説明

半導体構造体及びその形成方法

【課題】 相互接続構造の信頼性及び拡張性を改善する相互接続構造のための冗長金属拡散バリア層を提供する。
【解決手段】 冗長金属拡散バリア層は、誘電体材料内に設けられた開口内に配置され、且つ開口内に存在する拡散バリア層及び導電性材料の間に配置される。冗長拡散バリア層は、Ru並びに純粋なCo若しくはN,B及びPのうちの少なくとも1つを含むCo合金からなる単層若しくは多層構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体構造体及びその製造方法に関する。更に具体的にいうならば、本発明は、相互接続構造のための冗長バリア構造及びその製造方法に関する。本発明の構造は、中間工程の相互接続構造若しくは後工程(BEOL)の相互接続構造において使用されることができる。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体デバイスは、半導体基板上に製造される集積回路を形成する複数個の回路を含む。信号通路の複雑な回路網が、基板に表面に分布される回路素子を接続するために通常張り巡らされる。デバイスに亘ってこれらの信号を効率的に伝えることは、例えばシングル・ダマシン配線構造若しくはデュアル・ダマシン配線構造のような複数レベル又は多層方式の形成を必要とする。代表的には、配線構造は、銅(Cu)ベースの相互接続が、アルミニウム(Al)ベースの相互接続と比較して複雑な半導体チップ上の多数のトランジスタ相互間で高速の信号伝達を与えるので、銅(Cu)を含む。
【0003】
代表的な相互接続構造内においては、金属ビアが半導体基板に垂直に延び、そして金属ラインが半導体基板と平行に延びる。更に、信号速度を高めることそして隣接する金属ライン相互間での信号の減少(クロストークとして知られている)は、今日のIC製品チップにおいては、4.0よりも低い誘電定数を有する誘電体材料内に金属ライン及び金属ビア(例えば導電性構造(フィーチャ))を埋め込むことにより達成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
幾つかの相互接続構造においては、TaN及びTaのような拡散バリアが使用される。TaN/Taの拡散バリアを含むこのような相互接続構造は、良好な耐酸化特性を有する。他の相互接続構造においては、TaN及びRuを含む拡散バリアが提案されている。TaN及びRuを含む拡散バリアを使用する1つの理由は、薄いCuのシード層(300オングストロームより薄い厚さを有する)が、TaよりもRuにより良く接着するからである。Ruは、薄いCuシード層を用いる構造に適応するが、Taはそうでない。薄いCuシード層を用いる構造は、将来の技術にも使用され、そして技術の進展性に密接に関連する。又、Ruは、プラズマ蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)及び原子層堆積(ALD)により堆積されることができるが、TaはPVDにより堆積されるだけであり、これは共形性の点で技術の進展を阻害する恐れがある。しかしながら、TaN/Ru拡散バリアは、外側拡散バリアとしてのRuが良好な耐酸化バリアでないので問題である。
【0005】
上記の観点で、Ruが使用されそしてRuの酸化に関連する問題が解決された拡散バリア構造を含む相互接続構造を実現することの必要性が高まっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、相互接続構造の信頼性及び拡張性を改善する相互接続構造のために冗長金属拡散バリアを提供する。冗長金属拡散バリア層は、誘電体材料内に配置された開口内に配置される。具体的に説明すると、冗長金属拡散バリア層は、開口内に存在する拡散バリア及び導電性材料の間に配置される。冗長拡散バリア層は、Ruと純粋なCo若しくはN,B及びPのうち少なくとも1つを含むCo合金を含むCo含有合金からなる単層若しくは多層を含む。
【0007】
一般的に、本発明は、
基板上に配置され、約4.0以下の誘電定数を有し、少なくとも1つの開口を有する誘電体材料と、
少なくとも1つの開口内に配置された拡散バリアと、
少なくとも1つの開口内の拡散バリア上に配置され、Ru及びCo含有材料からなる冗長拡散バリア層と、
