説明

半導体素子の製造方法

【課題】 シリコンを含むN型の導電領域と直接接続される導電パターンの形成時に、N型の導電領域と接続される部分のコンタクト抵抗の増大を防止し、バリア膜の厚さ増大に伴う導電パターンの寄生容量の増大を防止できる半導体素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】 シリコンを含むN型の導電領域(207)にN型の不純物をドープして、N型の高濃度不純物拡散領域(212)を形成する工程と、CVD法を用いて高濃度不純物拡散領域(212)上にバリア用第1金属膜を蒸着し、高濃度不純物拡散領域(212)のシリコンと前記第1金属膜の金属とを反応させて、高濃度不純物拡散領域(212)と前記第1金属膜との間の界面に金属シリサイドを形成する工程、前記第1金属膜上に導電膜を形成する工程、及び、前記導電膜と前記第1金属膜とを選択的にエッチングして、導電パターンを形成する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の製造方法に関し、特に、シリコンを含む導電領域と導電パターンとの間のコンタクト抵抗を減少させることができる半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリ素子のうち、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などは、例えば、1T1C(1つのトランジスタTと1つのキャパシタC)で構成された単位セルを複数含むセル領域と、その以外の周辺領域とに大きく区分される。
【0003】
例えば、ビットライン(Bitline)は、セルトランジスタのソース側に接続されて実際にデータが伝送されるラインであって、セル領域では、ビットラインは、ソース/ドレイン領域に接続されるセルコンタクトプラグと電気的にコンタクトプラグを介して接続される。このようなビットラインを介して伝達されたセルデータを感知及び増幅するためのビットライン感知増幅器(Bitline sense amplifier)を備えた周辺領域では、ビットライン感知増幅器(具体的には、ビットライン感知増幅器をなすトランジスタのゲートとソース/ドレイン接合)とビットラインとの間の電気的な接続のためにコンタクトが必要である。
【0004】
図1は、基板の不純物拡散領域と直接接続されるビットラインを備えた半導体素子を示す断面図である。
【0005】
図1に示したように、基板100上にゲート絶縁膜101、ゲート導電膜102及び絶縁性ハードマスク103が積層され、その側面にスペーサ104とエッチング停止膜105(104及び105の全てがスペーサであってもよい)とを備えたゲート電極Gが形成されており、ゲート電極Gの側面にアラインメントされて、基板100の表面から拡張されたソース/ドレイン接合などの不純物拡散領域106が形成されている。ゲート電極G上には、絶縁膜107が形成されており、絶縁膜107の一部はエッチングされて不純物拡散領域106を露出させるホール状のオープン部108が形成されている。オープン部108のホール形状に沿って、Ti膜109、TiN膜110、及びTiN膜111の積層構造であるバリア膜が形成されており、バリア膜上にはタングステン膜112が形成されている。したがって、タングステン膜112は、バリア膜を介して基板100の不純物拡散領域106と電気的に接続されたビットラインBLとなっている。
【0006】
図1に示した構造を形成する工程を以下に説明する。
【0007】
ゲート電極Gが形成された構造の上に絶縁膜107を蒸着によって形成し、化学機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing;以下、「CMP」と記す)またはエッチバック(Etchback)により絶縁膜107を平坦化し、平坦化された絶縁膜107上にフォトレジストパターン(図示せず)を形成し、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとして絶縁膜107をエッチングしてコンタクトホールを形成し、不純物拡散領域106を露出させるオープン部108を形成する。
【0008】
次いで、形成されたオープン部108のホール形状に沿ってTi膜109及びTiN膜110を順に蒸着した後、熱処理を実施して不純物拡散領域106とTi膜109との反応を誘導し、これら両者間の界面にTiSi2膜(図示せず)を形成する。
【0009】
TiSi2膜を形成した後、後続するタングステン膜112の形成時に、タングステンの拡散を防止するために、追加のバリア膜であるTiN膜111を形成する。この場合、TiN膜111は、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition;以下、「CVD」と記す)法を用いて形成し、その後CVD法を用いてタングステン膜112を形成する。
【0010】
次いで、タングステン膜112上に、フォトレジストのマスクパターン、またはポリシリコンハードマスク及びフォトレジストパターンとが積層されたマスクパターンを形成し、このマスクパターンを用いてタングステン膜112及びバリア膜を選択的にエッチングしてビットラインBLを形成する。
