説明

半導体装置とその製造方法、電気光学装置とその製造方法、回路基板とその製造方法、及び電子機器

【課題】フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いることなく導電層間を接続することができる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の半導体装置の製造方法は、基板上に第1導電層と層間絶縁膜と第2導電層とを順に積層形成する導電層工程と、前記第2導電層の表面から物理的加工を施すことで、前記第2導電層と前記層間絶縁膜とを貫通して前記第1導電層に達する凹部を形成するコンタクトホール形成工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置とその製造方法、電気光学装置とその製造方法、回路基板とその製造方法、及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機半導体材料、有機絶縁材料、有機導電材料等を用いた有機トランジスタを備える半導体装置の開発が進められている(例えば特許文献1参照)。この種の半導体装置の製造工程においても、基板上に複数の導電層を積層する場合には、導電層相互間の配線接続を行うために、層間絶縁膜として形成された有機絶縁膜にコンタクトホールを形成することが必要であった。そして、従来一般的には、コンタクトホールの形成方法として、フォトリソグラフィー法及びエッチング法が用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−218361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、コンタクトホールの形成に、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いると、エッチングマスクに用いるフォトレジストが有機材料(ポリマー)であるため、マスク除去工程において下層の有機絶縁材料からフォトレジストが剥離できなくなる場合があった。また、フォトリソグラフィー工程における露光処理により、有機半導体材料が光反応を起こし、劣化してしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いることなく導電層間を接続することができる半導体装置の製造方法、電気光学装置の製造方法、及び回路基板の製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体装置の製造方法は、基板上に半導体層を有する半導体装置の製造方法であって、前記基板上に第1導電層と層間絶縁膜と第2導電層とを順に積層形成する導電層工程と、前記第2導電層の表面から物理的加工を施すことで、前記第2導電層と前記層間絶縁膜とを貫通して前記第1導電層に達する凹部を形成するコンタクトホール形成工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
この製造方法によれば、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いることなく導電接続のためのコンタクトホールを形成することができる。よって、エッチングに用いるレジストマスクの剥離に不具合が生じたり、フォトリソグラフィー工程での露光により基板上の素子が劣化するのを回避することができる。
【0008】
前記コンタクトホール形成工程において、前記第2導電層の表面に押圧部材を押し込むことで前記層間絶縁膜を貫通させ、前記第2導電層の押圧された部位を少なくとも前記第1導電層に到達させることが好ましい。
このような製造方法とすることで、第2導電層の押圧により分離した部位を、第1導電層と第2導電層との導電接続の少なくとも一部に利用することができる。
【0009】
前記第2導電層の押圧された部位を、前記第1導電層に貫通させることも好ましい。
このような製造方法とすることで、上記部位と第1導電層との導通をより確実なものとすることができ、第1導電層と第2導電層との接続信頼性を高めることができる。
【0010】
前記コンタクトホール形成工程において、光線又は荷電粒子線を用いた加工により前記凹部を形成することも好ましい。すなわち、物理的加工としては、光線又は荷電粒子線によって第2導電層と層間絶縁膜とを部分的に除去する加工方法も採用することができる。
【0011】
前記コンタクトホール形成工程の後に、前記凹部内に導電材料を配置する接続部形成工程を有することが好ましい。
この製造方法によれば、上記導電材料からなる接続部により第1導電層と第2導電層とを接続することができる。また、第2導電層の一部の部位が凹部内に配置されている場合には、上記部位とともに第1導電層と第2導電層とを接続する構成とすることができる。
【0012】
前記コンタクトホール形成工程において、前記第1及び第2導電層並びに前記層間絶縁膜と、前記基板とを貫通する貫通孔を形成し、前記接続部形成工程において、前記貫通孔内に前記導電材料を配置することも好ましい。
この製造方法によれば、半導体装置を貫通する貫通孔をコンタクトホールとして形成する。第1導電層と第2導電層とは、貫通孔内に配置された導電材料からなる接続部を介して接続される。
【0013】
次に、本発明の電気光学装置の製造方法は、基板上に、有機トランジスタと、前記有機トランジスタの少なくとも一部の素子電極を覆う層間絶縁膜とを形成し、前記層間絶縁膜上に画素電極を形成する工程と、前記画素電極の表面から物理的加工を施すことで、少なくとも前記画素電極と前記層間絶縁膜とを貫通し、前記素子電極に達する凹部を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
この製造方法によれば、物理加工によって画素電極と層間絶縁膜とを貫通する凹部をコンタクトホールとして形成するので、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いることなく導電接続のためのコンタクトホールを形成することができる。よって、エッチングに用いるレジストマスクの剥離に不具合が生じたり、フォトリソグラフィー工程での露光により基板上の素子が劣化するのを回避することができる。
【0015】
本発明の電気光学装置の製造方法は、基板上に、有機トランジスタと、前記有機トランジスタの少なくとも一部の素子電極を覆う層間絶縁膜とを形成し、前記層間絶縁膜上に画素電極を形成する工程と、前記画素電極の表面に押圧部材を押し込むことで前記層間絶縁膜を貫通する凹部を形成し、前記画素電極の押圧された部位を少なくとも前記素子電極に到達させる工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
この製造方法によれば、画素電極の一部の部位を素子電極側へ押し込むことでコンタクトホールを形成するので、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いることなく導電接続のためのコンタクトホールを形成することができる。よって、エッチングに用いるレジストマスクの剥離に不具合が生じたり、フォトリソグラフィー工程での露光により基板上の素子が劣化するのを回避することができる。
