説明

半導体素子及び半導体素子の製造方法

【課題】急峻な不純物分布のhalo層を備える半導体素子及び半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る半導体素子1は、半導体基板10と、半導体基板10に設けられる凸領域12と、凸領域12上に設けられるゲート絶縁膜100と、ゲート絶縁膜100の下の凸領域12内に位置するチャネル領域101と、凸領域12の両側に設けられ、チャネル領域101の両側にエクステンション115aを有するソースドレイン領域115と、凸領域12とソースドレイン領域115との間に設けられ、凸領域12と接触する部分に境界を有して設けられるhalo層110とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子及び半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲートパターンの両側に不純物イオンをイオン注入することにより予備的なhalo領域を形成した後、ゲートパターン側壁にスペーサを形成して予備的なhalo領域の一部にエッチング処理を施すことにより、halo領域を形成した半導体素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−60188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の半導体素子によれば、halo領域をイオン注入により形成しているので、halo領域の不純物がチャネル領域まで到達してチャネル領域における移動度が低下する。したがって、halo領域の不純物濃度をイオン注入により増大させると、ゲートの微細化に伴ってチャネル領域に分布する不純物の濃度も増加するので、イオン注入によりhalo領域を形成する手法では半導体素子の性能の向上には限界がある。
【0004】
本発明の目的は、急峻な不純物分布のhalo層を備える半導体素子及び半導体素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、半導体基板と、半導体基板に設けられる凸領域と、凸領域上に設けられるゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜の下の凸領域内に位置するチャネル領域と、凸領域の両側に設けられ、チャネル領域の両側にエクステンションを有するソースドレイン領域と、凸領域とソースドレイン領域との間に設けられ、凸領域と接触する部分に境界を有して設けられるhalo層とを備える半導体素子を提供する。
【0006】
また、本発明の他の一態様は、半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、ゲート電極の側面にゲート側壁を形成する工程と、ゲート側壁が形成されたゲート電極をマスクとして、半導体基板をエッチングする工程と、半導体基板をエッチングする工程においてエッチングされた半導体基板上に、halo層をエピタキシャル成長させる工程と、halo層上にソースドレイン領域をエピタキシャル成長させる工程とを備える半導体素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、急峻な不純物分布のhalo層を備える半導体素子及び半導体素子の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[第1の実施の形態]
(半導体素子1の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体素子の部分断面の概要を示す。
【0009】
第1の実施の形態に係る半導体素子1は、所定の高さの凸領域12を所定の領域に有する半導体基板10と、半導体基板10の表面(すなわち、凸領域12が設けられている領域を除く半導体基板10の表面)及び凸領域12の側面に接触して設けられるhalo層110と、半導体基板10及び凸領域12と接触している側の反対側のhalo層110の表面に接触すると共に、エクステンション115aを有するソースドレイン領域115とを備える。
【0010】
また、半導体素子1は、凸領域12の上面にゲート絶縁膜100を介して設けられるゲート電極102と、ゲート絶縁膜100と接触している側の反対側のゲート電極102の表面に設けられるキャップ層106と、ゲート絶縁膜100の側面、ゲート電極102の側面、及びキャップ層106の側面にそれぞれ接触して設けられるゲート側壁104とを備える。
【0011】
更に、半導体素子1は、ソースドレイン領域115の表面、ゲート側壁104の表面、及びキャップ層106の表面にそれぞれ接触して設けられるライナー膜125と、ソースドレイン領域115とゲート側壁104とキャップ層106と接触している面の反対側のライナー膜125上に設けられる層間絶縁膜130とを備える。また、半導体素子1は、層間絶縁膜130及びライナー膜125の所定の領域を貫通して設けられ、下端においてソースドレイン領域115と電気的に接続するコンタクトプラグ140と、コンタクトプラグ140の上端と電気的に接続するコンタクト150とを備える。また、半導体素子1は、半導体素子が設けられる素子領域を分離する素子分離領域120を備える。
【0012】
本実施の形態に係る半導体素子1は、一例として、トランジスタ(例えば、Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:MOSFET)である。具体的に、本実施の形態に係る半導体素子1は、32nm node以降の微細構造を有するトランジスタの一例である。
【0013】
半導体基板10は、所定の導電型を有する半導体材料から形成され、所定の厚さを有する。半導体基板10は、一例として、シリコン(Si)から形成される。また、半導体基板10は、シリコンゲルマニウム(SiGe)又はSilicon On Insulator(SOI)基板等から形成することもできる。素子分離領域120は、一例として、Shallow Trench Isolation(STI)構造を有して形成され、二酸化シリコン(SiO)等の絶縁性材料から形成される。
【0014】
凸領域12は、一例として、halo層110を介してエクステンション115aに挟まれる部分(以下、エクステンション115aに対応する部分という)と、エクステンション115aに対応する部分以外、つまり、エクステンション115aに対応する部分を除いた部分であって、halo層110を介してソースドレイン領域115に挟まれる部分(以下、ソースドレイン領域115に対応する部分という)とで異なる幅を有する。すなわち、第1の実施の形態に係る凸領域12は、所定の高さの段差を有して形成される。具体的に、第1の実施の形態に係る凸領域12は、エクステンション115aに対応する部分の幅が、ソースドレイン領域115に対応する部分の幅よりも狭く形成される。そして、凸領域12は、エクステンション115aに対応する部分に、チャネル領域101を含む。
【0015】