【0011】
半導体素子のビットラインコンタクトの形成において、現在では、P型の不純物拡散領域と接続されるビットラインコンタクト領域は、コンタクト周辺のホウ素(Boron)のドープ濃度を上げるためにさらにイオン注入を実施する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、N型の不純物拡散領域と接続されるビットラインコンタクト領域では、砒素(As)やリン(Phosphorus)のさらなるイオン注入を実施しない。したがって、800Å以下の高集積素子では、NMOSトランジスタ側の抵抗値の増大によって電流量が減少するようになり、そのために、素子の動作速度が遅くなる問題がある。
【0013】
一方、コンタクト部分へのバリア膜すなわち、拡散防止膜の形成において、従来では、物理気相蒸着(Physical Vapor Deposition;以下、「PVD」と記す)法でTi膜及びTiN膜を蒸着し、熱処理してTiSiを形成しする。この場合、PVD法の特性上コンタクトホールの壁面では、バリア膜がほとんど形成されないので、これをカバーするためにCVD法のTiNをさらに蒸着する。したがって、ビットラインを成すタングステン膜の下には500Å〜600Å程度の厚いバリア膜が形成され、ビットライン全体の高さが高くなり、これのためにビットラインの寄生容量が増大し、素子の動作特性が低下する問題がある。
【0014】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、シリコンを含むN型の導電領域と直接接続される導電パターンの形成時に、N型の導電領域と接続される部分におけるコンタクト抵抗の増大を防止し、バリア膜の厚さの増加にともなう導電パターンの寄生容量の増大を防止できる半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した従来の技術の問題点を解決するために、本発明に係る第1の半導体素子の製造方法は、シリコンを含むN型の導電領域にN型の不純物をドープしてN型の高濃度不純物拡散領域を形成する工程、化学気相蒸着法を用いて、前記高濃度不純物拡散領域上にバリア用第1金属膜を蒸着によって形成し、前記高濃度不純物拡散領域のシリコンと前記第1金属膜の金属とを反応させて、前記高濃度不純物拡散領域と前記第1金属膜との間の界面に金属シリサイドを形成する工程、前記第1金属膜上に導電膜を形成する工程、及び前記導電膜と前記第1金属膜とを選択的にエッチングして導電パターンを形成する工程を含むことを特徴としている。
【0016】
また、上記した問題点を解決するために、本発明の係る第2の半導体素子の製造方法は、基板にN型の不純物拡散領域を形成する工程、前記不純物拡散領域にさらにN型の不純物をドープしてN型の高濃度不純物拡散領域を形成する工程、化学気相蒸着法を用いて、前記高濃度不純物拡散領域上にバリア用第1金属膜を蒸着によって形成し、前記高濃度不純物拡散領域のシリコンと前記第1金属膜の金属とを反応させて、前記高濃度不純物拡散領域と前記第1金属膜との間の界面に金属シリサイドを形成する工程、前記第1金属膜上に導電膜を形成する工程、及び前記導電膜と前記第1金属膜とを選択的にエッチングして、導電パターンを形成する工程を含むことを特徴としている。
【0017】
また、上記した問題点を解決するために、本発明に係る第3の半導体素子の製造方法は、シリコンを含むN型の導電領域を有する下部構造上に絶縁膜を形成する工程、前記絶縁膜を選択的にエッチングして、前記N型の導電領域を露出させるオープン部を形成する工程、前記オープン部を通して露出された前記N型の導電領域にN型の不純物をドープして、N型の高濃度不純物拡散領域を形成する工程、化学気相蒸着法を用いて、前記オープン部の形状に沿ってバリア用第1金属膜を蒸着によって形成し、前記高濃度不純物拡散領域のシリコンと前記第1金属膜の金属とを反応させて、前記高濃度不純物拡散領域と前記第1金属膜との間の界面に金属シリサイドを形成する工程、前記第1金属膜上に導電膜を形成する工程、及び前記導電膜と前記第1金属膜とを選択的にエッチングして、導電パターンを形成する工程を含むことを特徴としている。
【0018】
また、上記した問題点を解決するために、本発明に係る第4の半導体素子の製造方法は、シリコンを含む基板にN型の不純物拡散領域を形成する工程、前記基板上に絶縁膜を形成する工程、前記絶縁膜を選択的にエッチングして、前記N型の不純物拡散領域を露出させるオープン部を形成する工程、前記オープン部を通して露出された前記N型の不純物拡散領域にさらにN型の不純物をドープして、N型の高濃度不純物拡散領域を形成する工程、化学気相蒸着法を用いて、前記オープン部の形状に沿ってバリア用第1金属膜を蒸着によって形成し、前記高濃度不純物拡散領域のシリコンと前記第1金属膜の金属とを反応させて、前記高濃度不純物拡散領域と前記第1金属膜との間の界面に金属シリサイドを形成する工程、前記第1金属膜上に導電膜を形成する工程、及び前記導電膜と前記第1金属膜とを選択的にエッチングして、導電パターンを形成する工程を含むことを特徴としている。
【0019】