また、画素電極の押圧された部位は、素子電極に到達してコンタクトホール内に配置されるので、かかる部位を画素電極と素子電極との接続構造の少なくとも一部として利用することができる。
【0017】
前記凹部内に導電材料を配置する工程を有することも好ましい。
この製造方法によれば、凹部内に配置した導電材料によって、画素電極と素子電極との導通をより確実なものとすることができる。
【0018】
次に,本発明の回路基板の製造方法は、前記基板上に第1導電層と層間絶縁膜と第2導電層とを順に積層形成する導電層工程と、前記第2導電層の表面から物理的加工を施すことで、前記第2導電層と前記層間絶縁膜とを貫通して前記第1導電層に達するコンタクトホールを形成するコンタクトホール形成工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
この製造方法によれば、物理的加工によりコンタクトホールを形成するので、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いることなく導電接続のためのコンタクトホールを形成することができる。よって、エッチングに用いるレジストマスクの剥離に不具合が生じたり、フォトリソグラフィー工程での露光により基板上の素子が劣化するのを回避することができる。
【0020】
本発明の回路基板の製造方法は、基板上に第1導電層と層間絶縁膜と第2導電層とを順に積層形成する導電層形成工程と、前記第2導電層の表面から物理的加工を施すことで、前記第2導電層と前記層間絶縁膜とを貫通して前記第1導電層に達する凹部を形成するコンタクトホール形成工程と、を有することを特徴とする。
【0021】
この製造方法によれば、物理的加工を施すことで第2導電層と基板とを貫通する凹部をコンタクトホールとして形成するので、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いることなく導電接続のためのコンタクトホールを形成することができる。よって、エッチングに用いるレジストマスクの剥離に不具合が生じたり、フォトリソグラフィー工程での露光により基板上の素子が劣化するのを回避することができる。
【0022】
次に、本発明の半導体装置は、基板上に、半導体層と、順に積層された第1導電層と層間絶縁膜と第2導電層と、を有する半導体装置であって、少なくとも前記第2導電層と前記層間絶縁膜とを貫通し、前記第1導電層に達する凹部と、前記凹部内に配置されるとともに前記第1導電層及び前記第2導電層と接続された接続部と、を有することを特徴とする。
【0023】
かかる構成の半導体装置は、先に記載の半導体装置の製造方法により製造することができる半導体装置である。この半導体装置は、第2導電層の表面に開口する凹部を備えており、かかる凹部は物理的加工によって容易に形成することができる。したがって、第1導電層と第2導電層とを接続するためのコンタクトホールを、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いることなく形成することが可能である。よって、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程に起因する不具合を回避できる製造性に優れた半導体装置である。
【0024】
次に,本発明の電気光学装置は、基板上に、有機トランジスタと、前記有機トランジスタの少なくとも一部の素子電極を覆う層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成された画素電極とを有する電気光学装置であって、少なくとも前記画素電極と前記層間絶縁膜とを貫通し、前記素子電極に達する凹部と、前記凹部内に配置されるとともに前記素子電極及び前記画素電極と接続された接続部と、を有することを特徴とする。
【0025】
かかる構成の電気光学装置は、先に記載の電気光学装置の製造方法により製造することができるものである。この電気光学装置は、画素電極の表面に開口する凹部を備えており、かかる凹部は物理的加工によって容易に形成することができる。したがって、素子電極と画素電極とを接続するためのコンタクトホールを、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いることなく形成することが可能である。よって、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程に起因する不具合を回避できる製造性に優れた電気光学装置である。
【0026】
本発明の電気光学装置は、基板上に、有機トランジスタと、前記有機トランジスタの少なくとも一部の素子電極を覆う層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成された画素電極とを有する電気光学装置であって、前記画素電極の一部が、前記基板側に押し込まれて前記層間絶縁膜を貫通し、前記素子電極と当接していることを特徴とする。
【0027】
かかる構成の電気光学装置も、先に記載の電気光学装置の製造方法により製造することができるものである。この電気光学装置は、画素電極の一部の部位が素子電極側へ押し込まれており、かかる構成は、物理的加工によって容易に形成することができる。したがって、素子電極と画素電極とを接続するためのコンタクトホールを、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いることなく形成することが可能である。よって、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程に起因する不具合を回避できる製造性に優れた電気光学装置である。
【0028】
押し込まれた前記画素電極の一部の部位により、前記画素電極と前記素子電極とが接続されていることが好ましい。
この構成によれば、画素電極の一部を押し込むという極めて単純な物理加工によって画素電極と素子電極とを接続することができる。
【0029】
次に、本発明の回路基板は、基板の一方の面に形成された第1導電層と、他方の面に形成された第2導電層とを有する回路基板であって、少なくとも前記第2導電層と前記基板とを貫通し、前記第1導電層に達する凹部と、前記凹部内に配置されるとともに前記第1導電層及び前記第2導電層と接続された接続部と、を有することを特徴とする。
【0030】
かかる構成の回路基板は、先に記載の回路基板の製造方法により製造することができる回路基板である。この回路基板は、第2導電層の表面に開口する凹部を備えており、かかる凹部は物理的加工によって容易に形成することができる。したがって、第1導電層と第2導電層とを接続するためのコンタクトホールを、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いることなく形成することが可能である。よって、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程に起因する不具合を回避できる製造性に優れた回路基板である。