少なくとも1つの開口内の冗長拡散バリア層上に配置された導電性材料とを備え、
拡散バリア、冗長拡散バリア層及び導電性材料のそれぞれの上面が、誘電体材料の上面と同一平面にある半導体構造体を提供する。
【0008】
冗長拡散バリア層のCo含有材料は、純粋なCo若しくはN,P及びBのうちの1つを含むCo合金とすることができる。
【0009】
本発明の幾つかの実施例において、冗長拡散バリア層は、Ruの上層及び少なくともCo含有材料からなる底部層を有する2層構造である。本発明の更に他の実施例において、冗長拡散バリア層は、下側のCo含有表面からRuの濃度が上に向かって徐々に増大する傾斜濃度を有する単一層構造である。更に他の実施例において、冗長拡散バリア層は、Ru及びCo含有層の組み合わせを2つ以上含む多層構造を含む。
【0010】
上述の半導体構造体を提供することに加えて、本発明は、これを製造する方法を提供する。一般的に言うと本発明の方法は、
約4.0以下の誘電定数を有し、少なくとも1つの開口を有する誘電体材料を基板上に設けるステップと、
少なくとも1つの開口内に拡散バリアを形成するステップと、
少なくとも1つの開口内の拡散バリア上に、Ru及びCo含有材料からなる冗長拡散バリア層を形成するステップと、
少なくとも1つの開口の残りの部分内に導電性材料を充填するステップと、
拡散バリア、冗長拡散バリア層及び導電性材料のそれぞれの上面が、誘電体材料の上面と同一平面にある構造を形成するように、拡散バリア、冗長拡散バリア層及び導電性材料を平坦化するステップとを含む。
【0011】
冗長拡散バリア層のCo含有材料は、純粋なCo若しくはN,P及びBのうちの1つを含むCo含有合金とすることができる。
【0012】
本発明の幾つかの実施例において、冗長拡散バリア層は、Ruの上層及び少なくともCo含有材料からなる底部層を有する2層構造である。本発明の更に他の実施例において、冗長拡散バリア層は、下側のCo含有表面からRuの濃度が上に向かって徐々に増大する傾斜濃度を有する単一層構造である。更に他の実施例において、冗長拡散バリア層は、Ru及びCo含有層の組み合わせを2つ以上含む多層構造を含む。
【0013】
本発明の冗長拡散バリア層は、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)若しくは原子層堆積(ALD)を利用して形成されることができる。PVDが使用される場合、Ruターゲット及びCo含有材料ターゲットを使用する共スパッタリング・プロセスが使用される。CVD若しくはALDが使用される場合、Ru含有前駆体及びCo含有材料の前駆体が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明で使用され得る初期構造を示す断面図である。
【図2】図1に示される初期構造の露出された表面上に拡散バリアを形成した後の構造の断面図である。
【図3】図2に示される構造上にRu及びCo含有材料からなる冗長拡散バリア層を形成した後の構造の断面図である。
【図4】図3に示されている構造において使用されることができる種々な冗長拡散バリア層の断面図である。
【図5】図3に示されている構造上に任意選択的なシード層及び導電性材料を形成した後の構造の断面図である。
【図6】図5に示されている構造を平坦化した後の構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
相互接続構造のための冗長金属バリア構造及びその製造方法を提供する本発明について、図面を参照して以下に説明する。図面は説明のためのものであり、正確な寸法で描かれていないことに留意されたい。
【0016】
以下の説明において、本発明の十分な理解のために、例えば特定な構造、コンポーネント、材料、寸法・処理ステップ及び技術のような数多くの特定な詳細な点について説明する。しかしながら、本発明は、これらの特定な詳細な点を変更して実施されうることは、当業者により理解されるであろう。又、周知の構造又は処理ステップは本発明を不明瞭にするのを防ぐために詳細に説明しない。
【0017】
素子が他の素子に“接続され”又は“結合され”と表現する場合は、これは、素子が他の素子に直接接続されている状態又はこれらの間に更に他の素子が介在している状態を表す。これと対照的に、素子が他の素子に“直接接続され”又は“直接結合され”と表現する場合は、これは、素子相互間に他の素子が介在しないことを表す。
