説明

半導体装置の製造方法及び熱処理装置

【課題】 酸素濃度及びアルゴン濃度が制御され、且つ密閉された雰囲気下で、強誘電体膜の熱処理工程を実施することができる半導体装置の製造方法及び熱処理装置を提供する。
【解決手段】 部材が挿入でき、且つ減圧可能である熱処理室と、熱処理室に設けられた、熱処理室内への気体導入及び気体排気が可能である開口と、熱処理室内における気体の圧力を検出し、圧力に関する検出情報を出力する検出部と、熱処置室内の部材を加熱する加熱部と、開口による熱処理室内の気体排気を可能にする制御と、熱処理室内の密閉、開口による熱処理室内の気体導入、及び加熱部による部材の加熱を検出情報に基づいて行う制御と、を行う制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法及び熱処理装置に関し、特に強誘電体メモリを備える半導体装置の製造方法及びその熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、強誘電体の分極反転を利用して情報を強誘電体キャパシタに保持される強誘電体メモリ(FRAM:Ferrroelectric Random Access Memory)の素子特性向上に向けて開発が進められている。強誘電体メモリは、電源を切っても保持された情報が消失しない不揮発性メモリである。強誘電体メモリには、2つの電極間に強誘電体膜が挟まれて構成された強誘電体キャパシタが設けられている。
【0003】
強誘電体キャパシタを構成する強誘電体膜の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O、以下PZTという。)膜等のペロブスカイト結晶構造を有する強誘電体酸化物が主として用いられている。これらの強誘電体膜は主に、スパッタ等のPVD(Physical Vapor Deposition:物理気相堆積)法で形成した後、結晶化するために高温の熱処理を行って形成されるのが一般的である。このような熱処理のために、半導体ウエハの表面を短時間で加熱し、その後、半導体ウエハを冷却する熱処置装置が使用されている。
【0004】
このような強誘電体膜をPVD法によって形成した後の熱処理工程において、任意の温度を半導体ウエハに対して均一に与えることができる熱処理装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、このような強誘電体膜の熱処置工程において、熱処理室が真空排気されている雰囲気下で酸素ガスを供給して行うことができる熱処理装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
特許文献1の構成において、半導体ウエハの温度分布は厳密に管理することができる。しかしながら、特許文献1の構成は熱処理室内への気体を供給するためのチューブを備えるが、熱処理室内の酸素濃度を検出するための検出手段は備えていない。そのため、熱処理工程における熱処理室内の酸素濃度分布を制御することができない。特許文献2の構成において、熱処理工程における熱処理室内の雰囲気は、酸素濃度が熱処理室内に一定の量で導入され、その後、熱処理室内に導入された酸素は排気口から排気されているのみである。そのため、熱処理室中の酸素導入パイプと排気パイプ近傍における酸素濃度を比較するとばらつきが発生する。酸素濃度のばらつきが発生すると、強誘電体膜が結晶化される際の酸素の供給量に半導体ウエハ全体において局所的なばらつきが発生する。そのため、ウエハにおける熱処理工程後の強誘電体膜の配向率にも局所的なばらつきが発生する問題があった。
【特許文献1】特開平11−195614号公報
【特許文献2】特開平11−171548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、熱処理室内の真空引き且つ密閉された雰囲気下で、酸素量が管理された状態で強誘電体膜の酸素回復処理のための熱処理工程を実施することができる半導体装置の製造方法及び熱処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するため、本発明の第1の側面によれば、トランジスタが形成されている基板の上方に下部電極、強誘電体膜を順次積層する工程と、前記強誘電体膜を密閉且つ真空雰囲気にさらす工程と、前記密閉された強誘電体膜を熱処理する工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
本発明の第2の側面によれば、部材が挿入でき、且つ減圧可能である熱処理室と、前記熱処理室に設けられた、前記熱処理室内への気体導入及び気体排気が可能である開口と、前記熱処理室内における気体の圧力を検出し、前記圧力に関する検出情報を出力する検出部と、前記熱処置室内の部材を加熱する加熱部と、前記開口による前記熱処理室内の前記気体排気を可能にする制御と、前記熱処理室内の密閉、前記開口による前記熱処理室内の前記気体導入、及び前記加熱部による前記部材の加熱を前記検出情報に基づいて行う制御と、を行う制御部と、を有することを特徴とする熱処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、強誘電体膜の熱処理工程の際に、密閉された熱処理室において真空引きを行い、その後、熱処理室内に酸素の気圧が管理されて導入されている。そのため、熱処理室内の酸素濃度が管理された雰囲気下において強誘電体膜を熱処理工程することができる。そのため、半導体ウエハ上に形成された強誘電体膜において均一な配向率を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例にかかる半導体装置の製造方法及び熱処理装置が説明される。ただし、本発明は各実施例に限定されるものではない。
【0011】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例に係る半導体装置の製造方法及び熱処理装置について添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
第1実施例の熱処理装置においては、強誘電体膜の熱処理工程の際に、密閉された熱処理室において真空引きを行い、その後、酸素及びアルゴンの気圧が熱処理室内に管理されて導入されている。そのため、熱処理室内の酸素濃度が管理された雰囲気下において強誘電体膜を熱処理工程することができる。そのため、上記の熱処理装置を用いた半導体装置の製造方法によれば、半導体ウエハ上に形成された強誘電体膜において均一な配向率を得ることができる。
【0013】
図1から図2を用いて、本発明の実施形態に係る強誘電体キャパシタを有する半導体装置の製造方法は工程順に説明される。
【0014】
図1Aは、MIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタ14上に強誘電体キャパシタの下部電極を形成した断面図を示す。図1Aに示す断面図を形成する工程は以下に説明される。
【0015】
先ず、図1Aに示すように、シリコン基板等からなる半導体基板11に、例えばSTI(shallow trench isolation)が素子分離領域12として周知の工程により形成される。
【0016】
次いで、半導体基板11に、P型MISトランジスタが形成される領域、及びN型MISトランジスタが形成される領域に対応した導電型を有するウェル13が周知の工程により形成される。
【0017】
続いて、周知の工程により、ゲート絶縁膜17、ゲート電極18、シリサイド層19、低濃度拡散層15、サイドウォール20及び高濃度拡散層16がウェル13上に形成されることにより、MISトランジスタ14が形成される。
【0018】
なお、MISトランジスタ14間にある高濃度拡散層16は共有される。
【0019】
次に、全面に、シリコン酸窒化膜21がMISトランジスタ14を覆うようにCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成される。更に、全面にシリコン酸化膜22がCVD法と形成されたシリコン酸化膜22を研磨して平坦化するCMP(Chemical Mechanical Polishing)法とを繰り返して形成される。その後、シリコン酸化膜22中に残存している水分を除去するための熱処理が行われる。
【0020】
その後、各高濃度拡散層16に接続するプラグを形成するためのコンタクトホールが、シリコン酸化膜22及びシリコン酸窒化膜21を貫通して形成される。
【0021】
そして、コンタクトホール内に、密着膜23として、TiN膜及びTi膜からなる積層膜がPVD(Phisical Vapor Deposition)法により形成される。次いで、積層膜が形成されたコンタクトホール内にW膜がCVD法により埋め込まれる。次いで、積層膜がCMP工程によって平坦化されることによって、W(タングステン)プラグ24が形成される。
【0022】
次いで、Wの酸化防止膜として、例えばCVD法によって不図示のP−SiON膜が130〜170nmの膜厚によって形成される。
