説明

半導体装置およびその製造方法、pチャネルMOSトランジスタ

【課題】nチャネルMOSトランジスタにおいてhigh−Kゲート絶縁膜をhigh−K誘電体膜と酸化ランタン膜の積層により構成した半導体装置において、酸化ランタン膜のパターニングプロセスを不要とする半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】界面酸化膜22上に形成されたhigh−K誘電体膜23上に酸化膜24を形成する工程と、前記high−K誘電体膜に窒化物層25を形成する工程と、前記窒化物層および前記酸化膜を第1の素子領域21Aから選択的に除去し、第1および第2の素子領域21Bにわたり酸化ランタン膜26を形成し、前記第1の素子領域においては前記界面酸化膜と前記high−K誘電体膜と前記酸化ランタン膜を積層した第1の積層構造を、また前記第2の素子領域においては前記界面酸化膜と前記high−K誘電体膜と前記酸化膜と前記窒化物層と前記酸化ランタン膜を積層した第2の積層構造を形成する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に半導体装置に係り、特にhigh−K誘電体膜をゲート絶縁膜として使った高速半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコン基板上に形成されるMOSトランジスタ(金属酸化物シリコン電界効果トランジスタ)は、シリコン基板上にシリコン熱酸化膜よりなるゲート絶縁膜を介してポリシリコンゲート電極を形成し、さらにシリコン基板中、前記ポリシリコンゲート電極直下に所定のゲート長で形成されるチャネル領域を隔てて相対向するようにソース領域およびドレイン領域を形成した構造を有している。
【0003】
最近の超高速MOSトランジスタでは、ゲート長を短縮することで動作速度の向上が図られており、これに伴ってゲート絶縁膜の膜厚も、スケーリング則に従って減少している。例えばゲート長が0.45nmのMOSトランジスタでは、シリコン熱酸化膜をゲート絶縁膜に使った場合、ゲート絶縁膜の膜厚を1nmあるいはそれ以下にまで減少させるのが望ましい。しかしこのようにゲート絶縁膜の物理的な膜厚を減少させると、ゲート絶縁膜を通過するトンネル電流によるゲートリーク電流の発生が大きな問題となる。
【0004】
この問題を軽減すべく、シリコン熱酸化膜中に窒素原子を導入してゲート絶縁膜の比誘電率を増加させ、物理的な膜厚をトンネル電流が流れない程度に維持しながら、実効的な、いわゆる「電気的膜厚」あるいは「換算膜厚」とよばれるEOTを減少させ、ゲート長の短縮に対応する試みもなされている。しかしシリコン酸化膜の比誘電率が3.9〜4.0であるのに対し、SiN膜の比誘電率はたかだか7〜8前後で、この中間の組成を有するSiON膜を使ってさらなるゲート長の短縮に対応するには明らかな限界がある。
【0005】
これに対しHfOやZrOなどの金属酸化物絶縁膜は20〜30の非常に大きな比誘電率を有し、一般にhigh−K誘電体膜とよばれている。そこでこのようなhigh−K誘電体膜をゲート絶縁膜に使うことにより、更にゲート長の短い、例えばゲート長が32nmあるいは16nm、さらには8nmのMOSトランジスタにおいても、トンネル効果によるゲートリーク電流を効果的に抑制することが期待されている。
【0006】
ところがこのようなhigh−K誘電体膜よりなるゲート絶縁膜上にポリシリコンゲート電極を形成した構造のMOSトランジスタでは、pチャネルMOSトランジスタであれnチャネルMOSトランジスタであれ、閾値が深いレベルに固定されてしまう、いわゆるフェルミレベルピニングとして知られている問題や、分極の発生しやすいhigh−K誘電体膜中に誘起されたSO(Surface Optical)フォノン振動がトランジスタのチャネル領域において反転チャネルを構成する電荷と結合して散乱を生じ、キャリア移動度を低下させる、フォノン散乱として知られている問題などが生じる。
【0007】
これに対し、当業者が一般に「メタル」とよぶ金属あるいは導電性金属窒化物をゲート電極に使った、いわゆるメタルゲート技術では、ゲート電極に空乏化の問題が発生することはなく、high−K誘電体膜よりなる、いわゆるhigh−Kゲート絶縁膜に、前記メタルよりなるメタルゲート電極を組み合わせることで、大きなドレイン電流を特徴とし、高速動作するMOSトランジスタを得ることが可能であると期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】2008−205012号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kita, K., et al.Technical report of IEICE. SDM 108(407) pp.5-8, 20090119
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしメタルゲート技術でも、シリコン基板上にhigh−K誘電体膜を直接にゲート絶縁膜として形成すると、表面ラフネス散乱や酸化ハフニウム(HfOx)などのhigh−K誘電体膜中における格子振動に起因するフォノン散乱が発生し、チャネル中を輸送されるキャリアの移動度が低下してしまうため、通常は、シリコン基板とhigh−K誘電体膜の間に、熱酸化やラジカル酸化によりシリコン酸化膜よりなる界面酸化膜を形成することが提唱されている。
【0011】
しかしこのようなシリコン酸化膜とhigh−K誘電体膜を積層した構造のゲート絶縁膜を有するMOSトランジスタでは、シリコン酸化膜とhigh−K誘電体膜との界面において、両者の間における酸素原子の数密度差に起因して実質的な電荷が電気双極子の形で発生し(非特許文献1)、特にnチャネルMOSトランジスタの場合に閾値が深くなってしまう問題が生じる。その結果、せっかくのhigh−K誘電体膜を使っても、所望のトランジスタ動作速度の向上が得られない。
【0012】
このため、nチャネルMOSトランジスタについて、酸化ハフニウム膜よりなるhigh−K誘電体膜上に酸化ランタン(La23)膜を形成し、前記酸化ハフニウム膜とその下のシリコン酸化膜との界面に望ましくない向きで発生する電気双極子の効果を打ち消すのみならず、前記酸化ハフニウム膜中へのLaの拡散量を制御することで、nチャネルMOSトランジスタの閾値を自在に制御する技術が提案されている。
【0013】