【0031】
本発明の回路基板は、前記基板上に順に積層された第1導電層と層間絶縁膜と第2導電層とを有する回路基板であって、少なくとも前記第2導電層と前記層間絶縁膜とを貫通し、前記第1導電層に達する凹部と、前記凹部内に配置されるとともに前記第1導電層及び前記第2導電層と接続された接続部と、を有することを特徴とする。
【0032】
かかる構成の回路基板は、先に記載の回路基板の製造方法により製造することができる半導体装置である。このように、基板の一面側に第1導電層と層間絶縁膜と第2導電層とが積層されている構成であっても、第2導電層の表面に開口する凹部は、物理的加工によって容易に形成することができる。したがって、第1導電層と第2導電層とを接続するためのコンタクトホールを、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いることなく形成することが可能である。よって、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程に起因する不具合を回避できる製造性に優れた回路基板である。
【0033】
次に、本発明の電子機器は、先に記載の半導体装置、電気光学装置、又は回路基板を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、製造性に優れた電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態に係るアクティブマトリクス基板の概略構成図。
【図2】画素の平面図及び電気泳動表示装置の断面図。
【図3】実施形態に係る電気泳動表示装置の製造工程図。
【図4】実施形態に係る電気泳動表示装置の製造工程図。
【図5】実施形態に係る電気泳動表示装置の製造工程図。
【図6】マイクロパンチを例示する斜視図。
【図7】変形例に係る電気泳動表示装置を示す断面図。
【図8】実施形態に係る回路基板を示す図。
【図9】電子機器の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の電気光学装置の一実施形態である電気泳動表示装置について、図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0036】
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置100に備えられたアクティブマトリクス基板30の概略構成図である。図2(a)は、アクティブマトリクス基板30における画素40の一構成例を示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A’線に沿う位置における電気泳動表示装置100の断面図である。
本実施形態の電気泳動表示装置は、本発明に係る半導体装置であるアクティブマトリクス基板30を備えたアクティブマトリクス方式の電気泳動表示装置である。
【0037】
本実施形態の電気泳動表示装置100は、図2(b)に示すように、アクティブマトリクス基板30(第1の基板)と、対向基板(第2の基板)31との間に、複数のマイクロカプセル20を配列してなる電気泳動素子32を挟持した構成を備えている。
【0038】
図1に示すように、アクティブマトリクス基板30は、複数の画素40がマトリクス状に配列された表示部5を備えている。表示部5の周辺には、走査線駆動回路61、データ線駆動回路62が配置されている。また表示部5には、走査線駆動回路61から延びる複数の走査線36と、データ線駆動回路62から延びる複数のデータ線38とが形成されており、これらの交差位置に対応して画素40が設けられている。画素40は、走査線36及びデータ線38と接続された選択トランジスタ41と、選択トランジスタ41と接続された画素電極35(第2導電層)とを有する。
【0039】
走査線駆動回路61は、m本の走査線36(G1、G2、…、Gm)を介して各々の画素40に接続されており、これら1行目からm行目までの走査線36を順次選択し、画素40に設けられた選択トランジスタ41のオンタイミングを規定する選択信号を、選択した走査線36を介して供給する。
データ線駆動回路62は、n本のデータ線38(S1、S2、…、Sn)を介して各々の画素40に接続されており、画素40の各々に対して画素データを規定する画像信号を供給する。
【0040】
図2に示すように、画素40において、平面視矩形状の画素電極35の辺縁に沿って走査線36とデータ線38とが延在している。走査線36とデータ線38との交差部近傍に選択トランジスタ41が形成されている。
【0041】
選択トランジスタ41は、有機半導体層41aと、データ線38を分岐して形成されたソース電極41bと、ドレイン電極41c(素子電極、第1導電層)と、走査線36を分岐して形成されたゲート電極41dと、を有する。有機半導体層41aは、ソース電極41bとドレイン電極41cにわたって形成されており、ゲート電極41dは、ソース電極41bとドレイン電極41cとの間の領域の有機半導体層41a上に形成されている。ドレイン電極41cは、コンタクトホール34a内に埋め込まれた接続部35aを介して画素電極35と接続されている。
【0042】
図2(b)に示す断面構造を見ると、アクティブマトリクス基板30は、基板本体30Aを基体として備える。
基板本体30Aの一方の面(図示上面)に、ソース電極41b(データ線38)と、ドレイン電極41cとが形成されている。ソース電極41bとドレイン電極41cとの間に、これらの電極41b、41cに一部乗り上げるようにして有機半導体層41aが形成されている。ソース電極41bとドレイン電極41cと有機半導体層41aとを覆って、ゲート絶縁膜33が形成されている。ゲート絶縁膜33上の有機半導体層41aと対向する位置にゲート電極41d(走査線36)が形成されている。ゲート電極41d(走査線36)及びゲート絶縁膜33を覆って平坦化膜34が形成されている。
【0043】
平坦化膜34上には、画素電極35が形成されている。平坦化膜34とゲート絶縁膜33とを貫通し、ドレイン電極41cに達するコンタクトホール34a(凹部)が形成されている。コンタクトホール34a内には、画素電極35の一部を基板本体30A側へ押し込んで形成された接続部35aが配置されている。接続部35aを介して画素電極35とドレイン電極41cとが接続されている。
【0044】
一方、対向基板31は、基板本体31Aを基体として備える。
基板本体31Aの一方の面(図示下面)には、共通電極37が形成されている。共通電極37上に電気泳動素子32が形成されている。電気泳動素子32は、アクティブマトリクス基板30の画素電極35及び平坦化膜34と接着剤層39を介して接着されている。
本実施形態の場合、電気泳動素子32は、あらかじめ対向基板31側に形成され、アクティブマトリクス基板30と接着するための接着剤層39までを含めた電気泳動シートとして構成されている。そのため、接着剤層39は、電気泳動素子32のアクティブマトリクス基板30側にのみ設けられている。
【0045】
