説明

半導体装置

【課題】チャネル形成領域の空乏化領域を増やし、電流駆動能力の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】島状の半導体領域308と、前記島状の半導体領域308の側面及び上面を覆って設けられたゲート絶縁膜310と、前記ゲート絶縁膜310を介して前記島状の半導体領域308の前記側面及び前記上面を覆って設けられたゲート電極とを有し、前記島状の半導体領域308の前記側面及び前記上面はチャネル形成領域として機能する半導体装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶構造を有する半導体膜(結晶性半導体膜)を用いて形成される半導体装
置及びその作製方法に係り、特に絶縁表面上に形成された結晶性半導体膜でチャネル形成
領域を形成した電界効果型トランジスタを含む半導体装置及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板上にTFTを形成する技術が大幅に進歩し、アクティブマトリクス型の半導
体表示装置への応用開発が進められている。結晶構造を有する半導体膜を用いて作製され
る薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)は、液晶表示装置に代表される平面型表示装
置(フラットパネルディスプレイ)に応用されている。特に、多結晶半導体膜を用いたT
FTは、従来の非晶質半導体膜を用いたTFTよりも電界効果移動度(モビリティともい
う)が高いので、高速動作が可能である。そのため、従来基板の外に設けられた駆動回路
で行っていた画素の制御を、画素と同一の基板上に形成した駆動回路で行うことが可能で
ある。
【0003】
半導体装置に用いる基板は、コストの面から単結晶シリコン基板よりも、ガラス基板が
有望視されている。ガラス基板は耐熱性に劣り、熱変形しやすい。そのため、ガラス等に
よる絶縁基板上に非晶質半導体膜を形成し、レーザー光の照射(レーザーアニール)によ
り結晶化させる技術が知られている。ガラス基板上にポリシリコンTFTを形成する場合
において、半導体膜の結晶化にレーザーアニールを用いることは、ガラス基板の熱変形を
避けるのに非常に有効である。
【0004】
半導体製造プロセスにおけるレーザーアニールとは、半導体基板又は半導体膜に形成さ
れた損傷層を再結晶化する技術や、絶縁表面上に形成された半導体膜を結晶化させる技術
を指している。また、半導体基板又は半導体膜の平坦化や表面改質に適用される技術も含
んでいる。レーザーアニールに使われるレーザー発振装置は、エキシマレーザーに代表さ
れる気体レーザーまたはYAGレーザーに代表される固体レーザーであり、レーザー光の
照射によって半導体の表面層を数十ナノ〜数十マイクロ秒程度のごく短時間加熱して結晶
化させるものとして知られている。
【0005】
レーザーアニールの特徴は、輻射加熱或いは伝導加熱を利用するアニール法と比較して
処理時間を大幅に短縮できることや、半導体又は半導体膜を選択的、局所的に加熱して、
基板に殆ど熱的損傷を与えないことなどが上げられている。
【0006】
レーザーはその発振方法により、パルス発振と連続発振の2種類に大別される。パルス
発振のレーザーは出力エネルギーが比較的高いため、レーザービームの大きさを数cm2
以上として量産性を上げることができる。特に、レーザービームの形状を光学系を用いて
加工し、長さ10cm以上の線状にすると、基板へのレーザー光の照射を効率的に行うこ
とができ、量産性をさらに高めることができる。そのため、半導体膜の結晶化には、パル
ス発振のレーザーを用いるのが主流となりつつあった。
【0007】
しかし近年では、半導体膜の結晶化においてパルス発振のレーザーよりも連続発振のレ
ーザーを用いる方が、半導体膜内に形成される結晶の粒径が大きくなることが見出された
。半導体膜内の結晶粒径が大きくなると、該半導体膜を用いて形成されるTFTの移動度
が高くなる。そのため、連続発振のレーザーはにわかに脚光を浴び始めている。
【0008】
レーザー光の照射による非晶質半導体膜の結晶化の一例は、下記特許文献1で開示され
ているように、レーザー光の走査速度をビームスポット径×5000/秒以上として高速
走査により非晶質半導体膜を完全な溶融状態に至らしめることなく多結晶化するものや、
下記特許文献2には島状に形成された半導体膜に、引き延ばされたレーザー光を照射して
実質的に単結晶領域を形成する技術が開示されている。或いは下記特許文献3に開示のレ
ーザー照射装置のように光学系にて線状にビームを加工して照射する方法が知られている

【0009】
さらに、下記特許文献4に開示されているようにNd:YVO4レーザーなど固体レー
ザー発振装置を用いて、その第2高調波であるレーザー光を非晶質半導体膜に照射して、
従来に比べ結晶粒径の大きい結晶性半導体膜を形成し、TFTを作製する技術が開示され
ている。
【0010】
なお絶縁表面上に単結晶半導体膜を形成する試みは古くから成され、より積極的な試み
としてグラフォエピタキシー(graphoepitaxy)という技術が考案されている。グラフォ
エピタキシーは石英基板の表面に段差を形成し、この上に非晶質半導体膜又は多結晶半導
体膜を形成してから、レーザービームやヒーターで加熱させ、石英基板上に形成された段
差形状を核として、エピタキシャル的な成長層を形成するという技術である。この技術は
例えば非特許文献1等に開示されている。
【0011】
また、例えば非特許文献2にも、グラフォエピタキシーと呼ばれる半導体膜の結晶化技
術について開示されている。これは人為的に作られた非晶質基板表面のレリーフ格子(su
rface relief grating)の誘導によって半導体膜のエピ成長を試みるものであった。上記
非特許文献2には、グラフォエピタキシーの技術とは、絶縁膜の表面に段差を設け、該絶
縁膜上に形成された半導体膜に加熱又はレーザー光の照射等の処理を施すことで、該半導
体膜の結晶をエピタキシャル成長させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭62−104117号公報(第92頁)
【特許文献2】米国特許4,330,363号明細書(Fig.4)
【特許文献3】特開平8−195357号公報(第3−4頁、第1−5図)
【特許文献4】特開2001−144027号公報(第4頁)
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】J. Vac. Sci. Technol.,"Grapho-epitaxy of silicon on fused silica using surface micropatterns and laser crystallization", 16(6),1979,pp1640-1643.
【非特許文献2】M. W. Geis, et al.,"CRYSTALLINE SILICON ON INSULATORS BY GRAPHOEPITAXY" Technical Digest of International Electron Devices Meeting, 1979, pp.210.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
平坦な表面上に形成された非晶質半導体膜にレーザー光を照射して結晶化させると結晶
は多結晶となり、結晶粒界等の欠陥が任意に形成されて配向の揃った結晶を得ることはで
きなかった。結晶粒内と異なり、粒界には非晶質構造や結晶欠陥などに起因する再結合中
心や捕獲中心などのキャリアトラップが、無数に存在している。このキャリアトラップに
キャリアがトラップされると、粒界のポテンシャルが上昇し、電子又は正孔などのキャリ
アに対して障壁となるため、キャリアの電流輸送特性(移動度)が低下することが知られ
ている。
【0015】
よって、TFTの活性層、特にチャネル形成領域中に粒界が存在すると、TFTの移動
度が著しく低下したり、オン電流が低減したり、また粒界において電流が流れるためにオ
フ電流が増加したりと、TFTの特性に重大な影響を及ぼす。
また同じ特性が得られることを前提に作製された複数のTFTにおいて、活性層中の粒界
の有無によって特性がばらついたりする。
【0016】
半導体膜にレーザー光を照射したときに、得られる結晶粒の位置と大きさがランダムに
なるのは、以下の理由による。レーザー光の照射によって完全溶融した液体半導体膜中に
固相核生成が発生するまでには、ある程度の時間が掛かる。そして時間の経過と共に、完
全溶融領域において無数の結晶核が発生し、該結晶核からそれぞれ結晶が成長する。この
結晶核の発生する位置は無作為であるため、不均一に結晶核が分布する。そして、互いの
結晶粒がぶつかり合ったところで結晶成長が終了するため、結晶粒の位置と大きさは、ラ
ンダムなものとなる。
【0017】
パルス発振と連続発振とに大別されるレーザーアニール法を用いて作製される結晶性半
導体膜は、一般的に複数の結晶粒が集合して形成される。その結晶粒の位置と大きさはラ
ンダムなものであり、結晶粒の位置や大きさを指定して結晶性半導体膜を形成する事は難
しい。そのため前記結晶性半導体膜を島状にパターニングすることで形成された活性層中
には、結晶粒の界面(粒界)が存在することがある。
【0018】
前述の平面型表示装置などは、ガラス基板上に半導体膜を形成してTFTを作り込むも
のであるが、TFTは任意に形成される結晶粒界と無関係に配置せしめられるものであっ
た。つまり、TFTのチャネル形成領域の結晶性を厳密な意味で制御することができず、
任意に介在する結晶粒界や結晶欠陥により特性が低下し、且つ個々の素子特性がばらつく
要因となっていた。
【0019】
TFTの特性に重大な影響を及ぼすチャネル形成領域を、粒界の影響を排除して単一の
結晶粒で形成することが理想的であるが、粒界の存在しない結晶性半導体膜をレーザーア
ニール法で形成するのは殆ど不可能であった。そのためレーザーアニール法を用いて結晶
化された結晶質珪素膜を活性層とするTFTで、単結晶シリコン基板に作製されるMOS
トランジスタの特性と同等なものは、今日まで得られていない。
【0020】
そのため、欠陥や結晶粒界又は結晶亜粒界が少なく、且つ、配向の揃った高品質の結晶
性半導体膜を絶縁表面上に形成するためには、帯域溶融法などとして知られているように
絶縁基板上の半導体膜を高温に加熱して溶融状態としてから再結晶化する方法が主流であ
った。
【0021】
しかし帯域溶融法の1つである公知のグラフォエピタキシー技術を用いて、歪み点が比
較的低いガラス基板上に単結晶半導体膜を形成することは出来なかった。
【0022】
いずれにしても、結晶化によって起こる半導体の体積収縮、下地との熱応力や格子不整
合などによる欠陥、結晶粒界又は亜粒界の存在しない結晶性半導体膜を形成することは出
来なかった。よって、張り合わせSOI(Silicon on Insulator)を省いては、絶縁表面上
に形成され、結晶化又は再結晶化された結晶性半導体膜をもって、単結晶基板に形成され
るMOSトランジスタと同等の品質を得ることはできなかった。
【0023】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、絶縁表面上に、少なくともチャネル長
方向と交差する結晶粒界又は結晶亜粒界が可能な限り存在しない結晶性半導体膜を形成し
、高速で電流駆動能力が高く、且つ複数の素子間においてばらつきの小さい半導体素子又
は半導体素子群により構成される半導体装置を提供することを目的とする。また、TFT
のチャネル形成領域に粒界が形成されるのを防ぎ、粒界によってTFTの移動度が著しく
低下したり、オン電流が低減したり、オフ電流が増加したりするのを防ぐことができる半
導体装置の作製方法及び該作製方法を用いて作製された半導体装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明者らは、凹凸を有する絶縁膜上に半導体膜を形成し、該半導体膜にレーザー光を
照射すると、結晶化された半導体膜の、絶縁膜の凸部上に位置する部分において選択的に
粒界が形成されることを見出した。
【0025】
図47に、凹凸を有する絶縁膜上に形成された200nmの非晶質半導体膜に、連続発
振のレーザー光を走査速度が5cm/secとなるように照射したときの、レーザー光の
走査方向と垂直な方向におけるTEMの断面像を示す。図47(A)において、6001
及び6002は絶縁膜に形成された凸部である。そして結晶化された半導体膜6004は
、凸部6001、6002の上部において粒界6003を有している。
【0026】
図47(B)に、図47(A)に示したTEMの断面像を模式的に図示する。
図47(B)に示すとおり、凸部6001、6002の上部において粒界6003が形成
されている。本発明者らは、これはレーザー光の照射により一次的に半導体膜が溶融する
ことで、絶縁膜の上部に位置していた半導体膜が凹部の底部方向に向かって体積移動し、
そのため凸部の上に位置する半導体膜が薄くなり、応力に耐えられなくて粒界が生じたの
ではないかと考えた。そして、このように結晶化された半導体膜は、凸部の上部において
粒界が選択的に形成される一方、凹部(点線で示す領域)6001、6002に位置する
部分には粒界が形成されにくい。なお凹部は、凸部が形成されていない窪んだ領域を指す

【0027】
そこで本発明者らは、意図的に該半導体膜に応力が集中的にかかる部分を形成すること
で、粒界が形成される位置を選択的に定めることができるのではないかと考えた。本発明
では、基板上に凹凸を設けた絶縁膜を形成し、該絶縁膜上に半導体膜を形成することで、
レーザー光による結晶化の際に、該半導体膜に応力が集中的にかかる部分を選択的に形成
する。具体的には、該半導体膜に凹凸を設ける。そして、該半導体膜に形成された凹凸の
長手方向に沿って、連続発振のレーザー光を照射する。なおこのとき、連続発振のレーザ
ー光を用いるのが最も好ましいが、パルス発振のレーザー光を用いても良い。なおレーザ
ー光の走査方向に対して垂直な方向における凸部の断面は、矩形、三角形または台形であ
っても良い。
【0028】
上記構成により、レーザー光の照射による結晶化の際、半導体膜の凸部上において粒界
が選択的に形成される。そして絶縁膜の凹部上に位置する半導体膜は比較的粒界が形成さ
れにくい、絶縁膜の凹部上に位置する半導体膜は結晶性が優れているが、必ずしも粒界を
含まないわけではない。しかし、たとえ粒界が存在したとしても絶縁膜の凸部上に位置す
る半導体膜に比較すると、その結晶粒は大きく、結晶性が比較的優れたものと言える。よ
って、絶縁膜の形状を設計した段階で、半導体膜の粒界の形成される位置をある程度予測
することができる。つまり本発明では粒界が形成される位置を選択的に定めることができ
るので、活性層、より望ましくはチャネル形成領域に粒界がなるべく含まれないように、
活性層をレイアウトすることが可能になる。
【0029】
本発明では、絶縁膜の凹部上に位置する半導体膜を、TFTの活性層として積極的に用
いることで、TFTのチャネル形成領域に粒界が形成されるのを防ぐことができ、粒界に
よってTFTの移動度が著しく低下したり、オン電流が低減したり、オフ電流が増加した
りするのを防ぐことができる。なお、どこまでを凸部または凹部のエッジ近傍としてパタ
ーニングで除去するかは、設計者が適宜定めることができる。
【0030】
なお、レーザー光のレーザービームのエッジの近傍は、中央付近に比べて一般的にエネ
ルギー密度が低く、半導体膜の結晶性も劣る場合が多い。そのためレーザー光を走査する
際に、後にTFTのチャネル形成領域となる部分と、その軌跡のエッジとが重ならないよ
うにするのが望ましい。
【0031】
そこで本発明では、まず設計の段階で得られた、基板上面から見た絶縁膜または半導体
膜の形状のデータ(パターン情報)を記憶手段に記憶する。そしてそのパターン情報と、
レーザー光のレーザービームの走査方向と垂直な方向における幅とから、少なくともTF
Tのチャネル形成領域となる部分と、レーザー光の軌跡のエッジとが重ならないように、
レーザー光の走査経路を決定する。そして、マーカーを基準として基板の位置を合わせ、
決定された走査経路にしたがってレーザー光を基板上の半導体膜に対して照射する。
【0032】
上記構成により、基板全体にレーザー光を照射するのではなく、少なくとも必要不可欠
な部分にのみレーザー光を走査するようにすることができる。よって、不必要な部分にレ
ーザー光を照射するための時間を省くことができ、よって、レーザー光照射にかかる時間
を短縮化することができ、なおかつ基板の処理速度を向上させることができる。また不必
要な部分にレーザー光を照射し、基板にダメージが与えられるのを防ぐことができる。
【0033】
なお、マーカーは、基板を直接レーザー光等によりエッチングすることで形成しても良
いし、凹凸を有する絶縁膜を形成する際に、同時に絶縁膜の一部にマーカーを形成するよ
うにしても良い。また、実際に形成された絶縁膜または半導体膜の形状をCCD等の撮像
素子を用いて読み取り、データとして第1の記憶手段に記憶し、第2の記憶手段に設計の
段階で得られた絶縁膜または半導体膜のパターン情報を記憶し、第1の記憶手段に記憶さ
れているデータと、第2の記憶手段に記憶されているパターン情報とを照合することで、
基板の位置合わせを行うようにしても良い。
【0034】
絶縁膜の一部にマーカーを形成したり、絶縁膜または半導体膜の形状をマーカーとして
用いることで、マーカー用のマスクを1枚減らすことができ、なおかつ基板にレーザー光
で形成するよりもよりも、正確な位置にマーカーを形成することができ、位置合わせの精
度を向上させることができる。
【0035】
なお、レーザー光のエネルギー密度は、一般的には完全に均一ではなく、レーザービー
ム内の位置によりその高さが変わる。本発明では、最低限チャネル形成領域となる部分、
より好ましくは凹部の平らな面全体または凸部の平らな面全体に、一定のエネルギー密度
のレーザー光を照射することが必要である。よって本発明では、レーザー光の走査により
、均一なエネルギー密度を有する領域が、最低限チャネル形成領域となる部分、より好ま
しくは凹部の平らな面全体または凸部の平らな面全体と完全に重なるような、エネルギー
密度の分布を有するレーザービームを用いることが必要である。上記エネルギー密度の条
件を満たすためには、レーザービームの形状を、矩形または線形等にすることが望ましい
と考えられる。
【0036】
さらにスリットを介し、レーザービームのうちエネルギー密度の低い部分を遮蔽するよ
うにしても良い。スリットを用いることで、比較的均一なエネルギー密度のレーザー光を
凹部の平らな面全体または凸部の平らな面全体に照射することができ、結晶化を均一に行
うことができる。またスリットを設けることで、絶縁膜または半導体膜のパターン情報に
よって部分的にレーザービームの幅を変えることができ、チャネル形成領域、さらにはT
FTの活性層のレイアウトにおける制約を小さくすることができる。なおレーザービーム
の幅とは、走査方向と垂直な方向におけるレーザービームの長さを意味する。
【0037】
また複数のレーザー発振装置から発振されたレーザー光を合成することで得られた1つ
のレーザービームを、レーザー結晶化に用いても良い。上記構成により、各レーザー光の
エネルギー密度の弱い部分を補い合うことができる。
【0038】
また半導体膜を成膜した後、大気に曝さないように(例えば希ガス、窒素、酸素等の特
定されたガス雰囲気または減圧雰囲気にする)レーザー光の照射を行い、半導体膜を結晶
化させても良い。上記構成により、クリーンルーム内における分子レベルでの汚染物質、
例えば空気の清浄度を高めるためのフィルター内に含まれるボロン等が、レーザー光によ
る結晶化の際に半導体膜に混入するのを防ぐことができる。
【0039】
また上記問題点を解決するために本発明は、絶縁表面を有する基板上に開口部が設けら
れた絶縁膜を形成し、絶縁膜上及び開口部にかけて非晶質半導体膜又は結晶粒界が任意に
存在する多結晶構造の半導体膜(非単結晶半導体膜)を形成し、その後絶縁膜の開口部に
溶融した半導体を流し込むように当該半導体膜を溶融して結晶化又は再結晶化させて結晶
性半導体膜を形成する。言い換えると、非単結晶半導体膜を形成し、非単結晶半導体膜を
溶融して結晶化又は再結晶化することにより、その開口部を充填する形態で結晶性半導体
膜を形成する。そして、絶縁膜上に残存する結晶性半導体膜を除去した後、少なくともチ
ャネル形成領域を形成する部位において当該絶縁膜を除去して該結晶性半導体膜の側面部
を露出させ、該結晶性半導体膜の側面部及び上面部に接するゲート絶縁膜とゲート電極を
形成することを特徴とするものである。
【0040】
開口部は絶縁基板の表面を直接エッチング処理して形成しても良いし、酸化珪素、窒化
珪素、又は酸化窒化珪素膜等を用い、それをエッチング処理して開口部を形成しても良い
。開口部はTFTのチャネル形成領域を含む島状の半導体膜の配置に合わせて形成し、少
なくともチャネル形成領域に合致するように形成されていることが望ましい。また、開口
部はチャネル長方向に延在して設けられている。開口部の幅(チャネル形成領域とする場
合におけるチャネル幅方向)が0.01μm以上2μm以下、好ましくは0.1〜1μmで
形成し、その深さは、0.01μm以上3μm以下、好ましくは0.1μm以上2μm以下で
形成する。
【0041】
最初の段階において絶縁膜上及び開口部にかけて形成する半導体膜はプラズマCVD法
、スパッタリング法、減圧CVD法で形成される非晶質半導体膜又は多結晶半導体膜、或
いは、固相成長により形成された多結晶半導体膜などが適用される。尚、本発明でいう非
晶質半導体膜とは、狭義の意味で完全な非晶質構造を有するものだけではなく、微細な結
晶粒子が含まれた状態、又はいわゆる微結晶半導体膜、局所的に結晶構造を含む半導体膜
を含む。代表的には非晶質シリコン膜が適用され、その他に非晶質シリコンゲルマニウム
