネオン(He−Ne)レーザ又はガリウムヒ素(GaAs)レーザとしてもよい。これらのレーザの波長はそれぞれ約650nm及び840nmである。強化されたトナー領域被覆度(enhanced toner area coverage、ETAC)センサの光エミッタなどのコリメート光源は約940nmの波長を有する。しかし、陽極酸化及びエッチングが施されたアルミニウムドラムの比較的滑らかな表面を測定するように検出方法が調整されているならば、ETACセンサの赤外線エミッタからの光は印刷ドラムの表面の変化の感知に適している。
【0022】
光源14によって発せられた光は、回転画像部材28によって反射される。画像センサ18は、画像部材の表面からの反射光を受けるような位置にある。即ち、センサ18は、ドラムの表面が鏡として作用する場合に、光源14からの光ビームの中心を受けるように位置決めされている。図1の光源14、印刷ドラム28、そして画像センサ18の間の距離は説明のために誇張されている。前述のように、コリメート光源14及び画像センサ18を提供するように適切に設計されたセンサを印刷ドラムの近くに取り付けてもよい。他の実施の形態では、コリメート光源14及び画像センサ18を必ずしも単一のユニットに統合する必要はない。画像センサ18は、デジタル画像センサのようなフォトサイト(photosites)の2次元アレイであってもよい。このようなアレイの各フォトサイトは、フォトサイトに突き当たった反射光の強度に対応する電気信号を生成する。そのため、フォトサイトアレイにより生成された電気信号のパターンによって反射光のパターンを確かめることができる。
【0023】
画像差分器20は画像センサ18に結合されており、センサによって生成された信号を定期的に又はポーリングベースで受け取る。第1の時間に受け取った画像を、後に続く1つ以上の画像と比較するためにメモリに記憶することができる。第2の時間に受け取った画像は同様にメモリに記憶されてもよいし、単に第1の画像と比較されるだけでもよい。画像センサ18によって生成された画像の例を、図2A及び図2Bに示す。図2Aでは、画像は、表面に油のない印刷ドラムによって反射された光のパターン100を示している。表面に油のある印刷ドラムによって反射された光のパターン104を、図2Bに示す。図2Bの光パターン104は、光の散乱がより少ないことを示している。下層の凹凸構造に当たる光が少なくなるように油が印刷ドラムの空隙を満たし始めたため、光はより鏡面的に反射される。
【0024】
この概念を更にわかりやすくするために、図2A及び図2Bに示した2つの反射パターンの各々の3次元プロファイルを図3A及び図3Bに示す。これら2つの図を比較すると、反射光の強度が最大である中心領域が示されている。剥離剤の存在しない表面の3次元プロファイルは、油を塗布した表面の中心領域114の強度よりも小さい強度の中心領域110を有する。また、油を塗布した表面の中心領域114は、油の存在しない表面からの反射の中心領域110よりも面積が大きい。これらの差分や他の差分を用いて、画像センサ18によって生成された画像を処理し、印刷ドラムの表面にある剥離剤の量の検出及び測定を行うことができる。
【0025】
図2A及び図2Bに示した2つの画像の差分を図4に示す。2つの異なる時間にフォトサイトアレイによって生成された電気信号の間で減算を行うことにより、この差分画像120を得ることができる。従って、信号の処理用に構成されたハードウェアによって画像差分器20を実施することができる。あるいは、一連のプログラム命令を実行するプロセッサによる処理のために、2次元アレイ内のフォトサイトによって生成された信号をデータ値に変換することができる。従って、画像差分器をソフトウェア命令によって制御されるプロセッサシステムとして実施することができる。更に別の実施の形態では、ハードウェア構成要素及びソフトウェアを統合して異なるタスク及び機能を行い、画像センサ18から受け取った画像の差分を生成し、これらの差分を評価することができる。差分画像120は、剥離剤測定値発生器24によってアクセスできるようにメモリに記憶されてもよいし、更なる処理のために剥離剤測定値発生器24に提供されてもよい。
【0026】
再び図4を参照すると、中心領域124は、中心領域124を囲む領域の差分よりもかなり小さい強度を有するフォトサイトの差分のクラスタとして示されている。中心領域の光は実質的に同じであるが、中心の周りの比較的滑らかな領域は、この領域で受けた光が著しく増加したことを示している。この光強度の増加は、剥離剤が印刷ドラム表面の空隙を満たしたために散乱光がより少なくなり、中心に方向づけられる光がより多くなったことに起因する。同様に、差分画像120の中心領域又は中心から離れた領域のサイズの変化を用いてドラム上の剥離剤の量を決定することができる。
