説明

半導体装置、LEDヘッド及びそれを用いた画像形成装置

【課題】層間絶縁膜と金属配線層との間に厚さが5〜500〔Å〕のTiから成る密着層を形成する事によって、金属配線層としてのアノード配線層及びカソード配線層と層間絶縁膜とのコンタクト特性が良好となり、アノード配線層及びカソード配線層とを同一の工程で同時に形成する事ができる半導体装置、LEDヘッド及びそれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】半導体基板21と、該半導体基板上に形成され、該半導体基板へのコンタクトホールが開口された層間絶縁膜23と、一端が前記コンタクトホールに接続され、他端がボンディングパッドを構成する金属配線層13と、前記層間絶縁膜と金属配線層との間に設けられ、厚さが5〜500〔Å〕のTiから成る密着層31とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、LEDヘッド及びそれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置においては、感光体上に画像データに基づいた静電潜像を形成する露光プロセスにおいて、発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)素子を複数並べたLEDアレイが形成されたLEDアレイチップを備えるLEDヘッドが光源として使用されている。この場合、前記LEDヘッドは、レンズ等の光学系を備え、前記LEDアレイからの光を光学系を介して感光体に照射することによって、該感光体上に露光像を形成するようになっている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照。)。なお、LEDアレイは、一般的に、気相拡散技術、固相拡散技術等を用いて、化合物半導体基板上に不純物を拡散する方法によって、製造されている。
【0003】
図2は従来のLEDアレイチップの構成を示す平面図である。
【0004】
図に示されるように、LEDアレイチップ101は、GaAs等から成る化合物半導体基板の面上に形成されたp側電極を兼ねる発光領域102、n側電極103、並びに、前記発光領域102及びn側電極103の各々に対応したボンディングパッド104〜106を有している。
【0005】
前記化合物半導体基板としては、例えば、GaAs基板上にAlGaAs層が形成された基板を用いる。そして、AlGaAs層の中に不純物を拡散して発光領域102及びコンタクト領域107が形成されている。さらに、該発光領域102及びコンタクト領域107からSiN膜等から成る層間絶縁膜上に引き出されるように、金合金から成る配線層108a〜108eが形成されている。この配線層108a〜108eの他方端は、層間絶縁膜上に形成されたボンディングパッド104〜106を構成する。
【0006】
そして、例えば、前記LEDアレイチップ101がプリントヘッドの光源として使用される際には、前記LEDアレイチップ101をプリント配線板等にボンディングし、ボンディングパッド104〜106とプリント配線板上の電極パッドとを金等のボンディングワイヤを使用して、ワイヤボンディングによって接続するようになっている。
【0007】
図3は従来の他のLEDアレイチップの構成を示す図である。なお、図3(a)は断面図、図3(b)は上面図である。
【0008】
この場合、LEDアレイチップ101の基板は、図3(a)に示されるような構造を有し、n型GaAs基板上にGaAsP層が形成され、該GaAsP層内に、Zn等のp型不純物の選択拡散によって、p型不純物領域から成る発光部111が形成される。該発光部111は、図3(b)に示されるように、アレイ状に配列されるように複数個形成される。そして、各発光部111のAl電極112は、各発光部111毎に形成される個別電極であり、その一端部が発光部111に電気的に接続されるように、層間絶縁膜としての絶縁層113を介してp型不純物領域上に形成される。各Al電極112の他端部は、外部ワイヤと電気的に接続するために所定の面積を有して平面状に形成されたワイヤボンディング用のボンディングパッドとしての個別電極パッド114に電気的に接続されている。一方、共通電極であるAuGeNi電極115は、n型GaAs基板と電気的に接続されるように、該n型GaAs基板の下層に、それに接して形成されている。
【特許文献1】特開2004−71684号公報
【非特許文献1】「LEDプリンタの設計」トリケップス社発行、P.63
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来のLEDアレイチップにおいては、SiN膜等から成る層間絶縁膜と配線材料である金合金層との密着力が弱く、ワイヤボンディング工程において、ボンディングパッドが層間絶縁膜から剥(は)がれてしまう。
【0010】
図4は従来のLEDアレイチップにおける不良の例を示す図である。なお、図4(a)は上面図、図4(b)は断面図である。