halo層110は、凸領域12とソースドレイン領域115との間であって、少なくともリークパスに該当する部分を含む領域に設けられる。具体的に、凸領域12の断面において、少なくとも、凸領域12の側面から凸領域12の内側に向かって凸形状を有する部分112a及び部分112bに対応する領域に、halo層110は設けられる。また、halo層110は、半導体基板10の表面と接触する部分、及び凸領域12の側面と接触する部分、並びに、エクステンション115aと接触する部分、及びソースドレイン領域115と接触する部分のそれぞれにおいて境界を有する。
【0016】
具体的に、halo層110は、ソースドレイン領域115と接触して形成される境界111aを有しており、エクステンション115aと接触して形成される境界111bを有する。また、halo層110は、エクステンション115aに対応する部分の凸領域12の側面と接触して形成される境界111cを有しており、ソースドレイン領域115に対応する部分の凸領域12の側面と接触して形成される境界111dを有する。
【0017】
また、halo層110は、所定の導電型の所定の濃度の不純物を含むSi等の半導体材料から形成される。ここで、halo層110が含む不純物の濃度は、一例として、ソースドレイン領域115間のパンチスルー電流を抑制するhalo層110の機能が発現する濃度であって、halo層110の厚さに応じて決定される濃度である。例えば、halo層110は、1018cm−3オーダーの濃度で不純物を含む。halo層110に含まれる不純物は、半導体素子1が第1導電型としてのn型の半導体素子としてのMOSFETの場合、halo層110を第2の導電型としてのp型にすることを目的として、ホウ素(B)、インジウム(In)等のp型用の不純物を用いる。一方、半導体素子1がp型の半導体素子としてのMOSFETの場合、halo層110をn型にすることを目的として、ヒ素(As)、リン(P)等のn型用の不純物を用いる。
【0018】
第1の実施の形態においてhalo層110は、半導体基板10、凸領域12、及びエクステンション115aを有するソースドレイン領域115のそれぞれと接触する部分に境界をそれぞれ有する。そして、これらの境界が存在することにより、半導体基板10とhalo層110との界面(界面A)、凸領域12とhalo層110との界面(界面B)、並びにhalo層110とソースドレイン領域115及びエクステンション115aとの界面(界面C)のそれぞれにおいて、halo層110に含まれる不純物の濃度は急峻に変化する。すなわち、halo層110に含まれる不純物の濃度は、界面A、界面B、及び界面Cを境としてhalo層110の外側において急激に減少する。このような境界により、halo層110の不純物の存在する領域は、halo層110に実質的に限定される。
【0019】
ソースドレイン領域115は、凸領域12の両側面にhalo層110を介して設けられる。また、ソースドレイン領域115は、チャネル領域101の両側に位置する領域にエクステンション115aを有して設けられる。そして、ソースドレイン領域115は、所定の濃度の所定の導電型の不純物を含む半導体材料から形成される。例えば、ソースドレイン領域115は、Si又はSiGe等の半導体材料から形成される。半導体素子1がn型のMOSFETの場合、ソースドレイン領域115は、As、P等のn型用の不純物を含む。また、半導体素子1がp型のMOSFETの場合、ソースドレイン領域115は、B、In等のp型用の不純物を含む。第1の実施の形態において、ソースドレイン領域115の不純物の濃度と、エクステンション115aの不純物の濃度とは実質的に同一にすることができる。
【0020】
ライナー膜125は、一例として、窒化ケイ素(SiN)、SiO等の絶縁性材料から形成される。また、ゲート絶縁膜100は、一例として、SiO、SiN、SiON、又は高誘電材料(例えば、HfSiON、HfSiO、HfO等のHf系材料、ZrSiON、ZrSiO、ZrO等のZr系材料、Y等のY系材料)等の絶縁性材料から形成される。また、ゲート側壁104は、一例として、SiN等の絶縁性材料から形成される。
【0021】
ゲート電極102は、所定の導電型の不純物を含む多結晶シリコン(ポリシリコン)又は多結晶シリコンゲルマニウムから所定の幅を有して形成される。例えば、半導体素子1がn型のMOSFETの場合、ゲート電極102は、As又はP等のn型用の不純物を含む。また、半導体素子1がp型のMOSFETの場合、B又は二フッ化ホウ素(BF)等のp型用の不純物を含む。また、ゲート電極102は、タングステン(W)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、モリブデン(Mo)、又はアルミニウム(Al)等の金属材料、若しくはこれら金属材料の化合物等からなるメタルゲート電極から形成することもできる。更に、キャップ層106は、一例として、SiN等の絶縁性材料から所定の厚さを有して形成することができる。
【0022】
層間絶縁膜130は、ライナー膜125に対して選択的にエッチングできる絶縁性材料から形成される。層間絶縁膜130は、例えば、ライナー膜125がSiNから形成される場合、一例として、SiOから形成される。層間絶縁膜130は、SiOにカーボン(C)を添加したSiOC、窒素(N)を添加したSiON、フッ素(F)を添加したSiOF、B及びPを添加したBPSG等のシリコン酸化物、SiOCH、ポリメチルシロキサン、ポリアリーレン、ベンゾオキサボール等の有機絶縁材料から形成することもできる。
【0023】
コンタクトプラグ140は、導電性材料から形成され、例えば、銅(Cu)、Al、金(Au)、銀(Ag)、W、Mo、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、又は鉄(Fe)等のプラグ材料としての金属材料を含んで形成される。また、コンタクト150は、導電性材料から所定のパターンを有して形成される。コンタクト150はそれぞれ、一例として、Cu、Al、Au、Ag、又はW等の金属材料を含んで形成される。
【0024】
(変形例)
本実施の形態において、凸領域12は、半導体基板10の表面に略垂直な面と半導体基板10の表面に略平行な面とを有して構成されているが、halo層110と凸領域12との間にhalo層110と凸領域12とが接触することにより形成される境界が存在する限り、凸領域12の形状は本実施の形態に限られない。例えば、半導体基板10の表面に対して所定の角度で傾斜する傾斜面を凸領域12が有するように、凸領域12を形成することができる。また、湾曲した面を凸領域12が有するように、凸領域12を形成することもできる。
【0025】
(半導体素子1の製造方法)
図2Aから図2Iは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面の概要を示す。
【0026】
まず、シリコンから形成される半導体基板10に、複数の半導体素子1を形成する領域をそれぞれ分離する素子分離領域120を形成する(図示しない)。続いて、半導体基板10の所定の領域に、SiOから形成されるゲート絶縁膜100を介してポリシリコンから形成されるゲート電極102を形成する。そして、ゲート絶縁膜100及びゲート電極102の両側壁に、エクステンション115aの領域を規定するオフセットスペーサとしての機能を有するゲート側壁104を形成する。ゲート絶縁膜100と、ゲート電極102と、ゲート側壁104とは、Chemical Vapor Deposition(CVD)法等の成膜法、及びフォトリソグラフィー法を用いて形成する。
