説明

半導体装置

【課題】電源電圧の変動に起因した書込電流の変動を抑制する。
【解決手段】ドライブ回路25において、第1のMOSトランジスタPMは、第1および第2の電源ノード28,29間にデータ書込線DLと直列に設けられる。第2のMOSトランジスタPSは、第1のMOSトランジスタPMと並列に設けられる。第3および第4のMOSトランジスタPa,Pbは、互いに同じ電流電圧特性を有する。第1の素子Eaは、第1および第2の電源ノード28,29間に第3のMOSトランジスタPaと直列に接続される。第2の素子Ebは、第1および第2の電源ノード28,29間に第4のMOSトランジスタPbと直列に接続され、第1の素子Eaの電流電圧特性曲線と交差する電流電圧特性を有する。比較器30は、第1の素子Eaにかかる電圧と第2の素子Ebにかかる電圧とを比較し、比較結果に応じて第2のMOSトランジスタPSをオンまたはオフにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、MRAMなど、記憶データに応じて電気抵抗が変化する記憶素子を備えた半導体装置に関し、特に記憶データの書込に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気ランダムアクセス記憶装置(MRAM:Magnetic Random Access Memory)は、トンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magneto-Resistive)効果を有する素子(TMR素子)をメモリセルとした記憶装置である。TMR素子は、強磁性体薄膜からなる固定磁化層および自由磁化層で薄い絶縁層を挟んだトンネル接合構造を有する磁気抵抗素子である。TMR素子は、2つの層の磁化方向が平行の場合に低抵抗状態になり反平行の場合に高抵抗状態になるので、自由磁化層の磁化方向によって「1」「0」の情報を記憶することができる。
【0003】
メモリセルに記憶データを書込むには、書込対象のメモリセルに対応するビット線とディジット線(書込ワード線)との両方に書込電流を流す(この明細書では、ビット線とディジット線とを総称してデータ書込線とも称する)。このとき、ビット線に流れる書込電流の方向を、記憶データの論理レベルに応じて変化させる。ビット線の各端部と電源ノードとの間にはPMOS(Positive channel Metal Oxide Semiconductor)のドライバトランジスタが設けられ、各端部と接地ノードとの間にはNMOS(Negative channel Metal Oxide Semiconductor)のドライバトランジスタが設けられる。ビット線に書込電流を流すときには、書込電流の方向に応じて、ビット線の一方の端部のPMOSトランジスタと他方の端部のNMOSトランジスタとをオン状態にする(たとえば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】T. Tsuji,他7名,"A 1.2V 1Mbit embedded MRAM core with folded bit-line array architecture",2004 Symposium on VLSI Circuits Digest of Technical Papers,IEEE,17-19 June 2004,p.450-453
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
データ書込時には、電源電圧が規定の範囲内(たとえば、標準の電源電圧を3.3Vとして、規定範囲の下限を3.0Vとし、上限を3.6Vとする)で変動したとしても、書込電流を一定に保つ必要がある。もし、電源電圧の変動に応じて書込電流の値が変化したとすると、電源電圧が低い場合(たとえば、規定範囲の下限3.0Vの場合)には、書込電流(ディジット線電流またはビット線電流)が不十分でデータの書き込みが行えない可能性がある。逆に、電源電圧が高い場合(たとえば、規定範囲の上限3.6Vの場合)には、データの書込を行ないたくないメモリセルが誤書込される可能性がある。
【0006】
電源電圧の変動によらず書込電流を一定に保つ方法として、電源電圧Vccに応じてドライバトランジスタのゲート電圧Vgを制御する方法がある。たとえば、電源電圧Vcc=3.0VのときにPMOSのドライバトランジスタのゲート電圧Vgを0Vとして書込電流を流した場合、電源電圧Vcc=3.3Vのときに同じ大きさの書込電流を流すためにはゲート電圧Vgを0.3Vにすればよい。ただし、ゲート電圧Vgを接地電圧(0V)付近で制御するのは困難であるので、ゲート電圧Vgをもっと高い値にして制御するのが望ましい。
【0007】
しかしながら、ゲート電圧Vgを高くするとゲート・ソース間電圧Vgsが低下するために書込電流が減少してしまう。ゲート電圧Vgを高くしてもVg=0の場合と同じ書込電流を流すためには、ドライバトランジスタのサイズ(チャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/L、主としてチャネル幅W)をVg=0の場合よりも大きくしておく必要がある。しかしながら、そうすると、レイアウト面積の増加という新たな問題が生じる。
【0008】
