説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】ゲート電極から電荷蓄積層に電荷を注入する不揮発性メモリにおいて、従来のゲート構造に比べて電荷の注入効率、電荷保持特性および信頼性を共に向上させる。
【解決手段】電荷蓄積層を構成する窒化シリコン膜に電子および正孔を注入し、トータルの電荷量を変えることによって書き込み・消去を行う不揮発性メモリにおいて、ゲート電極からの電荷注入を高効率で行うために、メモリセルのゲート電極を、ノンドープのポリシリコン層54とメタル材料電極層59の2層膜で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性メモリを含む半導体装置およびその製造方法に関し、特に、MONOS構造を有する不揮発性メモリおよびその製造方法に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体素子を集積したLSI(Large Scale Integration)は、様々なシステムの制御に用いられており、社会を支えるインフラストラクチャとなってきている。今日のLSIの動作は、プログラムに従って演算処理を行うことを基本としているため、多くの場合、プログラムを格納できることが必須の条件となっており、そのための半導体素子として、LSIに組み込まれた半導体メモリの一つである不揮発性メモリが極めて重要になってきている。LSIを様々な応用に用いるには、プログラムを組みかえることで対応させることが求められるため、書き換えが可能で、かつLSIの電源を切っても記憶情報が残る不揮発性メモリは、無くてはならないものと言える。
【0003】
代表的な不揮発性メモリとして、いわゆるフローティングゲート型メモリや、絶縁膜を電荷蓄積層に用いたメモリが知られている。特に、絶縁膜を積層し、それらの界面や膜中のトラップ等に電荷を蓄積する後者のメモリは、フローティングゲート型メモリのように新たな導電層を形成する必要がないので、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)−LSIプロセスと整合性よくメモリを形成できることが知られている。電荷蓄積層となる絶縁膜としては、電荷の保持特性と書き換え特性とを両立できることから、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜とを積層させたものが広く用いられている。このような積層絶縁膜を備えた不揮発性メモリは、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Semiconductor)型メモリと通称されている。
【0004】
MONOS型メモリの代表例として、メモリトランジスタと選択トランジスタとを直列に接続した2トランジスタセルがある。メモリトランジスタは、チャネルとゲート電極間にバイアスすることで発生するF−N(Fowler-Nordheim)トンネル電流および直接トンネル電流を用い、チャネル全面で電荷の注入・放出を行わせるようになっている。
【0005】
しかし、上記のMONOS型メモリは、電荷の注入・放出を行いながら、十分な電荷保持特性を持つことが要求されるので、これが種々の問題を引き起こす原因となっている。例えば、実用に際しては、電荷保持特性を十分に確保するために積層絶縁膜を厚くすると、書き込み・消去が困難になるので、書き込み・消去の時間が実用範囲を超えてしまう。
【0006】
これに対し、電荷を放出する代わりに、異なる符号を持った2種類の電荷(電子と正孔)を、ホットキャリアを用いて注入することにより、記憶情報の書き換えを行なう方式が特許文献1(米国特許第6215148号)などで提案されている。これは、ホットキャリア注入を行うことにより、厚い絶縁膜であっても電荷の注入を効率的に行えるようにするものである。この方式によれば、局所的に電子と正孔を交互に注入することができるため、プレーナ型MOSトランジスタのチャネル方向の端部、すなわちソースおよびドレインの端部に、それぞれ別の電荷注入状態を作り、電荷情報として読み出すことが可能となる。
【0007】
上記のホットキャリア注入方式を採用したMONOS型メモリは、基本的にはMOSトランジスタのデバイス構造を採用し、ゲート絶縁膜を通常の酸化シリコン膜から、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の3層絶縁膜に置き換えたものである。また、メモリアレイの構成法としては、ソース、ドレインを厚い素子分離酸化膜下に形成することや、ソース、ドレインをゲート電極の延在方向にライン状に形成して配線として用いることなども考えられている。いずれのメモリアレイにおいても、1つのメモリセルに着目すると、多くの場合、基本的なメモリセル動作は同様であり、以下に説明するものとなっている。
【0008】
上記MONOS型メモリの平面配置と断面構造を図1〜図5に示す。図1〜図5において、符号1はシリコン基板、20、30はソース、ドレインを構成する拡散層、91および94は酸化シリコン膜、92は窒化シリコン膜、50はドープドポリシリコン層からなるゲート電極である。図1において、61はコンタクト、99はアクティブ領域、WLはワード線を示す。
【0009】
上記MONOS型メモリの書き込み動作、消去動作および読み出し動作を図2〜図5により説明する。ここで、図2〜図5のそれぞれの図は、図1のA−A線における断面図を示している。
【0010】
書き込み時には、図2に示すように、ゲート電極50(ワード線WL)に15V、拡散層20(ビット線BL1)を0V、拡散層30(ビット線BL2)を5Vとする。チャネルの電界によって加速された電子がホットキャリア状態となり、拡散層30(ビット線BL2)端部近傍の窒化シリコン膜92(電荷蓄積部)に注入される。このホットキャリアの生成法として、アバランシェ現象を用いることや、基板バイアス加速を用いることが知られている。
【0011】
消去時には、図3に示すように、ゲート電極50(ワード線WL)に−6V、拡散層20(ビット線BL1)に0V、拡散層30(ビット線BL2)に6Vを与える。拡散層30(ビット線BL2)端部でバンド間トンネル現象により正孔を発生させ、拡散層30(ビット線BL2)−シリコン基板1間バイアスで加速することにより、窒化シリコン膜92(電荷蓄積部)に正孔を注入する。
【0012】
読み出し時には、図4に示すように、ゲート電極50(ワード線WL)に3V、拡散層20(ビット線BL1)に1V、拡散層30(ビット線BL2)に0Vを与えることにより、図4に示した矢印方向に流れるチャネル電流量を蓄積電荷情報として読み出す。すなわち、窒化シリコン膜92(電荷蓄積部)に電子が注入されているときにはしきい値電圧が高く、チャネル電流は流れない。他方、正孔が注入されているときにはしきい値電圧が低く、多くのチャネル電流が流れる。
【0013】
上記MONOS型メモリの場合、しきい値電圧は、読み出し時にソース側となる拡散層の端部近傍の窒化シリコン膜92(電荷蓄積部)に注入された電荷に強く影響され、ドレイン側となる拡散層端部近傍の窒化シリコン膜92(電荷蓄積部)の電荷状態には、それほど強く依存しない。そのため、上述した拡散層20と拡散層30とを入れ替えて用いることにより、1個のメモリセルを2ビットとして用いることもできる。窒化シリコン膜92(電荷蓄積部)の拡散層20(ビット線BL1)側に電子を、拡散層30(ビット線BL2)側に正孔をそれぞれ注入し、拡散層20(ビット線BL1)を読み出しているときの様子を図5に示す。ここでは、窒化シリコン膜92(電荷蓄積部)の拡散層20(BL1)側に正孔(白丸で示す)が、拡散層30(ビット線BL2)側に電子(黒丸で示す)がそれぞれ蓄積される様子を示す。
【0014】
特許文献2(米国特許第5969383号)および特許文献3(米国特許第6477084号)には、MONOS型メモリの他の例として、スプリットゲート構造と呼ばれるメモリセルが開示されている。このメモリセルは、基本的にはnチャネル型MOSトランジスタをベースとした2個のMOSトランジスタ(選択トランジスタ40およびメモリトランジスタ41)が、選択トランジスタ40の脇にメモリトランジスタ41を縦積みにした状態で連結されている。このメモリセルを等価回路で示したのが図8である。また、図6および図7は、図8に示す回路に対応するメモリセルの平面図および断面図であり、図7は、図6のB−B線に沿った断面図である。図中の符号21、31はn−型の拡散層、90は酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜、52は選択ゲート、95は電荷蓄積膜となるゲート絶縁膜、55はメモリゲート、96は酸化シリコン膜からなるサイドウォールである。また図6の52は選択ゲート、55はメモリゲート、99はアクティブ領域に相当する。
【0015】
ここではまず、メモリセルの動作方法について説明し、その製造方法などについては、実施の形態や、本発明が解決する課題を説明するときに詳述する。また、このメモリセルを用いたメモリアレイの回路構成を図9に示す。選択トランジスタとメモリトランジスタのそれぞれのゲート電極(選択ゲート52、メモリゲート55)がSGL、MGLで示すワード線を構成し、選択トランジスタの拡散層30がビット線を構成し、メモリトランジスタの拡散層20がソース線を構成している。
【0016】
上記メモリセルの代表的な書き込み・消去動作を図10および図11に示す。メモリゲート55のゲート絶縁膜95は、窒化シリコン膜を2層の酸化シリコン膜で挟み込んだMONOS構造になっている。選択ゲート52のゲート絶縁膜90は、酸化シリコン膜で構成される。拡散層20、30は、それぞれ選択ゲート52とメモリゲート55をマスクとした不純物のイオン注入によって形成される。このメモリセルの基本的な動作として、(1)書き込み、(2)消去、(3)保持、(4)読み出し、の4つの状態が考えられる。ただし、この4つの状態の呼び名は、代表的なものとして用いており、書き込みと消去については、逆の呼び方をすることもできる。また、動作も代表的なものを用いて説明するが、様々な異なる動作が考えられている。ここでは、2つのnチャネル型MOSトランジスタ(選択トランジスタおよびメモリトランジスタ)で構成されたメモリセルについて述べるが、2つのpチャネル型MOSトランジスタで構成されたメモリセルであっても、原理的には同様に説明できる。
【0017】
まず、書き込み動作を図10に示す。メモリゲート55側の拡散層20に正電位を与え、選択ゲート52側の拡散層30にシリコン基板1と同じ接地電位を与える。メモリゲート55にシリコン基板1に対して高いゲートオーバードライブ電圧を加えることにより、メモリゲート55下のチャネルをオン状態にする。ここで、選択ゲート52の電位をしきい値電圧よりも0.1V〜0.2V程度高い値とすることにより、オン状態にする。このとき、選択ゲート52およびメモリゲート55の境界付近に最も強い電界が生じるため、多くのホットエレクトロンが発生してメモリゲート55側のゲート絶縁膜95に注入される。インパクトイオン化によるキャリアの発生の様子を符号80で示した。また、電子を黒丸、正孔を白丸でそれぞれ示した。この現象は、ソースサイドインジェクション(Source side injection:SSI)として知られているものである。
【0018】
この方式によるホットエレクトロン注入の特徴として、電界が選択ゲート52とメモリゲート55の境界付近に集中するため、メモリゲート55の選択ゲート52側端部に集中的に注入が行なわれることである。また、フローティングゲート型メモリでは、電荷保持層が導電膜により構成されているが、絶縁膜型メモリでは、絶縁膜中に蓄積されることになるため、極めて狭い領域に電子が保持されることになる。
【0019】
次に、消去動作を図11に示す。メモリゲート55に負電位を与えると共に、メモリゲート55側の拡散層30に正電位を与え、拡散層30の端部のメモリゲート55と拡散層30とがオーバーラップした領域で強反転が生じるようにすることで、バンド間トンネル現象を引き起こし、ホットホール81を生成させる。このメモリセルにおいては、発生した正孔がチャネル方向へ加速され、メモリゲート55のバイアスにより引かれてゲート絶縁膜95中に注入されることで消去動作が行なわれる。また、発生した正孔が2次的な電子−正孔対82を発生させる。これらのキャリアもゲート絶縁膜95中に注入される。すなわち、電子の電荷により上昇していたメモリゲート55のしきい値電圧を、注入された正孔の電荷によって引き下げる。
【0020】
電荷保持時は、電荷はゲート絶縁膜95中に注入されたキャリアの電荷として保持される。ゲート絶縁膜95中のバリア膜(酸化シリコン膜)のポテンシャル障壁は高く、良好に保持される。
【0021】
