説明

半導体素子の製造方法、センサ、電子機器

【課題】半導体層に対して良好にトレンチエッチングを行うことができる半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体層に複数の方向のパターン1,2のトレンチが交差して形成されている半導体素子を製造する際に、複数の方向のパターン1,2のうち少なくとも1つの方向のパターン1に角度の変化点を1つ以上設けて、少なくとも1つの方向のパターン1を延長した箇所から複数の方向のパターン1,2の交差部をずらす(パターン3,4)ように、半導体層上にマスクパターンを形成する工程と、このマスクパターンを使用して、エッチングにより半導体層にトレンチを形成する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の製造方法、センサ、並びにセンサを備えた電子機器に係わる。
【背景技術】
【0002】
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた半導体素子が注目されている。
MEMS半導体素子の特徴は、半導体基板上に可動する構造体が形成されていることである。
【0003】
可動構造体を有するMEMS半導体素子としては、例えば半導体基板上に、加速度、角速度等の力学量によって変位する機能を持つ可動構造体を形成した構成の力学量センサ等が知られている。
この力学量センサでは、可動構造体と半導体基板に対して固定された部分との間の静電容量から可動構造体の変位を検出している。
【0004】
このような半導体力学量センサとしては、例えば、2つのシリコン層を、酸化膜を介して貼り合わせたSOI(シリコンオンインシュレータ)基板を用いた、力学量センサが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
このような半導体力学量センサを形成する際には、以下のように加工を行っている。
SOI基板における2つのシリコン層のうち、一方のシリコン層を支持基板として、他方のシリコン層を活性層とする。
まず、活性層側からトレンチエッチングを行うことにより、可動構造体のパターン及び可動構造体を支える梁(ビーム)を形成する。
次に、支持基板側からトレンチエッチングを行うことにより、可動構造体を解放して、錘(おもり)を形成する。
【0006】
上述のトレンチエッチング工程は、反応性ガスを導入してプラズマ化させた状態で行う反応性イオンエッチングの中でも、特に、深堀りエッチングと呼ばれる、エッチングとデポジションを交互に繰り返して行われるBoschプロセスが用いられる。
このBoschプロセスには、以下の特徴がある。
(1)トレンチ幅が広くなるに従い、エッチングレートが速くなる。
(2)トレンチ幅の中央部は、トレンチの端部よりもエッチングレートが速い。
【0007】
この特徴により、例えばSOI基板を用いて、異なるトレンチ幅を有するマスクパターンで深掘りエッチングを行うと、幅狭の部分のエッチングが2つのシリコン層の間のBOX層(酸化膜)に到達する前に、幅広の部分のエッチングがBOX層に到達する。
そのため、横方向にエッチングが進行する、Notch現象が発生し、さらにオーバーエッチが進むとBOX層を突き抜けてしまうことがある。
【0008】
一方、上述のNotch現象を積極的に利用して、構造体を形成する方法が、いくつか提案されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−173757号公報
【特許文献2】特開2005−88123号公報
【特許文献3】特開2005−315716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述したNotch現象を積極的に利用する方法は、SOI基板のうちの活性層のみを用いて可動構造体を形成する場合においてのみ有効である。
前記特許文献1に記載されているような、活性層及び支持基板の全体を可動構造体として用いる構造や、BOX層部分を静電容量として用いるようなセンサ構造では、Notch現象やBOX層の突き抜けが生じると、特性に大きな影響を与える。
【0011】
従って、Boschプロセスを用いて構造体の形成を行う場合には、これらの特徴を考慮したデバイスのパターン設計が必要となる。
【0012】
また、本願の発明者が実験を行った結果、同じトレンチ幅においても、複数方向のトレンチパターンが交差していると、交差部分のエッチングレートが他の部分に比べて速くなり、最悪の場合、上記と同様なBOX層の突き抜けが生じることが確認された。
【0013】
上述した問題の解決のために、本発明においては、半導体層に対して良好にトレンチエッチングを行うことができる半導体素子の製造方法を提供するものである。また、半導体素子の製造方法により作製される可動構造体を有するセンサ、並びに、センサを備えた電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の半導体素子の製造方法は、半導体層に複数の方向のパターンのトレンチが交差して形成されている半導体素子を製造する方法である。
そして、複数の方向のうち少なくとも1つの方向のパターンに角度の変化点を1つ以上設けて、少なくとも1つの方向のパターンを延長した箇所から複数の方向のパターンの交差部をずらすように、半導体層上にマスクパターンを形成する工程を有する。また、このマスクパターンを使用して、エッチングにより半導体層にトレンチを形成する工程を有する。
【0015】
本発明のセンサは、振動子と、支持部と、弾性支持体と、空隙とを含む検出構造体を、1つ以上含むものである。振動子は、半導体層と絶縁層との積層を含む。支持部は、半導体層と絶縁層との積層を含み、振動子を支持する。弾性支持体は、少なくとも絶縁層から成り、振動子と支持部とを接続する。空隙は、半導体層に対して形成されているトレンチにより構成され、複数の方向のトレンチのパターンの交差部が、少なくとも1つの方向のパターンを延長した箇所からずれて形成され、振動子と支持部とを分離する。
本発明の電子機器は、上記本発明のセンサを備えたものである。
【0016】
上述の本発明の半導体素子の製造方法によれば、複数の方向のうち少なくとも1つの方向のパターンに角度の変化点を1つ以上設けて、少なくとも1つの方向のパターンを延長した箇所から複数の方向のパターンの交差部をずらしている。そして、交差部をずらしたマスクパターンを形成して、このマスクパターンを使用して、エッチングによりトレンチを形成している。