アクティブマトリクス基板30の基板本体30Aは、ガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示面とは反対側に配置されるため透明なものでなくてもよい。特に本実施形態の場合、選択トランジスタ41が有機半導体層41aを有する有機トランジスタであるため、安価で軽量、かつ柔軟性に優れたプラスチック基板を用いることができる。
【0046】
画素電極35は電気泳動素子32に駆動電圧を印加する電極であり、Cu(銅)箔上にニッケルメッキと金メッキとをこの順番で積層したものや、Al、ITO(インジウム・スズ酸化物)などを用いて形成される。さらに、Cr、Ta、Mo、Nb、Ag、Pt、Pd、In、Ndやそれらの合金、InO、SnO等の導電性酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子、導電性高分子に塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF、AsF、FeCl等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウムカリウム等の金属原子等のドーパントを添加したもの、カーボンブラックや金属粒子を分散した導電性の複合材料等を用いてもよい。
走査線36及びデータ線38は、上記した画素電極35と同様の材料を用いて形成することができる。
【0047】
有機半導体層41aを構成する有機半導体材料としては、例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)(PTV)、ポリ(パラ−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PFO)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ビス−N,N’−(4−メトキシフェニル)−ビス−N,N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン)(PFMO)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ベンゾチアジアゾール)(BT)、フルオレン−トリアリルアミン共重合体、トリアリルアミン系ポリマー、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ジチオフェン)(F8T2)のようなフルオレン−ビチオフェン共重合体等のポリマー有機半導体材料、またC60あるいは金属フタロシアニンあるいはそれらの置換誘導体、あるいは、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン等のアセン分子材料、あるいは、α−オリゴチオフェン類、具体的にはクォーターチオフェン(4T)、セキシチオフェン(6T)、オクタチオフェンのような低分子系有機半導体のうち1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0048】
ゲート絶縁膜33及び平坦化膜34の構成材料は、絶縁性を有する材料であれば種類は特に限定されない。かかる絶縁材料としては、有機材料、無機材料のいずれも使用可能であるが、一般に有機絶縁膜は有機半導体層と良好な界面を形成しやすいことから、有機絶縁材料が好ましく採用される。ゲート絶縁膜33及び平坦化膜34に好適な有機絶縁材料としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル(アクリル)、ポリイミド、ポリビニルフェノール、ポリカーボネート、パラキシリレン等を挙げることができ、無機絶縁材料としては、シリコン酸化物やシリコン窒化物を挙げることができる。これらのうちの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
対向基板31の基板本体31Aは、ガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示側に配置されるため透明基板とされる。共通電極37は、画素電極35とともに電気泳動素子32に電圧を印加する電極であり、MgAg(マグネシウム銀)、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)などから形成された透明電極である。
【0050】
マイクロカプセル20は、例えば50μm程度の粒径を有しており、内部に分散媒21と、複数の白色粒子(電気泳動粒子)27と、複数の黒色粒子(電気泳動粒子)26とを封入した球状体である。マイクロカプセル20は、図2(b)に示すように共通電極37と画素電極35とに挟持され、1つの画素40内に1つ又は複数のマイクロカプセル20が配置される。
【0051】
マイクロカプセル20の外殻部(壁膜)は、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルなどのアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアゴムなどの透光性を持つ高分子樹脂などを用いて形成される。
分散媒21は、白色粒子27と黒色粒子26とをマイクロカプセル20内に分散させる液体である。分散媒21としては、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、脂肪族炭化水素(ぺンタン、ヘキサン、オクタンなど)、脂環式炭化水素(シクロへキサン、メチルシクロへキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類(キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンなど))、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなど)、カルボン酸塩などを例示することができ、その他の油類であってもよい。これらの物質は単独又は混合物として用いることができ、さらに界面活性剤などを配合してもよい。
【0052】
白色粒子27は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば負に帯電されて用いられる。黒色粒子26は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば正に帯電されて用いられる。
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンドなどの粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤などを添加することができる。
また、黒色粒子26及び白色粒子27に代えて、例えば赤色、緑色、青色などの顔料を用いてもよい。かかる構成によれば、表示部5に赤色、緑色、青色などを表示することができる。
【0053】
(製造方法)
次に、本実施形態の電気泳動表示装置100の製造方法について、図面を参照して説明する。
図3から図5は、本実施形態の電気泳動表示装置100の製造工程を示す断面図である。なお、図3から図5に示す断面図は、図2に示したA−A’線に沿う位置に対応する。