【0018】
上述のように、本発明は、相互接続構造の信頼性及び拡張性を改善することができる、相互接続構造のための冗長金属拡散バリアを提供する。冗長金属拡散バリアは、誘電体材料内に設けられた開口内に配置され、そして冗長金属拡散バリア層は、開口内に存在する拡散バリア層及び導電材料の間に配置される。冗長拡散バリア層は、Ruと、純粋なCo若しくはN,B及びPのうち少なくとも1つを含むCo合金を含むCo含有材料からなる単層又は多層構造を含む。
【0019】
一般的に、本発明は、基板上に配置され約4.0以下の誘電定数(誘電率)を有する誘電材料を含む半導体構造体を提供する。誘電体材料内に少なくとも1つの開口が配置される。拡散バリア、冗長拡散バリア層及び導電性材料が、少なくとも1つの開口内に配置される。冗長拡散バリア層は、Ru及びCo含有材料からなる。本発明の構造においては、拡散バリア、冗長拡散バリア層及び導電性材料のそれぞれの上面は、誘電体材料の上面と同一平面である。
【0020】
本発明の処理の流れは、図1に示されている初期相互接続構造10を準備するステップで開始する。具体的に説明すると、図1に示されている初期相互接続構造10は、誘電体キャッピング層14により分離されている下側相互接続レベル12及び上側相互接続レベル16を含む多層相互接続体を有する。1つ以上の半導体デバイスを含む半導体基板(図示せず)上に配置される下側相互接続レベル12は、第1誘電体材料層18を含み、そしてこの第1誘電体材料層18は、バリア層19によりこの誘電体材料18から分離されている少なくとも1つの導電性構造(フィーチャ、即ち、導電性領域)20を含む。上側相互接続レベル16は、少なくとも1つの開口が設けられている第2誘電体材料24を有する。少なくとも1つの開口は、ビア開口、ライン開口、組み合わせられたビア/ライン開口若しくはこれらの組み合わせである。図示の実施例に示されているように、ライン開口26A及び組み合わせられたビア/ライン開口26Bが、第2誘電体材料24内に存在する。組み合わせられたビア/ライン開口26Bは、下側相互接続レベル12内に存在する導電性構造20の一部分を露出する。
【0021】
図1に示されている初期相互接続構造10は、この分野で周知の通常の技術を利用して作成される。例えば、初期相互接続構造10は、基板(図示せず)の表面に第1誘電体材料18を設けることにより形成されることができる。基板(図示せず)は、半導体材料、絶縁材料、導電性材料又はこれらの組み合わせである。基板が半導体材料からなる場合は、例えば、Si,SiGe,SiGeC,SiC,Ge合金、GaAs,InAs,InP及び他のIII/V若しくはII/VI族の化合物半導体のような任意の半導体が使用され得る。上記に示した半導体材料に加えて、本発明は、半導体基板が、例えばSi/SiGe,Si/SiC,シリコン・オン・インシュレータ(SOI)若しくはシリコン・ゲルマニウム・オン・インシュレータ(SGOI)のような多層半導体である場合を含む。
【0022】
基板が、絶縁材料の場合、絶縁材料は、有機絶縁体、無機絶縁体若しくはこれらの組み合わせを多層化したものとすることができる。基板が導電性材料の場合、基板は、例えば多結晶シリコン、元素金属、少なくとも1つの元素金属の合金、金属シリサイド、金属窒化物若しくはこれらを多層としたものとすることができる。基板が半導体材料の場合、例えば相補型金属酸化物半導体(CMOS)デバイスのような1つ以上の半導体デバイスが基板に形成されることができる。
【0023】
下側相互接続レベル12の第1誘電体材料18は、無機誘電体若しくは有機誘電体を含む任意のレベル間誘電体材料である。第1誘電体材料18は、多孔性若しくは非多孔性とすることができ、約2.8以下の誘電定数(誘電率)を有する多孔性誘電体が本発明の幾つかの実施例において非常に望ましい。第1誘電体材料18として使用することができる適切な誘電体の例は、SiO,シルセスキオキサン、Si,C,O及びHを含むCドープされた酸化物(即ち、オルガノシリケート)、熱硬化性ポリアリレン・エーテル若しくはこれらを多層にしたものを含むがこれらに限定されない。本明細書で使用する用語“ポリアリレン”は、例えば、酸素、硫黄、スルホン、スルホキシド、カルボニル及び他の同様なもののような、結合、縮合環、若しくは不活性リンク・グループにより互いにリンクされたアリル成分若しくは不活性的に置換されたアリル成分を表す。