これにより、交差部にエッチングガス等が集中しにくくなるため、交差部のエッチングレートの増大を抑制することができる。そのため、オーバーエッチングが生じることを防いで、均一なエッチングが可能となる。
【0017】
上述の本発明のセンサの構成によれば、振動子と、支持部と、弾性支持体と、空隙とを含む検出構造体を、1つ以上含むので、検出構造体において、振動子の動きを検出することにより、センサに加わった力や加速度や角速度を検出することができる。また、振動子が半導体層と絶縁層との積層を含むので、これらの積層体から微細な振動子を作製することが可能である。
そして、検出構造体の振動子と支持部とを分離する空隙が、複数の方向のトレンチのパターンの交差部が、少なくとも1つの方向のパターンを延長した箇所からずれて形成されたトレンチにより構成されている。これにより、トレンチのパターンは、上述した本発明の半導体素子の製造方法により作製することが可能であり、均一なエッチングを行って安定して製造することが可能である。
上述の本発明の電子機器の構成によれば、本発明のセンサを備えたことにより、加速度や角速度等を検出して、電子機器を制御することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
上述の本発明の半導体素子の製造方法によれば、均一なエッチングが可能となることにより、安定して良好にトレンチを形成することが可能になる。また、製造におけるマージンを広げることも可能になる。
そして、オーバーエッチングによるエッチングストップ層の突き抜け等が発生しないため、製造歩留まりの向上を図ることができる。
【0019】
また、本発明のセンサの構成によれば、微細な振動子を作製することが可能であり、検出構造体並びにセンサの小型化を図ることができる。
従って、センサを備えた本発明の電子機器において、省スペースにセンサを設置することが可能になる。
さらに、本発明の半導体素子の製造方法を適用して、本発明のセンサを作製することにより、特性の良好なセンサを、安定して歩留まり良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】A、B 本発明の半導体素子の製造方法によるT字パターンの補正パターンの実施の形態である。
【図2】A、B 本発明の半導体素子の製造方法による十字パターンの補正パターンの実施の形態である。
【図3】実験1でエッチングを行ったトレンチパターンの形状を示す図である。
【図4】図3の各トレンチパターンの深堀りエッチング後の断面形状である。
【図5】実験2でエッチングを行ったトレンチパターンの形状を示す図である。
【図6】図5の各トレンチパターンの深掘りエッチング後のエッチング深さと深さのばらつきを示す図である。
【図7】A、B 本発明のセンサの一実施の形態の力検出構造体の要部の平面図である。
【図8】本発明のセンサの一実施の形態の力検出構造体の断面構造図である。
【図9】図8の断面構造を変形した構成の断面構造図である。
【図10】図7A及び図7BのY−Yにおける断面図である。
【図11】本発明のセンサの一実施の形態の平面図である。
【図12】図11のセンサの電極配置を示す平面図である。
【図13】図11のセンサにおいてZ軸まわりの角速度が印加された場合の検出動作を説明する図である。
【図14】A、B 図7及び図8と同様の構成の可動構造体を、従来の製造方法で作製した場合のセンサの要部の平面図である。
【図15】本発明の電子機器の第1の実施の形態のビデオカメラ装置の概略構成斜視図である。
【図16】A、B 本発明の電子機器の第2の実施の形態のHDD装置の概略構成図である。
【図17】A、B 本発明の電子機器の第3の実施の形態のHDD装置を搭載したノート型パーソナルコンピュータの概略構成図である。
【図18】本発明の電子機器の第4の実施の形態のHDD装置を搭載したゲーム機の概略構成図(平面図)である。
【図19】本発明の電子機器の第5の実施の形態のHDD装置を搭載したビデオカメラ装置の概略構成斜視図である。
【図20】A〜G 本発明の電子機器の第6の実施の形態のカメラ付き携帯端末装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.本発明の概要
2.本発明の半導体素子の製造方法の実施の形態
3.本発明のセンサの実施の形態
4.本発明の電子機器の第1の実施の形態
5.本発明の電子機器の第2の実施の形態
6.本発明の電子機器の第3の実施の形態
7.本発明の電子機器の第4の実施の形態
8.本発明の電子機器の第5の実施の形態
9.本発明の電子機器の第6の実施の形態
【0022】
<1.本発明の概要>
本発明は、複数方向のトレンチパターンを有する半導体素子を製造する方法である。そして、エッチングによって厚さ方向にトレンチを形成する際に、複数方向のトレンチパターンの交差部における、局所的なエッチング量の変動を制御するための製造方法に関する。
また本発明は、この製造方法により可動構造体を作製したセンサ及びこのセンサを備えた電子機器に関する。
【0023】
まず、実験結果と合わせて、本発明の半導体素子の製造方法の概要を説明する。
【0024】
(実験1:トレンチ交差部のエッチング評価1)
様々な形状のトレンチパターンに対して、深掘りエッチングを行った。
エッチングを行ったトレンチパターンの形状を、図3に示す。図3の左から、十字のパターンP1、T字のパターンP2、L字のパターンP3、(通常の)I字の横パターンP4、(通常の)I字の縦パターンP5、長くて太いI字パターンP6である。
P1〜P5の各パターンは、幅が全て20μmであり、長さがトータルで100μmになるように統一してある。P6は、幅が40μmであり、長さが360μmである。
これらの各パターンP1〜P6に対して、反応性イオンエッチングを用いて、深掘りエッチングを行った。
【0025】
結果として、それぞれのパターンの深堀りエッチング後の断面形状を、図4に示す。図4において、一番左のSTは、エッチングの設定深さの標準を示している。
図4に示すように、十字のパターンP1及びT字のパターンP2の交差部分のみ、エッチングの進行が速く、深くエッチングされてしまうことがわかる。
【0026】
