説明

欠陥検査方法及びその装置

【課題】
エッチング完了後の溝底ショート欠陥やスクラッチを検出するための高仰角照明による暗視野欠陥検出方法において、レンズ反射光などの迷光が像面に到達することによる検査感度を阻害することを防止する。
【解決手段】
欠陥検査装置を、本来同一の形状となるべきパターンが繰り返して形成された試料上の異なる領域に異なる光学条件で同時に照明光を照射する照射手段と、照明光を照射した領域からの反射光を異なる領域ごとに検出する検出手段と、検出した反射光の検出信号を処理して異なる領域ごとに異なる光学条件の元での欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手段と、異なる光学条件の元で抽出した欠陥候補を統合して欠陥を抽出する欠陥抽出手段と、抽出した欠陥の特徴量を求めて該求めた特徴量に基づいて前記欠陥を分類する欠陥分類手段とを備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程やフラットパネルデイスプレイの製造工程に代表される薄膜プロセスを経て試料上に形成された微細パターンの欠陥や異物などの欠陥検査方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体検査装置として、特表2005−517906号公報に記載された構成がある。この検査装置は、ウェハ表面を斜方よりレーザ光照明してウェハ上での散乱光を検出する暗視野検出光学系を搭載している。この光学系は対物レンズの外側よりレーザ光を照明するオフアクシス照明が採用されている。このようにオフアクシス照明を行なう場合、ウェハの法線に対して平行な光軸を持つ垂直検出系を有していると、垂直検出系を配置する機械的な制約により、照明仰角を低くしなければならない。
【0003】
一方、特開2000−2664号公報ではウェハに対して垂直な光軸を有する対物レンズを通して照明するTTL(Through The Lens)照明が示されている。このTTL照明では、ウェハに対してほぼ垂直に照明することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2005−517906号公報
【特許文献2】特開2000−2664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体ウェハ上には様々なパターンが形成されており、欠陥の種類も発生原因に応じて多様である。DRAM(Dynamic Random Access Memory)等に代表されるパターンは、周期的なパターンが配線されており、半導体デバイスの歩留まりに影響が大きい重要欠陥としてパターンのショートやスクラッチがある。特に、エッチング完了後のパターンの底(溝底)に発生したショート欠陥は、照明仰角が低い場合や配線ピッチが細かい場合など、溝底に照明光が到達せず、溝底ショート欠陥からの散乱光が少なくなる。このため、欠陥を見逃す可能性が高い。
【0006】
また、スクラッチのように凹んだ欠陥は照明仰角が低い場合に対して、高くすることにより散乱断面積が大きくなる。このため、高仰角照明の方がスクラッチからの散乱光量を大きくすることができる。このため、エッチング完了後の溝底ショート欠陥やスクラッチの検出には、高仰角照明が有利である。
【0007】
しかし、特許文献1記載のオフアクシス照明では、照明仰角を低くせざるを得ない制約があるため、これらの欠陥の検出に有利な高仰角照明を実施できない課題がある。
【0008】
また、特許文献2記載のTTL照明では高仰角照明を実現可能であるが、空間フィルタを用いた正反射光の遮光による暗視野検出では、レンズ反射光などの迷光が像面に到達して、検査感度を阻害するという問題がある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決して、エッチング完了後の溝底ショート欠陥やスクラッチの検出において、レンズ反射光などの迷光が像面に到達することによる検査感度を阻害することを防止した高仰角照明による暗視野欠陥検出方法及びその装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明では、本来同一の形状となるべきパターンが繰り返して形成された試料上の異なる領域に異なる光学条件で同時に照明光を照射し、異なる光学条件で同時に照明光を照射した領域からの反射光を異なる領域ごとに検出し、異なる領域ごとに検出した反射光の検出信号を処理して異なる領域ごとに異なる光学条件の元での欠陥候補を抽出し、異なる領域ごとに異なる光学条件の元で抽出した欠陥候補を統合して欠陥を抽出し、抽出した欠陥の特徴量を求めてこの求めた特徴量に基づいて欠陥を分類する欠陥検査方法及びその装置とした。
【0011】
また、上記した課題を解決するために、本発明では、本来同一の形状となるべきパターンが繰り返して形成された試料上に対物レンズを介して第1の照明光を照射し、第1の照明光を照射した領域からの反射光のうち正反射光を含まない反射光を対物レンズを介して検出して第1の検出信号を得、試料上を対物レンズの外側から第2の照明光を照射し、第2の照明光を照射した領域からの反射光のうち正反射光を含まない反射光を対物レンズを介して検出して第2の検出信号を得、第1の検出信号と第2の検出信号とを処理して試料上の欠陥を検出する欠陥検査方法及びその装置とした。
【0012】