またpチャネルMOSトランジスタについては、酸化ハフニウム膜とシリコン酸化膜の界面に発生する電気双極子の効果をさらに増大させるのが望ましく、このため酸化ハフニウム膜上に酸化アルミニウム(Al23)膜を形成し、前記酸化ハフニウム膜中へのAlの拡散量を制御することで、pチャネルMOSトランジスタの閾値を自在に制御する技術が提案されている。
【0014】
図1A〜図1Fは、このような本発明の関連技術によるプロセスを示す図である。
【0015】
図1Aを参照するに、シリコン基板11には、nチャネルMOSトランジスタのための素子領域11AとpチャネルMOSトランジスタのための素子領域11Bが形成されており、いずれの素子領域においても、前記シリコン基板11上に、シリコン熱酸化膜あるいはラジカル酸化膜よりなる界面酸化膜12を介して、例えば酸化ハフニウムよりなるhigh−K誘電体膜13が形成されている。
【0016】
次に図1Bに示すように前記図1Aの構造上、前記素子領域11A上にも素子領域11Bにも酸化アルミニウム膜14Aを形成し、その後図1Cに示すように、前記酸化アルミニウム膜14Aを前記素子領域11Aからウェットあるいはドライエッチングにより選択的に除去する。
【0017】
さらに図1Dに示すように前記図1Cの構造上、前記素子領域11A上にも素子領域11Bにも酸化ランタン(La23)膜14Bを形成し、その後図1Eに示すように、前記酸化ランタン膜14Bを前記素子領域11Bからウェットエッチングにより選択的に除去する。
【0018】
さらに図1Fに示すように図1Eの構造を熱処理し、前記素子領域11Aにおいては酸素原子を酸化ハフニウム膜13から酸化ランタン膜14Bおよび界面酸化膜12へと矢印のように拡散させ、また素子領域11Bにおいては酸素原子を矢印で示すように酸化アルミニウム膜14Aから酸化ハフニウム膜13へと、また酸化ハフニウム膜13から界面酸化膜12へと拡散させる。このような酸素原子の移動は、酸素原子の数密度が高い方から低い方へと生じ(非特許文献1)、酸素欠損が生じた部分には正電荷が、また酸素原子の移動先には負電荷が、対になって発生し、電気双極子が形成される。図1A〜図1Fの系では、酸素原子の数密度は、酸化ランタン膜、界面酸化膜を構成する酸化ハフニウム、シリコン酸化膜および酸化アルミニウム膜の順で増大する(La23<HfO2<SiO2<Al23)。このようにして形成されたhigh−K誘電体膜13および酸化ランタン膜14B、および前記high−K誘電体膜13および酸化アルミニウム膜14Aは、それぞれnチャネルMOSトランジスタのゲート絶縁膜15AおよびpチャネルMOSトランジスタのゲート絶縁膜15Bを形成する。
【0019】
ところで図1Eよりわかるように、high−K誘電体膜13と酸化ランタン膜14Bの界面に形成される電気双極子の向きは、前記high−K誘電体膜13とシリコン酸化膜12との界面に形成される電気双極子の向きと逆になっており、前記酸化ランタン膜14BはnチャネルMOSトランジスタの素子領域11Aにおいて、チャネル領域にhigh−K誘電体膜13と界面酸化膜12の界面で生じる電気双極子による閾値電圧の調整効果を相殺するのみならず、さらに逆向きの電気双極子の効果を生じるように作用する。
【0020】
その際、前記nチャネルMOSトランジスタの素子領域11Aにおいては前記酸化ランタン膜14B中のLa原子が前記酸化ハフニウム膜13と界面酸化膜12の界面まで拡散し、前記酸化ハフニウム膜13から界面酸化膜12へと拡散した酸素原子と結合することにより、酸素原子の数密度が低い酸化ランタンを形成する。その結果、前記酸化ハフニウム膜と界面酸化膜12との界面における過剰の酸素原子が酸化ランタンの形で固定され、かかる界面における望ましくない向きの電気双極子の発生が軽減される。
【0021】
一方前記素子領域11Bにおいては、high−K誘電体膜13と酸化アルミニウム膜14Aの界面に形成される電気双極子の向きは、前記high−K誘電体膜13とシリコン酸化膜12との界面に形成される電気双極子の向きと同じになっており、前記酸化アルミニウム膜14AはpチャネルMOSトランジスタの素子領域11Bにおいて、チャネル領域にhigh−K誘電体膜13と界面酸化膜12の界面で生じる電気双極子によるpチャネルMOSトランジスタの閾値電圧調整効果を増強するように作用する。
【0022】
前記素子領域11Bにおいては前記酸化アルミニウム膜14A中のAlが前記酸化ハフニウム膜13と界面酸化膜12の界面まで拡散し、酸素原子の数密度が高い酸化アルミニウムを形成する。このようにして前記酸化ハフニウム膜13と界面酸化膜12の界面に形成された酸化アルミニウムは酸素を前記界面酸化膜12へと放出し、素子領域11Bにおいて前記high−K誘電体膜13と界面酸化膜12の界面で生じる電気双極子による閾値電圧調整効果を増強するように作用する。
【0023】
しかし上記図1A〜図1Fのプロセスでは、図1Eの工程において前記酸化ランタン膜14Bを選択エッチングしているが、酸化ランタン膜14Bは吸水性を有するため、例えばその後のパターニング工程においてエッチング残渣を生じたり、凝集を生じ酸化ランタン膜14Bの膜厚が大きい部分ではLa濃度が高く、薄い部分では逆に低くなり、Laの分布が局所的に不均一になったりするなどの、様々な問題が生じる。凝集を生じた酸化ランタン膜14Bでは、膜厚に数ミクロンのばらつきが発生することがある。選択エッチング工程では、ドライエッチングでもウェットエッチングでも洗浄工程が一般に不可欠であり、水との接触を回避することができない。
【0024】
また仮に図1Eの選択エッチング工程を省略した場合には、図1Fの状態で酸化ランタン膜14Bが酸化アルミニウム膜14A上に残留し、その結果、La原子もAl原子と共に前記high−K誘電体膜13と界面酸化膜12との界面に向かって拡散し、前記界面における双極子によるpチャネルMOSトランジスタの閾値電圧調整効果を低減させるように作用してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0025】
