説明

基板処理装置

【課題】処理液案内部材の内方に処理液雰囲気を保持することができ、処理液案内部材外への処理液雰囲気の流出を抑制または防止することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】内構成部材19は、スピンチャック1の周囲を取り囲むように設けられ、第1案内部25、廃棄溝26、内側回収溝27および外側回収溝52を一体的に有している。中構成部材20は、内構成部材19の外側においてスピンチャック1の周囲を取り囲むように設けられ、第2案内部48を有している。外構成部材21は、中構成部材20の第2案内部48の外側においてスピンチャック1の周囲を取り囲むように設けられている。外構成部材21には、スカート部80が備えられている。スカート部80の垂下部81の下端部は、液体貯留部70に貯留された液体中に浸漬されていて、液封構造を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理するための基板処理装置に関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置の製造工程では、半導体ウエハや液晶表示パネル用ガラス基板等の基板の表面に処理液による処理を施すために、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置が用いられることがある。この種の基板処理装置の中には、処理液の消費量の低減を図るために、基板の処理に用いた後の処理液を回収して、その回収した処理液を以降の処理に再利用するように構成されたものがある。
【0003】
処理液を再利用可能な構成の基板処理装置は、たとえば、下記特許文献1に開示されている。特許文献1の基板処理装置は、基板をほぼ水平な姿勢で挟持して回転させるスピンチャックと、このスピンチャックを収容したカップと、スピンチャックに保持されウエハの表面に薬液および純水を供給するためのノズルとを処理室内に収容して構成されている。カップは、互いに独立して昇降可能な内構成部材、中構成部材および外構成部材をスピンチャックの周りを取り囲むように同軸的に配置して構成されている。内構成部材は、内方に廃棄溝を有し、外方に内側回収溝を有しており、スピンチャックに保持されたウエハから飛散する処理液を廃棄溝に案内する。中構成部材は、スピンチャックに保持されたウエハから飛散する処理液を前記内側回収溝に案内するものであり、外方には外側回収溝を有している。外構成部材は、スピンチャックに保持されたウエハから飛散する処理液を前記外側回収溝に案内するものである。内構成部材、中構成部材および外構成部材を独立昇降させることで、スピンチャックに保持された基板から飛散する処理液をそれらのいずれかで受け止め、廃棄溝、内側回収溝および外側回収溝のいずれかによって分離して回収することができる。
【0004】
最内周の回収溝である廃棄溝には、排気口が形成されており、この排気口は排気ダクトを介して工場の排気設備に接続されるようになっている。一方、処理室内には、その天井部からクリーンルーム内の清浄空気をさらに清浄化して取り込む給気機構(ファン・フィルタ・ユニット)が配置されている。これにより、処理室内にいわゆるダウンフローを形成するとともに、カップの上部開口からそのダウンフローを取り込み、ウエハの周辺で生じた薬液雰囲気は、カップ内に保持し、カップ底部の排気口から排気するようになっている。
【特許文献1】特開2006−286831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のような構成では、カップの内部空間は、上部開口のみならず、内構成部材と中構成部材との隙間、および中構成部材と外構成部材との隙間を介して、カップ外の空間(ただし処理室内の空間)と連通している。そのため、とくにスピンチャックが高速で回転するときに引き起こす乱気流のために、カップ内の雰囲気が前記の隙間を通ってカップ外に流出するおそれがある。
【0006】
むろん、カップ内空間だけでなく、処理室内の空間(カップ外の空間)に対しても雰囲気の排気が行われているので、処理液の雰囲気が処理室外に流出することはない。しかしながら、カップ外に処理液雰囲気が漏出することにより、処理室の内壁や処理室内に配置された部材の汚染が生じる。たとえば、薬液ミストが処理室の内壁等に付着して結晶化し、これが浮遊してパーティクルとなって基板に付着し、基板処理の品質を悪化させるおそれがある。
【0007】
スピンチャックが高速に回転しているときだけでなく、基板の表面に不活性ガスを供給しながら処理を行う場合にも、カップに流入する気体流量が増大するので、同様の問題がある。
これらの問題は、カップ底部の排気口に接続される排気設備の排気元圧を大きく設定することによって解決できると考えられるが、排気設備に大きな負担をかけることになる。また、工場によっては、排気元圧の大幅な増加が実際的でない場合もある。
【0008】
そこで、この発明の目的は、処理液案内部材の内方に処理液雰囲気を保持することができ、処理液案内部材外への処理液雰囲気の流出を抑制または防止することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)を保持して回転させる基板保持手段(1)と、この基板保持手段によって保持された基板に処理液を供給する処理液供給手段(3)と、前記基板保持手段を取り囲み、前記基板保持手段に保持されて回転されている基板から飛散する処理液を受け止めて流下させるとともに、上方に開口を有する環状の第1処理液案内部材(21)と、この第1処理液案内部材を上下動させる第1上下駆動手段(68)と、前記第1処理液案内部材および前記基板保持手段を収容する処理室(60)と、前記第1処理液案内部材の内方の雰囲気を吸引して排気する排気手段(28B)と、前記第1処理液案内部材の下方に設けられ、当該第1処理案内部材の下方部(82)を全周に渡って浸漬させる液体を貯留し、その貯留した液体によって、前記第1処理液案内部材の内方の空間を前記処理室内における当該第1処理液案内部材の外方の空間から封止する液体貯留部(70)とを含む、基板処理装置である。
【0010】
なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
基板保持手段によって保持されて回転される基板に処理液供給手段から処理液が供給されると、基板上に達した処理液は、遠心力によって回転半径外方へと飛散する。この飛散する処理液が第1処理液案内部材によって受け止められ、流下させられる。
【0011】
一方、第1処理液案内部材の内方の雰囲気は、排気手段によって排気されるようになっている。そのため、処理室内では、第1処理液案内部材の上方の開口から当該第1処理液案内部材へと流入する気流が生じる。このとき、液体貯留部に貯留された液体中に、第1処理液案内部材の下方部が全周に渡って浸漬しており、第1処理液案内部材の内外の空間が互いに封止(液封)されている。液体による封止であるため、第1上下駆動手段による第1処理液案内部材の上下動によらずに、その封止状態を保持することができる。そのため、第1処理液案内部材の処理液雰囲気が第1処理液案内部材外の処理室内空間に流出することを抑制または防止できる。より具体的には、基板保持手段によって基板を高速に回転させることによって、基板周辺の気流に乱れが生じる場合や、基板に向けて不活性ガスを供給する処理を行う場合などであっても、第1処理液案内部材外の処理室内空間に処理液雰囲気が流出することを抑制または防止できる。その結果、処理室の内壁や、第1処理液案内部材外の処理室内に配置された部材が処理液雰囲気によって汚染されることを抑制または防止できる。さらには、処理室内壁等に付着した処理液結晶が浮遊したりすることが少なくなるから、基板処理品質の向上にも寄与することができる。しかも、排気手段に過度に高い排気能力が要求されることもない。
【0012】
さらにまた、第1処理液案内部材内の処理液雰囲気が、液封された第1処理液案内部材の下方部をくぐって第1処理液案内部材外に流出するような状況が生じたとしても、処理液雰囲気は、液体貯留部に貯留された液体中をくぐることになる。そのため、処理液ミストは当該液体によって捕獲されてしまうので、実際には、処理液雰囲気はほとんど流出することがなく、単に空気が第1処理液案内部材外の処理室内空間に導かれるにすぎない。したがって、やはり、処理室内壁等の汚染を抑制または防止できる。