また、読み出し時は、選択ゲート52側の拡散層20に正電位を与え、選択ゲート52に正電位を与えることにより、選択ゲート52下のチャネルをオン状態にする。ここで、書き込み・消去状態により与えられるメモリゲート55のしきい値電圧差を判別できる適当なメモリゲート電位(すなわち、書き込み状態のしきい値電圧と消去状態のしきい値電圧の中間電位)を与えることで、保持していた電荷情報を電流として読み出す。
【0022】
非特許文献1(「2005年アイ・イー・イー・イー、インターナショナル エレクトロン デバイス ミーティング、テクニカルダイジェスト(2005 IEEE, International Electron Device Meeting, Technical Digest)」、p.547−550)には、ホットキャリアを用いずに正孔を注入する技術が記されている。酸化シリコン膜をバリア層として用いる従来の積層ゲート絶縁膜構造では、窒化シリコン膜とシリコン基板との間に形成された酸化シリコン膜が厚いために、チャネルから正孔をトンネル注入させることができなかった。そこで、非特許文献1では、この酸化シリコン膜に代えて、極薄の酸化シリコン膜と窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の積層膜を形成し、電界をかけたときにシリコン基板側から正孔がトンネルし易い状態を作っている。
【0023】
特許文献4(特開2004−303918号公報)には、ゲート絶縁膜の構成をシリコン基板側から酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸窒化シリコン(SiON)膜の順番で積層する構造を採用し、ゲート電極に正の電圧をかけてゲート電極側から正孔を注入する技術が開示されている。
【0024】
このメモリセルの断面図を図12に示す。符号20はソースである拡散層、30はドレインである拡散層、91は酸化シリコン膜、92は窒化シリコン膜、93は酸窒化シリコン膜、50はゲート電極である。電荷蓄積膜は窒化シリコン膜92である。書き込み時には、シリコン基板1から電子をホットエレクトロン注入し、消去時には、ゲート電極50から正孔を注入する。この方式によれば、ゲート電極50側の絶縁膜を、酸化シリコンよりもバンドギャップが小さく、正孔に対する障壁の低い酸窒化シリコン(SiON)で構成することにより、消去時に小さな電界で正孔をFN(Fowler-Nordheim)トンネルさせることが可能となる。
【0025】
なお、一般的にはゲート電極50と酸窒化シリコン膜93との界面に1nm程度の薄い酸化シリコン膜を挟み、ゲート電極50を構成する多結晶シリコン膜と酸窒化シリコン膜93との界面状態を良好にすることが考えられる(図示せず)。この場合、1nm程度の薄い酸化シリコン膜は、ゲート電極50から正孔が直接トンネルできるため、正孔注入時の透過率を決める主因とはならない。正孔の注入効率を決める主因となるのは、酸窒化シリコン膜93の膜厚および正孔に対するバンドオフセットである。
【0026】
特許文献5(特開2008-211162号公報)には、ゲート構造を、メモリ絶縁膜に近い側から、ノンドープのポリシリコン層(完全なノンドープポリシリコン層を形成するのは難しいが、本明細書では、意図的に不純物を排除して堆積したポリシリコン層をノンドープポリシリコン層と呼び、必要に応じて濃度などの注釈をつけることとする)と高濃度のp型不純物を含有したp型ポリシリコン層の積層構造とすることで、ゲートからのホール注入時に、その注入効率を高める技術が開示されている。これは、ゲートに正の電圧を印加したときにノンドープシリコン層のバンドが曲がることを利用したものである。ノンドープシリコン層のバンドが曲がることで、メモリ絶縁膜とゲートの界面に量子順位を形成し、この量子準位のエネルギー分、ホールからみた絶縁膜のバリアの高さを低くし、高効率なホール注入を行うというものである。この方法によれば、ゲート電極と電荷蓄積層の間にあるバリア絶縁膜の薄膜化およびバリア障壁の低下をさせなくても、ゲートからの高効率ホール注入を可能とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】米国特許第6215148号
【特許文献2】米国特許第5969383号
【特許文献3】米国特許第6477084号
【特許文献4】特開2004−303918号公報
【特許文献5】特開2008−211162号公報
【非特許文献】
【0028】
【非特許文献1】「2005年アイ・イー・イー・イー、インターナショナル エレクトロン デバイス ミーティング、テクニカルダイジェスト(2005 IEEE, International Electron Device Meeting, Technical Digest)」、p.547−550
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
前述したように、ホットキャリアを用いたキャリア注入は、シリコン基板1と電荷蓄積層である窒化シリコン膜との間にある絶縁膜が厚くても、注入を効率よく行えるという特徴がある。これは、ホットキャリアのエネルギーが、シリコンバンド上から測った絶縁膜のバリアポテンシャルの大きさに匹敵する程度のエネルギーを持つためである。しかし、高エネルギー状態のキャリアをシリコン基板1側から絶縁膜を介して注入することは、シリコン基板1のチャネルとゲート絶縁膜95との界面に多数の欠陥を作り、読み出し時にそこにキャリアがトラップされることによって、しきい値電圧の劣化やばらつきといった読み出し時の不良が引き起こされる。
【0030】
特に、チャネル直上のゲート絶縁膜90である酸化シリコン膜のシリコンに対するバンドオフセットが、電子に対してよりも正孔に対して高いことから、ホットホール注入はホットエレクトロン注入よりも高エネルギーの正孔が必要となる。そのため、ホットホール注入を採用した場合、チャネルと絶縁膜との界面に与えるダメージは、ホットエレクトロン注入よりも深刻になる。
【0031】
また、ソースサイドインジェクション(SSI)やバンド間トンネルホットホール注入(BTBTHH注入)といったホットキャリア注入方式は、キャリアの注入が局所的に行なわれることから、電荷蓄積層(窒化シリコン膜)中に注入されたキャリアが時間と共に拡散していき、しきい値電圧の変動や電荷保持特性の劣化を引き起こすことが知られている。
【0032】
これらの問題は、ホットキャリアを用いてシリコン基板から正孔を注入することによって、チャネル界面が劣化するために引き起こされる。また、高電界位置から局所的に注入されるために引き起こされると見ることができる。そのため、シリコン基板から正孔の注入を行う場合は、十分な電荷保持特性を保証する膜厚を確保しながら、低エネルギーで非局所的に正孔を注入できるようにすることが課題となる。
【0033】
さらにBTBTHH注入を行うときに発生するキャリア数は非常に多く、大部分がシリコン基板へ流れてしまうため、ホール注入時に大電流を供給する必要がある。このためメモリセル部以外の周辺回路領域のチャージポンプの面積が大きくなってしまい、モジュールサイズの削減を困難にしている。
【0034】
前記非特許文献1は、上記課題を解決する方法として知られているが、シリコン基板側は、読み出し時にチャネルとして用いる必要があるため、チャネル特性を維持し、ディスターブによるしきい値電圧の変化を抑えるためには、酸化シリコン膜を厚く形成する必要がある。また、正孔の注入時には、このバリア膜を通して電荷移動をさせるため、チャネル界面を正孔が通過することになる。これにより、界面特性の劣化はやはり避けることができないものとなる。さらに、極薄の酸化シリコン膜と窒化シリコン膜と酸化シリコン膜との積層膜は、書き込み・消去動作中にキャリアが窒化シリコン膜にトラップされると考えられ、そのキャリアのデトラップによるしきい値電圧の変動が避けられない。
【0035】
界面を劣化させることのない非局所的な正孔注入方式として、ゲート電極からの非局所的な正孔注入が考えられる。しかし、酸化シリコンとシリコンとのバレンスバンドオフセットは4.7eVと高いため、ゲート電極下の絶縁膜が厚い酸化シリコン膜である場合、ゲート電極からの正孔注入は困難である。
【0036】
これに対し、特許文献4では、ゲート絶縁膜の構成をシリコン基板側から酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸窒化シリコン(SiON)膜の順番で積層する構造を採用している。
【0037】
しかし、上記文献の場合、ゲート電極からの正孔注入は、ゲート電極に正電圧を印加した状態でホットキャリアでない正孔を注入する方式であるため、ゲート電極側からの正孔注入時にシリコン基板からの電子注入による消去効率低下が問題となる。特に、ゲート電極と電荷蓄積層との間にある絶縁膜の膜厚が厚いか、もしくはその絶縁膜の正孔に対するバリア障壁が高い場合には、正孔の注入量よりもシリコン基板からの電子注入量が勝ってしまい、消去が困難となる。また、当然のことながら、ホットキャリアを用いない正孔注入は、ホットキャリアを使うそれに比べて注入速度が悪く、書き換え速度が遅くなる。
【0038】
これらの問題点を解決し、ゲート電極からの正孔注入を高い効率で実現するためには、ゲート電極と電荷蓄積層との間にある絶縁膜を薄くするか、ゲート電極中の正孔にとっての障壁に当たるバレンスバンドオフセットを低くする必要がある。ところが、ゲート電極と電荷蓄積層との間にある絶縁膜のバンドオフセットの低下および薄膜化は、いずれも窒化シリコン膜中にトラップされている電子および正孔の保持特性を悪化させてしまう。
【0039】
前記特許文献に見るとおり、非局所的な正孔注入方式で、かつチャネル界面の劣化を抑制し、また消去に伴う電流も低減するにはゲート電極からの正孔注入が有効であることが分かる。そして、メモリの保持特性を損なわずにゲートからのホール注入効率を高めるためには、ゲートをノンドープのポリシリコン層と、不純物のドープされたp型ポリシリコン層の積層構造とすればよいこともわかる。この積層ゲート構造は、素子形成時に、ゲートをノンドープポリシリコン層とp型のポリシリコン層の2層にし、活性化アニールをレーザーアニールでおこなうだけでよいという点で、ゲートに新規材料の導入などといったプロセス上の大きな変更を伴わずに形成できるというメリットがある。そして、その効果の程は、単層p型ゲートと比べ速度が一桁以上の高効率ホール注入を実現できるという非常に大きなものである。
【0040】
しかしゲート構造をノンドープのポリシリコン層と、不純物のドープされたp型のポリシリコンの積層構造とするには、デバイス形成時の熱工程に気をつけなくてはならない。
【0041】
以下に、MONOS形成のプロセスの一例を順に追いながら、課題について具体的に説
明する。
【0042】
図13〜図17は、図1〜図5で示したようないわゆる1トランジスタ型のMONOSメモリ(NROM型と呼ばれる)において、ゲートをノンドープのポリシリコンと不純物のドープされたポリシリコンの積層構造とした場合のプロセスを示したものである。図1におけるA−A断面を図示しながら説明する。
【0043】
まず、図13に示すように、p型のシリコン基板1の主面に公知の浅溝素子分離(STI:Shallow Trench Isolation)プロセスを用いて素子分離領域(図示せず)を形成する。また、ホウ素のイオン注入および活性化アニール処理を行うことにより、シリコン基板1表面にp型ウエル領域(図示せず)を形成する。次に、シリコン基板1上にゲート絶縁膜95を形成する。このゲート絶縁膜95は、酸化シリコン膜91、窒化シリコン膜92、酸窒化シリコン膜93および酸化シリコン膜94の4層膜からなる。
【0044】
この4層膜の作り方は、例えばシリコン基板1の表面を熱酸化して膜厚4nmの酸化シリコン膜91を形成した後、CVD(chemical vapor deposition)法を用いて酸化シリコン膜91の上部に膜厚6nmの窒化シリコン膜92および膜厚5nmの酸窒化シリコン膜93を順次堆積する。CVD法による窒化シリコン膜92の堆積には、SiHCl+NHを原料ガスとして用いる。続いて、この原料ガスに酸化剤(NO)を添加し、NHの流量を制限することにより、酸窒化シリコン膜93を形成する。酸窒化シリコン膜93は、窒化シリコン膜92よりもバンドギャップが大きいという特徴がある。ここでは、酸窒化シリコン膜93中の酸素と窒素の組成比を1:1とする。その後、酸窒化シリコン膜93上に膜厚1nm程度の薄い酸化シリコン膜94を形成する。このような極めて薄い酸化シリコン膜94は、酸窒化シリコン膜93の表面をISSG(In-Situ Steam Generation)酸化することによって形成することができる。酸窒化シリコン膜93の膜厚は、酸化シリコン膜94による膜厚の減少を考慮して決定する。例えば以上のような工程により、ゲート絶縁膜を構成する4層の絶縁膜が得られる。
【0045】