この発明の目的は、ドライバトランジスタのゲート電圧を電源電圧に応じて調整するという方法によらずに、電源電圧の変動に起因した書込電流の変動を抑制することができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の実施の一形態に従う半導体装置は、第1の電源電圧を受ける第1の電源ノードと、第2の電源電圧を受ける第2の電源ノードと、メモリセルと、データ書込線と、ドライブ回路とを備える。メモリセルは、記憶データに応じて電気抵抗が変化する記憶素子を含む。データ書込線は、記憶データの書込に必要な電流を流すために設けられる。ドライブ回路は、データ書込線に流れる電流量を調整する。ドライブ回路は、第1〜第4のMOSトランジスタと、第1および第2の素子と、比較器とを含む。第1のMOSトランジスタは、第1および第2の電源ノード間にデータ書込線と直列に設けられ、データ書込時に第1または第2の電源電圧をゲートに受けることによって導通する。第2のMOSトランジスタは、第1のMOSトランジスタと並列に設けられ、第1のMOSトランジスタと同じ導電型である。第3および第4のMOSトランジスタは、第1のMOSトランジスタと同じ導電型でありかつ互いに同じ電流電圧特性を有し、データ書込時に第1または第2の電源電圧をゲートに受けることによって導通する。第1の素子は、第1および第2の電源ノード間に第3のMOSトランジスタと直列に接続される。第2の素子は、第1および第2の電源ノード間に第4のMOSトランジスタと直列に接続され、第1の素子の電流電圧特性曲線と交差する電流電圧特性を有する。比較器は、第1の素子にかかる電圧と第2の素子にかかる電圧とを比較し、データ書込時に比較結果に応じて第2のMOSトランジスタのゲート電圧を第1の電源電圧または第2の電源電圧にする。
【発明の効果】
【0010】
上記の実施の形態によれば、ドライブ回路に用いられる第2のMOSトランジスタのゲート電圧は電源電圧に応じて第1および第2の電源電圧のいずれかの値になる。したがって、ドライバトランジスタのゲート電圧を電源電圧に応じて調整するという方法によらずに、電源電圧の変動に起因した書込電流の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の一形態による半導体装置1の構成を模式的に示す平面図である。
【図2】MARM装置3のメモリセルMCの構成を示す回路図である。
【図3】図1のMRAM装置3の構成の一例を模式的に示す平面図である。
【図4】図3の1つのメモリアレイMAとそれに対応する読出回路13の部分の構成の一例を示す回路図である。
【図5】図4のディジット線ドライブ回路24,25の詳細な構成を示す回路図である。
【図6】判定回路JC[3]に設けられた素子Ea,Ebの電流電圧特性を示す図である。
【図7】(A)制御信号D[0]〜D[10]の電圧と電源電圧Vccとの関係、および(B)書込電流Idl[mA]と電源電圧Vcc[V]との関係を示す図である。
【図8】図4のビット線ドライブ回路21,22の詳細な構成を示す回路図である。
【図9】図5のディジット線ドライブ回路25の変形例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
【0013】
[半導体装置の全体構成]
図1は、この発明の実施の一形態による半導体装置1の構成を模式的に示す平面図である。半導体装置1は、半導体基板SUB上に形成されたマイクロコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)2と、MRAM装置3と、参照電源4とを含む。MRAM装置3は、CPU2からアドレスADD、書込データDin、リードイネーブル(Read Enable)信号RE、センスイネーブル(Sense Enable)信号SE(およびその逆論理信号SE_N)、プリチャージ(Precharge)制御信号PCG、ライトイネーブル(Write Enable)信号WEなどを受ける。MRAM装置3は、参照電源4から電源電圧Vccおよび参照電圧Vrefの供給を受ける。MRAM装置3は、ライトイネーブル信号WEが活性化されたとき、指定されたアドレスADDに書込データDinを書込む。MRAM装置3は、リードイネーブル信号REが活性化されたとき、指定されたアドレスADDから読出データDoutを読み出して、CPU2に出力する。
【0014】
[メモリセルの構成]
図2は、MARM装置3のメモリセルMCの構成を示す回路図である。
【0015】
図2を参照して、メモリセルMCは、磁気データに応じて電気抵抗が変化するTMR(Tunnel Magneto-Resistance)素子と、アクセストランジスタATRとを含む。ここで、TMR素子は、強磁性体薄膜からなる固定磁化層および自由磁化層によって薄い絶縁層を挟んだトンネル接合構造を有する磁気抵抗素子である。TMR素子は、2つの層の磁化方向が平行の場合に低抵抗状態になり反平行の場合に高抵抗状態になるので、自由磁化層の磁化方向によって「1」「0」の情報を記憶することができる。通常、アクセストランジスタATRには、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタが用いられる。
【0016】
メモリセルMCに対して、ディジット線DL、ワード線WL、ビット線BL、およびソース線SLが配置される。ディジット線DL、ワード線WL、およびソース線SLはメモリアレイ(メモリセルマット)の行方向に沿って延在し、ビット線BLは列方向に沿って延在する。この明細書では、行方向をX方向とも称し、列方向をY方向とも称する。X方向に沿った向きを区別する場合には、+X方向、−X方向のように符号を付す。Y方向についても同様である。
【0017】
図2に示すように、TMR素子は、その一端がビット線BLに接続され、他端がアクセストランジスタATRのドレインに接続される。アクセストランジスタATRのソースはソース線SLを介して接地電圧GNDを与える接地ノードに接続される。また、アクセストランジスタATRのゲートはワード線WLに接続される。
【0018】
データ書込時においては、データ書込対象となる選択メモリセルに対応するメモリセル行(以下、選択行とも称する)のディジット線DLと、選択メモリセルに対応するメモリセル列(以下、選択列とも称する)のビット線BLとに、それぞれデータ書込電流が流れる。ここで、ビット線BLを流れるデータ書込電流の方向は、書込データに応じて、切替え可能となっている。ビット線BLを流れるデータ書込電流の方向によって、自由磁化層の磁化の方向が決定される。