【0013】
第1処理液案内部の下方部の液中への浸漬深さを調整することによって、内部の圧力が一定値以上になったときに、液封構造が破れるように設計することもできる。これにより、第1処理液案内部の内方の圧力が想定外に高くなるような事態が万一生じたとしても、第1処理液案内部の上部開口から内部雰囲気が流出することを抑制または防止できる。液封構造を破って流出する雰囲気は、前述のとおり、液体貯留部に貯留された液体をくぐった後に第1処理液案内部の外方空間に至る。そのため、雰囲気中の処理液ミストの大部分は液中に捕獲されてしまうので、処理室内の汚染を最小限に抑制できる。
【0014】
処理液供給手段によって基板に供給される処理液(とくに薬液)の例としては、BHF(バッファードふっ酸)、レジスト剥離液(硫酸・過酸化水素水混合液など)、エッチング液(ふっ酸など)、ポリマー除去液、現像液、パーティクル除去液(たとえば、アンモニア過酸化水素水混合液)、金属汚染除去液(たとえば、塩酸過酸化水素水混合液)、IPA(イソプロピルアルコール)などを挙げることができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、前記第1処理液案内部材が、本体部(21b)と、この本体部から下方に向かって延びた環状のスカート部(80)とを備え、前記液体貯留部は、当該液体貯留部に貯留した液体中に、前記スカート部の下方部(82)を全周に渡って浸漬させるものである、請求項1記載の基板処理装置である。
この構成によれば、第1処理液案内部材の本体部から下方に向かって延びた環状(より具体的には筒状)のスカート部の下方部が液体貯留部に貯留された液体中に全周に渡って浸漬されるようになっている。したがって、第1処理液案内部材の内外の空間を液体貯留部に貯留された液体によって、より確実に隔絶することができる。これにより、第1処理液案内部材内に処理液雰囲気をより確実に保持することができ、第1処理液案内部材外の処理室内空間に処理液雰囲気が流出することをより一層確実に抑制または防止できる。
【0016】
前記本体部とスカート部とは一体化されていてもよい。
請求項3記載の発明は、前記処理液供給手段によって基板に処理液が供給されるときに、前記第1処理液案内部材を所定の液処理高さに配置するように前記第1上下駆動手段を制御する制御手段(100)をさらに含み、前記液体貯留部は、前記第1処理液案内部材が前記液処理高さに位置しているときに、前記第1処理液案内部材の下方部を全周に渡って液体中に浸漬させることができるものである、請求項1または2記載の基板処理装置である。
【0017】
この構成によれば、基板に処理液が供給されるときに、第1処理液案内部材の下方部を液体貯留部の液体中に浸漬させた状態とすることができる。そのため、処理液による処理の際、第1処理液案内部材内の処理液雰囲気がその外方の処理室内空間に流出することを抑制または防止することができる。
請求項4記載の発明は、前記液体貯留部に液体を供給する液体供給手段(71)と、前記液体貯留部に貯留された液体を所定の液面高さでオーバーフローさせて排液する摺り切り排液手段(75)とをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0018】
この構成によれば、液体貯留部に液体を供給して摺り切り排液手段によってオーバーフローさせているので、たとえば、液体を少量ずつ連続供給することで、一定の液面高さを保持することができる。これにより、第1処理液案内部材の下方部が液体貯留部内の液体に浸漬した状態を確実に維持することができるから、第1処理液案内部材の内部の空間を当該液体によって確実に封止できる。
【0019】
前記液体供給手段は、前記処理室の内壁に沿って洗浄液を供給(たとえばスローリーク)する洗浄液供給手段(71)を含むものであってもよい。この場合、処理室の内壁を洗浄した洗浄液が液体貯留部に貯留されることになる。これにより、処理室の内壁の汚れを洗浄できるので、処理室内部の汚染をより一層抑制でき、かつ、処理室内壁の洗浄のために用いられた後の洗浄液を利用して、第1処理液案内部材の内部空間を液封することができる。たとえば、BHFのように結晶化しやすい薬液を用いる場合に、処理室内壁における結晶化を抑制または防止できる。また、処理室内に薬液ミストが存在する場合に、これを処理室内壁に沿って流下する洗浄液や液体貯留部に貯留された洗浄液によって捕獲することができる。
【0020】
請求項5記載の発明は、前記第1処理液案内部材によって下方に流下させられた処理液を受けて回収する第1回収溝(52)が形成された回収容器(19)をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、第1処理液案内部材によって下方に流下した処理液は、第1回収溝に受けられて回収される。この第1回収溝が形成された回収容器に対して第1処理液案内部材が上下動する場合でも、第1処理液案内部材の内方の空間を液体貯留部に貯留された液体によって封止することができる。
【0021】
第1処理液案内部材内の下方部は、回収容器の外側において、液体貯留部に浸漬させられていることが好ましい。これにより、回収容器が置かれた空間を、液体貯留部に貯留された液体によって外部から封止することができる。したがって、処理液雰囲気の流出を効果的に抑制または防止できる。
請求項6記載の発明は、前記排気手段は、前記回収容器の内方の空間の雰囲気を吸引して排気するものである、請求項5記載の基板処理装置である。
【0022】
この構成によれば、回収容器の内方の空間の雰囲気が吸引されて排気されることによって、処理液雰囲気の流出をより一層効果的に抑制できる。
請求項7記載の発明は、前記第1処理液案内部材の内方において前記基板保持手段を取り囲み、前記基板保持手段に保持されて回転されている基板から飛散する処理液を受け止めて流下させる第2処理液案内部材(20)と、この第2処理液案内部材を上下動させる第2上下駆動手段(67)とをさらに含み、前記回収容器は、前記第2処理液案内部材によって流下させられた処理液を受けて回収する第2回収溝(27)をさらに有している、請求項5または6記載の基板処理装置である。
【0023】
この構成によれば、基板保持手段に保持されて回転される基板から飛散する処理液を第1および第2処理液案内部材のいずれかによって受け止めて流下させ、対応する回収溝(第1回収溝または第2回収溝)に回収することができる。これにより、複数種類の処理液が用いられる場合に、それらの処理液を第1または第2回収溝に分離して回収することができる。第1および第2処理液案内部材のいずれによって処理液を受け止めるかは、第1および第2上下動駆動手段によって第1および第2処理液案内部材を上下動させてそれらの上下方向位置を制御することによって選択できる。このように、第1および第2処理液案内部材を上下動させる場合でも、外側に配置される第1処理液案内部材の下方部が全周に渡って液体貯留部内の液体に浸漬されて液封状態が保持されるため、処理液雰囲気が第1処理液案内部材外の処理室内空間に流出することを抑制または防止できる。
【0024】
請求項8記載の発明は、前記回収容器は、前記第2処理液案内部材の内方において前記基板保持手段を取り囲み、前記基板保持手段に保持されて回転されている基板から飛散する処理液を受け止めて流下させる第3処理液案内部材(25)を備え、さらに、この第3処理液案内部材によって流下させられた処理液を受けて回収する第3回収溝(26)を有している、請求項7記載の基板処理装置である。
【0025】
この構成によれば、回収容器に形成された第3処理液案内部材によって、基板から飛散する処理液を受け止めて第3回収溝に流下させることができる。これにより、さらに多種類の処理液を分離して回収することができる。その場合に、最も外側に配置されている第1処理液案内部材の下方部に液封構造が設けられていることによって、処理液雰囲気を第1処理液案内部材内に保持でき、その外方の処理室内空間に処理液雰囲気が流出することを抑制または防止できる。