【0011】
図に示されるように、基板119上に形成されたSiN膜等から成る層間絶縁膜118の上に、ボンディングパッド116を含む金合金層から成る金属配線層が形成されている場合、金等のボンディングワイヤ117をワイヤボンディングによってボンディングパッド116に接続する際に、該ボンディングパッド116が上方に引き上げる力を受けると、ボンディングパッド116が層間絶縁膜118から剥がれてしまうことがある。
【0012】
本発明は、前記従来の問題点を解決して、層間絶縁膜と金属配線層との間に厚さが5〜500〔Å〕のTiから成る密着層を形成することによって、金属配線層としてのアノード配線層及びカソード配線層と層間絶縁膜とのコンタクト特性が良好となり、アノード配線層及びカソード配線層とを同一の工程で同時に形成することができる半導体装置、LEDヘッド及びそれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのために、本発明の半導体装置においては、半導体基板と、該半導体基板上に形成され、該半導体基板へのコンタクトホールが開口された層間絶縁膜と、一端が前記コンタクトホールに接続され、他端がボンディングパッドを構成する金属配線層と、前記層間絶縁膜と金属配線層との間に設けられ、厚さが5〜500〔Å〕のTiから成る密着層とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、半導体装置においては、層間絶縁膜と金属配線層との間に厚さが5〜500〔Å〕のTiから成る密着層を形成するようになっている。
【0015】
これにより、金属配線層としてのアノード配線層及びカソード配線層と層間絶縁膜とのコンタクト特性が良好となり、アノード配線層及びカソード配線層とを同一の工程で同時に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図5は本発明の実施の形態における画像形成装置本体の構成を示す図である。
【0018】
図において、50は画像形成装置であり、例えば、電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ機、複写機、プリンタとファクシミリ機と複写機との機能を併せ持つ複合機等であるが、いかなる種類の画像形成装置であってもよく、また、モノクロ画像を形成するものであっても、カラー画像を形成するものであってもよい。なお、本実施の形態においては、前記画像形成装置がいわゆるタンデム方式のカラー電子写真式プリンタである場合について説明する。
【0019】
本実施の形態における画像形成装置50は、カラー電子写真式プリンタであるので、画像形成装置50内には、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色の画像を各々に形成する4つのプロセスユニット51〜54が記録媒体としての用紙55の搬送路71に沿って、該搬送路71の上流側(図5における右側)から順に配設されている。これらのプロセスユニット51〜54の内部構成は共通しているため、シアンのプロセスユニット53を例にとり、内部構成について説明する。
【0020】
ここで、プロセスユニット53には、像担持体としての感光体ドラム53aが矢印で示される方向に回転可能に配設され、該感光体ドラム53aの周囲にはその回転方向上流側から順に、感光体ドラム53aの表面に電気を供給して帯電させる帯電ローラ53b、帯電された感光体ドラム53aの表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する露光装置53c、静電潜像が形成された感光体ドラム53aの表面に所定色(シアン)のトナーを搬送する現像装置53d、及び、感光体ドラム53aの表面に残留したトナーを除去するクリーニング装置53eが配設される。前記露光装置53cは、後述されるLEDヘッドとしてのLEDプリントヘッド40を備える。なお、前記感光体ドラム53aは、図示されない駆動源及びギヤによって回転させられる。
【0021】
また、画像形成装置50は、その下部に、用紙55を堆(たい)積した状態で収納する用紙カセット56を装着し、その上方には用紙55を1枚ずつ分離させて搬送するためのホッピングローラ57が配設されている。さらに、用紙55の搬送方向における前記ホッピングローラ57の下流側には、ピンチローラ58及び59とともに用紙55を狭持することによって、該用紙55の斜行を修正し、プロセスユニット51〜54に搬送するレジストローラ60及び61が配設されている。これらのホッピングローラ57、レジストローラ60及び61は図示されない駆動源によって連動している。
【0022】
そして、プロセスユニット51〜54の各感光体ドラム51a、52a、53a及び54aに対向する位置には、それぞれ、半導体性のゴム等によって形成された転写ローラ62が配設されている。そして、感光体ドラム51a、52a、53a及び54a上のトナーを用紙55に付着させるために、感光体ドラム51a、52a、53a及び54aの表面とこれらの各転写ローラ62の表面との間に電位差が生じるようになっている。