一の側面によれば半導体装置は、素子分離領域によりnチャネルMOSトランジスタのための第1の素子領域とpチャネルMOSトランジスタのための第2の素子領域が画成されたシリコン基板と、前記第1の素子領域において前記シリコン基板上に第1のゲート絶縁膜を介して形成された第1のメタルゲート電極と、前記第2の素子領域において前記シリコン基板上に第2のゲート絶縁膜を介して形成された第2のメタルゲート電極と、前記第1の素子領域において前記シリコン基板中に、前記第1のメタルゲート電極直下の第1のチャネル領域を隔てて相対向するn型の第1のソースおよびドレイン領域と、前記第2の素子領域において前記シリコン基板中に、前記第2のメタルゲート電極直下の第2のチャネル領域を隔てて相対向するp型の第2のソースおよびドレイン領域と、を含み、前記第1のゲート絶縁膜は、前記シリコン基板表面に形成された第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜上に形成された前記第1の絶縁膜よりも高い誘電率を有する第2の絶縁膜と、前記第2絶縁膜上に形成された第1の酸化ランタン膜とを含み、前記第2のゲート絶縁膜は、前記シリコン基板表面に形成された第3の絶縁膜と、前記第3の絶縁膜上に形成された前記第3の絶縁膜よりも高い誘電率を有する第4の絶縁膜と、前記第4の絶縁膜上に形成された酸化アルミニウムあるいは二酸化チタンよりなる酸化膜と、前記酸化膜上に形成された第2の酸化ランタン膜とを含み、前記酸化膜と前記第2の酸化ランタン膜との間には、窒素を含む層が介在する。
【0026】
他の側面によれば半導体装置の製造方法は、素子分離領域により第1および第2の素子領域が画成されたシリコン基板上に、前記第1および第2の素子領域を覆って第1の絶縁膜を形成する工程と、前記シリコン基板上に、前記第1および第2の素子領域にわたり、前記第1の絶縁膜を覆って前記第1の絶縁膜よりも高い誘電率を有する第2の絶縁膜を形成する工程と、前記シリコン基板上に、前記第1および第2の素子領域にわたり、前記第2の絶縁膜を覆って酸化アルミニウムまたは二酸化チタンよりなる酸化膜を形成する工程と、前記第2の絶縁膜の表面を、前記第1および第2の素子領域にわたり窒化して窒化物層を形成する工程と、前記窒化物層および前記酸化膜を前記第1の素子領域から選択的に除去し、前記第1の素子領域において前記第2の絶縁膜を露出する工程と、前記シリコン基板上に、前記第1および第2の素子領域にわたり、前記第1の素子領域においては前記第2の絶縁膜を覆って、また前記第2の素子領域においては前記窒化物層を覆って、酸化ランタン膜を形成し、前記第1の素子領域においては前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜と前記酸化ランタン膜を積層した第1の積層構造を、また前記第2の素子領域においては前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜と前記酸化膜と前記窒化物層と前記酸化ランタン膜を積層した第2の積層構造を形成する工程と、前記シリコン基板上に、前記第1および第2の素子領域にわたり、前記酸化ランタン膜を覆って金属または導電性金属窒化物層をメタルゲート電極層として形成する工程と、を含む。
【0027】
他の側面によればpチャネルMOSトランジスタは、シリコン基板と、前記シリコン基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたメタルゲート電極と、前記シリコン基板中に、前記メタルゲート電極直下のチャネル領域を隔てて相対向するp型のソースおよびドレイン領域と、を含み、前記ゲート絶縁膜は、前記シリコン基板表面に形成された第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜上に形成された前記第1の絶縁膜よりも高い誘電率を有する第2の絶縁膜と、前記第2の絶縁膜上に形成された酸化アルミニウムあるいは二酸化チタンよりなる酸化膜と、前記酸化膜上に形成された酸化ランタン膜とを含み、前記酸化膜と前記酸化ランタン膜との間には、窒素を含む層が介在する。
【発明の効果】
【0028】
上記第1および第2の側面によれば、半導体装置を製造する際に、第2の素子領域において前記酸化アルミニウムまたは二酸化チタンよりなる酸化物膜と酸化ランタン膜との間に窒化物層が介在するため、前記酸化ランタン膜を形成する際に、前記第2のゲート絶縁膜ないし第2の積層構造において、Laが前記酸化物膜中に拡散するのが阻止され、前記第1の素子領域においては前記シリコン基板と前記第1のゲート絶縁膜ないし第1の積層構造との界面に所望の極性のダイポールを誘起する一方、前記第2の素子領域においては前記シリコン基板と前記第2のゲート絶縁膜ないし第2の積層構造との界面に、所望の逆極性のダイポールを誘起することが可能となり、high−K誘電体膜を使ったメタルゲートMOSトランジスタにおいて、閾値特性をpチャネルMOSトランジスタおよびnチャネルMOSのいずれにおいても揃えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1A】従来の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その1)である。
【図1B】従来の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その2)である。
【図1C】従来の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その3)である。
【図1D】従来の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その4)である。
【図1E】従来の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その5)である。
【図1F】従来の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その6)である。
【図2】一実施形態による半導体装置の構成を示す断面図である。
【図3A】図2の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その1)である。
【図3B】図2の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その2)である。
【図3C】図2の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その3)である。
【図3D】図2の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その4)である。
【図3E】図2の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その5)である。