また、実際に、T字のトレンチパターンを有する構造体を作製するために、シリコン支持層/BOX層/シリコン活性層の構造を有するSOI基板に対して、支持層側から深堀りエッチングを試みた。
その結果、T字のI字部分はBOX層でエッチングが止まったが、トレンチの交差部分のみがBOX層を突き抜け、活性層にまでエッチングが到達する結果となった。
【0027】
(実験2:トレンチ交差部のエッチング評価2)
実験1の結果から、T字のパターンの形状を変えて、同様なエッチングレートの比較を行った。
使用したパターン形状を、図5に示す。
図5に示すように、通常のT字パターンT0と、トレンチの交差部分を除々に片方のトレンチから離していったパターンT1,T2,T3,T4とを使用して、深堀りエッチングを行った。
【0028】
これらのパターンT0,T1,T2,T3,T4に対するエッチング深さを比較した結果を、図6に示す。なお、図6には、比較対照として、図3のI字のパターンP4及び長くて太いI字パターンP6について同様に深堀りエッチングを行った結果を、I及びILとして示している。図6において、棒グラフが各パターンのエッチング深さを示し、折れ線グラフが多数の同一パターンをエッチングしたときの深さのばらつきσを示している。
図6に示すように、本来のトレンチの交差部からトレンチの短幅分を離したパターンT4のみが、通常のI字のパターンIのエッチング深さとほぼ等しくなっている。他のT字パターンT0,T1〜T3は、多少の差はあるが、すべて通常のI字パターンIよりもエッチングの進行が速い結果となった。
【0029】
(本発明の半導体素子の製造方法の概要)
実験1及び実験2の結果から、均一なトレンチエッチングを行う場合のパターンは、以下の点が重要となる。
(1)トレンチ交差部付近に、長方向のトレンチパターンに角度の変化点を1つ以上設ける。
(2)望ましくは、(1)の角度の変化によって、長方向のトレンチパターンと2方向のトレンチパターンの交差部とが重なる領域をできるだけ少なくする(可能であればなくすこと)。
(3)交差部分の交点同士を結んだ線幅の最大長さが、短方向のトレンチパターンの線幅と概略等しくなる、または左記の最大線幅長さが、√(2×線幅)よりも小さくなるようにする。
【0030】
そこで、半導体層に対してトレンチエッチングを行う際のトレンチパターンを、少なくとも上述の(1)の条件を満たすパターンとして、エッチングを行うことが好ましい。
より好ましくは、併せて上述の(2)や(3)の条件をも満たすパターンとする。
【0031】
上述した(1)〜(3)の各条件は、実験1及び実験2で想定した、長方向のトレンチパターンと短方向のトレンチパターンとが直交する場合の条件である。
本発明の半導体素子の製造方法においては、交差するトレンチパターンが3本以上の場合、トレンチパターンが斜めに交差する場合、交差するトレンチパターンの長さが同一の場合も考慮して、(1)の条件を拡張し、以下の(A)の条件とする。
(A)交差する複数の方向のパターンのうち、少なくとも1つの方向のパターンに角度の変化点を1つ以上設けて、少なくとも1つの方向のパターンを延長した箇所から複数の方向のパターンの交差部をずらす。
さらに好ましくは、次の(B)の条件も満たすようにする。
(B)少なくとも1つの方向のパターンを延長した箇所と、複数の方向のパターンの交差部とが、重なる領域をできるだけ少なくする。より好ましくは、重ならないようにする。
【0032】
また、本発明の半導体素子の製造方法においては、上述の条件を満たすトレンチパターンとなるように、トレンチを形成するためのエッチングのマスクパターンを半導体層上に形成する。そして、このマスクパターンを使用して、反応性イオンエッチング(RIE)等のエッチングにより、半導体層にトレンチを形成する。
本発明の半導体素子の製造方法では、少なくとも1つの方向のパターンを延長した箇所から複数の方向のパターンの交差部をずらしている。これにより、交差部と他の部分が一直線である従来のパターンと比較して、交差部においてエッチングガス等が集中しにくくなるため、交差部におけるエッチングレートの増大を抑制して、オーバーエッチングを防ぐことが可能になる。
【0033】
さらにまた、条件(1)のように、互いに直交する2つの方向のパターンを有する場合に、2つの方向のパターンの交差部において、交点同士を結んだ線が三角形状となるようにマスクパターンを形成する。
これにより、交差部の交点同士を結んだ線が長方形である、従来のパターンと比較して、交差部の幅又は面積が小さくなる。この点でも、交差部のエッチングレートを低減することができるので、オーバーエッチングの発生をさらに抑制することが可能になる。
【0034】
(本発明のセンサ及び電子機器の概要)
本発明のセンサは、力を検出する力検出構造体のような検出構造体を含み、この検出構造体の動きを検知することにより、角速度や加速度等を検知する。
検出構造体は、半導体層と絶縁層との積層を含む振動子、半導体層と絶縁層との積層を含み振動子を支持する支持部、振動子及び支持部を接続する弾性支持体、振動子及び支持部を分離する空隙とを含む。この空隙は、半導体層に対して形成されているトレンチにより構成され、複数の方向のトレンチのパターンの交差部が、少なくとも1つの方向のパターンを延長した箇所からずれて形成されている。
本発明の電子機器は、この本発明のセンサを含んで構成される。
【0035】
そして、本発明のセンサの検出構造体の空隙を構成するトレンチは、前述した本発明の半導体素子の製造方法によって作製することが可能である。本発明の半導体素子の製造方法を適用することにより、トレンチのパターンの交差部におけるオーバーエッチングの発生を抑制して、安定してエッチングを行うことができる。
【0036】
本発明のセンサにおいて、より好ましくは、検出構造体の振動子及び支持部を、SOI基板等のシリコン層/酸化シリコン層/シリコン層の積層によって構成し、少なくとも一方のシリコン層に空隙を構成するトレンチを形成した構成とする。SOI基板等のシリコン層/酸化シリコン層/シリコン層の積層によって構成することにより、振動子及び支持部を、安価に構成することができると共に、容易に作製することができる。
【0037】
<2.本発明の半導体素子の製造方法の実施の形態>
本発明の半導体素子の製造方法の実施の形態を、以下に、いくつか示す。
本発明の半導体素子の製造方法では、少なくとも前述した条件(1)を満たすように、トレンチパターンを補正して、エッチング用のマスクを形成し、このマスクを利用してエッチングを行う。