【0023】
また、定着装置63は、加熱ローラとバックアップローラとを有し、用紙55上に転写されたトナーを加圧及び過熱することによって定着させる。また、排出ローラ64及び65は、定着装置63から排出された用紙55を排出部のピンチローラ66及び67とともに狭持し、記録媒体スタッカ部68に排出する。なお、排出ローラ64及び65は図示されない駆動源によって回転させられる。
【0024】
次に、前記画像形成装置50の動作について説明する。
【0025】
まず、用紙カセット56に収納されている用紙55がホッピングローラ57によって搬送されて、ピンチローラ58及び59並びにレジストローラ60及び61によって画像形成部まで搬送される。例えば、シアンのプロセスユニット53内では、回転する感光体ドラム53aの表面に対して帯電ローラ53bによって帯電が行われ、帯電された表面を露光装置53cによって露光し、静電潜像が書き込まれ、現像装置53dによって静電潜像がトナーにより現像されてトナー像が形成される。
【0026】
ここで、タイミングを合わせて搬送されてきた用紙55が感光体ドラム53aと転写ローラ62との間を通る際に、感光体ドラム53aの表面のトナー像が用紙55上に転写される。このようにして、該用紙55が、各色のプロセスユニット51〜54を通過する度に各色毎に重ねて転写が行われ、用紙55上にカラーのトナー像が形成される。
【0027】
そして、用紙55上のトナー像は定着装置63によって用紙55上に定着させられ、該用紙55は排出ローラ64及び65並びにピンチローラ66及び67によって搬送され記録媒体スタッカ部68に排出される。
【0028】
次に、前記露光装置53cが備えるLEDプリントヘッド40の構成について説明する。
【0029】
図6は本発明の実施の形態におけるLEDプリントヘッドの要部構成を示す図である。
【0030】
図6に示されるように、LEDプリントヘッド40において、ベース部材41上には、プリント基板42が載置され、固定されている。該プリント基板42には、半導体装置としてのLEDアレイチップ42aが、ドライバIC42bとともにダイボンディング及びワイヤボンディングによって実装されている。そして、前記LEDアレイチップ42aの後述される発光部11の上方には、該発光部11から出た光を集光する光学系としてのロッドレンズアレイ43が配設されている。該ロッドレンズアレイ43は、柱状の光学レンズをLEDアレイチップ42aの直線状に配列された発光部に沿って多数配列したもので、光学系ホルダに相当するホルダとしてのレンズホルダ44によって、所定位置に保持されている。
【0031】
該レンズホルダ44は、図6に示されるように、ベース部材41及びプリント基板42を覆うように形成されている。そして、ベース部材41、プリント基板42、レンズホルダ44は、ベース部材41及びレンズホルダ44に形成された開口部41a及び開口部44aを介して配設されるクランパ45によって一体的に挟持されている。
【0032】
したがって、LEDアレイチップ42aで発生した光は、ロッドレンズアレイ43を通して帯電された感光体ドラム51a、52a、53a及び54aの表面に照射される。
【0033】
次に、前記LEDアレイチップ42aの構成について説明する。
【0034】
図1は本発明の実施の形態におけるLEDアレイチップの構成を示す平面図、図7は本発明の実施の形態におけるLEDアレイチップの断面図、図8は本発明の実施の形態におけるLEDアレイチップの要部拡大断面図、図9は本発明の実施の形態における密着層の膜厚とコンタクト抵抗の関係を示す図、図10は本発明の実施の形態における密着層の膜厚とコンタクト抵抗及び密着力の関係を示す表である。なお、図7(a)は図1のA―A’矢視断面図、図7(b)は図1のB―B’矢視断面図である。
【0035】
図1及び8に示されるように、本実施の形態におけるLEDアレイチップ42aは、第1伝導型半導体層22上に列状に配置されたアノード電極としての発光部11、及び、該発光部11と隣接して形成されたカソード電極としての第1伝導型半導体コンタクト電極12から成る半導体素子である発光素子としてのLEDを有する。
【0036】
そして、前記発光部11には、金属配線層であるアノード配線層としてのアノード電極層13が接続され、その反対端にはアノード配線層の一部であるボンディングパッドとしてのアノードボンディングパッド14が形成されている。なお、該アノードボンディングパッド14は、奇数番目の発光部11と偶数番目の発光部11の2つの発光部11が対となるように接続されている。その結果、アノードボンディングパッド14の数は発光部11の数の半分となっている。
【0037】
