説明

半導体集積回路装置の製造方法

【課題】主にアルミニウム系通常配線を有するLSIの製造工程BEOLプロセスでは、配線の信頼性に関して、EM耐性およびSM耐性の向上が特に重要である。アルミニウム系配線に関する不良の中でも、配線メタル膜の膨張や欠けの発生は、EM耐性およびSM耐性を大きく劣化させる要因となる。
【解決手段】本願発明は、層間絶縁膜を成膜するプラズマCVDチャンバのウエハ・ステージ上に於いて、アルミニウム系配線メタル膜のパターニングの後であって層間絶縁膜の成膜前に、ウエハのデバイス面に対して、不活性ガスを主要な成分の一つとして含む雰囲気下、アルミニウム系配線メタル膜および層間絶縁膜の成膜温度よりも高いウエハ温度において、プラズマ・アニール処理を実行することにより、配線メタル層の側壁部の付着物が完全に除去され、膨張不良の原因が取り除かれ、更に、不動態化の進行、ストレス開放等により、欠け不良を抑制するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置(または半導体装置)の製造方法におけるアルミニウム系配線形成技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本特開2004−288763号公報(特許文献1)には、LSI(Large Scale Integration)に関して、HDP−CVD(High Density Plasma−Chemical Vapor Deposition)による層間絶縁膜を有するアルミニウム系メタル多層配線の形成プロセスにおいて、アルミニウム系メタル配線層のパターニング後であって層間絶縁膜で被覆する前に、配線ボイド形成防止等のために、水素雰囲気中において、アルミニウム・スパッタリング温度や後の層間絶縁膜成膜温度よりも高い摂氏420度程度で通常の熱処理炉を用いて熱処理する技術が開示されている。
【0003】
日本特開2003−332338号公報(特許文献2)には、LSI(Large Scale Integration)に関して、HDP−CVD(High Density Plasma−Chemical Vapor Deposition)による層間絶縁膜を有するアルミニウム系メタル多層配線の形成プロセスにおいて、アルミニウム系メタル配線層のパターニング後であって層間絶縁膜で被覆する前に、配線ボイド形成防止等のために、酸素フリーな非酸化性雰囲気中において、アルミニウム・スパッタリング温度や後の層間絶縁膜成膜温度よりも高い温度で通常の熱処理炉を用いて熱処理する技術が開示されている。
【0004】
日本特開2007−128976号公報(特許文献3)には、バイポーラ型トランジスタ等に関して、パッシベーション膜であるプラズマPSG(Phospho−Silicate Glass)膜のクラック等を防ぐために、アルミニウム系メタル電極のパターニング後であってPSG膜の成膜前に、窒素雰囲気又は酸素雰囲気中、摂氏350度から摂氏450度の温度において、熱処理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−288763号公報
【特許文献2】特開2003−332338号公報
【特許文献3】特開2007−128976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
主にアルミニウム系通常配線から構成された多層配線を有するLSIの製造工程、すなわち、ウエハ工程におけるBEOL(Back End of Line)プロセスでは、配線の信頼性に関して、EM(Electro−Migration)耐性およびSM(Stress Migration)耐性の向上が特に重要である。アルミニウム系配線に関する不良の中でも、配線メタル膜の膨張や欠けの発生は、EM耐性およびSM耐性を大きく劣化させる要因となる。
【0007】
配線メタル膜の膨張や欠け等の不良モードについて、本願発明者等が検討したところによると、以下の点が明らかとなった。すなわち、配線メタル膜の膨張不良は、アルミニウム系配線メタル層のパターニングの際に配線メタル層の側壁に付着する付着成分によって、後続のアッシング処理による不動態化が十分に進行せず、層間絶縁膜の成膜時の熱ストレスにより、配線メタル層の側壁に残留していたガス成分が排出するためというものである。
【0008】
一方、配線メタル膜の欠け不良は、配線メタルが層間絶縁膜で覆われた状態で、層間絶縁膜の成膜時または、後の工程の熱ストレスにより、配線メタル層の側壁等の不動態化が不十分な部分のグレイン部において、ストレス緩和が発生する結果、欠けが生成するというものである。
【0009】
本願発明は、これらの課題を解決するためになされたものである。
【0010】
本発明の目的は、信頼性の高い半導体集積回路装置の製造プロセスを提供することにある。
【0011】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0013】
すなわち、本願の一つの発明は、層間絶縁膜を成膜するプラズマCVDチャンバのウエハ・ステージ上に於いて、アルミニウム系配線メタル膜のパターニングの後であって層間絶縁膜の成膜前に、ウエハのデバイス面に対して、不活性ガスを主要な成分の一つとして含む雰囲気下、アルミニウム系配線メタル膜および層間絶縁膜の成膜温度よりも高いウエハ温度において、プラズマ・アニール処理を実行するものである。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0015】
すなわち、層間絶縁膜を成膜するプラズマCVDチャンバのウエハ・ステージ上に於いて、アルミニウム系配線メタル膜のパターニングの後であって層間絶縁膜の成膜前に、ウエハのデバイス面に対して、不活性ガスを主要な成分の一つとして含む雰囲気下、アルミニウム系配線メタル膜および層間絶縁膜の成膜温度よりも高いウエハ温度において、プラズマ・アニール処理を実行することにより、層間絶縁膜の成膜時の熱ストレスにより、配線メタル層の側壁に残留していたガス成分が排出することを防止することができ、その結果、膨張不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法に使用するHDP−CVDチャンバを複数台内蔵するマルチ・チャンバ型ウエハ処理装置の平面レイアウト図である。
【図2】図1のHDP−CVDチャンバの正断面図である。
【図3】図2のHDP−CVDチャンバのウエハ冷却システム全体の模式断面構成図である。
【図4】図3のウエハ冷却システムの各セクションが担当するウエハ裏面とウエハ・ステージ間の領域を示すウエハ・ステージの上面図である。
【図5】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法によって製造されたデバイスの一般的断面構造図である。
【図6】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層のプロセス・ブロック・フロー図である。
【図7】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(第1層配線完成時点)である。
【図8】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(下層バリア・メタル膜成膜時点)である。
【図9】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(アルミニウム系配線金属膜成膜時点)である。
【図10】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(上層バリア・メタル膜成膜時点)である。
【図11】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(反射防止膜成膜時点)である。
【図12】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(フォト・レジスト膜塗布時点)である。
【図13】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(フォト・レジスト膜現像時点)である。
【図14】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(配線メタル膜ドライ・エッチング完了時点)である。
【図15】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(フォト・レジスト膜アッシング除去完了時点)である。