【0054】
まず、図3(a)に示すように、基板本体30Aを用意する。基板本体30Aの材質は特に限定されないが、本実施形態の製造方法では、プラスチック基板等の可撓性基板を用いることが好ましい。
次いで、基板本体30Aの一方の面(図示正面)に、ソース電極41b(データ線38)及びドレイン電極41cをパターン形成する。具体的には、AlやTi、Crなどの金属膜あるいはこれらの金属の積層膜を、スパッタ法やCVD法などの成膜法を用いて形成した後、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程によりパターニングし、図2(a)に示した平面形状の走査線36、ソース電極41b、及びドレイン電極41cを形成する。あるいは、液滴吐出法などの印刷法を用いて金属粒子やカーボンを含むインクを所定パターンに塗布し、これを乾燥固化させて上記の配線を形成してもよい。
【0055】
次に、図3(b)に示すように、有機半導体材料を基板本体30A上の所定位置に配置することで、有機半導体層41aを形成する。有機半導体材料の成膜方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、CVD法、スパッタリング法、プラズマ重合法、電解重合法、化学重合法、イオンプレーティング法、スピンコート法、キャスト法、引き上げ法、ラングミュアブロジェット法、スプレー法、インクジェット法、ロールコート法、バーコート法、ディスペンス法、シルクスクリーン法、デイップコート法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの方法の中でも、インクジェット法やディスペンス法を用いて液体材料から半導体層を塗布形成する方法が、最も簡便に膜厚をコントロールすることが可能であるという点から好ましい。なお、有機半導体材料を含む液体材料を基板本体30A上に塗布した後には、加熱処理により固体の有機半導体層とする。
【0056】
次に、図3(c)に示すように、有機半導体層41a等を覆うゲート絶縁膜33を形成する。ゲート絶縁膜33の成膜方法としては、上述した有機半導体材料の成膜方法と同様のものを用いることができる。本実施形態の場合、ゲート絶縁膜33は基板本体30Aの図示上面全体に形成されるため、スピンコート法や蒸着法を用いて形成することが成膜効率の上で好ましい。
【0057】
次に、図3(d)に示すように、ゲート絶縁膜33上に、ゲート電極41d(走査線36)を形成する。ゲート電極41dは、先に記載のソース電極41b、ドレイン電極41cの形成工程と同様の工程により形成することができる。すなわち、先に記載のゲート電極41d(走査線36)の構成材料の導電膜をエッチングして形成する方法や、所定形状に穴のあいたメタルスルーマスクを通して導電膜を蒸着する方法、あるいは、金属粒子やカーボンを含むインクを、インクジェット法などにより選択的に塗布して形成することができる。
【0058】
次に、図3(e)に示すように、ゲート電極41d等を覆う平坦化膜34を形成する。平坦化膜34の成膜方法としては、上述した有機半導体材料の成膜方法と同様のものを用いることができる。本実施形態の場合、平坦化膜34は基板本体30Aの図示上面全体に形成されるため、スピンコート法や蒸着法を用いて形成することが成膜効率の上で好ましい。
図3(c)及び図3(e)において形成されるゲート絶縁膜33と平坦化膜34とが、本発明に係る層間絶縁膜を構成する。
【0059】
次に、図4(a)に示すように、平坦化膜34上に画素電極35を形成する。画素電極35は、先に記載のソース電極41b、ドレイン電極41cの形成工程と同様の工程により形成することができる。すなわち、先に記載の画素電極35の構成材料の導電膜をエッチングして形成する方法や、所定形状に穴のあいたメタルスルーマスクを通して導電膜を蒸着する方法、あるいは、金属粒子やITO粒子、カーボンなどを含むインクを、インクジェット法などにより選択的に塗布して形成することができる。
本実施形態の場合、画素電極35は、ゲート絶縁膜33と平坦化膜34の合計厚さよりも大きい膜厚に形成される。
【0060】
次に、図4(b)に示すように、画素電極35の表面からマイクロパンチ150による加工を実施する。マイクロパンチ150は、基体150bの先端に直径5〜10μmの加工針150aを有する微細加工用の工具であり、本発明に係る押圧部材として好適に用いられるものである。
マイクロパンチ150としては、加工針150aを1つのみ有するものを用いてもよいが、図6に示すように、複数の加工針150aが基体150b上にアレイ状に配列されたマイクロパンチ150を用いることもできる。図6に示すマイクロパンチ150では、アクティブマトリクス基板30の画素40に対応する領域140ごとに加工針150aが設けられており、複数の画素40のコンタクトホール34aを一括して形成することが可能である。
【0061】
上記のマイクロパンチ150を、画素電極35とドレイン電極41cとが平面的に重なる領域に位置合わせし、加工針150aを画素電極35に押し込む。すると、図4(c)に示すように、加工針150aにより押圧された画素電極35の一部(35a)が、画素電極35から分離して平坦化膜34側へ押し込まれる。そして、マイクロパンチ150をさらに押し込むと、上記の押し込まれた一部(35a)が平坦化膜34とゲート絶縁膜33とを貫通してドレイン電極41cに到達する。これにより、マイクロパンチによる物理的加工によって画素電極35、平坦化膜34、及びゲート絶縁膜33を貫通し、ドレイン電極41cに達するコンタクトホール34a(凹部)が形成される。
【0062】
上記のコンタクトホール34aには、マイクロパンチ150により押し込まれた画素電極35の一部からなる接続部35aが配置されている。本実施形態の場合、先に記載のように、画素電極35の膜厚が、平坦化膜34とゲート絶縁膜33の合計膜厚よりも大きいため、押し込まれた接続部35aは、コンタクトホール34aの底部においてドレイン電極41cに当接するとともに、コンタクトホール34aの開口端側において、画素電極35とも当接している。すなわち、画素電極35とドレイン電極41cとは、接続部35aを介して接続された状態となる。
【0063】
なお、マイクロパンチ150を用いた加工は、少なくとも接続部35aがドレイン電極41cと当接する位置まで行えばよいが、図4(c’)に示すように、押し込んだ接続部35aをドレイン電極41cに貫通させてもよい。
【0064】
マイクロパンチ150を押し込む際には、画素電極35から分離された接続部35aは、平坦化膜34とゲート絶縁膜33とを部分的に破壊しつつドレイン電極41c側へ進入される。このとき、接続部35aの進行方向先端に、接続部35aにより押し潰された平坦化膜34及びゲート絶縁膜33の一部が存在する場合がある。そのため、接続部35aがドレイン電極41cに到達する位置で加工を停止すると、接続部35aとドレイン電極41cとの間に挟まった絶縁膜によって導通不良となるおそれがある。
【0065】
