説明

半導体装置

【課題】製造バラツキに関わらず、切断箇所を制御できる構成の電気ヒューズを得る。
【解決手段】半導体装置200は、基板(不図示)上に形成された上層ヒューズ配線112、下層ヒューズ配線122、および上層ヒューズ配線112の一端と接続され、上層ヒューズ配線112と下層ヒューズ配線122とを接続するビア130から構成される電気ヒューズ100を含む。上層ヒューズ配線112には、一端側で配線幅が狭くなった幅変動領域118が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ヒューズを含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クラックアシスト型と呼ばれる、新たな電気ヒューズの切断方法が提案されている。この方法では、電気ヒューズの構成や電気ヒューズへの電圧印加方法等を制御することにより、電気ヒューズ切断時に、電気ヒューズの一部で電気ヒューズを構成する導電体を強制的に外方、すなわち導電体の周囲の絶縁膜中に流出させ、材料の移動・供給のバランスを崩すことにより、他の部分に大きな切断箇所を形成する。これにより、切断された電気ヒューズが再接続される可能性を大幅に低減することができ、切断状態を良好に保つことができる(たとえば特許文献1(特開2007−305693号公報))。
【0003】
図7は、特許文献1に記載されたのと同様の電気ヒューズ10を含む半導体装置50の構成を示す平面図である。電気ヒューズ10は、端子14および端子24と、端子14に接続された上層ヒューズ配線12と、端子24に接続された下層ヒューズ配線22と、上層ヒューズ配線12と下層ヒューズ配線22とを接続するビア30とを含む。
【0004】
図8は、図7のB−B’断面図である。半導体装置50は、基板(不図示)上に層間絶縁膜202、エッチング阻止膜204、層間絶縁膜206、および層間絶縁膜210がこの順で積層された構成を含む。端子24、および下層ヒューズ配線22は層間絶縁膜202に設けられ、ビア30、上層ヒューズ配線12、および端子14は層間絶縁膜206に設けられている。
【0005】
このような構成の電気ヒューズ10において、端子14と端子24との間に電圧を印加すると、下層ヒューズ配線22から上層ヒューズ配線12の方向に電流が流れる(図8(a))。これにより、ビア30および上層ヒューズ配線12が加熱されてくる。また、ビア30および上層ヒューズ配線12を構成する銅等の導電体が膨張し、ビア30では、もとのビア径よりも膨れてくる(図8(b))。この後、上層ヒューズ配線12の膨張がある程度まで進行すると、上層ヒューズ配線12周囲の層間絶縁膜206にクラックが生じ、導電体が流出して流出部70が形成される(図8(c))。正常な電気ヒューズ10の切断が行われる場合、この導電体の流出に伴い、ビア30の導電体も移動してビアに切断箇所が形成される。
【0006】
特許文献2(特開2006−13338号公報)には、回路を遮断する部分である第1の領域と、第1の領域の両端に接し、第1の領域よりもパターン幅の広い第2の領域および第3の領域とからなるヒューズ素子が記載されている。当該ヒューズ素子のうち第2の領域、第1の領域および第3の領域のうちの一部は厚膜絶縁膜の上に設けられているのに対し、第3の領域のうちの他部は薄膜絶縁膜の上に設けられている。ヒューズ素子で発生した熱は、厚膜絶縁膜を介して半導体基板へ放熱しにくいのに対し薄膜絶縁膜を介して放熱しやすいため、ヒューズ素子内の温度変化および温度勾配が大きくなるため、第1の領域が電気的に切断されやすくなるとされている。
【0007】
特許文献3(特開平7−122646号公報)には、半導体基板主面に、一対の矩形状のコンタクト部間をテーパ部を介して直線部で連結したヒューズ層を設け、ヒューズ層の上に絶縁層を設け、絶縁層の上に接続孔を介してヒューズ層と接続された電源配線を設けた半導体集積回路装置が記載されている。
【0008】
特許文献2および特許文献3に記載の技術では、いずれも、幅が狭い部分で切断されやすくなるようにしている。
【特許文献1】特開2007−305693号公報
【特許文献2】特開2006−13338号公報