【0026】
請求項9記載の発明は、前記回収容器は、前記第3回収溝に連通する排気口(32)をさらに有し、この排気口が前記排気手段に接続されている、請求項8記載の基板処理装置である。
この構成によれば、第1処理液案内部材の内方に配置された第3回収溝に連通する排気口を介して排気が行われるので、この排気が行われる空間を、第1処理液案内部材の下方部の液封構造によって封止できる。そのため、第1処理液案内部材外の処理室内空間に処理液雰囲気が流出することを抑制または防止できる。
【0027】
請求項10記載の発明は、前記回収容器を上下動させる第3上下駆動手段(66)をさらに含む、請求項8または9記載の基板処理装置である。
この構成によれば、第1処理液案内部材、第2処理液案内部材および回収容器をそれぞれ上下動させることによって、基板から飛散する処理液を第1〜第3処理液案内部材のいずれかによって受け止めることができる。これらの上下動に拘わらず、最も外側の第1処理液案内部材の下方部の液封構造によって、第1処理液案内部材よりも内方の空間を封止できる。その結果、処理液雰囲気を第1処理液案内部材の内方にとどめることができ、第1処理液案内部材外の処理室内空間への処理液雰囲気の流出を抑制または防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を示す断面図である。
この基板処理装置は、基板の一例であるウエハWに処理液としての第1薬液、第2薬液および純水(脱イオン化された水)を所定の順序で供給して、そのウエハWに洗浄処理を施すための装置である。そして、この基板処理装置は、ウエハWをほぼ水平に保持して、そのウエハWをほぼ鉛直な回転軸線Cまわりに回転させるためのスピンチャック1と、このスピンチャック1を収容するカップ2と、スピンチャック1に保持されたウエハWの表面(上面)に第1薬液、第2薬液および純水を選択的に供給するためのノズル3とを処理室60内に備えている。図1には、前記回転軸線Cに対して右側と左側とに、異なる切断面でとった断面が示されている。
【0029】
処理室60は、鉛直方向に沿う隔壁61と、その上端縁に結合された天井壁62と、天井壁62に対向する下方位置に配置された板状のベース16とによって区画された処理空間(たとえば、直方体形状の空間)を有している。この処理空間内に、スピンチャック1等が配置されている。処理室60の天井壁62には、当該基板処理装置が設置されるクリーンルーム内の清浄空気をさらに清浄化して処理室60内に取り込むためのファン・フィルタ・ユニット(FFU)63が配置されている。これにより、処理室60内の処理空間に、ダウンフロー(下降気流)が形成されるようになっている。
【0030】
ノズル3は、たとえば、スピンチャック1の斜め上方に固定的に配置されて、ウエハWの表面に対して斜め上方から処理液を供給する構成であってもよい。また、ノズル3がスピンチャック1によるウエハWの回転軸線上に固定的に配置されて、ウエハWの表面に対して鉛直上方から処理液を供給する構成であってもよい。また、スピンチャック1(カップ2)の上方において水平面内で揺動可能なアームにノズル3が取り付けられて、アームの揺動によりウエハWの表面における処理液の供給位置がスキャンされる、いわゆるスキャンノズルの形態が採用されてもよい。さらにまた、後述する乾燥工程時においてウエハWの表面に近接して対向配置される遮断板が備えられる場合には、遮断板の中央部に処理液供給口が形成されて、この処理液供給口からウエハWの表面に処理液が供給されるようにしてもよい。この遮断板の中央部には、さらに、窒素ガス等の不活性ガスをスピンチャック1上のウエハWに向けて供給する不活性ガス供給口が形成されていてもよい。
【0031】
スピンチャック1は、ほぼ鉛直に配置された回転軸4と、この回転軸4の上端に固定された円盤状のスピンベース5と、スピンベース5の下方に配置されたモータ6とを備えている。これにより、スピンチャック1は、ウエハWをほぼ水平に保持して回転させる基板保持手段を構成している。
回転軸4は、モータ6の駆動軸と一体化された中空軸である。回転軸4の内部には、裏面処理液供給管7が挿通されている。この裏面処理液供給管7には、第1薬液、第2薬液および純水が選択的に供給されるようになっている。また、裏面処理液供給管7の上端部には、裏面処理液供給管7に選択的に供給される処理液(第1薬液、第2薬液および純水)を吐出する裏面ノズル8が形成されている。この裏面ノズル8は、処理液をほぼ鉛直上向きに吐出する。裏面ノズル8から吐出された処理液は、スピンチャック1に保持されたウエハWの裏面中央に対してほぼ垂直に入射する。
【0032】
スピンベース5は、平面視円板状の上カバー9と、同じく平面視円板状の下カバー10とを備えている。上カバー9と下カバー10とは、ボルトを用いて互いに固定されており、それらの間に後述する挟持部材13を駆動するためのリンク機構(図示省略)を収容するための収容空間11を形成している。また、スピンベース5の中央部(上カバー9および下カバー10の各中央部)には、回転軸4の内径とほぼ同じ径を有する挿通孔12が形成されており、この挿通孔12の周囲に、回転軸4の上端が結合されることによって、回転軸4の内面と挿通孔12の周面とが段差なく連続している。そして、回転軸4の上端から裏面処理液供給管7が突出し、その裏面処理液供給管7の突出した部分が挿通孔12に挿通されている。
【0033】
スピンベース5の上面には、その周縁部にほぼ等角度間隔で複数(この実施形態では3つ)の挟持部材13が配置されている。各挟持部材13は、ウエハWを下方から支持する支持部14と、ウエハWの端面を規制するための規制部15とを備えている。これらの挟持部材13は、スピンベース5内に収容されたリンク機構(図示せず)によって連動され、各支持部14に支持されたウエハWの周縁部に各規制部15を当接させて、ウエハWを協働して挟持し、また、各規制部15をウエハWの周縁部から退避させて、そのウエハWの挟持を解除する。
【0034】
モータ6は、処理室60内で水平に延びるベース16上に配置され、筒状のカバー部材17によって包囲されている。カバー部材17は、その下端がベース16に固定され、上端がスピンベース5の下カバー10の近傍にまで及んでいる。カバー部材17の上端部には、カバー部材17から外方へほぼ水平に張り出し、さらに下方に屈曲して延びる鍔状部材18が取り付けられている。
【0035】
カップ2は、互いに独立して昇降可能な外構成部材21(第1処理液案内部材)、中構成部材20(第2処理液案内部材)および内構成部材19(回収容器)を備えている。
内構成部材19は、スピンチャック1の周囲を取り囲み、スピンチャック1によるウエハWの回転軸線Cに対してほぼ回転対称な形状(環状)を有していて、スピンチャック1に保持されて回転されるウエハWから排除された処理液を回収する回収容器として機能する。この内構成部材19は、平面視円環状の底部22と、この底部22の内周縁から上方に立ち上がる円筒状の内壁部23と、底部22の外周縁から上方に立ち上がる円筒状の外壁部51と、内壁部23と外壁部51との間から立ち上がり、上端部が滑らかな円弧を描きつつ中心側(ウエハWの回転軸線Cに近づく方向)斜め上方に延びる案内部25(第3処理液案内部材)と、案内部25と外壁部51との間から上方に立ち上がった円筒状の中壁部24とを一体的に備えている。
【0036】
内壁部23は、内構成部材19が最も上昇された状態(図3〜図5に示す状態)で、カバー部材17と鍔状部材18との間に隙間を保って、そのカバー部材17と鍔状部材18との間に収容されるような長さに形成されている。
中壁部24は、内構成部材19と中構成部材20とが最も近接した状態で、中構成部材20の後述する案内部48および処理液分離壁50との間に隙間を保って、その案内部48(下端部48a)と処理液分離壁50との間に収容されるような長さに形成されている。
【0037】