【0023】
次いで、全面にAlO膜25aがPVD法により形成される。AlO膜25aを形成した後、熱処理がRTA(Rapid Thermal Annealing:急速高温熱処理)装置によって行われる。この熱処理工程によって、AlO膜25aの結晶中の酸素欠損が補われる。この熱処理工程により、AlO膜25aの結晶中の酸素欠陥の補充させることができ、後述する強誘電体キャパシタの下部電極となるPt膜25bの配向性を向上させることが可能となる。
【0024】
次いで、AlO膜25aの形成面上に、Pt膜25bがPVD法により100〜200nmの膜厚で形成される。Pt膜25bは、強誘電体キャパシタの下部電極として形成されるものである。なお、Pt膜25bは、後にPt膜25bの上に形成されるPZT膜26の配向を(111)配向にそろえるため、(111)配向に形成する。
【0025】
図1Bは、強誘電体キャパシタの強誘電体層を形成する工程を示す。図1Bに示すように、Pt膜25b上に、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)膜26を例えばPVD法によって150〜300nmの膜厚で形成する。なお、PZT膜26は、PVD法の他にゾルゲル法で形成されてよい。このとき、PZT膜26の組成に関し、Pb量がZr量及びTi量に対して過剰に形成される。即ち、Pb量、Zr量、Ti量を、夫々[Pb]、[Zr]、[Ti]と表したとき、不等式[Pb]/([Zr]+[Ti])>1が成り立つようにする。上記の式を成立させることによって、PZT膜26の(111)配向させることができるからである。本工程によって、PZT膜26は、Pt膜25b上にアモルファス状態によって形成される。
【0026】
PZT膜26を形成した後、PZT膜26を結晶化させるための熱処理を実施する。本熱処理は、酸素ガスとアルゴンガスとの比率が例えば1:30から1:40の密閉された雰囲気下で、500〜600度の温度で、RTA(Rapid Thermal Annealing:急速高温熱処理)装置によって約90秒間行われる。望ましくは、本熱処理の温度は550〜570度がよい。本熱処理工程(結晶化アニール)によって、PZT膜26の結晶化は下部電極であるPt膜25b側から開始する。
【0027】
なお、本熱処理工程に使用されるRTA装置に関しては後述する。本熱処理工程は、密閉された雰囲気の中で酸素及びアルゴンの容積比率を制御することによって実現することができる。
【0028】
図2は、周知の工程により、強誘電体層26上に上面電極27を形成した後に、層間絶縁膜29及びコンタクトプラグ31を形成する工程を示す。
【0029】
図2に示すように、IrO膜27は、PVD法によってPZT膜26上に50nmの膜厚で堆積される。
【0030】
IrO膜27がPZT膜26上に形成された後、例えばRTA装置によって熱処理が行われる。本熱処理は、IrO膜27の形成時等にPZT膜26に生じた損傷を回復させると共に、IrO膜27中のIr(イリジウム)をPZT膜26中に拡散させるために行われる。
【0031】
次いで、IrO膜27がPVD法によって200nmの膜厚で再度堆積される。その後、IrO膜27の熱処理が再度行われる。
【0032】
次いで、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程により、AlO膜25a、Pt膜25b、PZT膜26及びIrO膜27がパターニングされる。この工程によって、IrO膜27が上部電極となり、Pt膜25bが下部電極となる。これら上部電極と下部電極との間にPZT膜26が挟まれたスタック構造の強誘電体キャパシタが形成される。
【0033】
次いで、強誘電体キャパシタを覆うアルミナ保護膜28がCVD法によって全面に形成される。
【0034】
次いで、全面に層間絶縁膜29をCVD法により成膜した後、層間絶縁膜29がCMPにより平坦化される。
【0035】
次いで、パターニング及びエッチング技術を用いて、層間絶縁膜29及びアルミナ保護膜28中にWプラグ24まで到達するコンタクトホールが形成される。コンタクトホールは、複数のMISトランジスタ14により共有された高濃度拡散層16に接続される。
【0036】
次いで、このコンタクトホール内に密着膜30としてTiN膜が形成される。その後、例えばCVD法によりW膜を埋め込み、CMP法によって平坦化することによりWプラグ31が形成される。
【0037】
前述した工程において、主な強誘電体キャパシタ層の形成は完了するが、この後、配線層が形成される。次いで、例えば、酸化膜(P-SIO膜)、酸窒化膜(P-SIN膜)又はポリイミド膜(PI膜)からなるMISトランジスタ14及び強誘電体キャパシタを保護するためのパッシベーション膜を形成して、強誘電体キャパシタを有する半導体装置10を完成させる。
【0038】
なお、本実施例はスタック型キャパシタを例に挙げて記載しているが、本実施例はプレーナー型キャパシタにおいても適応可能である。
【0039】
図3は、本実施例に係る熱処理装置1000の全体構成を示す。図3において、熱処理装置1000は装置ハウジング100、制御部400及び照射量設定装置500によって構成されている。
【0040】
図3において、装置ハウジング100内は平行に配設した石英ガラス板120及び130により上下に三室に区画されており、上部室および下部室に赤外光を発するハロゲンランプ140が複数設けられている。中間室は熱処理室110となっている。熱処理室110は、被加熱材である半導体ウエハ160が、支持腕150に支持されて加熱処理される密閉室である。熱処理室110と支持腕150との接触面には、熱処理室110を密閉するための不図示のオーリングが形成されている。熱処理室110は、熱処理室110に半導体ウエハ160が導入された後に密閉される。排気パイプ250によって、熱処理室110内の空気は排気される。さらに、酸素導入パイプ230、アルゴン導入パイプ240によって酸素及びアルゴンが熱処理室110内に導入される。
【0041】
半導体ウエハ160は円板形であり、ハロゲンランプ140は、半導体ウエハ160の板面全体をカバーする領域に、半導体ウエハ160の板面に向け多数設けられている。つまち、加熱部としてのハロゲンランプ140は、熱処理室110を挟み両側に設けられている。本実施例では上下の各ハロゲンランプ140は半導体ウエハ160の板面に対してそれぞれ中心から同心状に3ゾーンに区画されている。各ゾーンについて通電回路600と通電制御回路700がそれぞれ設けられている(1ゾーンのみ図示)。なお、ハロゲンランプ140は、熱処理室110の片面に設けられてもよい。
【0042】
図3において、各ハロゲンランプ140は装置ハウジング100の壁を貫通する配線により外部の照射量設定装置500に接続されている。
【0043】
照射量設定装置500は、通電回路600、通電制御回路700、温度調節計800、及び放射温度計900より構成されている。放射温度計900は半導体ウエハ160の中心部温度を測定するようにハウジング底壁に一台設置されている。
【0044】
温度調節計800は、放射温度計900から得られる測定温度を、中心ゾーンの設定温度と比較する。設定温度と中心ゾーンとの温度の偏差が零になるように、通電制御回路700中の増幅回路720およびゲートパルス回路730を介して、通電回路600に設けた電源ユニット610のサイリスタが駆動される。検出回路620からは、ハロゲンランプ140に対する電源ユニット610からの供給電流値が、通電制御回路700の変換回路710を経てフィードバックされている。通電制御回路700は、フィードバックされた供給電流値の情報に基づいて、温度調節計800における設定温度を維持するように電源ユニット610のサイリスタを駆動する。なお、ゲートパルス回路730は、後述する圧力センサ190による酸素ガスとアルゴンガスによる内圧の総和の検出情報に基づいて被加熱材である半導体ウエハ160の加熱を行うために電力ユニット610のサイリスタを駆動する。
【0045】
残る他のゾーンについても電力のフィードバック制御を行っているが、その設定値は次のように設定される。つまり、ニッケル板やステンレス板で製作したダミーウエハ上の、上記各ゾーンに対応した所定位置に熱電対が取り付けられ、この状態でハロゲンランプ140が点灯され、各ゾーンの温度が中心ゾーンとほぼ同一温度になるような電力設定値の比を決定する。
【0046】