【図16】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(側壁ポリマ除去時点)である(この図から図21は、図17のX−X’断面に対応する)。
【図17】図16に対応するウエハの上面図である。
【図18】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(HDP−CVD完了時点)である。
【図19】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(プラズマTEOS膜成膜時点)である。
【図20】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(CMP完了時点)である。
【図21】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(キャップ酸化シリコン系膜成膜時点)である。
【図22】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法の要部プロセスである層間膜成膜周辺工程群のプロセス・ブロック・フロー図である。
【図23】図22のプラズマ・アニール工程の詳細構成の具体例を示すプロセス・ブロック・フロー図である。
【図24】図22の層間膜成膜周辺工程群におけるウエハ温度の推移を示すウエハ温度変化模式図である。
【図25】図22の層間膜成膜周辺工程群における各ステップの処理条件等をまとめた図表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施の形態の概要〕
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。
【0018】
1.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)第1のウエハ温度において、ウエハの第1の主面上に、アルミニウム系配線金属膜を含む多層配線金属膜を成膜する工程;
(b)前記ウエハの前記第1の主面上の前記アルミニウム系配線金属膜を含む前記多層配線金属膜をパターニングする工程;
(c)前記工程(a)の後、第1のプラズマCVDチャンバ内のウエハ・ステージ上に、前記ウエハをセットする工程;
(d)前記第1のプラズマCVDチャンバ内の前記ウエハ・ステージ上にセットされた前記ウエハの前記第1の主面に対して、不活性ガスを主要な成分の一つとして含む第1の雰囲気下、第1のウエハ温度よりも高い第2のウエハ温度において、第1のプラズマ表面処理を実行する工程;
(e)前記工程(d)の後、前記第1のプラズマCVDチャンバ内の前記ウエハ・ステージ上にセットされた前記ウエハの前記第1の主面に対して、第2のウエハ温度よりも低い第3のウエハ温度において、層間絶縁膜の成膜処理を第1のプラズマCVD処理により、実行する工程。
【0019】
2.前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の雰囲気は、酸素ガスを主要な成分の一つとして含む。
【0020】
3.前記1または2項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(f)前記工程(c)の後であって、前記工程(d)の前に、前記第1のプラズマCVDチャンバ内の前記ウエハ・ステージ上にセットされた前記ウエハの前記第1の主面に対して、不活性ガスを主要な成分の一つとして含む第2の雰囲気下、前記第1のウエハ温度よりも低い第4のウエハ温度において、第2のプラズマ表面処理を実行する工程。
【0021】
4.前記3項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2の雰囲気は、実質的に酸素を含まない。
【0022】
5.前記3または4項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(g)前記工程(f)の後であって、前記工程(d)の前に、前記第1のプラズマCVDチャンバ内の前記ウエハ・ステージ上にセットされた前記ウエハの前記第1の主面に対して、不活性ガスおよび酸素ガスを主要な成分の一つとして含む第3の雰囲気下、前記第1のウエハ温度よりも低い第5のウエハ温度において、第3のプラズマ表面処理を実行する工程。
【0023】
6.前記5項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第4のウエハ温度と前記第5のウエハ温度は、ほぼ同一である。
【0024】
7.前記1から6項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(h)前記工程(e)の後に、前記第1のプラズマCVDチャンバ内の前記ウエハ・ステージ上にセットされた前記ウエハの温度を、前記第3のウエハ温度から、前記第1のウエハ温度よりも低い第6のウエハ温度以下に降下させる工程。
【0025】
8.前記7項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第6のウエハ温度は、摂氏200度である。
【0026】
9.前記7または8項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(h)における摂氏300度と摂氏200度の間における平均温度降下速度は、2度/秒以上、5度/秒以下である。
【0027】
10.前記7から9項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(h)において、プラズマは点灯状態にある。
【0028】
11.前記5から10項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(i)前記工程(g)の後であって、前記工程(d)の前に、前記第1のプラズマCVDチャンバ内の前記ウエハ・ステージ上にセットされた前記ウエハの前記第1の主面に対して、不活性ガスを主要な成分の一つとして含む第4の雰囲気下、前記ウエハの温度を、前記第5のウエハ温度から前記第2のウエハ温度へ昇温しながら、第4のプラズマ表面処理を実行する工程。
【0029】
12.前記11項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第4の雰囲気は、酸素ガスを主要な成分の一つとして含む。
【0030】
13.前記1から12項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記層間絶縁膜は、HDP−CVDによる酸化シリコン系絶縁膜である。
【0031】
14.前記1から13項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(j)レジスト膜及びポリマ除去を含む前記工程(b)の後であって、前記工程(c)の前に、酸素ガスを主要な成分の一つとして含む第5の雰囲気下、第1のウエハ温度よりも低い第7のウエハ温度において、第5のプラズマ表面処理を実行する工程。
【0032】
15.前記14項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(j)は、前記第1のプラズマCVDチャンバ内では行われない。
【0033】
16.前記1から15項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2のウエハ温度は、前記摂氏350度以上、前記摂氏450度以下である。
【0034】
17.前記3から16項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第4のウエハ温度は、前記摂氏150度以上、前記摂氏270度以下である。
【0035】
18.前記1から17項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第3のウエハ温度は、前記摂氏320度以上、前記摂氏370度以下である。
【0036】
19.前記3または4項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(g)前記工程(f)の後であって、前記工程(d)の前に、前記第1のプラズマCVDチャンバ内の前記ウエハ・ステージ上にセットされた前記ウエハの前記第1の主面に対して、不活性ガスおよび窒素ガスを主要な成分の一つとして含む第3の雰囲気下、前記第1のウエハ温度よりも低い第5のウエハ温度において、第3のプラズマ表面処理を実行する工程。
【0037】
〔本願における記載形式・基本的用語・用法の説明〕