内構成部材19に備えられた案内部25は、円筒状の筒部25aを下方に備え、この筒部25aの上端縁から滑らかな円弧を描きつつ中心側(ウエハWの回転軸線Cに近づく方向)斜め上方に延びる上端部25bを有している。また、中壁部24と外壁部51との間は、ウエハWの処理に使用された処理液を再利用のために回収するための円環状の外側回収溝52(第1回収溝)とされている。また、案内部25と中壁部24との間は、ウエハWの処理に使用された別の種類の処理液を再利用のために集めて回収するための円環状の内側回収溝27(第2回収溝)とされている。さらに、内壁部23と案内部25との間は、ウエハWの処理に使用された処理液を回収して廃棄するための廃棄溝26(第3回収溝)とされている。なお、廃棄溝26、内側回収溝27および外側回収溝52の底部は、水平に対して微小角度だけ傾斜しており、排液機構28Aおよび回収機構35,53にそれぞれ接続される箇所が最も低くなるように設けられている。これにより廃棄溝26、内側回収溝27および外側回収溝52に流下した処理液がスムーズに回収されるようになっている。
【0038】
廃棄溝26には、カップ2内を強制的に排気するための排気機構28Bが接続されている。この排気機構28Bは、たとえば、廃棄溝26の周方向に関して等間隔で4つ設けられている。
各排気機構28Bは、ベース16に挿通された固定筒部材29と、この固定筒部材29の上端に固定された円環状のスペーサ30と、上端部が内構成部材19の底部22に結合されるとともに、下端部がスペーサ30および固定筒部材29内に挿入された移動筒部材31と、この移動筒部材31内と廃棄溝26とを連通する連通孔32と、上端部が内構成部材19の底部22に固定されるとともに、下端部がスペーサ30に固定され、移動筒部材31の外周を被覆するベローズ33とを備えている。連通孔32に処理液が入り込むことを可及的に抑制するために、内構成部材19には、庇部19aが一体的に設けられている。庇部19aは、連通孔32の上方を覆うように、案内部25の筒部25aの内壁面から内方(回転軸線C側)に張り出して形成されている。より具体的には、庇部19aは、内方に向かうに従って下降する傾斜壁からなる。
【0039】
固定筒部材29の下端は、配管34を介して、気液分離器55に接続されている。気液分離器55の底部には、当該基板処理装置が設置される工場の廃棄ラインに接続される廃液管56が設けられている。また、気液分離器55には、排気ダクト57の一端が接続されている。この排気ダクト57の他端は、所定の負圧源に結合される。典型的な負圧源は、当該基板処理装置が設置される工場の排気設備である。
【0040】
前記負圧源が発生する負圧によって、配管34を介して固定筒部材29内が排気されると、廃棄溝26内の雰囲気が移動筒部材31を介して固定筒部材29に吸い込まれる。これにより、カップ2内の雰囲気が強制排気され、カップ2の上部開口2aからその内部へと流入する気流(下降気流)が形成される。これにより、カップ2内の処理液雰囲気が滞留したり、処理液雰囲気がカップ2の上部開口2aから外部に流出したりするのを防ぐようになっている。
【0041】
連通孔32を介して配管34へと引き込まれる雰囲気中の処理液ミストは、気液分離器55において分離されて廃液管56へと廃棄される。そして、処理液ミストが取り除かれた空気が、排気ダクト57を介して排気されることになる。
内側回収溝27の底部の最も低い箇所には、この内側回収溝27に集められた処理液を図示しない回収タンクに回収するための回収機構35が接続されている。
【0042】
回収機構35は、ベース16に挿通された円筒状の挿通部材36と、この挿通部材36の上端に固定された円環状のスペーサ37と、スペーサ37の上面に上端部が固定されて、挿通部材36およびスペーサ37に挿通して下方へ延びる固定筒部材38と、内構成部材19の底部22に固定された保持部材39と、この保持部材39に上端部が保持されて、下端部が固定筒部材38内に挿入された移動筒部材40と、この移動筒部材40内と内側回収溝27とを連通する連通孔41と、上端部が保持部材39に固定されるとともに、下端部が固定筒部材38に固定され、移動筒部材40の外周を被覆するベローズ42と、固定筒部材38の下端部にねじ込まれた継手43と、挿通部材36の下端部から下方に延び、継手43の周囲を取り囲む筒状の接続部包囲部材44と、この接続部包囲部材44の下端開口を閉鎖するように設けられた閉鎖部材45とを備えている。
【0043】
閉鎖部材45には、接続口46が形成されており、この接続口46を介して、回収タンクから延びる回収配管47が継手43に接続されている。内側回収溝27に集められる処理液は、連通孔41、移動筒部材40、固定筒部材38、継手43および回収配管47を介して回収タンクに回収される。
外側回収溝52の底部の最も低い箇所にも同様に、この外側回収溝52に集められた処理液を別の回収タンク(図示せず)に回収するための回収機構53が接続されている。この回収機構53の構成は、回収機構35の構成と実質的に同様であるので、図1には図解的にのみ示す。
【0044】
廃棄溝26の底部の最も低い箇所に結合される前記排液機構28Aの構成も、回収機構35の構成と同様であるので、図1には図解的にのみ示す。ただし、排液機構28Aに導かれた処理液は、回収タンクに回収されるのではなく、工場の廃棄ラインへと廃棄される点が異なる。
中構成部材20は、スピンチャック1の周囲を取り囲み、スピンチャック1によるウエハWの回転軸線Cに対してほぼ回転対称な形状(環状)を有している。この中構成部材20は、案内部48と、この案内部48に連結された円筒状の処理液分離壁50とを一体的に備えている。
【0045】
案内部48は、内構成部材19の案内部25の外側において、当該案内部25の下端部である筒部25aと同軸円筒状をなす下端部48aと、この下端部48aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(ウエハWの回転軸線Cに近づく方向)斜め上方に延びる上端部48bと、上端部48bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部48cとを有している。
【0046】
下端部48aは、内側回収溝27上に位置している。この下端部48aは、内構成部材19と中構成部材20とが最も近接した状態で、内側回収溝27の底部49、中壁部24および案内部25との間に隙間を保って、内側回収溝27に収容される。
上端部48bは、内構成部材19の案内部25の上端部25bと上下方向に重なるように設けられている。この上端部48bは、内構成部材19と中構成部材20とが最も近接した状態で、案内部25の上端部25bに対してごく微小な隙間を保って近接する。また、上端部48bの先端には、折返し部48cがその先端部を下方に折り返すことにより形成されている。折り返し部48cは、内構成部材19と中構成部材20とが最も近接した状態で、案内部25の上端部25bと水平方向において重なるように形成されている。
【0047】
また、案内部48の上端部48bは、下方ほど厚肉に形成されており、処理液分離壁50は、その上端部48bの外周縁部に連結されて円筒状をなしている。そして、処理液分離壁50は、外側回収溝52上に位置し、内構成部材19と中構成部材20とが最も近接した状態で、外側回収溝52の底部、中壁部24および外構成部材21との間に隙間を保って、外側回収溝52に収容される。
【0048】
外構成部材21は、中構成部材20の案内部48の外側において、スピンチャック1の周囲を取り囲み、スピンチャック1によるウエハWの回転軸線Cに対してほぼ回転対称な形状を有している。この外構成部材21は、案内部48の下端部48aと同軸円筒状をなす下端部21aと、下端部21aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(ウエハWの回転軸線Cに近づく方向)斜め上方に延びる上端部21bと、上端部21bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部21cとを有している。さらに、外構成部材21は、外方側にスカート部80を一体的に備えている。スカート部80は、上端部21bから外方へと張り出した環状の張出部81と、この環状の張出部81の外周縁からほぼ垂直下方に垂れ下がった筒状の垂下部82とを備えている。外構成部材21の上面は、上端部21bから張出部81に至る全領域において連続する表面をなしており、外方に向かうに従って下降する傾斜面(円錐状面)を形成している。