また、上記した第1〜第4の半導体素子の製造方法の何れかにおいて、NMOSのソース/ドレインのようにシリコンを含むN型の不純物拡散領域のうち、ビットラインなどの導電パターンと接続される部分にN型の不純物である砒素(As)などを追加にドープして、不純物濃度を上げてコンタクト抵抗を下げることができる。
【0020】
また、Ti膜などのバリア用第1金属膜をCVD法で薄く蒸着すると同時に下部の不純物拡散領域のシリコンと第1金属膜の金属とを反応させて、TiSi2などの金属シリサイドを形成し、またTiNなどのバリア用第2金属膜をCVD法で蒸着してバリア膜構造を形成することによって、導電パターンでバリア膜が占める高さを大きく減少させることができるようにする。
【0021】
また、バリア用第1金属膜蒸着時、温度と厚さとを最適化することによって、非常に小さいコンタクト抵抗値を得ることができるようにする。
【発明の効果】
【0022】
上述した本発明によれば、N型不純物を追加してドープすることによってコンタクト抵抗を25%程度下げることができ、電流量及び素子の動作速度を増大させることができる。
【0023】
また本発明によれば、化学気相蒸着法でバリア膜を蒸着することによって、従来技術と比較して、導電パターンのバリア膜の厚さを画期的に減少させることができるので、導電パターンの寄生容量を減少させることができる。従って、素子の導電パターンがビットラインの場合、半導体メモリ素子におけるリフレッシュなどの特性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付する図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図2A〜図2Eは、本発明の実施の形態に係る半導体素子の製造方法を示す断面図であり、特に、その一例であるビットライン形成工程を示す断面図である。
【0026】
まず、図2Aに示したように、半導体素子を構成する様々の要素が形成された基板200上に、ゲート絶縁膜201を形成する。ゲート絶縁膜201には、酸化膜系の絶縁性膜を用いる。ここで、基板200は、通常のシリコン基板である。
【0027】
ゲート絶縁膜201上に導電膜及びハードマスク用絶縁膜を順に蒸着によって形成し、フォトリソグラフィーによりゲート電極パターン形成のためのマスクパターンを形成し、このマスクパターンをエッチングマスクとして導電膜及びハードマスク用絶縁膜をエッチングすることによって、ハードマスク203及びゲート導電膜202の積層構造を有するゲート電極を形成する。
【0028】
ゲート導電膜202は、ポリシリコン、タングステン、タングステンシリサイド、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)などの単独構造、またはこれらが組み合わさった複合構造に形成され、ゲートハードマスク203は、窒化膜系または酸化膜系の絶縁性膜を含んで形成される。
【0029】
次いで、形成されたゲート電極構造の形状に沿って、窒化膜若しくは酸化膜の単独構造、またはこれらの膜が組み合わされた構造に絶縁膜を蒸着によって形成し、エッチバック工程を実施してゲート電極側壁にスペーサ204を形成する。スペーサ204は、後続するエッチング工程でゲート電極がアタックされるのを防止するためのものである。次いで、スペーサ204上にエッチング停止膜205を形成する。
【0030】
エッチング停止膜205は、自己整列コンタクト(Self Align Contact;以下、「SAC」と記す)などのエッチング工程において、エッチングを防止する役割をし、その材料には主に窒化膜系を用いる。
【0031】
ここで、エッチング停止膜205は、スペーサとの二重構造と見做すことができる。
【0032】
次いで、イオン注入206を実施してゲート電極の側面にアラインメントするように基板200にN型の不純物をドープし、熱処理によりドープされた不純物を拡散させてソース/ドレインなどのN型の不純物拡散領域207を形成する。
【0033】
この場合、N型の不純物には、例えば砒素を用い、その濃度は2×1015atoms/cm2〜5×1015atoms/cm2程度にする。また、イオン注入エネルギーは12KeV〜18KeVを用いる。
【0034】
次いで、図2Bに示したように、全面に絶縁膜208を形成する。絶縁膜208は、酸化膜系の絶縁性膜や、有機または無機系の低誘電率膜であってもよい。
【0035】
酸化膜系の絶縁性膜としては、BSG(Boro Silicate Glass)膜、BPSG(Boro Phospho Silicate Glass)膜、PSG(Phospho Silicate Glass)膜、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜、HDP(High Density Plasma)酸化膜、SOG(Spin On Glass)膜、APL(Advanced Planarization layer)膜などの単独構造、またはこれらが組み合わされた構造であってもよい。
【0036】