そこで、図4(c’)に示すように、接続部35aをドレイン電極41cに貫通させることで、押し潰された平坦化膜34及びゲート絶縁膜33の一部をドレイン電極41cよりも基板本体30A側に押しやることができ、接続部35aとドレイン電極41cとが確実に接続された構造を得ることができる。
【0066】
以上の工程により、上記実施形態のアクティブマトリクス基板30(半導体装置)を製造することができる。
【0067】
次に、図5(a)に示すように、対向基板31を用意する。対向基板31の一面側(図示下面側)には、ITO等の透明導電材料からなる共通電極37と、電気泳動素子32と、接着剤層39とが形成されている。そして、対向基板31の接着剤層39と、上記にて作製したアクティブマトリクス基板30の画素電極35とを対向させ、対向基板31とアクティブマトリクス基板30とを貼り合わせることで、図5(b)に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置100を製造することができる。
【0068】
以上、詳細に説明したように、本実施形態のアクティブマトリクス基板30(半導体装置)及び電気泳動表示装置100(電気光学装置)の製造方法によれば、画素電極35(第2導電層)を形成した後、マイクロパンチ150により画素電極35の一部を分離して接続部35aとし、かかる接続部35aをドレイン電極41c(第1導電層)側へ押し込むことで画素電極35とドレイン電極41cとが導電接続された構造を得ている。
【0069】
したがって本発明によれば、マイクロパンチ150を用いた物理的加工によって画素電極35とドレイン電極41cとを接続することができ、導電接続のためのコンタクトホールをフォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いて形成する必要が無い。よって、エッチングに用いるレジストマスクの剥離に不具合が生じたり、フォトリソグラフィー工程での露光時に有機半導体層41aが劣化するのを回避することができ、歩留まりよくアクティブマトリクス基板30及び電気泳動表示装置100を製造することができる。
【0070】
また、レジストマスクを用いないため、ゲート絶縁膜33や平坦化膜34、ドレイン電極41cなどがレジスト剥離液等の薬液と接触することがない。したがって本発明においては、従来使用できなかった耐薬品性の低い材料を採用することも可能であり、性能の向上やコストの低減を図る上での選択肢が多くなる。
【0071】
(変形例)
次に、図7を参照して、本発明の変形例について説明する。
図7(a)〜図7(d)は、本発明の変形例に係るアクティブマトリクス基板30a〜30dを示す図である。
本変形例は、先の実施形態に係るアクティブマトリクス基板30について、画素電極35とドレイン電極41cとの接続構造部分の構成を変更したものである。したがって、図7において図1から図5と共通の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0072】
まず、図7(a)に示すアクティブマトリクス基板30aは、ドレイン電極41cと接続された第1の接続部35aと、第1の接続部35a上に配置され、第1の接続部35a及び画素電極35と接続された第2の接続部35bとを有する。そして、これら第1及び第2の接続部35a、35bによりドレイン電極41cと画素電極35とが接続されている。
【0073】
図7(a)に示すアクティブマトリクス基板30aでは、画素電極35の膜厚がゲート絶縁膜33と平坦化膜34との合計膜厚よりも小さい。そのため、マイクロパンチ150で画素電極35の一部を押し込んだときに、画素電極35から分離された第1の接続部35aが、画素電極35から離れてコンタクトホール34aの内部に入り込んでしまう。
【0074】
また、画素電極35の膜厚とゲート絶縁膜33と平坦化膜34との合計膜厚との差が小さい場合にも、第1の接続部35aが押し潰されたり、第1の接続部35aをドレイン電極41cに貫通させたりすることで、上記と同様に、第1の接続部35aと画素電極35との接続が失われてしまうおそれがある。
【0075】
そこで本変形例では、第1の接続部35a上に、導電材料からなる第2の接続部35bを配置し、第1及び第2の接続部35a、35bによってドレイン電極41cと画素電極35とを接続した構成としている。
このような構成とすることで、画素電極35とドレイン電極41cとを確実に接続することができ、信頼性に優れた半導体装置及び電気光学装置とすることができる。また、画素電極35を過度に厚く形成する必要が無くなり、製造コストを低減し、製造歩留まりを向上させる上で有利な構成となる。
【0076】
第2の接続部35bの形成方法としては、液相法、気相法のいずれを用いてもよい。液相法を用いる場合には、インクジェット法やディスペンス法などの液体材料を選択的に塗布することができる方法を用いることが好ましい。液相法に用いる液体材料としては、ITO粒子や金属粒子を分散させた分散液や、金属錯体の溶解液を用いることができる。
一方、気相法を用いる場合にも、領域選択的に成膜することができるマスク蒸着法などを用いることが好ましい。
【0077】
図7(a)では、第1の接続部35aが画素電極35から離れた位置までマイクロパンチ150により押し込まれてしまう場合について説明したが、図7(b)に示すように、画素電極35の膜厚が十分に大きく、第1の接続部35aと画素電極35とを接触させることができる場合にも、第2の接続部35bを設けることは有効である。
【0078】
図7(b)に示すアクティブマトリクス基板30bでは、画素電極35の厚みが大きいため、第1の接続部35aをドレイン電極41cに貫通させても、画素電極35と第1の接続部35aとは接触した状態となる。しかしながら、第1の接続部35aは、画素電極35の一部をマイクロパンチ150により切り離して形成され、その周壁のみで画素電極35と接続されている。そこで、図示のように第2の接続部35bをコンタクトホール34a内に配置し、第2の接続部35bを介して第1の接続部35aと画素電極35とが接続される構造とすることで、ドレイン電極41cと画素電極35との電気的接続をより確実なものとすることができる。
【0079】
次に、図7(c)に示すアクティブマトリクス基板30cは、アクティブマトリクス基板30cを厚さ方向に貫通するコンタクトホール34aと、コンタクトホール34a内に充填された接続部35bとを有している。
本発明では、コンタクトホール34aを物理的加工により形成するため、コンタクトホールを形成する際に、マイクロパンチ150がアクティブマトリクス基板30cを貫通してしまうこともある。また、コンタクトホール形成にレーザー加工やイオンビーム(荷電粒子ビーム)加工を用いると、比較的容易に基板を貫通してしまう。
【0080】
そして、アクティブマトリクス基板30cを貫通するコンタクトホール34aを形成した場合には、画素電極35の一部からなる接続部35aは失われてしまうので、図7(c)に示す変形例では、コンタクトホール34a内に導電材料を充填して接続部35bを形成し、ドレイン電極41cと画素電極35とを接続している。
【0081】