【0038】
まず、図1A及び図1Bに、本発明の半導体素子の製造方法の実施の形態として、本発明の半導体素子の製造方法によるT字パターンの補正パターンを示す。
【0039】
図1Aに示す実施の形態は、上記(1)、(2)の条件を満たすパターン補正を行った実施の形態である。
この図1Aに示す実施の形態では、長方向のトレンチパターン1と、短方向のトレンチパターン2とを有している。そして、これらのトレンチパターン1,2が交差する交差部において、長方向のトレンチパターン1に対して角度が変化した部分によって、2方向のトレンチパターン1,2を接続する、接続用のトレンチパターン3を有する。
接続用のトレンチパターン3は、長方向のトレンチパターン1に対して斜めに形成されて長方向のトレンチパターン1に接続された部分と、長方向のトレンチパターン1と平行で短方向のトレンチパターン2に接続された部分とを有している。
トレンチの交差部は、破線で示す長方形の部分であり、図中矢印で示すように、長方向のトレンチパターン1上にあった従来の位置から、長方向のトレンチパターン1とは重ならない位置にシフトしている。
【0040】
図1Bに示す実施の形態は、上記(1)、(2)、(3)を満たすパターン補正を行った実施の形態である。
この図1Bに示す実施の形態では、長方向のトレンチパターン1と、短方向のトレンチパターン2とを有している。そして、これらのトレンチパターン1,2が交差する交差部において、長方向のトレンチパターン1に対して角度が変化した部分によって、2方向のトレンチパターン1,2を接続する、接続用のトレンチパターン4を有する。
接続用のトレンチパターン4は、長方向のトレンチパターン1及び短方向のトレンチパターン2に対してそれぞれ斜めに形成されて長方向のトレンチパターン1及び短方向のトレンチパターン2に接続されている。
トレンチの交差部は、破線で示す三角形の部分であり、図中矢印で示すように、長方向のトレンチパターン1上にあった従来の位置から、長方向のトレンチパターン1とは重ならない位置にシフトしている。
そして、交差部の領域を従来の四角形から三角形に変えることにより、交差部の線幅aが、√(2a)よりも小さくなっている。このように、交差部の重なる領域を狭くすることにより、見かけ上の線幅を同じようにすることが可能となる。
【0041】
次に、図2A及び図2Bに、本発明の半導体素子の製造方法の実施の形態として、本発明の半導体素子の製造方法による十字パターンの補正パターンの実施の形態を示す。
図2Aに示す実施の形態は、図1Aに示した実施の形態の構成を、十字パターンに応用したものである。
図2Bに示す実施の形態は、図1Bに示した実施の形態の構成を、十字パターンに応用したものである。
【0042】
図1及び図2に示した各実施の形態によれば、長方向のトレンチパターン1の交差部付近に角度変化をつけて、接続用のトレンチパターン3,4を設けている。これにより、2方向のトレンチパターン1,2の交差部が、長方向のトレンチパターン1を延長した箇所からずれている。このため、2方向のトレンチパターン1,2の交差部にエッチングガス等が集中しにくくなり、交差部のエッチングレートの増大を抑制して、オーバーエッチングを抑制することができる。
また、特に、図1B及び図2Bに示した各実施の形態では、交差部の交点を結んだ線が従来のパターンの長方形状から三角形状となっており、交差部の幅又は面積が小さくなる。この点でも、交差部のエッチングレートを低減することができるので、オーバーエッチングの発生をさらに抑制することが可能になる。
【0043】
これらの実施の形態では、トレンチパターンに角度変化を設けることで、長方向のトレンチパターン1からのガスの流れを防ぐことが目的であるため、接続用のトレンチパターン3,4の角度の指定や線幅の指定は特に設けない。
なお、これらの実施の形態は、T字や十字といった、直交する2つの方向のパターンを有する場合であった。前述したように、本発明の製造方法は、パターンが斜めに交差する場合や、3つの方向のパターンが交差する場合にも、適用することが可能である。
【0044】
<3.本発明のセンサの実施の形態>
続いて、本発明のセンサの実施の形態を説明する。
本実施の形態のセンサは、力検出構造体を複数個備えて構成された慣性センサである。
まず、センサ(慣性センサ)を構成する力検出構造体の構成を、説明する。
図7A及び図7Bは、本発明のセンサの実施の形態における力検出構造体の要部の平面図を示している。また、図8は、本発明のセンサの実施の形態における力検出構造体の断面図を示しており、図7A及び図7BのX−Xにおける断面図を示している。
【0045】
本実施の形態のセンサの力検出構造体は、容量型力学量センサの構成となっている。
図8の断面図に示すように、本実施の形態のセンサの力検出構造体12は、下部のCap基板41と、中央部のセンサ基板と、上部の検出基板43との3層構造となっている。
Cap基板41及び検出基板43には、シリコン基板やガラス基板を使用することができる。
本実施の形態において、中央部のセンサ基板は、支持層(シリコン)31/BOX層(酸化シリコン)32/活性層(シリコン)33の構造を有する、SOI基板によって形成されている。
なお、以下、Cap基板41及び検出基板43がシリコン基板である場合における、具体的な構成を説明する。
【0046】
図7A及び図7Bの平面図と図8の断面図に示すように、センサ基板内には、梁(弾性支持体)22と錘(振動子)23とを有した振動体が形成されている。図7Aはセンサ基板の活性層33の部分の平面図であり、図7Bはセンサ基板の支持層31の部分の平面図である。
梁22は、一端が錘23に接続され、他端が支持部21に接続されている。
錘23及び梁22には、Cap基板41及び検出基板43に直接接触しないように、上下に空隙として微小間隙が設けられている。また、錘23とその横の支持部21との間にも微小空隙が設けられている。
従って、錘23は、梁22によって、吊り下げられるように支持されている。そのため、錘23は、外部より加わる力により、振動やねじれの動きが可能となっており、X軸、Y軸、Z軸に平行な方向及び各軸の回転方向に自由度を有する。
【0047】
支持部21においては、Cap基板41とセンサ基板の支持層31とが接着層42によって接合されており、センサ基板の活性層33と検出基板43とが接着層35によって接合されている。これらの接着層42,35では、陽極接合や常温接合等を用いて接着を行うことができる。