膜、非晶質シリコンカーバイト膜などを適用することもできる。また、多結晶半導体膜は
、これら非晶質半導体膜を公知の方法で結晶化させたものである。
【0042】
結晶性半導体膜を溶融して結晶化させる手段としては、気体レーザー発振装置、固体レ
ーザー発振装置を光源とするパルス発振又は連続発振レーザー光を適用する。照射するレ
ーザー光は光学系にて線状に集光されたものであり、その強度分布が長手方向において均
一な領域を有し、短手方向に分布を持っていても良く、光源として用いるレーザー発振装
置は、矩形ビーム固体レーザー発振装置が適用され、特に好ましくは、スラブレーザー発
振装置が適用される。或いは、Nd、Tm、Hoをドープしたロッドを用いた固体レーザ
ー発振装置であり、特にYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶にNd、Tm、
Hoをドープした結晶を使った固体レーザー発振装置にスラブ構造増幅器を組み合わせた
ものでも良い。スラブ材料としては、Nd:YAG、Nd:GGG(ガドリニウム・ガリ
ウム・ガーネット)、Nd:GsGG(ガドリニウム・スカンジウム・ガリウム・ガーネ
ット)等の結晶が使用される。スラブレーザーでは、この板状のレーザー媒質の中を、全
反射を繰り返しながらジグザグ光路で進む。
【0043】
また、それに準ずる強光を照射しても良い。例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ
、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、エキシマランプから放射される光を反射鏡やレン
ズ等により集光したエネルギー密度の高い光であっても良い。
【0044】
線状に集光され長手方向に拡張されたレーザー光又は強光は非単結晶半導体膜に照射し
、且つレーザー光の照射位置と非単結晶半導体膜が形成された基板とを相対的に動かして
、レーザー光が一部又は全面を走査することにより非単結晶半導体膜を溶融させ、その状
態を経て結晶化又は再結晶化を行う。レーザー光の走査方向は、開口部の長手方向又はト
ランジスタのチャネル長方向に沿って行う。
これによりレーザー光の走査方向に沿って結晶が成長し、結晶粒界又は結晶亜粒界がチャ
ネル長方向と交差することを防ぐことができる。また、このとき、レーザー光又は強光の
照射は被処理体の形成された基板を加熱しながら行ってもよい。
【0045】
上記の如く作製される本発明の半導体装置は、絶縁表面上に形成され、一対の一導電型
不純物領域の間に連接して、複数の結晶方位を有し、結晶粒界が形成されることなく、チ
ャネル長方向と平行な方向に延在する複数の結晶粒が集合した結晶性半導体膜が備えられ
ている。
【0046】
また他の構成は、絶縁表面上に形成され、一対の一導電型不純物領域の間に連接して複
数の結晶方位を有し、結晶粒界が形成されることなくチャネル長方向と平行な方向に延在
する複数の結晶粒が集合した結晶性半導体膜と、当該結晶性半導体膜と絶縁層を介して重
畳する導電層によりチャネル形成領域が形成される構成を有し、当該結晶性半導体膜はチ
ャネル形成領域における当該結晶性半導体膜はチャネル幅方向が0.01μm以上2μm以
下、好ましくは0.1〜1μmであり、厚さが0.01μm以上3μm以下、好ましくは0
.1μm以上2μm以下であることを特徴としている。チャネル形成領域の特徴的な一形態
は、当該結晶性半導体膜の側面部及び上面部を被覆するゲート絶縁膜を介して重畳するゲ
ート電極により、当該結晶性半導体膜の側面部及び上面部にチャネル形成領域が形成され
る構成である。
【0047】
開口部の深さを半導体膜の厚さと同程度かそれ以上とすることにより、レーザー光又は
強光の照射により溶融した半導体が表面張力により開口部(即ち凹部)
に凝集して固化する。その結果、凸部にある半導体膜の厚さは薄くなり、そこに応力歪み
を集中させることができる。また開口部の側面は結晶方位をある程度規定する効力を持つ
。開口部の側面の角度は基板表面に対して5〜120度、好ましくは80〜100度で形
成する。レーザー光をチャネル長方向と平行な方向に走査することにより、その方向に延
在する開口部に沿って、特定の結晶方位を優先的に配向させることができる。
【0048】
半導体膜を溶融状態として、表面張力により絶縁表面上に形成した開口部に凝集させ、
開口部の底部と側面部の概略交点から結晶成長させることにより結晶化に伴い発生する歪
みを開口部以外の領域に集中させることができる。即ち、開口部に充填されるように形成
した結晶性半導体膜は歪みから開放することができる。そして、絶縁膜上に残存し、結晶
粒界、結晶欠陥を含む結晶性半導体膜はエッチングにより除去してしまう。
【0049】
上記本発明によって、トランジスタ等の半導体素子、特にTFTのチャネル形成領域の
場所を指定して、結晶粒界が存在しない結晶性半導体膜を形成することが可能となる。こ
れにより不用意に介在する結晶粒界や結晶欠陥により特性がばらつく要因を無くすことが
でき、特性ばらつきの小さいTFT又はTFT素子群を形成することができる。
【0050】
また、当該結晶性半導体膜の側面部と上面部に重畳してゲート絶縁膜及びゲート電極を
形成することにより、チャネル形成領域の面積が拡大し、オン電流を増加することができ
る。さらに、三方からゲート電圧を印加することにより、ゲート絶縁膜に注入されるキャ
リア、特にホットキャリアを少なくすることができ、トランジスタの信頼性を向上させる
こともできる。
【0051】
また本発明は、絶縁表面を有する基板上に開口部が形成された絶縁膜が設けられ、基板
上に形成された結晶性半導体膜は前記開口部を充填する領域を有し、当該充填領域にチャ
ネル形成領域が備えられていることを特徴としている。
【0052】
また他の構成は、絶縁表面を有する基板上にチャネル長方向に延在する開口部が形成さ
れた絶縁膜が設けられ、基板上に形成された結晶性半導体膜は前記開口部を充填する領域
を有し、当該充填領域にチャネル形成領域が備えられていて、開口部は前記結晶性半導体
膜と同じかそれ以上の深さを有していることを特徴としている。
【0053】
また他の構成は、絶縁表面に形成された矩形又は帯状に延在する開口部に結晶性半導体
が設けられていて、結晶性半導体とゲート電極とがゲート絶縁膜を介して重畳しているこ
とを特徴としている。
【0054】
また他の構成は、絶縁表面に形成されたチャネル長方向に延在する開口部に結晶性半導
体が設けられていて、結晶性半導体とゲート電極とがゲート絶縁膜を介して重畳している
ことを特徴としている。
【0055】
半導体膜がレーザー光又は強光の照射により溶融した後、固化を開始するのは開口部の
底面と側面とが交わる領域からであり、ここから結晶成長が始まる。例えば、図45に示
すように絶縁膜(1)と絶縁膜(2)により段差形状が形成された系においてA〜D点に
おける熱解析シミュレーションを行った結果、図46のような特性が得られている。熱の
逃げる場所として直下の絶縁膜(2)と側面に存在する絶縁膜(1)の両方があるため、
B点が最も早く温度が下がることになる。以降、A点、C点、D点の順である。このシミ
ュレーション結果は側壁の角度が45度の場合であるが、90度の場合にも定性的には同
様な現象が考えられる。
【0056】
即ち、半導体膜を一旦溶融状態とし、表面張力により絶縁表面上に形成した開口部に凝
集させ、開口部の底部と側壁の概略交点から結晶成長させることにより結晶化に伴い発生
する歪みを開口部以外の領域に集中させることができる。即ち、開口部に充填されるよう
に形成した結晶性半導体膜においては歪みから開放することができる。
【0057】
なお、従来のグラフォエピタキシー(graphoepitaxy)と呼ばれる半導体膜の結晶化技
術は、人為的に作られた非晶質基板表面のレリーフ格子(surface relief grating)の誘
導によって半導体膜のエピ成長を試みるものであった。このグラフォエピタキシーに関す
る技術は、上記非特許文献2等に記載されている。上記論文等には、グラフォエピタキシ
ーの技術とは、絶縁膜の表面に段差を設け、該絶縁膜上に形成された半導体膜に加熱又は
レーザー光の照射等の処理を施すことで、該半導体膜の結晶をエピタキシャル成長させる
ことが開示されている。しかし、エピタキシャル成長に必要な温度は、少なくとも700
℃程度は必要であり、ガラス基板上においてエピタキシャル成長を行おうとすると、絶縁
膜の凹部または凸部のエッジ近傍において半導体膜に粒界が形成されてしまう。本発明で
は、アイランドのマスクをレイアウトして、該アイランドとなる部分における結晶性を高
められるように、絶縁膜の凹部または凸部の形状及びエッジの位置を、アイランドのレイ
アウトに合わせて設計する。具体的には凹部または凸部のエッジ及び凹部または凸部のエ
ッジ間の中央付近と、アイランドとが重ならないように、凹部または凸部の形状、サイズ
等を定める。そしてアイランドのレイアウトに合わせてパターンが設計された絶縁膜を用
い、アイランドが形成される部分に粒界が形成されるのを防ぐ。そして、パターニングに
よりその結晶性の比較的優れているアイランドを形成する。よって本発明において開示す
る技術は、従来のグラフォエピタキシーと、段差を設けた絶縁膜上に半導体膜を形成し、
該段差を用いて半導体膜を結晶化させる点では一致しているが、従来のグラフォエピタキ
シーには段差を用いて粒界がアイランドに入るのを防ぐという概念は含まれておらず、本
発明とは似て非なるものである。
【発明の効果】
【0058】
以上説明したように、半導体膜を溶融状態にして表面張力により絶縁表面上に形成した
開口部に凝集させ、開口部の底部と側面部の概略交点から結晶成長させることにより、結
晶化に伴い発生する歪みを開口部以外の領域に集中させることができる。この開口部以外
の領域にある結晶性半導体膜をエッチング除去することにより、結晶性の良い領域を選択
的に取り出すことができる。また、絶縁表面上に形成した開口部に半導体を充填するよう
に溶融結晶化させることにより、結晶化に伴い発生する歪みを開口部以外の領域に集中さ
せることができ、開口部に充填されるように形成した結晶性半導体膜においては歪みから
開放することができるとも言える。
【0059】
即ち、非晶質半導体膜に連続発振レーザー光を照射する結晶化において、下地絶縁膜に
開口部を設け、溶融結晶化の過程において当該開口部に半導体を充填するように形成する
ことにより、結晶化に伴う歪みや結晶粒界又は結晶亜粒界を開口部以外の領域に集中させ
ることができる。
【0060】
そして、トランジスタ等の半導体素子、特にTFTのチャネル形成領域の場所を指定し
て、結晶粒界が存在しない結晶性半導体膜を形成することができる。これにより不用意に
介在する結晶粒界や結晶欠陥により特性がばらつく要因を無くすことができ、特性ばらつ
きの小さいTFT又はTFT素子群を形成することができる。また、開口部の結晶性半導
体膜にチャネル形成領域が配設されるようにTFTを形成することにより、高速で電流駆
動能力を向上させることが可能となり、素子の信頼性を向上させることも可能となる。
【0061】
さらに、当該結晶性半導体膜の側面部と上面部に重畳してゲート絶縁膜及びゲート電極
を形成することにより、チャネル形成領域の面積が拡大し、オン電流を増加することがで
きる。さらに、三方からゲート電圧を印加することにより、ゲート絶縁膜に注入されるキ
ャリア、特にホットキャリアを少なくすることができ、トランジスタの信頼性を向上させ
ることもできる。
【0062】
また本発明では、下地膜の凹部上に位置する半導体膜を、TFTの活性層として積極的
に用いることで、TFTのチャネル形成領域に粒界が形成されるのを防ぐことができ、粒
界によってTFTの移動度が著しく低下したり、オン電流が低減したり、オフ電流が増加
したりするのを防ぐことができる。なお、どこまでを凸部または凹部のエッジ近傍として
パターニングで除去するかは、設計者が適宜定めることができる。
【0063】
また、TFTの複数のチャネル形成領域が互いに分離していることで、チャネル形成領
域のうち、ゲート絶縁膜を間に挟んでゲート電極と重なっている領域を広く取ることがで
きるので、チャネル幅を長くすることができる。チャネル幅を長くすることでオン電流を
確保しつつ、TFTを駆動させることで発生した熱を効率的に放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明における結晶化方法を説明する図。
【図2】結晶化における開口部の形状と結晶性半導体膜の形態との関係の詳細を説明する縦断面図。
【図3】本発明における結晶化方法を説明する図。
【図4】本発明により作製されるTFTの作製工程を説明する上面図及び縦断面図。
【図5】本発明により作製されるTFTの作製工程を説明する上面図及び縦断面図。
【図6】本発明により作製されるTFTの作製工程を説明する上面図及び縦断面図。
【図7】本発明により作製されるTFTの作製工程を説明する上面図及び縦断面図。
【図8】本発明により作製されるTFTの作製工程を説明する上面図及び縦断面図。
【図9】本発明により作製されるTFTの作製工程を説明する上面図及び縦断面図。
【図10】本発明により作製されるTFTの作製工程を説明する上面図及び縦断面図。
【図11】本発明により作製されるTFTの作製工程を説明する上面図及び縦断面図。
【図12】本発明により作製されるTFTの構造を説明する上面図及び縦断面図。
【図13】本発明により作製されるTFTの構造を説明する上面図及び縦断面図。
【図14】本発明に適用するレーザー照射装置の一態様を示す配置図。
【図15】本発明における線状に集光されたレーザー光とその走査方向を説明する図。
【図16】本発明を用いて作製される半導体装置の外観図の一例。
【図17】図16で示す半導体装置の画素部の作製工程を説明する上面図。
【図18】図16で示す半導体装置の画素部の作製工程を説明する上面図。
【図19】図16で示す半導体装置の画素部の作製工程を説明する上面図。
【図20】図16で示す半導体装置の画素部の作製工程を説明する上面図。
【図21】図16で示す半導体装置の画素部の構造を説明する上面図。
【図22】本発明により作製されるTFTの作製工程を説明する縦断面図。
【図23】本発明により作製されるTFTのチャネル形成領域の詳細を説明する縦断面図。
【図24】図21に対応する画素部の構造を説明する縦断面図。
【図25】170nmの段差を設け、0.5μmの凸部の幅と間隔を設けた下地絶縁膜上に150nmの非晶質珪素膜を形成して結晶化したときの表面状態を表す走査電子顕微鏡(SEM)写真(セコエッチ後)。
【図26】170nmの段差を設け、1.8μmの凸部の幅と間隔を設けた下地絶縁膜上に150nmの非晶質珪素膜を形成して結晶化したときの表面状態を表す走査電子顕微鏡(SEM)写真(セコエッチ後)。
【図27】凹部に形成された結晶の配向を示すEBSPマッピングデータ。
【図28】半導体装置の一例を示す図。
【図29】プロジェクターの一例を示す図。
【図30】本発明における結晶化方法を説明する図。
【図31】本発明における結晶化方法を説明する斜視図。
【図32】本発明における結晶化方法を説明する斜視図。
【図33】本発明における結晶化方法を説明する斜視図。
【図34】本発明における結晶化方法を説明する斜視図。
【図35】本発明に適用するレーザー照射装置の一態様を示す配置図。
【図36】本発明により作製されるTFTの作製工程を説明する上面図及び縦断面図。
【図37】本発明により作製されるTFTの作製工程を説明する上面図及び縦断面図。
【図38】本発明により作製されるTFTの作製工程を説明する上面図及び縦断面図。
【図39】本発明により作製されるTFTの作製工程を説明する上面図及び縦断面図。
【図40】本発明により作製されるTFTの作製工程を説明する上面図及び縦断面図。
【図41】本発明により作製されるTFTの一例を説明する上面図及び縦断面図。
【図42】本発明により作製されるTFTの一例を説明する上面図及び縦断面図。
【図43】本発明により作製されるTFTの一例を説明する上面図及び縦断面図。
【図44】本発明を用いて作製される表示パネルの画素部の構造を説明する上面図。
【図45】熱解析のシミュレーションに用いた構造を示す断面図。
【図46】熱解析のシミュレーションの結果を示すグラフ。
【図47】凸部を有する下地膜上に形成された半導体膜にレーザー光を照射して結晶化させた後のTEMの断面像と、その模式図。
【図48】本発明の半導体膜の結晶化の流れを示す図。
【図49】本発明のTFTの作製工程を示す図。
【図50】本発明のTFTの作製工程を示す図。
【図51】本発明のTFTの作製工程を示す図。
【図52】本発明のTFTの作製工程を示す図。
【図53】本発明のTFTの作製工程を示す図。
【図54】本発明のTFTの作製工程を示す図。
【図55】本発明のTFTの断面図。
【図56】本発明のTFTの断面図。
【図57】本発明のTFTの作製工程を示す図。
【図58】本発明のTFTの作製工程を示す図。
【図59】下地膜のエッチング後におけるアイランドと下地膜の形状を示す図。
【図60】下地膜上に形成された複数のTFTの上面図。
【図61】触媒元素を用いた本発明の半導体膜の結晶化の流れを示す図。
【図62】凸部を有する下地膜の作製方法を示す図。
【図63】凸部を有する下地膜の作製方法を示す図。
【図64】レーザー照射装置の図。
【図65】レーザー照射装置の図。
【図66】レーザービームのエネルギー密度の分布を示す図。
【図67】レーザービームのエネルギー密度の分布を示す図。
【図68】レーザービームのエネルギー密度の分布を示す図。
【図69】光学系の図。
【図70】重ね合わせたレーザービームの中心軸方向におけるエネルギー密度の分布を示す図。
【図71】レーザービームの中心間の距離とエネルギー差の関係を示す図。
【図72】レーザービームの中心軸方向における出力エネルギーの分布を示す図。
【図73】本発明の半導体装置の一例である発光装置の構造を示す図。
【図74】本発明の半導体装置の一例である発光装置の画素の構造を示す図。
【図75】本発明の半導体装置を用いた電子機器の図。
【図76】スタック構造を有するTFTの断面図及びそれを用いた半導体装置の構成の一例。
【発明を実施するための形態】
【0065】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の態様について説明する。図1は本発明の結晶性半
導体膜を形成する工程を説明する縦断面図である。
【0066】
図1(A)において、窒化珪素、窒素含有量が酸素含有量よりも大きな酸化窒化珪素、
窒化アルミニウム、又は酸化窒化アルミニウムで形成される第1絶縁膜201は30〜3
00nmの厚さで形成する。その上に酸化珪素又は酸化窒化珪素で10〜3000nm、好ま
しくは100〜2000nmの厚さで所定の形状で開口部が形成された第2絶縁膜202を
形成する。所定の形状とは矩形、円形、多角形、帯状、又は作製するTFTの島状の半導
体膜(活性層)の形状に合致する形状としても良い。酸化珪素はオルトケイ酸テトラエチ
ル(Tetraethyl Ortho Silicate:TEOS)とO2とを混合しプラズマCVD法で形成す
ることができる。
酸化窒化珪素膜はSiH4、N2O又はSiH4、NH3、N2Oを原料として用いプラズマ
CVD法で形成することができる。
【0067】
第1絶縁膜201と第2絶縁膜202の選択的な加工は、緩衝フッ酸を用いたエッチン
グ、又はCHF3やCF4を用いたドライエッチングにより行う。いずれにしても、エッチ
ング加工における選択比を確保するために、第2絶縁膜のエッチング速度が第1絶縁膜の
それより相対的に早くなるように材料及び成膜条件を適宜調整することが望ましい。そし
て、第2絶縁膜で形成される開口部の側面部の角度は5〜120度、好ましくは80〜1
00度の範囲で適宜設定すれば良い。
【0068】
基板として用いる部材は市販の無アルカリガラス基板、石英基板、サファイア基板、単
結晶又は多結晶半導体基板の表面を絶縁膜で被覆した基板、金属基板の表面を絶縁膜で被
覆した基板を適用することが可能である。
【0069】
エッチング後に残存する第2絶縁膜202の幅W1に限定はなく0.1〜10μm程度
で形成する。また、第2絶縁膜202に形成する開口部の幅W2は0.01〜2μm(好
ましくは0.1〜1μm)であり、第2絶縁膜の厚さdは0.01〜3μm(好ましくは0
.1〜2μm)で形成する。また、開口部の長さ(紙面と垂直な方向)は特に限定されず
、直線的又は曲部をもって形成されていても良く、例えばTFTのチャネル形成領域を形
成することができる程度の長さがあれば良い。
【0070】
図1(B)で示すように、この第1絶縁膜201と第2絶縁膜202から成る表面上お
よび開口部を覆う非晶質半導体膜204を0.01〜3μm(好ましくは0.1〜1μm)
、即ち第2絶縁膜202で形成される開口部の深さと同程度かそれ以上の厚さで形成する
ことが望ましい。非晶質半導体膜は、珪素、珪素とゲルマニウムの化合物又は合金、珪素
と炭素の化合物又は合金を適用することができる。非晶質半導体膜は図示するように、下
地の絶縁膜上及び開口部にかけて形成され、下地の凹凸形状を反映して堆積する。また、
第1絶縁膜及び第2絶縁膜の表面に付着した硼素などの化学汚染の影響を排除し、しかも
窒化珪素と非晶質半導体膜が直接に接しないように、非晶質半導体膜の下層側に第3絶縁
膜203として酸化窒化珪素膜を同一の成膜装置内で大気に触れさせることなく連続的に
成膜すると良い。
【0071】
そして、この非晶質半導体膜204を瞬間的に溶融させ結晶化させる。この結晶化はレ
ーザー光又はランプ光源からの放射光を光学系にて半導体膜が溶融する程度のエネルギー
密度に集光して照射する。この工程においては、特に連続発振レーザー発振装置を光源と
するレーザー光を適用することが好ましい。適用されるレーザー光は光学系にて線状に集
光及び長手方向に拡張されたものであり、その強度分布が長手方向において均一な領域を
有し、短手方向に分布を持たせておくことが望ましい。