その後、ノンドープのアモルファスシリコン層を6nm程度堆積する。その後、N雰囲気中で900℃、30分の熱処理を行いアモルファスシリコン層を結晶化させることでポリシリコン層54を形成する。次に、成膜時にボロンのドープされたアモルファスシリコン層48を100nm堆積する。ボロンの濃度は7×1020/cmとする。ここで、ゲート絶縁膜95の上部に堆積したアモルファスシリコン層をNアニールによってポリシリコン層54へと結晶化するのは、ポリシリコンの方がアモルファスシリコンに比べて、その上に堆積されたボロンドープのアモルファスシリコン層48からの不純物拡散を抑制できるからである。
【0046】
次に、図14に示すように、アモルファスシリコン層48およびポリシリコン層54からなるゲート電極をレジストをマスクとしたエッチングにより形成し、ゲート絶縁膜95をウェットエッチングする。その後、シリコン基板1の表面にヒ素をイオン注入し、n型拡散層となる拡散層20、30を形成する。n型の拡散層20、30は、メモリセルをLDD(Lightly doped drain)構造にするために形成する。なおゲート加工前に、アモルファスシリコン層48の上部に、低温で堆積可能なCVD法による酸化膜を50〜100nm程度堆積し、その後ゲート加工を行うことで、注入されるヒ素イオンは酸化膜中で止まり、ゲートのシリコンの中へ注入されるのを防ぐことができる。CVD膜をアモルファスシリコン層48の上部に堆積した場合は、図17でのシリサイド工程前に、ゲート上部の酸化膜を除去すればよい。
【0047】
ここでのヒ素の注入エネルギーは5keV、ドーズ量は2×1015atom/cmとする。図14の工程の問題点について以下に述べる。
【0048】
ゲート絶縁膜95は電荷蓄積膜およびバリア膜を含み、蓄積電荷によって情報を記憶するメモリにとっては最も重要な部位の一つである。そのためゲート絶縁膜95のエッチングにはダメージの少ないウェットエッチを用いるのが望ましい。
【0049】
これは、ドライエッチによるゲート絶縁膜95のエッチングが、ゲート絶縁膜95の端部にエッチングによるダメージを与える可能性があり、バリア膜である酸化シリコン膜91、酸窒化シリコン膜93、酸化シリコン膜94に欠陥を生成させてしまう可能性があるためであり、この欠陥が電荷保持時のリークの一因となる可能性があるからである。
【0050】
ウェットエッチによって処理する場合、まずゲート電極に最も近い薄膜酸化シリコン膜94をフッ酸洗浄で除去する。その後、酸窒化シリコン膜93を熱リン酸もしくはフッ酸を用いて除去する。酸窒化シリコン膜は、酸素含有量の多い場合はフッ酸で、酸素含有量が少ない場合は熱リン酸で除去することができる。またフッ酸によるエッチングの後熱リン酸によるエッチングを行うといった2重のエッチング処理でも除去できる。その後電荷蓄積膜である窒化シリコン膜92を熱リン酸で除去する。この酸窒化シリコン膜93および窒化シリコン膜92を熱リン酸によってエッチングする際に、熱リン酸はポリシリコンおよびアモルファスシリコンも溶かす性質があるため、ゲート電極のシリコンも削ってしまうという問題がある。ウェットエッチによるゲート電極の削れは、多数メモリを形成したときのサンプル間の仕上がりのばらつきにつながり、結果メモリ特性のばらつきにつながる。
【0051】
上記問題を解決するため、酸化シリコン膜94をフッ酸によって除去した後、酸窒化シリコン膜93除去時および、窒化シリコン膜92を熱リン酸を用いて除去する場合には、熱リン酸処理の前に熱酸化を行い、図15のようにゲート電極側壁を3〜5nm程度酸化し、酸化シリコン膜89を形成する必要がある。なお、酸化シリコン膜94は薄膜のため、図示しない。窒化シリコン膜および酸窒化シリコン膜は、シリコンに比べて酸化レートや酸化速度が遅く、ドライ酸化では1〜2nm程度の酸化しか出来ず、ISSG酸化などでも窒化シリコン膜の酸化レートはシリコンの60〜70パーセント程度である。そのため、一度熱酸化した後にフッ酸でライトエッチすることで、図15のように、ゲート電極側壁に酸化シリコン膜89を残しながら、酸窒化シリコン膜93および窒化シリコン膜92上の酸化膜が除去された状態を形成することができる。この後に熱リン酸による酸窒化シリコン膜および窒化シリコン膜の除去を行えば、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の選択比は高く、熱リン酸によってほぼ削れないので、ゲート電極の削れを抑制しながら酸窒化シリコン膜93および窒化シリコン膜92をエッチングすることができる。
【0052】
ここで、熱酸化工程においては高温を必要とするため、ノンドープのポリシリコン層54へアモルファスシリコン層48の不純物(ドーパント)が拡散してきてしまい、積層構造のゲートが作れなくなってしまうという問題がある。
【0053】
窒化シリコン膜92を除去した後、酸化シリコン膜91のエッチング前にn型の拡散層20および30を形成するためにシリコン基板1にヒ素を注入することで、酸化シリコン膜91をイオン注入のスルー膜として用いることができる。またヒ素イオン注入後、酸化シリコン膜91をフッ酸で除去し、再度、酸化シリコン膜厚にして1nm程度の再酸化を行うことで、酸化シリコン膜91、窒化シリコン膜92、酸窒化シリコン膜93のポリシリコンゲート下で露出している部分を薄く酸化し、ヒ素イオン注入時に受けたダメージを回復させ、メモリの信頼性を向上させることができる。しかしこの工程も、導入した場合、高温を必要とするため、ノンドープのポリシリコン層54へアモルファスシリコン層48の不純物(ドーパント)が拡散してきてしまい、積層構造のゲートが作れなくなってしまうという問題がある。
【0054】
次に、図16に示すように、シリコン基板1上にCVD法で膜厚100nmの酸化シリコン膜を堆積した後、酸化シリコン膜を異方性エッチングすることにより、ゲートの側壁にサイドウォール96を形成する。続いて、シリコン基板1の表面にヒ素およびリンをイオン注入した後、活性化を行いヒ素およびリンを活性化することで、メモリセルのソース、ドレインとなる拡散層21、31を形成する。ここで、活性化アニールの際、従来技術のRTA(Rapid Thermal Anneal)を用いると、950℃〜1000℃で10秒以上の熱負荷をかけることとなる。ゲート電極としてノンドープのポリシリコン層と不純物のドープされたポリシリコンの積層構造を用いる場合、この工程においても熱拡散により、不純物のドープされたポリシリコンからドーパントが、ノンドープのポリシリコン層へ拡散してしまう。従って、ごく短時間の急熱急冷のプロセスが必要であり、レーザーアニール等を用いた1msec以下での活性化が要求される。不純物をシリコン基板に打ち込んだ後、レーザーアニールによる拡散層形成を行う場合、拡散層はレーザーアニールにより打ち込み直後のプロファイルから数nm程度しか広がらない。そのため打ち込みエネルギーを弱くしてシリコン基板表面に近いところに不純物濃度のピークを作るようなイオン注入を行った場合、浅い拡散層となり、後のシリサイド工程で拡散層を突き破るか、もしくは拡散層とp型のシリコン基板の接合部に近いところまでシリサイド化されてしまう。これはメモリ動作時およびトランジスタ動作時のチャネルリーク電流やシリコン基板へのリーク電流などの原因となり、特性不良となる。
【0055】
一方で、注入エネルギーを高くして不純物を打ち込んだ後、レーザーアニールによる活性化を行うと、シリコン基板表面の拡散層の不純物濃度が低くなり、やはりシリコン基板へのリーク電流やチャネルリーク電流の原因となる。
【0056】
したがって、レーザーアニールを用いて活性化を行う場合、良好なメモリトランジスタ特性を得るためには、拡散層への不純物打ち込みを多段打ちにして、深くて不純物濃度も高い注入プロファイルを形成する必要がある。
【0057】
しかしながら注入エネルギーを高くしたシリコン基板への不純物注入や、多数回の不純物注入は、注入時にゲート電極を突き抜けてその下のゲート絶縁膜95へも注入される不純物の量を多くし、ゲート絶縁膜95へダメージをあたえてしまう。これは電荷蓄積膜をはさむバリア膜に欠陥を生じさせる原因となり、結果としてメモリの保持特性を損なう可能性がある。
【0058】
また高濃度で多数回の不純物打ち込みは、p型ゲート中に局所的にn型領域を作ってしまう可能性があり、動作上問題を起こす可能性がある。そのため不純物注入プロファイルの体積密度の最大値が、p型ゲートのボロンの体積密度よりも低くなるような低濃度注入をすることが望ましい。
【0059】
また、レーザーアニールによる活性化では、不純物拡散が少ないため、シリコン基板やチャネルと拡散層の間のpn接合部の不純物プロファイルが急峻になってしまい、MONOS動作時のGIDL(Gate Induced Drain Leakage)によるリーク電流を増大させる。また拡散層の急峻な接合プロファイルは、先に述べたアレイ動作時における書き込み・消去時の、非選択セルへの誤書き込み・誤消去(ディスターブ)の原因となる。
【0060】
上記の理由から、拡散層の形成は注入エネルギーや注入回数を最小限にし、従来のRTAによる熱活性化を用いて高濃度でブロードなプロファイルを持つ拡散層を形成することが望ましい。しかしながら、ノンドープシリコンと不純物のドープされたシリコンの積層構造では、RTAによる熱工程で不純物がノンドープシリコン層へ拡散してしまい、積層ゲート構造を維持することが難しい。
【0061】
なお特許文献5には、ダミーのメモリゲートを作成しておいて、ダミーメモリゲートをマスクとして拡散層の不純物を打ち込み、活性化アニールをRTAで行い、その後ダミーのメモリゲートをエッチングし、真のメモリゲート(積層ゲート)を形成するというプロセス(ダミーゲートプロセス)が記載されている。ダミーゲートプロセスを用いる場合には、工程数は増加するが、RTAによる拡散層活性化の熱不可は積層ゲートを堆積する前に掛かるため、上記の不純物注入の問題や、積層ゲート中の不純物の拡散の問題を回避することができる。
【0062】
ゲートへの拡散層形成時のn型不純物注入は、先に述べたとおりゲート加工前に、ボロンドープされたアモルファスシリコン層48の上部に、低温で堆積可能なCVD法による酸化膜を堆積しておけば、ゲート高さは高くなるが、注入されるヒ素イオンを酸化膜中で止め、ゲートのシリコン中へ注入されるのを抑制することができる。
【0063】
次に、図17に示すように、公知のサリサイドプロセスにより、アモルファスシリコン層48、拡散層21、31のそれぞれの表面にシリサイド層53を形成する。シリサイド層53は、例えばCoシリサイドからなる。
【0064】
なおサリサイドプロセスの前に、高温H雰囲気中(700℃程度)でのアニール処理を追加することで、MONOSメモリの保持特性を改善させる効果が知られているが、やはり積層ゲート中のノンドープのポリシリコン層54への不純物拡散を考慮すると、適用できない。
【0065】
次に、シリコン基板1上に厚い層間絶縁膜を堆積した後、公知の配線プロセスにより、層間絶縁膜上に配線を形成する。以上の工程により、NROM構造のMONOS型メモリが完成する(図示せず)。
【0066】
前述のとおり、ノンドープのポリシリコン層および不純物のドープされたポリシリコン層の積層構造で構成されたゲート電極を有するMONOSメモリの問題点として、メモリゲートを形成後に熱酸化や、RTAによる活性化アニール、高温Hアニールといった高温熱処理を伴うプロセスを使用できず、その結果メモリの信頼性を向上させることが難しいという課題がある。
【0067】
高温過程を経てノンドープポリシリコン層へドーパントが拡散し、例えばp型の単層ゲートとなってしまっては、特許文献5にあるような高速消去かつ消去飽和Vthも低くなるようなゲートからのトンネルホール注入は実現できない。
【0068】
また、ノンドープのポリシリコンと不純物のドープされたポリシリコンのゲートを堆積した後に、高温の熱酸化やアニールなどのプロセスを除外し、レーザーアニールによる拡散層とゲートの活性化を行った場合でも、ノンドープポリシリコンへの不純物の拡散を完全には抑制することは出来ない。
【0069】
図18に、ノンドープのポリシリコンと、成膜時にボロンをドープされたポリシリコンを堆積した後に1200℃、800μsecのレーザーアニールを行った段階でのサンプルのSIMS分析結果を示す。図18中の破線は、ノンドープシリコン層と、成膜時に不純物をドープしたシリコン層の接合面の位置である。ノンドープポリシリコン層中のボロン濃度プロファイルは、ボロンドープポリシリコンとノンドープポリシリコン層の界面で急激に減少し、1×1018/cm〜1×1019/cmの間の低濃度領域を作成できている。しかしながらノンドープシリコン中のボロン濃度には下限があり、3×1018/cm以下の濃度にまで拡散を抑えることは出来ていない。これはボロンドープされたポリシリコンの成膜時における拡散や、レーザーアニール時における拡散などによるものである。もちろん3×1018/cm程度の低濃度領域を形成できていれば、p型単層ゲートよりも高効率ホール注入は可能となるが、さらなる高効率ホール注入を目指すには、工夫が必要である。