【0024】
第1誘電体材料18は、代表的には、約4.0以下の誘電定数を有し、更に代表的には約2.8の誘電定数を有する。これらの誘電体は、一般的に、4.0よりも高い誘電定数を有する誘電体材料に比べて低い寄生容量漏洩を有する。第1誘電体材料18の厚さは、下側相互接続レベル12内で使用される誘電体材料及び誘電体の正確な数に依存して変動する。代表的にはそして通常の相互接続構造のためには、第1誘電体材料18は200乃至450nmの厚さを有する。
【0025】
下側相互接続レベル12は又、第1誘電体材料18内に埋め込まれている(即ち、18内に配置されている)少なくとも1つの導電性構造20を有する。少なくとも1つの導電性構造20は、バリア層19により第1誘電体材料18から分離されている導電性材料からなる。導電性構造20は、リソグラフィ・ステップ(即ち、第1誘電体材料18の表面にフォトレジストを付着し、フォトレジストを所望の放射パターンに露出し、そして通常のレジスト現像材を利用して露出されたレジストを現像するステップ)、第1誘電体材料18に開口をエッチング(ドライ・エッチング若しくは湿式エッチング)するステップ、そしてエッチングされた領域にバリア層19を形成し次いで導電性領域を形成する導電性材料を充填することにより形成される。導電性材料が通過して拡散するのを防止するためのバリアとして働くTa,TaN,Ti,TiN,Ru,RuN,W,WN若しくは他の材料からなるバリア層19は、例えば原子層堆積(ALD),化学蒸着(CVD),プラズマ化学蒸着(PECVD)、物理蒸着(PVD),スパッタリング、化学溶液堆積若しくはメッキのような堆積プロセスにより形成される。
【0026】
バリア層19の厚さは、堆積プロセスの処理の仕方及び使用される材料に依存して変動する。代表的には、バリア層19は4乃至40nmの厚さを有し、更に代表的には7乃至20nmの厚さを有する。
【0027】
バリア層の形成に続いて、第1誘電体材料18の開口の残りの領域は、導電性構造20を形成する導電性材料で充填される。導電性構造20を形成するのに使用される導電性材料は、例えば、多結晶シリコン、導電性金属、少なくとも1つの導電性金属を含む合金、導電性金属シリサイド若しくはこれらの組み合わせである。望ましくは、導電性構造20を形成するのに使用される導電性材料は、例えばCu,W若しくはAlのような導電性金属であり、本発明においてはCu若しくはCu合金(例えばAlCu)が特に望ましい。導電性材料は、CVD、PECVD、スパッタリング、化学溶液堆積若しくはメッキを含む通常の堆積プロセスを利用して、第1誘電体材料18の残りの開口内に充填される。堆積の後、バリア層19及び導電性構造20のそれぞれの上面が第1誘電体材料18の上面と同一平面である構造を与えるように例えば化学機械研磨(CMP)のような通常の平坦化プロセスが使用されることができる。
【0028】
少なくとも1つの導電性構造20を形成した後、例えばCVD,PECVD,化学溶液堆積若しくは蒸着のような通常の堆積プロセスを利用してブランケットな誘電体キャッピング層14が下側相互接続レベル12の表面上に形成される。誘電体キャッピング層14は、例えばSiC,SiNH,SiO,炭素がドープされた酸化物、窒素及び水素がドープされた炭化珪素 SiC(N,H)若しくはこれらを多層にしたもののような任意の適切な誘電体キャップ材料からなる。誘電体キャッピング層14の厚さは、これを形成するのに使用される技術及びこの層を形成する材料に依存して変動する。代表的には、誘電体キャッピング層14は、15乃至55nmの厚さを有し、更に代表的には25乃至45nmの厚さを有する。
【0029】
次に、キャッピング層14の露出された表面上に第2誘電体材料24を付着することにより上側相互接続レベル16が形成される。第2誘電体材料24は、下側相互接続レベル12の第1誘電体材料18と同じ材料若しくは異なる材料で形成されることができ、望ましくは同じ材料で形成される。第1誘電体材料18に対する処理技術及び厚さの範囲が第2誘電体材料24に対して適用される。第2誘電体材料24は又、1つの誘電体材料の堆積に続いて他の異なる誘電体材料を堆積することにより形成される2つの互いに異なる材料からなることができる。本発明の1つの実施例において、第2誘電体材料24は、2つの低k誘電体材料からなり、かくして、上側相互接続レベル16は、多孔性の誘電体材料内に充填された導電性の埋め込み型ライン及び密度の高い(即ち、多孔性でない)誘電体材料内に充填された導電性の埋め込み型ビアからなる混成型構造を有する。このような実施例において、多孔性の低k誘電体は2.8以下の誘電定数を有し、そして密度の高い低k誘電体は約4.0以下の誘電定数を有する。