【0019】
一方、データ読出時においては、選択メモリセルに対応するワード線WLが高電圧状態に活性化されて、アクセストランジスタATRが導通状態になる。この結果、センス電流(読出電流)が、ビット線BLからTMR素子およびアクセストランジスタATRを経て、ソース線SLに流れる。なお、以下においては、信号、信号線およびデータなどの2値的な高電圧状態および低電圧状態を、それぞれ「ハイレベル(Hレベル)」および「ローレベル(Lレベル)」とも称する。
【0020】
[MRAM装置の構成]
図3は、図1のMRAM装置3の構成の一例を模式的に示す平面図である。
【0021】
図3を参照して、MRAM装置3は、複数のメモリアレイMAと、制御回路10と、行デコード回路11と、列デコード回路12と、読出回路13と、入出力回路14とを含む。図3の例では、合計16個のメモリアレイMAが、基板上で+Y方向側と−Y方向側とに2グループに分かれて配設される。各グループはX方向に沿って並ぶ8個のメモリアレイMAによって構成される。各メモリアレイMAは、256行64列に配列された16kbitのメモリセルMCを含む。したがって、MRAM装置3は全体で256kbitのメモリセルMCを含む。
【0022】
制御回路10は、図1のCPU2から受けたコマンドCMDに応答して各種の制御信号を生成することによってMRAM装置3全体を制御する。行デコード回路11は、入出力回路14を介して受けたアドレス信号ADDによって示される行アドレス信号をデコードし、デコード結果である行選択信号を出力する。列デコード回路12は、入出力回路14を介して受けたアドレス信号ADDによって示される列アドレス信号をデコードし、デコード結果である列選択信号を出力する。
【0023】
読出回路13は、複数のセンスアンプSAを含む(図3では代表して1個のセンスアンプSAが示される)。センスアンプSAは、センスイネーブル信号SEが活性化されたときに選択された通常メモリセルMCの通過電流と参照メモリセルRMCの通過電流との差を検知して増幅する。センスアンプSAは、読出結果である読出データDoutを入出力回路14を介して図1のCPU2へ出力する。各メモリアレイMAに対応して2個のセンスアンプSAが、メモリアレイMAのY方向に隣接する領域に配設される。
【0024】
[メモリアレイの構成]
図4は、図3の1つのメモリアレイMAとそれに対応する読出回路13の部分の構成の一例を示す回路図である。
【0025】
図4を参照して、メモリアレイMAは、複数のメモリセルMCおよび参照メモリセルRMCが行列状に配列されるメモリセルマット20と、512本のワード線WL0〜WL511と、2本のダミーワード線D−WL0,D−WL1と、256本のディジット線DL0〜DL255と、1本のダミーディジット線D−DL(ディジット線DL256とも記載する)と、257本のソース線SLと、64本のビット線BL0〜BL63とを含む。
【0026】
メモリセルマット20は、通常セル領域に配設された256行64列のメモリセルMCと、通常セル領域に対してY方向に隣接する参照セル領域に配設され、X方向に沿って並ぶ64個の参照メモリセルRMCとを含む。参照メモリセルRMCには、データ読出時にセンス電流と比較する参照電流を生成するために、予め「1」または「0」のデータが書込まれている。具体的に図4の場合には、参照メモリセルRMC<0>,RMC<3>にデータ「0」が書込まれ、参照メモリセルRMC<1>,RMC<2>にデータ「1」が書込まれている。
【0027】
ビット線BL0〜BL63はメモリセルマット20の各列に1本ずつ対応して配設される。各ビット線BLは、対応の列のメモリセルMCおよび参照メモリセルRMCと接続される。
【0028】
ワード線WL0〜WL511は通常セル領域のメモリセルマット20の各行に2本ずつ対応して配設される。ワード線WL0,WL2,WL4,…の各々は、対応する行の64個のメモリセルMCのうちビット線BL0,BL2,BL4,…に接続された32個のメモリセルMCと接続される。ワード線WL1,WL3,WL5,…の各々は、対応する行の64個のメモリセルMCのうちビット線BL1,BL3,BL5,…に接続された32個のメモリセルMCと接続される。ダミーワード線D−WL0は、64個の参照メモリセルRMCのうちビット線BL0,BL2,BL4,…に接続された32個の参照メモリセルRMCと接続される。ダミーワード線D−WL1は、64個の参照メモリセルRMCのうちビット線BL1,BL3,BL5,…に接続された32個の参照メモリセルRMCと接続される。
【0029】
ディジット線DL0〜DL255は通常セル領域のメモリセルマット20の各行に1本ずつ対応して配設され、ダミーディジット線D−DLは参照セル領域に配設される。
【0030】
ソース線SLはメモリセルマット20の各行に1本ずつ対応して配設される。各ソース線SLは、対応の行のメモリセルMCまたは参照メモリセルRMCと接続される。ソース線SLの一端は接地電圧GNDを与える接地ノード29に接続される。
【0031】
メモリアレイMAは、さらに、メモリセルマット20に対して+X方向に隣接する領域に設けられたワード線ドライブ回路23と、メモリセルマット20に対して+X方向および−X方向に隣接する領域に設けられたディジット線ドライブ回路24,25と、メモリセルマット20に対して+Y方向および−Y方向に隣接する領域に設けられたビット線ドライブ回路21,22と、読出回路13との境界の領域に設けられた64個の列選択トランジスタCSTとを含む。
【0032】
ワード線ドライブ回路23は、データ読出時に、行デコード回路11から出力された行選択信号によって示される選択行のワード線WLを活性化する。ワード線ドライブ回路23は、さらに、ワード線WL0,WL2,WL4,…のいずれかを活性化するときにはダミーワード線D−WL1を併せて活性化し、ワード線WL1,WL3,WL5,…のいずれかを活性化するときにはダミーワード線D−WL0を併せて活性化する。