【0072】
レーザー発振装置は、矩形ビーム固体レーザー発振装置が適用され、特に好ましくは、
スラブレーザー発振装置が適用される。スラブ材料としては、Nd:YAG、Nd:GG
G(ガドリニウム・ガリウム・ガーネット)、Nd:GsGG(ガドリニウム・スカンジ
ウム・ガリウム・ガーネット)等の結晶が使用される。スラブレーザーでは、この板状の
レーザー媒質の中を、全反射を繰り返しながらジグザグ光路で進む。或いは、Nd、Tm
、Hoをドープしたロッドを用いた固体レーザー発振装置であり、特にYAG、YVO4
、YLF、YAlO3などの結晶にNd、Tm、Hoをドープした結晶を使った固体レー
ザー発振装置にスラブ構造増幅器を組み合わせたものでも良い。そして、図中に矢印で示
すように、線状の長手方向に対し交差する方向に走査する。尚、ここでいう線状とは、短
手方向の長さに対し、長手方向の長さの比が1対10以上のものをもって言う。
【0073】
また、連続発振レーザー光の波長は、非晶質半導体膜の光吸収係数を考慮して400〜
700nmであることが望ましい。このような波長帯の光は、波長変換素子を用いて基本波
の第2高調波、第3高調波を取り出すことで得られる。波長変換素子としてはADP(リ
ン酸二水素化アンモニウム)、Ba2NaNb515(ニオブ酸バリウムナトリウム)、C
dSe(セレンカドミウム)、KDP(リン酸二水素カリウム)、LiNbO3(ニオブ
酸リチウム)、Se、Te、LBO、BBO、KB5などが適用される。特にLBOを用
いることが望ましい。代表的な一例は、Nd:YVO4レーザー発振装置(基本波1064
nm)の第2高調波(532nm)を用いる。また、レーザーの発振モードはTEM00モード
であるシングルモードを適用する。
【0074】
最も適した材料として選ばれる珪素の場合、吸収係数が103〜104cm-1である領域は
ほぼ可視光域にある。ガラスなど可視光透過率の高い基板と、珪素により30〜200nm
の厚さをもって形成される非晶質半導体膜を結晶化する場合、波長400〜700nmの可
視光域の光を照射することで、当該半導体膜を選択的に加熱して、下地絶縁膜にダメージ
を与えずに結晶化を行うことができる。具体的には、非晶質珪素膜に対し、波長532nm
の光の侵入長は概略100nm〜1000nmであり、膜厚30nm〜200nmで形成される非
晶質半導体膜204の内部まで十分達することができる。即ち、半導体膜の内側から加熱
することが可能であり、レーザー光の照射領域における半導体膜のほぼ全体を均一に加熱
することができる。
【0075】
レーザー光の照射により瞬間的に溶融した半導体は、表面張力が働いて開口部(凹部)
に集まる。それにより固化して形成される結晶性半導体膜205は、図1(C)で示すよ
うに表面がほぼ平坦になる。結晶の成長端や結晶粒界は第2絶縁膜上(凸部上)に形成さ
れる(図1(C)で示す領域220)。
【0076】
その後、好ましくは図1(D)に示すように500〜600℃の加熱処理を行い、結晶
性半導体膜に蓄積された歪みを除去すると良い。この歪みは、結晶化によって起こる半導
体の体積収縮、下地との熱応力や格子不整合などにより発生するものである。この加熱処
理は、例えば、ガス加熱方式の瞬間熱アニール(RTA)法を用いて1〜10分の処理を
行えば良い。尚、この工程は本発明において必須な要件ではなく、適宜選択して行えば良
いものである。
【0077】
図1(E)で示すように、結晶性半導体膜205の表面をエッチングして開口部(凹部
)に埋め込まれている結晶性半導体膜206を選択的に抽出する。これは、第2絶縁膜2
02上に残存し結晶粒界、結晶欠陥を含む結晶性半導体膜を除去し、開口部(凹部)にあ
る良質な結晶のみを残すことを目的としている。結晶性半導体膜206は、複数の結晶方
位を有し、結晶粒界が形成されていないという特徴を有している。
【0078】
そして、特に開口部(凹部)を充填する結晶性半導体を使ってチャネル形成領域が位置
せしめるようにゲート絶縁膜及びゲート電極を形成するとTFTを完成させることができ
る。この時、TFTのチャネル長方向と平行な方向に開口部を形成し、且つレーザー光を
その方向に走査することにより、結晶成長をその方向に行うことができ、特定の結晶方位
を優先的に結晶成長させることができる。
【0079】
図2は本発明者による実験結果から得られた結晶化の知見を概念図として示すものであ
る。図2(A)〜(E)は第1絶縁膜及び第2絶縁膜により形成される開口部(凹部)の
深さ及び間隔と結晶成長の関係を模式的に説明している。
【0080】
尚、図2で示す長さに関する符号に関し、t01:第2絶縁膜202上(凸部)
の非晶質半導体膜204の厚さ、t02:開口部(凹部)の非晶質半導体膜204の厚さ、
t11:第2絶縁膜202上(凸部)の結晶性半導体膜205の厚さ、t12:開口部(凹部
)の結晶性半導体膜205の厚さ、d:第2絶縁膜202の厚さ(開口部の深さ)、W1
:第2絶縁膜202の幅、W2:開口部の幅である。
【0081】
図2(A)は、d<t02、W1,W2が1μmと同程度かそれより小さい場合であり、開口
部の溝の深さが非晶質半導体膜204よりも小さい場合には、溶融結晶化の過程を経ても
開口部が浅いので結晶性半導体膜205の表面が十分平坦化されることはない。即ち、結
晶性半導体膜205の下地の凹凸形状が概略保存されたまま残ってしまう。
【0082】
図2(B)は、d≧t02、W1,W2が1μmと同程度かそれより小さい場合であり、開口
部の溝の深さが非晶質半導体膜204とほぼ等しいかそれより大きい場合には、表面張力
が働いて開口部(凹部)に集まる。それにより固化した状態では、図2(B)で示すよう
に表面がほぼ平坦になる。この場合、t11<t12となり、第2絶縁膜202上の膜厚が薄
い部分220に応力が集中しここに歪みが蓄積され、結晶粒界が形成されることになる。
【0083】
図25で示す走査電子顕微鏡(SEM)写真はその一例を示し、170nmの段差を設け
、0.5μmの凸部の幅と間隔を設けた下地絶縁膜上に150nmの非晶質珪素膜を形成し
て結晶化した結果を示している。結晶性半導体膜の表面は結晶粒界を顕在化させるために
セコ液でエッチングしてある。尚、HF:H2O=2:1に添加剤としてK2Cr27を用
いて調合した薬液である。この写真から明らかなように、結晶粒界は、段差形状の凸部に
集中していることが分かる。
【0084】
図27は開口部(凹部)に形成される結晶性半導体膜の配向性を反射電子回折パターン
(EBSP:Electron BackScatter diffraction Pattern)により求めた結果を示してい
る。EBSPは走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscopy)に専用の検
出器を設け、電子ビームを結晶面に照射してその菊池線からの結晶方位同定をコンピュー
ターで画像認識させることによって、そのミクロな結晶性を表面配向のみならず、結晶の
全方向に関して測定するものである(以下、この手法を便宜上EBSP法と呼ぶ)。
【0085】
図27のデータは、開口部(凹部)においては線状に集光されたレーザー光の走査方向
と平行な方向に結晶が成長していることを示している。
【0086】
図2(C)は、d>>t02、W1,W2が1μmと同程度かそれより小さい場合であり、こ
の場合は結晶性半導体膜205が開口部を充填するように形成され、第2絶縁膜202上
には殆ど残存しないようにすることも可能である。
【0087】
図2(D)は、d≧t02、W1,W2が1μm同程度か若干大きい場合であり、開口部の幅
が広がると結晶性半導体膜205が開口部を充填し、平坦化の効果はあるが、開口部の中
央付近には結晶粒界や結晶亜粒界が発生する。また、第2絶縁膜上にも同様に応力が集中
しここに歪みが蓄積され、結晶粒界が形成される。これは、間隔が広がることで応力緩和
の効果が低減するためであると推察される。
【0088】
図2(E)は、d≧t02、W1,W2が1μmよりも大きい場合であり、図2(D)の状態
がさらに顕在化してくる。
【0089】
図26で示す走査電子顕微鏡(SEM)写真はその一例を示し、170nmの段差を設け
、1.8μmの凸部の幅と間隔を設けた下地絶縁膜上に150nmの非晶質珪素膜を形成し
て結晶化した結果を示している。結晶性半導体膜の表面は結晶粒界を顕在化させるために
セコ液でエッチングしてある。図25との比較において明らかなように、結晶粒界は、段
差形状の凸部のもでなく、開口部(凹部)にも広がっていることが分かる。従ってこのよ
うな構造では、結晶粒界のない結晶性半導体膜を選択的に取り出すことはできない。
【0090】
以上、図2を用いて説明したように、半導体素子を形成する場合、特にトランジスタに
おけるチャネル形成領域をこのような半導体膜で形成する場合には、図2(B)の形態が
最も適していると考えられる。また、ここでは結晶性半導体膜を形成する下地の凹凸形状
は、第1絶縁膜201と第2絶縁膜202で形成する一例を示したが、ここで示す形態に
限定されず同様な形状を有するものであれば代替することができる。例えば、石英基板の
表面をエッチング処理して直接開口部を形成し、凹凸形状を設けても良い。
【0091】
図14は、結晶化に際し適用することのできるレーザー照射装置の構成の一例を示す。
図14はレーザー発振装置401a、401b、シャッター402、高変換ミラー403
〜406、シリンドリカルレンズ407、408、スリット409、載置台411、載置
台411をX方向及びY方向に変位させる駆動手段412、413、当該駆動手段をコン
トロールする制御手段414、予め記憶されたプログラムに基づいてレーザー発振装置4
01a、401bや制御手段414に信号を送る情報処理手段415等から成っているレ
ーザー照射装置の構成を正面図と側面図により示すものである。
【0092】
レーザー発振装置は矩形ビーム固体レーザー発振装置が適用され、特に好ましくは、ス
ラブレーザー発振装置が適用される。或いは、YAG、YVO4、YLF、YAlO3など
の結晶にNd、Tm、Hoをドープした結晶を使った固体レーザー発振装置にスラブ構造
増幅器を組み合わせたものでも良い。スラブ材料としては、Nd:YAG、Nd:GGG
(ガドリニウム・ガリウム・ガーネット)
、Nd:GsGG(ガドリニウム・スカンジウム・ガリウム・ガーネット)等の結晶が使
用される。その他にも、連続発振可能な気体レーザー発振装置、固体レーザー発振装置を
適用することもできる。連続発振固体レーザー発振装置としてはYAG、YVO4、YL
F、YAlO3などの結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmをドー
プした結晶を使ったレーザー発振装置を適用する。発振波長の基本波はドープする材料に
よっても異なるが、1μmから2μmの波長で発振する。5W以上のより高い出力を得る為
には、ダイオード励起の固体レーザー発振装置をカスケード接続しても良い。
【0093】
このようなレーザー発振装置から出力される円形状又は矩形状のレーザー光は、シリン
ドリカルレンズ407、408により照射面の断面形状において線状に集光される。また
、照射面での干渉を防ぐため、高変換ミラーを適宜調節して10〜80度の角度を持って
斜め方向から入射する構成となっている。シリンドリカルレンズ407、408は合成石
英製とすれば高い透過率が得られ、レンズの表面に施されるコーティングは、レーザー光
の波長に対する透過率が99%以上を実現するために適用される。勿論、照射面の断面形
状は線状に限定されず、矩形状、楕円形又は長円形など任意な形状としても構わない。い
ずれにしても短軸と長軸の比が、1対10〜1対100の範囲に含まれるものを指してい
る。また、波長変換素子410は基本波に対する高調波を得るために備えられている。
【0094】
また、載置台411を駆動手段412、413により二軸方向に動かすことにより基板
420のレーザーアニールを可能としている。一方の方向への移動は基板420の一辺の
長さよりも長い距離を1〜200cm/sec、好ましくは5〜75cm/secの等速度で連続的に
移動させることが可能であり、他方へは線状ビームの長手方向と同程度の距離を不連続に
ステップ移動させることが可能となっている。レーザー発振装置401a、401bの発
振と、載置台411は、マイクロプロセッサを搭載した情報処理手段415により同期し
て作動するようになっている。
【0095】
載置台411は図中で示すX方向に直線運動をすることにより、固定された光学系から
照射されるレーザー光で基板全面の処理を可能としている。位置検出手段416は基板4
20がレーザー光の照射位置にあることを検出して、その信号を情報処理手段415に伝
送し、情報処理手段415によりレーザー光の照射タイミングを同期させている。つまり
、基板420がレーザー光の照射位置にない時は、シャッター402を閉め、レーザー光
の照射を止めている。
【0096】
このような構成のレーザー照射装置により基板420に照射されるレーザー光は、図中
に示すX方向又はY方向に相対移動させることにより半導体膜の所望の領域または全面を
処理することができる。
【0097】
以上のように、非晶質半導体膜に連続発振レーザー光を照射する結晶化において、半導
体膜の下地側に開口部(又は、それに伴う凹凸形状)を設けることにより、当該開口部以
外の領域に結晶化に伴う歪み又は応力を集中させることができ、結晶粒界など結晶性の悪
い領域を選択的に形成することが可能となる。即ち、当該開口部に複数の結晶方位を有し
、結晶粒界が形成されることなく、成長方向と平行な方向に延在する複数の結晶粒が集合
した結晶性半導体膜を残存させることができる。また、活性層とする結晶性半導体にその
歪み又は応力がかからないようにすることができるとも言える。このような結晶性半導体
膜でチャネル形成領域が配設されるようにTFTを形成することにより、高速で電流駆動
能力を向上させることが可能となり、素子の信頼性を向上させることも可能となる。
【0098】
また図35に、結晶化に際し適用することのできるレーザー照射装置の構成の別の一例
を示す。図35に示すレーザー照射装置は、図14に示すレーザー照射装置と光学系のみ
が異なっている。
【0099】
図35はレーザー発振装置5301a、5301b、シャッター5302、高変換ミラ
ー5303〜5306、スリット5307、シリンドリカルレンズ5308、5309、
載置台5311、載置台5311をX方向及びY方向に変位させる駆動手段5312、5
313、当該駆動手段をコントロールする制御手段5314、予め記憶されたプログラム
に基づいてレーザー発振装置5301a、5301bや制御手段5314に信号を送る情
報処理手段5315等から成っているレーザー照射装置の構成を正面図と側面図により示
すものである。
【0100】
図35では、シリンドリカルレンズ5308、5309により照射面の断面形状におい
て線状に集光されるレーザー光が、載置台5311上の基板5320表面に対し斜めに入
射させる。これにより、非点収差などの収差により焦点位置がずれ、照射面またはその近
傍において線状の集光面を形成することができる。シリンドリカルレンズ5308、53
09は合成石英製とすれば、高い透過率が得られ、レンズの表面に施されるコーティング
は、レーザー光の波長に対する透過率が99%以上を実現するために適用される。
【0101】
(実施の形態2)
図31において示す斜視図は、基板5101上に第1絶縁膜5102と帯状にパターン
形成された第2絶縁膜5103〜5105が形成された形態を示している。ここでは、第
2絶縁膜による帯状のパターンが3本示されているが、勿論その数に限定されることはな
い。基板は市販の無アルカリガラス基板、石英基板、サファイア基板、単結晶又は多結晶
半導体基板の表面を絶縁膜で被覆した基板、金属基板の表面を絶縁膜で被覆した基板を適
用することができる。
【0102】
帯状に形成される第2絶縁膜5103〜5105の幅W1は0.1〜10μm(好まし
くは0.5〜1μm)隣接する第2絶縁膜5103〜5105の間隔W2は0.1〜5μm
(好ましくは0.5〜1μm)であり、第2絶縁膜5103〜5105の厚さdはその上
に形成する非単結晶半導体膜の厚さと同程度かそれ以上の厚さをもって形成する。また、
段差形状は規則的な周期パターンである必要はなく、TFTのチャネル形成領域を含む島
状の半導体領域の配置及び形状に合わせて形成すれば良い。よって、第2絶縁膜5103
〜5105の長さLも限定はなく、例えばTFTのチャネル形成領域を形成することがで
きる程度の長さがあれば良い。
【0103】
第1絶縁膜5102は、窒化珪素又は酸化窒化珪素を用いて形成する。また、第2絶縁
膜5103〜5105は酸化珪素又は酸化窒化珪素を用いて形成する。
酸化珪素はオルトケイ酸テトラエチル(Tetraethyl Ortho Silicate:TEOS)とO2
を混合しプラズマCVD法で形成することができる。酸化窒化珪素膜はSiH4、NH3
2O又は、SiH4、N2Oを原料として用いプラズマCVD法で形成することができる

【0104】
図31の形態であるように、開口部による凹凸形状を第1絶縁膜5102と第2絶縁膜
5103〜5105により形成する場合には、エッチング加工における選択比を確保する
ために、第2絶縁膜5103〜5105のエッチング速度が相対的に早くなるように材料
及び成膜条件を適宜調整することが望ましい。そして、第2絶縁膜5103〜5105で
形成される開口部の側壁の角度は5〜120度、好ましくは80〜100度の範囲で適宜
設定すれば良い。
【0105】
図32で示すように、この第1絶縁膜5102と第2絶縁膜5103〜5105から成
る表面上および開口部を覆う非晶質半導体膜5106を50〜200nmの厚さに形成する
。非晶質半導体膜は、珪素、珪素とゲルマニウムの化合物又は合金、珪素と炭素の化合物
又は合金を適用することができる。
【0106】
そして、この非晶質半導体膜5106に連続発振レーザー光を照射して結晶化を行う。
適用されるレーザー光は光学系にて線状に集光及び拡張されたものであり、その強度分布
が長手方向において均一な領域を有し、短手方向に分布を持っていても良く、光源として
用いるレーザー発振装置は、矩形ビーム固体レーザー発振装置が適用され、特に好ましく
は、スラブレーザー発振装置が適用される。
或いは、Nd、Tm、Hoをドープしたロッドを用いた固体レーザー発振装置であり、特
にYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶にNd、Tm、Hoをドープした結晶
を使った固体レーザー発振装置にスラブ構造増幅器を組み合わせたものでも良い。そして
、図中に矢印で示すように、線状の長手方向に対し交差する方向に走査する。この時、下
地絶縁膜に形成される帯状のパターンの長手方向と平行な方向に走査することが最も望ま
しい。尚、ここでいう線状とは、短手方向の長さに対し、長手方向の長さの比が1対10
以上のものをもって言う。
【0107】
スラブ材料としては、Nd:YAG、Nd:GGG(ガドリニウム・ガリウム・ガーネ
ット)、Nd:GsGG(ガドリニウム・スカンジウム・ガリウム・ガーネット)等の結
晶が使用される。スラブレーザーでは、この板状のレーザー媒質の中を、全反射を繰り返
しながらジグザグ光路で進む。
【0108】
また、連続発振レーザー光の波長は、非晶質半導体膜5106の光吸収係数を考慮して
400〜700nmであることが望ましい。このような波長帯の光は、波長変換素子を用い
て基本波の第2高調波、第3高調波を取り出すことで得られる。波長変換素子としてはA
DP(リン酸二水素化アンモニウム)、Ba2NaNb515(ニオブ酸バリウムナトリウ
ム)、CdSe(セレンカドミウム)、KDP(リン酸二水素カリウム)、LiNbO3
(ニオブ酸リチウム)、Se、Te、LBO、BBO、KB5などが適用される。特にL
BOを用いることが望ましい。代表的な一例は、Nd:YVO4レーザー発振装置(基本波
1064nm)の第2高調波(532nm)を用いる。また、レーザーの発振モードはTEM
00モードであるシングルモードを適用する。
【0109】
最も適した材料として選ばれる珪素の場合、吸収係数が103〜104cm-1である領域は
ほぼ可視光域にある。ガラスなど可視光透過率の高い基板と、珪素により30〜200nm
の厚さをもって形成される非晶質半導体膜5106を結晶化する場合、波長400〜70
0nmの可視光域の光を照射することで、当該半導体領域を選択的に加熱して、下地絶縁膜
にダメージを与えずに結晶化を行うことができる。具体的には、非晶質珪素膜5106に
対し、波長532nmの光の侵入長は概略100nm〜1000nmであり、膜厚30nm〜20
0nmで形成される非晶質半導体膜5106の内部まで十分達することができる。即ち、半
導体膜の内側から加熱することが可能であり、レーザー光の照射領域における半導体膜の
ほぼ全体を均一に加熱することができる。
【0110】
レーザー光の照射により溶融した半導体は、表面張力が働いて開口部(凹部)
に集まる。それにより固化した状態では、図33で示すように表面がほぼ平坦になる。さ
らに結晶の成長端や結晶粒界又は結晶亜粒界は第2絶縁膜5103〜5105上(凸部上
)に形成される(図中ハッチングで示す領域5110)。こうして結晶性半導体膜510
7が形成される。
【0111】
その後図34で示すように、結晶性半導体膜5107をエッチングして島状の半導体領
域5108、5109を形成する。この時、成長端や結晶粒界又は結晶亜粒界が集中する
領域5110をエッチング除去することにより良質な半導体領域のみ残すことができる。
そして、この島状の半導体領域5108、5109の、特に開口部(凹部)を充填する結
晶性半導体を使ってチャネル形成領域が位置せしめるようにゲート絶縁膜及びゲート電極
を形成する。このような各段階を経てTFTを完成させることができる。
【0112】
(実施の形態3)
次に、図48を用いて、本発明で用いられるレーザー光の照射方法について説明する。