【0027】
次に、ゲート電極102上に、キャップ層106を形成する。キャップ層106は、一例として、CVD法を用いて形成する(図2A)。なお、キャップ層106は、後の工程において実施するエッチング処理、エピタキシャル成長等からゲート電極102が変質することを防止する。
【0028】
次に、キャップ層106及びゲート側壁104をマスクとして、半導体基板10にエッチング処理を施す。エッチング処理は、一例として、ドライエッチング処理としての反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)法を用いることができる。これにより、図2Bに示すように、キャップ層106及びゲート側壁104の直下を除く部分の半導体基板10がエッチングされ、半導体基板10の表面10b(ゲート絶縁膜100と半導体基板10との界面に略水平な表面)と、表面10bに略垂直な表面10aが形成される。
【0029】
ここで、ドライエッチング処理によって半導体基板10をエッチングする深さは、半導体基板10の表面とゲート絶縁膜100とが接触する面と、ドライエッチング処理により形成される半導体基板10の表面10bとの距離が、少なくとも、製造されるべき半導体素子1が備えるエクステンション115aの厚さ以上となる深さである。
【0030】
次に、図2Cに示すように、ゲート側壁104及び半導体基板10の表面10aにスペーサ160を形成する。スペーサ160は、例えば、SiN等の絶縁性材料を半導体基板10及びゲート側壁104並びにキャップ層106上に成膜した後、成膜した層にドライエッチング処理を施して形成する。また、スペーサ160は、フォトレジストから形成することもできる。
【0031】
次に、図2Dに示すように、スペーサ160をマスクとして、半導体基板10にドライエッチング処理を施す。これにより、スペーサ160の直下を除く部分の半導体基板10がエッチングされ、半導体基板10の表面10c(ゲート絶縁膜100と半導体基板10との界面に略水平な表面)と、表面10cに略垂直な表面10aが形成され、凸領域12が形成される。なお、スペーサ160をマスクとして、半導体基板10にウェットエッチング処理を施すことにより、凸領域12を形成することもできる。
【0032】
ここで、図2Dの工程におけるドライエッチング処理によって半導体基板10をエッチングする深さは、半導体基板10の表面とゲート絶縁膜100とが接触する面と、ドライエッチング処理により形成される半導体基板10の表面10cとの距離が、少なくとも、製造されるべき半導体素子1が備えるソースドレイン領域115の厚さ以上となる深さである。
【0033】
次に、図2Eに示すように、スペーサ160を除去する。これにより、半導体基板10及び凸領域12と、後に形成されるhalo層110との境界としての凸領域12の表面10a及び10dと、半導体基板10の表面10cが形成される。すなわち、第1の実施の形態においては、半導体基板10にエッチング処理を施すことにより、半導体基板10及び凸領域12と、halo層110との境界が決定される。
【0034】
次に、図2Fに示すように、半導体基板10の表面、及び凸領域12の側面に、halo層110をエピタキシャル成長させる。halo層110は、半導体基板10の表面及び凸領域12の表面に沿ってエピタキシャル成長する。具体的に、halo層110を構成する半導体材料の原料と、成長させるhalo層110に含ませるべき不純物の原料とを同時に用い、半導体基板10及び凸領域12の側面に半導体層をエピタキシャル成長させつつ、エピタキシャル成長している半導体層に不純物を添加することにより、半導体基板10及び凸領域12の側面にhalo層110を形成する。なお、エピタキシャル成長中に所定の不純物を添加しながら半導体層を結晶成長させるエピタキシャル成長を、以下、in situエピタキシャル成長という。そして、halo層110は、in situエピタキシャル成長によって、所定の膜厚に制御されて形成される。
【0035】
ここで、図2Fに示すように、halo層110が形成されると、凸領域12の側面のうち、エクステンション115aに対応する部分とhalo層110とが接触する部分に境界111cが形成され、凸領域12の側面のうち、エクステンション115aに対応する部分を除く部分(ソースドレイン領域115に対応する部分)とhalo層110とが接触する部分に境界111dが形成される。更に、halo層110は、凸領域12のリークパスになり得る部分112a及び部分112bに少なくとも接触して形成される。
【0036】
次に、図2Gに示すように、halo層110の上に、所定の半導体層をin situエピタキシャル成長させる。本実施の形態において凸領域12は、エクステンション115aに対応する部分の幅が、ソースドレイン領域115に対応する部分の幅より狭い。したがって、所定の半導体層をin situエピタキシャル成長させるだけで、凸領域12の形状に応じたエクステンション115aを有したソースドレイン領域115が形成される。
【0037】
エクステンション115aを有するソースドレイン領域115のin situエピタキシャル成長は、ソースドレイン領域115を形成する半導体に添加する所定の濃度の所定の不純物を添加しつつ実施する。なお、ソースドレイン領域115のin situエピタキシャル成長は、半導体基板10側からエクステンション115aの側への結晶成長の進行に応じて、添加する不純物濃度を変化させることもできる。
【0038】
ここで、エクステンション115aを有したソースドレイン領域115が形成されると、halo層110の表面とエクステンション115aとが接触する部分とに境界111bが形成され、halo層110の表面とソースドレイン領域115とが接触する部分に境界111aが形成される。なお、in situエピタキシャル成長後において、エクステンション115aの不純物濃度、及びソースドレイン領域115の不純物濃度が、製造すべき半導体素子1に要される不純物濃度に満たない場合、エクステンション115a及びソースドレイン領域115に対して、所定の導電型の不純物のイオンをイオン注入する。
【0039】
続いて、halo層110に含まれる不純物と、エクステンション115aに含まれる不純物と、ソースドレイン領域115に含まれる不純物とのそれぞれを活性化させることを目的として、エクステンション115aを有したソースドレイン領域115を形成した後、Spike Rapid Thermal Annealing(Spike RTA)、又はMilli Second Annealing(MSA)等の熱処理を施す。
【0040】
次に、図2Hに示すように、ソースドレイン領域115の表面、ゲート側壁104の表面、及びキャップ層106の表面に接触するライナー膜125を形成する。続いて、ライナー膜125の上に、層間絶縁膜130をCVD法等により形成する。そして、層間絶縁膜130及びライナー膜125の所定の位置に、フォトリソグラフィー法及びRIE法等を用いて、所定の溝を形成した後、スパッタリング法等を用いて、コンタクトプラグ140を構成する材料からなるプラグ材料膜を、層間絶縁膜130及びライナー膜125に形成した溝に充填させつつ層間絶縁膜130上に堆積させる。