【0033】
ディジット線ドライブ回路24,25は、データ書込時に、行デコード回路11から出力された行選択信号によって示される選択行のディジット線DLにデータ書込電流を流す。ディジット線ドライブ回路24,25は、参照メモリセルRMCのTMR素子にデータを書込むときには、ダミーディジット線D−DLにデータ書込電流を流す。
【0034】
ビット線ドライブ回路21,22は、データ書込時に、列デコード回路12から出力された列選択信号によって示される選択列のビット線BLに書込データに応じた方向のデータ書込電流を流す。ビット線ドライブ回路21,22は、参照メモリセルRMCのTMR素子にデータを書込むときには、書込対象の参照メモリセルRMCに接続されたビット線BLに書込データに応じた方向のデータ書込電流を流す。
【0035】
列選択トランジスタCSTは、各ビット線BLに1個ずつ挿入され、ビット線BLの4列ごとに共通の列選択信号CSL(CSL0〜CSL15)が図3の列デコード回路12から与えられる。列選択信号CSL0〜CSL15は、データ読出時に順次活性化される。
【0036】
[読出回路の構成]
図4を参照して、読出回路13は、4本の読出データバスRDB<0>,/RDB<0>,RDB<1>,/RDB<1>と、プリチャージ回路26と、2個のバス切替スイッチBSS0,BSS1と、シャント配線27と、2個のセンスアンプSA0,SA1とを含む。
【0037】
読出データバスRDB<0>は、ビット線BL0,BL4,BL8,…の各々と対応の列選択トランジスタCSTを介して接続される。読出データバス/RDB<0>は、ビット線BL1,BL5,BL9,…の各々と対応の列選択トランジスタCSTを介して接続される。読出データバスRDB<1>は、ビット線BL2,BL6,BL10,…の各々と対応の列選択トランジスタCSTを介して接続される。読出データバス/RDB<1>は、ビット線BL3,BL7,BL11,…の各々と対応の列選択トランジスタCSTを介して接続される。
【0038】
プリチャージ回路26は、4本の読出データバスRDB<0>,/RDB<0>,RDB<1>,/RDB<1>の各々と接続され、図3の制御回路10から出力されたプリチャージ制御信号PCGに応じて各読出データバスを所定の電圧にプリチャージする。
【0039】
バス切替スイッチBSS0は、読出データバスRDB<0>,/RDB<0>とセンスアンプSA0の第1、第2の入力ノードB1,B2との接続を、選択列が奇数列か偶数列かに応じて切替える。バス切替スイッチBSS1は、読出データバスRDB<1>,/RDB<1>とセンスアンプSA1の第1、第2の入力ノードB1,B2との接続を、選択列が奇数列か偶数列かに応じてに応じて切替える。
【0040】
センスアンプSA0,SA1の各々は、センスイネーブル信号SEが活性化されたときに、第1の入力ノードB1から選択メモリセルMCに流れる読出電流と、第2の入力ノードB2から参照メモリセルRMCに流れる参照電流との差を増幅する。そして、センスアンプSA0,SA1の各々は、センス電流と参照電流との大小関係に応じてHレベルまたはLレベルの信号を読出データDout1またはDout2として出力する。
【0041】
シャント配線27は、センスアンプSA0,SA1の第2の入力ノードB2を互いに短絡するための金属配線である。データ読出時には、データ「0」を記憶する参照メモリセルRMCとデータ「1」を記憶する参照メモリセルRMCとがペアで選択される。シャント配線27によってこれらの選択参照メモリセルRMCを流れる電流が平均化されることによって、参照電流が生成される。
【0042】
次にこの発明の主要部分に関係するディジット線ドライブ回路24,25およびビット線ドライブ回路21,22の構成の詳細について説明する。
【0043】
[ディジット線ドライブ回路の詳細]
図5は、図4のディジット線ドライブ回路24,25の詳細な構成を示す回路図である。図5のディジット線ドライブ回路24,25は任意の1本のディジット線DLに接続された部分を取出して示したものである。各ディジット線DLに図5と同じ回路が設けられる。
【0044】
図5を参照して、ディジット線ドライブ回路24は、ディジット線DLの端部40B(ノード40Bとも称する)と接地電圧GNDを受ける接地ノード29との間に設けられたNMOSトランジスタNMを含む。NMOSトランジスタNMのゲートは、行デコード回路11から出力された行選択信号または行選択信号がデコードされた信号を受ける。NMOSトランジスタNMがオン状態に活性化されることによって、ディジット線DLが選択状態になる。
【0045】
ディジット線ドライブ回路25は、PMOSトランジスタPMと、インバータLMと、書込電流調整部41と、電源電圧検出部42とを含む。
【0046】
PMOSトランジスタPMは、電源電圧Vccを受ける電源ノード28とディジット線DLの端部40A(ノード40Aとも称する)との間に接続される。PMOSトランジスタPMのゲートにはインバータLMを介してライトイネーブル信号WEが入力される。データ書込時にライトイネーブル信号WEが活性状態(図5の場合、Hレベル)になることによってPMOSトランジスタPMはオン状態になる。このとき、NMOSトランジスタNMがオン状態(すなわち、ディジット線DLが選択状態)になっていると、ディジット線DLに書込電流Idlが流れる。
【0047】
書込電流調整部41は、n+1個(nは0以上の整数)のPMOSトランジスタPS[0]〜PS[n]と、PMOSトランジスタPS[0]〜PS[n]にそれぞれ対応するn+1個の論理ゲートLS[0]〜LS[n]とを含む。各PMOSトランジスタPSは、電源ノード28とノード40Aとの間にPMOSトランジスタPMと並列に接続される。
【0048】