【0048】
この力検出構造体12では、図7A及び図7Bの平面図に示すように、錘23に対して、6個の梁22(22-1,22-2,22-3,22−4,22−5,22−6)が接続されている。6個の梁22のうちの4個22-1,22−2,22−3,22−4は図7Aの横方向に延びて形成され、2個22−5,22−6は図7Aの縦方向に延びて形成されている。
【0049】
弾性体である梁22の厚さ、長さ、幅、並びに、錘23の厚さ、面積等の各形状は、任意の共振周波数及びバネ定数が得られるように、設計される。
なお、図示しないが、力検出構造体12は、錘(振動子)23の変位を検出して、信号を出力する変位検出部を備えている。
【0050】
振動体(錘23、梁22)を形成したセンサ基板の上方の検出基板43には、貫通穴が形成され、この貫通穴内を埋めて導電プラグ層36が形成されている。
貫通穴を埋める導電プラグ層36を通して、検出基板43の下面に形成された固定電極34を外側に引き出す構造をしている。
固定電極34は、その下の導電材料から成るコンタクト層Cにより、錘23の部分の活性層31に電気的に接続されている。
貫通穴の上層には、導電プラグ層36に接続するように、検出基板43の上面に導電性材料からなる電極膜38が積層されており、センサ基板内の封止は維持される。
【0051】
ここで、図8の断面構造に対する変形例の断面構造を、図9に示す。
図9に示す断面構造は、固定電極34から検出基板44の外側の電極膜38への信号の取り出しが、検出基板を貫通する貫通孔ではなく、検出基板44の内部に形成された横引き出し配線40で行われる構造を示している。
そのため、検出基板44が、図8の断面構造の検出基板43と比較して、薄く、かつ大きくなっている。
【0052】
これら図8や図9に示す、検出基板43,44の下面の固定電極34と外側の電極膜38とを接続する構造は、一般的な半導体の集積回路等で行われる埋め込み配線プロセスにより作製することが可能である。具体的には、例えば、酸化膜等を形成→メタル形成→酸化膜等形成→CMP→コンタクト形成→メタル形成の手順で、作製することができる。
【0053】
さらに、図7A及び図7BのY−Yにおける断面図を、図10に示す。
図10に示すように、この断面では、横方向の梁22(図7Aの22−1,22−2)は、支持層31を含む3層で構成されている。
なお、横方向の梁22の、支持部21との接続部では、支持層31をエッチングで除去して、図7Bに示すように、支持部21及び錘23の各支持層31の間に空隙を形成する。
【0054】
この力検出構造体12では、各図の左右方向(X軸方向)に力が加わると、錘(振動子)23が傾き、その傾きを検出することによって、印加された力の量を検出することができる。
図7の上下方向及び図8の紙面に垂直な方向である、Y軸方向に力が加わった場合でも、X軸方向に力が加わった場合と同様である。
また、基板41,43に垂直な方向(Z軸方向)に力が加わった場合には、錘(振動子)23がその方向に変位し、変位量を検出することにより、印加された力の量を検出することができる。
【0055】
X軸方向やY軸方向の傾き、Z軸方向の変位は、静電容量検出、ピエゾ検出、圧電検出、磁気検出等の方法により、検出することが可能である。
本実施の形態では、図8に示すように、検出基板43の下面に形成した固定電極34を利用して、静電容量検出を行うようにしている。
即ち、錘23の上の2枚の固定電極34と、錘23との容量の差分を検出することにより、X軸方向の傾きを検出することができる。また、2枚の固定電極34と錘23との容量和を検出することにより、Z軸方向の変位を検出することができる。
【0056】
なお、ピエゾ検出を行う場合には、例えば、横方向に延びる4個の梁22−1〜22−4の上に、それぞれピエゾ素子を形成する。そして、各ピエゾ素子の抵抗変化を検出することにより、傾きや変位による曲げを検出することができる。
【0057】
また、図8では、固定電極34を検出基板43の下面に設けて錘23と対向させているが、例えば、Cap基板41の上面に固定電極34を設けて錘23と対向させることも可能である。そして、検出基板43の下面及びCap基板41の上面に、それぞれ固定電極34を設けることも可能である。
【0058】
ここで、比較対照として、本実施の形態と同様の構成の力検出構造体を、従来の製造方法で作製した場合の力検出構造体の要部の平面図を、図14A及び図14Bに示す。図14A及び図14Bは、それぞれ図7A及び図7Bに対応する部分の平面図である。
活性層33の部分の平面図である図14Aは、図7Aと同じパターンである。
支持層31の部分の平面図である図14Bは、図7Bとは異なっており、活性層33の部分のパターンに対応して、中央の縦の梁22(22−5,22−6)の部分では、支持層31がエッチングにより除去されている。
この図14Bに示す支持層31のパターンでは、破線で囲んだ部分TにT字パターンがある。このため、このT字パターンを形成するためにエッチングを行うと、交差部でオーバーエッチングが生じることにより、トレンチがBOX層32にまで達したり、BOX層32を貫通してしまったりすることがある。
【0059】
これに対して、本実施の形態では、図7Bの平面図に示すように、力検出構造体12のセンサ基板の支持層31の部分のトレンチパターンを、図14Bのトレンチパターンから変更している。
具体的には、縦方向に延びる梁22−5,22−6の所のトレンチパターンを、交差部を図7Bの中央部側へと移動させて、図14BのT字形状からY字形状に変更している。
これにより、支持層31にトレンチを形成するエッチングを行う際に、交差部におけるオーバーエッチングが生じにくくなるため、BOX層32への突き抜けがなくなり、均一なエッチングを行うことができる。
【0060】
本実施の形態では、さらに、図7〜図10で説明した力検出構造体12を使用して、図11に平面図を示すように、4個の力検出構造体12−1,12−2,12−3,12−4をリング状の駆動構造体11で接続して、慣性センサ10を構成する。
続いて、本実施の形態の慣性センサ10の構成及び動作等について説明する。
【0061】
4個の力検出構造体12−1,12−2,12−3,12−4は、上下方向及び左右方向に2個ずつ、駆動構造体11の中心点に対してそれぞれ対称となるように、配置されている。
【0062】