【特許文献3】特開平7−122646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、本発明者は、特許文献1に記載されたような構成の電気ヒューズをクラックアシスト型で切断する際に以下に述べる課題があることを見出した。
【0010】
図9は、図7および図8に示した電気ヒューズ10の上層ヒューズ配線12、ビア30、および下層ヒューズ配線22を示す断面図である。このような構成の電気ヒューズ10において、端子14と端子24との間に電圧を印加する際、面積の大きい端子14および端子24はヒートシンクとして機能する。そのため、電気ヒューズ10の切断時に電気ヒューズ10が最も高温となる箇所は、端子14や端子24からの距離に依存する。また、電気ヒューズ10を構成する際に流出部70が形成される箇所は、各構成要素の面積等に依存する。ここで、上層ヒューズ配線12に流出部70が形成されるとともに、ビア30に切断箇所が形成されるようにするために、上層ヒューズ配線12や下層ヒューズ配線22の幅や長さをそれぞれ適切に制御して、上層ヒューズ配線12のビア30との切断箇所近くが最も高温となるように設定しておくことができる(図9(a))。しかし、半導体装置50の製造時に、たとえば膜生成または研磨バラツキ等の製造バラツキにより、たとえば図9(b)に示すように、上層ヒューズ配線12の膜厚が予め設定された図9(a)のd1からd2(d1>d1)に薄くなることがある。このような場合、上層ヒューズ配線12の抵抗が変化し、切断時に最も高温となる箇所が、ビア30から離れた上層ヒューズ配線12の中心部にずれてしまう。
【0011】
このように切断時に最も高温となる箇所がビア30から離れて中心に近づきすぎると、ビア30が充分に加熱されないために、ビア30が切断されない切断不良が生じてしまう。図10を参照して説明する。図10は、図7のB−B’断面図であり、電気ヒューズ10切断時の図8の続きを示す図である。ビア30を構成する導電体が充分加熱されず、移動可能になるほど溶融する前に上層ヒューズ配線12で流出が生じると、上層ヒューズ配線12中にボイドが形成され、上層ヒューズ配線12に切断箇所72が形成される(図10(a))。この場合、ビア30での導電体の移動が起こらない。この後、導電体は、室温になるまで熱収縮を続け、ビア30上部および上層ヒューズ配線12中に切断箇所72を残して固まる(図10(b))。しかし、このように上層ヒューズ配線12に切断箇所72が形成された構成では、この後の半導体装置50の組立工程等の熱履歴や高温での実使用時に、導電体が凝集する等して変形した際に、再接続するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、
基板と、
前記基板上に形成された第1のヒューズ配線、前記基板上の前記第1のヒューズ配線とは異なる層に形成された第2のヒューズ配線、および前記第1のヒューズ配線の一端と接続され、当該第1のヒューズ配線と前記第2のヒューズ配線とを接続するビア、
から構成される電気ヒューズと、
を含み、
前記第1のヒューズ配線には、前記一端側で配線幅が狭くなった幅変動領域が設けられた半導体装置が提供される。
【0013】
図11は、端子2および端子4と、これらの間にヒューズ配線6を設けただけの構成の電気ヒューズを示す。このような電気ヒューズで、端子2と端子4との間に電圧を印加する際、面積の大きい端子2および端子4はヒートシンクとして機能する。そのため、ヒューズ配線6は、一様に発熱するが、ヒートシンクから最も遠いヒューズ配線6の中心部が最も温度が高くなり、ここで溶融して切断される(図11(a))。一方、ヒューズ配線6中に、他の部分よりも抵抗の高い高抵抗箇所8を設けると、高抵抗箇所8の発熱が多くなり、最も高温となる箇所は、中心部から高抵抗箇所8の方向にずれる(図11(b))。本発明においても、幅変動領域を設けることにより、抵抗が高くなる箇所がビア近傍となるように制御して、最も高温となる箇所の位置を制御するようにした。
【0014】
この構成によれば、第1のヒューズ配線とビアとを繋ぐ部分の抵抗が高くなるようなレイアウトとなっている。そのため、電気ヒューズに電流を流した際に、この箇所で高温となるように制御することができる。これにより、製造バラツキにより、第1のヒューズ配線の膜厚が変動する等した場合でも、製造バラツキの影響を低減してし、ビアに切断箇所が安定的に形成されるようにすることができる。