ここでは、一例として、LP−TEOS膜(LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法で蒸着したTEOS膜)を絶縁膜208として用い、絶縁膜208の厚さを1200Å〜2000Åに形成する。
【0037】
次いで、後続するフォトリソグラフィー工程におけるマージンを確保するために、絶縁膜208の上部をCMPまたはエッチバック処理を用いて平坦化させる。
【0038】
次いで、平坦化された絶縁膜208上にフォトレジストパターン209を形成し、フォトレジストパターン209をエッチングマスクとして絶縁膜208をエッチングし、ビットラインコンタクトが形成される不純物拡散領域207を露出させるオープン部210を形成する。
【0039】
次いで、フォトレジストストリップ(Photo Resist Strip)工程を実施して、フォトレジストパターン209を除去する(図2B参照)。この場合、マスクパターンとしてフォトレジストパターン209だけを単独に用いるときには、エッチング時にバリアとしての役割をすることができる程度の厚さ、即ち2500Å〜3500Å程度の厚さにフォトレジストパターン209を形成する。
【0040】
上記では、マスクパターンとしてフォトレジストパターン209を単独で用いる場合を一例に説明したが、パターンの高解像度化(微細化)に伴いフォトレジストパターン209の厚さが低下し、これによるエッチングバリアとしての特性の低下をカバーするために、フォトレジスト209の下に犠牲ハードマスクを用いてもよい。犠牲ハードマスクの物質としては、主に窒化膜、タングステン膜、ポリシリコン膜などを用いればよい。
【0041】
次いで、図2Cに示したように、イオン注入211を実施して、オープン部210を形成してビットラインコンタクト形成用に露出させたN型の不純物拡散領域207にN型の不純物をイオン注入した後、熱処理を実施してドープされた不純物を拡散させてN型の不純物拡散領域207内にN型の高濃度不純物拡散領域212を形成する。これによって、後続するビットラインコンタクトがなされる部分での剰余電子の濃度が増大する。
【0042】
ここで、N型の不純物としては例えば砒素を用い、その濃度は、2×1015atoms/cm2〜5×1015atoms/cm2程度にする。また、イオン注入エネルギーは、7KeV〜12KeVを用いる。イオン注入エネルギーが、不純物拡散領域207の形成時に比べて低いため、高濃度不純物拡散領域212は不純物拡散領域207の内部に形成される。
【0043】
熱処理は、750℃〜850℃の温度範囲で実施する急速熱処理(Rapid Thermal Process;以下、「RTP」と記す)を、20秒〜40秒間実施する。この急速熱処理は、N2またはAr雰囲気中で実施することが好ましい。
【0044】
次いで、図2Dに示したように、CVD法を用いて、オープン部210の形状に沿ってTi膜213を蒸着によって形成する。この場合、CVD法の特性上、熱によりTi膜213のTiと高濃度不純物拡散領域212のシリコンが反応してシリサイド(TiSi2)215が形成される。シリサイド215を円滑に形成するために、蒸着温度は690℃以上の温度を維持することが好ましく、絶縁膜208上に蒸着によって形成するTi膜213の厚さは、5Å〜15Åと非常に薄くする。シリサイド215は、シリコン基板に40Å〜100Åの厚さに形成する。Ti膜213の蒸着時には、TiCl4及びH2をソースガスとして用いる。
【0045】
次いで、Ti膜213の形状に沿ってCVD法を用いてTiN膜214を形成する。蒸着によって形成するTiN膜214の厚さは、10Å〜20Åと非常に薄くする。
【0046】
これによって、TiN膜214及びTi膜213からなる構造のバリア膜と、その下に形成されたオーミックコンタクトのためのシリザイド215とを備えた構造が完成する。この後、バリア特性の向上のために、さらに熱処理を実施することもできる。この熱処理は、750℃〜850℃の温度範囲で実施するRTP処理を、20秒〜40秒間実施すればよい。
【0047】
上記では、バリア膜としてTiN膜及びTi膜の積層構造を一例として説明したが、これに限定されず、この他にもTaまたはTaNなど、シリコンと反応してシリサイドの形成が可能であり、且つバリア特性に優れた様々の金属膜を、単独または積層構造に形成して、バリア膜とすることができる。
【0048】
次いで、図2Eに示したように、バリア膜が形成された全面にビットライン用導電膜とするタングステン膜216を蒸着により形成し、タングステン膜216の上にフォトレジストのマスクパターン、またはポリシリコンハードマスク及びフォトレジストパターンが積層されたマスクパターンを形成し、このマスクパターンを用いてタングステン膜216とバリア膜とを選択的にエッチングして、ビットラインを形成する。
【0049】
ここで、ビットライン用導電膜としては、上述したタングステン膜216に限定されず、ポリシリコン膜、タングステンシリサイド、タングステンナイトライド膜、TiN膜、Ti膜、Ta膜、TaN膜などの単独またはこれらを組み合わせた構造であってもよい。
【0050】
タングステン膜216をCVD法で蒸着する場合、H2及びSiH4(またはSi26)を用いてWF6を還元させてタングステンを蒸着し、形成されたタングステン膜216の厚さが500Å〜800Åになるようにする。