また、第1伝導型半導体コンタクト電極12には、1つおきに金属配線層であるカソード配線層としてのカソード電極層15が接続され、その反対端にはカソード配線層の一部であるボンディングパッドとしてのカソードボンディングパッド16が形成されている。そして、第1伝導型半導体コンタクト電極12の残りには、配線層は直接接続されていないが、第1伝導型半導体層22自体を経由して形成されたカソード配線層としての共通コンタクト電極17が形成され、該共通コンタクト電極17にカソードボンディングパッド16が接続される。
【0038】
また、隣接するLED素子同士は、ジグザグの分離部19によって電気的に分離される。該分離部19は、高抵抗基板21に届く分離溝又は不純物拡散層によって形成される。
【0039】
ここで、前記LEDアレイチップ42aを形成する半導体基板は、図7に示されるように下地基板としての高抵抗基板21上に、該高抵抗基板21と電気的に分離された第1伝導型半導体層22をエピタキシャル成長させた構造の基板である。なお、前記第1伝導型半導体層22上には層間絶縁膜23が形成されている。そして、前記発光部11は、第2伝導型の、例えば、Zn等の不純物を拡散させて形成され、PN接合を形成する。また、前記発光部11には、層間絶縁膜23に設けたコンタクト穴を介して、アノード電極層13が接続されている。
【0040】
より詳細に説明すると、層間絶縁膜23は、SiN(Si3 4 )層から成り、第1伝導型半導体層22上に形成される。前記層間絶縁膜23は、発光部11上及びコンタクト領域上に開口部が設けられる。そして、前記層間絶縁膜23上には、発光部11及び第1伝導型半導体コンタクト電極12に接続する金属配線層としてのアノード電極層13及びカソード電極層15が形成される。
【0041】
そして、図8に示されるように、金属配線層としてのアノード電極層13及びカソード電極層15は、両者共に、Tiから成る密着層31の上に形成されたGeを含む金合金から成る金属配線層としての第1配線層32、及び、金又は金合金から成る金属配線層としての第2配線層33から構成される。ここで、前記密着層31は、層間絶縁膜23、特に、SiN層との密着性がよい層であることが好ましい。そして、Tiから成る密着層31は、SiN層との密着性向上のためには厚い方が好ましく、カソードコンタクト抵抗向上のためには薄い方が好ましい。すなわち、図9に示されるように、密着層31の厚さが500〔Å〕(50〔nm〕)を超えるとカソードコンタクト抵抗が増加し、デバイスの消費電力が増加してしまうため、好ましくない。また、図10の表に示されるように、5〔Å〕を下回ると密着力が低下するので、密着層31の厚さは、5〔Å〕(0.5〔nm〕)〜500〔Å〕(50〔nm〕)であることが好ましい。
【0042】
また、第1配線層32は、Geを含む金合金、例えば、AuGeNi、AuGeから成ることが好ましい。そして、密着層31が前述の厚さの範囲内のように薄い層であれば、第1配線層32にGeを含ませることで、コンタクトアニール工程の際に、Geが密着層31を通過してGaAsを主成分とする基板上に拡散され、コンタクト抵抗を低下させる働きがあると推測される。また、第1配線層32に更にNiを含ませると、同時に密着層31を通過したAuとGaが反応した際に発生する余剰のAsと反応し、基板を安定化させるので、第l配線層32はAuGeNi合金から成ることが好ましい。
【0043】
そして、第2配線層33は、不純物をなるべく含まない金属層であれば抵抗値が低く、表面が酸化等の劣化に対し耐性があるので好ましい。なお、特に、第1配線層32と異なる第2配線層33を設ける必要はなく、AuGeNiの単層としてもよい。
【0044】
このような金属配線層としてのアノード電極層13及びカソード電極層15は、配線パターンを形成したレジスト層上に蒸着、スパッタリング、無電解メッキ、又は、電解メッキ等によりTi層、AuGeNi合金層、Au層を順次形成し、レジスト層を除去する、いわゆる、リフトオフにより形成すると、複数層の金属層を積層するにも係わらずフォトリソグラフィ工程を1回で行うことができるので好ましい。なお、本実施の形態は、SiN膜を用いる他の半導体装置にも適用することができる。
【0045】
次に、前記LEDアレイチップ42aの製造方法について説明する。
【0046】
図11は本発明の実施の形態におけるLEDアレイチップの製造工程を示す第1の図、図12は本発明の実施の形態におけるLEDアレイチップの製造工程を示す第2の図、図13は本発明の実施の形態におけるLEDアレイチップの製造工程を示す第3の図、図14は本発明の実施の形態におけるLEDアレイチップの製造工程を示す第4の図である。なお、図11(a)〜図12(g)において、(2)は上面図、(1)は(2)のC−C’矢視断面図である。
【0047】