装置ハウジング100には、熱処理室110内に酸素ガスを導入するための酸素導入パイプ230、アルゴンガスを導入するためのアルゴン導入パイプ240、酸素ガス及びアルゴンガスを排出するための排気パイプ250、及び熱処理室110内の酸素ガスとアルゴンガスによる内圧の総和を測定するための圧力センサ190が設けられている。酸素導入パイプ230には、酸素ガスの流入量を0.010から0.150(リットル/min)に制御するための酸素流量バルプ210、及び熱処理室110内への酸素ガスの導入を制御するための酸素ゲートバルブ170が設けられている。酸素ゲートバルブ170は、熱処理室110と酸素流量バルブ230との間に設けられている。酸素ガスの流入量は0.055(リットル/min)近傍が望ましい。アルゴン導入パイプ240には、アルゴンガスの流入量を1.990から1.850(リットル/min)に制御するためのアルゴン流量バルプ220、及び熱処理室110内へのアルゴンガスの導入を制御するためのアルゴンゲートバルブ180が設けられている。アルゴンゲートバルブ180は、熱処理室110とアルゴン流量バルブ220との間に設けられている。アルゴンガスの流入量は1.95(リットル/min)近傍が望ましい。排気パイプ250には、酸素ガス及びアルゴンガスの排気を制御するための排気バルブ200が設けられている。
【0047】
排気バルブ200は、熱処理室110を真空引きするときは開かれ、密閉する時は閉される。酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180は、圧力センサ190が1気圧を示すまで、即ち熱処理室110内の圧力が1気圧になるまで制御部400によって開放される。酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180は、熱処理室110内の圧力が1気圧になるまで酸素ガス及びアルゴンガスが導入されると閉められる。
【0048】
制御部400は、圧力センサ190からの熱処理室110内の圧力情報に基づいて、酸素ゲートバルブ170、アルゴンゲートバルブ180、排気ゲートバルブ200、酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220の開放及び遮断、そしてゲートパルス回路730の駆動を制御する。
【0049】
図4は、本実施例に係る熱処理装置1000における半導体装置10の熱処理工程を示すフローチャートである。最初に、制御部400は、酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180を閉める(S1)。次いで、半導体ウエハ160は、熱処理装置1000まで搬送される(S2)。半導体ウエハ160は、支持椀150に搭載されて装置ハウジング100の熱処理室110内に導入される(S3)。次いで、制御部400は、排気バルブ200を開いて不図示の真空ポンプを用いて熱処理室110内を真空引きする(S4)。真空引きは、熱処理室110内の内部圧力が1.0×10−1(Pa)になるまで行われる。この真空引きの工程において、熱処理室110内の内部圧力は、圧力センサ190によって測定される。この真空引きは、熱処理室110内のガスを除去するために行われる。次いで、制御部400は排気ゲートバルブ200を閉じて密閉し、熱処理室110内を真空状態に保持する(S5)。次いで、制御部400は酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180を開く(S6)。次いで、制御部400は酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220を開き、酸素導入パイプ230及びアルゴン導入パイプ240から熱処理室110内に酸素ガス及びアルゴンガスを導入する(S7)。この工程の際、酸素ガスの流入量は0.010から0.150(リットル/min)であり、アルゴンガスの流入量は1.990から1.850(リットル/min)である。熱処理室110内の酸素ガスとアルゴンガスの比率は、例えば1:30から1:40であることが望ましい。なお、後述する図6及び図7の実験結果を得るために、熱処理室110への酸素ガスの流入量を0.055(リットル/min)と設定し、熱処理室110へのアルゴンガスの流入量を1.95(リットル/min)と設定した。次いで、制御部400は、熱処理室110内の内部圧力が1気圧になるまで、熱処理室110内に酸素ガスとアルゴンガスを導入し続ける(S8)。なお、後述する熱処理工程の際には、内部気体の膨張に伴い熱処理室110内の内部圧力は上昇するが、圧力センサ190は熱処理工程前の内部圧力のみ検出する。次いで、制御部400は、酸素ゲートバルブ170、アルゴンゲートバルブ180、酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220を閉じ、熱処理室110内の酸素ガス及びアルゴンガスの容積比率を一定に保持する(S9)。次いで、制御部400は、圧力センサ190によって測定された熱処理室110内の内部圧力情報に基づいて半導体ウエハ160の熱処理工程を実施する(S10)。本熱処理工程は、500〜600度の熱処理が90秒間行われる。次いで、本熱処理工程の終了後、半導体ウエハ160は、支持椀150によって熱処理室110内から搬出される(S11)。その後、半導体ウエハ160は、不図示の冷却板の上に搭載され、約350℃になるまで約5分間の間自然冷却される(S12)。その後、熱処理工程において、各製造ロットの半導体ウエハ160の熱処理が終了するまで、本熱処理工程は実施される(S13)。
【0050】
図5は、本発明に係る図2の半導体装置10の熱処理工程における処理時間と図3の半導体ウエハ160における温度の関係を示す。半導体ウエハ160は、熱処理装置1000の熱処理室110内において約10秒間で150℃から、560から565℃までの範囲まで昇温される。次いで、半導体ウエハ160の温度は、約90秒間、560から565℃までの範囲に維持され、この間にPZT膜26の結晶化が行われる。次いで、半導体ウエハ160は、約5分間、自然冷却され、約410℃になるまで放置される。その後、冷却板へ移動させ、ウエハの冷却を行う。
【0051】
図6A及び図6Bは、通常の熱処理装置を用いてPZT膜26を結晶化させた半導体装置10及び本実施例の半導体装置10におけるPZT膜26の(111)配向率とその出現頻度を示す図である。
【0052】
図6Aは、半導体装置10におけるPZT膜の(111)配向率とその出現頻度を示す図である。
【0053】
図6Aの横軸は、PZT膜26の(111)配向率(%)を示す。図6Aの縦軸は、PZT膜26の(111)配向率を有する出現頻度を示す。即ち、図6Aは、通常の熱処理装置を利用して半導体ウエハ160を100枚熱処理して、半導体装置10を製造した際の、PZT膜26の(111)配向率を有するウエハの出現頻度を示すヒストグラムである。なお、熱処理室への酸素ガスの流入量は0.055(リットル/min)と設定し、熱処理室へのアルゴンガスの流入量は1.95(リットル/min)と設定した。熱処理室内には酸素ガス及びアルゴンガスが上記一定量で導入され、熱処理室内に導入された酸素ガス及びアルゴンガスは排気される設定とした。PZT膜26の(111)配向率は大きいほど分極に寄与する結晶成分が多いことを示しているため、この数値は大きい程良いとされる。
【0054】
図6Aに示すように、半導体ウエハを100枚熱処理して半導体装置10を製造すると、95〜96%台のPZT膜26の(111)配向性を有する半導体装置10が、15%程度製造されることがわかる。
【0055】
通常の熱処理装置によって実施される熱処理工程におけるチャンバ雰囲気は、酸素及びアルゴンを熱処理室内に管理された量で導入し、その後、熱処理室内に導入された酸素及びアルゴンを排気することによって調整されている。しかしながら、熱処理室中の酸素導入パイプ及びアルゴン導入パイプ近傍と排気パイプ近傍における酸素濃度を比較するとばらつきが発生する。そのため、ウエハにおける熱処理工程後のPZT膜26の(111)配向の出現箇所もばらつきが発生すると推定される。
【0056】
図6Bは、本実施例の半導体装置10におけるPZT膜26の(111)配向率とその出現頻度を示す図である。図6Bの横軸は、PZT膜26の(111)配向率(%)を示す。図6Bの縦軸は、PZT膜26の(111)配向率の出現頻度を示す。即ち、図6Bは、本実施例において半導体ウエハ160を100枚熱処理して半導体装置10を製造した際の、PZT膜26の(111)配向率のヒストグラムを示したものである。横軸はPZT膜26の(111)配向率を示し、縦軸には頻度を示してある。PZT膜26の(111)配向率は大きい程、分極に寄与する結晶成分が多いことを示しているため、この数値は大きい程良いとされる。
【0057】
図6Bに示すように、本実施例では、半導体ウエハ160を100枚分、半導体装置10で製造すると、全ての半導体ウエハ160でPZT膜26の(111)配向率97%以上を得ることが可能となる。本実施例のように密閉した雰囲気の元で熱処理工程を実施した場合、酸素及びアルゴンの容積比率は熱処理室110中の酸素導入パイプ230、アルゴン導入パイプ240及び排気パイプ250近傍のいずれの箇所において略一定に管理することができる。そのため、半導体ウエハ160において酸素及びアルゴンの分布のばらつきを可及的に防ぐことができるため、通常の熱処理装置と比較して、半導体装置10のPZT膜26の(111)配向率における製造ばらつきを大幅に低減することができる。
【0058】