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクションに分けて記載する場合もあるが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0038】
更に、本願において、「半導体集積回路装置」というときは、主に、各種トランジスタ(能動素子)を中心に、抵抗、コンデンサ等を半導体チップ等(たとえば単結晶シリコン基板)上に集積したものをいう。ここで、各種トランジスタの代表的なものとしては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)に代表されるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を例示することができる。このとき、集積回路構成の代表的なものとしては、Nチャネル型MISFETとPチャネル型MISFETを組み合わせたCMOS(Complemetary Metal Oxide Semiconductor)型集積回路に代表されるCMIS(Complemetary Metal Insulator Semiconductor)型集積回路を例示することができる。
【0039】
今日の半導体集積回路装置、すなわち、LSI(Large Scale Integration)のウエハ工程は、通常、原材料としてのシリコンウエハの搬入からプリ・メタル(Premetal)工程(M1配線層下端とゲート電極構造の間の層間絶縁膜等の形成、コンタクト・ホール形成、タングステン・プラグ、埋め込み等からなる工程)あたりまでのFEOL(Front End of Line)工程と、M1配線層形成から始まり、アルミニウム系パッド電極上のファイナル・パッシベーション膜へのパッド開口の形成あたりまで(ウエハ・レベル・パッケージ・プロセスにおいては、当該プロセスも含む)のBEOL(Back End of Line)工程に大別できる。
【0040】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかに、そうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。同様に、「酸化シリコン膜」、「酸化シリコン系絶縁膜」等と言っても、比較的純粋な非ドープ酸化シリコン(Undoped Silicon Dioxide)だけでなく、FSG(Fluorosilicate Glass)、TEOSベース酸化シリコン(TEOS-based silicon oxide)、SiOC(Silicon Oxicarbide)またはカーボンドープ酸化シリコン(Carbon-doped Silicon oxide)またはOSG(Organosilicate glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)、BPSG(Borophosphosilicate Glass)等の熱酸化膜、CVD酸化膜、SOG(Spin ON Glass)、ナノ・クラスタリング・シリカ(Nano-Clustering Silica:NCS)等の塗布系酸化シリコン、これらと同様な部材に空孔を導入したシリカ系Low-k絶縁膜(ポーラス系絶縁膜)、およびこれらを主要な構成要素とする他のシリコン系絶縁膜との複合膜等を含むことは言うまでもない。
【0041】
また、酸化シリコン系絶縁膜と並んで、半導体分野で常用されているシリコン系絶縁膜としては、窒化シリコン系絶縁膜がある。この系統の属する材料としては、SiN,SiCN,SiNH,SiCNH等がある。ここで、「窒化シリコン」というときは、特にそうでない旨明示したときを除き、SiNおよびSiNHの両方を含む。同様に、「SiCN」というときは、特にそうでない旨明示したときを除き、SiCNおよびSiCNHの両方を含む。
【0042】
なお、SiCは、SiNと類似の性質を有するが、反射防止膜等に使用されるSiONは、むしろ、酸化シリコン系絶縁膜に分類すべき場合が多い。
【0043】
窒化シリコン膜は、SAC(Self−Aligned Contact)技術におけるエッチ・ストップ膜として、多用されるほか、SMT(Stress Memorization Technique)における応力付与膜としても使用される。
【0044】
同様に、「アルミニウム配線」、「アルミニウム系配線金属」等といっても、通常、高純度のアルミニウムのみではなく、0.5から5重量%程度の銅、シリコン、その他の添加物が添加されている。また、上下に複数の補助メタル層(さらに付加的な絶縁性反射防止膜等)を有するのが普通である。
【0045】
さらに、ガス組成についても、「不活性ガス雰囲気」といっても、特にそうでない旨明示した場合を除き、アルゴンやヘリウムのみではなく、他の汎用添加ガス、すなわち、水素、酸素、窒素等の添加や含有を許容する。
【0046】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0047】
4.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0048】
5.「ウエハ」というときは、通常は半導体集積回路装置(半導体装置、電子装置も同じ)をその上に形成する単結晶シリコンウエハを指すが、エピタキシャルウエハ、SOI基板、LCDガラス基板等の絶縁基板と半導体層等の複合ウエハ等も含むことは言うまでもない。
【0049】
6.「ウエハ温度」は、パイロ・メータによって測定したウエハの温度である。「ステージ温度」とは、ウエハを載せたウエハ・ステージの設定温度である。なお、加熱においては、ステージ温度は、一般にウエハ温度よりも若干低い。以下の実施の形態に使用するウエハ処理装置では、ステージ自体には加熱温調機構はなく、加熱はもっぱらウエハ上方のプラズマからの熱による。ウエハの温度は、このプラズマからの熱とウエハ下方から供給される冷却用ヘリウム・ガス流のバランスによって制御されている。
【0050】
7.「プラズマ表面処理」とは、ウエハをプラズマ反応室に導入して、プラズマによって励起された活性種によって、ウエハの表面又はその近傍に対して、物理的又は化学的処理をすることを言う。具体的には、プラズマ・クリーニング、プラズマ酸化、プラズマ窒化、プラズマ還元、プラズマ・アニーリング等がその典型である。HDP−CVDは、「プラズマ処理」または「プラズマ成膜処理」であるが、ここで言う「プラズマ表面処理」ではない。
【0051】
なお、プラズマ処理における雰囲気については、主要なもののみを記載したが、その他にプロセスの邪魔にならない限り(安全及び特性の劣化のない限り)種々のガスの添加が可能である。これらの点を前提に、種々の目的のために、窒素、酸素、水素、不活性ガス等の添加は一般に許容される。
【0052】
〔実施の形態の詳細〕
実施の形態について更に詳述する。各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0053】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するために、ハッチングを付すことがある。
【0054】
1.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法に使用するHDP−CVD装置等の説明(主に図1から図4)
まず、本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法の要部プロセスである層間膜成膜周辺工程群において使用するHDP−CVD装置を説明する。
【0055】
図1は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法に使用するHDP−CVDチャンバを複数台内蔵するマルチ・チャンバ型ウエハ処理装置の平面レイアウト図である。図2は図1のHDP−CVDチャンバの正断面図である。図3は図2のHDP−CVDチャンバのウエハ冷却システム全体の模式断面構成図である。図4は図3のウエハ冷却システムの各セクションが担当するウエハ裏面とウエハ・ステージ間の領域を示すウエハ・ステージの上面図である。
【0056】
まず、図1に基づいて、マルチ・チャンバ型ウエハ処理装置51の平面レイアウトを説明する。図1に示すように、マルチ・チャンバ型ウエハ処理装置51には、複数のロードポート52が設けられており、そこには、複数のウエハ1を収容したフープ(密閉型ウエハ搬送容器)53をセットできるようになっている。ロードポート52にセットされたフープ53は、局所清浄室54とドッキングされ、フープ53内のウエハ1は、局所清浄室54内のロード・アンロード用ロボット59によって、複数のロードロック室55のいずれかを通して、真空搬送室56内の真空搬送ロボット58に受け渡される。真空搬送ロボット58は、受け取ったウエハ1をプラズマ処理室(プラズマCVDチャンバ)57a,57b,57c(各チャンバは、ほぼ同一の機能を有する)のいずれかに導入する。一連の処理121(図22)が完了すると、ウエハ1は導入時と逆の経路をたどり、フープ53に戻される。