力検出構造体12は、複数軸の検出が可能であるが、図11では、不要な機械的振動を抑え、精度良く検出を行うために、Z軸への平行移動と、XY面内の中心軸と直交する方向(X軸又はY軸)を検出軸とした場合を示している。具体的には、X軸又はY軸のうち、X軸方向を検出軸として、右の力検出構造体12−1及び左の力検出構造体12−3により、X軸方向の検出を行っている。また、下の力検出構造体12−2及び上の力検出構造体12−4により、Z軸方向の移動を検出している。
【0063】
検出軸の共振周波数は、振動周波数の±20%以内とすることが望ましい。特に、利得(ゲイン)を大きく取るには、±5%前後が望ましい。その他の軸は、不要な機械的ノイズを抑えるため、振動周波数の±20%以上の共振周波数となるように、梁22のばね定数を設定して梁22を形成する。例えば、梁22の厚み、幅、長さ、形状により、ばね定数を制御することが可能である。
【0064】
このように、駆動構造体11上に配置された、4個の力検出構造体12−1〜12−4によって、3軸の角速度及び3軸の加速度を検出することが可能になる。
なお、最低2つの力検出構造体12があれば、3軸の角速度及び3軸の加速度を検出することが可能である。
しかしながら、上述のように力検出構造体12を上下左右に4個配置することにより、外乱をキャンセルして、高精度に角速度及び加速度を検出することができる。
【0065】
次に、4個の力検出構造体12−1〜12−4において、錘23の上部に配置された静電容量検出用の電極(図8の固定電極34)の配置の例を、図12の平面図に示す。
図12に示すように、各力検出構造体において、検出基板の下面の固定電極が2枚ずつ配置されている。
そして、右の力検出構造体12−1及び左の力検出構造体12−3では、2枚の電極X1,X2及びX3,X4が左右方向(X軸方向)に長い配置となっている。上の力検出構造体12−4及び下の力検出構造体12−2では、2枚の電極Y1,Y2及びY3,Y4が上下方向(Y軸方向)に長い配置となっている。
【0066】
図11に示すように、X軸上の力検出構造体12−1,12−3が中心側へ移動するとき、Y軸上の力検出構造体12−2,12−4は、中心から遠ざかるように移動する。このとき、X軸のまわりに角速度Ωが印加されると、Y軸上の2個の力検出構造体12−2,12−4のZ軸方向にコリオリ力Fc=2mAωΩが印加される。Aは駆動構造体11に与えられる基準振動の最大振幅、ωはその基準振動の周波数、mは力検出構造体12の錘23の質量である。
Y軸上の2個の力検出構造体12−2,12−4は、X軸のまわりの角速度に対して、逆方向(反位相)に振動しているので、コリオリ力の向きは、Z軸方向で逆向きである。この2個の力検出構造体12−2,12−4の差分、即ち、図12の(Y1+Y2)−(Y3+Y4)をとれば、X軸のまわりの角速度を検出することができる。ここで、Y1〜Y4は、各電極の検出容量である。
Y軸のまわりの角速度についても、X軸上の2個の力検出構造体12−1,12−3のZ軸方向の変位を検出することにより、同様に検出できる。即ち、図12の(X1+X2)−(X3+X4)をとれば、Y軸のまわりの角速度を検出することができる。ここで、X1〜X4は各電極の検出容量である。
【0067】
次に、Z軸のまわりの角速度が印加された場合の動作について、図13の平面レイアウト図を参照して説明する。
図13に示すように、各力検出構造体12−1〜12−4の各錘(振動子)23は、それぞれZ軸と直交する方向にコリオリ力を受け、各力検出構造体12−1〜12−4はZ軸と直交する方向(例えば、矢印の方向)に傾く。この傾きによる変位は、X軸、Y軸の各軸上、2つの力検出構造体12−1と12−3が逆向きであり、力検出構造体12−2と12−4が逆向きなので、その差分を検出すれば、Z軸のまわりの角速度を検出することができる。
4個の力検出構造体12−1〜12−4のうち、反位相となる2個以上の力検出構造体の差分を取ればよい。4個全部を使用しても、検出することができる。例えば、図12に示した電極構成の場合、{(Y2−Y1)−(Y3−Y4)}+{(X1−X2)−(X4−X3)}となる。X1〜X4及びY1〜Y4は、各電極の検出容量である。
【0068】
また、X軸方向に加速度が印加された場合には、Y軸上の2個の力検出構造体12−2,12−4がX軸方向に傾く。このときは、Y軸上の2個の力検出構造体12−2,12−4が同じ方向に傾くので、その和をとれば加速度となる。
Y軸方向に加速度が印加された場合でも、X軸方向と同様に、X軸上の2個の力検出構造体12−1,12−3の和をとることにより、Y軸方向の加速度を検出することができる。
Z軸方向に加速度が印加された場合には、4個の力検出構造体12−1〜12−4の全てが同一方向に平行移動する。そのため、総容量変化(X1+X2+X3+X4+Y1+Y2+Y3+Y4)、もしくは、最低1つの力検出構造体、例えば、力検出構造体12−1の容量変化(X1+X2等)をモニタすることにより、Z軸方向の加速度を検出することができる。
【0069】
このように、本実施の形態の慣性センサ10では、組になる力検出構造体同士で検出容量を演算することにより、加速度や角速度を検出することが可能である。さらに、従来から行われているように、角速度の出力は、基準振動に同期し加速度信号は独立で、かつ、検出する周波数も概ね200Hz以下である。そのため、得られた信号を200Hz以下とそれ以上で分別したのちに演算を行うことにより、SN比を上げることもできる。
【0070】
そして、力検出構造体12を反位相で駆動することにより、加速度外乱をキャンセルして、高精度に角速度を検出できる。また、反位相モードの場合、検出変位に遠心力等の不要な外乱変位が入らず、検出のダイナミックレンジが大きくとれ、高精度な角速度と加速度センサが実現できる。
また、回転駆動の場合、容易に駆動を実現することができ、力検出構造体12の位相遅れなく反位相を実現でき、高精度に角速度を検出することができる。
さらに、1個の力検出構造体12で複数軸の検出を行うにもかかわらず、軸間の干渉が少なく、高精度に検出することができる。
このように、1駆動振動で3軸の角速度を検出できるので、駆動回路が一式で済み、回路を小型化することができ、パッドや配線の面積も省略でき、素子も小型化できるので、低価格で薄いセンサを実現することが可能になる。
【0071】