【0113】
まず、図48(A)に示すように基板上に絶縁膜からなる第1の下地膜6101を形成
する。そして、第1の下地膜6101上に矩形状の絶縁膜からなる第2の下地膜6102
が形成され、第1及び第2の下地膜6101、6102を覆うように、第3の下地膜61
03が形成されている。本実施の形態では、第1の下地膜6101として窒化珪素を用い
、第2の下地膜6102として酸化珪素を用い、第3の絶縁膜6103として酸化珪素膜
を用いた。なお第1乃至第3の下地膜6101〜6103の材料はこれに限定されず、後
の工程における熱処理に耐え得る材料で、なおかつ後に形成される半導体膜に、TFTの
特性に悪影響を与えうるアルカリ金属が混入するのを防ぐことができ、凹凸を形成するこ
とができる絶縁膜であれば良い。なおこの凹凸の形成の仕方については、後段において詳
しく説明する。また、これらの他の絶縁膜を用いても良い。また2つ以上の膜の積層構造
であってもよい。
【0114】
そして図48では第1乃至第3の下地膜6101〜6103を区別して示しているが、
ここでは3つの下地膜を合わせて下地膜6104と総称する。なお、本実施の形態では3
つの下地膜を使って凹凸を有する下地膜6104を形成しているが、本発明で用いる下地
膜の構成はこれに限定されない。
【0115】
このとき、下地膜6104と同時に、下地膜の一部を利用してマーカーを形成するよう
にしても良い。
【0116】
基板(図示せず)は、後の工程の処理温度に耐えうる材質であれば良く、例えば石英基
板、シリコン基板、バリウムホウケイ酸ガラスまたはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガ
ラス基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成した基板を用いることが
できる。また、処理温度に耐えうる程度に耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよ
い。
【0117】
次に、下地膜6104を覆うように、半導体膜6105を形成する。半導体膜6105
は、公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により成膜すること
ができる。なお、半導体膜は非晶質半導体膜であっても良いし、微結晶半導体膜や多結晶
半導体膜を含む結晶性半導体膜であっても良い。また半導体膜は珪素だけではなくシリコ
ンゲルマニウムやその他の半導体を用いるようにしても良い。また、第3の下地膜610
3を成膜した後、大気開放せずに連続的に成膜することで、半導体膜6105と下地膜6
104との間に不純物が混入するのを防ぐことができる。
【0118】
なお、下地膜6104の凸部の形状及びそのサイズついては、設計者が適宜設定するこ
とができるが、後に形成される半導体膜が凸部のエッジ近傍において膜切れを起こさない
程度の厚さに設定する必要がある。
【0119】
次に、図48(B)に示すように、半導体膜6105にレーザー光を照射する。レーザ
ー光の照射により、半導体膜6105は一次的に溶融し、白抜きの矢印で示したように、
凸部の上部から凹部に向かってその体積が移動する。そして表面が平坦化され、なおかつ
結晶性が高められた半導体膜(LC後)6106が形成される。レーザー光のエネルギー
密度は、レーザービームのエッジの近傍において低くなっており、そのためエッジの近傍
は結晶粒が小さく、結晶の粒界に沿って突起した部分(リッジ)が出現する。そのため、
レーザー光のレーザービームの軌跡のエッジと、チャネル形成領域となる部分または半導
体膜6105の凹部上に位置する部分とが重ならないように照射する。
【0120】
なおレーザー光の走査方向は、下地膜6104が有する凸部の長手方向と平行になるよ
うにしても良いし、その他の方向に定めても良い。
【0121】
本発明では公知のレーザーを用いることができる。レーザー光は連続発振であることが
望ましいが、パルス発振であってもある程度本発明の効果を得ることができると考えられ
る。レーザーは、気体レーザーもしくは固体レーザーを用いることができる。気体レーザ
ーとして、エキシマレーザー、Arレーザー、Krレーザーなどがあり、固体レーザーと
して、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、ガラス
レーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライドレーザー、Ti:サファイアレーザー、
23レーザーなどが挙げられる。固体レーザーとしては、Cr、Nd、Er、Ho、C
e、Co、Ti、Yb又はTmがドーピングされたYAG、YVO4、YLF、YAlO3
などの結晶を使ったレーザーが適用される。当該レーザーの基本波はドーピングする材料
によって異なり、1μm前後の基本波を有するレーザー光が得られる。基本波に対する高
調波は、非線形光学素子を用いることで得ることができる。
【0122】
またさらに、固体レーザーから発せられらた赤外レーザー光を非線形光学素子でグリー
ンレーザー光に変換後、さらに別の非線形光学素子によって得られる紫外レーザー光を用
いることもできる。
【0123】
半導体膜(LC後)6106は、レーザー光の照射による体積移動により、下地膜61
04の凹部上において膜厚が厚くなり、逆に凸部上において膜厚が薄くなっている。その
ため応力によって凸部上に粒界6149が発生しやすく、逆に凹部上においては結晶性の
良い状態が得られる。なお、凹部上において半導体膜(LC後)6106が必ずしも粒界
を含まないわけではない。しかし、たとえ粒界が存在したとしても結晶粒が大きいので、
結晶性は比較的優れたものとなっている。
【0124】
次に、図48(C)に示すように、半導体膜(LC後)6106の表面をエッチングし
ていき、下地膜6104の凸部上面を露出させる。なお本実施の形態では、第3の下地膜
6103の凸部上面を露出させるように、半導体膜(LC後)
6106をエッチングし、下地膜6104の凹部に半導体膜6107が残るようにする。
【0125】
次に、下地膜6104のみをエッチングにより除去する。なお、下地膜6104と、半
導体膜(エッチング後)6107とは、エッチングの際に選択比が取れる材料であること
が重要である。例えば、本実施の形態のように第2の下地膜6102、第3の6103に
酸化珪素を用いている場合、CHF3、CF3ガスを用いたドライエッチングか、またはフ
ッ酸系のエッチャントを用いたウェットエッチングを用いるのが好ましい。ドライエッチ
ングを用いた場合、半導体膜6107の下に位置する下地膜6104が回り込みによりエ
ッチングされることなく、なおかつ半導体膜の側面をテーパー形状にすることができる。
半導体膜の側面がテーパー形状だと、後の工程において形成される絶縁膜やゲート電極が
膜切れを起こすのを防ぐことができる。またウェットエッチングを用いた場合、半導体膜
の上面がエッチングされることなく下地膜の凸部を除去することができる。
【0126】
そして、図48(D)に示すような、半導体膜(アイランド)6108が形成される。
アイランド6108の下に位置する第3の絶縁膜6103の一部を第4の絶縁膜6109
とする。
【0127】
上述した一連の工程によって得られたアイランドをTFTの活性層、より望ましくはT
FTのチャネル形成領域として用いることで、TFTのチャネル形成領域に粒界が形成さ
れるのを防ぐことができ、粒界によってTFTの移動度が著しく低下したり、オン電流が
低減したり、オフ電流が増加したりするのを防ぐことができる。なお、どこまでを凹部ま
たは凸部のエッジ近傍としてパターニングで除去するかは、設計者が適宜定めることがで
きる。
【0128】
(実施の形態4)
本発明の結晶性半導体膜の形成において、実施の形態1乃至3で示すように非晶質半導
体膜にレーザー光を照射して結晶化させても良いが、触媒作用のある金属を用いて非晶質
半導体膜を結晶化した後さらにレーザー光を照射して溶融させ、再結晶化しても良い。
【0129】
図3はその一例を示し、まず、実施の形態1と同様に第1絶縁膜201、第2絶縁膜2
02、酸化窒化珪素膜203,非晶質半導体膜204を形成する。非晶質半導体膜204
には、珪素の結晶化温度を低温化させ配向性を向上させる等、結晶化を促進する触媒作用
のある金属元素としてNiを添加する。Niの添加法に限定はなく、スピン塗布法、蒸着
法、スパッタ法などを適用するこができる。
スピン塗布法による場合には酢酸ニッケル塩が5〜10ppmの水溶液を塗布して金属元素
含有層210を形成する。勿論、触媒元素はNiに限定されるものではなく、他の公知の
材料を用いても良い。
【0130】
その後、図3(B)で示すように550〜580℃、4〜8時間の加熱処理により非晶
質半導体膜204を結晶化させて結晶性半導体膜211を形成する。この結晶性半導体膜
211は棒状または針状の結晶が集合して成り、その各々の結晶は巨視的にはある特定の
方向性をもって成長しているため、結晶性が揃っている。また、特定方位の配向率が高い
という特徴がある。
【0131】
図3(C)で示すように、加熱処理により結晶化した結晶性半導体膜211に対し、連
続発振レーザー光又はそれと同等な強光を照射して溶融させ再結晶化する。こうして、表
面がほぼ平坦化された結晶性半導体膜212を得ることができる。この結晶性半導体膜2
12も同様に結晶の成長端や結晶粒界は第2絶縁膜202上(凸部上)に形成されている
。また、結晶性半導体膜211において残存する非晶質領域もこの処理により結晶化させ
ることができる。
【0132】
レーザー光を照射する対象として結晶性半導体膜を用いる利点は半導体膜の光吸収係数
の変動率にあり、結晶化した半導体膜にレーザー光を照射して溶融させたとしても光吸収
係数は殆ど変動しない。よって、レーザー照射条件のマージンを広くとることができる。
【0133】
その後、結晶性半導体膜212に残存する金属元素を取り除くゲッタリング処理を行う
ことが好ましい。結晶性半導体膜212に接して薄い酸化珪素等で形成されるバリア膜2
13を形成し、希ガス元素を1×1020atoms/cm3以上の濃度で含有する非晶質珪素膜2
14をゲッタリングサイトとして形成する。加熱処理は500〜700℃にて行えば良い
。この技術の詳細については、特開2002−313811号公報を参照されたい。また
、このゲッタリング処理に伴う加熱処理は、結晶性半導体膜212の歪みを緩和するとい
う効果も併せ持っている。
【0134】
その後、図3(E)に示すように、非晶質珪素膜214、バリア膜213を除去し、実
施の形態1と同様に、結晶性半導体膜212の表面をエッチングして開口部(凹部)に埋
め込まれている結晶性半導体膜215を選択的に抽出する。こうして、複数の結晶方位を
有し、結晶粒界が形成されていない結晶性半導体膜215を得ることができる。このよう
な二段階の結晶化処理は、実施の形態1と比較して比較的歪みの少ない結晶性半導体膜を
形成することを可能にする。
【0135】
(実施の形態5)
次に、本実施の形態において開口部を有する下地絶縁膜上に結晶性半導体膜を形成し、
その開口部に充填された充填領域にチャネル形成領域が配設されるTFTを作製する一形
態を図4乃至図11を用いて説明する。尚、各図面において、(A)は上面図、(B)以
降はそれに対応する各部位の縦断面図を示す。
【0136】
図4において、ガラス基板301上に30〜300nmの窒化珪素、窒素含有量が酸素含
有量よりも大きな酸化窒化珪素、窒化アルミニウム、又は酸化窒化アルミニウムでなる第
1絶縁膜302を形成する。その上に酸化珪素膜又は酸化窒化珪素膜を形成し、写真蝕刻
により矩形状のパターンを有する第2絶縁膜303を形成する。酸化珪素膜はプラズマC
VD法でTEOSとO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度400℃とし、高周波(
13.56MHz)電力密度0.6W/cm2で放電させ10〜3000nm、好ましくは100〜
2000nmの厚さに堆積し、その後エッチングにより開口部304を形成する。開口部の
幅は、特にチャネル形成領域が配置される場所において、0.01〜2μm、好ましくは
0.1〜1μmで形成する。
【0137】
次いで、図5で示すように第1絶縁膜302及び第2絶縁膜303上に酸化珪素膜又は
酸化窒化珪素膜から成る第3絶縁膜305と非晶質半導体膜306を同一のプラズマCV
D装置を用い大気に触れさせることなく連続的に成膜する。非晶質珪素膜306は珪素を
主成分に含む半導体膜で形成し、プラズマCVD法でSiH4を原料気体として用い形成
する。この段階では、図示するように開口部304の底面及び側面を被覆して平坦でない
表面形状が形成される。
【0138】
そして図6で示すように連続発振レーザー光を照射して結晶化させる。結晶化の条件は
、連続発振モードのYVO4レーザー発振器を用い、その第2高調波(波長532nm)の
出力2〜10Wを、光学系にて短手方向に対する長手方向の比が10以上である線状レー
ザー光に集光し、且つ長手方向に均一なエネルギー密度分布を有するように集光し、10
〜200cm/secの速度で走査して結晶化させる。均一なエネルギー密度分布とは、完全に
一定であるもの以外を排除することではなく、エネルギー密度分布において許容される範
囲は±10%である。このようなレーザー光の照射は、図14または図35で示す構成の
レーザー照射装置を適用することができる。
【0139】
線状に集光されたレーザー光360の走査方向と開口部の配置との関係は図15に示さ
れている。線状に集光されたレーザー光360の強度分布はその強度分布が長手方向にお
いて均一な領域を有していることが望ましい。これは加熱される半導体の温度が照射領域
の温度を一定にすることが目的である。線状に集光されたレーザー光の長手方向(走査方
向と交差する方向)に温度分布が生じると、結晶の成長方向をレーザー光の走査方向に限
定することができなくなるためである。開口部304の配列は図示のように線状に集光さ
れたレーザー光360の走査方向と合わせて配列させておくことで、結晶の成長方向と、
全てのTFTのチャネル長方向とを合わせることができる。これによりTFTの素子間の
特性ばらつきを小さくすることができる。
【0140】
この条件でレーザー光を照射することにより、非晶質半導体膜は瞬間的に溶融し結晶化
させる。実質的には溶融帯が移動しながら結晶化が進行する。溶融した珪素は表面張力が
働いて開口部(凹部)に凝集し固化する。これにより、図6に示すように開口部304を
充填する形態で表面が平坦な結晶性半導体膜307が形成される。
【0141】
その後図7に示すように、少なくとも開口部304に結晶性半導体膜307が残存する
ようにエッチング処理を行いう。このエッチング処理により、第2絶縁膜303上にある
結晶性半導体膜は除去され、開口部の形状に合わせて結晶性半導体膜から成る島状の半導
体膜308が得られる。結晶性半導体膜はフッ素系のガスと酸素とをエッチングガスとし
て用いることにより下地の酸化珪素膜と選択性をもってエッチングすることができる。例
えば、エッチングガスとして、CF4とO2の混合ガスが適用される。この島状の半導体膜
308は、実施の形態1で示したように、複数の結晶方位を有し、結晶粒界が形成されて
いないという特徴を有している。
【0142】
尚、図7は、この島状の半導体膜308の形状、即ち、第1絶縁膜302及び第2絶縁
膜303により形成される開口部304の形状を限定的に示すものではなく、実施の形態
1で述べた如く、所定のデザインルールに従う範囲内において、特に限定されるものでは
ない。例えば、図7の島状の半導体膜の形状は、複数個の短冊状の結晶性半導体膜は一対
の矩形の結晶性半導体膜と連接した形態を有しており、後述するように、複数個の短冊状
の結晶性半導体膜にTFTのチャネル形成領域が配置される形態となっている。
【0143】
この後、図8で示すように、島状の半導体膜308のチャネル形成領域が配置される周
辺の第2絶縁膜303をエッチング処理により除去して開口部309を形成する。このエ
ッチング処理は緩衝フッ酸のよる薬液処理、又はCHF3やCF4を用いたドライエッチン
グ等で行うことができる。この開口部309を形成することで、図8(B)に示すように
、その領域の配置する島状の半導体膜308の側面部及び上面部が露出し、底面には第3
絶縁膜305が残り第1絶縁膜302と接している。他の部位には第2絶縁膜303が残
存して、島状の半導体膜308と接している。
【0144】
この工程においてエッチングの深さは図22(A)で示すように第1絶縁膜302まで
エッチングして開口部309を形成しても良い。このような形態とすることで、後述する
ように、この部分にゲート電極を形成する場合、島状の半導体膜308の側面部の全面を
チャネル形成領域とすることができる。また、図22(B)で示すように、第2絶縁膜3
03の途中でエッチングを止めても良い。いずれにしてもエッチングの深さを調節するこ
とにより島状の半導体膜308のチャネル形成領域の深さを調節することができる。即ち
、結晶化領域を選択することができる。
【0145】
図9は、島状の半導体膜308の上面及び側面を覆いゲート絶縁膜として用いる第4絶
縁膜310、ゲート電極として用いる導電膜311を形成する。第4絶縁膜310は、3
0〜200nmの酸化珪素膜又は酸化窒化珪素膜を形成する。また、導電膜311はタング
ステン又はタングステンを含有する合金で形成する。
【0146】
図10では、島状の半導体膜308に一導電型の不純物領域313を形成する段階を示
している。この不純物領域313は、ゲート電極として用いる導電膜311をマスクとし
て、自己整合的に形成しても良いし、フォトレジスト等でマスキングして形成しても良い
。不純物領域313はソース及びドレイン領域を形成し、必要に応じて低濃度ドレイン領
域を適宜設けることもできる。
【0147】
この不純物領域313は、不純物イオンを電界で加速して半導体膜に注入するイオン注
入法又はイオンドーピング法などが適用される。この場合において、注入するイオン種の
質量分離の有無は本発明を適用する上で本質的な問題とはならない。しかしながら、島状
に半導体膜308の側面部にも効率良く不純物イオンを注入するためには、イオンの注入
方向に対して基板を斜めに配置し、且つ回転させながら注入を行う斜めドーピングを行う
ことが望ましい。
【0148】
島状の半導体膜において、ゲート電極を形成する導電層311と重畳する領域はチャネ
ル形成領域312となる。このチャネル形成領域312の部位における詳細は図23に示
されている。チャネル形成領域312においては島状の半導体膜の側面部及び上面部にゲ
ート絶縁膜として機能する第4絶縁膜310を介してゲート電極として機能する導電層3
11が配設されている。よって、電位の印加により形成されるチャネルは半導体膜の側面
部と上面部に渡って形成される。これにより空乏化領域を増やすことができ、TFTの電
流駆動能力を向上させることができる。さらに、トランジスタがn型の場合は、低濃度の
p型の不純物をチャネル形成領域312に添加し、逆にトランジスタがp型の場合は、低
濃度のn型の不純物をチャネル形成領域312に添加しておくことで、チャネル形成領域
312の中心部における空乏化されない領域によってオフ電流が生じるという事態を防ぐ
ことができる。
【0149】
そして、図11に示すように50〜100nm程度の水素を含有する窒化珪素膜又は酸化
窒化珪素膜による第5絶縁膜314を形成する。この状態で400〜450℃に熱処理を
することにより窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜が含有する水素が放出され島状の半導体膜
に対する水素化を行うことができる。酸化珪素膜等で形成する第6絶縁膜315を形成し
、ソース及びドレイン領域を形成する不純物領域313と接触する配線316、317を
形成する。
【0150】
こうしてTFTを作製することができる。図4〜図11を用いて説明したTFTの構成
は、複数のチャネル形成領域が並列に配設され、一対の不純物領域と連接して設けられた
マルチチャネルTFTを示している。この構成において、並列に配設するチャネル形成領
域の数に限定はなく、必要に応じて複数個配設すれば良い。
【0151】
このチャネル形成領域は、複数の結晶方位を有し、結晶粒界が形成されることなく、チ
ャネル長方向と平行な方向に延在する複数の結晶粒が集合した結晶性半導体膜で形成され
ている。
【0152】
(実施の形態6)
図12は低濃度ドレイン(LDD)構造を持ったnチャネル型マルチチャネルTFTと
、pチャネル型マルチチャネルTFTとでCMOS構造の基本回路であるインバータ回路
を構成する一例を示している。図12において、第2絶縁膜320、開口部321、島状
の半導体膜322、323は実施の形態5と同様にして形成される。
【0153】
図12(A)は上面図を示し、島状の半導体膜322にはソース及びドレイン領域を形
成する第1n型不純物領域333が形成され、島状の半導体膜323にはソース及びドレ
イン領域を形成する第1p型不純物領域334が形成され、その他にゲート電極を形成す
る導電層330、ソース及びドレイン配線337〜339が形成されている。
【0154】
図12(B)及び(C)はG−G'線及びH−H'線に対応した縦断面図を示し、nチャ
ネル型のTFTには第1n型不純物領域333に隣接してLDD領域を形成する第2n型
不純物領域332が形成されている。ゲート電極330は二層構造であり、第1n型不純
物領域322、第2n型不純物領域332及び第1p型不純物領域334は自己整合的に
形成することができる。331はチャネル形成領域である。このようなゲート電極と不純
物領域、及びその作製方法の詳細については、特開2002−014337号公報又は特
開2002−324808号公報を参照されたい。
【0155】
その他、図12で示す第5絶縁膜314、第6絶縁膜315は実施の形態5と同じもの