【0057】
次に、図2に基づいて、図1におけるプラズマ処理室57a(他のチャンバも構造および機能はほぼ同一である)の構造及び機能の概要を説明する。図2に示すように、プラズマ処理室57aの外壁61は、上部のドーム上の部分が、ほぼセラミック製であり、中間から下の基体部分がステンレス又はアルミニウムを主要な成分とする金属等から構成されている。ウエハ1は、ウエハ出し入れ用ゲート71から導入されて、プラズマ処理室57a内のウエハ・ステージ(下部電極)62上に、そのデバイス面1a(第1の主面)を上にしてセットされる。下部電極62には、ウエハ側バイアス用コンデンサ64を介して、ウエハ側バイアス用高周波電源63(たとえば、13.56MHz)が接続されている。また、ウエハ1の裏面を冷却するためのヘリウム冷却系制御部81から冷却用ヘリウム・ガスが供給されるようになっている。ウエハ・ステージ62の周辺には、反応ガス等を供給するガス導入ノズル69が複数個設けられている。ウエハ・ステージ62の上方には、プラズマ41が生成される部分があり、外壁61のセラミック製のドーム上の部分の外部には、プラズマ励起用サイド・アンテナ66およびプラズマ励起用トップ・アンテナ68が設けられており、それぞれサイド・アンテナ用高周波電源65(たとえば、2MHz)およびトップ・アンテナ用高周波電源68(たとえば、2MHz)に接続されている。ウエハ・ステージ62の下方には、主排気ゲート・バルブ70と真空排気系の一部をなすターボ分子ポンプ73が設けられており、主排気管72によりドライ粗引きポンプ74に連結されている。また、この主排気路とパラレルに予備排気管75、予備排気バルブ76等からなる予備排気路が設けられている。また、プラズマ処理室57aの上部外部には、クリーニング用リモート・プラズマ励起室77が設けられており、ここで励起された弗素の活性種等がクリーニング用ガス搬送管78を通してプラズマ処理室57a内に搬送されるようになっている。なお、プラズマ処理室57aの上端部内部に設けられているのは、ガス導入バッフル79である。
【0058】
次に、図3及び図4に基づいて、図2のヘリウム冷却系等について説明する。図3及び図4に示すように、ヘリウム冷却系は、ウエハ1の裏面1bにヘリウム・ガス(たとえば摂氏80度程度の)を供給してウエハを冷却することにより、プラズマ41からの熱とのバランスで、ウエハ1を所望の温度に制御するシステムである。ヘリウム・ガス源82から供給されたヘリウム・ガスは、ヘリウム冷却系制御部81内のウエハ内部領域ヘリウム・ガス圧力制御系83およびウエハエッジ領域ヘリウム・ガス圧力制御系84において所望の圧力に調整され、それぞれウエハ内部領域ヘリウム・ガス供給バルブ85およびウエハエッジ領域ヘリウム・ガス供給バルブ86を介して、2系統の供給管であるウエハ内部領域ヘリウム・ガス供給管87およびウエハエッジ領域ヘリウム・ガス供給管88に供給される。ウエハ内部領域ヘリウム・ガス供給管87は、ウエハ・ステージとウエハ裏面間のウエハ内部領域93にヘリウム・ガスを供給するようになっており、ウエハエッジ領域ヘリウム・ガス供給管88はウエハ・ステージとウエハ裏面間のウエハエッジ領域94にヘリウム・ガスを供給するようになっている。
【0059】
また、ウエハ・ステージ62には、ウエハ1を静電的に吸着する静電チャック91が設けられている。
【0060】
2.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法によって製造されたデバイスの一般的断面構造の説明(主に図5)
セクション3及び4の理解を容易にするために、本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法によって製造されたデバイスの一般的断面構造(ファイナル・パッシベーション膜形成時点)の概要を説明する。ここでは、説明の都合上、4層配線について具体的に説明するが、一般に、3層から11層程度の配線構成が汎用されている。
【0061】
図5は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法によって製造されたデバイスの一般的断面構造図(たとえば、300nmテクノロジ・ノード製品)である。
【0062】
図5に示すように、半導体ウエハ(P型単結晶シリコン・ウエハ)1のデバイス面1a(裏面1bの反対の面)側表面領域には、MISFETのソース・ドレイン領域8(不純物ドープ領域)、複数のMISFETを電気的に分離するSTI(Shallow Trench Isolation)等が設けられている。ウエハ1のデバイス面1a(第1の主面)上には、MISFETのゲート電極構造9が形成されており、これを覆うように酸化シリコン系膜を主要な構成要素とするプリ・メタル絶縁膜20が設けられている。プリ・メタル絶縁膜20内には、タングステン系コンタクト・プラグ40およびコンタクト・プラグ用バリア・メタル22が埋め込まれている。このプリ・メタル絶縁膜20上には、4層の配線層、すなわち、第1層アルミニウム系配線層M1、第2層アルミニウム系配線層M2、第3層アルミニウム系配線層M3、および第4層アルミニウム系配線層M4が順次形成されている。
【0063】
第1層アルミニウム系配線層M1には、下層バリア・メタル膜(たとえばTiN膜)、アルミニウム系配線金属膜、上層バリア・メタル膜(たとえばTiN膜)等からなる第1層多層配線金属膜13が設けられており、それを覆うように第1層配線領域HDP−CVD酸化シリコン系層間絶縁膜24、第1層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系層間絶縁膜25、第1層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系キャップ絶縁膜26等からなる第1層層間絶縁膜が形成されている。第1層層間絶縁膜内には、第1層配線領域タングステン・プラグ15および第1層配線領域タングステン・プラグのバリア・メタル膜16が埋め込まれている。第1層多層配線金属膜13上を覆うのは、第1層配線用反射防止膜(CVD−SiON膜)44である。
【0064】
第2層アルミニウム系配線層M2には、下層バリア・メタル膜2(たとえばTiN膜)、アルミニウム系配線金属膜5、上層バリア・メタル膜6(たとえばTiN膜)等からなる第2層多層配線金属膜3が設けられており、それを覆うように第2層配線領域HDP−CVD酸化シリコン系層間絶縁膜14、第1層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系層間絶縁膜7、第1層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系キャップ絶縁膜11等からなる第2層層間絶縁膜が形成されている。第2層層間絶縁膜内には、第2層配線領域タングステン・プラグ27および第2層配線領域タングステン・プラグのバリア・メタル膜28が埋め込まれている。第2層多層配線金属膜23上を覆うのは、第2層配線用反射防止膜(CVD−SiON膜)18である。
【0065】
第3層アルミニウム系配線層M3には、下層バリア・メタル膜(たとえばTiN膜)、アルミニウム系配線金属膜、上層バリア・メタル膜(たとえばTiN膜)等からなる第3層多層配線金属膜33が設けられており、それを覆うように第3層配線領域HDP−CVD酸化シリコン系層間絶縁膜35、第3層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系層間絶縁膜36、第3層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系キャップ絶縁膜37等からなる第3層層間絶縁膜が形成されている。第3層層間絶縁膜内には、第3層配線領域タングステン・プラグ32および第3層配線領域タングステン・プラグのバリア・メタル膜34が埋め込まれている。第3層多層配線金属膜33上を覆うのは、第3層配線用反射防止膜(CVD−SiON膜)45である。
【0066】
第4層アルミニウム系配線層M4には、下層バリア・メタル膜(たとえばTiN膜)、アルミニウム系配線金属膜、上層バリア・メタル膜(たとえばTiN膜)等からなる第4層多層配線金属膜43が設けられており、それを覆うように第4層配線領域HDP−CVD酸化シリコン系層内絶縁膜38、第4層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系層内絶縁膜39、ファイナル・パッシベーション膜17等からなる最上層絶縁膜が形成されている。第4層多層配線金属膜43上を覆うのは、第4層配線用反射防止膜(CVD−SiON膜)46である。