【0030】
次に、第2誘電体材料24の上面上にブランケットなハード・マスク材料(図示せず)を最初に形成することにより、少なくとも1つの開口が第2誘電体材料24に形成される。ブランケットなハード・マスク材料は、酸化物、窒化物、酸窒化物若しくはこれらを多層にしたものを含む。代表的には、ブランケット・ハード・マスク材料は、例えばSiOのような酸化物若しくはSiのような窒化物である。ブランケット・ハード・マスク材料は、例えばCVD,PECVD,化学溶液堆積若しくは蒸着のような通常の堆積プロセスを利用して形成される。堆積されるハード・マスク材料の厚さは、形成されるハード・マスク材料の型、ハード・マスク材料を構成する層の数そしてハード・マスク材料を形成するのに使用される堆積技術に依存して変動する。代表的には、堆積されたハード・マスク材料は、10乃至80nmの厚さを有し、更に代表的には20乃至60nmの厚さを有する。
【0031】
ハード・マスク材料のブランケット層の形成の後、例えばCVD,PECVD,スピン・オン・コーティング、化学溶液堆積若しくは蒸着のような通常の堆積技術を利用してフォトレジスト(図示せず)がハード・マスク材料の上面に形成される。フォトレジストは、この分野で周知であるポジティブ材料、ネガティブ材料、若しくは混成材料である。次いで、フォトレジストは、このフォトレジストを放射パターンに露光するステップ及び露光されたレジストを通常のレジスト現像液を利用して現像するステップを含むリソグラフィック・プロセスを受ける。リソグラフィック・プロセスは、開口の幅を規定するパターン化されたフォトレジストをハード・マスク材料の上に形成する。ビア開口又はライン開口あるいはその両方が、リソグラフィック及びエッチングを利用して形成されることができる。組み合わせられたビア/ライン開口が形成されると、リソグラフィック及びエッチングが繰り返されて他のビア/ライン開口が形成される。組み合わせられたビア/ライン開口のエッチングの間に、誘電体キャッピング層14の一部が除去されることに注目されたい。
【0032】
上述のように、少なくとも1つの開口は、ライン開口、ビア開口、組み合わせられたビア/ライン開口若しくはこれらの組み合わせを含む。説明の便宜上、ライン開口26A及び組み合わせられたビア/ライン開口26Bが示されている。
【0033】
少なくとも1つの開口を第2誘電体材料に形成することに続いて、代表的には第2誘電体材料の上に配置されたハード・マスクがこの構造から除去される。ハード・マスクの除去は、少なくとも1つの開口を導電性材料で充填する前若しくは後に行われることができる。図示の実施例においては、ハード・マスクは、少なくとも1つの開口を形成した後に除去される。
【0034】
図2は、少なくとも1つの開口内の第2誘電体材料24の少なくとも露出された壁部分上に拡散バリア層28を形成した後の構造を示す。拡散バリア28は、これを通って導電性材料が拡散することを防止するためのバリアとして働くTa,TaN,TiN,Ru,RuN,RuTa,RuTaN,W,WN及び他の任意の材料のうちの1つからなる。拡散バリア28の厚さは、これを形成するのに使用される堆積プロセス及び使用される材料に依存して変動する。代表的には、拡散バリア28は4乃至40nmの厚さを有し、更に代表的には7乃至20nmの厚さを有する。拡散バリア28は、例えばCVD,PECVD,原子層堆積(ALD),物理蒸着(PVD),スパッタリング、化学溶液堆積及びメッキを含む通常の堆積プロセスにより形成される。
【0035】
少なくとも1つの開口内に拡散バリア28を形成した後、冗長拡散バリア層30が、拡散バリア28の上に形成される。冗長拡散バリア層30を含む構造は例えば図3に示されている。本発明で使用される冗長拡散バリア層30は、Ru及びCo含有材料を含む。Co含有材料は、純粋なCo若しくは少なくともN、P及びBのうち少なくとも1つを含むCo合金でもよい。