以上説明した本実施の形態の慣性センサ10は、角速度を検出することができ、また角速度から加速度を求めることができるので、様々な電気・電子機器に適用することが可能である。
【0072】
例えば、本実施の形態の慣性センサ10は、携帯型ハードディスク駆動装置(以下、ハードディスク駆動装置を略してHDDと記す)に適用される。また、HDDを搭載するノート型パーソナルコンピュータ、HDD内蔵携帯型音楽再生装置、HDD内蔵携帯型音楽録音再生装置、HDD搭載型ビデオカメラ等のHDDを搭載した携帯型電子機器に適用される。さらに、携帯電話等の携帯端末装置に適用される。
【0073】
慣性センサ10の適用を用途別にみると、以下のように大別される。
第1の用途として、慣性センサ10は姿勢制御、動作検知に用いられる。例えば、ビデオカメラ、スチルカメラ、カメラの交換レンズ等の携帯型撮影機器、携帯電話等の携帯端末装置、ユーザ・インターフェース、ゲーム機、ゲームコントローラー、ロボットの機構制御、等に適用される。
第2の用途として、慣性センサ10は、振動制御に用いられる。例えば、全自動洗濯機、自動車、振動制御装置、等に適用される。
第3の用途として、慣性センサ10は、動作検知に用いられるものである。例えば、歩数計、防犯・防災装置、盗難防止装置、等に適用される。
第4の用途として、慣性センサ10は、衝撃(衝突)検知に用いられる。例えば、車両用エアバッグ装置、車両・船舶・航空機等の事故記録装置、HDD、等に適用される。また、携帯型HDD、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯型の音楽再生装置や音楽録音再生装置、ビデオカメラ等のHDDを搭載した携帯型電子機器に適用される。さらにまた、携帯電話等の携帯端末装置に適用される。
【0074】
このように、上述した実施の形態の慣性センサ10は、あらゆる分野の電気・電子機器に適用することが可能である。
以下、上述した本発明に係る慣性センサ10を用いた、本発明の電子機器の実施の形態を、図15〜図20を参照して説明する。
【0075】
<4.本発明の電子機器の第1の実施の形態>
本発明の電子機器の第1の実施の形態として、ビデオカメラ装置の概略構成斜視図を、図15に示す。
【0076】
図15に示すように、本実施の形態のビデオカメラ装置510は、本体511と、その前方に被写体撮影用のレンズ512とを備える。
本体511の前方(レンズ側)側面に、撮影時のスタート/ストップスイッチ513、表示部514を備え、本体511の後方にファインダー515を備える。
また、本体511の内部に、撮影した画像を記録する記録装置(図示せず)、固体撮像装置等の撮像素子516等を有する。
上記撮像素子516が搭載される基板517には、角速度センサが搭載されていて、その角速度センサとして本発明に係る慣性センサ10を用いる。
【0077】
<5.本発明の電子機器の第2の実施の形態>
次に、本発明の電子機器の第2の実施の形態として、HDD装置の概略構成図を、図16A及び図16Bに示す。図16AはHDD装置の斜視図を示し、図16BはHDD装置の内部の平面図を示している。
【0078】
図16A及び図16Bに示すように、本実施の形態のHDD装置530は、ベース部材531と、ベース部材531の内部に設置された装置を覆うカバー532とを有する。
ベース部材531の内部に設置されているベース基板533に、モータ535と、このモータ535に駆動される磁気ディスク534とが設置されている。
また、支軸536に回動自在に設けたアクチュエータアーム537、アクチュエータアーム537の先端部にヘッドサスペンション538を介して形成された磁気ヘッド539等が設けられている。磁気ヘッド539は、アクチュエータアーム537の回動によって磁気ディスク534上に移動可能となっている。
そして、ベース基板533上に、前述した本発明に係る慣性センサ10が設置されている。
なお、慣性センサ10は、ベース部材531、カバー532等に設置することも可能である。
【0079】
<6.本発明の電子機器の第3の実施の形態>
次に、本発明の電子機器の第3の実施の形態として、HDD装置を搭載したノート型パーソナルコンピュータの概略構成図を、図17A及び図17Bに示す。図17Aは、表示部を開いた状態のノート型パーソナルコンピュータの概略構成斜視図を示し、図17Bは、表示部を閉じた状態のノート型パーソナルコンピュータの概略構成斜視図を示す。
【0080】
図17A及び図17Bに示すように、本実施の形態に係るノート型パーソナルコンピュータ550は、本体551に、文字等を入力するとき操作されるキーボード552、画像を表示する表示部553、HDD装置554等を有する。
HDD装置554は、前述した本発明に係る慣性センサ10が搭載されたHDD装置530を用いる。
また、慣性センサ10は、ノート型パーソナルコンピュータ550の基板(図示せず)や、本体551や、表示部553を構成する筐体の内側の空いている領域に取付けてもよい。
【0081】
<7.本発明の電子機器の第4の実施の形態>
次に、本発明の電子機器の第4の実施の形態として、HDD装置を搭載したゲーム機の概略構成図(平面図)を、図18に示す。
【0082】
図18に示すように、本実施の形態に係るHDD装置を搭載したゲーム機570は、本体571に、画面等を操作する第1操作ボタン群572、第2操作ボタン群573、画像を表示する表示部574、HDD装置575等を有する。
HDD装置575は、前述した本発明に係る慣性センサ10が搭載されたHDD装置530を用いる。
また、慣性センサ10は、ゲーム機570の基板(図示せず)や、本体571を構成する筐体の内部側の空いている領域に取付けてもよい。
【0083】
<8.本発明の電子機器の第5の実施の形態>
次に、本発明の電子機器の第5の実施の形態として、HDD装置を搭載したビデオカメラ装置の概略構成斜視図を、図19に示す。
【0084】
図19に示すように、本実施の形態に係るHDD装置を搭載したビデオカメラ装置590は、本体591と、その前方に被写体撮影用のレンズ592とを備える。
また、本体591の前方(レンズ側)側面に撮影時のスタート/ストップスイッチ593、表示部594を備え、本体591の後方にファインダー595を備える。本体591の内部に、撮影した画像を記録するHDD装置596を有する。
HDD装置596は、前述した本発明に係る慣性センサ10が搭載されたHDD装置530を用いる。