このような構成とした場合にも、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程を用いることなくコンタクトホール34aを形成することができ、コンタクトホール34a内に設けられた接続部35bによりドレイン電極41cと画素電極35とを確実に接続することができる。なお、図7(c)に示す接続部35bについても、先に記載の液相法、気相法のいずれを用いても形成することができる。
【0082】
次に、図7(d)は、コンタクトホール34aがアクティブマトリクス基板30dを貫通していない場合において、接続部35bのみによりドレイン電極41cと画素電極35とを接続した構成である。
コンタクトホール形成にレーザー加工やイオンビーム加工を用いる場合、レーザーやイオンビームが照射された部位は溶融、蒸発し、凹部のみが形成される。この場合にも、液相法又は気相法を用いて、コンタクトホール34a内に接続部35bを形成することで、ドレイン電極41cと画素電極35とを接続することができる。
【0083】
(回路基板)
次に、図8は、本発明に係る回路基板の実施の形態を示す図である。図8(a)は、実施形態に係るフレキシブル回路基板を示す平面図であり、図8(b)は、図8(a)のB−B’線に沿う位置におけるフレキシブル回路基板の断面図である。図8(c)は、プリント回路基板を示す断面図である。
【0084】
まず、図8(a)及び図8(b)に示すフレキシブル回路基板200は、樹脂フィルム等からなる可撓性基板210と、可撓性基板210の一方の面に形成された配線状の第1導電層201と、可撓性基板の他方の面に形成された配線状の第2導電層202とを有する。各々の第1導電層201は、対応する第2導電層202と、可撓性基板210を貫通して形成されたビア210a(凹部、コンタクトホール)の内部に配置された接続部202aを介して接続されている。
【0085】
すなわち、フレキシブル回路基板200は、両面に導電層が形成された両面基板であり、一方の面に形成された第1導電層201と他方の面に形成された第2導電層202との接続構造に、先の実施形態のアクティブマトリクス基板30と同様の構造を備えたものである。
【0086】
接続部202aは、可撓性基板210に第1導電層201と第2導電層202とを形成した後、第2導電層202の表面からマイクロパンチ150(図4,6参照)を押圧することで形成される。すなわち、第2導電層202の一部からなる接続部202aを押し込んで可撓性基板210を貫通させることでビア210aを形成し、ビア210aの内部に配置された接続部202aによって第1導電層201と第2導電層202とを接続している。
【0087】
上記構成のフレキシブル回路基板200によれば、両面に形成された第1導電層201と第2導電層202との接続に、フォトリソグラフィー工程やエッチング工程を用いる必要がないため、これらの工程に起因する不具合が生じるのを回避することができる。また、これらの工程を用いないため、安価に製造することができる。
【0088】
なお、フレキシブル回路基板200においても、接続部202aの一部を第1導電層201に埋入させてもよく、接続部202aを第1導電層201に貫通させた構成としてもよい。また、接続部202a上に導電材料を配置して第2の接続部を形成し、導電性を補強する構成としてもよい。さらに、第2導電層202の一部からなる接続部202aに代えて、導電材料からなる接続部をビア210a内に配置した構成としてもよい。さらにまた、ビア210aの形成方法として、レーザー加工やイオンビーム加工を用いてもよい。
【0089】
次に、図8(c)に示すプリント回路基板300は、ガラスエポキシ樹脂等からなるプリント基板310と、プリント基板310上に形成された第1導電層301と、第1導電層301を覆って形成された層間絶縁膜303と、層間絶縁膜303上に形成された第2導電層302とを備えている。第1導電層301と第2導電層302とは、第2導電層302と層間絶縁膜303とを貫通して形成されたコンタクトホール303a内に配置された接続部302aを介して接続されている。
本例のプリント回路基板300も、第1導電層301と第2導電層302との接続構造に、先の実施形態のアクティブマトリクス基板30と同様の構造を備えたものである。
【0090】
接続部303aは、プリント基板310上に、第1導電層301と層間絶縁膜303と第2導電層302とを積層した後、第2導電層302の表面からマイクロパンチ150(図4,6参照)を押圧することで形成される。すなわち、第2導電層302の一部からなる接続部302aを押し込んで層間絶縁膜303を貫通させることでコンタクトホール303aを形成し、コンタクトホール303aの内部に配置された接続部302aによって第1導電層301と第2導電層302とを接続している。
【0091】
上記構成のプリント回路基板300によれば、層間絶縁膜303を介して積層された第1導電層301と第2導電層302との接続に、フォトリソグラフィー工程やエッチング工程を用いる必要がないため、これらの工程に起因する不具合が生じるのを回避することができる。また、これらの工程を用いないため、安価に製造することができる。
【0092】
なお、プリント回路基板300においても、接続部302aの一部を第1導電層301に埋入させてもよく、接続部302aを第1導電層301に貫通させた構成としてもよい。また、接続部302a上に導電材料を配置して第2の接続部を形成し、導電性を補強する構成としてもよい。さらに、第2導電層302の一部からなる接続部302aに代えて、導電材料からなる接続部をコンタクトホール303a内に配置した構成としてもよい。さらにまた、コンタクトホール303aの形成方法として、レーザー加工やイオンビーム加工を用いてもよい。
【0093】
(電子機器)
次に、上記実施形態の電気泳動表示装置100を、電子機器に適用した場合について説明する。
図9(a)は電子ペーパー1100の構成を示す斜視図である。電子ペーパー1100は、上記実施形態の電気泳動表示装置100を表示領域1101に備えている。電子ペーパー1100は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1102を備えて構成されている。
【0094】
図9(b)は、電子ノート1200の構成を示す斜視図である。電子ノート1200は、上記の電子ペーパー1100が複数枚束ねられ、カバー1201に挟まれているものである。カバー1201は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力する図示は省略の表示データ入力手段を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0095】
以上の電子ペーパー1100及び電子ノート1200によれば、本発明に係る電気泳動表示装置100が採用されているので、製造性に優れ、安価に提供可能な表示部を備えた電子機器となる。
なお、上記の電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部にも、本発明に係る電気泳動表示装置は好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0096】