【0049】
外構成部材21の下端部21aは、外側回収溝52上に位置し、内構成部材19と外構成部材21とが最も近接した状態で、中構成部材20の処理液分離壁50および外壁部51ならびに外側回収溝52の底部との間に隙間を保って、当該外側回収溝52に収容されるような長さに形成されている。
上端部21bは、中構成部材20の案内部48の上端部48bと上下方向に重なるように設けられ、中構成部材20と外構成部材21とが最も近接した状態で、案内部48の上端部48bに対してごく微小な隙間を保って近接するように形成されている。
【0050】
折返し部21cは、中構成部材20と外構成部材21とが最も近接した状態で、案内部48の上端部48bと水平方向において重なるように形成されている。
また、外構成部材21を昇降させるための第1昇降機構68と、中構成部材20を昇降させるための第2昇降機構67と、内構成部材19を昇降させるための第3昇降機構66とが備えられている。
【0051】
第1昇降機構68は、たとえば、ベース16に取り付けられたボールねじ機構と、このボールねじ機構の駆動部を外構成部材21に結合する連結部材とを含む。第2昇降機構67および第3昇降機構66も同様の構成で実現できる。第2昇降機構67と中構成部材20とを結合するために、たとえば、処理液分離壁50の下端縁の適所(1箇所または周方向に間隔を開けた複数箇所)から外構成部材21の下端部21aの下側を通って当該下端部21aの外側に至る連結部と、この連結部に連設された取り付けブロックとを、中構成部材20と一体的に形成しておくようにしてもよい。この場合に、内構成部材19の外壁部51には、前記取り付けブロックを収容できるように外方に膨出した膨出部を形成しておくことが好ましい。
【0052】
処理室60の隔壁61とカップ2との間には、ベース16から環状壁65が垂直に立設されている。これにより、環状壁65と隔壁61との間に液体を貯留する液体貯留部70が形成されている。環状壁65は、カップ2を全周に渡って取り囲む筒状に形成されており、いずれの位置においても、隔壁61との間に一定以上の距離が確保されている。
液体貯留部70への液体の供給は、洗浄液供給ノズル71から行われる。洗浄液供給ノズル71は、天井壁62の周縁部付近(処理室60の上方縁部)において、隔壁61上端部の内面を狙って洗浄液を供給するものである。たとえば、洗浄液供給ノズル71は、処理室60の上方縁部のほぼ全域に渡って配置され、軸方向に間隔を開けて複数の吐出口が形成された管状ノズルであってもよい。この洗浄液供給ノズル71には、洗浄液供給源からの洗浄液(たとえば、脱イオン化された純水)が洗浄液供給管72を介して供給されるようになっている。洗浄液供給管72には、洗浄液バルブ73および流量調節バルブ74が介装されている。これにより、洗浄液バルブ73を開くことによって、流量調節バルブ74によって設定された流量で、洗浄液供給ノズル71から洗浄液が吐出されることになる。この洗浄液は、隔壁61の内壁面を伝ってベース16へ向かって流下し、液体貯留部70に貯留される。
【0053】
液体貯留部70の内部には、摺り切り排液管75および処理室排気管85が配置されている。摺り切り排液管75は、たとえば、可撓性の配管部材または伸縮性の配管部材(たとえば蛇腹状配管部材)からなり、その上端が液体貯留部70の上部に配置され、その下端は排液配管76に接続されている。摺り切り排液管75の上端部は、取り付け高さの調節が可能な取り付け機構77を介して、環状壁65の上端縁よりも低い高さで、支持部材78に支持されている。摺り切り排液管75の上端部は、支持部材78によって支持する代わりに、隔壁61により支持する構成とすることもできる。
【0054】
一方、処理室排気管85は、たとえば、可撓性の配管部材または伸縮性の配管部材(たとえば蛇腹状配管部材)からなり、その上端が摺り切り排液管75の上端よりも高くなるように(好ましくは、環状壁65の上端縁よりも高くなるように)液体貯留部70の上部に配置され、その下端は排気配管86を介して気液分離器55に接続されている。処理室排気管85の上端部は、取り付け高さの調節が可能な取り付け機構87を介して、摺り切り排液管75の上端よりも高い位置で(好ましくは、環状壁65の上端縁よりも高い位置で)、支持部材88に支持されている。処理室排気管85の上端部は、支持部材88によって支持する代わりに、隔壁61により支持する構成とすることもできる。
【0055】
このような構成によって、洗浄液供給ノズル71から洗浄液を吐出すると、この洗浄液は、隔壁61の内壁面を伝って液体貯留部70に貯留される。液体貯留部70内の液体(洗浄液)の液面が上昇して摺り切り排液管75の上端高さに達すると、この液体は摺り切り排液管75内へとオーバーフローする。したがって、洗浄液供給ノズル71から洗浄液を連続吐出することで、隔壁61の内壁面を洗浄でき、かつ、液体貯留部70内の液面高さを一定に保持することができる。
【0056】
外構成部材21に備えられたスカート部80の前記垂下部82は、その下方部が全周に渡って液体貯留部70の内部に入り込んでおり、この液体貯留部70に貯留された液体中に浸漬されるようになっている。より具体的には、垂下部82は、外構成部材21がいずれの高さ位置にあるときでも、少なくともその下端部が液体貯留部70内の液体中に浸漬され、かつ、外構成部材21が最も低い位置にあるときでもその下端が液体貯留部70の底面(ベース16)に当接しないように、上下方向の長さが定められている。
【0057】
摺り切り排液管75の上端の高さは、外構成部材21がいずれの高さ位置にあるときでも、垂下部82の下端部が液体貯留部70内の液体中に浸漬されるように調節しておけばよい。処理室排気管85の上端の高さは、摺り切り排液管75の上端の高さ(すなわち、液面高)よりも高くなるように調節し、液体貯留部70内の液体が処理室排気管85に入り込まないようしておけばよい。
【0058】
このような構造によって、カップ2の下方部において、その内方の空間と外方の空間とが、液体貯留部70に貯留された液体によって隔絶される液封構造が形成されている。したがって、カップ2に対する空気の流入は、専ら、外構成部材21折り返し部21cの内周縁とスピンベース5の(上カバー9の)外周縁とによって規定される上部開口2aから生じることになり、カップ2内の雰囲気がカップ2外に流出するためには、前記液封構造を破らなければならなくなる。
【0059】
処理室6内の処理空間において、カップ2外の雰囲気は、処理室排気管85を介して排気されるようになっているので、カップ2内の雰囲気がカップ2外に流出することがあったとしても、この雰囲気が処理室6外に流出することはない。
この基板処理装置には、マイクロコンピュータを含む構成の制御部100が備えられている。制御部100は、ウエハWに対する処理の各工程において、内構成部材19、中構成部材20および外構成部材21がそれぞれ適切な位置に配置されるように、第1、第2および第3昇降機構68,67,66を制御する。
【0060】
図2〜図5は、ウエハWに対する処理の各工程における内構成部材19、中構成部材20および外構成部材21の位置を図解的に示す断面図である。
ウエハWの搬入前は、図2に示すように、内構成部材19、中構成部材20および外構成部材21が最も下方まで下げられている。このとき、内構成部材19の案内部25の上端部25b、中構成部材20の案内部48の上端部48bおよび外構成部材21の上端部21bがいずれも、スピンチャック1によるウエハWの保持位置よりも下方に位置している。このとき、スカート部80の垂下部82は、その高さ方向幅の半分以上が液体貯留部70内の液体中に浸漬されている。
【0061】
ウエハWが搬入されてきて、そのウエハWがスピンチャック1に保持されると、図3に示すように、外構成部材21のみが上昇されて、外構成部材21の上端部21bがスピンチャック1に保持されたウエハWの上方の液処理高さに配置される。これにより、中構成部材20の案内部48の上端部48bと外構成部材21の上端部21bとの間に、ウエハWの端面に対向する開口が形成される。このとき、スカート部80の垂下部82は、図2の状態のときよりも引き上げられているが、その下端部が液体貯留部70内の液体中に浸漬されている。