【0015】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、製造バラツキに関わらず、切断箇所を制御できる構成の電気ヒューズを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0018】
図1は、本実施の形態における半導体装置の構成の一例を示す平面図である。図2および図3は、図1のA−A’断面図である。
半導体装置200は、シリコン基板等の半導体基板である基板(不図示)と、基板上に形成された電気ヒューズ100とを含む。電気ヒューズ100は、上層ヒューズ配線112(第1のヒューズ配線)、上層ヒューズ配線112とは異なる層に設けられた下層ヒューズ配線122(第2のヒューズ配線)、上層ヒューズ配線112の一端および下層ヒューズ配線122の一端と接続されたビア130から構成される。半導体装置200は、さらに、基板上の少なくとも上層ヒューズ配線112と同層に設けられ、上層ヒューズ配線112の他端と接続された上層端子114と、少なくとも下層ヒューズ配線122と同層に設けられ、下層ヒューズ配線122の他端と接続された下層端子124とを含む。
【0019】
本実施の形態において、電気ヒューズ100は、クラックアシスト型で切断され、切断時に電気ヒューズ100を構成する導電体が上層ヒューズ配線112から外方に流出してなる流出部が形成されて切断される構成とすることができる。本実施の形態において、ビア130に切断箇所が形成される構成とすることができる。
【0020】
クラックアシスト型で切断される電気ヒューズ100では、電流によって発生するジュール熱が切断を支配する。そのため、切断したい箇所以外での好ましくない配線の断線を防ぐために、切断したい箇所以外の上層端子114や下層端子124は、大電流を流しても発熱しないような構成とする必要がある。上層端子114および下層端子124は、たとえば、電気ヒューズに電圧を印加するための共通配線やパッド配線等とすることができる。また、上層端子114および下層端子124は、共通配線やパッド配線等に接続された引出配線とすることもできる。いずれにしても、上層端子114および下層端子124は、電気ヒューズ100の電流の流れる方向と直交する方向の幅(以下、単に配線幅という。)が上層ヒューズ配線112や下層ヒューズ配線122の最も広い箇所以上となる構成とすることができる。また、上層端子114および下層端子124は、電気ヒューズ100の切断時に切断箇所の位置等に影響を与えない構成とすることができる。
【0021】
本実施の形態の電気ヒューズ100において、上層端子114と下層端子124との間に所定の電圧を印加した際にどの箇所が最も高温となり、流出部が形成されるかは、上層ヒューズ配線112および下層ヒューズ配線122の構成を制御することにより設定することができる。たとえば、配線幅の広い上層端子114や下層端子124は、電気ヒューズ100を切断するために必要な熱を放熱するヒートシンクの働きをしてしまう。そのため、上層端子114や下層端子124からの距離が遠いほど温度を高くすることができる。また、電気ヒューズ100の切断時に流出部が形成される箇所は、各構成要素の面積等に依存する。本実施の形態において、上層ヒューズ配線112に流出部が形成されるとともに、ビア130に切断箇所が形成されるようにするために、上層ヒューズ配線112は、下層ヒューズ配線122よりも体積が大きくなるように設けられる。また、上層端子114からの距離を長くするために、上層ヒューズ配線112の方が、下層ヒューズ配線122よりも長くなるようにすることができる。これにより、上層ヒューズ配線112が、下層ヒューズ配線122に比べてより高温になるとともに膨張して上層ヒューズ配線112で導電体の流出が生じるように制御することができる。
【0022】