PMOSトランジスタPS[0]〜PS[n]は、ライトイネーブル信号WEが活性状態の場合、電源電圧検出部42から出力された制御信号D[0]〜D[n]にそれぞれ応じてオン状態またはオフ状態になる。PMOSトランジスタPMおよびPMOSトランジスタPS[0]〜PS[n]は、従来技術では1個のPMOSトランジスタであったものをn+2個に分割したものと考えることができる。書込電流調整部41のPMOSトランジスタPS[0]〜PS[n]の各々のチャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/Lは互いに等しく、かつ、PMOSトランジスタPMのチャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/Lよりも小さいことが望ましい。
【0049】
各論理ゲートLS[i](iは0以上n以下の整数)は、ライトイネーブル信号WEと電源電圧検出部42から出力された制御信号D[i]との論理演算(すなわち、D[i]の反転信号とWEとの否定論理積の演算)を行なう。そして、各論理ゲートLS[i]は論理演算結果を対応のPMOSトランジスタPS[i]のゲートに印加する。ライトイネーブル信号WEが活性状態(図5の場合、Hレベル)であり、かつ、制御信号D[i]がLレベルのとき、PMOSトランジスタPS[i]はオン状態になる。したがって、Lレベルの制御信号D[i]の数が増えれば書込電流Idlが増加し、逆にHレベルの制御信号D[i]の数が増えれば書込電流Idlが減少する。
【0050】
電源電圧検出部42は、電源電圧Vccに応じてHレベルまたはLレベルになる制御信号D[0]〜D[n]を生成し、生成した制御信号D[0]〜D[n]を論理ゲートLS[0]〜LS[n]にそれぞれ出力する。電源電圧検出部42は、電流源回路43と、n+1個の判定回路JC[0]〜JC[n]とを含む。
【0051】
電流源回路43は、2n+2個のPMOSトランジスタPa[0],Pb[0]〜Pa[n],Pb[n]を含む。PMOSトランジスタPa[0]〜Pa[n]はPMOSトランジスタPb[0]〜Pb[n]とそれぞれ対をなす。互いに対をなすPMOSトランジスタPa[i],Pb[i](iは0以上n以下の整数)は、互いに略等しいサイズ(チャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/L)を有し、この結果、互いに略等しい電流電圧特性を有する。PMOSトランジスタPa[i],Pb[i]の各ドレインは対応の判定回路JC[i]と接続され、各ソースは電源ノード28に接続され、各ゲートは接地ノード29に接続される。したがって、互いに対をなすPMOSトランジスタPa[i]およびPb[i]には、互いに等しいドレイン電流Ipが流れる。
【0052】
PMOSトランジスタPa[i],Pb[i](iは0以上n以下の整数)のチャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/Lは、i=0の場合が最も小さく、番号iの増加に伴って徐々に大きくなるように形成される。したがって、ソースドレイン間を流れるドレイン電流Ipは、i=0の場合が最も小さく、番号iの増加に伴って徐々に大きくなる。
【0053】
判定回路JC[0]〜JC[n]は互いに同じ構成を有する。以下、判定回路JC[n]を代表として説明すると、判定回路JC[n]は、PNP型のバイポーラトランジスタ31,32と、抵抗素子33と、比較器30とを含む。判定回路JC[n]に対応するPMOSトランジスタPa[n]と、抵抗素子33と、バイポーラトランジスタ31とは、この順で電源ノード28と接地ノード29との間に直列に接続される。判定回路JC[n]に対応するPMOSトランジスタPb[n]とバイポーラトランジスタ32とは、この順で電源ノード28と接地ノード29との間に直列に接続される。バイポーラトランジスタ31,32の各々はベースとコレクタが接続された、いわゆる、ダイオード接続のトランジスタである。バイポーラトランジスタ31は、バイポーラトランジスタ32を複数個並列に接続したものに相当する。ダイオード接続されたバイポーラトランジスタ31と抵抗素子33とを併せて素子Eaと称し、ダイオード接続されたバイポーラトランジスタ32を素子Ebと称する。比較器30は、PMOSトランジスタPa[n]のドレイン電圧VaとPMOSトランジスタPb[n]のドレイン電圧Vbとを比較し、Va>VbのときHレベルの制御信号D[n]を出力する。
【0054】
次に、ディジット線ドライブ回路25の動作についてシミュレーション結果に基づいて説明する。シミュレーションでは、PMOSトランジスタPMのサイズをW=50μm、L=0.4μmとした。書込電流調整部41のPMOSトランジスタPSの個数を11(n=10)とし、PMOSトランジスタPS[0]〜PS[10]のサイズを全てW=5μm、L=0.4μmとした。電流源回路43に含まれるPMOSトランジスタPa[0]〜Pa[10]のチャネル長Lを全て10μmとし、チャネル幅W[μm]をそれぞれ、0.55、0.6、0.65、0.7、…、1・05、1.1として0.05μmずつ増加するように設定した。Pb[0]〜Pb[10]のサイズは、PMOSトランジスタPa[0]〜Pa[10]のサイズにそれぞれ等しく設定した。以上の設定によれば、電流源回路43の各PMOSトランジスタPa[i],Pb[i](iは0以上10以下の整数)のチャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/Lは、PMOSトランジスタPMおよびPS[0]〜PS[i]のそれぞれの比W/Lを加算した値に比例する。この比例係数は番号iによらず一定である。
【0055】
図6は、判定回路JC[3]に設けられた素子Ea,Ebの電流電圧特性(IV特性とも称する)を示す図である。図6には、さらに、判定回路JC[3]に対応するPMOSトランジスタPa[3],Pb[3](チャネル幅W=0.7、チャネル長L=10μ)に流れるドレイン電流Ipの値が電源電圧Vccをパラメータとして示される。電流Ipを表わす直線と素子EaのIV特性曲線との交点が比較器30の非反転入力端子に入力される電圧Vaとなり、電流Ipを表わす直線と素子EbのIV特性曲線との交点が比較器30の反転入力端子に入力される電圧Vbとなる。
