説明

基板処理装置

【課題】基板主面の全面に亙るウェット処理の均一化を図り、処理の歩留まりの向上や品質改善を達成することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】スプレーパイプ部22と、スプレーパイプ部22の長手方向に一列に互いに近接して形設され薬液をその吐出口26から基板Wの表面102へ吐出する複数のノズル部24から構成される複数のスプレーノズル14とを備え、基板Wの表面102に対する複数のノズル部24の吐出口26の対向角度を、傾斜させた姿勢で搬送される基板Wの表面102の傾斜下端方向に向けて、基板Wの表面102の傾斜上端部付近から傾斜下端部付近にかけて、基板Wの表面102の法線300に対して漸次小さくなるように、複数のノズル部24を複数のスプレーパイプ部22に形設することにより、基板Wの表面102上において吐出後の薬液の流速を傾斜上端部付近では相対的に小さく傾斜下端部付近では相対的に大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置(LCD)用、プラズマディスプレイ(PDP)用、有機発光ダイオード(OLED)用、電界放出ディスプレイ(FED)用、真空蛍光ディスプレイ(VFD)用、太陽電池パネル用等のガラス基板、磁気/光ディスク用のガラス/セラミック基板、半導体ウエハ、電子デバイス基板等の各種の基板に対して、純水等の洗浄液、エッチング液、現像液、レジスト剥離液等の薬液、等々の各種処理液を吐出して基板をウェット処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の基板処理装置としては、基板の搬送方向に並設された搬送ローラ等によってウェット処理室内に基板を水平面に対し基板搬送方向と直交する方向に所定角度傾斜させた姿勢で搬送しつつ、スプレーノズルから基板の表面に対して処理液をシャワー状に吐出することにより所定の基板処理を行うものが知られている。このような基板処理装置においては、処理の種類に応じて、純水等の洗浄液、エッチング液、現像液、レジスト剥離液等の薬液、等々の各種処理液がスプレーノズルから基板の表面に吐出される。
【0003】
そして、このような基板処理装置では、基板表面の全面に均一に処理液を供給するために、基板搬送方向に沿う方向に延在するスプレーパイプ部と、スプレーパイプ部の長手方向に一列に互いに近接して形設される複数のノズル部とから構成されたスプレーノズルを、複数個基板搬送方向に関して交差する方向に等ピッチにて互いに平行に配置し、複数のノズル部から処理液を基板の表面へ吐出するようにしている。
【0004】
さらに、スプレーノズルのスプレーパイプ部をその長手方向の中心軸を中心として往復回動させて処理液の吐出方向を変化させるスプレーパイプ部往復回動型の基板処理装置が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−188272号公報(段落番号[0040]乃至[0041]、図2乃至図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5は、従来のスプレーパイプ部往復回動型の基板処理装置による薬液供給の様子を示す模式図である。
【0007】
この基板処理装置においては、基板Wの搬送方向(図面の平面に関して直角方向)に並設された複数の搬送ローラ(図示せず)によって基板Wが水平面200に対し基板搬送方向と直交する方向に所定角度傾斜させた姿勢で搬送される。そして、基板搬送方向に沿う方向に延在するスプレーパイプ部(図示せず)とスプレーパイプ部の長手方向に一列に互いに近接して形設される複数のノズル部100とから構成されたスプレーノズルが、複数個基板搬送方向に関して交差する方向に等ピッチにて互いに平行に配置され、各スプレーパイプ部に連結した回動機構(図示せず)により各スプレーパイプ部の中心軸を中心として各スプレーパイプ部が、図5(a)図示のように基板Wの表面102の法線300に対して各ノズル部100のそれぞれの吐出口104が基板Wの傾斜下端方向に向けて所定角度、例えば40°、で表面102に対向する状態と、図5(b)図示のように基板Wの表面102の法線300に対して各スプレーパイプ部100の吐出口104が例えば0°で