が適用されるのでここでは説明を省略する。
【0156】
(実施の形態7)
実施の形態5で示すマルチチャネルTFTにおいて、ゲート電極の構成が異なる一例を
図13により示す。尚、ゲート電極及びLDD領域の構成以外は、実施の形態5と同じで
あり、共通の符号を用いて示し、詳細な説明は省略する。
【0157】
図13で示すTFTの構造はゲート電極を窒化チタン又は窒化タンタルなど窒化物金属
層350aとタングステン又はタングステン合金など高融点金属層350bで形成する一
例であり、高融点金属層350bの側面にスペーサ351を設けている。スペーサ351
は酸化珪素などの絶縁体で形成しても良いし、導電性を持たせるためにn型の多結晶珪素
で形成しても良く、異方性ドライエッチングにより形成する。LDD領域352はこのス
ペーサを形成する前に形成することにより、自己整合的に形成することができる。スペー
サを導電性材料で形成した場合には、LDD領域が実質的にゲート電極と重畳するゲート
・オーバーラップLDD(Gate-Overlapped LDD)構造とすることができる。
【0158】
このようなスペーサを設けて自己整合的にLDD領域を形成する構造は、特にデザイン
ルールを微細化する場合において有効である。ここでは単極性のTFT構造を示したが、
実施の形態6と同様にCMOS構造を形成することもできる。
【0159】
(実施の形態8)
本発明は様々な半導体装置に適用できるものであり、実施の形態1乃至7に基づいて作
製される表示パネルの形態を説明する。
【0160】
図16において、基板900には画素部902、ゲート信号側駆動回路901a、90
1b、データ信号側駆動回路901c、入出力端子935、配線又は配線群917が備え
られている。シールパターン940はゲート信号側駆動回路901a、901b、データ
信号側駆動回路901c及び当該駆動回路部と入力端子とを接続する配線又は配線群91
7と一部が重なっていても良い。このようにすると、表示パネルの額縁領域(画素部の周
辺領域)の面積を縮小させることができる。入出力端子935には、FPC936が固着
されている。
【0161】
さらに、本発明のTFTを用いてマイクロプロセッサ、メモリ、又はメディアプロセッ
サ/DSP(Digital Signal Processor)等が形成されたチップ950が実装されていても
良い。これらの機能回路は、画素部902、ゲート信号側駆動回路901a、901b、
データ信号側駆動回路901cとは異なるデザインルールで形成されるものであり、具体
的には1μm以下のデザインルールが適用される。実装の方法に限定はなくCOG方式等
が適用されている。
【0162】
例えば、実施の形態1乃至7で示すTFTは画素部902のスイッチング素子として、
さらにゲート信号側駆動回路901a、901b、データ信号側駆動回路901cを構成
する能動素子として適用することができる。
【0163】
図21は画素部902の一画素の構成を示す一例であり、TFT551〜553が備え
られている。これらは、画素に備える発光素子や液晶素子を制御するそれぞれスイッチン
グ用、リセット用、駆動用のTFTである。これらのTFTの作製工程は図17乃至図2
0により示されている。尚、工程の詳細は実施の形態5と同様であり詳細な説明は省略す
る。
【0164】
図17は第2絶縁膜503と、それに開口部504、505を形成した段階を示してい
る。図18では、開口部504、505を形成した後、非晶質半導体膜506を堆積し、
それに線状に集光されたレーザー光507を照射して結晶性半導体膜508を形成する段
階を示している。
【0165】
図19は第2絶縁膜503上にある結晶性半導体膜をエッチングにより選択的に除去し
、開口部を充填する形で結晶性半導体膜でなる島状の半導体膜509、510が形成され
た状態を示している。
【0166】
そして図20に示すように、第2絶縁膜503をエッチングして開口部511〜513
を形成し島状の半導体膜509、510の側面部を部分的に露出させる。さらに、ゲート
絶縁膜(図示せず)及びゲート電極(又はゲート配線)514〜516を形成する。開口
部511〜513は島状の半導体膜509、510がゲート電極(又はゲート配線)51
4〜516と交差する位置に合わせて形成されるものである。これにより、実施の形態5
と同様なゲート構造を得ることができる。その後、n型又はp型の不純物領域を形成し、
絶縁膜を介して信号線518、電源線519、その他各種配線520、521及び画素電
極517を形成することにより、図21で示す画素構造を得ることができる。
【0167】
図24(A)は図21におけるA−A'線に対応する縦断面図を示している。
さらに図24(B)に示すように画素電極517を用いて有機発光素子を形成することが
できる。
【0168】
図24(B)は有機発光素子33からの発光が基板側とは反対側に放射する形態(上方
放射型)の場合を示している。配線521と接続する有機発光素子33の一方の電極であ
る画素電極517を陰極で形成する。有機化合物層27は陰極側から電子注入輸送層、発
光層、正孔注入輸送層の順で形成する。その上層側に形成される陽極29との間には薄い
透光性の金属層28が設けられている。陽極29は酸化インジウムスズ(ITO)、酸化
亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)など透光性導電膜を抵抗加熱蒸着法で形
成する。この金属層28は陽極29を形成するに当たり、有機化合物層27にダメージが
及び素子特性が悪化するのを防いでいる。その後形成する保護膜24、パッシベーション
膜25はを形成する。
【0169】
有機化合物層27を低分子有機化合物で形成する場合には、銅フタロシアニン(CuP
c)と芳香族アミン系材料であるMTDATA及びα−NPDで形成される正孔注入輸送
層、トリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3
で形成される電子注入層兼発光層を積層させて形成することができる。Alq3は一重項
励起状態からの発光(蛍光)を可能としている。
【0170】
輝度を高めるには三重項励起状態からの発光(燐光)を利用することが好ましい。この
場合には、有機化合物層27としてフタロシアニン系材料であるCuPcと芳香族アミン
系材料であるα−NPDで形成される正孔注入輸送層上に、カルバゾール系のCBP+I
r(ppy)3を用いて発光層を形成し、さらにバソキュプロイン(BCP)を用いて正孔
ブロック層、Alq3による電子注入輸送層を積層させた構造とすることもできる。
【0171】
上記二つの構造は低分子系有機化合物を用いた例であるが、高分子系有機化合物と低分
子系有機化合物を組み合わせた有機発光素子を実現することもできる。
例えば、有機化合物層27として陽極側から、高分子系有機化合物のポリチオフェン誘導
体(PEDOT)により正孔注入輸送層、α−NPDによる正孔注入輸送層、CBP+Ir
(ppy)3による発光層、BCPによる正孔ブロック層、Alq3による電子注入輸送層
を積層させても良い。正孔注入層をPEDOTに変えることにより、正孔注入特性が改善
され、発光効率を向上させることができる。
【0172】
いずれにしても、三重項励起状態かからの発光(燐光)は、一重項励起状態からの発光
(蛍光)よりも発光効率が高く、同じ発光輝度を得るにも動作電圧(有機発光素子を発光
させるに要する電圧)を低くすることが可能である。
【0173】
このように本発明を用いて有機発光素子を用いた表示パネルを作製することができる。
また、ここでは例示しなかったが、液晶の電気光学特性を利用した表示パネルを作製する
こともできる。
【0174】
図44も、画素部902の一画素の構成を示す一例であり、TFT5801〜5803
が備えられている。これらは、画素に備える発光素子や液晶素子を制御するそれぞれスイ
ッチング用、リセット用、駆動用のTFTである。
【0175】
これらのTFTのチャネル形成領域を含む島状の半導体領域5812〜5814は、そ
の下層に形成されている下地絶縁膜の開口5810、5811に合わせて形成されている
。島状の半導体領域5812〜5814は実施の形態1〜7に基づいて形成することがで
きる。島状の半導体領域5812〜5814の上層には、ゲート配線5815〜5817
が形成され、パッシベーション膜及び平坦化膜を介して信号線5818、電源線5819
、その他各種配線5820、5821及び画素電極5823が形成されている。
【0176】
このように、本発明は何ら影響を与えることなく表示パネルを完成させることができる

【0177】
(実施の形態9)
本発明を用いて様々な装置を完成させることができる。その一例は、携帯情報端末(電
子手帳、モバイルコンピュータ、携帯電話等)、ビデオカメラ、デジタルカメラ、パーソ
ナルコンピュータ、テレビ受像器、投影型表示装置等が挙げられる。それらの一例を図2
8、図29に示す。
【0178】
図28(A)は本発明を適用してテレビ受像器を完成させる一例であり、筐体3001、
支持台3002、表示部3003等により構成されている。本発明により作製されるTF
Tは表示部3003の他に、各種論理回路、高周波回路、メモリ、マイクロプロセッサ、
メディアプロセッサ、グラフィクス用LSIなど様々な集積回路がガラス上に形成し組み
込むことができ、本発明によりテレビ受像器を完成させることができる。
【0179】
図28(B)は本発明を適用してビデオカメラを完成させた一例であり、本体3011、
表示部3012、音声入力部3013、操作スイッチ3014、バッテリー3015、受
像部3016等により構成されている。本発明により作製されるTFTは表示部3012
の他に、各種論理回路、高周波回路、メモリ、マイクロプロセッサ、メディアプロセッサ
、グラフィクス用LSIなど様々な集積回路がガラス上に形成し組み込むことができ、本
発明によりビデオカメラを完成させることができる。
【0180】
図28(C)は本発明を適用してノート型のパーソナルコンピュータを完成させた一例で
あり、本体3021、筐体3022、表示部3023、キーボード3024等により構成
されている。本発明により作製されるTFTは表示部3023の他、各種論理回路、高周
波回路、メモリ、マイクロプロセッサ、メディアプロセッサ、グラフィクス用LSI、暗
号LSIなど様々な集積回路がガラス上に形成し組み込むことができ、本発明によりパー
ソナルコンピュータを完成させることができる。
【0181】
図28(D)は本発明を適用してPDA(Personal Digital Assistant)を完成させた一例
であり、本体3031、スタイラス3032、表示部3033、操作ボタン3034、外
部インターフェース3035等により構成されている。本発明により作製されるTFTは
表示部3033の他、各種論理回路、高周波回路、メモリ、マイクロプロセッサ、メディ
アプロセッサ、グラフィクス用LSI、暗号LSIなど様々な集積回路がガラス上に形成
し組み込むことができ、本発明によりPDAを完成させることができる。
【0182】
図28(E)は本発明を適用して音響再生装置を完成させた一例であり、具体的には車載
用のオーディオ装置であり、本体3041、表示部3042、操作スイッチ3043、3
044等により構成されている。本発明により作製されるTFTは表示部3042の他、
各種論理回路、高周波回路、メモリ、マイクロプロセッサ、メディアプロセッサ、グラフ
ィクス用LSI、増幅回路など様々な集積回路がガラス上に形成し組み込むことができ、
本発明によりオーディオ装置を完成させることができる。
【0183】
図28(F)は本発明を適用してデジタルカメラを完成させた一例であり、本体3051
、表示部(A)3052、接眼部3053、操作スイッチ3054、表示部(B)3055、
バッテリー3056等により構成されている。本発明により作製されるTFTは表示部(
A)3052および表示部(B)3055の他、各種論理回路、高周波回路、メモリ、マイ
クロプロセッサ、メディアプロセッサ、グラフィクス用LSI、暗号LSIなど様々な集
積回路がガラス上に形成し組み込むことができ、本発明によりデジタルカメラを完成させ
ることができる。
【0184】
図28(G)は本発明を適用して携帯電話を完成させた一例であり、本体3061、音声
出力部3062、音声入力部3063、表示部3064、操作スイッチ3065、アンテ
ナ3066等により構成されている。本発明により作製されるTFTは表示部3064の
他、各種論理回路、高周波回路、メモリ、マイクロプロセッサ、メディアプロセッサ、グ
ラフィクス用LSI、暗号LSI、携帯電話用LSIなど様々な集積回路がガラス上に形
成し組み込むことができ、本発明により携帯電話を完成させることができる。
【0185】
図29(A)はフロント型プロジェクターであり、投射装置2601、スクリーン26
02等を含む。図29(B)はリア型プロジェクターであり、本体2701、投射装置2
702、ミラー2703、スクリーン2704等を含む。
【0186】
尚、図29(C)は、図29(A)及び図29(B)中における投射装置2601、2
702の構造の一例を示した図である。投射装置2601、2702は、光源光学系28
01、ミラー2802、2804〜2806、ダイクロイックミラー2803、プリズム
2807、液晶表示装置2808、位相差板2809、投射光学系2810で構成される
。投射光学系2810は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は三板式の例
を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図29(C)中にお
いて矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位
相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0187】
また、図29(D)は、図29(C)中における光源光学系2801の構造の一例を示
した図である。本実施例では、光源光学系2801は、リフレクター2811、光源28
12、レンズアレイ2813、2814、偏光変換素子2815、集光レンズ2816で
構成される。なお、図29(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。
例えば、光源光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相
差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0188】
尚、ここで示す装置はごく一例であり、これらの用途に限定するものではない。
【0189】
(実施の形態10)
本実施の形態では、図1に示した第2絶縁膜202を形成するにあたって、ガラス基板
をエッチングストッパーとして用い、第2絶縁膜202上に第1絶縁膜201に相当する
絶縁膜を形成する例を示す。
【0190】
図30(A)において、まずガラス基板601上に酸化珪素又は酸化窒化珪素で10〜
3000nm、好ましくは100〜2000nmの厚さで所定の形状で開口部が形成され
た第2絶縁膜602を形成する。詳細は、実施の形態1と同様である。開口部の形成は、
ウェットエッチングでもドライエッチングでも良いが、本実施例では、CHF3ガスを用
いたドライエッチングを用いる。この場合、ガス流量は30〜40sccm、反応圧力は
2.7〜4.0KPa、印加電力は500W、基板温度は20℃とすれば良い。
【0191】
また、本実施の形態の場合、ガラス基板601としては、酸化珪素膜との選択比の高い
材質(例えば、コーニング社製1737ガラス基板等)を用いることが好ましい。選択比
が高ければ第2絶縁膜602の形成にあたって、ガラス基板601をそのままエッチング
ストッパーとして用いることが可能だからである。
【0192】
そして、第2絶縁膜602を形成したら、その上を窒化珪素、窒素含有量が酸素含有量
よりも大きな酸化窒化珪素またはこれらの積層でなる第1絶縁膜603で覆い、さらにそ
の上に非晶質半導体膜604を形成して、図30(B)の状態を得る。これら第1絶縁膜
603及び非晶質半導体膜604の詳細については、実施の形態1の記載を参照すれば良
い。また、図30(B)以降の工程は、実施の形態1に従えば良いのでここでの説明は省
略する。
【0193】
本実施の形態によれば、ガラス基板601と第2絶縁膜602との選択比を十分高く確
保することが可能であるため、第2絶縁膜602の開口部を形成する際のプロセスマージ
ンが向上する。また、第2絶縁膜602の下端部におけるえぐれ等の問題も起こることが
ない。さらに、第2絶縁膜602を設けない部分は、ガラス基板上に窒化珪素膜、窒素含
有量が酸素含有量よりも大きな酸化窒化珪素またはこれらの積層膜という構成となるため
、窒化アルミニウム等の特殊な絶縁膜を用いる必要がない。
【0194】
なお、本実施の形態は、実施の形態1〜9のいずれの構成とも自由に組み合わせて実施
することが可能である。
【0195】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0196】
本実施例は、開口部を有する下地絶縁膜上に結晶性半導体膜を形成し、その開口部に充
填された充填領域にチャネル形成領域が配設されるTFTを作製する一例を示す。
【0197】
図36において、ガラス基板5601上に100nmの酸化窒化珪素膜でなる第1絶縁膜
5602を形成する。その上に酸化珪素膜を形成し、写真蝕刻により矩形状のパターンを
有する第2絶縁膜5603を形成する。酸化珪素膜はプラズマCVD法でTEOSとO2
とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密
度0.6W/cm2で放電させ150nmの厚さに堆積し、その後エッチングにより開口部56
04a、5604bを形成する。
【0198】
尚、図36において(A)は上面図、(B)はA−A'線に対応する縦断面図、(C)
はB−B'線に対応する縦断面図を示す。以降、図37〜図41は同様の扱いとする。
【0199】
そして図37で示すように第1絶縁膜5602及び第2絶縁膜5603を覆う非晶質珪
素膜5605を150nmの厚さで形成する。非晶質珪素膜5605はプラズマCVD法で
SiH4を原料気体として用い形成する。
【0200】
そして、図38で示すように連続発振レーザー光を照射して結晶化させる。結晶化の条
件は、連続発振モードのYVO4レーザー発振器を用い、その第2高調波(波長532nm
)の出力5.5Wを長手方向に400μm、短手方向に50〜100μmに光学系にて長手
方向に均一なエネルギー密度分布を有するように集光し、50cm/secの速度で走査して結
晶化させる。均一なエネルギー密度分布とは、完全に一定であるもの以外を排除すること
ではなく、エネルギー密度分布において許容される範囲は±5%である。このようなレー
ザー光の照射は、図35で示す構成のレーザー照射装置を適用することができる。光学系
にて集光したレーザー光は、その強度分布が長手方向において均一な領域を有し、短手方
向に分布を持っていても良い。結晶化はこの強度分布が長手方向において均一な領域で成
されるようにし、これによりレーザー光の走査方向と平行な方向に結晶成長する効力を高
めることができる。
【0201】
この条件でレーザー光を照射することにより、非晶質珪素膜は瞬間的に溶融し溶融帯が
移動しながら結晶化が進行する。溶融した珪素は表面張力が働いて開口部(凹部)に凝集
し固化する。これにより、開口部5604a、5604bを充填する形態で結晶性半導体
膜5606が形成される。
【0202】
その後図39に示すように、少なくとも開口部5604a、5604bに結晶性半導体
膜が残存するようにマスクパターンを形成してエッチング処理を施し、チャネル形成領域
を含む島状の半導体領域5607、5608を形成する。
【0203】
図40は、半導体領域5607、5608の上層側にゲート絶縁膜5609、ゲート電
極5610、5611が形成された状態を示している。ゲート絶縁膜は80nmの酸化珪素
膜をプラズマCVD法で形成すれば良い。ゲート電極5610、5611はタングステン
又はタングステンを含有する合金で形成する。このような構造とすることにより、開口部
5604a、5604bを充填する島状の半導体領域にチャネル形成領域を設けることが
できる。
【0204】
以降、ソース及びドレイン領域、低濃度ドレイン領域等を適宜形成すればTFTを完成
させることができる。
【実施例2】
【0205】
実施例1と同様な工程で形成されるものであるが、図41で示すように、第2絶縁膜5
603に形成する開口部の形状を、細長い短冊状の領域とそれと連接する領域とで形成し
、その開口部5604cに合わせて結晶性半導体膜で成る島状の半導体領域5620を形
成し、ゲート絶縁膜5621、ゲート電極5622を形成することにより、マルチチャネ
ルTFTを形成することができる。
【実施例3】
【0206】
実施例2において、第2絶縁膜5603を非晶質半導体膜の厚さよりも厚く形成し、例
えば350nmで形成することで、図42に示すように、結晶性半導体膜で形成される島状
の半導体領域5620を開口部5604dに完全に埋め込むことができる。そして、ゲー
ト絶縁膜5621及びゲート電極5622を同様に形成すればマルチチャネルTFTを形
成することができる。
【実施例4】
【0207】
図43はマルチチャネルTFTの他の一例を示している。基板5601上に第1絶縁膜
5602、第2絶縁膜5603、島状の半導体領域5630、ゲート絶縁膜5631、ゲ
ート電極5632は実施例1乃至3と同様に形成するものである。図43において異なる
部分は、第2絶縁膜5603で形成される開口部5604eの他に、島状の半導体領域5
630が形成された後において、チャネル形成領域が形成される当該半導体領域の周辺の
第2絶縁膜を除去して第2の開口部5625を形成している点にある。