【0070】
本発明の目的は、メモリゲートの形成後に高温熱処理プロセスおよび通常プロセスにおける熱処理を経たメモリセルにおいて、ゲートからの高効率なトンネルホール注入を可能とし、メモリの性能および信頼性の向上させる技術を提供することである。
【0071】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0072】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0073】
本願の一発明による半導体装置は、
第1導電型の半導体基板の主面に形成されたメモリセルを含む半導体装置であって、
前記メモリセルは、
ゲート絶縁膜を介して前記半導体基板上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極の近傍の前記半導体基板に形成された第2導電型の半導体領域からなるソース領域およびドレイン領域とを有し、
前記ゲート絶縁膜は、少なくとも電位障壁膜と、前記電位障壁膜上に積層された電荷保持膜とを含んで構成され、
前記ゲート電極は、不純物濃度が5×1019/cm以下であるポリシリコン層および前記ポリシリコン層上に形成されたメタル材料電極層を含むものである。
【発明の効果】
【0074】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を説明すれば、以下のとおりである。
【0075】
ゲートからキャリアを注入する不揮発性半導体メモリにおいて、キャリア注入の高効率化と、メモリの信頼性の向上を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】ホットキャリア注入方式を採用した従来のMONOS型メモリの平面図である。
【図2】ホットキャリア注入方式を採用した従来のMONOS型メモリの書き込み動作を示す断面図である。
【図3】ホットキャリア注入方式を採用した従来のMONOS型メモリの消去動作を示す断面図である。
【図4】ホットキャリア注入方式を採用した従来のMONOS型メモリの読み出し動作を示す断面図である。
【図5】1個のメモリセルを2ビットとして用いる従来のMONOS型メモリの読み出し動作を示す断面図である。
【図6】従来のスプリットゲート型MONOSメモリの平面図である。
【図7】従来のスプリットゲート型MONOSメモリの断面図である。
【図8】従来のスプリットゲート型MONOSメモリの等価回路図である。
【図9】従来のスプリットゲート型MONOSメモリを用いたメモリアレイの回路図である。
【図10】従来のスプリットゲート型MONOSメモリの書き込み動作を示す図である。
【図11】従来のスプリットゲート型MONOSメモリの消去動作を示す図である。
【図12】従来のメモリセルの断面図である。
【図13】従来のMONOSの製造工程を示す断面図である。
【図14】図13に続くMONOSメモリの製造工程を示す断面図である。
【図15】図14に続くMONOSメモリの製造工程を示す断面図である。
【図16】図15に続くMONOSメモリの製造工程を示す断面図である。
【図17】図16に続くMONOSメモリの製造工程を示す断面図である。
【図18】ノンドープポリシリコン/p型ポリシリコン積層ゲートのSIMS分析によるボロン濃度プロファイルである。
【図19】本発明の実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図24】本発明の実施の形態1の消去動作原理の説明のためのバンド図である。
【図25】ノンドープポリシリコンとp型ポリシリコンの積層ゲート電極構造を有する従来のMONOSの消去動作原理の説明のためのバンド図である。
【図26】本発明の効果を示した消去特性の実験結果のグラフである。
【図27】本発明の実施の形態2におけるスプリットゲートを有するMONOS型メモリの平面図である。
【図28】本発明の実施の形態2の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図32】図31に続く半導体装置の実造工程を示す断面図である。
【図33】図32に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図34】本発明の実施の形態2のアレイ動作時における、書き込み時の非選択セルが受けるディスターブの様子を示す断面図である。
【図35】図33に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図36】図35に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図37】本発明の実施の形態2における不純物の拡散の様子の説明のための断面図である。
【図38】本発明の実施の形態3の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図39】図38に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図40】図39に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図41】図40に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図42】図41に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図43】図42に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図44】本発明の実施の形態4の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図45】図44に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図46】図45に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図47】図46に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図48】図47に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図49】本発明の実施の形態5の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図50】図49に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図51】図50に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図52】図51に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図53】図52に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図54】本発明の実施の形態6の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図55】図54に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図56】図55に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図57】図56に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図58】図57に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図59】図58に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図60】本発明の実施の形態7の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図61】図60に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図62】図61に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図63】図62に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図64】図63に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図65】図64に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図66】本発明の実施の形態9の半導体装置の製造工程における不純物の拡散の様子を示す断面図である。
【図67】本発明の実施の形態9の半導体装置の製造工程における不純物の拡散の様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0078】
また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係や、各層の厚みの比率などは、以下の説明を参酌して判断すべきものである。
【0079】
また、以下の実施の形態は、本発明の技術的思想を具現化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置、動作電圧等を実施の形態のように特定するものではない。
【0080】
(実施の形態1)
以下に、本実施の形態のNROM型MONOSセルの形成プロセスについて、図19〜図23を用いて説明する。
【0081】
まず、p型のシリコン基板1の主面に公知の浅溝素子分離プロセスを用いて素子分離領域(図示せず)を形成する。また、ホウ素のイオン注入および活性化アニール処理を行うことにより、シリコン基板1表面にp型ウエル領域(図示せず)を形成する。次に図19に示すように、シリコン基板1上にゲート絶縁膜95を形成する。このゲート絶縁膜95は、酸化シリコン膜91、窒化シリコン膜92、酸窒化シリコン膜93および酸化シリコン膜94の4層膜からなる。
【0082】
次に、ノンドープのアモルファスシリコン層を堆積する。ノンドープシリコン層の膜厚の効果に関しては後に述べるが、本実施の形態では10nm堆積する。その後、N雰囲気中で900℃、30分の熱処理を行いアモルファスシリコン層を結晶化し、ポリシリコン層54を形成し、TiNからなるメタル材料電極層59を100nm堆積する。
【0083】
次に、図20に示すように、ポリシリコン層54、メタル材料電極層59をレジストをマスクとしてエッチングした後、ゲート絶縁膜95をエッチングし、シリコン基板1の表面にヒ素をイオン注入し、n型の拡散層20、30を形成する。このときメタル材料電極層59へもヒ素は注入されるが、TiN構造は非常に高密度な構造であり、不純物のTiN中の飛程距離(Rp)は小さいため、低エネルギー注入では、TiNゲートの上部表面に近い部分にしかヒ素は注入されない。またTiN構造は非常に高密度な構造のため、熱処理などに伴うTiN中の不純物の拡散も非常に小さい。よって以後の高温熱処理を経ても、TiN中に注入された不純物のノンドープシリコン膜への拡散はほぼない。ここでのヒ素の注入エネルギーは5〜10keV、ドーズ量は2×1015atom/cmとする。
【0084】
またゲート絶縁膜95のエッチングには、HFおよび熱リン酸を用いて処理する。まずゲート絶縁膜の最上層の酸化シリコン膜をHFでエッチングした後、酸窒化シリコン膜93をHFおよび熱リン酸でエッチングし、窒化シリコン膜92を熱リン酸でエッチングし、酸化シリコン膜91をHFでエッチングする。このとき、熱リン酸を用いる際にはポリシリコン層54もエッチングしてしまうという問題があるので、熱リン酸の処理の前に、ポリシリコン層54の側壁を3〜5nm程度酸化する必要がある。本構造では、ノンドープシリコン層に直接p型およびn型不純物が接していないため、この熱酸化工程を経ても、ノンドープシリコン層へ不純物が拡散してくることはない。またこの際TiN表面も薄く酸化されるが、後のゲート上へのコンタクト加工の際に、酸化された部分をエッチングして除去すればよい。
【0085】
なお、n型の拡散層20および30を形成するためのヒ素の注入を、酸化シリコン膜91のエッチング前に行えば、酸化シリコン膜91をイオン注入のスルー膜として用いることができる。またヒ素イオン注入後、酸化シリコン膜91をフッ酸で除去し、再度、酸化シリコン膜厚にして1nm程度の再酸化を行うことで、酸化シリコン膜91、窒化シリコン膜92、酸窒化シリコン膜93のポリシリコンゲート下で露出している部分を薄く酸化し、ヒ素イオン注入時に受けたダメージを回復させ、メモリの信頼性を向上させることができる。