更に、上記した課題を解決するために、本発明では、本来同一の形状となるべきパターンが繰り返して形成された試料上に照明光を照射し、照明光を照射した領域からの反射光を異なる検出条件で同時に検出し、反射光を異なる検出条件で同時に検出して得た検出信号を異なる検出条件ごとに処理して異なる検出条件ごとに欠陥候補を抽出し、異なる検出条件ごとに抽出した欠陥候補を統合して試料上の欠陥を抽出し、抽出した欠陥の特徴量を求めてこの求めた特徴量に基づいて欠陥を分類する欠陥検査方法及びその装置とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高仰角照明によりウェハ上に存在する溝底欠陥やスクラッチなどの多種多様な欠陥からの散乱光を効率的に検出することにより、欠陥を顕在化した高感度化に有利な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】オフアクシス照明による光学系の概略の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1における画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】実施例2におけるTTL照明による光学系の概略の構成を示すブロック図である。
【図4】実施例2におけるTTL照明による垂直照明光学系の概略の構成を示すブロック図である。
【図5】実施例2における画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図6】実施例3におけるTTL照明による斜方照明光学系で正反射光が対物レンズに入射しないようにした構成の概略を示すブロック図である。
【図7】実施例3におけるTTL照明による斜方照明光学系で正反射光が対物レンズに入射する場合の構成の概略を示すブロック図である。
【図8】実施例3におけるTTL照明による斜方照明光学系で市松模様のパターンを照射して反射光を検出する場合の構成の概略を示すブロック図である。
【図9】実施例4におけるオフアクシス照明とTTL照明の同時照明の構成を示すブロック図である。
【図10】実施例5におけるTTL照明による垂直照明光学系で検出条件の異なる複数の画像を検出する構成の概略を示すブロック図である。
【図11】実施例5における偏光フィルタの平面図である。
【図12】実施例5における画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図13】実施例5における4種類の偏光透過軸の方向を示す偏光の方位図である。
【図14】縦軸に方位角、横軸に楕円率とした欠陥の散布図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明による半導体ウェハ欠陥検査装置の構成を図1に示す。ウェハ1はステージ3上に搭載されており、ウェハ1上に形成されたパターンとステージ走査方向の平行だし(ウェハ1のθアライメント)を行い、ウェハ基準位置とステージ3のXY座標系との座標合せを行う。ステージ3は、XY平面内と、それに垂直なZ方向に個別に移動可能で、更に及びZ方向の軸周りに回転可能に構成されている。照明光学系4はウェハ1に対して斜方に配置されており、ウェハ1上を線状の照明光29と30とでそれぞれ線状照明する。
【0017】
照明光学系4に用いられている光源5はレーザ又はランプである。レーザを光源5として用いる場合、発振波長はYAG第2高調波の532nmレーザや、第3高調波355nm或いは第4高調波266nmレーザ、199nm及び193nmレーザなどのDUV(Deep Ultraviolet)光が候補である。また、複数波長を発振する複数波長レーザも候補である。ランプを光源5として用いる場合は、d線(588nm)、e線(546nm)、g(436nm)、h(405nm)、i線(365nm)を発光する水銀ランプや水銀キセノンランプが候補である。図1では光源5にレーザを利用した実施例にて説明する。
【0018】
レーザ光源5を発振したレーザ光は、電気的に偏光を所定の方向に制御することが可能な電気光学素子7(LiNbO3やPLZT[(Pb、La)(Zr、Ti)O3の略]など)に入射する。電気光学素子の代わりにガーネット膜などからなる磁気光学素子を用いてもよい。この偏光方向を制御することによりPBS(Polarizing Beam Splitter)8を透過する光は所定の光量に減光され、ビームスプリッタ9に入射して一部が反射し、残りは透過する。
【0019】
ビームスプリッタ9で反射した光は、ビームエキスパンダ11によりビーム径が拡大された後、シリンドリカルレンズ23にて拡大されたビームの一方向が収束され、それに直角な方向が平行な光束として線状に整形される。この線状に整形された照明光25はミラー24で反射して、対物レンズ31をウェハ1の法線方向に対して傾斜させて設置したことにより空いたウェハ1の上方の空間を利用してウェハ1の線状領域29をウェハ1への入射角度が45°〜90°の範囲で高仰角照明をする。
【0020】
一方、ビームスプリッタ9を透過した光はビームエキスパンダ10に入射してビーム径が拡大される。このビーム径が拡大された光はミラー12及び13により光路をウェハ1側に向けられ、それぞれ回転可能な1/2波長板15と1/4波長板17にて所定の偏光状態に設定される。例えばウェハ1に対して、S偏光、P偏光やその中間的な角度で振動する直線偏光或いは、右または左回りの楕円偏光がある。1/2波長板15と1/4波長板17とを透過した照明光22はシリンドリカルレンズ20にて線状に整形され、ウェハ1上の線状領域30(X方向に細くY方向に長い細線照明)をウェハ1への入射角度が2°〜45°の範囲で低仰角照明をする。
【0021】
照明光22によりウェハ1の線状領域30が低角度照明され、この照明された線状領域30から散乱した光のうち、ウェハ1の法線に対して傾斜させた対物レンズ31のNA(Numerical Aperture)内に伝播した光は検出光学系50に入射して結像レンズ45を介してイメージセンサ90bの検出面(図示せず)上に結像する。
【0022】