【0208】
チャネル形成領域付近の形態を図43(D)に拡大図として示すが、島状の半導体領域
5630の側面及び上面に接してゲート絶縁膜5631が形成され、それを覆う形でゲー
ト電極5632が形成されることになり、この場合チャネル形成領域は半導体領域563
0の上部5634と側面部5635の両方に形成されることになる。これにより空乏化領
域を増やすことができ、TFTの電流駆動能力を向上させることができる。
【実施例5】
【0209】
本実施例では、本発明の半導体装置に用いられる、互いに分離した複数のチャネル形成
領域を有する、所謂マルチチャネルTFTの作製工程について述べる。
【0210】
まず図49(A)に示すように、基板上に凸部6124を有する下地膜6120を形成
する。なお、図49(A)のA−A’における断面図を図49(B)に示し、図49(A
)のB−B’における断面図を図49(C)に示す。
【0211】
本実施例では、実施の形態において示したのと同じ構成を有する下地膜6120を用い
る。下地膜6120は、3つの下地膜からなり、まず窒化珪素からなる第1の下地膜61
21上に、矩形状の酸化珪素から成る第2の下地膜6122が形成されており、第1及び
第2の下地膜6121、6122を覆うように、酸化珪素からなる第3の下地膜6123
が形成されている。本実施例では凸部6124が、矩形状の第2の絶縁膜6122と、第
3の絶縁膜6123のうち第1の絶縁膜6121ではなく第2の絶縁膜6122に接して
いる部分と、で構成されている。
【0212】
なお、凸部6124の形状及びそのサイズついては、設計者が適宜設定することができ
るが、後に形成される半導体膜が凸部のエッジ近傍において膜切れを起こさない程度の厚
さに設定する必要がある。本実施例では凸部の高さを0.1〜1μm程度にする。
【0213】
なお、基板の歪がそのまま後に形成される下地膜6120の形状に影響を与えることに
なる。下地膜の歪は後に形成される半導体膜の結晶性の均一性を乱す原因になるので、基
板の表面を、その歪の差が10nm以下に抑えられるように化学的機械的研磨法(CMP
法)を用いて研磨したり、後の工程における加熱処理により基板が歪まないように、下地
膜を形成する前に予め基板に加熱処理を施しておくと良い。
【0214】
そして、下地膜6120を覆って非単結晶半導体膜6125を形成する。非単結晶半導
体膜6125は、公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により
成膜することができる。本実施例ではプラズマCVD法により300nmの非単結晶半導
体膜6125を成膜した。
【0215】
次に、図50(A)に示すように、非単結晶半導体膜6125にレーザー光を照射し、
結晶化を行なう。なお、図50(B)は、図50(A)の破線A−A’における断面図に
相当する。本実施例では連続発振のYVO4レーザーを用い、50cm/secの走査速
度で照射を行った。このとき、レーザー光の走査方向は、後に形成されるチャネル形成領
域においてキャリアが移動する方向と同じ方向に揃える。本実施例では、白抜きの矢印で
示したように、走査方向を矩形の凸部6124の長手方向に揃えてレーザー光を照射した
。レーザー光の照射により、非単結晶半導体膜6125は溶融し、凸部上から凹部上に体
積が移動し、結晶性半導体膜6126が形成される。
【0216】
次に、図51(A)に示すように結晶性半導体膜6126をパターニングすることで、
サブアイランド6127を形成する。なお、図51(B)は、図51(A)の破線A−A
’における断面図に相当する。サブアイランド6127は、凸部6124間に形成される
凹部上にその一部が存在する。目的とするマルチチャネルTFTのチャネル形成領域は、
結晶性半導体膜6126の凹部上に位置する部分を用いて形成されるので、そのチャネル
形成領域の数、チャネル長、チャネル幅を考慮して、サブアイランド6127と凸部61
24との位置関係を定めることが肝要である。
【0217】
次に、図52(A)に示すようにサブアイランド6127を上面から、第3の下地膜6
123の凸部6124の上面を露出させる程度に除去することで、アイランド6128を
形成する。なお、図52(B)は、図52(A)の破線A−A’における断面図に相当す
る。サブアイランド6127の上面からの除去は、どのような方法を用いて行っても良く
、例えばエッチングにより行っても良いし、CMP法により行っても良い。
【0218】
このサブアイランド6127の上面からの除去により、凸部6124上の粒界が存在す
る部分が除去され、凸部6124間に相当する凹部の上には、粒界が殆ど存在しておらず
、後にチャネル形成領域となる部分において結晶性の良い半導体膜が残される。そして、
図52(A)、(B)に示すような、チャネル形成領域の部分のみ分離したスリット状の
アイランド6128が形成される。なお、ソース領域またはドレイン領域となる部分はチ
ャネル形成領域ほど半導体膜の結晶性によるTFTの特性への影響が大きくない。そのた
め、ソース領域またはドレイン領域となる部分が、チャネル形成領域となる部分に比べて
結晶性が芳しくなくても然程問題にはならない。
【0219】
次に、図53(A)に示すように、下地膜6120の凸部6124の一部を除去し、ア
イランド6128のチャネル形成領域となる部分を露出する。なお、図53(B)は、図
53(A)の破線A−A’における断面図に相当する。この凸部6124の除去は、ドラ
イエッチングでもウェットエッチングでも良く、その他の方法を用いていても良い。エッ
チングに際し、アイランド6128の一部が除去されることもあり得る。
【0220】
なお、凸部6124が完全に除去されずに、チャネル形成領域と一部が接する状態で残
っていても良い。図59(A)に、チャネル形成領域6130の側面が一部第3の下地膜
6123に覆われている程度に、第2の下地膜6122及び第3の下地膜6123が残っ
ている状態を示す。また、下地膜6120のうち、凸部6124以外の部分も多少エッチ
ングされることも有り得る。図59(B)に、第1の下地膜6121が一部エッチングさ
れている状態を示す。
【0221】
また、凸部6124のうち、後に形成されるチャネル形成領域となる部分と接していな
い部分も除去するようにしても良いし、凸部6124を全て除去するようにしても良い。
本実施例では、凸部6124を一部除去することで、第4の下地膜6129が形成される

【0222】
次に、図54(A)に示すように、アイランド6128を用いてTFTを作製する。な
お、TFTの構造及びその作製方法は様々である。図54(B)は、図54(A)の破線
A−A’における断面図に相当し、図54(C)は、図54(A)の破線B−B’におけ
る断面図に相当し、図55(A)は、図54(A)の破線C−C’における断面図に相当
し、図55(B)は、図54(A)の破線D−D’における断面図に相当する。
【0223】
アイランド6128が有するチャネル形成領域6130は、ゲート絶縁膜6131を間
に挟んでゲート電極6132と重なっている。またチャネル形成領域6130は、同じく
アイランド6128が有する2つの不純物領域6133に挟まれている。なお、2つの不
純物領域6133はソース領域又はドレイン領域として機能する。
【0224】
そして、アイランド6128、ゲート絶縁膜6131及びゲート電極6132を覆って
、第1層間絶縁膜6134が形成されている。そして第1層間絶縁膜6134を覆って、
第2層間絶縁膜6135が形成されている。なお、第1層間絶縁膜6134は無機の絶縁
膜であり、第2層間絶縁膜6135が有する炭素等の不純物がアイランド6128に入る
のを防ぐことができる。また第2層間絶縁膜6135は有機樹脂膜であり、後に形成され
る配線が断線されないように、表面を平坦化する効果がある。
【0225】
そして、ゲート絶縁膜6131、第1層間絶縁膜6134及び第2層間絶縁膜6135
に形成されたコンタクトホールを介して、不純物領域6133に接続された配線6136
が、第2層間絶縁膜6135上に形成されている。
【0226】
上記作製工程によって、互いに分離した複数のチャネル形成領域を有するTFTが完成
する。このような構成にすることで、チャネル形成領域のうち、ゲート絶縁膜を間に挟ん
でゲート電極と重なっている領域を広く取ることができるので、チャネル幅を長くするこ
とができる。チャネル幅を長くすることでオン電流を確保しつつ、TFTを駆動させるこ
とで発生した熱を効率的に放熱することができる。
【0227】
なお本発明において、TFTの構造は図53に示したものに限定されない。また、チャ
ネル形成領域の数は4つに限定されず、1つまたは4以外の複数のチャネル形成領域を有
していても良い。
【0228】
また、TFTの構造は上記構成に限定されず、例えば、図56に示すような構成を有し
ていても良い。図56(A)に示すTFTは、2層の導電膜6140、6141からなる
ゲート電極を有している。該導電膜6140の上面及び導電膜6141の側面に接するよ
うに、絶縁膜からなるサイドウォール6142が形成されている。例えば導電膜6140
としてTaN、導電膜6141としてWを用い、サイドウォール6142としてSiO2
などを用いることができる。図56(B)に示すTFTは、2層の導電膜6144、61
45からなるゲート電極を有している。該導電膜6144は不純物領域の一部と重なって
いる。
【0229】
なお、上記工程において、レーザー光の照射後または結晶質珪素膜を下地膜の凸部が露
出する程度にエッチングした後において、500〜600℃で1分から60分程度加熱す
ることで、半導体膜内において生じている応力を緩和することができる。
【0230】
本発明では、絶縁膜の凹部上に位置する半導体膜を、TFTの活性層として積極的に用
いることで、TFTのチャネル形成領域に粒界が形成されるのを防ぐことができ、粒界に
よってTFTの移動度が著しく低下したり、オン電流が低減したり、オフ電流が増加した
りするのを防ぐことができる。
【実施例6】
【0231】
本実施例では、実施例5とは工程順序が異なる、アイランドの作製方法について説明す
る。なお、各工程の詳しい説明については、実施例5を参照する。
【0232】
図57(A)に示すように、まず矩形状の凸部6301を有する下地膜を形成し、該下
地膜上に非単結晶半導体膜6302を形成する。次に、該非単結晶半導体膜6302にレ
ーザー光を照射し、結晶性半導体膜6303を形成する(図57(B))。
【0233】
次に、結晶性半導体膜6303を、凸部6301の上面が露出する程度まで、その表面
から一部を除去していく。なお、本実施例ではエッチングを用いて除去を行い、除去後の
結晶性半導体膜をここでは結晶性半導体膜(エッチング後)6304とする(図57(C
))。
【0234】
次に、結晶性半導体膜(エッチング後)6304をパターニングし、アイランド630
5を形成する(図57(D))。そして、アイランド6305のチャネル形成領域となる
部分を露出するように、凸部6301の一部または全てを除去する。なお、本実施例では
エッチングを用いて凸部6301の一部のみを除去し、凸部(エッチング後)6306を
形成した(図57(E))。
【0235】
なお、上記工程において、レーザー光の照射後、結晶性半導体膜を下地膜の凸部が露出
する程度にエッチングした後またはアイランドを形成した後において、500〜600℃
で1分から60分程度加熱することで、半導体膜内において生じている応力を緩和するこ
とができる。
【0236】
上記工程によって、アイランドを形成する前に、結晶性半導体膜を下地膜の凸部が露出
する程度にエッチングすることで、アイランドの端部及び側面が一部エッチングによって
除去されてしまうのを防ぐことができる。
【実施例7】
【0237】
本実施例では、実施例5、6とは工程順序が異なる、アイランドの作製方法について説
明する。なお、各工程の詳しい説明については、実施例5を参照する。
【0238】
図58(A)に示すように、まず矩形状の凸部6311を有する下地膜を形成し、該下
地膜上に非単結晶半導体膜6312を形成する。
【0239】
次に、非単結晶半導体膜6312をパターニングし、サブアイランド6313を形成す
る(図58(B))。
【0240】
次に、該サブアイランド6313にレーザー光を照射し、結晶化させる。本実施例では
結晶化後のサブアイランドをサブアイランド(結晶化後)6314とする(図58(C)
)。
【0241】
次に、サブアイランド(結晶化後)6314を、凸部6311の上面が露出する程度ま
で、その表面から一部を除去していく。なお、本実施例ではエッチングを用いて除去を行
い、アイランド6315を形成する(図58(D))。
【0242】
そして、アイランド6315のチャネル形成領域となる部分を露出するように、凸部6
311の一部または全てを除去する。なお、本実施例ではエッチングを用いて凸部631
1の一部のみを除去し、凸部(エッチング後)6316を形成した(図58(E))。
【0243】
なお、上記工程において、レーザー光の照射後またはアイランドを形成した後において
、500〜600℃で1分から60分程度加熱することで、半導体膜内において生じてい
る応力を緩和することができる。
【実施例8】
【0244】
本実施例では、複数の凸部を用いて、マルチチャネルTFTと、チャネル形成領域を1
つだけ有するシングルチャネルTFTとを形成する例について説明する。
【0245】
図60(A)に、矩形状の複数の凸部6330を有する下地膜を示す。該下地膜上に形
成されたアイランドを用いたTFTを、図60(B)に示す。図60(B)では、4つの
チャネル形成領域を有するマルチチャネルTFT6331と、2つのチャネル形成領域を
有するマルチチャネルTFT6332と、シングルチャネル型TFT6333とを有して
いる。
【0246】
各TFTは、チャネル形成領域が凸部6330間に位置する凹部上に形成されている。
より好ましくは、チャネル形成領域と、LDD領域とが凸部6330間に位置する凹部上
に形成されていることが望ましい。
【0247】
本実施例は、実施例5〜7と組み合わせて実施することが可能である。
【実施例9】
【0248】
本実施例では、半導体膜の結晶化に際し、レーザー光の照射の工程と、触媒を用いて半
導体膜を結晶化させる工程とを組み合わせた例について説明する。触媒元素を用いる場合
、特開平7−130652号公報、特開平8−78329号公報で開示された技術を用い
ることが望ましい。
【0249】
まず図61(A)に示すように、凸部6350を有する下地膜6351上に、非単結晶
半導体膜6352を成膜する。次に触媒元素を用いて非単結晶半導体膜6352を結晶化
させる(図61(B))。例えば特開平7−130652号公報に開示されている技術を
用いる場合、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液を非単結晶半導
体膜6352に塗布してニッケル含有層6353を形成し、500℃、1時間の脱水素工
程の後、500〜650℃で4〜12時間、例えば550℃、8時間の熱処理を行い、結
晶性が高められた結晶性半導体膜6354を形成する。尚、使用可能な触媒元素は、ニッ
ケル(Ni)の以外にも、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、ス
ズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、
といった元素を用いても良い。
【0250】
そして、レーザー光照射により、NiSPCにより結晶化された結晶性半導体膜(Ni
SPC後)6354から、結晶性がさらに高められた結晶性半導体膜(LC後)6355
が形成される(図61(C))。結晶性半導体膜(LC後)6355は、レーザー光の照
射の際に一次的に溶融し、凸部6350の上部から凹部に向かって体積移動し、表面が平
坦化される。そして、凸部6350上においてその膜厚が薄くなっており、応力によって
粒界6356ができやすくなっている。
【0251】
次に、結晶性半導体膜(LC後)6355中の触媒元素をゲッタリングする工程につい
て説明する。なお本実施例ではゲッタリングをレーザー光の照射後に行なっているが、結
晶性半導体膜(LC後)6355をエッチングしてから行っても良い。
【0252】
結晶性半導体膜(LC後)6355に珪素を主成分とするバリア層6357を形成する
(図61(D))。なお、このバリア層6357は極薄いものでよく、自然酸化膜であっ
てもよいし、酸素を含む雰囲気下において紫外線の照射によりオゾンを発生させて酸化さ
せる酸化膜であってもよい。また、このバリア層6357として、炭素、即ち有機物の除
去のために行われるヒドロ洗浄と呼ばれる表面処理に使用するオゾンを含む溶液で酸化さ
せた酸化膜であってもよい。このバリア層6357は、主にエッチングストッパーとして
用いるものである。また、このバリア層6357を形成した後、チャネルドープを行い、
その後、強光を照射して活性化させてもよい。
【0253】
次いで、バリア層6357上にゲッタリング用の第1半導体膜6358を形成する。こ
のゲッタリング用の第1半導体膜6358は非晶質構造を有する半導体膜であってもよい
し、結晶構造を有する半導体膜であってもよい。このゲッタリング用の第1半導体膜63
58の膜厚は、5〜50nm、好ましくは10〜20nmとする。ゲッタリング用の第1
半導体膜6358には、酸素(SIMS分析での濃度が5×1018atoms/cm3以上、好ま
しくは1×1019atoms/cm3以上)を含有させてゲッタリング効率を向上させることが望
ましい。
【0254】
次に、ゲッタリング用の第1半導体膜6358上に希ガス元素を含む第2の半導体膜(
ゲッタリングサイト)6359を形成する。このゲッタリング用の第2半導体膜6359
はプラズマCVD法、減圧熱CVD法、またはスパッタ法を用いた非晶質構造を有する半
導体膜であってもよいし、結晶構造を有する半導体膜であってもよい。第2の半導体膜は
、成膜段階で希ガス元素を含む半導体膜であってもよいし、希ガス元素を含んでいない半
導体膜の成膜後に希ガス元素を添加してもよい。本実施例では成膜段階で希ガス元素を含
むゲッタリング用の第2半導体膜6359を形成した後、さらに希ガス元素を選択的に添
加してゲッタリング用の第2半導体膜6359を形成した例を示した。また、ゲッタリン
グ用の第1半導体膜と第2半導体膜とを大気に触れることなく連続的に成膜してもよい。
また、第1の半導体膜の膜厚と第2の半導体膜の膜厚との和は30〜200nm、例えば
50nmとすればよい。
【0255】
本実施例は、ゲッタリング用の第1半導体膜6358によって、結晶性半導体膜(LC
後)6355と第2の半導体膜6359との間隔を空けている。ゲッタリングの際、結晶
性半導体膜(LC後)6355中に存在する金属等の不純物元素は、ゲッタリングサイト
の境界付近に集まりやすい傾向があるため、本実施例のようにゲッタリング用の第1半導
体膜6358によって、ゲッタリングサイトの境界を結晶性半導体膜(LC後)6355
から遠ざけてゲッタリング効率を向上させることが望ましい。加えて、ゲッタリング用の
第1半導体膜6358は、ゲッタリングの際、ゲッタリングサイトに含まれる不純物元素
が拡散して第1の半導体膜の界面に達することがないようにブロッキングする効果も有し
ている。
また、ゲッタリング用の第1半導体膜6358は、希ガス元素を添加する場合、結晶性半
導体膜(LC後)6355にダメージを与えないように保護する効果も有している。
【0256】
次いで、ゲッタリングを行う。ゲッタリングを行う工程としては、窒素雰囲気中で45
0〜800℃、1〜24時間、例えば550℃にて14時間の熱処理を行えばよい。また
、熱処理に代えて強光を照射してもよい。また、熱処理に加えて強光を照射してもよい。
また、加熱したガスを噴射して基板を加熱するようにしても良い。この場合、600℃〜
800℃、より望ましくは650℃〜750℃で1〜60分加熱を行えば良く。時間を短
縮化することができる。このゲッタリングにより、図61(D)中の矢印に示したように
第2半導体膜6359に不純物元素が移動し、バリア層6357で覆われた結晶性半導体
膜(LC後)6355に含まれる不純物元素の除去、または不純物元素の濃度の低減が行
われる。
このゲッタリングにより、含まれる不純物元素がほとんど存在しない、即ち膜中の不純物
元素濃度が1×1018atoms/cm3以下、望ましくは1×1017atoms/cm3以下になるような
結晶性半導体膜(ゲッタリング後)6360が形成される。
【0257】
次いで、バリア層6357をエッチングストッパーとして、ゲッタリング用の第1半導
体膜6358と、第2の半導体膜6359を選択的に除去する。
【0258】
そしてバリア層6357をエッチング条件を変えて除去した後、図61(E)
に示すように、凸部6350の上面を露出させる程度に結晶性半導体膜(ゲッタリング後
)6360をエッチングし、エッチング後の結晶性半導体膜6361が凹部に形成される
。そして、凸部6350をエッチングすることでアイランド6362が形成される。
【0259】
なお、結晶化前の半導体膜に触媒元素を含む溶液を塗布した後に、SPCではなく、レ
ーザー光の照射により結晶成長を行うようにしても良い。またゲッタリングは、特開平1
0−135468号公報または特開平10−135469号公報等に記載された技術を用
いても良い。
【0260】
なお本実施例ではレーザー光を照射した後にゲッタリングを行っているが、本発明はこ
の構成に限定されない。図61(E)のエッチングを行った後にゲッタリングをするよう
にしても良い。
【0261】
本実施例は、実施例1〜4と組み合わせて実施することが可能である。
【実施例10】
【0262】
次に、本発明において用いられるレーザー照射装置の構成について、図64を用いて説
明する。6151はレーザー発振装置である。図64では4つのレーザー発振装置を用い
ているが、レーザー照射装置が有するレーザー発振装置はこの数に限定されない。