【0062】
その後、ウエハW(スピンチャック1)が回転されて、その回転しているウエハWの表面および裏面に対して、それぞれノズル3および裏面ノズル8から第1薬液が供給される。ウエハWの表面および裏面に供給される第1薬液は、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの表面および裏面を伝って流れ、ウエハWの周縁から側方へと飛散する。これにより、ウエハWの表面および裏面に第1薬液が行き渡り、ウエハWの表面および裏面に対する第1薬液による処理が達成される。
【0063】
ウエハWの周縁から振り切られて側方に飛散する第1薬液は、中構成部材20の案内部48の上端部48bと外構成部材21の上端部21bとの間に飛入する。そして、外構成部材21の内面を伝って流下し、外側回収溝52に集められ、外側回収溝52から回収機構53を通して回収タンクに回収される。このとき、内構成部材19および中構成部材20が内構成部材19の案内部25の上端部25bと中構成部材20の案内部48の上端部48bとの間にごく微小な隙間を保った状態で近接し、さらに、案内部48の折返し部48cが案内部25の上端部25bと水平方向において重なることにより、案内部25,48の間への処理液の進入が防止される。また、中構成部材20に備えられた処理液分離壁50は、中構成部材20の案内部48の上端部48bと外構成部材21の上端部21bとの間に飛入した第1薬液が内側回収溝27に入り込むことを防ぎ、その第1薬液を外側回収溝52へと案内する。
【0064】
ウエハWへの第1薬液の供給が所定時間にわたって行われると、内構成部材19および中構成部材20が上昇されて、図4に示すように、内構成部材19の案内部25の上端部25b、中構成部材20の案内部48の上端部48bおよび外構成部材21の上端部21bが、スピンチャック1に保持されたウエハWよりも上方に配置される。このとき、内構成部材19および中構成部材20は、内構成部材19の案内部25の上端部25bと中構成部材20の案内部48の上端部48bとの間にごく微小な隙間を保った状態(内構成部材19と中構成部材20の相対的な位置関係を保った状態)で、同期をとって上昇される。これにより、スピンチャック1によるウエハWの回転および第1薬液の供給が継続されていても、ウエハWから飛散する処理液が案内部25,48の間に進入することを防止することができる。このとき、スカート部80の垂下部82は、図3の状態のときと同じ高さにあり、その下端部が液体貯留部70内の液体中に浸漬されている。
【0065】
その後、ノズル3および裏面ノズル8からの第1薬液の供給が停止される。そして、ウエハWの表面および裏面に対して、それぞれノズル3および裏面ノズル8から純水が供給されることにより、ウエハWの表面および裏面を水洗するためのリンス工程が行われる。ウエハWの表面および裏面に供給される純水は、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの表面および裏面を伝って流れ、このときウエハWの表面および裏面に付着している第1薬液を洗い流す。そして、第1薬液を含む純水は、ウエハWの周縁から振り切られて飛散する。
【0066】
ウエハWの周縁から振り切られて側方に飛散する純水(第1薬液を含む純水)は、内構成部材19の案内部25の内面に捕獲される。そして、内構成部材19の内面を伝って流下し、廃棄溝26に集められ、排液機構28Aによって排出される。このとき、内構成部材19、中構成部材20および外構成部材21が各上端部間にごく微小な隙間を保った状態で近接し、さらに、外構成部材21の折返し部21cが案内部48の上端部48bと水平方向において重なり、案内部48の折返し部48cが案内部25の上端部25bと水平方向において重なることによって、案内部25,48の間および案内部48と外構成部材21との間への処理液の進入が防止される。
【0067】
ウエハWへの純水の供給が所定時間にわたって行われると、ノズル3および裏面ノズル8からの純水の供給が停止される。そして、内構成部材19、中構成部材20および外構成部材21が最も下方まで下げられることにより、図2に示すように、内構成部材19の案内部25の上端部25b、中構成部材20の案内部48の上端部48bおよび外構成部材21の上端部21bが、ウエハWよりも下方に配置される。したがって、このとき、スカート部80の垂下部82は、その高さ方向幅の半分以上が液体貯留部70内の液体中に浸漬されている。
【0068】
この後、ウエハW(スピンチャック1)の回転速度が予め定める高回転速度に上げられて、リンス工程後のウエハWの表面に付着しているリンス液を遠心力で振り切って乾燥させる乾燥工程が所定時間にわたって行われる。乾燥工程が終了すると、スピンチャック1によるウエハWの回転が止められて、スピンチャック1から処理後のウエハWが搬出されていく。
【0069】
また、第1薬液による処理後のリンス工程に引き続いて、ウエハWに対して第2薬液による処理が行われる場合には、まず、ノズル3および裏面ノズル8からの純水の供給が停止される。その後、内構成部材19、中構成部材20および外構成部材21が最上方に位置している状態から、内構成部材19が下降されて、図5に示すように、内構成部材19の案内部25の上端部25bのみが、スピンチャック1に保持されたウエハWよりも下方に配置される。これにより、内構成部材19の上端部と中構成部材20の案内部48の上端部48bとの間に、ウエハWの端面に対向する開口が形成される。このとき、スカート部80の垂下部82は、図3の状態のときと同じ高さにあり、その下端部が液体貯留部70内の液体中に浸漬されている。
【0070】
そして、リンス工程時から引き続いて回転しているウエハWの表面および裏面に対して、それぞれノズル3および裏面ノズル8から第2薬液が供給される。ウエハWの表面および裏面に供給される第2薬液は、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの表面および裏面を伝って流れ、ウエハWの周縁から側方へと飛散する。これにより、ウエハWの表面および裏面に第2薬液が行き渡り、ウエハWの表面および裏面に対する第2薬液による処理が達成される。
【0071】
ウエハWの周縁から振り切られて側方に飛散する第2薬液は、内構成部材19の案内部25の上端部25bと中構成部材20の案内部48の上端部48bとの間に飛入する。そして、案内部48の内面を伝って流下し、内側回収溝27に集められ、内側回収溝27から回収機構35を通して回収タンクに回収される。このとき、中構成部材20および外構成部材21が中構成部材20の案内部48の上端部48bと外構成部材21の上端部21bとの間にごく微小な隙間を保った状態で近接し、さらに、外構成部材21の折返し部21cが案内部48の上端部48bと水平方向において重なることにより、案内部48と外構成部材21との間への処理液の進入が防止される。
【0072】
ウエハWへの第2薬液の供給が所定時間にわたって行われると、内構成部材19が上昇されて、図4に示すように、再び、内構成部材19の案内部25の上端部25b、中構成部材20の案内部48の上端部48bおよび外構成部材21の上端部21bが、スピンチャック1に保持されたウエハWよりも上方に配置される。
その後、ノズル3および裏面ノズル8からの第2薬液の供給が停止される。そして、ウエハWの表面および裏面に対して、それぞれノズル3および裏面ノズル8から純水が供給され、ウエハWの表面および裏面に付着した第2薬液を洗い流すためのリンス工程が行われる。このリンス工程では、第1薬液による処理後に行われるリンス工程の場合と同様に、ウエハWの周縁から振り切られて側方に飛散する純水(第2薬液を含む純水)は、廃棄溝26に集められて排出される。また、内構成部材19、中構成部材20および外構成部材21は、各上端部間にごく微小な隙間を保った状態で近接し、さらに、外構成部材21の折返し部21cが案内部48の上端部48bと水平方向において重なり、案内部48の折返し部48cが案内部25の上端部25bと水平方向において重なることにより、案内部25,48の間および案内部48と外構成部材21との間への処理液の進入が防止される。
【0073】