【図3F】図2の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その6)である。
【図3G】図2の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その7)である。
【図3H】図2の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その8)である。
【図3I】図2の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その9)である。
【図3J】図2の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その10)である。
【図3K】図2の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その11)である。
【図3L】図2の半導体装置の製造工程を説明する断面図(その12)である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図2は、好ましい実施形態による半導体装置の構成を示す断面図である。
【0031】
図2を参照するに、p型シリコン基板21上にはSTI型の素子分離領域21IによりnチャネルMOSトランジスタのための素子領域21Aと、pチャネルMOSトランジスタのための素子領域21Bが画成されており、前記素子領域21Aにはp型ウェル21PWが形成されている。
【0032】
前記素子領域21Aにおいては前記シリコン基板21上に、厚さが1nm以下、例えば0.7nmの膜厚の熱酸化膜よりなる界面酸化膜22aが形成され、前記界面酸化膜22a上には膜厚が1.0nm〜2.0nm、好ましくは1.5nmの酸化ハフニウム(HfO)膜23aと、膜厚が0.3nm〜0.8nm、好ましくは0.5nmの酸化ランタン(La23)膜26aとが順次積層され、第1のゲート絶縁膜22Aが形成されている。
【0033】
さらに前記素子領域21Aにおいては、前記第1のゲート絶縁膜22A上に、TiNよりなるメタル膜27aとn型にドープされたポリシリコン膜28aを順次積層したメタルゲート電極23Aがゲート長Lで形成されている。
【0034】
一方前記素子領域21Bにおいては前記シリコン基板21上に、厚さが1nm以下、例えば0.7nmの膜厚の熱酸化膜よりなる界面酸化膜22bが前記界面酸化膜22aと同様に形成され、前記界面酸化膜22b上には膜厚が1.0nm〜2.0nm、好ましくは1.5nmの酸化ハフニウム(HfO)膜23bと、膜厚が0.3nm〜0.8nm、好ましくは0.5nmの酸化アルミニウム(Al23)膜24bと、膜厚が0.3nm〜0.8nm、好ましくは0.5nmの酸化ランタン膜26bが順次積層され、第2のゲート絶縁膜22Bが形成されている。その際、本実施形態では、前記酸化アルミニウム膜24bと酸化ランタン膜26bの間に、膜厚が0.2nm以上、0.5nm未満の、すなわち前記酸化アルミニウム膜24bの膜厚よりは膜厚の小さい窒化アルミニウム(AlN)層25bが介在し、前記窒化アルミニウム層25bは、前記酸化ランタン膜26bから前記酸化アルミニウム膜24b、さらに酸化ハフニウム膜23bへのランタン(La)の拡散を阻止するバリア膜として機能する。後で説明するように、前記窒化アルミニウム層25bは、前記酸化アルミニウム膜24bの表面部分を窒化することにより形成されており、これに伴って前記酸化アルミニウム膜24bの膜厚は、実際には上記の値から、前記窒化アルミニウム層25bの膜厚分だけ減少している。
【0035】
さらに前記素子領域21Bにおいては、前記第2のゲート絶縁膜22B上に、TiNよりなるメタル膜27bとp型にドープされたポリシリコン膜28bを順次積層したメタルゲート電極23Bが、ゲート長Lで形成されている。
【0036】
ここで前記メタル膜27a,27bはTiNに限定されるものではなく、TaNやTaSiN,W,WNなど高融点金属あるいはその導電性窒化物を使うことが可能である。
【0037】
前記シリコン基板21中には、前記素子領域21Aにおいて前記メタルゲート電極23A直下のチャネル領域23CAの両側に、前記チャネル領域23CAを隔てて相対向するようにn型のソースエクステンション領域21aおよびドレインエクステンション領域21bが形成され、また素子領域21Bにおいて前記メタルゲート電極23B直下のチャネル領域23CBの両側に、前記チャネル領域23CBを隔てて相対向するようにp型のソースエクステンション領域21cおよびドレインエクステンション領域21dが形成されている。
【0038】
さらに前記ゲート電極23Aの相対向する側壁面上には側壁絶縁膜23A1,21A2が形成され、前記シリコン基板21中には、前記素子領域21A中、前記チャネル領域21CAから見て前記側壁絶縁膜23A1および23A2の外側に、n+型のソース領域21eおよびドレイン領域21fがそれぞれ形成される。
【0039】
同様に前記ゲート電極23Bの相対向する側壁面上には側壁絶縁膜23B1,21B2が形成され、前記シリコン基板21中には、前記素子領域21B中、前記チャネル領域21CBから見て前記側壁絶縁膜23B1および23B2の外側に、p+型のソース領域21gおよびドレイン領域21hがそれぞれ形成される。
【0040】
その結果、前記素子領域21Aにはメタルゲート電極23Aとゲート絶縁膜22Aを有するnチャネルMOSトランジスタが、また素子領域21Bにはメタルゲート電極23Bとゲート絶縁膜22Bを有するpチャネルMOSトランジスタが、それぞれ形成される。
【0041】
前記ゲート絶縁膜22Aをこのように膜厚が0.7nmの界面酸化膜22aと膜厚が1.5nmの酸化ハフニウム膜23aと膜厚が0.5nmの酸化ランタン膜26aの積層により構成した場合、前記ゲート絶縁膜22Aの換算膜厚EOTは、約1.07nmとなる。また前記ゲート絶縁膜22Bをこのように膜厚が0.7nmの界面酸化膜22bと膜厚が1.5nmの酸化ハフニウム膜23bと膜厚が0.5nmの酸化アルミニウム膜25bと膜厚が0.2nmの窒化アルミニウム膜25bと膜厚が0.5nmの酸化ランタン膜26bの積層により構成した場合、前記ゲート絶縁膜22BのEOTは、1.287nmとなる。ただしこの計算では、界面酸化膜22a,22bの比誘電率を3.9、high−K誘電体膜23a,23bを構成するHfO2の比誘電率を20、酸化ランタン膜26a,26bの比誘電率を25、酸化アルミニウム膜24bの比誘電率を16、窒化アルミニウム膜25bの比誘電率を9としている。