一方、照明光25によりウェハ1の線状領域29が高仰角照明され、対物レンズ31の傾斜がウェハ1に近接する側となるウェハ1の線状領域29にて散乱した光は、対物レンズ31のNAより低仰角となる成分をミラー32にて対物レンズ31のNA内に反射させる。この線状領域29からミラー32を介して対物レンズ31までの距離をWD(Working Distance)と一致させることにより、ウェハ1の線状領域29から散乱された光のうちミラー32で反射されて対物レンズ31に入射した光は結像レンズ45を介してイメージセンサ90aの検出面(図示せず)上に結像する。
【0023】
この構成により、ウェハ1上において空間的に離れた位置(照明光25が照射されたウェハ1上の線状領域29及び照明光22が照射されたウェハ1上の線状領域30)の照明仰角が異なる(高仰角照明と低仰角照明)2種類の暗視野像を同時に検出することが可能となる。イメージセンサ90aにて検出する低仰角照明の散乱光による画像と、イメージセンサ90bにて検出する高仰角照明の散乱光による画像は、画像処理部100に入力され、設計上同一パターンの画像(例えば、隣接ダイの画像)と比較処理されて欠陥が検出される。
【0024】
また、イメージセンサ90aとイメージセンサ90bにて検出したウェハ1上の同一座標の画像を位置合せして、検出仰角の違いによる画像の特徴を利用した欠陥判定や欠陥分類を行うことも可能となる。イメージセンサ90aとイメージセンサ90bとは、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサがあり、これらのセンサによるTDI(Time Delay Integration)動作タイプも利用できる。
【0025】
2つのイメージセンサ90aと90bとで検出した画像を処理して欠陥を判定する画像処理部100で実施する処理の流れを図2に示す。
【0026】
イメージセンサ90aにて検出された画像は、階調変換部101aにて例えばγ補正のような明るさの変換を行う。変換後の画像Aの一方は位置合せ部105aに送られ、他方はメモリ103aに送られる。位置合せ分105aでは、既にイメージセンサ90aで検出されてメモリ部103aに格納されている設計上同じパターン(例えば、隣接ダイ)の画像A’をメモリ部103aから受けて、画像Aと画像A’との位置合わせをする。
【0027】
比較部107aでは位置合せされた2画像A及びA’との差画像Bをしきい値(予め設定された値、又は検出した画像から求めた値)と比較処理を行い、比較の結果として差画像Bの特徴量を算出する。この差画像Bの特徴量(例えば、濃淡差の最大値や面積など)を用いて欠陥判定部115にて欠陥を判定する。
【0028】
この一連の処理をイメージセンサ90bで検出した画像についても同様に行う。即ち、イメージセンサ90bにて検出された画像は、階調変換部101bにて例えばγ補正のような明るさの変換を行う。変換後の画像Cの一方は位置合せ部105bに送られ、他方はメモリ103aに送られる。位置合せ分105aでは、既にイメージセンサ90aで検出されてメモリ部103bに格納されている設計上同じ形状のパターン(例えば、隣接ダイ)の画像C’をメモリ部103aから受けて、画像Cと画像C’との位置合わせをする。
【0029】
比較部107bでは位置合せされた2画像C及びC’との差画像Dをしきい値(予め設定された値、又は検出した画像から求めた値)と比較処理を行い、比較の結果として差画像Dの特徴量を算出する。この差画像Dの特徴量(例えば、濃淡差の最大値や面積など)を用いて欠陥判定部115にて欠陥を判定する。
【0030】
さらに、それぞれの画像で比較した結果は位置合せ部110に送られ、照明仰角の異なる2つの差画像BとDとの位置合せを行い、これら異なる光学条件での差画像の特徴量を差画像比較部112比較し、この特徴量を欠陥判定部115に送って欠陥を判定する。以上、欠陥判定部115では3種類の特徴量を用いて判定を行う訳であるが、何れかの判定結果にて欠陥だと判定された場合は、残る2種類の特徴量の情報も併せて分類部117に送られる。この分類部117にて、欠陥の種類(例えば、異物やエッチング残り、スクラッチなど)や、擬似欠陥(デバイスにとって致命性のない酸化膜の明るさむらやパターンのラフネス及び、グレインなど)を分類し、欠陥の座標や分類結果及び特徴量などは操作部110に送られ、検査装置ユーザがウェハ上の欠陥マップなどの欠陥情報を表示・欠陥情報データを出力することが可能となる。
【0031】
検出した欠陥の座標や大きさ、明るさ及び、検出仰角の違いによる特徴などの欠陥情報は操作部110に送られ、検査装置ユーザがウェハ上の欠陥マップなどの欠陥情報を表示・欠陥情報データを出力することが可能となる。
【0032】
また、操作部110は検査装置の動作指示を行う機能も備えており、機構制御部120に動作の指示を行い、機構制御部120からステージ6や光学部品の動作をコントロールする。検出光学系に形成されるウェハ1のフーリエ変換面に空間変調器(図示せず)を配置しても良い。空間変調器としては、金属性の遮光棒の配置や複屈折素子(LiNbO3やPLZT[(Pb、La)(Zr、Ti)O3の略]など)の電気光学効果を利用したマイクロシャッタアレイや液晶フィルタ及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いた1次元及び2次元アレイ状のフィルタが実施形態としてある。
【0033】
これらのデバイスでは、電気制御により高速に光の透過/遮光をスイッチングできるため、ウェハ1上のパターン2のピッチや形状に応じて検査中に適切なフィルタリングパターンに変更することが可能となる。また、ウェハ1の表層を対物レンズ40の焦点位置と一致させるためにはウェハ高さを検出して、ステージ3のZ方向の位置を制御することによりウェハ1の高さを制御する必要がある。
【0034】