【0051】
以上ではビットライン形成工程を一例として説明したが、ビットライン形成工程に限定されず、シリコンを含むN型の導電領域と直接接続されるあらゆる導電パターン、例えば、セルコンタクトプラグ、金属コンタクト、金属配線などの形成工程に、本発明を適用することが可能である。
【0052】
上述したように、本発明は、導電パターンと接続されるシリコンを含むN型の導電領域に、N型の不純物である砒素(As)などをさらにドープして不純物濃度を高くすることによってコンタクト抵抗を下げ、Ti膜などのバリア用第1金属膜をCVD法で薄く蒸着すると同時に、下部の不純物拡散領域のシリコンと第1金属膜の金属とを反応させてTiSi2などの金属シリサイドを形成し、またTiNなどのバリア用第2金属膜をCVD法で蒸着してバリア膜構造を形成する。従って、これによって、導電パターンにおいてバリア膜が占める高さを大きく減少させることができ、バリア用第1金属膜の蒸着時の温度と厚さとを最適化することによって、非常に小さいコンタクト抵抗値を実現できる。
【0053】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明に係る技術的思想から逸脱しない範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】基板の不純物拡散領域と直接コンタクトするビットラインを備える半導体素子を示す断面図である。
【図2A】本発明の実施の形態に係るビットライン形成工程を示す断面図である。
【図2B】本発明の実施の形態に係るビットライン形成工程を示す断面図である。
【図2C】本発明の実施の形態に係るビットライン形成工程を示す断面図である。
【図2D】本発明の実施の形態に係るビットライン形成工程を示す断面図である。
【図2E】本発明の実施の形態に係るビットライン形成工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
200 基板
201 ゲート絶縁膜
202 ゲート導電膜
203 ゲートハードマスク
204 スペーサ
205 エッチング停止膜
206 イオン注入
207 N型の不純物拡散領域
208 絶縁膜
209 フォトレジストパターン
210 オープン部
211 イオン注入
212 N型の高濃度不純物拡散領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンを含むN型の導電領域にN型の不純物をドープしてN型の高濃度不純物拡散領域を形成する工程、
化学気相蒸着法を用いて、前記高濃度不純物拡散領域上にバリア用第1金属膜を蒸着によって形成し、前記高濃度不純物拡散領域のシリコンと前記第1金属膜の金属とを反応させて、前記高濃度不純物拡散領域と前記第1金属膜との間の界面に金属シリサイドを形成する工程、
前記第1金属膜上に導電膜を形成する工程、及び
前記導電膜と前記第1金属膜とを選択的にエッチングして導電パターンを形成する工程
を含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項2】
基板にN型の不純物拡散領域を形成する工程、
前記不純物拡散領域にさらにN型の不純物をドープしてN型の高濃度不純物拡散領域を形成する工程、
化学気相蒸着法を用いて、前記高濃度不純物拡散領域上にバリア用第1金属膜を蒸着によって形成し、前記高濃度不純物拡散領域のシリコンと前記第1金属膜の金属とを反応させて、前記高濃度不純物拡散領域と前記第1金属膜との間の界面に金属シリサイドを形成する工程、
前記第1金属膜上に導電膜を形成する工程、及び
前記導電膜と前記第1金属膜とを選択的にエッチングして、導電パターンを形成する工程
を含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項3】
シリコンを含むN型の導電領域を有する下部構造上に絶縁膜を形成する工程、
前記絶縁膜を選択的にエッチングして、前記N型の導電領域を露出させるオープン部を形成する工程、
前記オープン部を通して露出された前記N型の導電領域にN型の不純物をドープして、N型の高濃度不純物拡散領域を形成する工程、
化学気相蒸着法を用いて、前記オープン部の形状に沿ってバリア用第1金属膜を蒸着によって形成し、前記高濃度不純物拡散領域のシリコンと前記第1金属膜の金属とを反応させて、前記高濃度不純物拡散領域と前記第1金属膜との間の界面に金属シリサイドを形成する工程、
前記第1金属膜上に導電膜を形成する工程、及び
前記導電膜と前記第1金属膜とを選択的にエッチングして、導電パターンを形成する工程
を含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項4】
シリコンを含む基板にN型の不純物拡散領域を形成する工程、
前記基板上に絶縁膜を形成する工程、
前記絶縁膜を選択的にエッチングして、前記N型の不純物拡散領域を露出させるオープン部を形成する工程、
前記オープン部を通して露出された前記N型の不純物拡散領域にさらにN型の不純物をドープして、N型の高濃度不純物拡散領域を形成する工程、