【0036】
本発明の冗長拡散バリア層30は、物理蒸着(PVD),化学蒸着(CVD)若しくは原子層堆積(ALD)を利用して形成されることができる。PVDが使用される場合は、Ruターゲット材料及びCo含有材料のターゲットを含む共スパッタリング・プロセスが使用される。CVD若しくはALDが使用される場合、Ru含有前駆体及びCo含有材料の前駆体が使用される。PVD,CVD及びALDの条件はこの分野の当業者にとって周知である。代表的には、冗長拡散バリア層30の形成は、100℃以上の付着温度で行われ、更に代表的には、150℃乃至350℃の付着温度で行われる。
【0037】
又、冗長バリア層30の形成は、代表的には5mTorr以上の付着圧力で行われ、更に代表的には、50乃至0.1mTorrの付着圧力で行われる。
【0038】
冗長拡散バリア層30の厚さは、これを形成するのに使用される技術に依存して変動する。代表的には、冗長拡散バリア層30は、1乃至10nmの厚さを有し、更に代表的には2乃至5nmの厚さを有する。
【0039】
図4の(A),(B)及び(C)は、本発明で使用できる種々な型の冗長拡散バリア層30を示す。具体的に説明すると、図4(A)は、Ruの上層32及び少なくともCoを含む底部層34からなる2層構造を含む冗長拡散バリア層30‘を示す。図4(B)は、下側のCo含有表面からRuの濃度が上に向かって徐々に増大する傾斜濃度を有する単一層構造を含む冗長拡散バリア層30’’を示す。図4(C)は、Co含有層がRu含有層の下側に配置されている、Ru及びCo含有層の組み合わせを2つ以上含む多層構造を含む冗長拡散バリア層30’’’を示す。
【0040】
図3に示されている構造を形成した後、少なくとも1つの開口は、図5に示されている構造を形成するために導電性材料50で充填される。幾つかの実施例においては、接着/メッキ・シード層52が使用される。
【0041】
接着/シード層52が存在する場合、この接着/シード層52は、元素の周期表のVIIIA族の金属若しくは金属合金からなる。接着/シード層52のためのVIIIA族の適切な元素の例は、Ru,TaRu,Ir,Rh,Pt,Pd及びこれらの合金であるがこれに限定されない。幾つかの実施例においては、任意選択的なメッキ/接着シード層52としてRu,Ir若しくはRhを使用することが望ましい。任意選択的な接着/メッキ・シード層52は又、純粋のCu若しくはCu(Al)、Cu(Ir)及びCu(Ru)を含むCu合金とすることができる。任意選択的な接着/メッキ・シード層52は、例えば化学蒸着(CVD),プラズマ化学蒸着(PECVD),原子層堆積(ALD)、メッキ、スパッタリング及び物理蒸着(PVD)を含む通常の堆積プロセスにより形成される。任意選択的な接着/メッキ・シード層52の厚さは、例えば、接着/メッキ・シード層52の組成材料及びこれを形成するのに使用される技術を含む多数の要因に依存して変動する。代表的には、任意選択的な接着/メッキ・シード層52は、0.5乃至10nmの厚さを有し、更に代表的には6nmよりも薄い厚さを有する。
【0042】
第2誘電体材料24内に埋め込まれる導電性構造を形成するのに使用される導電性材料50は、例えば多結晶シリコン、導電性金属、少なくとも1つの導電性金属を含む合金、導電性金属シリサイド若しくはこれらの組み合わせを含む。望ましくは、導電性構造を形成するのに使用される導電性材料50は、例えばCu,W若しくはAlのような導電性金属であり、Cu若しくはCu合金(例えばAlCu)が本発明において特に望ましい。導電性材料50は、CVD,PECVD,スパッタリング、化学溶液堆積若しくはメッキのような通常の堆積技術を利用して第2誘電体材料24の少なくとも1つの開口の残りの部分内に充填される。
【0043】