このウェハ高さ検出方式の例として、光てこ方式があり、スリット光をウェハ1に斜め方向から照明する高さ検出用照明系と、ウェハ1にて反射したスリット光を検出してウェハの高さを求める高さ検出系を配置する(図示せず)。ウェハ1の高さと対物レンズ4031の焦点位置の差を求め、許容外のデフォーカスをしている場合は、ウェハ1を焦点位置に位置決めするように機構制御部120がステージ3に指示を出す。以上の基本構成により、ステージ3をXY平面内で1方向に定速走査させながら連続的に画像を検出し、この画像を用いて欠陥を検出する。
【0035】
なお、本実施例ではウェハ1上の照明領域29を高仰角照明、照明領域30を低仰角照明の例として説明したが、低仰角と高仰角の照明領域を入れ替えても良く、或いは、同じ仰角であっても良い。また、照明領域29と照明領域30にて、偏光や照明方位(ウェハ1を上方より平面的に見たときに、X軸となす角度の方向)あるいは、照明波長などの条件を変えるように構成してもよい。
【0036】
さらに、欠陥のサイズや種類(ショート欠陥、スクラッチ、異物など)によっては散乱方向に特性がある。このため、低仰角照明と高仰角照明を同時検出することにより、様々な欠陥の散乱光を検出する可能性が高くなり、欠陥の捕捉率向上にも有利となる。
【実施例2】
【0037】
次に、図1で示した構成において、検出光学系50をウェハ1に対して垂直な方向に配置し、照明光25による高仰角照明を検出光学系50の光軸と共通化させ、光路を切替えてウェハ上の同じ領域を順次照明する例を第2の実施例として、説明する。
【0038】
図3に、対物レンズ31を介して高仰角照明するTTL(Through The Lens)方式の光学系の構成を示す。5はレーザ光源、311はビームエキスパンダ、312は光路切替えミラー、327はビームスプリッタ、333は遮光板、331は対物レンズ、375はレンズ、380は遮光部381を備えた空間フィルタ、385は結像レンズである。また、313はミラー、315は回転可能な1/2波長板、317は回転可能な1/4波長板、320はシリンドリカルレンズである。
【0039】
このような構成において、レーザ光源5を発振した光は、ビームエキスパンダ311に入射してビーム径が拡大された後、光路切替えミラー312が作用せずに光が直進した状態で、検出光学系の光軸上に配置されたビームスプリッタ327に入射する。ビームスプリッタ327で反射した光は、共焦点検出用のライン状開口或いはピンホールアレイからなる開口デバイス333に入射する。この開口デバイス333を透過した光が、対物レンズ331を介してウェハ1を高仰角照明する。ウェハ1にて散乱した光はのうち、対物レンズ331のNA内に伝播する光は対物レンズ331に捕捉され、開口デバイス333を再び透過する。さらに、ビームスプリッタ327も透過した光がレンズ375にてウェハ1のフーリエ変換像を空間フィルタ380を配置した面に結像する。この空間フィルタ380は遮光したい正反射光(0次光)や所望の周波数成分を遮光する遮光部381を備えており、この遮光部381以外の領域を透過した光が結像レンズ385にてイメージセンサ390を配置した面に結像する。
【0040】
この共焦点検出光学系では、照明光が対物レンズ331の表面にて反射して迷光となっても、開口デバイス333にてほぼ遮光されるため、イメージセンサ390にて検出される割合が非常に低くなる。このため、従来のTTL照明と空間フィルタにて正反射光を遮光する暗視野検出の課題であった迷光の抑制が可能となる。
【0041】
なお、検査対象物が異物など凸状の欠陥の場合は、高仰角照明で対物レンズ31のNAを大きくするよりも低仰角照明の方が検査感度に有利な画像が得られる場合がある。このような場合は、光路切替えミラー312を作用させてレーザ光源5を発射したレーザの光路を図3の下側に折り曲げてミラー322に入射させ、低仰角照明光322として1/2波長板315及び1/4波長板317を透過させて偏光の状態を調整し、シリンドリカルレンズ320でレーザの光軸に垂直な断面内で一方向に収束させそれと直角な方向には平行光となるように成形された状態で対物レンズの光軸外からウェハ1を斜方照明するオフアクシス照明を行う。このオフアクシス照明322によるウェハ1上の照明領域を、開口デバイス33の開口部のウェハ上投影像とほぼ一致させることにより、オフアクシス照明においても共焦点検出が可能となる。オフアクシス照明22によりウェハ1にて散乱した光は、対物レンズ31に捕捉され、開口デバイス333の開口部を通過する。これに対して、ウェハ1の下層部にて散乱した光は、開口デバイス33にて広がった光となり、多くは遮光される。開口デバイス33を透過したウェハ1の表層散乱光はビームスプリッタ327を透過してレンズ375に入射する。検光子377とフーリエ変換面に配置された空間フィルタ380を透過した光はレンズ385を介してイメージセンサ390上にウェハ1の散乱像を形成する。
【0042】
さらに、共焦点検出による別の効果を説明する。通常、ウェハ1の検査対象層は最表面の層であり、多層配線が形成されている場合の下層欠陥は一般には欠陥検出したくないケースが多い。これは、欠陥検出してもこれをレビューするSEM(Scanning Electron Microscope)では下層欠陥が見えないことより、欠陥であるか否かが確認できないためである。共焦点検出では、対物レンズ331の焦点を検出したいウェハ1の表層に合せておけば、表層の欠陥やパターンにて散乱した光は開口デバイス333の開口部を通過してビームスプリッタ327に入射し、この入射した光量の半分がビームスプリッタ327を透過してレンズ375を通過し、空間フィルタ380を透過した光が結像レンズ385に入射してイメージセンサ390の検出面(図示せず)上にウェハ1上の欠陥の像を結像する。これに対して、ウェハ1の下層部にて散乱した光は、開口デバイス333の位置にてデフォーカスした広がった光となり、多くは遮光される。これにより、擬似欠陥となる下層での散乱光がほぼ遮光され、下層欠陥の検出を抑制する効果がある。