さらに、本実施の形態において、上層ヒューズ配線112には、ビア130と接続された一端側で配線幅が狭くなった幅変動領域118が設けられている。本実施の形態において、幅変動領域118は、ビア130との接続箇所近傍で配線幅が狭くなった構成とすることができる。また、幅変動領域118は、電気ヒューズ100に電圧が印加された時に上層ヒューズ配線112のビア130との接続箇所近傍が高温となるように設けられた構成とすることができる。図1に示した例では、上層ヒューズ配線112は、ビア130に接続された細幅部112aと上層端子114に接続された太幅部112bとにより構成されている。細幅部112aは、上層ヒューズ配線112中で最も配線幅が狭くなるようにすることができる。ここで、ビア130との接続箇所近傍とは、上層ヒューズ配線112全体の長さに対して、その中心部よりもビア130側とすることができる。そのため、細幅部112aは、上層ヒューズ配線112全体の長さに対して、その中心部よりもビア130側に設けることができる。さらに、ビア130との接続箇所近傍とは、上層ヒューズ配線112、ビア130、および下層ヒューズ配線122で構成される電気ヒューズ100全体の長さに対して、その中心部よりもビア130側とすることができる。そのため、細幅部112aは、上層ヒューズ配線112、ビア130、および下層ヒューズ配線122で構成される電気ヒューズ100全体の長さに対して、その中心部よりもビア130側に設けることができる。
【0023】
このような幅変動領域118を設けることにより、製造バラツキ等により上層ヒューズ配線112の膜厚が変化するような場合でも、上層ヒューズ配線112において、常に細幅部112aで抵抗が高くなるようにすることができ、最も高温となる箇所がビア130の近傍になるように制御することができる。ここで、細幅部112aの配線幅は、たとえば60nm以上90nm以下程度、太幅部112bの配線幅は、たとえば80nm以上150nm以下程度(ただしいずれの場合も細幅部112aの配線幅<太幅部112bの配線幅)とすることができる。
【0024】
図2に示すように、本実施の形態において、半導体装置200は、基板(不図示)上に層間絶縁膜202、エッチング阻止膜204、層間絶縁膜206、および層間絶縁膜210がこの順で積層した構成を有する。図2(a)は、切断前の状態を示す。
【0025】
なお、ここでは、すべての層を示しているとは限らず、各層の間には、適宜保護膜やエッチング阻止膜が形成された構成とすることができる。また、ビア130が形成された層および上層ヒューズ配線112が形成される層は、異なる層間絶縁膜で形成することもできる。層間絶縁膜は、たとえばSiOC等の低誘電率膜により構成することができる。
【0026】
下層ヒューズ配線122は、層間絶縁膜202中に設けられる。ビア130は、エッチング阻止膜204および層間絶縁膜206中に設けられる。上層ヒューズ配線112は、層間絶縁膜206中に設けられる。また、ビア130と上層ヒューズ配線112とはデュアルダマシンプロセスで形成してもよく、またシングルダマシンプロセスで形成してもよい。
【0027】
上層端子114、上層ヒューズ配線112、ビア130、下層ヒューズ配線122、および下層端子124は、銅含有金属膜140により構成することができる。また、上層端子114、上層ヒューズ配線112、ビア130、下層ヒューズ配線122、および下層端子124をそれぞれ構成する銅含有金属膜140の側面および底面には、バリアメタル膜142が設けられた構成とすることができる。バリアメタル膜142は、高融点金属を含む構成とすることができる。バリアメタル膜142は、たとえば、Ta、TaN、Ti、TiN、W、WN等により構成することができる。
【0028】
つまり、切断前の状態において、下層ヒューズ配線122とビア130との間には、これらを構成する銅含有金属膜140に接してバリアメタル膜142が設けられる。
【0029】
このような構成の電気ヒューズ100において、上層端子114と下層端子124との間に電圧を印加して電気ヒューズ100に適切なパワーを印加する。とくに限定されないが、たとえば、下層端子124に高電圧(Vdd)を印加し、上層端子114を接地することにより、電気ヒューズ100に適切なパワーを印加すると、下層ヒューズ配線122から上層ヒューズ配線112の方向に電流が流れる(図2(a))。これにより、電気ヒューズ100を構成する導電体が加熱されて膨張する。このとき、ヒートシンクとして機能し得る上層端子114や下層端子124からの距離が遠い箇所がより高温になりやすい。また、本実施の形態において、上層ヒューズ配線112には幅変動領域118が設けられているので、配線幅が狭い細幅部112aで高温になりやすい。また、高温になった部分で導電体の体積増加が大きい。このため、幅変動領域118にて周囲の絶縁膜にクラックが生じやすくなり、導電体の流出が起こる。