なお、慣性センサ10は、ビデオカメラ装置590の基板(図示せず)や本体591を構成する筐体の内部側の空いている領域に取付けてもよい。
【0085】
<9.本発明の電子機器の第6の実施の形態>
次に、本発明の電子機器の第6の実施の形態として、カメラ付き携帯端末装置の概略構成図を、図20A〜図20Gに示す。図20Aは開いた状態での正面図を示し、図20Bはその側面図を示し、図20Cは閉じた状態での正面図を示し、図20Dは左側面図を示し、図20Eは右側面図を示し、図20Fは上面図を示し、図20Gは下面図を示している。
【0086】
図20A〜図20Gに示すように、本実施の形態に係るカメラ付き携帯端末装置、例えば携帯電話機610は、上側筐体611、下側筐体612、連結部(ここではヒンジ部)613を有する。上側筐体611にはディスプレイ614、サブディスプレイ615、ピクチャーライト616、カメラ617、角速度センサ618等を有する。
本実施の形態では、各速度センサ618として、前述した本発明に係る慣性センサ10を用いる。
なお、慣性センサ10は、携帯電話機610の上側筐体611の内部側の他の位置、下側筐体612の内部側の空いている領域に取付けてもよい。
【0087】
上述した電子機器の第1〜第6の実施の形態の構成によれば、本発明に係る慣性センサ10を備えたことから、慣性センサ10を小型化できるので、省スペースに慣性センサ10を設置できるという利点がある。
【0088】
上述の電子機器の各実施の形態では、図7〜図13に説明した本発明のセンサの一実施の形態である慣性センサ10を備えた電子機器を説明したが、本発明のセンサのその他の構成も、同様に各種の電子機器に適用することができる。
【0089】
図7〜図13に説明した慣性センサ10では、力検出構造体12を4個設けて慣性センサ10を構成していたが、本発明のセンサにおいては、力検出構造体の個数は限定されるものではなく、1個以上の力検出構造体で本発明のセンサを構成することができる。
また、本発明のセンサを構成する検出構造体は、力を検出する力検出構造体に限定されるものではなく、変位や速度等を検出する検出構造体も含むものである。
【0090】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【符号の説明】
【0091】
1 長方向のトレンチパターン、2 短方向のトレンチパターン、3,4 接続用のトレンチパターン、10 慣性センサ、11 駆動構造体、12,12−1,12−2,12−3,12−4,12−5,12−6 力検出構造体、21 支持部、22,22−1,22−2,22−3,22−4,22−5,22−6 梁、23 錘(振動体)、35,42 接着層、31 支持層、32 BOX層、33 活性層、34 電極層、41 Cap基板、43 検出基板、510,590 ビデオカメラ装置、511 (ビデオカメラ装置の)本体、516 撮像素子、517 基板、530,554,575,596 HDD装置、531 ベース部材、533 ベース基板、534 磁気ディスク、537 アクチュエータアーム、539 磁気ヘッド、550 ノート型パーソナルコンピュータ、551 (パーソナルコンピュータの)本体、570 ゲーム機、610 携帯電話機、611 上側筐体、612 下側筐体、618 角速度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層に複数の方向のパターンのトレンチが交差して形成されている半導体素子を製造する方法であって、
前記複数の方向のパターンのうち、少なくとも1つの方向のパターンに角度の変化点を1つ以上設けて、前記少なくとも1つの方向のパターンを延長した箇所から前記複数の方向のパターンの交差部をずらすように、前記半導体層上にマスクパターンを形成する工程と、
前記マスクパターンを使用して、エッチングにより、前記半導体層にトレンチを形成する工程とを有する
半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの方向のパターンを延長した箇所と、前記交差部とが重ならないように、前記マスクパターンを形成する請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項3】
互いに直交する2つの方向のパターンの交差部において、2つの方向のパターンの交点同士を結んだ線が三角形状となるように前記マスクパターンを形成する請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記エッチングを反応性イオンエッチングにより行う、請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項5】
半導体層と絶縁層との積層を含む振動子と、
前記半導体層と前記絶縁層との積層を含み、前記振動子を支持する支持部と、
少なくとも前記絶縁層から成り、前記振動子と前記支持部とを接続する弾性支持体と、
前記半導体層に対して形成されているトレンチにより構成され、複数の方向の前記トレンチのパターンの交差部が、少なくとも1つの方向のパターンを延長した箇所からずれて形成され、前記振動子と前記支持部とを分離する空隙とを、
含む検出構造体を1つ以上含む
センサ。
【請求項6】
前記振動子及び前記支持部が、シリコン層/酸化シリコン層/シリコン層の積層から成り、少なくとも一方の前記シリコン層に前記空隙を構成する前記トレンチが形成されている請求項5に記載のセンサ。
【請求項7】
半導体層と絶縁層との積層を含む振動子と、前記半導体層と前記絶縁層との積層を含み、前記振動子を支持する支持部と、少なくとも前記絶縁層から成り、前記振動子と前記支持部とを接続する弾性支持体と、前記半導体層に対して形成されているトレンチにより構成され、複数の方向の前記トレンチのパターンの交差部が、少なくとも1つの方向のパターンを延長した箇所からずれて形成され、前記振動子と前記支持部とを分離する空隙とを含む検出構造体を1つ以上含むセンサを備えた
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−161179(P2010−161179A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1995(P2009−1995)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】