【0041】
続いて、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)法等により層間絶縁膜130の上面をストッパとしてプラグ材料膜に平坦化処理を施す。これにより、コンタクトプラグ140を形成する。そして、フォトリソグラフィー法及びRIE法等を用いて層間絶縁膜130の表面上に、コンタクト150を形成すべき領域が露出したマスクパターンを形成する。コンタクト150を形成すべき領域は、少なくともコンタクトプラグ140の上端が露出している領域を含む領域である。続いて、スパッタリング法等により、コンタクト150を形成すべき領域に、コンタクト150を構成する材料を成膜する。コンタクト150を形成後、マスクパターンを除去する。
【0042】
以上の工程を経ることにより、図2Iに示すような、第1の実施の形態に係る半導体素子1が製造される。
【0043】
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態に係る半導体素子1は、エッチングによって半導体基板10に形成した凸領域12の表面に、所定の濃度の所定の不純物を含むhalo層110をエピタキシャル成長させるので、短チャネル効果の抑制が要求される部分に限定してhalo層110を形成できる。したがって、第1の実施の形態に係る半導体素子1によれば、halo層110の不純物がhalo層110を形成すべき場所以外に分布することを抑制できる。
【0044】
また、第1の実施の形態に係る半導体素子1は、エッチングによって半導体基板10に形成した凸領域12の表面に、所定の濃度の所定の不純物を含むhalo層110をin situエピタキシャル成長させるので、halo層110と凸領域12との間、及びhalo層110とソースドレイン領域115との間に境界が形成される。これにより、halo層110に含まれる不純物の濃度のプロファイルは、少なくともイオン注入によりhalo領域を形成する場合に比べて、急峻な傾きのプロファイルとなる。そして、halo層110の領域内に不純物を分布させることができるので、halo層110における不純物濃度を高濃度にすることができる。なお、イオン注入によりhalo領域を形成する場合、イオン注入したイオンは注入した領域から拡散するので、halo領域は境界を有さずに形成され、halo領域とhalo領域を包囲する半導体との間にhalo領域の不純物の濃度が急峻に変化する領域は存在しない。
【0045】
したがって、第1の実施の形態に係る半導体素子1は、halo層110によって短チャネル効果の抑制を効率的にできると共に、halo層110に含まれる不純物がチャネル領域101に拡がることを抑制できるので、チャネル領域101の移動度の低下を抑制できる。すなわち、第1の実施の形態に係る半導体素子1によれば、halo層110の不純物がhalo層110を形成すべき場所以外に分布することを抑制できるので、短チャネル効果の抑制と、チャネル領域101の移動度の低下の抑制に伴う駆動力の低下の抑制とを両立させることができる。
【0046】
更に、第1の実施の形態に係る半導体素子1は、エピタキシャル成長によりhalo層110を形成するので、halo領域をイオン注入により形成する場合に比べて、半導体基板10及び凸領域12に与える結晶ダメージは実質的に無視し得る。したがって、第1の実施の形態においては、halo層12に含まれる不純物が、結晶欠陥を通じてチャネル層101に拡散することを抑制できる。
【0047】
[第2の実施の形態]
(半導体素子1aの構成)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体素子の部分断面の概要を示す。
【0048】
第2の実施の形態に係る半導体素子1aは、第1の実施の形態に係る半導体素子1と、halo層110aの形状が異なる点を除き、半導体素子1と略同一の構成を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0049】
第2の実施の形態に係るhalo層110aは、チャネル領域101を除く凸領域12の側面と、半導体基板10の表面とに接触して設けられる。したがって、第2の実施の形態においてエクステンション115aは、チャネル領域101の側面に直接に接触して設けられる。なお、halo層110aは、リークパスの発生等の短チャネル効果を抑制する機能が発現する厚さを有して形成される。
【0050】
halo層110aは、ソースドレイン領域115と接触して形成される境界111aを有しており、エクステンション115aと接触して形成される境界111bを有する。また、halo層110aは、チャネル領域101に対応する部分の凸領域12の側面を除く凸領域12の側面と接触して形成される境界111cを有しており、エクステンション115aの部分を除くソースドレイン領域115に対応する部分の凸領域12の側面と接触して形成される境界111dを有する。
【0051】
(半導体素子1aの製造方法)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の途中における部分断面の概要を示す。
【0052】
第2の実施の形態に係る半導体素子1aの製造方法は、第1の実施の形態に係る半導体素子1の製造方法とは、in situエピタキシャル成長したhalo層に対してエッチング処理を施す点を除き、第1の実施の形態と略同一の工程を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0053】
まず、第1の実施の形態に係る半導体素子1の製造方法と同様に、in situエピタキシャル成長によりhalo層を形成する(例えば、図2Aから図2F)。そして、形成したhalo層にドライエッチング処理を施すことにより、図4に示すように、エクステンション115aと接触する領域である接触領域101aを露出させる。露出した接触領域101aは、エクステンション115aとチャネル領域101との間の電流経路に該当する領域である。なお、halo層に施すドライエッチング処理によってエッチングされるhalo層のエッチング量がin situエピタキシャル成長により成長したhalo層の厚さに比べて薄い場合、半導体基板10上にhalo層が残存する。続いて、第1の実施の形態と同様の工程を経ることにより、第2の実施の形態に係る半導体素子1aを製造することができる。
【0054】
(第2の実施の形態の効果)
第2の実施の形態に係る半導体素子1aは、halo層110aによって短チャネル効果を抑制することができると共に、ソースドレイン電流の電流経路であるチャネル領域101とエクステンション115aとを直接、接触させることができるので、駆動電流を増大させることができる。
【0055】
[第2の実施の形態の変形例]
(半導体素子1bの構成)
図5は、本発明の第2の実施の形態の変形例に係る半導体素子の部分断面の概要を示す。
【0056】
第2の実施の形態の変形例に係る半導体素子1bは、第2の実施の形態に係る半導体素子1aと、halo層110bの形状が異なる点を除き、半導体素子1aと略同一の構成を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0057】