【0043】
検査対象のウェハ構造や欠陥種は多様であり、それぞれの対象に応じて高感度検査に有利な画像を得る光学条件が異なる。多くの半導体製造ラインでは製造工程ごとに検査する光学条件が適正化されている。このため、欠陥によっては、垂直照明も含めた高仰角照明ではなく、低仰角照明が高感度化に有利なケースもある。
【0044】
このように、多様なウェハ構造や欠陥種に対応するためには、設定可能な照明条件を幅広く備えておく必要がある。図34にて照明光の仰角制御照明の構成を示す。図4に示した構成は、基本的には図3で説明した光学系の構成と同じであるが、ビームエキスパンダ410と開口デバイス411、レンズ414を備えた点において異なる。レーザ光源5から発射された光は、ビームエキスパンダ410によりビーム径が拡大され、開口デバイス411の開口部を透過し、レンズ414にて対物レンズ431の瞳位置432に開口デバイス411の像を結像する。この間、ビームスプリッタ427と、共焦点用開口デバイス433を配置する構成及び、その役割は図2を用いて説明したのと同様である。
【0045】
対物レンズ431の瞳に結像した開口絞りの像位置に応じてウェハ1を照明する入射角が決定される。例えば、瞳の中心位置に開口デバイス433の像が形成された場合は、ウェハ1に対して垂直照明となる。一方、開口デバイス433の像が光軸に対してズレている場合は、対物レンズのNA内にてウェハ1を斜方照明する。このため、開口デバイス411の開口部を変更(制御)可能な構成にすることにより、ウェハ1を照明する入射角を制御できる。
【0046】
なお、検査対象物が異物など凸状の欠陥の場合は、高仰角照明で対物レンズ31のNAを大きくするよりも低仰角照明の方が検査感度に有利な画像が得られる場合がある。このような場合は、光路切替えミラー412を作用させてレーザ光源5を発射したレーザの光路を図4の下側に折り曲げてミラー413に入射させ、低仰角照明光322として1/2波長板415及び1/4波長板417を透過させて偏光の状態を調整し、シリンドリカルレンズ420でレーザの光軸に垂直な断面内で一方向に収束させそれと直角な方向には平行光となるように成形された状態の照明光422で対物レンズ431のNAの外からウェハ1を照明するオフアクシス照明を行う。このオフアクシス照明422によるウェハ1上の照明領域を、開口デバイス433の開口部のウェハ1上の投影像とほぼ一致させることにより、オフアクシス照明においても共焦点検出が可能となる。
【0047】
オフアクシス照明22によりウェハ1にて散乱した光は、対物レンズ431に捕捉され、開口デバイス433の開口部を通過する。これに対して、ウェハ1の下層部にて散乱した光は、開口デバイス433にて広がった光となり、多くは遮光される。開口デバイス433を透過したウェハ1の表層散乱光はビームスプリッタ427を透過してレンズ475に入射する。検光子477とフーリエ変換面に配置された空間フィルタ480を透過した光はレンズ485を介してイメージセンサ490上にウェハ1の散乱像を形成する。
【0048】
次に、イメージセンサ390(490)で検出した画像を処理して欠陥を判定する画像処理部300で実施する処理の流れを図5に示す。
【0049】
高仰角照明によりイメージセンサ390(490)にて検出された画像Aは、階調変換部501にて例えばγ補正のような明るさの変換を行う。変換後の画像Aの一方は位置合せ部503に送られ、他方はメモリ502に送られる。位置合せ分503では、既にイメージセンサ390(49)で検出されてメモリ部502に格納されている設計上同じ形状のパターン(例えば、隣接ダイ)の画像Aをメモリ部502から受けて、画像Aと画像A’との位置合わせをする。
【0050】
比較部504では位置合せされた2画像E及びE’との差画像Fをしきい値(予め設定された値、又は検出した画像から求めた値)と比較処理を行い、差画像を作成する。比較の結果として差画像Bの特徴量を算出する。この差画像Fの特徴量(例えば、濃淡差の最大値や面積など)を用いて欠陥判定部115にて欠陥を判定する。一方、差画像Fは、位置合せ部505に入力される。
【0051】
次に、低仰角照明によりイメージセンサ390(490)にて検出された画像Gは、階調変換部501にて例えばγ補正のような明るさの変換を行う。変換後の画像Gの一方は位置合せ部503に送られ、他方はメモリ502に送られる。位置合せ分503では、既にイメージセンサ390(490)で検出されてメモリ部502に格納されている設計上同じ形状のパターン(例えば、隣接ダイ)の画像G’をメモリ部502から受けて、画像Gと画像Hとの位置合わせをする。
【0052】
比較部504では位置合せされた2画像G及びG’との差画像Hをしきい値(予め設定された値、又は検出した画像から求めた値)と比較処理を行い、比較の結果として差画像Dの特徴量を算出する。この差画像Dの特徴量(例えば、濃淡差の最大値や面積など)を用いて欠陥判定部507にて欠陥を判定する。一方、差画像Hは、位置合せ部505に入力される。
【0053】
位置合せ部505においては、ウェハ1上の同じ箇所の画像であって照明仰角の異なる2つの差画像FとHとの位置合せを行い、これら異なる光学条件での差画像の特徴量を差画像比較部506比較し、この特徴量を欠陥判定部507に送って欠陥を判定する。以上、欠陥判定部507では3種類の特徴量を用いて判定を行う訳であるが、何れかの判定結果にて欠陥だと判定された場合は、残る2種類の特徴量の情報も併せて分類部508に送られる。この分類部508にて、欠陥の種類(例えば、異物やエッチング残り、スクラッチなど)や、擬似欠陥(デバイスにとって致命性のない酸化膜の明るさむらやパターンのラフネス及び、グレインなど)を分類し、欠陥の座標や分類結果及び特徴量などは操作部310に送られ、検査装置ユーザがウェハ上の欠陥マップなどの欠陥情報を表示・欠陥情報データを出力することが可能となる。