【0030】
本実施の形態において、上層端子114および下層端子124からの距離が遠いビア130および上層ヒューズ配線112を構成する導電体が膨張し、ビア130では、もとのビア径よりも膨れてくる。また、上層ヒューズ配線112の上部では、層間絶縁膜210を構成するシリコンや炭素等が高温の導電体と接して導電体中に取り込まれる(図2(b))。この後、上層ヒューズ配線112の膨張がある程度まで進行すると、体積の大きい上層ヒューズ配線112周囲の層間絶縁膜206にクラックが生じ、導電体が流出して流出部170が形成される(図2(c))。
【0031】
この後、時間経過とともに導電体が溶融し、抵抗が大きくなるため、熱供給が小さくなり、導電体が固体化し始める(図3(a))。このとき導電体が熱収縮し、表面張力により表面積が小さくなるように移動し、ビア130にボイドが発生し、切断箇所172が形成される(図3(b))。この後、導電体は、室温になるまで熱収縮を続け、ビア130と下層ヒューズ配線122との間に切断箇所172を残して固まる(図3(c))。
【0032】
本実施の形態において、上層ヒューズ配線112と下層ヒューズ配線122とは、ビア130と接続された領域を除いて、平面視で互いに重ならないように形成することができる。これにより、流出部170が形成されたときに、流出部170を介して上層ヒューズ配線112と下層ヒューズ配線122とが接続しないようにすることができる。なお、ビア130との接続を確実にするために、上層ヒューズ配線112および下層ヒューズ配線122は、平面視でビア130のビア径よりも幅広に設けられるとともに、ビア130からひさし状に延在して設けることができる。ここで、「ビア130と接続された領域」は、このような領域も含む。
【0033】
また、本実施の形態において、ビア130と下層ヒューズ配線122との間にバリアメタル膜142が設けられているため、バリアメタル膜142が下層ヒューズ配線122から剥離しやすく、バリアメタル膜142と上層ヒューズ配線112との間に切断箇所172が形成されやすくなる。さらに、切断状態において、ビア130を構成する導電体がバリアメタル膜142とともに移動してバリアメタル膜142と下層ヒューズ配線122との間に切断箇所172が形成される。そのため、この後の組立工程等の熱履歴や高温での実使用時に、バリアメタル膜や銅含有金属膜により構成された導電体が凝集する等して変形して下層ヒューズ配線122との間で再接続が生じるのを防ぐことができる。これにより、半導体装置200の耐熱性を向上することができる。
【0034】
電気ヒューズ100を、以上のようなメカニズムのクラックアシスト型で切断することにより、必然的に切断箇所172が流出部170とは異なる領域に形成される。これによって、電気ヒューズ100の再接続を防ぐことができる。
【0035】
次に、本実施の形態における半導体装置200の効果を説明する。
本実施の形態において、上層ヒューズ配線112に幅変動領域118を設けることにより、上層ヒューズ配線112において、高温となる箇所が幅変動領域118の細幅部112aとなるように制御することができる。これにより、たとえば、図9を参照して説明したように、製造バラツキにより、上層ヒューズ配線112の膜厚が設計値である図4(a)のd1からd2(d1>d1)に薄くなった場合でも、高温となる箇所をある程度制御することができる。これにより、図4(b)に示したように、高温箇所を図9(b)に示したものより、ビア130に近い位置となるようにすることができる。これにより、製造バラツキに関わらず、ビア130で安定して切断できる構成の電気ヒューズを得ることができる。
【0036】
(他の形態)
本実施の形態において、上層ヒューズ配線112の幅変動領域118は、電気ヒューズ100に電圧が印加された時に上層ヒューズ配線112のビア130との接続箇所近傍が高温となるようになっていれば、種々の構成とすることができる。以下に、本実施の形態における上層ヒューズ配線112の構成の他の例を示す。
【0037】