図7は、半導体装置10におけるロット番号と、リテンション不良発生率を示した図である。図7の縦軸は、左側に従来技術を利用した場合に発生するリテンション不良率のロット平均値(%)、右側に本発明を利用した場合に発生するリテンション不良率のロット平均値(%)を示す。本発明に係る半導体装置10が有する強誘電体メモリ(FRAM:Ferrroelectric Random Access Memory)(FRAM)は不揮発性メモリのため、電源オフでも書き込まれたデータを保持することができる。このデータの保持能力のことをリテンションという。
【0059】
図7の横軸における1から25までの番号はロット番号を示しており、1つのマス目は1ロット(=12枚分)のリテンション不良率の平均値を出力している。図6は、半導体ウエハ100枚を熱処理した場合に、1日10枚ごと熱処理し、10日間に渡る配向率の頻度の推移を示す。
【0060】
図7によれば、通常の熱処理装置が利用された半導体装置10のリテンション不良率は、最大値が23.5%及び最小値が0.9%である。一方、本実施例に係る熱処理装置が利用された半導体装置10のリテンション不良率は、最大値が1.7%及び最小値が0.7%である。したがって、図6で示したように、本実施例を利用した半導体装置10は、従来技術を利用した半導体装置と比較して、リテンション不良率が低く、且つ安定していることがわかる。
【0061】
第1実施例の熱処理装置においては、強誘電体膜の熱処理工程の際に、密閉された熱処理室において真空引きを行い、その後、酸素及びアルゴンが熱処理室内に気圧が管理されて導入されている。そのため、熱処理室内の酸素濃度が管理された雰囲気下において強誘電体膜を熱処理工程することができる。そのため、上記の熱処理装置を用いた半導体装置の製造方法によれば、半導体ウエハ上に形成された強誘電体膜において均一な配向率を得ることができる。
【0062】
(第2実施例)
以下、本発明の第2実施例に係る半導体装置の製造方法及び熱処理装置について添付の図面を参照して具体的に説明する。第2実施例の半導体装置の製造方法及び熱処理装置によれば、熱処理工程前に熱処理室内の酸素ガス及びアルゴンガスが加圧される。そのため、熱処理工程において強誘電体膜の表面からより内面に浸透させることができるようになる。そのため、半導体装置の強誘電体膜において、強誘電体膜の均一な配向率を得ることができる。
【0063】
図8は、第2実施例に係る熱処理装置2000の全体構成を示す。図3において、熱処理装置2000は、装置ハウジング101、制御部401及び照射量設定装置500によって構成されている。なお、第2実施例において、第1実施例で説明した構成と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0064】
装置ハウジング101は、熱処理室110、石英ガラス板120、石英ガラス板130、ハロゲンランプ140、支持腕150、半導体ウエハ160、酸素流入バルブ170、アルゴン流入バルブ180、圧力センサ190、排気バルブ200、酸素流量バルブ210、アルゴン流量バルブ220、酸素導入パイプ231、アルゴン導入パイプ241、排気パイプ250、酸素ガス加圧部260及びアルゴンガス加圧部270によって構成されている。
【0065】
酸素導入パイプ231には、酸素ゲートバルブ170、酸素流量バルプ210及び酸素ガス加圧部260が設けられている。アルゴン導入パイプ241には、アルゴンゲートバルブ180、アルゴン流量バルプ220及びアルゴンガス加圧部270が設けられている。
【0066】
排気バルブ200は、熱処理室110を真空引き及び密閉する時に開放及び遮断される。酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180は、圧力センサ190によって熱処理室110内の圧力が2気圧になるまで開放される。酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180は、熱処理室110内の圧力が2気圧になるまで酸素ガス及びアルゴンガスが導入されると閉められる。酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180が開放されている間に、酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220は、熱処理室110に導入される酸素ガスの流入量を0.055(リットル/min)及びアルゴンガスの流入量を1.95(リットル/min)に制御するために用いられる。酸素ガス加圧部260は、酸素ガスの導入圧力を2気圧まで加圧するために用いられる。アルゴンガス加圧部270は、アルゴンガスの導入圧力を2気圧まで加圧するために用いられる。
【0067】
制御部401は、圧力センサ190からの熱処理室110内の圧力検出情報に基づいて、酸素ゲートバルブ170、アルゴンゲートバルブ180、排気ゲートバルブ200、酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220の開放及び遮断、そしてゲートパルス回路730の駆動を制御する。
【0068】
図8は、本実施例に係る熱処理装置2000における半導体装置10の熱処理工程を示すフローチャートである。制御部401は、酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180を閉める(S21)。次いで、半導体ウエハ160は、熱処理装置2000まで搬送される(S22)。半導体ウエハ160は、支持椀150に搭載されて熱処理室110内に導入される(S23)。次いで、制御部401は、排気パイプ250を開いて熱処理室110内を真空引きする(S24)。真空引きは、熱処理室110内の内部圧力が1.0×10−1(Pa)になるまで行う。この真空引きの工程において、熱処理室110内の内部圧力は、圧力センサ190によって測定される。この真空引きは、熱処理室110内のガスを除去するために行うものである。次いで、制御部401は排気ゲートバルブ200を閉じ、熱処理室110内を真空状態に保持する(S25)。次いで、制御部401は酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180を開く(S26)。次いで、酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220を開き、酸素導入パイプ231及びアルゴン導入パイプ241から熱処理室110内に酸素ガス及びアルゴンガスを導入する(S27)。熱処理室110の酸素ガスとアルゴンガスの比率は、例えば1:30から1:40であることが望ましい。次いで、制御部401は、処理室110内の内部圧力が2気圧になるまで、熱処理室110内に酸素ガスとアルゴンガスを加圧導入する(S28)。この際、酸素ガスの加圧は酸素ガス加圧部260により行う。アルゴンガスの加圧はアルゴンガス加圧部270により行う。次いで、制御部401は、酸素ゲートバルブ170、アルゴンゲートバルブ180、酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220を閉じ、熱処理室110内の酸素ガス及びアルゴンガスの比率を一定に保持する(S29)。なお、後述する熱処理工程の際には、内部気体の膨張に伴い熱処理室110内の内部圧力は上昇するが、圧力センサ190は熱処理工程前の内部圧力のみ検出する。次いで、制御部401は、圧力センサ190によって測定された熱処理室110内の内部圧力情報に基づいて半導体ウエハ160の熱処理工程を実施する(S30)。本熱処理工程は、550〜570度の熱処理が90秒間行われる。次いで、本熱処理工程の終了後、半導体ウエハ160は、支持椀150に搭載されて熱処理室110内から搬出される(S31)。その後、半導体ウエハ160は、不図示の冷却板の上に搭載され、約350℃になるまで約5分間の間自然冷却される(S32)。その後、熱処理工程において、各製造ロットの半導体ウエハ160の熱処理が終了するまで、本熱処理工程は実施される(S33)。
【0069】
第2実施例の半導体装置の製造方法及び熱処理装置によれば、熱処理工程前に熱処理室内の酸素ガス及びアルゴンガスが加圧される。そのため、熱処理工程において強誘電体膜の表面から酸素をより内面に浸透させることができるようになる。そのため、半導体装置の強誘電体膜において、強誘電体膜の均一な配向率を得ることができる。
(第3実施例)
以下、本発明の第3実施例に係る半導体装置の製造方法及び熱処理装置について添付の図面を参照して具体的に説明する。第3実施例の半導体装置の製造方法及び熱処理装置によれば、熱処理室内の雰囲気をより厳密に調整するために、第1実施例及び第2実施例と比較して熱処理室内の容積が小さく形成されている。そのため、強誘電体膜をより安定した雰囲気下で熱処理することができる。そのため、半導体装置における強誘電体膜は、強誘電体膜の均一な配向率を得ることができる。
【0070】