【0263】
なお、レーザー発振装置6151は、チラー6152を用いてその温度を一定に保つよ
うにしても良い。チラー6152は必ずしも設ける必要はないが、レーザー発振装置61
51の温度を一定に保つことで、出力されるレーザー光のエネルギーが温度によってばら
つくのを抑えることができる。
【0264】
また6154は光学系であり、レーザー発振装置6151から出力された光路を変更し
たり、そのレーザービームの形状を加工したりして、レーザー光を集光することができる
。さらに、図64のレーザー照射装置では、光学系6154によって、複数のレーザー発
振装置6151から出力されたレーザー光のレーザービームを互いに一部を重ね合わせる
ことで、合成することができる。
【0265】
なお、レーザー光の進行方向を極短時間で変化させるAO変調器6153を、被処理物
である基板6156とレーザー発振装置6151との間の光路に設けても良い。また、A
O変調器の代わりに、アテニュエイター(光量調整フィルタ)
を設けて、レーザー光のエネルギー密度を調整するようにしても良い。
【0266】
また、被処理物である基板6156とレーザー発振装置6151との間の光路に、レー
ザー発振装置6151から出力されたレーザー光のエネルギー密度を測定する手段(エネ
ルギー密度測定手段)6165を設け、測定したエネルギー密度の経時変化をコンピュー
ター6160において監視するようにしても良い。この場合、レーザー光のエネルギー密
度の減衰を補うように、レーザー発振装置6151からの出力を高めるようにしても良い

【0267】
合成されたレーザービームは、スリット6155を介して被処理物である基板6156
に照射される。スリット6155は、レーザー光を遮ることが可能であり、なおかつレー
ザー光によって変形または損傷しないような材質で形成するのが望ましい。そして、スリ
ット6155はスリットの幅が可変であり、該スリットの幅によってレーザービームの幅
を変更することができる。
【0268】
なお、スリット6155を介さない場合の、レーザー発振装置6151から発振される
レーザー光の基板6156におけるレーザービームの形状は、レーザーの種類によって異
なり、また光学系により成形することもできる。
【0269】
基板6156はステージ6157上に載置されている。図64では、位置制御手段61
58、6159が、被処理物におけるレーザービームの位置を制御する手段に相当してお
り、ステージ6157の位置が、位置制御手段6158、6159によって制御されてい
る。
【0270】
図64では、位置制御手段6158がX方向におけるステージ6157の位置の制御を
行っており、位置制御手段6159はY方向におけるステージ6157の位置制御を行う

【0271】
また図64のレーザー照射装置は、メモリ等の記憶手段及び中央演算処理装置を兼ね備
えたコンピューター6160を有している。コンピューター6160は、レーザー発振装
置6151の発振を制御し、レーザー光の走査経路を定め、なおかつレーザー光のレーザ
ービームが定められた走査経路にしたがって走査されるように、位置制御手段6158、
6159を制御し、基板を所定の位置に移動させることができる。
【0272】
なお図64では、レーザービームの位置を、基板を移動させることで制御しているが、
ガルバノミラー等の光学系を用いて移動させるようにしても良いし、その両方であっても
よい。
【0273】
さらに図64では、コンピューター6160によって、該スリット6155の幅を制御
し、マスクのパターン情報に従ってレーザービームの幅を変更することができる。なおス
リットは必ずしも設ける必要はない。
【0274】
さらにレーザー照射装置は、被処理物の温度を調節する手段を備えていても良い。また
、レーザー光は指向性およびエネルギー密度の高い光であるため、ダンパーを設けて、反
射光が不適切な箇所に照射されるのを防ぐようにしても良い。
ダンパーは、反射光を吸収させる性質を有していることが望ましく、ダンパー内に冷却水
を循環させておき、反射光の吸収により隔壁の温度が上昇するのを防ぐようにしても良い
。また、ステージ6157に基板を加熱するための手段(基板加熱手段)を設けるように
しても良い。
【0275】
なお、マーカーをレーザーで形成する場合、マーカー用のレーザー発振装置を設けるよ
うにしても良い。この場合、マーカー用のレーザー発振装置の発振を、コンピューター6
160において制御するようにしても良い。さらにマーカー用のレーザー発振装置を設け
る場合、マーカー用のレーザー発振装置から出力されたレーザー光を集光するための光学
系を別途設ける。なおマーカーを形成する際に用いるレーザーは、代表的にはYAGレー
ザー、CO2レーザー等が挙げられるが、無論この他のレーザーを用いて形成することは
可能である。
【0276】
またマーカーを用いた位置合わせのために、CCDカメラ6163を1台、場合によっ
ては数台設けるようにしても良い。なおCCDカメラとは、CCD(電荷結合素子)を撮
像素子として用いたカメラを意味する。
【0277】
なお、マーカーを設けずに、CCDカメラ6163によって絶縁膜または半導体膜のパ
ターンを認識し、基板の位置合わせを行うようにしても良い。この場合、コンピューター
6160に入力されたマスクによる絶縁膜または半導体膜のパターン情報と、CCDカメ
ラ6163において収集された実際の絶縁膜または半導体膜のパターン情報とを照らし合
わせて、基板の位置情報を把握することができる。この場合マーカーを別途設ける必要が
ない。
【0278】
なお必ずしもCCDを用いて形状を把握するのではなく、例えばレーザーダイオードか
ら発せられるレーザー光を絶縁膜または半導体膜に照射し、反射してきた光をモニターす
ることで、形状を把握するようにしても良い。
【0279】
また、基板に入射したレーザー光は該基板の表面で反射し、入射したときと同じ光路を
戻る、いわゆる戻り光となるが、該戻り光はレーザの出力や周波数の変動や、ロッドの破
壊などの悪影響を及ぼす。そのため、前記戻り光を取り除きレーザの発振を安定させるた
め、アイソレータを設置するようにしても良い。
【0280】
なお、図64では、レーザー発振装置を複数台設けたレーザー照射装置の構成について
示したが、レーザー発振装置は1台であってもよい。図65にレーザー発振装置が1台の
、レーザー照射装置の構成を示す。図65において、6201はレーザー発振装置、62
02はチラーである。また6215はエネルギー密度測定装置、6203はAO変調器、
6204は光学系、6205はスリット、6213はCCDカメラである。基板6206
はステージ6207上に設置し、ステージ6207の位置はX方向位置制御手段6208
、Y方向位置制御手段6209によって制御されている。そして図64に示したものと同
様に、コンピューター6210によって、レーザー照射装置が有する各手段の動作が制御
されており、図64と異なるのはレーザー発振装置が1つであることである。また光学系
6204は図64の場合と異なり、1つのレーザー光を集光する機能を有していれば良い

【0281】
なお、半導体膜全体にレーザー光を走査して照射するのではなく、少なくとも必要不可
欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザー光を走査することで、半導体膜を結晶化さ
せた後パターニングにより除去される部分にレーザー光を照射する時間を省くことができ
、基板1枚あたりにかかる処理時間を大幅に短縮することができる。
【0282】
本実施例は、実施例5〜9と組み合わせて実施することが可能である。
【実施例11】
【0283】
本実施例では、凹凸を有する下地膜の形成の仕方について説明する。
【0284】
まず、図62(A)に示すように、基板6250上に絶縁膜からなる第1の下地膜62
51を成膜する。第1の下地膜6251は本実施例では酸化窒化珪素を用いるがこれに限
定されず、第2の下地膜とエッチングにおける選択比が大きい絶縁膜であれば良い。本実
施例では第1の下地膜6251をCVD装置でSiH4とN2Oを用いて50〜200nmの
厚さになるように形成した。なお第1の下地膜は単層であっても、複数の絶縁膜を積層し
た構造であってもよい。
【0285】
次に、図62(B)に示すように、第1の下地膜6251に接するように絶縁膜からな
る第2の下地膜6252を形成する。第2の下地膜6252は後の工程においてパターニ
ングし、凹凸を形成したときに、その後に成膜される半導体膜の表面に凹凸が現れる程度
の膜厚にする必要がある。本実施例では第2の下地膜6252として、プラズマCVD法
を用いて30nm〜300nmの酸化珪素を形成する。
【0286】
次に、図62(C)に示すようにマスク6253を形成し、第2の下地膜6252をエ
ッチングする。なお本実施例では、フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)を7.13%
とフッ化アンモニウム(NH4F)を15.4%含む混合溶液(ステラケミファ社製、商
品名LAL500)をエッチャントとし、20℃においてウエットエッチングを行う。こ
のエッチングにより、矩形状の凸部6254が形成される。本明細書では、第1の下地膜
6251と凸部6254とを合わせて1つの下地膜とみなす。
【0287】
なお、第1の下地膜6251として窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムまたは窒
化珪素を用い、第2の下地膜6252として酸化珪素膜を用いる場合、RFスパッタ法を
用いて第2の下地膜6252をパターニングすることが望ましい。第1の下地膜6251
として窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムまたは窒化珪素は熱伝導度が高いので、
発生した熱をすばやく拡散することができ、TFTの劣化を防ぐことができる。
【0288】
次に、第1の下地膜6251と凸部6254を覆うように半導体膜を形成する。本実施
例では凸部の厚さが30nm〜300nmであるので、半導体膜の膜厚を50〜200n
mとするのが望ましく、ここでは60nmとする。なお、半導体膜と下地膜との間に不純
物が混入すると、半導体膜の結晶性に悪影響を与え、作製するTFTの特性バラツキやし
きい値電圧の変動を増大させる可能性があるため、下地膜と半導体膜とは連続して成膜す
るのが望ましい。そこで本実施例では、第1の下地膜6251と凸部6254とからなる
下地膜を形成した後は、酸化珪素膜6255を薄く該下地膜上に成膜し、その後大気にさ
らさないように連続して半導体膜6256を成膜する。酸化珪素膜の厚さは設計者が適宜
設定することができるが、本実施例では5nm〜30nm程度とした。
【0289】
次に、図62とは異なる下地膜の形成の仕方について説明する。まず図63(A)に示
すように基板6260上に絶縁膜からなる第1の下地膜を形成する。第1の下地膜は、酸
化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜などで形成する。
【0290】
酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法で、オルトケイ酸テトラエチル(Tetr
aethyl Orthosilicate:TEOS)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300
〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形
成することができる。酸化窒化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4
2O、NH3から作製される酸化窒化珪素膜、またはSiH4、N2Oから作製される酸化
窒化珪素膜で形成すれば良い。この場合の作製条件は反応圧力20〜200Pa、基板温度
300〜400℃とし、高周波(60MHz)電力密度0.1〜1.0W/cm2で形成すること
ができる。また、SiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化珪素膜を適用して
も良い。窒化珪素膜も同様にプラズマCVD法でSiH4、NH3から作製することが可能
である。
【0291】
第1の下地膜は20〜200nm(好ましくは30〜60nm)の厚さに基板の全面に形成
した後、図63(B)に示すように、フォトリソグラフィーの技術を用いマスク6262
を形成する。そして、エッチングにより不要な部分を除去して、矩形状の凸部6263を
形成する。第1の下地膜6261に対してはフッ素系のガスを用いたドライエッチング法
を用いても良いし、フッ素系の水溶液を用いたウエットエッチング法を用いても良い。後
者の方法を選択する場合には、例えば、フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)を7.1
3%とフッ化アンモニウム(NH4F)を15.4%含む混合溶液(ステラケミファ社製
、商品名LAL500)でエッチングすると良い。
【0292】
次いで、凸部6263及び基板6260を覆うように、絶縁膜からなる第2の下地膜6
264を形成する。この層は第1の下地膜6261と同様に酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸
化窒化珪素膜などで50〜300nm(好ましくは100〜200nm)の厚さに形成する。
【0293】
上記作製工程によって、凸部6263及び第2の下地膜6264からなる下地膜が形成
される。なお、第2の下地膜6264を形成した後、大気に曝さないように連続して半導
体膜を成膜するようにすることで、半導体膜と下地膜の間に大気中の不純物が混入するの
を防ぐことができる。
【0294】
本実施例は実施例5〜10と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例12】
【0295】
本実施例では、複数のレーザービームを重ね合わせることで合成される、レーザービー
ムの形状について説明する。
【0296】
図66(A)に、複数のレーザー発振装置からそれぞれ発振されるレーザー光の、スリ
ットを介さない場合の被処理物におけるレーザービームの形状の一例を示す。図66(A
)に示したレーザービームは楕円形状を有している。なお本発明において、レーザー発振
装置から発振されるレーザー光のレーザービームの形状は、楕円に限定されない。レーザ
ービームの形状はレーザーの種類によって異なり、また光学系により成形することもでき
る。例えば、ラムダ社製のXeClエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅30n
s)L3308から射出されたレーザー光の形状は、10mm×30mm(共にビームプ
ロファイルにおける半値幅)の矩形状である。また、YAGレーザーから射出されたレー
ザー光の形状は、ロッド形状が円筒形であれば円状となり、スラブ型であれば矩形状とな
る。このようなレーザー光を光学系により、さらに成形することにより、所望の大きさの
レーザー光をつくることもできる。
【0297】
図66(B)に図66(A)に示したレーザービームの長軸Y方向におけるレーザー光
のエネルギー密度の分布を示す。図66(A)に示すレーザービームは、図66(B)に
おけるエネルギー密度のピーク値の1/e2のエネルギー密度を満たしている領域に相当
する。レーザービームが楕円形状であるレーザー光のエネルギー密度の分布は、楕円の中
心Oに向かうほど高くなっている。このように図66(A)に示したレーザービームは、
中心軸方向におけるエネルギー密度がガウス分布に従っており、エネルギー密度が均一だ
と判断できる領域が狭くなる。
【0298】
次に、図66(A)に示したレーザービームを有するレーザー光を合成したときの、レ
ーザービームの形状を、図66(C)に示す。なお図66(C)では4つのレーザー光の
レーザービームを重ね合わせることで1つの線状のレーザービームを形成した場合につい
て示しているが、重ね合わせるレーザービームの数はこれに限定されない。
【0299】
図66(C)に示すように、各レーザー光のレーザービームは、各楕円の長軸が一致し
、なおかつ互いにレーザービームの一部が重なることで合成され、1つのレーザービーム
6385が形成されている。なお以下、各楕円の中心Oを結ぶことで得られる直線をレー
ザービーム6385の中心軸とする。
【0300】
図66(D)に、図66(A)に示した合成後のレーザービームの、中心軸y方向にお
けるレーザー光のエネルギー密度の分布を示す。なお、図66(C)に示すレーザービー
ムは、図66(B)におけるエネルギー密度のピーク値の1/e2のエネルギー密度を満
たしている領域に相当する。合成前の各レーザービームが重なり合っている部分において
、エネルギー密度が加算される。例えば図示したように重なり合ったビームのエネルギー
密度E1とE2を加算すると、ビームのエネルギー密度のピーク値E3とほぼ等しくなり
、各楕円の中心Oの間においてエネルギー密度が平坦化される。
【0301】
なお、E1とE2を加算するとE3と等しくなるのが理想的だが、現実的には必ずしも
等しい値にはならない。E1とE2を加算した値とE3との値のずれの許容範囲は、設計
者が適宜設定することが可能である。
【0302】
レーザービームを単独で用いると、エネルギー密度の分布がガウス分布に従っているの
で、絶縁膜の平坦な部分に接している半導体膜またはアイランドとなる部分全体に均一な
エネルギー密度のレーザー光を照射することが難しい。しかし、図66(D)からわかる
ように、複数のレーザー光を重ね合わせてエネルギー密度の低い部分を互いに補い合うよ
うにすることで、複数のレーザー光を重ね合わせないで単独で用いるよりも、エネルギー
密度が均一な領域が拡大され、半導体膜の結晶性を効率良く高めることができる。
【0303】
なお、計算によって求めた図66(C)のB−B’、C−C’におけるエネルギー密度
の分布を、図67に示す。なお、図67は、合成前のレーザービームの、ピーク値の1/
2のエネルギー密度を満たしている領域を基準としている。
合成前のレーザービームの短軸方向の長さを37μm、長軸方向の長さを410μmとし、
中心間の距離を192μmとしたときの、B−B’、C−C’におけるエネルギー密度は
、それぞれ図67(A)、図67(B)に示すような分布を有している。B−B’の方が
C−C’よりも弱冠小さくなっているが、ほぼ同じ大きさとみなすことができ、合成前の
レーザービームのピーク値の1/e2のエネルギー密度を満たしている領域における、合
成されたレーザービームの形状は、線状と言い表すことができる。
【0304】
図68(A)は、合成されたレーザービームのエネルギー密度分布を示す図である。6
380で示した領域はエネルギー密度が均一な領域であり、6381で示した領域はエネ
ルギー密度が低い領域である。図68において、レーザービームの中心軸方向の長さをW
TBWとし、エネルギー密度が均一な領域6380における中心軸方向の長さをWmaxとする
。WTBWがWmaxに比べて大きくなればなるほど、結晶化に用いることができるエネルギー
密度が均一な領域6380に対する、半導体膜の結晶化に用いることができないエネルギ
ー密度が均一ではない領域6381の割合が大きくなる。エネルギー密度が均一ではない
領域6381のみが照射された半導体膜は、微結晶が生成し結晶性が芳しくない。よって
半導体膜のアイランドとなる領域と、領域6381のみを重ねないように、走査経路及び
絶縁膜の凹凸のレイアウトを定める必要が生じ、領域6380に対する領域6381の比
率が高くなるとその制約はさらに大きくなる。よってスリットを用いて、エネルギー密度
が均一ではない領域6381のみが絶縁膜の凹部または凸部上に形成された半導体膜に照
射されるのを防ぐことは、走査経路及び絶縁膜の凹凸のレイアウトの際に生じる制約を小
さくするのに有効である。
【0305】
本実施例は実施例6〜12と組み合わせて実施することが可能である。
【実施例13】
【0306】
本実施例では、本発明に用いられるレーザー照射装置の光学系と、各光学系とスリット
との位置関係について説明する。
【0307】
楕円形状のレーザービームを有するレーザー光は、走査方向と垂直な方向におけるエネ
ルギー密度の分布がガウス分布に従っているので、エネルギー密度の低い領域の全体に占
める割合が、矩形または線形のレーザービームを有するレーザー光に比べて高い。そのた
め本発明では、レーザー光のレーザービームが、エネルギー密度の分布が比較的均一な矩
形または線形であることが望ましい。
【0308】
図69は、レーザービームを4つ合成して1つのレーザービームにする場合の光学系を
示している。図69に示す光学系は、6つのシリンドリカルレンズ6417〜6422を
有している。矢印の方向から入射した4つのレーザー光は、4つのシリンドリカルレンズ
6419〜6422のそれぞれに入射する。そしてシリンドリカルレンズ6419、64
21において成形された2つのレーザー光は、シリンドリカルレンズ6417において再
びそのレーザービームの形状が成形されて被処理物6423に照射される。一方シリンド
リカルレンズ6420、6422において成形された2つのレーザー光は、シリンドリカ
ルレンズ6418において再びそのレーザービームの形状が成形されて被処理物6423
に照射される。
【0309】
被処理物6423における各レーザー光のレーザービームは、互いに一部重なることで
合成されて1つのレーザービームを形成している。
【0310】
各レンズの焦点距離及び入射角は設計者が適宜設定することが可能であるが、被処理物
6423に最も近いシリンドリカルレンズ6417、6418の焦点距離は、シリンドリ
カルレンズ6419〜6422の焦点距離よりも小さくする。
例えば、被処理物6423に最も近いシリンドリカルレンズ6417、6418の焦点距