表面102に対向する状態との間を繰り返して往復回動されながら各ノズル部100の吐出口104からの薬液の基板Wの表面102への吐出方向を変化させるようにしている。
【0008】
図6は、図5図示の基板処理装置によって吐出された薬液の、傾斜姿勢の基板Wの表面102上における位置と流速との関係を示すグラフであり、縦軸は吐出された薬液の基板Wの表面102上の流速を表し、横軸は傾斜姿勢の基板Wの傾斜上端を原点として傾斜下端までの位置を表す。図6中、四角のドットをプロットした線106は、各吐出口104のそれぞれが、図5(a)の状態のときの吐出された薬液の基板Wの表面102上における位置と流速との関係を示し、丸のドット108は図5(b)の状態のときの吐出された薬液の基板Wの表面102上における位置と流速との関係を示す。
【0009】
図5および図6から明らかなように、基板Wの表面102の法線300に対して各ノズル部100のそれぞれの吐出口104が、基板Wの傾斜下端方向に向けて40°で表面102に対向する状態のときも0°で表面102に対向する状態のときも、塗布液の流速が基板Wの傾斜上端部付近では矢符AおよびA’で示されるように相対的に小さく傾斜下端部付近に行くほど矢符BおよびB’で示されるように相対的に大きくなっており、傾斜姿勢の基板表面102上の位置により塗布液の流速の差が発生していることが認められる。なお、矢符の大きさは流速の大きさを表す。このように、塗布液の流速に差が生じると、例えばエッチング処理のようなエッチング液を用いる薬液処理の場合には、エッチング速度に差が発生して処理後のパターン線幅のばらつきを招き、結果として歩留まりの低下や品質の劣化につながる。
【0010】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、傾斜姿勢で支持された基板の主面上に処理液を吐出する場合に、吐出された処理液の基板主面上の流速の差を軽減して基板主面の全面における流速の均一化を促進することにより基板主面の全面に亙るウェット処理の均一化を図り、これによって処理の歩留まりの向上や品質改善を達成することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、基板に対してウェット処理を行うウェット処理室と、前記ウェット処理室内に配設されて基板を水平面に対し基板搬送方向と直交する方向に所定角度傾斜させた姿勢で水平方向に搬送する基板搬送手段と、前記ウェット処理室内に配設される基板搬送手段によって搬送される基板の主面へ処理液を供給する処理液供給手段と、を備えた基板処理装置であって、前記処理液供給手段は、基板搬送方向に関して交差する方向に等ピッチに互いに平行に配置され処理液を基板の主面へ吐出する複数のスプレーノズルを備え、各前記複数のスプレーノズルは、前記基板搬送方向に沿う方向に延在するスプレーパイプ部と、当該スプレーパイプ部の長手方向に一列に互いに近接して形設され処理液をその吐出口から基板の主面へ吐出する複数のノズル部から構成される基板処理装置において、基板の主面に対する前記複数のノズル部の吐出口の対向角度を、傾斜させた姿勢で搬送される基板の主面の傾斜下端方向に向けて、基板の主面の傾斜上端部付近から傾斜下端部付近にかけて、基板の主面の法線に対して漸次小さくなるように、前記複数のノズル部を前記複数のスプレーパイプ部に形設することにより、基板の主面上において吐出後の処理液の流速を前記傾斜上端部付近では相対的に小さく前記傾斜下端部付近では相対的に大きくしたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の基板処理装置において、基板搬送方向に関して交差する方向に等ピッチに配置される前記複数のスプレーノズルの前記複数のノズル部は、当該交差方向に関して千鳥状に配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の基板処理装置において、各前記スプ