【0056】
図6に示すように、素子EaのIV特性曲線と素子EbのIV特性曲線は点Pで交差する。電源電圧Vcc=3.3[V]のときPMOSトランジスタPa[3],Pb[3]に流れる電流Ipがこの交差点Pの電流値に等しくなるように、トランジスタ31の並列数および抵抗素子33の抵抗値が予め設定される。
【0057】
電源電圧Vcc=3.0[V]のとき、電流Ipを表わす直線が交差点Pの下方に位置するので、Vb>Vaとなる(図6でΔV2<0)。この結果、判定回路JC[3]に設けられた比較器30の出力D[3]はLレベルとなる。したがって、ライトイネーブル信号が活性状態(Hレベル)であれば、対応するPMOSトランジスタPS[3]はオン状態になる。
【0058】
電源電圧Vcc=3.6[V]のとき、電流Ipを表わす直線が交差点Pの上方に位置するので、Vb<Vaとなる(図6でΔV1>0)。この結果、判定回路JC[3]に設けられた比較器30の出力D[3]はHレベルとなる。したがって、ライトイネーブル信号が活性状態(Hレベル)であったとしても、対応するPMOSトランジスタPS[3]はオフ状態になる。
【0059】
このように、判定回路JC[0]〜JC[n]から出力された制御信号D[0]〜D[n]の論理レベルがHレベルからLレベル、またはLレベルからHレベルに切替わるときの電流Ipの大きさは、素子Ea,EbのIV特性の交点Pとの関係による。いずれの判定回路JC[0]〜JC[n]の素子Ea,EbについてもIV特性は同じであるので、制御信号D[1]〜D[n]の各々についてHレベルからLレベルまたはLレベルからHレベルに切替わるときの電流Ipの大きさは同じになる。一方、電流源回路43を構成する各対のPMOSトランジスタPa[i],Pb[i](iは0以上n以下の整数)のチャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/Lは対ごとに異なっているので、電源電圧Vccに応じて判定回路JC[0]〜JC[n]に流れるドレイン電流Ipの大きさは判定回路JCごとに異なる。この結果、制御信号D[0]〜D[n]の論理レベル(Hレベルになるか、Lレベルになるか)は電源電圧Vccの大きさに応じて変化することになる。PMOSトランジスタPS[0]〜PS[10]は、制御信号のD[0]〜D[n]の論理レベルに応じてオン状態またはオフ状態になるので、電源電圧Vccに応じて書込電流Idlを調整することができる。
【0060】
特に、図6のシミュレーションの設定では、各PMOSトランジスタPa[i],Pb[i](iは0以上かつ10以下の整数)のチャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/Lは、PMOSトランジスタPMおよびPS[0]〜PS[i]のそれぞれの比W/Lを加算した値に比例するように設定されている。
【0061】
たとえば、判定回路[3]から出力された制御信号D[3]がHレベルからLレベルに切替わるときは、制御信号D[10]〜D[4]はHレベルになり、制御信号D[3]〜D[0]はLレベルになる。したがって、PMOSトランジスタPMおよびPS[0]〜PS[3]がオン状態になる。オン状態のトランジスタのチャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/Lを加算すると、
50/0.4+4×5/0.4=70/0.4 …(1)
となる。この値は、PMOSトランジスタPa[3](Pb[3])のチャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/L=0.7/10の2500倍である。
【0062】
他の例として、判定回路[5]から出力された制御信号D[5]がHレベルからLレベルに切替わるときは、制御信号D[10]〜D[6]はHレベルになり、制御信号D[5]〜D[0]はLレベルになる。したがって、PMOSトランジスタPMおよびPS[0]〜D[5]がオン状態になる。オン状態のトランジスタのチャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/Lを加算すると、
50/0.4+6×5/0.4=80/0.4 …(2)
となる。この値は、PMOSトランジスタPa[5](Pb[5])のチャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/L=0.8/10の2500倍である。
【0063】
このようにPMOSトランジスタPa,Pbのチャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/Lに比例した書込電流Ipがディジット線DLに流れるようにすることによって、電源電圧Vccが変化したとしても書込電流Idlを略一定にできる。
【0064】
図7は、(A)制御信号D[0]〜D[10]の電圧と電源電圧Vccとの関係、および(B)書込電流Idl[mA]と電源電圧Vcc[V]との関係を示す図である。図7(A),(B)では、電源電圧Vccが3.0[V]〜3.6[V]の範囲が示される。図7(B)では、本実施の形態による書込電流Idlの制御を行なった場合と行なわない場合とが対比して示される。
【0065】
図7(A)を参照して、Vcc=3.0[V]では、制御信号D[7]〜D[10]がHレベルであり、制御信号D[6]〜D[0]がLレベルである。電源電圧Vccが3.0Vから増加するにつれて、制御信号D[6]、D[5]、D[4]、…、D[1]、D[0]の順にLレベルからHレベルに各制御信号が切替わる。そして、この制御信号D[6]〜D[0]の切替わりに応答して、PMOSトランジスタPS[6]〜PS[0]が順にオン状態からオフ状態に切替わる。