まず、LEDアレイチップ42aの半導体基板として、下地基板21上に、該下地基板21と電気的に分離された第1伝導型半導体層22をエピタキシャル成長させた構造の基板を用いる。例えば、下地基板21を半絶縁性GaAs基板とし、その上に第1伝導型半導体層22としてn型半導体層をエピタキシャル成長させた基板を用いる。下地基板21と第1伝導型半導体層22との間にバッファ層を挟んだ構造にしてもよい。さらに、下地基板21をn型GaAs基板とし、バッファ層、絶縁層を介して、第1伝導型半導体層22としてn型半導体層をエピタキシャル成長させた基板等を用いてもよい(図11(a))。
【0048】
そして、半導体基板の第1伝導型半導体層22に、光学素子としての発光部11となるアレイ状の領域に第2伝導型不純物を拡散させる。例えば、半導体基板上に形成した層間絶縁膜23と兼用される拡散マスクに、発光部11となるアレイ状に開けた開口71からの選択拡散等の方法によって、拡散源層72からZn(亜鉛)などの第2伝導型半導体不純物を拡散させる(図11(b)〜12(g))。この場合、第2伝導型半導体不純物を含む拡散源層72及びアニールキャップ層73を形成し、拡散アニールを行う。これにより、発光部11となるアレイ状の領域としての第2伝導型不純物の拡散領域が形成される(図13(h))。
【0049】
次に、第1伝導型半導体層22を2つに分離するためのジグザグ状の分離部19に対応する領域を形成する。分離部19は、第1伝導型半導体層22を、少なくとも、該第1伝導型半導体層22の下層にある下地基板21又は絶縁層に到達する深さまでエッチングすることによって形成される。なお、エッチングは、例えば、過水りん酸系のエッチャントを用いたウェットエッチングによって行われる。したがって、第1伝導型半導体層22はジグザグ状に電気的に絶縁されている(図13(i))。次に、層間絶縁膜23を形成した後、該層間絶縁膜23に発光部11、第1伝導型半導体コンタクト電極12、共通コンタクト電極17等に対応する開口部を形成する(図14(j))。
【0050】
最後に、第1伝導型半導体コンタクト電極12及び発光部11となる第2伝導型半導体部へ良好な接続をとるための第2伝導型半導体コンタクト電極を形成する。この場合、拡散マスクと兼用される層間絶縁膜23の開口71を介して第1伝導型半導体コンタクト電極12及び第2伝導型コンタクト電極は形成され、それぞれ、コンタクトが取られる。なお、第1伝導型半導体コンタクト電極12、第2伝導型半導体コンタクト電極、個別配線、アノードボンディングドパッド14、カソードボンディングパッド16等の金属配線層は、同一の材料から成り、同時に形成される。そして、前記金属配線層は、密着層31、並びに、第1配線層32及び第2配線層33から成る。この場合、第1配線層32及び第2配線層33の材料、すなわち、電極材料としては、AuGeNi/Au又はAuGe/Ni/Auが使用される。さらに、第1伝導型半導体層22及び第2伝導型半導体層と電極材料とを良好に接続するために、シンター処理が行われる(図14(k))。
【0051】
次に、前記構成のLEDアレイチップ42aの動作について説明する。
【0052】
本実施の形態におけるLEDアレイチップ42aでは、図1に示されるように、奇数番目の発光部11のカソードがすべて同じカソード配線層としてのカソードボンディングパッド16に接続されており、偶数番目の発光部11のカソードがすべて同じカソード配線層としてのカソードボンディングパッド16に接続されている。また、隣接する奇数番目の発光部11の個別配線と偶数番目の発光部11の個別配線とは、同じアノード配線層としてのアノードボンディングパッド14に接続されている。
【0053】
そのため、アノードボンディングパッド14と、カソードボンディングパッド16とをそれぞれ電気的に選択し、第2伝導型(P)側から第2伝導型(N)側へ、順方向電流を流すことによって所望の発光部11を点灯させることができる。
【0054】
例えば、左端の発光部11を点灯する場合、左端のアノードボンディングパッド14を選択し、奇数番目の発光部11のカソードが接続されているカソードボンディングパッド16を選択して、選択されたアノードボンディングパッド14とカソードボンディングパッド16との間に順方向電流を流せばよい。また、左端から偶数番目、すなわち、2n番目の発光部11を点灯する場合、左端からn番目のアノードボンディングパッド14を選択し、偶数番目の発光部11のカソードが接続されているカソードボンディングパッド16を選択して、選択されたアノードボンディングパッド14とカソードボンディングパッド16との間に順方向電流を流せばよい。
【0055】
このように、本実施の形態においては、層間絶縁膜23と第1配線層32及び第2配線層33から構成される金属配線層との間に、厚さが5〜500〔Å〕のTiから成る密着層31を形成するようになっている。そのため、金属配線層としてのアノード配線層及びカソード配線層と層間絶縁膜23とのコンタクト特性が良好となる。これにより、アノード配線層及びカソード配線層を同一の工程で同時に形成することができるので、半導体基板表面のパーティクルやパターン不良等に起因する配線間絶縁不良等の不良の発生を防止することができ、また、コストを低減することができる。