【0067】
3.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層のデバイス断面プロセス・フローの説明(主に図6から図21)
ここでは、本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとって、ビア層及び配線層のうち、特にその配線層部分を中心に説明する。)のデバイス断面プロセス・フローを説明する。なお、第2層配線以外にも、ほぼ、そのまま適用できることは言うまでもない。
【0068】
図6は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層のプロセス・ブロック・フロー図である。図7は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(第1層配線完成時点)である。図8は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(下層バリア・メタル膜成膜時点)である。図9は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(アルミニウム系配線金属膜成膜時点)である。図10は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(上層バリア・メタル膜成膜時点)である。図11は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(反射防止膜成膜時点)である。図12は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(フォト・レジスト膜塗布時点)である。図13は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(フォト・レジスト膜現像時点)である。図14は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(配線メタル膜ドライ・エッチング完了時点)である。図15本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(フォト・レジスト膜アッシング除去完了時点)である。図16は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(側壁ポリマ除去時点)である(この図から図21は、図17のX−X’断面に対応する)。図17は図16に対応するウエハの上面図である。図18は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(HDP−CVD完了時点)である。図19は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(プラズマTEOS膜成膜時点)である。図20は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(CMP完了時点)である。図21本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法における単位配線層(第2層配線を例にとる)のデバイス断面プロセス・フロー図(キャップ酸化シリコン系膜成膜時点)である。
【0069】
図7にプリメタル絶縁膜および第1層アルミニウム系配線層を含む下層絶縁膜10(図5のプリ・メタル絶縁膜20および第1層アルミニウム系配線層M1を含む)が完成した時点のデバイス断面構造を示す(図6の下部の層間絶縁膜形成工程101)。
【0070】
次に、図8に示すように、まず、ウエハ1の表面1aのほぼ全面の下層絶縁膜10上のほぼ全面に、第2層配線領域下層バリア・メタル膜2(たとえば、厚さ15nm程度の下層チタン膜、厚さ20nm程度の下層窒化チタン膜等からなる)をスパッタリングにより形成する。このスパッタリングの際にウエハ1を載置するウエハ・ステージの温度は、たとえば、摂氏300度程度(第1のウエハ温度)である。
【0071】
次に、図9に示すように、ウエハ1の表面1aのほぼ全面の第2層配線領域下層バリア・メタル膜2上のほぼ全面に、第2層配線領域アルミニウム系配線金属膜5(たとえば、厚さ250nm程度のアルミニウムを主要な成分とし、たとえば1重量%程度の銅を添加)をスパッタリングにより形成する。このスパッタリングの際にウエハ1を載置するウエハ・ステージの温度は、たとえば、摂氏300度程度である。
【0072】
次に、図10に示すように、ウエハ1の表面1aのほぼ全面のアルミニウム系配線金属膜5上のほぼ全面に、第2層配線領域上層バリア・メタル膜6(たとえば、厚さ5nm程度の下層チタン膜、厚さ50nm程度の下層窒化チタン膜等からなる)をスパッタリングにより形成する(以上、図6の配線膜形成工程102)。このスパッタリングの際にウエハ1を載置するウエハ・ステージの温度は、たとえば、摂氏300度程度である。この第2層配線領域下層バリア・メタル膜2、第2層配線領域アルミニウム系配線金属膜5、第2層配線領域上層バリア・メタル膜6等で、第2層多層配線金属膜3を構成する。
【0073】
次に、図11に示すように、ウエハ1の表面1aのほぼ全面のバリア・メタル膜6上のほぼ全面に、たとえば厚さ30nm程度の第2層配線用反射防止膜18(プラズマCVD−SiON膜)を形成する(図6の反射防止膜形成工程103)。この成膜条件として、たとえば、ガス流量SiH/NO/He=140sccm/600sccm/750sccm程度、高周波パワー100ワット程度、気圧300パスカル程度、ウエハ温度摂氏400度程度を例示することができる。
【0074】
次に、図12に示すように、ウエハ1の表面1aのほぼ全面の反射防止膜18上のほぼ全面に、フォト・レジスト膜19を塗布する(図6のレジスト塗布工程104)。続いて、図13に示すように、光リソグラフィ等(KrF,ArF,EUV等)により、フォト・レジスト膜19をパターニングする(図6のリソグラフィ工程105)。
【0075】
次に、図14に示すように、パターニングされたフォト・レジスト膜19をマスクとして、ドライ・エッチングを実行すると、(反射防止膜18を含めて)第2層多層配線金属膜3がパターニングされる(図6の多層配線金属膜エッチング工程106)。このとき、パターニングされた第2層多層配線金属膜3等の側壁には、側壁ポリマ膜21が形成される。このドライ・エッチング条件として、たとえば、ガス雰囲気はCl,BCl等、高周波パワー(上方800ワット程度/下方330ワット程度)、気圧0.8パスカル程度、ウエハ・ステージ温度摂氏40度程度を例示することができる。
【0076】
次に、図15に示すように、ウエハ1の第1の主面1a側に対して、アッシング処理を施し、フォト・レジスト膜19を除去する(図6のアッシング工程107)。このアッシング条件として、たとえば、ガス流量O2/N2=7500sccm/40sccm程度、高周波パワー1500ワット程度、気圧200パスカル程度、ウエハ・ステージ温度摂氏250度程度を例示することができる。
【0077】
次に、図16に示すように、有機系溶剤によって、側壁ポリマ膜21を除去する(図6のポリマ除去工程108)。この時点のウエハ1の上面1aの様子を図17に示す。図16の断面は、図17のX−X’に対応する。続いて、エッチング後のアルミニウム系配線金属層5の安定化のための不動態化処理工程109(図6)すなわち、第5のプラズマ表面処理を実行する。この処理条件として、たとえば、ガス流量O2=7000sccm程度、高周波パワー2000ワット程度、気圧100から300パスカル程度、ウエハ・ステージ温度摂氏250度程度(第7のウエハ温度)を例示することができる。先のアッシング工程107からこの工程までを多層配線金属膜エッチング後処理工程群120という。
【0078】
次に、図18に示すように、図1及び図2等で説明したHDP−CVD炉に導入して、たとえば厚さ400nm程度の第2層配線領域HDP−CVD酸化シリコン系層間絶縁膜14を成膜する(図6のHDP層間絶縁膜形成工程111)。この工程を含む前後の工程については、層間膜成膜周辺工程群121(図6)として、セクション4において詳述するので、ここでは簡単に言及するにとどめる。先の多層配線金属膜エッチング工程106からHDP層間絶縁膜形成工程111(層間膜成膜周辺工程群121を含む)までを多層配線金属膜エッチング&層間膜成膜周辺工程群122という。