【0027】
この目的を達成するために、剥離剤測定値発生器24は、画像差分器20に関連して前述したように、差分値を定量化して剥離剤の測定値を生成するためにハードウェア、ソフトウェア又はこれら双方の組み合わせを含む。また、画像差分器20及び剥離剤測定値発生器24は、統合されたハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせのシステム内で実施可能であることを理解すべきである。
【0028】
剥離剤測定値発生器24は、差分画像120の全てのデータ値もしくはデータ信号、又は差分画像120の選択部分のデータ値もしくはデータ信号のみを合計することができる。あるいは、フォトサイトアレイによって得られた画像において閾値を越えたピクセルの数を合計するか又は他の方法で数学的に処理し、サンプリング周期ごとに油レベルの相対測定値を得ることができる。例えば、中心領域124のデータ値又はデータ信号を合計してこの領域の強度値又は強度信号を得ることができる。次に、この値を強度閾値と比較して、印刷ドラム上に存在する剥離剤の相対的な量を決定することができる。単一の強度閾値を用いてもよいし、一連の強度閾値を用いてもよい。これらの強度閾値を経験的観測及びテストによって確立し、ドラム上に存在する剥離剤の量の経験的な測定値に関連付けることができる。1つの実施の形態では、強度閾値は、約50nmから約250nmの範囲の厚さの油量と相関関係をもつように確立されている。更に、これらの値をプロットして対応する関数を決定することもできる。これらの観測結果及び/又は関数から剥離剤測定のための増分値を決定し、強度の変化に関連づけることができる。よって、剥離剤測定値発生器24は、例えば第1の時間における中心領域の強度と、第2の時間における同一領域の強度との差分を決定し、対応する増分を現在の剥離剤測定値に加えることができる。もちろん、増分は、測定値の増減を行うことができるように負としてもよいし正としてもよい。
【0029】
システム10を、剥離剤の測定方法を実施するものとして説明することができる。この方法の一例を図5に示す。この方法は、コリメートされた光ビームを回転画像部材に方向づけることから始まる(ブロック200)。光は画像部材によって反射されるか又は散乱する。散乱光又は反射光の一部は、回転画像部材の一部の画像を生成する画像センサによって受け取られる(ブロック204)。画像部材の一部の少なくとも2つの画像を得た後、画像センサによって生成された第1の画像と画像センサによって生成された第2の画像との差分を測定する(ブロック208)。次にこの差分画像を処理し、第1の画像と第2の画像の測定差分に対応する回転画像部材上の剥離剤の測定値を生成する(ブロック210)。
【0030】
この方法では、この方法において実行されたタスクを種々の態様で実施することができる。例えば、第1及び第2の時間において2次元アレイ内の各フォトサイトのデータ値を記憶することにより、画像の差分の測定を実施することができる。フォトサイト値の2つのセットの対応するデータ値間の差分を比較し、処理して剥離剤測定値を決定することができる。例えば、差分を差分の一部と合算して画像差分の合計を生成することにより、剥離剤測定値を生成することができる。合計した部分の値は、例えば、コリメート光を反射する回転画像部材上の領域の中心領域に対応することができる。画像差分の第1の和と画像差分の第2の和との差分を計算し、測定差分が増分閾値よりも大きい場合はこれに応じて増分を現在の剥離剤測定値に加えることができる。
【0031】
代わりの態様では、剥離剤の測定は、第2の画像の中心領域のサイズを測定することと、測定されたサイズが増分閾値よりも大きい場合は、これに応じて増分を剥離剤測定値に加えることを含む。更に他の実施の形態では、第1の画像と第2の画像の反射パターンの変化を測定し、測定された変化が増分閾値よりも大きい場合は、これに応じて増分を剥離剤測定値に加えることにより、画像差分の測定値を決定することができる。
【0032】