【0086】
次に、図21に示すように、シリコン基板1上にCVD法で膜厚100nmの酸化シリコン膜を堆積した後、酸化シリコン膜を異方性エッチングすることにより、ゲートの側壁にサイドウォール96を形成する。続いて、シリコン基板1の表面にヒ素およびリンをイオン注入した後、活性化アニールを行いヒ素およびリンを活性化することで、メモリセルのソース、ドレインとなる拡散層21、31を形成する。ここで、活性化アニールは、1000℃で10秒程度とする。先に述べたとおり、注入されるヒ素およびリンは、TiNが高密度構造であるため、飛呈距離(Rp)およびその後の拡散は小さい。よってノンドープシリコン層とTiN層の積層ゲートの場合、本活性化アニールによるノンドープ層への不純物の拡散は殆どない。このため、レーザーアニールのような急熱急冷プロセスを使用せず拡散層を活性化することができる。
【0087】
次に、図22に示すように、公知のサリサイドプロセスにより、拡散層21、31のそれぞれの表面にシリサイド層53を形成する。シリサイド層53は、例えばCoシリサイドからなる。なお、サリサイドプロセスの前に、高温H雰囲気中(700℃程度)でのアニール処理を追加することで、MONOSメモリの保持特性を改善させることができる。
【0088】
次に、図23に示すように、シリコン基板1上に厚い層間絶縁膜51を堆積した後、公知の配線プロセスにより、層間絶縁膜51上に配線60を形成する。以上の工程により、ゲートがノンドープシリコンとメタルの積層構造のNROM型MONOSが完成する。
【0089】
本メモリの動作方式の一例として、書込み時に例えばゲートに10V、ソースに8V、ドレインに0V、シリコン基板1に0Vを印加し、チャネルホットエレクトロンを用いて書込み、消去時にはゲートに正電圧(例えば12V)を印加し、ゲートからのホール注入によって消去を行うことが考えられる。また、書込み時にゲートに負電圧(例えば−12V)を印加し、消去時にゲートに正電圧(例えば12V)を印加し、ゲートから電子とホールを注入して書き込み・消去を行うことが考えられる。本ゲート構造は、ゲートから電子を注入する場合にも、高効率注入を可能にする。
【0090】
ここで、本実施の形態のノンドープポリシリコンとTiN(メタル)の積層ゲート電極が高効率ホール注入を可能とする理由を説明する。まず、特許文献5で記されているような、ノンドープポリシリコン(不純物濃度〜3×1018/cm以上)とp型ポリシリコンの積層ゲート電極構造を有するMONOSにて、ゲートに正の電圧を印加したときのバンド図(図25)と、本実施の形態のノンドープシリコンとTiN(メタル)の積層電極を有するMONOSにて、ゲートに正電圧を印加したときのバンド図(図24)を記す。バンド図24および図25中の、符号92aは窒化シリコン膜、93aは酸窒化シリコン膜、54aはノンドープのポリシリコン層、59aはTiNからなるメタル材料電極層、50aはp型ポリシリコン電極にあたる。図24も図25も、ノンドープのポリシリコン層54aは電荷密度が少ないため、バンドに曲がりが生じる。そして図24も図25も酸窒化シリコン膜93aとポリシリコン層54aとの間に、量子準位54bを形成する。この量子準位54bによって、ゲート中のホール(図中の白抜きの丸で表示)から見た酸窒化シリコン膜93aのバリア高さが量子準位エネルギー分減少し、バンド曲がりがほぼ無いp型ポリシリコンやn型ポリシリコンゲートを用いたMONOSと比べ、ホールのトンネル確率が上がり高効率ホール注入が可能となる。図25の構造の場合、ホールの供給源としてp型のポリシリコン電極50aがある。
【0091】
図24の場合、ゲートにp型半導体のようなホールの供給源はないが、ゲートに正電圧をかけたときに、ノンドープのポリシリコン層54aにかかる電界によって加速された熱励起キャリアがアバランシェ降伏を起こし、電子ホールペアを生成させることができる。このうち一部のホールは、エネルギーを失い量子準位54bの束縛状態から酸窒化シリコン膜93aをトンネル現象で通過する(図24中のA)。
【0092】
もう一部は、形成されている量子準位54bよりもエネルギー的に高い位置から酸窒化シリコン膜93aをトンネル現象で通過することができる(図24中のB)。この高いエネルギー位置からのトンネルホール注入が、従来よりも高効率なホール注入を実現している。
【0093】
不純物濃度が低いほど、アバランシェ崩壊は低電界でも起きやすくなる。これは電圧印加時のポリシリコンのバンドの曲がりが、不純物濃度が低いほど大きく、距離も長くなるため、よりキャリアが加速しやすくなり、電子ホールペアを作りやすくなるからである。一般に1018/cm程度以下の濃度であれば、0.1MV/cm以下の低電界でも、アバランシェ崩壊が発生することが知られている(例えば、S.M.Sze著 SEMICONDUCTOR D
EVICES Physics and Technology 2nd Editionや 小柳光正、岸野正剛著 VLSIデバイスの物理)。濃度が1018/cm程度以上の領域になると、バンド曲がりが起きている範囲は距離にすると短くなっていき、またバンドの曲がる量も小さくなってくるので、キャリアの加速が不十分でアバランシェ崩壊は起こりにくくなってくる。
【0094】
なお、pn接合の場合には、濃度が1018/cm程度以上の領域では、バンド間トンネルによる崩壊が現れるが、この崩壊にはより大きな電界が必要であり、MOS構造では、ある程度ホールがゲート/絶縁膜界面に蓄積してバンド曲がりが小さくなると、バンド間トンネル現象はほぼ起こらない。
【0095】
本実施の形態のノンドープシリコン/メタルゲート構造の効果を示す実験結果を図26に示す。図26は、シリコン基板側から酸化膜、窒化膜、酸窒化膜とゲート絶縁膜を形成し、ゲート構造をノンドープポリシリコンとp型ポリシリコンの積層(A)もしくは、ノンドープポリシリコンとTiNの積層(B)としたMONOSにおいて、ゲートに12V、シリコン基板に0Vを印加したときの、時間(横軸)に対するフラットバンド電圧およびしきい値電圧(縦軸)のシフトである。ノンドープポリシリコンの堆積膜厚は両サンプルで同じである。また素子形成中の最大熱工程温度も400℃以下であり、ノンドープポリシリコンとp型ポリシリコンの積層ゲート(A)におけるノンドープポリシリコン中のボロン濃度の下限値は、図18とほぼ変わらず3×1018/cm〜5×1018/cm程度である。p型ポリシリコン中のボロン濃度は1020/cm以上である。
【0096】
この結果から、ノンドープポリシリコン/TiN(メタル)構造のゲート(B)は、(A)に比べてホールの注入量も、注入速度も圧倒的に上回っていることが分かる。これは上に述べたとおり、量子準位によってアシストされて高効率に注入されるホールのほかに、アバランシェ崩壊によって生成したホールが量子準位よりも高いエネルギー位置から注入されることによる。
【0097】
以上の結果より、ノンドープポリシリコン層の不純物濃度は1018/cmより小さいときに、従来の積層ゲート構造を用いた場合より高効率なゲートからのホール注入を実現できる。
【0098】
また上記メカニズムは、ゲートから電子を注入する際にも同様のことが言えるため、ゲートからの電子注入にも有用である。
【0099】
なお、ノンドープシリコン/TiN(メタル)積層ゲート構造で、ゲートにてアバランシェ崩壊によって生成するホールが、書き換え中に絶縁膜に与えるダメージの影響は少ない。これは、アバランシェ崩壊で生成したホールのエネルギーはせいぜい1eV以下であり、バレンスバンド側のSi/SiON膜のバンドオフセットとくらべ半分以下の値である。よってホールは、あくまでトンネル現象によりSiON膜を通過するためダメージは少ない。
【0100】
ノンドープシリコン/メタル積層ゲート構造MONOSは、ゲートからのホール注入消去に要する時間が短いため、絶縁膜に電圧ストレスが掛かっている時間が短く、絶縁膜の劣化が良く抑えられている。さらに、電荷保持時にゲートのノンドープシリコン層のバンドが曲がることで、絶縁膜に掛かる電界が弱まる。これらの効果により、ノンドープシリコン/メタル積層ゲート構造MONOSのデータ保持特性は優れている。
【0101】
ノンドープシリコン層の厚さについて、実験により本発明者らはノンドープ層=80〜100nm程度までの動作を確認しており、高効率ホール注入の効果も確認している。ただしノンドープシリコン層を厚くし過ぎると、読み出し時にゲート電圧を掛けた際にもゲート空乏化の効果が効きすぎて読み出し不良を引き起こす。一方で5nmより薄くなると、ノンドープ層のバンド曲がりの距離や大きさが小さくなり、高効率ホール注入の効果が減少していく。実使用上の読み出し特性などを考慮するとノンドープ層は5nm以上100nm以下程度で用いるのがよい。
【0102】
(実施の形態2)
本実施の形態ではスプリットゲート型MONOSセルにおいて、高効率なホール注入ができるノンドープポリシリコン/メタル積層ゲート構造を備えたメモリセルの構造および製法を記す。
【0103】
図28〜図37のそれぞれの図は、図27のC−C線に沿った断面図である。図27の符号52は選択ゲート、55はメモリゲート、99はアクティブ領域に相当する。なお、ここでは、いわゆる0.13μm世代相当のプロセス技術を用いて説明する。
【0104】
まず、図28に示すように、p型のシリコン基板1の主面に公知の浅溝素子分離プロセスを用いて素子分離領域を形成する(図示せず)。また、ホウ素のイオン注入および活性化アニール処理を行うことにより、シリコン基板1の表面にp型ウエル領域(図示せず)を形成する。次に、シリコン基板1の表面を熱酸化して膜厚2.5nmの酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜90を形成した後、ゲート絶縁膜90上にCVD法を用いて膜厚200nm程度のポリシリコン層を堆積し、続いてこのポリシリコン層をドライエッチングすることにより、選択ゲート52を形成する。
【0105】
次に、図29に示すように、シリコン基板1上にゲート絶縁膜95を形成する。このゲート絶縁膜95は、酸化シリコン膜91、窒化シリコン膜92、酸窒化シリコン膜93および酸化シリコン膜94の4層膜からなる。
【0106】
次に、ノンドープのポリシリコンからなるノンドープのポリシリコン層54を堆積する。このポリシリコン層54の部材としては、ノンドープのアモルファスシリコン層を用いても良く、その場合、堆積後にN雰囲気中で900℃、30分の熱処理を行い、アモルファスシリコン層をポリシリコンへと結晶化させてもよい。ポリシリコン層54の膜厚は、厚いほど消去速度が向上し消去飽和時のVthも低くなる。但し、あまり厚くしすぎると、メモリゲートへ電圧をかけた時の応答が遅くなり、読み出し特性を劣化させてしまう。本実施の形態では、ノンドープ層の厚さを例えば10nmとする。その後、シリコン基板1上にTiNからなるメタル材料電極層59を100nm堆積する。
【0107】
次にメタル材料電極層59および、ポリシリコン層54をエッチバックし、図30に示すようにサイドウォールを形成する。
【0108】
次に、図31に示すように、フォトレジスト膜70をマスクとしたドライエッチングで選択ゲート52の一方の側壁のメモリゲートを除去し、他方の側壁のみにメタル材料電極層59からなるメモリゲート55を残す。
【0109】
次に、図32に示すように、ゲート絶縁膜95をエッチングし、シリコン基板1の表面にヒ素をイオン注入し、n型の拡散層20、30を形成する。ここでのヒ素の注入エネルギーは5keV、ドーズ量は2×1015atom/cmとする。n型の拡散層20、30は、メモリセルをLDD構造にするために形成する。
【0110】
ゲート絶縁膜95のエッチングには、HFおよび熱リン酸を用いて処理する。まずゲート絶縁膜の最上層の酸化シリコン膜をHFでエッチングした後、酸窒化シリコン膜93をHFおよび熱リン酸でエッチングし、窒化シリコン膜92を熱リン酸でエッチングし、酸化シリコン膜91をHFでエッチングする。このとき、熱リン酸を用いる際にはポリシリコン層54もエッチングしてしまうので、熱リン酸の処理の前に、ポリシリコン層54の側壁を3〜5nm程度酸化する必要がある。本構造では、ポリシリコン層54に直接p型およびn型不純物が接していないため、この熱酸化工程を経ても、ポリシリコン層54へ不純物が拡散してくることはない。またTiN表面も薄く酸化されるが、メモリゲート55へのコンタクト形成時に酸化された部分をエッチングにより除去すればよい。
【0111】
ここで、n型の拡散層20および30を形成するためのヒ素の注入を、酸化シリコン膜91のエッチング前に行えば、酸化シリコン膜91をイオン注入のスルー膜として用いることができる。また、ヒ素イオン注入後、酸化シリコン膜91をフッ酸で除去し、再度、酸化シリコン膜厚にして1nm程度の再酸化を行うことで、酸化シリコン膜91、窒化シリコン膜92、酸窒化シリコン膜93のポリシリコンゲート下で露出している部分を薄く酸化し、ヒ素イオン注入時に受けたダメージを回復させ、メモリの信頼性を向上させることができる。