ウエハWへの純水の供給が所定時間にわたって行われると、ノズル3および裏面ノズル8からの純水の供給が停止される。そして、内構成部材19、中構成部材20および外構成部材21が最も下方まで下げられる。これにより、図2に示すように、内構成部材19の案内部25の上端部25b、中構成部材20の案内部48の上端部48bおよび外構成部材21の上端部21bが、ウエハWよりも下方に配置される。この後、ウエハW(スピンチャック1)の回転速度が予め定める高回転速度に上げられて、リンス工程後のウエハWの表面に付着しているリンス液を遠心力で振り切って乾燥させる乾燥工程が所定時間にわたって行われる。乾燥工程が終了すると、スピンチャック1によるウエハWの回転が止められて、スピンチャック1から処理後のウエハWが搬出されていく。
【0074】
図1〜図5に示されているように、内構成部材19、中構成部材20および外構成部材21がいずれの高さにあるときにも、外構成部材21に設けたスカート部80の少なくとも下端部(より具体的には垂下部82の下端部)が液体貯留部70に貯留した液体中に浸漬されている。すなわち、この液体による液封構造が保たれている。そのため、どの状況においても、カップ2に対する外部空気の流入は、専ら、上部開口2aから生じることになる。その結果、スピンチャック1の回転によって、気流の乱れが生じる場合であっても、排気機構28Bによる排気によって、スピンベース5と外構成部材21の折り返し部21cとの間に、良好な下降気流を効率的に形成することができる。
【0075】
また、スカート部80と液体貯留部70とで構成した液封構造により、カップ2内の雰囲気の流出が防がれる。すなわち、スピンチャック1の回転によってカップ2内の気流に乱れが生じたり、ウエハWに向けて不活性ガスを供給したりするような状況であっても、内構成部材19、中構成部材20および外構成部材21の相互間の隙間を通って、カップ2外に処理液雰囲気が流出することがない。したがって、処理液雰囲気がカップ2外の処理室60内空間に流出することによって処理室60の内壁等が汚染されることを抑制できる。その結果、処理室60の内壁等の汚染に起因するパーティクルを抑制することができるので、処理後のウエハWは高い清浄度を有することができる。こうして、基板処理品質を向上できる。
【0076】
さらにまた、たとえば、薬液処理時(外構成部材21が液処理高さにあるとき)におけるスカート部80の浸漬深さD(図3〜図5参照)を適切に、たとえば浸漬深さDを1〜3mmに設定することで、カップ2内の圧力が或る値を超えると、カップ2内の雰囲気によって前記液封構造が破られるようにすることもできる。これにより、万一、カップ2内の圧力が想定外の高圧となったときでも、上部開口2aから薬液雰囲気が流出することを抑制または防止できる。この場合、液封構造を破ってカップ2外に流出する薬液雰囲気は、液体貯留部70に貯留された液体をくぐって流出することになる。そのため、薬液雰囲気中の薬液ミストは、液体中に捕獲されてしまい、薬液ミストをほとんど含まない空気がカップ2外に流出するにすぎない。これにより、万一、液封構造が破られるような事態となっても、カップ2外の処理室60内空間の汚染を最小限に抑制することができる。
【0077】
図6は、発明者による評価結果を示すグラフであり、排気ダクト57で計測した排気総風量(曲線L1)と、スピンベース5と外構成部材21の折り返し部21cとの間で計測したカップ風量(曲線L2)とが示されている。また、スカート部80および液体貯留部70などからなる液封構造を設けなかった場合の比較例についてカップ風量を計測した結果(曲線L3)が併せて示されている。ただし、この評価は、内構成部材19、中構成部材20および外構成部材21を、図3に示す配置(薬液処理時の配置)として行った。
【0078】
一定の排気圧で排気を行っているので、排気総風量(曲線L1)は一定である。しかし、比較例(曲線L3)においては、スピンチャック1の回転速度の増加に伴って、とくに、1500rpm以上の回転速度域において、カップ風量が増加していることが分かる。これは、スピンチャック1の回転によって生じる乱気流のために、カップ2内の雰囲気が、内構成部材19、中構成部材20および外構成部材21の相互間の隙間を通ってカップ2外に漏れ出したことを示唆している。
【0079】
一方、スカート部80および液体貯留部70などからなる液封構造を設けた本実施形態の構成の場合(曲線L2)には、カップ風量の増加が生じていない。これは、カップ2外へと流出する気流を阻止できた結果であり、カップ2内の雰囲気は、すべて、カップ2内雰囲気の排気のための排気機構28Bを介して排気されたことを意味する。
このように、この実施形態の構成により、内構成部材19、中構成部材20および外構成部材21の相互間の隙間を介してカップ2の内方からその外方へと流出する気流を阻止できる。したがって、排気元圧を過度に大きくすることなく、カップ2内の雰囲気がその外部に流出して処理室60内を汚染することを防止することができる。
【0080】
しかも、液体貯留部70に貯留した液体による液封構造を有しているため、たとえ、この液封が破れる場合でも、カップ2内の雰囲気は、一旦、液体貯留部70に貯留された液体をくぐってその外方に出ることになる。そのため、雰囲気中の薬液成分は、液体貯留部70に貯留された液体中に溶けてしまい、薬液ミストを含まない空気だけがカップ2外の処理室60内空間に出ることになる。したがって、万一、液封構造が破られる場合であっても、処理室60の内部の汚染を最小限に抑制することができる。
【0081】
また、洗浄液供給ノズル71から処理室60の隔壁61上部に洗浄液を供給し、隔壁61の内壁を伝って液体貯留部70へと洗浄液を流下させる構造であるので、処理室60内に存在する処理液ミストを効果的に捕獲できる。すなわち、隔壁61の内壁を伝って流下する洗浄液と、液体貯留部70に貯留された洗浄液とで処理液ミストを捕獲することができ、処理室60の内部空間を清浄な状態に保持できる。しかも、洗浄液供給ノズル71から、常時、洗浄液を供給し、摺り切り排液管75から液体貯留部70内の液体を排液する構成であるので、液体貯留部70の液体が常時置換される。したがって、液体貯留部70に汚染が蓄積されることもない。さらにまた、隔壁61を伝って洗浄液が流下する構造であるため、隔壁61の内壁面における薬液の結晶化を抑制または防止できる。
【0082】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することも可能である。
たとえば、上記の実施形態では、第1薬液、第2薬液および純水を用いた処理を例にとったが、第1薬液および第2薬液とは種類の異なる第3薬液をさらに追加して用いて、ウエハWに対して第3薬液を用いた処理を行い、この処理に用いられた後の第3薬液を回収するようにしてもよい。この場合、外構成部材21のさらに外側に、外構成部材21と同様な構成を有する新たな構成部材を追加するとともに、その新たな構成部材に案内される第3薬液を回収するための回収溝を内構成部材19に一体的に設ければよい。同様に、4種以上の薬液を用いる処理を行う場合にも、同様な変形を加えることによって対応することができる。むろん、薬液の種類が1種類であれば、たとえば、中構成部材20およびそれに関連する構成を省けばよい。
【0083】
いずれの場合にも、最も外側に配置される構成部材に対して、スカート部80と類似の部材を設け、その下方部を液体貯留部70に貯留された液体中に浸漬することによって、液封構造を形成すればよい。
また、前述の実施形態では、環状壁65と隔壁61との間に液体貯留部70が形成された構造について説明したが、環状壁65と隔壁61との間に別の環状壁90(図1に二点鎖線で示す。)を同軸状に設けて、これらの一対の環状壁65,90によって液体貯留部を形成することもできる。この場合には、洗浄液供給ノズル71に代えて、当該液体貯留部に液体(たとえば、脱イオン化された純水)を供給する液体供給機構を設ければよい。
【0084】
液体貯留部に貯留する液体としては、純水の他に、イオン水や炭酸水等の機能水を例示することができる。