【0056】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態におけるLEDアレイチップの構成を示す平面図である。
【図2】従来のLEDアレイチップの構成を示す平面図である。
【図3】従来の他のLEDアレイチップの構成を示す図である。
【図4】従来のLEDアレイチップにおける不良の例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における画像形成装置本体の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるLEDプリントヘッドの要部構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるEDアレイチップの断面図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるLEDアレイチップの要部拡大断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における密着層の膜厚とコンタクト抵抗の関係を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における密着層の膜厚とコンタクト抵抗及び密着力の関係を示す表である。
【図11】本発明の実施の形態におけるLEDアレイチップの製造工程を示す第1の図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるLEDアレイチップの製造工程を示す第2の図である。
【図13】本発明の実施の形態におけるLEDアレイチップの製造工程を示す第3の図である。
【図14】本発明の実施の形態におけるLEDアレイチップの製造工程を示す第4の図である。
【符号の説明】
【0058】
11 発光部
12 第1伝導型半導体コンタクト電極
13 アノード電極層
14 アノードボンディングパッド
15 カソード電極層
16 カソードボンディングパッド
17 共通コンタクト電極
23 層間絶縁膜
31 密着層
32 第1配線層
33 第2配線層
40 LEDプリントヘッド
42 プリント基板
42a LEDアレイチップ
43 ロッドレンズアレイ
44 レンズホルダ
50 画像形成装置
51a、52a、53a、54a 感光体ドラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体基板と、
(b)該半導体基板上に形成され、該半導体基板へのコンタクトホールが開口された層間絶縁膜と、
(c)一端が前記コンタクトホールに接続され、他端がボンディングパッドを構成する金属配線層と、
(d)前記層間絶縁膜と金属配線層との間に設けられ、厚さが5〜500〔Å〕のTiから成る密着層とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記層間絶縁膜はSiNから成る請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記金属配線層はGeを含む金合金から成る請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記金合金はAuGeNiである請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体基板は、主成分としてGaを含む化合物半導体基板であり、前記半導体素子としてLEDが形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
主表面上に形成されたカソード電極及びアノード電極と、同一工程によって同一金属で形成され、前記カソード電極及びアノード電極に接続されたカソード配線層及びアノード配線層とを更に有する請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の半導体装置がLEDが列状に配置されたLEDアレイチップを形成し、該LEDアレイチップがプリント基板上にダイポンディング及びワイヤボンディングによって実装され、ホルダによって固定される光学系が前記LEDアレイチップと対向するように配置されることを特徴とするLEDヘッド。
【請求項8】
請求項7に記載のLEDヘッドが像担持体と対向して配置されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−253338(P2006−253338A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66458(P2005−66458)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(500002571)株式会社沖デジタルイメージング (186)
【Fターム(参考)】