【0066】
図7(B)を参照して、書込電流Idlの制御を行わない場合には、電源電圧Vccが増加するにつれて書込電流Idlも増加する。一方、本実施の形態の方法による書込電流Idlの制御を行なった場合には、図7(A)に示した制御信号D[6]〜D[0]の論理レベルの切替わりのタイミングに同期して、書込電流Idlが段階的に減少する。この結果、書込電流Idlの制御を行わない場合の変動幅がIf2であるのに対して、書込電流Idlの制御を行なった場合の変動幅はIf1に減少している。図5の電流源回路43のPMOSトランジスタPa[0],Pb[0]〜Pa[n],Pb[n]のチャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/Lを調整するか、もしくは書込電流調整部41のPMOSトランジスタPS[0]〜PS[n]のチャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/Lを調整すれば、さらに変動幅If1を減少させることができる。
【0067】
以上のとおり、本実施の形態のディジット線ドライブ回路25の構成によれば、ドライバトランジスタとして用いられるPMOSトランジスタPMおよびPS[0]〜PS[n]のゲートが電源電圧Vccまたは接地電圧GNDのいずれかに設定され、ゲート電圧を中間電圧で制御する必要がない。したがって、ドライバトランジスタのチャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/L、特にレイアウト面積に影響するチャネル幅Wを最小限に抑えることができ、この結果、レイアウト面積の増加を抑えることができる。
【0068】
さらに、上記で説明した判定回路JC[0]〜JC[n]のバイポーラトランジスタ31の並列数および抵抗素子33の抵抗値を適切に調整することによって、比較器30から出力される制御信号D[0]〜D[n]の温度依存性を抑制することができる。
【0069】
[ビット線ドライブ回路の詳細]
図8は、図4のビット線ドライブ回路21,22の詳細な構成を示す回路図である。図5のビット線ドライブ回路21,22は任意の1本のビット線BLに接続された部分を取出して示したものである。各ビット線BLには図8と同じ回路が設けられる。
【0070】
図8を参照して、ビット線ドライブ回路21は、PMOSトランジスタPM1と、NMOSトランジスタNM1と、インバータLM1,53と、書込電流調整部51と、電源電圧検出部52と、タイミング信号生成部54とを含む。
【0071】
PMOSトランジスタPM1はビット線BLの一方の端部50A(ノード50Aとも称する)と電源ノード28との間に設けられ、NMOSトランジスタNM1はノード50Aと接地ノード29との間に設けられる。PMOSトランジスタPM1のゲートには、インバータLM1を介してタイミング信号生成部54の出力信号が与えられる。NMOSトランジスタNM1のゲートには、インバータ53を介してタイミング信号生成部54の出力信号が与えられる。
【0072】
タイミング信号生成部54は、ライトイネーブル信号WEと、対応の列選択信号CSLと、書込データDinを受ける。そして、タイミング信号生成部54は、ライトイネーブル信号WEおよび列選択信号CSLが活性状態(Hレベル)でありかつ書込データDinが「1」のとき、Hレベルの信号を出力する。
【0073】
書込電流調整部51は、電源ノード28とノード50Aとの間にPMOSトランジスタPM1とそれぞれ並列に設けられるn+1個(nは0以上の整数)のPMOSトランジスタPS[0]〜PS[n]と、PMOSトランジスタPS[0]〜PS[n]にそれぞれ対応するn+1個の論理ゲートLS[0]〜LS[n]とを含む。各論理ゲートLS[i](iは0以上n以下の整数)は、タイミング信号生成部54の出力信号と電源電圧検出部52から出力された制御信号D[i]との論理演算(すなわち、D[i]の反転信号とタイミング信号生成部54の出力信号との否定論理積の演算)を行なう。各論理ゲートLS[i]は論理演算結果を対応のPMOSトランジスタPS[i]のゲートに印加する。その他の書込電流調整部51の特徴は、図5の書込電流調整部41と同様であるので説明を繰返さない。
【0074】
電源電圧検出部52は、図5の電源電圧検出部42と同様の構成であるので説明を繰返さない。電源電圧検出部52を図5の電源電圧検出部42と共用することもできる。
【0075】
ビット線ドライブ回路22の構成は、インバータ63の配置を除いてビット線ドライブ回路21と同じである。すなわち、ビット線ドライブ回路22は、PMOSトランジスタPM2と、NMOSトランジスタNM2と、インバータLM2,63と、書込電流調整部61と、電源電圧検出部62と、タイミング信号生成部64とを含む。PMOSトランジスタPM2、NMOSトランジスタNM2、インバータLM2、書込電流調整部61、電源電圧検出部62、およびタイミング信号生成部64が、ビット線ドライブ回路21のPMOSトランジスタPM1、NMOSトランジスタNM1、インバータLM1、書込電流調整部51、電源電圧検出部52、およびタイミング信号生成部54にそれぞれ対応する。電源電圧検出部62は、電源電圧検出部52と共用することもできるし、図5の電源電圧検出部42と共用することもできる。
【0076】
インバータ63は、ビット線ドライブ回路21のインバータ53と異なり、タイミング信号生成部64の出力ノードとPMOSトランジスタPM2のゲートとの間にインバータLM2と直列に接続される。したがって、PMOSトランジスタPM2のゲートには、インバータ63およびLM2を介してタイミング信号生成部64の出力信号が与えられる。NMOSトランジスタNM2のゲートには、タイミング信号生成部64の出力信号が与えられる。書込電流調整部61を構成する各論理ゲートLS[i](iは0以上n以下の整数)は、タイミング信号生成部64の出力をインバータ63によって反転した信号と電源電圧検出部62から出力された制御信号D[i]との論理演算(すなわち、D[i]の反転信号とインバータ63の出力信号との否定論理積の演算)を行なう。