図10は、本実施例に係る熱処理装置3000の全体構成を示す。図10において、熱処理装置3000は装置ハウジング102、制御部401及び照射量設定装置500によって構成されている。なお、第3実施例において、第2実施例で説明した構成と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0071】
装置ハウジング102には、熱処理室111、強化ガラス板121、強化ガラス板131、ハロゲンランプ140、支持腕150、半導体ウエハ160、酸素流入バルブ170、アルゴン流入バルブ180、圧力センサ190、排気バルブ200、酸素流量バルブ210、アルゴン流量バルブ220、酸素導入パイプ231、アルゴン導入パイプ241、排気パイプ250、酸素ガス加圧部260及びアルゴンガス加圧部270が設けられている。
【0072】
図10において、装置ハウジング102内は平行に配設した強化ガラス板121及び131により上下に三室に区画されており、上部室および下部室にはハロゲンランプ140が複数設けてある。強化ガラス板121及び131は石英ガラス板からなり、第1実施例及び第2実施例における石英ガラス板120及び130と比較して強度が高い石英ガラス板によって形成されている。強化ガラス板121及び131は、第1実施例及び第2実施例における石英ガラス板120及び130よりも設置間隔が狭く形成されている。そのため、第3実施例における熱処理室111の容積は、第1実施例及び第2実施例の熱処理室110の容積と比較して小さくなるように形成されている。更に、強化ガラス板121及び131は、熱処理室111の容積が小さくなったことにより、酸素ガス及びアルゴンガスによる内圧の増加によって破損しないように内圧に耐えられる強度を有するように形成されている。
【0073】
図11は、本実施例に係る熱処理装置3000における半導体装置10の熱処理工程を示すフローチャートである。制御部401は、酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180を閉める(S41)。次いで、半導体ウエハ160は、熱処理装置3000まで搬送される(S42)。半導体ウエハ160は、支持椀150に搭載されて熱処理室111内に導入される(S43)。次いで、制御部401は、排気バルブ200を開いて熱処理室111内を真空引きする(S44)。真空引きは、熱処理室111内の内部圧力が1.0×10−1(Pa)になるまで行う。この真空引きの工程において、熱処理室111内の内部圧力は、圧力センサ190によって測定される。この真空引きは、熱処理室111内のガスを除去するために行うものである。次いで、制御部401は排気ゲートバルブ200を閉じ、熱処理室111内を真空状態に保持する(S45)。次いで、制御部401は酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180を開く(S46)。次いで、酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220を開き、酸素導入パイプ231及びアルゴン導入パイプ241から熱処理室111内に酸素ガス及びアルゴンガスを導入する(S47)。この工程の際、酸素ガスの流量は0.055(リットル/min)であり、アルゴンガスの流量は1.95(リットル/min)である。熱処理室111内の酸素ガスとアルゴンガスの比率は、例えば1:30から1:40であることが望ましい。次いで、制御部401は、熱処理室111内の内部圧力が2気圧になるまで、熱処理室111内に酸素ガスとアルゴンガスを加圧導入し続ける(S48)。この際、酸素ガスの加圧は酸素ガス加圧部260により行う。アルゴンガスの加圧はアルゴンガス加圧部270により行う。次いで、制御部401は、酸素ゲートバルブ170、アルゴンゲートバルブ180、酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220を閉じ、熱処理室111内の酸素ガス及びアルゴンガスの比率を一定に保持する(S49)。次いで、制御部401は、圧力センサ190によって測定された熱処理室111内の内部圧力情報に基づいて半導体ウエハ160の熱処理工程を実施する(S50)。本熱処理工程は、550〜570度の熱処理が90秒間行われる。次いで、本熱処理工程の終了後、半導体ウエハ160は、支持椀150に搭載されて熱処理室111内から搬出される(S51)。その後、半導体ウエハ160は、不図示の冷却板の上に搭載され、約350℃になるまで約5分間の間自然冷却される(S52)。その後、熱処理工程において、各製造ロットの半導体ウエハ160の熱処理が終了するまで、本熱処理工程は実施される(S53)。
【0074】
第3実施例の半導体装置の製造方法及び熱処理装置によれば、第1実施例及び第2実施例の熱処理装置と比較して熱処理室内の雰囲気をより厳密に調整するために、熱処理室内の容積が小さく形成されている。そのため、強誘電体膜をより安定した雰囲気下で熱処理することができる。そのため、半導体装置における強誘電体膜は、強誘電体膜の均一な配向率を得ることができる。
(第4実施例)
以下、本発明の第4実施例に係る半導体装置の製造方法及び熱処理装置について添付の図面を参照して具体的に説明する。第4実施例の半導体装置の製造方法及び熱処理装置によれば、熱処理工程の後の冷却工程の際、強化ガラス板からの放射熱の影響による強誘電体膜の特性変動を抑えるための強化ガラス板を半導体ウエハから離間する工程を有する。そのため、熱処理工程後の温度プロファイルを正確に制御することができる。
【0075】
図12は、本実施例に係る熱処理装置4000の全体構成を示す。図12において、熱処理装置4000は装置ハウジング103、制御部402及び照射量設定装置500によって構成されている。なお、第4実施例において、第3実施例で説明した構成と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0076】
装置ハウジング103には、熱処理室112、可動式強化ガラス板122、強化ガラス板131、ハロゲンランプ140、支持腕150、半導体ウエハ160、酸素流入バルブ170、アルゴン流入バルブ180、圧力センサ190、排気バルブ200、酸素流量バルブ210、アルゴン流量バルブ220、酸素導入パイプ231、アルゴン導入パイプ241、排気パイプ250、酸素ガス加圧部260及びアルゴンガス加圧部270が設けられている。
【0077】
図12において、装置ハウジング103内は平行に配設した可動式強化ガラス板122及び強化ガラス板131により上下に三室に区画されており、上部室および下部室にはハロゲンランプ140が複数設けてある。本実施例に係る可動式強化ガラス板122及び強化ガラス板131は、第3実施例と同様に強度が高い石英ガラス板によって形成されている。中間室は熱処理室112となっており、熱処理室112内には支持腕150に支持して被加熱材である半導体ウエハ160が装入されている。なお、可動式強化ガラス板122は、熱処理室112内を上下に移動できるように形成されている。更に、可動式強化ガラス板122は、半導体ウエハ160の熱処理終了、半導体ウエハ160から離間するように移動する。後述する半導体ウエハ160の熱処理後に、半導体ウエハ160に対する可動式強化ガラス板122から放射される放射熱の影響を抑制して強誘電体キャパシタの特性変動を抑えるためである。
【0078】
制御部402は、圧力センサ190からの熱処理室112内の圧力検出情報に基づいて、酸素ゲートバルブ170、アルゴンゲートバルブ180、排気ゲートバルブ200、酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220の開放及び遮断を制御、そしてゲートパルス回路730の駆動を制御する。更に、制御部402は、酸素ガス加圧部260及びアルゴンガス加圧部270を制御する。更に、制御部402は、不図示の駆動部を用いて可動式強化ガラス板122を上下に移動させる。
【0079】