【0054】
検出した欠陥の座標や大きさ、明るさ及び、検出仰角の違いによる特徴などの欠陥情報は操作部310に送られ、検査装置ユーザがウェハ上の欠陥マップなどの欠陥情報を表示・欠陥情報データを出力することが可能となる。
【実施例3】
【0055】
実施例2では、TTL照明により検出されるウェハからの正反射光を空間フィルタにて遮光する構成を示した。この構成では、正反射光に近い前方散乱光(低周波成分)を検出することになるが、検査対象欠陥によっては後方散乱(高周波成分)に強く分布する場合がある。本実施例においては、このように後方散乱に強く分布する光をTTL照明にて捕捉する方式に関するもので、その構成を図6に示す。
【0056】
本実施例においても高仰角照明と低仰角照明とを行う。低仰角照明の構成及び検出の動作は実施例1及び2と同じなので、説明を省略する。図6において、照明光626による高仰角照明の光学系においては、レーザ光源5から発射されたレーザ光をレーザ光軸制御機構6にて対物レンズ631の瞳662に入射する位置と角度範囲が制御され、ウェハ1の法線に対して傾斜して設置されている照明・検出光学系600の対物レンズ631に入射する。対物レンズ631の傾斜側(図中、右側)の瞳662にレーザ光を入射させることにより、ウェハ1に対する入射角が大きくなり、ウェハ1の線状照明された領域(線状照明の方法は、実施例2で図3を用いて説明した方法と同じである。)から正反射した光660を対物レンズ631のNA外に伝播させる。これにより、対物レンズ631にて捕捉する光は、後方散乱光となる。検出光路の共焦点用開口デバイス633〜イメージセンサ690までの構成は図3と同様である。
【0057】
この構成において、前方散乱光を検出する手法を図57に示す。基本構成は図6で説明したものと同じ構成であり、レーザ光軸制御機構6にて対物レンズ631の瞳662に到達する光をウェハ1の法線に近い方に制御する。これにより、ウェハ1上は図6で説明した実施例に対して高仰角照明(垂直に近い照明)となり、正反射光も含めた前方散乱光検出となる。正反射光は空間フィルタ680で遮光され、空間フィルタ680を透過した散乱光が結像レンズ685によりイメージセンサ690上に結像する。
【0058】
さらに、共焦点検出の変形例を図8に示す。光学系の基本構成は図6で説明ようにウェハ1の法線方向に対して光軸を傾けて設置している。光源(図示せず)から発射された照明光826は、共焦点検出用の市松模様の開口部を有した開口デバイス840aに入射する。この開口デバイス840aは、開口部が841、遮光部が842となっている。この開口デバイスの像を結像レンズ834と対物レンズ831を介してウェハ1に投影する。照明光826が照明されたウェハ1にて散乱した光のうち対物レンズ831に入射した散乱光は結像レンズ834を介して、照明系と検出系の分岐ミラー827を透過して検出側に結像する。
【0059】
この結像面に市松模様の開口デバイス840bを配置する。この開口デバイス840bの開口部は照明系に配置した開口部の像と共役な関係に配置する。開口デバイス840bを透過した光は、偏光ビームスプリッタ844にて分岐され、それぞれの光路に配置した空間フィルタ881c、881dにてそれぞれ特定周波数の散乱光が遮光される。これらの空間フィルタ881c、881dを透過した光は、共焦点検出用の開口デバイス843c、843dに入射し、この開口デバイス843c、843dの開口を透過した光のみがイメージセンサ890c、890dに入射する。
【0060】
本実施例では同一空間の画像を2種の検出条件(検光条件と空間フィルタ条件)にて検出した例を示した。これにより、同一ウェハ上に複数種の検出対象欠陥がある場合、それぞれの欠陥を顕在化する検出条件に設定でき、検出感度を向上できる。なお、本実施例では、検出条件を2系統の例にて説明したが、これ以上の検出器がある例についても容易に考えられる。
【実施例4】
【0061】
本実施例では、実施例1で説明した光学系と実施例3で説明した光学系とを組合せた光学系の構成について、図9を用いて説明する。照明系はレーザ光源5を用いた高仰角用のTTL照明926と低仰角用のオフアクシス照明22の2系統を備えている。高仰角用のTTL照明はウェハ1上の照明領域930を線状照明し(ウェハ1上の線状領域930を照明する方法は、図6で説明した方法と同じ)、オフアクシス照明22は領域929を線状照明する(ウェハ1上の線状領域29を照明する方法は、実施例1及び実施例2で説明した方法と同じであるので、説明を省略する)。検出系はウェハの法線に対して傾斜した軸となっており、それぞれの領域929,930で散乱した光のうち対物レンズ931の側に散乱した光を対物レンズ931にて捕捉する。
【0062】
ここで、検出系が傾斜した方向の領域929で散乱した光は、対物レンズ931のNAよりも低仰角側に散乱した光をミラー932にて対物レンズ931のNA内に伝播させる。この照明領域929から対物レンズ931までの距離と、照明領域930から対物レンズ931をWDと一致させることにより、対物レンズ31の像面にそれぞれの照明領域の散乱像を平行に形成させることが可能となる。この像面にそれぞれの散乱像に対応した共焦点用の2つの線状開口9331と9332とを有した開口デバイス933を配置する。この開口デバイス33の像をレンズ80とレンズ85にて拡大投影し、それぞれの線状開口9331と9332との像位置にイメージセンサ991、992を配置する。
【0063】
なお、本実施例では照明領域930を高仰角TTL照明、照明領域929を低仰角オフアクシス照明の例として説明したが、低仰角と高仰角照明の切り替えても良い。また、照明領域929と照明領域930にて、偏光や照明方位あるいは、照明波長などの条件が異なる実施形態も考えられる。
【実施例5】
【0064】