堆積の後、拡散バリア28,冗長拡散バリア層30及び導電性材料50のそれぞれの上面が第2誘電体材料24の上面と同一平面である構造を形成するために、例えば化学機械研磨(CMP)又は研磨あるいはその両方のような通常の平坦化プロセスが使用されることができる。このような構造が例えば図6に示されている。具体的に説明すると、図6に示されている構造は、基板(図示せず)の上部に配置され約4.0以下の誘電定数を有する誘電体材料(即ち、第2誘電体材料24)を含む。誘電体材料(即ち、第2誘電体材料24)には、少なくとも1つの開口(即ち、ライン開口26A及び組み合わせられたライン/ビア開口26B)が設けられている。拡散バリア28,冗長拡散バリア層30及び導電性材料50が少なくとも1つの開口内に配置されている。冗長拡散バリア層30は、Ru及びCo含有材料からなる。本発明の構造において、拡散バリア28,冗長拡散バリア層30及び導電性材料50のそれぞれの上面は、誘電体材料(即ち、第2誘電体材料24)の上面と同一平面である。
【0044】
本発明を良好な実施例について説明したが、上記実施例は本発明の精神から逸脱することなく変更及び修正されうることが、当業者により理解されるであろう。
【符号の説明】
【0045】
10 初期相互接続構造
12 下側相互接続レベル
14 誘電体キャッピング層
16 上側相互接続レベル
18 第1誘電体材料
19 バリア層
20 導電性構造
24 第2誘電体材料
26A ライン開口
26B ビア/ライン開口
28 拡散バリア
30、30’、30’’、30’’’ 冗長拡散バリア層
32 上層
34 底部層
50 導電性材料
52 接着/シード層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置され、4.0以下の誘電定数を有し、少なくとも1つの開口を有する誘電体材料と、
前記少なくとも1つの開口内に配置された拡散バリアと、
前記少なくとも1つの開口の前記拡散バリア上に配置され、Ru及びCo含有材料からなる冗長拡散バリア層と、
前記少なくとも1つの開口内の前記冗長拡散バリア層上に配置された導電性材料とを備え、
前記拡散バリア、前記冗長拡散バリア層及び前記導電性材料のそれぞれの上面が、前記誘電体材料の上面と同一平面にある半導体構造体。
【請求項2】
前記誘電体材料は、2.8以下の誘電定数を有する多孔性の低k誘電体である、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項3】
前記誘電体材料は、SiO,シルセスキオキシサン、Si,C,O及びHを含むCドープされた酸化物及び熱硬化性ポリアリレン・エーテルからなる群から選択された材料である、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項4】
前記誘電体材料は、上側相互接続レベルの誘電体である、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項5】
前記上側相互接続レベルの下に配置された下側相互接続レベルを備え、前記下側相互接続レベル及び前記上側相互接続レベルは、誘電体キャッピング層により分離されている、請求項4に記載の半導体構造体。
【請求項6】
前記Co含有材料は、純粋なCo若しくはN,P及びBのうちの1つを含むCo合金である、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項7】
前記導電性材料は、Cu,W及びAlからなる群から選択される材料である、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項8】
前記拡散バリアは、Ta,TaN,TiN,Ru,RuN,RuTa,RuTaN,W及びWNからなる群から選択された材料である、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項9】
前記冗長拡散バリア層は、Ruの上層及び少なくともCo含有材料からなる底部層を有する2層構造である、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項10】
前記冗長拡散バリア層は、下側のCo含有表面からRuの濃度が上に向かって徐々に増大する傾斜濃度を有する単一層構造である、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項11】
前記冗長拡散バリア層は、Ru及びCo含有層の組み合わせを2つ以上含む多層構造を含む
、請求項1に記載の半導体構造体。
【請求項12】
誘電体キャッピング層により分離された下側相互接続レベル及び上側相互接続レベルであって、前記上側相互接続レベルは、4.0以下の誘電定数を有し、少なくとも1つの開口を有する誘電体材料を含む、前記下側相互接続レベル及び上側相互接続レベルと、