第2の実施の形態の変形例に係るhalo層110bは、リークパスになり得る部分112a及び部分112bと、チャネル領域101を除く凸領域12の側面とに接触して設けられる。すなわち、halo層110bは、第2の実施の形態に係るhalo層110aと異なり、凸領域12の近傍を除く半導体基板10の表面上には設けられていない。
【0058】
例えば、halo層110bは、凸領域12のエクステンション115aに対応する部分の側面であって、チャネル領域101を除く凸領域12の側面と、エクステンション115aを除くソースドレイン領域115に対応する凸領域12の側面とに接触して設けられる。すなわち、halo層110bは、チャネル領域101に対応する凸領域12の側面と、リークパスに大きな影響を与えない凸領域12の部分、例えば、凸領域12とソースドレイン領域115とが接触する凸領域12の露出部分112cとを除く凸領域12の側面に設けられる。
【0059】
(半導体素子1bの製造方法)
図6は、本発明の第2の実施の形態の変形例に係る半導体素子の製造工程の途中における部分断面の概要を示す。
【0060】
第2の実施の形態の変形例に係る半導体素子1bの製造方法は、第2の実施の形態に係る半導体素子1aの製造方法とは、in situエピタキシャル成長したhalo層に対してエッチング処理を施す場合におけるエッチング量が異なる点を除き、第2の実施の形態と略同一の工程を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0061】
まず、第1の実施の形態に係る半導体素子1の製造方法と同様に、in situエピタキシャル成長によりhalo層を形成する(例えば、図2Aから図2F)。そして、形成したhalo層にドライエッチング処理を施して、図6に示すように、エクステンション115aと接触する領域である接触領域101bを露出させる。また、凸領域12とソースドレイン領域115とが接触する領域に対応する部分である露出部分112cが形成される。
【0062】
ここで、ドライエッチング処理によるエッチング量は、凸領域12の近傍を除く半導体基板10の表面10c上に形成されたhalo層が取り除かれる量に設定される。これにより、半導体基板10の表面に形成されたhalo層が除去されて、半導体基板10の表面10cが露出する。続いて、第1の実施の形態と同様の工程を経ることにより、第2の実施の形態の変形例に係る半導体素子1bを製造することができる。
【0063】
(第2の実施の形態の変形例の効果)
第2の実施の形態の変形例に係る半導体素子1bにおいては、ソースドレイン領域115と半導体基板10とが直接に接触するので、ソースドレイン領域115と半導体基板10との間の接合容量を低下させることができる。これにより、半導体素子1bの動作速度を向上させることができる。
【0064】
[第3の実施の形態]
(半導体素子1cの構成)
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体素子の部分断面の概要を示す。
【0065】
第3の実施の形態に係る半導体素子1cは、第2の実施の形態の変形例に係る半導体素子1と、halo層110cの形状が異なる点を除き、半導体素子1bと略同一の構成を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0066】
第3の実施の形態に係るhalo層110cは、リークパスになり得る部分112a及び部分112bと、チャネル領域101を除く凸領域12の側面とに接触して設けられる。更に、halo層110cは、半導体基板10の表面から離れて形成される。すなわち、ソースドレイン領域115は、halo層110cと半導体基板10との間に位置する領域115bを有して形成される。
【0067】
例えば、halo層110cは、凸領域12のエクステンション115aに対応する部分の側面であって、チャネル領域101を除く凸領域12の側面と、エクステンション115aを除くソースドレイン領域115に対応する凸領域12の側面の一部とに接触して設けられる。すなわち、halo層110cは、チャネル領域101に対応する凸領域12の側面と、リークパスに大きな影響を与えない凸領域12の部分、例えば、凸領域12とソースドレイン領域115とが接触する凸領域12の露出部分112cとを除く凸領域12の側面の一部に、半導体基板10の表面から離れて形成される。
【0068】
(半導体素子1cの製造方法)
図8Aから図8Dは、本発明の第3の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の途中における部分断面の概要を示す。
【0069】
第3の実施の形態に係る半導体素子1cの製造方法は、第1の実施の形態に係る半導体素子1の製造方法とは、所望の領域に選択的にhalo層110をエピタキシャル成長させる点を除き、第1の実施の形態と略同一の工程を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0070】
まず、第1の実施の形態の製造方法の図2Aから図2Dの記載で説明した方法と同様にして、ゲート側壁104と凸領域12の側面の一部にスペーサ160を形成した半導体基板10を形成する。次に、この半導体基板10の表面10cに、エピタキシャル成長抑制物質としての所定のイオンを注入する。これにより、図8Aに示すように、半導体基板の表面10cから所定の深さを有するイオン注入領域170が形成される。第3の実施の形態において、イオン注入領域170を形成するイオンは、一例として、カーボン(C)である。そして、イオン注入領域170のC濃度は、例えば、1×1021cm−3程度に設定される。
【0071】
次に、図8Bに示すように、スペーサ160を除去する。これにより、半導体基板10及び凸領域12と、後に形成されるhalo層110との境界としての凸領域12の表面10a及び10dが形成される。一方、第3の実施の形態において、凸領域12を除く半導体基板10の表面は、イオン注入領域170で覆われている。
【0072】
次に、図8Cに示すように、凸領域12の側面に、halo層110をin situエピタキシャル成長させる。halo層110がSiから形成される場合、イオン注入領域170上にSiはエピタキシャル成長しない。すなわち、本実施の形態に係るhalo層110は、実質的に凸領域12の側面にだけに選択的に形成される。これは、高濃度のCが注入された領域がエピタキシャル成長を抑制する領域として機能するので、半導体基板10としてのシリコン基板のイオン注入領域170の表面上に、シリコンがエピタキシャル成長しないからである。
【0073】
次に、イオン注入領域170に対して酸化処理を施して、イオン注入領域170を酸化させる。そして、酸化したイオン注入領域170に対して酸処理を施すことにより、図8Dに示すように、酸化したイオン注入領域170を剥離する。これにより、半導体基板10の表面10fと、halo層110cが形成されていない凸領域12の側面の一部の表面10eとが露出する。また、この酸処理により、halo層110の一部も剥離、又はエッチングされ、少なくともチャネル領域101に対応する凸領域12の側面112dが露出したhalo層110cが形成される。なお、酸処理には、希フッ酸(DHF)、又はバッファードフッ酸(BHF)を含む薬液を用いることができる。