【0112】
次に、図33に示すように、シリコン基板1上にCVD法で膜厚100nmの酸化シリコン膜を堆積した後、酸化シリコン膜を異方性エッチングすることにより、選択ゲート52の側壁およびメモリゲートの側壁にサイドウォール96を形成する。続いて、シリコン基板1の上面にヒ素およびリンをイオン注入した後、ヒ素およびリンを活性化することで、メモリセルのソース、ドレインとなる拡散層21、31を形成する。例えば、ヒ素を30keV、1×1015/cm、リンを15keV、5×1013/cmで注入する。ここで、活性化アニールの際、従来技術のRTAを用いると、950℃〜1000℃で10秒以上の熱負荷をかけることとなる。ゲート電極としてノンドープのポリシリコン層と不純物のドープされたポリシリコンの積層構造を用いた場合、この工程においても熱拡散により、不純物のドープされたポリシリコンから、ドーパントがノンドープのポリシリコンへ拡散してしまう。しかし、レーザーアニールなどのμsecオーダーの急熱急冷プロセスを用いた場合は、メモリセルの動作および信頼性を悪化させてしまう。またメモリのディスターブ耐性に対しても悪影響を与える。例えば図9のアレイにおいて、左上のセル(MGL0、SGL0、SL0、BL0で選択されるセル)に書き込みを行う場合、書込みセルの右下に位置する書き込み非選択のセル(MGL1、SGL1、SL0、BL1で選択されるセル)は、書込みセルとSL0が共通である。SSIの書き込みには、電荷をメモリゲートと選択ゲート間で加速して電荷蓄積膜へ注入するため、メモリゲートとソースへ高電圧を印加している。そのため書込み非選択のセルにもソースに高い電圧が掛かっている。そのため、拡散層とシリコン基板間で強い電界が生じ、バンド間トンネル現象と電界加速現象によって高エネルギー電子ホールペアが生じ、この発生したキャリアが電荷蓄積膜へ注入されることで誤書込み、誤消去が起こる(図34)。こういった現象は、拡散層とシリコン基板間で作られるpn接合が急峻な接合であればあるほど深刻となる。
【0113】
本実施の形態では、メモリゲート55はノンドープシリコンとTiNの積層ゲート構造となっており、先に説明したとおりTiN中へ打ち込まれる拡散層の不純物の注入深さ(Rp)および不純物の熱拡散は非常に小さいため、RTAによる950℃〜1000℃で10秒以上の活性化アニールを行っても、ゲート中での不純物の拡散の心配はなく、問題を回避することができる。
【0114】
次に図35に示すように、公知のサリサイドプロセスにより、選択ゲート52、拡散層21、31のそれぞれの表面にシリサイド層53を形成する。シリサイド層53は、例えばCoシリサイドからなる。メモリゲートはTiN電極を用いているので、ポリシリコンシリサイドと同等かそれ以下の抵抗となる。
【0115】
なおサリサイドプロセスの前に、高温H雰囲気中(700℃程度)でのアニール処理を追加することで、MONOSメモリの保持特性を改善させる効果が知られているが、本実施の形態のようなノンドープシリコンとTiNの積層ゲート電極を用いている場合、ゲート中の不純物の拡散を心配する必要はないため、このような高温処理を行うことも可能である。
【0116】
次に、図36に示すように、シリコン基板1上に厚い層間絶縁膜51を堆積した後、公知の配線プロセスにより、層間絶縁膜51上に配線60を形成する。以上の工程により、ゲート電極側から正孔を注入することができるスプリットゲート構造のMONOS型メモリが完成する。
【0117】
本メモリの動作方式/動作電圧の一例として、例えば、書込み時には選択ゲート52に1.5V、メモリゲート55に9V、メモリゲート側の拡散層21へ5V、選択ゲート側の拡散層31に0V、シリコン基板1に0Vを印加し、ソースサイドインジェクション(SSI)方式を用いて窒化シリコン膜92へ電子を注入する。消去は、例えばメモリゲート55に12V、選択ゲート52と拡散層21とシリコン基板1に0Vを印加して、メモリゲート55からホールを注入することで消去を行う。
【0118】
また、書込み時にメモリゲート55に負電圧(例えば−12V)を印加し、消去時にメモリゲート55に正電圧(例えば12V)を印加し、メモリゲート55から電子とホールを注入して書き込み消去を行うことが考えられる。
【0119】
本実施の形態では、拡散層の不純物注入時に、ノンドープのポリシリコン層54の上部の露出した部分へも注入される(図37の破線の円で示した部分)。但し本実施の形態のように、不純物注入時のポリシリコン層54中への飛程距離(深さRp)が、選択ゲート52の高さ(本実施の形態では200nm)に比べて十分に小さい場合、その後の熱拡散工程を経てもノンドープのポリシリコン層54の角の部分(図37の実線の円で示した部分)へ到達する不純物量は非常に少ない。本メモリにおいて、書込み消去時に電荷蓄積を担うのは主にメモリゲート55とシリコン基板1にはさまれたゲート絶縁膜部であるため、ポリシリコン層54のうちシリコン基板1と平行に堆積されている部分への不純物拡散が抑制されていれば、高効率ホール注入が実現できる。また、本実施の形態のようにノンドープのポリシリコン層54の厚さが薄い場合、不純物の拡散速度は遅くなるため、ノンドープのポリシリコン層54中をシリコン基板1方向へ拡散する不純物量は極めて少ない。
【0120】
また、本構造にてn型の拡散層21および31を形成した後に、図37の破線の円で示したポリシリコン層54の露出した部分を3nm程度酸化しておき、その後サリサイドプロセスによってシリサイド層53を形成することで、選択ゲート52とメモリゲート55のシリサイドのショートによる不良の確率を低減することができる。なお、選択ゲート52とメモリゲート55の両方がシリコンの場合、両ゲートの表面をシリサイド化したときに、シリサイド部の体積が膨張するとゲート上部でショートする可能性がある。本実施の形態のように、メモリゲート55がTiNで、サリサイドプロセスによってシリサイドされない場合、ノンドープのポリシリコン層54の上部をライト酸化しておけば、選択ゲート52とメモリゲート55間のショートの確率を低減できる。
【0121】
(実施の形態3)
本実施の形態ではNROM型MONOSセルにおいて、高効率なホール注入ができるノンドープポリシリコン/メタル積層ゲート構造を備えたメモリセルの構造および製法を記す。
【0122】
特に本実施の形態では、いわゆるゲートラストプロセスを用いた場合のプロセスと構造を記す。
【0123】
まず、p型のシリコン基板1の主面に公知の浅溝素子分離プロセスを用いて素子分離領域(図示せず)を形成する。また、ホウ素のイオン注入および活性化アニール処理を行うことにより、シリコン基板1表面にp型ウエル領域(図示せず)を形成する。次に、図38に示すように、シリコン基板1上に酸化シリコンからなる酸化シリコン膜88を150nm形成した後、フォトレジストをマスクとして酸化シリコン膜88を、ゲート形状にパターニングする。
【0124】
その後、図39に示すように、シリコン基板1表面にヒ素を注入し、n型の拡散層20、30を形成する。ここでのヒ素の注入エネルギーは例えば、5keV、ドーズ量は2×1015atom/cmとする。n型の拡散層20、30は、メモリセルをLDD構造にするために形成する。その後酸化シリコン膜を堆積しエッチバックすることでサイドウォール96を形成する。サイドウォール96は、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜を用いる。その後、シリコン基板1の主面にヒ素およびリンを注入し、n型拡散層領域となる拡散層21、31を形成する。その後、例えば1000℃、10秒程度の活性化アニールをRTAによって行い、拡散層領域を活性化する。
【0125】
次に、図40に示すように酸化シリコン膜88およびサイドウォール96をエッチング除去した後、シリコン基板1上にゲート絶縁膜95を形成する。このゲート絶縁膜95は、酸化シリコン膜91、窒化シリコン膜92、酸窒化シリコン膜93および酸化シリコン膜94の4層を順次積層した4層膜からなる。
【0126】
次に、図41に示すように、ノンドープのポリシリコン層54およびメタル材料電極層59を順次堆積する。
【0127】
次に、図42に示すように、メタル材料電極層59およびポリシリコン層54を、フォトレジストをマスクとしてエッチングし、ゲート絶縁膜95をHFおよび熱リン酸で除去する。熱リン酸を用いる場合には、ポリシリコン層54の側壁を3〜5nm酸化する。その後ヒ素イオンをシリコン基板1に注入し、n型拡散層領域となる拡散層20および30を形成する。その後CVD法によりサイドウォールとなる酸化シリコン膜を堆積しエッチバックすることで、サイドウォール96を形成する。
【0128】
次に図43に示すように、拡散層21、31上に選択的にシリサイド層53を形成し、シリコン基板1上に厚い層間絶縁膜51を堆積した後、公知の配線プロセスにより、層間絶縁膜51上に配線60を形成する。以上の工程により、NROM構造のMONOS型メモリが完成する。
【0129】
本実施の形態の製法によれば、拡散層を形成し、活性化アニールの後にノンドープポリシリコン/TiN(メタル)積層ゲートを形成するので、拡散層を形成する際に不純物は一切メモリゲート55のTiN中へ入ることがなく、ノンドープのポリシリコン層54への不純物拡散をほぼ完全に防ぐことができる。これにより、高効率なゲートからのホール注入を実現できる。
【0130】
なお、本実施の形態ではダミーゲートとして酸化シリコン膜88を形成したが、酸化シリコン膜88の代わりに、ゲート絶縁膜95、ポリシリコン層54およびメタル材料電極層59と同様のゲートをダミーゲートとして形成し、それを拡散層21、31の形成後に除去した後、ゲート絶縁膜95、ポリシリコン層54およびメタル材料電極層59からなるゲートを再び形成してもよい。
【0131】
(実施の形態4)
本実施の形態ではNROM型MONOSセルにおいて、高効率なホール注入ができるノンドープポリシリコン/メタル積層ゲート構造を備えたメモリセルの構造および製法を記す。
【0132】
特に本実施の形態では、いわゆるゲートラストプロセスを用いた場合のプロセスと構造を記す。
【0133】
まず、図44に示すように、p型のシリコン基板1の主面に公知の浅溝素子分離プロセスを用いて素子分離領域(図示せず)を形成する。また、ホウ素のイオン注入および活性化アニール処理を行うことにより、シリコン基板1表面にp型ウエル領域(図示せず)を形成する。次に、シリコン基板1上にゲート絶縁膜95を形成する。このゲート絶縁膜95は、酸化シリコン膜91、窒化シリコン膜92、酸窒化シリコン膜93および酸化シリコン膜94の4層膜からなる。その後に、ノンドープのポリシリコン層54を150nm堆積する。
【0134】
次に、図45に示すように、フォトレジストをマスクとしてポリシリコン層54をゲート形状にパターニングし、ゲート絶縁膜95のエッチングを行う。その後、シリコン基板1にヒ素を注入し、n型の拡散層20、30を形成する。ここでのヒ素の注入エネルギーは例えば、5keV、ドーズ量は2×1015atom/cmとする。その後酸化シリコン膜を堆積しエッチバックすることでサイドウォール96を形成する。その後、シリコン基板1の主面上にヒ素およびリンを注入し、n型拡散層領域となる拡散層21、31を形成する。その後、例えば1000℃、10秒程度の活性化アニールをRTAによって行い、拡散層領域を活性化する。
【0135】
次に、図46に示すように、シリサイドプロセスによって、拡散層21、31上に選択的にシリサイド層53を形成した後、層間絶縁膜51(例えばCVD法による酸化シリコン膜など)を堆積しCMP(Chemical Mechanical Polishing)によって研磨することで、図46のような形状を形成する。
【0136】
次に、図47に示すように、ポリシリコン層54を選択的にトレンチエッチングし、その後、ノンドープのポリシリコン層54と、メタル材料電極層59を堆積する。ノンドープのポリシリコン層54は、ここでは10nm堆積する。その後、CMPプロセスによってポリシリコン層54とメタル材料電極層59の一部を研磨することで、図48のような形状を形成する。
【0137】
この後、公知の配線プロセスにより、拡散層20、21、30および31およびゲートへ導通する配線を層間絶縁膜51の上部に形成し、本実施の形態のNROM型MONOSメモリが完成する。
【0138】
本実施の形態の製法によれば、拡散層20、21、30および31を形成し、活性化アニールの後にノンドープポリシリコン/TiN(メタル)積層ゲートを形成するので、拡散層20、21、30および31の不純物は一切TiN中へ入ることがなく、ノンドープのポリシリコン層54への不純物拡散をほぼ完全に防ぐことができる。これにより、高効率なゲートからのホール注入を実現できる。