【0042】
このように本実施形態ではゲート絶縁膜22A,22Bの換算膜厚EOTが1.0〜1.1nmであり、物理膜厚は、それぞれnチャネルは2.7nm、pチャネルは3.2nmとなるので、ゲートリーク電流の増大を抑止できる。ゲート長が45nmより短くなっても同様である。
【0043】
以下、図2の半導体装置の製造方法を説明する。
【0044】
図3Aを参照するに、前記シリコン基板21上には素子分離領域21Iにより素子領域21Aと21Bが画成されており、前記素子領域21Aにはp型ウェル21PWが形成されている。図3Aの工程では、さらに前記シリコン基板21A上に前記界面酸化膜22a,22bとなるシリコン酸化膜22が、例えば900℃で酸素分圧が1320Pa(10Torr)のドライ酸素雰囲気中において7秒〜8秒間熱酸化処理工程を行うことにより、1nm以下、例えば0.7nmの膜厚に形成される。
【0045】
次に図3Bに工程において、前記シリコン酸化膜22上に前記high−K誘電体膜23a,23bとなるHfO2膜23が、ALD(atomic layer deposition)法あるいはMOCVD法により、例えば1.5nmの膜厚に形成される。前記HfO2膜23のALD法による成膜は、CVD装置を使い、300℃〜350℃、例えば320℃の温度において、塩化ハフニウム(HfCl4)と水蒸気(H2O)を、間にパージ工程を挟みながら交互に繰り返し供給することで実行することができる。なおその際、前記塩化ハフニウムに塩化ジルコニウム(ZrCl4)を添加することも可能である。この場合には、前記high−K誘電体膜23として(Hf,Zr)O2膜が得られる。ただしこの場合は、ハフニウム(Hf)とジルコニウム(Zr)の全体に対するジルコニウムの割合が3割を超えないように制御するのが好ましい。
【0046】
次に図3Cの工程において、前記HfO2膜23上に前記酸化膜24として酸化アルミニウム膜が、前記HfO2膜23の場合と同様にALD法あるいはMOCVD法により、例えば0.5nmの膜厚に形成される。前記酸化アルミニウム膜24をALD法により成膜する場合もCVD装置が使われ、200℃〜300℃、例えば250℃の温度において、Al(CH33(トリメチルアンモニウム)とH2Oを、間にパージ工程を挟みながら交互に繰り返し供給することで実行することができる。
【0047】
次に図3Dの工程において前記図3Cの構造をリモートプラズマ窒化処理装置中に導入し、400℃以下の温度においてヘリウム(He)雰囲気中、1500〜2000Wのパワーでプラズマを励起し、窒素ガスを例えば30sccm〜100sccmの流量で10秒間ないし20秒間流すことにより、前記酸化アルミニウム膜24の表面部分を窒素ラジカルにより窒化し、膜厚が0.2nm以上で0.5nm未満の窒化アルミニウム(AlN)層25を形成する。ただし前記酸化アルミニウム膜24の窒化処理はリモートプラズマ窒化処理に限定されるものではなく、窒素ラジカルを低温で効率的に発生できるものであればどのようなものであってもよい。例えばダウンフロープラズマ処理装置を使って前記窒化処理を行うことも可能である。この場合は、室温でダウンフロープラズマ処理装置を運転し、1ミリ秒程度のフラッシュランプ加熱あるいはレーザスキャン加熱を行う。この場合には、シリコンの基礎吸収端波長よりも短い、1100nmよりも短波長の光を使うのが好ましい。いずれの場合でも、前記酸化ランタン膜26からのLaの拡散を抑制しつつ、前記酸化アルミニウム膜24の表面部分のみを窒化することが可能である。窒化ガスとしては、窒素の他に一酸化窒素(NO)や亜酸化窒素(N2O)、アンモニア(NH3)などを使うことができる。
【0048】
さらに図3Eの工程において、前記窒化アルミニウム層25上に例えばアモルファスシリコン膜よりなるハードマスク膜M1をスパッタ法あるいはCVD法により、0.5nm程度の膜厚で形成し、前記素子領域21BをレジストパターンR1により保護した状態で、図3Fに示すように前記ハードマスク膜M1を前記素子領域21Aからドライエッチングにより除去する。さらに残った前記窒化アルミニウム層25および酸化アルミニウム膜24をやはりドライエッチングにより除去し、前記素子領域21Aにおいて前記酸化ハフニウム膜23を露出させる。
【0049】
さらに図3Fの工程では、前記素子領域21Aにおいて前記酸化ハフニウム膜24が露出された後、前記素子領域21Bにおいて前記レジストパターンR1を、剥離液を使って除去する。その際、前記窒化アルミニウム膜25は、前記素子領域21Bにおいて前記ハードマスク膜M1により保護されており、剥離液に接することはない。
【0050】
さらにTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)をエッチャントに使ったウェットエッチング法により、前記素子領域21Bにおいて前記ハードマスク膜M1を選択的に除去し、前記素子領域21Bにおいて窒化アルミニウム層25を露出させる。前記窒化アルミニウム層25はTMAHに対しては耐性を有している。また酸化ハフニウムはTMAHに対して耐性を有しているため、この工程において前記素子領域21Aにおいて露出されている酸化ハフニウム膜23が浸食されたり除去されたりすることはない。
【0051】
次に図3Gの工程において前記図3Fの構造上に、前記素子領域21Aにおいては露出された酸化ハフニウム膜23を覆うように、また前記素子領域21Bにおいては露出された窒化アルミニウム膜25を覆うように、酸化ランタン膜26が、La(thd)を原料ガスとして使ったALD法により、例えばCVD装置中、150℃〜250℃、好ましくは200℃の基板温度において、前記原料ガスLa(thd)とガスとを交互に、間にパージ工程を挟みながら繰り返し供給することにより、例えば0.5nmの膜厚に形成される。
【0052】
その後、このようにして得られた図3Gの構造はスパッタ装置中に導入され、図3Hの工程において、前記ゲート電極23A,23Bに対応してTiN膜27が、例えば7.5nm〜12.5nm、好ましくは10nmの膜厚に形成され、さらにその上にポリシリコンシリコン膜28が、例えば30nm〜70nm、好ましくは50nmの膜厚に形成される。
【0053】