レーパイプ部に連結された回動手段が更に備えられ、当該回動手段により各前記スプレーパイプ部の中心軸を中心として各前記スプレーパイプ部を基板の主面の傾斜上端方向に向けて所定角度一律に回動させた後に復帰回動させ、当該回動の往復動作を繰り返しながら各前記ノズル部の各前記吐出口からの処理液の基板の主面への吐出方向を変化させることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置において、前記複数のノズル部の吐出口から吐出される処理液の吐出量は、等しいことを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置において、前記複数のノズル部の吐出口から吐出される処理液は、エッチング液であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明の基板処理装置においては、基板の主面に対する複数のノズル部の吐出口の対向角度を傾斜させた姿勢で搬送される基板の主面の傾斜下端方向に向けて、基板の主面の傾斜上端部付近から傾斜下端部付近にかけて、基板の主面の法線に対して漸次小さくなるように、複数のノズル部を複数のスプレーパイプ部に形設する。このため、基板Wの主面上において吐出後に流動する処理液は、傾斜上端部付近と傾斜下端部付近において流速差が軽減されることにより基板の主面上の全面において流速の均一化が促進され、基板の主面全面に亙って処理の均一化を図ることができる。
【0017】
請求項2に係る発明の基板処理装置においては、基板搬送方向に関して交差する方向に等ピッチに配置される複数のスプレーノズルの複数のノズル部は、当該交差方向に関して千鳥状に配置される。このため、各ノズル部からの処理液吐出流の相互干渉が低減され、これによって基板の主面上の全面において流速の均一化がさらに促進され、基板の主面全面に亙ってより効果的な処理の均一化を図ることができる。
【0018】
請求項3に係る発明の基板処理装置においては、回動手段により各スプレーパイプ部の中心軸を中心として各スプレーパイプ部を基板の主面の傾斜上端方向に向けて所定角度一律に回動させた後に復帰回動させ、当該回動の往復動作を繰り返しながら各ノズル部の各吐出口からの処理液の基板の主面への吐出方向を変化させる。このため、基板Wの主面上において吐出処理液の流速の均一化を一定レベルで維持しつつウェット処理の迅速化を図ることができる。
【0019】
請求項4に係る発明の基板処理装置においては、各ノズル部からの吐出量を、吐出後に処理液の流速の均一化が促進されるように調整するための煩瑣な機構等を必要とせず、これにより設計コストの低廉化を図ることができる。
【0020】
請求項5に係る発明の基板処理装置においては、基板の主面上の傾斜上端部付近と傾斜下端部付近におけるエッチングレートの差を低減することができ、主面上の全面におけるエッチングレートの均一化を効果的に改善することができる。これによって、エッチング処理後のパターンの線幅等の均一化の向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板処理装置を模式的に示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る基板処理装置おいて基板の表面に対する、スプレーノズルを構成するスプレーパイプ部に形設されたノズル部の吐出口の対向角度を説明するための模式図である。
【図3】従来の基板処理装置および本発明の実施形態に係る基板処理装置によってそれぞれ吐出された薬液の、傾斜姿勢の基板の表面上における位置と流速との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態の変形例に係る基板処理装置におけるノズル部から基板の表面へ薬液を吐出する様子を示す模式図である。
【図5】従来のスプレーパイプ部往復回動型の基板処理装置におけるノズル部から基板の表面へ処理液を吐出する様子を示す模式図である。
【図6】従来のスプレーパイプ部往復回動型の基板処理装置によって吐出された薬液の、傾斜姿勢の基板の表面上における位置と流速との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る基板処理装置1を模式的に示したものである。
【0024】
この基板処理装置1は、エッチング液、現像液、レジスト剥離液等の薬液を吐出して基板Wに薬液処理を行う薬液処理室10と、薬液処理室10内において基板Wを水平姿勢で支持しつつ水平方向Xへ往復移動する複数の搬送ローラ(図示せず)と、薬液を貯留する薬液タンク12と、基板Wの表面102に薬液を吐出するための複数のスプレーノズル14と、送液ポンプ16と、薬液タンク12に貯留された薬液をスプレーノズル14に送液する薬液供給路18とを備える。
【0025】