【0074】
続いて、第1の実施の形態と同様の工程(例えば、図2Gから図2Iに対応する工程)を経ることにより、第3の実施の形態に係る半導体素子1cを製造することができる。
【0075】
(第3の実施の形態の効果)
第3の実施の形態に係る半導体素子1cにおいては、halo層110cにより短チャネル効果を抑制できると共に、ソースドレイン領域115と半導体基板10とが直接に接触するので、ソースドレイン領域115と半導体基板10との間の接合容量の増加を抑制することができる。これにより、半導体素子1cの動作速度を向上させることができる。
【0076】
[第4の実施の形態]
(半導体素子1dの構成)
図9は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体素子の部分断面の概要を示す。
【0077】
第4の実施の形態に係る半導体素子1dは、第3の実施の形態と異なり、イオン注入領域170を備える点を除き、半導体素子1cと略同一の構成を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0078】
第4の実施の形態に係るhalo層110dは、リークパスになり得る部分112a及びリークパスになり得る部分112bと、チャネル領域101を除く凸領域12の側面とに接触して設けられる。更に、halo層110dは、半導体基板10の表面から離れて形成される。また、半導体基板10とソースドレイン領域115との間には、イオン注入領域170が設けられる。
【0079】
(半導体素子1dの製造方法)
図10は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の途中における部分断面の概要を示す。
【0080】
まず、第3の実施の形態の図8Aから図8Cにおける上記説明と同様の工程により、凸領域12の側面に、halo層110をin situエピタキシャル成長させる。そして、halo層110に対してドライエッチング処理を施して、図10に示すように、チャネル領域101に対応する凸領域12の側面に露出部分101bを形成する。露出部分101bは、半導体素子1dが完成した時に、エクステンション115aとチャネル領域101とが直接に接触する部分となる。続いて、イオン注入領域170に酸化処理を施さずに、第1の実施の形態と同様にソースドレイン領域115をin situエピタキシャル成長させる。そして、第1の実施の形態と同様の工程を経ることにより、第4の実施の形態に係る半導体素子1dを製造する。
【0081】
(第4の実施の形態の効果)
第4の実施の形態に係る半導体素子1dの製造方法は、半導体基板10の表面に形成したイオン注入領域170を除去しないので、halo層110の厚さを所定の厚さに保持したまま、簡易な工程により半導体素子1dを製造することができる。したがって、第4の実施の形態によれば、短チャネル効果を効率的に抑制できると共に、製造工程の簡略化、製造コストの低減、及び歩留りの向上を図ることができる。
【0082】
[第5の実施の形態]
(半導体素子1eの構成)
図11は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体素子の部分断面の概要を示す。
【0083】
第5の実施の形態に係る半導体素子1eは、第3の実施の形態に係る半導体素子1cと比べて、凸領域12aが段差を実質的に有さない点を除き、半導体素子1cと略同一の構成を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0084】
第5の実施の形態に係る半導体素子1eは、凸領域12aを所定の領域に有する半導体基板10と、半導体基板10の表面の一部、及び凸領域12aの側面の所定の領域に接触して設けられるhalo層110eと、凸領域12aと接触している面の反対側のhalo層110eの表面に接触すると共に、エクステンション115aを有するソースドレイン領域115とを備える。
【0085】
凸領域12aは、一例として、ゲート絶縁膜100と凸領域12aの上端とが接触する面から半導体基板10の表面(ソースドレイン領域115と半導体基板10とが接触する面)まで、実質的に同一の幅を有する。つまり、凸領域12aは、エクステンション115aに対応する部分の幅と、ソースドレイン領域115に対応する部分の幅とが実質的に同一の幅を有して形成される。すなわち、第5の実施の形態に係る凸領域12aは、段差を有さずに形成される。
【0086】
halo層110eは、凸領域12aの側面とソースドレイン領域115との間に設けられる。具体的に、halo層110eは、凸領域12aのチャネル領域101の側面を除く凸領域12aの側面に接触して設けられる。そして、halo層110eと凸領域12aの側面とが接触する部分に境界111cが形成され、halo層110eとソースドレイン領域115及びエクステンション115aとが接触する部分に境界111aが形成される。
【0087】
(半導体素子1eの製造方法)
図12Aから図12Dは、本発明の第5の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の途中における部分断面の概要を示す。
【0088】
まず、半導体基板10に、複数の半導体素子1eを形成する領域をそれぞれ分離する素子分離領域120を形成する。続いて、半導体基板10の所定の領域にゲート電極102を形成する。そして、ゲート絶縁膜100及びゲート電極102の両側面にゲート側壁104を形成する。次に、ゲート電極102上に、キャップ層106を形成する。次に、キャップ層106及びゲート側壁104をマスクとして、半導体基板10にエッチング処理を施す。第5の実施の形態においてエッチング処理によって半導体基板10をエッチングする深さは、形成すべきソースドレイン領域115の厚さ以上となる深さである。
【0089】
これにより、図12Aに示すように、キャップ層106及びゲート側壁104の直下を除く部分の半導体基板10がエッチングされて凸領域12aが形成されると共に、半導体基板10の表面10cと、凸領域12aの側面である表面10aとが露出する。次に、図12Bに示すように、半導体基板10の表面、及び凸領域12aの側面に、halo層110eをin situエピタキシャル成長させる。
【0090】
次に、図12Cに示すように、halo層110eにエッチング処理を施して、凸領域12aのチャネル領域101の側面を露出させる。また、凸領域12aの近傍を除く半導体基板10の表面に形成されたhalo層110eも、エッチング処理により除去する。続いて、ソースドレイン領域115のin situエピタキシャル成長を実施して、図12Dに示すように、エクステンション115aを有するソースドレイン領域115を、半導体基板10及びhalo層110e上に形成する。
【0091】
第5の実施の形態においては、halo層110eが所定の幅を有して形成されるので、ソースドレイン領域115のin situエピタキシャル成長により、自動的にエクステンション115aを有するソースドレイン領域115が形成される。次に、第1の実施の形態と同様の工程を実施することにより、半導体素子1eが製造される。