【0077】
上記の構成のビット線ドライブ回路21,22によれば、ライトイネーブル信号WEおよび列選択信号CSLが活性状態(Hレベル)でありかつ書込データDinが「1」のときには、PMOSトランジスタPM1とNMOSトランジスタNM2がオン状態になる。この結果、ビット線BLの端部50Aから端部50Bの方向へ書込電流Iblが流れる。このとき、書込電流調整部51および電源電圧検出部52は、電源電圧Vccの変動に起因した書込電流Iblの変動を抑制する。
【0078】
一方、ライトイネーブル信号WEおよび列選択信号CSLが活性状態(Hレベル)でありかつ書込データDinが「0」のときには、PMOSトランジスタPM2とNMOSトランジスタNM1がオン状態になる。この結果、ビット線BLの端部50Bから端部50Aの方向へ書込電流Iblが流れる。このとき、書込電流調整部61および電源電圧検出部62は、電源電圧Vccの変動に起因した書込電流Iblの変動を抑制する。
【0079】
[変形例]
図9は、図5のディジット線ドライブ回路25の変形例を示す回路図である。図9のディジット線ドライブ回路25Aは、図5の書込電流調整部41に代えて、さらに構成が付加された書込電流調整部44を含む点で図5のディジット線ドライブ回路25と異なる。
【0080】
書込電流調整部44は、さらに、電源ノード28とノード40Aとの間にPMOSトランジスタPMとそれぞれ並列に設けられるn+1個(nは0以上の整数)のPMOSトランジスタPT[0]〜PT[n]と、PMOSトランジスタPT[0]〜PT[n]にそれぞれ対応するn+1個の論理ゲートLT[0]〜LT[n]とを含む。各論理ゲートLT[i](iは0以上n以下の整数)は、ライトイネーブル信号WE2と電源電圧検出部42から出力された制御信号D[i]との論理演算(すなわち、D[i]の反転信号とWE2との否定論理積の演算)を行なう。各論理ゲートLT[i]は論理演算結果を対応のPMOSトランジスタPT[i]のゲートに印加する。したがって、ライトイネーブル信号WE2が活性状態(Hレベル)であり、かつ、制御信号D[i]がLレベルのとき、PMOSトランジスタPT[i]がオン状態になる。
【0081】
上記の書込電流調整部44の構成によれば、ライトイネーブル信号WEのみを活性状態にするか、ライトイネーブル信号WEおよびWE2の両方を活性状態にするかによって、書込電流Idlの調整幅を変化させることができる。
【0082】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
1 半導体装置、3 MRAM装置、20 メモリセルマット、21,22 ビット線ドライブ回路、23 ワード線ドライブ回路、24,25,25A ディジット線ドライブ回路、28 電源ノード、29 接地ノード、30 比較器、31,32 バイポーラトランジスタ、33 抵抗素子、41,44,51,61 書込電流調整部、42,52,62 電源電圧検出部、43 電流源回路、ATR アクセストランジスタ、BL,BL0〜BL63 ビット線、CSL,CSL0〜CSL15 列選択信号、D[0]〜[n] 制御信号、DL,DL0〜DL256 ディジット線、Ea,Eb 素子、GND 接地電圧、Ibl,Idl 書込電流、JC[0]〜JC[n] 判定回路、MA メモリアレイ、MC メモリセル、PM,PM1,PM2 PMOSトランジスタ、NM,NM1,NM2 NMOSトランジスタ、PS[0]〜PS[n],PT[0]〜PT[n] PMOSトランジスタ、Pa[0]〜Pa[n],Pb[0]〜Pb[n] PMOSトランジスタ、RMC 参照メモリセル、Vcc 電源電圧、WL,WL0〜WL511 ワード線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源電圧を受ける第1の電源ノードと、
第2の電源電圧を受ける第2の電源ノードと、
記憶データに応じて電気抵抗が変化する記憶素子を含むメモリセルと、
前記記憶データの書込に必要な電流を流すためのデータ書込線と、
前記データ書込線に流れる電流量を調整するドライブ回路とを備え、
前記ドライブ回路は、
前記第1および第2の電源ノード間に前記データ書込線と直列に設けられ、データ書込時に前記第1または第2の電源電圧をゲートに受けることによって導通する第1のMOSトランジスタと、
前記第1のMOSトランジスタと並列に設けられ、前記第1のMOSトランジスタと同じ導電型の第2のMOSトランジスタと、
前記第1のMOSトランジスタと同じ導電型でありかつ互いに同じ電流電圧特性を有し、データ書込時に前記第1または第2の電源電圧をゲートに受けることによって導通する第3および第4のMOSトランジスタと、
前記第1および第2の電源ノード間に前記第3のMOSトランジスタと直列に接続された第1の素子と、
前記第1および第2の電源ノード間に前記第4のMOSトランジスタと直列に接続され、前記第1の素子の電流電圧特性曲線と交差する電流電圧特性を有する第2の素子と、
前記第1の素子にかかる電圧と前記第2の素子にかかる電圧とを比較し、比較結果に応じて、データ書込時に前記第2のMOSトランジスタのゲート電圧を前記第1の電源電圧または前記第2の電源電圧にする比較器とを含む、半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−69222(P2012−69222A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214044(P2010−214044)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】