このようにして形成されたTiN膜27とポリシリコン膜28、およびその下のシリコン酸化膜22,酸化ハフニウム膜23,酸化アルミニウム膜24,窒化アルミニウム膜25および酸化ランタン膜26は、図3Iの工程においてパターニングされ、前記素子領域21Aにおいては前記界面酸化膜22aと酸化ハフニウム膜23aと酸化ランタン膜26aの積層よりなるゲート絶縁膜22Aが、TiN膜27aとポリシリコン膜28aの積層よりなるメタルゲート電極23Aの下に、また前記素子領域21Bにおいては前記界面酸化膜22bと酸化ハフニウム膜23bと酸化アルミニウム膜24bと窒化アルミニウム層25と酸化ランタン膜26bの積層よりなるゲート絶縁膜22Bが、前記TiN膜27bとポリシリコン膜28bの積層よりなるメタルゲート電極23Bの下に形成される。
【0054】
さらに図3Jの工程において、前記メタルゲート電極23Aをマスクにリン(P)やヒ素(As)などのn型不純物元素を前記素子領域21Aにおいて前記シリコン基板21中にイオン注入し、n型のソースエクステンション領域21aおよびドレインエクステンション領域21bを形成する。また前記図3Jの工程では、前記メタルゲート電極23Bをマスクにボロン(B)などのp型不純物元素を前記素子領域21Bにおいて前記シリコン基板21中にイオン注入し、p型のソースエクステンション領域21cおよびドレインエクステンション領域21dを形成する。
【0055】
さらに図3Kの工程において前記メタルゲート電極23Aに側壁絶縁膜24A1、24A2を、また前記メタルゲート電極23Bに側壁絶縁膜24B1,24B2を形成し、前記素子領域21Aにおいてはヒ素あるいはリンなどのn型不純物元素を、前記メタルゲート電極23Aおよび側壁絶縁膜24A1、24A2をマスクに、また前記素子領域21Bにおいてはボロンなどのp型不純物元素を、前記メタルゲート電極23Bおよび側壁絶縁膜24B1、24B2をマスクに、それぞれイオン注入することにより、先に図2で説明したように、前記シリコン基板21中、前記素子領域21Aにおいて、前記チャネル領域21CAから見て前記側壁絶縁膜23A1および23A2の外側に、n+型のソース領域21eおよびドレイン領域21fを、また前記素子領域21Bにおいて、前記チャネル領域21CBから見て前記側壁絶縁膜23B1および23B2の外側に、p+型のソース領域21gおよびドレイン領域21hをそれぞれ形成する。
【0056】
図3Kの工程では、前記メタルゲート電極23Aを構成するポリシリコン膜28aが前記n+型ソースおよびドレイン領域21e,21fのドープに伴いn+型に、また前記メタルゲート電極23Bを構成するポリシリコン膜28bが、前記p+型ソースおよびドレイン領域21g,21hのドープに伴い、p+型にドープされる。ただし、本実施形態において、nチャネルMOSトランジスタおよびpチャネルMOSトランジスタにおける閾値電圧の調整は、前記ゲート絶縁膜22Aおよび22Bの積層構造により既に完了しているため、このようにnチャネルMOSトランジスタのメタルゲートの一部を構成するポリシリコン膜をn型に、またpチャネルMOSトランジスタのメタルゲートの一部を構成するポリシリコン膜をp型にドープする必要はなく、これらのポリシリコン膜は、同一の導電型にドープされていてもよい。
【0057】
さらに図3Lの工程において前記シリコン基板21上に層間絶縁膜29が形成され、前記層間絶縁膜29中に、前記nチャネルMOSトランジスタのソース領域21eおよびドレイン領域21f、および前記pチャネルMOSトランジスタのソース領域21gおよびドレイン領域21hにそれぞれ対応してビアプラグ29A〜29Dを形成する。図3Lでは、前記ビアプラグ29A〜29Dはいずれも、タングステン(W)などの金属プラグ29aと、前記金属プラグ29aを覆うTiあるいはTiNバリア膜29bより構成されている。
【0058】
なお本実施形態において、前記酸化アルミニウム膜24は酸化チタン(TiO2)膜により置き換えることも可能である。この場合には、前記窒化アルミニウム層25に代わって、窒化チタン(TiN)層が形成される。前記窒化チタン膜を例えば0.3nmの膜厚に形成し、窒化チタン層を0.2nmの膜厚に形成した場合、酸化チタンの比誘電率を50、窒化チタンの比誘電率を30とすると、前記ゲート絶縁膜22Bは1.0224のEOTを有することになる。
【0059】
以上、本発明を好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
(付記1)
素子分離領域によりnチャネルMOSトランジスタのための第1の素子領域とpチャネルMOSトランジスタのための第2の素子領域が画成されたシリコン基板と、
前記第1の素子領域において前記シリコン基板上に第1のゲート絶縁膜を介して形成された第1のメタルゲート電極と、
前記第2の素子領域において前記シリコン基板上に第2のゲート絶縁膜を介して形成された第2のメタルゲート電極と、
前記第1の素子領域において前記シリコン基板中に、前記第1のメタルゲート電極直下の第1のチャネル領域を隔てて相対向するn型の第1のソースおよびドレイン領域と、
前記第2の素子領域において前記シリコン基板中に、前記第2のメタルゲート電極直下の第2のチャネル領域を隔てて相対向するp型の第2のソースおよびドレイン領域と、
を含み、
前記第1のゲート絶縁膜は、前記シリコン基板表面に形成された第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜上に形成された前記第1の絶縁膜よりも高い誘電率を有する第2の絶縁膜と、前記第2の絶縁膜上に形成された第1の酸化ランタン膜とを含み、
前記第2のゲート絶縁膜は、前記シリコン基板表面に形成された第3の絶縁膜と、前記第3の絶縁膜上に形成された前記第3の絶縁膜よりも高い誘電率を有する第4の絶縁膜と、前記第4の絶縁膜上に形成された酸化アルミニウムあるいは二酸化チタンよりなる酸化膜と、前記酸化膜上に形成された第2の酸化ランタン膜とを含み、
前記酸化膜と前記第2の酸化ランタン膜との間には、窒素を含む層が介在することを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記窒素を含む層は、前記酸化膜表面に形成された膜厚が0.2nm以上で0.5nm未満の窒化アルミニウム層または窒化チタン層であることを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記3)
前記第1の絶縁膜および前記第3の絶縁膜は、膜厚が1nm以下のシリコン酸化膜であることを特徴とする付記1または2記載の半導体装置。