【0092】
(第5の実施の形態の効果)
本発明の第5の実施の形態に係る半導体素子1eの製造方法は、エクステンション115aに対応する部分を除く凸領域12aの側面に、所定厚のhalo層110eを形成して、ソースドレイン領域115のin situエピタキシャル成長を実施するので、halo層110eの厚さに応じて、エクステンション115aが自動的に形成される。これにより、第5の実施の形態においては、半導体素子1eの製造工程の工程数を低減させることができ、製造の手間、及び製造コストを低下でき、歩留りを向上させることができる。
【0093】
[第5の実施の形態の変形例]
(第5の実施の形態の変形例に係る半導体素子の製造方法)
図13A及び図13Bは、本発明の第5の実施の形態の変形例に係る半導体素子の製造工程の途中における部分断面の概要を示す。
【0094】
第5の実施の形態の変形例に係る半導体素子の製造方法は、ソースドレイン領域116の形成方法を除き、第5の実施の形態に係る半導体素子1eの製造方法と略同一の工程を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0095】
第5の実施の形態の変形例では、まず、ソースドレイン領域116を構成する半導体材料を半導体基板10及びhalo層110eの上にエピタキシャル成長させる。このエピタキシャル成長は、ソースドレイン領域116に分散されるべき不純物を添加せずに実施する。これにより、図13Aに示すように、半導体基板10及びhalo層110eの上にソースドレイン領域116を構成する半導体材料からなる成長層114が形成される。成長層114は、一例として、Siから形成される。
【0096】
次に、図13Bに示すように、所定のイオンをイオン注入により成長層114に注入して、エクステンション116aを有するソースドレイン領域116を形成する。成長層114に注入するイオンは、形成すべき半導体素子がn型のMOSFETの場合、As、P等のn型用の不純物のイオンである。また、半導体素子がp型のMOSFETの場合、成長層114に注入するイオンは、B、In等のp型用の不純物のイオンである。なお、成長層114をin situエピタキシャル成長させ、その後、in situエピタキシャル成長では成長層114に添加すべき不純物の濃度が十分でない場合に、所定のイオンを成長層114に更にイオン注入してソースドレイン領域116を形成することもできる。
【0097】
[第6の実施の形態]
(半導体素子1fの構成)
図14は、本発明の第6の実施の形態に係る半導体素子の部分断面の概要を示す。
【0098】
第6の実施の形態に係る半導体素子1fは、halo層110eとソースドレイン領域115との間にノンドープ層180を更に備える点を除き、第5の実施の形態に係る半導体素子1eと略同一の構成を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0099】
第6の実施の形態に係る半導体素子1fは、少なくともhalo層110eとソースドレイン領域115との間に、不純物がドープされていないノンドープ層180を備える。具体的に、ノンドープ層180は、エクステンション115aとチャネル領域101の側面との間、halo層110eとソースドレイン領域115との間、及び半導体基板10とソースドレイン領域115との間に設けられる。第6の実施の形態では、halo層110eは、凸領域12aの側面とhalo層110eとの間、及びhalo層110eとノンドープ層180との間にそれぞれ境界を有する。
【0100】
ノンドープ層180は、一例として、不純物をドープしないSiから形成される。なお、本実施の形態において不純物をノンドープ層180にドープしないものの、ノンドープ層180に不可避的に混入する不純物は排除されない。また、ノンドープ層180は、SiGe等の半導体材料から形成することもできる。
【0101】
(半導体素子1fの製造方法)
図15A及び図15Bは、本発明の第6の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の途中における部分断面の概要を示す。
【0102】
第6の実施の形態に係る半導体素子1fの製造方法は、halo層110eとソースドレイン領域115との間にノンドープ層180を更に形成する点を除き、第5の実施の形態に係る半導体素子1eの製造方法と略同一の工程を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0103】
まず、図15Aに示すように、半導体層10の表面、凸領域12aのチャネル領域101に対応する側面、及びhalo層110eの表面に、所定厚のノンドープ層180をエピタキシャル成長させる。次に、図15Bに示すように、エクステンション115aを有するソースドレイン領域115をin situエピタキシャル成長させる。その他の工程は、第5の実施の形態と略同一である。
【0104】
図16は、本発明の第6の実施の形態に係るノンドープ層の機能を説明する図である。
【0105】
図16のグラフは、図16に示したA−A線におけるhalo層110eとノンドープ層180とソースドレイン領域115とにおける不純物プロファイルを示す。
【0106】
第6の実施の形態に係る半導体素子1fにおいて、halo層110eに含まれる不純物の濃度(ハロー濃度200)は、グラフに示したように、halo層110eの領域に集中している。そして、halo層110eとノンドープ層180との界面を境にして、ハロー濃度200は急激に減少する。また、ソースドレイン領域115に含まれる不純物の濃度(ソースドレイン濃度210)は、ソースドレイン領域115に集中している。そして、ソースドレイン領域115からノンドープ層180の側に向かって、ソースドレイン濃度210は徐々に減少する。なお、ハロー濃度200のプロファイルとソースドレイン濃度210のプロファイルとが交差する点の不純物濃度を、バッティング濃度220と定義する。
【0107】
第6の実施の形態に係る半導体素子1fにおいて、仮にノンドープ層180がない場合を考えると、ソースドレイン濃度のプロファイルは、ノンドープ層180の厚さ分、halo層110eの側に移動する(ソースドレイン濃度210a)。すると、ノンドープ層180がない場合におけるバッティング濃度220aは、ノンドープ層180がある場合のバッティング濃度220に比べて高くなる。
【0108】
第6の実施の形態に係る半導体素子1fは、halo層110eとソースドレイン領域115との間に所定の厚さを有するノンドープ層180を備えており、ノンドープ層180は、バッティング濃度220を低減させる機能を有する。
【0109】
(第6の実施の形態の効果)
第6の実施の形態に係る半導体素子1fは、halo層110eとソースドレイン領域115との間にノンドープ層180を備えているので、バッティング濃度220を低減させることができ、halo層110eとソースドレイン領域115との間に形成される空乏層を拡大させることができる。これにより、halo層110eとソースドレイン領域115との間における接合容量を低減させることができるので、半導体素子1fを高速で動作させることができる。