図13は、本実施例に係る熱処理装置4000における半導体装置10の熱処理工程を示すフローチャートである。制御部402は、酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180を閉める(S61)。次いで、半導体ウエハ160は、熱処理装置4000まで搬送される(S62)。半導体ウエハ160は、支持椀150に搭載されて熱処理室112内に導入される(S63)。次いで、制御部402は、排気バルブ200を開いて熱処理室112内を真空引きする(S64)。真空引きは、熱処理室112内の内部圧力が1.0×10−1(Pa)になるまで行う。この真空引きの工程において、熱処理室112内の内部圧力は、圧力センサ190によって測定される。この真空引きは、熱処理室112内のガスを除去するために行うものである。次いで、制御部402は排気ゲートバルブ200を閉じ、熱処理室112内を真空状態に保持する(S65)。次いで、制御部402は酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180を開く(S66)。次いで、制御部402は酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220を開き、酸素導入パイプ231及びアルゴン導入パイプ241から熱処理室112内に酸素ガス及びアルゴンガスを導入する(S67)。この工程の際、酸素ガスの流量は0.055(リットル/min)であり、アルゴンガスの流量は1.95(リットル/min)である。熱処理室112内の酸素ガスとアルゴンガスの比率は、例えば1:30から1:40であることが望ましい。次いで、制御部402は、熱処理室112内の内部圧力が2気圧になるまで、熱処理室112内に酸素ガスとアルゴンガスを加圧導入する(S68)。なお、後述する熱処理工程の際には、内部気体の膨張に伴い熱処理室112内の内部圧力は上昇するが、圧力センサ190は熱処理工程前の内部圧力のみ検出する。この際、酸素ガスの加圧は酸素ガス加圧部260により行う。アルゴンガスの加圧はアルゴンガス加圧部270により行う。次いで、制御部402は、酸素ゲートバルブ170、アルゴンゲートバルブ180、酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220を閉じ、熱処理室112内の酸素ガス及びアルゴンガスの比率を一定に保持する(S69)。次いで、制御部402は、圧力センサ190によって測定された熱処理室112内の内部圧力情報に基づいて半導体ウエハ160の熱処理工程を実施する(S70)。本熱処理工程は、550〜570度の熱処理が90秒間行われる。次いで、本熱処理工程の終了後、可動式石英ガラス板122は、半導体ウエハ160から離れた距離に移動される。(S71)。その後、半導体ウエハ160は、支持椀150に搭載されて熱処理室112内から搬出される(S72)。その後、半導体ウエハ160は、不図示の冷却板の上に搭載され、約350℃になるまで約5分間の間自然冷却される(S73)。その後、熱処理工程において、各製造ロットの半導体ウエハ160の熱処理が終了するまで、本熱処理工程は実施される(S74)。
【0080】
第4実施例の半導体装置の製造方法及び熱処理装置によれば、熱処理工程の後の冷却工程の際、強化ガラス板からの放射熱の影響による強誘電体膜の特性変動を抑えるための強化ガラス板を半導体ウエハから離間する工程を有する。そのため、熱処理工程後の半導体ウエハにおける冷却時の温度プロファイルを正確に制御することができる。
(第5実施例)
以下、本発明の第5実施例に係る半導体装置の製造方法及び熱処理装置について添付の図面を参照して具体的に説明する。第5実施例の半導体装置の製造方法及び熱処理装置によれば、熱処理工程時に可動式強化ガラス板を更に半導体ウエハに接近させることにより、熱処理室内の圧力を上げることができる。そのため、熱処理工程の際に強誘電体膜内に酸素を浸透させることができる。
【0081】
図14は、本実施例に係る熱処理装置5000の全体構成を示す。図14において、熱処理装置5000は装置ハウジング104、制御部403及び照射量設定装置500によって構成されている。なお、第5実施例において、第4実施例で説明した構成と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0082】
装置ハウジング104には、熱処理室113、可動式強化ガラス板123、強化ガラス板131、ハロゲンランプ140、支持腕150、半導体ウエハ160、酸素流入バルブ170、アルゴン流入バルブ180、圧力センサ190、排気バルブ200、酸素流量バルブ210、アルゴン流量バルブ220、酸素導入パイプ231、アルゴン導入パイプ241、排気パイプ250、酸素ガス加圧部260及びアルゴンガス加圧部270が設けられている。
【0083】
なお、可動式強化ガラス板123は、熱処理室113内を上下に移動するように形成されている。可動式強化ガラス板123は、第4実施例に開示された可動式強化ガラス板122と比較して、半導体ウエハ160との間隔が約20mmまで近接する距離まで移動可能である。熱処理工程時に可動式強化ガラス板123を更に半導体ウエハ160に接近させることにより、熱処理室113内の圧力を上げることができる。そのため、熱処理工程の際に強誘電体膜内に酸素を浸透させることができる。
【0084】
制御部403は、圧力センサ190からの熱処理室113内の圧力検出情報に基づいて、酸素ゲートバルブ170、アルゴンゲートバルブ180、排気ゲートバルブ200、酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220の開放及び遮断、そしてゲートパルス回路730の駆動を制御する。更に、制御部403は、酸素ガス加圧部260及びアルゴンガス加圧部270を制御する。更に、制御部403は、不図示の駆動部を用いて可動式強化ガラス板123を上下に移動させる。
【0085】
図18は、本実施例に係る熱処理装置5000における半導体装置10の熱処理工程を示すフローチャートである。制御部403は、酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180を閉める(S81)。次いで、半導体ウエハ160は、熱処理装置5000まで搬送される(S82)。半導体ウエハ160は、支持椀150に搭載されて熱処理室113内に導入される(S83)。次いで、制御部403は、排気バルブ200を開いて熱処理室113内を真空引きする(S84)。真空引きは、熱処理室113内の内部圧力が1.0×10−1(Pa)になるまで行われる。この真空引きの工程において、熱処理室113内の内部圧力は、圧力センサ190によって測定される。この真空引きは、熱処理室113内のガスを除去するために行うものである。次いで、制御部403は排気ゲートバルブ200を閉じ、熱処理室113内を真空状態に保持する(S85)。次いで、制御部403は酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180を開く(S86)。次いで、制御部403は酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220を開き、酸素導入パイプ231及びアルゴン導入パイプ241から熱処理室113内に酸素ガス及びアルゴンガスを導入する(S87)。この工程の際、酸素ガスの流量は0.055(リットル/min)であり、アルゴンガスの流量は1.95(リットル/min)である。熱処理室113内の酸素ガスとアルゴンガスの比率は、例えば1:30から1:40であることが望ましい。次いで、制御部403は、熱処理室113内の内部圧力が2気圧になるまで、熱処理室113内に酸素ガスとアルゴンガスを加圧導入する(S88)。この際、酸素ガスの加圧は酸素ガス加圧部260により行う。アルゴンガスの加圧はアルゴンガス加圧部270により行う。次いで、制御部403は、酸素ゲートバルブ170、アルゴンゲートバルブ180、酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220を閉じ、熱処理室113内の酸素ガス及びアルゴンガスの比率を一定に保持する(S89)。次いで、可動式耐熱ガラス板123を半導体ウエハ160に近づける(S90)。この工程によって、熱処理室113の容積は小さくなり、熱処理室113内の内圧は増加する。その結果、半導体ウエハ160に印加される酸素ガス及びアルゴンガスの内圧は増加する。次いで、制御部403は、圧力センサ190によって測定された熱処理室113内の内部圧力情報に基づいて半導体ウエハ160の熱処理工程を実施する(S91)。本熱処理工程は、550〜570度の熱処理が90秒間行われる。本熱処理工程の終了後、可動式石英ガラス板123は、半導体ウエハ160から離れた距離に移動する(S92)。次いで、半導体ウエハ160は、支持椀150に搭載されて熱処理室113内から搬出される(S93)。その後、半導体ウエハ160は、不図示の冷却板の上に搭載され、約350℃になるまで約5分間の間自然冷却される(S94)。その後、熱処理工程において、各製造ロットの半導体ウエハ160の熱処理が終了するまで、本熱処理工程は実施される(S95)。
【0086】
第5実施例の半導体装置の製造方法及び熱処理装置によれば、熱処理工程時に可動式強化ガラス板を更に半導体ウエハに接近させることにより、熱処理室内の圧力を上げることができる。そのため、熱処理工程の際に強誘電体膜内に酸素を浸透させることができる。そのため、半導体装置における強誘電体膜は、強誘電体膜の均一な配向率を得ることができる。
(第6実施例)
以下、本発明の第6実施例に係る半導体装置の製造方法及び熱処理装置について添付の図面を参照して具体的に説明する。第6実施例の半導体装置の製造方法及び熱処理装置によれば、ファンによって熱処理室内におけるアルゴンガス及び酸素ガスを循環させ、熱処理室内におけるアルゴン濃度分布及び酸素濃度分布が略均一になるように制御する。そのため、安定した雰囲気下で半導体装置における強誘電体膜の熱処理工程を実施することができる。