前記少なくとも1つの開口内に配置された拡散バリアと、
前記少なくとも1つの開口内の前記拡散バリア上に配置され、Ru及びCo含有材料からなる冗長拡散バリア層と、
前記少なくとも1つの開口内の前記冗長拡散バリア層上に配置された導電性材料とを備え、
前記拡散バリア、前記冗長拡散バリア層及び前記導電性材料のそれぞれの上面が、前記誘電体材料の上面と同一平面にある半導体構造体。
【請求項13】
前記冗長拡散バリア層は、Ruの上層及び少なくともCo含有材料からなる底部層を有する2層構造である、請求項12に記載の半導体構造体。
【請求項14】
前記冗長拡散バリア層は、下側のCo含有表面からRuの濃度が上に向かって徐々に増大する傾斜濃度を有する単一層構造である、請求項12に記載の半導体構造体。
【請求項15】
前記冗長拡散バリア層は、Ru及びCo含有層の組み合わせを2つ以上含む多層構造を含む、請求項12に記載の半導体構造体。
【請求項16】
4.0以下の誘電定数を有し、少なくとも1つの開口を有する誘電体材料を基板上に設けるステップと、
前記少なくとも1つの開口内に拡散バリアを形成するステップと、
前記少なくとも1つの開口内の前記拡散バリア上に、Ru及びCo含有材料からなる冗長拡散バリア層を形成するステップと、
前記少なくとも1つの開口の残りの部分内に導電性材料を充填するステップと、
前記拡散バリア、前記冗長拡散バリア層及び前記導電性材料のそれぞれの上面が、前記誘電体材料の上面と同一平面にある構造を形成するように、前記拡散バリア、前記冗長拡散バリア層及び前記導電性材料を平坦化するステップとを含む、半導体構造体を形成する方法。
【請求項17】
前記構造を含む上側相互接続レベルの下側に下側相互接続レベルを形成するステップを更に含み、前記下側相互接続レベル及び前記上側相互接続レベルは、誘電体キャッピング層により分離されている請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記Co含有材料は、純粋なCo若しくはN,P及びBのうちの1つを含むCo合金である
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記冗長拡散バリア層は、Ruの上層及び少なくともCo含有材料からなる底部層を有する2相構造である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記冗長拡散バリア層は、下側のCo含有表面からRuの濃度が上に向かって徐々に増大する傾斜濃度を有する単一層構造である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記冗長拡散バリア層は、Ru及びCo含有層の組み合わせを2つ以上含む多層構造を含む
、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記導電性材料は、Cu,W及びAlからなる群から選択される材料である、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記冗長拡散バリア層は、Ruターゲット及びCo含有材料のターゲットを使用する共スパッタリング・プロセスを行う物理蒸着(PVD)を利用して形成される、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記冗長拡散バリア層は、化学蒸着(CVD)若しくは原子層堆積(ALD)を利用して形成され、前記CVD又は前記ALDあるいはその両方は、Ru含有前駆体及びCo含有材料の前駆体を使用する、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−527751(P2012−527751A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511213(P2012−511213)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054707
【国際公開番号】WO2010/133400
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】