30,30a,30b,30c,30d アクティブマトリクス基板(半導体装置)、100 電気泳動表示装置(電気光学装置)、200 フレキシブル回路基板(回路基板)、300 プリント回路基板(回路基板)、32 電気泳動素子、34a コンタクトホール(凹部)、35 画素電極(第2導電層)、35a,35b 接続部、40 画素、41c ドレイン電極(素子電極、第1導電層)、150 マイクロパンチ(押圧部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に半導体層を有する半導体装置の製造方法であって、
前記基板上に第1導電層と層間絶縁膜と第2導電層とを順に積層形成する導電層形成工程と、
前記第2導電層の表面から物理的加工を施すことで、前記第2導電層と前記層間絶縁膜とを貫通して前記第1導電層に達する凹部を形成するコンタクトホール形成工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記コンタクトホール形成工程において、
前記第2導電層の表面に押圧部材を押し込むことで前記層間絶縁膜を貫通させ、前記第2導電層の押圧された部位を少なくとも前記第1導電層に到達させることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2導電層の押圧された部位を、前記第1導電層に貫通させることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記コンタクトホール形成工程において、光線又は荷電粒子線を用いた加工により前記凹部を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記コンタクトホール形成工程の後に、前記凹部内に導電材料を配置する接続部形成工程を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記コンタクトホール形成工程において、前記第1及び第2導電層並びに前記層間絶縁膜と、前記基板とを貫通する貫通孔を形成し、前記接続部形成工程において、前記貫通孔内に前記導電材料を配置することを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
基板上に、有機トランジスタと、前記有機トランジスタの少なくとも一部の素子電極を覆う層間絶縁膜とを形成し、前記層間絶縁膜上に画素電極を形成する工程と、
前記画素電極の表面から物理的加工を施すことで、少なくとも前記画素電極と前記層間絶縁膜とを貫通し、前記素子電極に達する凹部を形成する工程と、
を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項8】
基板上に、有機トランジスタと、前記有機トランジスタの少なくとも一部の素子電極を覆う層間絶縁膜とを形成し、前記層間絶縁膜上に画素電極を形成する工程と、
前記画素電極の表面に押圧部材を押し込むことで前記層間絶縁膜を貫通させて凹部を形成し、前記画素電極の押圧された部位を少なくとも前記素子電極に到達させる工程と、
を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項9】
前記凹部内に導電材料を配置する工程を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項10】
基板の一方の面に第1導電層を形成し、他方の面に第2導電層を形成する導電層形成工程と、
前記第2導電層の表面から物理的加工を施すことで、前記第2導電層と前記基板とを貫通して前記第1導電層に達する凹部を形成するコンタクトホール形成工程と、
を有することを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項11】
基板上に第1導電層と層間絶縁膜と第2導電層とを順に積層形成する導電層形成工程と、
前記第2導電層の表面から物理的加工を施すことで、前記第2導電層と前記層間絶縁膜とを貫通して前記第1導電層に達する凹部を形成するコンタクトホール形成工程と、
を有することを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項12】
基板上に、半導体層と、順に積層された第1導電層と層間絶縁膜と第2導電層と、を有する半導体装置であって、
少なくとも前記第2導電層と前記層間絶縁膜とを貫通し、前記第1導電層に達する凹部と、前記凹部内に配置されるとともに前記第1導電層及び前記第2導電層と接続された接続部と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
基板上に、有機トランジスタと、前記有機トランジスタの少なくとも一部の素子電極を覆う層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成された画素電極とを有する電気光学装置であって、
少なくとも前記画素電極と前記層間絶縁膜とを貫通し、前記素子電極に達する凹部と、前記凹部内に配置されるとともに前記素子電極及び前記画素電極と接続された接続部と、を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項14】
基板上に、有機トランジスタと、前記有機トランジスタの少なくとも一部の素子電極を覆う層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成された画素電極とを有する電気光学装置であって、
前記画素電極の一部が、前記基板側に押し込まれて前記層間絶縁膜を貫通し、前記素子電極と当接していることを特徴とする電気光学装置。
【請求項15】
押し込まれた前記画素電極の一部の部位により、前記画素電極と前記素子電極とが接続されていることを特徴とする請求項14に記載の電気光学装置。
【請求項16】
基板の一方の面に形成された第1導電層と、他方の面に形成された第2導電層とを有する回路基板であって、
少なくとも前記第2導電層と前記基板とを貫通し、前記第1導電層に達する凹部と、前記凹部内に配置されるとともに前記第1導電層及び前記第2導電層と接続された接続部と、を有することを特徴とする回路基板。
【請求項17】
基板上に順に積層された第1導電層と層間絶縁膜と第2導電層とを有する回路基板であって、
少なくとも前記第2導電層と前記層間絶縁膜とを貫通し、前記第1導電層に達する凹部と、前記凹部内に配置されるとともに前記第1導電層及び前記第2導電層と接続された接続部と、を有することを特徴とする回路基板。
【請求項18】
請求項12に記載の半導体装置、請求項13から15のいずれか1項に記載の電気光学装置、又は請求項16又は17に記載の回路基板、を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−225766(P2010−225766A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70189(P2009−70189)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】