【0087】
図16は、本実施例に係る熱処理装置6000の全体構成を示す。図16において、熱処理装置6000は、装置ハウジング105、制御部404及び照射量設定装置500によって構成されている。なお、第6実施例において、第5実施例で説明した構成と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0088】
装置ハウジング105には、熱処理室114、可動式強化ガラス板123、石英ガラス板131、ハロゲンランプ140、支持腕150、半導体ウエハ160、酸素流入バルブ170、アルゴン流入バルブ180、圧力センサ190、排気バルブ200、酸素流量バルブ210、アルゴン流量バルブ220、酸素導入パイプ231、アルゴン導入パイプ241、排気パイプ250、酸素ガス加圧部260、アルゴンガス加圧部270、ファン280及びファン290が設けられている。
【0089】
ファン280及びファン290は、熱処理室114に面して配置されており、熱処理室114外に配置されている不図示のモータによって駆動回転される。ファン280及びファン290は、熱処理工程前及び熱処理工程中に、熱処理室114中の雰囲気を循環させ、熱処理室114中の酸素ガス及びアルゴンガスの分布を一定とするために設置される。
【0090】
制御部404は、圧力センサ190からの熱処理室114内の圧力検出情報に基づいて、酸素ゲートバルブ170、アルゴンゲートバルブ180、排気ゲートバルブ200、酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220の開放及び遮断、そしてゲートパルス回路730の駆動を制御する。更に、制御部402は、酸素ガス加圧部260及びアルゴンガス加圧部270を制御する。更に、制御部404は、不図示の駆動部を用いて可動式強化ガラス板122を上下に移動させる。更に、制御部404は、熱処理室114内の圧力検出情報に基づいて、圧力センサ190からの不図示のモータを用いてファン280及びファン290を回転させる。
【0091】
図17は、本実施例に係る熱処理装置6000における半導体装置10の熱処理工程を示すフローチャートである。制御部404は、酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180を閉める(S101)。次いで、半導体ウエハ160は、熱処理装置6000まで搬送される(S102)。半導体ウエハ160は、支持椀150に搭載されて熱処理室114内に導入される(S103)。次いで、制御部404は、排気バルブ200を開いて熱処理室114内を真空引きする(S104)。真空引きは、熱処理室114内の内部圧力が1.0×10−1(Pa)になるまで行う。この真空引きの工程において、熱処理室114内の内部圧力は、圧力センサ190によって測定される。この真空引きは、熱処理室114内部のガスを除去するために行うものである。次いで、制御部404は排気ゲートバルブ200を閉じ、熱処理室114内を真空状態に保持する(S105)。次いで、制御部404は酸素ゲートバルブ170及びアルゴンゲートバルブ180を開く(S106)。次いで、制御部404は酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220を開き、酸素導入パイプ231及びアルゴン導入パイプ241から熱処理室114内に酸素ガス及びアルゴンガスを導入する(S107)。この工程の際、酸素ガスの流量は0.055(リットル/min)であり、アルゴンガスの流量は1.95(リットル/min)である。熱処理室114内の酸素ガスとアルゴンガスの比率は、例えば1:30から1:40であることが望ましい。次いで、制御部404は、熱処理室114内の内部圧力が2気圧になるまで、熱処理室114内に酸素ガスとアルゴンガスを加圧導入する(S108)。この際、酸素ガスの加圧は酸素ガス加圧部260により行う。アルゴンガスの加圧はアルゴンガス加圧部270により行う。次いで、制御部404は、酸素ゲートバルブ170、アルゴンゲートバルブ180、酸素流量バルブ210及びアルゴン流量バルブ220を閉じ、熱処理室114内の酸素ガス及びアルゴンガスの比率を一定に保持する(S109)。次いで、可動式耐熱ガラス板123を半導体ウエハ160に近づける(S110)。次いで、制御部404は、ファン280及びファン290を回転させて、熱処理室114内の酸素ガス及びアルゴンガスの雰囲気を循環させ、熱処理室114中の酸素ガス及びアルゴンガスの分布を略一定とする。次いで、制御部404は、圧力センサ190によって測定された熱処理室114内の内部圧力情報に基づいて半導体ウエハ160の熱処理工程を実施する(S111)。本熱処理工程は、550〜570度の熱処理が90秒間行われる。本熱処理工程の終了後、制御部404は、ファン280及び290の回転を停止させる(S112)。その後、可動式石英ガラス板123は、半導体ウエハ160から離れた距離に移動する(S113)。次いで、半導体ウエハ160は、支持椀150に搭載されて熱処理室114内から搬出される(S114)。その後、半導体ウエハ160は、不図示の冷却板の上に搭載され、約350℃になるまで約5分間の間自然冷却される(S115)。その後、熱処理工程において、各製造ロットの半導体ウエハ160の熱処理が終了するまで、本熱処理工程は実施される(S116)。
【0092】
第6実施例の半導体装置の製造方法及び熱処理装置によれば、ファンによって熱処理室内におけるアルゴンガス及び酸素ガスを循環させ、熱処理室内におけるアルゴン濃度分布及び酸素濃度分布が略均一になるように制御される。そのため、安定した雰囲気下で半導体装置における強誘電体膜の熱処理工程を実施することができる。
(付記1)
トランジスタが形成されている基板の上方に下部電極、強誘電体膜を順次積層する工程と、
前記強誘電体膜を密閉且つ真空雰囲気にさらす工程と、
前記密閉された強誘電体膜を熱処理する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。(1、図1)
(付記2)
前記強誘電体膜を熱処理する工程は、酸素の容積比率が管理された状態で行われることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。(2、図1)
(付記3)
前記熱処理する工程は、酸素及びアルゴンの容量比率が1:30から1:40となる雰囲気を有する密閉室内で、前記強誘電体が結晶化する温度で前記基板の熱処理処理を行う工程と、
前記強誘電体膜の上に上部電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする付記1又は付記2に記載の半導体装置の製造方法。(3、図1)
(付記4)
前記熱処理工程は、前記酸素及び前記アルゴンからなる混合気体の全圧が1気圧以上の圧力下で行われることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。(4、図1、図10、図12、図15、図17)
(付記5)
前記強誘電体膜は、チタン酸ジルコン酸鉛からなることを特徴とする付記8乃至付記11の何れかに記載の半導体装置の製造方法。(図1)
(付記6)
前記強誘電体膜は、PVD法又はゾルゲル法によって形成することを特徴とする付記8乃至付記12の何れかに記載の半導体装置の製造方法。(図1)
(付記7)
前記強誘電体膜は、50nmから300nmの膜厚によって形成することを特徴とする付記8乃至付記13の何れかにに記載の半導体装置の製造方法。(図1)
(付記8)
部材が挿入でき、且つ減圧可能である熱処理室と、
前記熱処理室に設けられた、前記熱処理室内への気体導入及び気体排気が可能である開口と、
前記熱処理室内における気体の圧力を検出し、前記圧力に関する検出情報を出力する検出部と、
前記熱処置室内の部材を加熱する加熱部と、
前記開口による前記熱処理室内の前記気体排気を可能にする制御と、前記熱処理室内の密閉、前記開口による前記熱処理室内の前記気体導入、及び前記加熱部による前記部材の加熱を前記検出情報に基づいて行う制御と、を行う制御部と、
を有することを特徴とする熱処理装置。(5、図3、図8、図10、図12、図15、図17)
(付記9)
前記熱処理室内への気体導入及び気体排気が可能となるように前記開口に接続された、前記熱処理室への気体導入を行う複数の導入パイプと、
前記熱処理室内への気体導入及び気体排気が可能となるように前記開口に接続された、前記熱処理室からの気体排気を行う排気パイプと、
気体の流量の制御を行う前記導入パイプに設けられた流量バルブと、
前記導入パイプの開放及び遮断を行う、前記流量バルブと前記熱処理室との間に設けられた導入ゲートバルブと、
前記排出パイプの開放及び遮断を行う、前記排気パイプに設けられた排気ゲートバルブと、
を更に有することを特徴とする付記8記載の熱処理装置。(6、図3、図8、図10、図12、図15、図17)
(付記10)