たとえば、図5(a)に示すように、上層ヒューズ配線112は、細幅部112aと太幅部112bとの間に、配線幅がそれぞれ異なる接続部112cおよび接続部112dを設けた構成とすることもできる。ここで、細幅部112a、接続部112c、接続部112d、および太幅部112bは、この順でビア130と上層端子114との間に設けられ、細幅部112a、接続部112c、接続部112d、および太幅部112bの順で配線幅が狭い構成となっている。この構成において、細幅部112aが最も配線幅が狭く形成される。このような構成としても、電気ヒューズ100を切断する際に、上層ヒューズ配線112の中で細幅部112aが最も高温となるようにすることができ、ビア130を高温にして、ビア130に切断箇所172が形成されるようにすることができる。
【0038】
また、たとえば、図5(b)に示すように、上層ヒューズ配線112の太幅部112bは、上層端子114との接続箇所から、細幅部112aとの接続箇所まで、徐々に配線幅が狭くなるように傾斜した構成とすることもできる。このような構成としても、電気ヒューズ100を切断する際に、上層ヒューズ配線112の中で細幅部112aが最も高温となるようにすることができ、ビア130を高温にして、ビア130に切断箇所172が形成されるようにすることができる。
【0039】
さらに、たとえば、図5(b)に示した構成の変形例として、図5(c)に示すように、上層ヒューズ配線112の細幅部112aの配線幅を、下層ヒューズ配線122の配線幅より狭くした構成とすることもできる。この場合も、流出部170が上層ヒューズ配線112に形成されるように、上層ヒューズ配線112全体の体積が下層ヒューズ配線122の体積よりも大きくなるようにする等の構成とすることができる。このような構成としても、電気ヒューズ100を切断する際に、上層ヒューズ配線112の中で細幅部112aが最も高温となるようにすることができ、ビア130を高温にして、ビア130に切断箇所172が形成されるようにすることができる。
【0040】
また、たとえば、図6(a)に示すように、上層ヒューズ配線112は、ビア130の直上に形成された接続部112eの配線幅を細幅部112aよりも広くなるようにしてもよい。このような構成とすることにより、ビア130と下層ヒューズ配線122との接続を良好にするとともに、ビア130との接続箇所近傍に配線幅の狭い細幅部112aを設けることにより、電気ヒューズ100を切断する際に、上層ヒューズ配線112の中で細幅部112aが最も高温となるようにすることができる。これにより、ビア130を高温にして、ビア130に切断箇所172が形成されるようにすることができる。
【0041】
さらに、たとえば、図6(a)に示した構成の変形例として、図6(b)に示すように、上層端子114と太幅部112bとの間に、太幅部112bよりも配線幅の狭い接続部112fを設けた構成とすることもできる。この構成においても、細幅部112aが最も配線幅が狭く形成される。このような構成としても、電気ヒューズ100を切断する際に、上層ヒューズ配線112の中で細幅部112aが最も高温となるようにすることができ、ビア130を高温にして、ビア130に切断箇所172が形成されるようにすることができる。
【0042】
さらに、たとえば、図6(b)に示した構成の変形例として、図6(c)に示すように、上層ヒューズ配線112の細幅部112aの配線幅を、下層ヒューズ配線122の配線幅より狭くした構成とすることもできる。この場合も、流出部170が上層ヒューズ配線112に形成されるように、上層ヒューズ配線112全体の体積が下層ヒューズ配線122の体積よりも大きくなるようにする等の構成とすることができる。このような構成としても、電気ヒューズ100を切断する際に、上層ヒューズ配線112の中で細幅部112aが最も高温となるようにすることができ、ビア130を高温にして、ビア130に切断箇所172が形成されるようにすることができる。
【0043】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の一例を示す平面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】図1のA−A’断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における半導体装置の効果を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態における電気ヒューズの構成の他の例を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態における電気ヒューズの構成の他の例を示す平面図である。