【0079】
次に、図19に示すように、ウエハ1の表面1aのほぼ全面の第2層配線領域HDP−CVD酸化シリコン系層間絶縁膜14上のほぼ全面に、たとえば厚さ600nm程度の第2層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系層間絶縁膜7を形成する(図6のプラズマTEOS層間絶縁膜形成工程112)。この成膜条件として、たとえば、ガス流量TEOS/O2/He=5250(mg/分)/4200sccm/4000sccm程度、高周波パワー1400ワット程度、気圧300から1500パスカル程度、ウエハ温度摂氏400度程度を例示することができる。
【0080】
続いて、図20に示すように、図19にCMP研摩量12を表す破線部分まで化学機械研摩(Chemical Mechanical Polishing)等により、研摩することで平坦化する(図6の化学機械研摩工程113)。
【0081】
次に、図21に示すように、第2層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系キャップ絶縁膜11を成膜する(図6のキャップ絶縁膜形成工程)。
【0082】
この後、第2層配線領域タングステン・プラグ27および第2層配線領域タングステン・プラグのバリア・メタル膜28を埋め込むことにより、第2層アルミニウム系配線層M2が完成する。
【0083】
なお、この製法は、配線層が変わっても基本的に同じである。すなわち、第1層アルミニウム系配線層M1から第3層アルミニウム系配線層M3は、ほとんど同一であり、第4層アルミニウム系配線層M4は、同層をそのままボンディング・パッド層とする場合は、寸法の相違、ビア、プラグがない点など以外は、ほぼ同一である。
【0084】
4.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法の要部プロセスである層間膜成膜周辺工程群の説明(主に図22から図25)
セクション1から3を踏まえて、本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法の要部プロセスである層間膜成膜周辺工程群について説明する。
【0085】
図22は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置(アルミニウム系通常配線の製品)の製造方法の要部プロセスである層間膜成膜周辺工程群のプロセス・ブロック・フロー図である。図23は図22のプラズマ・アニール工程の詳細構成の具体例を示すプロセス・ブロック・フロー図である。図24は図22の層間膜成膜周辺工程群におけるウエハ温度の推移を示すウエハ温度変化模式図である。図25は図22の層間膜成膜周辺工程群における各ステップの処理条件等をまとめた図表である。
【0086】
図22に示すように、多層配線金属膜エッチング後処理工程群120(図6)の処理が完了したウエハ1は、図1に説明したフープ53に収容されて、マルチ・チャンバ・ウエハ処理装置51のロードポート52に搬送され、そこで、セクション1で説明した手順に沿って、いずれかのプラズマ処理室57a,57b,57c(第1のプラズマ・チャンバ)のウエハ・ステージ62上に載置された状態で、一連の層間膜成膜周辺工程群121に属する処理が施される。なお、処理の効率及び処理特性の観点から、一連の層間膜成膜周辺工程群121に属する処理の間、ウエハ1は、同一のウエハ・ステージ62上に載置されていることが望ましい。
【0087】
まず、図22に沿って、層間膜成膜周辺工程群121の概要を説明する。HDP−CVD処理等により層間絶縁膜14(図18)を形成する前に、その前処理として、ウエハ1のデバイス面1a(第1の主面)側に対して、プラズマ・アニール処理151を実行する。このプラズマ・アニール処理151の主要な目的は、不活性ガスを主要な成分の一つとして含む雰囲気下、アルミニウム系配線メタル膜および層間絶縁膜の成膜温度よりも高いウエハ温度において、プラズマ・アニール処理を実行することにより、配線メタル層の側壁に残留していたガス成分が層間絶縁膜の成膜時の熱ストレスにより、排出することを防止するところ、およびメタル膜内部のストレス開放(すなわち、不動態化の進行および、層間絶縁膜成膜前における配線メタル層のストレス解放により、欠け不良を抑制することができる。)にある。
【0088】
プラズマ・アニール処理151の後、図22に示すように、ウエハ1のデバイス面1a(第1の主面)側に対して、HDP層間絶縁膜形成工程111(第1のプラズマCVD処理)を実行する。続いて、ウエハ1のデバイス面1a(第1の主面)側に対して、CVD後処理工程161、すなわち、ウエハ温度の急冷処理を実行する。この処理の主要な目的は、エレクトロ・マイグレーション対策として、アルミニウム系配線金属膜5(図16)に添加している銅の析出を防止するためである。なお、図22に迂回の矢印で示すように、この急冷処理は必須ではないが、実施すれば、信頼性等の向上に有益である。
【0089】
次に、図23によって一連のプラズマ・アニール処理151として実施することが望ましい各処理ステップの概要及び意義について説明する。まず、プラズマ・クリーニング処理151aは、アルゴン等の不活性ガスを主要な成分の一つとするガス雰囲気下で、プラズマ励起によるスパッタリング作用により、アルミニウム系配線金属膜5等の表面領域の清浄化を図る。なお、図23に迂回の矢印で示すように、このプラズマ・クリーニング処理151aは必須ではないが、実施すれば、信頼性等の向上に有益である。
【0090】
次のプラズマ酸化処理151bは、不活性ガスおよび酸素ガスを主要な成分の一つとして含む雰囲気下で、プラズマ励起によるスパッタリング作用および酸素ラジカルによる酸化作用により、不動態化が不十分なアルミニウム系配線金属膜5等の表面領域の不動態化を更に進行させる。なお、図23に迂回の矢印で示すように、このプラズマ・クリーニング処理151aは必須ではないが、実施すれば、信頼性等の向上に有益である。
【0091】
最後のプラズマ高温アニール処理151dは、アルゴン等の不活性ガスを主要な成分の一つとするガス雰囲気下で、ウエハ1の加熱およびプラズマ励起によるスパッタリング作用により、アルミニウム系配線金属膜5等の表面領域からの脱ガスを促進することを主要な目的とするものである。このため、ウエハ温度の主要な値(または平均値)は、後続の層間絶縁膜形成工程111(図22)の主要な値(または平均値)よりも高い必要がある。また、高温および酸素ラジカルの効果を利用して、不十分な酸化処理等を更に進行させて、アルミニウム欠損等を抑制したい場合には、酸素を添加することが有効である(図25の具体例参照)。この点、次のプラズマ中昇温処理151cも同じである。
【0092】
プラズマ中昇温処理151cは、先行ステップからプラズマ高温アニール処理151dへウエハ温度を上昇させるための遷移期間であって、ウエハ温度が一瞬で上昇可能ならば省略可能である。また、雰囲気は害にならないものであれば、いずれでもよいが、プラズマ高温アニール処理151dと同一又は類似の雰囲気にすれば、プラズマ高温アニール処理151dの処理時間を短縮することができる。
【0093】
次に、図24及び図25に基づいて、図22の層間膜成膜周辺工程群121の詳細プロセスの好適な一例を説明する。図24及び図25(図1、図2、図6、図16から図18、図22及び図23を参照)に示すように、ウエハ1のデバイス面1a(第1の主面)側を上に向けた状態で載置される。この状態で、プラズマ・クリーニング処理151a(ステップA、すなわち、第2のプラズマ表面処理)を実行する。好適な条件の一例として、処理時間30秒程度、ガス流量アルゴン250sccm程度(第2の雰囲気)、高周波電力トップ67/サイド65/バイアス63=3000ワット/5000ワット/オフ、静電チャック91はオン、ウエハ冷却制御系81はオフ、ウエハ温度摂氏150度から270度程度(第4のウエハ温度、すなわち、摂氏250度周辺の温度)、処理気圧0.4パスカルから0.6パスカル程度を例示することができる。なお、第2の雰囲気は、実質的に酸素を含まないのがクリーニング特性の観点から望ましい。しかし、たとえば、次の工程と同時に実行したいときには、酸素を添加することができる。
【0094】
次に、前記状態のまま、続けて、プラズマ酸化処理151b(ステップB、すなわち第3のプラズマ表面処理)を実行する。好適な条件の一例として、処理時間30秒程度、ガス流量アルゴン/酸素=250sccm程度/250sccm程度(第3の雰囲気)、高周波電力トップ67/サイド65/バイアス63=3000ワット/5000ワット/オフ、静電チャック91はオン、ウエハ冷却制御系81はオフ、ウエハ温度摂氏200度から270度程度(第5のウエハ温度、すなわち、摂氏250度周辺の温度)、処理気圧0.4パスカルから0.6パスカル程度を例示することができる。なお、ここで、酸素ガスを窒素ガスに変更して窒化処理とすることができる。前記のように、第4のウエハ温度と第5のウエハ温度は、ほぼ同一温度領域に属する。