(付記4)
前記第2の絶縁膜および前記第4の絶縁膜は酸化ハフニウムあるいは酸化ハフニウムジルコニウムよりなることを特徴とする付記1〜3のうち、いずれか一項記載の半導体装置。
(付記5)
前記第1および第2のメタルゲート電極は、窒化チタン膜と前記窒化チタン膜上に形成されたポリシリコン膜よりなることを特徴とする付記1〜4のうち、いずれか一項記載の半導体装置。
(付記6)
素子分離領域により第1および第2の素子領域が画成されたシリコン基板上に、前記第1および第2の素子領域を覆って第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記シリコン基板上に、前記第1および第2の素子領域にわたり、前記第1の絶縁膜を覆って前記第1の絶縁膜よりも高い誘電率を有する第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記シリコン基板上に、前記第1および第2の素子領域にわたり、前記第2の絶縁膜を覆って酸化アルミニウムまたは二酸化チタンよりなる酸化膜を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜の表面を、前記第1および第2の素子領域にわたり窒化して窒化物層を形成する工程と、
前記窒化物層および前記酸化膜を前記第1の素子領域から選択的に除去し、前記第1の素子領域において前記第2の絶縁膜を露出する工程と、
前記シリコン基板上に、前記第1および第2の素子領域にわたり、前記第1の素子領域においては前記第2の絶縁膜を覆って、また前記第2の素子領域においては前記窒化物層を覆って、酸化ランタン膜を形成し、前記第1の素子領域においては前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜と前記酸化ランタン膜を積層した第1の積層構造を、また前記第2の素子領域においては前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜と前記酸化膜と前記窒化物層と前記酸化ランタン膜を積層した第2の積層構造を形成する工程と、
前記シリコン基板上に、前記第1および第2の素子領域にわたり、前記酸化ランタン膜を覆って金属または導電性金属窒化物層をメタルゲート電極層として形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記7)
前記窒化物層の形成工程は、前記酸化ランタン膜から前記酸化物層へのLaの実質的な拡散が生じないように実行されることを特徴とする付記6記載の半導体装置の製造方法。
(付記8)
前記窒化物層の形成工程は、前記窒化物層の膜厚が0.2nm以上で0.5nm未満となるように実行されることを特徴とする付記6または7記載の半導体装置の製造方法。
(付記9)
前記窒化物層の形成工程は、リモートプラズマ処理装置を使い、400℃以下の温度で10秒間〜20秒間実行されることを特徴とする付記6〜8のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
(付記10)
前記窒化物層の形成工程は、ダウンフロープラズマ処理装置において、1ミリ秒以下の加熱処理を行うことにより実行されることを特徴とする付記6〜8のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
(付記11)
前記窒化物層および前記酸化物膜を前記第1の素子領域から選択的に除去する工程は、前記第2の素子領域において前記窒化物層上にアモルファスシリコン膜をハードマスク膜として形成して実行され、さらに前記窒化物層および前記酸化物膜を前記第1の素子領域から選択的に除去する工程は、前記第2の素子領域において、前記アモルファスシリコン膜を前記窒化物層に対して選択的に除去する工程を含むことを特徴とする付記6〜10のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
(付記12)
前記アモルファスシリコン膜を前記窒化物層に対して選択的に除去する工程は、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドをエッチャントとして使って実行されることを特徴とする付記11記載の半導体装置の製造方法。
(付記13)
シリコン基板と、
前記シリコン基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたメタルゲート電極と、
前記シリコン基板中に、前記メタルゲート電極直下のチャネル領域を隔てて相対向するp型のソースおよびドレイン領域と、
を含み、
前記ゲート絶縁膜は、前記シリコン基板表面に形成された第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜上に形成された前記第1の絶縁膜よりも高い誘電率を有する第2の絶縁膜と、前記第2の絶縁膜上に形成された酸化アルミニウムあるいは二酸化チタンよりなる酸化膜と、前記酸化膜上に形成された酸化ランタン膜とを含み、
前記酸化膜と前記酸化ランタン膜との間には、窒素を含む層が介在することを特徴とするpチャネルMOSトランジスタ。
【符号の説明】
【0060】
11,21 シリコン基板
12,22,22a,22b 界面酸化膜
13,23,23a,23b high−K誘電体膜
14A,24,24b 酸化アルミニウム膜
14B,26,26a 酸化ランタン膜
21A,21B 素子領域
21CA,21CB チャネル領域
21I 素子分離領域
21PW ウェル
21a,21b,21c,21d 拡散領域
22A,22B ゲート絶縁膜
23A,23B メタルゲート電極
24A1,24A2,24B1,24B2 側壁絶縁膜
25,25b 窒化物層
27,27a,27b メタル膜
28,28a,28b ポリシリコン膜
29 層間絶縁膜
29A〜29D ビアプラグ
29a Wプラグ
29b バリア膜
M1 ハードマスク膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子分離領域によりnチャネルMOSトランジスタのための第1の素子領域とpチャネルMOSトランジスタのための第2の素子領域が画成されたシリコン基板と、
前記第1の素子領域において前記シリコン基板上に第1のゲート絶縁膜を介して形成された第1のメタルゲート電極と、