実施例1の図1、実施例3の図8、実施例4の図9において説明した検出系においては、複数光路に分岐して検出条件の異なる複数画像を検出する実施例を示した。本実施例では、検出光路を分岐しないで複数条件の画像を検出する形態について説明する。図10に高仰角TTL照明による光学系の構成を示す。光学部品の構成は図23で説明した構成と同じであるが、イメージセンサ1091〜1094とその直前に配置する光学フィルタリングデバイス1095〜1098が異なる(ウェハ1上を低仰角照明する方法及び構成は実施例1及び実施例2で説明したものと同じであるので、説明を省略する)。イメージセンサ1091〜1094の直前にフィルタ特性の異なる光学フィルタリングデバイス1095〜1098を配置して、イメージセンサ1091〜1094にてフィルタ特性に応じた4種類の画像を検出するように構成した。
【0065】
光学フィルタリングデバイス1095〜1098の例として、偏光利用フィルタを図911に示す。偏光透過軸がY方向と平行な光学フィルタリングデバイス1095と、Y方向から45度の角度をなすデバイス1096、Y方向から90度の角度をなすデバイス1097、Y方向から135度の角度をなすデバイス1098にて構成されている。この構成により、ウェハ1上の同一空間において、検光条件の異なる4種の画像を検出することが可能となり、正常なパターン散乱光と欠陥散乱光の偏光状態の違いを特徴量とした比較検査が可能となる。
【0066】
なお、一般的なイメージセンサはシリコン基板上に形成されているが、1枚の基板上に4つのセンサを並べて、4画像を出力する形態も本発明の変形例として考えられる。光学フィルタリングデバイスは、微細パターンを積層したフォトニック結晶やワイヤグリッド及び誘電体多層膜などが候補である。
【0067】
4つのイメージセンサ1091〜1094で検出した画像を処理して欠陥を判定する画像処理部10100における流れを図12に示す。
イメージセンサ1091にて検出された画像は、階調変換部1201aにて例えばγ補正のような明るさの変換を行う。変換後の画像の一方は位置合せ部1205aに送られ、他方はメモリ1203aに送られる。位置合せ分1205aでは既に送られた画像と設計上同じパターン(例えば、隣接ダイ)がくるまでメモリ部1203aに格納され、メモリ部1203aから送られた画像と位置合わせする。比較部1207aでは位置合せされた2画像の差画像などの比較処理を行い、比較の結果として画像の特徴量を算出する。この特徴量(例えば、濃淡差の最大値や面積など)を用いて欠陥判定部1215にて欠陥を判定する。
【0068】
この一連の処理をイメージセンサ1092、1093、1094それぞれについても同様に行う。さらに、それぞれの画像で比較した結果は位置合せ部1210に送られ、照明仰角や検出仰角及び、検光条件の異なる4画像の位置合せを行い、これら異なる光学条件での画像の特徴量を比較して、この特徴量を欠陥判定部1215に送って欠陥を判定する。以上、欠陥判定部では5種類の特徴量を用いて判定を行う訳であるが、何れかの判定結果にて欠陥だと判定された場合は、残る4種類の特徴量も併せて分類部1217に特徴量が送られる。この分類部1217にて、欠陥の種類(例えば、異物やエッチング残り、スクラッチなど)や、擬似欠陥(デバイスにとって致命性のない酸化膜の明るさむらやパターンのラフネス及び、グレインなど)を分類し、欠陥の座標や分類結果及び特徴量などを出力する。
【0069】
異なる光学条件で検出した4画像より算出する特徴量の例を図13に示す。光学系の構成は図10に示した構成であり、偏光透過軸がY方向と平行、Y方向から45度、90度、135度の角度をなす4種の画像が検出される。これらの画像より、ウェハ上の同一空間の画素ごとに偏光状態400を求める。偏光状態としては、楕円偏光の方位αと楕円の長軸aと短軸bの比で求める楕円率(b/a)が候補である。これらの特徴量を用いて、欠陥判定する手法を図14に示す。横軸に方位α、縦軸に楕円率βとした散布図を示しており、設計パターンが同じ座標のデータをプロットした模式図である。正常なパターンは、方位α、楕円率β共に同じような領域に分布する。この分布から外れた点A,B,Cを欠陥候補として判定する。
【0070】
以上の実施例で示した構成や機能及び画像処理内容については、様々な組合せが考えられるが、それらの組合せについても本発明の範囲内であることは明らかである。
【符号の説明】
【0071】
1…ウェハ、3…XYZθステージ、4…照明系、5…レーザ、6…XYZθステージ、7…電気光学素子、10…ビームエキスパンダ、15…回転機構付き1/2波長板、17…回転機構付き1/4波長板、22…オフアクシス照明光、26…TTL照明光、27…ビームスプリッタ、29…照明領域、30…照明領域、31…対物レンズ、32…ミラー、33…共焦点用開口デバイス、40a…市松模様開口デバイス、62…瞳、80…空間変調素子、90…イメージセンサ、100…画像処理部、110…操作部、120…機構制御部、130…高さ検出部、400…偏光状態。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本来同一の形状となるべきパターンが繰り返して形成された試料上の異なる領域に異なる光学条件で同時に照明光を照射する照射手段と、
該照射手段により異なる光学条件で同時に照明光を照射した領域からの反射光を前記異なる領域ごとに検出する検出手段と、
該検出手段により異なる領域ごとに検出した反射光の検出信号を処理して前記異なる領域ごとに異なる光学条件の元での欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手段と、
該欠陥候補抽出手段で異なる領域ごとに異なる光学条件の元で抽出した欠陥候補を統合して欠陥を抽出する欠陥抽出手段と、
該欠陥抽出手段で抽出した欠陥の特徴量を求めて該求めた特徴量に基づいて前記欠陥を分類する欠陥分類手段と