スプレーノズル14は、薬液処理室10内において基板搬送方向X(図2参照)に関して交差する方向に等ピッチに複数個互いに平行して配設され、各スプレーノズル14は、基板搬送方向Xに沿う方向に延在するスプレーパイプ部22(図2参照)と、このスプレーパイプ部22の長手方向に一列に互いに近接して形設され薬液をその吐出口26(図2(b)参照)から基板Wの表面102へ吐出する複数のノズル部24から構成される。また、薬液処理室10の底部には、薬液処理室10の内底部に流下した使用済みの薬液を排出するための循環排水路20が設けられており、循環排水路20は、薬液タンク12に連通接続されている。
【0026】
上述した構成を備えた基板処理装置1においては、まず、薬液処理室10の基板搬入口(図示せず)から薬液処理室10内へ搬入されてきた基板Wを搬送ローラにより水平面200に対し基板搬送方向Xと直交する方向に所定角度傾斜させた姿勢で支持しつつ水平方向へ往復移動させながら、送液ポンプ16の駆動により薬液タンク12に貯留された薬液を薬液供給路18を介してスプレーノズル14に送液し、プレーノズル14の各ノズル部24のそれぞれから等量の薬液を基板Wの表面102へ吐出することにより、薬液処理が行なわれる。
【0027】
薬液処理を終えた基板Wは、搬送ローラにより薬液処理室10の基板搬出口(図示せず)から搬出される。基板Wの表面102から流下しさらに薬液処理室10の内底部に流下した薬液は、循環排水路20を介して薬液タンク12に回収される。
【0028】
図2は、本発明の実施の形態に係る基板処理装置おいて基板Wの表面102に対する、スプレーノズル14を構成するスプレーパイプ部22に形設されたノズル部24の吐出口26の対向角度を説明するための模式図であり、図2(a)はその上面図、図2(b)はその断面図である。
【0029】
スプレーノズル14は、薬液処理室10内において基板搬送方向Xに交差する方向に等ピッチに複数個互いに平行して配設され、各スプレーノズル14は、基板搬送方向Xに沿
う方向に延在するスプレーパイプ部22と、このスプレーパイプ部22の長手方向に一列に互いに近接して形設され薬液をその吐出口26から基板Wの表面102へ吐出する複数のノズル部24から構成される。
【0030】
図2(a)および図2(b)に示すように、複数個、本実施の形態では8個のスプレーノズル14a乃至14hが基板搬送方向Xに交差する方向に等ピッチに互いに平行に配設される。スプレーノズル14a乃至14hはそれぞれ、基板搬送方向Xに沿う方向に延在するスプレーパイプ部22a乃至22hと、各スプレーパイプ部22a乃至22hの長手方向に一列に互いに近接して形設される複数のノズル部24から構成される。
【0031】
そして、傾斜させた姿勢で搬送される基板Wの表面102に対する複数のノズル部24の吐出口26の対向角度を基板Wの表面102の傾斜下端方向に向けて、傾斜上端部付近から傾斜下端部付近にかけて基板Wの表面102の法線300に対して漸次小さくなるように、ノズル部24を各スプレーパイプ部22a乃至22hに形設し、さらにこれらのノズル部24は、図2(a)に示すように基板搬送方向Xに交差する方向において千鳥状に配置される。
【0032】
図2(b)は、ノズル部24のうちスプレーパイプ部22a乃至22hの基板搬送方向Xに沿う方向における略中央部に形設されたノズル部24a乃至24hによって形成されるノズル部群の1組を例示しており、基板Wの表面102の傾斜上端部付近で対向するノズル部24aの吐出口26aでは、基板Wの表面102の法線300に対して所定角度、例えば40°に、傾斜下端部付近に対向するノズル部24hの吐出口26hでは例えば0°の角度に設定される。その他のノズル部群によって形成される組の吐出口の対向角度も同様に傾斜下端方向に向けて、傾斜上端部付近から下端部付近にかけて基板Wの表面102の法線300に対して漸次小さくなるように設定されている。
【0033】