離を20mmとし、シリンドリカルレンズ6419〜6422の焦点距離を150mmと
する。そしてシリンドリカルレンズ6417、6418から被処理物400へのレーザー
光の入射角は、本実施例では25°とし、シリンドリカルレンズ6419〜6422から
シリンドリカルレンズ6417、6418へのレーザー光の入射角を10°とするように
各レンズを設置する。なお、戻り光を防ぎ、また均一な照射を行なうために、レーザー光
の基板への入射角度を0°より大きく、望ましくは5〜30°に保つのが望ましい。
【0311】
図69では、4つのレーザービームを合成する例について示しており、この場合4つの
レーザー発振装置にそれぞれ対応するシリンドリカルレンズを4つと、該4つのシリンド
リカルレンズに対応する2つのシリンドリカルレンズとを有している。合成するレーザー
ビームの数はこれに限定されず、合成するレーザービームの数は2以上8以下であれば良
い。n(n=2、4、6、8)のレーザービームを合成する場合、nのレーザー発振装置
にそれぞれ対応するnのシリンドリカルレンズと、該nのシリンドリカルレンズに対応す
るn/2のシリンドリカルレンズとを有している。n(n=3、5、7)のレーザービー
ムを合成する場合、nのレーザー発振装置にそれぞれ対応するnのシリンドリカルレンズ
と、該nのシリンドリカルレンズに対応する(n+1)/2のシリンドリカルレンズとを
有している。
【0312】
そして、レーザービームを5つ以上重ね合わせるとき、光学系を配置する場所及び干渉
等を考慮すると、5つ目以降のレーザー光は基板の反対側から照射するのが望ましく、そ
の場合スリットを基板の反対側にも設ける必要がある。また、基板は透過性を有している
ことが必要である。
【0313】
なお、戻り光がもときた光路をたどって戻るのを防ぐために、基板に対する入射角は、
0より大きく90°より小さくなるように保つようにするのが望ましい。
【0314】
また、均一なレーザー光の照射を実現するためには、照射面に垂直な平面であって、か
つ合成前の各ビームの形状をそれぞれ長方形と見立てたときの短辺を含む面または長辺を
含む面のいずれか一方を入射面と定義すると、前記レーザー光の入射角度θは、入射面に
含まれる前記短辺または前記長辺の長さがW、前記照射面に設置され、かつ、前記レーザ
ー光に対して透光性を有する基板の厚さがdであるとき、θ≧arctan(W/2d)を満たすの
が望ましい。この議論は合成前の個々のレーザー光について成り立つ必要がある。なお、
レーザー光の軌跡が、前記入射面上にないときは、該軌跡を該入射面に射影したものの入
射角度をθとする。この入射角度θでレーザー光が入射されれば、基板の表面での反射光
と、前記基板の裏面からの反射光とが干渉せず、一様なレーザー光の照射を行うことがで
きる。以上の議論は、基板の屈折率を1として考えた。実際は、基板の屈折率が1.5前
後のものが多く、この数値を考慮に入れると上記議論で算出した角度よりも大きな計算値
が得られる。しかしながら、ビームスポットの長手方向の両端のエネルギーは減衰がある
ため、この部分での干渉の影響は少なく、上記の算出値で十分に干渉減衰の効果が得られ
る。上記のθに対する不等式は、基板がレーザービームに対して透光性のあるもの以外に
は適用されない。
【0315】
なお本発明に用いられるレーザー照射装置が有する光学系は、本実施例で示した構成に
限定されない。
【0316】
また、複数のレーザービームを組み合わせなくとも矩形または線形のレーザービームを
得られるガスレーザーとして代表的なのはエキシマレーザーがあり、固体レーザーとして
代表的なのはスラブレーザーである。本発明では、これらのレーザーを用いていても良い
。また光ファイバーを用いて、エネルギー密度が均一な線状又は矩形状のレーザービーム
を形成することも可能である。
【0317】
本実施例は実施例5〜12と組み合わせて実施することが可能である。
【実施例14】
【0318】
本実施例では、レーザービームを重ね合わせたときの、各レーザービームの中心間の距
離と、エネルギー密度との関係について説明する。
【0319】
図70に、各レーザービームの中心軸方向におけるエネルギー密度の分布を実線で、合
成されたレーザービームのエネルギー密度の分布を破線で示す。レーザービームの中心軸
方向におけるエネルギー密度の値は、一般的にガウス分布に従っている。
【0320】
合成前のビームスポットにおいて、ピーク値の1/e2以上のエネルギー密度を満たし
ている中心軸方向の距離を1としたときの、各ピーク間の距離をXとする。また、合成さ
れたビームスポットにおいて、合成後のピーク値と、バレー値の平均値に対するピーク値
の割増分をYとする。シミュレーションで求めたXとYの関係を、図71に示す。なお図
71では、Yを百分率で表した。
【0321】
図71において、エネルギー差Yは以下の式1の近似式で表される。
【0322】
(式1)
Y=60−293X+340X2(Xは2つの解のうち大きい方とする)
【0323】
式1に従えば、例えばエネルギー差を5%程度にしたい場合、X≒0.584となるよ
うにすれば良いということがわかる。Y=0となるのが理想的だが、それではビームスポ
ットの長さが短くなるので、スループットとのバランスでXを決定すると良い。
【0324】
次に、Yの許容範囲について説明する。図72に、レーザービームが楕円形状を有して
いる場合の、中心軸方向におけるビーム幅に対するYVO4レーザーの出力(W)の分布
を示す。斜線で示す領域は、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギーの範囲であ
り、3.5〜6Wの範囲内に合成したレーザー光の出力エネルギーが納まっていれば良い
ことがわかる。
【0325】
合成後のビームスポットの出力エネルギーの最大値と最小値が、良好な結晶性を得るた
めに必要な出力エネルギー範囲にぎりぎりに入るとき、良好な結晶性が得られるエネルギ
ー差Yが最大になる。よって図72の場合は、エネルギー差Yが±26.3%となり、上
記範囲にエネルギー差Yが納まっていれば良好な結晶性が得られることがわかる。
【0326】
なお、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギーの範囲は、どこまでを結晶性が
良好だと判断するかによって変わり、また出力エネルギーの分布もレーザービームの形状
によって変わってくるので、エネルギー差Yの許容範囲は必ずしも上記値に限定されない
。設計者が、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギーの範囲を適宜定め、用いる
レーザーの出力エネルギーの分布からエネルギー差Yの許容範囲を設定する必要がある。
【0327】
本実施例は、実施例5〜13と組み合わせて実施することが可能である。
【実施例15】
【0328】
本発明は様々な半導体装置に適用できるものであり、実施例5〜14に基づいて作製さ
れる表示パネルの形態を図73と図74を用いて説明する。
【0329】
図73は基板6900には画素部6902、ゲート信号側駆動回路6901a、690
1b、データ信号側駆動回路6901c、入出力端子6908、配線又は配線群6904
が備えられている。シールドパターン6905はゲート信号側駆動回路6901a、69
01b、データ信号側駆動回路6901c及び当該駆動回路部と入出力端子6908とを
接続する配線又は配線群6904と一部が重なっていても良い。このようにすると、表示
パネルの額縁領域(画素部の周辺領域)の面積を縮小させることができる。入出力端子6
908には、FPC6903が固着されている。
【0330】
本発明は、画素部6902、ゲート信号側駆動回路6901a、6901b、データ信
号側駆動回路6901cを構成する能動素子に用いることができる。
【0331】
図74は図73で示す画素部6902の一画素の構成を示す一例である。本実施例では
本発明の半導体装置の1つである発光装置の、画素について説明する。
なお、発光装置とは、基板上に形成された発光素子を該基板とカバー材の間に封入した表
示用パネルおよび該表示用パネルにTFT等を実装した表示用モジュールを総称したもの
である。なお、発光素子は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electro Lumi
nescence)が得られる有機化合物を含む層(発光層)
と陽極と、陰極とを有する。
【0332】
なお本実施例で用いられる発光素子は、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層または電
子輸送層等が、無機化合物単独で、または有機化合物に無機化合物が混合されている材料
で形成されている形態をも取り得る。また、これらの層どうしが互いに一部混合していて
も良い。
【0333】
6801は画素に入力されるビデオ信号の入力を制御するスイッチング素子としてのT
FT(スイッチング用TFT)であり、6802はビデオ信号が有する情報に基づき、画
素電極に電流を供給するためのTFT(駆動用TFT)である。
【0334】
スイッチング用TFT6801は、1〜2μm程度のチャネル幅の、複数のチャネル形
成領域を有する活性層6803と、ゲート絶縁膜(図示せず)と、ゲート線6804の一
部であるゲート電極6805とを有している。スイッチング用TFT6801は、ゲート
信号側駆動回路6901a、6901bからゲート線6804に入力される選択信号によ
って、そのスイッチングが制御されている。
【0335】
スイッチング用TFT6801の活性層6803が有するソース領域とドレイン領域は
、一方はデータ信号側駆動回路6901cによってビデオ信号が入力される信号線680
6に、もう一方は素子の接続用の配線6807に接続されている。
【0336】
6820は活性層6803を形成する際に用いた下地膜の凸部である。
【0337】
一方駆動用TFT6802は、1〜2μm程度のチャネル幅の、複数のチャネル形成領
域を有する活性層6808と、ゲート絶縁膜(図示せず)と、容量用配線6809の一部
であるゲート電極6810とを有している。
【0338】
駆動用TFT6802の活性層6808が有するソース領域とドレイン領域は、一方は
電源線6811に、もう一方は画素電極6812に接続されている。
【0339】
6821は活性層6808を形成する際に用いた下地膜の凸部である。
【0340】
6813は容量用の半導体膜であり、ゲート絶縁膜を間に挟んで容量用配線6809と
重なっている。容量用の半導体膜6813は電源線と接続されている。
この容量用の半導体膜6813とゲート絶縁膜と容量用配線6809とが重なっている部
分が駆動用TFT6802のゲート電圧を保持するための容量として機能する。また、容
量用配線6809と電源線6811は、間に層間絶縁膜(図示せず)を間に挟んで重なっ
ている。この容量用配線6809と、層間絶縁膜と、電源線6811とが重なり合ってい
る部分も、駆動用TFT6802のゲート電圧を保持するための容量として機能させるこ
とは可能である。
【0341】
なお本明細書において接続とは、特に記載のない限り電気的な接続を意味する。
【0342】
スイッチング用TFT6801の活性層6803と、駆動用TFT6802の活性層6
808とがそれぞれ有するチャネル形成領域のキャリアが移動する方向は、全て矢印に示
したレーザー光の走査方向と揃っている。
【0343】
駆動用TFT6802の活性層6808が有するチャネル形成領域の数は、スイッチン
グ用TFT6801の活性層6803が有するチャネル形成領域の数よりも多くすること
が望ましい。なぜなら、駆動用TFT6802の方がスイッチング用TFT6801より
も大きな電流能力が必要であり、チャネル形成領域が多いほどオン電流を大きくすること
ができるからである。
【0344】
なお本実施例では発光装置に用いられるTFT基板の構成について説明したが、本実施
例の作製工程を用いて液晶表示装置を作製することもできる。
【0345】
本実施例は、実施例5〜実施例14と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例16】
【0346】
本発明の半導体装置が有するTFTは、チャネル形成領域において結晶性が優れている
ため、通常は単結晶シリコンを用いた素子で形成される回路、例えばLSIを用いたCP
U、各種ロジック回路の記憶素子(例えばSRAM)、カウンタ回路、分周回路ロジック
等を、形成することができる。
【0347】
超LSIは最小寸法がサブミクロン領域に近づいており、より高集積化を目指すために
は部分的な素子の三次元化が必要である。本実施例では、スタック構造を有する本発明の
半導体装置の構造について説明する。
【0348】
図76に本実施例の半導体装置の断面図を示す。基板7700上に第1の絶縁膜770
1が形成されている。そして、第1の絶縁膜7701上に第1のTFT7702が形成さ
れている。なお、第1のTFT7702のチャネル形成領域のチャネル幅は、1〜2ミク
ロン程度である。
【0349】
第1のTFT7702を覆うように第1層間絶縁膜7703が形成されており、第1層
間絶縁膜7703上に、第1の接続配線7705と、第1のTFT7702に電気的に接
続されている配線7704とが形成されている。
【0350】
そして、配線7704、第1の接続配線7705を覆うように、第2層間絶縁膜770
6が形成されている。第2層間絶縁膜7706は無機の絶縁膜で形成されており、酸化珪
素、酸化窒化珪素などに、後の工程において照射されるレーザー光を吸収するような物質
、例えば有色の顔料やカーボンを混入したものを混ぜたものを用いる。
【0351】
そして、第2層間絶縁膜7706の上面を、化学的機械研磨法(CMP法)を用いて研
磨しておくと、後に形成される第2の絶縁膜7706の表面がより平坦化され、第2の絶
縁膜7706上に形成される半導体膜をレーザー光により結晶化するときに、その結晶性
をより高めることができる。
【0352】
そして第2層間絶縁膜7706上に第2の絶縁膜7707が形成されている。
そして、第2の絶縁膜7707上に第2のTFT7708が形成されている。なお、第2
の絶縁膜7707のチャネル形成領域のチャネル幅は、1〜2ミクロン程度である。
【0353】
第2のTFT7708を覆うように第3の層間絶縁膜7709が形成されており、第3
の層間絶縁膜7709上に、第2の接続配線7711と、第2のTFT7708に電気的
に接続されている配線7710とが形成されている。なお、第1の接続配線7705と第
2の接続配線7711との間にはダマシンプロセス等によって埋め込み配線(プラグ)7
712が形成されている。
【0354】
そして、配線7710、第2の接続配線7711を覆うように、第4の層間絶縁膜77
13が形成されている。
【0355】
本実施例では、第1のTFT7702と第2のTFT7708とを、層間絶縁膜を介し
て重ね合わせることができる、所謂スタック構造を有している。図76(A)では、2層
のスタック構造を有する半導体装置について示したが、3層以上のスタック構造を有して
いても良い。その場合、下層に形成された素子にレーザー光が照射されるのを防ぐため、
各層の間に、第2層間絶縁膜7706のようなレーザー光を吸収する無機の絶縁膜を設け
るようにする。
【0356】
このように三次元化された半導体装置は高集積化が可能であり、また各素子間を電気的
に接続する配線を短くすることができるので、配線の容量による信号の遅延を防ぎ、より
高速な動作が可能になる。
【0357】
なお本発明を用いたTFTは、第4回新機能素子技術シンポジウム予稿集、1985年
7月p205.に記載されている、CAM、RAM共存チップにも用いることができる。
図76(B)は、メモリ(RAM)に対応するプロセッサを配置した連想メモリ(CAM
)と、RAMの共存チップ化を図ったモデルである。
第1層目はワード処理系の回路が形成された層であり、第2層目は3層目のRAMに対応
したプロセッサが各種論理回路によって形成された層であり、第3層目はRAMセルが形
成された層である。第2層目のプロセッサと3層目のRAMセルとによって連想メモリ(
CAM)が形成される。さらに、第4層目はデータ用のRAM(データRAM)であり、
2層目及び3層目で形成される連想メモリと共存している。
【0358】
このように、本発明は、三次元化された様々な半導体装置に応用することが可能である

【0359】
本実施例は、実施例5〜15と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例17】
【0360】
本発明を用いて作製されるTFTを搭載した半導体装置は、様々な電子機器への適用が
可能である。その一例は、携帯情報端末(電子手帳、モバイルコンピュータ、携帯電話等)
、ビデオカメラ、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、テレビ受像器、携帯電話、
投影型表示装置等が挙げられる。それら電子機器の具体例を図75に示す。
【0361】
図75(A)は表示装置であり、筐体7001、支持台7002、表示部7003、ス
ピーカー部7004、ビデオ入力端子7005等を含む。本発明の半導体装置を表示部7
003に用いることで、本発明の表示装置が完成する。発光装置は自発光型であるためバ
ックライトが必要なく、液晶ディスプレイよりも薄い表示部とすることができる。なお、
表示装置は、パソコン用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置
が含まれる。
【0362】
図75(B)はデジタルスチルカメラであり、本体7101、表示部7102、受像部
7103、操作キー7104、外部接続ポート7105、シャッター7106等を含む。
本発明の半導体装置を表示部7102に用いることで、本発明のデジタルスチルカメラが
完成する。
【0363】
図75(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体7201、筐体7202
、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングマウ
ス7206等を含む。本発明の半導体装置を表示部7203に用いることで、本発明のノ
ート型パーソナルコンピュータが完成する。
【0364】
図75(D)はモバイルコンピュータであり、本体7301、表示部7302、スイッ
チ7303、操作キー7304、赤外線ポート7305等を含む。本発明の半導体装置を
表示部7302に用いることで、本発明のモバイルコンピュータが完成する。
【0365】
図75(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)
であり、本体7401、筐体7402、表示部A7403、表示部B7404、記録媒体
(DVD等)読み込み部7405、操作キー7406、スピーカー部7407等を含む。
表示部A7403は主として画像情報を表示し、表示部B7404は主として文字情報を
表示する。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。
本発明の半導体装置を表示部A、B7403、7404に用いることで、本発明の画像再
生装置が完成する。
【0366】
図75(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体
7501、表示部7502、アーム部7503を含む。本発明の半導体装置を表示部75
02に用いることで、本発明のゴーグル型ディスプレイが完成する。
【0367】
図75(G)はビデオカメラであり、本体7601、表示部7602、筐体7603、
外部接続ポート7604、リモコン受信部7605、受像部7606、バッテリー760
7、音声入力部7608、操作キー7609、接眼部7610等を含む。本発明の半導体
装置を表示部7602に用いることで、本発明のビデオカメラが完成する。
【0368】
ここで図75(H)は携帯電話であり、本体7701、筐体7702、表示部7703
、音声入力部7704、音声出力部7705、操作キー7706、外部接続ポート770
7、アンテナ7708等を含む。なお、表示部7703は黒色の背景に白色の文字を表示
することで携帯電話の消費電流を抑えることができる。本発明の半導体装置を表示部77
03に用いることで、本発明の携帯電話が完成する。
【0369】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが
可能である。また、本実施例は実施例5〜16に示したいずれの構成とも組み合わせて実
施することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
島状の半導体領域と、
前記半導体領域の側面に、前記半導体領域の前記側面の一部及び上面が露出するように設けられた絶縁膜と、
前記露出された前記側面の一部及び前記上面を覆って設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜を介して前記側面の一部及び前記上面を覆って設けられたゲート電極とを有することを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【公開番号】特開2012−256896(P2012−256896A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−156153(P2012−156153)
【出願日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【分割の表示】特願2009−115506(P2009−115506)の分割
【原出願日】平成15年1月28日(2003.1.28)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】