【0095】
次に、ここで、その他の条件は、ほぼそのままで、静電チャックをオフにして、昇温を開始することで、プラズマ中昇温処理151c(ステップC、すなわち第4のプラズマ表面処理)を実行する。好適な条件の一例として、処理時間40秒程度、ガス流量アルゴン/酸素=250sccm程度/250sccm程度(第4の雰囲気)、高周波電力トップ67/サイド65/バイアス63=3000ワット/5000ワット/オフ、静電チャック91はオフ、ウエハ冷却制御系81はオフ、ウエハ温度たとえば摂氏380度程度へ向けて昇温、処理気圧0.53パスカルから0.66パスカル程度を例示することができる。
【0096】
次に、ウエハ温度が摂氏380度程度(第2のウエハ温度)に達すると、静電チャック91をオンとして、他は、ほぼそのままの状態で、当該温度の周辺で、プラズマ高温アニール処理151d(ステップD、すなわち第1のプラズマ表面処理)を実行する。好適な条件の一例として、処理時間60秒程度、ガス流量アルゴン/酸素=250sccm程度/250sccm程度(第1の雰囲気)、高周波電力トップ67/サイド65/バイアス63=3000ワット/5000ワット/オフ、静電チャック91はオン、ウエハ冷却制御系81はオフ、ウエハ温度たとえば摂氏380度程度(好適なウエハ温度範囲としては、摂氏350度から450度程度、ただし、第2のウエハ温度が、次のCVDの処理温度よりも高いことを前提条件とする)、処理気圧0.53パスカルから0.66パスカル程度を例示することができる。
【0097】
次に、静電チャック91はオンのままで、冷却系81をオンさせて、ウエハ温度をたとえば摂氏350度程度(第3のウエハ温度)に向けて降温させながら、HDP層間絶縁膜形成工程111(ステップE、すなわち、第1のプラズマCVD処理)を実行する。好適な条件の一例として、処理時間80秒程度、ガス流量モノシラン/酸素=39sccm程度/65sccm程度、高周波電力トップ67/サイド65/バイアス63=2500ワット/6000ワット/7500ワット、静電チャック91はオフ、ウエハ冷却制御系81はオフ、安定状態のウエハ温度たとえば摂氏350度程度(好適なウエハ温度範囲としては、摂氏320度から370度程度、ただし、第2のウエハ温度が、第3のウエハ温度よりも高いことを前提条件とする)、処理気圧0.53パスカルから0.66パスカル程度、膜厚400nm程度を例示することができる。
【0098】
次に、ガスおよび高周波電力を切り換え、その他はほぼそのままで、ウエハ温度を摂氏200度(第6のウエハ温度、ここで、第6のウエハ温度はアルミニウム系配線金属膜の銅析出温度および第1の温度よりも低い)以下に向け、急冷させるCVD後処理工程161(ステップF)を実行する。好適な条件の一例として、処理時間40から80秒程度、ガス流量アルゴン/酸素=250sccm程度/310sccm程度、高周波電力トップ67/サイド65/バイアス63=オフ/500ワット/オフ(全部オフとしてもよいが、微弱でもプラズマを点灯させている方が、処理ステップが複雑にならず、処理時間を短時間化できる。)、静電チャック91はオン、ウエハ冷却制御系81はオン、ウエハ温度たとえば摂氏200度以下程度(たとえば、摂氏150度程度まで)へ向けて降下(なお、摂氏300から摂氏200度間の平均温度降下速度は、2度/秒以上、5度/秒以下が望ましい)、処理気圧0.66パスカルから0.75パスカル程度を例示することができる。
【0099】
5.サマリ
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本願発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0100】
例えば、前記実施の形態においては、アプライド・マテリアルズ(Applied Materials)社のHDP−CVD装置”のCentura Ultima”等を使用した例について具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、ノベラス(Novellus)社の”Concept Three Speed”その他やそれ以外の半導体装置メーカの対応する装置を使用して実施してもよいことは言うまでもない。
【0101】
また、前記実施の形態においては、配線層の全層がアルミニウム系通常配線であるものについて具体的に説明したが、本願発明はそれに限定されるものではなく、銅系又は銀系のダマシン配線とアルミニウム系通常配線を混合させて使用した配線構造におけるアルミニウム系通常配線部分にも同様に適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0102】
1 半導体ウエハ(P型単結晶シリコン・ウエハ)
1a 半導体ウエハのデバイス面(第1の主面)
1b 半導体ウエハの裏面(第2の主面)
2 第2層配線領域下層バリア・メタル膜
3 第2層多層配線金属膜
4 STI領域
5 第2層配線領域アルミニウム系配線金属膜
6 第2層配線領域上層バリア・メタル膜
7 第2層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系層間絶縁膜
8 ソース・ドレイン領域
9 ゲート電極構造
10 プリメタル絶縁膜および第1層アルミニウム系配線層を含む下層絶縁膜
11 第2層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系キャップ絶縁膜
12 CMP研摩量
13 第1層多層配線金属膜
14 第2層配線領域HDP−CVD酸化シリコン系層間絶縁膜
15 第1層配線領域タングステン・プラグ
16 第1層配線領域タングステン・プラグのバリア・メタル膜
17 ファイナル・パッシベーション膜
18 第2層配線用反射防止膜(CVD−SiON膜)
19 フォト・レジスト膜
20 プリ・メタル絶縁膜
21 側壁ポリマ膜
22 コンタクト・プラグ用バリア・メタル
24 第1層配線領域HDP−CVD酸化シリコン系層間絶縁膜
25 第1層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系層間絶縁膜
26 第1層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系キャップ絶縁膜
27 第2層配線領域タングステン・プラグ
28 第2層配線領域タングステン・プラグのバリア・メタル膜
32 第3層配線領域タングステン・プラグ
33 第3層多層配線金属膜
34 第3層配線領域タングステン・プラグのバリア・メタル膜
35 第3層配線領域HDP−CVD酸化シリコン系層間絶縁膜
36 第3層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系層間絶縁膜
37 第3層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系キャップ絶縁膜
38 第4層配線領域HDP−CVD酸化シリコン系層内絶縁膜
39 第4層配線領域プラズマTEOS酸化シリコン系層内絶縁膜
40 タングステン系コンタクト・プラグ
41 プラズマ
43 第4層多層配線金属膜
44 第1層配線用反射防止膜(CVD−SiON膜)
45 第3層配線用反射防止膜(CVD−SiON膜)
46 第4層配線用反射防止膜(CVD−SiON膜)
51 マルチ・チャンバ・ウエハ処理装置
52 ロードポート
53 フープ(密閉型ウエハ搬送容器)
54 局所清浄室
55 ロードロック室
56 真空搬送室
57a,57b,57c プラズマ処理室(プラズマCVDチャンバ)
58 真空搬送ロボット
59 ロード・アンロード用ロボット
61 チャンバ外壁
62 ウエハ・ステージ(下部電極)
63 ウエハ側バイアス用高周波電源
64 ウエハ側バイアス用コンデンサ
65 サイド・アンテナ用高周波電源
66 プラズマ励起用サイド・アンテナ
67 トップ・アンテナ用高周波電源
68 プラズマ励起用トップ・アンテナ
69 ガス導入ノズル
70 主排気ゲート・バルブ
71 ウエハ出し入れ用ゲート
72 主排気管
73 ターボ分子ポンプ
74 ドライ粗引きポンプ
75 予備排気管
76 予備排気バルブ
77 クリーニング用リモート・プラズマ励起室
78 クリーニング用ガス搬送管
79 ガス導入バッフル