上述のように構成されたスプレーノズル14a乃至14hでは、静止状態の(往復回動しない)スプレーパイプ部22a乃至22hに形設されたノズル部24のそれぞれの対向角度に固定された吐出口26から基板Wの表面102へ等しい吐出量の薬液が吐出される。そして、基板Wの表面102上において傾斜下端方向へ矢符Yで示されるように薬液が流動し、この流動する薬液は、傾斜上端部付近と傾斜下端部付近において矢符Y’およびY”で示されるように、両者の流速差が軽減されることにより基板Wの表面102上の全面において流速の均一化が図られる。なお、矢符の大きさは流速の大きさを表す。このように、等量の薬液が各ノズル部24から吐出されるようにしたままで、吐出後に薬液の流速の均一化が促進できるため、そのような均一化を図る目的で、各ノズル部24からの吐出量を調整するための煩瑣な機構等を必要とせず、これにより設計コストの低廉化を図ることができる。なお、図2(a)に示すノズル部24fと24gのように、ノズル部24の配置の一部に千鳥状となっていない領域が存在してもよい。
【0034】
また、ノズル部24が、基板搬送方向Xに交差する方向において千鳥状に配置されるので、各ノズル部24からの薬液吐出流の相互干渉が低減され、これによって基板表面102上の流動薬液の流速差がさらに効果的に軽減され、基板Wの表面102上の全面における流速の均一化が促進される。
【0035】
図3は、図5図示の従来の基板処理装置および図2図示の本実施形態に係る基板処理装置によってそれぞれ吐出された薬液の、傾斜姿勢の基板Wの表面102上における位置と流速との関係を示すグラフであり、図6と同様に、縦軸は吐出された薬液の基板Wの表面102上の流速を表し、横軸は傾斜姿勢の基板Wの傾斜上端を原点として傾斜下端までの位置を表す。図3中、四角のドットをプロットした線106および丸のドット108は図6図示の線106および108と同一であり、他方三角のドットをプロットした線110は、傾斜させた姿勢で搬送される基板Wの表面102に対する複数のノズル部24の吐出
口26の対向角度を基板Wの表面102の傾斜下端方向に向けて、傾斜上端部付近から傾斜下端部付近にかけて基板Wの表面102の法線300に対して漸次小さくなるように、各スプレーパイプ部22に形設された複数のノズル部24の各吐出口26から吐出された薬液の基板Wの表面102上における位置と流速との関係を示す。
【0036】
図3図示の線106、108と110とを比較して明らかなように、本実施態様に係る基板処理装置による薬液吐出では従来技術に係る基板処理装置による薬液吐出に比較して、基板Wの傾斜上端部付近における薬液の流速と傾斜下端部付近における薬液の流速との差が軽減されていることが認められる。
【0037】
したがって、本実施態様に係る基板処理装置において薬液として例えばエッチング液を用いるエッチング処理の場合、基板Wの表面102上の傾斜上端部付近と傾斜下端部付近におけるエッチングレートの差を低減することができ、表面102上の全面におけるエッチングレートの均一化を効果的に改善することができる。これによって、エッチング処理後のパターンの線幅等の均一化の向上を達成することができる。
【0038】
上述の実施形態では、傾斜させた姿勢で搬送される基板Wの表面102に対する複数のノズル部24の吐出口26の対向角度を基板Wの表面102の傾斜下端方向に向けて、傾斜上端部付近から傾斜下端部付近にかけて基板Wの表面102の法線300に対して漸次小さくなるように、ノズル部24を各スプレーパイプ部22に形設し、静止状態の(往復回動しない)スプレーパイプ部22に形設されたノズル部24のそれぞれの対向角度に固定された吐出口26から基板Wの表面102へ薬液が吐出されたが、本発明はこれに限定されない。
【0039】
図4は、上述の実施形態の変形例に係る基板処理装置におけるノズル部24から基板Wの表面102へ薬液を吐出する様子を示す模式図である。
【0040】
図4図示の変形例では、傾斜させた姿勢で搬送される基板Wの表面102に対する複数のノズル部24の吐出口26の対向角度を基板Wの表面102の傾斜下端方向に向けて、傾斜上端部付近から傾斜下端部付近にかけて基板Wの表面102の法線300に対して漸次小さくなるように、ノズル部24を各スプレーパイプ部22に形設し、各スプレーパイプ部22に連結された従前公知の、例えば上記特許文献1に記載(段落番号[0040]乃至[0041]、図2乃至図4)の、回動機構(図示せず)により各スプレーパイプ部22の中心軸を中心として各スプレーパイプ部22を、図4(a)図示の状態から、図4(b)図示のように傾斜上端方向に向けて所定角度、例えば傾斜最下端部付近に対向するノズル部24hの吐出口26hが基板Wの表面102の法線300に対して基板上端方向に向けて40°の角度を成す状態まで、一律に回動させた後、図4(a)図示の状態に復帰回動させ、このような回動の往復動作を繰り返しながら各ノズル部24の吐出口26からの薬液の基板Wの表面102への吐出方向を変化させる。なお、この回動機構による各スプレーパイプ部22の往復回動角度、すなわち、各ノズル部24の各吐出口26の基板Wの表面102に対する対向角度の揺動幅は、同一である。