【0139】
また、メタル材料電極層59を堆積後に活性化アニールのような高温熱処理がないため、耐熱性の低いようなメタル材料も使用することができ、材料選択の幅が広がるため、ゲートの仕事関数制御がより容易になる。
【0140】
また、ノンドープのポリシリコン層54は、図48に示す円で囲んだ部分のように、角のとがった形状を持つことができる。ゲートからのキャリア注入時には、角の部分近傍で強い電界集中が生じることによって、より高効率な注入が可能となる。
【0141】
本製法で注意すべき点は、ポリシリコン層54の厚さが厚すぎるとメタル材料電極層59を埋め込むことができなくなる点である。またポリシリコン層54が厚いと、メタル材料電極層59によって及ぼせるチャネルへの電界効果の領域が少なくなり、読み出し時の電流の減少を招く。特にスケーリングの進んだ微細セルにおいては、そのゲート長を考慮した上で、ポリシリコン層54の厚さを決定する必要がある。
【0142】
(実施の形態5)
本実施の形態ではNROM型MONOSセルにおいて、高効率なホール注入ができるノンドープポリシリコン/メタル積層ゲート構造を備えたメモリセルの構造および製法を記す。
【0143】
特に本実施の形態では、いわゆるゲートラストプロセスを用いた場合のプロセスと構造を記す。
【0144】
まず、図49に示すように、実施の形態4と同様の工程で、シリコン基板1の主面上にノンドープのポリシリコン層54からなるゲート、拡散層21、31およびn型の拡散層20、30を形成し、拡散層21、31上に選択的にシリサイド層53を形成した後、層間絶縁膜51を堆積しCMPプロセスによって研磨する。
【0145】
次に図50に示すように、ポリシリコン層54を選択的にトレンチエッチングした後、図51に示すように、ノンドープのポリシリコン層54を堆積する。その後、CMPプロセスによって研磨することで、図52のような形状を形成する。
【0146】
次に図53に示すように、ノンドープのポリシリコン層54上に選択的にシリサイド層53を施す。
【0147】
この後、公知の配線プロセスにより、拡散層20、21、30および31およびゲート
へ導通する配線を層間絶縁膜51の上部に形成する。
【0148】
こうして、ゲート電極をノンドープシリコンとメタル(シリサイド)の積層ゲートとすることができる。なおノンドープのポリシリコン層54の高さは、CMP工程によって削られる量や、サリサイド工程によってSiとCoなどのメタルとが反応する量を考慮して設定される。
【0149】
本実施の形態の製法によれば、拡散層20、21、30および31を形成し、活性化アニールの後にノンドープポリシリコン/シリサイド(メタル)積層ゲートを形成するので、拡散層20、21、30および31の不純物は一切ポリシリコン中へ入ることがなく、ノンドープのポリシリコン層54への不純物拡散をほぼ完全に防ぐことができる。これにより、高効率なゲートからのホール注入を実現できる。
【0150】
(実施の形態6)
本実施の形態ではスプリットゲート型MONOSセルにおいて、高効率なホール注入ができるノンドープポリシリコン/メタル積層ゲート構造を備えたメモリセルの構造および製法を記す。本実施の形態では特に、ダミーゲートを用いて拡散層形成をメモリゲート形成の前に行うプロセスを示す。
【0151】
まず、図54に示すように、実施の形態4と同様の工程で、p型のシリコン基板1の主面上に選択ゲートを形成し、シリコン基板1の表面をゲート絶縁膜95、メタル材料電極層59およびノンドープのポリシリコン層を順次堆積する。その後、ドライエッチングによりメタル材料電極層59およびポリシリコン層をエッチバックし、選択ゲート52の側壁にサイドウォール状にダミーのメモリゲート55を形成した後、フォトレジスト膜70をマスクとして選択ゲート52の一方の側壁のダミーのメモリゲートを除去する。
【0152】
次に、図55に示すように、フォトレジスト膜70をアッシングにより除去し、シリコン基板1の上面にヒ素をイオン注入し、n型拡散層となる拡散層20、30を形成する。
【0153】
次に、図56に示すように、シリコン基板1上にCVD法で膜厚100nmの酸化シリコン膜を堆積した後、酸化シリコン膜を異方性エッチングすることにより、選択ゲート52の側壁およびメモリゲート55の側壁にサイドウォール96を形成する。続いて、シリコン基板1の表面にヒ素およびリンをイオン注入した後、活性化を行いヒ素およびリンを活性化することで、メモリセルのソース、ドレインとなる拡散層21、31を形成する。
【0154】
次に、図57に示すように、サイドウォール96および、メタル材料電極層59および、ポリシリコン層54をエッチング除去する。
【0155】
次に、図58に示すように、再度メモリゲート55およびサイドウォール96を形成する。つまり、シリコン基板1上にポリシリコン層54を10nm堆積し、TiN膜を100nm堆積し、その後エッチバックを行うことでサイドウォール状のメモリゲート55を形成する。その後レジストをマスクとして選択ゲート52の片側の側壁のサイドウォールを除去し、ゲート絶縁膜95をHFおよび熱リン酸を用いて除去した後、サイドウォールとなる酸化シリコン膜を堆積した後にエッチバックし、サイドウォール96を形成する。
【0156】
次に、図59に示すように、公知のサリサイドプロセスにより、選択ゲート52、拡散層21、31のそれぞれの表面にシリサイド層53を形成する。メモリゲート55はTiN電極を用いているので、ポリシリコンシリサイドと同等かそれ以下の抵抗となる。
【0157】
なおサリサイドプロセスの前に、高温H雰囲気中(700℃程度)でのアニール処理を追加することで、MONOSメモリの保持特性を改善させる効果が知られているが、本実施の形態のようなノンドープシリコンとTiNの積層ゲート電極を用いている場合、ゲート中の不純物の拡散を心配する必要はないため、このような高温処理を行うことも可能である。
【0158】
その後、シリコン基板1上に厚い層間絶縁膜51を堆積した後、公知の配線プロセスにより、層間絶縁膜51上に配線60を形成する。以上の工程により、メモリゲート電極側から正孔を注入することができるスプリットゲート構造のMONOS型メモリが完成する。
【0159】
本実施の形態の製法によれば、拡散層20、21、30および31を形成し、活性化アニールの後にノンドープポリシリコン/TiN(メタル)積層ゲートを形成するので、拡散層20、21、30および31の不純物は一切TiN中へ入ることがなく、ノンドープのポリシリコン層54への不純物拡散を、ほぼ完全に防ぐことができる。これにより、高効率なゲートからのホール注入を実現できる。
【0160】
(実施の形態7)
本実施の形態ではスプリットゲート型MONOSセルにおいて、高効率なホール注入ができるノンドープポリシリコン/メタル積層ゲート構造を備えたメモリセルの構造および製法を記す。本実施の形態では特に、ダミーゲートを用いて拡散層形成をメモリゲート形成の前に行うプロセスを示す。
【0161】
まず、図60に示すように、p型のシリコン基板1の主面上に、ゲート絶縁膜90を備えた選択ゲート52を形成し、シリコン基板1の表面にゲート絶縁膜95を堆積した後、ノンドープのポリシリコン層54を100nm堆積する。
【0162】
次に、図61に示すように、ポリシリコン層54をエッチバックし、ダミーのメモリゲート55を形成し、フォトレジスト膜をマスクとしたドライエッチングで選択ゲート52の一方の側壁のダミーのメモリゲート55を除去する。その後、シリコン基板1の表面にヒ素をイオン注入し、n型拡散層となる拡散層20、30を形成する。ここでのヒ素の注入エネルギーは20keV、ドーズ量は2×1015atom/cmとする。
【0163】
次に、図62に示すように、シリコン基板1の主面上にCVD法で膜厚100nmの酸化シリコン膜を堆積した後、酸化シリコン膜を異方性エッチングすることにより、選択ゲート52の側壁およびメモリゲート55の側壁にサイドウォール96を形成する。続いて、シリコン基板1の表面にヒ素およびリンをイオン注入した後、活性化を行いヒ素およびリンを活性化することで、メモリセルのソース、ドレインとなる拡散層21、31を形成する。例えば、ヒ素を30keV、3×1015/cm、リンを20keV、5×1013/cmで注入する。活性化アニールは、従来技術のRTAを用い、950℃〜1000℃で10秒程度の処理を行う。
【0164】
次に、図63に示すように、サイドウォール96および、メモリゲート55をエッチング除去する。
【0165】
続いて、図64に示すように、ノンドープのポリシリコン層を100nm堆積し、その後エッチバックを行うことでサイドウォール状のメモリゲート58を形成する。その後レジストをマスクとして選択ゲートの片側の側壁のサイドウォールを除去し、ゲート絶縁膜95をHFおよび熱リン酸を用いて除去する。
【0166】
次に、図65に示すように、シリコン基板1の主面上に酸化シリコン膜を堆積してエッチバックし、サイドウォール96を形成する。その後、公知のサリサイドプロセスにより、選択ゲート52、拡散層21、31、メモリゲート58のそれぞれの表面にシリサイド層53を形成する。
【0167】
なお、サリサイドプロセスの前に、高温H雰囲気中(700℃程度)でのアニール処理を追加することで、MONOSメモリの保持特性を改善させる効果が知られているが、本実施の形態のようなノンドープシリコンのみをゲート電極に用いている場合、ゲート中の不純物の拡散を心配する必要はないため、このような高温処理を行うことも可能である。
【0168】
その後、図示はしないが、シリコン基板1上に厚い層間絶縁膜を堆積した後に、公知の配線プロセスにより層間絶縁膜上に配線を形成する。以上の工程により、ゲート電極側から正孔を注入することができるスプリットゲート構造のMONOS型メモリが完成する。
【0169】
本実施の形態の製法によれば、拡散層20、21、30および31を形成し、活性化アニールの後にノンドープポリシリコン/TiN(メタル)積層ゲートを形成するので、拡散層20、21、30および31の不純物は一切TiN中へ入ることがなく、ノンドープのポリシリコン層54への不純物拡散を、ほぼ完全に防ぐことができる。これにより、高効率なゲートからのホール注入を実現できる。
【0170】
(実施の形態8)
これまでの実施の形態1ないし7では、ゲートのノンドープポリシリコン中の不純物濃度は1018/cm以下が望ましく、理想的には0/cmに近いほうがホールの注入効率がより高くなると説明してきた。
【0171】
ゲートのポリシリコン層の不純物濃度をより低くすることでゲートは空乏化し、MONOSトランジスタの初期しきい値電圧は下がる。よって、初期しきい値電圧の高いMONOSと比べ、消去状態(ホール蓄積状態)において、同量のホールを蓄積したときに、メモリのしきい値電圧はより下げられることになる。これによりメモリゲート電圧0Vにおいても大きな読み出し電流を得ることができる。読み出し電流の増加は、例えばマイコンに混載するメモリ用途でMONOSを用いる場合、モジュールの高速動作を可能にする。
【0172】
一方で、上に述べたような消去状態で高い読み出し電流を取る必要のない用途、もしくは、消去状態でもメモリのしきい値電圧が0Vよりも高い位置になくてはならない回路も存在する。
【0173】
その場合は、ノンドープシリコン/メタル積層ゲート構造のノンドープ層の不純物濃度を、1018〜5×1019/cm程度として、しきい値電圧の高いMONOSを利用してもよい。もちろん、ゲートの不純物濃度を上げることでアバランシェ崩壊により発生するホール量は低下し、また電圧印加時のバンドの曲がり量やバンドが曲がる距離も減少するため、ホールの注入効率は低下する。しかしそれでもなお、p型およびn型のポリシリコンゲート(>1020/cm)と比べれば、1018〜5×1019/cmの濃度であれば、電圧印加時にゲート空乏化の効果は見え、ゲート中のポリシリコンのバンド曲がりによって形成された量子準位にアシストされて、高効率にホールを電荷蓄積膜に注入することができる。
【0174】
製法としては、これまでの実施の形態の中で示してきたプロセスにおいて、ゲートのポリシリコン堆積時に不純物濃度を調整すればよい。
【0175】
また、図66および図67に示すように、工程数も少なくシンプルな形成方法もある。すなわち、拡散層20、30または21、31の形成時にゲート上部97に注入する不純物濃度を調整し、活性化アニール後のゲートの濃度を1018〜5×1019/cm程度とすることで、不純物濃度を調整したゲートを形成することができる。特に、ゲートポリシリコン層54の中でも、ゲート絶縁膜95に近い部分(絶縁膜/ゲート界面から10nm程度の領域)が1018〜5×1019/cm程度の不純物濃度となっていれば効果はある。またスプリットゲート型MONOSメモリの形成においても、同様の製法をとることができる。
【0176】
(実施の形態9)