【0110】
また、ノンドープ層180は、バッティング濃度を低減させることができるので、halo層110eとソースドレイン領域115との間におけるジャンクションリークを低減させることができる。
【0111】
なお、第1から第6の実施の形態及びこれらの実施の形態の変形例に係るhalo層は、halo層と凸領域との境界、halo層とエクステンションとの境界、及びhalo層とソースドレイン領域との境界においてhalo層の不純物濃度が急峻に変化する不純物プロファイルを有するが、この急峻な不純物プロファイルは、halo層からこれらの境界を不可避的に拡散する不純物の存在を排除するものではない。
【0112】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】第1の実施の形態に係る半導体素子の部分断面図である。
【図2A】第1の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図2B】第1の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図2C】第1の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図2D】第1の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図2E】第1の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図2F】第1の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図2G】第1の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図2H】第1の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図2I】第1の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図3】第2の実施の形態に係る半導体素子の部分断面図である。
【図4】第2の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図5】第2の実施の形態の変形例に係る半導体素子の部分断面図である。
【図6】第2の実施の形態の変形例に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図7】第3の実施の形態に係る半導体素子の部分断面図である。
【図8A】第3の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図8B】第3の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図8C】第3の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図8D】第3の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図9】第4の実施の形態に係る半導体素子の部分断面図である。
【図10】第4の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図11】第5の実施の形態に係る半導体素子の部分断面図である。
【図12A】第5の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図12B】第5の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図12C】第5の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図12D】第5の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図13A】第5の実施の形態の変形例に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図13B】第5の実施の形態の変形例に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図14】第6の実施の形態に係る半導体素子の部分断面図である。
【図15A】第6の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図15B】第6の実施の形態に係る半導体素子の製造工程の部分断面図である。
【図16】第6の実施の形態に係るノンドープ層の機能の説明図である。
【符号の説明】
【0114】
1 半導体素子、10 半導体基板、12 凸領域、 100 ゲート絶縁膜、101 チャネル領域、110 halo層、115 ソースドレイン領域、115a エクステンション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板に設けられる凸領域と、
前記凸領域上に設けられるゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の下の前記凸領域内に位置するチャネル領域と、
前記凸領域の両側に設けられ、前記チャネル領域の両側にエクステンションを有するソースドレイン領域と、
前記凸領域と前記ソースドレイン領域との間に設けられ、前記凸領域と接触する部分に境界を有して設けられるhalo層と
を備える半導体素子。
【請求項2】
前記halo層は、前記エクステンションと前記チャネル領域の両端とが接触する形状を有する請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
前記凸領域は、前記エクステンションに対応する部分と、前記エクステンションに対応する部分を除く部分とで異なる幅を有する請求項1に記載の半導体素子。
【請求項4】
前記凸領域は、前記エクステンションに対応する部分と、前記エクステンションに対応する部分を除く部分とで実質的に同一の幅を有し、
前記halo層は、前記チャネル領域の両端が前記エクステンションと接触する形状を有する請求項1に記載の半導体素子。
【請求項5】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の側面にゲート側壁を形成する工程と、
前記ゲート側壁が形成された前記ゲート電極をマスクとして、前記半導体基板をエッチングする工程と、
前記半導体基板をエッチングする工程においてエッチングされた前記半導体基板上に、halo層をエピタキシャル成長させる工程と、
前記halo層上にソースドレイン領域をエピタキシャル成長させる工程と
を備える半導体素子の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−10587(P2010−10587A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170890(P2008−170890)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】