【図7】従来の半導体装置の構成を示す平面図である。
【図8】図7のB−B’断面図である。
【図9】従来の問題点を説明するための図である。
【図10】従来の問題点を説明するための図である。
【図11】本発明のメカニズムを説明するための図である。
【符号の説明】
【0045】
2 端子
4 端子
6 ヒューズ配線
8 高抵抗箇所
10 電気ヒューズ
12 上層ヒューズ配線
14 端子
22 下層ヒューズ配線
24 端子
30 ビア
50 半導体装置
70 流出部
72 切断箇所
100 電気ヒューズ
112 上層ヒューズ配線
112a 細幅部
112b 太幅部
112c 接続部
112d 接続部
112e 接続部
112f 接続部
114 上層端子
118 幅変動領域
122 下層ヒューズ配線
124 下層端子
130 ビア
140 銅含有金属膜
142 バリアメタル膜
170 流出部
172 切断箇所
200 半導体装置
202 層間絶縁膜
204 エッチング阻止膜
206 層間絶縁膜
210 層間絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された第1のヒューズ配線、前記基板上の前記第1のヒューズ配線とは異なる層に形成された第2のヒューズ配線、および前記第1のヒューズ配線の一端と接続され、当該第1のヒューズ配線と前記第2のヒューズ配線とを接続するビア、
から構成される電気ヒューズと、
を含み、
前記第1のヒューズ配線には、前記一端側で配線幅が狭くなった幅変動領域が設けられた半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記電気ヒューズは、切断時に前記電気ヒューズを構成する導電体が前記第1のヒューズ配線から外方に流出してなる流出部が形成されて切断される半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記電気ヒューズは、前記ビアに切断箇所が形成される半導体装置。
【請求項4】
請求項1から3いずれかに記載の半導体装置において、
前記幅変動領域は、前記ビアとの接続箇所近傍で配線幅が狭くなっている半導体装置。
【請求項5】
請求項1から4いずれかに記載の半導体装置において、
前記幅変動領域は、前記第1のヒューズ配線において、最も配線幅の狭い箇所が前記ビアとの接続箇所近傍に設けられた構成である半導体装置。
【請求項6】
請求項1から5いずれかに記載の半導体装置において、
前記幅変動領域は、前記電気ヒューズに電圧が印加された時に前記第1のヒューズ配線の前記ビアとの接続箇所近傍が高温となるように設けられた半導体装置。
【請求項7】
請求項1から6いずれかに記載の半導体装置において、
前記第1のヒューズ配線は、前記第2のヒューズ配線よりも体積が大きく形成された半導体装置。
【請求項8】
請求項1から7いずれかに記載の半導体装置において、
前記第1のヒューズ配線は、前記第2のヒューズ配線よりも長さが長く形成された半導体装置。
【請求項9】
請求項1から8いずれかに記載の半導体装置において、
前記第1のヒューズ配線は、前記第2のヒューズ配線よりも上層に設けられ、前記第1のヒューズ配線、前記第2のヒューズ配線、およびビアは、それぞれ、銅含有金属膜と、当該銅含有金属膜の側面および底面を覆うバリアメタル膜とにより構成され、切断前において、前記第2のヒューズ配線と前記ビアとの間には、当該第2のヒューズ配線および当該ビアを構成する銅含有金属膜に接してバリアメタル膜が設けられている半導体装置。
【請求項10】
請求項1から9いずれかに記載の半導体装置において、
前記第1のヒューズ配線と前記第2のヒューズ配線とは、前記ビアと接続された領域を除いて、平面視で互いに重ならないように形成された半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−98184(P2010−98184A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268997(P2008−268997)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】