を供えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
前記照射手段は、前記試料上の異なる線状の領域に異なる光学条件で同時に線状に成形された照明光を照射することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記照射手段は、前記照明光の試料への入射角度が異なる光学条件で同時に前記試料を照射することを特徴とする請求項1又は2に記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
本来同一の形状となるべきパターンが繰り返して形成された試料上に対物レンズを介して第1の照明光を照射する第1の照射手段と、
前記試料上を前記対物レンズの外側から第2の照明光を照射する第2の照射手段と、
該第1の照射手段により照明光を照射した領域からの反射光のうち正反射光を含まない反射光を前記対物レンズを介して検出して第1の検出信号を得、前記第2の照射手段により照明光を照射した領域からの反射光のうち正反射光を含まない反射光を前記対物レンズを介して検出して第2の検出信号を得る反射光検出手段と、
前記反射光検出手段で検出された第1の検出信号と前記第2の検出信号とを処理して前記試料上の欠陥を検出する信号処理手段と
を備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項5】
前記第1の照射手段は、前記試料の表面の法線方向に対して傾斜した方向から前記対物レンズを介して前記第1の照明光を照射することを特徴とする請求項4記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
本来同一の形状となるべきパターンが繰り返して形成された試料上に照明光を照射する照明光照射手段と、
該照明光照射手段により照明光が照射された領域からの反射光を異なる検出条件で同時に検出する反射光検出手段と、
該反射光検出手段で前記反射光を異なる検出条件で同時に検出して得た検出信号を前記異なる検出条件ごとに処理して前記異なる検出条件ごとに欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手段と、
該欠陥候補抽出手段で前記異なる検出条件ごとに抽出した欠陥候補を統合して前記試料上の欠陥を抽出する欠陥抽出手段と、
該欠陥抽出手段で抽出した欠陥の特徴量を求めて該求めた特徴量に基づいて前記欠陥を分類する欠陥分類手段と
を備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項7】
前記反射光検出手段が反射光を検出する異なる検出条件が、前記反射光の偏光条件であることを特徴とする請求項6に記載の欠陥検査装置。
【請求項8】
本来同一の形状となるべきパターンが繰り返して形成された試料上の異なる領域に異なる光学条件で同時に照明光を照射し、
該異なる光学条件で同時に照明光を照射した領域からの反射光を前記異なる領域ごとに検出し、
該異なる領域ごとに検出した反射光の検出信号を処理して前記異なる領域ごとに異なる光学条件の元での欠陥候補を抽出し、
前記異なる領域ごとに異なる光学条件の元で抽出した欠陥候補を統合して欠陥を抽出し、
該抽出した欠陥の特徴量を求めて該求めた特徴量に基づいて前記欠陥を分類する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項9】
前記試料上の異なる線状の領域に異なる光学条件で同時に線状に成形された照明光を照射することを特徴とする請求項8記載の欠陥検査方法。
【請求項10】
前記異なる光学条件が、前記照明光の前記試料への入射角度が異なることを特徴とする請求項8又は9に記載の欠陥検査方法。
【請求項11】
本来同一の形状となるべきパターンが繰り返して形成された試料上に対物レンズを介して第1の照明光を照射し、
該第1の照明光を照射した領域からの反射光のうち正反射光を含まない反射光を前記対物レンズを介して検出して第1の検出信号を得、
前記試料上を前記対物レンズの外側から第2の照明光を照射し、
該第2の照明光を照射した領域からの反射光のうち正反射光を含まない反射光を前記対物レンズを介して検出して第2の検出信号を得、
前記第1の検出信号と前記第2の検出信号とを処理して前記試料上の欠陥を検出する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項12】
前記試料の表面の法線方向に対して傾斜した方向から前記対物レンズを介して前記第1の照明光を照射することを特徴とする請求項11記載の欠陥検査方法。
【請求項13】
本来同一の形状となるべきパターンが繰り返して形成された試料上に照明光を照射し、
該照明光を照射した領域からの反射光を異なる検出条件で同時に検出し、
該反射光を異なる検出条件で同時に検出して得た検出信号を前記異なる検出条件ごとに処理して前記異なる検出条件ごとに欠陥候補を抽出し、
前記異なる検出条件ごとに抽出した欠陥候補を統合して前記試料上の欠陥を抽出し、
該抽出した欠陥の特徴量を求めて該求めた特徴量に基づいて前記欠陥を分類する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項14】
前記異なる検出条件が、前記反射光の偏光条件であることを特徴とする請求項13に記載の欠陥検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−163965(P2011−163965A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27702(P2010−27702)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】