これまで示してきたノンドープポリシリコン/メタル積層ゲート構造に準ずる製法を示す。本プロセスは工程数も少なくシンプルな形成方法である。例えばNROM型の場合を例にとって説明すると、図66および図67に示すように、ゲートを形成した後、拡散層20、21、30および31の形成時にゲート上部97に注入する不純物濃度を調整し、活性化アニール後のゲートの不純物濃度を低くすることで、不純物濃度を調整したゲートを形成することができる。特に、活性化アニール時間も調整して、ゲートポリシリコン層54の中でも、ゲート絶縁膜95に近い部分(絶縁膜/ゲート界面から10nm程度の領域)が十分低い不純物濃度となっていれば効果はある。
【0177】
その後はこれまで示した実施の形態と同じく、厚い層間絶縁膜を堆積した後、公知の配線プロセスにより、層間絶縁膜上に配線を形成する。以上の工程により、ゲート電極側から正孔を注入することができるMONOS型メモリが完成する。またスプリットゲート型MONOSの形成においても同様のことが言える。
【0178】
本実施の形態によれば、非常に簡素なプロセスにより、ノンドープポリシリコン/メタル積層ゲート構造に準ずる構造を形成することができる。ただし、拡散層形成時の不純物濃度や、その後の熱工程には十分留意する必要がある。
【0179】
(実施の形態10)
これまでの実施の形態では、電荷蓄積膜として窒化シリコン膜を用いたMONOS型メモリの実施の形態を示してきた。本発明は、電荷蓄積膜としてポリシリコンを用いたフローティングゲート型メモリにおいても、ゲートからのキャリア注入を用いた書換えを行う場合には有効である。
【0180】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0181】
本発明は、不揮発性メモリを有する半導体記憶装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0182】
1 シリコン基板
20、21、30、31 拡散層
40 選択トランジスタ
41 メモリトランジスタ
48 アモルファスシリコン層
50 ゲート電極
51 層間絶縁膜
52 選択ゲート
53 シリサイド層
54 ポリシリコン層
55、58 メモリゲート
59 メタル材料電極層
60 配線
70 フォトレジスト膜
81 ホットホール
82 電子−正孔対
88、89、91、94 酸化シリコン膜
90、95 ゲート絶縁膜
92 窒化シリコン膜
93 酸窒化シリコン膜
96 サイドウォール
97 ゲート上部
99 アクティブ領域
BL0、BL1、BL2 ビット線
SL0 ソース線
WL ワード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板の主面に形成されたメモリセルを含む半導体装置であって、
前記メモリセルは、
ゲート絶縁膜を介して前記半導体基板上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極の近傍の前記半導体基板に形成された第2導電型の半導体領域からなるソース領域およびドレイン領域とを有し、
前記ゲート絶縁膜は、少なくとも電位障壁膜と、前記電位障壁膜上に積層された電荷保持膜とを含んで構成され、
前記ゲート電極は、不純物濃度が5×1019/cm以下であるポリシリコン層および前記ポリシリコン層上に形成されたメタル材料電極層を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ポリシリコン層中の不純物濃度は1×1018/cm以上であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ポリシリコン層中の不純物濃度は1×1018/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記メタル材料電極層はTiNを含むことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記メタル材料電極層はシリサイドを含むことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ポリシリコン層の厚さは5nm〜100nmであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ゲート電極から電荷を注入することで記憶装置への書き込みおよび消去を行うことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ゲート電極からホールを注入することで記憶装置への消去を行うことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
第1導電型の半導体基板の主面に形成されたメモリセルを含む半導体装置であって、
前記メモリセルは、
第1ゲート絶縁膜を介して前記半導体基板上に形成された選択ゲートと、
前記選択ゲートの一方の側壁に形成され、第2ゲート絶縁膜を介して前記選択ゲートおよび前記半導体基板と絶縁されたメモリゲートと、
前記選択ゲートの近傍の前記半導体基板に形成された第2導電型の半導体領域からなるソース領域と、
前記メモリゲートの近傍の前記半導体基板に形成された第2導電型の半導体領域からなるドレイン領域とを有し、
前記第2ゲート絶縁膜は、少なくとも電位障壁膜と、前記電位障壁膜上に積層された電荷保持膜とを含んで構成され、
前記メモリゲートは、不純物濃度が5×1019/cm以下であるポリシリコン層および前記ポリシリコン層上に形成されたメタル材料電極層を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
前記ポリシリコン層中の不純物濃度は1×1018/cm以上であることを特徴とする請求項9記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ポリシリコン層中の不純物濃度は1×1018/cm以下であることを特徴とする請求項9記載の半導体装置。
【請求項12】
前記メタル材料電極層はTiNを含むことを特徴とする請求項9記載の半導体装置。
【請求項13】
前記メタル材料電極層はシリサイドを含むことを特徴とする請求項9記載の半導体装置。
【請求項14】
前記ポリシリコン層の厚さは5nm〜100nmであることを特徴とする請求項9記載の半導体装置。
【請求項15】
前記メモリゲートから電荷を注入することで記憶装置への書き込みおよび消去を行うことを特徴とする請求項9記載の半導体装置。
【請求項16】
前記メモリゲートからホールを注入することで記憶装置への消去を行うことを特徴とする請求項9記載の半導体装置。
【請求項17】
第1導電型の半導体基板の主面に形成されたメモリセルを含む半導体装置の製造方法であって、
(a)前記半導体基板の主面上に電位障壁膜を形成する工程と、
(b)前記(a)工程の後、前記電位障壁膜上に電荷保持膜を形成することによって、前記電位障壁膜と前記電荷保持膜を含む第1ゲート絶縁膜を形成する工程と、
(c)前記(b)工程の後、前記第1ゲート絶縁膜上に不純物濃度が5×1019/cm以下であるポリシリコン層を形成する工程と、
(d)前記(c)工程の後、前記ポリシリコン層上にメタル材料電極層を形成し、前記ポリシリコン層および前記メタル材料電極層を含む第1ゲート電極を形成する工程と、
(e)前記(d)工程の後、前記第1ゲート電極の側面に絶縁膜からなる第1サイドウォールを異方性エッチングにより形成する工程と、
(f)前記半導体基板に不純物を導入することによって、前記メモリセルのソースおよびドレイン領域をそれぞれ形成する工程と、
を有し、
前記(c)および前記(d)工程において、前記第1ゲート電極を形成する際、前記ポリシリコン層および前記メタル材料電極層の2層により前記第1ゲート電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記(c)工程において、前記ポリシリコン層中の不純物濃度を1×1018/cm以上にすることを特徴とする請求項17記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記(c)工程において、前記ポリシリコン層中の不純物濃度を1×1018/cm以下にすることを特徴とする請求項17記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記(d)工程において、前記メタル材料電極層をTiNを含む材料で形成することを特徴とする請求項17記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記(d)工程において、前記メタル材料電極層をシリサイドを含む材料で形成することを特徴とする請求項17記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
前記(c)工程において、前記ポリシリコン層の厚さを5nm〜100nmで形成することを特徴とする請求項17記載の半導体装置の製造方法。
【請求項23】
前記(f)工程の後、前記第1ゲート絶縁膜、前記第1ゲート電極および前記第1サイドウォールを除去した後、前記(a)ないし(e)工程と同様の工程を行い、前記第1ゲート絶縁膜、前記第1ゲート電極および前記第1サイドウォールの形成領域に第2ゲート絶縁膜、第2ゲート電極および第2サイドウォールを形成し、前記ポリシリコン層に不純物が拡散することを防ぐことを特徴とする請求項17記載の半導体装置の製造方法。
【請求項24】
第1導電型の半導体基板の主面に形成された、選択ゲートおよびメモリゲートを有するメモリセルを含む半導体装置の製造方法であって、
(a)前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して前記選択ゲートを形成する工程と、
(b)前記(a)工程の後、前記半導体基板の主面上に電位障壁膜を形成する工程と、
(c)前記(b)工程の後、前記電位障壁膜上に電荷保持膜を形成することによって、前記電位障壁膜と前記電荷保持膜を含む第2ゲート絶縁膜を形成する工程と、
(d)前記(c)工程の後、前記半導体基板の主面上に不純物濃度が5×1019/cm以下であるポリシリコン層を形成する工程と、
(e)前記(d)工程の後、前記半導体基板の主面上にメタル材料電極層を形成する工程と、
(f)前記(e)工程の後、前記第2ゲート絶縁膜、前記ポリシリコン層および前記メタル材料電極層のそれぞれの一部をエッチングにより除去することにより、前記選択ゲートの一方の側面に、前記ポリシリコン層および前記メタル材料電極層を含む第1メモリゲートを形成する工程と、
(g)前記(f)工程の後、前記選択ゲートの側面に絶縁膜からなる第1サイドウォールを異方性エッチングにより形成する工程と、
(h)前記半導体基板に不純物を導入することによって、前記メモリセルのソースおよびドレイン領域をそれぞれ形成する工程と、
を有し、
前記(d)ないし(f)工程において、前記第1メモリゲートを形成する際、前記ポリシリコン層および前記メタル材料電極層の2層により前記第1メモリゲートを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項25】
前記(d)工程において、前記ポリシリコン層中の不純物濃度を1×1018/cm以上にすることを特徴とする請求項24記載の半導体装置の製造方法。
【請求項26】
前記(d)工程において、前記ポリシリコン層中の不純物濃度を1×1018/cm以下にすることを特徴とする請求項24記載の半導体装置の製造方法。
【請求項27】
前記(e)工程において、前記メタル材料電極層をTiNを含む材料で形成することを特徴とする請求項24記載の半導体装置の製造方法。
【請求項28】
前記(e)工程において、前記メタル材料電極層をシリサイドを含む材料で形成することを特徴とする請求項24記載の半導体装置の製造方法。
【請求項29】
前記(d)工程において、前記ポリシリコン層の厚さを5nm〜100nmで形成することを特徴とする請求項24記載の半導体装置の製造方法。
【請求項30】
前記(h)工程の後、前記第1メモリゲートおよび前記第1サイドウォールを除去した後、前記(a)ないし(g)工程と同様の工程を行い、前記第1メモリゲートおよび前記第1サイドウォールの形成領域に第2メモリゲートおよび第2サイドウォールを形成し、前記ポリシリコン層に不純物が拡散するのを防ぐことを特徴とする請求項24記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【公開番号】特開2011−29631(P2011−29631A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149468(P2010−149468)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】