当業者は、前述の特定の実施に対して種々の変更を行えることを認識するであろう。よって、請求の範囲は、先に図示し説明した特定の実施の形態に限定されない。例えば、インク画像が中間部材上に生成され、次に他の部材又は媒体に転写されるいずれのプリンタにおいても、前述の剥離剤の検出及び測定システムを使用することができる。このようなプリンタには、リソグラフィー印刷法及び輪転グラビア印刷法を用いたものが含まれる。本願においては、出願時の請求の範囲、そして補正がある場合は補正時の請求の範囲は、本明細書に開示された実施の形態及び教示内容の変形物、代替物、変更物、改良物、同等物及び実質的な同等物を包含し、これらは、現在では予測できないもの又は認められていないもの、また例えば出願人/特許権者及び他者から生じうるものを含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】回転画像部材に関連して取り付けられた光学剥離剤測定システムの簡易斜視図である。
【図2A】図1の光学系によって生成された画像であり、剥離剤の存在しない回転画像部材の一部からのコリメート光の反射を示している。
【図2B】図1の光学系によって生成された画像であり、剥離剤が存在する回転画像部材の一部からのコリメート光の反射を示している。
【図3A】図2Aに示す画像の3次元プロファイルである。
【図3B】図2Bに示す画像の3次元プロファイルである。
【図4】図2A及び図2Bに示す画像の差分を表した画像である。
【図5】図1に示す光学剥離剤測定システムによって実施可能な方法のフロー図である。
【符号の説明】
【0034】
10 システム
14 光源
18 画像センサ
20 画像差分器
24 剥離剤測定値発生器
28 印刷ドラム(回転画像部材)
30 剥離剤システム
38 転写定着ローラ
40 ローラ
44 供給部
48 剥離剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑らかな回転画像部材上の剥離剤を検出し、測定するシステムであって、
生成したコリメート光ビームを回転画像部材に方向づけるように配されたコリメート光源と、
前記回転画像部材によって反射された前記コリメート光ビームの一部から前記回転画像部材の一部の画像を生成する画像センサと、
前記画像センサによって生成された第1の画像と前記画像センサによって生成された第2の画像との差分を測定する画像差分器と、
前記画像差分器に結合されており、前記2つの画像の前記差分を受け取って前記回転画像部材上の前記剥離剤の測定値を生成する剥離剤測定値発生器と、
を含む前記システム。
【請求項2】
前記コリメート光源がレーザである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
滑らかな回転画像部材上の剥離剤を検出し、測定する方法であって、
コリメート光ビームを回転画像部材に方向づけることと、
前記回転画像部材によって反射された前記コリメート光ビームの一部から前記回転画像部材の一部の画像を生成することと、
前記画像センサによって生成された第1の画像と前記画像センサによって生成された第2の画像との差分を測定することと、
前記第1の画像及び前記第2の画像の測定差分に対応する前記回転画像部材上の前記剥離剤の測定値を生成することと、
を含む前記方法。
【請求項4】
回転画像部材と、
前記回転画像部材の近くに配置されており、前記回転画像部材上にインクを射出して前記回転画像部材上に画像を形成するプリントヘッドと、
前記回転画像部材の近くに配置されており、剥離剤を前記回転画像部材に塗布して該回転画像部材上に形成された前記画像の転写を容易にする剥離剤アプリケータと、
生成したコリメート光ビームを前記回転画像部材に方向づけるように配されたコリメート光源と、
前記回転画像部材によって反射された前記コリメート光ビームの一部から前記回転画像部材の一部の画像を生成する画像センサと、
前記画像センサによって生成された第1の画像と前記画像センサによって生成された第2の画像との差分を測定する画像差分器と、
前記画像差分器に結合されており、前記2つの画像の前記差分を受け取って前記回転画像部材上の前記剥離剤の測定値を生成する剥離剤測定値発生器と、
を含むプリンタ。

【図1】
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【図5】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−261855(P2008−261855A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99751(P2008−99751)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】