前記第2の素子領域において前記シリコン基板上に第2のゲート絶縁膜を介して形成された第2のメタルゲート電極と、
前記第1の素子領域において前記シリコン基板中に、前記第1のメタルゲート電極直下の第1のチャネル領域を隔てて相対向するn型の第1のソースおよびドレイン領域と、
前記第2の素子領域において前記シリコン基板中に、前記第2のメタルゲート電極直下の第2のチャネル領域を隔てて相対向するp型の第2のソースおよびドレイン領域と、
を含み、
前記第1のゲート絶縁膜は、前記シリコン基板表面に形成された第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜上に形成された前記第1の絶縁膜よりも高い誘電率を有する第2の絶縁膜と、前記第2の絶縁膜上に形成された第1の酸化ランタン膜とを含み、
前記第2のゲート絶縁膜は、前記シリコン基板表面に形成された第3の絶縁膜と、前記第3の絶縁膜上に形成された前記第3の絶縁膜よりも高い誘電率を有する第4の絶縁膜と、前記第4の絶縁膜上に形成された酸化アルミニウムあるいは二酸化チタンよりなる酸化膜と、前記酸化膜上に形成された第2の酸化ランタン膜とを含み、
前記酸化膜と前記第2の酸化ランタン膜との間には、窒素を含む層が介在することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記窒素を含む層は、前記酸化膜表面に形成された膜厚が0.2nm以上で0.5nm未満の窒化アルミニウム膜または窒化チタン膜であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
素子分離領域により第1および第2の素子領域が画成されたシリコン基板上に、前記第1および第2の素子領域を覆って第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記シリコン基板上に、前記第1および第2の素子領域にわたり、前記第1の絶縁膜を覆って前記第1の絶縁膜よりも高い誘電率を有する第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記シリコン基板上に、前記第1および第2の素子領域にわたり、前記第2の絶縁膜を覆って酸化アルミニウムまたは二酸化チタンよりなる酸化膜を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜の表面を、前記第1および第2の素子領域にわたり窒化して窒化物層を形成する工程と、
前記窒化物層および前記酸化膜を前記第1の素子領域から選択的に除去し、前記第1の素子領域において前記第2の絶縁膜を露出する工程と、
前記シリコン基板上に、前記第1および第2の素子領域にわたり、前記第1の素子領域においては前記第2の絶縁膜を覆って、また前記第2の素子領域においては前記窒化物層を覆って、酸化ランタン膜を形成し、前記第1の素子領域においては前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜と前記酸化ランタン膜を積層した第1の積層構造を、また前記第2の素子領域においては前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜と前記酸化膜と前記窒化物層と前記酸化ランタン膜を積層した第2の積層構造を形成する工程と、
前記シリコン基板上に、前記第1および第2の素子領域にわたり、前記酸化ランタン膜を覆って金属または導電性金属窒化物層をメタルゲート電極層として形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記窒化物層の形成工程は、前記酸化ランタン膜から前記酸化物層へのLaの実質的な拡散が生じないように実行されることを特徴とする請求項3記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記窒化物層の形成工程は、前記窒化物層の膜厚が0.2nm以上で0.5nm未満となるように実行されることを特徴とする請求項3または4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記窒化物層および前記酸化物膜を前記第1の素子領域から選択的に除去する工程は、前記第2の素子領域において前記窒化物層上にアモルファスシリコン膜をハードマスク膜として形成して実行され、さらに前記窒化物層および前記酸化物膜を前記第1の素子領域から選択的に除去する工程は、前記第2の素子領域において、前記アモルファスシリコン膜を前記窒化物層に対して選択的に除去する工程を含むことを特徴とする請求項3〜5のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
シリコン基板と、
前記シリコン基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたメタルゲート電極と、
前記シリコン基板中に、前記メタルゲート電極直下のチャネル領域を隔てて相対向するp型のソースおよびドレイン領域と、
を含み、
前記ゲート絶縁膜は、前記シリコン基板表面に形成された第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜上に形成された前記第1の絶縁膜よりも高い誘電率を有する第2の絶縁膜と、前記第2の絶縁膜上に形成された酸化アルミニウムあるいは二酸化チタンよりなる酸化膜と、前記酸化膜上に形成された酸化ランタン膜とを含み、
前記酸化膜と前記酸化ランタン膜との間には、窒素を含む層が介在することを特徴とするpチャネルMOSトランジスタ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図2】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図3K】
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【図3L】
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【公開番号】特開2011−151144(P2011−151144A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10327(P2010−10327)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】