【0041】
この変形例に係る基板処理装置による薬液吐出では、基板Wの表面102上において吐出薬液の流速の均一化を一定レベルで維持しつつ薬液処理の迅速化を図ることができる。
【0042】
なお、上述の各実施形態および変形例では処理液としてエッチング液、現像液、レジスト剥離液等の薬液を用いた薬液処理に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、処理液として純水等の洗浄液を用いる洗浄処理に適用してもよい。
【0043】
また、上述の実施形態および変形例では、スプレーノズルの個数として8個用いた構成
について説明したが、本発明はこれに限定されず、基板Wのサイズや処理の種類等に応じて適宜の数のスプレーノズルを選択すればよい。
【符号の説明】
【0044】
1 基板処理装置
10 薬液処理室
12 薬液タンク
14 スプレーノズル
16 送液ポンプ
18 薬液供給路
20 循環排水路
22 スプレーパイプ部
24 ノズル部
26 吐出口
102 基板の表面
106、108、110 線
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対してウェット処理を行うウェット処理室と、
前記ウェット処理室内に配設されて基板を水平面に対し基板搬送方向と直交する方向に所定角度傾斜させた姿勢で水平方向に搬送する基板搬送手段と、
前記ウェット処理室内に配設される基板搬送手段によって搬送される基板の主面へ処理液を供給する処理液供給手段と、
を備えた基板処理装置であって、
前記処理液供給手段は、
基板搬送方向に関して交差する方向に等ピッチに互いに平行に配置され処理液を基板の主面へ吐出する複数のスプレーノズルを備え、
各前記複数のスプレーノズルは、
前記基板搬送方向に沿う方向に延在するスプレーパイプ部と、当該スプレーパイプ部の長手方向に一列に互いに近接して形設され処理液をその吐出口から基板の主面へ吐出する複数のノズル部から構成される基板処理装置において、
基板の主面に対する前記複数のノズル部の吐出口の対向角度を、傾斜させた姿勢で搬送される基板の主面の傾斜下端方向に向けて、基板の主面の傾斜上端部付近から傾斜下端部付近にかけて、基板の主面の法線に対して漸次小さくなるように、前記複数のノズル部を前記複数のスプレーパイプ部に形設することにより、基板の主面上において吐出後の処理液の流速を前記傾斜上端部付近では相対的に小さく前記傾斜下端部付近では相対的に大きくしたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
基板搬送方向に関して交差する方向に等ピッチに配置される前記複数のスプレーノズルの前記複数のノズル部は、当該交差方向に関して千鳥状に配置されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
各前記スプレーパイプ部に連結された回動手段がさらに備えられ、
前記回動手段により各前記スプレーパイプ部の中心軸を中心として各前記スプレーパイプ部を基板の主面の傾斜上端方向に向けて所定角度一律に回動させた後に復帰回動させ、当該回動の往復動作を繰り返しながら各前記ノズル部の各前記吐出口からの処理液の基板の主面への吐出方向を変化させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記複数のノズル部の吐出口から吐出される処理液の吐出量は、等しいことを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記複数のノズル部の吐出口から吐出される処理液は、エッチング液であることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−66177(P2012−66177A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211717(P2010−211717)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】