また、前述の実施形態では、洗浄液供給ノズル71から、常時、洗浄液を供給する構成について説明したが、洗浄液供給ノズル71から、隔壁61の内面が乾かない程度に間欠的に、洗浄液を供給する構成とし、洗浄液の消費量を抑制するようにしてもよい。あるいは、洗浄液供給ノズル71からの洗浄液の供給を一定期間のみ停止させるようにしてもよい。具体的には、たとえば、図示しない搬送ロボットの搬送ハンドによって、隔壁61に設けられた開口(図示せず)を介してウエハWが処理室60内に搬入、または処理室61内から搬出される時のみ、洗浄液供給ノズル71からの洗浄液の供給を停止させるようにしてもよい。これにより、洗浄液供給ノズル71からの洗浄液がウエハWや前記搬送ハンドを濡らしてしまうことを防止することができる。
【0085】
また、上記の実施形態では、ウエハWに対して洗浄処理を行う装置を例にとったが、この発明は、洗浄処理に限らず、たとえば、ウエハWの表面から不要な薄膜をエッチング液を用いて除去するエッチング処理装置、ウエハWの表面から不要なポリマー残渣をポリマー除去液を用いて除去するポリマー除去装置、ウエハWの表面にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布装置、あるいはウエハWの表面に現像液を供給してレジスト膜を現像する現像装置などに適用することもできる。
【0086】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を示す断面図である。
【図2】ウエハの搬入時および乾燥工程時における内構成部材、中構成部材および外構成部材の位置を図解的に示す断面図である。
【図3】ウエハに対する第1薬液による処理時における内構成部材、中構成部材および外構成部材の位置を図解的に示す断面図である。
【図4】リンス工程時における内構成部材、中構成部材および外構成部材の位置を図解的に示す断面図である。
【図5】ウエハに対する第2薬液による処理時における内構成部材、中構成部材および外構成部材の位置を図解的に示す断面図である。
【図6】発明者による評価結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0088】
1 スピンチャック 2 カップ
2a 上部開口 3 ノズル
4 回転軸 5 スピンベース
6 モータ 7 裏面処理液供給管
8 裏面ノズル 9 上カバー
10 下カバー 11 収容空間
12 挿通孔 13 挟持部材
14 支持部 15 規制部
16 ベース 17 カバー部材
18 鍔状部材 19 内構成部材
19a 庇部 20 中構成部材
21 外構成部材 21a 下端部
21b 上端部 21c 折返し部
22 底部 23 内壁部
24 中壁部 25 案内部
25a 筒部 25b 上端部
26 廃棄溝 27 内側回収溝
28A 排液機構 28B 排気機構
29 固定筒部材 30 スペーサ
31 移動筒部材 32 連通孔
33 ベローズ 34 配管
35 回収機構 36 挿通部材
37 スペーサ 38 固定筒部材
39 保持部材 40 移動筒部材
41 連通孔 42 ベローズ
43 継手 44 接続部包囲部材
45 閉鎖部材 46 接続口
47 回収配管 48 案内部
48a 下端部 48b 上端部
48c 折返し部 49 底部
50 処理液分離壁 51 外壁部
52 外側回収溝 53 回収機構
55 気液分離器 56 廃液管
57 排気ダクト 60 処理室
61 隔壁 62 天井壁
63 ファン・フィルタ・ユニット
65 環状壁 66〜68 昇降機構
70 液体貯留部 71 洗浄液供給ノズル
72 洗浄液供給管 73 洗浄液バルブ
74 流量調節バルブ 75 摺り切り排液管
76 排液配管 77 取り付け機構
78 支持部材 80 スカート部
81 張出部 82 垂下部
85 処理室排気管 86 排気配管
87 取り付け機構 88 支持部材
90 環状壁 100 制御部
W ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持して回転させる基板保持手段と、
この基板保持手段によって保持された基板に処理液を供給する処理液供給手段と、
前記基板保持手段を取り囲み、前記基板保持手段に保持されて回転されている基板から飛散する処理液を受け止めて流下させるとともに、上方に開口を有する環状の第1処理液案内部材と、
この第1処理液案内部材を上下動させる第1上下駆動手段と、
前記第1処理液案内部材および前記基板保持手段を収容する処理室と、
前記第1処理液案内部材の内方の雰囲気を吸引して排気する排気手段と、
前記第1処理液案内部材の下方に設けられ、当該第1処理案内部材の下方部を全周に渡って浸漬させる液体を貯留し、その貯留した液体によって、前記第1処理液案内部材の内方の空間を前記処理室内における当該第1処理液案内部材の外方の空間から封止する液体貯留部とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記第1処理液案内部材が、本体部と、この本体部から下方に向かって延びた環状のスカート部とを備え、
前記液体貯留部は、当該液体貯留部に貯留した液体中に、前記スカート部の下方部を全周に渡って浸漬させるものである、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理液供給手段によって基板に処理液が供給されるときに、前記第1処理液案内部材を所定の液処理高さに配置するように前記第1上下駆動手段を制御する制御手段をさらに含み、
前記液体貯留部は、前記第1処理液案内部材が前記液処理高さに位置しているときに、前記第1処理液案内部材の下方部を全周に渡って液体中に浸漬させることができるものである、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記液体貯留部に液体を供給する液体供給手段と、
前記液体貯留部に貯留された液体を所定の液面高さでオーバーフローさせて排液する摺り切り排液手段とをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1処理液案内部材によって下方に流下させられた処理液を受けて回収する第1回収溝が形成された回収容器をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記排気手段は、前記回収容器の内方の空間の雰囲気を吸引して排気するものである、請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1処理液案内部材の内方において前記基板保持手段を取り囲み、前記基板保持手段に保持されて回転されている基板から飛散する処理液を受け止めて流下させる第2処理液案内部材と、
この第2処理液案内部材を上下動させる第2上下駆動手段とをさらに含み、
前記回収容器は、前記第2処理液案内部材によって流下させられた処理液を受けて回収する第2回収溝をさらに有している、請求項5または6記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記回収容器は、前記第2処理液案内部材の内方において前記基板保持手段を取り囲み、前記基板保持手段に保持されて回転されている基板から飛散する処理液を受け止めて流下させる第3処理液案内部材を備え、さらに、この第3処理液案内部材によって流下させられた処理液を受けて回収する第3回収溝を有している、請求項7記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記回収容器は、前記第3回収溝に連通する排気口をさらに有し、この排気口が前記排気手段に接続されている、請求項8記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記回収容器を上下動させる第3上下駆動手段をさらに含む、請求項8または9記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−239081(P2009−239081A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84191(P2008−84191)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】