81 ヘリウム冷却系制御部
82 ヘリウム・ガス源
83 ウエハ内部領域ヘリウム・ガス圧力制御系
84 ウエハエッジ領域ヘリウム・ガス圧力制御系
85 ウエハ内部領域ヘリウム・ガス供給バルブ
86 ウエハエッジ領域ヘリウム・ガス供給バルブ
87 ウエハ内部領域ヘリウム・ガス供給管
88 ウエハエッジ領域ヘリウム・ガス供給管
91 静電チャック
93 ウエハ・ステージとウエハ裏面間のウエハ内部領域
94 ウエハ・ステージとウエハ裏面間のウエハエッジ領域
101 下部層間絶縁膜形成工程(第1層配線層形成工程)
102 配線膜形成工程
103 反射防止膜形成工程
104 レジスト塗布工程
105 リソグラフィ工程
106 多層配線金属膜エッチング工程
107 アッシング工程
108 ポリマ除去工程
109 不動態化処理工程
111 HDP層間絶縁膜形成工程
112 プラズマTEOS層間絶縁膜形成工程
113 化学機械研摩工程
114 キャップ絶縁膜形成工程
120 多層配線金属膜エッチング後処理工程群
121 層間膜成膜周辺工程群
122 多層配線金属膜エッチング&層間膜成膜周辺工程群
151 プラズマ・アニール工程
151a プラズマ・クリーニング処理
151b プラズマ酸化処理
151c プラズマ中昇温処理
151d プラズマ高温アニール処理
161 CVD後処理工程
A プラズマ・クリーニング処理ステップ
B プラズマ酸化処理ステップ
C プラズマ中昇温処理ステップ
D プラズマ高温アニール処理
E プラズマCVDステップ
F CVD後処理ステップ
M1 第1層アルミニウム系配線層
M2 第2層アルミニウム系配線層
M3 第3層アルミニウム系配線層
M4 第4層アルミニウム系配線層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)第1のウエハ温度において、ウエハの第1の主面上に、アルミニウム系配線金属膜を含む多層配線金属膜を成膜する工程;
(b)前記ウエハの前記第1の主面上の前記アルミニウム系配線金属膜を含む前記多層配線金属膜をパターニングする工程;
(c)前記工程(a)の後、第1のプラズマCVDチャンバ内のウエハ・ステージ上に、前記ウエハをセットする工程;
(d)前記第1のプラズマCVDチャンバ内の前記ウエハ・ステージ上にセットされた前記ウエハの前記第1の主面に対して、不活性ガスを主要な成分の一つとして含む第1の雰囲気下、第1のウエハ温度よりも高い第2のウエハ温度において、第1のプラズマ表面処理を実行する工程;
(e)前記工程(d)の後、前記第1のプラズマCVDチャンバ内の前記ウエハ・ステージ上にセットされた前記ウエハの前記第1の主面に対して、第2のウエハ温度よりも低い第3のウエハ温度において、層間絶縁膜の成膜処理を第1のプラズマCVD処理により、実行する工程。
【請求項2】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の雰囲気は、酸素ガスを主要な成分の一つとして含む。
【請求項3】
前記2項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(f)前記工程(c)の後であって、前記工程(d)の前に、前記第1のプラズマCVDチャンバ内の前記ウエハ・ステージ上にセットされた前記ウエハの前記第1の主面に対して、不活性ガスを主要な成分の一つとして含む第2の雰囲気下、前記第1のウエハ温度よりも低い第4のウエハ温度において、第2のプラズマ表面処理を実行する工程。
【請求項4】
前記3項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2の雰囲気は、実質的に酸素を含まない。
【請求項5】
前記3項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(g)前記工程(f)の後であって、前記工程(d)の前に、前記第1のプラズマCVDチャンバ内の前記ウエハ・ステージ上にセットされた前記ウエハの前記第1の主面に対して、不活性ガスおよび酸素ガスを主要な成分の一つとして含む第3の雰囲気下、前記第1のウエハ温度よりも低い第5のウエハ温度において、第3のプラズマ表面処理を実行する工程。
【請求項6】
前記5項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第4のウエハ温度と前記第5のウエハ温度は、ほぼ同一である。
【請求項7】
前記5項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(h)前記工程(e)の後に、前記第1のプラズマCVDチャンバ内の前記ウエハ・ステージ上にセットされた前記ウエハの温度を、前記第3のウエハ温度から、前記第1のウエハ温度よりも低い第6のウエハ温度以下に降下させる工程。
【請求項8】
前記7項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第6のウエハ温度は、摂氏200度である。
【請求項9】
前記8項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(h)における摂氏300度と摂氏200度の間における平均温度降下速度は、2度/秒以上、5度/秒以下である。
【請求項10】
前記9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(h)において、プラズマは点灯状態にある。
【請求項11】
前記7項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(i)前記工程(g)の後であって、前記工程(d)の前に、前記第1のプラズマCVDチャンバ内の前記ウエハ・ステージ上にセットされた前記ウエハの前記第1の主面に対して、不活性ガスを主要な成分の一つとして含む第4の雰囲気下、前記ウエハの温度を、前記第5のウエハ温度から前記第2のウエハ温度へ昇温しながら、第4のプラズマ表面処理を実行する工程
【請求項12】
前記11項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第4の雰囲気は、酸素ガスを主要な成分の一つとして含む。
【請求項13】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記層間絶縁膜は、HDP−CVDによる酸化シリコン系絶縁膜である。
【請求項14】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(j)レジスト膜及びポリマ除去を含む前記工程(b)の後であって、前記工程(c)の前に、酸素ガスを主要な成分の一つとして含む第5の雰囲気下、第1のウエハ温度よりも低い第7のウエハ温度において、第5のプラズマ表面処理を実行する工程
【請求項15】
前記14項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(j)は、前記第1のプラズマCVDチャンバ内では行われない。
【請求項16】
前記11項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2のウエハ温度は、前記摂氏350度以上、前記摂氏450度以下である。
【請求項17】
前記16項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第4のウエハ温度は、前記摂氏150度以上、前記摂氏270度以下である。
【請求項18】
前記17項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第3のウエハ温度は、前記摂氏320度以上、前記摂氏370度以下である。
【請求項19】
前記3項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を含む:
(g)前記工程(f)の後であって、前記工程(d)の前に、前記第1のプラズマCVDチャンバ内の前記ウエハ・ステージ上にセットされた前記ウエハの前記第1の主面に対して、不活性ガスおよび窒素ガスを主要な成分の一つとして含む第3の雰囲気下、前記第1のウエハ温度よりも低い第5のウエハ温度において、第3のプラズマ表面処理を実行する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−35048(P2011−35048A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177760(P2009−177760)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】