前記検出部は、圧力センサであることを特徴とする付記8又は付記9に記載の熱処理装置。(7、図3、図8、図10、図12、図15、図17)
(付記11)
前記熱処理室の内壁の一部は、強化ガラス板によって形成されていることを特徴とする付記8乃至付記10の何れかに記載の熱処理装置。(8、図12、図15、図17)
(付記12)
前記導入パイプに備えられ、前記熱処理室に前記気体を加圧して導入する加圧部を備えることを特徴とする付記8乃至付記11の何れかに記載の熱処理装置。(9、図10、図12、図15、図17)
(付記13)
前記石英ガラス板の一部は、前記検出部からの圧力情報に基づいて可動することを特徴とする付記8乃至付記12の何れかに記載の熱処理装置。(10、図10、図12、図15、図17)
(付記14)
前記熱処理室には、前記検出部からの圧力情報に基づいて雰囲気を循環させるために作動するファンが設けられていることを特徴とする付記8乃至付記13の何れかに記載の熱処理装置。(図17)
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1Aは、本発明に係るMISトランジスタの平面図である。図1Bは、本発明に係るMISトランジスタの断面図である。
【図2】図2は、本発明に係るMISトランジスタの製造工程を示す図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施例に係る熱処理装置の構成図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施例に係る半導体装置の熱処理工程を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の第1実施例に係る半導体ウエハの温度プロファイルを示す図である。
【図6】図6Aは、従来技術に係る半導体装置のPZT配向率分布を示す図である。図6Bは、本発明の第1実施例に係る半導体装置のPZT配向率分布を示す図である。
【図7】図7は、従来技術及び第1実施例に係る半導体装置のRETENSION(データ保持機能)不良率を示す図である。
【図8】図8は、本発明の第2実施例に係る熱処理装置の構成図である。
【図9】図9は、本発明の第2実施例に係る半導体装置の熱処理工程を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の第3実施例に係る熱処理装置の構成図である。
【図11】図11は、本発明の第3実施例に係る半導体装置の熱処理工程を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の第4実施例に係る熱処理装置の構成図である。
【図13】図13は、本発明の第4実施例に係る半導体装置の熱処理工程を示すフローチャートである。
【図14】図14は、本発明の第5実施例に係る熱処理装置の構成図である。
【図15】図15は、本発明の第5実施例に係る半導体装置の熱処理工程を示すフローチャートである。
【図16】図16は、本発明の第6実施例に係る熱処理装置の構成図である。
【図17】図17は、本発明の第6実施例に係る半導体装置の熱処理工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
10 半導体装置
11 半導体基板
12 素子分離領域
13 ウェル
14 MISトランジスタ
15 低濃度拡散層
16 高濃度拡散層
17 ゲート絶縁膜
18 ゲート電極
19 シリサイド層
20 サイドウォール
21 シリコン酸窒化膜
22 シリコン酸化膜
23 密着膜
24 Wプラグ
25a AlO膜
25b Pt膜
26 PZT膜
27 IrO
28 AlO膜
29 層間絶縁膜
30 密着膜
31 Wプラグ
1000、2000、3000、4000、5000、6000 熱処理装置
101、102、103、104、105 装置ハウジング
110、111、112、113、114 熱処理室
120、130 石英ガラス板
121、131 強化ガラス板
122、123 可動式強化ガラス板
140 ハロゲンランプ
150 支持腕
160 半導体ウエハ
170 酸素ゲートバルブ
180 アルゴンゲートバルブ
190 圧力センサ
200 排気ゲートバルブ
210 酸素流量バルブ
220 アルゴン流量バルブ
230、231 酸素導入パイプ
240、241 アルゴン導入パイプ
250 排気パイプ
260 酸素ガス加圧部
270 アルゴンガス加圧部
280、290 ファン
400、401、402、403、404 制御部
500 照射量設定装置
600 通電回路
610 電源ユニット
620 検出回路
700 通電制御回路
710 変換回路
720 増幅回路
730 ゲートパルス回路
800 温度調節計
900 放射温度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタが形成されている基板の上方に下部電極、強誘電体膜を順次積層する工程と、
前記強誘電体膜を密閉且つ真空雰囲気にさらす工程と、
前記密閉された強誘電体膜を熱処理する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記強誘電体膜を熱処理する工程は、酸素の容積比率が管理された状態で行われることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記熱処理する工程は、酸素及びアルゴンの容量比率が1:30から1:40となる雰囲気を有する密閉室内で、前記強誘電体が結晶化する温度で前記基板の熱処理処理を行う工程と、
前記強誘電体膜の上に上部電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記熱処理工程は、前記酸素及び前記アルゴンからなる混合気体の全圧が1気圧以上の圧力下で行われることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
部材が挿入でき、且つ減圧可能である熱処理室と、
前記熱処理室に設けられた、前記熱処理室内への気体導入及び気体排気が可能である開口と、
前記熱処理室内における気体の圧力を検出し、前記圧力に関する検出情報を出力する検出部と、
前記熱処置室内の部材を加熱する加熱部と、
前記開口による前記熱処理室内の前記気体排気を可能にする制御と、前記熱処理室内の密閉、前記開口による前記熱処理室内の前記気体導入、及び前記加熱部による前記部材の加熱を前記検出情報に基づいて行う制御と、を行う制御部と、
を有することを特徴とする熱処理装置。
【請求項6】
前記熱処理室内への気体導入及び気体排気が可能となるように前記開口に接続された、前記熱処理室への気体導入を行う導入パイプと、
前記熱処理室内への気体導入及び気体排気が可能となるように前記開口に接続された、前記熱処理室からの気体排気を行う排気パイプと、
気体の流量の制御を行う前記導入パイプに設けられた流量バルブと、
前記導入パイプの開放及び遮断を行う、前記流量バルブと前記熱処理室との間に設けられた導入ゲートバルブと、
前記排出パイプの開放及び遮断を行う、前記排気パイプに設けられた排気ゲートバルブと、
を更に有することを特徴とする請求項5記載の熱処理装置。
【請求項7】
前記検出部は、圧力センサであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の熱処理装置。
【請求項8】
前記熱処理室の内壁の一部は、強化ガラス板によって形成されていることを特徴とする請求項5乃至請求項7の何れかに記載の熱処理装置。
【請求項9】
前記導入パイプに備えられ、前記熱処理室に前記気体を加圧して導入する加圧部を備えることを特徴とする請求項5乃至請求項8の何れかに記載の熱処理装置。
【請求項10】
前記石英ガラス板の一部は、前記検出部からの圧力情報に基づいて可動することを特徴とする請求項5乃至請求項9の何れかに記載の熱処理装置。

【図2】
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【図4】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図15】
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【図17】
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【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図14】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−170522(P2009−170522A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4602(P2008−4602)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】