化学気相蒸着法を用いて、前記オープン部の形状に沿ってバリア用の第1金属膜を蒸着によって形成し、前記高濃度不純物拡散領域のシリコンと前記第1金属膜の金属とを反応させて、前記高濃度不純物拡散領域と前記第1金属膜との間の界面に金属シリサイドを形成する工程、
前記第1金属膜上に導電膜を形成する工程、及び
前記導電膜と前記第1金属膜とを選択的にエッチングして、導電パターンを形成する工程
を含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項5】
前記高濃度不純物拡散領域を形成する工程が、
砒素(As)をイオン注入した後、熱処理して前記高濃度不純物拡散領域を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかの項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項6】
前記高濃度不純物拡散領域を形成する工程が、
前記砒素を2×1015atoms/cm2〜5×1015atoms/cm2の濃度で、7KeV〜12KeVのイオン注入エネルギーを用いて注入する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記熱処理が、750℃〜850℃の温度で20秒〜40秒間実施する急速熱処理であることを特徴とする請求項5に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項8】
前記熱処理が、窒素またはアルゴンの雰囲気中で実施されることを特徴とする請求項7に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項9】
前記第1金属膜が、少なくとも690℃の温度で蒸着されることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかの項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項10】
前記第1金属膜が、蒸着により5Å〜15Åの厚さに形成され、
前記金属シリサイドが、40Å〜100Åの厚さに形成されることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかの項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項11】
前記第1金属膜を蒸着する工程の後、前記第1金属膜上にバリア用第2金属膜を蒸着して、熱処理する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかの項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項12】
前記第2金属膜が、蒸着により10Å〜20Åの厚さに形成されることを特徴とする請求項11に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項13】
前記熱処理が、750℃〜850℃の温度で20秒〜40秒間実施する急速熱処理であることを特徴とする請求項11に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項14】
前記第1金属膜がTi膜であり、
前記第2金属膜がTiN膜であり、
前記金属シリサイドがTiSi2であることを特徴とする請求項11に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項15】
前記N型の不純物拡散領域を形成する工程が、
砒素をイオン注入し、熱処理してN型の不純物拡散領域を形成する工程を含むことを特徴とする請求項2または請求項4に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項16】
前記N型の不純物拡散領域を形成する工程が、
前記砒素を2×1015atoms/cm2〜5×1015atoms/cm2の濃度で、12KeV〜18KeVのイオン注入エネルギーを用いて注入する工程を含むことを特徴とする請求項15に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項17】
前記導電膜が、タングステン膜を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかの項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項18】
前記導電膜が、500Å〜800Åの厚さに形成されることを特徴とする請求項17に記載の半導体素子の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【公開番号】特開2006−13424(P2006−13424A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−370492(P2004−370492)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【Fターム(参考)】